JP2021042184A - ホウ素をスピロ原子として有するイオン性化合物 - Google Patents

ホウ素をスピロ原子として有するイオン性化合物 Download PDF

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琢次 畠山
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靖宏 近藤
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Abstract

【課題】有機デバイス用材料として用いることができる新規化合物の提供。【解決手段】式(1A)で表される1価イオン及び式(1A)で表される構造を繰り返し単位として含む多価イオンからなる群より選択されるアニオンと、無機イオンである対イオンとを含む化合物。(A〜D環は、アリール環等;Z1及びZ2は−O−等;式(1A)で表されるアニオンまたは構造における少なくとも1つのHは、シアノ、ハロゲン又は重水素で置換されていてもよい。)【選択図】なし

Description

本発明は、ホウ素をスピロ原子とする構造を有するアニオンおよび対イオンとからなるイオン性化合物、上記イオン性化合物を用いた有機電界発光素子などの有機デバイスに関する。
従来、電界発光する発光素子を用いた表示装置は、省電力化や薄型化が可能なことから、種々研究され、さらに、有機材料から成る有機電界発光素子は、軽量化や大型化が容易なことから活発に検討されてきた。発光材料について多くの研究開発が行われる一方で、電荷輸送性材料に関しても、高分子化合物、低分子化合物、蒸着向け化合物および塗布型向け化合物を問わずこれまで活発に研究されてきた。
有機電界発光素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、当該一対の電極間に配置され、有機化合物を含む一層または複数の層とからなる構造を有する。有機化合物を含む層(以下「有機層」ということがある)には、発光層や、正孔、電子などの電荷を輸送または注入する電荷輸送/注入層などがあり、これらの層を形成する材料として種々の有機材料が開発されている。
電子輸送層に用いられる化合物としては、例えばトリアゾール系化合物やビピリジン系化合物などが開発されており、これらは、単成分で用いられるほかリチウムカチオンを含むLiFやLiqなどがトリアゾール系化合物やビピリジン系化合物と混合されて用いられる。また、電子注入層に用いられる化合物としては、前述のLiFやLiqなどが用いられる。
一方、ホウ素をスピロ原子として有するイオン性化合物としては、特許文献1に、カルベニウム塩等が開示されており、オレフィン重合用触媒として使用することについての記載がある。
また、非特許文献1および非特許文献2にはホウ素をスピロ原子として有するアニオンがシアニン色素と塩を形成して円二色性を誘導することについての記載がある。
特開平11―80225号公報
J. Am. Chem. Soc. 1996, 118, 259-260 J. Am. Chem. Soc. 1998, 120, 1705-1717
上述するように、有機電界発光素子およびリチウムイオン電池等の有機デバイスに用いられる材料としては種々の材料が開発されているが、有機デバイス用材料の選択肢を増やすために、従来とは異なる化合物からなる材料の開発が望まれている。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ホウ素をスピロ原子として有するイオン性化合物として新規な化合物を見出し、その製造に成功した。また、この化合物を含有する層を一対の電極間に配置して有機EL素子を構成することにより、優れた有機EL素子が得られることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は、以下のような化合物、および上記化合物を含む有機層を有する有機電界発光素子を提供する。
<1> 下記式(1A)で表される1価イオンおよび式(1A)で表される構造を繰り返し単位として含む多価イオンからなる群より選択されるアニオンと、無機イオンである対イオンとを含む化合物。
Figure 2021042184
(式(1A)中、
A〜D環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、A環およびB環ならびに/またはC環およびD環は結合して環構造を形成していてもよく、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、
1およびZ2は、それぞれ独立して、単結合、置換基を有していてもよいアルキレン、置換基を有していてもよいアルケニレン、アルキニレン、置換基を有していてもよいアリーレン、−C(=CR2)−、−C(=C(=O))−、−C(=O)−、−C(=S)−、−O−、−S−、−Se−、−P(=O)−、−P(=O)(−R)−、−P(=S)−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−SiR2−、−NR−、および、−N=N−からなる群より選択される1つの2価の基、または前記群より選択される同種もしくは異種の基を2つ以上組み合わせて構成される2価の基であり、ただし、Z1およびZ2は、同時に単結合であることはなく、ここで、Rは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、隣接する、Rと、A環、B環、C環および/またはD環とは結合して環構造を形成していてもよく、
式(1A)で表されるアニオンまたは構造における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
<2> A〜D環は、それぞれ独立して、炭素数6〜30のアリール環または炭素数2〜30のヘテロアリール環であり、A環およびB環ならびに/またはC環とD環は結合して環構造を形成していてもよく、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、
1およびZ2は、それぞれ独立して、単結合、−(CR2n−(nは1〜12)、−CR=CR−、−C≡C−、−(CR=CR−CR2n−(nは1〜4)、−C(=CR2)−、−C(=C(=O))−、−C(=O)−、−C(=S)−、−C(=O)O−、−C(=S)O−、−C(=O)S−、−C(=S)S−、−C(=O)NR−、−C(=O)C(=O)−、−C(=O)OC(=O)−、−(CR2−O)n−(nは1〜12)、−(CR2n−O−(nは1〜12)、−(CR2−CR2−O)n−(nは1〜6)、−O−、−S−、−SS−、−Se−、−P(=O)−、−P(=S)−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−SiR2−、−NR−、−N=N−、または、フェニレンであり、ただし、Z1およびZ2は、同時に単結合であることはなく、ここで、Rは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、隣接する、Rと、A環、B環、C環および/またはD環とは結合して環構造を形成していてもよく、
式(1A)で表されるアニオンまたは構造における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい、
<1>に記載の化合物。
<3> A〜D環は、それぞれ独立して、ベンゼン環、ナフタレン環、インダン環、インデン環、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環またはイソキノリン環であり、A環およびB環ならびに/またはC環およびD環は結合して環構造を形成してもよく、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、
1およびZ2は、それぞれ独立して、単結合、−CR2−、−CR=CR−、−C(=O)−、−C(=S)−、−O−、−S−、−Se−、−P(=O)−、−P(=S)−、−S(=O)−、−SiR2−、−NR−、または、フェニレンであり、ただし、Z1およびZ2は、同時に単結合であることはなく、ここで、Rは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、隣接する、Rと、A環、B環、C環および/またはD環とは結合して環構造を形成していてもよく、
式(1A)で表されるアニオンまたは構造における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい、
<1>または<2>に記載の化合物。
<4> 下記式(2A)で表される1価イオンおよび式(2A)で表される構造を繰り返し単位として含む多価イオンからなる群より選択されるアニオンと、無機イオンである対イオンとを含む化合物である、<1>に記載の化合物。
Figure 2021042184
(式(2A)中、
1およびZ2は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−Se−、−NR−、または、1,2−フェニレンであり、ただし、Z1およびZ2は同時に単結合であることはなく、ここで、Rは、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
1〜R16は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
また、R1〜R16のうちの隣接する基同士が結合してa〜d環と共に炭素数9〜30のアリール環または炭素数6〜30のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
式(2A)で表されるアニオンまたは構造における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
<5> Z1およびZ2は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−Se−、−NR−、または、1,2−フェニレンであり、ただし、Z1およびZ2は同時に単結合であることはなく、ここで、Rは、水素、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルであり、
1〜R16は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
また、R1〜R16のうちの隣接する基同士が結合してa環、c環またはd環と共に炭素数9〜16のアリール環または炭素数6〜15のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
式(2A)で表されるアニオンまたは構造における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい、
<4>に記載の化合物。
<6> Z1およびZ2は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−Se−、−NR−、または1,2−フェニレンであり、ただし、Z1およびZ2は同時に単結合であることはなく、ここで、Rは、水素、炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜12のシクロアルキルであり、
1〜R16は、それぞれ独立して、水素、炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数1〜6のアルコキシまたは炭素数6〜16のアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜12のシクロアルキルで置換されていてもよく、
また、R1〜R16のうちの隣接する基同士が結合してa環、c環またはd環と共に炭素数9〜12のアリール環または炭素数6〜10のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数1〜6のアルコキシまたは炭素数6〜16のアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素は、炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜12のシクロアルキルで置換されていてもよく、
式(2A)で表されるアニオンまたは構造における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい、
<4>または<5>に記載の化合物。
<7> 以下いずれかの構造式で表される1価イオンまたは以下いずれかの構造式で表される構造を繰り返し単位として含む多価イオンからなる群より選択されるアニオンと、無機イオンである対イオンとを含む化合物である<1>に記載の化合物。
Figure 2021042184
<8> 前記対イオンが1価のカチオンである、<1>〜<7>のいずれかに記載の化合物。
<9> 前記対イオンが、Li+、Na+およびK+からなる群より選択される<1>〜<7>のいずれかに記載の化合物。
<10> <1>〜<9>のいずれかに記載の化合物を含有する有機層を有する有機電界発光素子。
<11> 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置された発光層および、電子輸送層および/または電子注入層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つが前記化合物を含有する有機層である<10>に記載の有機電界発光素子。
<12> ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリノール系金属錯体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、シロール誘導体およびアゾリン誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する電子輸送層および/または電子注入層を含む、<10>または<11>に記載の有機電界発光素子。
<13> 前記電子輸送層および/または電子注入層が、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、<11>または<12>に記載の有機電界発光素子。
<14> <10>〜<13>のいずれかに記載の有機電界発光素子を備えた表示装置。
<15> <10>〜<13>のいずれかに記載の有機電界発光素子を備えた照明装置。
本発明により、ホウ素をスピロ原子とするアニオンおよび対イオンを含む新規な化合物が提供される。本発明の化合物は有機電界発光素子等を製造するための有機デバイス用材料として用いることができる。
本実施形態に係る有機EL素子を示す概略断面図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書において構造式の説明における「水素」は「水素原子(H)」を意味する。
本明細書においては「有機電界発光素子」を「有機EL素子」ということがある。
本明細書において化学構造や置換基を炭素数で表すことがあるが、化学構造に置換基が置換した場合や、置換基にさらに置換基が置換した場合などにおける炭素数は、化学構造や置換基それぞれの炭素数を意味し、化学構造と置換基の合計の炭素数や、置換基と置換基の合計の炭素数を意味するものではない。例えば、「炭素数Xの置換基Aで置換された炭素数Yの置換基B」とは、「炭素数Yの置換基B」に「炭素数Xの置換基A」が置換することを意味し、炭素数Yは置換基Aおよび置換基Bの合計の炭素数ではない。また例えば、「置換基Aで置換された炭素数Yの置換基B」とは、「炭素数Yの置換基B」に「(炭素数限定がない)置換基A」が置換することを意味し、炭素数Yは置換基Aおよび置換基Bの合計の炭素数ではない。
1.ホウ素をスピロ原子として有するイオン性化合物
本発明は、下記式(1A)で表される1価イオンおよび式(1A)で表される構造を繰り返し単位として含む多価イオンからなる群より選択されるアニオンと、無機イオンである対イオンとからなる化合物に関する。、式(1A)は好ましくは、式(2A)である。すなわち、本発明の化合物は、好ましくは、下記式(2A)で表される1価イオンおよび式(2A)で表される構造を繰り返し単位として含む多価イオンからなる群より選択されるアニオンと、無機イオンである対イオンとからなる化合物である。
Figure 2021042184
本発明の化合物は、式(1A)で表される1価イオンおよび式(1A)で表される構造を繰り返し単位として含む多価イオンからなる群より選択されるアニオンとその対イオンとを含む化合物(イオン性化合物、塩)であり、上記アニオンと対イオン以外に、水和水、溶媒和した溶媒、配位化合物、キレート化合物および包摂化合物などを含んでいてもよい。このような化合物としては、クラウンエーテル(12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6など)などが挙げられる。水和水、溶媒和した溶媒、配位化合物、キレート化合物および包摂化合物は、中性分子、カチオンおよびアニオンのいずれであってもよい。
対イオンは、無機イオンである。本発明の化合物において対イオンはカチオンであればよく、化合物全体として電気的中性が保たれるように、本発明の化合物に含まれている。例えば、本発明の化合物におけるアニオンと対イオンの組み合わせの例としては、
式(1A)で表される1価イオンと1価のカチオンとが1:1のモル比で含まれている;
式(1A)で表される1価イオンと2価のカチオンとが2:1のモル比で含まれている;
式(1A)で表される構造を繰り返し単位として含む2価イオンと1価のカチオンとが1:2のモル比で含まれている;
式(1A)で表される構造を繰り返し単位として含む2価イオンと2価のカチオンとが1:2のモル比で含まれている;
式(1A)で表される構造を繰り返し単位として含む(n+2)価イオンと1価のカチオンとが1:(n+2)のモル比で含まれている例などが挙げられる。
以対イオンは好ましくは1価のカチオンである。また、対イオンは好ましくは、Li+、Na+またはK+である。
上記式(1A)中、
A環〜D環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、A環およびB環ならびに/またはC環およびD環は結合して環構造を形成していてもよい。すなわち、A環およびB環が結合して、スピロ原子であるホウ素とともに環を形成していてもよく、C環およびD環が結合して、スピロ原子であるホウ素とともに環を形成していてもよい。これらの環(A環〜D環、および上記の結合により形成された環)における少なくとも1つの水素は置換されていてもよい。
1およびZ2は、それぞれ独立して、単結合、置換基を有していてもよいアルキレン、置換基を有していてもよいアルケニレン、アルキニレン、置換基を有していてもよいアリーレン、−C(=CR2)−、−C(=C(=O))−、−C(=O)−、−C(=S)−、−O−、−S−、−Se−、−P(=O)−、−P(=O)(−R)−、−P(=S)−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−SiR2−、−NR−、および、−N=N−からなる群より選択される1つの2価の基、または前記群より選択される同種もしくは異種の基を2つ以上組み合わせて構成される2価の基である。ただしZ1およびZ2が同時に単結合であることはない。、ここで、Rは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、Rにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、隣接する、Rと、A環、B環、C環および/またはD環とは結合して環構造を形成していてもよい。
式(1A)で表されるアニオンまたは構造における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
また、上記式(2A)中、
1およびZ2は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−Se−、−NR−、または、1,2−フェニレンであり、ここで、Rは、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、Rにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、ただしZ1およびZ2が同時に単結合であることはなく、
1〜R16は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
また、R1〜R4およびR9〜R16のうちの隣接する基同士が結合してa環、c環またはd環と共に炭素数9〜30のアリール環または炭素数6〜30のヘテロアリール環を形成していてもよく、R5〜R8のうちの隣接する基同士が結合してb環と共に炭素数6〜30のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
式(2A)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
なお、上記式(2A)において、Z1またはZ2のいずれか1つ以上が−NR−であって、当該Rと、R1、R8、R9および/またはR16とは、単結合、−CR2−、−CR=CR−、−C(=O)−、−C(=S)−、−O−、−S−、−Se−、−P(=O)−、−P(=S)−、−S(=O)−、−SiR2−、−NR−、または、フェニレンで結合して環構造を形成し、ここで、Rは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、Rにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。
以下、式(2A)は式(1A)に含まれる好ましい一形態であるため、両式に共通する説明は式(1A)の説明で代表し、式(2A)の説明としては省略する場合もある。
A環〜D環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環である。
A環〜D環としての「アリール環」としては、例えば、炭素数6〜30のアリール環があげられ、炭素数6〜16のアリール環が好ましく、炭素数6〜12のアリール環がより好ましく、炭素数6〜10のアリール環が特に好ましい。なお、この「アリール環」は、式(2A)で規定された「R1〜R4およびR9〜R16のうちの隣接する基同士が結合してa環、c環またはd環と共に形成された炭素数9〜30のアリール環」に対応し、また、a環(またはc環、d環)がすでに炭素数6のベンゼン環で構成されているため、これに5員環が縮合した縮合環の合計炭素数9が下限の炭素数となる。
具体的な「アリール環」としては、単環系であるベンゼン環、二環系であるビフェニル環、縮合二環系であるナフタレン環、三環系であるテルフェニル環(m−テルフェニル、o−テルフェニル、p−テルフェニル)、縮合三環系である、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、縮合四環系であるトリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、ベンゾフルオレン環、縮合五環系であるペリレン環、ペンタセン環などが挙げられる。また、フルオレン環やベンゾフルオレン環には、フルオレン環やベンゾフルオレン環がスピロ結合した構造も含まれる。
A環〜D環としての「ヘテロアリール環」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリール環があげられ、炭素数2〜25のヘテロアリール環が好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリール環がより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリール環がさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリール環が特に好ましい。また、「ヘテロアリール環」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1〜5個含有する複素環などが挙げられる。なお、この「ヘテロアリール環」は、式(2A)で規定された「R1〜R4およびR9〜R16のうちの隣接する基同士が結合してa環、c環またはd環と共に形成された炭素数6〜30のヘテロアリール環」や「R5〜R8のうちの隣接する基同士が結合してb環と共に形成された炭素数6〜30のヘテロアリール環」に対応し、また、b環がすでに炭素数5のピリジン環で構成されているため、これに5員環が縮合した縮合環の合計炭素数6が下限の炭素数となる。
具体的な「ヘテロアリール環」としては、例えば、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環(無置換、メチルなどのアルキル置換またはフェニルなどのアリール置換)、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、1H−インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H−ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、インドリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、ナフトベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトベンゾチオフェン環、ベンゾホスホール環、ジベンゾホスホール環、ベンゾホスホールオキシド環、ジベンゾホスホールオキシド環、フラザン環、オキサジアゾール環、チアントレン環などが挙げられる。
A環およびB環ならびに/またはC環およびD環は結合して環構造を形成していてもよく、この場合の結合基としてはZ1およびZ2と同じ基が挙げられるほか、単結合でもよい。
A環〜D環としての「アリール環」や「ヘテロアリール環」、またA環およびB環ならびに/またはC環およびD環が結合して形成された環構造における少なくとも1つの水素は第1の置換基で置換されていてもよく、第1の置換基はさらに第2の置換基で置換されていてもよい。第1の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはアリールオキシなどが挙げられ、第2の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどが挙げられる。第1の置換基は、式(2A)では置換基「R1〜R16」や、「R1〜R16のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環、c環またはd環と共に形成したアリール環やヘテロアリール環」への置換基にも相当し、第2の置換基はこれらへのさらなる置換基にも相当する。
第1の置換基としての「アリール」や「ヘテロアリール」、「ジアリールアミノ」のアリール、「ジヘテロアリールアミノ」のヘテロアリール、「アリールヘテロアリールアミノ」のアリールとヘテロアリール、「アリールオキシ」のアリール、第2の置換基としての「アリール」、「ヘテロアリール」としては上述した「アリール環」または「ヘテロアリール環」の一価の基が挙げられる。
第1および第2の置換基としての「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分岐鎖アルキルが挙げられる。炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分岐鎖アルキル)が好ましく、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分岐鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分岐鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分岐鎖アルキル)が特に好ましい。
具体的なアルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどが挙げられる。
第1および第2の置換基としての「シクロアルキル」としては、1つの環からなるシクロアルキル、複数の環からなるシクロアルキル、環内で共役しない二重結合を含むシクロアルキルおよび環外に分岐を含むシクロアルキルのいずれでもよく、例えば、炭素数3〜20のシクロアルキル、炭素数3〜14のシクロアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数5〜10のシクロアルキル、炭素数6〜10のシクロアルキルなどが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のシクロアルキルが好ましく、炭素数6〜10のシクロアルキルがより好ましい。
具体的なシクロアルキルとしては、シクロプロピル、メチルシクロプロピル、シクロブチル、メチルシクロブチル、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロヘプチル、シクロオクチル、メチルシクロオクチル、シクロノニル、メチルシクロノニル、シクロデシル、メチルシクロデシル、ビシクロ[1.0.1]ブチル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、デカヒドロナフチル、アダマンチル、ジアマンチル、デカヒドロアズレニルなどが挙げられる。
第1の置換基としての「アルケニル」としては、上記「アルキル」における1つまたは複数の−CH2−CH2−が−C=C−で置換された基が挙げられ、好ましくは1つまたは2つが置換され、より好ましくは1つが置換された基が挙げられる。具体的な「アルケニル」としては、ビニル、アリル、ブタジエニルなどが挙げられる。
第1の置換基としての「アルキニル」としては、上記「アルキル」における1つまたは複数の−CH2−CH2−が−C≡C−で置換された基が挙げられ、好ましくは1つまたは2つが置換され、より好ましくは1つが置換された基が挙げられる。具体的な「アルキニル」としては、アセチレニルなどが挙げられる。
第1の置換基としての「アルコキシ」としては、例えば、炭素数1〜24の直鎖または炭素数3〜24の分岐鎖のアルコキシが挙げられる。炭素数1〜18のアルコキシ(炭素数3〜18の分岐鎖のアルコキシ)が好ましく、炭素数1〜12のアルコキシ(炭素数3〜12の分岐鎖のアルコキシ)がより好ましく、炭素数1〜6のアルコキシ(炭素数3〜6の分岐鎖のアルコキシ)がさらに好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ(炭素数3〜4の分岐鎖のアルコキシ)が特に好ましい。
具体的なアルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシなどが挙げられる。
1およびZ2におけるアルキレン、アルケニレン、アルキニレンまたはアリーレンは、一価の基として上で説明した「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」または「アリール」の二価の基が挙げられる。
1およびZ2における「−CR2−」、「−C(=CR2)−」、「−CR=CR−」、「−C(=O)NR−」、「−P(=R)−」、「−P(=O)(−R)−」、「−SiR2−」または「−NR−」の中のRは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、Rにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。これらの基の説明は、上述した第1および第2の置換基の説明を引用することができる。
また、上記Rと、A環、B環、C環および/またはD環(a環、b環、c環および/またはD環)とが隣接する場合、これらは結合して環構造を形成していてもよい。Rと、A環、B環、C環および/またはD環(a環、b環、c環および/またはD環)とが隣接するとは、Rが直接結合している原子が、A環、B環、C環および/またはD環(a環、b環、c環および/またはD環)と直接結合していることを意味する。環構造を形成するときの連結基としては単結合、アルキレン、アルケニレン、アルキレンもしくはアルケニレンの一部の−CH2−もしくは−CH=が、−NR−、−O−または−S−で置換されている基が挙げられる。このとき、−CH2−または−CH=の隣がヘテロ原子でない場合に−CH2−または−CH=はヘテロ原子で置換されてもよい。前記「−NR−」の詳細は上述する説明を引用することができる。
さらに具体的には、例えば上記式(2A)において、上記R(好ましくは「−NR−」のR)と、R1、R8、R9および/またはR16とは、単結合、−CR2−、−CR=CR−、−C(=O)−、−C(=S)−、−O−、−S−、−Se−、−P(=O)−、−P(=S)−、−S(=O)−、−SiR2−、−NR−、または、フェニレンで結合して環構造を形成し、ここで、Rは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはアリールオキシ(これらの基の説明は、上述した第1および第2の置換基の説明を引用することができる)であり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキル(これらの基の説明は、上述した第1および第2の置換基の説明を引用することができる)で置換されていてもよい。好ましくは、上記R(好ましくは「−NR−」のR)と、R1、R8、R9および/またはR16とが、単結合、−CR2−、−O−、−S−または−NR−で結合して環構造を形成し、ここで、Rは、それぞれ独立して、水素、アリール、アルキルまたはシクロアルキル(これらの基の説明は、上述した第1および第2の置換基の説明を引用することができる)であり、Rにおける少なくとも1つの水素は、アリール、アルキルまたはシクロアルキル(これらの基の説明は、上述した第1および第2の置換基の説明を引用することができる)で置換されていてもよい。形成された具体的な環構造は後述する。
なお、本発明の化合物においては、Z1およびZ2が同時に単結合であることはない。
また、本発明の化合物の化学構造中の水素は、その全てまたは一部がシアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素または臭素、より好ましくはフッ素または塩素である。本発明の化合物の化学構造中の水素が一部ハロゲンに置換した構造としては、構造中に含まれるメチルの水素がフッ素に置換してトリフルオロメチルとなっている構造などが例として挙げられる。
ただし、A環〜D環におけるアリール環またはヘテロアリール環への置換基(水素を含む)はいずれか1つ以上はハロゲン以外(特にフッ素以外)であることが好ましい。例えば、式(2A)のR1〜R16が全てハロゲン(特にフッ素)である構造以外の構造であることが好ましい。
次に、本発明の化合物の構造をより具体的に説明する。なお、以降の説明で用いる全ての構造式中の符号は特に断りがない限り上述する定義のとおりである。
1−1.本発明の化合物の基本骨格
本発明の化合物は、A環およびD環(a環およびd環)を含む縮合環部位とB環およびC環(b環およびc環)を含む縮合環部位とがホウ素をスピロ原子としてスピロ結合した構造を有する。各環には置換基が結合し得るが、まず、当該スピロ化合物の基本骨格について以下に説明する。以下では基本骨格およびこれに付随する事項についてのみ説明するため、基本的には、構造式中でこの変化に関与しない置換基(式(2A)でいえばR1〜R16など)およびイオンを示す電荷やカッコ("[]"および“−”)の記載または説明は省略し、必要な場合にのみ記載または説明をする(下図参照)。また、式(2A)は式(1A)に含まれる好ましい一形態であるため、両式に共通する説明は式(1A)の説明で代表し、式(2A)の説明としては省略する場合もある。
Figure 2021042184
式(1A)で表される化合物または繰り返し構造(以下、まとめて単に「化合物」ともいう)において、スピロ原子であるホウ素「B」はそれぞれA環〜D環中の炭素と結合する。Z1はA環およびD環の連結基、Z2はB環およびC環の連結基である。
1およびZ2は、それぞれ独立して、単結合、置換基を有していてもよいアルキレン、置換基を有していてもよいアルケニレン、アルキニレン、置換基を有していてもよいアリーレン、−C(=CR2)−、−C(=C(=O))−、−C(=O)−、−C(=S)−、−O−、−S−、−Se−、−P(=O)−、−P(=O)(−R)−、−P(=S)−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−SiR2−、−NR−、および、−N=N−からなる群より選択される1つの2価の基、または前記群より選択される同種または異種の基を2つ以上組み合わせて構成される2価の基である。
1およびZ2は、同種の基である(共に同一の基である)ことが好ましいが、Z1およびZ2が同時に単結合である(すなわち、Z1が単結合であると共にZ2が単結合である)ことはない。また、Z1およびZ2は同時に−SiR2−(特に、−Si(CH32−)ではない(すなわち、Z1が−SiR2−であると共にZ2が−SiR2−であることはない)ことが好ましい。
1およびZ2におけるアルキレン、アルケニレン、またはアリーレンについて「置換基を有していてもよい」というときの「置換基」としては、Z1およびZ2における後述のR(水素を除く)が挙げられる。アルキレン、アルケニレン、またはアリーレンが置換基を有するときの置換基の数は特に限定されない。置換基を複数有するとき、複数の置換基は互いに同一であっても異なっていてもよい。置換されていてもよいアルキレンは、例えば−(CR2n−(nは1〜12)である。置換されていてもよいアルケニレンは例えば−CR=CR−である。
1およびZ2として、上述のように同種の基を2つ以上組み合わせて構成される2価の基としては、例えば、−SS−などが挙げられる。異種の基を2つ以上組み合わせて構成される2価の基としては、例えば、−C(=O)O−、−C(=S)O−、−C(=O)S−、−C(=S)S−、−C(=O)NR−などが挙げられる。
より具体的には、Z1およびZ2として、例えば下記部分構造式(a)〜式(v)が挙げられる。
Figure 2021042184
1およびZ2におけるRは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。
上記部分構造式中のRは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。
1およびZ2は好ましくは式(e)〜式(q)、または式(v)であり、より好ましくは式(g)〜式(j)、式(n)〜式(q)、または式(v)であり、さらに好ましくは式(g)、式(h)、式(q)または式(v)であり、特に好ましくは式(g)、式(q)または式(v)である。
より具体的には、Z1は、式(g)、式(q)または式(v)であり、好ましくは式(g)または式(v)であり、より好ましくは式(g)である。
1およびZ2の組み合わせとしては、共に式(g)、式(g)および式(q)、式(g)および式(v)、式(v)および式(g)、または、式(v)および式(q)であり、好ましくは、共に式(g)、式(g)および式(q)、式(g)および式(v)、または、式(v)および式(g)である。
A環、B環、C環およびD環としては、例えば下記部分構造式が挙げられる。下記の部分構造式において、波線により途切れた結合は、式(1A)におけるスピロ原子「B」やZ1またはZ2との結合部位を示す。また、式(1A)中の部分構造式は全て同じ部分構造であることが好ましいが、異なる種類の部分構造であってよい。下記部分構造式においても置換基の図示は省略している。
Figure 2021042184
部分構造式中のRは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。
好ましくは式(P)、式(F)、式(Na)、式(Nb)、式(Ra)、式(BR)、式(Ya)、式(Yb)、式(Z)、式(BZ)、式(S)、式(BS)、式(T)、式(BT)、式(E)、式(BE)、式(L)、式(BL)、式(G)および式(BG)であり、より好ましくは式(P)、式(Na)、式(BR)、式(Ya)、式(Yb)、式(Z)、式(BZ)、式(S)、式(BS)、式(T)、式(E)および式(G)であり、さらに好ましくは式(P)、式(Na)、式(BZ)および式(BS)であり、最も好ましくは式(P)である。
A環、B環、C環およびD環として、例えば上記部分構造式(P)〜式(Xb)のいずれかのうち同一構造が選択された場合、式(10)の構造は以下の化学構造式で表される。
Figure 2021042184
Figure 2021042184
Figure 2021042184
Figure 2021042184
A環、B環、C環およびD環は同一の構造であってもよいし、異なっていてもよい。
1およびZ2は同一の構造であってもよいし、異なっていてもよい。Z1およびZ2として、それぞれ独立して、部分構造式(a)〜(v)が選択された一例を以下に挙げる。
Figure 2021042184
Figure 2021042184
Figure 2021042184
これらの中で、好ましくは、式(10P-ge-1)、式(10P-gf-1)、式(10P-g-1)、式(10P-gh-1)、式(10P-gi-1)、式(10P-gj-1)、式(10P-gk-1)、式(10P-gm-1)、式(10P-gn-1)、式(10P-gp-1)、式(10P-gq-1)、式(10P-gu-1)、式(10P-qe-1)、式(10P-qf-1)、式(10P-qg-1)、式(10P-qh-1)、式(10P-qi-1)、式(10P-qj-1)、式(10P-qk-1)、式(10P-qm-1)、式(10P-qn-1)、式(10P-qp-1)、式(10P-q-1)、式(10P-qu-1)、式(10P-ue-1)、式(10P-uf-1)、式(10P-ug-1)、式(10P-uh-1)、式(10P-ui-1)、式(10P-uj-1)、式(10P-uk-1)、式(10P-um-1)、式(10P-un-1)、式(10P-up-1)および式(10P-uq-1)であり、より好ましくは、式(10P-g-1)、式(10P-gh-1)、式(10P-gi-1)、式(10P-gj-1)、式(10P-gn-1)、式(10P-gp-1)、式(10P-gq-1)、式(10P-gu-1)、式(10P-qg-1)、式(10P-qh-1)、式(10P-qi-1)、式(10P-qj-1)、式(10P-qn-1)、式(10P-qp-1)、式(10P-q-1)、式(10P-qu-1)、式(10P-ug-1)、式(10P-uh-1)、式(10P-ui-1)、式(10P-uj-1)、式(10P-un-1)、式(10P-up-1)および式(10P-uq-1)であり、さらに好ましくは、式(10P-g-1)、式(10P-gh-1)、式(10P-gq-1)、式(10P-gu-1)、式(10P-qg-1)、式(10P-qh-1)、式(10P-q-1)、式(10P-qu-1)、式(10P-ug-1)、式(10P-uh-1)および式(10P-uq-1)であり、特に好ましくは、式(10P-g-1)、式(10P-gq-1)、式(10P-gu-1)、式(10P-qg-1)、式(10P-q-1)、式(10P-qu-1)、式(10P-ug-1)および式(10P-uq-1)である。
また、式(10P-Z-1)、式(12P-Z-1)、式(13P-Z-1)、式(14P-Z-1)、式(15P-Z-1)、式(123P-Z-1)、式(124P-Z-1)、式(125P-Z-1)、式(134P-Z-1)、式(135P-Z-1)または式(145P-Z-1)において、Z1およびZ2として部分構造式(g)のエーテル結合が選択された場合を以下に示す。
Figure 2021042184
1およびZ2は異なる構造でもよく、式(10P-Z-1)、式(12P-Z-1)、式(13P-Z-1)、式(14P-Z-1)、式(15P-Z-1)、式(123P-Z-1)、式(124P-Z-1)、式(125P-Z-1)、式(134P-Z-1)、式(135P-Z-1)または式(145P-Z-1)において、Z1およびZ2として、それぞれ部分構造式(g)のエーテル結合および式(q)のアミン結合が選択された場合を以下に示す。
Figure 2021042184
1およびZ2は異なる構造でもよく、式(10P-Z-1)、式(12P-Z-1)、式(13P-Z-1)、式(14P-Z-1)、式(15P-Z-1)、式(123P-Z-1)、式(124P-Z-1)、式(125P-Z-1)、式(134P-Z-1)、式(135P-Z-1)または式(145P-Z-1)において、Z1およびZ2として、それぞれ部分構造式(g)のエーテル結合およびの単結合が選択された場合を以下に示す。
Figure 2021042184
1およびZ2は異なる構造でもよく、式(10P-Z-1)、式(12P-Z-1)、式(13P-Z-1)、式(14P-Z-1)、式(15P-Z-1)、式(123P-Z-1)、式(124P-Z-1)、式(125P-Z-1)、式(134P-Z-1)、式(135P-Z-1)または式(145P-Z-1)において、Z1およびZ2として、それぞれ部分構造の単結合および式(g)のエーテル結合が選択された場合を以下に示す。
Figure 2021042184
1およびZ2は異なる構造でもよく、式(10P-Z-1)、式(12P-Z-1)、式(13P-Z-1)、式(14P-Z-1)、式(15P-Z-1)、式(123P-Z-1)、式(124P-Z-1)、式(125P-Z-1)、式(134P-Z-1)、式(135P-Z-1)または式(145P-Z-1)において、Z1およびZ2として、それぞれ部分構造の単結合および式(q)のアミン結合が選択された場合を以下に示す。
Figure 2021042184
1およびZ2における「−CR2−」、「−C(=CR2)−」、「−CR=CR−」、「−C(=O)NR−」、「−P(=R)−」、「−P(=O)(−R)−」、「−SiR2−」または「−NR−」の中のRは、具体的には、下記部分構造式(J1)〜式(J74)である。なお、各式中の「Me」はメチル基、「tBu」はt−ブチル基であり、*は結合位置を示す。
Figure 2021042184
これらの中でも、好ましくは部分構造式(J1)〜式(J3)、式(J11)、式(J12)、式(J38)または式(J41)〜式(J44)であり、より好ましくは式(J1)、式(J3)、式(J11)、式(J12)、式(J41)または式(J44)であり、さらに好ましくは式(J11)である。
例えば、式(10P-j-1)、式(10P-k-1)、式(10P-p-1)または式(10P-q-1)におけるZ1およびZ2として部分構造式(j)、式(k)、式(p)または式(q)が選択され、この部分構造式中のRが、水素、部分構造式(J1)、式(J3)、式(J6)、式(J9)、式(J11)または式(J21)である場合は、下記構造式で表される。なお、各構造式中の「Me」はメチル基、「tBu」はt−ブチル基であり、以降の全ての構造式においても同じである。
Figure 2021042184
例えば、式(10P-gq-1)、式(10P-qg-1)、式(10P-qu-1)、式(10P-uq-1)または式(10P-q-1)におけるZ1およびZ2として部分構造式(q)が選択され、この部分構造式におけるRが、水素、部分構造式(J1)、式(J3)、式(J6)、式(J9)、式(J11)または式(J21)である場合は、下記構造式で表される。
Figure 2021042184
Figure 2021042184
1−2.基本骨格への置換基、および構造例
次に、上述した具体例としての基本骨格に対する置換基について説明する。
A環〜D環としての「アリール環」や「ヘテロアリール環」、またA環とB環および/またはC環とD環が結合して形成された環構造における少なくとも1つの水素への置換基は、具体的には、下記部分構造式(J1)〜式(J74)および式(J81)〜式(J91)である。なお、各式中の「Me」はメチル、「tBu」はt−ブチルであり、*は結合位置を示す。
Figure 2021042184
Figure 2021042184
これらの中でも、好ましくは部分構造式(J1)〜式(J3)、式(J11)、式(J12)、式(J38)または式(J41)〜式(J44)であり、より好ましくは式(J1)、式(J3)、式(J11)、式(J12)、式(J41)または式(J44)であり、さらに好ましくは式(J11)である。
例えば、式(10P-g-1)におけるa環およびd環における水素原子の一部が置換されたり、隣接する置換基同士が結合してa環またはd環と共にアリール環やヘテロアリール環を形成した場合は、下記構造式で表される。式(10P-g-100)の無置換化合物と共に列挙する。なお、各構造式中の「Me」はメチル、「tBu」はt−ブチルであり、以降の全ての構造式においても同じである。
Figure 2021042184
Figure 2021042184
Figure 2021042184
式(10P-g-1)中のa〜d環における水素原子は、それぞれ独立して、同一の構造または異なる構造で置換されていてもよい。例えば下記構造式で表される。
Figure 2021042184
Figure 2021042184
また、例えば、式(10P-gq-1)におけるa環およびd環における水素原子の一部が置換されたり、隣接する置換基同士が結合してa環またはd環と共にアリール環やヘテロアリール環を形成した場合は、下記構造式で表される。式(10P-gq-100)の無置換化合物と共に列挙する。
Figure 2021042184
また、例えば、式(10P-gq-1)におけるc環における水素原子の一部が置換されたり、隣接する置換基同士が結合してc環と共にアリール環やヘテロアリール環を形成した場合は、下記構造式で表される。
Figure 2021042184
また、例えば、式(10P-gq-1)におけるb環における水素原子の一部が置換されたり、隣接する置換基同士が結合してb環と共にアリール環やヘテロアリール環を形成した場合は、下記構造式で表される。
Figure 2021042184
式(10P-gq-1)中のa〜d環における水素原子は、それぞれ独立して、同一の構造または異なる構造で置換されていてもよい。例えば下記構造式で表される。
Figure 2021042184
また、例えば、式(10P-gq-1)におけるRが式(J11)の場合は、下記構造式で表される。
Figure 2021042184
Figure 2021042184
Figure 2021042184
また、例えば、式(10P-gu-1)におけるc環における水素原子の一部が置換されたり、隣接する置換基同士が結合してc環と共にアリール環やヘテロアリール環を形成した場合は、下記構造式で表される。
Figure 2021042184
また、例えば、式(10P-gu-1)におけるb環における水素原子の一部が置換されたり、隣接する置換基同士が結合してb環と共にアリール環やヘテロアリール環を形成した場合は、下記構造式で表される。
Figure 2021042184
式(10P-gu-1)中のa〜d環における水素原子は、それぞれ独立して、同一の構造または異なる構造で置換されていてもよい。例えば下記構造式で表される。
Figure 2021042184
例えば、式(10P-ug-1)におけるa環およびd環における水素原子の一部が置換されたり、隣接する置換基同士が結合してa環またはd環と共にアリール環やヘテロアリール環を形成した場合は、下記構造式で表される。式(10P-ug-100)の無置換化合物と共に列挙する。
Figure 2021042184
また、例えば、式(10P-ug-1)におけるc環における水素原子の一部が置換されたり、隣接する置換基同士が結合してc環と共にアリール環やヘテロアリール環を形成した場合は、下記構造式で表される。
Figure 2021042184
また、例えば、式(10P-ug-1)におけるb環における水素原子の一部が置換されたり、隣接する置換基同士が結合してb環と共にアリール環やヘテロアリール環を形成した場合は、下記構造式で表される。
Figure 2021042184
式(10P-ug-1)中のa〜d環における水素原子は、それぞれ独立して、同一の構造または異なる構造で置換されていてもよい。例えば下記構造式で表される。
Figure 2021042184
また、例えば、式(10P-uq-1)におけるa環およびd環における水素原子の一部が置換されたり、隣接する置換基同士が結合してa環またはd環と共にアリール環やヘテロアリール環を形成した場合は、下記構造式で表される。式(10P-uq-100)の無置換化合物と共に列挙する。
Figure 2021042184
また、例えば、式(10P-uq-1)におけるc環における水素原子の一部が置換されたり、隣接する置換基同士が結合してc環と共にアリール環やヘテロアリール環を形成した場合は、下記構造式で表される。
Figure 2021042184
また、例えば、式(10P-uq-1)におけるb環における水素原子の一部が置換されたり、隣接する置換基同士が結合してb環と共にアリール環やヘテロアリール環を形成した場合は、下記構造式で表される。
Figure 2021042184
式(10P-uq-1)中のa〜d環における水素原子は、それぞれ独立して、同一の構造または異なる構造で置換されていてもよい。例えば下記構造式で表される。
Figure 2021042184
式(10)におけるA環、C環およびD環はそれぞれ独立して同一の構造であっても、異なる構造であってもよく、A環、C環、D環およびb環における水素原子はそれぞれ独立して同一の構造または異なる構造の基で置換されていてもよい。例えば下記構造式で表される。
Figure 2021042184
Figure 2021042184
本発明の化合物として具体的には、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021042184
Figure 2021042184
1−3.本発明の化合物の製造方法
式(1A)や(2A)で表される化合物は、基本的には、まずA環(a環)とD環(d環)およびB環(b環)とC環(c環)とを結合基(Z1やZ2を含む基)で結合させることで中間体を製造し(第1反応)、その後に、A環(a環)、B環(b環)、C環(c環)およびD環(d環)をホウ素原子で結合させることで最終生成物を製造することができる(第2反応)(Scheme(1)およびScheme(2))。
Figure 2021042184
上記Scheme中、各記号は式(1A)、式(2A)での対応する記号と同義である。また「Hal」はハロゲン、M+は対イオンを示す。
第1反応では、例えばエーテル化反応であれば、求核置換反応、ウルマン反応といった一般的反応が利用でき、アミノ化反応で有ればブッフバルト−ハートウィッグ反応といった一般的反応が利用できる。また、第2反応では、メタル−ホウ素の金属交換反応が利用できる。
第2反応は、ホウ素原子を導入することでA環(a環)、B環(b環)、C環(c環)およびD環(d環)を結合させる反応であり、Scheme(1)および(2)では例えば中間体として塩素、臭素、ヨウ素といったハロゲン(Hal)が置換している中間体を用いた場合を示す。反応は、K,Torssellらの論文(Acta Chem. Scand. 1962, 16, 87-93.)に記載の方法およびGary B. Schusterらの論文(J. Am. Chem. Soc., Vol. 120, No. 8, 1998)に従って行なうことができる。
なお、上記Scheme(1)〜(2)で使用するオルトメタル化試薬としては、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等のアルキルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムテトラメチルピペリジド、リチウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジドなどの有機アルカリ化合物、マグネシウムなどの金属が挙げられる。
メタル化の際に配位性添加剤を加え、会合を解離させると反応性を向上させることができる。配位性添加剤としては、N,N’,N,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)やヘキサメチルホスホラミド(HMPA)、ジメチルプロピレンウレア(DMPU)などが挙げられる。
なお、上記Scheme(1)〜(2)で使用するメタル−ホウ素の金属交換試薬としては、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三ヨウ化ホウ素などのホウ素のハロゲン化物の他、ホウ酸トリメチル等のホウ素のアルコキシ化物4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランのようなアルコキシボラン化合物、ホウ酸トリフェニルのようなアリールオキシ化物などが挙げられる。
1−4.式(1A)で表される構造を繰り返し単位として含む多価イオン
本発明の化合物は、式(1A)で表される構造を繰り返し単位として含む多価イオンと対イオンとを含む化合物であってもよい。多価イオンを含む本発明の化合物は、イオン性高分子であるといえる。
式(1A)で表される構造を繰り返し単位として含む多価イオンの形態としては、式(I)〜(III)が挙げられ、多価イオンの一形態である特に2量体については式(i)および(ii)が挙げられる。以降の説明では、式(2A)の多価イオンについても同様に当てはまる。
Figure 2021042184
式(I)は、式(1A)の構造の一部(例えばA環〜D環のいずれかなど)を互いに共有して形成された多価イオンの構造を示す。
式(II)は、式(1A)の構造が架橋構造XLを介して連結してできた多価イオンの構造を示す。式(II)において、ECは末端構造であす。
式(III)は、直鎖高分子の側鎖として式(1A)の構造を有する多価イオンの構造を示す。し式(III)において、ECは末端構造、MUは重合性基が重合したモノマー単位である。
式(i)は、式(1A)の構造の一部(例えばA環〜D環のいずれかなど)を互いに共有して形成された2量体である多価イオンの構造を示す。
式(ii)は、式(1A)の構造が架橋構造XLを介して連結してできた2量体である多価イオンの構造を示す。
式(I)〜(III)および式(i)および(ii)における部分構造である式(1A)の構造は、同一の構造であっても異なる構造であってもよい。また、式(I)および式(i)において、式(1A)の部分構造同士は、互いに、A環(a環)、B環(b環)、C環(c環)、D環(d環)またはZ1(Z2)であるN−R(R=アリール環)のアリール環を利用して結合する。この結合態様は、これらの環を複数の部分構造で共有するようにして結合した形態であってもよく、また、これらの環同士が縮合するようにして結合した形態であってもよい。また、式(II)、(III)および式(ii)において、式(1A)の部分構造と、架橋構造XL、末端構造ECおよびモノマー単位MUとが結合する形態については、前述した環同士の共有や縮合の結合形態に加えて、単結合、炭素数1〜3のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基などの連結基で結合した形態であってもよい。
例えば、式(10P-g-100)の部分構造におけるa環およびd環を互いに共有して形成される式(I)で表される多価イオンは、下記式(I−1)で表される。
Figure 2021042184
例えば、式(10P-gq-100-J11)の部分構造におけるa環およびN−Rのアリール環(フェニル環)を互いに共有して形成される式(I)で表される多価イオンは、下記式(I−2)で表される。
Figure 2021042184
例えば、式(10P-gq-100-J11)の部分構造におけるa環およびd環が、架橋構造XL(m−フェニレン環)を連結基として形成される式(II)で表される多価イオンは、下記式(II−1)で表される。なお末端構造ECはフェニル基である。
Figure 2021042184
例えば、式(10P-gq-100-J11)の部分構造におけるa環と式(10P-g-100)の部分構造におけるd環とが架橋構造XL(単結合)を連結基として形成される式(ii)で表される2量体である多価イオンは、下記式(ii−1)で表される。
Figure 2021042184
例えば、式(10P-gq-100-J11)の部分構造におけるN−Rのアリール環(フェニル環)と式(10P-gq-100-J11)の部分構造におけるN−Rのアリール環(フェニル環)とが架橋構造XL(単結合)を連結基として形成される式(ii)で表される2量体である多価イオンは、下記式(ii−2)で表される。
Figure 2021042184
式(II)における末端構造ECは、水素または炭素数6〜30の一価のアリール環またはヘテロアリール環であり、好ましくは、水素または炭素数6〜18の一価のアリール環である。
式(II)および式(ii)における架橋構造XLは、単結合または炭素数6〜30の二価のアリール環またはヘテロアリール環であり、好ましくは、単結合または炭素数6〜18の二価のアリール環であり、より好ましくは、単結合または炭素数6〜12の二価のアリール環である。
構造ECおよびXLにおける具体的な「アリール環」としては、単環系であるベンゼン環、二環系であるビフェニル環、縮合二環系であるナフタレン環、三環系であるテルフェニル環(m−テルフェニル、o−テルフェニル、p−テルフェニル)、縮合三環系である、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、縮合四環系であるトリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、ベンゾフルオレン環、縮合五環系であるペリレン環、ペンタセン環などが挙げられる。また、フルオレン環やベンゾフルオレン環には、フルオレン環やベンゾフルオレン環がスピロ結合した構造も含まれる。
構造ECおよびXLにおける具体的な「ヘテロアリール環」としては、例えば、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環(無置換、メチルなどのアルキル置換またはフェニルなどのアリール置換)、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、1H−インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H−ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、インドリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、ナフトベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトベンゾチオフェン環、ベンゾホスホール環、ジベンゾホスホール環、ベンゾホスホールオキシド環、ジベンゾホスホールオキシド環、フラザン環、オキサジアゾール環、チアントレン環などが挙げられる。
式(I)および(II)ならびに式(i)および(ii)で表される多価イオンをそれぞれ含む化合物については、Scheme(1)〜(4)の合成方法のように、A環(a環)−Z1−D環(d環)連結構造およびB環(b環)−Z2−C環(c環)連結構造を合成した後に、ホウ素を導入する方法、または、式(1A)の構造のハロゲン化アリール誘導体とアリールボロン酸誘導体を出発原料として、またはハロゲン化アリールボロン酸誘導体とハロゲン化アリール誘導体とアリールボロン酸誘導体を出発物質として、鈴木・宮浦カップリング、熊田・玉尾・コリューカップリング、根岸カップリング、ハロゲン化反応、またはホウ酸化反応を適宜組み合わせて合成することができる。また、式(III)で表される多価イオンを含む化合物については、公知の方法を用いて、式(1A)の構造の(メタ)アクリレート誘導体、メタ(アクリルアミド)誘導体、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、ノルボルネン誘導体、ジシクロペンタジエン誘導体またはインデン誘導体を出発原料として、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、または開環メタセシス重合などを用いて合成することができる。
上述したカップリング反応について、鈴木−宮浦カップリングにおけるハロゲン化物とボロン酸誘導体は、その反応性官能基は適宜入れ替わってもよく、熊田・玉尾・コリューカップリングや根岸カップリングにおいても同様にそれらの反応に関わる官能基は入れ替わっていてもよい。またGrignard試薬に変換する場合には金属マグネシウムとイソプロピルグリニア試薬は適宜入れ替えてもよい。ボロン酸エステルはそのまま使用してもよく、あるいは酸で加水分解してボロン酸として使用してもよい。ボロン酸エステルとして用いる場合には、そのエステル部分のアルキル基は例示した以外のアルキル基も用いることができる。
カップリング反応で用いられるパラジウム触媒の具体例としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0):Pd(PPh34、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド:PdCl2(PPh32、酢酸パラジウム(II):Pd(OAc)2、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0):Pd2(dba)3、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体:Pd2(dba)3・CHCl3、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0):Pd(dba)2、ビス(トリt−ブチルホスフィノ)パラジウム(0):Pd(t−Bu3P)2、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II):Pd(dppf)Cl2、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(1:1):Pd(dppf)Cl2・CH2Cl2、PdCl2{P(t−Bu)2−(p−NMe2−Ph)}2:(A−taPhos)2PdCl2、パラジウム ビス(ジベンジリデン)、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)ジクロリド、PdCl2[P(t−Bu)2−(p−NMe2−Ph)]2:(A−taPhos)2PdCl2(Pd−132:商標;ジョンソン・マッセイ社製)などが挙げられる。
また、カップリング反応を促進させるため、場合により上記パラジウム触媒にホスフィン化合物を加えてもよい。そのホスフィン化合物の具体例としては、トリ(t−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1−(N,N−ジメチルアミノメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(N,N−ジブチルアミノメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(メトキシメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、2,2’−ビス(ジt−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−メトキシ−2’−(ジt−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、または2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニルなどが挙げられる。
カップリング反応で用いられる塩基の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸三カリウム、またはフッ化カリウムなどが挙げられる。
塩基は水溶液として加え2相系で反応させてもよい。2相系で反応させる場合は、必要に応じて、第4級アンモニウム塩等の相間移動触媒を加えてもよい。
また、式(III)で表される多価イオンを含む化合物の合成に用いられるラジカル重合、カチオン重合またはアニオン重合可能な重合性基は、(メタ)アクリル基、アリル基、ビニル基、エポキシド基およびオキセタンなどが挙げられる。ラジカル重合、カチオン重合およびアニオン重合の重合開始剤は、ラジカル重合の場合はラジカル発生剤が好ましく用いられ、カチオン重合およびアニオン重合の場合は酸発生剤および塩基発生剤が好ましく用いられる。重合開始剤は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
また、式(III)で表される多価イオンを含む化合物の合成に用いられる開環メタセシス重合可能な重合性基は、環状アルケン構造および環状アルキン構造があげられ、具体的には、ノルボルネン構造、ジシクロペンタジエン構造、インデン構造およびシクロペンテン構造などが挙げられる。開環メタセシス重合に用いられる触媒としては、ルテニウム、モリブデン、および、タングステンなどの錯体が用いられ、例えば、グラブス触媒などが挙げられる。
また、上記カップリング反応や重合反応で用いられる溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、アニソール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン、メタノール、エタノール、t−ブチルアルコール、シクロペンチルメチルエーテルまたはイソプロピルアルコールなどが挙げられる。これらの溶媒は適宜選択でき、単独で用いてもよく、混合溶媒として用いてもよい。
イオン性高分子である多価イオンを含む化合物を製造する際、一段階で製造してもよいし、多段階を経て製造してもよい。また、原料を反応容器に全て入れてから反応を開始する一括重合法により行ってもよいし、原料を反応容器に滴下し加える滴下重合法により行ってもよいし、生成物が反応の進行に伴い沈殿する沈殿重合法により行ってもよく、これらを適宜組み合わせて合成することができる。例えば、一段階で合成する際、重合性基を有する式(1A)の部分構造化合物および末端構造(EC)を有する化合物を反応容器に加えた状態で反応を行うことで目的物を得る。また、多段階で合成する際、モノマーユニット(MU)を目的の分子量まで重合した後、末端構造(EC)を有する化合物を加えて反応させることで目的物を得る。
また、モノマーユニット(MU)の重合性基を選べばポリマーの一次構造を制御することができる。例えば、Scheme(5)の1〜3に示すように、ランダムな一次構造を有するポリマー(Scheme(5)の1)、規則的な一次構造を有するポリマー(Scheme(5)の2および3)などを合成することが可能であり、目的物に応じて適宜組み合わせて用いることができる。
Figure 2021042184
特に、式(i)および(ii)でそれぞれ表される多価イオンにおいて、2つの式(1A)の部分構造および連結基(XL)のそれぞれが形成する双極子モーメントが打ち消し合う方が好ましい。この場合、式(i)および(ii)でそれぞれ表される多価イオンは高い対称性を有する。
2.有機デバイス
本発明の化合物は、有機デバイス用材料として用いることができる。有機デバイスとしては、例えば、有機電界発光素子、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などが挙げられる。
2−1.有機電界発光素子
本発明の化合物は、例えば、有機電界発光素子の材料として用いることができる。以下に、有機EL素子の一例について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る有機EL素子を示す概略断面図である。
<有機電界発光素子の構造>
図1に示された有機電界発光素子100は、基板101と、基板101上に設けられた陽極102と、陽極102の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた陰極108とを有する。
なお、有機電界発光素子100は、作製順序を逆にして、例えば、基板101と、基板101上に設けられた陰極108と、陰極108の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた陽極102とを有する構成としてもよい。
上記各層すべてがなくてはならないわけではなく、最小構成単位を陽極102と発光層105と陰極108とからなる構成として、正孔注入層103、正孔輸送層104、電子輸送層106、電子注入層107は任意に設けられる層である。また、上記各層は、それぞれ単一層からなってもよいし、複数層からなってもよい。
有機電界発光素子を構成する層の態様としては、上述する「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」の構成態様の他に、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子注入層/陰極」の構成態様であってもよい。
<有機電界発光素子における基板>
基板101は、有機電界発光素子100の支持体であり、通常、石英、ガラス、金属、プラスチックなどが用いられる。基板101は、目的に応じて板状、フィルム状、またはシート状に形成され、例えば、ガラス板、金属板、金属箔、プラスチックフィルム、プラスチックシートなどが用いられる。なかでも、ガラス板、および、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂製の板が好ましい。ガラス基板であれば、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどが用いられ、また、厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、例えば、0.2mm以上あればよい。厚さの上限値としては、例えば、2mm以下、好ましくは1mm以下である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、SiO2などのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することができる。また、基板101には、ガスバリア性を高めるために、少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜などのガスバリア膜を設けてもよく、特にガスバリア性が低い合成樹脂製の板、フィルムまたはシートを基板101として用いる場合にはガスバリア膜を設けるのが好ましい。
<有機電界発光素子における陽極>
陽極102は、発光層105へ正孔を注入する役割を果たす。なお、陽極102と発光層105との間に正孔注入層103および/または正孔輸送層104が設けられている場合には、これらを介して発光層105へ正孔を注入することになる。
陽極102を形成する材料としては、無機化合物および有機化合物が挙げられる。無機化合物としては、例えば、金属(アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、クロムなど)、金属酸化物(インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)など)、ハロゲン化金属(ヨウ化銅など)、硫化銅、カーボンブラック、ITOガラスやネサガラスなどが挙げられる。有機化合物としては、例えば、ポリ(3−メチルチオフェン)などのポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどが挙げられる。その他、有機電界発光素子の陽極として用いられている物質の中から適宜選択して用いることができる。
透明電極の抵抗は、発光素子の発光に十分な電流が供給できればよいので限定されないが、発光素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば、300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、例えば100〜5Ω/□、好ましくは50〜5Ω/□の低抵抗品を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常50〜300nmの間で用いられることが多い。
<有機電界発光素子における正孔注入層、正孔輸送層>
正孔注入層103は、陽極102から移動してくる正孔を、効率よく発光層105内または正孔輸送層104内に注入する役割を果たす。正孔輸送層104は、陽極102から注入された正孔または陽極102から正孔注入層103を介して注入された正孔を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。正孔注入層103および正孔輸送層104は、それぞれ、正孔注入・輸送材料の一種または二種以上を積層、混合するか、正孔注入・輸送材料と高分子結着剤の混合物により形成される。また、正孔注入・輸送材料に塩化鉄(III)のような無機塩を添加して層を形成してもよい。
正孔注入・輸送性物質としては電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率よく注入・輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率よく輸送することが望ましい。そのためにはイオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。
正孔注入層103および正孔輸送層104を形成する材料としては、本発明の化合物を使用することができる。また、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物、p型半導体、有機電界発光素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意の化合物を選択して用いることができる。それらの具体例は、カルバゾール誘導体(N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなど)、ビス(N−アリールカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体(芳香族第3級アミノを主鎖あるいは側鎖に持つポリマー、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ジ(3−メチルフェニル)−4,4'−ジアミノビフェニル、N,N'−ジフェニル−N,N'−ジナフチル−4,4'−ジアミノビフェニル、N,N'−ジフェニル−N,N'−ジ(3−メチルフェニル)−4,4'−ジフェニル−1,1'−ジアミン、N,N'−ジナフチル−N,N'−ジフェニル−4,4'−ジフェニル−1,1'−ジアミン、N4,N4'−ジフェニル−N4,N4'−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−[1,1'−ビフェニル]−4,4'−ジアミン、N4,N4,N4',N4'−テトラ[1,1'−ビフェニル]−4−イル)−[1,1'−ビフェニル]−4,4'−ジアミン、4,4',4"−トリス(3−メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、スターバーストアミン誘導体など)、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体(無金属、銅フタロシアニンなど)、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体(例えば、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリルなど)、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリシランなどである。ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましいが、発光素子の作製に必要な薄膜を形成し、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば特に限定されない。
また、有機半導体の導電性は、そのドーピングにより、強い影響を受けることも知られている。このような有機半導体マトリックス物質は、電子供与性の良好な化合物、または、電子受容性の良好な化合物から構成されている。電子供与物質のドーピングのために、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)または2,3,5,6−テトラフルオロテトラシアノ−1,4−ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)などの強い電子受容体が知られている(例えば、文献「M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998)」および文献「J.Blochwitz,M.Pheiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)」を参照)。これらは、電子供与型ベース物質(正孔輸送物質)における電子移動プロセスによって、いわゆる正孔を生成する。正孔の数および移動度によって、ベース物質の伝導性が、かなり大きく変化する。正孔輸送特性を有するマトリックス物質としては、例えばベンジジン誘導体(TPDなど)またはスターバーストアミン誘導体(TDATAなど)、あるいは、特定の金属フタロシアニン(特に、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)など)が知られている(特開2005-167175号公報)。
<有機電界発光素子における発光層>
発光層105は、電界を与えられた電極間において、陽極102から注入された正孔と、陰極108から注入された電子とを再結合させることにより発光する層である。発光層105を形成する材料としては、正孔と電子との再結合によって励起されて発光する化合物(発光性化合物)であればよく、安定な薄膜形状を形成することができ、かつ、固体状態で強い発光(蛍光)効率を示す化合物であるのが好ましい。本発明の化合物は発光層用の材料として、用いてもよい。
発光層は単一層でも複数層からなってもどちらでもよく、それぞれ発光層用材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成される。ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれであってもよい。ドーピング方法としては、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着してもよい。
ホスト材料の使用量はホスト材料の種類によって異なり、そのホスト材料の特性に合わせて決めればよい。ホスト材料の使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の50〜99.999質量%であり、より好ましくは80〜99.95質量%であり、さらに好ましくは90〜99.9質量%である。本発明の化合物はホスト材料としても使用することもできる。
ドーパント材料の使用量はドーパント材料の種類によって異なり、そのドーパント材料の特性に合わせて決めればよい。ドーパントの使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の0.001〜50質量%であり、より好ましくは0.05〜20質量%であり、さらに好ましくは0.1〜10質量%である。上記の範囲であれば、例えば、濃度消光現象を防止できるという点で好ましい。本発明の化合物はドーパント材料としても使用することもできる。
一方、熱活性化遅延蛍光ドーパント材料を用いた有機電界発光素子においては、ドーパント材料の使用量は低濃度である方が濃度消光現象を防止できるという点で好ましいが、ドーパント材料の使用量が高濃度である方が熱活性化遅延蛍光機構の効率の点からは好ましい。さらには、熱活性化遅延蛍光アシストドーパント材料を用いた有機電界発光素子においては、アシストドーパント材料の熱活性化遅延蛍光機構の効率の点からは、アシストドーパント材料の使用量に比べてドーパント材料の使用量が低濃度である方が好ましい。
アシストドーパント材料が使用される場合における、ホスト材料、アシストドーパント材料およびドーパント材料の使用量の目安は、それぞれ、発光層用材料全体の40〜99.999質量%、59〜1質量%および20〜0.001質量%であり、好ましくは、それぞれ、60〜99.99質量%、39〜5質量%および10〜0.01質量%であり、より好ましくは、70〜99.95質量%、29〜10質量%および5〜0.05質量%である。本発明の化合物はアシストドーパント材料としても使用することもできる。
ホスト材料としては、以前から発光体として知られていたアントラセンやピレンなどの縮合環誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、フルオレン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体などが挙げられる。ホスト材料としては、国際公開第2015/102118号に記載のようなホウ素原子や窒素原子などで複数の芳香族環を連結した多環芳香族化合物を用いることも好ましい。上記のホスト材料は本発明の化合物と併用してホスト材料としてもよい。
また、ドーパント材料としては、特に限定されず、既知の化合物を用いることができ、所望の発光色に応じて様々な材料の中から選択することができる。具体的には、例えば、フェナンスレン、アントラセン、ピレン、テトラセン、ペンタセン、ペリレン、ナフトピレン、ジベンゾピレン、ルブレンおよびクリセンなどの縮合環誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン誘導体、チオフェン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体(特開平1−245087号公報)、ビススチリルアリーレン誘導体(特開平2−247278号公報)、ジアザインダセン誘導体、フラン誘導体、ベンゾフラン誘導体、フェニルイソベンゾフラン、ジメシチルイソベンゾフラン、ジ(2−メチルフェニル)イソベンゾフラン、ジ(2−トリフルオロメチルフェニル)イソベンゾフラン、フェニルイソベンゾフランなどのイソベンゾフラン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、7−ジアルキルアミノクマリン誘導体、7−ピペリジノクマリン誘導体、7−ヒドロキシクマリン誘導体、7−メトキシクマリン誘導体、7−アセトキシクマリン誘導体、3−ベンゾチアゾリルクマリン誘導体、3−ベンゾイミダゾリルクマリン誘導体、3−ベンゾオキサゾリルクマリン誘導体などのクマリン誘導体、ジシアノメチレンピラン誘導体、ジシアノメチレンチオピラン誘導体、ポリメチン誘導体、シアニン誘導体、オキソベンゾアンスラセン誘導体、キサンテン誘導体、ローダミン誘導体、フルオレセイン誘導体、ピリリウム誘導体、カルボスチリル誘導体、アクリジン誘導体、オキサジン誘導体、フェニレンオキサイド誘導体、キナクリドン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、フロピリジン誘導体、1,2,5−チアジアゾロピレン誘導体、ピロメテン誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、アクリドン誘導体、デアザフラビン誘導体、フルオレン誘導体およびベンゾフルオレン誘導体などが挙げられる。ドーパント材料としては、国際公開第2015/102118号に記載のようなホウ素原子や窒素原子などで複数の芳香族環を連結した多環芳香族化合物を用いることも好ましい。上記のドーパント材料は本発明の化合物と併用してドーパント材料としてもよい。
発色光ごとに例示すると、青〜青緑色ドーパント材料としては、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、トリフェニレン、ペリレン、フルオレン、インデン、クリセンなどの芳香族炭化水素化合物やその誘導体、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9−シラフルオレン、9,9'−スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン、チオキサンテンなどの芳香族複素環化合物やその誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、アルダジン誘導体、クマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体およびN,N'−ジフェニル−N,N'−ジ(3−メチルフェニル)−4,4'−ジフェニル−1,1'−ジアミンに代表される芳香族アミン誘導体などが挙げられる。
また、緑〜黄色ドーパント材料としては、クマリン誘導体、フタルイミド誘導体、ナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、シクロペンタジエン誘導体、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体およびルブレンなどのナフタセン誘導体などがあげられ、さらに上記青〜青緑色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール、ヘテロアリール、アリールビニル、アミノ、シアノなど長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例として挙げられる。
さらに、橙〜赤色ドーパント材料としては、ビス(ジイソプロピルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸イミドなどのナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、アセチルアセトンやベンゾイルアセトンとフェナントロリンなどを配位子とするEu錯体などの希土類錯体、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピランやその類縁体、マグネシウムフタロシアニン、アルミニウムクロロフタロシアニンなどの金属フタロシアニン誘導体、ローダミン化合物、デアザフラビン誘導体、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、フェノキサジン誘導体、オキサジン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、フェノキサゾン誘導体およびチアジアゾロピレン誘導体などあげられ、さらに上記青〜青緑色および緑〜黄色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール、ヘテロアリール、アリールビニル、アミノ、シアノなど長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例として挙げられる。
その他、ドーパントとしては、化学工業2004年6月号13頁、および、それにあげられた参考文献などに記載された化合物などの中から適宜選択して用いることができる。
上述するドーパント材料の中でも、特にスチルベン構造を有するアミン、ペリレン誘導体、ボラン誘導体、芳香族アミン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体またはピレン誘導体が好ましい。
スチルベン構造を有するアミンは、例えば、下記式で表される。
Figure 2021042184
当該式中、Ar1は炭素数6〜30のアリールに由来するm価の基であり、Ar2およびAr3は、それぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであるが、Ar1〜Ar3の少なくとも1つはスチルベン構造を有し、Ar1〜Ar3は置換されていてもよく、そして、mは1〜4の整数である。
スチルベン構造を有するアミンは、下記式で表されるジアミノスチルベンがより好ましい。
Figure 2021042184
当該式中、Ar2およびAr3は、それぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであり、Ar2およびAr3は置換されていてもよい。
炭素数6〜30のアリールの具体例は、ベンゼン、ナフタレン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ペリレン、スチルベン、ジスチリルベンゼン、ジスチリルビフェニル、ジスチリルフルオレンなどが挙げられる。
スチルベン構造を有するアミンの具体例は、N,N,N',N'−テトラ(4−ビフェニリル)−4,4'−ジアミノスチルベン、N,N,N',N'−テトラ(1−ナフチル)−4,4'−ジアミノスチルベン、N,N,N',N'−テトラ(2−ナフチル)−4,4'−ジアミノスチルベン、N,N'−ジ(2−ナフチル)−N,N'−ジフェニル−4,4'−ジアミノスチルベン、N,N'−ジ(9−フェナントリル)−N,N'−ジフェニル−4,4'−ジアミノスチルベン、4,4'−ビス[4"−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−ビフェニル、1,4−ビス[4'−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−ベンゼン、2,7−ビス[4'−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−9,9−ジメチルフルオレン、4,4'−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−ビフェニル、4,4'−ビス(9−フェニル−3−カルバゾビニレン)−ビフェニルなどが挙げられる。
また、特開2003−347056号公報、および特開2001−307884号公報などに記載されたスチルベン構造を有するアミンを用いてもよい。
ペリレン誘導体としては、例えば、3,10−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペリレン、3,10−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ペリレン、3,10−ジフェニルペリレン、3,4−ジフェニルペリレン、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン、3,4,9,10−テトラフェニルペリレン、3−(1'−ピレニル)−8,11−ジ(t−ブチル)ペリレン、3−(9'−アントリル)−8,11−ジ(t−ブチル)ペリレン、3,3’−ビス(8,11−ジ(t−ブチル)ペリレニル)などが挙げられる。
また、特開平11−97178号公報、特開2000−133457号公報、特開2000−26324号公報、特開2001−267079号公報、特開2001−267078号公報、特開2001−267076号公報、特開2000−34234号公報、特開2001−267075号公報、および特開2001−217077号公報などに記載されたペリレン誘導体を用いてもよい。
ボラン誘導体としては、例えば、1,8−ジフェニル−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−フェニル−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、4−(9'−アントリル)ジメシチルボリルナフタレン、4−(10'−フェニル−9'−アントリル)ジメシチルボリルナフタレン、9−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−(4'−ビフェニリル)−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−(4’−(N−カルバゾリル)フェニル)−10−(ジメシチルボリル)アントラセンなどが挙げられる。
また、国際公開第2000/40586号パンフレットなどに記載されたボラン誘導体を用いてもよい。
芳香族アミン誘導体は、例えば、下記式で表される。
Figure 2021042184
当該式中、Ar4は炭素数6〜30のアリールに由来するn価の基であり、Ar5およびAr6はそれぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであり、Ar4〜Ar6は置換されていてもよく、そして、nは1〜4の整数である。
特に、Ar4がアントラセン、クリセン、フルオレン、ベンゾフルオレンまたはピレンに由来する2価の基であり、Ar5およびAr6がそれぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであり、Ar4〜Ar6は置換されていてもよく、そして、nは2である、芳香族アミン誘導体がより好ましい。
炭素数6〜30のアリールの具体例は、ベンゼン、ナフタレン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ペリレン、ペンタセンなどが挙げられる。
芳香族アミン誘導体としては、クリセン系としては、例えば、N,N,N',N'−テトラフェニルクリセン−6,12−ジアミン、N,N,N',N'−テトラ(p−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N,N',N'−テトラ(m−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N,N',N'−テトラキス(4−イソプロピルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N,N',N'−テトラ(ナフタレン−2−イル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ジ(p−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(4−エチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(4−エチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(4−イソプロピルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(4−t−ブチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N'−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N'−ジ(p−トリル)クリセン−6,12−ジアミンなどが挙げられる。
また、ピレン系としては、例えば、N,N,N',N'−テトラフェニルピレン−1,6−ジアミン、N,N,N',N'−テトラ(p−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N',N'−テトラ(m−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N',N'−テトラキス(4−イソプロピルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N',N'−テトラキス(3,4−ジメチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ジ(p−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(4−エチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(4−エチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(4−イソプロピルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(4−t−ブチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N'−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N'−ジ(p−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N',N'−テトラキス(3,4−ジメチルフェニル)−3,8−ジフェニルピレン−1,6−ジアミン、N,N,N,N−テトラフェニルピレン−1,8−ジアミン、N,N'−ビス(ビフェニル−4−イル)−N,N'−ジフェニルピレン−1,8−ジアミン、N1,N6−ジフェニル−N1,N6−ビス−(4−トリメチルシラニル−フェニル)−1H,8H−ピレン−1,6−ジアミンなどが挙げられる。
また、アントラセン系としては、例えば、N,N,N,N−テトラフェニルアントラセン−9,10−ジアミン、N,N,N',N'−テトラ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N,N',N'−テトラ(m−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N,N',N'−テトラキス(4−イソプロピルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ジ(m−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(4−エチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(4−エチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(4−イソプロピルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(4−t−ブチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N'−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N'−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−N,N,N',N'−テトラ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(4−イソプロピルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−N,N'−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N'−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジシクロヘキシル−N,N'−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N'−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジシクロヘキシル−N,N'−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N'−ビス(4−t−ブチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、9,10−ビス(4−ジフェニルアミノ−フェニル)アントラセン、9,10−ビス(4−ジ(1−ナフチルアミノ)フェニル)アントラセン、9,10−ビス(4−ジ(2−ナフチルアミノ)フェニル)アントラセン、10−ジ−p−トリルアミノ−9−(4−ジ−p−トリルアミノ−1−ナフチル)アントラセン、10−ジフェニルアミノ−9−(4−ジフェニルアミノ−1−ナフチル)アントラセン、10−ジフェニルアミノ−9−(6−ジフェニルアミノ−2−ナフチル)アントラセンなどが挙げられる。
また、他には、[4−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)ナフタレン−1−イル]−ジフェニルアミン、[6−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)ナフタレン−2−イル]−ジフェニルアミン、4,4'−ビス[4−ジフェニルアミノナフタレン−1−イル]ビフェニル、4,4'−ビス[6−ジフェニルアミノナフタレン−2−イル]ビフェニル、4,4"−ビス[4−ジフェニルアミノナフタレン−1−イル]−p−テルフェニル、4,4"−ビス[6−ジフェニルアミノナフタレン−2−イル]−p−テルフェニルなどが挙げられる。
また、特開2006−156888号公報などに記載された芳香族アミン誘導体を用いてもよい。
クマリン誘導体としては、クマリン−6、クマリン−334などが挙げられる。
また、特開2004−43646号公報、特開2001−76876号公報、および特開平6−298758号公報などに記載されたクマリン誘導体を用いてもよい。
ピラン誘導体としては、下記のDCM、DCJTBなどが挙げられる。
Figure 2021042184
また、特開2005−126399号公報、特開2005−097283号公報、特開2002−234892号公報、特開2001−220577号公報、特開2001−081090号公報、および特開2001−052869号公報などに記載されたピラン誘導体を用いてもよい。
<有機電界発光素子における電子注入層、電子輸送層>
電子注入層107は、陰極108から移動してくる電子を、効率よく発光層105内または電子輸送層106内に注入する役割を果たす。電子輸送層106は、陰極108から注入された電子または陰極108から電子注入層107を介して注入された電子を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。電子輸送層106および電子注入層107は、それぞれ、電子輸送・注入材料の一種または二種以上を積層、混合するか、電子輸送・注入材料と高分子結着剤の混合物により形成される。
電子注入・輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送することをつかさどる層であり、電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たす場合には、電子輸送能力がそれ程高くなくても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料と同等に有する。したがって、本実施形態における電子注入・輸送層は、正孔の移動を効率よく阻止できる層の機能も含まれてもよい。
電子輸送層106または電子注入層107を形成する材料(電子輸送材料)としては、本発明の化合物を使用することができる。また、光導電材料において電子伝達化合物として従来から慣用されている化合物、有機電界発光素子の電子注入層および電子輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。
電子輸送層または電子注入層に用いられる材料としては、炭素、水素、酸素、硫黄、ケイ素およびリンの中から選ばれる一種以上の原子で構成される芳香族環または複素芳香族環からなる化合物、ピロール誘導体およびその縮合環誘導体および電子受容性窒素を有する金属錯体の中から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。具体的には、ナフタレン、アントラセンなどの縮合環系芳香族環誘導体、4,4'−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香族環誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、カルバゾール誘導体およびインドール誘導体などが挙げられる。電子受容性窒素を有する金属錯体としては、例えば、ヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などが挙げられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
また、他の電子伝達化合物の具体例として、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、ナフタレン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、フェナントロリン誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体(1,3−ビス[(4−t−ブチルフェニル)1,3,4−オキサジアゾリル]フェニレンなど)、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体(N−ナフチル−2,5−ジフェニル−1,3,4−トリアゾールなど)、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノリノール系金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パーフルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体(2,2'−ビス(ベンゾ[h]キノリン−2−イル)−9,9'−スピロビフルオレンなど)、イミダゾピリジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体(トリス(N−フェニルベンゾイミダゾール−2−イル)ベンゼンなど)、ベンゾオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、テルピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、テルピリジン誘導体(1,3−ビス(4'−(2,2':6'2"−テルピリジニル))ベンゼンなど)、ナフチリジン誘導体(ビス(1−ナフチル)−4−(1,8−ナフチリジン−2−イル)フェニルホスフィンオキサイドなど)、アルダジン誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、リンオキサイド誘導体、ビススチリル誘導体、シロール誘導体およびアゾリン誘導体などが挙げられる。
また、電子受容性窒素を有する金属錯体を用いることもでき、例えば、キノリノール系金属錯体やヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などが挙げられる。
上述した材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
上述した材料の中でも、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリノール系金属錯体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、シロール誘導体およびアゾリン誘導体が好ましい。
[ボラン誘導体]
ボラン誘導体は、例えば下記式(ETM−1)で表される化合物であり、詳細には特開2007−27587号公報に開示されている。
Figure 2021042184
式(ETM−1)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも1つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、Xは、置換されていてもよいアリーレンであり、Yは、置換されていてもよい炭素数16以下のアリール、置換されているボリル、または置換されていてもよいカルバゾリルであり、そして、nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどが挙げられる。
式(ETM−1)で表される化合物の中でも、下記式(ETM−1−1)で表される化合物や下記式(ETM−1−2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2021042184
式(ETM−1−1)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも1つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも1つであり、X1は、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、そして、mはそれぞれ独立して0〜4の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどが挙げられる。
Figure 2021042184
式(ETM−1−2)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも1つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、X1は、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、そして、nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどが挙げられる。
1の具体的な例としては、下記式(X−1)〜式(X−9)のいずれかで表される2価の基が挙げられる。
Figure 2021042184
(各式中、Raは、それぞれ独立してアルキル、シクロアルキルまたは置換されていてもよいフェニル基であり、*は結合位置を表す。)
このボラン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021042184
このボラン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[ピリジン誘導体]
ピリジン誘導体は、例えば下記式(ETM−2)で表される化合物であり、好ましくは式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)で表される化合物である。
Figure 2021042184
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数である。
式(ETM−2−1)において、R11〜R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)である。
式(ETM−2−2)において、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)であり、R11およびR12は結合して環を形成していてもよい。
各式において、「ピリジン系置換基」は、下記式(Py−1)〜式(Py−15)のいずれか(式中の*は、結合位置を表す。)であり、ピリジン系置換基はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルで置換されていてもよい。また、ピリジン系置換基はフェニレン基やナフチレン基を介して各式におけるφ、アントラセン環またはフルオレン環に結合していてもよい。
Figure 2021042184
ピリジン系置換基は、式(Py−1)〜式(Py−15)のいずれかであるが、これらの中でも、下記式(Py−21)〜式(Py−44)のいずれか(式中の*は、結合位置を表す。)であることが好ましい。
Figure 2021042184
各ピリジン誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよく、また、式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)における2つの「ピリジン系置換基」のうちの一方はアリールで置き換えられていてもよい。
11〜R18における「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分岐鎖アルキルが挙げられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分岐鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分岐鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分岐鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分岐鎖アルキル)である。
具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどが挙げられる。
ピリジン系置換基に置換する炭素数1〜4のアルキルとしては、上記アルキルの説明を引用することができる。
11〜R18における「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキルが挙げられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜6のシクロアルキルである。
具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどが挙げられる。
11〜R18における「アリール」としては、好ましいアリールは炭素数6〜30のアリールであり、より好ましいアリールは炭素数6〜18のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6〜14のアリールであり、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「炭素数6〜30のアリール」としては、単環系アリールであるフェニル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどが挙げられる。
好ましい「炭素数6〜30のアリール」は、フェニル、ナフチル、フェナントリル、クリセニルまたはトリフェニレニルなどがあげられ、さらに好ましくはフェニル、1−ナフチル、2−ナフチルまたはフェナントリルがあげられ、特に好ましくはフェニル、1−ナフチルまたは2−ナフチルが挙げられる。
式(ETM−2−2)におけるR11およびR12は結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ結合していてもよい。
このピリジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021042184
このピリジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[フルオランテン誘導体]
フルオランテン誘導体は、例えば下記式(ETM−3)で表される化合物であり、詳細には国際公開第2010/134352号に開示されている。
Figure 2021042184
式(ETM−3)中、X12〜X21は水素、ハロゲン、直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、直鎖、分岐もしくは環状のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールを表す。ここで、置換されている場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどが挙げられる。
このフルオランテン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021042184
[BO系誘導体]
BO系誘導体は、例えば下記式(ETM−4)で表される多環芳香族化合物、または下記式(ETM−4)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である。
Figure 2021042184
61〜R71は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。
また、R61〜R71のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。
また、式(ETM−4)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素がハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
式(ETM−4)における置換基や環形成の形態の説明については、式(1A)または式(2A)の説明を引用することができる。
このBO系誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021042184
このBO系誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[アントラセン誘導体]
アントラセン誘導体の1つは、例えば下記式(ETM−5−1)で表される化合物である。
Figure 2021042184
Arは、それぞれ独立して、2価のベンゼンまたはナフタレンであり、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3から6のシクロアルキルまたは炭素数6〜20のアリールである。
Arは、それぞれ独立して、2価のベンゼンまたはナフタレンから適宜選択することができ、2つのArが異なっていても同じであってもよいが、アントラセン誘導体の合成の容易さの観点からは同じであることが好ましい。Arはピリジンと結合して、「Arおよびピリジンからなる部位」を形成しており、この部位は例えば下記式(Py−1)〜式(Py−12)のいずれかで表される基としてアントラセンに結合している。下記の式中の*は、結合位置を表す。
Figure 2021042184
これらの基の中でも、式(Py−1)〜式(Py−9)のいずれかで表される基が好ましく、式(Py−1)〜式(Py−6)のいずれかで表される基がより好ましい。アントラセンに結合する2つの「Arおよびピリジンからなる部位」は、その構造が同じであっても異なっていてもよいが、アントラセン誘導体の合成の容易さの観点からは同じ構造であることが好ましい。ただし、素子特性の観点からは、2つの「Arおよびピリジンからなる部位」の構造が同じであっても異なっていても好ましい。
1〜R4における炭素数1〜6のアルキルについては直鎖および分岐鎖のいずれでもよい。すなわち、炭素数1〜6の直鎖アルキルまたは炭素数3〜6の分岐鎖アルキルである。より好ましくは、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分岐鎖アルキル)である。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、または2−エチルブチルなどがあげられ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、またはt−ブチルが好ましく、メチル、エチル、またはt−ブチルがより好ましい。
1〜R4における炭素数3〜6のシクロアルキルの具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどが挙げられる。
1〜R4における炭素数6〜20のアリールについては、炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。
「炭素数6〜20のアリール」の具体例としては、単環系アリールであるフェニル、(o−,m−,p−)トリル、(2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−,3,5−)キシリル、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)、(o−,m−,p−)クメニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2'−イル、m−テルフェニル−4'−イル、m−テルフェニル−5'−イル、o−テルフェニル−3'−イル、o−テルフェニル−4'−イル、p−テルフェニル−2'−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アントラセン−(1−,2−,9−)イル、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、テトラセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イルなどが挙げられる。
好ましい「炭素数6〜20のアリール」は、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリルまたはナフチルであり、より好ましくは、フェニル、ビフェニリル、1−ナフチル、2−ナフチルまたはm−テルフェニル−5'−イルであり、さらに好ましくは、フェニル、ビフェニリル、1−ナフチルまたは2−ナフチルであり、最も好ましくはフェニルである。
アントラセン誘導体の1つは、例えば下記式(ETM−5−2)で表される化合物である。
Figure 2021042184
Ar1は、それぞれ独立して、単結合、2価のベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、またはフェナレンである。
Ar2は、それぞれ独立して、炭素数6〜20のアリールであり、式(ETM−5−1)における「炭素数6〜20のアリール」と同じ説明を引用することができる。炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。具体例としては、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テルフェニリル、アントラセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニルなどが挙げられる。
1〜R4は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3から6のシクロアルキルまたは炭素数6〜20のアリールであり、式(ETM−5−1)における説明を引用することができる。
これらのアントラセン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021042184
これらのアントラセン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[ベンゾフルオレン誘導体]
ベンゾフルオレン誘導体は、例えば下記式(ETM−6)で表される化合物である。
Figure 2021042184
Ar1は、それぞれ独立して、炭素数6〜20のアリールであり、式(ETM−5−1)における「炭素数6〜20のアリール」と同じ説明を引用することができる。炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。具体例としては、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テルフェニリル、アントラセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニルなどが挙げられる。
Ar2は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)であり、2つのAr2は結合して環を形成していてもよい。
Ar2における「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分岐鎖アルキルが挙げられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分岐鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分岐鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分岐鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分岐鎖アルキル)である。具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシルなどが挙げられる。
Ar2における「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキルが挙げられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜6のシクロアルキルである。具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどが挙げられる。
Ar2における「アリール」としては、好ましいアリールは炭素数6〜30のアリールであり、より好ましいアリールは炭素数6〜18のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6〜14のアリールであり、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「炭素数6〜30のアリール」としては、フェニル、ナフチル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、ペリレニル、ペンタセニルなどが挙げられる。
2つのAr2は結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ結合していてもよい。
このベンゾフルオレン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021042184
このベンゾフルオレン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[ホスフィンオキサイド誘導体]
ホスフィンオキサイド誘導体は、例えば下記式(ETM−7−1)で表される化合物である。詳細は国際公開第2013/079217号にも記載されている。
Figure 2021042184
5は、置換または無置換の、炭素数1〜20のアルキル、炭素数3〜16のシクロアルキル、炭素数6〜20のアリールまたは炭素数5〜20のヘテロアリールであり、
6は、CN、置換または無置換の、炭素数1〜20のアルキル、炭素数3〜16のシクロアルキル、炭素数1〜20のヘテロアルキル、炭素数6〜20のアリール、炭素数5〜20のヘテロアリール、炭素数1〜20のアルコキシまたは炭素数6〜20のアリールオキシであり、
7およびR8は、それぞれ独立して、置換または無置換の、炭素数6〜20のアリールまたは炭素数5〜20のヘテロアリールであり、
9は酸素または硫黄であり、
jは0または1であり、kは0または1であり、rは0〜4の整数であり、qは1〜3の整数である。
ここで、置換されている場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどが挙げられる。
ホスフィンオキサイド誘導体は、例えば下記式(ETM−7−2)で表される化合物でもよい。
Figure 2021042184
1〜R3は、同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、シクロアルキルチオ、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール、複素環基、ハロゲン、シアノ、アルデヒド、カルボニル、カルボキシル、アミノ、ニトロ、シリル、および隣接置換基との間に形成される縮合環の中から選ばれる。
Ar1は、同じでも異なっていてもよく、アリーレンまたはヘテロアリーレンである。Ar2は、同じでも異なっていてもよく、アリールまたはヘテロアリールである。ただし、Ar1およびAr2のうち少なくとも一方は置換基を有しているか、または隣接置換基との間に縮合環を形成している。nは0〜3の整数であり、nが0のとき不飽和構造部分は存在せず、nが3のときR1は存在しない。
これらの置換基の内、アルキルとは、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。置換されている場合の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル、アリール、複素環基等をあげることができ、この点は、以下の記載にも共通する。また、アルキルの炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、通常、1〜20の範囲である。
また、シクロアルキルとは、例えば、シクロプロピル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルキル部分の炭素数は特に限定されないが、通常、3〜20の範囲である。
また、アラルキルとは、例えば、ベンジル、フェニルエチルなどの脂肪族炭化水素を介した芳香族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素はいずれも無置換でも置換されていてもかまわない。脂肪族部分の炭素数は特に限定されないが、通常、1〜20の範囲である。
また、アルケニルとは、例えば、ビニル、アリル、ブタジエニルなどの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルケニルの炭素数は特に限定されないが、通常、2〜20の範囲である。
また、シクロアルケニルとは、例えば、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセンなどの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。
また、アルキニルとは、例えば、アセチレニルなどの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2〜20の範囲である。
また、アルコキシとは、例えば、メトキシなどのエーテル結合を介した脂肪族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。アルコキシの炭素数は特に限定されないが、通常、1〜20の範囲である。
また、アルキルチオとは、アルコキシのエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、シクロアルキルチオとは、シクロアルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシなどのエーテル結合を介した芳香族炭化水素基を示し、芳香族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、通常、6〜40の範囲である。
また、アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、アリールとは、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントリル、ターフェニル、ピレニルなどの芳香族炭化水素基を示す。アリールは、無置換でも置換されていてもかまわない。アリールの炭素数は特に限定されないが、通常、6〜40の範囲である。
また、複素環基とは、例えば、フラニル、チオフェニル、オキサゾリル、ピリジル、キノリニル、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を有する環状構造基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。複素環基の炭素数は特に限定されないが、通常、2〜30の範囲である。
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示す。
アルデヒド、カルボニル、アミノには、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環などで置換された基も含むことができる。
また、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環は無置換でも置換されていてもかまわない。
シリルとは、例えば、トリメチルシリルなどのケイ素化合物基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。シリルの炭素数は特に限定されないが、通常、3〜20の範囲である。また、ケイ素数は、通常、1〜6である。
隣接置換基との間に形成される縮合環とは、例えば、Ar1とR2、Ar1とR3、Ar2とR2、Ar2とR3、R2とR3、Ar1とAr2等の間で形成された共役または非共役の縮合環である。ここで、nが1の場合、2つのR1同士で共役または非共役の縮合環を形成してもよい。これら縮合環は、環内構造に窒素、酸素、硫黄原子を含んでいてもよいし、さらに別の環と縮合してもよい。
このホスフィンオキサイド誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021042184
このホスフィンオキサイド誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[ピリミジン誘導体]
ピリミジン誘導体は、例えば下記式(ETM−8)で表される化合物であり、好ましくは下記式(ETM−8−1)で表される化合物である。詳細は国際公開第2011/021689号にも記載されている。
Figure 2021042184
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは1〜4の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは2または3である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールがあげられ、好ましくは炭素数6〜24のアリール、より好ましくは炭素数6〜20のアリール、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2'−イル、m−テルフェニル−4'−イル、m−テルフェニル−5'−イル、o−テルフェニル−3'−イル、o−テルフェニル−4'−イル、p−テルフェニル−2'−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5'−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5'−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5'−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどが挙げられる。
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールがあげられ、炭素数2〜25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などが挙げられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどが挙げられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
このピリミジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021042184
このピリミジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[カルバゾール誘導体]
カルバゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−9)で表される化合物、またはそれが単結合などで複数結合した多量体である。詳細は米国出願公開2014/0197386号明細書に記載されている。
Figure 2021042184
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは0〜4の整数であり、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0または1である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールがあげられ、好ましくは炭素数6〜24のアリール、より好ましくは炭素数6〜20のアリール、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2'−イル、m−テルフェニル−4'−イル、m−テルフェニル−5'−イル、o−テルフェニル−3'−イル、o−テルフェニル−4'−イル、p−テルフェニル−2'−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5'−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5'−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5'−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イル、ベンゾニトリル、フタロニトリル、イソフタロニトリル、テレフタロニトリルなどが挙げられる。
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールがあげられ、炭素数2〜25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などが挙げられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどが挙げられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
カルバゾール誘導体は、式(ETM−9)で表される化合物が単結合などで複数結合した多量体であってもよい。この場合、単結合以外に、アリール環(好ましくは多価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)で結合されていてもよい。
このカルバゾール誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021042184
このカルバゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[トリアジン誘導体]
トリアジン誘導体は、例えば下記式(ETM−10)で表される化合物であり、好ましくは下記式(ETM−10−1)で表される化合物である。詳細は米国出願公開2011/0156013号明細書に記載されている。
Figure 2021042184
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは1〜3の整数であり、好ましくは2または3である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールがあげられ、好ましくは炭素数6〜24のアリール、より好ましくは炭素数6〜20のアリール、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2'−イル、m−テルフェニル−4'−イル、m−テルフェニル−5'−イル、o−テルフェニル−3'−イル、o−テルフェニル−4'−イル、p−テルフェニル−2'−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5'−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5'−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5'−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどが挙げられる。
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールがあげられ、炭素数2〜25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などが挙げられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどが挙げられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
このトリアジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。
Figure 2021042184
このトリアジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[ベンゾイミダゾール誘導体]
ベンゾイミダゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−11)で表される化合物である。
Figure 2021042184
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数であり、「ベンゾイミダゾール系置換基」は、式(ETM−2)、式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)における「ピリジン系置換基」の中のピリジル基がベンゾイミダゾール基に置き換わった置換基であり、ベンゾイミダゾール誘導体における少なくとも1つの水素は重水素で置換されていてもよい。
Figure 2021042184
上記ベンゾイミダゾール基におけるR11は、水素、炭素数1〜24のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキルまたは炭素数6〜30のアリールであり、式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)におけるR11の説明を引用することができる。
φは、さらに、アントラセン環またはフルオレン環であることが好ましく、この場合の構造は式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)での説明を引用することができ、各式中のR11〜R18は式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)での説明を引用することができる。また、式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)では2つのピリジン系置換基が結合した形態で説明されているが、これらをベンゾイミダゾール系置換基に置き換えるときには、両方のピリジン系置換基をベンゾイミダゾール系置換基で置き換えてもよいし(すなわちn=2)、いずれか1つのピリジン系置換基をベンゾイミダゾール系置換基で置き換えて他方のピリジン系置換基をR11〜R18で置き換えてもよい(すなわちn=1)。さらに、例えば式(ETM−2−1)におけるR11〜R18の少なくとも1つをベンゾイミダゾール系置換基で置き換えて「ピリジン系置換基」をR11〜R18で置き換えてもよい。
このベンゾイミダゾール誘導体の具体例としては、例えば1−フェニル−2−(4−(10−フェニルアントラセン−9−イル)フェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(4−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(3−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、5−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)−1,2−ジフェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1−(4−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、5−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)−1,2−ジフェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾールなどが挙げられる。
Figure 2021042184
このベンゾイミダゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[フェナントロリン誘導体]
フェナントロリン誘導体は、例えば下記式(ETM−12)または式(ETM−12−1)で表される化合物である。詳細は国際公開第2006/021982号に記載されている。
Figure 2021042184
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数である。
各式のR11〜R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)である。また、式(ETM−12−1)においてはR11〜R18のいずれかがアリール環であるφと結合する。
各フェナントロリン誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。
11〜R18におけるアルキル、シクロアルキルおよびアリールとしては、式(ETM−2)におけるR11〜R18の説明を引用することができる。また、φは上記した例のほかに、例えば、以下の構造式が挙げられる。なお、下記構造式中のRは、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリルまたはテルフェニリルであり、*は、結合位置を表す。
Figure 2021042184
このフェナントロリン誘導体の具体例としては、例えば4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、9,10−ジ(1,10−フェナントロリン−2−イル)アントラセン、2,6−ジ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ピリジン、1,3,5−トリ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ベンゼン、9,9'−ジフルオロ−ビ(1,10−フェナントロリン−5−イル)、バソクプロイン、1,3−ビス(2−フェニル−1,10−フェナントロリン−9−イル)ベンゼンや下記構造式で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2021042184
このフェナントロリン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<キノリノール系金属錯体>
キノリノール系金属錯体は、例えば下記式(ETM−13)で表される化合物である。
Figure 2021042184
式中、R1〜R6は、それぞれ独立して、水素、フッ素、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アルケニル、シアノ、アルコキシまたはアリールであり、MはLi、Al、Ga、BeまたはZnであり、nは1〜3の整数である。
キノリノール系金属錯体の具体例としては、8−キノリノールリチウム、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,3−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,4−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,5,6−テトラメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリン)ベリリウムなどが挙げられる。
このキノリノール系金属錯体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[チアゾール誘導体およびベンゾチアゾール誘導体]
チアゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−14−1)で表される化合物である。
Figure 2021042184
ベンゾチアゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−14−2)で表される化合物である。
Figure 2021042184
各式のφは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数であり、「チアゾール系置換基」や「ベンゾチアゾール系置換基」は、式(ETM−2)、式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)における「ピリジン系置換基」の中のピリジル基が下記のチアゾール基やベンゾチアゾール基に置き換わった置換基であり、チアゾール誘導体およびベンゾチアゾール誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。
Figure 2021042184
φは、さらに、アントラセン環またはフルオレン環であることが好ましく、この場合の構造は式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)での説明を引用することができ、各式中のR11〜R18は式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)での説明を引用することができる。また、式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)では2つのピリジン系置換基が結合した形態で説明されているが、これらをチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)に置き換えるときには、両方のピリジン系置換基をチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えてもよいし(すなわちn=2)、いずれか1つのピリジン系置換基をチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えて他方のピリジン系置換基をR11〜R18で置き換えてもよい(すなわちn=1)。さらに、例えば式(ETM−2−1)におけるR11〜R18の少なくとも1つをチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えて「ピリジン系置換基」をR11〜R18で置き換えてもよい。
これらのチアゾール誘導体またはベンゾチアゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[シロール誘導体]
シロール誘導体は、例えば下記式(ETM−15)で表される化合物である。詳細は特開平9−194487号公報に記載されている。
Figure 2021042184
XおよびYは、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリール、ヘテロアリールであり、これらは置換されていてもよい。これらの基の詳細については、式(1A)および式(2A)における説明、さらに式(ETM−7−2)における説明を引用できる。また、アルケニルオキシおよびアルキニルオキシは、それぞれアルコキシにおけるアルキル部分がアルケニルまたはアルキニルに置き換わった基であり、これらのアルケニルおよびアルキニルの詳細については式(ETM−7−2)における説明を引用できる。
また、XとYが結合してシクロアルキル環(およびその一部が不飽和になった環)を形成していてもよく、このシクロアルキル環の詳細は式(1A)および式(2A)におけるシクロアルキルの説明を参照することができる。
1〜R4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アゾ基、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、スルフィニル、スルフォニル、スルファニル、シリル、カルバモイル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、ニトロ、ホルミル、ニトロソ、ホルミルオキシ、イソシアノ、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、または、シアノであり、これらはアルキル、シクロアルキル、アリールまたはハロゲンで置換されていてもよく、隣接置換基との間に縮合環を形成していてもよい。
1〜R4における、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アリール、ヘテロアリール、アルケニルおよびアルキニルの詳細については、式(1A)および式(2A)における説明を引用できる。
1〜R4における、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシおよびアリールオキシカルボニルオキシ中の、アルキル、アリールおよびアルコキシの詳細についても、式(1A)および式(2A)における説明を引用できる。
シリルとしては、シリル基、および、シリル基の3つの水素の少なくとも1つが、それぞれ独立して、アリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換された基があげられ、トリ置換シリルが好ましく、トリアリールシリル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルおよびアルキルジシクロアルキルシリル等が挙げられる。これらにおける、アリール、アルキルおよびシクロアルキルの詳細については、式(1A)および式(2A)における説明を引用できる。
隣接置換基との間に形成される縮合環とは、例えば、R1とR2、R2とR3、R3とR4等の間で形成された共役または非共役の縮合環である。これら縮合環は、環内構造に窒素、酸素、硫黄原子を含んでいてもよいし、さらに別の環と縮合してもよい。
ただし、好ましくは、R1およびR4がフェニル基の場合、XおよびYは、アルキルまたはフェニルではない。また、好ましくは、R1およびR4がチエニル基の場合、XおよびYは、アルキルを、R2およびR3は、アルキル、アリール、アルケニルまたはR2とR3が結合して環を形成するシクロアルキルを同時に満たさない構造である。また、好ましくは、R1およびR4がシリル基の場合、R2、R3、XおよびYは、それぞれ独立して、水素または炭素数1から6のアルキルではない。また、好ましくは、R1およびR2でベンゼン環が縮合した構造の場合、XおよびYは、アルキルおよびフェニルではない。
これらのシロール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[アゾリン誘導体]
アゾリン誘導体は、例えば下記式(ETM−16)で表される化合物である。詳細は国際公開第2017/014226号に記載されている。
Figure 2021042184
式(ETM−16)中、
φは炭素数6〜40の芳香族炭化水素に由来するm価の基または炭素数2〜40の芳香族複素環に由来するm価の基であり、φの少なくとも1つの水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜14のシクロアルキル、炭素数6〜18のアリールまたは炭素数2〜18のヘテロアリールで置換されていてもよく、
Yは、それぞれ独立して、−O−、−S−または>N−Arであり、Arは炭素数6〜12のアリールまたは炭素数2〜12のヘテロアリールであり、Arの少なくとも1つの水素は炭素数1〜4のアルキル、炭素数5〜10のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールまたは炭素数2〜12のヘテロアリールで置換されていてもよく、R1〜R5はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルであり、ただし、前記>N−ArにおけるArおよび前記R1〜R5のうちのいずれか1つはLと結合する部位であり、
Lは、それぞれ独立して、下記式(L−1)で表される2価の基、および下記式(L−2)で表される2価の基からなる群から選ばれ、
Figure 2021042184
式(L−1)中、X1〜X6はそれぞれ独立して=CR6−または=N−であり、X1〜X6のうちの少なくとも2つは=CR6−であり、X1〜X6のうちの2つの=CR6−におけるR6はφまたはアゾリン環と結合する部位であり、それ以外の=CR6−におけるR6は水素であり、
式(L−2)中、X7〜X14はそれぞれ独立して=CR6−または=N−であり、X7〜X14のうちの少なくとも2つは=CR6−であり、X7〜X14のうちの2つの=CR6−におけるR6はφまたはアゾリン環と結合する部位であり、それ以外の=CR6−におけるR6は水素であり、
Lの少なくとも1つの水素は炭素数1〜4のアルキル、炭素数5〜10のシクロアルキル、炭素数6〜10のアリールまたは炭素数2〜10のヘテロアリールで置換されていてもよく、
mは1〜4の整数であり、mが2〜4であるとき、アゾリン環とLとで形成される基は同一であっても異なっていてもよく、そして、
式(ETM−16)で表される化合物中の少なくとも1つの水素は重水素で置換されていてもよい。
具体的なアゾリン誘導体は、下記式(ETM−16−1)または式(ETM−16−2)で表される化合物である。
Figure 2021042184
式(ETM−16−1)および式(ETM−16−2)中、
φは炭素数6〜40の芳香族炭化水素に由来するm価の基または炭素数2〜40の芳香族複素環に由来するm価の基であり、φの少なくとも1つの水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜14のシクロアルキル、炭素数6〜18のアリールまたは炭素数2〜18のヘテロアリールで置換されていてもよく、
式(ETM−16−1)中、Yは、それぞれ独立して、−O−、−S−または>N−Arであり、Arは炭素数6〜12のアリールまたは炭素数2〜12のヘテロアリールであり、Arの少なくとも1つの水素は炭素数1〜4のアルキル、炭素数5〜10のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールまたは炭素数2〜12のヘテロアリールで置換されていてもよく、
式(ETM−16−1)中、R1〜R4はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルであり、ただし、R1とR2は同一であり、またR3とR4は同一であり、
式(ETM−16−2)中、R1〜R5はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルであり、ただし、R1とR2は同一であり、またR3とR4は同一であり、
式(ETM−16−1)および式(ETM−16−2)中、
Lは、それぞれ独立して、下記式(L−1)で表される2価の基、および下記式(L−2)で表される2価の基からなる群から選ばれ、
Figure 2021042184
式(L−1)中、X1〜X6はそれぞれ独立して=CR6−または=N−であり、X1〜X6のうちの少なくとも2つは=CR6−であり、X1〜X6のうちの2つの=CR6−におけるR6はφまたはアゾリン環と結合する部位であり、それ以外の=CR6−におけるR6は水素であり、
式(L−2)中、X7〜X14はそれぞれ独立して=CR6−または=N−であり、X7〜X14のうちの少なくとも2つは=CR6−であり、X7〜X14のうちの2つの=CR6−におけるR6はφまたはアゾリン環と結合する部位であり、それ以外の=CR6−におけるR6は水素であり、
Lの少なくとも1つの水素は炭素数1〜4のアルキル、炭素数5〜10のシクロアルキル、炭素数6〜10のアリールまたは炭素数2〜10のヘテロアリールで置換されていてもよく、
mは1〜4の整数であり、mが2〜4であるとき、アゾリン環とLとで形成される基は同一であっても異なっていてもよく、そして、
式(ETM−16−1)または式(ETM−16−2)で表される化合物中の少なくとも1つの水素は重水素で置換されていてもよい。
好ましくは、φは、下記式(φ1−1)〜式(φ1−18)で表される1価の基、下記式(φ2−1)〜式(φ2−34)で表される2価の基、下記式(φ3−1)〜式(φ3−3)で表される3価の基、および下記式(φ4−1)〜式(φ4−2)で表される4価の基からなる群から選択され、φの少なくとも1つの水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜14のシクロアルキル、炭素数6〜18のアリールまたは炭素数2〜18のヘテロアリールで置換されていてもよい。
Figure 2021042184
Figure 2021042184
Figure 2021042184
式中のZは、>CR2、>N−Ar、>N−L、−O−または−S−であり、>CR2におけるRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル、炭素数5〜10のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールまたは炭素数2〜12のヘテロアリールであり、Rは互いに結合して環を形成していてもよく、>N−ArにおけるArは炭素数6〜12のアリールまたは炭素数2〜12のヘテロアリールであり、>N−LにおけるLは式(ETM−16)、式(ETM−16−1)または式(ETM−16−2)におけるLである。式中の*は、結合位置を表す。
好ましくは、Lは、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、およびプテリジンからなる群から選択される環の2価の基であり、Lの少なくとも1つの水素は炭素数1〜4のアルキル、炭素数5〜10のシクロアルキル、炭素数6〜10のアリールまたは炭素数2〜10のヘテロアリールで置換されていてもよい。
好ましくは、YまたはZとしての>N−ArにおけるArは、フェニル、ナフチル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、キノリニル、イソキノリニル、ナフチリジニル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、およびプテリジニルからなる群から選択され、Yとしての>N−ArにおけるArの少なくとも1つの水素は炭素数1〜4のアルキル、炭素数5〜10のシクロアルキルまたは炭素数6〜10のアリールで置換されていてもよい。
好ましくは、R1〜R4はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルであり、ただし、R1とR2は同一であり、R3とR4は同一であり、またR1〜R4の全てが同時に水素になることはなく、そして、mは1または2であり、mが2であるとき、アゾリン環とLとで形成される基は同一である。
アゾリン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。なお、構造式中の「Me」はメチルを表す。
Figure 2021042184
Figure 2021042184
より好ましくは、φは、下記式(φ2−1)、式(φ2−31)、式(φ2−32)、式(φ2−33)および式(φ2−34)で表される2価の基からなる群から選択され、φの少なくとも1つの水素は炭素数6〜18のアリールで置換されていてもよく、
Figure 2021042184
Lは、ベンゼン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、およびトリアジンからなる群から選択される環の2価の基であり、Lの少なくとも1つの水素は炭素数1〜4のアルキル、炭素数5〜10のシクロアルキル、炭素数6〜10のアリールまたは炭素数2〜14のヘテロアリールで置換されていてもよく、
Yとしての>N−ArにおけるArは、フェニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、およびトリアジニルからなる群から選択され、当該Arの少なくとも1つの水素は炭素数1〜4のアルキル、炭素数5〜10のシクロアルキルまたは炭素数6〜10のアリールで置換されていてもよく、
1〜R4はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数5〜10のシクロアルキルであり、ただし、R1とR2は同一であり、R3とR4は同一であり、またR1〜R4の全てが同時に水素になることはなく、そして、
mは2であり、アゾリン環とLとで形成される基は同一である。
アゾリン誘導体の他の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。なお、構造式中の「Me」はメチルを表す。
Figure 2021042184
このアゾリン誘導体を規定する上記各式中の、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールの詳細については、式(1A)および式(2A)における説明を引用できる。
このアゾリン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
[還元性物質]
電子輸送層または電子注入層には、さらに、電子輸送層または電子注入層を形成する材料を還元できる物質を含んでいてもよい。この還元性物質は、一定の還元性を有する材料であれば、様々な材料が用いられ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを好適に使用することができる。
好ましい還元性物質としては、Na(仕事関数2.36eV)、K(同2.28eV)、Rb(同2.16eV)またはCs(同1.95eV)などのアルカリ金属や、Ca(同2.9eV)、Sr(同2.0〜2.5eV)またはBa(同2.52eV)などのアルカリ土類金属が挙げられ、仕事関数が2.9eV以下の材料が特に好ましい。これらのうち、より好ましい還元性物質は、K、RbまたはCsのアルカリ金属であり、さらに好ましくはRbまたはCsであり、最も好ましいのはCsである。これらのアルカリ金属は、特に還元能力が高く、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への比較的少量の添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。また、仕事関数が2.9eV以下の還元性物質として、これら2種以上のアルカリ金属の組み合わせも好ましく、特に、Csを含んだ組み合わせ、例えば、CsとNa、CsとK、CsとRb、またはCsとNaとKとの組み合わせが好ましい。Csを含むことにより、還元能力を効率的に発揮することができ、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。
<有機電界発光素子における陰極>
陰極108は、電子注入層107および電子輸送層106を介して、発光層105に電子を注入する役割を果たす。
陰極108を形成する材料としては、電子を有機層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されないが、陽極102を形成する材料と同様の材料を用いることができる。なかでも、スズ、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金、鉄、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびマグネシウムなどの金属またはそれらの合金(マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、フッ化リチウム/アルミニウムなどのアルミニウム−リチウム合金など)などが好ましい。電子注入効率をあげて素子特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかしながら、これらの低仕事関数金属は一般に大気中で不安定であることが多い。この点を改善するために、例えば、有機層に微量のリチウム、セシウムやマグネシウムをドーピングして、安定性の高い電極を使用する方法が知られている。その他のドーパントとしては、フッ化リチウム、フッ化セシウム、酸化リチウムおよび酸化セシウムのような無機塩も使用することができる。ただし、これらに限定されない。
さらに、電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などを積層することが、好ましい例として挙げられる。これらの電極の作製法も、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど、導通を取ることができれば特に制限されない。
<各層で用いてもよい結着剤>
以上の正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層に用いられる材料は単独で各層を形成することができるが、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などに分散させて用いることも可能である。
<有機電界発光素子の作製方法>
有機電界発光素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、印刷法、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法などの方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm〜5000nmの範囲である。膜厚は通常、水晶発振式膜厚測定装置などで測定できる。蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、材料の種類、膜の目的とする結晶構造および会合構造などにより異なる。蒸着条件は一般的に、ボート加熱温度+50〜+400℃、真空度10-6〜10-3Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−150〜+300℃、膜厚2nm〜5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。
次に、有機電界発光素子を作製する方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ホスト材料とドーパント材料からなる発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機電界発光素子の作製法について説明する。適当な基板上に、陽極材料の薄膜を蒸着法などにより形成させて陽極を作製した後、この陽極上に正孔注入層および正孔輸送層の薄膜を形成させる。この上にホスト材料とドーパント材料を共蒸着し薄膜を形成させて発光層とし、この発光層の上に電子輸送層、電子注入層を形成させ、さらに陰極用物質からなる薄膜を蒸着法などにより形成させて陰極とすることにより、目的の有機電界発光素子が得られる。なお、上述の有機電界発光素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
このようにして得られた有機電界発光素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として印加すればよく、電圧2〜40V程度を印加すると、透明または半透明の電極側(陽極または陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機電界発光素子は、パルス電流や交流電流を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
<有機電界発光素子の応用例>
また、本発明は、有機電界発光素子を備えた表示装置または有機電界発光素子を備えた照明装置などにも応用することができる。
有機電界発光素子を備えた表示装置または照明装置は、本実施形態にかかる有機電界発光素子と公知の駆動装置とを接続するなど公知の方法によって製造することができ、直流駆動、パルス駆動、交流駆動など公知の駆動方法を適宜用いて駆動することができる。
表示装置としては、例えば、カラーフラットパネルディスプレイなどのパネルディスプレイ、フレキシブルカラー有機電界発光(EL)ディスプレイなどのフレキシブルディスプレイなどが挙げられる(例えば、特開平10-335066号公報、特開2003-321546号公報、特開2004-281086号公報など参照)。また、ディスプレイの表示方式としては、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式などが挙げられる。なお、マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
マトリクスでは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置されており、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよい。線順次駆動の方が構造が簡単であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリックスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
セグメント方式(タイプ)では、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などが挙げられる。
照明装置としては、例えば、室内照明などの照明装置、液晶表示装置のバックライトなどが挙げられる(例えば、特開2003−257621号公報、特開2003−277741号公報、特開2004−119211号公報など参照)。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来方式が蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、本実施形態に係る発光素子を用いたバックライトは薄型で軽量が特徴になる。
2−2.その他の有機デバイス
本発明の化合物は、上述した有機電界発光素子の他に、リチウムイオン二次電池、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などの作製に用いることができる。
リチウムイオン二次電池は、2つの電極を多孔性でイオンの通過が可能なセパレータおよびリチウムイオンを電解質として用いた電解液を介して電気的に接触させた電池であり、軽量であること、単位重量あたりの出力が大きいこと、繰り返し充放電が可能であることなどの特徴より、モバイルデバイスや電気自動車などのバッテリーとして用いられている。本発明の化合物は電解質として用いることができる。
有機電界効果トランジスタは、電圧入力によって発生させた電界により電流を制御するトランジスタのことであり、ソース電極とドレイン電極の他にゲート電極が設けられている。ゲート電極に電圧を印加すると電界が生じ、ソース電極とドレイン電極間を流れる電子(あるいはホール)の流れを任意にせき止めて電流を制御することができる。電界効果トランジスタは、単なるトランジスタ(バイポーラトランジスタ)に比べて小型化が容易であり、集積回路などを構成する素子としてよく用いられている。
有機電界効果トランジスタの構造は、通常、本発明の化合物を用いて形成される有機半導体活性層に接してソース電極およびドレイン電極が設けられており、さらに有機半導体活性層に接した絶縁層(誘電体層)を挟んでゲート電極が設けられていればよい。その素子構造としては、例えば以下の構造が挙げられる。
(1)基板/ゲート電極/絶縁体層/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層
(2)基板/ゲート電極/絶縁体層/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極
(3)基板/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極/絶縁体層/ゲート電極
(4)基板/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層/絶縁体層/ゲート電極
このように構成された有機電界効果トランジスタは、アクティブマトリックス駆動方式の液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの画素駆動スイッチング素子等として適用できる。
有機薄膜太陽電池は、ガラスなどの透明基板上にITOなどの陽極、ホール輸送層、光電変換層、電子輸送層、陰極が積層された構造を有する。光電変換層は陽極側にp型半導体層を有し、陰極側にn型半導体層を有している。本発明の化合物は、その物性に応じて、ホール輸送層、p型半導体層、n型半導体層、電子輸送層の材料として用いることが可能である。本発明の化合物は、有機薄膜太陽電池においてホール輸送材料や電子輸送材料として機能しうる。有機薄膜太陽電池は、上記の他にホールブロック層、電子ブロック層、電子注入層、ホール注入層、平滑化層などを適宜備えていてもよい。有機薄膜太陽電池には、有機薄膜太陽電池に用いられる既知の材料を適宜選択して組み合わせて用いることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されない。以下は実施例で合成した化合物である。
合成例(1)
10,10'−スピロビ[ジベンゾ[b,e][1,4]オキサボリニン]−10−ウイド ナトリウム三水和物(化合物(S10P−1−100−3H))の合成
2,2‘−オキシビス(ブロモベンゼン)(36mmol)をテトラヒドロフラン(15mL)溶解させた溶液に、マグネシウム(1.77g、73mmol)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(1.75mL、14mmol)、1、2―ジブロモエタン(70mL、0.81mmol)をテトラヒドロフラン(15mL)に分散または溶解させた溶液を窒素雰囲気下10℃で加えた。反応混合物を室温に戻し24時間の撹拌の後、1mol/L炭酸ナトリウム溶液を加え、反応停止した。ジエチルエーテル100mLで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過し、有機層を減圧濃縮した。得られた固形物をクロロホルムで洗浄し、水に溶解し再度濃縮することで、目的物(化合物(S10P−1−100−3H))を得た。白色結晶、収量3.46g、収率58%。

1H NMR (500 MHz, D2O) δ 6.86 (t, J = 6.9 Hz, 4H, c), 6.92-6.95 (m, 4H, d), 7.05 (d, J = 8.0 Hz, 4H, a), 7.08 (dd, J = 6.9, 8.0 Hz, 4H, b); 13C NMR (126 MHz, D2O) δ 114.5 (4C), 122.9 (4C), 125.7 (4C), 135.2 (4C), 141.9-143.0 (4C), 155.9 (4C); 11B NMR (160 MHz, D2O) δ -19.7.
合成例(2)
10,10'−スピロビ[ジベンゾ[b,e][1,4]オキサボリニン]−10−ウイド リチウム四水和物(化合物(L10P−1−100−4H))の合成
化合物(S10P−1−100−3H)(0.638g、1.5mmol)を飽和塩化リチウム酢酸エチル溶液に添加し、4時間室温で撹拌した。次いで水100mLを加え、撹拌した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄した。有機層を減圧濃縮し、得られた固形物をクロロホルムで洗浄した。固形物を水に溶解し再度濃縮することで目的物(化合物(L10P−1−100−4H))を得た。白色結晶、収量0.53g、収率82%。

1H NMR (500 MHz, D2O) δ 6.87 (t, J = 6.9 Hz, 4H, c), 6.93-6.96 (m, 4H, d), 7.05 (d, J = 8.0 Hz, 4H, a), 7.09 (dd, J = 6.9, 8.0 Hz, 4H, b); 13C NMR (126 MHz, D2O) δ 114.5 (4C), 122.9 (4C), 125.6 (4C), 135.2 (4C), 141.9-143.1 (4C), 155.9 (4C); 11B NMR (160 MHz, D2O) δ -19.7; 7Li NMR (194 MHz, D2O) δ -0.006.
合成例(3)
10,10'−スピロビ[ジベンゾ[b,e][1,4]オキサボリニン]−10−ウイド ナトリウム ビス(12−クラウン−4−エーテル)(化合物(S10P−1−100−B4E))の合成
化合物(S10P−1−100−3H)(0.509g、1.2mmol)のアセトン溶液(3.0mL)に2.7mol/L 12−クラウン−4−エーテル ヘキサン溶液(1.0mL)を添加し、5分の室温で撹拌の後、更にヘキサン15mLを加え、30分間撹拌した。有機層を減圧濃縮し、得られた固形物をヘキサンで洗浄することで、目的物(化合物(S10P−1−100−B4E))を得た。白色固体、収量0.80g、収率89%。

1H NMR (500 MHz, acetone-d6) δ 3.68 (s, 16H, e) 6.59-6.61 (m, 4H, c), 6.76-6.80 (m, 8H, a, d), 6.88-6.92 (m, 4H, b); 13C NMR (126 MHz, acetone-d6) δ 114.6 (4C), 121.5 (4C), 124.4 (4C), 137.0 (4C), 144.1-145.2 (4C), 157.8 (4C); 11B NMR (160 MHz, D2O) δ -19.0; 7Li NMR (194 MHz, acetone-d6) δ -0.134.
合成例(4)
10,10'−スピロビ[ジベンゾ[b,e][1,4]オキサボリニン]−10−ウイド リチウム 12−クラウン−4−エーテル(化合物(L10P−1−100−4E))の合成
化合物(L10P−1−100−4H)(0.530g、1.2mmol)のアセトン溶液(3.0mL)に2.7mol/L 12−クラウン−4−エーテル ヘキサン溶液(1.0mL)を添加し、5分の室温で撹拌の後、更にヘキサン15mLを加え、30分間撹拌した。有機層を減圧濃縮し、得られた固形物をヘキサンで洗浄することで、目的物(化合物(L10P−1−100−4E))を得た。白色固体、収量0.62g、収率87%。

1H NMR (500 MHz, acetone-d6) δ 3.70 (s, 16H, e) 6.57-6.62 (m, 4H, c), 6.79-6.83 (m, 8H, a, d), 6.91-6.95 (m, 4H, b); 13C NMR (126 MHz, acetone-d6) δ 70.0 (8C), 114.6 (4C), 121.5 (4C), 124.4 (4C), 137.0 (4C), 144.1-145.2 (4C), 157.8 (4C); 11B NMR (160 MHz, D2O) δ -19.0; 7Li NMR (194 MHz, acetone-d6) δ -0.134.
原料の化合物を適宜変更することにより、上述した合成例に準じた方法で、本発明の化合物を合成することができる。
<基礎物性の評価>
評価対象の化合物の吸収特性と発光特性(蛍光と燐光)を評価する場合、化合物を溶媒に溶解して溶媒中で評価する場合と薄膜状態で評価する場合がある。さらに、薄膜状態で評価する場合は、化合物の有機EL素子における使用の態様に応じて、化合物のみを薄膜化し評価する場合(単成分蒸着膜)と化合物を適切なマトリックス材料中に分散して薄膜化(共蒸着膜)して評価する場合がある。
<有機EL素子としての評価>
以下、本発明に係る化合物を使用して有機EL素子としての評価を行った。
<実施例1>
<有機EL素子の作製および特性評価>
有機EL素子の作製
文献(Adv. Mater. 2016, 28, 2777-2781)で示され、熱活性化型遅延蛍光用材料に適合した高い効率を期待できる素子構成を備える有機EL素子を作製した。
以下の実施例および比較例にて、構成Aの有機EL素子を作製するに際し、使用した発光層以外の各層の形成材料は以下のとおりである。
表1中の作製した有機EL素子の各層の形成材料を示す。
正孔注入層材料である「NPD」はN,N'−ジフェニル−N,N'−ジナフチル−4,4'−ジアミノビフェニルであり、正孔輸送層材料である「TcTa」は4,4',4"−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミンであり、電子阻止層材料である「mCP」は1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼンでありである。
以下に化学構造を示す。
Figure 2021042184
<実施例1〜4、比較例1>
表1に示す形成材料および膜厚の各層を積層してなる有機EL素子を作製した。
Figure 2021042184
また、発光層のホストおよびドーパントとして用いた化合物の構造は以下のとおりである。
Figure 2021042184
Figure 2021042184
Figure 2021042184
Figure 2021042184
<実施例1>
スパッタリングにより200nmの厚さに製膜したITOを50nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とする。この透明支持基板を市販の蒸着装置(長州産業(株)製)の基板ホルダーに固定し、NPD、TcTa、mCP、DOBNA3、DABNA4、2CzBN、BPy−TP2および化合物(L10P−g−100−4H)をそれぞれ入れたタンタル製蒸着用ボート、アルミニウムをそれぞれ入れた窒化アルミニウム製蒸着用ボートを装着した。
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10-4Paまで減圧し、まず、NPDを加熱して膜厚40nmになるように蒸着し、次に、TcTaを加熱して膜厚15nmになるように蒸着して正孔注入層および正孔輸送層をそれぞれ形成した。次に、mCPを加熱して膜厚15nmになるように蒸着して電子阻止層を形成した。次に、DOBNA3とDABNA4を同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成した。DOBNA3とDABNA4の重量比が99対1になるように蒸着速度を調節した。次に、2CzBNを加熱して膜厚10nmになるように蒸着して電子輸送層1を形成し、BPy−TP2を加熱して膜厚20nmになるように蒸着して電子輸送層2を形成した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒でした。その後、化合物(L10P−g−100−4H)を加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成し、有機EL素子を得られた。このとき、アルミニウムの蒸着速度は1nm〜10nm/秒になるように調節した。
ITO電極を陽極、アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加し、100cd/m2発光時の特性を測定したところ、発光スペクトルはピーク波長470nmであり、深い青色発光が見られた。また、100cd/m2発光時の外部量子効率は26.5%であり、高い量子効率が得られた。
<実施例2>
電子注入層を化合物(S10P−g−100−3H)に変更した以外は実施例1と同様の手順および構成にて有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加し、100cd/m2発光時の特性を測定したところ、発光スペクトルはピーク波長470nmであり、深い青色発光が見られた。また、100cd/m2発光時の外部量子効率は26.6%であり、高い量子効率が得られた。
<実施例3>
電子注入層を化合物(L10P−g−100−4E)に変更した以外は実施例1と同様の手順および構成にて有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加し、100cd/m2発光時の特性を測定したところ、発光スペクトルはピーク波長470nmであり、深い青色発光が見られた。また、100cd/m2発光時の外部量子効率は26.0%であり、高い量子効率が得られた。
<実施例4>
電子注入層を化合物(S10P−g−100−B4E)に変更した以外は実施例1と同様の手順および構成にて有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加し、100cd/m2発光時の特性を測定したところ、発光スペクトルはピーク波長470nmであり、深い青色発光が見られた。また、100cd/m2発光時の外部量子効率は27.0%であり、高い量子効率が得られた。
<比較例1>
電子注入層を用いなかった以外は実施例1と同様の手順および構成にて有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、アルミニウム電極を陰極として直流電圧を印加し、100cd/m2発光時の特性を測定したところ、発光スペクトルはピーク波長470nmであり、深い青色発光が見られた。一方、100cd/m2発光時の外部量子効率は1.3%であり、実施例1〜4と比較して効率が低かった。
本発明では、ホウ素をスピロ原子とした構造を有する新規な化合物を提供することで、有機EL素子等の有機デバイス用材料の選択肢を増やすことができる。また、ホウ素をスピロ原子とした新規な化合物を有機EL素子用材料として用いることで、優れた有機EL素子、それを備えた表示装置およびそれを備えた照明装置などを提供することができる。
100 有機電界発光素子
101 基板
102 陽極
103 正孔注入層
104 正孔輸送層
105 発光層
106 電子輸送層
107 電子注入層
108 陰極

Claims (15)

  1. 下記式(1A)で表される1価イオンおよび式(1A)で表される構造を繰り返し単位として含む多価イオンからなる群より選択されるアニオンと、無機イオンである対イオンとを含む化合物。
    Figure 2021042184
    (式(1A)中、
    A〜D環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、A環およびB環ならびに/またはC環およびD環は結合して環構造を形成していてもよく、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、
    1およびZ2は、それぞれ独立して、単結合、置換基を有していてもよいアルキレン、置換基を有していてもよいアルケニレン、アルキニレン、置換基を有していてもよいアリーレン、−C(=CR2)−、−C(=C(=O))−、−C(=O)−、−C(=S)−、、−O−、−S−、−Se−、−P(=O)−、−P(=O)(−R)−、−P(=S)−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−SiR2−、−NR−、および、−N=N−からなる群より選択される1つの2価の基、または前記群より選択される同種もしくは異種の基を2つ以上組み合わせて構成される2価の基であり、ただし、Z1およびZ2は、同時に単結合であることはなく、ここで、Rは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、隣接する、Rと、A環、B環、C環および/またはD環とは結合して環構造を形成していてもよく、
    式(1A)で表されるアニオンまたは構造における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
  2. A〜D環は、それぞれ独立して、炭素数6〜30のアリール環または炭素数2〜30のヘテロアリール環であり、A環およびB環ならびに/またはC環とD環は結合して環構造を形成していてもよく、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、
    1およびZ2は、それぞれ独立して、単結合、−(CR2n−(nは1〜12)、−CR=CR−、−C≡C−、−(CR=CR−CR2n−(nは1〜4)、−C(=CR2)−、−C(=C(=O))−、−C(=O)−、−C(=S)−、−C(=O)O−、−C(=S)O−、−C(=O)S−、−C(=S)S−、−C(=O)NR−、−C(=O)C(=O)−、−C(=O)OC(=O)−、−(CR2−O)n−(nは1〜12)、−(CR2n−O−(nは1〜12)、−(CR2−CR2−O)n−(nは1〜6)、−O−、−S−、−SS−、−Se−、−P(=O)−、−P(=S)−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−SiR2−、−NR−、−N=N−、または、フェニレンであり、ただし、Z1およびZ2は、同時に単結合であることはなく、ここで、Rは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、隣接する、Rと、A環、B環、C環および/またはD環とは結合して環構造を形成していてもよく、
    式(1A)で表されるアニオンまたは構造における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい、
    請求項1に記載の化合物。
  3. A〜D環は、それぞれ独立して、ベンゼン環、ナフタレン環、インダン環、インデン環、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環またはイソキノリン環であり、A環およびB環ならびに/またはC環およびD環は結合して環構造を形成してもよく、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、
    1およびZ2は、それぞれ独立して、単結合、−CR2−、−CR=CR−、−C(=O)−、−C(=S)−、−O−、−S−、−Se−、−P(=O)−、−P(=S)−、−S(=O)−、−SiR2−、−NR−、または、フェニレンであり、ただし、Z1およびZ2は、同時に単結合であることはなく、ここで、Rは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、隣接する、Rと、A環、B環、C環および/またはD環とは結合して環構造を形成していてもよく、
    式(1A)で表されるアニオンまたは構造における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい、
    請求項1または2に記載の化合物。
  4. 下記式(2A)で表される1価イオンおよび式(2A)で表される構造を繰り返し単位として含む多価イオンからなる群より選択されるアニオンと、無機イオンである対イオンとを含む化合物である、請求項1に記載の化合物。
    Figure 2021042184
    (式(2A)中、
    1およびZ2は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−Se−、−NR−、または、1,2−フェニレンであり、ただし、Z1およびZ2は同時に単結合であることはなく、ここで、Rは、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
    1〜R16は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
    また、R1〜R16のうちの隣接する基同士が結合してa〜d環と共に炭素数9〜30のアリール環または炭素数6〜30のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
    式(2A)で表されるアニオンまたは構造における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
  5. 1およびZ2は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−Se−、−NR−、または、1,2−フェニレンであり、ただし、Z1およびZ2は同時に単結合であることはなく、ここで、Rは、水素、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルであり、
    1〜R16は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
    また、R1〜R16のうちの隣接する基同士が結合してa環、c環またはd環と共に炭素数9〜16のアリール環または炭素数6〜15のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
    式(2A)で表されるアニオンまたは構造における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい、
    請求項4に記載の化合物。
  6. 1およびZ2は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−Se−、−NR−、または1,2−フェニレンであり、ただし、Z1およびZ2は同時に単結合であることはなく、ここで、Rは、水素、炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜12のシクロアルキルであり、
    1〜R16は、それぞれ独立して、水素、炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数1〜6のアルコキシまたは炭素数6〜16のアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素は、炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜12のシクロアルキルで置換されていてもよく、
    また、R1〜R16のうちの隣接する基同士が結合してa環、c環またはd環と共に炭素数9〜12のアリール環または炭素数6〜10のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数1〜6のアルコキシまたは炭素数6〜16のアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素は、炭素数6〜16のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数3〜12のシクロアルキルで置換されていてもよく、
    式(2A)で表されるアニオンまたは構造における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい、
    請求項4または5に記載の化合物。
  7. 以下いずれかの構造式で表される1価イオンまたは以下いずれかの構造式で表される構造を繰り返し単位として含む多価イオンからなる群より選択されるアニオンと、無機イオンである対イオンとを含む化合物である請求項1に記載の化合物。
    Figure 2021042184
  8. 前記対イオンが1価のカチオンである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
  9. 前記対イオンが、Li+、Na+およびK+からなる群より選択される請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物を含有する有機層を有する有機電界発光素子。
  11. 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置された発光層および、電子輸送層および/または電子注入層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つが前記化合物を含有する有機層である請求項10に記載の有機電界発光素子。
  12. ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリノール系金属錯体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、シロール誘導体およびアゾリン誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する電子輸送層および/または電子注入層を含む、請求項10または11に記載の有機電界発光素子。
  13. 前記電子輸送層および/または電子注入層が、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項11または12に記載の有機電界発光素子。
  14. 請求項10〜13のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を備えた表示装置。
  15. 請求項10〜13のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を備えた照明装置。
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