JP2022114348A - 餡子、餡子含有飲食品、餡子の製造方法、及び餡子の甘味増強方法 - Google Patents

餡子、餡子含有飲食品、餡子の製造方法、及び餡子の甘味増強方法 Download PDF

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Takahiro Okada
朋子 小澤
Tomoko Ozawa
妙子 田中
Taeko Tanaka
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Abstract

【課題】甘味の増強された餡子、及び甘味の増強された餡子を含有する飲食品を提供すること、ならびに、甘味の増強された餡子の製造方法、及び餡子の甘味増強方法を提供することである。【解決手段】餡子の原材料である野菜由来以外の油脂を含有し、甘味を有する餡子であって、餡子の水分を除く成分中における該油脂の含有量が0.1~4質量%である、又は、餡子の水分を除く成分中における該油脂の含有量が0.1~20質量%であり、該油脂は、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドを含有する油脂であり、該油脂中の、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドの、餡子の水分を除く成分中における含有量が0~4質量%である、餡子。【選択図】なし

Description

本発明は、餡子、餡子含有飲食品、餡子の製造方法、及び餡子の甘味増強方法に関する。
餡子は、豆や芋等の野菜と、砂糖や水あめなどの甘味成分を煮て作るものであり、和菓子等の食品の他、お汁粉等の飲料にも用いられる。豆類で作られる餡子は、小豆、ソラマメ、インゲン豆、エンドウ豆などデンプンと食物繊維の含有量が多い種類が使われ、芋で作られる餡子では、サツマイモなどが用いられる。そのほか、栗餡、南瓜餡、蓮の実餡、黒胡麻餡・白胡麻餡、落花生餡、胡桃餡、冬瓜餡、棗餡、バナナ餡など、餡子として使われる食材には特に規定も制限もない。
しかし、最近の健康志向の高まりにつれて、砂糖や水あめなどの糖類は、消費者から避けられる傾向にあり、これら糖類の代替甘味料として、ステビア抽出物等(特許文献1)や、オリゴ糖(特許文献2)が提案されている。
前述の非特許文献1には、ねり餡にラードを5~10%添加した結果が示されており、ねり餡に対して約10%の油脂をねり加熱前に添加した場合、食味、食感、光沢等に優れていることが示されているが、甘味に関する評価についての記載はなく、また、記載されている油脂も、ごま油やラードのように炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まない油脂である。
特開2013-135687号公報 特開2017-139977号公報
北海道教育大学紀要、第二部、C、家庭・養護・体育編、31(1):11-20(1980.09発行)
しかし、ステビア等の代替甘味料は、糖類とはやや異質な風味を有する甘味であり、餡子の全体的な風味バランスが損なわれる問題があり、また、オリゴ糖も甘味強度が低く、餡に対して多量に添加する必要があるなどの問題があった。本発明の課題は、甘味の増強された餡子、甘味の増強された餡子を含有する飲食品を提供することである。また、甘味の増強された餡子の製造方法、及び餡子の甘味増強方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、餡子中に油脂を含有させることで、上記の課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の[1]~[8]を提供する。
[1] 餡子の原材料である野菜由来以外の油脂を含有し、甘味を有する餡子であって、
餡子の水分を除く成分中における該油脂の含有量が0.1~4質量%である、
又は、餡子の水分を除く成分中における該油脂の含有量が0.1~20質量%であり、該油脂は、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドを含有する油脂であり、該油脂中の、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドの、餡子の水分を除く成分中における含有量が0~4質量%である、
餡子。
[2] 餡子の原材料である野菜由来以外の油脂を含有し、甘味を有する餡子であって、
水分量が20~70質量%の餡子中に該油脂を0.1~3質量%含有する、
又は、水分量が20~70質量%の餡子中に該油脂を0.1~15質量%含有し、該油脂は、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドを含有する油脂であり、該油脂中の、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドの、水分量が20~70質量%の餡子中における含有量が0~3質量%である、
餡子。
[3] 餡子の原材料である野菜由来以外の油脂の5~100質量%が、グリセリドを構成する脂肪酸が炭素数6~12の直鎖飽和脂肪酸のみからなり、且つ、グリセリドを構成する脂肪酸中の炭素数6及び12の直鎖飽和脂肪酸が20質量%未満であるグリセリドである、[1]又は[2]の餡子。
[4] [1]~[3]のいずれかの餡子を含有する、餡子含有飲食品。
[5] 油脂を餡子中に、餡子の水分を除く成分中に0.1~4質量%含有するように添加する工程を有する、
又は、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドを含有する油脂を餡子中に、餡子の水分を除く成分中に0.1~20質量%含有するように添加し、該油脂中の、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドの、餡子の水分を除く成分中の含有量が0~4質量%となる工程を有する、
甘味を有する餡子の製造方法。
[6] 油脂を餡子中に、水分量が20~70質量%の餡子中に0.1~3質量%含有するように添加する工程を有する、
又は、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドを含有する油脂を餡子中に、水分量が20~70質量%の餡子中に0.1~15質量%含有するように添加し、該油脂中の、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドの、水分量が20~70質量%の餡子中の含有量が0~3質量%となる工程を有する、
甘味を有する餡子の製造方法。
[7] 餡子の原材料である野菜由来以外の油脂の5~100質量%が、グリセリドを構成する脂肪酸が炭素数6~12の直鎖飽和脂肪酸のみからなり、且つ、グリセリドを構成する脂肪酸中の炭素数6及び12の直鎖飽和脂肪酸が20質量%未満であるグリセリドである、[5]又は[6]の餡子の製造方法。
[8] 油脂を餡子中に、餡子の水分を除く成分中に0.1~4質量%となるように添加する、
又は、油脂を餡子中に、水分量が20~70質量%の餡子中に0.1~3質量%含有するように添加する
又は、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドを含有する油脂を餡子中に、餡子の水分を除く成分中に0.1~20質量%含有するように添加し、該油脂中の、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドの、餡子の水分を除く成分中の含有量が0~4質量%となる、
又は、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドを含有する油脂を餡子中に、水分量が20~70質量%の餡子中に0.1~15質量%含有するように添加し、該油脂中の、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドの、水分量が20~70質量%の餡子中の含有量が0~3質量%となる、
餡子の甘味増強方法。
本発明により、油脂を添加しない餡子に比べて、甘味の増強された餡子、餡子を含有する甘味の増強された飲食品を提供することができる。また、甘味が増強されるため、甘味料を低減した餡子やそれを含有する飲食品を提供することができる。
以下、本発明について詳細に例示説明する。なお、本発明の実施の形態において、A(数値)~B(数値)は、A以上B以下を意味する。また、以下で例示する好ましい態様やより好ましい態様等は、「好ましい」や「より好ましい」等の表現にかかわらず適宜相互に組み合わせて使用することができる。また、数値範囲の記載は例示であって、各範囲の上限と下限並びに実施例の数値とを適宜組み合わせた範囲も好ましく使用することができる。さらに、「含有する」又は「含む」等の用語は、「本質的になる」や「のみからなる」と読み替えてもよい。
[餡子]
本発明の餡子は、餡子の原材料である野菜由来以外の油脂を含有し、甘味を有する餡子である。例えば、野菜と甘味成分を原材料として用い製造されたものである。
<餡子の水分を除く成分>
本発明の餡子は、水を添加して製造されるので、一定量の水分を含有する。本発明において、「餡子の水分を除く成分」とは、餡子から水分を除いたものである。例えば、餡子の水分量を測定し、餡子の質量から水分量を除いた質量が、「餡子の水分を除く成分」の質量となる。餡子の水分量は、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)分析マニュアル」の常圧加熱乾燥法、又は減圧加熱乾燥法で測定することができる。例えば、餡子を均質化した後に、常圧加熱乾燥法(採取量3g、直接法、135℃、2時間)で測定することができる。
本発明の餡子は、水分量の上限、下限に特に限定はないが、例えば、餡子中に水分を3~80質量%含有することが好ましく、20~70質量%がより好ましい。また、豆を原料にした、つぶ餡、こし生餡等では、35~80質量%が好ましく、55~70質量%がより好ましい。こし錬り餡、つぶし錬り餡では、20~50質量%が好ましく、25~45質量%がより好ましい。また、さらし餡子(乾燥餡子)では、3~20質量%が好ましく、5~10質量%がより好ましい。なお、餡子は使用時に加水して、餡子として用いることができる。
<野菜>
野菜は餡子の主原料である。野菜としては、デンプン質や食物繊維に豊富なものが好ましい。また、好ましい野菜として、例えば、豆、芋、栗、カボチャ、蓮の実、黒胡麻・白胡麻、落花生、胡桃、冬瓜、棗、バナナ等が挙げられる。豆としては、例えば、小豆、ソラマメ、インゲン豆、エンドウ豆などが好ましく、芋としては、サツマイモが好ましい。
<甘味成分>
本発明の餡子は、甘味成分を有することで、甘味を有する。甘味成分としては、糖類及びその誘導体の他、人工甘味料等が挙げられる。糖類及びその誘導体としては、砂糖、ブドウ糖、果糖、転化糖、水飴、デンプン加水分解物、オリゴ糖、ブドウ糖果糖液糖などの異性化糖などがあり、人工甘味料としては、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、エリスリトール、ステビア、スクラロース等が挙げられる。甘味成分の含有量は特に制限するものではないが、例えば、餡子中に糖類を10~70質量%含有することが好ましく、20~50質量%含有することがより好ましく、20~40質量%含有することがさらに好ましい。また、餡子の水分を除く成分中に、糖類を20~80質量%含有することが好ましく、30~70質量%含有することがより好ましく、40~60質量%含有することがさらに好ましい。
<油脂>
本発明の餡子は、油脂を含有する。ここでいう「油脂」は、餡子の原材料に用いられる植物由来でない油脂であり、原材料に用いた植物とは別に配合されたものである。前述の餡子の原材料の植物にも、多少の油脂が含有されるが、甘味への影響がほとんどない。これは、餡子の原材料の植物中に存在する油脂は、ほとんどが植物の組織(細胞など)にあるため、舌の味蕾に触れにくいと考えられるためである。
本発明で用いる油脂は、通常の動植物油脂、あるいは合成グリセリドを用いることができる。また、これらの油脂を原料にエステル交換、水素添加、分別等を行った油脂も用いることができる。本発明においては、1種類の油脂を用いることもできるが、複数の油脂をブレンドして用いることもできる。動植物油脂としては、例えば、ヤシ油、パーム核油、パーム油、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、えごま油、亜麻仁油、落花生油、乳脂、ココアバター等があげらる。また、分別油としては、例えば、パーム分別油(パームオレイン、パームスーパーオレイン、パームミッドフラクション、パームステアリン等)等が挙げられる。
油脂として、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドを含有する油脂は、幅広い含有量において、餡子の甘味を増強することで好ましい。一方、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリド以外の油脂が、多くなると、餡子が油っぽくなり、甘味増強効果に劣る。例えば、餡子の水分を除く成分に4質量%以下、又は、水分量が20~70質量%の餡子中に3質量%以下の範囲では、餡子の油っぽさはほとんど影響ない、又は許容範囲である。
油脂のグリセリドを構成する脂肪酸に関わらず、餡子の原材料である野菜由来以外の油脂を、餡子の水分を除く成分中における該油脂の含有量が0.1~4質量%であることが、餡子の甘味増強効果が得られ、好ましい。油脂のグリセリドを構成する脂肪酸に関わらず、餡子の原材料である野菜由来以外の油脂を、餡子の水分を除く成分中における該油脂の含有量が0.1~2質量%であることが好ましく、該含有量が0.5~2質量%であることがより好ましい。
油脂のグリセリドを構成する脂肪酸に関わらず、餡子の原材料である野菜由来以外の油脂を、水分量が20~70質量%の餡子中に0.1~3質量%含有することが、餡子の甘味増強効果が得られ、好ましい。油脂のグリセリドを構成する脂肪酸に関わらず、餡子の原材料である野菜由来以外の油脂を、水分量が20~70質量%の餡子中に0.1~2質量%含有することがより好ましく、餡子中に0.5~1.5質量%含有することがさらに好ましい。なお、餡子の水分量は、30~60質量%がより好ましく、30~50質量%がさらに好ましい。
一方、餡子の原材料である野菜由来以外の油脂が、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドを含有する油脂であって、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドの含有量が、餡子の水分を除く成分中において0~4質量%となる油脂の場合、餡子の原材料である野菜由来以外の油脂を、餡子の水分を除く成分中における該油脂の含有量が0.1~20質量%であることで、餡子の甘味増強効果が得られる。この場合、餡子の原材料である野菜由来以外の油脂を、餡子の水分を除く成分中に0.5~15質量%含有することが好ましく、1.0~10質量%含有することがより好ましい。また、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドの含有量が、餡子の水分を除く成分中に0~2質量%含有することがより好ましい。
餡子の原材料である野菜由来以外の油脂が、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドを含有する油脂であって、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドの含有量が、水分量が20~70質量%の餡子中に0~3質量%となる油脂の場合、餡子の原材料である野菜由来以外の油脂を、水分量が20~70質量%の餡子中に0.1~15質量%含有することで、餡子の甘味増強効果が得られる。この場合、餡子の原材料である野菜由来以外の油脂を、水分量が20~70質量%の餡子中に0.5~15質量%含有することが好ましく、1~8質量%含有することがより好ましい。また、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドの含有量が、水分量が20~70質量%の餡子中に0~2質量%含有することがより好ましい。なお、餡子の水分量は、30~60質量%がより好ましく、30~50質量%がさらに好ましい。
グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドとしては、ヤシ油、パーム核油等の他、中鎖脂肪酸(炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸)とグリセリンとの脱水縮合、あるいは中鎖脂肪酸アルキルエステルとグリセリンとのエステル交換により製造した中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を単独で、あるいは他の動植物油とブレンドして用いることができる。本発明においては、これらの、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドを含む油脂に、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドからなる油脂を混合したものを用いることもできる。また、中鎖脂肪酸と炭素数12~22の脂肪酸と、グリセリンとの脱水縮合、MCTと動植物油のエステル交換、中鎖脂肪酸アルキルエステルと動植物油のエステル交換により製造した中鎖脂肪酸・長鎖脂肪酸混合トリグリセリド(MLCT)を用いることができる。
グリセリドの構成脂肪酸である、炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸として、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸を例示できるが、融点が低く、液状、もしくは液状になりやすいことから、炭素数の小さい直鎖飽和脂肪酸が好ましい。一方、炭素数が小さい脂肪酸のトリグリセリドは食後の喉、胃への刺激がみられる人もいるため、炭素数8以上の直鎖飽和脂肪酸(カプリル酸、カプリン酸)が多いことが好ましく、炭素数10の直鎖飽和脂肪酸(カプリン酸)であることがより好ましい。
本発明で用いる油脂は、油脂中の全グリセリドの構成脂肪酸の5~100質量%が炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸である油脂が好ましく、油脂中の全グリセリドの構成脂肪酸の10~100質量%が炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸である油脂がより好ましく、油脂中の全グリセリドの構成脂肪酸の50~100質量%が炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸である油脂がさらに好ましく、油脂中の全グリセリドの構成脂肪酸の80~100質量%が炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸である油脂が最も好ましい。
なお、油脂に含まれるグリセリドとして、グリセリドの構成脂肪酸が炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸であることが好ましいが、炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸原料は、わずかに炭素数12の直鎖飽和脂肪酸を含有することがある。そのため、構成脂肪酸が炭素数6~12の直鎖飽和脂肪酸のみからなり、且つ、構成脂肪酸中の炭素数6及び12の直鎖飽和脂肪酸が20質量%未満であるトリグリセリドであることが好ましい。構成脂肪酸中の炭素数6及び12の直鎖飽和脂肪酸が5質量%以下であるトリグリセリドであることがより好ましい。
本発明で用いる油脂として、グリセリドを構成する脂肪酸が炭素数6~12の直鎖飽和脂肪酸のみからなり、且つ、グリセリドを構成する脂肪酸中の炭素数6及び12の直鎖飽和脂肪酸が20質量%未満であるグリセリドが、油脂の5~100質量%であることが好ましく、油脂の10~100質量%であることがより好ましく、油脂の50~100質量%であることがさらに好ましく、油脂の80~100質量%であることが最も好ましい。
なお、本発明で用いる油脂は、油脂中のトリグリセリド量が、80質量%以上であることが好ましく、90~100質量%がより好ましく、95~100質量%であることがさらに好ましい。また、油脂中のジグリセリドは、20質量%以下であることが好ましく、0~10質量%であることがより好ましく、0~5質量であることがさらに好ましい。また、油脂中のモノグリセリドは、5質量%以下であることが好ましく、0~1質量%であることがより好ましい。また、油脂中の遊離脂肪酸は、1質量%以下であることが好ましく、0~0.5質量%であることがより好ましい。
本発明で用いる油脂は、精製油脂であることが好ましい。精製油脂は、ほとんど風味を有していないために、餡子への油脂由来の風味付与が抑えられる。精製油脂としては、油脂の一般的な精製で行われる、脱酸、脱色、脱臭工程などのいずれかの工程を経たものであればよい。特に脱臭工程を経たものが風味に対する影響が少ないため好ましい。
<その他成分>
本発明の餡子は、通常の餡子に使用できるものであれば特に制限はないが、その他の成分として、増粘多糖類、抗酸化剤、抗菌剤、調味料、香辛料、アルコールなどを適宜、調整して使用することができる。
[餡子含有飲食品]
本発明の餡子含有飲食品は、上記餡子を含有する飲食品であり、餡として包んだ食品、餡子を付着させた食品、餡子を練り込んだ食品、あるいは餡子を希釈した飲食品などが挙げられる。例えば、饅頭(最中・あんまん・月餅等)、団子、あんころ餅、ぼたもち(おはぎ)、大福、安倍川もち、きんつば、最中、羊羹、水羊羹、大判焼き、たい焼き、どら焼き、あんパン、小倉トースト、あんドーナツ、あんこあめ、汁粉、ぜんざい、氷菓等が挙げられる。
[餡子の製造方法]
本発明の餡子の製造方法は、油脂を餡子中に、餡子の水分を除く成分中に0.1~4質量%含有するように添加する工程、
又は、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドを含有する油脂を餡子中に、餡子の水分を除く成分中に0.1~20質量%含有するように添加し、該油脂中の、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドの、餡子の水分を除く成分中の含有量が0~4質量%となる工程、
又は、油脂を餡子中に、水分量が20~70質量%の餡子中に0.1~3質量%含有するように添加する工程、
又は、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドを含有する油脂を餡子中に、水分量が20~70質量%の餡子中に0.1~15質量%含有するように添加し、該油脂中の、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドの、水分量が20~70質量%の餡子中の含有量が0~3質量%となる工程、のいずれかの工程を有する。餡子に用いる油脂や野菜、甘味成分等の原材料や水分等については、前述の通りである。
本発明の餡子の製造方法は、油脂を添加する工程以外は、通常の餡子の製造方法と同様な方法を用いることができる。例えば、野菜と甘味成分を煮て作る。油脂の添加は、餡子の製造において、どこで添加してもよく、例えば、煮る工程前、煮る工程中、煮る工程後のいずれかで、1回、あるいは複数回に分けて添加することができる。餡子に用いる油脂や原材料等に関しては、前述のとおりである。
[餡子の甘味増強方法]
本発明の餡子の甘味増強方法は、
油脂を餡子中に、餡子の水分を除く成分中に0.1~4質量%となるように添加する、
又は、油脂を餡子中に、水分量が20~70質量%の餡子中に0.1~3質量%含有するように添加する
又は、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドを含有する油脂を餡子中に、餡子の水分を除く成分中に0.1~20質量%含有するように添加し、該油脂中の、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドの、餡子の水分を除く成分中の含有量が0~4質量%となる、
又は、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドを含有する油脂を餡子中に、水分量が20~70質量%の餡子中に0.1~15質量%含有するように添加し、該油脂中の、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドの、水分量が20~70質量%の餡子中の含有量が0~3質量%となる、
いずれかの方法である。餡子に用いる油脂や野菜、甘味成分の原材料や水分、添加方法等は前述のとおりである。本方法により、油脂を添加しない場合に比べて、餡子の甘味が増強される。
次に、実施例、比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。また。以下において「%」とは、特別な記載がない場合、質量%を示す。
[油脂]
菜種油(日清オイリオグループ株式会社製、脱臭キャノーラ油)、MCT(日清オイリオ株式会社製:カプリル酸:カプリン酸=75:25のトリグリセリド、脱臭油)
[試験1]
<餡子A1~A4>
小豆を茹で、煮小豆を得た。煮小豆260gに表1の配合で、上白糖、MCTを加え、中火にて加熱しながら、ゴムベラでかき混ぜながら、6分加熱し、煮あがり30秒前の重量の0.3質量%の塩を加えて、混合し、餡子A1~A4を得た(水分量約40~47質量%)。
<甘味:官能評価1>
上記で製造した餡子を専門パネラー5名で評価した。粒餡を基準にして、甘味の強さを評価した。なお、評価結果は5名の合議で決定した。
◎:餡子A1及び餡子A2よりも甘味が強い
○:餡子A1より甘味が強い(餡子A2と同等の甘味)
△:餡子A1と同等の甘味
×:餡子A1より甘味が劣る
Figure 2022114348000001
表1の結果から、油脂を配合した餡子はいずれも、油脂を含有せずに同等の砂糖を含有する餡子よりも甘味が強い。また、餡子A3は、砂糖量が1.25倍である餡子A2と同等の甘味を有することが確認でき、砂糖を増量した場合と同じ甘味を有することが確認できる。したがって、油脂を特定量添加することで餡子の甘さを維持したまま、砂糖量を低減することも可能であることがわかる。
[試験2]
<餡子B1~B7>
小豆を茹でた煮小豆26質量部に、上白糖10質量部を加え、中火にて加熱しながら、かき混ぜ、さらに、食塩0.114質量部(0.3質量%)添加・混合して、餡子B1(水分量44質量%)を得た。
餡子B1に対して、油脂を表2の配合で添加・混合し、餡子B2~B7を得た。
<甘味:官能評価2>
上記で製造した餡子を専門パネラー5名で評価した。粒餡を基準にして、甘味の強さを評価した。なお、評価結果は5名の合議で決定した。
◎:餡子B1及び餡子B2よりも甘味が強い
○:餡子B1より甘味が強い(餡子B2と同等の甘味)
△:餡子B1と同等の甘味
×:餡子B1より甘味が劣る
<甘味:味覚センサー評価>
上記で製造した餡子100gにイオン交換水200g加えて、30秒間撹拌した。1時間静置し、懸濁液をクッキングペーパーでろ過し、ろ液をコーヒー用のペーパーフィルターでろ過して味覚センサー評価サンプルを得た。評価サンプル80mlを、電子味覚システムASTREE(バージョン:V14.5、アルファ・モス・ジャパン社製)で分析を行った(データ取得間隔1秒、分析時間120秒)。なお、甘味として用いたセンサーは、PKSであり、センサーで得られた数値が高いほど、甘味が強いことを示す。分析結果を表2に示した。
Figure 2022114348000002
餡子B2、B4~B7は、油脂を含有しない餡子B1よりも甘味が強く、一方、精製菜種油を7.7質量%含有する餡子B3は油っぽい餡子であり、甘味も劣ることが確認できた。

Claims (8)

  1. 餡子の原材料である野菜由来以外の油脂を含有し、甘味を有する餡子であって、
    餡子の水分を除く成分中における該油脂の含有量が0.1~4質量%である、
    又は、餡子の水分を除く成分中における該油脂の含有量が0.1~20質量%であり、該油脂は、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドを含有する油脂であり、該油脂中の、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドの、餡子の水分を除く成分中における含有量が0~4質量%である、
    餡子。
  2. 餡子の原材料である野菜由来以外の油脂を含有し、甘味を有する餡子であって、
    水分量が20~70質量%の餡子中に該油脂を0.1~3質量%含有する、
    又は、水分量が20~70質量%の餡子中に該油脂を0.1~15質量%含有し、該油脂は、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドを含有する油脂であり、該油脂中の、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドの、水分量が20~70質量%の餡子中における含有量が0~3質量%である、
    餡子。
  3. 餡子の原材料である野菜由来以外の油脂の5~100質量%が、グリセリドを構成する脂肪酸が炭素数6~12の直鎖飽和脂肪酸のみからなり、且つ、グリセリドを構成する脂肪酸中の炭素数6及び12の直鎖飽和脂肪酸が20質量%未満であるグリセリドである、請求項1又は2に記載の餡子。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の餡子を含有する、餡子含有飲食品。
  5. 油脂を餡子中に、餡子の水分を除く成分中に0.1~4質量%含有するように添加する工程を有する、
    又は、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドを含有する油脂を餡子中に、餡子の水分を除く成分中に0.1~20質量%含有するように添加し、該油脂中の、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドの、餡子の水分を除く成分中の含有量が0~4質量%となる工程を有する、
    甘味を有する餡子の製造方法。
  6. 油脂を餡子中に、水分量が20~70質量%の餡子中に0.1~3質量%含有するように添加する工程を有する、
    又は、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドを含有する油脂を餡子中に、水分量が20~70質量%の餡子中に0.1~15質量%含有するように添加し、該油脂中の、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドの、水分量が20~70質量%の餡子中の含有量が0~3質量%となる工程を有する、
    甘味を有する餡子の製造方法。
  7. 餡子の原材料である野菜由来以外の油脂の5~100質量%が、グリセリドを構成する脂肪酸が炭素数6~12の直鎖飽和脂肪酸のみからなり、且つ、グリセリドを構成する脂肪酸中の炭素数6及び12の直鎖飽和脂肪酸が20質量%未満であるグリセリドである、請求項5又は6に記載の餡子の製造方法。
  8. 油脂を餡子中に、餡子の水分を除く成分中に0.1~4質量%となるように添加する、
    又は、油脂を餡子中に、水分量が20~70質量%の餡子中に0.1~3質量%含有するように添加する
    又は、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドを含有する油脂を餡子中に、餡子の水分を除く成分中に0.1~20質量%含有するように添加し、該油脂中の、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドの、餡子の水分を除く成分中の含有量が0~4質量%となる、
    又は、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含むグリセリドを含有する油脂を餡子中に、水分量が20~70質量%の餡子中に0.1~15質量%含有するように添加し、該油脂中の、グリセリドの構成脂肪酸に炭素数6~10の直鎖飽和脂肪酸を含まないグリセリドの、水分量が20~70質量%の餡子中の含有量が0~3質量%となる、
    餡子の甘味増強方法。
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