JP2022106075A - 包装袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】デジタル印刷機による印刷が施され印刷面を有しつつも、開封時又は引き裂き時に静電インク層とプライマー層との界面、及び静電インク層と接着剤層との界面におけるはく離が抑制された包装袋を提供すること。【解決手段】本開示の一側面は、基材、プライマー層、静電インク層、接着剤層、及びシーラント層をこの順に有する積層体で構成される包装袋であって、上記接着剤層は、ポリオール、ポリイソシアネート及びエポキシ化合物を含む接着剤組成物及びその硬化物の少なくとも一方で構成され、上記静電インク層のインク被覆率は500%以下であり、上記積層体のラミネート強度が2.0N/15mm以上である、包装袋を提供する。【選択図】図1

Description

本開示は、包装袋に関する。
食品等の被包装物を密封保存する包装袋が知られている。包装袋としては、薄いフィルム又はシートを用いたパッケージが用いられている。このような包装袋には、製品、ブランド、製造元等の種々の情報が印刷されている。このような印刷の手段として、静電インク組成物を用いるデジタル印刷機が知られている。
例えば、特許文献1では、PETフィルム等の第一の可撓性基材にプライマー樹脂を塗布して塗布面を得ること、当該塗布面にデジタル印刷機(HP社製,Indigo20000ラベル及びパッケージ用デジタル印刷機)を用いて静電印刷を行うこと、及び、架橋組成物を塗布することが提案されている。このようにして所定の工程を行った後、所定の成分が塗布された第一の可撓性基材と、第二の可撓性基材とをラミネートして包装材を得る技術が提案されている。
特開2018-530478号公報
静電インク組成物を用いるデジタル印刷は小ロットでの対応が可能であるため、デジタル印刷を施した積層体が種々の包装袋の材料として用いられている。しかしながら、デジタル印刷機によって設けられる静電インク層はプライマー層又は接着剤層との接着強度が十分でない場合があり、外力が加わった際に、静電インク層とプライマー層又は接着剤層との間ではく離が生じ得る。例えば、包装体を引き裂いて開封する際に、静電インク層とプライマー層又は接着剤層との間ではく離が発生すると、包装袋を引き裂く際の外力を十分に基材の引き裂きのために利用することができず、きれいに引き裂くことができない場合が生じ得る。
本開示は、デジタル印刷機による印刷が施された印刷面を有しつつも、開封時又は引き裂き時に静電インク層とプライマー層との界面、及び静電インク層と接着剤層との界面におけるはく離が抑制された包装袋を提供することを目的とする。
本開示の一側面は、基材、プライマー層、静電インク層、接着剤層、及びシーラント層をこの順に有する積層体で構成される包装袋であって、上記接着剤層は、ポリオール、ポリイソシアネート及びエポキシ化合物を含む接着剤組成物及びその硬化物の少なくとも一方で構成され、上記静電インク層のインク被覆率は500%以下であり、上記積層体のラミネート強度が2.0N/15mm以上である、包装袋を提供する。
上記包装袋を構成する積層体は、接着剤層が特定の接着剤組成物及びその硬化物の少なくとも一方で構成され、上記積層体のラミネート強度が所定値以上であることによって、静電インク層のインク被覆率が比較的大きな値であっても、包装袋を開封又は引き裂く際に、静電インク層とプライマー層との界面、及び静電インク層と接着剤層との界面におけるはく離が抑制される。当該包装袋は、その開封時又は引き裂き時における引き裂き部付近の積層体が引き裂き前の状態を維持し得ることから、印刷部に記載された情報等の視認性を維持し得る。
本開示の一側面は、基材、プライマー層、静電インク層、接着剤層、及びシーラント層をこの順に有する積層体で構成される包装袋であって、上記接着剤層は、ポリオール、ポリイソシアネート及びエポキシ化合物を含む接着剤組成物及びその硬化物の少なくとも一方で構成され、上記静電インク層のインク被覆率は100~400%であり、上記積層体のラミネート強度をXとし、120℃、30分間のレトルト熱処理した後の上記積層体のラミネート強度をYとした場合に、100(Y-X)/Xの値が-30%超である、包装袋を提供する。
上記包装体を構成する積層体は、接着剤層が特定の接着剤組成物及びその硬化物の少なくとも一方で構成され、所定のレトルト熱処理を施した前後のラミネート強度の変化率(100(Y-X)/Xの値)が所定範囲であることによって、静電インク層のインク被覆率が比較的大きな値であっても、包装袋を開封又は引き裂く際に、静電インク層とプライマー層との界面、及び静電インク層と接着剤層との界面におけるはく離が抑制される。当該包装袋は、その開封時又は引き裂き時における引き裂き面のきれいなものとなり得る。上記包装袋は、120℃30分間の高温熱水処理を行った場合にも積層体のラミネート強度が大きく低下しないものであることから、レトルトによる被包装物の滅菌処理等の対象となるような包装袋に好適に使用できる。
上記ポリオールは脂肪族ポリエステルポリオールを含み、上記エポキシ化合物は両末端にエポキシ基を有するものを含んでよい。このような接着剤層は、特に高温環境下においても高い接着強度を有する。
上記エポキシ化合物は2官能の脂環式エポキシ化合物を含んでよい。このようなエポキシ化合物は、2官能であることによって、静電インク組成物との架橋点を増やして印刷面(プライマー層の主面)とより強固に接着する。また、脂環式であることによって、立体障害によってポリイソシアネートとの反応を抑制することができる。このため、安定的に硬化し、印刷部と接着剤層との界面の密着性を十分に優れたものとすることができる。
上記ポリイソシアネートはキシリレンジイソシアネート誘導体を含んでもよい。このようなポリイソシアネートとポリオールは反応性に優れる。これによって、接着剤組成物の硬化性が向上し、静電インク層とプライマー層との界面、及び静電インク層と接着剤層との界面におけるはく離をより一層抑制することができる。
上記プライマー層の上記シーラント層側の主面におけるインク塗布量が0.5g/m以上であってよい。
上記積層体は、上記接着剤層及び上記シーラント層の間にバリア層を更に有してよい。
本開示によれば、デジタル印刷機による印刷が施された印刷面を有しつつも、開封時又は引き裂き時に静電インク層とプライマー層との界面、及び静電インク層と接着剤層との界面におけるはく離が抑制された包装袋を提供できる。
図1は、包装袋の一例を示す平面図である。 図2は、包装袋の別の例を示す斜視図である。 図3は、積層体の一例を示す断面図である。 図4は、積層体の別の例を示す断面図である。 図5は、包装袋を開封した際の引き裂き面の一部を示す図である。 図6は、従来の包装袋を開封した際の引き裂き面の一部を示す図である。
本開示の実施形態を、場合により図面を参照しながら以下に説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本明細書において例示する材料は特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。組成物中の各成分の含有量は、組成物中の各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
包装袋の一実施形態は、基材、プライマー層、静電インク層、接着剤層、及びシーラント層をこの順に有する積層体で構成される。図1は、包装袋の一例を示す平面図である。
包装袋100は、一対の積層体300のシーラント層同士を貼り合わせて構成される。包装袋100は、フィルム状の略矩形の一対の積層体300の周縁を貼り合わせてなるシール部101と、シール部101によって一対の積層体300の間に形成される収容部102とを備える。すなわち、包装袋100は、側端部、下端部及び上端部がシール部101によってシールされている。包装袋100は、シール部101に包囲された非シール部(シート部)に、被包装物(例えば、飲食品)が収容される収容部102を備える。本明細書においては、被包装物を収容し、密封したものを特に包装体200ともいう。なお、下端部のシール部101は、被包装物を収容部102に充填した後にシールしてもよい。シール部101は、積層体300が有するシーラント層同士がヒートシールされて構成される。
包装袋100を構成する一対の積層体が、同じ層構成を備えることは必須ではなく、例えば、一対の積層体が、互いに異なる層構成を有していてもよい。
包装袋100は、開封を容易にするための開封手段120を備えていてもよい。開封手段は、側端部のシール部101に形成されるV字状のノッチからなる一対の易開封加工部124と、一対の易開封加工部124の間に切り開きの軌道となるハーフカット線121を有する。ハーフカット線121は、レーザーを用いて形成することができる。易開封加工部124は、V字状のノッチに限定されず、U字状又はI字状等のノッチであってよく、傷痕群あってもよい。
積層体300を用いて包装袋100及び包装体200を製造する手順を以下に説明する。所定形状に成形された一対の積層体300を準備する。それぞれの積層体300の一方面に設けられたシーラント層同士を対向させ、シーラント層同士を接着する。これによって、上端部及び側端部にシール部101を形成して、シール部101でコの字状に包囲された非シール部を形成する。このようにして、図2に示すような上端部のみ(又は下端部のみ)がシールされていない包装袋110が得られる。包装袋は、別の幾つかの実施形態において、図2に示すように一部の周縁がシールされていなくてもよい。
次に、未シール状態にある上端部(又は下端部)から被包装物を充填する。その後、上端部(又は下端部)において積層体300のシーラント層同士を接着して、上端部(又は下端部)にもシール部101を形成する。このようにして、包装袋100とその中に収容された被包装物とを備える包装体200を製造することができる。
上記包装袋100を構成する積層体について説明する。図3は、積層体の一例を模式的に示す断面図である。図3は積層体の積層方向(厚さ方向)に沿う断面を示している。積層体302は、基材10、プライマー層40、接着剤層30、及びシーラント層20をこの順に有する。基材10、プライマー層40、接着剤層30、及びシーラント層20は、それぞれフィルム状の形状であってよい。プライマー層40のシーラント層20側の主面の少なくとも一部に静電インク層50が設けられている。
積層体302の厚みは、例えば、15~200μm、又は18~120μmであってよい。
基材10及びシーラント層20は可撓性基材であってよい。可撓性基材としては、例えば、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、配向ポリアミド(OPA)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、直鎖低密度ポリエチエレン(LLDPE)、及び低密度ポリエチレン(LDPE)等が挙げられる。
基材10としては、例えば、可撓性基材上に金属箔を張り合わせた複合フィルムであってもよく、可撓性基材上に金属を蒸着した蒸着フィルム等を用いてもよい。なお、上記金属は、例えば、アルミニウム又は酸化アルミニウム等であってよい。基材10は、ガスバリア性を向上させる観点から、PETフィルムにアルミニウム又は酸化アルミニウム等が蒸着された蒸着フィルム(透明蒸着フィルム)等を用いることができる。基材10の厚みは、例えば、7~150μm、15~90μm、又は20~80μmであってよい。
シーラント層20としては、例えば、CPPフィルム、LLDPEフィルム、OPPフィルム等が挙げられる。シーラント層20の厚みは、基材10の厚みと同じであっても、異なってもよく、例えば、7~150μm、15~90μm、又は20~80μmであってよい。
プライマー層40は樹脂を含んでいてよい。樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル、ポリアミン、ポリエチレンイミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン、ポリアクリルポリマーヒドロキシル含有樹脂、カルボキシル基含有樹脂、及びアミン系ポリマー等が挙げられる。印刷対象となる基材上にプライマー層40が設けられることによって、デジタル印刷機を用いた静電インク組成物の印刷を円滑に行うことができる。プライマー層40を構成する樹脂の塗布量は、例えば0.01~1.5g/m、又は0.05~1.0g/mであってよい。
積層体302は、プライマー層40上に印刷面52を備える。印刷面52には、静電インク層50が設けられている。静電インク層50は、静電インク組成物で構成されており、デジタル印刷機を用いた静電印刷によって設けられる。図3において複数ある静電インク層50は、同一組成を有していてもよいし、互いに異なる組成を有することによって異なる色を有していてもよい。静電インク層50は、プライマー層40上に点在するように設けられてもよいし、プライマー層40の一方面の全体を覆うように設けられてもよい。
印刷面52における静電インク層50は、静電インク組成物の円形の網点で構成されている。換言すれば、単色で一様に見えても、網点間には無地の領域を有する。静電インク層50は、印刷対象となる所定の領域を単色で印刷する場合は一般に円形の網点が互いに離間して配置され、2色以上で印刷する場合には、1色目に印刷された網点の間又は1色目に印刷された網点に一部重なるようにして2色目以降の静電インク組成物の円形の網点が配置されるようにして構成される。網点のサイズを変えることによって印刷面52における色の濃淡を調整することができ、異なる色の網点を配置することによって、印刷面52における色調を調整することもできる。
静電インク層50のインク被覆率は500%以下であるが、例えば、450%以下、又は400%以下であってよい。静電インク層50のインク被覆率を上記範囲内とすることによって、積層体のラミネート強度に優れ、且つ複数のインクを用いた印刷が可能であり、多様な印刷にも対応させることができる。静電インク層50のインク被覆率は特に限定されるものではないが、例えば、20%以上、50%以上、80%以上、又は100%以上であってよい。静電インク層50のインク被覆率は上述の範囲内で調整してよく、例えば、20~500%、50~400%、又は100~400%であってよい。
本明細書においてインク被覆率(インクカバレッジ)とは、単位面積当たりの網点面積の割合を表したものであり、印刷対象となる所定の領域を単色で一様に印刷した際のインク被覆率を100%とし、印刷がなされていない領域のインク被覆率を0%とする値である。複数の色のインクによって印刷を行う場合には、各色のインクについてインク被覆率を算出し、その合計を対象の静電インク層のインク被覆率とする。インク被覆率は、デジタル印刷機で設定され、インク被覆率の設定において所望の値を指定することで調整できる。デジタル印刷機としては、例えば、HP社製の「Indigo20000ラベル及びパッケージ用デジタル印刷機」(製品名)等を使用できる。なお、包装袋又は積層体の印刷面に対する光学顕微鏡観察によって、対象となる積層体における静電インク層のインク被覆率を確認することもできる。
なお、静電インク層50が静電インク組成物の円形の網点で構成されていることから、インク被覆率が100%の場合であっても、静電インク層50のシーラント層20側の面を光学顕微鏡等で観察すると、プライマー層40の主面を確認することができる。すなわち、インク被覆率が100%であってもプライマー層40と接着剤層30とは直接接着し得る。一方で、インク被覆率が大きな値になるにつれて、印刷面52と接着剤層30との接着面におけるプライマー層40の存在割合が少なくなる傾向にある。従来の接着剤を用いた場合、インク被覆率が大きくなると静電インク層とプライマー層との界面、又は静電インク層と接着剤層との界面における接着力が低下し、積層体としてのラミネート強度が期待するほどに発揮されない場合があった。一方、本開示に係る積層体においては、後述する接着剤組成物を使用することによって、インク被覆率が大きい場合であっても十分なラミネート強度を発揮し得る。
プライマー層40のシーラント層20側の主面におけるインク塗布量は、例えば、0.5g/m以上、1.0g/m以上、2.0g/m以上、又は3.0g/m以上であってよい。上記インク塗布量が上記範囲内であることで、複数色で構成された多彩な印刷表現を得ることができる。プライマー層40のシーラント層20側の主面におけるインク塗布量は、例えば、8.0g/m以下、又は6.0g/m以下であってよい。上記インク塗布量が上記範囲内であることで、静電インク層50とプライマー層40との界面、又は静電インク層50と接着剤層30との界面における接着力の低下をより十分に抑制できる。本明細書におけるインク塗布量とは、印刷に使用するインク組成物の総量(固形分量)を意味し、多色で印刷した場合はその合計値を意味する。
積層体302のラミネート強度は2.0N/15mm以上であるが、インク被覆率と後述する接着剤組成物の組成等を調整することによって、例えば、2.2N/15mm以上、2.5N/15mm以上、2.7N/15mm以上、2.9N/15mm以上、又は3.0N/15mm以上とすることもできる。積層体のラミネート強度が上記範囲内であることは、静電インク層とプライマー層との界面、及び静電インク層と接着剤層との界面における接着強度に優れていることを意味し、当該積層体で構成される包装袋を引き裂く際に加える外力を十分に基材の引き裂きのために利用することができる。このような作用によって、包装袋をきれいに開封することができる。
本明細書におけるラミネート強度は、JIS K 6854-1:1999の記載に準拠して測定されるはく離接着強さを意味し、具体的には、本明細書の実施例に記載の方法によって測定することができる。
積層体302のラミネート強度をXとし、120℃、30分間のレトルト熱処理した後の積層体のラミネート強度をYとした場合に、100(Y-X)/X[ラミネート強度の変化率]が-30%超である。上記ラミネート強度の変化率は、例えば、-25%以上、-20%以上、又は-15%以上とすることができる。積層体302のラミネート強度の変化率が上記範囲内であると、レトルトによる被包装物に対する滅菌処理等の高温熱水処理を行った場合にも積層体のラミネート強度が大きく低下せず、静電インク層とプライマー層との界面、及び静電インク層と接着剤層との界面における接着強度に優れていることを意味し、当該積層体で構成される包装袋を引き裂く際の外力を十分に基材の引き裂きのために利用することができる。このような作用によって、高温熱水処理を経た後であっても包装袋をきれいに開封することができる。
図4は、積層体の別の例を示す断面図である。図4の積層体304は、プライマー層40の一方面の全体が静電インク層51で覆われている点で、図3の積層体302と異なっている。すなわち、積層体304では、静電インク層50によるプライマー層40の主面に対する被覆割合が100面積%である。後述する接着剤組成物を使用することによって、プライマー層40と接着剤層30との直接の接着が難しい積層体304のような構成であっても、十分な接着強度を有し、積層体304における層間はく離等が抑制されている。
積層体302,304において、静電インク層50,51を構成する静電インク組成物は、液体電子写真印刷、すなわち静電印刷に用いられるインク組成物であり、紙及びプラスチック等の基材、又はプライマー層上に印刷される。静電インク組成物は、顔料及び染料等の着色剤、並びに樹脂を含んでよい。静電インク組成物はまた、キャリア流体又はキャリア液体を更に含んでよい。静電インク組成物は、例えば、チャージディレクタ、チャージアジュバント、界面活性剤、粘度調節剤、乳化剤及びその他の添加剤を含んでよい。
着色剤としては、例えば、シアン顔料、マゼンタ顔料、イエロー顔料、及びブラック顔料が挙げられる。デジタル印刷を容易に行う観点から樹脂としては、比較的融点の低い(例えば、100℃以下)樹脂を用いることができる。樹脂としては、例えば、エチレンアクリル酸コポリマー、プロピレンアクリル酸コポリマー、エチレンメタクリル酸コポリマー、プロピレンメタクリル酸コポリマー、及びエチレン酢酸ビニルコポリマー等の熱可塑性樹脂が挙げられる。樹脂は、エチレンアクリル酸コポリマー及びエチレンメタクリル酸コポリマーの少なくとも一方を含むことが好ましい。
キャリア流体及びキャリア液体としては、例えば、炭化水素、シリコーンオイル、及び植物油等が挙げられる。炭化水素としては、脂肪族炭化水素、分岐鎖脂肪族炭化水素、及び芳香族炭化水が挙げられる。静電インク組成物は、基材上に印刷された場合に、キャリア流体及びキャリア液体を実質的に含まないものであってよい。キャリア流体及びキャリア液体は、例えば印刷中の電気泳動プロセス又は蒸発によって除去してもよい。これによって実質的に固形分だけが基材又はプライマー層上に転写される。
チャージディレクタは、静電インク組成物に含まれる粒子に十分な静電電荷を維持する作用を有する。チャージディレクタとしては、例えば、脂肪酸の金属塩、スルホスクシネートの金属塩、オキシホスフェートの金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸の金属塩、芳香族カルボン酸の金属塩、及び芳香族スルホン酸の金属塩等のイオン性化合物、並びにポリオキシエチレン化アルキルアミン、レシチン、ポリビニルピロリドン、多価アルコールの有機酸エステルのような双対イオン性及び非イオン性化合物が挙げられる。
チャージアジュバントは、静電インク組成物に含まれる粒子の電荷を増大させる又は安定化させる作用を有する。チャージアジュバントとしては、例えば、バリウムペトロネート、カルシウムペトロネート、ナフテン酸Co塩、ナフテン酸Ca塩、ナフテン酸Cu塩、ナフテン酸Mn塩、ナフテン酸Ni塩、ナフテン酸Zn塩、ナフテン酸Fe塩、ステアリン酸Ba塩、ステアリン酸Co塩、ステアリン酸Pb塩、ステアリン酸Zn塩、ステアリン酸Al塩、ステアリン酸Cu塩、ステアリン酸Fe塩、及び金属カルボキシレート等が挙げられる。
静電インク組成物は、接着剤層30及び/又はプライマー層40に含まれる成分によって架橋した架橋物を含んでいてもよい。架橋物を含むことによって、静電インク層50自体の強度、並びに、印刷面52と静電インク層50との接着強度、及び静電インク層50とプライマー層40との接着強度をより向上させることができる。
静電インク組成物の印刷面52と接着剤層30とは互いに接着している。すなわち、印刷面52が接着剤層30との接着面となっており、静電インク組成物と接着剤組成物とが直接接触している。
接着剤組成物は、ポリオールと、ポリイソシアネートと、エポキシ化合物と、を含有する。これらの三成分(ポリオール、ポリイソシアネート、及びエポキシ化合物)は、少なくとも一部が互いに反応して硬化し硬化物となっていてもよい。すなわち、接着剤組成物は、ポリオール、ポリイソシアネート及びエポキシ化合物を含む接着剤組成物及びその硬化物の少なくとも一方で構成されていてよく、接着剤層30は、接着剤組成物、その硬化物、又はこれらの混合物で構成されていてよい。ポリオール及びポリイソシアネートは、それぞれ、主剤及び硬化剤として反応してポリウレタン(ポリウレタン接着剤)を生成する。
ポリオールは一分子中に2つ以上の水酸基を有し、例えば、数平均分子量が400以上であってよい。ポリオールの数平均分子量は、例えば、10000以下であってよい。
ポリオールは、例えば、ポリエステルポリオール、及びポリエーテルポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一つを含有してよい。このうち、高温環境下における接着剤層30の接着強度を十分に高くする観点から、ポリオールはポリエステルポリオールを含んでよく、脂肪族ポリエステルポリオールを含んでもよい。
ポリエステルポリオールは、例えば、多価アルコールと、多塩基酸、多塩基酸のアルキルエステル、多塩基酸の酸無水物、又は、多塩基酸の酸ハライドとの縮合反応、或いはエステル交換反応によって得られる。
多価アルコールとしては、例えば、低分子量ジオール、低分子量トリオール、水酸基を4つ以上有する低分子量ポリオール等が挙げられる。
低分子量ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、及び2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
低分子量トリオールとしては、例えば、グリセリン、2-メチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジヒドロキシ-3-ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2-メチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)ペンタン、及び、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-3-ブタノール等が挙げられる。
水酸基を4つ以上有する低分子量ポリオールとしては、例えば、テトラメチロールメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、D-ソルビトール、キシリトール、D-マンニトール、及びD-マンニット等が挙げられる。
多塩基酸のアルキルエステルとしては、多塩基酸のメチルエステル、多塩基酸のエチルエステルなどが挙げられる。多塩基酸の酸無水物としては、多塩基酸から誘導される酸無水物が挙げられる。多塩基酸の酸無水物としてはより具体的には、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水2-アルキル(炭素数12~18)コハク酸、無水テトラヒドロフタル酸、及び無水トリメリット酸等が挙げられる。
多塩基酸の酸ハライドとしては、例えば、上述の多塩基酸のアルキルエステル又は多塩基酸の酸無水物から誘導される酸ハライドが挙げられる。多塩基酸の酸ハライドとしてはより具体的には、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライド、セバチン酸ジクロライド等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールは、例えば、ポリアルキレンオキサイド等が挙げられる。ポリエーテルポリオールは、例えば、低分子量ポリオールを開始剤として、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加反応させることによって得られるものであってよい。ポリエーテルポリオールはより具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリエチレンポリプロピレングリコール(ランダム又はブロック共重合体)等が挙げられる。ポリエーテルポリオールとしてはまた、テトラヒドロフランの開環重合等によって得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ポリイソシアネートは一分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する。ポリイソシアネートとしては、例えば、ポリイソシアネート単量体、ポリイソシアネート誘導体、及びイソシアネート基末端プレポリマー等が挙げられる。接着剤組成物は、互いに異なる複数種類のポリイソシアネートを含んでいてもよい。ポリオールの水酸基に対する、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、例えば、0.5~10であってよい。このような接着剤組成物は、高い接着強度を有しつつ柔軟性に優れる硬化物を形成することができる。
ポリイソシアネート単量体としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、及び脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート)、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及び2,6-ジイソシアネートメチルカプエート等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、キシリレンジイソシアネート誘導体が挙げられる。キシリレンジイソシアネート誘導体としては、例えば、キシリレンジイソシアネート(1,3-キシリレンジイソシアネート、又は、1,4-キシリレンジイソシアネート)(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、又は、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート)(TMXDI)、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、及びキシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応によって得られるキシリレンジイソシアネートのポリオール変性体等が挙げられる。
ポリイソシアネート全体に対するキシリレンジイソシアネート誘導体の含有量は、主剤(例えば、ポリオール)との反応性向上の観点から、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、又は40質量%以上であってよい。ポリイソシアネート全体に対するキシリレンジイソシアネート誘導体の含有量を30質量%以上とすることで、反応性をより一層高くすることができる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート)、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロジイソシアネート)(IPDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート)、及びノルボルナンジイソシアネート(NBDI)等が挙げられる。
ポリイソシアネート誘導体としては、例えば、上記したポリイソシアネート単量体の多量体、アロファネート変性体、ポリオール変性体、単量体とアルコール類との反応によって生成するポリオール変性体、ビウレット変性体、ウレア変性体、オキサジアジントリオン変性体、カルボジイミド変性体、ウレトジオン変性体、及びウレトンイミン変性体等が挙げられる。
イソシアネート基末端プレポリマーは、少なくとも2つのイソシアネート基を分子末端に有するウレタンプレポリマーである。ポリイソシアネート単量体、ポリイソシアネート誘導体及びイソシアネート基末端プレポリマーからなる群より選ばれる少なくとも一種と、ポリオールとを、ウレタン化反応させて得ることができる。このとき、ポリオールの水酸基に対する、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、0.5以上、0.6以上、0.8以上、1以上、又は1.5以上であってよい。上記モル比(NCO/OH)は、10以下、5以下、4以下、又は3以下であってもよい。モル比(NCO/OH)の数値範囲の例として、0.5~10、0.5~5、0.8~4、及び0.6~3が挙げられる。
エポキシ化合物は、1分子中に1個又は2個以上のエポキシ基を有する化合物であってよい。高温環境下における接着剤層30の接着強度を一層高くする観点から、両末端にエポキシ基を有するものであってよい。エポキシ化合物としては、グリジシルエーテル型エポキシ化合物、グリジシルアミン型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、及び脂環式エポキシ化合物(環状脂肪族エポキシ化合物)等が挙げられる。
エポキシ化合物の分子量は、例えば、500以下、450以下、又は400以下であってよい。エポキシ化合物の分子量が上記範囲内であることによって、静電インク層を構成する静電インク組成物中にエポキシ化合物を十分に浸透させることができる。エポキシ化合物の分子量の下限は、例えば98以上であってよい。
脂環式エポキシ化合物としては、例えば、エポキシシクロヘキシルメチル-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、及びビス(エポキシシクロヘキシル)アジペート等が挙げられる。
1分子中に1個のエポキシ基を有する1官能の脂環式エポキシ化合物としては、例えば、3,4エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、及び1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。1分子中に2個のエポキシ基を有する2官能のエポキシ化合物としては、例えば、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、及び4-ビニルシクロヘキセンジオキシド等が挙げられる。また、1分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物として、下記一般式(I)で表される2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物が挙げられる。
Figure 2022106075000002
上記一般式(I)中、nは、1~4の整数であってよい。
エポキシ化合物は、2官能の脂環式エポキシ化合物を含むことが好ましい。2官能であることによって、静電インク組成物及びプライマー樹脂との架橋点を増やし接着剤の硬化反応を促進して、硬化し易くすることができる。また、脂環式であることによって、立体障害によってポリイソシアネートとの反応を抑制することができる。このため、安定的に硬化し、印刷面52と接着剤層30の界面の密着性を十分に優れたものとすることができる。
接着剤組成物において、ポリオール100質量部に対するエポキシ化合物の含有量は、高い接着強度と優れた剪断抑制力を両立する観点から、3~25質量部、6~25質量部、又は8~20質量部であってよい。エポキシ化合物の含有量が過大になると、優れた剪断抑制力が損なわれる傾向にある。すなわち、接着剤層30を形成したときに接着面がずれたり、接着剤組成物がはみ出したりする場合がある。エポキシ化合物の配合量が過小になると、高温熱水処理条件下における接着強度が低下する傾向にある。
接着剤組成物において、ポリオール100質量部に対するポリイソシアネートの含有量は、シール強度及び高温熱水処理条件下における接着強度を十分に高くする観点から、10~50質量部、15~35質量部、又は20~30質量部であってよい。
ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基に対する、エポキシ化合物に含まれるエポキシ基のモル比は0.5~10、1.5~9、又は2.0~6.5であってよい。これによって、高温熱水処理条件下において十分に高い接着強度を維持することができる。
接着剤層30を構成する接着剤組成物は、上述の成分の他に、添加剤等の任意成分を含有してよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、シランカップリング剤、エポキシ樹脂、触媒、塗工性改良剤、レベリング剤、核剤、滑剤、離型剤、消泡剤、可塑剤、界面活性剤、顔料、染料、有機微粒子、無機微粒子、防黴剤、及び難燃剤等が挙げられる。接着剤組成物は、有機溶媒等の溶剤を含有してよい。
接着剤組成物は、静電インク組成物が印刷されている印刷面52とシーラント層20とを接着する。接着剤層30とシーラント層20との間には任意の層を備えていてよい。積層体302,304は、例えば、接着剤層30及びシーラント層20の間にバリア層等を更に有してもよい。この場合、接着剤組成物は、印刷面52と任意の層(例えば、バリア層等)とを接着する。接着剤組成物は、ポリオールとポリイソシアネートと反応によってウレタン結合を形成し、接着剤としての機能を発揮する。エポキシ化合物の共存下でも、ウレタン結合の形成が円滑に進行するため、印刷面52と、シーラント層20又は任意の層とを、十分に高い接着強度で接着することできる。
接着剤組成物は、ウレタン結合の形成とともに静電インク層50,51を形成する静電インク組成物を架橋させる機能を有していてもよい。これによって、印刷面52とシーラント層20又は任意の層との接着強度をより向上させることができる。
静電インク層50によるプライマー層40の主面に対する被覆割合が高くなる場合、又は静電インク層50,51におけるインク被覆率が高くなる場合、一般に静電インク層50と接着剤層30との接着力は低下する傾向にあるが、上述の接着剤組成物の場合、十分な接着強度を発揮し得る。また、静電インク層50によるプライマー層40の主面に対する被覆割合、又は静電インク層50,51におけるインク被覆率が高くなる場合、それに応じて接着剤組成物に含まれるエポキシ化合物の含有量を増やすことによって、静電インク組成物によって構成される静電インク層50,51に、エポキシ化合物を十分に浸透させることができ、接着強度の低下をより抑制することができる。浸透したエポキシ化合物は、静電インク組成物を架橋させることによって、静電インク組成物(静電インク層50,51)の強度を高める作用を有する。このため、印刷面52におけるインク被覆率等が高くなっても、レトルト熱処理のような加熱処理が施される場合であっても接着強度の低下を十分に抑制することができる。
接着剤組成物は、熱処理後においても高い接着強度を維持できる一方で、ポットライフにも優れる。このため、印刷面と基材とを接着する際の、塗工及びラミネート加工等の作業性にも優れる。接着剤組成物は、ウレタンを形成するポリオール及びポリイソシアネートと、エポキシ化合物とを含み、これらの少なくとも一部が硬化物となって接着剤層を形成してよい。これは、ポリウレタンのみを含む接着剤層とエポキシコーティング層とを別々に設ける場合に比べて、積層体300を構成する層の数を減らすことができる。このため、例えばロールトゥロールで積層体を作製する際、エージング後のロールの蛇行、及び、ブロッキング等による皺の発生等の問題が発生しない。また、コーティング後のエージング工程を削減し、製造の効率化を図ることができる。
印刷面52における静電インク層50,51と接着剤層30とが直接接する積層体302,304では、接着剤組成物に含まれるエポキシ化合物及び/又はポリイソシアネート等の成分が静電インク層50,51中に十分に浸透する。これによって、静電インク層50,51を構成する静電インク組成物を架橋し、静電インク組成物(静電インク層50,51)の強度を向上することができる。また、各層間の接着強度を向上することができる。また、図3のように印刷面52が静電インク層50のない無地部分(透明部分)を含む場合であっても、エポキシ化合物は接着剤層の中に含まれるため、べたつきをなくすことができる。一方、接着剤層30と別にエポキシコーティング層を設けると、印刷面52が無地部分を含む場合に、無地部分の近傍でエポキシ化合物が過剰となり、べたつきが発生し易くなる。このように、積層体300は、静電インク層50が形成されていない無地部分を含む印刷面52を高い接着強度で接着しつつ、べたつきをなくすことができる。
積層体302,304は、上述のとおり静電インク層50,51と、基材10、プライマー層40、及び接着剤層30との間の接着強度を十分に確保できることから、引き裂き面付近における静電インク層50,51と、基材10、プライマー層40、及び接着剤層30との間でのはく離が抑制され、基材10の引き裂きに十分に外力を伝えることが可能であり、引き裂き性に優れる包装袋を構成できる。このような包装袋は開封の際に、事前に想定した引き裂き線に沿って包装袋を開封することが可能であり、被包装物の飛散を抑制することができ、また開封面もきれいなものとなる。開封後も印刷面に記載された情報を判読可能であり、外観が重視される飲食品及び衛生品等の包装袋として有益である。ただし、用途はこれらに限定されるものではない。例えば、高温熱水処理及びレトルト熱処理後においても接着強度及びシール強度に優れることから、レトルト用の包装材、電子レンジ対応の包装材、及び煮沸用の包装材として用いてもよい。
変形例に係る積層体においては、基材10とシーラント層20との対向面のそれぞれにプライマー層40を有していてもよい。また、基材10及びシーラント層20との間には、積層体302,304のガスバリア性及び水蒸気バリア性向上の観点から、基材10とプライマー層40の間、及び/又は、シーラント層20と接着剤層30との間に、アルミニウム箔等の金属層、及び、ナイロンフィルム等の樹脂層の少なくとも一つを有していてもよい。
積層体の層構造の具体例を、以下に例示する。各例示において、左端が基材10、右端がシーラント層20に対応し、左から右に向かって順番に各層が積層されていることを意味する。また、第1接着剤層は接着剤層30であり、第2接着剤層及び第3接着剤層は、従来の接着剤層であってよい。
(1)透明蒸着PETフィルム/プライマー層/静電インク層/第1接着剤層/ナイロン層/第2接着剤層/CPPフィルム(無延伸ポリプロピレンフィルム)
(2)PETフィルム/プライマー層/静電インク層/第1接着剤層/アルミニウム層/第2接着剤層/ナイロン層/第3接着剤層/CPPフィルム(無延伸ポリプロピレンフィルム)
(3)PETフィルム/プライマー層/静電インク層/第1接着剤層/ナイロン層/第2接着剤層/CPPフィルム(無延伸ポリプロピレンフィルム)
(4)PETフィルム/プライマー層/静電インク層/第1接着剤層/アルミニウム層/第2接着剤層/ポリエチレンフィルム
上記各具体例において、第一接着剤層及びシーラント層20の間の任意の位置に任意の層を設けてもよい。(1)及び(2)はレトルト用の積層体、(3)は電子レンジ用の積層体、(4)は内容物をサプリメントやフェイスマスクとする積層体として好適に用いられる。ただし、用途は上述のものに限定されない。
上述の積層体は例えば、以下のような方法で調製することができる。積層体の製造方法の一実施形態を以下に説明する。積層体の製造方法の一例では、図3に示す積層体302を製造する。まず、フィルム状の基材10の一方面上にプライマー層40を形成する工程と、プライマー層40上に静電インク組成物を印刷して静電インク層50を形成し、印刷面52を得る工程と、印刷面52とシーラント層20の一方面とを、上述した特定の接着剤組成物を用いて接着する工程と、を有する。
プライマー層40は、基材10の一方面上にフレキソ印刷又はグラビア印刷等で形成してよい。プライマー層40は、樹脂原料を、架橋剤によって架橋させてもよい。架橋は、紫外光、加熱、電子ビームのようなイオン化放射線、及びマイクロ波放射線のような非イオン化放射線を照射して行ってもよい。
静電インク組成物の印刷は、デジタル印刷機を用いた静電印刷によって行うことができる。
印刷面52とシーラント層20の一方面との接着剤組成物による接着は、ラミネートによって行うことができる。ラミネートは、任意の装置を用いて行うことができる。接着剤組成物に含まれるエポキシ化合物及び/又はポリイソシアネートが静電インク層50を構成する静電インク組成物及びプライマー層40に浸透し、静電インク組成物及びプライマー層40に含まれる成分と架橋反応してもよい。これによって、静電インク層50の強度が向上するとともに、各層の界面が十分に結着した積層体300を得ることができる。ラミネートの際に、接着剤組成物の少なくとも一部は硬化して硬化物となってもよい。このようにして、基材10、プライマー層40、静電インク層50、接着剤層30及びシーラント層20をこの順に備える積層体302を製造することができる。積層体304及び変形例に係る積層体も、積層体302と同様にして製造することができる。
このようにして製造される積層体302,304は、これらの実施形態で説明したとおりの構成及び性状を有する。積層体302,304及びこれらの変形例に係る説明内容は、上述の製造方法の実施形態の説明にも適用される。
以上、幾つかの実施形態について説明したが、共通する構成については互いの説明を適用することができる。また本開示は、上記実施形態に何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例を参照して本開示の内容をより詳細に説明するが、本開示は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[積層体の作製]
基材として、アルミナ蒸着PETフィルム(凸版印刷株式会社製、商品名:GLARH12、厚さ:12μm)を準備した。このアルミナ蒸着面に水性プライマー樹脂(ポリエチレンイミンを含有する樹脂、Michelman社製、商品名:DP050)を塗布してプライマー層を形成した。水性ポリエチレンイミンの塗布量が0.10~0.18g/mとなるように塗布した。
デジタル印刷機(HP社製,Indigo20000ラベル及びパッケージ用デジタル印刷機)を用いて、プライマー層の表面に所定の印刷を行った。静電インク組成物としては、エチレンアクリル酸、及びエチレンメタクリル酸のコポリマーを含有する熱可塑性樹脂を含む静電インク組成物(HP Indigo エレクトロインキ)を使用した。静電インク組成物の色としては、表1に示すとおり、黄色(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)を用いた。静電インク組成物の色及びインク被覆率が異なる複数の試料を作製した。インク被覆率は、表1に示すとおりとした。各インク被覆率は、上記デジタル印刷機の設定によって調節した。表1に示すとおり、インク被覆率の合計は200~400%であった。
主剤として脂肪族ポリエステルポリオール(三井化学株式会社製、商品名:タケラックA626、以下「(A)」と称する場合もある。)、硬化剤としてポリイソシアネート(三井化学株式会社製、商品名:タケネートA50、以下「(B)」と称する場合もある。)、エポキシ化合物として3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(以下、「C」と称する場合もある。)、及び、溶媒として酢酸エチルを配合して、固形分濃度が36.5質量%の接着剤組成物を調製した。このエポキシ化合物の構造は下記式(1)に示すとおりである。各成分の質量基準の配合比(質量基準)は、(A):(B):(C)=8:1:0.28とした。
静電インク組成物を印刷した印刷面に対し、ドライラミネート装置を用いて、上述のとおりに調製した接着剤組成物を塗布して接着剤層を形成した。接着剤組成物の塗布量は、4.0g/mとした。
Figure 2022106075000003
ナイロンフィルムと無延伸ポリプロピレンフィルムとを市販の接着剤で貼り合わせて積層フィルムを作製した。上記ドライラミネート装置を用い、基材上の接着剤層と上記積層フィルムのナイロンフィルムとが向かい合うにして、ナイロンフィルムと接着剤層とを貼り合わせて積層体を得た。養生時間(エージング)は、40℃で2日間とした。
(実施例2,3)
静電インク組成物の色及びインク被覆率を表1に記載のとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を調製した。
(比較例1~3)
接着剤組成物を調製する際にエポキシ化合物((C)成分)を配合しなかったこと以外は、実施例1~3と同様にして積層体を調製した。
<積層体のラミネート強度の評価>
実施例1~3、及び比較例1~3で調製した積層体のそれぞれについて、JIS K 6854-1:1999の記載に準拠してラミネート強度を測定した。具体的には、まず調製した積層体を15mm幅にカットして測定サンプルとした。測定サンプルの端部における層間をはく離した後、角度:90°、引張速度:300mm/min、及び室温の条件で引張試験機を用いて、積層体の層間のはく離強度を測定した。このはく離強度を常温(20℃)でのラミネート強度とした。測定結果は表1に示すとおりであった。
<積層体の引き裂き性評価>
実施例1~3及び比較例1~3で調製した積層体それぞれについて、シーラント層同士を対向させてヒートシールすることによって、4辺がシールされた包装袋(図1に示すような包装袋)を得た。シールされた1辺に対してI字状のノッチを設け評価用サンプルを調製した。各評価用サンプルに対してノッチを起点として包装袋を開封し、その際の外観を目視確認することによって、引き裂き性を評価した。引き裂き性の評価は開封された断面のきれいさに基づき、以下の評価基準で行った。
A:積層体の層間はく離が観測されず、引き裂き面の揺らぎも少ない。
B:積層体の層間はく離は観測されないが、引き裂き面が揺らいでいる。
C:積層体の層間はく離が観測され、引き裂き面が揺らいでいる。
結果を表1に示す。また参考のため、評価基準Aとする一例を図5に、評価基準Cとする一例を図6に示した。図5中では引き裂き箇所をAで示し、一対の積層体の前面側の積層体の引き裂き端部をA1、背面側の積層体の引き裂き端部をA2で示した。図5に示されるように、実施例1の包装袋では、A1とA2とがほぼ一致し、きれいに開封できることが確認できた。図6中では引き裂き箇所をBで示し、一対の積層体の前面側の積層体の引き裂き端部をB1、背面側の積層体の引き裂き端部をB2で示した。図6に示されるように、比較例1の包装袋では、B1とB2との位置が互いに大きくずれてしまうことが確認された。このような位置ずれは、図6中、Cで示すように、積層体の印刷面等ではく離が生じ、引き裂きの外力が基材の引き裂きに十分に利用できなかったためと推定される。
Figure 2022106075000004
(実施例4~6)
ナイロンフィルムと無延伸ポリプロピレンフィルムとを市販の接着剤で貼り合わせた積層フィルムに代えて、アルミニウム薄膜、ナイロンフィルム、及び無延伸ポリプロピレンフィルムをこの順に市販の接着材で張り合わせて調製した積層フィルムを用いたこと以外は、実施例1~3と同様にして積層体を調製した。得られた各積層体に対して実施例1と同様にラミネート強度及び引き裂き性の評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例4~6)
ナイロンフィルムと無延伸ポリプロピレンフィルムとを市販の接着剤で貼り合わせた積層フィルムに代えて、アルミニウム薄膜、ナイロンフィルム、及び無延伸ポリプロピレンフィルムをこの順に市販の接着材で張り合わせて調製した積層フィルムを用いたこと以外は、比較例1~3と同様にして積層体を調製した。得られた各積層体に対して実施例1と同様にラミネート強度及び引き裂き性の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2022106075000005
(実施例7~9)
実施例1~3と同様にして、積層体を調製した。
(比較例7~9)
比較例1~3と同様にして積層体を調製した。
<積層体に対する加熱処理前後のラミネート強度の変化率の測定>
実施例7~9、及び比較例7~9で調製した積層体から、15mm幅にカットした測定サンプルをそれぞれ2つずつ用意した。一方のサンプルについては、実施例1と同様にしてそのままラミネート強度の値Xを測定した。次に、もう一方の測定サンプルに対して、120℃、30分間のレトルト熱処理を行った。具体的には、実施例7~9、比較例7~9で調整した積層体それぞれについて、シーラント層同士を対向させてヒートシールすることによって、3辺がシールされた包装袋を得た。次に被包装物として水を100g入れ、残りの1辺をシールすることによって4方シール袋(包装体)を調製した。レトルト殺菌試験機を用いて温度120℃、処理時間30分の条件で、得られた包装体を加熱殺菌処理した後に、包装体を開封して15mm幅にカットした測定サンプルを得た。上記レトルト熱処理後の測定サンプルについて実施例1と同様にラミネート強度を測定した。測定結果から、100(Y-X)/Xの値を算出し、ラミネート強度の変化率を決定した。結果を表3に示す。
<積層体の引き裂き性評価>
実施例7~9、及び比較例7~9で調製した積層体について、実施例1と同様にして引き裂き性の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2022106075000006
(実施例10~11)
実施例4~6と同様にして、積層体を調製した。得られた積層体に対して、実施例7と同様にして、ラミネート強度の変化率の決定及び引き裂き性の評価を行った。結果を表4に示す。
(比較例10~11)
比較例4~6と同様にして、積層体を調製した。実施例7と同様にして、ラミネート強度の変化率の決定及び引き裂き性の評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2022106075000007
上述の実施例及び比較例の結果から、ポリオール、ポリイソシアネート及びエポキシ化合物を含む接着剤組成物を用いることによって、ラミネート強度の向上及び引き裂き性の向上を達成できることが確認された。このようなラミネート強度の向上及び引き裂き性の向上の要因としては、静電インク組成物の強度の向上、及び、各層間の接着強度の向上が寄与していると考えられる。以下、参考までに、接着剤組成物の組成を調整した例を示す。
(参考例1)
[積層体の作成]
接着剤組成物における各成分の質量基準の配合比を(A):(B):(C)を表5に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層体を作成した。また得られた積層体に対して、実施例1と同様にしてラミネート強度を測定した。結果を表5に示す。
(参考例2)
脂肪族ポリエステルポリオール(A)(三井化学株式会社製、商品名:タケラックA626)からなる第1液と、ポリイソシアネート(B)(三井化学株式会社製、商品名:タケネートA50)及びエポキシ化合物(C)からなる第2液とが、別々に容器に収容された2液型接着剤を準備した。第1液と第2液とを混合し、表5に示す配合の接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物を用いたこと以外は、参考例1と同様にして積層体を作製し、接着強度の測定を行った。測定結果は表5に示すとおりであった。
(比較例13)
接着剤組成物を調製する際にエポキシ化合物(C)を配合しなかったこと以外は、参考例1と同様にして積層体を作製し、接着強度の測定を行った。測定結果は表5に示すとおりであった。
(比較例14)
静電インク組成物を印刷した印刷面に対し、式(1)のエポキシ化合物を塗布してエポキシコーティング層を設けたこと、このエポキシコーティング層に、比較例13の接着剤組成物を塗布したこと以外は、参考例1と同様にして積層体を作製し、接着強度の測定を行った。エポキシコーティング層の塗布量は、表5に示す配合において0.53質量部に相当する量とした。測定結果は5に示すとおりであった。
Figure 2022106075000008
表5の[(B)/(A)]×100の欄には、100質量部の脂肪族ポリエステルポリオールに対するポリイソシアネートの配合量(質量部)を示している。表5の[(C)/(A)]×100の欄には、100質量部の脂肪族ポリエステルポリオールに対するエポキシ化合物の配合量(質量部)を示している。表5の「エポキシ基/イソシアネート基」の欄には、ポリイソシアネート(B)に含まれるイソシアネート基に対する、エポキシ化合物(C)に含まれるエポキシ基のモル比を示している。
表5に示すとおり、エポキシ化合物を含む接着剤層と印刷面とを接着した参考例1~2の積層体は、エポキシ化合物を含まない接着剤層と印刷面とを接着した比較例13の積層体よりも接着強度が高くなることが確認された。なお、比較例14では、比較的高い接着強度が得られたが、接着剤層に加えてエポキシコーティング層を形成するため、工程数が増加した。エポキシコーティング層の硬化(エージング)には2日間所要し、生産性が低下した。
比較例13の積層体では、静電インク層とプライマー層との界面付近ではく離していた。比較例14の積層体では、静電インク層が凝集破壊していた。一方、参考例1~2の積層体では、静電インク層と接着剤層の界面ではく離しており、静電インク層の凝集破壊は見られなかった。このことは、静電インク層の凝集力が向上していることを示唆している。なお、参考例1~2における、脂肪族ポリエステルポリオール(A)の水酸基に対する、ポリイソシアネート(B)に含まれるイソシアネート基のモル比は0.5~10の範囲内であった。
次に、参考例1と比較例14の積層体に対して、ラミネート強度に加えて、熱水ラミネート強度及びシール強度の測定を行った。測定には、インク被覆率の合計が500%のものと、200%のものを用いた。測定手順の詳細は以下のとおりである。
[熱水ラミネート強度の測定]
参考例1と比較例14の積層体を、それぞれ15mm幅にカットして測定用サンプルを得た。測定用サンプルの端部における層間をはく離した後、90℃の熱水に浸した状態で引張試験機を用いてはく離強度を測定した。すなわち、はく離角度:フリー、引張速度:300mm/分間とした。このはく離強度を熱水ラミネート強度として表6に示す。
[シール強度(熱処理前)の測定]
参考例1の一対の積層体を用いて、無延伸ポリプロピレンフィルム同士が重なり合うようにしてヒートシールを行い、シール部を形成した。これによって、無延伸ポリプロピレンフィルム同士を熱溶着させ、15mm幅の測定サンプルを作製した。JIS K 7127:1999に準拠して、作製した測定サンプルのシール部におけるシール強度を測定した。測定は、はく離角度:90°、引張速度:300mm/分間、及び常温(20℃)の条件で引張試験機を用いて、ヒートシール間のはく離強度を測定した。このはく離強度を「熱処理前」のシール強度とした。測定結果は表6に示すとおりであった。比較例14の積層体を用いて、同様の測定サンプルを作製し、同様の測定を行った。測定結果は表6に示すとおりであった。
[シール強度(ボイル後)の測定]
上述の「シール強度(熱処理前)の測定」で作製した測定サンプルを、100℃の水中で30分間加熱した。その後、上述の「シール強度(熱処理前)の測定」と同じ手順でシール強度を測定した。測定結果は表6の「ボイル後」の欄に示すとおりであった。
[レトルト(120℃)後のシール強度の測定]
上述の「シール強度(熱処理前)の測定」で作製した測定サンプルのレトルト熱処理(120℃×30分間)を行った。引張試験機を用い、「シール強度(熱処理前)の測定」と同様にしてはく離強度を測定した。測定結果は表6の「120℃×30分間」の欄に示すとおりであった。
[レトルト(130℃)後のシール強度の測定]
上述の「シール強度(熱処理前)の測定」で作製した測定サンプルのレトルト熱処理(130℃×30分間)を行った。引張試験機を用い、「シール強度(熱処理無し)の測定」と同様にしてはく離強度を測定した。測定結果は表6の「130℃×30分間」の欄に示すとおりであった。
Figure 2022106075000009
表6に示すとおり、熱水ラミネート強度は参考例1の方が比較例14よりも大幅に高かった。また、シール強度も、参考例1の方が比較例14よりも優れることが確認された。特に、参考例1のシール強度はボイル後も十分に高かったのに対して、比較例14のシール強度はボイル後に大幅に低下した。比較例14の積層体は、水分存在下で加熱した場合にラミネート強度及びシール強度が大幅に低下することが確認された。
本開示によれば、デジタル印刷機による印刷が施され印刷面を有しつつも、開封時又は引き裂き時に静電インク層とプライマー層との界面、及び静電インク層と接着剤層との界面におけるはく離が抑制された包装袋を提供できる。
10…基材、20…シーラント層、30…接着剤層、40…プライマー層、50,51…静電インク層、52…印刷面、100,110…包装袋、101…シール部、102…収容部、120…開封手段、121…ハーフカット線、124…易開封加工部、200…包装体、300,302,304…積層体。

Claims (7)

  1. 基材、プライマー層、静電インク層、接着剤層、及びシーラント層をこの順に有する積層体で構成される包装袋であって、
    前記接着剤層は、ポリオール、ポリイソシアネート及びエポキシ化合物を含む接着剤組成物及びその硬化物の少なくとも一方で構成され、
    前記静電インク層のインク被覆率は500%以下であり、
    前記積層体のラミネート強度が2.0N/15mm以上である、包装袋。
  2. 基材、プライマー層、静電インク層、接着剤層、及びシーラント層をこの順に有する積層体で構成される包装袋であって、
    前記接着剤層は、ポリオール、ポリイソシアネート及びエポキシ化合物を含む接着剤組成物及びその硬化物の少なくとも一方で構成され、
    前記静電インク層のインク被覆率は100~400%であり、
    前記積層体のラミネート強度をXとし、120℃、30分間のレトルト熱処理した後の前記積層体のラミネート強度をYとした場合に、100(Y-X)/Xの値が-30%超である、包装袋。
  3. 前記ポリオールは脂肪族ポリエステルポリオールを含み、前記エポキシ化合物は両末端にエポキシ基を有するものを含む、請求項1又は2に記載の包装袋。
  4. 前記エポキシ化合物は2官能の脂環式エポキシ化合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の包装袋。
  5. 前記ポリイソシアネートはキシリレンジイソシアネート誘導体を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の包装袋。
  6. 前記プライマー層の前記シーラント層側の主面におけるインク塗布量が0.5g/m以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の包装袋。
  7. 前記積層体は、前記接着剤層及び前記シーラント層の間にバリア層を更に有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の包装袋。
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