JP7480625B2 - 積層フィルム及びその製造方法並びに包装袋 - Google Patents

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Description

本開示は、積層フィルム及びその製造方法並びに包装袋に関し、より具体的には、ガスバリア性を有する積層フィルム及びその製造方法並びに包装袋に関する。
従来、様々な層構成のガスバリア性積層フィルムが開発され、食品などを包装するための包装材として上市されている。かかる包装材は、例えば、基材フィルム、ガスバリア層、印刷層、接着層、基材及びシーラント層を順次に積層した層構成を有する。
包装材の分野では環境対応として脱VOC(volatile organic compounds)化が図られている。すなわち、文字、絵柄、模様などの印刷層の形成には、揮発性有機化合物(VOC)である溶剤を含む油性インキから、溶剤を含まないインキへの転換が行われている。特許文献1には、着色剤と、酸基を有するバインダーと、塩基性化合物と、水性媒体とを含む水性リキッドインキが開示されている。特許文献1によれば、この文献に記載の水性リキッドインキは、グラビア印刷用又はフレキソ印刷用のインキとして有用であるとされている。
国際公開第2019/102854号
グラビア印刷は、凹版印刷の一種であり、版の凹部内のインキを被印刷物に転移させることによって印刷を施すものである。他方、フレキソ印刷は、凸版印刷の一種であり、版の凸部にインキを付着させ、これを被印刷物に転移させることによって印刷を施すものである。グラビア印刷及びフレキソ印刷はそれぞれ一長一短があり、被印刷物の種類、印刷によって表現すべきデザインなどに応じて使い分けられている。
凸版を使用するフレキソ印刷は、凹版を使用するグラビア印刷と比較して、被印刷物に対して付着させるインキの量が少ないため、発色性に劣ると言われている。本発明者らの検討の結果、フレキソ印刷によるインキ層の発色性を向上させるため、顔料を高濃度で含むインキを使用してフレキソ印刷を実施する工程を経て積層フィルムを製造すると、インキ層と、これに接する層(例えば、接着層)との間で層間剥離(デラミネーション)が生じやすいことが判明した。
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ガスバリア性を有する積層フィルムであってこれに含まれるインキ層と、インキ層に接する層とのラミネート強度が十分に高い積層フィルム及びその製造方法を提供する。本開示は、この積層フィルムを用いた包装体を提供する。
本開示に係る積層フィルムの製造方法は、(A)水性リキッドインキを使用し且つフレキソ印刷によって、ガスバリア層の表面にインキ層を形成する工程と、(B)インキ層を覆うように、接着層を塗工する工程と、(C)接着層に対して基材層を貼り付ける工程とを含み、水性リキッドインキが、顔料と、バインダー樹脂と、水溶性溶媒とを含み、インキ層の全質量を基準として、顔料の含有量が40~75質量%であり、走査型電子顕微鏡によって観察されるインキ層の断面において、インキ層の面積に対して直径0.1μm以上の空隙の面積の割合が5%以下である。
上記製造方法によれば、インキ層における顔料の含有量が比較的多いものの、インキ層における上記空隙の面積割合が十分に小さいことで、インキ層と接着層との間の優れたラミネート強度を達成することができる。上記空隙の面積割合が十分に小さいということは、バインダー樹脂だけでなく、(B)工程で塗工される接着層の一部も粒子状の顔料の間に染み込んでいる。これにより、インキ層と接着層の強い密着力が発現していると推察される。
接着層を塗工するための塗液は、環境対応の観点から、無溶剤の接着剤組成物であることが好ましい。この接着剤組成物は、例えば、ポリエステルポリオールを少なくとも含むものであればよい。このポリエステルポリオールの重量平均分子量は500~3000であることが好ましい。ポリエステルポリオールの重量平均分子量が上記範囲であることで、接着層の成分がインキ層に染み込みやすく、両層のラミネート強度をより一層高くできる。
本開示に係る積層フィルムは、ガスバリア層と、顔料及びバインダー樹脂を含むインキ層と、接着性を有する組成物からなる接着層とをこの順序で含む積層構造を有し、インキ層の全質量を基準として、顔料の含有量が40~75質量%であり、走査型電子顕微鏡によって観察されるインキ層の断面において、インキ層の面積に対して直径0.1μm以上の空隙の面積の割合が5%以下である。
上記積層フィルムによれば、インキ層における顔料の含有量が比較的多いものの、インキ層における上記空隙の面積割合が十分に小さいことで、上述のとおり、インキ層と接着層との間の優れたラミネート強度を達成することができる。
インキ層に含まれるバインダー樹脂は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応物であるウレタンアクリレートを含み、インキ層の耐熱水性向上の観点から、ポリオールが炭素数16以上のアルキル基を有するアクリル酸エステルを含むことが好ましい。
ガスバリア層は、例えば、基材フィルムと、プライマー層と、蒸着層と、第一のガスバリア性被覆層とをこの順で含む多層構造を有する。上記第一のガスバリア性被覆層は、水酸基含有高分子化合物、金属アルコキシド、シランカップリング剤、及び、それらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する組成物を用いて形成されたものである。上記プライマー層は、例えば、3官能オルガノシラン及びその加水分解物からなる群から選ばれる1種以上と、アクリルポリオールと、イソシアネート化合物との複合物を含有する。
ガスバリア層は、基材フィルムと、第二のガスバリア性被覆層とを含む多層構造を有し、第二のガスバリア性被覆層がポリカルボン酸系重合体を含有するものであってもよい。ガスバリア層は、基材フィルムと、第三のガスバリア性被覆層とを含む多層構造を有し、第三のガスバリア性被覆層が金属酸化物とリン化合物との反応物を含有するものであってもよい。
ガスバリア層は、プラズマ処理が施された第一の面を有する基材フィルムと、第一の面上に設けられた蒸着層と、基材フィルムの第一の面の反対側の面である第二の面側に設けられたガスバリア性被覆層と含む多層構造を有するものであってもよい。
本開示の一側面は、上記積層フィルムを製袋してなる包装袋を提供する。この包装袋は、インキ層と接着層との間のラミネート強度が優れている。
本開示によれば、ガスバリア性を有する積層フィルムであってこれに含まれるインキ層と、インキ層に接する層とのラミネート強度が十分に高い積層フィルム及びその製造方法が提供される。本開示によれば、この積層フィルムを用いた包装体が提供される。
図1は本開示に係る積層フィルムの一実施形態を模式的に示す断面図である。 図2は図1に示す積層フィルムを含む包装材の一例を模式的に示す断面図である。 図3は本開示に係る積層フィルムを用いた包装袋の一実施形態を模式的に示す平面図である。 図4はガスバリア層の他の例を模式的に示す断面図である。 図5はガスバリア層の他の例を模式的に示す断面図である。 図6はガスバリア層の他の例を模式的に示す断面図である。 図7(a)は実施例1に係る積層フィルムの断面を示すSEM画像であり、図7(b)は比較例1に係る積層フィルムの断面を示すSEM画像である。
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
<積層フィルム>
図1は本実施形態に係る積層フィルムを模式的に示す断面図である。図1に示す積層フィルム10は、ガスバリア層1Aと、インキ層7と、接着層8と、基材層9とを備える。インキ層7は、顔料7a及びバインダー樹脂を含む。インキ層7の全質量を基準として、顔料7aの含有量は40~75質量%である。この含有量が40質量%以上であることで、フレキソ印刷によっても優れた発色のインキ層7を形成することができる。他方、この含有量が75質量%以下であることで、インキ層7と接着層8の層間剥離(デラミネーション)を抑制できる傾向にある。優れた発色性及び層間剥離の抑制をより一層高度に両立する観点から、顔料7aの含有量(インキ層の全質量基準)は、例えば、45~75質量%又は50~70質量%であってもよい。
インキ層7は接着層8と接しており且つインキ層7に接着層8の成分が染み込んでいる。接着層8の成分がインキ層7に染み込んでいることで、走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察されるインキ層7の断面において、インキ層7の面積に対して直径0.01μm以上の空隙の面積の割合が5%以下となっている(図7(a)参照)。これに対し、インキ層における顔料の含有量が40質量%以上であり且つインキ層への接着層の成分の染み込みが不十分である場合、空隙の面積の割合が5%よりも大きくなる(図7(b)参照)。なお、インキ層における空隙の面積の割合は、画像解析ソフト(ImageJ(商品名)、米国国立衛生研究所(NIH)製)を使用し、SEM画像を処理してインキ層の断面積及び直径0.01μm以上の空隙の合計面積を求め、これらの値から算出することができる。
インキ層7は、色により複数の種類の顔料を含んでもよい。例えば、ガスバリア層1Aの表面に粒径が比較的小さい顔料を含む第一のインキ層を形成し、その後、この第一のインキ層の表面に粒径が比較的大きい顔料(例えば、白色顔料)を含む第二のインキ層を形成してもよい。白色顔料を含む第二のインキ層を形成することで、第一のインキ層の発色性をより向上させることができる。
インキ層7に含まれるバインダー樹脂は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応物であるウレタンアクリレートを含むことが好ましい。インキ層7の耐熱水性向上の観点から、ポリオールが炭素数16以上のアルキル基を有するアクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸オクタデシル)を含むことが好ましい。なお、インキ層7に耐熱水性を付与する必要がない場合、アクリル酸エステルは炭素数16以上のアルキル基を有していなくてもよい。インキ層7に含まれる有機成分は熱分解GC/MSで把握できる。
接着層8は、インキ層7と基材層9の間に介在し、これらの層を接着している。接着層8を構成する接着剤として、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどの主剤に対し、二官能以上のイソシアネート化合物を作用させたポリウレタン樹脂等が挙げられる。各種ポリオールは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。接着層12は、接着促進を目的として、上述のポリウレタン樹脂に、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、リン化合物、シランカップリング剤などが配合されたものであってもよい。
環境対応の観点から、無溶剤の接着剤組成物を使用して接着層8を形成することが好ましい。この接着剤組成物は、例えば、ポリエステルポリオールを少なくとも含むものであればよい。このポリエステルポリオールの重量平均分子量は500~3000であることが好ましい。ポリエステルポリオールの重量平均分子量が上記範囲であることで、接着層8の成分がインキ層に染み込みやすく、両層のラミネート強度をより一層高くできる。
インキ層7と接着層8の厚さの合計は、例えば、1.5~6.0μmである。
基材層9は、積層フィルム10が適用される包装材の用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、積層フィルム10が加熱殺菌処理(ボイル処理又はレトルト処理)用の包装材に適用される場合、耐熱水性を有する樹脂フィルムを使用する。耐熱水性を有する樹脂フィルムの具体例として、ポリエステル系フィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド系フィルム(ナイロン-6、ナイロン-66等)、ポリスチレン系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリイミド系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリエーテルスルホン系フィルム、アクリル系フィルム、セルロース系フィルム(トリアセチルセルロース又はジアセチルセルロース等)が挙げられる。医療用品、薬品、食品等の包装には、例えば、ポリエチレンテレフタレート又はポリアミドが好適に用いられる。これらの樹脂フィルムの厚さは、例えば、6~200μm程度の範囲であればよい。樹脂フィルムは、石油由来のものに限定されず、生物由来の樹脂材料(例えば、PLA、PBS、バイオマス由来のエチレン、プロピレンを原材料に用いたバイオマスポリエチレン、バイオマスポリプロピレン又はバイオマスポリエチレンテレフタレート)を一部又は全部に含むものであってもよい。バイオマス由来のポリエチレンの製造方法は、例えば、特表2010-511634号公報に、バイオマスポリプロピレンの製造方法は特表2013-503647号公報に開示されている。また、市販のバイオマスポリエチレン(ブラスケム社製グリーンPE等)を用いてもよい。また、樹脂フィルムは、生分解性の樹脂材料(例えば、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリコール酸、変性ポリビニルアルコール、カゼイン、変性澱粉等)を一部又は全部に含んでもよい。基材フィルム1は、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤等の添加剤が配合されたものであってもよい。
積層フィルム10が高い耐水性が求められない包装材に適用される場合、基材層9は必ずしも樹脂フィルムでなくてもよく、例えば、紙であってもよい。紙の具体例として、上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、模造紙及びクラフト紙が挙げられる。これらの紙の厚さ(単位面積あたりの質量)は、例えば、20~500g/m又は25~400g/mの範囲であればよい。
本実施形態において、ガスバリア層1Aは多層構造を有し、基材フィルム1と、プライマー層2と、蒸着層3と、ガスバリア性被覆層5A(第一のガスバリア性被覆層)とをこの順で含む。
基材フィルム1として、上述の基材層9と同様の樹脂フィルム及び紙などを使用できる。積層フィルム10が適用される包装材の用途に応じて適宜選択すればよい。
プライマー層2は、基材フィルム1の表面上に設けられ、基材フィルム1と蒸着層3との間の密着性能向上を目的としたものである。これに加え、プライマー層2は、蒸着層3が形成される面を平滑にすることで蒸着層3を欠陥なく均一に製膜することを目的としたものである。基材フィルム1が紙である場合、プライマー層2は目止めの役割を果たす。なお、基材フィルム1の積層面に上述の各種前処理を施す等によって、蒸着層3に対して充分な密着性が得られる場合には必ずしもプライマー層2は設けなくてもよい。
プライマー層2を構成する材料としては、シランカップリング剤、有機チタネート、ポリアクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリオレフィン系エマルジョン、ポリイミド、メラミン及びフェノールが挙げられる。プライマー層2に耐熱水性を付与することを考慮すると、プライマー層2はウレタン結合及びウレア結合を一つ以上有する有機高分子が含まれることがより好ましい。プライマー層2は、3官能オルガノシラン及びその加水分解物からなる群から選ばれる1種以上と、アクリルポリオールと、イソシアネート化合物との複合物を含有することが更に好ましい。
上記ウレタン結合及びウレア結合は予め重合段階で導入したポリマーを使用しても、アクリル及びメタクリル系ポリオールなどのポリオールとイソシアネート基を持つイソシアネート化合物、あるいは、アミノ基を持つアミン樹脂とエポキシ基及びグリシジル基を持つエポキシ化合物などを反応させてウレタン結合を形成させたものや、イソシアネート化合物と水又は酢酸エチル等の溶剤、又はアミノ基を持つアミン樹脂との反応によりウレア結合をさせたものを使用してもよい。これらのうち、プライマー層2を構成する非水性樹脂としてはアクリルポリオールとポリエステルポリオール及びイソシアネート化合物、シランカップリング剤等との複合物がより好ましい。
アクリルポリオールは、アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られる高分子化合物もしくは、アクリル酸誘導体モノマーとその他のモノマーとを共重合させて得られる高分子化合物のうち、末端にヒドロキシル基をもつもので、後に加えるイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させるものである。またポリエステルポリオールとは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、メチルフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びこれらの反応性誘導体等の酸原料と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等のアルコール原料から周知の製造方法で得られたポリエステル系樹脂の内末端に二個以上のヒドロキシル基をもつもので、後に加えるイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させるものである。
イソシアネート化合物は、アクリルポリオール及びポリエステルポリオールと反応してできるウレタン結合により基材や無機酸化物との密着性を高めるために添加されるもので主に架橋剤もしくは硬化剤として作用する。これを達成するためにイソシアネート化合物としては、芳香族系のトリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、脂肪族系のキシレンジイソシアネート(XDI)やヘキサレンジイソシアネート(HMDI)などのモノマー類と、これらの重合体、誘導体が用いられ、これらが単独かまたは混合物等として用いられる。
シランカップリング剤としては、任意の有機官能基を含むシランカップリング剤を用いることができ、例えばエチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤あるいはその加水分解物の一種ないしは二種以上を用いることができる。
プライマー層2は基材フィルム1の表面上にコーティング液を塗布する工程を経て形成される。塗布方法としては、通常用いられるキャスト法、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、リバースコート法、スプレーコート法、キットコート法、ダイコート法、メタリングバーコート法、チャンバードクター併用コート法、カーテンコート法等の従来公知の方法を用いることが可能である。コーティング液の塗布によって形成された塗膜を加熱乾燥させることでプライマー層2が形成される。プライマー層2の厚さは、例えば、0.01μm~10μm程度である。
蒸着層3は金属又は無機化合物を蒸着した層である。酸素ガスバリア性の高い材料として酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ケイ素素(SiOx)、フッ化マグネシウム(MgF)、酸化マグネシウム(MgO)又はインジウム-スズ酸化物(ITO)などを用いることができる。材料コスト、バリア性能及び透明性の点から、蒸着層3を構成する材料は酸化アルミニウム又は酸化ケイ素が好ましい。蒸着層3はアルミニウムを蒸着して形成されたものであってもよい。
蒸着層3の厚さは使用用途によって適宜設定すればよいが、好ましくは10~300nmであり、より好ましくは20~200nmである。蒸着層3の厚さを10nm以上とすることで蒸着層3の連続性を十分なものとしやすく、他方、300nm以下とすることでカールやクラックの発生を十分に抑制でき、十分なバリア性能及び可撓性を達成しやすい。
蒸着層3は、真空成膜手段によって成膜できる。酸素ガスバリア性能や膜均一性の観点から好ましい。成膜手段には、真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)などの公知の方法があるが、成膜速度が速く生産性が高いことから真空蒸着法が好ましい。また真空蒸着法の中でも、特に電子ビーム加熱による成膜手段は、成膜速度を照射面積や電子ビーム電流などで制御し易いことや蒸着材料への昇温降温が短時間で行えることから有効である。
ガスバリア性被覆層5Aは、ガスバリア性を持った被膜層であり、水酸基含有高分子化合物、金属アルコキシド、シランカップリング剤、及び、それらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするガスバリア性被覆層形成用組成物(以下、コーティング剤ともいう)を用いて形成される。コーティング剤は、レトルト処理等の熱水処理後のガスバリア性をより十分に維持する観点から、少なくともシランカップリング剤又はその加水分解物を含有することが好ましく、水酸基含有高分子化合物、金属アルコキシド及びそれらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種と、シランカップリング剤又はその加水分解物とを含有することがより好ましく、水酸基含有高分子化合物又はその加水分解物と、金属アルコキシド又はその加水分解物と、シランカップリング剤又はその加水分解物とを含有することが更に好ましい。コーティング剤は、例えば、水溶性高分子である水酸基含有高分子化合物を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液に、金属アルコキシドとシランカップリング剤とを直接、或いは予め加水分解させるなどの処理を行ったものを混合して調製することができる。
ガスバリア性被覆層5Aを形成するためのコーティング剤に含まれる各成分について詳細に説明する。コーティング剤に用いられる水酸基含有高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でもポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)をガスバリア性被覆層5Aのコーティング剤に用いた場合、ガスバリア性が特に優れるので好ましい。
ガスバリア性被覆層5Aは、優れたガスバリア性を得る観点から、下記一般式(1)で表わされる金属アルコキシド及びその加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種を含む組成物から形成されることが好ましい。
M(OR(Rn-m …(1)
上記一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~8の1価の有機基であり、メチル基、エチル基等のアルキル基であることが好ましい。MはSi、Ti、Al、Zr等のn価の金属原子を示す。mは1~nの整数である。なお、R又はRが複数存在する場合、R同士又はR同士は同一でも異なっていてもよい。
金属アルコキシドとして具体的には、テトラエトキシシラン〔Si(OC〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O-2’-C〕などが挙げられる。テトラエトキシシラン及びトリイソプロポキシアルミニウムは、加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
シランカップリング剤としては、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
Si(OR11(R123-p13 …(2)
上記一般式(2)中、R11はメチル基、エチル基等のアルキル基を示し、R12はアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルケニル基、アクリロキシ基で置換されたアルキル基、又は、メタクリロキシ基で置換されたアルキル基等の1価の有機基を示し、R13は1価の有機官能基を示し、pは1~3の整数を示す。なお、R11又はR12が複数存在する場合、R11同士又はR12同士は同一でも異なっていてもよい。R13で示される1価の有機官能基としては、グリシジルオキシ基、エポキシ基、メルカプト基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、又は、イソシアネート基を含有する1価の有機官能基が挙げられる。
シランカップリング剤として具体的には、ビニルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤などが挙げられる。
また、シランカップリング剤は、上記一般式(2)で表される化合物が重合した多量体であってもよい。多量体としては三量体が好ましく、より好ましくは1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートである。これは、3-イソシアネートアルキルアルコキシシランの縮重合体である。この1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、イソシア部には化学的反応性はなくなるが、ヌレート部の極性により反応性は確保されることが知られている。一般的には、3-イソシアネートアルキルアルコキシランと同様に接着剤などに添加され、接着性向上剤として知られている。よって1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートを、水酸基含有高分子化合物に添加することにより、水素結合によりガスバリア性被覆層5Aの耐水性を向上させることができる。3-イソシアネートアルキルアルコキシランは反応性が高く、液安定性が低いのに対し、1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、ヌレート部はその極性により水溶性ではないが、水系溶液中に分散しやすく、液粘度を安定に保つことができる。また、耐水性能は3-イソシアネートアルキルアルコキシランと1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートとは同等である。
1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、3-イソシアネートプロピルアルコキシシランの熱縮合により製造されるものもあり、原料の3-イソシアネートプロピルアルコキシシランが含まれる場合もあるが、特に問題はない。さらに好ましくは、1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルプロピル)イソシアヌレートであり、より好ましくは1,3,5-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートである。このメトキシ基は加水分解速度が速く、またプロピル基を含むものは比較的安価に入手し得ることから1,3,5-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートは実用上有利である。
コーティング剤には、ガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、あるいは、分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を必要に応じて加えることも可能である。
ガスバリア性被覆層5Aの厚さは、50~1000nmであることが好ましく、100~500nmであることがより好ましい。ガスバリア性被覆層5Aの厚さが50nm以上であると、より十分なガスバリア性を得ることができる傾向があり、1000nm以下であると、十分な柔軟性を保持できる傾向がある。
ガスバリア性被覆層5Aを形成するためのコーティング剤は、例えば、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法等により塗布することができる。このコーティング剤を塗布してなる塗膜は、例えば、熱風乾燥法、熱ロール乾燥法、高周波照射法、赤外線照射法、UV照射法、またはそれらの組み合わせにより乾燥させることができる。塗膜の乾燥は、高速加工性を考慮すると、熱風乾燥法により行うことが最も好ましい。
<積層フィルムの製造方法>
次に、積層フィルム10の製造方法について説明する。積層フィルム10は以下の工程を経て製造される。
(A)水性リキッドインキを使用し且つフレキソ印刷によって、ガスバリア層1Aにおけるガスバリア性被覆層5Aの表面にインキ層7を形成する工程。
(B)インキ層7を覆うように、接着層8を塗工する工程。
(C)接着層8に対して基材層9を貼り付ける工程。
(A)工程において、水性リキッドインキを使用することで、脱VOC化を図ることができる。この水性リキッドインキの固形分の全質量を基準として、顔料の含有量を40~75質量%とすることで、上述のとおり、フレキソ印刷によっても優れた発色のインキ層7を形成することができる。(B)工程において、インキ層7を覆うように接着剤組成物を塗工することで、接着剤組成物の成分がインキ層7に染み込んだ状態で接着層8が形成される。接着剤組成物として、例えば、無溶剤のものを使用することで、脱VOC化を図ることができる。
<包装材>
図2は、積層フィルム10を含む包装材の一例を模式的に示す断面図である。この図に示す包装材20は、積層フィルム10と、シーラント層15と、これらを貼り合わせる接着層12とを備える。例えば、耐熱水性を有する接着層12及びシーラント層15を選択することで、包装材20も優れた耐熱水性を有するものとすることができる。
接着層12は、積層フィルム10とシーラント層15とを接着している。接着層12を構成する接着剤として、上述の接着層8と同様のもの使用できる。積層フィルム10が適用される包装材の用途に応じて適宜選択すればよい。
シーラント層15としては、例えば、融点が150℃以上のポリプロピレンフィルムを使用すればよい。シーラント層15として、バイオマス由来のエチレン、プロピレン等を原材料に用いたバイオマスポリエチレン、バイオマスポリプロピレン又はバイオマスポリエチレンテレフタレート)を一部又は全部に含むシーラントフィルムを使用してもよい。このようなシーラントフィルムは例えば特開2013-177531号に開示されている。
<包装袋>
図3は積層フィルム10を用いた包装袋の一実施形態を模式的に示す平面図である。図3に示す包装袋30は、三つの辺L1,L2,L3がヒートシールされることによって袋状に加工されたものである。ヒートシールがされていない開口部30aから内容物を入れた後、開口部30aもヒートシールすることで、包装袋30を密閉することができる。なお、包装袋の態様は、これに限定されるものではない。包装袋の他の例として、ピロー包装、三方シール包装及びガゼット包装が挙げられる。
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、図1に示すガスバリア層1Aを有する積層フィルム10を例示したが、ガスバリア層の構成はこれに限定されず、図4~6に示すものであってもよい。図4に示すガスバリア層1Bは、基材フィルム1と、ガスバリア性被覆層5B(第二のガスバリア性被覆層)とによって構成されている。ガスバリア性被覆層5Bは、例えば、ポリカルボン酸系重合体を含有する層である。図5に示すガスバリア層1Cは、基材フィルム1と、ガスバリア性被覆層5C(第三のガスバリア性被覆層)とによって構成されている。ガスバリア性被覆層5Cは、例えば、金属酸化物とリン化合物との反応物を含有する層である。図6に示すガスバリア層1Dは、プラズマ処理が施された第一の面1aを有する基材フィルム1と、第一の面1a上に設けられた蒸着層3と、基材フィルム1の第一の面1aの反対側の面である第二の面1b側に設けられたガスバリア性被覆層5Dと含む多層構造を有するものであってもよい。ガスバリア性被覆層5Dは、例えば、ガスバリア性被覆層5A~5Cのいずれかであればよい。
以下、本開示について実施例及び比較例に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<ガスバリア性積層フィルムの作製>
ガスバリアフィルム(ガスバリア層)として、最表面にガスバリア性被覆層を有するGL-ARH(凸版印刷社製、厚さ:12μm)を準備した。このガスバリアフィルムのガスバリア性被覆層の表面に水性フレキソ印刷によって絵柄インキ(水性インキ層)を積層した。その後、絵柄インキの上に、無溶剤の接着剤組成物を塗布して接着層を形成した。二軸延伸ナイロンフィルム(両面コロナ処理、厚さ:15μm)を接着層に貼り付けた。次いで、このナイロンフィルムの表面に無溶剤接着層を塗布し、レトルト殺菌用の無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP、厚さ70μm、東レフィルム加工社製、商品名「ZK500」)のコロナ処理面を貼り合わせた。40℃で3日間にわたって接着剤を養生させた後、以下の構成のガスバリア性積層フィルムを得た。この構成は、図1に示す積層フィルム10と同様の構成である。
・構成:ガスバリアフィルム/水性インキ層/無溶剤接着層/ONY/無溶剤接着層/CPP(熱可塑性樹脂層)
なお、水性インキ層は、XS911(DIC社製)を使用し、四色刷り(イエローY・マゼンダM・シアンC・ホワイトW)とした。総塗布量1.5g/mとした。水性インキ層の全質量(固形分の質量)を基準として、顔料含有量はYMCで50質量%であり、Wで72質量%であった。水性インキのビヒクル(バインダー樹脂)は、メタクリル酸メチル、2-メチレンブタン酸エチル及びメタクリル酸オクタデシルを含む主剤と、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を含む硬化剤とを含有するものであった。無溶剤接着層組成物として、RN-800/HN-800(ロックペイント社製、重量平均分子量500~3000のポリエステルポリオール含有)を使用し、塗布量は1.8g/mとした。図7(a)は実施例1に係る積層フィルムの断面を示すSEM画像である。
<包装袋の作製>
二枚のガスバリア性積層フィルムを、それらの熱可塑性樹脂層同士が接するように重ね合わせ、三方をヒートシールして横100mm×縦150mmサイズの包装袋を作製した。上方の開口部から、食品疑似溶液内容物として、食用酢:ケチャップ:サラダ油=1:1:1の混合液100gを充填し、上部をヒートシールして密封した。ヒートシール条件は、シール温度を180℃、シール時間を1秒、シール圧力を0.3MPaとした。
[実施例2]
ガスバリアフィルムとして、GL-ARHの代わりに、PB-A(凸版印刷社製)を使用した以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性積層フィルムを作製し、包装袋を得た。実施例2に係るガスバリアフィルムの構成は図4に示すガスバリア層1Bの構成に相当するものである。
[実施例3]
ガスバリアフィルムとして、クラリスタC(クラレ製)を使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、包装袋を得た。実施例3係るガスバリアフィルムの構成は図5に示すガスバリア層1Cの構成に相当するものである。
[実施例4]
無溶剤接着層を形成する接着剤組成物として、RN-800/HN-800の代わりに、2K-SF-900A/930B(DIC社製、Mn=2000)を使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、包装袋を得た。
[実施例5]
水性インキとして、XS911の代わりに、XS903(DIC社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、包装袋を得た。この水性インキのビヒクル(バインダー樹脂)は、メタクリル酸メチルからなる主剤と、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を含む硬化剤とを含有するものであった。
[比較例1]
無溶剤接着層を形成する代わりに、有機溶剤を含む接着剤組成物を使用して接着層を形成した以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性積層フィルムを作製し、包装袋を得た。接着剤組成物として、A626/A50(三井化学社製、ドライラミ接着剤、分子量20000)を使用し、ドライ塗布量2.8g/mとした。図7(b)は比較例1に係る積層フィルムの断面を示すSEM画像である。
[ラミネート強度の測定]
各例で得たガスバリア性積層フィルムから幅15mmの試験片を切り出し、引っ張り試験機を用い、JIS-K6854に準拠して、室温(20℃、30%RH)の条件で初期のラミネート強度を測定した。
[レトルト耐性]
各例で得られた包装袋を121℃、30分の条件でレトルト殺菌処理した後、該包装袋から幅15mmの試験片を切り出し、初期のラミネート強度と同様にして滅菌後のラミネート強度を測定した。また、レトルト殺菌処理後の包装袋の外観を目視で確認し、デラミネーションの有無を確認した。デラミネーションが生じていないものを「○(良好)」、デラミネーションが生じているものを「×(不良)」とした。
[内容物耐性]
各例で得られた包装袋のレトルト処理後のサンプルを室温(20℃、30%RH)の条件で半年間保存した。保存後の包装袋の外観を目視で確認し、デラミネーションの有無を確認した。デラミネーションが生じていないものを「○(良好)」、デラミネーションが生じているものを「×(不良)」とした。
Figure 0007480625000001
[インキ層に含まれる有機成分]
インキ層を熱分解GC/MSによって分析した。インキ層に含まれると推定される有機成分は以下のとおりであった。
(1)実施例1~4及び比較例1(使用インキ:XS911)
・アクリル又はアクリルモノマー
メタクリル酸メチル、2-メチレンブタン酸エチル及びメタクリル酸オクタデシル
・イソシアネート
イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びフェニルイソシアネート
・その他
アジピン酸及び環状エステル(カプロラクトン)
(2)実施例5(使用インキ:XS903)
・アクリル又はアクリルモノマー
メタクリル酸メチル
・イソシアネート
イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びフェニルイソシアネート
1…基材フィルム、1A,1B,1C,1D…ガスバリア層、1a…第一の面、1b…第二の面、2…プライマー層、3…蒸着層、5A,5B,5C,5D…ガスバリア性被覆層、7…インキ層、7a…顔料、8,12…接着層、9…基材層、10…積層フィルム、15…シーラント層、20…包装材、30…包装袋。

Claims (11)

  1. (A)水性リキッドインキを使用し且つフレキソ印刷によって、ガスバリア層の表面にインキ層を形成する工程と、
    (B)前記インキ層を覆うように、接着層を塗工する工程と、
    (C)前記接着層に対して基材層を貼り付ける工程と、
    を含み、
    前記水性リキッドインキが、顔料と、バインダー樹脂と、水溶性溶媒とを含み、
    前記インキ層の全質量を基準として、前記顔料の含有量が40~75質量%であり、
    走査型電子顕微鏡によって観察される前記インキ層の断面において、前記インキ層の面積に対して直径0.1μm以上の空隙の面積の割合が5%以下である、積層フィルムの製造方法。
  2. 前記接着層を塗工するための塗液が無溶剤の接着剤組成物であり、
    当該接着剤組成物が重量平均分子量500~3000のポリエステルポリオールを少なくとも含む、請求項1に記載の積層フィルムの製造方法。
  3. ガスバリア層と、
    顔料及びバインダー樹脂を含むインキ層と、
    接着性を有する組成物からなる接着層と、
    をこの順序で含む積層構造を有し、
    前記インキ層の全質量を基準として、前記顔料の含有量が40~75質量%であり、
    走査型電子顕微鏡によって観察される前記インキ層の断面において、前記インキ層の面積に対して直径0.1μm以上の空隙の面積の割合が5%以下である、積層フィルム。
  4. 前記バインダー樹脂がポリオールとポリイソシアネートとの反応物であるウレタンアクリレートを含み、
    前記ポリオールが炭素数16以上のアルキル基を有するアクリル酸エステルを含む、請求項3に記載の積層フィルム。
  5. 前記ガスバリア層が、基材フィルムと、プライマー層と、蒸着層と、第一のガスバリア性被覆層とをこの順で含む多層構造を有する、請求項3又は4に記載の積層フィルム。
  6. 前記第一のガスバリア性被覆層が、水酸基含有高分子化合物、金属アルコキシド、シランカップリング剤、及び、それらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する組成物を用いて形成されたものである、請求項5に記載の積層フィルム。
  7. 前記プライマー層が、3官能オルガノシラン及びその加水分解物からなる群から選ばれる1種以上と、アクリルポリオールと、イソシアネート化合物との複合物を含有する、請求項5又は6に記載の積層フィルム。
  8. 前記ガスバリア層が、基材フィルムと、第二のガスバリア性被覆層とを含む多層構造を有し、
    前記第二のガスバリア性被覆層が、ポリカルボン酸系重合体を含有する、請求項3又は4に記載の積層フィルム。
  9. 前記ガスバリア層が、基材フィルムと、第三のガスバリア性被覆層とを含む多層構造を有し、
    前記第三のガスバリア性被覆層が、金属酸化物とリン化合物との反応物を含有する、請求項3又は4に記載の積層フィルム。
  10. 前記ガスバリア層が、プラズマ処理が施された第一の面を有する基材フィルムと、前記第一の面上に設けられた蒸着層と、前記基材フィルムの前記第一の面の反対側の面である第二の面側に設けられたガスバリア性被覆層と含む多層構造を有する、請求項3又は4に記載の積層フィルム。
  11. 請求項3~10のいずれか一項に記載の積層フィルムを製袋してなる包装袋。
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