JP2022102825A - 樹脂組成物、樹脂フィルム及び成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】引張伸び、耐衝撃性、耐変形性及び透明性に優れる樹脂組成物、樹脂フィルム及び成形体を提供する。【解決手段】脂環式構造含有重合体と、カーボネート系熱可塑性ポリウレタン、ラクトン系熱可塑性ポリウレタン及びエステル系熱可塑性ポリウレタンからなる群から選ばれる少なくとも1つの熱可塑性ポリウレタンと、を含有する樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、樹脂フィルム及び成形体に関する。
脂環式構造含有重合体は嵩高い構造を有するため非晶性の樹脂が多く、透明性、光学特性、耐熱性に優れることから、ガラス窓の代替や光学フィルム、自動車のヘッドランプカバー等様々な用途で用いられている。中でも、脂環式ジヒドロキシ化合物を含有するカーボネート系重合体は、耐候性にも優れるため、屋外で長時間使用される用途、例えば自動車部品やカーポート等の建築部材に使用されるが、耐衝撃性が劣る場合があった。
特許文献1では、低誘電特性、耐熱性に優れ、所定の信頼性試験やソルベントに対する耐クラック性に優れる樹脂組成物として、特定の脂環式構造含有重合体に軟質重合体を配合した樹脂組成物が提案されている。
特開2001-098130号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、軟質重合体を添加することによって延伸及び折り曲げ等への耐変形性が悪くなったり、透明性が悪くなったりする場合があり、さらなる改良が必要であった。
そこで、本発明は、引張伸び、耐衝撃性、耐変形性及び透明性に優れる樹脂組成物、樹脂フィルム及び成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記実情に鑑み、鋭意検討した結果、上述の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]脂環式構造含有重合体と、カーボネート系熱可塑性ポリウレタン、ラクトン系熱可塑性ポリウレタン及びエステル系熱可塑性ポリウレタンからなる群から選ばれる少なくとも1つの熱可塑性ポリウレタンと、を含有する樹脂組成物。
[2]前記脂環式構造含有重合体及び前記熱可塑性ポリウレタンの含有質量比が脂環式構造含有重合体:熱可塑性ポリウレタン=95:5~50:50である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記熱可塑性ポリウレタンのガラス転移温度が30℃以下である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記脂環式構造含有重合体が、ポリカーボネート系重合体である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[5]前記脂環式構造含有重合体が、環状エーテル類(a)と脂環式ジヒドロキシ化合物(b)との共重合体である、[1]~[4]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[6]前記環状エーテル類(a)がイソソルビドである、[5]に記載の樹脂組成物。
[7]前記脂環式ジヒドロキシ化合物(b)がシクロヘキサンジメタノール又はトリシクロデカンジメタノールである、[5]又は[6]に記載の樹脂組成物。
[8][1]~[7]のいずれか1つに記載の樹脂組成物からなり、23℃における引張伸びが100%以上である樹脂フィルム又は成形体。
[9][1]~[7]のいずれか1つに記載の樹脂組成物からなり、厚さ100μmにおける光線透過率が85%以上であり、かつ、ヘイズが10%以下である樹脂フィルム又は成形体。
[10][1]~[7]のいずれか1つに記載の樹脂組成物からなり、5cm角に切り出してMD方向及びTD方向それぞれに対し垂直方向に折り曲げても白化しない樹脂フィルム又は成形体。
[11][1]~[7]のいずれか1つに記載の樹脂組成物からなり、-20℃におけるハイドロショット高速衝撃試験の破壊点変位量が9.0mm以上である樹脂フィルム又は成形体。
[12][1]~[7]のいずれか1つに記載の樹脂組成物からなり、23℃におけるハイドロショット高速衝撃試験の破壊点変位量が15.0mm以上である樹脂フィルム又は成形体。
[13][1]~[7]のいずれか1つに記載の樹脂組成物からなり、以下の条件の促進耐候性試験に200時間暴露した後のYI値が10.0未満である樹脂フィルム又は成形体。
促進耐候性試験条件:ブラックパネル温度63℃、湿度50%(相対湿度)、照度255W/m、連続照射、水噴霧時間12分間/60分間照射
本発明によれば、引張伸び、耐衝撃性、耐変形性及び透明性に優れる樹脂組成物、フィルム及び成形体を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。但し、本発明の内容が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、脂環式構造含有重合体と、カーボネート系熱可塑性ポリウレタン、ラクトン系熱可塑性ポリウレタン及びエステル系熱可塑性ポリウレタンからなる群から選ばれる少なくとも1つの熱可塑性ポリウレタンと、を含有する。
〔脂環式構造含有重合体〕
本発明の脂環式構造含有重合体は、重合体の繰り返し単位中に脂環式構造を有する重合体である。本発明においては、主鎖中に脂環式構造を有する重合体及び側鎖に脂環式構造を有する重合体のいずれも用いることができる。また、繰り返し単位中に脂環式構造を有する重合体としては、繰り返し単位の構造により結晶性の重合体と非晶性の重合体が得られるが、本発明においては、透明性に優れた非晶性の樹脂が好ましい。
脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられ、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素数は特に制限されるものではないが、通常4~30個、好ましくは5~20個、より好ましくは6~15個である。
重合体は、重合体の繰り返し単位中に脂環式構造を有する限り、その種類は特に限定されない。例えば、主鎖中にカーボネート結合を有するポリカーボネート系重合体、主鎖中にエステル結合を有するポリエステル系重合体、付加系重合体等が挙げられ、ポリカーボネート系重合体であることが好ましい。
脂環式構造含有重合体の具体例としては、(1)環状エーテル類と脂環式ジヒドロキシ化合物との共重合体、(2)ノルボルネン重合体、(3)単環の環状オレフィン重合体、(4)環状共役ジエン重合体、(5)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物等が挙げられる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、(1)環状エーテル類と脂環式ジヒドロキシ化合物との共重合体がより好ましい。
環状エーテル類(a)と脂環式ジヒドロキシ化合物(b)との共重合体において、環状エーテル類(a)としてイソソルビド、イソマンニド及びイソイデットを挙げることができる。ここで、イソソルビドは、澱粉から得られるD-グルコースを水素添加してから脱水することにより安価に製造可能であって、資源として豊富に入手することが可能である。
脂環式ジヒドロキシ化合物(b)としては、国際公開第2007/148604号に記載の脂環式ジヒドロキシ化合物を挙げることができる。本発明においては、耐熱性や光学特性から5員環構造又は6員環構造を含むものが好ましい。6員環構造は共有結合によって椅子形又は舟形に固定されていてもよい。中でも、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール及びペンタシクロペンタデカンジメタノールを好適に例示することができる。これらの中でも、経済性及び耐熱性等の点からシクロヘキサンジメタノール又はトリシクロデカンジメタノールがより好ましい。
環状エーテル類(a)と脂環式ジヒドロキシ化合物(b)との共重合体としては、市販品を用いることも可能であり、具体的には、三菱ケミカル株式会社製のポリカーボネート、商品名「デュラビオ(DURABIO)(登録商標)」が挙げられる。
本発明の脂環式構造重合体の環状エーテル類(a)と脂環式ジヒドロキシ化合物(b)とのモル比率は(a):(b)=95:5~30:70が好ましく、80:20~40:60がより好ましい。モル比を前記範囲とすることで、熱滞留による着色が生じにくく、ガラス転移温度が維持でき耐熱性が向上する。
(ガラス転移温度)
本発明の脂環式構造含有重合体のガラス転移温度は80℃以上200℃以下が好ましく、90℃以上180℃以下がより好ましい。ガラス転移温度を80℃以上とすることで、高温下での使用における変形や応力に対して耐久性に優れるため好ましい。一方、200℃以下とすることで、成形性が確保できる。
脂環式構造含有重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量分析(DSC)により測定することができる。
(メルトフローレート(MFR))
本発明の脂環式構造含有体の230℃におけるメルトフローレート(MFR)は、0.1g/10分以上であることが好ましい。
MFRが0.1g/10分以上であることで、成形加工時の樹脂組成物の溶融粘度が高くなりにくく、生産性に優れる。また、製膜性の観点から、本発明における脂環式構造含有体のMFRは、100g/10分以下であることが好ましい。
かかる観点から、本発明における脂環式構造含有体の230℃におけるMFRは、0.5~80g/10分であることがより好ましく、0.6~70g/10分であることが更に好ましい。
なお、MFRはJIS K7210-1999に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件下での測定値である。
本発明の脂環式構造含有重合体は公知の方法で製造することもできるし、市販品を使用してもよい。
〔熱可塑性ポリウレタン〕
本発明の樹脂組成物は、カーボネート系熱可塑性ポリウレタン、ラクトン系熱可塑性ポリウレタン及びエステル系熱可塑性ポリウレタンからなる群から選ばれる少なくとも1つの熱可塑性ポリウレタンを含有する。
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性ポリウレタンとして、上記の熱可塑性ポリウレタンを主成分として含むことが好ましい。上記の熱可塑性ポリウレタンの含有量は、熱可塑性ポリウレタン全量のうち60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、100質量%がさらに好ましい。すなわち、本発明の樹脂組成物は、熱可塑性ポリウレタンとして、上記の熱可塑性ポリウレタンのみを含むことが好ましい。
ポリウレタンとは、イソシアネート(-NCO)とアルコール(-OH)との重付加反応(ウレタン化反応)で得られる、ウレタン結合(-NHCOO-)を有する化合物の総称である。
本発明の熱可塑性ポリウレタン(TPU)は、ジイソシアネート成分由来の繰り返し単位と、ポリオール成分由来の繰り返し単位と、必要に応じて鎖延長剤由来の繰り返し単位と、を有するポリマー分子の主鎖中にウレタン結合を有する樹脂である。
本発明の熱可塑性ポリウレタンにおけるジイソシアネート成分としては、芳香族系ジイソシアネート成分、脂肪族系ジイソシアネート成分が挙げられる。芳香族系ジイソシアネート成分としては、トリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネートなどが挙げられ、脂肪族系ジイソシアネート成分としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素添加4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
本発明の熱可塑性ポリウレタンにおけるジイソシアネート成分は特に限定されないが、樹脂組成物の耐候性の観点から、脂肪族系ジイソシアネート成分が好ましく、水素添加4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートがより好ましい。
本発明の熱可塑性ポリウレタンにおけるポリオール成分は、カーボネート系熱可塑性ポリウレタンの場合はポリカーボネート系ポリオールであり、ラクトン系熱可塑性ポリウレタンの場合はポリラクトン系ポリオールであり、エステル系熱可塑性ポリウレタンの場合はポリエステル系ポリオールである。
上記ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の低分子ポリオールと、ジエチレンカーボネート、ジプロピレンカーボネート、ジフェニルカーボネート等のカーボネート化合物との脱アルコール反応により得られるポリオール等が挙げられる。
上記ポリラクトン系ポリオールとしては、上記ポリカーボネート系ポリオールで例示した低分子ポリオール等を開始剤として、ラクトンを開環重合させて得られるポリカプロラクトンジオール、ポリメチルバレロラクトンジオール等のポリラクトンジオール等が挙げられる。
上記ポリエステル系ポリオールとしては、例えば、上記ポリカーボネート系ポリオールで例示した低分子ポリオールと多価カルボン酸との縮合重合物が挙げられる。
多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
鎖延長剤としては特に限定されないが、脂肪族グリコール、芳香族グリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の低分子量ジオール、ビス(ヒドロキシエチル)ヒドロキノン等が挙げられる。
(硬度)
本発明における熱可塑性ポリウレタンの硬度(ShoreA)は特に限定されないが、汎用で入手しやすい点から80A以上98A以下が好ましく、85A以上がより好ましく、87A以上がさらに好ましい。硬度を80A以上とすることで、原料供給時のブロッキング等も起きにくく、生産性が良好となる。また98A以下とすることで柔軟性、耐衝撃性が向上する。
熱可塑性ポリウレタンの硬度は、JIS K7311-1995(ShoreA)に基づく方法により測定することができる。
(ガラス転移温度及び融点)
本発明における熱可塑性ポリウレタンのガラス転移温度(Tg)は、30℃以下であることが好ましい。
本発明における熱可塑性ポリウレタンのTgが30℃以下であることにより、柔軟性、耐衝撃性を付与することができる。本発明における熱可塑性ポリウレタンのTgは25℃以下であることがより好ましく、20℃以下であることが更に好ましい。
なお、熱可塑性ポリウレタンのTgの下限は特に限定されないが、汎用品として入手しやすい観点から、-100℃以上が好ましい。
また、本発明における熱可塑性ポリウレタンは融点(Tm)を有さなくてもよいが、融点(Tm)を有する場合には、60~200℃であることが好ましい。
本発明における熱可塑性ポリウレタンのTmが60℃以上であると耐熱性が良好となり、200℃以下であることで製膜性が良好となる。本発明における熱可塑性ポリウレタンのTmは70~195℃であることがより好ましく、75~190℃であることが更に好ましい。
熱可塑性ポリウレタンのTg及びTmは、示差走査熱量分析(DSC)により測定することができる。
(メルトフローレート(MFR))
本発明における熱可塑性ポリウレタンの220℃におけるメルトフローレート(MFR)は、0.1g/10分以上であることが好ましい。
MFRが0.1g/10分以上であることで、成形加工時の樹脂組成物の溶融粘度が高くなりにくく、生産性に優れる。また、製膜性の観点から、本発明におけるポリウレタンのMFRは、100g/10分以下であることが好ましい。
かかる観点から、本発明における熱可塑性ポリウレタンの220℃におけるMFRは、0.5~80g/10分であることがより好ましく、0.6~70g/10分であることが更に好ましい。
なお、MFRはJIS K7210-1999に準拠し、温度220℃、荷重2.16kgの条件下での測定値である。
本発明の熱可塑性ポリウレタンは公知の方法で製造することもできるし、市販品を使用してもよい。
〔各成分の含有量〕
本発明の樹脂組成物の脂環式構造含有重合体と熱可塑性ポリウレタンの含有質量比は、脂環式構造含有重合体:熱可塑性ポリウレタン=95:5~50:50の範囲が好ましく、90:10~60:40の範囲がより好ましい。熱可塑性ポリウレタンが5質量%以上であることで柔軟性、耐衝撃性を付与することができ、50質量%以下とすることで耐熱性、耐候性を維持することができ、変形時の白化が起きにくくなる。
〔任意成分〕
本発明の樹脂組成物は、任意成分として、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、滑剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、導電性物質、抗菌剤等が挙げられる。添加剤は、通常使用される量で用いればよい。
<樹脂フィルム及び成形体>
本発明の樹脂組成物を用いた樹脂フィルム及び成形体は、公知の方法で製造することができる。
樹脂フィルムの製造方法としては、例えば、脂環式構造含有重合体と熱可塑性ポリウレタン、及び必要に応じて添加剤を単軸、あるいは二軸押出機にて溶融混錬したのちTダイよりフィルム状に押出し、キャスティングロールで冷却、固化することにより、無延伸フィルムを得る押出成形法が挙げられる。
成形体の製造方法としては、例えば、上記樹脂フィルムの場合と同様に溶融混錬し、所定の形の金型に樹脂を充填させたのち金型を冷却、固化することで成形体を得る、射出成形法が挙げられる。
(厚さ)
本発明の樹脂組成物を用いた樹脂フィルム及び成形体の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば加工性、実用性を考慮した場合に0.03mm以上10mm以下であることが好ましい。
(耐衝撃性)
本発明の樹脂組成物を用いた樹脂フィルム及び成形体は、耐衝撃性の観点から-20℃におけるハイドロショット高速衝撃試験の破壊点変位量が9.0mm以上であることが好ましく、10.0mm以上であることがより好ましい。上限は特に限定されないが、通常、20.0mm以下である。
また、23℃における同試験の破壊点変位量は15.0mm以上であることが好ましく、10mm以上であることがより好ましい。上限は特に限定されないが、通常、30.0mm以下である。
同試験における破壊エネルギーは-20℃及び23℃とも0.4J以上であることが好ましい。
ハイドロショット高速衝撃試験は、ASTM D3763に準じた方法で行うことができる。
(引張伸び)
本発明の樹脂組成物を用いた樹脂フィルム及び成形体は、柔軟性の観点から23℃における引張伸びが100%以上であることが好ましく、120%以上であることがより好ましい。上限は特に限定されないが、通常、500%以下である。
引張伸びは、引張試験機を用い、JIS K7161-1-2014に準じた方法で測定することができる。
(耐変形性)
本発明の樹脂組成物を用いた樹脂フィルム及び成形体は、実用上の透明性として、伸びや折り曲げ等の変形を加えた際に、白くならないことが好ましい。
より具体的には、例えば、樹脂フィルム又は成形体を5cm角に切り出してMD方向及びTD方向それぞれに対し垂直方向に折り曲げても白化しないことが好ましい。
(光線透過率及びヘイズ)
本発明の樹脂組成物を用いた樹脂フィルム及び成形体は、透明性の観点から、厚さ100μmにおける光線透過率(全光線透過率)が85%以上であることが好ましく、87%以上であることがより好ましい。
また、厚さ100μmにおけるヘイズ(内部ヘイズ)は10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、5%以下であることが更に好ましい。
光線透過率はJIS K 7361-1-2008に準じた方法で、及びヘイズはJIS K 7136-2000に準じた方法でそれぞれ測定することができる。
(YI値)
本発明の樹脂組成物を用いた樹脂フィルム及び成形体は、耐候性、透明性の観点から、厚さ100μmにおけるYI値は5.0未満が好ましく、4.0未満がより好ましく、3.0未満がさらに好ましい。
さらに、以下の条件の促進耐候性試験に200時間暴露した後のYI値は、10.0未満が好ましく、8.0未満がより好ましく、6.0未満がさらに好ましい。
促進耐候性試験条件
ブラックパネル温度63℃、湿度50%(相対湿度)、照度255W/m、連続照射、水噴霧時間12分間/60分間照射
なお、上記「水噴霧時間12分間/60分間照射」とは、60分間の照射を1サイクルとしたときに、1サイクルのうち12分間水噴霧を行い、48分間水噴霧をしないという意味である。
YI値は、JIS K7373-2006に準じた方法で測定することができる。
以下に実施例でさらに詳しく説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
<原料>
実施例、比較例で用いた原料を下に記載する。
〔脂環式構造含有重合体〕
・A-1:環状エーテル類(イソソルビドに由来する構造単位):脂環式ヒドロキシ化合物(1,4‐シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位)=70:30(モル比率)であるポリカーボネート樹脂、MFR(230℃)=10.0g/10分、ガラス転移温度120℃
・A-2:環状エーテル類(イソソルビドに由来する構造単位):脂環式ヒドロキシ化合物(1,4‐シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位)=50:50(モル比率)であるポリカーボネート樹脂、MFR(230℃)=5.0g/10分、ガラス転移温度100℃
〔芳香族系ポリカーボネート樹脂〕
・A-101:「ユーピロン H3000」(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、ビスフェノールAに由来する構造のポリカーボネート樹脂、MFR(230℃)=3.6g/10分、ガラス転移温度140℃)
〔熱可塑性ポリウレタン〕
・B-1:脂肪族系ジイソシアネート成分(1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン30.2wt%)を有するカーボネート系熱可塑性ポリウレタン、MFR(220℃)=2.7g/10分、硬度95A、融点182℃、ガラス転移温度-3℃
・B-2:脂肪族系ジイソシアネート成分(水素添加4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート34.9wt%)を有するカーボネート系熱可塑性ポリウレタン、MFR(220℃)=12g/10分、硬度95A、融点131℃、ガラス転移温度-9.8℃
・B-3:脂肪族系ジイソシアネート成分(水素添加4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート42.1wt%)を有するカプロラクトン系熱可塑性ポリウレタン、MFR(220℃)=4.5g/10分、硬度90A、ガラス転移温度-1.8℃
・B-4:脂肪族系ジイソシアネート成分(水素添加4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート41.6wt%)を有するエステル系熱可塑性ポリウレタン、MFR(220℃)=1.0g/10分、硬度90A、融点93℃、ガラス転移温度-6℃
・B-101:脂肪族系ジイソシアネート成分(1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン24.7wt%)を有するエーテル系熱可塑性ポリウレタン、MFR(220℃)=3.0g/10分、硬度95A、ガラス転移温度-12.8℃
なお、上記脂環式構造含有重合体、芳香族系ポリカーボネート樹脂、及び熱可塑性ポリウレタンの各物性は、以下の方法で測定した。
(熱可塑性ポリウレタンの組成)
核磁気共鳴装置(BRUKER社製、商品名「Ultrashield」、400MHz)を用いてH-NMR分析により、熱可塑性ポリウレタンの各成分の定性を行った。その後、元素分析装置(エレメンタール社製、商品名「Vario EL cube」)を用いて、CHN分析を行い、ジイソシアネート成分の重量比率を算出した。
(熱可塑性ポリウレタンの硬度)
JIS K 7311-1995(ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法)に準じた方法で熱可塑性ポリウレタンの硬度(A硬さ)を測定した。
(MFR)
JIS K7210-1999(プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法)に準拠し、温度220℃又は230℃、荷重2.16kgの条件下で、各原料のMFRを測定した。
(ガラス転移温度及び融点)
示差走査熱量分析装置(パーキンエルマー社製、商品名「DSC8000」)を用い、各原料を10℃/分で昇温して、Tg及びTmを測定した。
<実施例1~8及び比較例1~4>
表1及び表2に示す組成で各原料を溶融混練して樹脂組成物を調製し、溶融押出して厚さ100μmの樹脂フィルムを製造した。
〔評価〕
実施例1~8及び比較例1~4の樹脂フィルムについて、耐衝撃性、引張伸び、耐変形性、透明性及び色差を評価した。
(耐衝撃性:ハイドロショット高速衝撃試験)
樹脂フィルムをASTM D3763に準じた方法で、速度3m/sec、高さ200mm、ストライカφ12.7mm、試験雰囲気温度-20℃及び23℃の条件で破壊点の変位量、エネルギーを測定し、以下の基準により評価した。
・試験雰囲気温度-20℃
A(good):破壊点エネルギーが0.4J以上であり、かつ、破壊点変位量が9.0mm以上
B(poor):破壊点エネルギーが0.4J未満であるか、破壊点変位量が9.0mm未満
・試験雰囲気温度23℃
A(good):破壊点エネルギーが0.4J以上であり、かつ、破壊点変位量が15.0mm以上
B(poor):破壊点エネルギーが0.4J未満であるか、破壊点変位量が15.0mm未満
(引張伸び)
樹脂フィルムを短冊状(試験片:幅10mm、初期長40mm)に切り出し、引張試験機(株式会社島津製作所製、精密万能試験機AG-XPlus)にて23℃雰囲気下で引張速度:200mm/minの条件でMD方向〔機械流れ方向、Machine Direction〕及びTD方向〔機械流れ方向に垂直(略垂直の範囲を含む)の方向;Transverse Direction〕への引張試験を行い、破断伸びを測定して、以下の基準により評価した。
A(good):MD方向及びTD方向の引張破断伸びが100%以上である。
B(poor):MD方向又はTD方向の引張破断伸びが100%未満である。
(耐変形性)
樹脂フィルムを5cm角に切り出し、MD方向、TD方向それぞれに対し垂直方向に完全に折り曲げ、折跡の外観変化を目視にて評価した。
ここで評価結果MDはMD方向に対して垂直方向に折り曲げた場合を示し、折跡はMD方向に水平に入るものとする。
A(good):折跡が白化しない
B(poor):折跡が白化する
(透明性)
ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、商品名「NDH 5000」)を用いて、樹脂フィルム表面に光線を照射し、JIS K-7136-2008に準拠して、光線透過率及びヘイズを測定し、以下の基準により評価した。
A(good):光線透過率が85%以上であり、かつ、内部ヘイズが10%未満
B(poor):光線透過率が85%未満であるか、内部ヘイズが10%以上
(色差)
樹脂フィルムを、促進耐候性試験機(スガ試験機株式会社製、商品名「サンシャインウェザーメーター」)を用いて、BPT(ブラックパネル温度)63℃、湿度50%RH、照度255W/m、連続照射、水噴霧時間12分間/60分間照射の条件で200時間促進試験に暴露した。促進耐候性試験の前後で黄変度(YI値;イエローインデックス値)を測定し、以下の基準により評価した。
A(good):試験前のYI値が5.0未満であり、かつ、試験後のYI値が10.0未満
B(poor):試験前のYI値が5.0以上であるか、試験後のYI値が10.0以上
Figure 2022102825000001
Figure 2022102825000002
実施例1~8に記載の樹脂フィルムでは、低温及び室温での耐衝撃性、並びに、引張伸びに優れていた。また、透明性及び耐候性に優れ、かつ折り曲げ時の白化もなく外観を維持していた。一方、比較例1及び2は、本発明に係る熱可塑性ポリウレタンを含まないため、耐衝撃性及び引張伸びが劣っていた。比較例3は、本発明に係る脂環式構造含有重合体を含まないため、引張伸び及び透明性が劣っていた。比較例4は、熱可塑性ポリウレタンとしてエーテル型熱可塑性ポリウレタンを含むため、折り曲げ時にフィルムが白化し外観不良が見られた。
本発明の樹脂フィルムは特に制限されるものではないが光学フィルム、自動車のヘッドランプカバー等自動車部品、ガラス窓の代替やカーポート等の建築部材、家電製品部材、OA機器部材、カード材料、各種成形(真空、圧空、TOM、熱プレス)用フィルム等に好適に使用することができる。

Claims (13)

  1. 脂環式構造含有重合体と、カーボネート系熱可塑性ポリウレタン、ラクトン系熱可塑性ポリウレタン及びエステル系熱可塑性ポリウレタンからなる群から選ばれる少なくとも1つの熱可塑性ポリウレタンと、を含有する樹脂組成物。
  2. 前記脂環式構造含有重合体及び前記熱可塑性ポリウレタンの含有質量比が脂環式構造含有重合体:熱可塑性ポリウレタン=95:5~50:50である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記熱可塑性ポリウレタンのガラス転移温度が30℃以下である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記脂環式構造含有重合体が、ポリカーボネート系重合体である、請求項1~3のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
  5. 前記脂環式構造含有重合体が、環状エーテル類(a)と脂環式ジヒドロキシ化合物(b)との共重合体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記環状エーテル類(a)がイソソルビドである、請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. 前記脂環式ジヒドロキシ化合物(b)がシクロヘキサンジメタノール又はトリシクロデカンジメタノールである、請求項5又は6に記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなり、23℃における引張伸びが100%以上である樹脂フィルム又は成形体。
  9. 請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなり、厚さ100μmにおける光線透過率が85%以上であり、かつ、ヘイズが10%以下である樹脂フィルム又は成形体。
  10. 請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなり、5cm角に切り出してMD方向及びTD方向それぞれに対し垂直方向に折り曲げても白化しない樹脂フィルム又は成形体。
  11. 請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなり、-20℃におけるハイドロショット高速衝撃試験の破壊点変位量が9.0mm以上である樹脂フィルム又は成形体。
  12. 請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなり、23℃におけるハイドロショット高速衝撃試験の破壊点変位量が15.0mm以上である樹脂フィルム又は成形体。
  13. 請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなり、以下の条件の促進耐候性試験に200時間暴露した後のYI値が10.0未満である樹脂フィルム又は成形体。
    促進耐候性試験条件:ブラックパネル温度63℃、湿度50%(相対湿度)、照度255W/m、連続照射、水噴霧時間12分間/60分間照射
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