以下、本発明に係るサトウキビ収穫機の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1及び図2は、サトウキビ収穫機の全体を示す図であり、図1は左側面図、図2は平面図である。この実施形態では、図1及び図2に符号(F)で示す方向が機体前側、符号(B)で示す方向が機体後側である。図2に符号(L)で示す方向が機体左側、図2に符号(R)で示す方向が機体右側である。
サトウキビ収穫機は、操向操作可能な左右の前部走行装置としての前車輪1と、操向不能で且つ回転駆動される左右の後部走行装置としての後車輪2と、を備える。サトウキビ収穫機は、後車輪2を駆動することで走行可能である。
走行機体に、運転部3と、刈取部4と、トッパ5と、搬送装置6と、分離装置7と、コンベア8と、エンジン9と、等が備えられている。刈取部4は圃場に植立している作物(サトウキビ)を刈り取る。トッパ5は作物の上部の葉部分を切断する。搬送装置6は、刈取部4によって刈り取られた作物を後上方に向けて搬送する。分離装置7は、走行機体の後部に設けられ、搬送装置6によって搬送される作物を夾雑物と収穫物(サトウキビ)とに分離する。刈取部4及び搬送装置6は、本発明の『刈取搬送装置』に相当する。コンベア8は、分離装置7の下方箇所から斜め上方に向けて延ばされている。コンベア8は、上下軸芯X1まわりに下端部を支点にして旋回可能な状態で、走行機体の後部に連結され、分離装置7からの収穫物を受け取って斜め上方に向けて搬送して機外へ排出する。上下軸芯X1はコンベア8の旋回軸芯である。エンジン9は機体各部に動力を供給する。
コンベア8に、傾斜部8Aと連接部8Cと屈曲部8Bとが備えられている。傾斜部8Aは斜め上がりに傾斜し、連接部8Cは、屈曲部8Bを介して傾斜部8Aに対して搬送方向下手側に連接され、傾斜部8Aよりも倒伏している。
運転部3は、走行機体の前部の高い位置に備えられ、キャビン10によって周囲が覆われている。キャビン10内部には、運転座席、ステアリングハンドル、操作パネル等が備えられている。キャビン10の左右両側の側面部の夫々に、開閉可能なドアが備えられている。
刈取部4は、走行機体の前下部に備えられている。刈取部4に、左右の分草装置11と、刈取ヘッダ12と、が備えられている。左右の分草装置11は、植立作物のうち収穫対象を分草して案内する。刈取ヘッダ12は、圃場に植立する作物を刈り取って後方に送り込む。左右の分草装置11に、回転駆動される縦向き姿勢の分草回転体13が備えられている。
刈取ヘッダ12は、左右の分草装置11の後方に連なるように設けられている。刈取ヘッダ12の左右の側壁部にて挟まれた領域内にローラーが備えられ、ローラーは、作物を前倒れ姿勢になるように押し倒しながら後方に掻き込む。また、刈取ヘッダ12に、作物の株元を切断する切断装置18が備えられている。切断装置18は、左右の分草装置11の後方に位置する。切断装置18に左右一対の回転式カッターが備えられ、回転式カッターが上下軸芯周りで回転して作物の株元を切断する。
搬送装置6の搬送始端部は切断装置18の後方に連なる。搬送装置6は、作物を機体後上方に向けて搬送するように、後上がり傾斜姿勢に設けられている。搬送装置6は、剛性の高い構造体によって構成されている。当該構造体によって、略矩形筒状の搬送経路が形成されている。搬送装置6における移送経路の上下両側に掻き出し回転体が備えられている。掻き出し回転体は、搬送方向において適宜間隔をあけて備えられている。上下両側の掻き出し回転体が、互いに逆方向に回転駆動される。刈取部4によって刈り取られた長尺状の作物は、上下両側の掻き出し回転体に挟まれながら後方に搬送される。
搬送装置6は搬送終端部に上下一対の切断ローラー42,42(図5参照)が備えられ、切断ローラー42,42に、径方向外側に延びる切断刃が備えられている。長尺状の作物は、搬送終端部において切断ローラー42,42の夫々の切断刃に挟まれることによって、所定の長さに切断される。「所定の長さ」とは、例えば、後の運搬工程や加工工程において扱い易い長さである。分離装置7は、上下軸芯X1まわりで回転するファン72の通風作用によって、搬送装置6の搬送終端部から排出される作物に含まれる細かな茎稈屑や葉切れ等の夾雑物を分離して外方に排出する。
分離装置7の直下方であって且つ搬送装置6の後端部よりも後下方に、搬送装置6から下方に排出された作物を受け止めるホッパー19が備えられている。ホッパー19にて受け止められた作物は、コンベア8の搬送始端部に案内される。コンベア8は、走行機体の後部に設けられたコンベア支持フレーム体20に支持されており、走行機体の後部から機体外方上方に向けて延びている。コンベア8は作物を係止搬送して搬送終端部から外方に放出する。
〔分離装置について〕
図3~図5に示されるように、分離装置7に、ケース部70とフード部71とファン72とが備えられている。ファン72は、油圧モータ72Mの動力によって上下軸芯X1まわりに回転可能に構成されている。ケース部70の下端部は下方へ開放する。ケース部70の下端部の開放部分を吸気部70hと称する。ファン72はフード部71とケース部70との間に挟まれた状態で設けられている。ケース部70は、収穫された作物を夾雑物と収穫物とに分離して夾雑物を上方へ案内するとともに収穫物を下方へ案内する。フード部71は、夾雑物を側方へ排出する。
図4に示されるように、ケース部70は平面視において円筒形状に形成され、ケース部70の内面形状が、上下軸芯X1を中心とする円形の断面形状である。ケース部70の外周部における前部に、搬送装置6の搬送終端部と接続された接続口が形成されている。この接続口は、搬送装置6から搬送される作物を受け入れる投入口70iである。即ち、ケース部70の外周部に、搬送装置6によって搬送されてきた作物が投入される投入口70iが形成されている。作物の茎稈は、搬送装置6は搬送終端部で切断ローラー42,42(図5参照)によって切断された後、ケース部70の投入口70iからケース部70の内部へ約45度の放出角度で投入される。切断ローラー42,42は、作物をケース部70へ投げ込む投入装置である。
ファン72は、ケース部70の内部に設けられ、円形の中心を通る上下軸芯X1まわりに回転して選別風を起風する。上下軸芯X1は、ファン72の中心軸である。ケース部70の底部に、ファン72が選別風を起風するための吸気部70hが備えられている。選別風は、上方に向けて旋回しながら上昇する。ケース部70の内部へ投入された作物は、ファン72による吸引作用を受けて、細かな茎稈屑や葉切れ等の比較的軽い夾雑物が上方に吸引される。そして夾雑物は、ファン72を通過してフード部71から外方に排出される。なお、フード部71は、ケース部70の上方において上下軸芯X1まわりに回動可能に設けられ、夾雑物の排出方向を変更できる。上下軸芯X1はフード部71の回動軸芯である。夾雑物に比べて重たい収穫物は、ファン72によって吸引されることなく、そのまま下方に落下する。
ケース部70は、搬送装置6と分離装置7との接続部分、即ち投入口70iよりも下方に延ばされている。ケース部70の下端部に飛散防止鎖70Cが連接され、飛散防止鎖70Cは、ホッパー19の上端部付近まで垂れ下がる。飛散防止鎖70Cは、円筒形状に形成されたケース部70のうちの後側半分の周部に連接されている。これにより、搬送装置6からケース部70へ投入された収穫物がホッパー19よりも外側に零れ落ちる虞が軽減される。
図4に示されるように、ケース部70の外周部に二つの開口部73,73が備えられ、開口部73,73は上下軸芯X1を挟んで左右に設けられている。換言すると、二つの開口部73,73が、ケース部70の周方向において、搬送装置6によって搬送されてきた作物の投入口70iを挟んで左右に振り分けた状態で形成されている。本実施形態では、開口部73は、本発明の『開口』に相当する。ファン72の回転駆動に伴って、ケース部70の内部の空気がファン72によって吸引される。このとき、ケース部70の下端部の開放部分である吸気部70hに加えて、開口部73,73の夫々から外気が吸引される。開口部73,73は、上下軸芯X1の延び方向において、ケース部70の外周部のうちのファン72と吸気部70hとの間の部分に形成されている。また、開口部73,73は、ケース部70の外周部のうち、上下軸芯X1の延び方向に沿う方向視において、上下軸芯X1に対して作物の投入口70iが形成された側と同じ側の位置に形成されている。
切断ローラー42,42の上方と、ケース部70の外周部の投入口70iと、に亘って板部材53が備えられている。板部材53の後端部はケース部70の投入口70iの上端部であって、切断ローラー42,42によって放出される作物が、板部材53に沿ってケース部70の内部へ案内される。板部材53の後端部は、開口部73,73の上端部と略同じ高さの位置に配置されている。このことから、開口部73,73は、ケース部70の外周部のうち、上下軸芯X1に沿う方向において、投入口70iの存在範囲に対応する範囲内の位置に形成されている。
ケース部70に風路部73Aが備えられ、風路部73Aは、ケース部70における円筒形状の外周部から上下軸芯X1に対して接線方向に延び、風路部73Aの延出端部に吸引口が形成されている。風路部73Aは、ケース部70外周部のうち、選別風の旋回方向における開口部73,73の下流端から、当該下流端における接線方向に沿って外気吸引方向上手側に向けて延びる。そして風路部73Aは、開口部73,73とは反対側の端部に外気を導入する吸込口73hを有する。風路部73Aは、上下軸芯X1に沿う方向視において、均一の幅に構成されている。
風路部73Aの吸込口73h(延出端部)に防塵部材73Bが備えられている。防塵部材73Bは、風路部73Aの上下に亘って延びる複数の丸棒によって構成されている。開口部73から外気が吸引される際に、当該複数の丸棒の間を外気が流れ、当該複数の丸棒に異物が引っ掛かり易くなる。このため、塵埃等の異物が開口部73からケース部70の内部へ吸引され難くなる。
開口部73,73の夫々からの外気は、ケース部70の外周部に対して接線方向に沿って流れるように整流されながらケース部70の内部に吸引され、ケース部70における円筒形状の内周側壁に沿って流れる。つまり、ファン72の回転駆動に伴ってケース部70の内周縁部に上向きの旋回流が発生し易くなるが、開口部73,73の夫々から接線方向に整流された空気が吸引される構成によって、開口部73,73が備えられない構成と比較して旋回流が強力になる。これにより、夾雑物が塊状となった場合であっても、塊状の夾雑物が旋回流によってしっかりとほぐされて塵状となる。そして、夾雑物がケース部70の内部における内周側領域へ集まり易くなり、収穫物がケース部70の内部における外周側領域へ集まり易くなる。その結果、夾雑物と収穫物とがしっかりと分離される。このように、ケース部70の外周部に、選別風の旋回によって外気を吸引する開口部73,73が形成されている。
図5に基づいて、ファン72の構造について説明する。ファン72に、ファン本体72Aと、シャフト72Sと、筒状のシャフトケース72Kと、油圧モータ72Mと、が備えられている。油圧モータ72Mはフード部71よりも上側に位置し、シャフトケース72Kはフード部71の内部を上下に延びる。油圧モータ72Mとシャフトケース72Kとの夫々は支持部70Sにボルト連結されている。複数のフレームがケース部70の本体からフード部71の側方を通ってフード部71よりも上側まで延ばされている。支持部70Sは当該複数のフレームに支持されている。支持部70Sに、シャフトケース72Kが貫通する貫通孔が形成されている。
シャフト72Sは、シャフトケース72Kに内挿されている。また、シャフト72Sは、シャフトケース72Kの上端部と下端部とでボールベアリングを介してシャフトケース72Kに支持されている。これにより、シャフト72Sはシャフトケース72Kの内部で回転可能に構成されている。シャフト72Sの上端部にスプライン部分が形成され、シャフト72Sの上端部と、油圧モータ72Mの出力軸と、がスプライン結合されている。また、シャフト72Sの下部にスプライン部分が形成され、シャフト72Sの下部と、ファン本体72Aの回転中心部分と、がスプライン結合されている。シャフト72Sの下端部にネジ溝が形成され、シャフト72Sの下端部がナット締めされることによってファン本体72Aがシャフト72Sから抜けないように支持される。
ファン本体72Aの回転中心部分に筒状部分72fが形成され、筒状部分72fにシャフト72Sの下部が入り込む。シャフトケース72Kにフランジ部72Dが外嵌する。フランジ部72Dは、筒状部分72fの上端部を上側から覆い、かつ、筒状部分72fの上端部を外周側から覆う。筒状部分72fはファン本体72Aの一部であるため、筒状部分72fはフランジ部72Dに対して相対回転する。フランジ部72Dの下端部と、筒状部分72fの上端部と、は接触しない程度に接近し、フランジ部72Dと筒状部分72fとの間の隙間は狭くなるように、フランジ部72D及び筒状部分72fは構成されている。これにより、ファン本体72Aとシャフトケース72Kとの間の相対回転部分に異物が入り込み難くなる。
作業者がファン72をメンテナンスする場合、作業者は、シャフト72Sの下端部のナットを取外し、シャフト72Sからファン本体72Aを取り外す。そして作業者が支持部70Sにおける油圧モータ72Mのボルト連結を解除することによって、油圧モータ72Mが支持部70Sから取り外される。このとき、油圧モータ72Mとシャフト72Sとのスプライン結合も解除される。加えて作業者が、支持部70Sにおけるシャフトケース72Kのボルト連結を解除し、支持部70Sの貫通孔からシャフトケース72Kを上に抜き取ることによって、シャフトケース72Kとシャフト72Sとが一体的に支持部70Sから取り外される。
図3及び図5に示されるように、フード部71に、フード本体71Aと底部材71Bとが備えられ、フード本体71Aと底部材71Bとは互いにボルト連結されている。フード部71が上下軸芯X1まわりに旋回すると、底部材71Bがケース部70に対して相対回転するため、底部材71Bは摩耗しがちである。本実施形態では、底部材71Bが摩耗した場合、作業者が、フード本体71Aと底部材71Bとのボルト連結を解除することによって、底部材71Bを交換できる。また、夾雑物との衝突によってフード本体71Aの摩耗が進行した場合、作業者はフード本体71Aのみを交換できる。
〔ホッパーについて〕
図6に基づいて、ホッパー19に関して説明する。コンベア8の前端部は分離装置7の下方領域に入り込む。このことから、コンベア8の前端部の上部に、分離装置7から落下してきた収穫物を受け入れる投入口が設けられている。ホッパー19は、分離装置7と、コンベア8の前端部との間に位置する状態で、コンベア8の前端部における投入口に連結されている。本実施形態では、ホッパー19は、平面視において半円状に形成されている。即ち、ホッパー19は、投入口の前部、右部及び左部を取り囲む状態で投入口から立ち上げられる。分離装置7から落ちてきた収穫物は、ホッパー19によって受け止められ、そのままコンベア8の前下部における投入口へ案内される。
コンベア8の前端部における投入口は、ホッパー19の後端部よりも後上方まで延ばされている。換言すると、コンベア8の搬送経路のうち、上カバー部88Aの前端部よりも搬送方向上手側に位置する部分がコンベア8の投入口である。ホッパー19の後方に左右一対のサイドカバー部19B,19Bが備えられている。ホッパー19の後端部と、左右一対のサイドカバー部19B,19Bの夫々の前端部と、がボルト連結されている。左右一対のサイドカバー部19B,19Bの夫々は、コンベア8の前端部における投入口のうち、ホッパー19の後端部よりも後上方まで延ばされた部分の左右側部から立ち上げられる。このことから、ホッパー19と、左右一対のサイドカバー部19B,19Bと、が一体的に構成され、分離装置7から落下する収穫物を受け止める。コンベア8は搬送経路始端部から斜め上方へ立ち上がり、左右一対のサイドカバー部19B,19Bは、コンベア8の勾配に沿って、後上がりに傾斜する。
一般的に、収穫物がコンベア8の搬送終端部から、例えば運搬車の荷台に排出されるが、運搬車の荷台が満杯になって運搬車が圃場から離脱して、サトウキビ収穫機は次の運搬車の到着を待つ場合が考えられる。このとき、サトウキビ収穫機はコンベア8を停止させた状態で走行しながら、ホッパー19に収穫物を溜め込みながら圃場の作物を刈り取れると望ましい。本実施形態では、コンベア8の前端部における投入口がホッパー19の後端部よりも後上方まで延ばされるため、投入口がホッパー19の下方のみに備えられる構成と比較して、投入口は更に多くの収穫物を受け入れ可能となる。また、ホッパー19の後端部と、左右一対のサイドカバー部19B,19Bの夫々の前端部と、が連結され、ホッパー19と、左右一対のサイドカバー部19B,19Bと、が一体的に構成されている。このため、左右一対のサイドカバー部19B,19Bが備えられない構成と比較して、コンベア8の前端部における投入口に更に多くの収穫物を溜め込むことが可能となる。
搬送経路上に、複数の搬送体86と、底部材87と、が備えられている。複数の搬送体86の夫々は左右一対の無端回動チェーン85,85と連結されている。複数の搬送体86は、左右一対の無端回動チェーン85,85に亘る状態で取り付けられ、無端回動チェーン85,85と一体回転することによって搬送経路始端部から斜め上方へ向けて移動する。このことから、分離装置7から落下した収穫物は、ホッパー19と、左右一対のサイドカバー部19B,19Bと、によって搬送始端部へ案内される。そして収穫物は、底部材87に載置された状態で、複数の搬送体86によって斜め上方へ向けて搬送される。
〔油圧配管の支持構造〕
図3、図6及び図8に示されるように、ホッパー19の下部に旋回側クランプ部43が備えられ、旋回側クランプ部43は複数のコンベア油圧配管58を支持する。図7に示されるように、エンジン9の左方に隣接して伝動部51が備えられ、伝動部51の左方に複数のポンプユニット32が連結されている。伝動部51は、エンジン9の動力を複数のポンプユニット32に伝達する。機体前後中間部の左側下部に位置する状態で、作動油を貯留する貯留タンク31が備えられている。複数のポンプユニット32の夫々は、貯留タンク31に貯留されている作動油を油圧機器に供給する。複数のポンプユニット32及び貯留タンク31は、走行機体の機体左右方向中心に対して機体左側に偏倚した状態で設けられている。
走行機体の後部における機体左部に固定側クランプ部44が備えられ、固定側クランプ部44は複数のコンベア油圧配管58を支持する。固定側クランプ部44は、左右に揺動可能なように構成されている。コンベア油圧配管58は、貯留タンク31及びポンプユニット32からの作動油を、後述の油圧モータ81M、昇降油圧シリンダー24,24等に対して給排する。換言すると、複数のコンベア油圧配管58は、貯留タンク31及びポンプユニット32からの作動油を、コンベア8のうち、旋回油圧シリンダー22,22(図3、図5等参照)よりも後側の部分に対して給排する。左右一対の旋回油圧シリンダー22,22に関しては後述する。
ポンプユニット32から、本配管30B及びコンベア油圧配管58が後方に延びる、本配管30Bは、左右一対の旋回油圧シリンダー22,22の夫々に対して作動油を給排可能なように構成されている。本配管30B及びコンベア油圧配管58は、走行機体の機体左右方向中心に対して機体左側に偏倚した状態で設けられている。
コンベア油圧配管58のうち、走行機体の後部とコンベア8の前部との間の隙間に位置する部分は、旋回側クランプ部43と固定側クランプ部44とによって支持される。このため、コンベア油圧配管58のうち、コンベア8の旋回に伴って変位する部分は、旋回側クランプ部43と固定側クランプ部44との間の部分に限定される。このことから、コンベア油圧配管58の変位する範囲を予め予測することが可能となり、コンベア油圧配管58が他部材と不意に干渉したり、コンベア油圧配管58が他部材に不意に引っ掛かったりする虞が軽減される。
図3に示されるように、コンベア8の前端部に丸棒部材54,55が備えられ、走行機体の後部に丸棒部材56が備えられている。丸棒部材54は、平面視において図6に示されるようなU字形状に曲げ形成され、コンベア8の前端部における左右両端部に支持される。丸棒部材55は、コンベア8の前端部における左側部に設けられ、左側の前側壁80Fの上縁部分及び前縁部分に沿って延びるように曲げ形成されている。丸棒部材56は、走行機体の後部の左部分に固定され、固定側クランプ部44よりも下側に位置する。丸棒部材56の先端部は機体横外方(左の後車輪2の位置する側)に延び、コンベア油圧配管58が左の後車輪2の位置する側へ垂れ下がらないように、コンベア油圧配管58を支持する。
コンベア8が機体左側(図19の左最大旋回位置L1の位置する側)へ旋回すると、コンベア油圧配管58のうちの旋回側クランプ部43と固定側クランプ部44との間の部分は、ホッパー19の下部に巻き付く。しかし、コンベア8の機体左側への旋回途中で、コンベア油圧配管58が、コンベア8の前下端部(図3の側面視において前側壁80Fの前縁部分に対応する箇所)に引っ掛かることが考えられる。こうなると、コンベア油圧配管58が、ホッパー19の下部に巻き付かずにコンベア8の前下端部に不意に巻き付く虞がある。本実施形態では、コンベア油圧配管58のうちの旋回側クランプ部43と固定側クランプ部44との間の部分は、走行機体の後部とコンベア8の前部との間の隙間に落ち込まないように、丸棒部材54によって下方から支持される。これにより、コンベア油圧配管58がコンベア8の前下端部に引っ掛かる虞が回避される。なお、コンベア油圧配管58は、走行機体の後部とコンベア8の前部との間の隙間に落ち込まないように、丸棒部材54と丸棒部材56とによって支持される構成であっても良い。
また、コンベア8が機体右側(図19の右最大旋回位置R1の位置する側)へ旋回した場合、コンベア油圧配管58のうちの旋回側クランプ部43と固定側クランプ部44との間の部分が、左側の前側壁80Fに対して左前方に位置するように垂れ下がる場合がある。このとき、コンベア油圧配管58は、左の後車輪2の位置する側へ垂れ下がらないように、丸棒部材56によって支持される。
コンベア8が、機体右側に旋回した状態から機体左側へ旋回する際、コンベア油圧配管58のうちの旋回側クランプ部43と固定側クランプ部44との間の部分が、コンベア8のうちの左側の前側壁80Fの上縁部分及び前縁部分に対応する角部分に引っ掛かる可能性が考えられる。本実施形態では、丸棒部材55が左側の前側壁80Fの上縁部分及び前縁部分に沿って延びる。このため、コンベア8の機体左側への旋回途中で、コンベア油圧配管58が、ホッパー19の前部とコンベア8の前下端部との間の空間へ、丸棒部材55によって円滑に案内される。これにより、コンベア油圧配管58のうちの旋回側クランプ部43と固定側クランプ部44との間の部分が、コンベア8のうちの左側の前側壁80Fの上縁部分及び前縁部分に対応する角部分に引っ掛かることなくホッパー19の下部に巻き付く。このように、丸棒部材54,55,56は、走行機体の後部とコンベア8との連結箇所において、コンベア油圧配管58が走行機体の後部とコンベア8の前部との間の隙間に落ち込むことを防止する。
〔コンベアの支持構造〕
図8~図14に基づいて、コンベア8の支持構造を説明する。図11及び図12に示されるように、コンベア支持フレーム体20に旋回フレーム体21がピン35を介して揺動可能に連結されている。旋回フレーム体21は上下軸芯X1まわりに旋回可能であって、コンベア8は、上下軸芯X1まわりに、下端部を支点にして旋回可能に構成されている。コンベア支持フレーム体20と旋回フレーム体21との夫々に左右一対の油圧駆動式の旋回油圧シリンダー22,22がピン36,36を介して揺動自在に連結され、旋回油圧シリンダー22,22はコンベア8を左右に旋回操作する。
図3、図8及び図9に示されるように、旋回フレーム体21の後上部に揺動支持部21Tが備えられ、揺動支持部21Tの上部に軸受部材28が備えられている。軸受部材28はコンベア8の揺動軸23を支持する。揺動軸23はコンベア8のフレーム体に連結されている。揺動軸23の中心に横向き軸芯Y1が存在し、コンベア8は横向き軸芯Y1まわりに下端部を支点にして上下揺動可能に構成されている。横向き軸芯Y1は、コンベア8の揺動軸芯である。左右一対の昇降油圧シリンダー24,24は走行機体の後部とコンベア8との夫々に連結されている。つまり、左右一対の油圧駆動式の昇降油圧シリンダー24,24が分離装置7とコンベア8との夫々に連結され、昇降油圧シリンダー24,24はコンベア8を上下に揺動駆動する。
図9に示されるように、軸受部材28に、ボス部28Aと筒状部28Bとが備えられている。ボス部28Aは走行機体、即ち旋回フレーム体21の揺動支持部21Tに支持されている。ボス部28Aにフランジ部分が形成され、当該フランジ部分の周方向に沿ってボルト孔が等間隔に穿孔されている。ボス部28Aのフランジ部分が揺動支持部21Tにボルト固定されている。筒状部28Bは、いわゆる銅ブシュであって、ボス部28Aに相対回転不能に圧入されている。ボス部28Aの内周面と揺動軸23の外周面とが摺接する。
ボス部28Aのフランジ部分にボルト孔が等間隔に穿孔されているため、ボス部28Aは揺動支持部21Tに対する取付姿勢を上下反転可能である。コンベア8の上下揺動に伴って、揺動軸23は筒状部28Bに対して相対回転するため、筒状部28Bのうち揺動軸23に対する下側部分は摩耗しがちである。一方、筒状部28Bのうち揺動軸23に対して上側に位置する部分の摩耗度合いは、揺動軸23に対して下側に位置する部分よりも小さい。
筒状部28Bの下側部分が摩耗した場合、作業者は、ボス部28Aのフランジ部分におけるボルト締結を解除して、ボス部28Aを筒状部28Bと一体的に180度回転させ、再びボス部28Aのフランジ部分を揺動支持部21Tにボルト固定する。これにより、筒状部28Bのうち揺動軸23に対して上側に位置していた部分が、揺動軸23に対して下側に移動するため、筒状部28Bを更に継続使用でき、筒状部28Bの交換頻度が少なくなる。つまり、軸受部材28は、ボス部28Aと筒状部28Bとが揺動軸23の横向き軸芯Y1まわりに回転することによって、揺動軸23に対する支持姿勢を変更可能なように構成されている。
図8に示されるように、コンベア8の底部に左右一対の底フレーム部80D,80Dが備えられ、底フレーム部80D,80Dは、コンベア8の延び方向視において下側に位置する状態で、コンベア8の延び方向に沿って延びる。底フレーム部80D,80Dは、コンベア8の底部を構成する。底フレーム部80D,80Dの夫々に取付部40,40が取り付けられている。取付部40,40の夫々は、コンベア8の延び方向視において底フレーム部80D,80Dよりも下側に位置する状態で、底フレーム部80D,80Dに溶接固定によって支持されている。取付部40,40の夫々は、側面視において三角形状に形成され、底フレーム部80Dの位置する側ほど、コンベア8の延び方向における厚みが増している。
図10に示されるように、取付部40,40の夫々に突出部40Aが設けられ、突出部40Aはコンベア8の延び方向視において側方に突出する。つまり、取付部40,40の夫々は、コンベア8の左右両側方に突出する。昇降油圧シリンダー24,24の夫々の端部が突出部40A,40Aに連結されている。左右一対の取付部40,40に亘って横フレーム41が横架し、横フレーム41が左右の取付部40,40の夫々に連結する。横フレーム41の左右両端部が取付部40,40の夫々に溶接固定されている。このように、コンベア8の底部に、左右の取付部40,40と、左右の取付部40,40の夫々に連結する横フレーム41と、が備えられている。
これにより、取付部40,40の剛性が補強されている。また、取付部40,40は、コンベア8の下向きのモーメント荷重を受けるため、取付部40,40に応力が集中しがちである。本実施形態では、取付部40,40の夫々は、側面視において三角形状に形成されているため、取付部40,40における応力が緩和される。
昇降油圧シリンダー24,24は、走行機体の後部からコンベア8の横側方を通ってコンベア8の底部に連結されている。つまり、昇降油圧シリンダー24,24は、分離装置7からコンベア8の側方を通って、コンベア8のうち、コンベア8の延び方向視において下側に位置する左右一対の取付部40,40まで延ばされて、左右一対の取付部40,40に連結されている。昇降油圧シリンダー24,24は、分離装置7の連結体26に連結されている。以上の構成によって、コンベア8はコンベア支持フレーム体20と分離装置7とに支持される。
昇降油圧シリンダー24,24が取付部40,40で連結され、取付部40,40はコンベア8の延び方向視において下側に位置する。このため、コンベア8の延び方向視において上側の部分で昇降油圧シリンダー24,24が連結される構成と比較して、昇降油圧シリンダー24,24のストローク量が長くなり、コンベア8の昇降量が大きくなる。つまり、昇降油圧シリンダー24,24が、コンベア8の延び方向視において下側で連結される構成によって、コンベア8の延び方向視において上側の部分で昇降油圧シリンダー24,24が連結される構成と比較して、コンベア8を大きく降下させられる。
図8に示されるように、コンベア8が最も上昇側に位置する状態で、昇降油圧シリンダー24,24の夫々の長手方向は水平方向に沿っている。また、昇降油圧シリンダー24,24の夫々は、平面視においてコンベア8の延び方向に沿って伸縮動作するように配置されている(図15参照)。このため、コンベア8と昇降油圧シリンダー24,24と連結体26,26とに横方向への捩れの力が作用しない。
コンベア8のモーメント荷重は、昇降油圧シリンダー24,24を介して左右一対の連結体26,26に作用する。本実施形態の構成であれば、左右方向及び上下方向の力が左右一対の連結体26,26に作用し難くなり、左右一対の連結体26,26に作用する力が前後方向に集中し易くなる。これにより、左右一対の連結体26,26に対するせん断応力が軽減され、連結体26,26はコンベア8をしっかりと支持できる。
また、昇降油圧シリンダー24の下方に位置する状態で、左右一対の鎖状体29,29が備えられている。鎖状体29,29は、昇降油圧シリンダー24,24の延び方向視において昇降油圧シリンダー24,24よりも下側に位置する状態で、走行機体の後部とコンベア8との夫々に連結されている。鎖状体29の両端部は、連結体26のうち昇降油圧シリンダー24との連結部分よりも下側の部分と、コンベア8に備えられた複数の斜体フレーム80Iのうちの取付部40よりも搬送方向上手側に存在する斜体フレーム80Iと、の夫々に連結されている。鎖状体29は、斜体フレーム80Iの上部における斜体フレーム80Iの左右の幅内において枢支されている。鎖状体29は、平面視において、コンベア8の後側ほどコンベア8の横内側に近付くように傾斜する。斜体フレーム80Iはコンベア8の搬送経路に対して左右側方に位置する。昇降油圧シリンダー24,24が収縮してコンベア8が上昇した状態で、左右一対の鎖状体29,29は弛んでいる。
例えばメンテナンス時に昇降油圧シリンダー24,24が機体から取り外された状態で、鎖状体29,29はコンベア8の下方への揺動を規制する。このため、例えば実際の圃場作業等で昇降油圧シリンダー24,24のストローク量が規制されないように、鎖状体29,29の長さは、昇降油圧シリンダー24,24の最も伸びる長さよりも長くなるように構成されている。なお、連結体26の詳細に関しては後述する。
〔旋回油圧シリンダーについて〕
図11~図14に示されるように、コンベア8が機体前後方向に沿う状態で、旋回油圧シリンダー22,22は上下軸芯X1を挟んで左右に振り分け配置されている。旋回油圧シリンダー22,22は、複動型に構成された油圧シリンダーである。旋回油圧シリンダー22,22は、上下軸芯X1に対して左右に振り分け配置された状態で、走行機体の後部とコンベア8とに連結され、コンベア8を左右に旋回駆動する。
コンベア支持フレーム体20に上板部20Aと下板部20Bとが備えられ、旋回油圧シリンダー22,22は上板部20Aと下板部20Bとの間の空間内に位置する。また、旋回フレーム体21に、上下一対の上板部21A,21Bと、上下一対の下板部21C,21Dと、が備えられている。上下一対の上板部21A,21Bの間に上板部20Aが挿入され、上下一対の下板部21C,21Dの間に下板部20Bが挿入される。旋回油圧シリンダー22,22は上板部21Bと下板部21Cとの間の空間内に位置する。
上述したように、旋回フレーム体21は上下軸芯X1まわりに旋回可能なようにコンベア支持フレーム体20に支持されている。上板部20Aと、上下一対の上板部21A,21Bと、がピン35で旋回可能に連結されている。また、下板部20Bと、上下一対の下板部21C,21Dと、が別のピン35で旋回可能に連結されている。上下のピン35,35の間に旋回油圧シリンダー22,22が位置する。これにより、旋回油圧シリンダー22,22と、ピン35と、の干渉が回避されている。
旋回油圧シリンダー22,22の夫々に複数の油圧配管30として分岐配管30A,30A,30A,30Aが接続されている。図7に示されるように、機体前部における左側部に貯留タンク31とポンプユニット32と方向切換弁33とが備えられている。貯留タンク31とポンプユニット32と方向切換弁33とは、旋回油圧シリンダー22,22に対する駆動源として構成されている。
本実施形態では、一つの油圧配管30に、一つの本配管30Bと、分岐部34と、二つの分岐配管30A,30Aと、が備えられている。図11~図14に、分岐配管30A,30A,30A,30Aと、本配管30B,30Bと、二股の分岐部34,34と、が示される。本配管30Bは、貯留タンク31及びポンプユニット32に接続されている。分岐部34は、油圧配管30のうち上下軸芯X1よりも機体前側において、本配管30Bを、二つの旋回油圧シリンダー22,22の夫々に対応させて複数に枝分かれさせる。作動油は、貯留タンク31からポンプユニット32によって方向切換弁33と本配管30Bと分岐部34と分岐配管30Aとを経由して旋回油圧シリンダー22,22の夫々へ圧送される。
図7に示されるように、左右の後車輪2の間であってかつ搬送装置6の後部下方に位置する状態で、走行伝動部52が備えられている。走行伝動部52はエンジン9の動力を左右の後車輪2に伝達する。走行伝動部52は、機体フレーム15に支持されている。走行伝動部52は、静油圧式無段変速機構及びギア式の伝動機構を有する。ギア式の伝動機構は、走行伝動部52の左右中央部に配置されている。ギア式の伝動機構の左右両側に車軸が延び、車軸の延出端部にギア式の減速機構が備えられている。
分岐部34,34は、走行伝動部52の真下に位置する状態で、機体フレーム15に支持されている。機体フレーム15の機体左側の部分に、上方に突出するとともに分岐部34,34の夫々を揺動可能に支持する支持部材15Aが備えられ、分岐部34,34の夫々は、支持部材15Aに揺動自在に支持される。本配管30B,30B及び分岐部34,34は、機体左右方向中心に対して機体左右一方側に偏倚した状態で設けられている。
図11に示されるように、機体フレーム15に、載置部15B,15Bと、左右一対の前後フレーム部15C,15Cと、横フレーム部15Dと、が備えられている。前後フレーム部15C,15Cは前後方向に延び、前後フレーム部15C,15Cに亘って横フレーム部15Dが横架する。支持部材15Aは横フレーム部15Dに支持され、支持部材15Aに上下一対の分岐部34,34が支持されている。横フレーム部15Dの長手方向両端部は前後フレーム部15C,15Cに溶接されている。載置部15B,15Bの夫々は前後フレーム部15Cと横フレーム部15Dとの連結部分の上方に位置する。走行伝動部52は、左右一対の載置部15B,15Bに支持される。分岐部34,34は、平面視において左右一対の載置部15B,15Bの間に位置する。
図11~図14に示されるように、一つの旋回油圧シリンダー22におけるシリンダー部分のヘッド側の油室と、ロッド側の油室と、の夫々に二つ一組の分岐配管30A,30Aが接続されている。旋回油圧シリンダー22のシリンダー部分のヘッド側とロッド側とに対する作動油の給排制御によって、旋回油圧シリンダー22は伸縮動作する。旋回油圧シリンダー22が伸長する場合、ヘッド側の油室が伸長用油室となって、ロッド側の油室が収縮用油室となる。また、旋回油圧シリンダー22が収縮する場合、ヘッド側の油室が収縮用油室となって、ロッド側の油室が伸長用油室となる。
一つの分岐部34は、貯留タンク31とポンプユニット32と方向切換弁33とに対して一つの本配管30Bで接続され、かつ、一対の旋回油圧シリンダー22,22の夫々に向けて二つの分岐配管30A,30Aに枝分かれする。一つの分岐部34に接続される分岐配管30A,30Aの一方は、一対の旋回油圧シリンダー22,22の一方におけるヘッド側の油室に接続される。また、一つの分岐部34に接続される分岐配管30A,30Aの他方は、一対の旋回油圧シリンダー22,22の一方におけるロッド側の油室に接続される。
一対の本配管30B,30Bは、旋回油圧シリンダー22,22に対する伸長用配管及び収縮用配管として、方向切換弁33と分岐部34,34とに亘って接続されている。一対の分岐部34,34と、一対の旋回油圧シリンダー22,22と、に応じて合計4本の分岐配管30A,30A,30A,30Aが配設されている。4本の分岐配管30A,30A,30A,30Aは、分岐部34,34から走行伝動部52の下方を通って旋回油圧シリンダー22,22まで延ばされている。
本配管30B,30Bの一方と、旋回油圧シリンダー22,22の伸長用油室に接続された分岐配管30A,30Aと、は伸長用配管である。ポンプユニット32は、作動油を貯留タンク31から伸長用配管を介して旋回油圧シリンダー22,22における伸長用油室に圧送する。本配管30B,30Bの他方と、旋回油圧シリンダー22,22の収縮用油室に接続された分岐配管30A,30Aと、は収縮用配管である。旋回油圧シリンダー22,22における収縮用油室からの作動油が収縮用配管を介して貯留タンク31へ戻される。
つまり、複数の油圧配管30として、一対の旋回油圧シリンダー22,22における伸長用油室に対する作動油を給排する伸長用配管と、一対の旋回油圧シリンダー22,22における収縮用油室に対する前記作動油を給排する収縮用配管と、が備えられている。方向切換弁33が切換操作されると、一対の本配管30B,30Bと、4本の分岐配管30A,30A,30A,30Aと、において伸長用配管と収縮用配管とが入れ替わる。
分岐部34,34のうち、伸長用配管に対応する一方が伸長用分岐部となり、収縮用配管に対応する他方が収縮用分岐部となる。換言すると一対の分岐部34,34として、伸長用配管を旋回油圧シリンダー22,22における伸長用油室に対応して分岐する伸長用分岐部と、収縮用配管を旋回油圧シリンダー22,22における収縮用油室に対応して分岐する収縮用分岐部と、が備えられている。方向切換弁33が切換操作されると、分岐部34,34において伸長用分岐部と収縮用分岐部とが入れ替わる。
コンベア8は、旋回油圧シリンダー22,22の一方が伸長するとともに旋回油圧シリンダー22,22の他方が収縮することによって、左右に旋回する。コンベア8が平面視において機体前後方向に沿うとき、左右の旋回油圧シリンダー22,22の夫々は、平面視において後側ほど機体中央寄側に位置するように傾斜する。コンベア8が左右に旋回すると、機体右側の旋回油圧シリンダー22は揺動軸芯X2Rまわりに揺動し、機体左側の旋回油圧シリンダー22は揺動軸芯X2Lまわりに揺動する(図13及び図14参照)。
分岐配管30A,30A,30A,30Aは可撓性を有し、旋回油圧シリンダー22,22の夫々の揺動に追従して分岐配管30A,30A,30A,30Aは弾性変形する。しかし、分岐配管30A,30A,30A,30Aの変形度合いが大きくなると、分岐配管30A,30A,30A,30Aに負荷が掛かり、分岐配管30A,30A,30A,30Aの耐久性に悪影響を及ぼす虞がある。このような不都合を解消するため、本実施形態では、二股の分岐部34,34が左右に揺動自在なように構成されている。つまり、分岐部34,34の夫々は、コンベア8の旋回に追従して上下向きの軸芯X3まわりに揺動可能に構成されている。分岐部34,34は、上下軸芯X1よりも機体前側の部分に設けられている。軸芯X3は、左右一対の旋回油圧シリンダー22,22よりも前側の箇所に設定されている。支持部材15Aにおいて、分岐部34,34の夫々は、上下に並んで配置され、かつ、一つの軸芯X3まわりに揺動自在に構成されている。
図13及び図14に示されるように、左右の旋回油圧シリンダー22,22の夫々が、コンベア8の旋回に追従して揺動すると、分岐部34,34が、旋回油圧シリンダー22,22の揺動に追従して軸芯X3まわりに揺動する。また、本配管30B,30Bは可撓性を有し、分岐部34,34の揺動に伴って、本配管30B,30Bは、分岐部34,34に対する接続部分が左右方向に弾性変形する。軸芯X3は、平面視で分岐部34における本配管30Bの延長上の位置に設定されている。図13及び図14に、分岐部34における本配管30Bの延長線L11が示される。延長線L11は軸芯X3と交わる。このため、分岐部34,34が揺動する場合であっても、本配管30B,30Bに無理な弾性変形が生じ難くなる。
以上の構成によって、旋回油圧シリンダー22,22の揺動に伴って分岐配管30A,30A,30A,30Aの夫々に引張力や押圧力が作用する場合であっても、引張力や押圧力が分岐部34,34の揺動と、本配管30B,30Bの弾性変形と、によって吸収される。このため、分岐配管30A,30A,30A,30Aに無理な弾性変形が生じ難くなる。
〔コンベアとフード部との連動機構について〕
本実施形態では、フード部71が、コンベア8の旋回に追従して旋回可能なように構成されている。図15~図18に示されるように、分離装置7のケース部70のうち、投入口70iよりも上側の外周部分は、上下軸芯X1を中心軸とする円筒状に形成されている。ケース部70における円筒状の外周部にフランジ部70fが形成され、フランジ部70fは全周に亘って水平面部分を有する。ケース部70における外周部のうち、コンベア8の位置する側と反対側の半円周に亘って索状体25が巻き回され、索状体25はフランジ部70fの上に載置されている。
索状体25は、いわゆるチェーンである。索状体25の左右両端部の夫々に連結体26,26が連結され、連結体26,26はフランジ部70fの上に載置されている。また、連結体26,26の夫々に昇降油圧シリンダー24,24の一端部が連結され、昇降油圧シリンダー24,24の他端部がコンベア8の長手方向中央領域に連結されている。つまり、左右の連結体26,26は、コンベア8の左右側部と索状体25の両端部とを繋ぐ。
左右一対の連結体26,26に亘って索状体25とは別の索状体27が、ケース部70における外周部に沿って巻き回されている。索状体27は、いわゆるチェーンである。索状体27は、ケース部70における外周部のうち、コンベア8の位置する側の半円周に亘っている。また、索状体27はフランジ部70fの上に載置されている。つまり、索状体25,27が、フランジ部70fの上に載置される状態で、ケース部70の外周部に巻き回されている。索状体25,27は左右一対の連結体26,26によって連結されている。これにより、索状体25が当該外周部分から外れないように構成され、索状体25,27はケース部70における円筒状の外周部分に沿って回動可能なように構成されている。
公知の通り、索状体25,27は複数のピンと、隣り合うピンを繋ぐ一対のプレートと、によって構成されている。索状体25,27の各ピンにローラーが外嵌し、各ローラーは、ケース部70における円筒状の外周部分を転がる。図18に示されるように、連結体26,26の夫々に、3つの第一ローラー部26Aと、2つの第二ローラー部26Bと、が備えられている。第一ローラー部26Aは、縦軸芯まわりに回動し、ケース部70における円筒状の外周部分を転がる。第二ローラー部26Bは、水平軸芯まわりに回動し、フランジ部70fの上を転がる。
昇降油圧シリンダー24,24が伸長するとコンベア8が横向き軸芯Y1まわりに揺動しながら降下し、昇降油圧シリンダー24,24は下向きに揺動する。このとき、連結体26,26の夫々に下向きの力が作用するが、連結体26の第二ローラー部26Bによって、当該下向きの力がしっかりと受け止められる。
コンベア8が左右に旋回すると、昇降油圧シリンダー24,24はコンベア8に追従して上下軸芯X1まわりに旋回する。昇降油圧シリンダー24,24の揺動に伴って、索状体25,27と、連結体26,26と、がフランジ部70f上において上下軸芯X1まわりに一体的に回動する。このように、索状体25は、ケース部70の外周部のうちコンベア8の位置する側と反対側部分に巻き回された状態でコンベア8の旋回と連動してケース部70の外周部に沿って回動する。
コンベア8とフード部71との連動機構として、第一係止部25H,25Hと第二係止部71Hとが備えられている。第一係止部25H,25Hは、索状体25に設けられ、索状体25の回動軌道よりも外周側に突出する。第一係止部25H,25Hは、コンベア8の旋回と連動して上下軸芯X1まわりに回動する。このことから、コンベア8の旋回軸芯と、第一係止部25H,25Hの回動軸芯と、は同一軸芯である。図15、図17及び図18に示されるように、第一係止部25H,25Hの夫々に係止片25jが備えられている。即ち、二つの係止片25,25jが、上下軸芯X1まわりの周方向において、第二係止部71Hに対して一方側と他方側とに振り分け配置されている。
第二係止部71Hはフード部71に固定されている。第二係止部71Hは、フード部71における底部材71Bから下方に延びる状態で、底部材71Bに支持される。第二係止部71Hは、索状体25の回動軌道に対して外周側に隣接し、索状体25の回動周方向において一対の第一係止部25H,25Hの夫々の間に位置する。
図17及び図18に示されるように、第一係止部25Hは、上下一対の取付プレート25i,25iを介して索状体25に連結されている。取付プレート25iは、索状体25において隣り合うピンを繋ぐプレートとしても兼用され、他のプレートと異なる形状を有する。換言すると、チェーンとしての索状体25において隣り合うピンに亘って設けられた取付プレート25iが備えられている。取付プレート25iは、索状体25における他のプレートよりも上下軸芯X1に対して径方向外側に延出し、取付プレート25iの延出部分にボルト挿通孔が形成されている。第一係止部25Hにも、取付プレート25iのボルト挿通孔と対応するボルト挿通孔が形成されている。
作業者は、第一係止部25Hのボルト挿通孔と、取付プレート25iのボルト挿通孔と、を重ね合わせた状態で、ボルト挿通孔にボルトを挿通し、ナットで締結する。また、作業者が当該ボルトを解結してボルト挿通孔から抜き取ることによって、第一係止部25Hが取付プレート25iから外れる。このため、作業者は容易に第一係止部25Hを交換できる。このように、第一係止部25Hは、取付プレート25iに着脱可能な状態で支持されている。
フード部71における底部材71Bに取付部71iが形成され、取付部71iは、平面視において索状体25の回動軌道よりも上下軸芯X1に対して径方向外側に延出し、この延出部分にボルト挿通孔が形成されている。第二係止部71Hは取付部71iの延出部分にボルト固定されている。このため、作業者は容易に第二係止部71Hを交換できる。
つまり、第一係止部25H,25Hは索状体25に対してボルト連結され、第二係止部71Hは底部材71Bに対してボルト連結されている。このため、第一係止部25H,25Hと、第二係止部71Hと、はボルト連結を解除することによって取り外し可能なように構成されている。これにより、第一係止部25H,25Hと、第二係止部71Hと、の夫々が摩耗した場合に、第一係止部25H,25Hと、第二係止部71Hと、の夫々の交換が容易になる。
上述したように、コンベア8が左右に旋回すると、索状体25,27が、コンベア8の旋回に追従してケース部70における円筒状の外周部分に沿って回動する。このとき、一対の第一係止部25H,25Hも索状体25,27と一体的に回動する。一対の第一係止部25H,25Hの何れかが第二係止部71Hと当接すると、フード部71が、第二係止部71Hの回動に追従して上下軸芯X1まわりに旋回する。
図19に示されるように、コンベア8は、左最大旋回位置L1と、右最大旋回位置R1と、に亘って旋回可能である。コンベア8は左右中央位置CTを挟んで左右に最大旋回角度θ1まで旋回可能に構成されている。最大旋回角度θ1は、例えば87.5度に設定されているが、この角度は適宜変更可能であって、90度を超える角度であっても良い。また、フード部71は、左最大旋回位置L2と、右最大旋回位置R2と、に亘って旋回可能である。フード部71は左右中央位置CTを挟んで左右に最大旋回角度θ2まで旋回可能に構成されている。最大旋回角度θ2は、例えば60度に設定されているが、この角度は適宜変更可能である。なお、最大旋回角度θ2は、最大旋回角度θ1よりも小さい。
コンベア8が機体左側(左最大旋回位置L1の位置する側)へ旋回すると、索状体25,27及び第一係止部25H,25Hは平面視において時計回りに回動する。このとき、図15に示される第一係止部25H,25Hのうち、機体左側の第一係止部25Hが、回動方向上手側の第一係止部25Hとなり、機体右側の第一係止部25Hが、回動方向下手側の第一係止部25Hとなる。
コンベア8が機体右側(右最大旋回位置R1の位置する側)へ旋回すると、索状体25,27及び第一係止部25H,25Hは平面視において反時計回りに回動する。このとき、図15に示される第一係止部25H,25Hのうち、機体右側の第一係止部25Hが、回動方向上手側の第一係止部25Hとなり、機体左側の第一係止部25Hが、回動方向下手側の第一係止部25Hとなる。
第一係止部25H,25Hが時計回りまたは反時計回りに回動すると、第二係止部71Hに対して回動方向上手側の第一係止部25Hの係止片25jが第二係止部71Hに接近して当接するとともに、第二係止部71Hに対して回動方向下手側の第一係止部25Hの係止片25jが第二係止部71Hから離間する。そして、第二係止部71Hに対して回動方向上手側の第一係止部25Hの係止片25jと、第二係止部71Hと、が当接した状態で索状体25,27及び第一係止部25H,25Hが時計回りに回動することによって、フード部71は時計回りに回動する。また、第二係止部71Hに対して回動方向上手側の第一係止部25Hの係止片25jと、第二係止部71Hと、が当接した状態で索状体25,27及び第一係止部25H,25Hが反時計回りに回動することによって、フード部71は反時計回りに回動する。
第二係止部71Hが第一係止部25H,25Hの夫々に対して等間隔に離間する状態で、第二係止部71Hは、第一係止部25H,25Hの夫々に対して(θ1-θ2)だけ位相ずれする。このことから、コンベア8が左右に(θ1-θ2)だけ旋回したときに、第二係止部71Hと、第一係止部25H,25Hの一方と、が当接し、フード部71はコンベア8に対して(θ1-θ2)だけ位相ずれした状態で旋回する。(θ1-θ2)の具体的な角度は、例えば27.5度に設定されているが、この角度は適宜変更可能である。このように、連動機構としての第一係止部25H,25H及び第二係止部71Hは、コンベア8の旋回角度位置と、フード部71の回動角度位置と、が予め設定された位相差となるように、フード部71を回動させる。
一般的に、サトウキビ収穫機の収穫時に、無蓋荷台を有する運搬車両がサトウキビ収穫機に対して既刈領域側に位置する状態でサトウキビ収穫機と並走し、コンベア8は無蓋荷台の位置する側に向けて旋回する。このとき、フード部71は、コンベア8に対して(θ1-θ2)だけ位相ずれした状態で旋回する。このため、分離装置7で作物から分離された夾雑物は、フード部71から、コンベア8に降り掛かることなく機体斜め後方の既刈地へ放出される。
〔コンベアの構造について〕
図20~図25に示されるように、コンベア8に、駆動輪体81と、従動輪体82と、左右一対の無端回動チェーン85,85と、複数の搬送体86と、複数の底部材87と、が備えられている。駆動輪体81は、コンベア8の後上部、即ち搬送終端部に設けられている。駆動輪体81に油圧モータ81Mが備えられ、駆動輪体81は油圧モータ81Mの回転駆動によって、横向き軸芯Y3まわりに回動する(図23参照)。従動輪体82はコンベア8の前下端部、即ち搬送始端部に位置し、横向き軸芯Y2まわりに回動する。従動輪体82は左右一対の前側壁80F,80Fに支持される(図9、図25及び図26参照)。機体左側の前側壁80Fはコンベア8のフレームに対してボルト固定され、機体右側の前側壁80Fはコンベア8のフレームに対して溶接固定されている。
左右一対の無端回動チェーン85,85は駆動輪体81と従動輪体82との夫々に巻き掛けられている。左右一対の無端回動チェーン85,85は、コンベア8における搬送経路と、搬送経路に対向する戻り経路と、を巡回する。図1、図5、図20、図24等に例示される機体左側方からの視点において、無端回動チェーン85,85が、駆動輪体81と従動輪体82とに亘って時計回りに回動する。戻り経路は搬送経路に対して下側に対向する。つまり、搬送経路が戻り経路に対して上側に位置するように、コンベア8は構成されている。
複数の搬送体86の夫々は、左右一対の無端回動チェーン85,85に亘る状態で取り付けられている。複数の搬送体86は、無端回動チェーン85,85と一体回動することによって、搬送経路において収穫物を係止搬送する。複数の底部材87は、コンベア8の延び方向に沿って一列に並べられ、搬送経路の底部を構成する。また、底部材87はコンベア8の延び方向視において上下中間領域に位置する。このことから、底部材87に対して無端回動チェーン85,85の回動軌道上側が搬送経路であって、底部材87に対して無端回動チェーン85,85の回動軌道下側が戻り経路である。
収穫物が底部材87に載置された状態で、搬送体86が斜め上方へ向けて移動することによって、収穫物が、コンベア8の後上部(搬送終端部)へ向けて搬送される。複数の搬送体86の夫々の間隔が短か過ぎると、収穫物も含めたコンベア8の総重量が重たくなりがちとなる。また、複数の搬送体86の夫々の間隔が長過ぎると、分離装置7からの収穫物の落下量に対してコンベア8の搬送量が少なくなって、ホッパー19に収穫物がたまり易くなる虞がある。本実施形態では、複数の搬送体86の夫々の間隔は、刈取時の車速(例えば0.6m/s~1.0m/s)を考慮して、収穫物も含めたコンベア8の総重量が重たくなり過ぎない程度に、しっかりと収穫物を搬送できるように設定されている。
コンベア8の全体は、枠組み構造のフレーム体によって支持されている。図20、図21、図24及び図25に示されるように、当該フレーム体は、左右の上フレーム部80U,80Uと、左右の底フレーム部80D,80Dと、複数の縦フレーム部80Vと、左右の中間フレーム80C,80Cと、横フレーム80Lと、を有する。左右の上フレーム部80U,80Uは、無端回動チェーン85に対して上側に位置する。また、左右の底フレーム部80D,80Dは、無端回動チェーン85に対して下側に位置する。左右の上フレーム部80U,80Uと、左右の底フレーム部80D,80Dと、は互いに平行に延びる。複数の縦フレーム部80Vは、上フレーム部80U,80U及び底フレーム部80D,80Dの長手方向に沿って適宜間隔をあけて設けられている。換言すると、複数の縦フレーム部80Vは、無端回動チェーン85の延び方向に沿って間隔をあけて設けられるとともに、上フレーム部80Uと底フレーム部80Dとを連結し、上フレーム部80Uと底フレーム部80Dとを連結する。複数の縦フレーム部80Vは、上フレーム部80U,80Uと底フレーム部80D,80Dとを連結する。横フレーム80Lは、左右の中間フレーム80C,80C同士を連結する。
コンベア8のフレーム体に、互いに隣り合う縦フレーム部80V,80V同士を繋ぐ複数の斜体フレーム80Iが設けられている。斜体フレーム80Iは、複数の縦フレーム部80Vのうちの互いに隣り合う二つの縦フレーム部80V,80Vの一方の上部と、二つの縦フレーム部80V,80Vの他方の下部と、を連結する。また、縦フレーム部80Vの上下中央箇所に中間フレーム80Cが支持され、中間フレーム80Cは、断面C字状に形成され、上フレーム部80U,80Uと底フレーム部80D,80Dとの夫々の延び方向と平行に延びる。中間フレーム80Cと縦フレーム部80Vの上下中央箇所とが溶接固定されている。
複数の横フレーム80Lは、左右の中間フレーム80C,80Cの長手方向に沿って適宜間隔をあけて設けられている。中間フレーム80Cの機体横内端部は、上フレーム部80U,80Uと底フレーム部80D,80Dとの夫々よりも機体横内側に位置する。このように、上フレーム部80U,80Uと底フレーム部80D,80Dと縦フレーム部80Vと斜体フレーム80I,80Iと中間フレーム80C,80Cと横フレーム80Lとによってコンベア8のフレーム体はトラス構造に構成されている。これにより、コンベア8のフレーム体の剛性が高められている。
コンベア8の搬送始端側部分の左右側部に板状の側部カバー89が設けられている(図3、図8及び図9参照)。側部カバー89は、縦フレーム部80Vよりも機体横外側で縦フレーム部80Vにボルト固定され、左右一対の無端回動チェーン85,85よりも機体横外側に位置する。側部カバー89の上端部は、圃場に立つ作業者の身長よりも高く位置する程度まで延ばされている。なお、側部カバー89は、縦フレーム部80Vよりも機体横内側に位置する構成であっても良いし、上フレーム部80U,80U及び底フレーム部80D,80Dよりも機体横内側に位置する構成であっても良い。
図20及び図21に示されるように、無端回動チェーン85の搬送経路側で回動する部分は、第一上ガイドレール部83Uと第二上ガイドレール部83Dとによって案内される。第一上ガイドレール部83Uは上フレーム部80Uに支持され、第二上ガイドレール部83Dは中間フレーム80Cに支持される。換言すると、左右の上フレーム部80U,80Uは左右の第一上ガイドレール部83U,83Uを支持し、左右の中間フレーム80C,80Cは第二上ガイドレール部83D,83Dを支持する。第一上ガイドレール部83U及び第二上ガイドレール部83Dは、搬送経路において左右の無端回動チェーン85,85の動きをガイドする。また、無端回動チェーン85の戻り経路側で回動する部分は、下ガイドレール部84によって案内され、戻り経路における無端回動チェーン85の弛みが下ガイドレール部84によって軽減されている。第一上ガイドレール部83Uと第二上ガイドレール部83Dと下ガイドレール部84との夫々は、複数の縦フレーム部80Vに対して着脱可能に支持される。
図24及び図25にコンベア8の搬送始端部が示される。第二上ガイドレール部83Dの搬送方向始端部に、上下傾斜部分83aと、左右傾斜部分83bと、が形成されている。第二上ガイドレール部83Dの搬送方向始端部は、従動輪体82よりも搬送方向下手側に位置する。第二上ガイドレール部83Dの搬送方向始端部における上下傾斜部分83a及び左右傾斜部分83bは、無端回動チェーン85,85を受け入れる入口部分である。当該入口部分の断面形状は、搬送方向始端側ほど上下方向かつ左右方向において、無端回動チェーン85,85と離れる先広がり形状に形成されている。
上下傾斜部分83aは、搬送方向上手側ほど下側に位置するように傾斜する。また、左右傾斜部分83bは、搬送方向上手側ほど横外側に位置するように傾斜する。これにより、無端回動チェーン85が従動輪体82の外周に沿って回動した後、無端回動チェーン85は、上下傾斜部分83aと、左右傾斜部分83bと、によって第一上ガイドレール部83Uと第二上ガイドレール部83Dとの間の隙間領域に案内される。
図21に示されるように、左右の中間フレーム80C,80Cは、第二上ガイドレール部83D,83Dの横内側部よりも幅W1だけコンベア8の左右中心部側に突出する。中間フレーム80C,80Cにおける幅W1の領域が、中間フレーム80C,80Cの突出部である。つまり、左右の中間フレーム80C,80Cの横内側部に、第二上ガイドレール部83D,83Dの横内側部よりもコンベア8の左右中心部側に突出する突出部が形成されている。
図20に示されるように、底部材87は横フレーム80Lに載置支持されている。横フレーム80Lは、底部材87の下方に位置する状態で左右の中間フレーム80C,80Cに亘って横架されている。図21に示されるように、コンベア8の短手方向における底部材87の左右両端部に、下向きの屈曲部87a,87aが形成されている。屈曲部87a,87aは、上下方向に沿う状態に下方に向けて突出し、左右の中間フレーム80C,80Cの突出部(中間フレーム80C,80Cにおける幅W1の領域)の左右の横内側部80a,80aにボルト連結される。即ち、屈曲部87a,87aは、左右の中間フレーム80C,80Cの突出部に対する取付部である。これにより、底部材87は左右の中間フレーム80C,80Cによって支持されている。
図21に示されるように、底部材87は、左右の中間フレーム80C,80Cの突出部(中間フレーム80C,80Cにおける幅W1の領域)の横内側部80a,80aに亘っている。つまり、底部材87は、左右の中間フレーム80C,80Cに支持され、かつ、左右の第一上ガイドレール部83U,83U及び第二上ガイドレール部83D,83Dの離間距離よりも幅狭に構成されている。
図20に示されるように、コンベア8の長手方向における底部材87の両端部に、下向きの屈曲部87b,87bが形成され、前記に隣接する底部材87,87が、屈曲部87bにおいてボルト連結される。つまり、底部材87は、横フレーム80Lに載置支持される状態で、前後左右の四方でボルト連結されている。
収穫物がコンベア8で搬送される際、底部材87の上を収穫物が搬送されるため、収穫物と底部材87とが摺接し、底部材87は摩耗しがちである。また、上下の第一上ガイドレール部83U及び第二上ガイドレール部83Dと、下ガイドレール部84と、の夫々は無端回動チェーン85との当接(摺接)によって摩耗しがちである。このため、本実施形態では、底部材87と第一上ガイドレール部83Uと第二上ガイドレール部83Dと下ガイドレール部84との夫々は交換可能なように構成されている。
作業者は、底部材87の屈曲部87a,87a,87b,87bにおけるボルト連結を解除することによって、底部材87を上方へ取り外せる。つまり、底部材87は、左右の無端回動チェーン85,85の間を通して上方に取り外し可能なように構成されている。
コンベア8にカバー部材45が備えられている。図21に示されるように、中間フレーム80C,80Cの突出部(中間フレーム80C,80Cにおける幅W1の領域)の横内側部80a,80aと、底部材87の取付部(屈曲部87a,87a)と、の間にカバー部材45の下部が介在する。カバー部材45は、中間フレーム80Cの突出部(中間フレーム80Cにおける幅W1の領域)の上部と、当該突出部の横内側部80aと、に沿う形状に形成され、当該突出部の上部と当該突出部の横内側部80aとを覆う。この状態で、カバー部材45の下部と、底部材87の取付部と、が中間フレーム80Cの突出部に、締結部(ボルト及びナット)によって共締め固定される。
この構成によって、中間フレーム80Cと搬送体86とが互いに摺接しなくなり、中間フレーム80Cが摩耗しなくなる。作業者は、底部材87の屈曲部87a,87a,87b,87bにおけるボルト連結を解除することによって、底部材87を取り外すとともにカバー部材45を取り外すことができる。このため、カバー部材45は交換可能である。
搬送体86のうち、無端回動チェーン85に対する取付部分に緩衝部材46が備えられ、緩衝部材46は、第一上ガイドレール部83Uと搬送体86との間に介在する。緩衝部材46は、第一上ガイドレール部83Uと摺接し、搬送体86の横方向への移動を抑制する。この構成によって、搬送体86と第一上ガイドレール部83Uとの摺接が回避され、搬送体86が摩耗し難くなって、搬送体86の耐久性が向上する。
〔搬送体の形状〕
図21及び図22に示されるように、搬送体86に、左右一対の側板部86A,86Aと、搬送板部86Bと、が備えられている。側板部86A,86Aは搬送板部86Bの左右両端部に溶接固定されている。側板部86Aの上下中央部分に無端回動チェーン85との連結部分が備えられ、側板部86Aにおける連結部分と、無端回動チェーン85と、がボルト連結されている。即ち、搬送体86の横側部としての側板部86Aに、無端回動チェーン85に連結される連結部が備えられている。
搬送板部86Bに、平坦状の平坦面部86h,86iと、上下一対の凹入部86d,86dと、下傾斜部86jと、上突出部86Uと、下突出部86Lと、が形成されている。凹入部86d,86dの夫々は、搬送体86の上下中間領域に形成されている。凹入部86d,86dの夫々は、搬送体86の搬送方向上手側に向けて搬送体86の左右亘って凹入する。凹入部86d,86dの夫々は、無端回動チェーン85との連結部分を挟んで上下に分散して設けられている。また、凹入部86d,86dの夫々は、平坦面部86iを挟んで上下に振り分けられている。平坦面部86hは、上側の凹入部86dよりも上側に備えられている。平坦面部86h,86iの夫々は、搬送体86の左右亘って搬送方向と直交する面を有する。このため、搬送体86によって係止搬送される収穫物は、平坦面部86h,86iから搬送方向の力をしっかりと受ける。
下傾斜部86jは、搬送体86における凹入部86dよりも下側に備えられ、搬送体86の左右亘って下側ほど搬送方向下手側に位置するように傾斜する。下突出部86Lは、下傾斜部86jよりも下側に備えられている。下突出部86Lは、搬送体86の左右亘って下側ほど搬送方向下手側に位置するように傾斜する。また、下突出部86Lの傾斜度合いは、下傾斜部86jの傾斜度合いよりも大きい。下突出部86Lの下端部、即ち搬送板部86Bの下端部は、搬送板部86Bの下部において最も搬送方向下手側に突出する。この構成によって、搬送板部86Bは収穫物を下突出部86Lでしっかりとすくい取って係止搬送できる。
上突出部86Uは、搬送体86の上端部に備えられ、搬送方向下手側に向けて搬送体86の左右亘って突出する。また、上突出部86Uは、山折り形状に形成され、搬送板部86Bの上端部が上突出部86Uの突出先端部よりも搬送方向上手側に引退する。換言すると、上突出部86Uの上部は、上側ほど搬送方向上手側に位置するように傾斜する。この構成によって、搬送板部86Bは収穫物を上突出部86Uで抱え込むため、収穫物が搬送板部86Bを乗り越えて下方へ落下する虞が軽減される。
以上の構成から、搬送板部86Bは、上突出部86U及び下突出部86Lにおいて搬送方向下手側に突出する。また、搬送板部86Bのうち、上突出部86Uと下突出部86Lとの間の部分は、凹入部86d,86dによって搬送方向上手側に凹入する。これにより、搬送板部86Bが平板状に形成される構成と比較して、収穫物が凹入部86d,86dの夫々に入り込み、搬送体86はより多くの収穫物を係止搬送できる。
〔コンベアにおける上カバー部の構成〕
図20、図21及び図23に示されるように、コンベア8に上カバー部88が備えられ、上カバー部88は搬送経路を上方から覆う。上カバー部88は、コンベア8の搬送始端領域における斜め上方への立上り基端部分と、コンベア8の搬送終端領域と、に亘っている。図21に示されるように、上カバー部88は、左右中央部分を頂点として左右に傾斜する。つまり、上カバー部88は、上方へ膨出するように構成されている。搬送経路が上カバー部88によって覆われているため、収穫物のコンベア8からの落下が上カバー部88によって防止される。コンベア8の傾斜部8Aに上カバー部88Aが備えられ、コンベア8の連接部8Cに上カバー部88Cが備えられている。上カバー部88Aは傾斜部8Aの上部を上方から覆い、上カバー部88Cは連接部8Cの上部を上方から覆っている。
屈曲部8Bの搬送経路が上カバー部88Bによって覆われる。屈曲部8Bよりも搬送方向上手側部分が上カバー部88Aによって覆われ、屈曲部8Bよりも搬送方向下手側部分が上カバー部88Cによって覆われている。上カバー部88Aと上カバー部88Cとの夫々は、いわゆるパンチングメタルで構成され、軽量化されている。即ち、上カバー部88のうち傾斜部8A及び連接部8Cに対応する部分は多孔部材によって構成されている。屈曲部8Bでは収穫物が激しく動き易く、収穫物は上カバー部88Bと接触し易くなる。このため、上カバー部88Cは孔の無い部材で構成されており、上カバー部88Cの強度が高められている。即ち、上カバー部88のうち屈曲部8Bに対応する部分は孔の無い部材によって構成されている。
〔コンベアの搬送始端部における従動輪体のベアリングの着脱構成〕
図9、図25及び図26に示されるように、コンベア8の搬送始端部における従動輪体82は、左右一対のボールベアリング48,48を介して左右一対の前側壁80F,80Fに支持される。図26に基づいて、ボールベアリング48の着脱構成に関して詳述する。ボールベアリング48はベアリングハウジング47に内嵌する。ベアリングハウジング47は円筒状に形成されている。ベアリングハウジング47の内筒部分に段差部分が形成され、当該段差部分はボールベアリング48をスラスト方向で受け止める。ベアリングハウジング47の内筒部分のうち、ボールベアリング48を挟んで当該段差部分と反対側の部分にスナップリング49が内嵌する。ボールベアリング48がベアリングハウジング47から抜けないように、スナップリング49はベアリングハウジング47に係止される。
従動輪体82に、シャフト本体82Aと、左右一対のスプロケット82B,82Bと、外嵌筒部82Cと、左右一対のカラー82D,82Dと、左右一対の平座金82E,82Eと、が備えられている。シャフト本体82Aの長手方向両端部は、長手方向視において円柱状に形成されており、円柱状に形成された部分を円柱部分82iと称する。つまり、シャフト本体82Aの長手方向両端部に円柱部分82i,82iが形成されている。円柱部分82i,82iの夫々が一対のボールベアリング48,48の夫々と嵌合する。また、円柱部分82i,82iのうち、ボールベアリング48,48に対する嵌合部分よりも長手方向内側の部分にカラー82D,82Dが外嵌する。
円柱部分82i,82iの端部に、シャフト本体82Aの長手方向に沿うネジ孔が穿孔されている。円柱部分82i,82iの夫々の端部に平座金82E,82Eがボルト止めされている。平座金82Eは円柱部分82iよりも大径に形成されている。平座金82Eの外周部分がボールベアリング48の内輪と係合する。この構成によって、シャフト本体82Aは、ボールベアリング48から抜けないように位置保持される。
シャフト本体82Aのうち、円柱部分82i,82iの間の部分は、長手方向視において六角形に形成されており、この六角形に形成された部分を角柱部分82hと称する。スプロケット82B,82Bの回転軸芯部分に、嵌合孔が六角形の形状に穿孔されている。角柱部分82hの両端部において、スプロケット82B,82Bの夫々の嵌合孔と、角柱部分82hと、が嵌合する。これにより、スプロケット82B,82Bの夫々がシャフト本体82Aに対して相対回転不能に連結される。
左右のスプロケット82B,82Bの間において、外嵌筒部82Cがシャフト本体82Aに外嵌する。外嵌筒部82Cの長手方向両端部は左右のスプロケット82B,82Bの夫々と当接する。左右のスプロケット82B,82Bの夫々は、シャフト本体82Aの長手方向両端側においてカラー82Dと当接する。つまり、スプロケット82Bは、外嵌筒部82Cとカラー82Dとによって挟まれている。また、カラー82Dはスプロケット82Bとボールベアリング48とに挟まれている。この構成によって、スプロケット82Bがシャフト本体82Aに対して位置保持される。
左右一対の前側壁80F,80Fの夫々に、ボールベアリング48,48と係合する係合孔80i,80iが形成され、ボールベアリング48,48の横内端部は、係合孔80i,80iよりも横内側に入り込む。また、左右一対の前側壁80F,80Fの夫々に突出面部50,50が備えられている。突出面部50,50は前側壁80F,80Fよりも横外側へ突出する。突出面部50,50の夫々に、ボールベアリング48,48がボルト固定されている。
ボールベアリング48の交換に関して説明する。作業者は、シャフト本体82Aに対する平座金82Eのボルト止めを解除する。これにより、平座金82Eがシャフト本体82Aから取り外され、シャフト本体82Aとボールベアリング48との係合が解除可能となる。そして作業者は、突出面部50に対するベアリングハウジング47のボルト止めを解除して、ベアリングハウジング47を横外方へ引っ張り出す。これにより、ベアリングハウジング47が前側壁80Fから取り外され、ボールベアリング48がシャフト本体82Aの円柱部分82iから抜ける。ボールベアリング48との嵌合が解除された円柱部分82iは、係合孔80iの底部に受け止められ、シャフト本体82Aの脱落が防止される。
係合孔80iの径は、シャフト本体82Aの径よりも大きく形成され、かつ、カラー82Dの径よりも大きく形成されている。このため、作業者は係合孔80iにおいてカラー82Dの交換が可能である。なお、係合孔80iの径は、スプロケット82Bの外径よりも小さい。このため、作業者がスプロケット82Bを交換する場合、機体左側の前側壁80Fのボルト連結を解除して、機体左側の前側壁80Fをコンベア8から取り外す。これにより、作業者はスプロケット82Bを交換できる。
〔コンベアの旋回支点におけるピンの取り外し構造〕
図27及び図28に基づいて、コンベア8の旋回支点としてピン35が挿入されている。しかし、サトウキビ収穫機を長期間に亘って使用すると、ピン35がコンベア支持フレーム体20または旋回フレーム体21に対して固着してしまい、ピン35がコンベア支持フレーム体20及び旋回フレーム体21から抜けなくなる虞がある。このような不都合を回避するため、本実施形態では、ピン35に着脱部37が備えられている。ピン35と着脱部37とは一体的に構成されている。
図28に示されるように、上下一対のピン35,35が備えられ、着脱部37はピン35,35の夫々に設けられている。上側のピン35は、上板部20Aと、上下一対の上板部21A,21Bと、に挿通されている。下側のピン35は、下板部20Bと、上下一対の下板部21C,21Dと、に挿通されている。上側のピン35に対応する着脱部37は、上側のピン35の上端部に設けられ、下側のピン35に対応する着脱部37は、下側のピン35の下端部に設けられている。
上下の着脱部37,37の夫々にボルト挿通孔37h,37hが穿孔され、上板部21A及び下板部21Dの夫々に、ボルト挿通孔37h,37hと対応するネジ孔21h,21hが穿孔されている。ボルト挿通孔37hとネジ孔21hとが重なった状態で、ボルトBo1がボルト挿通孔37hに挿通されてネジ孔21hに締結される。これにより、ピン35及び着脱部37は、旋回フレーム体21に対して相対回転不能に固定される。
上下の着脱部37,37の夫々にネジ孔37i,37iが穿孔されている。ネジ孔37iはネジ孔21hと同じ径を有する。作業者がピン35をコンベア支持フレーム体20及び旋回フレーム体21から抜き取る場合、作業者は、最初にピン35に巻き付けられたスナップリングを取り外す。次に作業者は、ボルトBo1をボルト挿通孔37h及びネジ孔21hから抜き取り、その後、ボルトBo1をネジ孔37iに締め付ける。ネジ孔37iが螺進すると、ボルトBo1の螺進先端部が上板部21Aまたは下板部21Dの表面を押圧する。ボルトBo1の押圧に伴って、上板部21Aまたは下板部21Dからの反力が生じる。このとき、上側のピン35に対して上向きの反力が作用し、下側のピン35に対して下向きの反力が作用する。そして、ピン35が旋回フレーム体21に固着した場合であっても、ボルトBo1の螺進に伴って発生する反力によって、ピン35が旋回フレーム体21に対して変位する。これにより、作業者は、ピン35をコンベア支持フレーム体20及び旋回フレーム体21から抜き取れる。
図27及び図28に示されるように、ピン36,36は、旋回油圧シリンダー22,22のピストンロッドの先端部と連結されている。着脱部38はピン36,36の夫々の下端部に設けられている。ピン36は、上板部21B及び下板部21Cに挿通されている。下板部21Dに開口21iが形成され、作業者は、開口21iを通じて下方からピン36及び着脱部38に対して作業を行える。
着脱部38,38の夫々にボルト挿通孔38h,38hが穿孔され、下板部21Cにボルト挿通孔38h,38hと対応するネジ孔が穿孔されている。ボルト挿通孔38hと、下板部21Cのネジ孔と、が重なった状態で、ボルトBo2がボルト挿通孔38hに挿通されて締結される。これにより、ピン36及び着脱部38は、旋回フレーム体21に対して相対回転不能に固定される。
上下の着脱部38,38の夫々にネジ孔38i,38iが穿孔されている。ネジ孔38iは、下板部21Cのネジ孔と同じ径を有する。作業者がピン36を上板部21B及び下板部21Cから抜き取る場合、作業者は、ボルトBo2をボルト挿通孔38h及び下板部21Cのネジ孔から抜き取り、その後、ボルトBo2をネジ孔38iに締め付ける。ネジ孔38iが螺進すると、ボルトBo2の螺進先端部が下板部21Cの表面を押圧する。ボルトBo2の押圧に伴って、下板部21Cからの反力がピン36に対して下向きに作用する。そして、ピン36が上板部21B及び下板部21Cに固着した場合であっても、ボルトBo2の螺進に伴って発生する反力によって、ピン36が上板部21B及び下板部21Cに対して変位する。これにより、作業者は、ピン36を上板部21B及び下板部21Cから抜き取れる。このように、着脱部37と着脱部38との夫々は、ピン35,36を着脱するための同一の構造を有する。
〔別実施形態〕
本発明は、上述の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
(1)上述の実施形態では、開口部73がファン72に対して吸引側に形成されているが、例えば開口部73がファン72に対して吐出側に形成されても良い。
(2)上述の実施形態において、開口部73が、ケース部70の周方向において、投入口70iを挟んで左右に振り分けた状態で形成されているが、この実施形態に限定されない。例えば、開口部73が、投入口70iに対して左右一方のみに形成されても良い。また、開口部73が、ケース部70の周方向において、投入口70iの位置する側と反対側に形成されても良い。
(3)上述の実施形態では、ケース部70に風路部73Aが備えられ、風路部73Aは、選別風の旋回方向における開口部73の下流端から接線方向に沿って外気吸引方向上手側に向けて延びるがこの実施形態に限定されない。風路部73Aは、開口部73の下流端から接線方向に沿って延びない構成であっても良い。また、風路部73Aは、上下軸芯X1に沿う方向視において、均一の幅でなくても良い。更に、ケース部70に開口部73が備えられて風路部73Aが備えられない構成であっても良い。
(4)上述の実施形態では、吸込口73hに防塵部材73Bが設けられ、防塵部材73Bは丸棒状に形成されているが、例えば図29に示されるように、防塵部材73Bが風路部73Aの長手方向に沿って延びる構成であっても良い。これにより、防塵部材73Bは整流板となり、吸込口73hから吸引される外気が防塵部材73Bによって整流される。
(5)上述の実施形態では、開口部73は、ケース部の外周部のうち、上下軸芯X1方向において投入口70iの存在範囲に対応する範囲内の位置、かつ、上下軸芯X1の延び方向に沿う方向視において上下軸芯X1に対して投入口70iが形成された側と同じ側の位置に形成されているが、この実施形態に限定されない。例えば、開口部73は、上下軸芯X1方向において投入口70iの存在範囲に対して上下にずれた位置に形成されても良い。また、開口部73は、上下軸芯X1の延び方向に沿う方向視において上下軸芯X1に対して投入口70iが形成された側と反対側の位置に形成されても良い。
なお、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。