JP2022098727A - 電力変換装置 - Google Patents

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雄作 小沼
Yusaku Konuma
卓也 杉本
Takuya Sugimoto
弘 渡邊
Hiroshi Watanabe
睦男 渡嘉敷
Mutsuo Tokashiki
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Abstract

【課題】回生時や弱め界磁時の運転において、モータの実測値とモータ制御の設定値との間に誤差があっても、誘導モータを高精度に運転する電力変換装置を提供することにある。【解決手段】出力周波数を可変にする電圧を誘導モータに出力する電力変換器と、電力変換器に電圧指令を出力する制御部とを有する電力変換装置であって、制御部は、磁束軸であるd軸の電流制御出力を算出し、d軸の前記電流制御出力を演算し、演算の出力が零に追従するように、q軸の電圧指令を出力する電力変換装置。【選択図】図1

Description

本発明は、電力変換装置に関する。
誘導モータの回生運転時における技術としては、特許文献1のように、d軸電流制御の出力よりq軸二次磁束を推定し、該二次磁束推定値を零に追従するようにすべり周波数指令を自動調整することで、磁束減少によるトルク不足を抑制する技術がある。
特開2016-163501号公報
特許文献1では、PI(比例・積分)制御で構成されるd軸電流制御の出力であるd軸電圧補正値ΔVd *_piと速度推定値ωr ^および磁石モータの電気回路パラメータ(相互インダクタンスM、二次インダクタンスL)を用いて(数式1)に基づきq軸二次磁束φ2qを推定する。
Figure 2022098727000002
さらにq軸二次磁束の指令値φ2q*である「0」とq軸二次磁束の推定値φ2q ^の偏差であるΔφ2qを抑制するようにすべり周波数指令値ωs *の補正値Δωを(数式2)に基づき演算する。sはラプラス演算子(以下同じ)である。
Figure 2022098727000003
d軸電流制御はPI制御であり、低速域において一次抵抗Rに関係する電圧降下の誤差である(R-R *)id、中高速域においては漏れインダクタンスLσに関係する電圧降下の誤差であるω(Lσ-Lσ *)iqが、d軸電圧補正値ΔVd *_piに含まれることになる。ここに、R *とLσ *はベクトル制御の演算に用いる誘導モータ1の電気回路パラメータである。
(数式2)にそれら電圧降下の誤差が含まれるため、補正値Δωで修正されたすべり周波数指令値ωs **の絶対値|ωs **|と実際のすべり周波数値|ωs|が(数式3)の関係になると、d軸二次磁束φ2dは減少し易くなり、場合によってはトルク不足に陥る場合があった。
Figure 2022098727000004
本発明の目的は、回生時や弱め界磁時の運転において、モータの実測値とモータ制御の設定値との間に誤差があっても、誘導モータを高精度に運転する電力変換装置を提供することにある。
本発明の好ましい一例としては、出力周波数を可変にする電圧を誘導モータに出力する電力変換器と、前記電力変換器に電圧指令を出力する制御部とを有する電力変換装置であって、
前記制御部は、磁束軸であるd軸の電流制御出力を算出し、d軸の前記電流制御出力を演算し、演算の出力が零に追従するように、q軸の前記電圧指令を出力する電力変換装置である。
本発明によれば、モータの実測値とモータ制御の設定値との間に誤差があっても、誘導モータを高精度に運転する電力変換装置を実現することができる。
実施例に係る電力変換装置の構成図。 実施例に係る電圧補正演算部の構成図。 実施例に係る電圧補正演算部におけるPI制御演算部の構成図。 従来技術を用いた場合の0.7p.u速度における制御特性。 本発明を用いた場合の0.7p.u速度における制御特性。 本発明を用いた場合の1.7p.u速度における制御特性。 実施例に係る電圧補正演算部における他のPI制御演算部の構成図。 実施例に係る他の電力変換装置の構成図。 実施例に係る他の電圧補正演算部の構成図。 実施例に係る顕現性を確認するための構成図。 実施例に係る他の電力変換装置の構成図。 実施例に係る他の電力変換装置の構成図。
以下、図面を用いて本実施例を詳細に説明する。なお、各図における共通の構成については同一の参照番号を付してある。また、以下に説明する各実施例は図示例に限定されるものではない。
図1は、実施例1における電力変換装置と誘導モータの構成図を示す。誘導モータ1は、磁束軸(d軸)成分の電流により発生する磁束と、磁束軸に直交するトルク軸(q軸)成分の電流によりトルクを発生する。
本実施例は、誘導モータを速度センサレス制御で駆動する電力変換装置の制御に関し、特に回生時や弱め界磁時の運転において、誘導モータを高精度に運転する電力変換装置に関する。
電力変換器2は、スイッチング素子としての半導体素子を備える。電力変換器2は、3相交流の電圧指令値vu *、vv *、vw *を入力し、3相交流の電圧指令値vu *、vv *、vw *に比例した電圧値を出力する。電力変換器2の出力に基づいて、誘導モータ1は駆動され、誘導モータ1の出力電圧値と出力周波数値は可変される。スイッチング素子としてIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を使うようにしてもよい。
直流電源3は、電力変換器2に直流電圧および直流電流を供給する。
電流検出器4は、誘導モータ1の3相の交流電流iu、iv、iwの検出値であるiuc、ivc、iwcを出力する。また電流検出器4は、誘導モータ1の3相の内の2相、例えば、u相とw相の交流電流を検出し、v相の交流電流は交流条件(iuc+ivc+iwc=0)から、ivc=-(iuc+iwc)として求めてもよい。本実施例では、電流検出器4は、電力変換装置内に設けた例を示したが、電力変換装置の外部に設けてもよい。
制御部は、以下に説明する座標変換部5、速度制御演算部6、d軸電流磁束設定部7、ベクトル制御演算部8、電圧補正演算部9、周波数・位相推定演算部10、座標変換部11を備える。制御部は、そして、制御部は、電力変換器2を制御する。
制御部は、マイコン(マイクロコンピュータ)やDSP(Digital Signal Processor)などの半導体集積回路(演算制御手段)によって構成される。制御部は、いずれかまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアで構成することができる。制御部のCPU(Central Processing Unit)が、メモリなどの記録装置に保持するプログラムを読み出して、上記した座標変換部5などの各部の処理を実行する。
次に、制御部の各構成要素について、説明する。
座標変換部5は、3相の交流電流iu、iv、iwの交流電流検出値iuc、ivc、iwcと位相指令値θdcからd軸の電流検出値idc、およびq軸の電流検出値、iqcを出力する。
速度制御演算部6は、周波数指令値ωr *と周波数推定値ωr ^に基づいて演算したq軸電流指令値iq *を出力する。
d軸電流磁束設定部7は、d軸電流指令値id *とd軸二次磁束指令値φ2d *を出力する。
ベクトル制御演算部8は、d軸二次磁束指令値φ2d *、d軸およびq軸の電流指令値id *、iq *、d軸およびq軸の電流検出値idc、iqcと、出力周波数指令値ω *に基づいて、演算したd軸およびq軸の電圧指令値vdc **、vqc **とd軸電流制御出力Δvd *を出力する。
電圧補正演算部9は、q軸の電流指令値iq *、d軸電流制御出力Δvd *に基づいて演算した電圧補正値Δvdq *をq軸電圧指令値vqc **に加算する。
周波数・位相推定演算部10は、q軸電圧指令値vqc ***、q軸電流指令値iq *およびq軸電流検出値iqcとd軸二次磁束指令値φ2d *に基づいて演算した周波数推定値ωr ^、出力周波数指令値ω *と位相指令値θdcを出力する。
座標変換部11は、d軸およびq軸の電圧指令値vdc **、vqc ***と、位相指令値θdcから3相交流の電圧指令値vu *、vv *、vw *を出力する。
最初に、本実施例の特徴である電圧補正演算部9を用いたときの速度センサレスベクトル制御の基本動作について説明する。
速度制御演算部6は、周波数指令値ωr *に周波数推定値ωr ^が追従するように、比例制御と積分制御により(数式4)に従いトルク電流指令であるq軸電流指令値iq *を演算する。
Figure 2022098727000005
ここに、
Ksp:速度制御の比例ゲイン、Ksi:速度制御の積分ゲイン
第1に、ベクトル制御演算部8は、d軸二次磁束指令値φ2d *、d軸およびq軸の電流指令値id *、iq *と出力周波数指令値ω *を用いて(数式5)に従いd軸およびq軸の電圧指令値vdc *、vqc *を演算する。
Figure 2022098727000006
ここに、
Tacr:電流制御遅れ相当の時定数
R:一次抵抗値、Lσ:漏れインダクタンス値、M:相互インダクタンス値、L2:二次側インダクタンス値
第2に、ベクトル制御演算部8は、d軸電流指令値id *にd軸電流検出値idcが追従するように比例制御、q軸電流指令値iq *にq軸電流検出値iqcが追従するように比例制御と積分制御により、(数式6)に従い、d軸およびq軸の電圧補正値Δvd *、Δvq *を演算する。
d軸電圧補正値(d軸電流制御出力)Δvd *は、d軸電流指令値id *にd軸電流検出値idcが従うようにd軸の電圧指令値vdc *を補正する電圧補正値である。また、q軸の電圧補正値Δvq *は、q軸電流指令値iq *にq軸電流検出値iqcが従うようにq軸の電圧指令値vqc *を補正する電圧補正値である。
Figure 2022098727000007
ここに、
Kpd1:d軸電流制御の比例ゲイン
Kpq1:q軸電流制御の比例ゲイン、Kiq1:q軸電流制御の積分ゲイン
さらに、ベクトル制御演算部8は、(数式7)に従い、d軸およびq軸の電圧指令値vdc **、vqc **を演算する。
Figure 2022098727000008
次に本発明の特徴である電圧補正演算部9について説明する。図2は、本実施例の特徴である電圧補正演算部9のブロックを示す。
極性判定部9aにq軸電流指令値iq *が入力され、iq *≧0のときは「+1」を、iq *<0のときは「-1」を出力する。これは力行/回生の両方の運転モードに対応するためであり、力行のみであれば9aは省略してもよい。
「0」である起電力指令値9bとd軸電流制御出力Δvd *は、減算部9cに入力され、その偏差(0-Δvd *)と極性判定部9aの出力信号(+1あるいは-1)が乗算部9dに入力される。
図3は、本実施例の特徴である電圧補正演算部9eのブロックを示す。PI制御演算部9eは、乗算の演算部9dの出力値Δvd **が0(ゼロ)となるように比例ゲインKpdqを持つ比例制御演算部9e1と積分ゲインKidqを持つ積分制御演算部9e2を加算部9e3に入力し、(数式8)に従い電圧補正値Δvdq *を演算する。
Figure 2022098727000009
また、加算部が、該電圧補正値Δvdq *とq軸電圧指令値Vqc **を用いて(数式9)に従い新たなq軸電圧指令値Vqc ***を演算する。そして、q軸電圧指令値Vqc ***が座標変換部11に入力される。
Figure 2022098727000010
周波数・位相推定演算部10は、q軸電圧指令値vqc ***、d軸の電流指令値id *、q軸電流指令値iq *およびq軸電流検出値iqcとd軸二次磁束指令値φ2d *、誘導モータ1の電気回路パラメータに基づいて演算をする。周波数・位相推定演算部10は、(数式10)に従い周波数推定値ωr ^を演算する。また、(数式11)に従いすべり周波数指令値ωs *を演算する。また、(数式12)に従い出力周波数指令値ω *を演算する。また、(数式13)に従い位相指令値θdcを演算する。
Figure 2022098727000011
ここに、R2´ : 二次抵抗値の一次側換算値、Tobs: 外乱オブザーバに設定する速度推定遅れ時定数、 TACR: 電流制御遅れ時定数
Figure 2022098727000012
ここに、T2: 二次時定数
Figure 2022098727000013
Figure 2022098727000014
上記したように、制御部は、磁束軸であるd軸の電流制御出力を算出し、d軸の電流制御出力を演算し、演算の出力が零に追従するように、q軸の電圧指令を出力する。
つぎに本発明がトルク不足を抑制できる原理について説明する。図4は、本発明である電圧補正演算部9を用いない(Vdq *=0)場合の制御特性を示す。
特許文献1の技術を用いて、(数式5)に示すd軸およびq軸の電圧指令値Vdc *、Vqc *の演算式や(数式10)に示す速度推定値ωr ^の演算式に含まれる漏れインダクタンスの設定値Lσ *に-10%の誤差がある場合のシミュレーション結果が図4に示される。速度指令値の設定は基底周波数の0.7p.uであり、上段は負荷トルクτL(点線)とトルクτM(実線)、中段は周波数ωr、下段はd軸二次磁束φ2dとq軸二次磁束φ2qを表示している。
ランプ状の負荷トルクτLを図中のA点から与え始め、図中のC点で定格トルク(100%)トルクの2倍の大きさとなるが、τLが-1.9p.u近傍B点でトルク抜け(トルクが不足)しており、中段のB点以降に実周波数ωrは増速、下段のD点以降にd軸二次磁束φ2dは急激に減少していることがわかる。
これはd軸電流制御がPI制御であるため、漏れインダクタンスLσに関係する電圧降下の誤差であるω(Lσ-Lσ *)iqにより、誘導モータ1内部でq軸二次磁束φ2qが発生し、d軸二次磁束φ2dが減少する結果、トルク抜けする現象である。
そこで本実施例では、d軸電流制御をP制御に変更し、q軸二次磁束φ2qが含まれるd軸電流制御出力Δvd *を用いて補正電圧値Δvdq *を演算し、q軸電圧指令値をvqc **を修正することで制御特性を改善する。
本実施例における制御特性を図5に示す。図4の制御特性と同様に、漏れインダクタンスの設定値Lσ *に-10%の誤差を与え、電圧補正演算部9を動作させて、同様に速度指令(0.7p.u)や負荷トルクを(A点からC点までランプ状に印加)与えている。下段のq軸二次磁束φ2qはほぼ零であり、d軸二次磁束φ2dも一定で減少していない。本実施例の効果が明白であることがわかる。
また更なる高速域(速度指令値が1.7p.u)での本実施例における制御特性を図6に示す。制御特性の図5と同様に、漏れインダクタンスの設定値Lσ *に-10%の誤差を与え、電圧補正演算部9を動作させて、負荷トルクを(A点からC点までランプ状に印加)与えている。下段のd軸二次磁束φ2dが図5に比べて約1/2であることがわかる。これは誘導モータ1の磁束を意図的に減少させる弱め界磁領域であり、d軸電流指令を1/2に低減しているためである。弱め界磁領域でも本発明の効果が明白であることがわかる。
上記の実施例では、図1の電圧補正演算部9において、比例制御と積分制御のゲイン(Kp、Ki)は固定値としているが、図7に示すように周波数推定値ωr ^に応じて変化させてもよい。図7のPI制御演算部9e’は図2および図3のPI制御演算部9eに相当するものである。図7の加算部9e’3は図3の加算部9e3と同一である。
図7のPI制御演算部9e’のPI制御において、周波数推定値ωr ^に略比例して比例制御と積分制御のゲイン(Kp、Ki)を変化させることで、低速域から高速域においてオーバーシュートなしの高精度かつ高安定な制御特性を実現することができる。
図8は、実施例2における電力変換装置と誘導モータの構成図である。
実施例1では、電圧補正演算部9への入力はq軸の電流指令値iq *、d軸電流制御出力Δvd *としたが、本実施例では、電圧補正演算部9への入力はq軸の電流指令値iq *、d軸電流制御出力Δvd *と速度推定値ωr^としている。実施例1と同じ内容については説明を省略する。
図8の電圧補正演算部91は、図1の電圧補正演算部9に相当するものである。図9に電圧補正演算部91の構成を示す。
図9の極性判定部91a、起電力指令値91b、減算部91c、乗算部91d、PI制御演算部91eは、図2の極性判定部9a、起電力指令値9b、減算部9c、乗算部9d、PI制御演算部9eと同一である。q軸二次磁束演算部91fは、d軸電流制御出力Δvd *と速度推定値ωr ^を用いて(数式14)よりq軸二次磁束φ2qの推定値φ2q ^を演算する。
Figure 2022098727000015
本実施例では、制御部が、d軸の電流制御出力からq軸の二次磁束推定値を算出し、q軸の二次磁束推定値が零に追従するように電圧補正値を算出する。
本実施例では、q軸二次磁束φ2q相当を演算してフィードバックすることで、低速域から高速域において高応答な制御特性を実現することができる。
ここで、図10を用いて本実施例を採用した場合の検証方法について説明する。誘導モータ1を駆動する電力変換装置20に、電圧検出器21、電流検出器22を取り付け、誘導モータ1のシャフトにはエンコーダ23を取り付ける。
ベクトル成分の電圧・電流の計算部24には、電圧検出器21の出力である三相交流の電圧検出値(vuc、vvc、vwc)、三相交流の電流検出値(iuc、ivc、iwc)とエンコーダ出力である位置θが入力され、ベクトル電圧成分のvdc、vqc、ベクトル電流成分のidc、iqcと、位置θを微分した検出値ωrcを演算する。
各部波形の観測部25では、(数式15)を用いて出力周波数値ωを、(数式16)を用いてd軸電流制御出力Δvd *の推定値Δvd * _estを演算する。
Figure 2022098727000016
Figure 2022098727000017
(数式16)に示す推定値Δvd * _estが定常的にゼロであれば、本発明を採用していることが明白となる。
図11は、実施例3における電力変換装置20、誘導モータ1、およびパーソナル・コンピュータ28、タブレット29、スマートフォン30などの端末を有する誘導モータの駆動システムの構成図である。本実施例は、誘導モータ駆動システムに、上記した本実施例を適用した実施例である。
図11において、構成要素の誘導モータ1、座標変換部5、速度制御演算部6、d軸電流磁束設定部、ベクトル制御演算部8、電圧補正演算部9、周波数・位相推定演算部10、座標変換部11は、図1と同一である。図1の構成要素である誘導モータ1は、電力変換装置20により駆動される。
電力変換装置20では、図1の座標変換部5、速度制御演算部6、d軸電流磁束設定部、ベクトル制御演算部8、電圧補正演算部9、周波数・位相推定演算部10、座標変換部11がソフトウェア20aとして、つまりプログラムとして実装されている。
また、図1の電力変換器2、直流電源3、電流検出器4および図示していないが制御部を構成するCPUがハードウェアとして実装されている。CPUは上記のプログラムを実行する。
またデジタル・オペレータ20b、パーソナル・コンピュータ28、タブレット29、スマートフォン30などの上位装置からの指示を受け、制御部(ソフトウェア20a)の電圧補正演算部9は、比例ゲイン26、積分ゲイン27を設定もしくは変更することができる。
本実施例を誘導モータ駆動システムに適用すれば、速度センサレスベクトル制御において高精度かつ高安定な制御特性を実現することができる。また比例ゲイン26、積分ゲイン27は、PLC(Programmable Logic Controller)、コンピュータと接続するLAN(Local Area Network)、IoT(Internet of Things)コントローラなどのフィールドバス上で設定してもよい。
さらに本実施例では、電力変換装置20の構成を実施例1を用いて開示してあるが、実施例2の構成であっても良い。
図12は、実施例4における電力変換装置20、誘導モータ1、端末、およびPLC(Programmable Logic Controller)やIoT(Internet of Things)コントローラなどの上位装置を有する誘導モータの駆動システムの構成図である。本実施例は誘導モータ駆動システムに上記した実施例を適用した実施例である。
図12において、構成要素の誘導モータ1、座標変換部5、速度制御演算部6、d軸電流磁束設定部、ベクトル制御演算部8、電圧補正演算部9、周波数・位相推定演算部10、座標変換部11、電力変換装置20、ソフトウェア20a、デジタル・オペレータ20b、比例ゲイン26、積分ゲイン27、パーソナル・コンピュータ28、タブレット29、スマートフォン30は図11に示したものと同一である。
図12において、12は上位装置であるPLCやIoTコントローラであり、電力変換装置20と上位装置12とはネットワークなどで接続している。電力変換装置20が運転中にトルク抜けをする場合は、ソフトウェア20a内の漏れインダクタンスの設定値Lσ *を修正して誘導モータ1を安定駆動できるようにしてもよい。これを実行するには、電力変換装置20の制御部内のメモリ情報を用いて、制御部は、誘導モータの運転状態をPLCやIoTコントローラにフィードバックし、PLCやIoTコントローラが誘導モータの運転状況を把握するようにする。そしてPLCやIoTコントローラが漏れインダクタンスの設定値Lσ *を数%単位で変更するように、電力変換装置20の制御部に指示し、制御部が、漏れインダクタンスの設定値Lσ *を変更するよう制御するようにしてもよい。
さらに本実施例では、電力変換装置は実施例1を用いて開示してあるが、実施例2であっても良い。
ここまでの実施例1と実施例2においては、電流指令値id *、iq *と電流検出値idc、iqcから電圧修正値Δvdc、Δvqcを作成し、この電流制御出力値とベクトル制御の電圧基準値を加算する(数式5)に示す演算であった。
代わりに、電流指令値id *、iq *と電流検出値idc、iqcからベクトル制御演算に使用する(数式17)に示す中間的な電流指令値id **、iq **を作成し、出力周波数指令値ω *および誘導モータ1の電気回路パラメータを用いて(数式18)に示すベクトル制御演算を行ってもよい。
Figure 2022098727000018
Figure 2022098727000019
ここに、
Kpd2:d軸電流制御の比例ゲイン
Kpq2:q軸電流制御の比例ゲイン、Kiq2:q軸電流制御の積分ゲイン
Td:d軸電気時定数(Lσ/R)、Tq:q軸電気時定数(Lσ/R)
あるいは電流指令値id *、iq *と電流検出値idc、iqcから、ベクトル制御演算に使用するd軸比例制御出力Δvd_p *、q軸比例制御出力Δvq_p *、q軸積分制御出力Δvq_i * を(数式19)により作成し、出力周波数指令値ω *および誘導モータ1の電気回路パラメータを用いた(数式20)に示すベクトル制御演算を行ってもよい。
Figure 2022098727000020
Figure 2022098727000021
ここに、
Kpd3:d軸電流制御の比例ゲイン
Kpq3:q軸電流制御の比例ゲイン、Kiq3:q軸電流制御の積分ゲイン
またd軸電流指令値id *およびq軸電流検出値iqcの一次遅れ信号iqctd、(数式21)に示す出力周波数指令値ω **と、誘導モータ1の電気回路パラメータを用いて、(数式22)に示すベクトル制御演算を行ってもよい。
Figure 2022098727000022
Figure 2022098727000023
またq軸電流制御出力を周波数推定値ωr ^^とする(数式23)に示す速度推定演算を行ってもよい。
Figure 2022098727000024
ここに、
Kpq4:q軸電流制御の比例ゲイン、Kiq4:q軸電流制御の積分ゲイン
なお、実施例1から実施例4において、電力変換器2を構成するスイッチング素子としては、Si(シリコン)半導体素子であっても、SiC(シリコンカーバイト)やGaN(ガリュームナイトライド)などのワイドバンドギャップ半導体素子であってもよい。
1…誘導モータ、2…電力変換器、3…直流電源、4…電流検出器、5…座標変換部、6…速度制御演算部、7…d軸電流磁束設定部、8…ベクトル制御演算部、9…電圧補正演算部、10…周波数・位相推定演算部、11…座標変換部、12…上位装置、20…電力変換装置、20a…電力変換装置のソフトウェア、20b…電力変換装置のデジタル・オペレータ、21…電圧検出器、22…電流検出器、23…エンコーダ、24…ベクトル成分の電圧・電流の計算部、25…各部波形の観測部、26…電圧補正演算の比例ゲイン、27…電圧補正演算の積分ゲイン、28…パーソナル・コンピュータ、29…タブレット、30…スマートフォン、31…IOTコントローラ
id *…d軸電流指令値、iq *…q軸電流指令値、
idc…d軸電流検出値、iqc…q軸電流検出値、
ΔVd *…d軸電流制御出力値、ΔVq *…q軸電流制御出力値、
ΔVdq *…q軸電圧指令補正値、
ωs *…すべり周波数指令値、ωs…誘導モータのすべり周波数、
ωr ^、ωr ^^…周波数推定値、ωr…誘導モータの周波数、
vdc *、 vdc **、vdc ***、vdc ****、vdc *****…d軸の電圧指令値、
vqc *、 vqc **、vqc ***、vqc ****、vqc ****…q軸の電圧指令値

Claims (10)

  1. 出力周波数を可変にする電圧を誘導モータに出力する電力変換器と、
    前記電力変換器に電圧指令を出力する制御部とを有する電力変換装置であって、
    前記制御部は、
    磁束軸であるd軸の電流制御出力を算出し、
    d軸の前記電流制御出力を演算し、演算の出力が零に追従するように、q軸の前記電圧指令を出力する電力変換装置。
  2. 請求項1に記載の電力変換装置において、
    前記制御部は、
    d軸の前記電流制御出力と零の指令値との偏差を算出し、前記偏差に基づいてPI制御をし、電圧補正値を算出する電力変換装置。
  3. 請求項2に記載の電力変換装置において、
    前記制御部は、
    前記偏差が零になるように比例ゲインと積分ゲインを有し、
    前記電圧補正値とq軸電圧指令値とを演算し、新たなq軸電圧指令値を算出する電力変換装置。
  4. 請求項3に記載の電力変換装置において、
    前記制御部は、
    周波数推定値に基づいて前記比例ゲインと前記積分ゲインを変化させる電力変換装置。
  5. 請求項1に記載の電力変換装置において、
    前記制御部は、
    d軸の前記電流制御出力からq軸の二次磁束推定値を算出し、q軸の前記二次磁束推定値が零に追従するように電圧補正値を算出する電力変換装置。
  6. 請求項5に記載の電力変換装置において、
    前記制御部は、
    d軸の前記電流制御出力と速度推定値からq軸の前記二次磁束推定値を算出し、q軸の前記二次磁束推定値が零になるようにPI制御をする電力変換装置。
  7. 請求項3に記載の電力変換装置において、
    デジタル・オペレータやパーソナル・コンピュータあるいはタブレット、スマートフォン機器からの指示により、前記制御部は、前記比例ゲインもしくは前記積分ゲインを設定もしくは変更するように制御する電力変換装置。
  8. 請求項1に記載の電力変換装置は、
    上位コントローラもしくはIoTコントローラと接続しており、
    前記制御部は、
    前記誘導モータの運転状態を前記上位コントローラや前記IoTコントローラにフィードバックして、前記誘導モータが運転中にトルク抜けをするときは漏れインダクタンスの設定値を修正するように制御する電力変換装置。
  9. 請求項1に記載の電力変換装置において、
    d軸の前記電流制御出力は、
    d軸の電流検出値がd軸の電流指令値になるようにd軸の電圧指令値を補正するd軸の電圧補正値である電力変換装置。
  10. 請求項2に記載の電力変換装置において、
    前記制御部は、
    前記偏差と、力行、回生に従った極性判定の値とを演算する電力変換装置。
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