JP2022097285A - マスク及びマスクの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、マスク及びマスクの製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】複数のシートを積層した柔軟な積層体によって形成されるマスク本体と、マスク本体に設けられており、積層体を折り返すことによって形成されるプリーツ状の折り目とを備え、積層体は、プリーツの展開状態において柔軟な部分を支持可能な固化部分を有する不織布のシートを含む。【選択図】図3
Description
本開示は、マスク及びマスクの製造方法に関する。
近年、不織布等を積層したマスク本体に耳紐等を取り付けた使い捨てマスクが知られている(例えば、特許文献1~4を参照)。
マスク本体は、プリーツ状の立体形状を形成し得る折り目を有している。マスク装着時にプリーツを広げることで、マスク本体が立体形状となる。これにより、マスク本体と着用者の口との間に空間が形成され、着用者は呼吸を楽に行うことができるようになる。
しかし、マスク本体は基本的には柔らかい不織布からなるものなので、装着時にプリーツを広げてマスク本体の立体形状を定めても、プリーツが折れ戻り易く、その立体形状を維持するのが困難である。
本開示は、一側面では、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、プリーツを広げた形状を維持することができるマスク及びマスクの製造方法を提供する。
上記課題を解決するため、本発明では、積層体は、プリーツの展開状態において柔軟な部分を支持可能な固化部分を有する不織布のシートを含む。
詳細には、本発明のマスクは、複数のシートを積層した柔軟な積層体によって形成されるマスク本体と、マスク本体に設けられており、積層体を折り返すことによって形成されるプリーツ状の折り目と、を備え、積層体は、プリーツの展開状態において柔軟な部分を支持可能な固化部分を有する不織布のシートを含む。
なお、上記マスクにおいて、折り目は、マスク本体の横方向に延在し、固化部分は、マスク本体の縦方向に延在する第1の直線状部、又はマスク本体の斜め方向に延在する第2の直線状部を含んでもよい。
また、上記マスクにおいて、固化部分は、複数の第1の直線状部、又は複数の第2の直線状部を含んでもよい。
また、上記マスクにおいて、複数の第1の直線状部、又は複数の第2の直線状部は、積層体に折り目が形成される前の不織布のシートにおいて、互いに平行に配置されていてもよい。
また、上記マスクにおいて、積層体に前記折り目が形成される前の不織布のシートを横方向に4等分にして、当該不織布のシートに仮想的な4つの領域を形成したときに、第1の直線状部は、仮想的な4つの領域のうちの中央の2つの領域の各々に配置されていてもよい。
また、上記マスクにおいて、複数の第2の直線状部は、積層体に折り目が形成される前の不織布のシートにおいて、交わる方向に配置されていてもよい。
また、上記マスクにおいて、積層体に折り目が形成される前の不織布のシートを横方向に4等分にし、且つ縦方向に2等分して、当該不織布のシートに仮想的な8つの領域を形成したときに、第2の直線状部は、仮想的な8つの領域のうちの横方向の両端、且つ縦方向の両端の4つの領域の各々に配置され、横方向の中央部、且つ縦方向の中央部に向けて延在してもよい。
また、上記マスクにおいて、複数の第2の直線状部は、積層体に折り目が形成される前の不織布のシートにおいて、交わるように配置されていてもよい。
また、上記マスクにおいて、折り目は、マスク本体の横方向に延在し、固化部分は、マスク本体の縦方向と略同じ方向に延在する第1の曲線状部を含んでもよい。
また、上記マスクにおいて、折り目は、マスク本体の横方向に延在し、固化部分は、マスク本体の縦方向に延在する直線状部と、マスク本体の斜め方向に延在する直線状部を含み、縦方向に延在する直線状部と斜め方向に延在する直線状部が連続して配置されて、マスク本体の縦方向と略同じ方向に延在する第2の曲線状部が形成されていてもよい。
また、上記マスクにおいて、固化部分は、第1の曲線状部又は第2の曲線状部を複数含み、複数の第1の曲線状部、又は複数の第2の曲線状部は、積層体に折り目が形成される前の不織布のシートにおいて、マスク本体の横方向の端部側に配置されたものほど、端部側に大きく湾曲していてもよい。
また、上記マスクにおいて、固化部分は、第1の曲線状部又は第2の曲線状部を複数含み、複数の第1の曲線状部、又は複数の第2の曲線状部は、積層体に折り目が形成される前の不織布のシートにおいて、略直交するように配置されていてもよい。
また、上記マスクにおいて、固化部分は、第1の曲線状部又は第2の曲線状部を複数含み、複数の第1の曲線状部、又は複数の第2の曲線状部は、積層体に折り目が形成される前の不織布のシートにおいて、円弧状に延在し、横方向における仮想的な中心線に対して線対称に配置されていてもよい。
また、上記マスクにおいて、折り目は、マスク本体の横方向に延在し、固化部分は、横方向、マスク本体の縦方向、及びマスク本体の斜め方向のいずれかに延在する複数の直線状部を含み、複数の直線状部は、積層体に折り目が形成される前の不織布のシートにおいて、交わるように配置されて、当該不織布のシートに、複数の直線状部に囲まれた固化部分以外の部分が複数形成されていてもよい。
また、上記マスクにおいて、固化部分以外の部分は、矩形状又は六角形状を有し、複数の固化部分以外の部分は、隙間なく並べられていてもよい。
また、上記マスクにおいて、積層体に折り目が形成される前の不織布のシートを横方向に4等分にして、当該不織布のシートに仮想的な4つの領域を形成したときに、仮想的な
4つの領域のうち、中央の2つの領域における固化部分以外の部分の面積の和は、両端の2つの領域における固化部分以外の部分の面積の和と異なってもよい。このマスクにおいて、中央の2つの領域における固化部分以外の部分の面積の和は、両端の2つの領域における固化部分以外の部分の面積の和よりも小さくてもよい。
4つの領域のうち、中央の2つの領域における固化部分以外の部分の面積の和は、両端の2つの領域における固化部分以外の部分の面積の和と異なってもよい。このマスクにおいて、中央の2つの領域における固化部分以外の部分の面積の和は、両端の2つの領域における固化部分以外の部分の面積の和よりも小さくてもよい。
また、上記マスクにおいて、積層体に折り目が形成される前の不織布のシートを縦方向に4等分にして、当該不織布のシートに仮想的な4つの領域を形成したときに、仮想的な4つの領域のうち、中央の2つの領域における固化部分以外の部分の面積の和は、両端の2つの領域における固化部分以外の部分の面積の和と異なってもよい。このマスクにおいて、中央の2つの領域における固化部分以外の部分の面積の和は、両端の2つの領域における固化部分以外の部分の面積の和よりも小さくてもよい。
また、上記マスクにおいて、複数のシートのうちの少なくとも1枚のシートは、長繊維の不織布のシートであってもよい。
また、上記マスクにおいて、複数のシートは、肌面シート、外層シート、及び肌面シートと外層シートとの間に配置された中間シートを含み、中間シートは、不織布のシートを含んでもよい。
また、上記マスクにおいて、複数のシートは、不織布のシートに隣接するシートを含み、不織布のシートは、隣接するシートに溶融接着され、固化部分は、不織布のシートが隣接するシートに溶融接着した部分であってもよい。
また、本発明は、複数のシートを積層することにより、マスク本体となる柔軟な積層体を形成する工程と、積層体を折り返すことにより、積層体にプリーツ状の折り目を形成する工程と、積層体を形成する前に、積層体に含める不織布のシートの所定の部分に、プリーツの展開状態において柔軟な部分を支持可能な固化部分を形成する工程と、を有する。
上記マスクの製造方法において、固化部分を形成する工程では、不織布のシートを加熱することにより、不織布のシートの所定の部分を少なくとも軟化させてもよい。
また、上記マスクの製造方法において、不織布のシートのガラス転移温度以上の温度で不織布のシートを加熱してもよい。
また、上記マスクの製造方法において、不織布のシートの融点以下の温度で不織布のシートを加熱してもよい。
また、上記マスクの製造方法において、固化部分を形成する工程では、不織布のシートを超音波振動させることにより、不織布のシートの所定の部分を少なくとも軟化させてもよい。
また、上記マスクの製造方法において、複数のシートは、不織布のシートに隣接するシートを含み、固化部分を形成する工程では、隣接するシートと共に不織布のシートを加熱することにより、不織布のシートを隣接するシートに溶融接着させ、固化部分は、不織布のシートが隣接するシートに溶融接着した部分であってもよい。
本発明によれば、プリーツを広げた形状を維持することができる。
<実施形態>
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係るマスク及びマスクの製造方法について
説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係るマスク及びマスクの製造方法について
説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
図1は、実施形態に係るマスクの外観斜視図である。図1に示されるように、マスク1は、マスク本体2、耳紐3,4、側部5,6、ノーズフィッター7を有する。マスク本体2は、シート状の通気性素材で形成されており、着用者の口と鼻を覆うことが可能な大きさを有する。耳紐3,4は、紐状の伸縮性素材で形成されており、マスク本体2の両側部に位置する側部5,6において端部が接合されることにより、マスク本体2の左右両側に環状の輪をそれぞれ形成する。
マスク本体2は、通気性を有する不織布等の各種シートから構成されるものであり、複数枚のシートの積層体である。そして、複数のシートは、上下左右の縁等において互いに適宜接合されている。マスク本体2は、プリーツ状の立体形状を形成し得る折り目を有する。このような折り目は、マスク本体2が襞状に折り込まれた状態で左右両側の端部に側部5,6が接合されることに、その形状が側部5,6によって保持される。すなわち、左右両側の端部の側部5,6で折り目の展開が阻止され、マスク本体2の中心部付近の領域において、マスク1の装着時に折り目が展開されることで、マスク本体2のプリーツが広げられて立体形状となる。なお、非装着時にはプリーツが閉じられることで、マスク本体2をかさばらない平面状とすることができる。
耳紐3,4を構成する紐状の伸縮性素材は、例えば、ゴム糸と綿の交織帯や、樹脂フィラメントの交編ネット、伸縮性の不織布等で形成される。このような紐状の素材の両端部が、それぞれマスク本体2の左右両側の側部の側部5,6に接合されることで、当該素材の一端が始点となり、当該素材の他端が終点となるループ状の形態の耳紐3,4がマスク本体2の左右両側に形成される。
ノーズフィッター7は、マスク本体2の上部において、長手方向がマスク本体2の左右方向に延在する状態でマスク本体2に固定される部材である。ノーズフィッター7は、マスク本体2を構成するシート状の通気性素材同士の間に挟み込まれる状態で積層体の内部に固定されていてもよいし、或いは、マスク本体2の表面に固定されていてもよい。ノーズフィッター7は、着用者が指で押圧することにより適宜の形状へ変形可能な程度の強度を有すると共に、当該押圧から解放されても形状を維持する塑性変形可能な素材である。このようなノーズフィッター7がマスク本体2の上部に設けられていることにより、着用者は、鼻とマスク本体2との間にできる隙間を塞ぐことができる。
マスク1を構成する上述の各素材は、超音波溶着による接合が好適であるが、例えば、ミシン糸等による縫合、ホットメルト接着剤等による接着、ヒートシール、その他の各種接合技術を適用し得る。
図2は、実施形態に係るマスクのシート構造を示す図である。実施形態に係るマスク本体2は、外層シート10、フィルタシート11、形状維持シート12、肌面シート13の各シートを積層して構成されている。各シートには、熱可塑性ポリマーからなる不織布が用いられる。フィルタシート11は、本実施形態では1枚であるが、通気性を考慮しつつシートを更に増やしてもよい。
肌面シート13は直接肌に触れるため、特に肌触りの良い不織布が用いられる。外層シート10は肌面シート13と同一の素材のシートであってもよいし、外部環境に対する耐性や通気性に優れた別規格のシートであってもよい。誤装着防止のため、外層シート10と肌面シート13で素材の色を変えることもできる。また、形状維持シート12(本開示の「不織布のシート」の一例)には肌面シート13と同一の素材が用いられる。
フィルタシート11には粒子補足性能が高い素材が用いられる。このため、フィルタシート11には肌面シート13や形状維持シート12とは異なる素材のシートが用いられてもよい。例えば、肌面シート13や形状維持シート12よりも融点が高い熱可塑性ポリマー素材が用いられてよい。
また、フィルタシート11にはティッシュペーパーのようなパルプ繊維が用いられてもよい。但し、この素材は熱で融解しない。このため、超音波溶着による接合を行うという観点では、フィルタシート11の素材も熱可塑性を有していることが望ましい。
また、マスク本体2には、外層シート10、フィルタシート11、形状維持シート12及び肌面シート13の積層体を折り返すことによって形成されたプリーツ状の折り目が設けられている。本実施形態では、折り目は平面視でマスク本体2の左右方向(以下、「横方向」という)に延在している。そして、マスク1が装着され、折り目が平面視でマスク本体2の上下方向(以下、「縦方向」という)に展開されたときに、マスク本体2のプリーツが広げられて立体形状となる。このとき、マスク本体2では、側部5,6で折り目の展開が阻止されているので、着用者の非肌面側にドーム状に膨らんだ部分が形成される。これにより、マスク本体2と着用者の口との間に空間が形成され、着用者は呼吸を楽に行うことができるようになる。
一方、前述したように、マスク本体2の積層体は、基本的には不織布のシートのように柔らかいシートからなるものである。このため、マスク1を装着した着用者がプリーツを広げてマスク本体2の立体形状を定めても、口を動かす等の着用者の動作による応力を受けたときにプリーツが折れ戻り易く、その立体形状を維持するのが困難である。そこで、本実施形態では、形状維持シート12に固化部分を有することで、マスク本体2の立体形状を維持するようにしている。
図3は、形状維持シート12の固化部分の一例の構成を示す平面図である。図3では、マスク本体2の積層体にプリーツ状の折り目が設けられる前の形状維持シート12の状態を示している。また、図4は、マスク本体2の積層体に折り目が設けられた後に積層体の各シートに形成される折り目の構成を説明する図である。図4では、プリーツが閉じている状態の折り目の構成について説明している。
まず、折り目の構成について説明する。図4に示すように、マスク本体2の積層体が折り返された後、積層体の各シート10~13には、例えば、マスク本体2の下方向に見たときに上から谷折りの折り目VF1、山折りの折り目MF1、谷折りの折り目VF2、及び山折りの折り目MF2がこの順で形成されている。この構成の場合、着用者の非肌面側からマスク本体2を見たときには、上から2番目及び3番目の折り目MF1,VF2が視認可能となっている。なお、マスク本体2の積層体に設けられる折り目の構成は、図4に示された構成に限定されない。例えば、マスク本体2の積層体に設けられる折り目の数が、図4に示された構成の折り目の数よりも多くてもよく、また少なくてもよい。
続いて、形状維持シート12の構成について説明する。図3に示すように、マスク本体2の積層体に折り目が設けられる前の形状維持シート12は矩形状を有している。なお、折り目が設けられた後の形状維持シート12も、プリーツが閉じている状態の場合には矩形状を有している。但し、折り目が設けられる前の形状維持シート12は、縦方向の長さが、シートが縦方向に折り返されていない分、折り目が設けられた後の形状維持シート12よりも長い。図3では、マスク本体2の積層体が折り返されたときに、形状維持シート12に形成される折り目の位置、すなわち図4に示された折り目VF1,MF1,VF2,MF2の位置を破線で示している。一方、横方向の長さについては、折り目が設けられ
る前の形状維持シート12は、折り目が設けられた後の形状維持シート12と同じである。
る前の形状維持シート12は、折り目が設けられた後の形状維持シート12と同じである。
そして、形状維持シート12は、横方向の中心部に配置され、マスク本体2の縦方向に延在する直線状の固化部分15(本開示の「第1の直線状部」の一例)を有している。固化部分15は、縦方向の上側から下側に向かって折り目VF1、折り目MF1、折り目VF2及び折り目MF2を越えるように延在している。また、固化部分15は、形状維持シート12の素材である不織布が軟化又は溶融して、膜状に固化したものであり、固化部分15以外の不織布が固化していない部分よりも硬く、曲げ剛性が高くなっている。このため、固化部分15は、プリーツを広げた状態においてマスク本体2の積層体の柔軟な部分を支持可能となっている。これにより、マスク1を装着した着用者がプリーツを広げてマスク本体2の立体形状を定めたときに、固化部分15が、マスク本体2に形成されたドーム状に膨らんだ部分において、プリーツが折れ戻ろうとする種々の方向の力のうちの縦方向の力に抵抗して、折れ戻り難くすることができる。この結果、マスク本体2のドーム状に膨らんだ部分の立体形状を維持することができる。なお、固化部分15は比較的硬いものの、柔軟性も備えているので、マスク本体2の積層体が折り返された後でも切断されることなく、立体形状を維持する機能を維持し得る。
マスク本体2のドーム状に膨らんだ部分のうち、図3に示された固化部分15が延在している部分は、着用者の鼻(特に、鼻筋)及び口に対応する部分である。従って、このような部分に固化部分15が延在していることにより、ドーム状に膨らんだ部分のうちの着用者の鼻及び口に対応する部分の立体形状を効果的に維持することができる。
また、固化部分15は比較的硬いものの、固化部分15を有する形状維持シート12(本開示の「中間シート」の一例)は、マスク本体2の積層体において着用者の肌面側の肌面シート13と非肌面側の外層シート10との間に配置されている。このため、形状維持シート12は着用者の肌面側に露出していなく、比較的硬い固化部分15が着用者の肌に直接当たることがない。よって、硬い部分が着用者の肌に直接当たるのを回避するための被覆部材を設ける必要もない。また、形状維持シート12が着用者の非肌面側にも露出していないので、非肌面側から見たときのマスク1の外観を損ねることもない。
このような固化部分15の形成方法については、不織布のシート(固化部分15が形成される前の形状維持シート12)の所定部分を加熱又は超音波振動によって軟化させ、固化させることにより、不織布のシートの当該所定部分に固化部分15を形成する。
図5は、固化部分15を形成する工程の一例を示した図である。図5では、加熱ローラを用いた加熱によって不織布を軟化させることにより、固化部分15を形成する場合について説明する。
図5に示すように、不織布のシート(原反)20が、加熱ローラを含む一対のローラに繰り出されている。
一対のローラのうち、加熱ローラ21にはヒータが内蔵されている。また、加熱ローラ21の外周面には、当該ヒータによって加熱される突起22が設けられている。突起22の上面はシート20と接する部分であり、例えば、図3に示された固化部分15と同じ形状(すなわち、直線状)を有している。また、突起22は、例えば、図3に示された形状維持シート12における固化部分15の位置に対応する加熱ローラ21の外周面の位置に配置されている。一方、平滑ローラ23は加熱ローラ21の上に配置されており、加熱ローラ21と同じ回転速度で回転する。
このような一対のローラにおいて、加熱ローラ21のヒータにより、シート20の素材(不織布)のガラス転移温度以上の温度となるように突起22を加熱する。例えば、当該素材の融点よりも5℃~30℃低い温度となるように突起22を加熱する。また、ローラ21,23を所定の回転速度で回転させる。このような状態において、シート20を加熱ローラ21と平滑ローラ23との間を通過させると、シート20と突起22との接触が一瞬であれば、突起22に対応するシート20の所定部分が溶融することなく軟化して、固化する。例えば、図3に示された固化部分15をシート20に形成するときに、加熱ローラ21の外周面においてローラの回転方向に対して垂直な方向に直線状に延在する突起22の幅(ローラの回転方向と同じ方向の長さ)が0.05mm~10mmであり、ローラ21,23を通過する際の送り速度が10m/s~300m/sである場合には、シート20の所定部分を溶融させることなく軟化させることができる。これにより、柔軟性を備えつつ、曲げ剛性が高い好適な固化部分15をシート20に形成することができる。
このようにして加熱ローラ21によって固化部分15が形成された原反20が、前述した形状維持シート12となる。
なお、超音波振動によって不織布を軟化させる場合には、図5に示された固化部分15を形成する工程において、加熱ローラ21及び平滑ローラ23を替えて、例えば、図3に示された固化部分15と同じ形状を有する振動子を備えた超音波溶着機を用いる。
続いて、上記のような構成のマスク1の製造方法の一例について説明する。
図6は、ロールを繰り出し積層する工程を示した図である。マスク1を構成する部材は、ロールシートの形態で製造ラインに設置される。一番上のロールには外層シート10の素材が、上から二番目のロールにはフィルタシート11の素材が、上から三番目のロールには形状維持シート12の素材(不織布のシート20)が、一番下のロールには肌面シート13の素材がそれぞれセットされ、ローラ30の圧力によって繰り出されて積層体となり、コンベア31の上を流れていく。以下の図面では省略するが、積層体はラインの複数個所に設けられたローラ30とコンベア31の力でライン上の工程を進む。
また、図6において、上から三番目のロールとローラ30との間の破線の矩形で示した部分には、前述した加熱ローラ21及び平滑ローラ23や超音波溶着機が設置されている。これにより、原反20に固化部分15が形成されている。
図7は、積層体にプリーツとノーズフィッターを組み込む工程を示した図である。積層体は黒矢印方向に流れていく間に、複数の金属片32の間を通過する。金属片32はライン上に固定されており、通過中の積層体を屈曲させて折りたたむ。金属片32の間を通過することにより、積層体はジグザクに折り畳まれ、この部分がプリーツになる。
続いて、積層体の表面にはノーズフィッター7が配置される。本実施形態ではノーズフィッター7はローラ状になって提供され、切断配置装置33で適宜切断されて積層体の上に配置される。勿論、ノーズフィッター7の部材は予め切断されていてもよい。
続いて、積層体のノーズフィッター側がライン上に固定された金属片34により折り返される。折り返されるシートは、積層体のうちの一部のシートであってもよいし、本実施形態のように全部であってもよい。これにより、ノーズフィッター7は、シートの中に包み込まれる。
続いて、溶着装置35により、ノーズフィッター7を包み込んだシートと積層体とが溶着される。溶着方法は、熱溶着、振動溶着、超音波溶着であってよい。なお、ここでノー
ズフィッター7を挟み込むように溶着が行われてもよいし、ノーズフィッター7の延在方向左右に溶着が行われてもよい。このように溶着をすることで、ノーズフィッター7は完全に固定され、輸送中や装着中に移動することがなくなる。
ズフィッター7を挟み込むように溶着が行われてもよいし、ノーズフィッター7の延在方向左右に溶着が行われてもよい。このように溶着をすることで、ノーズフィッター7は完全に固定され、輸送中や装着中に移動することがなくなる。
図8は、積層体下部を溶着し、切断する工程を示した図である。溶着装置35により、積層体のノーズフィッター7と反対側についても溶着が行われる。これまで連続体として加工されてきた積層体は、カッター36で横目方向に切断される。これ以降は、切断された積層体は、それぞれに耳紐とカバーをつけられてマスク本体となる。
図9は、耳紐3、4を設置し、カバーシートで固定する工程を示した図である。図9(a)では、左右の耳紐3、4を積層体の上に配置する。図9(b)では、耳紐3、4と積層体を包み込むようにカバーシート37を配置する。カバーシート37は、熱可塑性を有するポリマーシートで構成されており、積層体と溶着することができる。図9(c)では、このように形成したカバーシート37を溶着したものである。この状態で包装をすることでマスクの製造工程は完結する。
前述した固化部分15の形成方法を含む本実施形態のマスク1の製造方法によれば、単に外層シート10、フィルタシート11及び肌面シート13と共に形状維持シート12を積層するだけでよいので、マスク本体2の立体形状を維持するための部材(固化部分15)をマスク本体2に組み込むのが容易になる。
また、固化部分15を形状維持シート12に形成しているので、ロールから形状維持シート12を繰り出したときに形状維持シート12に撚れなどが発生し難く、歩留まりの低下を抑えることができる。更に、立体形状を維持するための部材を積層体に配置している訳ではないので、当該部材を配置するときに同期を取る必要もない。これらの結果、立体形状を維持するための部材の設計の自由度を高めることができる。
<固化部分の別の形成方法>
図10は、固化部分を形成する工程の別例を示した図である。図10では、加熱によって不織布を軟化させることにより、固化部分を形成する場合について説明する。
図10は、固化部分を形成する工程の別例を示した図である。図10では、加熱によって不織布を軟化させることにより、固化部分を形成する場合について説明する。
図10において、上から二番目のロール及び上から三番目のロールとローラ30との間の破線の矩形で示した部分には、前述した加熱ローラ21及び平滑ローラ23が設置されている。図10に示すように、上から二番目のロールにフィルタシート11の素材がセットされ、上から三番目のロールに形状維持シート12の素材(不織布のシート20)がセットされ、加熱ローラ21及び平滑ローラ23に繰り出される。加熱ローラ21ではシート20の素材のガラス転移温度よりも高く、且つフィルタシート11の素材の融点より低い温度となるように突起22を加熱する。また、ローラ21,23を所定の回転速度で回転させる。このような状態において、フィルタシート11及び不織布のシート20を加熱ローラ21と平滑ローラ23との間を通過させると、シート20と突起22との接触が一瞬であれば、前述したように突起22に対応するシート20の所定部分が溶融することなく軟化して、固化する。仮にシート20の所定部分が溶融してしまったとしても、シート20に隣接するフィルタシート11(本開示の「隣接するシート」の一例)はシート20よりも融点が高い、又は熱で融解しないので、フィルタシート11で溶融した部分を受け止めることができる。この結果、固化部分がシート20に形成されて形状維持シート12となると共に、固化部分を介して形状維持シート12がフィルタシート11に接着される。
なお、この別例では、超音波溶着機を使用して、超音波振動によって不織布を軟化させることにより、固化部分がシート20に形成されて形状維持シート12となると共に、固
化部分を介して形状維持シート12がフィルタシート11に接着されてもよい。また、形状維持シート12が固化部分を介して接着するシートはフィルタシート11に限定されない。そのようなシートは、例えば、形状維持シート12と肌面シート13との間に配置された他のシートでもよく、また当該他のシート及びフィルタシート11の両方でもよい。
化部分を介して形状維持シート12がフィルタシート11に接着されてもよい。また、形状維持シート12が固化部分を介して接着するシートはフィルタシート11に限定されない。そのようなシートは、例えば、形状維持シート12と肌面シート13との間に配置された他のシートでもよく、また当該他のシート及びフィルタシート11の両方でもよい。
<固化部分の変形例>
固化部分の形状や配置は図3に示した固化部分15の形状や配置に限定されない。以下、種々の固化部分の変形例の構成について説明する。
固化部分の形状や配置は図3に示した固化部分15の形状や配置に限定されない。以下、種々の固化部分の変形例の構成について説明する。
図11~図12は、形状維持シート12の固化部分の変形例(その1~その2)の構成を示す平面図である。
例えば、図11に示すように、形状維持シート12が、横方向の中心部に配置され、縦方向に延在する直線状の固化部分15を複数有してもよい。更に、複数の固化部分15が、平行に配置されてもよい。
このように、固化部分15が複数配置されることにより、着用者がプリーツを広げたときに、固化部分15が1つ配置される場合よりも強く縦方向のプリーツが折れ戻ろうとする力に抵抗して、より一層折れ戻り難くすることができる。更に、複数の固化部分15が平行に配置されることにより、より一層効果的に折れ戻り難くすることができる。
また、図12に示すように、形状維持シート12を横方向に4等分にして(二点鎖線で示す仮想線を参照)、形状維持シート12に仮想的な4つの領域R1~R4を形成したときに、固化部分15が、4つの領域R1~R4のうちの中央の2つの領域R2,R3の各々に1つずつ配置されてもよい。
中央の2つの領域R2,R3は、着用者の鼻及び口を覆う領域であり、着用者がプリーツを広げる可能性が高い領域である。このような領域R2,R3の各々に固化部分15が配置されることにより、縦方向のプリーツが折れ戻ろうとする力に効果的に抵抗することができる。
上記の例では、固化部分15はマスク本体2の縦方向に延在するものであるが、固化部分はマスク本体2の斜め方向に延在するものであってもよい。図13~図16は、そのような形状維持シート12の固化部分の変形例(その3~その6)の構成を示す平面図である。
例えば、図13に示すように、形状維持シート12は、斜め方向に延在する直線状の固化部分40(本開示の「第2の直線状部」の一例)を複数有してもよい。この例では、形状維持シート12を横方向に2等分にして(二点鎖線で示す仮想線を参照)、形状維持シート12に仮想的な2つの領域R5,R6を形成したときに、固化部分40は、2つの領域R5,R6の各々に1つずつ配置されている。左側の領域R5に配置された固化部分16は領域R5の右上側から左下側に延在し、右側の領域R6に配置された固化部分40は領域R6の左上側から右下側に延在している。つまり、2つの固化部分40は、ハの字のように互いに交わる方向に配置されている。固化部分40は、縦方向の上側から下側に向かって折り目VF1、折り目MF1、折り目VF2及び折り目MF2を越えるように延在している。
固化部分40は、固化部分15と同じくプリーツを広げた状態においてマスク本体2の積層体の柔軟な部分を支持可能となっている。このため、複数の固化部分40が交わる方向に配置されていることにより、着用者がプリーツを広げたときに、複数の固化部分40
が、マスク本体2に形成されたドーム状に膨らんだ部分において、プリーツが折れ戻ろうとする種々の方向の力のうちの斜め方向の力に抵抗して、折れ戻り難くすることができる。
が、マスク本体2に形成されたドーム状に膨らんだ部分において、プリーツが折れ戻ろうとする種々の方向の力のうちの斜め方向の力に抵抗して、折れ戻り難くすることができる。
また、マスク本体2のドーム状に膨らんだ部分のうち、図13に示された2つの固化部分40が延在している部分は、着用者の鼻の両側部及び口の両側部に沿った部分である。従って、このような部分に固化部分40が延在していることにより、固化部分16が着用者の鼻及び口に当たるのを回避しながら、マスク本体2のドーム状に膨らんだ部分のうちの着用者の鼻及び口に対応する部分の立体形状を効果的に維持することができる。
また、図14に示すように、形状維持シート12の左側の領域R5において右上側から左下側に延在し、互いに平行に配置された2つの固化部分40を有し、右側の領域R6において左上側から右下側に延在し、互いに平行に配置された2つの固化部分40を有してもよい。これにより、領域R5,R6の各々に固化部分40が1つずつ配置される場合よりも強く斜め方向のプリーツが折れ戻ろうとする力に抵抗して、より一層折れ戻り難くすることができる。
更にまた、図15に示すように、形状維持シート12を横方向に4等分にし、且つ縦方向に2等分して(二点鎖線で示す仮想線を参照)、形状維持シート12に仮想的な8つの領域R7~R14を形成したときに、固化部分40が、8つの領域R7~R14のうちの横方向の両端部、且つ縦方向の両端部の4つのR7,R10,R11及びR14の各々に1つずつ配置されてもよい。更に、左上端部の領域R7に配置された固化部分40は領域R7の左上側から右下側に延在し、右上端部の領域R10に配置された固化部分40は領域R10の右上側から左下側に延在してもよい。また、左下端部の領域R11に配置された固化部分40は領域R11の左下側から右上側に延在し、右下端部の領域R14に配置された固化部分40は領域R14の右下側から左上側に延在してもよい。つまり、複数の固化部分40が、横方向の中央部、且つ縦方向の中央部に向けて延在してもよい。
前述したように、マスク本体2の左右両側の側部5,6が接合されているので、側部5,6で折り目の展開が阻止されている。このため、着用者がプリーツをマスク本体2の縦方向に広げても、プリーツの左右両端部では縦方向に完全には広がらず、斜め方向に若干広がる程度である。
これに対し、本変形例では、固化部分40が、横方向の両端部、且つ縦方向の両端部の4つのR7,R10,R11及びR14の各々に1つずつ配置され、横方向の中央部、且つ縦方向の中央部に向けて延在している。これにより、着用者がプリーツを広げたときに、複数の固化部分40の各々がプリーツの左右両端部に対して略直交するようになり、マスク本体2に形成されたドーム状に膨らんだ部分においてプリーツが折れ戻ろうとする種々の方向の力のうち、ドーム状に膨らんだ部分の周辺部における斜め方向の力に抵抗して、折れ戻り難くすることができる。
更にまた、図16に示すように、2つの固化部分40が、形状維持シート12の横方向の中心部において、互いに交わるように配置されてもよい。
このように、複数の固化部分40が交わるように配置されることにより、着用者がプリーツを広げたときに、複数の固化部分40が、マスク本体2に形成されたドーム状に膨らんだ部分において、プリーツが折れ戻ろうとする種々の方向の力のうちの斜め方向の力に抵抗して、折れ戻り難くすることができる。
また、マスク本体2のドーム状に膨らんだ部分のうち、図16に示された固化部分40
が延在している部分は、着用者の口に対応する部分である。従って、このような部分に固化部分40が延在していることにより、マスク本体2のドーム状に膨らんだ部分のうちの着用者の口に対応する部分の立体形状を効果的に維持することができる。
が延在している部分は、着用者の口に対応する部分である。従って、このような部分に固化部分40が延在していることにより、マスク本体2のドーム状に膨らんだ部分のうちの着用者の口に対応する部分の立体形状を効果的に維持することができる。
上記の例では、固化部分15,40が直線状に延在するものであるが、固化部分が曲線状に延在するものであってもよい。図17~図21は、そのような形状維持シート12の固化部分の変形例(その7~その11)の構成を示す平面図である。
例えば、図17に示すように、形状維持シート12が、横方向の中心部に配置され、縦方向と略同じ方向に延在する曲線状の固化部分41(本開示の「第1の曲線状部」の一例)を複数有してもよい。この例では、2つの固化部分41が、それぞれ固化部分41の凸状に膨らんだ部分が横方向の中心側に向くように配置されている。固化部分41は、縦方向の上側から下側に向かって折り目VF1、折り目MF1、折り目VF2及び折り目MF2を越えるように延在している。
固化部分41は、固化部分15と同じくプリーツを広げた状態においてマスク本体2の積層体の柔軟な部分を支持可能となっている。このため、固化部分41が縦方向と略同じ方向に延在することにより、着用者がプリーツを広げたときに、固化部分41が、マスク本体2に形成されたドーム状に膨らんだ部分において、プリーツが折れ戻ろうとする種々の方向の力のうちの縦方向と略同じ方向の力に抵抗して、折れ戻り難くすることができる。
また、凸状に膨らんだ部分が横方向の中心側に向くように固化部分41が配置されている。固化部分41の凸状に膨らんだ部分は曲線状であるので、肌当たりが柔らかい。このため、凸状に膨らんだ部分が着用者の鼻等に当たったとしても、着用者の不快感を低減することができる。
また、図18に示すように、斜め方向に延在する直線状部分、及び縦方向に延在する直線状部分が連続して配置されることにより、縦方向と略同じ方向に延在する略曲線状の固化部分42(本開示の「第2の曲線状部」の一例)が形成されてもよい。固化部分42もまた、固化部分15と同じくプリーツを広げた状態においてマスク本体2の積層体の柔軟な部分を支持可能となっている。
更にまた、図19に示すように、形状維持シート12を横方向に2等分にして(二点鎖線で示す仮想線を参照)、形状維持シート12に仮想的な2つの領域R5,R6を形成したときに、固化部分41が、2つの領域R5,R6の各々に複数配置されてもよい。更に、左側の領域R5に配置された複数の固化部分41は、左側端部側に配置されたものほど左側端部に大きく湾曲し、右側の領域R6に配置された複数の固化部分41は、右側端部側に配置されたものほど右側端部に大きく湾曲してもよい。
このように、複数の固化部分41が、横方向の端部側に配置されたものほど当該端部側に大きく湾曲していることにより、着用者がプリーツを広げたときに、複数の固化部分41が、マスク本体2に形成されたドーム状に膨らんだ部分の形状に沿うようになる。これにより、マスク本体2のドーム状に膨らんだ部分の形状を効果的に維持することができる。
また、このような固化部分41の配置によれば、マスク本体2のドーム状に膨らんだ部分のうちの着用者の鼻及び口に対応する部分では固化部分41の割合が少なくなる、言い換えると不織布のままの部分の割合が多くなるので、通気性が良い。このため、着用者は呼吸を楽に行うことができる。
更にまた、図20に示すように、複数の固化部分41が、折れ線VF1,MF1,VF2,MF2と略直交するように配置されてもよい。
これにより、着用者がプリーツを広げてマスク本体2の立体形状を定めたときに、複数の固化部分41が、マスク本体2に形成されたドーム状に膨らんだ部分においてプリーツが折れ戻ろうとする力に抵抗して、折れ戻り難くすることができる。
更にまた、図21に示すように、固化部分41が、縦方向と略同じ方向に円弧状に延在し、複数の固化部分41が、二点鎖線で示した形状維持シート12の横方向の仮想的な中心線に対して線対称に配置されてもよい。
これにより、着用者がプリーツを広げてマスク本体2の立体形状を定めたときに、複数の固化部分41が、マスク本体2に形成されたドーム状に膨らんだ部分の形状に沿うようになる。特に、マスク本体2のドーム状に膨らんだ部分の縁は、着用者の鼻根及び顎を通る略円形状となっている。従って、このような縁の一部に沿うように固化部分41が延在することにより、マスク本体2のドーム状に膨らんだ部分の形状を効果的に維持することができる。
なお、図19~図21に示された固化部分の配置において、固化部分41を替えて、図20に示された固化部分42を用いてもよい。
上記の例では、複数の固化部分15、40~42は互いに離れて配置されている、又は図16に示すように複数の固化部分15が交わるように配置されても、複数の固化部分15によって開いた形状を形成するものであるが、複数の固化部分によって閉じた形状を形成するものであってもよい。図22~図27は、そのような形状維持シート12の固化部分の変形例(その12~その17)の構成を示す平面図である。
例えば、図22に示すように、形状維持シート12が、斜め方向に延在する複数の直線状部からなり、複数の直線状部が交わるように配置された網目状の固化部分43を有してもよい。この例では、複数の直線状部が交わるように配置されることにより、直線状部に囲まれた矩形状の閉じた部分が形成されている。更に、閉じた部分は、隙間なく並べられている。
固化部分43は、固化部分15と同じくプリーツを広げた状態においてマスク本体2の積層体の柔軟な部分を支持可能となっている。このため、網目状の固化部分43を有することにより、着用者がプリーツを広げてマスク本体2の立体形状を定めたときに、固化部分43が、マスク本体2に形成されたドーム状に膨らんだ部分においてプリーツが折れ戻ろうとする種々の方向の力に抵抗して、折れ戻り難くすることができる。
また、閉じた部分は、不織布のままの部分、すなわち非固化部分であり、固化部分43よりも通気性が良い。このような非固化部分が複数形成されることで、マスク本体2の通気性を確保することができる。
また、図23に示すように、形状維持シート12が、横方向に延在する複数の直線状部と縦方向に延在する複数の直線状部からなる網目状の固化部分44を有してもよい。この例でも、図24に示された固化部分43と同様に複数の直線状部が交わるように配置されることにより、直線状部に囲まれた矩形状の閉じた部分が形成され、更に閉じた部分が隙間なく並べられている。
更にまた、図24に示すように、形状維持シート12が、縦方向に延在する複数の直線状部と斜め方向に延在する複数の直線状部からなる網目状の固化部分45を有してもよい。この例では、複数の直線状部が交わるように配置されることにより、直線状部に囲まれた六角形状の閉じた部分が形成され、更に閉じた部分が隙間なく並べられている。
このように、複数の直線状部分によってハニカム構造が形成されていることにより、固化部分45は衝撃吸収性に優れている。このため、着用者がプリーツを広げたときに、非固化部分が潰れ難くなり、マスク本体2の通気性をより一層確保することができる。
更にまた、図25に示すように、形状維持シート12が、略斜め方向に延在する複数の曲線状部からなり、複数の曲線状部が交わるように配置された網目状の固化部分46を有してもよい。この例では、複数の曲線状部が交わるように配置されることにより、曲線状部に囲まれた略矩形状の閉じた部分が形成され、更に閉じた部分が隙間なく並べられている。
図22~図25に示された例では、形状維持シート12の全面において非固化部分の割合が均一になっているが、形状維持シート12の領域毎に非固化部分の割合が異なっていてもよい。
例えば、図26(a)に示すように、形状維持シート12が網目状の固化部分47を有している場合に、形状維持シート12を横方向に4等分にして(二点鎖線で示す仮想線を参照)、形状維持シート12に仮想的な4つの領域R1~R4を形成したときに、4つの領域R1~R4のうちの中央の2つの領域R2,R3における非固化部分の面積の和が、両端の2つの領域R1,R4における非固化部分の面積の和よりも大きくてもよい。
前述したように、中央の2つの領域R2,R3は、着用者の鼻及び口を覆う領域である。このような領域R2,R3における通気性が良い非固化部分の面積の和が比較的大きいことにより、着用者の呼吸を容易にすることができる。
一方、両端の2つの領域R1,R4は、着用者の両頬を覆う領域である。このような領域R1,R4における非固化部分の面積の和が比較的小さい、言い換えると領域R1,R4では固化部分47が比較的密に配置されている。これにより、着用者がプリーツを広げたときに、固化部分47が、マスク本体2に形成されたドーム状に膨らんだ部分のうちの着用者の両頬に対応する部分の立体形状を効果的に維持することができる。
一方、図26(b)に示すように、4つの領域R1~R4のうちの中央の2つの領域R2,R3における非固化部分の面積の和が、両端の2つの領域R1,R4における非固化部分の面積の和よりも小さくてもよい。
中央の2つの領域R2,R3における非固化部分の面積の和が比較的小さいことにより、形成されたドーム状に膨らんだ部分が着用者の呼吸により変形することを防止することができる。
その場合、着用者の呼吸を容易にすることができるように両端の2つの領域R1,R4における非固化部分の面積の和を比較的大きく、言い換えると領域R1,R4では固化部分47が比較的粗に配置される。
また、図27(a)に示すように、形状維持シート12が網目状の固化部分48を有している場合に、形状維持シート12を縦方向に4等分にして(二点鎖線で示す仮想線を参照)、形状維持シート12に仮想的な4つの領域R15~R18を形成したときに、4つ
の領域R15~R18のうちの中央の2つの領域R16,R17における非固化部分の面積の和が、両端の2つの領域R15,R18における非固化部分の面積の和よりも大きくてもよい。
の領域R15~R18のうちの中央の2つの領域R16,R17における非固化部分の面積の和が、両端の2つの領域R15,R18における非固化部分の面積の和よりも大きくてもよい。
中央の2つの領域R16,R17は、着用者の鼻及び口を覆う領域である。このような領域R16,R17における通気性が良い非固化部分の面積の和が比較的大きいことにより、着用者の呼吸を容易にすることができる。
一方、両端の2つの領域R15,R18は、着用者の鼻根及び下顎を覆う領域である。このような領域R15,R18における非固化部分の面積の和が比較的小さい、言い換えると領域R15,R18では固化部分48が比較的密に配置されている。これにより、着用者がプリーツを広げたときに、固化部分48が、マスク本体2に形成されたドーム状に膨らんだ部分のうちの着用者の鼻根及び下顎に対応する部分の立体形状を効果的に維持することができる。
図27(b)に示すように、4つの領域R15~R18のうちの中央の2つの領域R16,R17における非固化部分の面積の和が、両端の2つの領域R15,R18における非固化部分の面積の和よりも小さくてもよい。
中央の2つの領域R16,R17における非固化部分の面積の和が比較的小さいことにより、形成されたドーム状に膨らんだ部分が着用者の呼吸により変形することを防止することができる。
その場合、着用者の呼吸を容易にすることができるように両端の2つの領域R15,R18における非固化部分の面積の和を比較的大きく、言い換えると領域R15,R18では固化部分48が比較的粗に配置される。
<実施形態の変形例>
マスク本体2を積層する外層シート10、フィルタシート11、形状維持シート12、肌面シート13の各シートのいずれかまたは複数、特に、外層シート10、肌面シート13については、スパンボンド不織布のような長繊維の不織布を用いてもよい。この際、長繊維の繊維配向(MD方向)をプリーツ(折り目)の延在方向と一致させないことが望ましい。
マスク本体2を積層する外層シート10、フィルタシート11、形状維持シート12、肌面シート13の各シートのいずれかまたは複数、特に、外層シート10、肌面シート13については、スパンボンド不織布のような長繊維の不織布を用いてもよい。この際、長繊維の繊維配向(MD方向)をプリーツ(折り目)の延在方向と一致させないことが望ましい。
長繊維の不織布を繊維配向と略直交するように歪曲させると復元力がより強く働き、元の平面の状態に戻ろうとする。このため、繊維配向と略直交するように不織布を折り曲げてプリーツを形成すれば、プリーツは容易に開くようになる。更に、着用者がプリーツを広げたときに、マスク本体2に形成されたドーム状に膨らんだ部分において、プリーツが折れ戻ろうとする種々の方向の力のうちの縦方向の力に抵抗して、折れ戻り難くすることができる。従って、例えば、図3に示すように形状維持シート12が縦方向に延在する固化部分15を有している場合には、より一層強く縦方向のプリーツが折れ戻ろうとする力に抵抗して、より一層折れ戻り難くすることができる。
以上で開示した実施形態や変形例は、それぞれ組み合わせることができる。
1・・マスク
2・・マスク本体
3,4・・耳紐
5,6・・側部
7・・ノーズフィッター
10・・外層シート
11・・フィルタシート
12・・形状維持シート
13・・肌面シート
15、40~48・・固化部分
20・・不織布のシート
21・・加熱ローラ
22・・突起
23・・平滑ローラ
30・・ローラ
31・・コンベア
32・・金属片
33・・切断配置装置
34・・金属片
35・・溶着装置
36・・カッター
37・・カバーシート
R1~R18・・形状維持シートの仮想的な領域
VF1、MF1、VF2、MF2・・マスク本体の折り目
2・・マスク本体
3,4・・耳紐
5,6・・側部
7・・ノーズフィッター
10・・外層シート
11・・フィルタシート
12・・形状維持シート
13・・肌面シート
15、40~48・・固化部分
20・・不織布のシート
21・・加熱ローラ
22・・突起
23・・平滑ローラ
30・・ローラ
31・・コンベア
32・・金属片
33・・切断配置装置
34・・金属片
35・・溶着装置
36・・カッター
37・・カバーシート
R1~R18・・形状維持シートの仮想的な領域
VF1、MF1、VF2、MF2・・マスク本体の折り目
Claims (28)
- 複数のシートを積層した柔軟な積層体によって形成されるマスク本体と、
前記マスク本体に設けられており、前記積層体を折り返すことによって形成されるプリーツ状の折り目と、を備え、
前記積層体は、プリーツの展開状態において柔軟な部分を支持可能な固化部分を有する不織布のシートを含む、
マスク。 - 前記折り目は、前記マスク本体の横方向に延在し、
前記固化部分は、前記マスク本体の縦方向に延在する第1の直線状部、又は前記マスク本体の斜め方向に延在する第2の直線状部を含む請求項1に記載のマスク。 - 前記固化部分は、複数の前記第1の直線状部、又は複数の前記第2の直線状部を含む請求項2に記載のマスク。
- 前記複数の第1の直線状部、又は前記複数の第2の直線状部は、前記積層体に前記折り目が形成される前の前記不織布のシートにおいて、互いに平行に配置されている請求項3に記載のマスク。
- 前記積層体に前記折り目が形成される前の前記不織布のシートを前記横方向に4等分にして、当該不織布のシートに仮想的な4つの領域を形成したときに、前記第1の直線状部は、前記仮想的な4つの領域のうちの中央の2つの領域の各々に配置されている請求項4に記載のマスク。
- 前記複数の第2の直線状部は、前記積層体に前記折り目が形成される前の前記不織布のシートにおいて、交わる方向に配置されている請求項3に記載のマスク。
- 前記積層体に前記折り目が形成される前の前記不織布のシートを前記横方向に4等分にし、且つ前記縦方向に2等分して、当該不織布のシートに仮想的な8つの領域を形成したときに、前記第2の直線状部は、前記仮想的な8つの領域のうちの前記横方向の両端、且つ前記縦方向の両端の4つの領域の各々に配置され、前記横方向の中央部、且つ前記縦方向の中央部に向けて延在する請求項3に記載のマスク。
- 前記複数の第2の直線状部は、前記積層体に前記折り目が形成される前の前記不織布のシートにおいて、交わるように配置されている請求項3に記載のマスク。
- 前記折り目は、前記マスク本体の横方向に延在し、
前記固化部分は、前記マスク本体の縦方向と略同じ方向に延在する第1の曲線状部を含む請求項1に記載のマスク。 - 前記折り目は、前記マスク本体の横方向に延在し、
前記固化部分は、前記マスク本体の縦方向に延在する直線状部と、前記マスク本体の斜め方向に延在する直線状部を含み、
前記縦方向に延在する直線状部と前記斜め方向に延在する直線状部が連続して配置されて、前記マスク本体の縦方向と略同じ方向に延在する第2の曲線状部が形成されている請求項1に記載のマスク。 - 前記固化部分は、前記第1の曲線状部又は前記第2の曲線状部を複数含み、
複数の前記第1の曲線状部、又は複数の前記第2の曲線状部は、前記積層体に前記折り
目が形成される前の前記不織布のシートにおいて、前記マスク本体の横方向の端部側に配置されたものほど、前記端部側に大きく湾曲している請求項9又は10に記載のマスク。 - 前記固化部分は、前記第1の曲線状部又は前記第2の曲線状部を複数含み、
複数の前記第1の曲線状部、又は複数の前記第2の曲線状部は、前記積層体に前記折り目が形成される前の前記不織布のシートにおいて、略直交するように配置されている請求項9又は10に記載のマスク。 - 前記固化部分は、前記第1の曲線状部又は前記第2の曲線状部を複数含み、
複数の前記第1の曲線状部、又は複数の前記第2の曲線状部は、前記積層体に前記折り目が形成される前の前記不織布のシートにおいて、円弧状に延在し、前記横方向における仮想的な中心線に対して線対称に配置されている請求項9又は10に記載のマスク。 - 前記折り目は、前記マスク本体の横方向に延在し、
前記固化部分は、前記横方向、前記マスク本体の縦方向、及び前記マスク本体の斜め方向のいずれかに延在する複数の直線状部を含み、
前記複数の直線状部は、前記積層体に前記折り目が形成される前の前記不織布のシートにおいて、交わるように配置されて、当該不織布のシートに、前記複数の直線状部に囲まれた前記固化部分以外の部分が複数形成されている請求項1に記載のマスク。 - 前記固化部分以外の部分は、矩形状又は六角形状を有し、
複数の前記固化部分以外の部分は、隙間なく並べられている請求項14に記載のマスク。 - 前記積層体に前記折り目が形成される前の前記不織布のシートを前記横方向に4等分にして、当該不織布のシートに仮想的な4つの領域を形成したときに、前記仮想的な4つの領域のうち、中央の2つの領域における前記固化部分以外の部分の面積の和は、両端の2つの領域における前記固化部分以外の部分の面積の和と異なる請求項14又は15に記載のマスク。
- 前記中央の2つの領域における前記固化部分以外の部分の面積の和は、前記両端の2つの領域における前記固化部分以外の部分の面積の和よりも小さい請求項16に記載のマスク。
- 前記積層体に前記折り目が形成される前の前記不織布のシートを前記縦方向に4等分にして、当該不織布のシートに仮想的な4つの領域を形成したときに、前記仮想的な4つの領域のうち、中央の2つの領域における前記固化部分以外の部分の面積の和は、両端の2つの領域における前記固化部分以外の部分の面積の和と異なる請求項14又は15に記載のマスク。
- 前記中央の2つの領域における前記固化部分以外の部分の面積の和は、前記両端の2つの領域における前記固化部分以外の部分の面積の和よりも小さい請求項18に記載のマスク。
- 前記複数のシートのうちの少なくとも1枚のシートは、長繊維の不織布のシートである請求項1から19のいずれか1項に記載のマスク。
- 前記複数のシートは、肌面シート、外層シート、及び前記肌面シートと前記外層シートとの間に配置された中間シートを含み、
前記中間シートは、前記不織布のシートを含む請求項1から20のいずれか1項に記載
のマスク。 - 前記複数のシートは、前記不織布のシートに隣接するシートを含み、
前記不織布のシートは、前記隣接するシートに溶融接着され、
前記固化部分は、前記不織布のシートが前記隣接するシートに溶融接着した部分である請求項1から21のいずれか1項に記載のマスク。 - 複数のシートを積層することにより、マスク本体となる柔軟な積層体を形成する工程と、
前記積層体を折り返すことにより、前記積層体にプリーツ状の折り目を形成する工程と、
前記積層体を形成する前に、前記積層体に含める不織布のシートの所定の部分に、プリーツの展開状態において柔軟な部分を支持可能な固化部分を形成する工程と、を有する、
マスクの製造方法。 - 前記固化部分を形成する工程では、前記不織布のシートを加熱することにより、前記不織布のシートの前記所定の部分を少なくとも軟化させる請求項23に記載のマスクの製造方法。
- 前記不織布のシートのガラス転移温度以上の温度で前記不織布のシートを加熱する請求項24に記載のマスクの製造方法。
- 前記不織布のシートの融点以下の温度で前記不織布のシートを加熱する請求項25に記載のマスクの製造方法。
- 前記固化部分を形成する工程では、前記不織布のシートを超音波振動させることにより、前記不織布のシートの前記所定の部分を少なくとも軟化させる請求項23に記載のマスクの製造方法。
- 前記複数のシートは、前記不織布のシートに隣接するシートを含み、
前記固化部分を形成する工程では、前記隣接するシートと共に前記不織布のシートを加熱することにより、前記不織布のシートを前記隣接するシートに溶融接着させ、
前記固化部分は、前記不織布のシートが前記隣接するシートに溶融接着した部分である請求項23から27のいずれか1項に記載のマスクの製造方法。
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JP2020210788A JP2022097285A (ja) | 2020-12-18 | 2020-12-18 | マスク及びマスクの製造方法 |
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JP2020210788A JP2022097285A (ja) | 2020-12-18 | 2020-12-18 | マスク及びマスクの製造方法 |
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