以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
図1~図13は、本発明の実施の形態に係るロッド製品用コンテナを示している。
まず、本発明の実施の形態に係るロッド製品用コンテナの構成について説明する。なお、本発明の実施の形態では、組み立て式のロッド製品用コンテナを例示して本発明を説明する。
本発明の実施の形態に係るロッド製品用コンテナ1(以下、単にコンテナ1という)は、パレット11と、パレット11上に固定された下金枠21と、下金枠21内でパレット11上に載置される底板31と、下金枠21の内側に接するよう略四角筒状(四面構成の周壁状)に立設される複数の側板(一対の第1の側板41及び一対の第2の側板42)と、これら周壁状に立設された複数の側板41、42の上端開口部分を上方から塞ぐ上蓋51と、輸送するロッド製品80の両端部をそれぞれ保持する一対の仕切り板61と、を有している。
コンテナ1は、複数の側板41、42を連結して周壁状に立設したコンテナ形状に組み立てることが可能である。本明細書では、複数の側板41、42を連結して周壁状に立設したコンテナ1の形状を、組立形状ともいう。コンテナ1は、組立形状下で、パレット11上に載置された底板31及び複数の側板41、42に取り囲まれた物品収容空間2を形成する。また、物品収容空間2上部を上蓋51で覆うことで、物品収容空間2を六面が取り囲まれた略直方体形状とすることも可能である。物品収容空間2には、例えば、物流搬送対象であるロッド製品80(図5参照)が収容される。ロッド製品80としては、例えば、ロール製品として搬送や保管を可能にするロール製品用支管(コア)や、シリコン単結晶棒などのロッド状の製品を想定している。
パレット11の構成について説明する。
パレット11は、コンテナ1の基台であって、フォークリフト等による荷役作業が可能
な運搬台である。パレット11には、例えば樹脂やスチール等が用いられるが、その素材は特に限定されるものではない。また、パレット11の台部の形状や脚部の配置等は任意であるが、例えば、パレット11は所定の高さを有し、その四方側面に、フォークリフトの爪部(フォーク)が差し込まれるリフト用開口12が形成される。
下金枠21の構成について説明する。
下金枠21は、例えばスチール等の金属製の部材が溶接によって一体化された矩形枠体である。下金枠21は、パレット11の周縁に沿ってパレット11上面に重なるように固定されている。
下金枠21は、例えばコンテナ1の返送等のために、周壁状に立設された複数の側板41、42の連結を解いた分解時においても、パレット11に固定されたままである。分解された複数の側板41、42は、下金枠21の矩形枠体内部において各面が底板31上に重なるように配置して収納することができる。本明細書では、複数の側板41、42が分解されて各面が底板31上に重なるように配置されたコンテナ1の形状を、収納形状ともいう。
下金枠21は、パレット11上面の四隅に配置される4つのコーナー金具22と、4つのコーナー金具22に一体に結合された一対の第1の連結金枠23及び一対の第2の連結金枠24を有する。一対の第1の連結金枠23は平行に対向配置され、一対の第2の連結金枠24は平行に対向配置される。また、第1の連結金枠23と第2の連結金枠24とは直交する。すなわち、下金枠21は、4つのコーナー金具22を四隅とし、一対の第1の連結金枠23及び一対の第2の連結金枠24を四辺とした矩形枠体を構成する。
四隅のコーナー金具22は、コンテナ1の組立形状において立設される4つの側板41、42の各下辺部の両端と係合することができる公知の構成を有する。例えば、コーナー金具22には位置決め溝又は孔が設けられており、4つの側板41、42には、コーナー金具22の位置決め溝又は孔に対応する位置に位置決めピンが設けられている。位置決め溝又は孔に位置決めピンを嵌合させることで、組立形状下で、コーナー金具22に4つの側板41、42が当接した状態で安定して位置決め保持される。
一対の第1の連結金枠23及び一対の第2の連結金枠24は、コンテナ1の組立形状において立設される4つの側板41、42の各下辺部が外側に広がらないように、側板41、42に当接して支持することができる公知の構成を有する。
下金枠21の第1の連結金枠23の外面中央部には、コンテナ1の収納形状において上蓋51のゴムバンド掛止金具55を掛止するゴムバンド受け金具25が設けられている。
底板31の構成について説明する。
底板31は、パレット11上面の下金枠21の矩形枠体内部に載置され、組立形状下で形成される物品収容空間2の下面を規定する板状部材である。底板31には、例えばプラスチック製ハニカム材(プラダンと略称されることがある)等が用いられるが、その素材は特に限定されるものではない。
複数の側板41、42の構成について説明する。
側板41、42は、パレット11上に立設された組立形状下で、略四角筒状の物品収容空間2を形成するよう、互いに対面する一対の側板(一対の第1の側板41)と、一対の第1の側板41の間で互いに対面する一対の側板(一対の第2の側板42)とによって構成されている。
第1の側板41の構成について説明する。
第1の側板41は、枠材411と、枠材411の上辺部と下辺部とを接続する補強部材412と、枠材411と補強部材412によって取り囲まれた内側に展延する平板状の側面材413とを含んで構成されている。例えば、枠材411や補強部材412にはスチール等が用いられ、側面材413にはプラダン等が用いられるが、これらの素材は特に限定されるものではない。
対面する一対の第1の側板41の各々には、第1の側板41の内面側(物品収容空間2側)に、溝形成部材414A、414Bが対向配置されている。溝形成部材414A、414Bは、コンテナ1の組立形状における鉛直方向に延伸する部材であり、枠材411の上辺部及び下辺部の各々に溶接によって接合されている。
溝形成部材414A、414Bは、例えば板状部材を屈曲して形成された断面凹形状を有し、その断面凹形状が物品収容空間2側に開口する向きに設けられる。溝形成部材414A、414Bの断面凹形状は、一対の仕切り板61の両端部を受け入れ可能な形状であり、一対の仕切り板61の両端部を上方から嵌挿することができる溝を形成している。
対向配置された一対の溝形成部材414A、414Bは、第1の側板41内面に、第1の側板41の長手方向(コンテナ1の組立形状における水平方向)に所定の距離だけ離隔した少なくとも2箇所に設けられる。換言すると、溝形成部材414A、414Bは、一方の第1の側板41内面において所定の距離だけ離隔した2箇所に設けられるとともに、対面する他方の第1の側板41内面において所定の距離だけ離隔した2箇所に設けられ、合計少なくとも4箇所に設けられる。
同一の側板41に配置される2つの溝形成部材414A、414Bの間の距離は、ロッド製品80の軸方向両端部間の距離に応じて定められる。本発明の実施の形態に係るコンテナ1では、図示されているように、軸方向両端部間の距離が異なるロッド製品80(図7参照)、80a(図10参照)を支持可能とするため、合計8箇所に溝形成部材414A、414Bが設けられている。具体的には、軸方向両端部間の距離が相対的に短いロッド製品80用の4つの溝形成部材414Bがその内側の4箇所に設けられており、軸方向両端部間の距離が相対的に長いロッド製品80a(図10参照)用の溝形成部材414Aが、第1の側板41の長手方向両端部に近い側の4箇所に設けられている。
また、コンテナ1の組立形状において、第2の側板42に設けられた取付金具423が第1の側板41の枠材411の両側上端部に係合することによって、第1の側板41と第2の側板42とが連結されるようになっている。コンテナ1の組立形状において第1の側板41が立設された状態では、第1の側板41の両側下端部が、公知の構成によってコーナー金具22と係合するようになっている。
第1の側板41の補強部材412の外面中央部には、コンテナ1の組立形状において上蓋51のゴムバンド掛止金具55を掛止するゴムバンド受け金具415が設けられている。
第2の側板42の構成について説明する。
第2の側板42は、枠材421と、枠材421によって取り囲まれた内側に展延する平板状の側面材422とを含んで構成されている。例えば、枠材421にはスチール等が用いられ、側面材422にはプラダン等が用いられるが、これらの素材は特に限定されるものではない。
第2の側板42の枠材421の両側上端部には、取付金具423が装着されている。取付金具423は、第2の側板42の側面材422に垂直な方向を回動軸として回動可能なように構成されている。取付金具423を回動させて、第1の側板41の枠材411の両側上端部に着脱自在に係合させることで、第1の側板41と第2の側板42とが容易に連結され、かつその連結が容易に解除されるようになっている。なお、第1の側板41と第2の側板42とを連結させる連結固定機構は、この構成に限定されるものではなく、他の公知の構成であってもよい。
コンテナ1の組立形状において第2の側板42が立設された状態では、第2の側板42の両側下端部が、公知の構成によってコーナー金具22と係合するようになっている。
コンテナ1の組立形状においては、一対の第1の側板41が対面して立設され、第2の側板42が対面して立設される。このとき、各側板41、42の上部が略同一の高さとなるようにすることで、上蓋51が安定して配置できるようになる。
上蓋51の構成について説明する。
上蓋51は、コンテナ1の組立形状において、底板31及び4つの側板41、42に取り囲まれて形成される物品収容空間2の上端開口部分を上方から閉塞する平板状の部材である。上蓋51は、枠材52と、枠材52内部に延在する平板状の天板材53とが一体となって構成される。例えば、枠材52にはスチール等が用いられ、天板材53にはプラダン等が用いられるが、これらの素材は特に限定されるものではない。
上蓋51の枠材52の外面中央部には、ゴムバンド掛止金具55を備えたゴムバンド54が設けられている。ゴムバンド54は、上蓋51を固定するための固定機構の一例である。ゴムバンド掛止金具55は、コンテナ1の収納形状においては、下金枠21に設けられたゴムバンド受け金具25に掛止され、コンテナ1の組立形状においては、第1の側板41に設けられたゴムバンド受け金具415に掛止される。これにより、コンテナの収納形状及び組立形状のいずれにおいても、上蓋51を容易に外れないように固定することができる。なお、上蓋51を固定するための固定機構は、この構成に限定されるものではなく、他の公知の構成であってもよい。
仕切り板61の構成について説明する。
図1に示すように、仕切り板61は、仕切り板61a、61b、61cにより構成されている。仕切り板61a、61b、61cは、それぞれの両端部が、第1の側板41の溝形成部材414A、414Bにより形成された溝に上方から嵌挿可能な形状になっている。仕切り板61a、61b、61cは、ポリプロピレン(PP)発泡体、ポリエチレン(PE)発泡体などの樹脂製のものが用いられている。
仕切り板61aは、溝形成部材414A、414Bにより形成された溝に沿って、例えば、一番下に配置可能である。仕切り板61bは、溝形成部材414A、414Bにより形成された溝に沿って仕切り板61aの例えば上方に配置可能である。図1の構成例においては、仕切り板61aの上方に2つの仕切り板61bが配置されている。仕切り板61cは、溝形成部材414A、414Bにより形成された溝に沿って、例えば、一番上に配置可能である。
仕切り板61a、61b、61cの構成について図2~図4を参照してより詳しく説明する。
図2に示すように、仕切り板61aは、上述した樹脂製の板部材62aと、板部材62aの一面に設けられる金属板65aとで構成されている。板部材62aは、図2(a)に示すように、長手方向の一側辺(上端)に、例えば、略半円形状の複数の下部保持溝63が長手方向に沿って形成されている。金属板65aは、板部材62aより短い例えばステンレス等の金属の板材からなり、板部材62aに固定される基材部66aと、基材部66aと一体に形成されるストッパ片67aとにより構成されている。金属板65aは、基材部66aにより、例えば、リベット止めによって仕切り板61aの板部材62a上に固定されている。ストッパ片67aは、板部材62aの下部保持溝63側の手前側の位置で、板部材62aに対して板部材62aから漸次外方に離れていくように折り曲げ加工されている。
より詳しくは、金属板65aは、図2(b)に示すように、ストッパ片67aが下部保持溝63の手前側を起点に上方に向けて所定の角度で折り曲げられ、正面から見たとき(図2(a)参照)に、長手方向に沿って設けられる複数の下部保持溝63の略半円形状の円弧の頂点の一部に差し掛かる位置まで斜めにせり上がっている。仕切り板61aにおいて、板部材62aに設けられた下部保持溝63は、例えば、仕切り板61bにおける板部材62bの上部保持溝64と対向して後述するロッド製品80の端部81を受け入れ、該端部81の外周下部を保持するものである(図9参照)。ストッパ片67aは受け入れたロッド製品80の端部81の下方側(外周下部)の長手方向への移動を抑制する下部移動抑制部材として機能するものである。ストッパ片67aの下部保持溝63側の面には、緩衝材69が例えばその全面に貼り付けられている。緩衝材69は、例えば、弾性ゴム、木材などにより構成されている。
図3に示すように、仕切り板61bは、仕切り板61aの板部材62aと同素材(樹脂製)からなる板部材62bと、板部材62bの一面に設けられる金属板65bとで構成されている。板部材62bは、仕切り板61aの板部材62aよりも幅広のものである。ここで幅とは、図3における縦方向の長さに相当する。板部材62bは、図3(a)に示すように、その一側端(上端)に、略半円形状の複数の下部保持溝63が長手方向に沿って形成されるとともに、他側端(下端)には、上部保持溝64に対応する位置に、略半円形状の複数の上部保持溝64が長手方向に沿って形成されている。
金属板65bは、板部材62bより短い金属板65aと同素材の金属の板材からなり、板部材62bに固定される基材部66bと、基材部66bと一体に形成されるストッパ片67b、68bにより構成される。金属板65bは、基材部66bにより、例えば、リベット止めによって板部材62bに固定されている。ストッパ片67bは、板部材62bの下部保持溝63側の手前の位置で、板部材62bに対して板部材62bから漸次外方に離れていくように折り曲げ加工される一方で、ストッパ片68bは、板部材62bの上部保持溝64の手前側の位置で板部材62bに対して板部材62bから漸次外方(ストッパ片67bとは反対の方向)に離れていくように折り曲げ加工されている。
より詳しくは、金属板65bは、図3(b)に示すように、ストッパ片67bが下部保持溝63の手前側を起点に上方に向けて所定の角度で折り曲げられ、正面から見たとき(図3(a)参照)に、長手方向に連なる複数の下部保持溝63の略半円形状の円弧の頂点の一部を覆う位置まで上方に向けて斜めにせり上がっている。また、金属板65bにおいて、ストッパ片68bは上部保持溝64の手前側を起点に上方に向けてストッパ片67bと同様の角度で折り曲げられ、正面から見たとき(図3(a)参照)に、長手方向に連なる複数の上部保持溝64の略半円形状の円弧の頂点の一部を覆う位置まで斜めにせり上がっている。
仕切り板61bにおいて、板部材62bに設けられた下部保持溝63は、例えば、後述の仕切り板61cにおける板部材62cの上部保持溝64と対向してロッド製品80の端部81の下部を受け入れ、該端部81の外周下部を保持するものであり、上部保持溝64は、例えば、前述の仕切り板61aにおける板部材62aの下部保持溝63と対向してロッド製品80の端部81の上部を受け入れ、該端部81の外周上部を保持するものである(図9参照)。ストッパ片67bは受け入れたロッド製品80の端部81の下方側の長手方向への移動を抑制する下部移動抑制部材として、ストッパ片68bは受け入れたロッド製品80の端部81の上方側の長手方向への移動を抑制する上部移動抑制部材として機能するものである。ストッパ片67bの下部保持溝63側の面、ストッパ片68bの上部保持溝64側の面には、それぞれ、緩衝材69が例えば全面に貼り付けられている。
図4に示すように、仕切り板61cは、上述した板部材62a、板部材62bと同素材(樹脂製)からなる板部材62cと、板部材62cの一面に設けられる金属板65cとで構成されている。板部材62cは、図4(a)に示すように、一側端(上端)に、略半円形状の複数の上部保持溝64が長手方向に沿って形成されている。金属板65cは、板部材62cより短い上述した金属板65a、65bと同素材の金属の板材からなり、板部材62cに固定される基材部66cと、基材部66cと一体に形成されるストッパ片68cとにより構成される。金属板65cは、基材部66cにより、例えば、リベット止めによって板部材62cに固定されている。ストッパ片68cは、板部材62cの上部保持溝64側の手前の位置で、板部材62cに対して板部材62cから漸次外方に離れていくように折り曲げ加工されている。
より詳しくは、金属板65cは、図4(b)に示すように、ストッパ片68cが上部保持溝64の手前側で所定の角度で折り曲げられ、正面から見たとき(図4(a)参照)に、長手方向に連なる複数の上部保持溝64の略半円形状の円弧の頂点の一部を覆う位置に向けて斜めにせり上がっている。仕切り板61cにおいて、板部材62cに設けられた上部保持溝64は、例えば、仕切り板61bにおける板部材62bの下部保持溝63と対向してロッド製品80の端部81の上部を受け入れ、該端部81の円周上部を保持するものである(図9参照)。ストッパ片68cは受け入れたロッド製品80の端部81の上方側(外周上部)の長手方向への移動を抑制する上部移動抑制部材として機能するものである。ストッパ片68cの上部保持溝64側の面には、緩衝材69が例えばその全面に貼り付けられている。
上記構成を有する仕切り板61a、61b、61cのうち、仕切り板61aと仕切り板61cはそれぞれ例えば一対ずつ用意され、仕切り板61bは複数対用意される。
用意された仕切り板61a、61b、61cは、コンテナ1のパレット11上に載置された底板31及び複数の側板41、42に取り囲まれるように形成された物品収容空間2内にロッド製品80を収容する際に、例えば、図1に示す態様で組み合わせられ、それぞれの下部保持溝63、上部保持溝64によってロッド製品80の両端部を保持するために用いられる。
なお、仕切り板61a、61b、61cは、それぞれ、図2~図5に示す上下位置の形態で使用されるのに限らず、上下を逆にして使用することができることは言うまでもない。これにより、仕切り板61a、61bは、上下逆に使用することにより、それぞれ、仕切り板61b、仕切り板61aの機能を果たすことが可能となる。本発明においては、一対の溝形成部材414A、414Bにより形成される各スライド溝に両端を挿入されて一対の仕切り板61として使用されるときに、下側に配置されるものを下段用仕切り板、上側に配置されるものを上段用仕切り板、それらの中間に挿入されるものを中段用仕切り板と呼ぶものとする。このように、上下を逆にして使用することを考慮すると、仕切り板61a、61bは、下段用仕切り板としても、上段用仕切り板としても利用し得るものである。
仕切り板61a、61b、61cの使用形態の一例について図5~図8を参照して説明する。図5は、組み立て途中の物品収容空間2に対するロッド製品80の収容手順を示し、特に、横方向に4列、縦方向に3段の合計12個のロッド製品80を収容する際の一過程を示している。図6は、図5における収容中のロッド製品80群の左端近傍の側面要部拡大図を示している。
図5は、特に、横方向に4列、縦方向に3段のパターンで12個のロッド製品80を収容する際の一過程(収容状態)を示している。図5に示す収容状態とするまでの作業員Sによる作業手順としては、まず、パレット11上に一対の第1の側板41及び一対の第2の側板42のうちの片側の第1の側板41及び第2の側板42を図5の左奥コーナー側で連結された状態で立設し、かつ、底板31をパレット11上に載置する。
この状態で、第1の側板41の内面に所定の距離だけ離間して設けられる2箇所(第1の側板41と第2の側板42が連結されている個所側を奥側、連結されていない側を手前側というものとする。)の溝形成部材414A、414Bのうちの、手前側と奥側の溝形成部材414Bにより形成された各溝に対して、上方から一対の仕切り板61aを個々にスライドさせつつ下方位置まで挿入する。
次に、収容対象物であるロッド製品80を1本ずつ取り出し、挿入した手前側及び奥側の一対の仕切り板61aの対応する下部保持溝63間に該ロッド製品80を掛け渡し、当該ロッド製品80の両端部の下半周が下部保持溝63内に納まるように載置する作業を、取り出したロッド製品80ごとに全て(4つ)の下部保持溝63に対して順次行う。
続いて、一対の仕切り板61aがそれぞれ挿入された上記各溝に対して、上方から一対の仕切り板61bをスライドさせつつ、挿入済の一対の仕切り板61aに当接する位置まで挿入する。
一対の仕切り板61bの挿入が終わると、既に一対の仕切り板61aの各下部保持溝63によって両端部の下半周が保持されている収容済の各ロッド製品80の両端部の上半周が、新たに挿入した一対の仕切り板61bの各上部保持溝64内に納まる状態となる。
この状態で、続く4つのロッド製品80を1本ずつ取り出し、今回挿入した手前側及び奥側の一対の仕切り板61bの対応する下部保持溝63間に該ロッド製品80を掛け渡し、当該ロッド製品80の両端部の下半周が当該下部保持溝63内に納まるように載置する作業を、取り出したロッド製品80ごとに全て(4つ)の下部保持溝63に対して順次行う。
続いて、一対の仕切り板61a、一対の仕切り板61bが載置された状態で挿入された上記各溝に対して、上方からもう1個の一対の仕切り板61bを、挿入済の一対の仕切り板61bに当接する位置まで挿入する。
2つ目の一対の仕切り板61bの挿入がされている一対の仕切り板61bの各下部保持溝63によって両端部の下半周が保持されている収容済の各ロッド製品80の両端部の上半周が、新たに挿入した二つ目の一対の仕切り板61bの各上部保持溝64内に納まる状態となる。
この状態で、さらに4つのロッド製品80を1本ずつ取り出し、今回挿入した手前側及び奥側の2つ目の一対の仕切り板62bの対応する下部保持溝63間に該ロッド製品80を掛け渡し、当該ロッド製品80の両端部の下半周が当該下部保持溝63内に納まるように載置する作業を、取り出したロッド製品80ごとに全て(4つ)の下部保持溝63に対して順次行う。
続いて、一対の仕切り板61a、2つの一対の仕切り板61bが段積み状態で挿入された上記各溝に対して、上方から一対の仕切り板61cを挿入済の2つ目の一対の仕切り板61bに当接する位置まで挿入する。
図6は、奥側の上記各溝に対して一対の仕切り板61cのうちの片側の仕切り板61cを挿入し終え、続いて手前側の仕切り板61cを上記各溝に挿入する直前の作業過程を示している。
図5に示す状態から、手前側の上記溝に対してもう片側の仕切り板61cを挿入することにより、各一対の仕切り板61a、仕切り板61b(2つ)、仕切り板61cを用いた12個のロッド製品80の受け入れ作業が終了する。
その後、コンテナ1においては、既に立設されている第1の側板41及び第2の側板42とそれぞれ対をなす残りの第1の側板41及び第2の側板42がパレット11上に立設されてコンテナ形状に組み立てられる。さらにコンテナ1は、周壁状に立設された複数の側板41、42の上端開口部分が上方から上蓋51で塞がれ、ゴムバンド54をゴムバンド受け金具415に掛止することで上蓋51を容易に外れないように固定するという一連の作業を経てロッド製品80の収容手順が完了する。
物品収容空間2内に各一対の仕切り板61a、仕切り板61b(2つ)、仕切り板61cを用いてロッド製品80が収容されたときのコンテナ1の長手方向に沿った縦断面の構造を図7に示している。図7によれば、一対の第1の側板41の長手方向(コンテナ1の組立形状における水平方向)に所定の距離だけ離隔した2箇所に設けられる溝形成部材414Bが形成する溝には、対向する片側の第1の側板41の二箇所に設けられたる溝形成部材414Bが形成する溝との間で、各一対の仕切り板61a、仕切り板61b及び61b、仕切り板61cが上下方向に重なり合って挿入されている。そして、これら各一対の仕切り板61a、仕切り板61b及び61b、仕切り板61cは、それぞれに有する下部保持溝63および/または上部保持溝64との間にそれぞれ対応するロッド製品80の両端部のうちの各一方を保持している。
図8は、図7におけるD-D線による断面図を示している。図8によれば、それぞれ一対で構成されるうちの片側の仕切り板61a、仕切り板61b及び61b、仕切り板61cは、それぞれが有する下部保持溝63および/または上部保持溝64との間に複数の円形の保持溝70がそれぞれ形成される。各保持溝70には、それぞれ対応するロッド製品80の一方の端部が保持されるようになっている。ここで一段目の各ロッド製品80を保持する各保持溝70では、仕切り板61aに設けられたストッパ片67aと、その上段の仕切り板61bに設けられたストッパ片68bとによって、当該保持溝70の円周形状の下部と上部のそれぞれの一部が上から覆われるようになっている。
同様に、二段目の各ロッド製品80を保持する各保持溝70では、仕切り板61a上の仕切り板61bに設けられたストッパ片67bと、仕切り板61bの上の仕切り板61bに設けられたストッパ片68bとによって、当該保持溝70の円周形状の下部と上部のそれぞれの一部が上から覆われるようになっている。さらに、三段目の各ロッド製品80を保持する各保持溝70では、仕切り板61b上の仕切り板61bに設けられたストッパ片67bと、その上の仕切り板61cに設けられたストッパ片68cとによって、当該保持溝70の円周形状の下部と上部のそれぞれの一部が上から覆われるようになっている。
図8において、同図に示す態様で片側の端部が保持される各ロッド製品80の他方の端部は、もう片側の仕切り板61a、仕切り板61b及び61b、仕切り板61cとの間に上記同様に形成される円形の各保持溝70に保持されるようになっている。これら各保持溝70についても、上述したストッパ片67aと68b、ストッパ片67bと68b、ストッパ片67bと68cの各組合せによって、当該保持溝70の円周形状の下部と上部のそれぞれの一部が上から覆われるようになっている。
図9は、図8のE-E線による断面図を示している。図9を参照してストッパ片67a、68b、67b、68b、68cの構成、及びこれらによる各ロッド製品80の軸方向へ移動抑制作用についてさらに詳しく説明する。
図9は、特に、図8おける一番左下のロッド製品80に対応する仕切り板61aとその上に配置された仕切り板61bとによるロッド移動抑制機構の断面構造を示している。
図9において、仕切り板61aの一面側、すなわち、下部保持溝63に対してロッド製品80を挿入する側とは反対側の面には、金属板65aが基材部66cにより取り付けられている。ここで金属板65aは、下部保持溝63の下側位置(符号P0で示す位置)を起点に当該下部保持溝63の一部にさしかかる位置まで上方にかけて上記面から斜めにせり上がるように折り曲げられてストッパ片67aを形成している。ストッパ片67aは、ロッド製品80の外周下部で当該ロッド製品80の長手方向への移動を抑制する下部移動抑制部材として機能する。
また、図9において、仕切り板61bの一面側、すなわち、上部保持溝64に対してロッド製品80を挿入する側とは反対側の面に、金属板65bが基材部66bにより取り付けられている。ここで金属板65bは、上部保持溝64の上側位置(符号P1で示す位置)を起点に当該上部保持溝64の一部にさしかかる位置まで下方にかけて上記面から斜めにせり上がるように折り曲げられてストッパ片68bを形成している。ストッパ片68bは、ロッド製品80の外周上部で当該ロッド製品80の長手方向への移動を抑制する上部移動抑制部材として機能する。
図9に示す断面構造において、仕切り板61aの下部保持溝63と仕切り板61bの上部保持溝64とによって略円形の保持溝70(図1、図8参照)が形成され、物品収容空間2内に収容中のロッド製品80の一端部が当該保持溝70に挿入されている。このとき、仕切り板61aの下部保持溝63はロッド製品80の周面の下半周を保持し、仕切り板61bの上部保持溝64は当該ロッド製品80の周面の上半周を保持している状態となる。
仕切り板61aの下部保持溝63と仕切り板61bの上部保持溝64とにより図9に示す態様で保持されるロッド製品80は、当該ロッド製品80を物品収容空間2内に収容したコンテナ1の搬送時などにおいて、軸方向に移動する状況が考えられる。ここでロッド製品80が軸方向に沿って、例えば、図9の左側方向に移動したとき、当該ロッド製品80の一方の端部81は、円周の上端部がストッパ片67a対して緩衝材69を挟んで当接し、他方、円周の上端部がストッパ片68bに対して緩衝材69を挟んで当接する。これにより、その後における当該ロッド製品80の図9(及び図7)の左側方向への移動が抑制される。
これに対し、図9の断面構造に示すロッド製品80が軸方向に沿って右側に移動することもあり得る。このとき、ロッド製品80の他方の端部81(図7の右下部分参照)は、図9を参照して説明した動きとは逆に、当該ロッド製品80の円周の下端部がストッパ片67aに対して緩衝材69(図示せず)を挟んで当接し、当該ロッド製品80の円周の上端部がストッパ片68bに対して緩衝材69を挟んで当接する。これにより、その後における当該ロッド製品80の図9(及び図7)の右側方向への移動が抑制される。
図9に示す断面構造において、ロッド製品80の直径は、例えば、177mmを想定している。このような直径を有するロッド製品80を受け入れて保持する場合、仕切り板61bに設けられるストッパ片68bの仕切り板61bの面に対するせり上がり角度θは、仕切り板61aに設けられるストッパ片67aの仕切り板61aの面に対するせり上がり角度と同様、例えば45度とすることができる。また、ストッパ片68bの立ち上がりの起点(符号P1の位置)からロッド製品80の外周上端までの長さ(せり上がりの根本からのクリアランス)は、例えば13mmである。
図9に示す断面構造を有するロッド移動抑制機構において、ストッパ片67a、68bのせり上がり角度θは、実験的知見から、例えば、0度から45度の範囲の角度が望ましい。また、ストッパ片67a、68bのせり上がりの根本からのクリアランスは、例えば5mmから15mmの範囲が好ましい。
ここでストッパ片67a、68bは、せり上がりの先端部がロッド製品90の長手方向への移動を規制できる位置まで突き出していることが必須条件となるが、突き出しの長さが長すぎないことが望ましい。図9に示す断面構造について言及すると、ストッパ片67aは、ロッド製品80の外周下端部から鉛直方向に所定の距離T2だけ上方の位置まで延びる長さで形成される必要がある。同様に、ストッパ片68bは、ロッド製品80の外周上端部から鉛直方向に距離T2だけ下方の位置まで延びる長さで形成される必要がある。ここで、距離T2は、十分な移動抑制効果を発揮することが可能であって、かつ、強度、操作性(使い易さ)、美観等を損なわない範囲内に設定することが望ましい。
なお、図9に示す断面構造においては、ロッド製品80の端部が下部保持溝63と上部保持溝64で構成される保持溝70の外側の側壁端部(仕切り)から外部にはみ出した保持形態となっている。このような保持形態を採用しているのは、ロッド製品80を支えるための重量配分のため、ロッド製品80と仕切りとの接地面積を大きくすることができるというメリットを考慮してのことである。
このように、図8の一番左下に収容されるロッド製品80に対応するロッド移動抑制機構は、仕切り板61aに設けられた下部保持溝63とその上に積み上げられた仕切り板61bの上部保持溝64とにより形成される略円形の保持溝70内にロッド製品80の挿入を受け入れて該ロッド製品80の端部を保持するとともに、仕切り板61aのロッド挿入側と反対側の面に下部保持溝63の手前位置から下部保持溝63の下端部を超える位置まで斜めにせり上がるように設けられたストッパ片67aと、仕切り板61bのロッド挿入側と反対側の面に上部保持溝64の手前位置から上部保持溝64の上端部を超える位置まで斜めにせり上がるように設けられたストッパ片68bと、によって、保持溝70内に保持されるロッド製品80の軸方向への移動を当該保持溝70の上下位置で抑制する構造を有している。
また、ロッド製品80の軸方向への移動を当該保持溝70の上下位置で抑制するロッド移動抑制機構は、一対の仕切り板61aの一方と他方、一対の仕切り板61bの一方と他方を第1の側板41の内面に所定の距離だけ離間し、一方の仕切り板61aと仕切り板61b同士を積み重ね、かつ、他方の仕切り板61aと仕切り板61b同士を積み重ねて配置することでロッド製品80の両端部に設けられている。
また、ロッド製品80の両端部に上述したロッド保持構造を設ける構成は、図8の一番左下に収容されるロッド製品80に限らず、図8に示す他の位置に収容される全てのロッド製品80に対応して設けられている。
この実施の形態では、1段目のロッド製品80のロッド移動抑制機構は一対の仕切り板61aと仕切り板61bの組み合わせ、2段目のロッド製品80のロッド移動抑制機構は一対の仕切り板61b同士の組み合わせ、3段目のロッド製品80のロッド移動抑制機構は一対の仕切り板61bと仕切り板61cの組み合わせで実現した例を挙げている。上述したロッド移動抑制機構はこの構成に限らず、例えば、一対の仕切り板61aと一対の仕切り板61cの組み合わせや、仕切り板61bを一対設けた構成や、3つ以上の対数とすることによっても実現可能である。
また、図5~図7においては、一対の仕切り板61a、61b、61cを、第1の側板41の内面に所定の距離だけ離間して設けた溝形成部材414A、414Bのうちの溝形成部材414Bにより形成された一対の溝に挿入して溝形成部材414B間に対応する長さを有するロッド製品80を収容する例(図7参照)を挙げているが、これ以外の長さのロッド製品80を収容することも可能である。
一例として、図10には、一対の仕切り板61a、61b、61cを、第1の側板41の内面に設けた溝形成部材414Aにより形成された一対の溝に挿入し、当該溝形成部材414A間に対応するより長尺の複数のロッド製品80aを収容する例を挙げている。この構成において、各ロッド製品80aの長さが図7に示す各ロッド製品80aと異なり、それ以外の構成、すなわち、各ロッド製品80aの直径、各ロッド製品80aの両端における一対の仕切り板61a、61b、61cの組み合わせ、及び各ロッド製品80aに対応するロッド移動抑制機構の構成は上述の実施の形態(図7参照)と同様である。
なお、上述した構成を有する本実施の形態に係るコンテナ1は、物品収容空間2内にロッド製品80(あるいはロッド製品80a)を収容(図7、図9参照)した状態で搬送、納入され、納入先で上述した一対の仕切り板61a、61b、61cによる保持が解除され、物品収容空間2内からロッド製品80が取り出される。その後、物品収容空間2内が空のコンテナ1は、例えば、図11、図12に示すように、パレット11と、その上に一対の第1の側板41及び一対の第2の側板42で形成された周壁と、周壁を上から塞ぐ上蓋51とに切り離される。その後、コンテナ1は、周壁が2枚の第1の側板41と2枚の第2の側板42とに分解され、これら各側板41、42と、保持解除後の一対の仕切り板61a、61b、61cとがパレット11上の第1の連結金枠23及び第2の連結金枠24で囲まれる空間に収められる。このような収容形態とされた後、コンテナ1は、例えば、図13に示すように、第1の連結金枠23及び第2の連結金枠24で囲まれる空間が上蓋51により塞がれ、さらに上蓋51がゴムバンド掛止金具55に備わるゴムバンド54によってゴムバンド掛止金具25に掛止され、固定されたうえで納品元へと返送されるようになっている。
この実施の形態に係るコンテナ1は、下部保持溝63を有する仕切り板61aと上部保持溝64を有する仕切り板61bを上下に組み合わせて下部保持溝63と上部保持溝64とでロッド製品80の両端部を保持する機構を有し、両端部が保持されたロッド製品80の軸方向の移動を抑制する下部移動規制部材(ストッパ片67aと68b)と上部移動規制部材(ストッパ片67bと68b)を仕切り板61aと前記仕切り板61bの双方に設けた構成を有するため、物品収容空間2内にロッド製品80を収容したコンテナ1の搬送時、振動、衝撃等によりロッド製品80が上部に動いたとしても当該ロッド製品80を外れ難くすることができる。
以上説明したように、この実施の形態に係るコンテナ1は、パレット11上に複数の側板41、42が周壁状に立設され、該複数の側板41、42に取り囲まれた物品収容空間2内にロッド製品80を収容するものであって、物品収容空間2内に収容されるロッド製品80の両端部を保持する一対の仕切り板61と、一対の仕切り板61の各々を物品収容空間2内にそれぞれ立設させる一対の溝形成部材414A、414Bと、を有する。
一対の仕切り板61の各々は、一対の溝形成部材414A、414Bにより形成される各スライド溝に両端をそれぞれ挿入可能な長さを有する板部材62aからなり、該板部材62aの長手方向の一側端にロッド製品80の外周下部を保持する下部保持溝63を有する下段用の仕切り板61aと、下段用の仕切り板61aの上側に設けられ、各スライド溝に両端をそれぞれ挿入可能な長さを有する板部材62cからなり、該板部材62cの長手方向の一側端にロッド製品80の外周上部を保持する上部保持溝64を有する上段用の仕切り板61cと、を備え、下段用の仕切り板61aの下部保持溝63によってロッド製品80の一端を受け入れる側とは反対側の面に、下部保持溝63の下側位置を起点に当該下部保持溝63の一部にさしかかる位置まで上方にかけて上記面から斜めにせり上がるように設けられ、ロッド製品80の外周下部で当該ロッド製品80の長手方向への移動を抑制する下部移動抑制部材としてのストッパ片67aと、上段用の仕切り板61cの上部保持溝64によってロッド製品80の一端を受け入れる側とは反対側の面に、上部保持溝64の上側位置を起点に当該上部保持溝64の一部にさしかかる位置まで下方にかけて上記面から斜めにせり上がるように設けられ、ロッド製品80の外周上部で当該ロッド製品80の長手方向への移動を抑制する上部移動抑制部としてのストッパ片68cと、を有する構成である。
この実施の形態に係るコンテナ1の構成によれば、下部保持溝63と上部保持溝64との間に保持されたロッド製品80の長手方向(軸方向)への動きを抑制する移動抑制部材(ストッパ片67a、68c)を、上段用の仕切り板61aと下段用の仕切り板61cの双方、つまり上下に設けているため、輸送時の振動や衝撃により、収容物であるロッド製品80が上部へ動くような状況下においても、当該ロッド製品80の両端部が下部保持溝63及び上部保持溝64から外れ難くすることができる。また、ロッド製品80が軸方向に移動したときに、該ロッド製品80の両端部が上部と下部の二か所で移動抑制部材に接触するため、接触する際の荷重の分散が図れ、ロッド製品が破損する可能性を低減することができる。
さらに上記構成によれば、軸方向に動くロッド製品80の両端部に対して下部移動抑制部材(ストッパ片67a)及び上部移動抑制部材(ストッパ片68c)が斜めに接触してその動きを抑制するため、輸送時の振動や衝撃によるロッド製品80の移動抑制を確実にしつつも、衝撃等によるロッド製品80の破損に対する耐性を高めることができる。
また、この実施の形態に係るコンテナ1は、上段用の仕切り板61aは、一側端に長手方向に沿って所定間隔ごとに形成される複数の下部保持溝63を有するとともに、下段用の仕切り板61cは、一側端に各下部保持溝63にそれぞれ対応して形成される複数の上部保持溝64を有し、ストッパ片67a、及びストッパ片68cは、それぞれ、全ての下部保持溝63の一部にさしかかるように板部材62aの長手方向に延在する1枚の金属板65a、及び全ての上部保持溝64の一部にさしかかるように板部材62cの長手方向に延在する1枚の金属板65cで構成されている。
この構成により、実施の形態に係るコンテナ1は、複数の下部保持溝63、複数の上部保持溝64ごとにストッパ片67a、68cを設ける必要がなく、上段用の仕切り板61a、下段用の仕切り板61bの構造が簡略であり、しかも、安価に実現できる。
また、この実施の形態に係るコンテナ1は、一対の仕切り板61の各々は、板部材62a及び板部材62cより幅広の板部材62bからなり、板部材62bの長手方向の一側端にロッド製品80の外周上部を保持する上部保持溝64を有し、板部材62bの長手方向の他側端にロッド製品80の外周下部を保持する下部保持溝63を有する中段用の仕切り板61bをさらに備え、中段用の仕切り板61bは、板部材62bの上部保持溝64及び下部保持溝63によってロッド製品80の一端を受け入れる側とは反対側の面に、上部保持溝64の上側位置を起点に当該上部保持溝64の一部にさしかかる位置まで下方にかけて面から斜めにせり上がるように設けられ、ロッド製品80の外周上部で当該ロッド製品80の長手方向への移動を抑制する上部移動抑制部材としてのストッパ片68bと、下部保持溝63の下側位置を起点に当該下部保持溝63の一部にさしかかる位置まで上方にかけて上記面から斜めにせり上がるように設けられ、ロッド製品80の外周下部で当該ロッド製品80の長手方向への移動を抑制する下部移動抑制部材としてのストッパ片67bと、を有する構成である。
この構成により、実施の形態に係るコンテナ1は、下段用の仕切り板61a、上段用の仕切り板61c、中段用の仕切り板61bを使って収納するロッド製品80の段数を適宜に調整し、バリエーションに富む収容形態を構築できる。なお、この実施形態において、下段用の仕切り板61a、上段用の仕切り板61c、中段用の仕切り板61bは、上下を逆にして使用することができる。これにより、下段用の仕切り板61a、上段用の仕切り板61cは、それぞれ、例えば、上段用の仕切り板、下段用の仕切り板として用いることができ、中段用の仕切り板61bは、使い方によっては、下段用の仕切り板(上部保持溝64にロッド製品80を収容せず)、または上段用の仕切り板(下部保持溝63にロッド製品80を収容せず)として使用することもできる。
また、この実施の形態に係るコンテナ1は、中段用の仕切り板61bは、一側端に長手方向に沿って所定間隔ごとに形成される複数の上部保持溝64を有するとともに、他側端に長さ方に沿って各上部保持溝64にそれぞれ対応して形成される複数の下部保持溝63を有し、ストッパ片68b、及びストッパ片67bは、幅方向両端で、それぞれ、全ての上部保持溝64の一部、及び全ての下部保持溝63の一部にさしかかるように板部材62bの長手方向に延在する1枚の金属板65bで構成されている。
この構成により、実施の形態に係るコンテナ1は、幅広の板部材62bの一端辺と他端辺に設けられる複数の下部保持溝63、複数の上部保持溝64ごとにストッパ片67b、68cを設ける必要がなく、構造が簡略で、しかも、安価に実現することができる。
また、この実施の形態に係るコンテナ1は、ストッパ片67a、67b、68b、68cは、板部材62a、板部材62c、板部材62bの各面から、それぞれ、0度から45度の範囲の角度でせり上がっている構成である。
この構成により、実施の形態に係るコンテナ1は、運用時の搬送形態、衝撃度合い等を考慮してストッパ片67a、67b、及びストッパ片68b、68cのせり上がり角度を決定することで、運用に適合するロッド移動抑制効果を引き出すことが可能になる。
また、この実施の形態に係るコンテナ1は、ストッパ片67a、67b、及びストッパ片68b、68cは、それぞれのせり上がりの起点から、当該ストッパ片67a、67bに対応する下部保持溝63、及びストッパ片68b、68cに対応する上部保持溝64によってそれぞれ保持されるロッド製品80の外周までの距離が5mm~15mmの範囲内となるように配置されている。
この構成により、実施の形態に係るコンテナ1は、ストッパ片67a、67b、及びストッパ片68b、68cのそれぞれの起点から保持されるロッド製品80の外周までの離間距離を調整することで、ストッパ片67a、67b、及びストッパ片68b、68cの立ち上げり角度を緩くしたりきつくしたりすることができ、運用状況に即した最適なロッド移動抑制効果が期待できる。
また、この実施の形態に係るコンテナ1において、一対の溝形成部材414A、414Bは、相互に向かい合う側板41の内壁面に、ロッド製品80の軸方向両端部間の距離を離間して形成され、軸方向両端部間の距離が異なる複数種類のロッド製品80、80aに対応して複数対設けられる構成である。
この構成により、実施の形態に係るコンテナ1は、所定の距離を離間して形成される一対の溝形成部材414Aにより形成されるスライド溝と、または所定の距離より短い距離を離間して形成される一対の溝形成部材414Bにより形成されるスライド溝とに、選択的に仕切り板61を挿入することで、短尺のロッド製品80、より長尺のロッド製品80aの収容に適応可能となる。
なお、本発明のロッド製品用コンテナ1は、上述した本実施の形態に限定されるものではない。
以上説明したように、本発明のロッド製品用コンテナによれば、収容物であるロッド製品が長手方向へ移動したときの架台からの外れや、上部または下部の一方に対する荷重の集中を回避し、搬送時の振動あるいは衝撃によるロッド製品の破損を防止可能であるという作用効果を奏し、ロール製品用支管やシリコン単結晶棒などのロッド製品を搬送するロッド製品用コンテナ全般に有用である。