JP2022095631A - 放熱ユニット及び表示装置 - Google Patents

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昌広 多田
Masahiro Tada
行光 岩田
Yukimitsu Iwata
英司 大石
Eiji Oishi
剛志 黒田
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Abstract

【課題】モバイル機器等の表面側の放熱部材、モバイル機器等の低温環境下での動作性を良好にする発熱部材等として適用可能である熱制御用積層体を用いた放熱ユニットを提供する。【解決手段】透明基材上に透明導電層を有する積層体であって、前記透明導電層は、導電性金属繊維を含む層又は導電性金属メッシュからなる層であり、前記積層体のJIS K7361-1:1997に規定する全光線透過率が80%以上である、熱制御用積層体と、該熱制御用積層体の透明導電層に接触してなる放熱体とを有する、放熱ユニット。【選択図】なし

Description

本発明は、熱制御用積層体、並びに、それを用いた放熱ユニット、発熱ユニット、表示装置及び窓用のガラスに関する。
従来より、パーソナルコンピュータ等の電子機器の温度上昇を抑制するため、種々の放熱の手段が提案されている。
放熱手段の一例として、電子機器に冷却ファンを取り付け、ファンを回転させて熱を外部に放出する手段が挙げられる。
また、放熱手段の他の例として、発熱部品に、銅、アルミニウム等の良熱伝導材料を接触させ、さらに、良熱伝導材料にヒートシンク等の熱伝導媒体を接触させて、熱伝導媒体から熱を外部に放出する手段が挙げられる。かかる手段に用いる材料として、炭素材料のフィルム等が提案されている(特許文献1及び2)。
特許文献1及び2で提案されている炭素材料のフィルム等の従来の放熱部材の多くは、パーソナルコンピュータ等のある程度の大型の機器に用いることを狙ったものである。
特開2009-107904号公報 特開2011-49281号公報
近年、スマートフォン等のモバイル機器が急速に普及しており、また、モバイル機器の高性能化に伴い、モバイル機器を放熱することの重要性が高まっている。モバイル機器に対して、特許文献1及び2の炭素材料のフィルムを適用することはできる。しかし、該フィルムは光を通さないため、モバイル機器の背面側への適用に限られる。
スマートフォンは通話の際に表面側が顔に直接触れる。そして、近年のスマートフォンの高機能化に伴って、通話時にスマートフォンの表面側が徐々に熱くなり、通話の際に不快感を生じる場合がある。
このため、スマートフォン等のモバイル機器の表面側を放熱することも重要となりつつあるが、上記のように、従来の放熱部材はモバイル機器等の表面側の放熱部材として適用することができなかった。
さらに、スマートフォン等のモバイル機器は屋外で操作することが多いため、上述した放熱とは相反する性能ともいえる低温環境下での良好な動作性も求められる。
本発明は、モバイル機器等の表面側の放熱部材、モバイル機器等の低温環境下での動作性を良好にする発熱部材等として適用可能である、熱制御用積層体を提供することを目的とする。また、本発明は、前記熱制御用積層体を用いた放熱ユニット、発熱ユニット、表示装置及び窓用のガラスを提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]~[5]を提供する。
[1]透明基材上に透明導電層を有する積層体であって、前記透明導電層は、導電性金属繊維を含む層又は導電性金属メッシュからなる層であり、前記積層体のJIS K7361-1:1997に規定する全光線透過率が80%以上である、熱制御用積層体。
[2]上記[1]に記載の熱制御用積層体と、該熱制御用積層体の透明導電層に接触してなる放熱体とを有する、放熱ユニット。
[3]上記[1]に記載の熱制御用積層体と、該熱制御用積層体の透明導電層に通電可能な回路とを有する、発熱ユニット。
[4]上記[2]に記載の放熱ユニット及び上記[3]に記載の発熱ユニットから選ばれる何れかのユニットを、表示素子の光出射面側に配置してなる、表示装置。
[5]上記[2]に記載の放熱ユニット及び上記[3]に記載の発熱ユニットから選ばれる何れかのユニットを有する、窓用のガラス。
本発明の熱制御用積層体、並びに、それを用いた放熱ユニット及び発熱ユニットは、モバイル機器等の表面側の放熱部材、モバイル機器等の低温環境下での動作性を良好にする発熱部材等として適用することができる。
本発明の熱制御用積層体の一実施形態を示す断面図である。 本発明の熱制御用積層体の他の実施形態を示す断面図である。 本発明の熱制御用積層体の他の実施形態を示す断面図である。 本発明の熱制御用積層体の他の実施形態を示す断面図である。 本発明の熱制御用積層体の他の実施形態を示す平面図である。 本発明の熱制御用積層体の他の実施形態を示す平面図である。 本発明の放熱ユニットの一実施形態を示す断面図である。 本発明の放熱ユニットの一実施形態を示す平面図である。 本発明の発熱ユニットの一実施形態を示す断面図である。
[熱制御用積層体]
本発明の熱制御用積層体は、透明基材上に透明導電層を有する積層体であって、前記透明導電層は、導電性金属繊維を含む層又は導電性金属メッシュからなる層であり、前記積層体のJIS K7361-1:1997に規定する全光線透過率が80%以上であるものである。
図1~図4は、本発明の熱制御用積層体100の実施の形態を示す断面図である。
図1~図4の熱制御用積層体100は、透明基材10の一方の面に透明導電層20を有している。また、図1及び図2の透明導電層20は、導電性金属繊維21を含む層(20A)であり、図3及び図4の透明導電層20は、導電性金属メッシュ22からなる層(20B)である。図2では、透明導電層20の端部の導電性金属繊維21の密度よりも、透明導電層20の中央部の導電性金属繊維21の密度の方が高くなっている。図4では、透明導電層20の端部の導電性金属メッシュ23の密度よりも、透明導電層20の中央部の導電性金属メッシュ23の密度の方が高くなっている。
また、図5~図6は、本発明の熱制御用積層体100の実施の形態を示す平面図である。図5は図3の熱制御用積層体を平面視したものであり、図6は図4の熱制御用積層体を平面視したものである。
<透明基材>
透明基材としては、光透過性、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度に優れたものであることが好ましい。このような透明基材としては、ポリエステル(PET、PEN等)、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo-Olefin-Polymer:COP)等から選ばれる1種又は2種以上の樹脂からなるプラスチックフィルム、ガラス等が挙げられる。透明基材は、2枚以上のプラスチックフィルムを貼り合わせたものであってもよい。
透明基材は、JIS K7361-1:1997に規定する全光線透過率が75%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
透明基材の厚みは、プラスチックフィルムの場合、5~200μmであることが好ましく、10~150μmであることがより好ましく、20~100μmであることがさらに好ましい。透明基材がガラスの場合、厚みは0.25~5mmであることが好ましく、0.5~3mmであることがより好ましい。
透明基材の片面又は両面には、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的処理を施してもよい。
なお、透明導電層が導電性金属繊維を含む層の場合に、透明基材にいわゆる易接着層を形成すると、透明基材と透明導電層との接着性は向上できるが、透明導電層の形成時に導電性金属繊維が易接着層に入り込むことなどによって導電性が低下する場合がある。このため、透明導電層が導電性金属繊維を含む層の場合には、基材上には易接着層を有さないことが好ましい。
<透明導電層>
透明導電層は、導電性金属繊維を含む層又は導電性金属メッシュからなる層である。
本発明の熱制御用積層体は、このような透明導電層を有するため、透明性を有しつつ、放熱性及び発熱性を付与することができる。
導電性金属繊維を含む層は、導電性金属メッシュからなる層に比べて、導体の接触点間の距離を短くすることができるため、導電層に傷が生じた際の傷周辺部における放熱性及び発熱性の低下を少なくできる点で好ましい。
また、導電性金属メッシュからなる層は規則的なパターンを有する場合が多いため、タッチパネル用の電極等のように規則的なパターンを有する部材と組み合わせて用いた際にモアレが生じる場合がある。導電性金属メッシュからなる層は、モアレを解消するためにメッシュのパターンを設計する必要があるが、導電性金属繊維を含む層は、特別な処置なしでモアレの発生を抑制できる点で好ましい。
また、原因は不明であるが、導電性金属繊維を含む層は、導電性金属メッシュからなる層よりも、放熱性が良好である点で好ましい。
<<導電性金属繊維を含む層>>
導電性金属繊維は、導電性を有し、かつ長さが太さ(例えば直径)に比べて十分に長い形状を有するものであり、例えば、概ね長さが太さの5倍以上のものは導電性金属繊維に含まれるものとする。
導電性金属繊維を含む層は、透明基材上に直接設けられていることが好ましい。「直接設けられている」とは、透明基材と導電性金属繊維を含む層との間に下地層等の他の層が存在することなく、導電性金属繊維を含む層が透明基材の一方の面に直接接触していることを意味する。導電性金属繊維を含む層が透明基材に直接設けられているか否かは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、1000~50万倍にて、透明基材と導電性金属繊維を含む層との界面周辺の断面を観察することにより確認することができる。なお、下地層には、巻き取り時の貼り付き防止のために易滑剤等の粒子を含むことがあるので、透明基材と導電性金属繊維を含む層の間に粒子が存在することでも、下地層の有無を確認できる。
導電性金属繊維を含む層は、表面から電気的に導通可能に構成されている。導電性金属繊維を含む層の表面とは、導電性金属繊維を含む層の透明基材とは反対側の面のことをいう。
導電性金属繊維を含む層が、その表面から電気的に導通可能に構成されていれば、図1及び図2に示すように、導電性金属繊維を含む層20Aは、導電性金属繊維21に加えて、カバー樹脂22等の他の成分を含有していてもよい。
導電性金属繊維を含む層の表面から電気的に導通可能であるか否かは、導電性金属繊維を含む層の表面抵抗率を測定することによって判別することが可能である。具体的には、JIS K7194:1994(導電性プラスチックの4深針法による抵抗率試験方法)に準拠して、接触式抵抗率計(製品名「ロレスタGP MCP-T610型」、三菱化学アナリテック社製、端子形状:ESP)を用いて導電性金属繊維を含む層の表面における表面抵抗率をランダムに10箇所測定し、測定した10箇所の表面抵抗率の平均値が100Ω/□以下であれば、導電層の表面から電気的な導通が得られていると判断できる。なお、後述するように、大部分の導電性金属繊維は導電性金属繊維を含む層の膜厚の半分の位置より基材側に存在しているが、その他の導電性金属繊維は基材側に存在している導電性金属繊維上に積み重なることにより、導電性金属繊維を含む層の膜厚の半分の位置から表面側にも存在し、また導電性金属繊維を含む層の表面にも存在しているので、導電性金属繊維を含む層は、表面から電気的に導通可能となっている。
導電性金属繊維を含む層は、図1に示すように導電性金属繊維21が導電性金属繊維を含む層20Aの膜厚の半分の位置より透明基材10側に偏在していることが好ましい。導電性金属繊維が導電性金属繊維を含む層の膜厚の半分の位置より透明基材側に偏在しているか否かは、以下のようにして判断することができる。
まず、走査型電子顕微鏡(SEM)、走査透過型電子顕微鏡(STEM)、または透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1000~50万倍にて導電性金属繊維を含む層の断面写真を10箇所撮影する。各断面写真において導電性金属繊維を含む層の膜厚の半分の位置を求める。そして、断面写真に現れている導電性金属繊維がこの半分の位置よりも透明基材側に存在するか否かを判断する。ここで、導電性金属繊維がこの半分の位置に跨っている場合には、この位置から透明基材側に存在している導電性金属繊維の部分およびこの位置から表面側に存在している導電性金属繊維の部分を導電性金属繊維の面積比に基づいて分ける。そして、この断面写真から求めた導電性金属繊維を含む層の膜厚の半分の位置より透明基材側に位置する導電性金属繊維の存在割合が55%以上である場合を、導電性金属繊維が導電性金属繊維を含む層の膜厚の半分の位置より透明基材側に偏在していると判断する。上記断面写真から求めた導電性金属繊維を含む層の膜厚の半分の位置より透明基材側に位置する導電性金属繊維の存在割合は70%以上が好ましく、75~90%がより好ましく、80~85%がさらに好ましい。
導電性金属繊維が導電性金属繊維を含む層の膜厚の半分の位置より透明基材側に偏在している場合には、導電性金属繊維を含む層の表面から電気的に導通可能となっているので、導電性金属繊維を含む層の厚み方向において導電性金属繊維同士が接触している。
導電性金属繊維を含む層の膜厚の半分の位置より透明基材側においては、導電性金属繊維を含む層の平面方向(2次元方向)に導電性金属繊維同士が接触することによってネットワーク構造(網目構造)を形成していることが好ましい。導電性金属繊維がネットワーク構造を形成することによって、少量の導電性金属繊維であっても、効率良く導電経路を形成することができる。
一部の導電性金属繊維は導電性金属繊維を含む層の表面に露出していることが好ましい。なお、導電性金属繊維が導電性金属繊維を含む層に固定される程度に導電性金属繊維の一部が露出していればよく、導電性金属繊維が導電性金属繊維を含む層の表面から突出している場合も導電性金属繊維が導電性金属繊維を含む層の表面に露出している場合に含まれる。
導電性金属繊維の繊維径は200nm以下であることが好ましい。導電性金属繊維の繊維径を200nm以下とすることにより、ヘイズが高くなることを抑制できる。導電性金属繊維の繊維径のより好ましい下限は導電性の観点から10nm以上であり、導電性金属繊維の繊維径のより好ましい範囲は15nm以上180nm以下である。
導電性金属繊維の繊維長は1μm以上であることが好ましい。導電性金属繊維の繊維長を1μm以上とすることにより、導電性を良好にすることができる。導電性金属繊維の繊維長の好ましい上限は光透過性の観点から500μm以下である。
導電性金属繊維の繊維長は3μm以上300μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることがさらに好ましい。
導電性金属繊維の繊維径は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1000~50万倍にて50本の導電性金属繊維の繊維径を測定し、その50本の導電性金属繊維の繊維径の平均値として求めるものとする。導電性金属繊維の繊維長は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、1000~50万倍にて50本の導電性金属繊維の繊維長を測定し、その50本の導電性金属繊維の繊維長の平均値として求めるものとする。
導電性金属繊維としては、金属繊維及び金属被覆合成繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
金属繊維としては、例えば、鉄、金、銀、アルミニウム、ニッケル及びチタン等の金属又はこれらの合金からなる繊維が使用できる。
また、金属被覆合成繊維としては、例えば、アクリル繊維等の合成繊維に金、銀、アルミニウム、ニッケル及びチタン等の金属又はこれらの合金等をコーティングした繊維等が挙げられる。
導電性金属繊維は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、低ヘイズ値と低抵抗とを両立する観点からは、導電性金属繊維は金属繊維であることが好ましく、銀繊維であることがより好ましい。導電性金属繊維が銀繊維であると、より高いレベルでの透明性と低抵抗率とを達成することができる。
カバー樹脂は、導電性金属繊維を含む層の表面から電気的な導通が得られる程度に導電性金属繊維を覆うことによって、導電性金属繊維を含む層からの導電性金属繊維の脱離を防ぎ、かつ導電性金属繊維を含む層の耐久性や耐擦傷性を向上させるために、必要に応じて導電性金属繊維を含む層に含有させるものである。
上述したように一部の導電性金属繊維が、導電性金属繊維を含む層の表面に露出していないと、導電性金属繊維を含む層の表面から電気的な導通が得られないおそれがあるので、カバー樹脂は、一部の導電性金属繊維が導電性金属繊維を含む層の表面から露出するように導電性金属繊維を覆っていることが好ましい。一部の導電性金属繊維が導電性金属繊維を含む層の表面に露出するように導電性金属繊維をカバー樹脂で覆うためには、例えば、カバー樹脂の膜厚を調整すればよい。すなわち、カバー樹脂の膜厚が厚すぎると、全ての導電性金属繊維がカバー樹脂に埋もれてしまうことによって、一部の導電性金属繊維が導導電性金属繊維を含む層の表面に露出しなくなってしまい、導電性金属繊維を含む層の表面から電気的な導通が得られないおそれがある。また、カバー樹脂の膜厚が薄すぎると、導電性金属繊維を含む層からの導電性金属繊維の脱離、導電性金属繊維を含む層の耐久性の悪化、耐擦傷性の低下が生じるおそれがあり、さらに導電性金属繊維が、導電性金属繊維を含む層の膜厚の半分の位置より基材側に偏在しなくなるおそれがある。このため、カバー樹脂の膜厚を適度な厚みに調節することが好ましい。
カバー樹脂の膜厚は、10nm以上300nm未満であることが好ましく、50nm以上200nm以下であることがより好ましい。また、透明導電層側の表面反射を抑制し、透明性を高める観点から、カバー樹脂の膜厚は90nm以上180nm以下であることがより好ましい。
カバー樹脂の膜厚は、走査型電子顕微鏡(SEM)、走査透過型電子顕微鏡(STEM)、または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて1000~50万倍にて撮影された導電性金属繊維を含む層の断面写真からランダムに10箇所厚みを測定し、測定された10箇所の厚みの平均値とする。
カバー樹脂は、光透過性を有する樹脂であれば特に限定されず使用することができ、重合性化合物の重合体(硬化物、架橋物)を含むものが挙げられる。カバー樹脂は、重合性化合物の重合体の他、溶剤乾燥型樹脂を含んでいてもよい。重合性化合物としては、電離放射線重合性化合物および/または熱重合性化合物が挙げられる。
電離放射線重合性化合物は、1分子中に電離放射線重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。本明細書における「電離放射線重合性官能基」とは、電離放射線照射により重合反応し得る官能基である。電離放射線重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和基が挙げられる。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタクリロイル基」の両方を含む意味である。また、電離放射線重合性化合物を重合する際に照射される電離放射線としては、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、およびγ線が挙げられる。
電離放射線重合性化合物としては、電離放射線重合性モノマー、電離放射線重合性オリゴマー、または電離放射線重合性プレポリマーが挙げられ、これらを適宜調整して、用いることができる。電離放射線重合性化合物としては、電離放射線重合性モノマーと、電離放射線重合性オリゴマーまたは電離放射線重合性プレポリマーとの組み合わせが好ましい。
電離放射線重合性モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を含むモノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
電離放射線重合性オリゴマーとしては、2官能以上の多官能オリゴマーが好ましく、電離放射線重合性官能基が3つ(3官能)以上の多官能オリゴマーが好ましい。上記多官能オリゴマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル-ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
電離放射線重合性プレポリマーは、重量平均分子量が1万を超えるものであり、重量平均分子量としては1万以上8万以下が好ましく、1万以上4万以下がより好ましい。重量平均分子量が8万を超える場合は、粘度が高いため塗工適性が低下してしまい、得られるカバー樹脂の外観が悪化するおそれがある。多官能プレポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、ポリエステル-ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
熱重合性化合物は、1分子中に熱重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。本明細書における「熱重合性官能基」とは、加熱により同じ官能基同士または他の官能基との間で重合反応し得る官能基である。熱重合性官能基としては、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基、環状エーテル基、メルカプト基等が挙げられる。
熱重合性化合物としては、特に限定されず、例えば、エポキシ化合物、ポリオール化合物、イソシアネート化合物、メラミン化合物、ウレア化合物、フェノール化合物等が挙げられる。
溶剤乾燥型樹脂は、熱可塑性樹脂等、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂である。溶剤乾燥型樹脂を添加した場合、カバー樹脂を形成する際に、塗液の塗布面の被膜欠陥を有効に防止することができる。溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
導電性金属繊維を含む層は、反応抑制剤を含むことが好ましい。
反応抑制剤は、カバー樹脂用組成物の塗布後に、導電性金属繊維と、雰囲気下の物質等(雰囲気の硫黄、酸素、ハロゲン。あるいは、導電層と粘着剤層とが接する場合には粘着剤層を構成する材料)との反応による導電性低下を抑制するためのものである。
反応抑制剤としては、例えば、ベンゾアゾール系化合物、トリアゾール系化合物、テトラゾール系化合物、イソシアヌル酸系化合物、アニリン系化合物等の窒素含有化合物等が挙げられる。反応抑制剤として用いられる窒素含有化合物としては、例えば、1-アミノベンゾアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-メチル-1H-テトラゾール-5-アミン、DL-α-トコフェロール、1-オクタデカンチオール、2-メルカプト-5-(トリフルオロメチル)ピリジン、イソシアヌル酸ジアリル、イソシアヌル酸ジアリルプロピル、6-アニリノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオール、チオシアヌル酸、3,5-ジメチル-1H-1,2,4-トリアゾール、4-(1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)アニリン、6-(ジブチルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオール、4-(1,2,4-トリアゾール-1-イル)アニリン、2-メチルチオ-ベンゾチアゾール、1-フェニル-5-メルカプト-1H-テトラゾール、5-メルカプト-1-メチルテトラゾール、5-(メチルチオ)-1H-テトラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール、1-(2-ジメチルアミノエチル)-5-メルカプトテトラゾール、1-(2-ジメチルアミノエチル)-5-メルカプトテトラゾール、1-(4-ヒドロキシフェニル)-5-メルカプト-1H-テトラゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾールが挙げられる。
導電性金属繊維を含む層中の反応抑制剤の含有量は、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましい。反応抑制剤の含有量を0.01質量%以上とすることにより、導電性金属繊維が雰囲気下の物質と反応することを抑制できる。また、反応抑制剤の含有量を10質量%以下とすることにより、導電性金属繊維と反応抑制剤との反応が導電性金属繊維の表面のみならず内部まで進行し、導電性が低下することを抑制できる。
導電性金属繊維を含む層の端部の導電性金属繊維の密度と、導電性金属繊維を含む層の中央部の導電性金属繊維の密度とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
例えば、導電性金属繊維を含む層の端部の導電性金属繊維の密度よりも、導電性金属繊維を含む層の中央部の導電性金属繊維の密度を低くした構成が挙げられる。
また、図2に示すように、導電性金属繊維を含む層の端部の導電性金属繊維の密度よりも、導電性金属繊維を含む層の中央部の導電性金属繊維の密度を高くした構成が挙げられる。一般的に、電子機器は周辺部から自然に放冷されるため、中央部の方が熱くなりやすい。このため、導電性金属繊維を含む層の端部の導電性金属繊維の密度よりも、導電性金属繊維を含む層の中央部の導電性金属繊維の密度を高くすることにより、熱くなりやすい中央部を放熱しやすくできる。
端部と中央部との密度を変える手段としては、端部を形成する塗布液と、中央部を形成する塗布液との導電性金属繊維の密度を変える手段が挙げられる。
なお、本明細書において「中央部」とは、熱制御用積層体の面積を100とした際に、熱制御用積層体の中央部を含んで面積が50となる領域のことをいい、「端部」とは該中央部を除いた領域をいうものとする。例えば、図6では、点線よりも内側の領域が中央部であり、点線よりも外側の領域が端部である。
また、本明細書において、「端部の導電性金属繊維の密度」とは、前記端部の導電性金属繊維の体積あたりの密度の平均を意味し、「中央部の導電性金属繊維の密度」とは、前記中央部の導電性金属繊維の体積あたりの密度の平均を意味する。
また、中央部の外枠輪郭線によって形成される形状は、熱制御用積層体を平面視した際の外枠輪郭線によって形成される形状の相似形であるものとする。例えば、図6の点線によって形成される形状は、図6の熱制御用積層体の外枠輪郭線によって形成される形状の相似形となっている。
また、導電性金属繊維を含む層は、端部と中央部との厚みが異なっていてもよい。例えば、端部より中央部の厚みを厚くしたり、中央部より端部の厚みを厚くしたりする構成が挙げられる。
例えば、導電性金属繊維を含む層の端部の厚みよりも、導電性金属繊維を含む層の中央部の厚みを薄くした構成が挙げられる。
また、導電性金属繊維を含む層の端部の厚みよりも、導電性金属繊維を含む層の中央部の厚みを厚くした構成が挙げられる。一般的に、電子機器は周辺部から自然に放冷されるため、中央部の方が熱くなりやすい。このため、導電性金属繊維を含む層の端部の厚みよりも、導電性金属繊維を含む層の中央部の厚みを厚くすることにより、熱くなりやすい中央部を放熱しやすくできる。
端部と中央部との厚みを変える手段としては、例えば、グラビア版の版深を端部と中央部とで変える手段や、厚みを厚くしたい部分を2度塗りする手段が挙げられる。
なお、「端部の厚み」とは、前記端部の厚みの平均を意味し、「中央部の厚み」とは、前記中央部の厚みの平均を意味する。
導電性金属繊維を含む層は、図1及び図2に示すように、透明基材上の全面に形成されていることが好ましい。
導電性金属繊維を含む層の厚みは、10nm以上300nm未満であることが好ましく、50nm以上200nm以下であることがより好ましい。
<<導電性金属メッシュからなる層>>
導電性金属メッシュからなる層は、金属材料を用いて形成された細線を、メッシュパターンにて配置した層である。導電性金属メッシュからなる層は、細線を有する領域以外の箇所は開口している。
導電性金属メッシュを構成する金属は、銅、アルミニウム、鉄、銀、および、これらの合金等が挙げられる。
導電性金属メッシュからなる層の表面には、反射を抑制するために黒化層を有することが好ましい。
黒化層としては、種々の既知の層を用いることができる。例えば、金属酸化物又は金属硫化物からなる層;カーボンブラック等の黒色顔料を含む層;等が挙げられる。
金属酸化物又は金属硫化物から黒化層を形成する手段としては、(1)金属層上に、金属酸化物又は金属硫化物からなる層をスパッタリング等で形成し、フォトリソグラフィー技術を用いたパターニング等により、金属層及びその上に形成した金属酸化物又は金属硫化物からなる層をパターニングする手段、(2)導電性金属メッシュからなる層の表面を薬品で酸化又は硫化する手段、等が挙げられる。
導電性金属メッシュのパターンは、図5及び図6に示すように規則的であってもよいし、ランダムであってもよい。なお、電子機器の内部には、タッチパネル用の電極等のように所定のパターンを有する部材がある。これら所定のパターンを有する部材とのモアレを抑制するために、導電性金属メッシュのパターンはランダムであることが好ましい。
導電性金属メッシュのパターンの細線の幅Wは、パターンの不可視化の観点から、7.0μm以下であることが好ましく、5.0μm以下であることがより好ましく、表面抵抗率を低下させる観点から、1.0μm以上であることが好ましく、2.0μm以上であることがより好ましい。
また、導電性金属メッシュのパターンの細線の高さHは、製造精度を安定させる観点から、3.0μm以下であることが好ましく、2.0μm以下であることがより好ましく、表面抵抗率を低下させる観点から、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。
導電性金属メッシュからなる層の開口率は、90~99%であることが好ましく、95~99%であることがより好ましい。
導電性金属メッシュからなる層の端部の導電性金属メッシュの密度又は高さと、導電性金属メッシュからなる層の中央部の導電性金属メッシュの密度又は高さとは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
導電性金属メッシュの密度又は高さは、放熱性及び発熱性に比例しやすい。このため、端部と中央部との導電性金属メッシュの密度又は高さを異なるものとすることにより、より多様な熱制御を可能とすることができる。
例えば、導電性金属メッシュからなる層の端部の導電性金属メッシュの密度又は高さよりも、導電性金属メッシュからなる層の中央部の導電性金属メッシュの密度又は高さを低くした構成が挙げられる。
また、導電性金属メッシュからなる層の端部の導電性金属メッシュの密度又は高さよりも、導電性金属メッシュからなる層の中央部の導電性金属メッシュの密度又は高さを高くした構成が挙げられる。図4及び図6は、導電性金属メッシュからなる層の端部の導電性金属メッシュの密度よりも、導電性金属メッシュからなる層の中央部の導電性金属メッシュの密度を高くした構成の一例である。一般的に、電子機器は周辺部から自然に放冷されるため、中央部の方が熱くなりやすい。このため、導電性金属メッシュからなる層の端部の導電性金属メッシュの密度又は高さよりも、導電性金属メッシュからなる層の中央部の導電性金属メッシュの密度又は高さを高くすることにより、熱くなりやすい中央部を放熱しやすくできる。
端部と中央部との導電性金属メッシュの密度を変える手段としては、例えば、端部と中央部との遮光パターンの密度が異なるマスクを用いてフォトリソグラフィーでパターニングする手段が挙げられる。また、端部と中央部との導電性金属メッシュの高さを変える手段としては、例えば、フォトリソグラフィーでパターニングする際に、端部と中央部とのエッチング時間を変える手段が挙げられる。
なお、本明細書において、「端部の導電性金属メッシュの密度」とは、前記端部の導電性金属メッシュの面積あたりの密度の平均を意味し、「中央部の導電性金属メッシュの密度」とは、前記中央部の導電性金属メッシュの面積あたりの密度の平均を意味する。
<物性>
<<全光線透過率>>
本発明の熱制御用積層体は、JIS K7361-1:1997に規定する全光線透過率が80%以上であることを要する。
全光線透過率を80%以上とすることにより、透明性が求められる箇所(例えば、窓、表示素子の光出射面側)に熱制御用積層体を適用することができる。
熱制御用積層体の全光線透過率は、82%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。熱制御用積層体の全光線透過率の上限は特に限定されないが、通常97%以下である。
<<ヘイズ>>
本発明の熱制御用積層体は、JIS K7136:2000に規定するヘイズが7.5%以下であることが好ましく、5.0%以下であることがより好ましく、3.0%以下であることがさらに好ましい。
ヘイズを7.5%以下とすることにより、透明性が求められる箇所(例えば、窓、表示素子の光出射面側)への使用適性が向上する点で好ましい。
本明細書において、全光線透過率、ヘイズ及び後述する表面抵抗率は、20箇所を測定した際の平均値とする。なお、熱制御用積層体の面内において、透明導電層のディメンジョン(例えば、導電性金属繊維の密度、導電性金属繊維を含む層の厚み、導電性金属メッシュの密度、導電性金属メッシュの高さ)が異なる場合、20の測定箇所が特定のディメンジョンを有する箇所に集中しないように留意する。
熱制御用積層体の全光線透過率及びヘイズは、例えば、導電性金属繊維を含む層の厚み、導電性金属繊維を含む層中の導電性金属繊維の密度、導電性金属メッシュからなる層の開口率により調整することができる。
<<表面抵抗率>>
透明導電層の表面抵抗率は、100Ω/□以下であることが好ましく、50Ω/□以下であることがより好ましい。
透明導電層の表面抵抗率を100Ω/□以下とすることにより、放熱性及び発熱性を良好にしやすくすることができる。
なお、透明導電層の表面抵抗率を低くしすぎると、全光線透過率が低下する傾向がある。このため、透明導電層が導電性金属繊維を含む層の場合、表面抵抗率は5Ω/□以上であることが好ましく、10Ω/□以上であることがより好ましい。また、透明導電層が導電性金属メッシュからなる層の場合、表面抵抗率は0.01Ω/□以上であることが好ましく、0.1Ω/□以上であることがより好ましい。
透明導電層の表面抵抗率は、JIS K7194:1994(導電性プラスチックの4深針法による抵抗率試験方法)に準拠して、抵抗率計(製品名「ロレスタGP MCP-T610型」、三菱化学アナリテック社製、端子形状:ESP)を用いて、測定することができる。
<その他の層>
本発明の熱制御用積層体は、上述した透明基材及び透明導電層以外の層を含んでいてもよい。
例えば、透明基材の透明導電層とは反対側の面に、他の部材に貼り合わせるための粘着剤層を有していてもよい。また、透明導電層の透明基材とは反対側の面に、別の透明基材や樹脂層等からなる保護層を有していてもよい。保護層を設ける場合、保護層は熱伝導性にすぐれる材質から形成することが好ましい。
<用途>
本発明の熱制御用積層体は、各種部材に組み込んだり、各種部材の表面に貼り合わせたりすることで、放熱材料及び/又は発熱材料として用いることができる。各種部材としては、電子機器、窓等が挙げられる。
電子機器としては、液晶表示装置、有機EL表示装置、マイクロLED表示装置等のLED表示装置等の各種の表示装置、プロジェクタが好適である。また、表示装置の表示素子の光出射面側に本発明の熱制御用積層体を配置することが好ましい。また、携帯情報端末型の表示装置に本発明の熱制御用積層体を適用することが好ましい。また、夏季に高温となりやすい自動車内部に組み込まれている表示装置等の電子機器に本発明の熱制御用積層体を適用することが好ましい。なお、本発明の熱制御用積層体を電子機器に組み込んだ場合、電子機器が発する電磁波を遮蔽しやすくできる点でも好適である。特に、LED表示装置(その中でもマイクロLED表示装置)は電磁波の量が多いため、本発明の熱制御用積層体を組み込むことが有効である。また、マイクロLED表示装置は、LED上に拡散フィルム等の光学フィルムを配置したユニットを多数敷き詰めた構成を有している。このため、個々のユニットで熱に基づく問題が生じると、ユニット間の境目が目立ったり、特定の箇所の映像が乱れたりすることにつながる。かかる観点からも、マイクロLEDに本発明の熱制御用積層体を組み込むことは有効である。
窓は、住宅用の窓、自動車等の車両用の窓等が挙げられる。自動車は夏季に高温となりやすいため、自動車の窓に本発明の熱制御用積層体を適用することが好ましい。
[放熱ユニット]
本発明の放熱ユニットは、上述した本発明の熱制御用積層体と、該熱制御用積層体の透明導電層に接触してなる放熱体とを有するものである。
図7は、本発明の放熱ユニット300の実施の形態を示す断面図である。図7の放熱ユニット300は、熱制御用積層体100の透明導電層に放熱体200が接触している。
<放熱体>
放熱体は、放熱ユニットの放熱作用を高める役割を有する。熱制御用積層体のみでも一定の放熱作用を有するが、熱制御用積層体の透明性を確保するために、熱制御用積層体を構成する透明導電層の導電性には限界がある。このため、熱制御用積層体の透明導電層に放熱体を接触させることにより、放熱作用を高めることができる。
放熱体を構成する材料は、自由電子による導通作用を有する物質を含むものであれば特に制限されるものではなく、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロムなどの金属、これらの金属の合金(例えば、ニクロム)等を含む材料が挙げられる。
また、放熱体の形状は、線形状及びシート形状の他、針山及び蛇腹等の形状によって表面積を大きくしたいわゆるヒートシンク形状、筐体形状等が挙げられる。また、放熱体は、複数の放熱体を組み合わせて用いてもよい。例えば、線形状の放熱体を透明導電層に接触させ、線形状の放熱体を、ヒートシンク形状の放熱体、筐体形状の放熱体等に接続する構成が挙げられる。
放熱体は、熱制御用積層体の透明導電層の少なくとも一部に接触していればよい。
法熱作用を面内で均等にしやすくする観点からは、図8に示すように、熱制御用積層体100の透明導電層の全周囲に放熱体200を接触させることが好ましい。
また、放熱体は透明性に劣るものが多いため、図7に示すように、透明導電層の端部に放熱体200を接触させることが好ましい。
放熱体は、放熱作用をより効果的に行う観点から、体積抵抗率が1.0Ωm以下であることが好ましく、1.0×10-3Ωm以下であることがより好ましい。
放熱ユニットを表示装置等の電子機器に用いる場合、放熱体は電子機器の筐体を兼用していることが好ましい。また、放熱ユニットを窓に用いる場合、放熱体は窓枠を兼用していることが好ましい。
また、電子機器の筐体又は窓の外枠と、熱制御用積層体の透明導電層とが、他の放熱体を介して導通されていてもよい。
[発熱ユニット]
本発明の放熱ユニットは、上述した本発明の熱制御用積層体と、該熱制御用積層体の透明導電層に通電可能な回路とを有するものである。
図9は、本発明の放熱ユニット500の実施の形態を示す断面図である。図9の発熱ユニット500は、熱制御用積層体100の透明導電層に通電可能な回路400が接続されている。
回路は、例えば、バッテリー等の電源と、配線と、接続部(配線と透明導電層との接続部)とから構成できる。
本発明の発熱ユニットは、透明導電層に通電することにより、透明導電層を抵抗加熱によって発熱させることができる。
本発明の発熱ユニットは、表示装置等の電子機器、窓用のガラス等に適用することができる。
[放熱兼発熱ユニット]
本発明の放熱兼放熱ユニットは、上述した本発明の熱制御用積層体と、該熱制御用積層体の透明導電層に接触してなる放熱体と、該熱制御用積層体の透明導電層に通電可能な回路とを有するものである。
放熱兼発熱ユニットの放熱体及び回路の実施の形態は、上述した本発明の放熱ユニットの放熱体及び上述した本発明の発熱ユニットの回路の実施の形態と同様である。
[表示装置]
本発明の表示装置は、上述した本発明の放熱ユニット及び上述した本発明の発熱ユニットから選ばれる何れかのユニットと、表示素子とを有するものである。
また、本発明の表示装置では、放熱ユニット及び発熱ユニットから選ばれる何れかのユニットを、表示素子の光出射面側に配置することが好ましい。
以下、本明細書において、本発明の放熱ユニット及び本発明の発熱ユニットから選ばれる何れかのユニットのことを、「本発明の熱制御ユニット」と称する場合がある。
<表示素子>
液晶素子、有機EL素子、無機EL素子、マイクロLED素子等のLED表示素子、プラズマ素子等が挙げられる。なお、液晶表示素子は、タッチパネル機能を素子内に備えたインセルタッチパネル液晶表示素子であってもよい。
上記表示素子の中で、有機EL素子は、素子の面内で温度にムラが生じやすく、該熱ムラに起因して表示装置内に配置された光学フィルムが変形する場合がある。このため、有機EL素子を用いた表示装置内に本発明の熱制御ユニットを配置することは有効である。
また、上記表示素子の中で、LED表示素子は高温になりやすく、特に、マイクロLED素子は、大量のLEDチップにより映像を表示するため、必然的に高温となる。このため、マイクロLED素子等のLED表示素子を用いた表示装置内に本発明の熱制御ユニットを配置することは有効である。
また、本発明の表示装置は、本発明の熱制御ユニットの透明導電層側の面が表示素子側を向くように配置してすることが好ましい。かかる構成とすることにより、表示素子の熱を効率的に放熱したり、表示素子に対して効率的に熱を付与したりすることができる。
また、本発明の表示装置は、本発明の熱制御ユニットの透明導電層側の面に空気層を有することが好ましい。すなわち、本発明の表示装置は、熱制御ユニットの透明導電層側に位置する部材と、熱制御ユニットの透明導電層側の面とを、接着剤層を介することなく、単に重ね合わせた状態(空気層を有する状態)で積層することが好ましい。かかる構成とすることにより、表示素子の熱を効率的に放熱したり、表示素子に対して効率的に熱を付与したりすることができる。
また、本発明の熱制御ユニットの透明導電層側の面に、空気層を介することなく他の部材を接触させる場合には、該部材として熱伝導性に優れるものを用いることが好ましい。
なお、本明細書において、「熱制御ユニットの透明導電層側の面」とは、より詳細には、「熱制御ユニットの透明導電層を基準とした透明基材とは反対側の面」のことをいう。
また、本発明の表示装置は、表示素子の光出射面側に本発明の熱制御ユニットを配置し、かつ、本発明の熱制御ユニット上にタッチパネルを配置してなる、タッチパネル付きの表示装置とすることが好ましい。
かかる構成とすることで、タッチパネルの動作性を確保しつつ、熱制御ユニットの透明導電層の存在によって、タッチパネルを操作した際に生じる静電気が表示素子等の電子部品に伝わることを抑制し、電子部品の誤動作や故障を抑制することができる。
自動車内部に組み込まれている表示装置は、夏季に極めて高温環境下に晒されるため、LED等の部品が劣化しやすい。このため、本発明の表示装置は、自動車内部の表示装置として用いる場合に、部品の劣化を抑制できる点で有効である。
モバイル型の表示装置は、屋外で操作することが多いため、低温環境下での良好な動作性が求められる。本発明の表示装置は発熱も可能であるため、表示装置がモバイル型の場合に、低温環境下での動作性を良好にしやすい点で有効である。なお、発熱によって表示装置の曇りを抑制し、画像の視認性を良好にすることも期待できる。
[窓用のガラス]
本発明の窓用のガラスは、上述した本発明の放熱ユニット及び上述した本発明の発熱ユニットから選ばれる何れかのユニットを有するものである。
本発明の放熱ユニット及び本発明の発熱ユニットを構成する透明基材がプラスチックフィルムの場合、本発明の窓用のガラスは透明板を有することが好ましい。
<透明板>
透明板は、ガラスの基板となるものであり、汎用的なソーダ石灰ガラスのほか、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、有機ガラスが挙げられる。
有機ガラスとは、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の透明樹脂から形成された透明板である。有機ガラスの中でも、強度及び透明性の観点から、ポリメチルメタクリレート及びポリカーボネートが好ましく、ポリカーボネートがより好ましい。
透明板の厚みは0.25~5mmであることが好ましく、0.5~3mmであることがより好ましい
透明板と本発明の熱制御ユニットとは、粘着剤層を介して貼り合わせられていることが好ましい。粘着剤層は公知の材料を用いることができ、耐衝撃性の観点からポリビニルブチラールを用いることが好ましい。
粘着剤層の厚みは、0.01~1mmであることが好ましく、0.02~0.7mmであることがより好ましい。
本発明の窓用のガラスは、例えば、住宅用の窓、自動車等の車両用の窓に適用することによって、窓の結露を抑制したり、室内や車内が高温になることを抑制したりできる。また、有機ガラスは、ソーダ石灰等の無機ガラスよりも熱伝導性が低く熱くなりやすい。このため、透明板が有機ガラスの場合、本発明の放熱ユニットを適用することによって、有機ガラス自体の温度の上昇を抑制できる点で好適である。
自動車は夏季に高温となりやすいため、自動車の窓に本発明の窓用のガラスを適用することが好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
1.測定
熱制御用積層体について、下記の測定を行った。結果を表1に示す。
1-1.表面抵抗率(初期)
接触式の抵抗率計(製品名「ロレスタGP MCP-T610型」、三菱化学アナリテック社製、端子形状:ESP)を用いて、JIS K7194:1994(導電性プラスチックの4深針法による抵抗率試験方法)に従って、熱制御用積層体A及び熱制御用積層体Bの透明導電層側の表面抵抗率を測定した。表面抵抗率はランダムに20箇所測定し、測定した20箇所の平均値とした。測定雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度50%±10%とした。
1-2.銀繊維の偏在
熱制御用積層体Aにおいて、走査透過型電子顕微鏡(STEM)により断面写真を10箇所撮影し、これらの断面写真から、透明導電層を探し、透明導電層の厚み方向の半分の位置より透明基材側に存在する銀繊維の断面積と、その反対側に存在する銀繊維の断面積とをそれぞれ計算した後、透明導電層の厚み方向の半分の位置よりポリエチレンテレフタレートフィルム側に存在している銀繊維の存在割合を求めた。走査透過型電子顕微鏡における断面写真の撮影の際には、加速電圧を30Vとし、エミッションを10μAとし、また、各層が見分けられるようにコントラストおよび明るさを適宜調節した。
1-3.全光線透過率及びヘイズ
ヘイズメーター(製品名「HM-150」、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K7361-1:1997及びJIS K7136:2000に従って、熱制御用積層体Aの全光線透過率及びヘイズを測定した。ランダムに20箇所測定し、測定した20箇所の平均値を熱制御用積層体Aの全光線透過率及びヘイズとした。光入射面はポリエチレンテレフタレートフィルム側とした。
2.銀繊維含有組成物の調整
還元剤としてエチレングリコール(EG)を、形態制御剤兼保護コロイド剤としてポリビニルピロリドン(PVP:平均分子量130万、アルドリッチ社製)を使用し、下記に示した核形成工程と粒子成長工程とを分離して粒子形成を行い、銀繊維含有組成物を調製した。
<核形成工程>
反応容器内で160℃に保持したEG液100mLを攪拌しながら、硝酸銀のEG溶液(硝酸銀濃度:1.0モル/L)2.0mLを、一定の流量で1分間かけて添加した。その後、160℃で10分間保持しながら銀イオンを還元して銀の核粒子を形成した。反応液は、ナノサイズの銀微粒子の表面プラズモン吸収に由来する黄色を呈しており、銀イオンが還元されて銀の微粒子(核粒子)が形成されたことを確認した。続いて、PVPのEG溶液(PVP濃度:3.0×10-1モル/L)10.0mLを一定の流量で10分間かけて添加した。
<粒子成長工程>
上記核形成工程を終了した後の核粒子を含む反応液を、攪拌しながら160℃に保持し、硝酸銀のEG溶液(硝酸銀濃度:1.0×10-1モル/L)100mLと、PVPのEG溶液(PVP濃度:3.0×10-1モル/L)100mLを、ダブルジェット法を用いて一定の流量で120分間かけて添加した。この粒子成長工程において、30分毎に反応液を採取して電子顕微鏡で確認したところ、核形成工程で形成された核粒子が時間経過に伴ってワイヤ状の形態に成長しており、粒子成長工程における新たな微粒子の生成は認められなかった。最終的に得られた銀繊維の繊維径および繊維長を測定したところ、銀繊維の繊維径は30nmであり、繊維長は15μmであった。銀繊維の繊維径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1000~50万倍にて50本の導電性金属繊維の繊維径を測定し、その50本の導電性金属繊維の繊維径の平均値として求めた。また、銀繊維の繊維長は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、1000~50万倍にて50本の導電性金属繊維の繊維長を測定し、その50本の導電性金属繊維の繊維長の平均値として求めた。なお、以下の銀繊維の繊維径および繊維長も同様にして求めた。
<脱塩水洗工程>
粒子成長工程を終了した反応液を室温まで冷却した後、分画分子量0.2μmの限外濾過膜を用いて脱塩水洗処理を施すとともに、溶媒をエタノールに置換した。そして、液量を100mLまで濃縮して銀繊維分散液を得た。最後に、銀繊維濃度が0.1質量%となり、かつ希釈後のアノンの溶剤比率が30質量%となるようにエタノールとアノンで希釈し、銀繊維含有組成物を得た。
3.カバー樹脂用組成物の調整
下記に示す組成となるように各成分を配合して、カバー樹脂用組成物を得た。
<カバー樹脂用組成物>
・ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとの混合物(製品名「KAYARAD-PET-30」、日本化薬社製):5質量部
・重合開始剤(製品名「イルガキュア184」、BASFジャパン社製):0.25質量部
・メチルエチルケトン:70質量部
・シクロヘキサノン:24.75質量部
4.熱制御用積層体の作製
4-1.熱制御用積層体A
易接着層を有さない厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、銀繊維含有組成物を付着量が30mg/mとなるように直接塗布した。次いで、塗布した銀繊維含有組成物1に対して、0.5m/sの流速で50℃の乾燥空気を15秒間流通させた後、さらに10m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させて銀繊維含有組成物中の分散媒を蒸発させることにより、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に銀繊維を直接配置させた。
次いで、銀繊維を覆うようにカバー樹脂用組成物を塗布し、塗膜を形成した。そして、形成した塗膜に対して、0.5m/sの流速で50℃の乾燥空気を15秒間流通させた後、さらに10m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が100mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、膜厚が100nmのカバー樹脂を形成し、熱制御用積層体Aを得た。
熱制御用積層体Aの、透明導電層の表面抵抗率は10Ω/□、銀繊維の透明基材側の偏在割合は83%、全光線透過率は85.9%、ヘイズは3.5%であった。
4-2.熱制御用積層体B
銀繊維含有組成物の付着量を14mg/mに変更した以外は、4-1と同様にして、熱制御用積層体Bを得た。熱制御用積層体Bの、透明導電層の表面抵抗率は30Ω/□、銀繊維の透明基材側の偏在割合は82%、全光線透過率は91.3%、ヘイズは1.3%であった。
4-3.熱制御用積層体C
厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、1×10-3Pa以下の減圧下、銅を蒸着法で製膜することにより、厚さ100nmの銅層を形成した。次いで、レジスト処理とエッチング処理を行ない、導電性金属メッシュからなる透明導電層(開口部ピッチ:1200μm、線幅:20μm、全光線透過率:90%、表面抵抗率:0.1Ω/□)を得た。
4-4.熱制御用積層体D
透明基材上にITO膜が積層された市販の透明導電フィルムを熱制御用積層体Dとして用いた。熱制御用積層体Dの、透明導電層の表面抵抗率は30Ω/□、全光線透過率は78%であった。
5.放熱ユニットの作製
熱制御用積層体A~Dの透明導電層の四辺端部に、アルミニウム箔からなる放熱体を接触させ、放熱ユニットA~Dを得た。放熱ユニットA~Dの大きさは対角4インチとした。
6.表示装置(スマートフォン)の作製
[実験例1]
市販のスマートフォン(アップル社製、iPhone(登録商標)7、表示素子:液晶表示素子)の表示素子の光出射面上に、放熱ユニットAを配置してなる表示装置1(スマートフォン1)を作製した。なお、放熱ユニットAは、液晶表示素子上に配置されている上側偏光板上に、他の部材を介することなく配置した。また、放熱ユニットAは、透明導電層側の面が上側偏光板側を向くようにして配置した。
[実験例2]
放熱ユニットAの透明基材側の面が上側偏光板側を向くようにして配置した以外は、実験例1と同様にして、表示装置2(スマートフォン2)を作製した。
[実験例3]
上側偏光板と放熱ユニットAとの間に厚み25μmの光学透明粘着層を配置した以外は、実験例1と同様にして、表示装置3(スマートフォン3)を作製した。
[実験例4]
放熱ユニットAを放熱ユニットBに変更した以外は、実験例1と同様にして、表示装置4(スマートフォン4)を作製した。
[実験例5]
放熱ユニットAを放熱ユニットCに変更した以外は、実験例1と同様にして、表示装置5(スマートフォン5)を作製した。
[実験例6]
放熱ユニットAを放熱ユニットDに変更した以外は、実験例2と同様にして、表示装置6(スマートフォン6)を作製した。
[実験例7]
放熱ユニットを組み込まず、上記スマートフォンを表示装置7(スマートフォン7)とした。
7.視認性及び放熱性の評価
7-1.視認性
上記「6」で作製した表示装置1~6の画面を表示させた。実験例7の放熱ユニットを組み込んでいない表示装置をリファレンスとして、表示装置1~6の画像の視認性を評価した。その結果、リファレンスとの違いが分からず視認性が良好なものを「A」、若干ではあるがリファレンスとの違いが認識でき視認性が良好とまではいえないものを「B」、リファレンスとの違いが明確に認識でき視認性が良好ではないものを「C」とした。結果を表1に示す。
7-2.放熱性
上記「6」で作製したスマートフォン1~7を用いて4分間通話し、通話後の各スマートフォンの画面中央部の表面温度を測定した。実験例7の放熱ユニットを組み込んでいないスマートフォンの表面温度をリファレンスとして、リファレンスに対して、実験例1~6のスマートフォンの表面温度が何度低くなっているかを放熱性の指標とした。通話時の雰囲気は、温度23℃±5℃、湿度50%±10%とした。
20歳代、30歳代、40歳代、50歳代の4つの年代から、男女2名ずつ合計16名が前記条件での通話を行い、16人の放熱性(リファレンスに対して低下した温度)の平均値を表1に示す。
Figure 2022095631000001
表1の結果から、実験例1~5のものは、視認性及び放熱性が良好であることが確認できる。
10:透明基材
20:透明導電層
20A:導電性金属繊維を含む層
20B:導電性金属メッシュからなる層
21:導電性金属繊維
22:カバー樹脂
23:導電性金属メッシュ
100:熱制御用積層体
200:放熱体
300:放熱ユニット
400:回路
500:発熱ユニット

Claims (8)

  1. 透明基材上に透明導電層を有する積層体であって、前記透明導電層は、導電性金属繊維を含む層又は導電性金属メッシュからなる層であり、前記積層体のJIS K7361-1:1997に規定する全光線透過率が80%以上である、熱制御用積層体と、
    該熱制御用積層体の透明導電層に接触してなる放熱体とを有する、放熱ユニット。
  2. 透明基材上に透明導電層を有する積層体であって、前記透明導電層は導電性金属繊維を含む層であり、前記積層体のJIS K7361-1:1997に規定する全光線透過率が80%以上である、熱制御用積層体と、
    該熱制御用積層体の透明導電層に接触してなる放熱体とを有する、放熱ユニットを、
    表示素子の光出射面側に配置してなる、表示装置。
  3. 透明基材上に透明導電層を有する積層体であって、前記透明導電層は導電性金属繊維を含む層であり、前記積層体のJIS K7361-1:1997に規定する全光線透過率が80%以上である、熱制御用積層体と、
    該熱制御用積層体の透明導電層に通電可能な回路とを有する、発熱ユニットを、
    表示素子の光出射面側に配置してなる、表示装置。
  4. 透明基材上に透明導電層を有する積層体であって、前記透明導電層は導電性金属メッシュからなる層であり、前記積層体のJIS K7361-1:1997に規定する全光線透過率が80%以上である、熱制御用積層体と、
    該熱制御用積層体の透明導電層に接触してなる放熱体とを有する、放熱ユニットを、
    表示素子の光出射面側に配置してなる、表示装置。
  5. 透明基材上に透明導電層を有する積層体であって、前記透明導電層は導電性金属メッシュからなる層であり、前記積層体のJIS K7361-1:1997に規定する全光線透過率が80%以上である、熱制御用積層体と、
    該熱制御用積層体の透明導電層に通電可能な回路とを有する、発熱ユニットを、
    表示素子の光出射面側に配置してなる、表示装置(但し、プロジェクタを除く)。
  6. 前記表示素子が、有機EL素子又はLED素子である、請求項4又は5に記載の表示装置。
  7. 前記ユニットの前記透明導電層側の面が前記表示素子側を向くように配置してなる、請求項4~6の何れか1項に記載の表示装置。
  8. 前記ユニットの前記透明導電層側の面に空気層を有する、請求項4~7の何れか1項に記載の表示装置。
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