JP7007083B2 - 導電性フィルム、タッチパネル、および画像表示装置 - Google Patents
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Description
図1に示される導電性フィルム10は、光透過性を有し、かつ光透過性基材11と、光透過性基材11の一方の面に設けられた光透過性機能層12と、光透過性機能層12における光透過性基材11側の面とは反対側の面に設けられた導電部13とを備えている。ただし、導電性フィルム10は、光透過性基材11と、導電部13とを備えていればよく、光透過性機能層12を備えていなくともよい。図1に示される光透過性機能層12は光透過性基材11と導電部13との間に設けられているが、光透過性機能層は、光透過性基材11と導電部13との間ではなく、光透過性基材11における導電部13側の面とは反対側の面に設けられていてもよく、また光透過性基材11と導電部13との間および光透過性基材11における導電部13側の面とは反対側の面の両方に設けられていてもよい。また、図1に示される導電性フィルム10においては、片面側のみに導電部13が設けられているが、導電性フィルムの両面側に導電部が設けられていてもよい。
光透過性基材11としては、光透過性を有すれば特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン基材、ポリカーボネート基材、ポリアクリレート基材、ポリエステル基材、芳香族ポリエーテルケトン基材、ポリエーテルサルフォン基材、またはポリアミド基材等の光透過性樹脂基材が挙げられる。
光透過性機能層12は、光透過性基材11と導電部13との間に配置されている。本明細書における「光透過性機能層」とは、光透過性を有し、かつ導電性フィルムにおいて、何らかの機能を発揮することを意図された層である。具体的には、光透過性機能層としては、例えば、ハードコート機能、屈折率調整機能、および/または色味調整機能を発揮するための層が挙げられる。光透過性機能層は、単層のみならず、2層以上積層されたものであってもよい。光透過性機能層が2層以上積層されたものである場合、それぞれの層が有する機能は同じであってもよいが、異なっていてもよい。本実施形態においては、光透過性機能層12が、ハードコート機能を発揮する層、すなわちハードコート層である場合について説明する。
光透過性機能層12における光透過性樹脂としては、重合性化合物の重合体(硬化物、架橋物)を含むものが挙げられる。光透過性樹脂は、重合性化合物の重合体の他、溶剤乾燥型樹脂を含んでいてもよい。重合性化合物としては、電離放射線重合性化合物および/または熱重合性化合物が挙げられる。
無機粒子は、光透過性機能層12の機械的強度や鉛筆強度を向上させるための成分であり、無機粒子としては、例えば、シリカ(SiO2)粒子、アルミナ粒子、チタニア粒子、酸化スズ粒子、アンチモンドープ酸化スズ(略称:ATO)粒子、酸化亜鉛粒子等の無機酸化物粒子が挙げられる。これらの中でも、硬度をより高める観点からシリカ粒子が好ましい。シリカ粒子としては、球形シリカ粒子や異形シリカ粒子が挙げられるが、これらの中でも、異形シリカ粒子が好ましい。本明細書における「球形粒子」とは、例えば、真球状、楕円球状等の粒子を意味し、「異形粒子」とは、ジャガイモ状のランダムな凹凸を表面に有する形状の粒子を意味する。上記異形粒子は、その表面積が球状粒子と比較して大きいため、このような異形粒子を含有することで、上記重合性化合物等との接触面積が大きくなり、光透過性機能層12の鉛筆硬度をより優れたものとすることができる。光透過性機能層12に含まれているシリカ粒子が異形シリカ粒子であるか否かは、光透過性機能層12の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)または走査透過型電子顕微鏡(STEM)で観察することによって確認することができる。球形シリカ粒子を用いる場合、球形シリカ粒子の粒子径が小さいほど、光透過性機能層の硬度が高くなる。これに対し、異形シリカ粒子は、市販されている最も小さい粒子径の球形シリカ粒子ほど小さくなくとも、この球形シリカと同等の硬度を達成することができる。
有機粒子も、光透過性機能層12の機械的強度や鉛筆強度を向上させるための成分であり、有機粒子としては、例えば、プラスチックビーズを挙げることができる。プラスチックビーズとしては、具体例としては、ポリスチレンビーズ、メラミン樹脂ビーズ、アクリルビーズ、アクリル-スチレンビーズ、シリコーンビーズ、ベンゾグアナミンビーズ、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合ビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。
導電部13の表面13Aは、導電性フィルム10の表面10Aをなしている。導電部13は、図2に示されるように、光透過性樹脂14と、光透過性樹脂14中に配置された複数の導電性繊維15とを含んでいる。本明細書における「導電性繊維」とは、導電性を有し、かつ長さが太さ(例えば直径)に比べて十分に長い形状を持つものであり、例えば、概ね長さが太さの5倍以上のものは導電性繊維に含まれるものとする。また、「導電部」とは、光透過性樹脂と、光透過性樹脂中に配置された複数の導電性繊維を含み、かつ表面から導通可能な部分を意味し、層状のものおよび層状以外のものの両方を含む概念である。導電部13は、光透過性樹脂14中に存在する反応抑制剤をさらに含むことが好ましい。
光透過性樹脂14は、導電部13からの導電性繊維15の脱離を防ぎ、かつ導電部13の耐久性や耐擦傷性を向上させるために、導電性繊維15を覆うものであるが、導電部13の表面13Aから電気的な導通が得られる程度に導電性繊維15を覆うものである。具体的には、上記したように一部の導電性繊維が、導電部の表面に露出していないと、導電部の表面から電気的な導通が得られないおそれがあるので、光透過性樹脂14は、一部の導電性繊維15が導電部13の表面13Aから露出するように導電性繊維15を覆っていることが好ましい。一部の導電性繊維15が導電部13の表面13Aに露出するように導電性繊維15を光透過性樹脂14で覆うためには、例えば、光透過性樹脂14の膜厚を調整すればよい。すなわち、光透過性樹脂の膜厚が厚すぎると、全ての導電性繊維が光透過性樹脂に埋もれてしまうことによって、一部の導電性繊維が導電部の表面に露出しなくなってしまい、導電部の表面から電気的な導通が得られないおそれがある。また、光透過性樹脂の膜厚が薄すぎると、導電部からの導電性繊維の脱離、導電部の耐久性の悪化、耐擦傷性の低下が生ずるおそれがあり、さらに導電性繊維が、全体として、導電部中において導電部の膜厚の半分の位置より光透過性基材側に偏在しなくなるおそれがある。このため、光透過性樹脂の膜厚を適度な厚みに調節する必要がある。
反応抑制剤は、光透過性樹脂用組成物の塗布後に、導電性繊維15と雰囲気下の物質との反応による導電性低下を抑制するためのものである。反応抑制剤としては、例えば、ベンゾアゾール系化合物、トリアゾール系化合物、テトラゾール系化合物、イソシアヌル酸系化合物、アニリン系化合物等の窒素含有化合物等が挙げられる。反応抑制剤として用いられる窒素含有化合物としては、例えば、1-アミノベンゾアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-メチル-1H-テトラゾール-5-アミン、DL-α-トコフェロール、1-オクタデカンチオール、2-メルカプト-5-(トリフルオロメチル)ピリジン、イソシアヌル酸ジアリル、イソシアヌル酸ジアリルプロピル、6-アニリノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオール、チオシアヌル酸、3,5-ジメチル-1H-1,2,4-トリアゾール、4-(1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)アニリン、6-(ジブチルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオール、4-(1,2,4-トリアゾール-1-イル)アニリン、2-メチルチオ-ベンゾチアゾール、1-フェニル-5-メルカプト-1H-テトラゾール、5-メルカプト-1-メチルテトラゾール、5-(メチルチオ)-1H-テトラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール、1-(2-ジメチルアミノエチル)-5-メルカプトテトラゾール、1-(2-ジメチルアミノエチル)-5-メルカプトテトラゾール、1-(4-ヒドロキシフェニル)-5-メルカプト-1H-テトラゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾールが挙げられる。
導電性繊維15は導電部13の膜厚の半分の位置HLより光透過性基材11側に偏在している場合には、導電部13の表面13Aから電気的に導通可能となっているので、導電部13の厚み方向において導電性繊維15同士が接触している。
図1に示される導電性フィルム10は、導電部13がパターニングされていない状態の膜、いわゆるべた膜であるが、用途によっては、導電部は、パターニングされていてもよい。具体的には、導電性フィルムは、図5に示されるような、複数の導電部22と、導電部22間に位置する非導電部23とから構成された導電層21を備える導電性フィルム20であってもよく、また図7に示されるような、複数の導電部31と、導電部31間に存在する空隙32とを備える導電性フィルム30であってもよい。導電性フィルム20の表面20Aは、導電部22の表面22Aと非導電部23の表面23Aから構成されており、導電性フィルム30の表面30Aは、導電部31の表面31Aと光透過性機能層12の一方の表面12Aとから構成されている。導電部フィルム20、30の物性値等は、導電性フィルム10の物性値等と同様になっている。導電部フィルム20、30の物性値等は、導電性フィルム10の物性値等と同様になっている。なお、図5および図7において、図1と同じ符号が付されている部材は、図1で示した部材と同じものであるので、説明を省略するものとする。
導電部22、31は、パターニングされている以外、導電部12と同様となっている。すなわち、導電部22、31は、図6および図8に示されるように、光透過性樹脂14と、光透過性樹脂14中に配置された複数の導電性繊維15とを含んでいる。導電部22、31は、表面22A、31Aから電気的に導通可能となっている。導電部22、31においては、図6および図8に示されるように導電性繊維15が導電部22、31の膜厚の半分の位置HLより光透過性基材11側に偏在していることが好ましい。導電部22、31のその他の構成、材料、物性値等も、導電部13と同様となっているので、ここでは、説明を省略するものとする。
非導電部23は、導電部22間に位置し、かつ導電性を示さない部分である。図6に示されるように、非導電部23は、実質的に導電性繊維15を含んでいない。本明細書における「実質的に」とは、導電部からの金属イオンのマイグレーションによって金属イオンが非導電部側に析出した場合であっても、導電部間の電気的な短絡が生じない程度であれば導電性繊維を若干含んでいてもよいことを意味する。非導電部23は、導電性繊維15を全く含んでいないことが好ましい。なお、後述するようにレーザー光で導電性繊維15を昇華させることによって、またはフォトリソグラフィ法によるウエットエッチングによって非導電部23から導電性繊維15を除去する際に、導電性繊維15を構成する導電性材料が残存するおそれがあるが、この導電性材料は繊維状ではないので、導電性繊維とはみなさない。
導電性フィルム10は、例えば、以下のようにして作製することができる。まず、図9(A)に示されるように、光透過性基材11の一方の面に光透過性機能層用組成物を塗布し、乾燥させて、光透過性機能層用組成物の塗膜35を形成する。
溶剤としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、s-ブタノール、t-ブタノール、ベンジルアルコール、PGME、エチレングリコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロヘプタノン、ジエチルケトン等)、エーテル類(1,4-ジオキサン、ジオキソラン、ジイソプロピルエーテルジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、またはこれらの混合物が挙げられる。
重合開始剤は、光または熱により分解されて、ラジカルやイオン種を発生させて重合性化合物の重合(架橋)を開始または進行させる成分である。光透過性機能層用組成物に用いられる重合開始剤は、光重合開始剤(例えば、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤)や熱重合開始剤(例えば、熱ラジカル重合開始剤、熱カチオン重合開始剤、熱アニオン重合開始剤)、またはこれらの混合物が挙げられる。
図12に示されるように、画像表示装置40は、主に、画像を表示するための表示パネル50と、表示パネル50の背面側に配置されたバックライト装置60と、表示パネル50よりも観察者側に配置されたタッチパネル70と、表示パネル50とタッチパネル70との間に介在した光透過性接着層90とを備えている。本実施形態においては、表示パネル50が液晶表示パネルであるので、画像表示装置40がバックライト装置60を備えているが、表示パネル(表示素子)の種類によってはバックライト装置60を備えていなくともよい。
表示パネル40は、図12に示されるように、バックライト装置60側から観察者側に向けて、トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)等やシクロオレフィンポリマーフィルムの保護フィルム51、偏光子52、保護フィルム53、光透過性粘着層54、表示素子55、光透過性粘着層56、保護フィルム57、偏光子58、保護フィルム59の順に積層された構造を有している。表示パネル40は、表示素子45を備えていればよく、保護フィルム41等は備えていなくともよい。
バックライト装置60は、表示パネル50の背面側から表示パネル50を照明するものである。バックライト装置60としては、公知のバックライト装置を用いることができ、またバックライト装置60はエッジライト型や直下型のバックライト装置のいずれであってもよい。
タッチパネル70は、導電性フィルム80と、導電性フィルム80より観察者側に配置された導電性フィルム20と、導電性フィルム20より観察者側に配置されたカバーガラス等の光透過性カバー部材71と、導電性フィルム80と導電性フィルム20との間に介在した光透過性粘着層72と、導電性フィルム20と光透過性カバー部材71との間に介在した光透過性接着層73とを備えている。
導電性フィルム80は、導電性フィルム20とほぼ同様の構造となっている。すなわち、導電性フィルム80は、図12に示されるように、光透過性基材81と、光透過性基材81の一方の面に設けられた光透過性機能層82と、光透過性機能層82における光透過性基材81側の面とは反対側の面に設けられ、パターニングされた導電部84とを備えている。導電部84は、導電層83の一部となっている。導電層83は、複数の導電部84と、導電部84間に位置する非導電部85とから構成されている。光透過性基材81は光透過性基材11と同様のものであり、また光透過性機能層82は光透過性機能層82と同様のものであるので、ここでは説明を省略するものとする。
導電部84は、導電部22と同様の構造になっている。すなわち、図12に示されるように、導電部84は光透過性樹脂と導電性繊維とから構成されている。非導電部85は光透過性樹脂から構成されており、実質的に導電性繊維を含んでいない。また、導電部84中の導電性繊維は、導電部84の膜厚の半分の位置HLより光透過性基材81側に偏在しており、導電部84の表面84Aから電気的に導通可能となっている。なお、導電部84は、導電部22と同様の構造になっているが、導電部84は必ずしも、導電部13と同様の構造になっていなくともよい。
光透過性粘着層72、73としては、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive)のような粘着シートが挙げられる。光透過性粘着層72、73の代わりに、光透過性接着層を用いてもよい。
光透過性接着層90は、表示パネル40とタッチパネル60との間に介在し、かつ表示パネル40とタッチパネル60の両方に接着されている。これにより、表示パネル40とタッチパネル60とが固定されている。光透過性接着層80は、例えば、OCR(Optically Clear Resin)のような重合性化合物を含む液状の硬化性接着層用組成物の硬化物から構成されている。
まず、下記に示す組成となるように各成分を配合して、ハードコート層用組成物1を得た。
(ハードコート層用組成物1)
・ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(製品名「KAYARAD-PET-30」、日本化薬社製):30質量部
・重合開始剤(製品名「イルガキュア184」、BASFジャパン社製):1.5質量部
・メチルエチルケトン(MEK):50質量部
・シクロヘキサノン:18.5質量部
(銀ナノワイヤ含有組成物1)
還元剤としてエチレングリコール(EG)を、有機保護層としてポリビニルピロリドン(PVP:平均分子量130万、アルドリッチ社製)を使用し、下記に示した核形成工程と粒子成長工程とを分離して粒子形成を行い、銀ナノワイヤ含有組成物を調製した。
反応容器内で160℃に保持したEG液100mLを攪拌しながら、硝酸銀のEG溶液(硝酸銀濃度:1.0モル/L)2.0mLを、一定の流量で1分間かけて添加した。その後、160℃で10分間保持しながら銀イオンを還元して銀の核粒子を形成した。反応液は、ナノサイズの銀微粒子の表面プラズモン吸収に由来する黄色を呈しており、銀イオンが還元されて銀の微粒子(核粒子)が形成されたことを確認した。続いて、PVPのEG溶液(PVP濃度:3.0×10-1モル/L)10.0mLを一定の流量で10分間かけて添加した。
上記核形成工程を終了した後の核粒子を含む反応液を、攪拌しながら160℃に保持し、硝酸銀のEG溶液(硝酸銀濃度:1.0×10-1モル/L)100mLと、PVPのEG溶液(PVP濃度:3.0×10-1モル/L)100mLを、ダブルジェット法を用いて一定の流量で120分間かけて添加した。この粒子成長工程において、30分毎に反応液を採取して電子顕微鏡で確認したところ、核形成工程で形成された核粒子が時間経過に伴ってワイヤ状の形態に成長しており、粒子成長工程における新たな微粒子の生成は認められなかった。最終的に得られた銀ナノワイヤの繊維径および繊維長を測定したところ、銀ナノワイヤの繊維径は30nmであり、繊維長は40μmであった。銀ナノワイヤの繊維径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1000~50万倍にて50本の導電性繊維の繊維径を測定し、その50本の導電性繊維の繊維径の算術平均値として求めた。また、銀ナノワイヤの繊維長は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、1000~50万倍にて50本の導電性繊維の繊維長を測定し、その50本の導電性繊維の繊維長の算術平均値として求めた。なお、以下の銀ナノワイヤの繊維径および繊維長も同様にして求めた。
粒子成長工程を終了した反応液を室温まで冷却した後、分画分子量0.2μmの限外濾過膜を用いて脱塩水洗処理を施すとともに、溶媒をエタノールに置換した。そして、液量を100mLまで濃縮して銀ナノワイヤ分散液を得た。最後に、銀ナノワイヤ濃度が0.1質量%となるようにエタノールとイソプロピルアルコール(IPA)で希釈し、銀ナノワイヤ含有組成物1を得た。IPAの比率は組成物全体の30質量%とした。
粒子成長工程の反応時間を短くして、繊維長が15μmの銀ナノワイヤを得たこと以外は、銀ナノワイヤ含有組成物1と同様に、銀ナノワイヤ含有組成物2を得た。
銀ナノワイヤ分散液を銀ナノワイヤ濃度が0.2質量%となるようにエタノールおよびイソプロピルアルコールで希釈したこと以外は、銀ナノワイヤ含有組成物2と同様に、銀ナノワイヤ含有組成物3を得た。
エタノールおよびイソプロピルアルコールに代えて、エタノールを用いたこと以外は、銀ナノワイヤ含有組成物2と同様にして、銀ナノワイヤ含有組成物4を得た。
脱塩水洗処理の回数を減らして、ポリビニルピロリドンの量を、銀ナノワイヤ含有組成物2におけるポリビニルピロリドンの量よりも多くしたこと以外は、銀ナノワイヤ含有組成物2と同様に、銀ナノワイヤ含有組成物5を得た。
粒子成長工程の反応時間を短くして、繊維長が25μmの銀ナノワイヤを得たこと以外は、銀ナノワイヤ含有組成物1と同様に、銀ナノワイヤ含有組成物6を得た。
粒子成長工程の反応時間を短くして、繊維長が10μmの銀ナノワイヤを得たこと以外は、銀ナノワイヤ含有組成物1と同様に、銀ナノワイヤ含有組成物7を得た。
脱塩水洗処理の回数を増やして、ポリビニルピロリドンの量を、銀ナノワイヤ含有組成物2におけるポリビニルピロリドンの量よりも減らしたこと以外は、銀ナノワイヤ含有組成物2と同様に、銀ナノワイヤ含有組成物8を得た。
イソプロピルアルコール(IPA)に代えてアノンを用い、かつ粒子成長工程の反応時間を短くして、繊維長が25μmの銀ナノワイヤを得たこと以外は、銀ナノワイヤ含有組成物1と同様に、銀ナノワイヤ含有組成物9を得た。なお、アノンの比率は組成物全体の30質量%とした。
下記に示す組成となるように各成分を配合して、光透過性樹脂用組成物を得た。
(光透過性樹脂用組成物1)
・ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(製品名「KAYARAD-PET-30」、日本化薬社製):5質量部
・重合開始剤(製品名「イルガキュア184」、BASFジャパン社製):0.25質量部
・メチルエチルケトン(MEK):70質量部
・シクロヘキサノン:24.75質量部
・ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(製品名「KAYARAD-PET-30」、日本化薬社製):5質量部
・2-メチルチオ-ベンゾチアゾール(東京化成工業社製):0.1質量部
・重合開始剤(製品名「イルガキュア184」、BASFジャパン社製):0.25質量部
・メチルエチルケトン(MEK):70質量部
・シクロヘキサノン:24.75質量部
まず、光透過性基材としての片面に下地層を有する厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「コスモシャインA4100」、東洋紡社製)を準備し、このポリエチレンテレフタレートフィルムの下地層側に、ハードコート層組成物1を塗布し、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に対して、0.5m/sの流速で50℃の乾燥空気を15秒間流通させた後、さらに10m/sの流速で70℃の乾燥空気を30秒間流通させて乾燥させることにより塗膜中の溶剤を蒸発させ、紫外線を積算光量が100mJ/cm2になるように照射して塗膜を硬化させることにより、光透過性機能層としての膜厚が2μmのハードコート層を形成した。
実施例2においては、光透過性樹脂用組成物1の代わりに光透過性樹脂用組成物2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
実施例3においては、銀ナノワイヤ含有組成物1の代わりに銀ナノワイヤ含有組成物2を用い、かつ銀ナノワイヤ含有組成物1の塗布後の乾燥温度をすべて100℃にしたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
実施例4においては、銀ナノワイヤ含有組成物1の代わりに銀ナノワイヤ含有組成物3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
実施例5においては、銀ナノワイヤ含有組成物1の代わりに銀ナノワイヤ含有組成物4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
実施例6においては、銀ナノワイヤ含有組成物1の代わりに銀ナノワイヤ含有組成物5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
比較例1においては、銀ナノワイヤ含有組成物1の代わりに銀ナノワイヤ含有組成物2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
比較例2においては、銀ナノワイヤ含有組成物1の代わりに銀ナノワイヤ含有組成物6を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
比較例3においては、銀ナノワイヤ含有組成物1の代わりに銀ナノワイヤ含有組成物7を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
比較例4においては、銀ナノワイヤ含有組成物1の代わりに銀ナノワイヤ含有組成物8を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
比較例5においては、銀ナノワイヤ含有組成物1の代わりに銀ナノワイヤ含有組成物9を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、導電性フィルムを得た。
実施例および比較例に係る導電性フィルムの面内において、任意の方向を定め、この任意の方向に対しこの任意の方向を含め30°毎に6方向の縦125mm×横50mmの長方形状のサンプルを導電性フィルムから切り出した。導電性フィルムからサンプルを切り出した後、それぞれのサンプルの長手方向の表面の両端部の縦10mm×横50mmの部分に銀ペースト(製品名「DW-520H-14」、東洋紡社製)を塗布し、130℃で30分加熱して、両端部に硬化した銀ペーストが設けられたサンプルを得た。なお、両端部に硬化した銀ペーストが設けられた各サンプルにおける電気抵抗値の測定距離は105mmで一定とした。そして、両端部に硬化した銀ペーストが設けられた各サンプルの電気抵抗値をテスター(製品名「Digital MΩ Hitester 3454-11」、日置電機社製)を用いて、測定した。具体的には、両端部に設けられた硬化した銀ペーストのそれぞれにテスターの端子を接触させて電気抵抗値を測定した。そして、この6方向から切り出したサンプルの中から、電気抵抗値が最も低いサンプルを見付けた。このサンプルが導電性フィルムの第1の方向から切り出したものであるとしたとき、第1の方向と直交する第2の方向から切り出したサンプルを見付け、第1の方向から切り出したサンプルの電気抵抗値に対する第2の方向から切り出したサンプルの電気抵抗値の比を求めた。電気抵抗値比は、3回測定して得られた値の算術平均値とした。
実施例および比較例に係る導電性フィルムにおいて、銀ナノワイヤが、全体として、導電部中において導電部の膜厚の半分の位置よりポリエチレンタレフタレートフィルム側に偏在しているか否か調べた。具体的には、まず、走査透過型電子顕微鏡(STEM)により導電性フィルムの導電部の断面写真を10箇所撮影した。そして、各断面写真を画素レベルまで拡大し、各断面写真において、導電部の膜厚の半分の位置よりポリエチレンタレフタレートフィルム側に位置する銀ナノワイヤが表示されている画素の個数および導電部の膜厚の半分の位置より導電部の表面側に位置する銀ナノワイヤが表示されている画素の個数を数え、銀ナノワイヤが表示されている画素の全個数に対する上記半分の位置よりポリエチレンタレフタレートフィルム側に位置する銀ナノワイヤが表示されている画素の個数の割合を求めた。なお、銀ナノワイヤが表示されている画素が上記半分の位置に跨っている場合には、各画素において、上記半分の位置からポリエチレンタレフタレートフィルム側に存在している部分と、この位置から導電部の表面側に存在している部分とに分けて、分けた部分の面積比に基づいて1画素を分けるものとした。そして、各断面写真から求めた上記割合を、導電部の膜厚の半分の位置よりポリエチレンタレフタレートフィルム側に位置する導電性繊維の存在割合とし、各断面写真から求めた存在割合の算術平均値を求め、この算術平均値が55%以上のときをポリエチレンテレフタレートフィルム側に偏在しているとした。走査透過型電子顕微鏡における断面写真の撮影の際には、加速電圧を30Vとし、エミッションを10μAとし、倍率を1000~50万倍で適宜調節し、またコントラストおよび明るさを各層が見分けられるよう適宜調節した。
上記実施例および比較例に係る導電性フィルムについて、ヘイズメーター(製品名「HM-150」、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K7361に従って全光線透過率を測定した。全光線透過率は、導電性フィルム全体で測定し、また3回測定して得られた値の算術平均値とした。
上記実施例および比較例に係る導電性フィルムにおいて、ヘイズメーター(製品名「HM-150」、村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K7136に従って導電性フィルムのヘイズ値(全ヘイズ値)を測定した。ヘイズ値は、導電性フィルム全体で測定し、また3回測定して得られた値の算術平均値とした。
上記実施例および比較例に係る導電性フィルムにおいて、接触式の抵抗率計(製品名「ロレスタGP MCP-T610型」、三菱化学アナリテック社製、端子形状:ESP)を用いて、JIS K7194:1994(導電性プラスチックの4深針法による抵抗率試験方法)に従って導電部の表面の抵抗値を測定した。また、光透過性樹脂の膜厚が大きい場合、上記抵抗率計で表面抵抗値を測定すると、抵抗値が極めて大きくなる場合がある。この場合、光透過性樹脂によって銀ナノワイヤ間の導通が悪くなったのか、また導電部の表面から導通が取れていないのか区別することができない。このため、渦電流法を用いた非接触式の抵抗率計(製品名「EC-80P」、ナプソン社製、モードM-H)でも導電部の表面の抵抗値を測定した。表面抵抗値は、導電部の表面の表面抵抗値をランダムに10箇所測定し、測定した10箇所の表面抵抗値の算術平均値とした。
上記実施例および比較例に係る導電性フィルムにおいて、室温で空気中に導電性フィルムを放置する放置試験を行った。具体的には、評価を加速するため、硫黄成分を多く含むテープ(品番「7210」、日東電工社製)を導電部の表面に貼り、その状態で1週間放置した。そして、導電性フィルムにおいて、放置試験前後におけるそれぞれ導電部の表面抵抗値を、接触式の抵抗率計(製品名「ロレスタGP MCP-T610型」、三菱化学アナリテック社製、端子形状:ESP)を用いて、JIS K7194:1994(導電性プラスチックの4深針法による抵抗率試験方法)に従って測定し、放置試験前の表面抵抗値に対して放置試験後の表面抵抗値がどの程度上昇しているか評価した。評価基準は以下の通りとした。なお、表面抵抗値の上昇率は、表面抵抗値の上昇率をAとし、放置試験前の導電部の表面抵抗値をBとし、放置試験後の導電部の表面抵抗値をCとし、下記式によって求めた。また、放置試験前の表面抵抗値Bは、放置試験前における導電部の表面の表面抵抗値をランダムに10箇所測定し、測定した10箇所の表面抵抗値の算術平均値を用い、また放置試験後の表面抵抗値Cは、放置試験後における導電部の表面の表面抵抗値をランダムに10箇所測定し、測定した10箇所の表面抵抗値の算術平均値を用いた。
A=(C-B)/B×100
○:導電部における放置試験前の表面抵抗値に対する放置試験後の表面抵抗値の上昇率が10%以内であった。
△:導電部における放置試験前の表面抵抗値に対する放置試験後の表面抵抗値の上昇率が10%を超え50%以内であった。
×:導電部における放置試験前の表面抵抗値に対する放置試験後の表面抵抗値の上昇率が50%を超えていた。
10A…表面
11…光透過性基材
12…光透過性機能層
13…導電部
13A…表面
14…光透過性樹脂
15…導電性繊維
40…画像表示装置
50…表示パネル
55…表示素子
70…タッチパネル
AD…任意の方向
S…サンプル
Claims (7)
- 光透過性基材と、前記光透過性基材の一方の面側に設けられた導電部とを備える光透過性の導電性フィルムであって、
前記導電部が、光透過性樹脂と、前記光透過性樹脂中に配置された複数の導電性繊維とを含み、
前記光透過性樹脂の膜厚が、50nm以上300nm未満であり、
前記導電部の表面において、面内の任意の方向に対し前記任意の方向を含め30°毎に6方向における電気抵抗値をそれぞれ所定の大きさで測定し、最も低い電気抵抗値が得られる方向を第1の方向とし、前記第1の方向と直交する方向を第2の方向としたとき、前記第1の方向の電気抵抗値に対する第2の方向の電気抵抗値の比が、2以上であり、
前記導電性繊維が、全体として、前記導電部中において前記導電部の膜厚の半分の位置より前記光透過性基材側に偏在している、導電性フィルム。 - 前記導電性繊維の繊維長が、30μm以上である、請求項1に記載の導電性フィルム。
- 前記導電性繊維の繊維径が、200nm以下である、請求項1に記載の導電性フィルム。
- 前記導電性フィルムのヘイズ値が5%以下である、請求項1に記載の導電性フィルム。
- 前記導電性フィルムの全光線透過率が80%以上である、請求項1に記載の導電性フィルム。
- 請求項1に記載の導電性フィルムを備える、タッチパネル。
- 請求項6に記載のタッチパネルを備える、画像表示装置。
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