JP2017098054A - 透明ヒータ - Google Patents

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【課題】導線の交差部の局所発熱を抑制し、電流耐性を確保できる透明ヒータを提供する。【解決手段】集合部34は、当該集合部34に流れる電流の流れ方向に垂直な断面のうちの最小断面に対応する部分の幅が、集合部34に接続された各熱線31、32における電流の流れ方向に垂直な幅の総和以上になっている。これにより、集合部34に流れる電流の流れ方向に垂直な断面のうちの最小断面を流れる電流密度が、交差部33を構成する各熱線31、32それぞれに流れる電流密度と同じかもしくはそれ以下になる。このため、各熱線31、32から集合部34に流れ込む電流が当該集合部34に集中しにくくなり、集合部34に流れる電流の電流集中が抑制される。したがって、交差部33の局所発熱を抑制でき、ひいては交差部33の電流耐性を確保することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、電流を流すことで発熱する透明ヒータに関する。
従来より、金属細線によるメッシュパターンを有する導電性フィルムが、例えば特許文献1で提案されている。具体的に、メッシュパターンは、第1方向に配列された複数の第1金属細線と、第2方向に配列された複数の第2金属細線と、が交差して構成されている。
また、メッシュパターンは、対向配置された一対の直線状の電極の間に配置されると共に、各金属細線が各電極に対して傾斜した状態で各電極に接続されている。これにより、一方の電極から各金属細線を介して他方の電極に電流が流れる構成になっている。
特開2012−14956号公報
しかしながら、上記従来の技術では、第1金属細線と第2金属細線とが交差している交差部分には第1金属細線の電流と第2金属細線の電流とが流れ込むので、当該交差部分に電流集中が起こる。特に、熱線が微細化された金属細線では、当該交差部分の電流密度の増大に伴う局部発熱や電流耐性が問題となる。
本発明は上記点に鑑み、熱線の交差部の局所発熱を抑制し、電流耐性を確保できる透明ヒータを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、対向配置された一対の第1バスバー(10)及び第2バスバー(20)を備えている。また、複数の熱線(31、32、36)がメッシュ状に配置されて構成されていると共に、第1バスバーから供給される電流を前記複数の熱線を介して第2バスバーに流すことにより発熱する透明ヒータ部(30)を備えている。
そして、透明ヒータ部は、複数の熱線が交差する交差部(33、36)を有している。交差部は、当該交差部を構成する各熱線が集合した集合部(34、37)と、集合部に流れる電流の流れ方向に対して傾斜した斜め熱線(31、32)と、を含んでいる。
さらに、集合部は、当該集合部に流れる電流の流れ方向に垂直な断面のうちの最小断面を流れる電流密度が、交差部を構成する斜め熱線を含む各熱線それぞれに流れる電流密度と同じかもしくはそれ以下になるように構成されている。
これによると、集合部に流れ込む電流が当該集合部に集中しにくくなるので、集合部における電流集中を抑制することができる。したがって、交差部の局所発熱を抑制することができ、ひいては交差部の電流耐性を確保することができる。
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の第1実施形態に係る透明ヒータの平面図である。 図1に示された交差部を拡大した平面図である。 本発明の第2実施形態に係る交差部を拡大した平面図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。本実施形態に係る透明ヒータは、水蒸気による自動車の窓ガラスの内側の曇りや外側の霜を除去するものとして、例えば自動車の窓ガラスに適用される。
図1に示されるように、透明ヒータ1は、第1バスバー10、第2バスバー20、及び透明ヒータ部30を備えて構成されている。透明ヒータ1は、例えば図示しないシート状のPETフィルムを備えており、各バスバー10、20及び透明ヒータ部30はPETフィルムに設けられている。このPETフィルムが設置対象面すなわち自動車の窓ガラスに貼り付けられる。なお、各バスバー10、20及び透明ヒータ部30は設置対象面に直接設けられていても良い。
各バスバー10、20は、一対の電極として機能する導電部品である。各バスバー10、20は、直線状にパターニングされていると共に、平行に対向配置されている。各バスバー10、20は、電流供給源に電気的に接続されている。さらには発熱分布や発熱箇所を制御するために、各バスバー10、20の複数化や非平行な配置としても良い。
透明ヒータ部30は、電流が流れることにより発熱する導電部品である。透明ヒータ部30は、各バスバー10、20の間に配置されている。透明ヒータ部30は、複数の第1熱線31及び複数の第2熱線32を有している。透明ヒータ部30は、第1バスバー10から供給される電流を各熱線31、32を介して第2バスバー20に流すことにより発熱する。なお、図1では各熱線31、32の一部を示している。
各第1熱線31は、第1バスバー10の法線方向を基準として第1方向に傾けられている。なお、法線方向はPETシートあるいは設置対象面の平面方向に平行な方向である。
具体的には、第1バスバー10の法線方向と第1方向との成す角度をθ1とすると、各第1熱線31は、0°<θ1≦60°の関係を満たすように第1バスバー10に対して傾けられている。本実施形態では、各第1熱線31の傾斜角度θ1は、θ1=45°になっている。
一方、各第2熱線32は、第1バスバー10の法線方向を基準として第1方向とは逆方向の第2方向に傾けられている。具体的には、第1バスバー10の法線方向と第2方向との成す角度をθ2とすると、各第2熱線32は、0°<θ2≦60°の関係を満たすように第1バスバー10に対して傾けられている。本実施形態では、各第2熱線32の傾斜角度θ2は、θ2=45°になっている。なお、θ2=−θ1である。
そして、各熱線31、32は互いに異なる方向に直線状に延びていると共に、互いに交差している。したがって、透明ヒータ部30はメッシュ状あるいは格子状に構成されている。
各熱線31、32の幅は例えば1μm〜100μmである。「幅」は線幅であり、各熱線31、32の延設方向に垂直な方向の平面長さである。言い換えると、「幅」は、電流の流れ方向に対して垂直な方向の平面長さである。各熱線31、32は同じ幅及び同じ厚みにパターニングされている。また、各熱線31、32のピッチは例えば500μmである。
このように、各熱線31、32が裸眼では視認できないほど細くなっていることで透明ヒータ部30の視認性を阻害しないようになっており、ピッチ幅を取ることで開口部を形成し光透過率を確保している。これにより、透明ヒータ部30は透明に見える。
また、透明ヒータ部30は、各熱線31、32が交差する交差部33を有している。交差部33は、各熱線31、32と同じ厚みにパターニングされている。
図2に示されるように、交差部33は、集合部34及び各熱線31、32の一部を含んでいる。集合部34は、交差部33を構成する各熱線31、32が集合あるいは一本化した部分である。各熱線31、32は、集合部34に流れる電流の流れ方向に対して傾斜している。
そして、集合部34は、当該集合部34に流れる電流の流れ方向に垂直な断面のうちの最小断面に対応する部分の幅が、集合部34に接続された各熱線31、32における電流の流れ方向に垂直な幅の総和以上になっている。各熱線31、32の幅をdとすると、集合部34の幅は少なくとも2dになっている。
具体的には、集合部34は、第1バスバー10の延設方向すなわち集合部34に流れる電流の流れ方向に垂直な方向の2カ所の角部が埋められて当該流れ方向に垂直な方向に広げられたパターンになっている。本実施形態では、集合部34の幅は、各熱線31、32の幅を50μmとすると2倍の100μmになっている。
これによると、集合部34に流れる電流の流れ方向に垂直な断面のうちの最小断面を流れる電流密度が、交差部33を構成する各熱線31、32それぞれに流れる電流密度と同じかもしくはそれ以下になる。つまり、集合部34は、当該集合部34に流れる電流の流れ方向に垂直な断面のうちの最小断面を流れる電流密度が、交差部33を構成する各熱線31、32それぞれに流れる電流密度のうち最大の電流密度と同等以下になるように構成されている。本実施形態では、集合部34の幅は各熱線31、32の幅の2倍であるので、交差部33を流れる電流密度は各熱線31、32の電流密度と同じになる。
以上のように、集合部34の断面積が広げられているので、各熱線31、32から集合部34に流れ込む電流が当該集合部34に集中しにくくなる。このため、集合部34に流れる電流の電流集中を抑制することができる。したがって、交差部33の局所発熱を抑制することができる。また、交差部33の電流耐性を確保することができる。
なお、各熱線31、32の各傾斜角度を60°以下としているのは、各傾斜角度が60°の場合に集合部34の幅が必然的に各熱線31、32の2倍になるので、60°を超えた傾斜角度の場合には集合部34の幅を調整する必要がないからである。
上記の透明ヒータ部30は、スクリーン印刷によって作製することができる。例えば、上記の各熱線31、32のパターンが形成されたスクリーンを用意し、各熱線31、32の元となるインクを用いて透明ヒータ部30のパターンをPETフィルム上に印刷する。各バスバー10、20も同様の方法で形成しても良い。
透明ヒータ部30のパターンを描ける方法であれば透明ヒータ部30の作製方法は特に制限されない。上記のスクリーン印刷の他、オフセット印刷やインクジェット印刷等の印刷法やフィルトレーション法を採用しても良い。また、透明ヒータ部30のパターンを描くための導電性材料として、銀ナノインクやナノカーボンインク等の導電性を持つインク、ペースト、分散液等を採用することができる。
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、第1熱線31及び第2熱線32が特許請求の範囲の「斜め熱線」に対応する。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。図3に示されるように、透明ヒータ部30は、第1熱線31、第2熱線32、及び第3熱線35を有している。第3熱線35は、第1バスバー10の法線方向に延設された直線状の配線である。第3熱線35の幅は、第1熱線31及び第2熱線32と同じである。
したがって、交差部36は、集合部37と3本の各熱線31、32、36とで構成される。第1熱線31の傾斜角度θ1は30°であり、第2熱線32の傾斜角度θ2は30°である。第3熱線35は、傾斜角度が0°である。各熱線31、32、36の幅は例えば10μmであり、ピッチは例えば300μmである。
このような構成では、集合部37の幅は、各熱線31、32、36の幅の3倍に広げられている。各熱線31、32、36の幅をdとすると、集合部37の幅は少なくとも3dになっている。したがって、交差部36を流れる電流の電流密度は一定になる。もちろん、集合部37の幅は、各熱線31、32、36の幅の3倍以上に広げられていても良い。
本実施形態に係るメッシュ状のパターンは次のように作製することができる。まず、フィルタ上にコートしたレジストにフォトリソグラフィによりパターンを形成する。その後、単層カーボンナノチューブ分散液を吸引濾過することにより、フィルタ上にカーボンナノチューブのパターンを形成する。続いて、フィルタに捕集されたカーボンナノチューブをPETフィルムへ転写することで、本実施形態に係る透明ヒータ部30が完成する。
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された透明ヒータ1の構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明を実現できる他の構成とすることもできる。例えば、透明ヒータ1は、自動車への適用に限られず、他の加熱対象に設置されても良い。
透明ヒータ部30は、複数の第1熱線31と複数の第3熱線35とで構成されていても良い。同様に、透明ヒータ部30は、複数の第2熱線32と複数の第3熱線35とで構成されていても良い。
また、各熱線31、32、36は直線状に限られず、波状等の曲線状にパターニングされていても良い。具体的には、各熱線31、32、36は二つの交差部33、36を繋ぐ部分の中間部分がどのような形状になっていても良い。つまり、交差部33、36は、集合部34、37の電流上流側に接続される各熱線31、32、36の少なくとも1本が第1バスバー10の法線方向に対して傾斜している構成になっていれば良い。
各熱線31、32、36の幅は統一されている必要はなく、それぞれ異なる幅にパターニングされていても良い。各バスバー10、20についても直線状に限られず、平行に配置される必要もない。
交差部33、36を流れる電流の電流密度を一定にする手段は集合部34、37の幅を調整する方法に限られない。例えば、集合部34、37の厚みを各熱線31、32、36よりも厚くすることにより集合部34、37の断面積を大きくしても良い。もちろん、集合部34、37の厚みは一定になっていなくても良く、集合部34、37において一部の厚みが他の部分より厚くなっていても良い。
10、20 バスバー
30 透明ヒータ部
31 第1熱線(斜め熱線)
32 第2熱線(斜め熱線)
33、36 交差部
34、37 集合部

Claims (3)

  1. 対向配置された一対の第1バスバー(10)及び第2バスバー(20)と、
    複数の熱線(31、32、36)がメッシュ状に配置されて構成されていると共に、第1バスバーから供給される電流を前記複数の熱線を介して前記第2バスバーに流すことにより発熱する透明ヒータ部(30)と、
    を備え、
    前記透明ヒータ部は、前記複数の熱線が交差する交差部(33、36)を有し、
    前記交差部は、当該交差部を構成する各熱線が集合した集合部(34、37)と、前記集合部に流れる電流の流れ方向に対して傾斜した斜め熱線(31、32)と、を含んでおり、
    前記集合部は、当該集合部に流れる電流の流れ方向に垂直な断面のうちの最小断面を流れる電流密度が、前記交差部を構成する前記斜め熱線を含む各熱線それぞれに流れる電流密度と同じかもしくはそれ以下になるように構成されている透明ヒータ。
  2. 前記集合部は、当該集合部に流れる電流の流れ方向に垂直な断面のうちの最小断面に対応する部分の幅が、前記集合部に接続された前記斜め熱線を含む各熱線における電流の流れ方向に垂直な幅の総和以上になるように構成されている請求項1に記載の透明ヒータ。
  3. 前記第1バスバーは、直線状に構成されており、
    前記斜め熱線は、前記第1バスバーの法線方向を基準として第1方向に傾けられた複数の第1熱線(31)と、前記法線方向を基準として前記第1方向とは逆方向の第2方向に傾けられた複数の第2熱線(32)と、を有しており、
    前記法線方向と前記第1方向との成す角度をθ1とすると、前記複数の第1熱線は、0°<θ1≦60°の関係を満たすように前記第1バスバーに対して傾けられており、
    前記法線方向と前記第2方向との成す角度をθ2とすると、前記複数の第2熱線は、0°<θ2≦60°の関係を満たすように前記第1バスバーに対して傾けられている請求項1または2に記載の透明ヒータ。
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