JP2022091216A - ヨーク一体型シャフト - Google Patents

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Abstract

【課題】高い溶接品質を有するヨーク一体型シャフトを提供する。【解決手段】ヨーク一体型シャフトは、一端が第1方向を指し、他端が第2方向を指すシャフトと、シャフトの一端と溶接されるヨークと、シャフトとヨークとを溶接して生成された溶接部と、を備え、ヨークは、シャフトの軸と平行な軸方向に貫通する貫通孔を有する環状体の基部と、基部から第1方向に突出する一対のアームと、を備え、シャフトは、シャフトの一端に位置し、基部の貫通孔に挿入される嵌合部と、嵌合部から第2方向に延びる軸部と、を有し、嵌合部は、軸を中心に径方向外側に突出する少なくても2つ以上の第1突起を有し、軸部は、第1突起と軸方向に連続し、第1突起と同数の第2突起を有し、周方向に隣り合う第1突起同士の間の空間は、軸方向に延在し、かつ基部の第1方向の空間と第2方向の空間を連通させる連通穴となっている。【選択図】図10

Description

本発明は、ヨーク一体型シャフトに関する。
車両は、運転者によるステアリングホイールの操作を車輪に伝えるため、ステアリング装置を備える。ステアリング装置は、一端がステアリングホイールと連結されるステアリングシャフトと、一端がステアリングシャフトの他端と連結する中間シャフトと、一端が中間シャフトの他端と連結されるピニオンシャフトと、を備える。
下記特許文献1に示すように、中間シャフトは、筒状のアウタチューブと、インナシャフトと、を備える。インナシャフトは、アウタチューブに収容され、アウタチューブに摺動自在に支持されている。これにより、中間シャフトは、伸縮して走行中の振動を吸収する。又は、車両がキャブチルトされた場合(運転席が前方に持ち上げられた場合)、中間シャフトは伸長する。
下記特許文献1に示すように、ステアリング装置では、ステアリングシャフトと中間シャフトを繋いだり、中間シャフトとピニオンシャフトを繋いだりするための継手として、ユニバーサルジョイントが用いられる。ユニバーサルジョイントのヨークは、インナシャフトの一端に溶接され、インナシャフトとヨークとが一体化している。以下、インナシャフトとヨークとが一体化したものをヨーク一体型シャフトと呼ぶ。また、溶接によりインナシャフトとヨークとを接合する部位を溶接部という。
特開2014-105773号公報
ところで、ヨークは、一対のアームと、一対のアームを支持する基部と、を備える。基部は、環状を成し、基部の内部にインナシャフトが挿入された状態で溶接される。しかし、特許文献1の形状によれば、溶接個所にシールドガスを供給するものの、溶接個所に酸素や窒素が滞留し易く、溶接品質を保持することが難しかった。
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、高い溶接品質を有するヨーク一体型シャフトを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本開示の一態様に係るヨーク一体型シャフトは、一端が第1方向を指し、他端が第2方向を指すシャフトと、前記シャフトの前記一端と溶接されるヨークと、前記シャフトと前記ヨークとを溶接して生成された溶接部と、を備える。前記ヨークは、前記シャフトの軸と平行な軸方向に貫通する貫通孔を有する環状体の基部と、前記基部から前記第1方向に突出する一対のアームと、を備える。前記シャフトは、前記シャフトの前記一端に位置し、前記基部の前記貫通孔に挿入される嵌合部と、前記嵌合部から前記第2方向に延びる軸部と、を有する。前記嵌合部は、前記軸を中心に径方向外側に突出する少なくても2つ以上の第1突起を有する。前記軸部は、前記第1突起と前記軸方向に連続し、前記第1突起と同数の第2突起を有する。周方向に隣り合う前記第1突起同士の間の空間は、前記軸方向に延在し、かつ前記基部の第1方向の空間と前記第2方向の空間を連通させる連通穴となっている。
特許文献1によれば、シャフトの嵌合部が基部の貫通孔を塞いでいる。また、シャフトの段差面が基部に突き当たって基部の貫通孔を塞いでいる。よって、シールドガスが基部の貫通孔を通過することはなかった。しかし、本開示のヨーク一体型シャフトによれば、第1方向からシャフトと基部を溶接すると、シールドガスは、連通穴を通過して基部の第2方向に流れる。また、第2方向からシャフトと基部を溶接すると、シールドガスは、連通穴を通過して基部の第1方向に流れる。このように本開示のヨーク一体型シャフトによれば、溶接個所に供給されたシールドガスは、滞留することなく移動する。よって、溶接個所の近傍に存在する酸素や窒素もシールドガスに連れて流れるため、溶接品質が高い。
また、上記のヨーク一体型シャフトの望ましい態様として、前記基部は、前記第1方向を向く第1面と、前記第2方向を向く第2面と、を有する。前記第2突起は、前記第1突起よりも径方向外側への突出量が大きい。前記シャフトは、前記嵌合部と前記軸部との間で前記第1方向を向く突き当て面を有する。前記突き当て面は、前記基部の前記第2面に当接している。
これによれば、ヨークに対するシャフトの軸方向の位置決めが容易となる。
また、上記のヨーク一体型シャフトの望ましい態様として、前記第1突起は、径方向外側を向く外向面と、周方向を向く一対の周面と、を有し、前記基部の内周面は、前記外向面の径方向外側に位置し、前記外向面と当接する当接面と、前記当接面の間を周方向に延在し、前記当接面よりも小径の非当接面と、前記当接面と前記非当接面との境界で径方向に延在し、前記第1突起の前記周面に当接する段差面と、を有する。前記非当接面は、連通穴の径方向外側を囲っている。
これによれば、シャフトとヨークは互いに相対回転しない。よって、仮に溶接部が破損したとしても、シャフトとヨークは互いにトルクを伝達できる。
また、上記のヨーク一体型シャフトの望ましい態様として、前記第1突起は、径方向外側を向く外向面と、周方向を向く一対の周面と、を有する。前記基部の内周面は、全周に亘って設けられた雌セレーション部を有している。前記第1突起の外向面は、雄セレーション部を有している。
これによれば、シャフトとヨークは互いに相対回転しない。よって、仮に溶接部が破損したとしても、シャフトとヨークは互いにトルクを伝達できる。
また、上記のヨーク一体型シャフトの望ましい態様として、前記溶接部の前記第1方向の表面が露出している。
溶接部の第1方向の表面が露出し、シャフトと基部との溶接は第1方向から行われている。よって、シャフトの軸部に、溶接ビードやスパッタが発生しない。よって、シャフトの軸部は、全長に亘って、アウタチューブに収容可能となり、中間シャフトの短縮時の長さを短くなる。
また、上記のヨーク一体型シャフトの望ましい態様として、前記軸部は、外周面を覆う樹脂製のコーティング層を有する。
コーティング層によりアウタチューブに対する摺動性が高くなる。なお、溶接が基部よりも第1方向で行われた場合、コーティング層にスパッタが付着しない。よって、軸部の全長に亘ってコーティング層を設けることができる。
また、上記のヨーク一体型シャフトは、前記嵌合部及び前記軸部は、断面が十字形状を成し、前記嵌合部は、4つの前記第1突起を有し、前記軸部は、4つの前記第2突起を有していてもよい。
本開示のヨーク一体型シャフトによれば、高い溶接品質を有し、シャフトとヨークとの接合強度が高い。
図1は、実施形態1のステアリング装置の模式図である。 図2は、実施形態1のステアリング装置の斜視図である。 図3は、実施形態1のヨーク一体型シャフトを径方向外側から視た全体図である。 図4は、実施形態1のインナシャフトとヨークとを組み合わせる前の斜視図である。 図5は、実施形態1のインナシャフトを抽出して第1方向から視た図である。 図6は、実施形態1のヨーク一体型シャフトを第1方向から視た図である。 図7は、図3のVII-VII線の矢視断面図である。 図8は、図6のVIII-VIII線の矢視断面図である。 図9は、図6のIX-IX線の矢視断面図である。 図10は、図6のX-X線の矢視断面図である。 図11は、変形例1のヨーク一体型シャフトを第1方向から視た図である。 図12は、変形例2のヨーク一体型シャフトを第1方向から視た図である。 図13は、図12のXIII-XIII線の矢視断面図である。 図14は、図12のXIV-XIV線の矢視断面図である。 図15は、変形例3のインナシャフトとヨークとを組み合わせる前の分解斜視図である。 図16は、変形例4のインナシャフトとヨークとを組み合わせる前の分解斜視図である。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
図1は、実施形態1のステアリング装置の模式図である。図2は、実施形態1のステアリング装置の斜視図である。ステアリング装置80の基本的な構造について、図1、図2を参照しながら説明する。ステアリング装置80は、操作者から付与される操作力(操舵トルク)が伝達する順に、ステアリングホイール81、ステアリングシャフト82、操舵力アシスト機構83、第1ユニバーサルジョイント84、中間シャフト85、及び第2ユニバーサルジョイント86を備える。
操舵力アシスト機構83は、ECU(Electronic Control Unit)90と、減速装置92と、電動モータ93と、トルクセンサ94と、図示しないトーションバーと、を備える。ECU90には、イグニッションスイッチ98がオンの状態で、電源装置99(例えば車載のバッテリ)から電力が供給される。なお、本実施形態のヨーク一体型シャフト4は、操舵力アシスト機構83を備えたステアリング装置80(電動パワーステアリング装置)に適用した例を挙げているが、本開示のヨーク一体型シャフトは、操舵力アシスト機構83を備えていないステアリング装置に適用してもよい。
ステアリングシャフト82は、入力軸82aと、出力軸82bと、を備える。入力軸82aの一方の端部は、ステアリングホイール81と連結している。また、入力軸82aの他方の端部は、操舵力アシスト機構83のトーションバー(不図示)を介して、出力軸82bの一方の端部と連結している。操舵トルクにより入力軸82aが回転すると、トーションバーが捻じれ、入力軸82aと出力軸82bとの回転に角度差が生じる。
トルクセンサ94は、入力軸82aと出力軸82bとの角度差を検出し、その結果をECU90に送信する。ECU90は、車両の車速センサ95から車両の走行速度を取得する。ECU90は、入力軸82aと出力軸82bとの角度差と、車両の走行速度とに基づいて、電動モータ93を駆動させる。減速装置92は、電動モータ93の出力軸に連結する図示しないウォームと、出力軸82bと連結する図示しないウォームホイールと、を備える。よって、電動モータ93が駆動すると、減速装置92を介して出力軸82bに操舵補助トルクが付与され、入力軸82aと出力軸82bとの回転に角度差がなくなる。
図2に示すように、出力軸82bの他方の端部は、第1ユニバーサルジョイント84を介して、中間シャフト85の一方の端部と連結している。中間シャフト85の他方の端部は、第2ユニバーサルジョイント86を介して、ピニオンシャフト87の一方の端部と連結している。ピニオンシャフト87の他方の端部は、ピニオン88aを備える。ピニオン88aは、ラック88bと噛み合っている。ステアリングギヤ88は、ピニオン88aに伝達された回転運動をラック88bで直進運動に変換する。ラック88bは、タイロッド89に連結される。ラック88bが移動することで車輪の角度が変化する。
中間シャフト85は、第1ユニバーサルジョイント84と接合されるインナシャフト1と、第1ユニバーサルジョイント84と接合されるアウタチューブ2と、を備える。インナシャフト85aは、アウタチューブ85bに摺動自在に支持されている。よって、中間シャフト85は、車両の振動により長さ方向に伸縮し、車体に歪を吸収する(図2の矢印A1参照)。また、キャブチルトにより運転席が前方に持ち上がった場合(図2の矢印A2参照)、中間シャフト85は、長さ方向に短縮する。次に、インナシャフト1と第1ユニバーサルジョイント84のヨーク3とを接合してなるヨーク一体型シャフト4について説明する。なお、本実施形態において、インナシャフト1が入力軸となっており、アウタチューブ2が出力軸となっているが、本開示のヨーク一体型シャフトは、出力軸のインナシャフトに適用してもよい。
図3は、実施形態1のヨーク一体型シャフトを径方向外側から視た全体図である。図4は、実施形態1のインナシャフトとヨークとを組み合わせる前の斜視図である。図5は、実施形態1のインナシャフトを抽出して第1方向から視た図である。図6は、実施形態1のヨーク一体型シャフトを第1方向から視た図である。図7は、図3のVII-VII線の矢視断面図である。図8は、図6のVIII-VIII線の矢視断面図である。図9は、図6のIX-IX線の矢視断面図である。図10は、図6のX-X線の矢視断面図である。
図3に示すように、ヨーク一体型シャフト4は、インナシャフト1とヨーク3を溶接により接合して成る。よって、ヨーク一体型シャフト4は、インナシャフト1と、ヨーク3と、溶接部5(図6、図8を参照)と、を備える。インナシャフト1及びヨーク3は、機械構造用炭素鋼(Carbon Steel for Machine Structural Use)で製造されている。以下、インナシャフト1の軸Xと平行な方向を軸方向と呼ぶ。インナシャフト1の軸方向の中央部から視てヨーク3が配置される方向を第1方向X1と呼び、ヨーク3が配置されていない方向を第2方向X2と呼ぶ。
インナシャフト1は、ヨーク3の基部30に嵌合される嵌合部10と、基部30から第2方向X2に延在する軸部20と、を備える。図4に示すように、インナシャフト1は、軸Xと直交する方向に切った断面が十字形状となっている。よって、嵌合部10は、軸Xを中心に径方向外側に突出する4つの第1突起11を備える。また、軸部20は、第1突起11と軸方向に連続する4つの第2突起21を備える。
図5に示すように、第1突起11は、径方向外側を向く外向面12と、周方向を向く一対の13、13を備える。第1突起11の周面13は、径方向内端が隣り合う第1突起11の周面13と連続している。第2突起21は、第1突起11よりも径方向外側への突出量が大きい。よって、インナシャフト1は、嵌合部10と軸部20との境界で第1方向X1を向く突き当て面22を有している。また、軸部20において周方向に隣り合う第2突起21の間は、軸方向に延在する空間となっている。つまり、軸部20は、第2突起21の間で軸方向に延在する4つの開放部23を備えている。
図3に示すように、軸部20は、アウタチューブ2に収容され、アウタチューブ2に摺動自在に支持される。よって、軸部20がアウタチューブ2に収容される軸方向の長さが増加すると、中間シャフト85が短縮する。軸部20は、アウタチューブ2との摺動性を確保するため、軸部20の外周面を被覆する樹脂製のコーティング層25を有している。このコーティング層25は、インナシャフト1とヨーク3とを溶接する前からインナシャフト1を被覆している。
図4に示すように、ヨーク3は、基部30と、基部30から第1方向X1に突出する一対のアーム31、31を備える。基部30は、環状体であり、貫通孔32を備える。また、基部30は、第1方向X1を向く第1面33と、第2方向X2を向く第2面34と、貫通孔32を囲む内周面35と、を備える。
一対のアーム31、31は、基部30の第1面33に設けられている。アーム31は、軸Xを中心に径方向に貫通する円形状の円形孔31aを有する。円形孔31aには、第1ユニバーサルジョイント84の図示しない十字軸が挿入される。以下、円形孔31aの中心線Oと平行な方向を第3方向Yと呼ぶ。また、軸方向と第3方向Yとのそれぞれに直交する方向を第4方向Zと呼ぶ。
貫通孔32は、基部30の中央部を軸方向に貫通している。また、貫通孔32には、基部30の第2面34の方から、インナシャフト1の嵌合部10が挿入されている(図4の矢印A3参照)。これにより、インナシャフト1の嵌合部10は、基部30の内周面35に嵌合している(図7参照)。
なお、図8に示すように、貫通孔32にインナシャフト1が挿入された時、インナシャフト1の突き当て面22が第2面34に突き当てられている。よって、ヨーク3に対し、インナシャフト1の軸方向の位置決めが容易となっている。また、嵌合部10の軸方向の長さは、基部30の軸方向の長さよりも長い。よって、嵌合部10の第1方向X1の端面14は、基部30の第1面33よりも第1方向X1に位置している(図8の第1面33に沿って引いた仮想線Hを参照)。
図7に示すように、内周面35は、90度間隔で配置された円弧状の4つの当接面37と、当接面37の間に介在する円弧状の4つの非当接面38と、当接面37と非当接面38との境界で径方向に延在する8つの段差面39と、を備える。
当接面37は、第1突起11の外向面12と径方向に対向している。当接面37の内径は、第1突起11の外向面12の外径よりも僅かに小さい。よって、第1突起11は、当接面37に圧入されており、ヨーク3からインナシャフト1が脱落し難い。なお、嵌合部10の圧入により基部30に応力が作用するが、嵌合部10の全周でなく、第1突起11の外向面12の部分だけが圧入されている。よって、基部30に作用する応力は小さく、耐久強度が高い。
当接面37の周方向の長さは、外向面12の周方向の長さと同じとなっている。よって、当接面37に対して周方向の両側にある段差面39は、第1突起11における一対の周面13の径方向外側の端部と当接している。これにより、仮に溶接部5が破損しても、インナシャフト1とヨーク3とは、相対回転することなく、確実にトルクが伝達される。
非当接面38は、当接面37よりも内径が小さい。非当接面38は、周方向に隣り合う2つの周面13、13の間を周方向に延在している。よって、非当接面38と、非当接面38を周方向から挟む2つの周面13、13と、の間には、軸方向に延在する連通穴16が設けられている。そして、連通穴16は、基部30の第1方向X1の空間と第2方向X2の空間を連通している(図10参照)。
内周面35において、2つの当接面37は、軸Xから視て第3方向Yに配置されている。他の2つの当接面37は、軸Xから視て第4方向Zに配置されている。よって、図6に示すように、4つの第1突起11のうち、2つの第1突起11は、軸Xから視て第3方向Yに配置される。残り2つの第1突起11は、軸方向から視て第4方向Zに配置される。以下、4つの第1突起11のうち、軸Xから視て第3方向Yに配置されるものをアーム側第1突起11aと呼び、軸Xから視て第4方向Zに配置されるものを開放側第1突起11bと呼ぶ。
図6に示すように、第1面33は、内周面35との境界に、第2方向X2に窪む環状の内縁部36を有している。インナシャフト1の端面14には、2つの溶接部5と、2つのカシメ部15と、が設けられている。
溶接部5は、第1方向X1から視ると、内縁部36に沿って円弧状を成している。図8に示すように、溶接部5は、基部30の当接面37と、開放側第1突起11bの外向面12と、の突合せ面のうち、第1方向X1寄りの部分を接合している。この溶接部5は、第1面33の内縁部36と、開放側第1突起11bの端面14の外縁部と、の境界に対し、第1方向X1から熱を加えることで生成される。つまり、本実施形態の溶接部5は、インナシャフト1と基部30とを、基部30の第1方向X1から溶接して生成されている。そして、この溶接部5により、インナシャフト1とヨーク3とが強固に結合している。
図9に示すように、カシメ部15は、嵌合部10の第1方向X1の端部のうち、基部30の第1面33よりも第1方向X1に突出している部分(図8の仮想線Hよりも第1方向X1に配置される部位)をカシメることで生成されている。カシメ部15は、第1面33の内縁部36と接触している。よって、仮に2つの溶接部5が破損しても、インナシャフト1はヨーク3から離脱しない。なお、実施形態1のカシメ部15は、第1面33の内縁部36と接触しているが、本開示のヨーク一体型シャフトは、カシメ部15と第1面33の内縁部36とが接触していなくてもよい。つまり、カシメ部15は、第1面33の内縁部36に対し、微小な隙間を空けて対向していてもよい。
次に実施形態1のヨーク一体型シャフト4の効果を説明する。図10に示すように、連通穴16の第1方向X1の第1開口部16aは、閉塞されていない。よって、連通穴16は、基部30の第1面33側の空間と連続している。連通穴16の第2方向X2の第2開口部16bは、軸部20の開放部23と連続している。よって、連通穴16は、基部30の第2面34側の空間と連続している。以上から、溶接により溶接部5を生成する際、溶接個所に供給されたシールドガスは、溶接個所に当たった後、連通穴16に流入する。その後、図10の矢印A5に示すように、シールドガスは、連通穴16を第2方向X2に流れ、軸部20の開放部23から排出される。よって、溶接個所に供給されたシールドガスは、基部30の第1面33やインナシャフト1の端面14に滞留することなく流れる。そして、溶接個所の近傍にある酸素等もシールドガスに連れられて流れる。以上から、溶接品質が高くなる。
また、図6に示すように、溶接個所は、4つの第1突起11のうち開放側第1突起11bである。言い換えると、径方向外側にアーム31が配置されていない第1突起11を溶接している。溶接作業は、軸方向から視て、基部30の第1面33の径方向外側に配置されたトーチを径方向内側に移動させ(図6の矢印A4参照)、溶接個所にトーチを対向させて行う。よって、実施形態によれば、トーチの移動経路上にアーム31が存在せず、アーム側第1突起11aを溶接する場合よりも溶接作業が容易となる。
また、図8に示すように、溶接部5は、基部30の第1面33の方に設けられている。このため、溶接時に発生するスパッタや溶接ビードは、基部30を介して溶接部5と反対側に位置する軸部20に生成されない。このため、軸部20の外周面の平滑性が確保され、軸部20の全長をアウタチューブ2に収容できるようになる。よって、軸部20のスライド有効長が長くなり、短縮時の中間シャフト85の長さが短くなる。そのほか、スパッタがコーティング層25に付着することがないため、コーティング層25の溶融を防止できる。
以上、実施形態1のヨーク一体型シャフト4は、一端が第1方向X1を指し、他端が第2方向X2を指すシャフト(インナシャフト1)と、シャフト(インナシャフト1)の一端と溶接されるヨーク3と、シャフト(インナシャフト1)とヨーク3とを溶接して生成された溶接部5と、を備える。ヨーク3は、シャフト(インナシャフト1)の軸Xと平行な軸方向に貫通する貫通孔32を有する環状体の基部30と、基部30から第1方向X1に突出する一対のアーム31、31と、を備える。シャフト(インナシャフト1)は、シャフト(インナシャフト1)の一端に位置し、基部30の貫通孔32に挿入される嵌合部10と、嵌合部10から第2方向X2に延びる軸部20と、を有する。嵌合部10は、軸Xを中心に径方向外側に突出する少なくても2つ以上の第1突起11を有する。軸部20は、第1突起11と軸方向に連続し、第1突起11と同数の第2突起21を有する。周方向に隣り合う第1突起11同士の間の空間は、軸方向に延在し、かつ基部30の第1方向X1の空間と第2方向X2の空間を連通させる連通穴16となっている。
実施形態1のヨーク一体型シャフト4によれば、溶接個所の近傍にある酸素等がシールドガスに連れられて流れる。よって、溶接品質が高く、溶接部5の接合強度が高い。
また、実施形態1のヨーク一体型シャフト4において、基部30は、第1方向X1を向く第1面33と、第2方向X2を向く第2面34と、を有する。第2突起21は、第1突起11よりも径方向外側への突出量が大きい。シャフト(インナシャフト1)は、嵌合部10と軸部20との間で第1方向X1を向く突き当て面22を有している。突き当て面22は、基部30の第2面34に当接している。
ヨーク3に対するシャフト(インナシャフト1)の軸方向の位置決めが容易となる。
また、実施形態1のヨーク一体型シャフト4において、第1突起11は、径方向外側を向く外向面12と、周方向を向く一対の周面13、13と、を有する。基部30の内周面35は、外向面12の径方向外側に位置し、外向面12と当接する当接面37と、当接面37の間を周方向に延在し、当接面37よりも小径の非当接面38と、当接面37と非当接面38との境界で径方向に延在し、第1突起11の周面13に当接する段差面39と、を有する。非当接面38は、連通穴の径方向外側を囲っている。
溶接部5が破損しても、シャフト(インナシャフト1)とヨーク3とは、相対回転することなく、確実にトルクが伝達される。
また、実施形態1のヨーク一体型シャフト4において、溶接部5の第1方向X1の表面が露出している。
シャフト(インナシャフト1)と基部30との溶接は、第1方向X1から行われているため、スパッタやビードがシャフト(インナシャフト1)の軸部20に発生しない。よって、軸部20の全長をアウタチューブ2に収容でき、短縮時の中間シャフト85の長さが短くなる。
また、実施形態1のヨーク一体型シャフト4の軸部20は、外周面を覆う樹脂製のコーティング層25を有する。
これによれば、アウタチューブ2に対する摺動性が高くなる。また、溶接が基部30の第1方向X1から行われた場合、コーティング層25にスパッタが付着しない。よって、コーティング層25の溶融を回避できる。
次に、実施形態1のヨーク一体型シャフト4の変形例を説明する。なお、以下の説明においては、上述した実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
(変形例1)
図11は、変形例1のヨーク一体型シャフトを第1方向から視た図である。図11に示すように、変形例1のヨーク一体型シャフト4Aは、カシメ部15に代えて溶接部5が設けられている点で、実施形態1のヨーク一体型シャフト4と相違する。この変形例1によれば、4つの溶接部5を備え、インナシャフト1とヨーク3との接合強度が非常に高い。また、このような変形例1であっても、溶接時に供給されるシールドガスは、連通穴16を通過して、軸部20の開放部23から排出される(図10参照)。よって、溶接個所にシールドガスが滞留せず、実施形態1と同等の効果を得ることができる。
なお、変形例1で示すように、本開示のヨーク一体型シャフトは、カシメ部15は必須の構成ではない。また、カシメ部15を備えていない場合、インナシャフト1の端面14は、基部30の第1面33よりも第1方向X1に突出させなくてもよい。言い換えると、インナシャフト1の端面14は、基部30の第1面33に対して面一であったり、又は基部30の第1面33よりも第2方向X2に位置していたりしてもよい。また、本開示のヨーク一体型シャフトにおいて、一旦、カシメ部15を形成した後、そのカシメ部15を基部30と溶接して溶接部5を生成してもよい。
(変形例2)
図12は、変形例2のヨーク一体型シャフトを第1方向から視た図である。図13は、図12のXIII-XIII線の矢視断面図である。図14は、図12のXIV-XIV線の矢視断面図である。図12に示すように、変形例1のヨーク一体型シャフト4Bは、基部30の第1面33と第1突起11との境界に溶接部5が設けられていない点で、実施形態1のヨーク一体型シャフト4と相違する。
図13、図14に示すように、溶接部5Aは、軸部20の第2突起21と基部30の第2面34との突合せ面を溶接して成る。つまり、変形例1においては、基部30の第2方向X2から溶接を行っている。また、溶接部5Aは、4つの第2突起21のそれぞれに設けられており、ヨーク一体型シャフト4Bは、合計で4つの溶接部5を備えている。よって、実施形態1のヨーク一体型シャフト4よりも接合強度が高い。また、基部30の第2面34側で溶接を行っているため、アーム31との接触がなく、溶接作業が容易となる。
一方で、第1突起11は、第1方向X1の端面14をカシメて成るカシメ部15を備えている。図12に示すように、4つの第1突起11は、それぞれがカシメ部15を備えている。このため、インナシャフト1とヨーク3との接合強度がより高くなっている。
以上、変形例1のヨーク一体型シャフト4Bによれば、溶接個所にシールドガスを供給すると、シールドガスは、溶接個所に当たった後、軸部20の開放部23に流入する。そして、シールドガスは、連通穴16を第1方向X1に流れ、基部30の第1面33の方に排出される。よって、溶接個所にシールドガスが滞留しないため、実施形態1と同等の効果を得ることができる。また、4つの溶接部5Aと4つのカシメ部15Aを有し、インナシャフト1とヨーク3との接合強度が高い。
(変形例3)
図15は、変形例3のインナシャフトとヨークとを組み合わせる前の分解斜視図である。図15に示すように、変形例3のヨーク一体型シャフト4Cは、インナシャフト1の第1突起11の外向面12が雄セレーション部17を有している点で、実施形態1のヨーク一体型シャフト4と相違する。変形例3のヨーク一体型シャフト4Cは、ヨーク3の内周面35が雌セレーション部40を有している点で、実施形態1のヨーク一体型シャフト4と相違する。
なお、内周面35は、段差面39を有しておらず、当接面37と、当接面37と同径の非当接面38と、を備える。雌セレーション部40は、内周面35の全周に亘って設けられている。よって、当接面37及び非当接面38にも雌セレーション部40が設けられている。そして、嵌合部10は、基部30の貫通孔32に挿入され、外向面12の雄セレーション部17は、当接面37の雌セレーション部40とセレーション嵌合している。よって、溶接部5(図8参照)が破損しても、インナシャフト1とヨーク3とは、相対回転することなく、確実にトルクが伝達される。
(変形例4)
図16は、変形例4のインナシャフトとヨークとを組み合わせる前の分解斜視図である。変形例4のヨーク一体型シャフト4Dは、インナシャフト1の第1突起11と第2突起21との突出量が同じとなっている点で、実施形態1のヨーク一体型シャフト4と相違する。つまり、インナシャフト1は、突き当て面22(図8参照)を有していない。
また、変形例4のヨーク一体型シャフト4Dは、ヨーク3の内周面35が円形となっている点で、実施形態1のヨーク一体型シャフト4と相違する。つまり、内周面35は、段差面39を有しておらず、当接面37と、当接面37と同径の非当接面38と、を備える。そして、嵌合部10は、基部30の貫通孔32に挿入され、外向面12は、当接面37に圧入され、嵌合している。この変形例4のヨーク一体型シャフト4Dであっても、実施形態1のヨーク一体型シャフト4と同様に、溶接個所にシールドガスが滞留しないため、溶接部5(図8参照)に接合強度が高い。
以上、実施形態1と、変形例1から変形例4とについて説明したが、本開示のヨーク一体型シャフトは、実施形態及び変形例に示した例に限定されない。例えば、基部30の内周面35の形状は、ほぼ円形状となっているが、例えば矩形状であってもよい。言い換えると、非当接面38は、円弧状に限定されず、直線状であったり、又は屈曲していたりしてもよい。つまり、周方向に隣り合う第1突起11同士との間に連通穴16を設けることができれば、特に限定されない。
また、実施形態のインナシャフト(シャフト)1の嵌合部10及び軸部20は、断面が十字形状を成し、嵌合部10は4つの第1突起11を有し、軸部20は、4つの第2突起21を有しているが、本開示のシャフトは断面形状が十字形状に限定されない。シャフトは、第1突起を少なくても2つ有していれば、基部30の内周面35に嵌合できる。よって、本開示のヨーク一体型シャフトの嵌合部は、軸を中心に径方向外側に突出する少なくても2つ以上の第1突起を有していてもよい。また、軸部は、第1突起と軸方向に連続し、第1突起と同数の第2突起を有していればよい。第2突起が第1突起と同数かつ連続していれば、第2突起が連通穴16を閉塞しないからである。
また、本開示のヨーク一体型シャフトにおいて、溶接方法は特に限定されない。また、実施形態及び変形例では、ヨーク一体型シャフトのシャフトとして、中間シャフト85のインナシャフト1に適用した例を挙げているが、本開示のヨーク一体型シャフトは、他のシャフトに適用してもよい。
1 インナシャフト(シャフト)
2 アウタチューブ
3 ヨーク
4、4A、4B、4C、4D ヨーク一体型シャフト
5、5A 溶接部
10 嵌合部
11 第1突起
11a アーム側第1突起
11b 開放側第1突起
12 外向面
13 周面
15 カシメ部
16 連通穴
16a 第1開口部
16b 第2開口部
17 雄セレーション部
20 軸部
21 第2突起
23 開放部
25 コーティング層
30 基部
31 アーム
32 貫通孔
33 第1面
34 第2面
35 内周面
37 当接面
38 非当接面
39 段差面
40 雌セレーション部
80 ステアリング装置
84 第1ユニバーサルジョイント
85 中間シャフト
86 第2ユニバーサルジョイント

Claims (7)

  1. 一端が第1方向を指し、他端が第2方向を指すシャフトと、
    前記シャフトの前記一端と溶接されるヨークと、
    前記シャフトと前記ヨークとを溶接して生成された溶接部と、
    を備え、
    前記ヨークは、
    前記シャフトの軸と平行な軸方向に貫通する貫通孔を有する環状体の基部と、
    前記基部から前記第1方向に突出する一対のアームと、
    を備え、
    前記シャフトは、
    前記シャフトの前記一端に位置し、前記基部の前記貫通孔に挿入される嵌合部と、
    前記嵌合部から前記第2方向に延びる軸部と、
    を有し、
    前記嵌合部は、前記軸を中心に径方向外側に突出する少なくても2つ以上の第1突起を有し、
    前記軸部は、前記第1突起と前記軸方向に連続し、前記第1突起と同数の第2突起を有し、
    周方向に隣り合う前記第1突起同士の間の空間は、前記軸方向に延在し、かつ前記基部の第1方向の空間と前記第2方向の空間を連通させる連通穴となっている
    ヨーク一体型シャフト。
  2. 前記基部は、
    前記第1方向を向く第1面と、
    前記第2方向を向く第2面と、
    を有し、
    前記第2突起は、前記第1突起よりも径方向外側への突出量が大きく、
    前記シャフトは、前記嵌合部と前記軸部との間で前記第1方向を向く突き当て面を有し、
    前記突き当て面は、前記基部の前記第2面に当接している
    請求項1に記載のヨーク一体型シャフト。
  3. 前記第1突起は、
    径方向外側を向く外向面と、
    周方向を向く一対の周面と、
    を有し、
    前記基部の内周面は、
    前記外向面の径方向外側に位置し、前記外向面と当接する当接面と、
    前記当接面の間を周方向に延在し、前記当接面よりも小径の非当接面と、
    前記当接面と前記非当接面との境界で径方向に延在し、前記第1突起の前記周面に当接する段差面と、
    を有し、
    前記非当接面は、連通穴の径方向外側を囲っている
    請求項1又は請求項2に記載のヨーク一体型シャフト。
  4. 前記第1突起は、
    径方向外側を向く外向面と、
    周方向を向く一対の周面と、
    を有し、
    前記基部の内周面は、全周に亘って設けられた雌セレーション部を有し、
    前記第1突起の外向面は、雄セレーション部を有している
    請求項1又は請求項2に記載のヨーク一体型シャフト。
  5. 前記溶接部の前記第1方向の表面が露出している
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のヨーク一体型シャフト。
  6. 前記軸部は、外周面を覆う樹脂製のコーティング層を有する
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のヨーク一体型シャフト。
  7. 前記嵌合部及び前記軸部は、断面が十字形状を成し、
    前記嵌合部は、4つの前記第1突起を有し、
    前記軸部は、4つの前記第2突起を有する
    請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のヨーク一体型シャフト。
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