JP2022091095A - 組成物、膜、有機光電変換素子、及び光検出素子 - Google Patents

組成物、膜、有機光電変換素子、及び光検出素子 Download PDF

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Abstract

【課題】均一かつ所定の厚みの膜であって、絶縁材料を加えたとしても特性の変化が小さい膜を得ることができる、p型半導体材料及びn型半導体材料を含むインク組成物を提供する。【解決手段】p型半導体材料と、n型半導体材料と、絶縁材料と、溶媒とを含む組成物であって、n型半導体材料が非フラーレン化合物を含み、絶縁材料が下記式(I)で表される重合体を含む組成物。TIFF2022091095000056.tif30166【選択図】なし

Description

本発明は、組成物、膜、有機光電変換素子、及び光検出素子に関する。
p型半導体材料及びn型半導体材料を含む有機膜は、例えば、光電変換素子に含まれる活性層として用いられる。
有機膜を含む光電変換素子は、例えば、省エネルギー、二酸化炭素の排出量の低減の観点から極めて有用な発電デバイス、あるいは高感度な光センサーの光検出素子として、注目されている。
p型半導体材料及びn型半導体材料を含む有機膜を、インクとしての組成物を用いた塗布により形成する場合、均一な厚さの膜を簡便に製造できるスピンコート法が、一般に用いられている。スピンコート法は、基板上にインクを滴下した後、基板を高速回転させてインクを基板上に展開させることで膜を作製する方法である。スピンコート法では、膜厚の均一性を高める為に、塗布の際の回転速度が高く設定されるが、反面、高速回転条件では膜厚が小さくなる。例えば光検出素子では、リーク電流を抑える為に、有機膜の厚みを数100nm~数μmと大きくする必要があり、スピンコート法を用いる場合は、インクの濃度を高くすること、あるいは粘度を高くすることが通常必要とされる。
例えば、特許文献1では有機膜を塗布法により形成する材料として、有機半導体材料及び溶媒に加えて、絶縁性のポリマー粒子を含む組成物が用いられている。
非特許文献1では、有機半導体材料としてP3HT及びPCBM、絶縁材料としてPMMA、並びに溶媒を含む組成物が開示されている。
特表2018-525487号公報
Adv.Electron.Mater.、2018、4、1700345
しかし、前記のいずれの文献においても、絶縁材料を添加することでインクの固形分を高濃度とすること及びインクを高粘度とすることによるプロセス性改善は見込まれるが、ポリマー粒子を含まないインクに比べ、有機光電変換素子の光電流特性が低下するという問題があった。
また、p型半導体材料及びn型半導体材料を含む膜を塗布法により形成する工程において、調製後、長期間保管された組成物を使用する場合がある。このような場合において、組成物の粘度が大きく変動すると、所定の厚みの膜を得るための塗布条件を、当初の設定から大きく変更する必要が生じる場合がある。しかし、安定した品質の膜を製造するためには、塗布条件を大きく変更しないことが好ましい。したがって、粘度の経時変化が少ない組成物が求められる。
本発明は、均一かつ所定の厚みの膜であって、絶縁材料を加えたとしても特性の変化が小さい膜を得ることができる、p型半導体材料及びn型半導体材料を含む組成物;当該組成物から製造されうる膜;当該膜を含む有機光電変換素子;当該有機光電変換素子を含む光検出素子を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、p型半導体材料と、n型半導体材料と、絶縁材料と、溶媒とを含む組成物であって、前記n型半導体材料が非フラーレン化合物を含む組成物により、前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下を提供する。
[1] p型半導体材料と、n型半導体材料と、絶縁材料と、溶媒とを含む組成物であって、前記n型半導体材料が非フラーレン化合物を含む、組成物。
[2] 前記絶縁材料が、前記溶媒に25℃で0.1重量%以上溶解する材料である、[1]に記載の組成物。
[3] 前記絶縁材料が、下記式(I)で表される構成単位を含む重合体を含む、[1]又は[2]に記載の組成物。
Figure 2022091095000001
(式(I)中、
i1は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素原子数1~20のアルキル基を表し、
i2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、下記式(II-1)で表される基、式(II-2)で表される基、又は式(II-3)で表される基を表す。
Figure 2022091095000002
(式(II-1)中、
複数あるRi2aは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素原子数1~20のアルキル基を表す。)
Figure 2022091095000003
(式(II-2)中、
i2bは、水素原子又は炭素原子数1~20のアルキル基を表す。)
Figure 2022091095000004
(式(II-3)中、
i2cは、炭素原子数1~20のアルキル基を表す。))
[4] 前記p型半導体材料が、下記式(III)で表される構成単位及び下記式(IV)で表される構成単位からなる群より選択される一種以上の構成単位を含む重合体を含む、[1]~[3]のいずれか一項に記載の組成物。
Figure 2022091095000005
(式(III)中、
Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい3価の芳香族複素環基を表す。
Zは、下記式(Z-1)~式(Z-7)で表される基を表す。
Figure 2022091095000006
(式(Z-1)~(Z-7)中、
Rは、
水素原子、
ハロゲン原子、
置換基を有していてもよいアルキル基、
置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
置換基を有していてもよいアルケニル基、
置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
置換基を有していてもよいアルキニル基、
置換基を有していてもよいシクロアルキニル基、
置換基を有していてもよいアリール基、
置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいアリールオキシ基、
置換基を有していてもよいアルキルチオ基、
置換基を有していてもよいシクロアルキルチオ基、
置換基を有していてもよいアリールチオ基、
置換基を有していてもよい1価の複素環基、
置換基を有していてもよい置換アミノ基、
置換基を有していてもよいイミン残基、
置換基を有していてもよいアミド基、
置換基を有していてもよい酸イミド基、
置換基を有していてもよい置換オキシカルボニル基、
シアノ基、
ニトロ基、
-C(=O)-Rで表される基、又は
-SO-Rで表される基を表し、
及びRは、それぞれ独立して、
水素原子、
置換基を有していてもよいアルキル基、
置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
置換基を有していてもよいアリール基、
置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいアリールオキシ基、又は
置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
式(Z-1)~式(Z-7)中、Rが2つある場合、2つあるRは同一であっても異なっていてもよい。))

-Ar- (IV)
(式(IV)中、Arは2価の芳香族複素環基を表す。)

[5] p型半導体材料と、n型半導体材料と、絶縁材料とを含み、前記n型半導体材料は非フラーレン化合物を含む、膜。
[6] 第一の電極と、[5]に記載の膜と、第二の電極とをこの順で含む、有機光電変換素子。
[7] [6]に記載の有機光電変換素子を含む、光検出素子。
本発明によれば、均一かつ所定の厚みの膜であって、絶縁材料を加えたとしても特性の変化が小さい膜を得ることができる、p型半導体材料及びn型半導体材料を含む組成物;当該組成物から製造されうる膜;当該膜を含む有機光電変換素子;当該有機光電変換素子を含む光検出素子が提供される。
図1は、光電変換素子の構成例を模式的に示す図である。 図2は、イメージ検出部の構成例を模式的に示す図である。 図3は、指紋検出部の構成例を模式的に示す図である。 図4は、X線撮像装置用のイメージ検出部の構成例を模式的に示す図である。 図5は、静脈認証装置用の静脈検出部の構成例を模式的に示す図である。 図6は、間接方式のTOF型測距装置用イメージ検出部の構成例を模式的に示す図である。
[共通する用語の説明]
以下の説明において共通して用いられる用語等についてまず説明する。
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が、1×10以上1×10以下である重合体を意味する。なお、重合体に含まれる構成単位は、合計100モル%である。
「構成単位」とは、重合体が有する構造の単位を意味する。
「水素原子」は、軽水素原子であっても、重水素原子であってもよい。
「ハロゲン原子」の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
「置換基を有していてもよい」態様には、化合物又は基を構成するすべての水素原子が無置換の場合、及び1個以上の水素原子の一部又は全部が置換基によって置換されている場合の両方の態様が含まれる。
置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、1価の複素環基、置換アミノ基、アシル基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、置換オキシカルボニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、及びニトロ基が挙げられる。
「アルキル基」は、直鎖状でもあってもよく、分岐状であってもよい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まないで、通常1~50、好ましくは1~30、より好ましくは1~20である。
アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、3-メチルブチル基、2-エチルブチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-プロピルヘプチル基、n-デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、3-ヘプチルドデシル基、2-エチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、ドデシル基、n-テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基、イコシル基などの、置換基を有さないアルキル基、及びこれらの基における水素原子が、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子などの置換基で置換された基が挙げられる。
置換基を有するアルキルの具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3-フェニルプロピル基、3-(4-メチルフェニル)プロピル基、3-(3,5-ジヘキシルフェニル)プロピル基、6-エチルオキシヘキシル基が挙げられる。
「シクロアルキル基」は、単環の基であってもよく、多環の基であってもよい。シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。シクロアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まないで、通常3~30であり、好ましくは3~20である。
シクロアルキル基の例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、アダマンチル基などの、置換基を有さないアルキル基、及びこれらの基における水素原子が、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子などの置換基で置換された基が挙げられる。
置換基を有するシクロアルキル基の具体例としては、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基が挙げられる。
「アルケニル基」は、直鎖状でもあってもよく、分岐状であってもよい。アルケニル基は、置換基を有していてもよい。アルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まないで、通常2~30であり、好ましくは2~20である。
アルケニル基の例としては、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、7-オクテニル基などの、置換基を有さないアルケニル基、及びこれらの基における水素原子が、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子などの置換基で置換された基が挙げられる。
「シクロアルケニル基」は、単環の基であってもよく、多環の基であってもよい。シクロアルケニル基は、置換基を有していてもよい。シクロアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まないで、通常3~30であり、好ましくは3~20である。
シクロアルケニル基の例としては、シクロヘキセニル基などの、置換基を有さないシクロアルケニル基、及びこれらの基における水素原子が、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子などの置換基で置換された基が挙げられる。
置換基を有するシクロアルケニル基の例としては、メチルシクロヘキセニル基、及びエチルシクロヘキセニル基が挙げられる。
「アルキニル基」は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。アルキニル基は、置換基を有していてもよい。アルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まないで、通常2~30であり、好ましくは2~20である。
アルキニル基の例としては、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、5-ヘキシニル基などの、置換基を有さないアルキニル基、及びこれらの基における水素原子が、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子などの置換基で置換された基が挙げられる。
「シクロアルキニル基」は、単環の基であってもよく、多環の基であってもよい。シクロアルキニル基は、置換基を有していてもよい。シクロアルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まないで、通常4~30であり、好ましくは4~20である。
シクロアルキニル基の例としては、シクロヘキシニル基などの置換基を有さないシクロアルキニル基、及びこれらの基における水素原子が、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子などの置換基で置換された基が挙げられる。
置換基を有するシクロアルキニル基の例としては、メチルシクロヘキシニル基、及びエチルシクロヘキシニル基が挙げられる。
「アルキルオキシ基」は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。アルキルオキシ基は、置換基を有していてもよい。アルキルオキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まないで、通常1~30であり、好ましくは1~20である。
アルキルオキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、3-ヘプチルドデシルオキシ基、ラウリルオキシ基などの、置換基を有さないアルキルオキシ基、及びこれらの基における水素原子が、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子等の置換基で置換された基が挙げられる。
「シクロアルキルオキシ基」が有するシクロアルキル基は、単環の基であってもよく、多環の基であってもよい。シクロアルキルオキシ基は、置換基を有していてもよい。シクロアルキルオキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まないで、通常3~30であり、好ましくは3~20である。
シクロアルキルオキシ基の例としては、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基などの、置換基を有さないシクロアルキルオキシ基、及びこれらの基における水素原子が、フッ素原子、アルキル基などの置換基で置換された基が挙げられる。
「アルキルチオ基」は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。アルキルチオ基は、置換基を有していてもよい。アルキルチオ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まないで、通常1~30であり、好ましくは1~20である。
置換基を有していてもよいアルキルチオ基の例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n-ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基、n-ヘプチルチオ基、n-オクチルチオ基、2-エチルヘキシルチオ基、n-ノニルチオ基、n-デシルチオ基、3,7-ジメチルオクチルチオ基、3-ヘプチルドデシルチオ基、ラウリルチオ基、及びトリフルオロメチルチオ基が挙げられる。
「シクロアルキルチオ基」が有するシクロアルキル基は、単環の基であってもよく、多環の基であってもよい。シクロアルキルチオ基は、置換基を有していてもよい。シクロアルキルチオ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まないで、通常3~30であり、好ましくは3~20である。
置換基を有していてもよいシクロアルキルチオ基の例としては、シクロヘキシルチオ基が挙げられる。
「p価の芳香族炭素環基」とは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子p個を除いた残りの原子団を意味する。p価の芳香族炭素環基は、置換基を更に有していてもよい。
「アリール基」は、1価の芳香族炭素環基を意味する。アリール基は置換基を有していてもよい。アリール基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まないで、通常6~60であり、好ましくは6~48である。
アリール基の例としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、4-フルオレニル基、2-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、4-フェニルフェニル基などの、置換基を有さないアリール基、及びこれらの基における水素原子が、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子などの置換基で置換された基が挙げられる。
「アリールオキシ基」は、置換基を有していてもよい。アリールオキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まないで、通常6~60であり、好ましくは6~48である。
アリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、1-アントラセニルオキシ基、9-アントラセニルオキシ基、1-ピレニルオキシ基などの、置換基を有さないアリールオキシ基、及びこれらの基における水素原子が、アルキル基、アルキルオキシ基、フッ素原子などの置換基で置換された基が挙げられる。
「アリールチオ基」は、置換基を有していてもよい。アリールチオ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まないで、通常6~60であり、好ましくは6~48である。
置換基を有していてもよいアリールチオ基の例としては、フェニルチオ基、C1~C12アルキルオキシフェニルチオ基、C1~C12アルキルフェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基、及びペンタフルオロフェニルチオ基が挙げられる。「C1~C12」は、その直後に記載された基の炭素原子数が1~12であることを示す。さらに、「Cm~Cn」は、その直後に記載された基の炭素原子数がm~nであることを示す。以下も同様である。
「p価の複素環基」(pは、1以上の整数を表す。)は、置換基を有していてもよい複素環式化合物から環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合する水素原子のうちのp個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。「p価の複素環基」には、「p価の芳香族複素環基」が含まれる。「p価の芳香族複素環基」は、置換基を有していてもよい芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちのp個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。
芳香族複素環式化合物には、複素環自体が芳香族性を示す化合物に加えて、複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環している化合物が包含される。
芳香族複素環式化合物のうち、複素環自体が芳香族性を示す化合物の具体例としては、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、及びジベンゾホスホールが挙げられる。
芳香族複素環式化合物のうち、複素環自体が芳香族性を示さず、複素環に芳香環が縮環している化合物の具体例としては、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、及びベンゾピランが挙げられる。
p価の複素環基は、置換基を有していてもよい。p価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まないで、通常2~60であり、好ましくは2~20である。
1価の複素環基の例としては、1価の芳香族複素環基(例、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリミジニル基、トリアジニル基)、1価の非芳香族複素環基(例、ピペリジル基、ピペラジル基)、及びこれらの基における水素原子が、アルキル基、アルキルオキシ基、フッ素原子などの置換基で置換された基が挙げられる。
「置換アミノ基」は、置換基を有するアミノ基を意味する。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、アリール基、及び1価の複素環基が好ましい。置換アミノ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2~30である。
置換アミノ基の例としては、ジアルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基)、ジアリールアミノ基(例、ジフェニルアミノ基、ビス(4-メチルフェニル)アミノ基、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)アミノ基)が挙げられる。
「アシル基」は、置換基を有していてもよい。アシル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2~20であり、好ましくは2~18である。アシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、及びペンタフルオロベンゾイル基が挙げられる。
「イミン残基」とは、イミン化合物から、炭素原子-窒素原子二重結合を構成する炭素原子又は窒素原子に直接結合する水素原子を1個除いた残りの原子団を意味する。「イミン化合物」とは、分子内に、炭素原子-窒素原子二重結合を有する有機化合物を意味する。イミン化合物の例としては、アルジミン、ケチミン、及びアルジミン中の炭素原子-窒素原子二重結合を構成する窒素原子に結合している水素原子が、アルキル基などで置換された化合物が挙げられる。
イミン残基の炭素原子数は、通常2~20であり、好ましくは2~18である。イミン残基の例としては、下記の構造式で表される基が挙げられる。
Figure 2022091095000007
「アミド基」とは、アミドから窒素原子に結合した水素原子を1個除いた残りの原子団を意味する。アミド基の炭素原子数は、通常1~20であり、好ましくは1~18である。アミド基の具体例としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、及びジペンタフルオロベンズアミド基が挙げられる。
「酸イミド基」とは、酸イミドから窒素原子に結合した水素原子を1個除いた残りの原子団を意味する。酸イミド基の炭素原子数は、通常4~20である。酸イミド基の具体例としては、下記の構造式で表される基が挙げられる。
Figure 2022091095000008
「置換オキシカルボニル基」とは、R’-O-(C=O)-で表される基を意味する。ここで、R’は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、又は1価の複素環基を表し、これらは置換基を有していてもよい。
置換オキシカルボニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2~60であり、好ましくは2~48である。
置換オキシカルボニル基の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2-エチルヘキシルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、3,7-ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、及びピリジルオキシカルボニル基が挙げられる。
「アルキルスルホニル基」は、直鎖状でもあってもよく、分岐状であってもよい。アルキルスルホニル基は、置換基を有していてもよい。アルキルスルホニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~30である。アルキルスルホニル基の具体例としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、及びドデシルスルホニル基が挙げられる。
化学式に付される「*」は、結合手を表す。
「π共役系」とは、π電子が複数の結合に非局在化している系を意味する。
用語「(メタ)アクリル」は、アクリル、メタクリル、及びその組み合わせを包含する。
[1.組成物]
本発明の一実施形態に係る組成物は、p型半導体材料と、n型半導体材料と、絶縁材料と、溶媒とを含む組成物であって、前記n型半導体材料は非フラーレン化合物を含む。
絶縁材料を含む組成物とすることによって、組成物の固形分の濃度および/または粘度を高めることが可能となり、組成物の塗布工程における製膜性を向上させ得る。
n型半導体材料に非フラーレン化合物を含む組成物とすることによって、組成物に絶縁材料を含有させた場合に生じ得る、組成物から製造される膜における特性の低下を抑制できる。
本発明の組成物はフラーレン化合物を含有し得るが、非フラーレン化合物からなるn型半導体材料は以下の観点からフラーレン化合物のみからなるn型半導体材料に対して効果を奏するものと考えられる。
絶縁材料を含む組成物における光電変換特性の低下抑制に関して、n型半導体材料としてフラーレン化合物のみを用いる一般的な従来技術と、非フラーレン化合物を用いる本発明との効果の違いについて述べる。有機膜における光電変換は、p型半導体材料とn型半導体材料の界面(pn界面)ごく近傍で生じることが知られている。その為、より高い光電変換特性を発現する為には、有機膜中でp型半導体材料とn型半導体材料とが微細に相分離された構造が好ましい。ここで、従来技術でごく一般的なn型半導体材料として用いられるフラーレン化合物は、3次元に嵩高い骨格を有する為、凝集が進行すると容易にμmサイズの粗大な粒子を形成する。本発明における絶縁材料を含有させた組成物の場合、固形分の濃度及び/又は粘度が高い状態では、溶液中でのフラーレン化合物の分散が制約を受け、インク中での凝集が進行する。得られる有機膜中の相分離は粗大な構造となり、pn界面面積が小さい為、低い光電変換特性となると考えられる。一方、本発明ではn型半導体材料として非フラーレン化合物を用いることで、組成物の濃度及び粘度が高い状態でも、n型半導体材料の凝集及び粗大化が進行せず、絶縁材料を添加した場合にも微細な相分離が得られ、高い光電変換特性が得られると考えられる。しかし、前記推測は、本発明を限定するものではない。
[1.1.p型半導体材料及びn型半導体材料]
本実施形態の組成物は、p型半導体材料及びn型半導体材料を含む。p型半導体材料は、少なくとも一種の電子供与性化合物を含み、n型半導体材料は、少なくとも一種の電子受容性化合物を含む。組成物に含まれる半導体材料が、p型半導体材料及びn型半導体材料のうちのいずれとして機能するかは、選択された化合物のHOMOエネルギーレベルの値又はLUMOエネルギーの値から相対的に決定し得る。p型半導体材料のHOMO及びLUMOのエネルギーレベルの値と、n型半導体材料のHOMO及びLUMOのエネルギーレベルの値との関係は、組成物から製造される膜が、所望の機能(例えば、光電変換機能、光検出機能)を発揮する範囲に適宜設定することができる。
組成物中、p型半導体材料及びn型半導体材料は溶解していても分散していてもよい。p型半導体材料及びn型半導体材料は、好ましくは少なくとも一部が溶解しているか、より好ましくは全部が溶解している。
(p型半導体材料)
p型半導体材料は、好ましくは高分子化合物である。高分子化合物であるp型半導体材料の例としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を含むポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、下記式(III)で表される構成単位及び下記式(IV)で表される構成単位からなる群より選択される一種以上の構成単位を含む重合体が挙げられる。
本実施形態に係る組成物は、p型半導体材料として、一種の化合物のみを含んでいても、複数種の化合物を含んでいてもよい。
本実施形態に係るp型半導体材料は、下記式(III)で表される構成単位及び下記式(IV)で表される構成単位からなる群より選択される一種以上の構成単位を含む重合体を含むことが好ましい。
以下、式(III)で表される構成単位及び式(IV)で表される構成単位からなる群より選択される一種以上の構成単位を含む重合体を、重合体(3/4)ともいう。
重合体(3/4)における、式(III)で表される構成単位及び式(IV)で表される構成単位の合計量は、重合体(3/4)が含むすべての構成単位の量を100モル%とすると、好ましくは20モル%~100モル%であり、p型半導体材料としての電荷輸送性を向上させることができるので、より好ましくは40モル%~100モル%であり、更に好ましくは50モル%~100モル%である。
一実施形態において、p型半導体材料は、下記式(III)で表される構成単位を含む重合体を含むことが好ましい。以下、式(III)で表される構成単位を含む重合体を、重合体(3)ともいう。p型半導体材料は、重合体(3)を一種のみ含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。また、重合体(3)は、式(III)で表される構成単位を、一種のみ含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。
重合体(3)は、後述する式(IV)で表される構成単位を更に含んでいてもよい。
Figure 2022091095000009
式(III)中、Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい3価の芳香族複素環基を表す。
Zは、下記式(Z-1)~式(Z-7)で表される基を表す。
Figure 2022091095000010
式(Z-1)~(Z-7)中、Rは、
水素原子、
ハロゲン原子、
置換基を有していてもよいアルキル基、
置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
置換基を有していてもよいアルケニル基、
置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
置換基を有していてもよいアルキニル基、
置換基を有していてもよいシクロアルキニル基、
置換基を有していてもよいアリール基、
置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいアリールオキシ基、
置換基を有していてもよいアルキルチオ基、
置換基を有していてもよいシクロアルキルチオ基、
置換基を有していてもよいアリールチオ基、
置換基を有していてもよい1価の複素環基、
置換基を有していてもよい置換アミノ基、
置換基を有していてもよいイミン残基、
置換基を有していてもよいアミド基、
置換基を有していてもよい酸イミド基、
置換基を有していてもよい置換オキシカルボニル基、
シアノ基、
ニトロ基、
-C(=O)-Rで表される基、又は
-SO-Rで表される基を表し、
及びRは、それぞれ独立して、
水素原子、
置換基を有していてもよいアルキル基、
置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
置換基を有していてもよいアリール基、
置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいアリールオキシ基、又は
置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
式(Z-1)~式(Z-7)中、Rが2つある場合、2つあるRは同一であっても異なっていてもよい。
Ar又はArにより表される3価の芳香族複素環基を構成する芳香族複素環の例としては、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、チオフェン環、ピロール環、ホスホール環、フラン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、及びジベンゾホスホール環、並びに、フェノキサジン環、フェノチアジン環、ジベンゾボロール環、ジベンゾシロール環、及びベンゾピラン環が挙げられる。これらの環は、置換基を有していてもよい。
Zは、好ましくは、式(Z-4)、(Z-5)、(Z-6)、及び(Z-7)のいずれかで表される基であり、より好ましくは式(Z-4)又は(Z-5)で表される基である。
式(Z-1)~(Z-7)中のRは、好ましくは水素原子、アルキル基、又はアリール基であり、より好ましくは水素原子又はアルキル基であり、更に好ましくは、水素原子又は炭素原子数1~40のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子又は炭素原子数1~30のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子又は炭素原子数1~20のアルキル基である。これらの基は、置換基を有していてもよい。Rが複数存在する場合、複数存在するRは、互いに同一でも、異なっていてもよい。
一実施形態において、式(III)で表される構成単位としては、下記式(III-T1)~(III-T5)のいずれかで表される構成単位が好ましく、式(III-T4)又は(III-T5)で表される構成単位がより好ましい。
Figure 2022091095000011
前記式(III-T1)~(III-T5)において、Rは式(Z-1)~(Z-7)における定義と同じである。Rが複数存在する場合、複数存在するRは、互いに同一でも、異なっていてもよい。式(III-T1)~(III-T5)における好ましいRは、式(Z-1)~(Z-7)における好ましいRとして挙げた基と同様である。
一実施形態において、式(III)で表される構成単位としては、下記式(III-1)又は(III-2)で表される構成単位が好ましい。
Figure 2022091095000012
式(III-1)及び式(III-2)中、X及びXは、それぞれ独立して、硫黄原子又は酸素原子であり、Z及びZは、それぞれ独立して、=C(R)-で表される基又は窒素原子であり、Rは、式(Z-1)~(Z-7)における定義と同じである。複数存在するRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
式(III-1)で表される構成単位としては、X及びXが硫黄原子であり、Z及びZが=C(R)-で表される基である構成単位が好ましい。Z及びZとしての=C(R)-で表される基におけるRは、好ましくは水素原子である。
式(III-2)で表される構成単位としては、X及びXが硫黄原子であり、Z及びZが=C(R)-で表される基である構成単位が好ましい。Z及びZとしての=C(R)-で表される基におけるRは、好ましくは水素原子である。
構成単位(III-1)の例として、下記式(III-1-1)~(III-1-14)で表される構成単位が挙げられる。下記式(III-1-1)~(III-1-14)中、Rは、式(Z-1)~(Z-7)における定義と同じである。複数存在するRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
中でも、式(III-1-1)で表される構成単位が好ましい。
Figure 2022091095000013
構成単位(III-2)の例として、下記式(III-2-1)~(III-2-14)で表される構成単位が挙げられる。下記式(III-2-1)~(III-2-14)中、Rは、式(Z-1)~(Z-7)における定義と同じである。複数存在するRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
中でも、式(III-2-1)で表される構成単位が好ましい。
Figure 2022091095000014
また別の実施形態に係るp型半導体材料は、下記式(IV)で表される構成単位を含む重合体を含むことが好ましい。以下、式(IV)で表される構成単位を含む重合体を、重合体(4)ともいう。p型半導体材料は、重合体(4)を一種のみ含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。また、重合体(4)は、式(IV)で表される構成単位を一種のみ含んでいてもよく、二種以上含んでいてもよい。
-Ar- (IV)
式(IV)中、Arは2価の芳香族複素環基を表す。
Arで表される2価の芳香族複素環基の炭素原子数は、通常2~60であり、好ましくは4~60であり、より好ましくは4~20である。Arで表される2価の芳香族複素環基は置換基を有していてもよい。
式(IV)で表される構成単位としては、下記式(IV-1)~(IV-8)のいずれかで表される構成単位が好ましい。
Figure 2022091095000015
式(IV-1)~式(IV-8)中、X、X、Z、Z及びRは、式(III-1)及び式(III-2)における定義と同じである。Rが2つある場合、2つあるRは、同一であっても異なっていてもよい。
式(IV-6)中、2つのRは、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又はハロゲン原子であり、より好ましくは、同時に水素原子又はハロゲン原子であり、更に好ましくは、同時にハロゲン原子である。
原料化合物の入手性の観点から、式(IV-1)~式(IV-8)中のX及びXは、いずれも硫黄原子であることが好ましい。
Arで表される2価の芳香族複素環基の具体例としては、下記式(101)~式(190)で表される基及びこれらの基が置換基により置換された基が挙げられる。置換基としては、ハロゲン原子及びアルキル基が好ましい。中でも、式(148)又は式(190)で表される基が好ましい。
Figure 2022091095000016
Figure 2022091095000017
Figure 2022091095000018
Figure 2022091095000019
式(101)~式(190)中、Rは前記と同義である。Rが複数ある場合、複数あるRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
好ましくは、重合体(3/4)は、下記構成単位の組み合わせのいずれかを含む。
・式(III-2)で表される構成単位及び式(IV-6)で表される構成単位の組み合わせ
・式(III-2)で表される構成単位及び式(IV-8)で表される構成単位の組み合わせ
より好ましくは、重合体(3/4)は、下記構成単位の組み合わせのいずれかを含む。
・式(III-2-1)で表される構成単位及び式(148)で表される構成単位の組み合わせ
・式(III-2-1)で表される構成単位及び式(190)で表される構成単位の組み合わせ
本実施形態におけるp型半導体材料である高分子化合物の具体例としては、下記式(P-1)~(P-3)で表される高分子化合物が挙げられる。
Figure 2022091095000020
(n型半導体材料)
本実施形態に係るn型半導体材料は、フラーレン化合物ではない化合物を含む。フラーレン化合物とは、フラーレン及びフラーレン誘導体を意味する。フラーレン化合物ではない化合物を、以下、非フラーレン化合物ともいう。非フラーレン化合物であるn型半導体材料として、多種の化合物が公知であり、それらを本実施形態に係るn型半導体材料として用いることができる。
本実施形態に係る組成物は、n型半導体材料として、一種の化合物のみを含んでいても、複数種の化合物を含んでいてもよい。
本実施形態に係るn型半導体材料は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。n型半導体材料(電子受容性化合物)の例としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8-ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、並びに、バソクプロイン等のフェナントレン誘導体が挙げられる。
一実施形態において、n型半導体材料に含まれる非フラーレン化合物は、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド構造を含む化合物であることが好ましい。非フラーレン化合物としてのペリレンテトラカルボン酸ジイミド構造を含む化合物の例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022091095000021
Figure 2022091095000022
Figure 2022091095000023
Figure 2022091095000024
式中、Rは、前記定義のとおりである。複数あるRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
一実施形態において、n型半導体材料は、好ましくは、下記式(V)で表される化合物を含む。下記式(V)で表される化合物は、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド構造を含む非フラーレン化合物である。
Figure 2022091095000025
前記式(V)中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよい1価の芳香族複素環基を表す。複数あるRは互いに同一であっても異なっていてもよい。
好ましくは、複数あるRは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいアルキル基である。
は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよい1価の芳香族複素環基を表す。複数あるRは同一であっても異なっていてもよい。
式(V)で表される化合物の好ましい例として、下記式N-1で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022091095000026
一実施形態において、n型半導体材料は、下記式(VI)で表される化合物を含むことが好ましい。

-B10-A (VI)
式(VI)中、
及びAは、それぞれ独立して、電子求引性の基を表し、B10は、π共役系を含む基を表す。
及びAである電子求引性の基の例としては、-CH=C(-CN)で表される基、及び下記式(a-1)~式(a-9)で表される基が挙げられる。
Figure 2022091095000027
式(a-1)~式(a-7)中、
Tは、置換基を有していてもよい炭素環、又は置換基を有していてもよい複素環を表す。炭素環及び複素環は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。これらの環が置換基を複数有する場合、複数ある置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
Tである置換基を有していてもよい炭素環の例としては、芳香族炭素環が挙げられ、好ましくは芳香族炭素環である。Tである置換基を有していてもよい炭素環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、及びフェナントレン環が挙げられ、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、及びフェナントレン環であり、より好ましくはベンゼン環及びナフタレン環であり、さらに好ましくはベンゼン環である。これらの環は、置換基を有していてもよい。
Tである置換基を有していてもよい複素環の例としては、芳香族複素環が挙げられ、好ましくは芳香族複素環である。Tである置換基を有していてもよい複素環の具体例としては、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、及びチエノチオフェン環が挙げられ、好ましくはチオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、チアゾール環、及びチエノチオフェン環であり、より好ましくはチオフェン環である。これらの環は、置換基を有していてもよい。
Tである炭素環又は複素環が有し得る置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、及び1価の複素環基が挙げられ、好ましくはフッ素原子、及び/又は炭素原子数1~6のアルキル基である。
、X、及びXは、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、アルキリデン基、又は=C(-CN)で表される基を表し、好ましくは、酸素原子、硫黄原子、又は=C(-CN)で表される基である。
は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいアリール基又は1価の複素環基を表す。
a1、Ra2、Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいアリール基又は1価の複素環基を表し、好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基である。
Figure 2022091095000028
式(a-8)及び式(a-9)中、Ra6及びRa7は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい1価の芳香族炭素環基、又は置換基を有していてもよい1価の芳香族複素環基を表し、複数あるRa6及びRa7は、同一であっても異なっていてもよい。
及びAである電子求引性の基としては、下記の式(a-1-1)~式(a-1-4)並びに式(a-6-1)及び式(a-7-1)のいずれかで表される基が好ましく、式(a-1-1)で表される基がより好ましい。ここで、複数あるRa10は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を表し、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立して、前記と同義であり、好ましくはそれぞれ独立して置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
Figure 2022091095000029
10であるπ共役系を含む基の例としては、後述する式(VII)で表される化合物における、-(Sn1-B11-(Sn2-で表される基が挙げられる。
一実施形態において、n型半導体材料は、下記式(VII)で表される化合物であることが好ましい。

-(Sn1-B11-(Sn2-A (VII)
式(VII)中、A及びAは、それぞれ独立して、電子求引性の基を表す。A及びAの例及び好ましい例は、前記式(VI)におけるA及びAについて説明した例及び好ましい例と同様である。
及びSは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭素環基、置換基を有していてもよい2価の複素環基、-C(Rs1)=C(Rs2)-で表される基(ここで、Rs1及びRs2は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換基(好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。)、又は-C≡C-で表される基を表す。
及びSにより表される、置換基を有していてもよい2価の炭素環基及び置換基を有していてもよい2価の複素環基は、縮合環であってもよい。2価の炭素環基又は2価の複素環基が、複数の置換基を有する場合、複数ある置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
式(VII)中、n1及びn2は、それぞれ独立して、0以上の整数を表し、好ましくはそれぞれ独立して、0又は1を表し、より好ましくは、同時に0又は1を表す。
2価の炭素環基の例としては、2価の芳香族炭素環基が挙げられる。
2価の複素環基の例としては、2価の芳香族複素環基が挙げられる。
2価の芳香族炭素環基又は2価の芳香族複素環基が縮合環である場合、縮合環を構成する環の全部が芳香族性を有する縮合環であってもよく、一部のみが芳香族性を有する縮合環であってもよい。
及びSの例としては、既に説明したArで表される2価の芳香族複素環基の例として挙げられた式(101)~(190)のいずれかで表される基、及びこれらの基における水素原子が置換基で置換された基が挙げられる。
及びSは、好ましくは、それぞれ独立して、下記式(s-1)又は(s-2)で表される基を表す。
Figure 2022091095000030
式(s-1)及び(s-2)中、
は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
a10は、前記定義のとおりである。
及びSは、好ましくは、それぞれ独立して、式(142)、式(148)、若しくは式(184)で表される基、又はこれらの基における水素原子が置換基で置換された基であり、より好ましくは、前記式(142)若しくは式(184)で表される基、又は式(184)で表される基における1つの水素原子が、アルキルオキシ基で置換された基である。
11は、炭素環構造及び複素環構造からなる群から選択された2以上の構造の縮合環基であり、かつオルト-ペリ縮合構造を含まない縮合環基であり、かつ置換基を有していてもよい縮合環基を表す。
11で表される縮合環基は、互いに同一である2以上の構造を縮合した構造を含んでいてもよい。
11で表される縮合環基が複数の置換基を有する場合、複数ある置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
11で表される縮合環基を構成し得る炭素環構造の例としては、下記式(Cy1)又は式(Cy2)で表される環構造が挙げられる。
Figure 2022091095000031
11で表される縮合環基を構成し得る複素環構造の例としては、下記式(Cy3)~式(Cy10)のいずれかで表される環構造が挙げられる。
Figure 2022091095000032
式(VII)中、B11は、好ましくは、前記式(Cy1)~式(Cy10)で表される構造からなる群から選択された2以上の構造の縮合環基であって、オルト-ペリ縮合構造を含まない縮合環基であり、かつ置換基を有していてもよい縮合環基である。B11は、式(Cy1)~式(Cy10)で表される構造のうち、2以上の同一の構造が縮合した構造を含んでいてもよい。
11は、より好ましくは、式(Cy1)~式(Cy6)及び式(Cy8)で表される構造からなる群から選択された2以上の構造の縮合環基であって、オルト-ペリ縮合構造を含まない縮合環基であり、かつ置換基を有していてもよい縮合環基である。
11である縮合環基が有していてもよい置換基は、好ましくは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、及び置換基を有していてもよい1価の複素環基である。B11で表される縮合環基が有していてもよいアリール基は、例えば、アルキル基により置換されていてもよい。
11である縮合環基の例としては、下記式(b-1)~式(b-14)で表される基、及びこれらの基における水素原子が、置換基(好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基)で置換された基が挙げられる。 B11である縮合環基としては、下記式(b-2)又は(b-3)で表される基、又はこれらの基における水素原子が、置換基(好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基)で置換された基が好ましく、下記式(b-2)又は(b-3)で表される基がより好ましい。
Figure 2022091095000033
Figure 2022091095000034
式(b-1)~式(b-14)中、
a10は、前記定義のとおりである。
式(b-1)~式(b-14)中、複数あるRa10は、それぞれ独立して、好ましくは置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基である。
式(VI)又は式(VII)で表される化合物の例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022091095000035
上記式中、Rは、前記定義のとおりであり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。
上記式中、Rは、好ましくは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいアルキルオキシ基である。
式(VI)又は(VII)で表される化合物としては、下記の式N-2~N-3で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022091095000036
本実施形態に係るn型半導体材料は、前記の非フラーレン化合物に加えて、更に任意でフラーレン化合物を含んでいてもよい。フラーレンの例としては、C60フラーレン、C70フラーレン、C76フラーレン、C78フラーレン、及びC84フラーレンが挙げられる。フラーレンの誘導体の例としては、[6,6]-フェニル-C61酪酸メチルエステル(C60PCBM、[6,6]-Phenyl C61 butyric acid methyl ester)、[6,6]-フェニル-C71酪酸メチルエステル(C70PCBM、[6,6]-Phenyl C71 butyric acid methyl ester)、[6,6」-フェニル-C85酪酸メチルエステル(C84PCBM、[6,6]-Phenyl C85 butyric acid methyl ester)、及び[6,6]-チエニル-C61酪酸メチルエステル([6,6]-Thienyl C61 butyric acid methyl ester)が挙げられる。
本実施形態に係る組成物が、n型半導体材料としてフラーレン化合物を含む場合、組成物におけるフラーレン化合物の含有割合は、n型半導体材料の非フラーレン化合物を100重量部とすると、通常0重量部以上であり、好ましくは50重量部以下、より好ましくは10重量部以下であり0重量部であってもよい。
(組成物におけるp型半導体材料及びn型半導体材料の濃度)
組成物における、p型半導体材料及びn型半導体材料の合計の濃度は、必要とされる活性層の厚さに応じて、任意好適な濃度とすることができる。p型半導体材料及びn型半導体材料の合計の濃度は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは5重量%以下であり、更に好ましくは0.01重量%以上20重量%以下、更に好ましくは0.01重量%以上10重量%以下、更に好ましくは0.01重量%以上5重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以上5重量%以下である。
(p型半導体材料のn型半導体材料に対する重量比(p/n比))
組成物中のp型半導体材料のn型半導体材料に対する重量比(p型半導体材料/n型半導体材料)は、好ましくは1/9以上、より好ましくは1/5以上、更に好ましくは1/3以上であり、好ましくは9/1以下、より好ましくは5/1以下、更に好ましくは3/1以下である。
[1.2.絶縁材料]
本実施形態の組成物は、絶縁材料を含む。ここで、絶縁材料とは、導電体及び半導体のいずれでもない材料を意味する。通常、絶縁材料は、20℃における電気抵抗率が1×10Ω・m以上である。絶縁材料は、通常光電変換過程に関与しない。
絶縁材料は、好ましくは有機化合物であり、より好ましくは有機重合体である。絶縁材料は、有機化合物を一種のみ含んでいてもよく、二種以上の組み合わせで含んでいてもよい。
絶縁材料として、各種有機化合物が公知であり、本実施形態の組成物に用い得る。
絶縁材料である有機重合体の例としては、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(1-ブテン)、ポリイソブチレン)、ポリ(芳香族ビニル)(例、ポリスチレン及びその誘導体)、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリエステル、ポリカルボン酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアリレート、ポリアミド、ポリイミド、セルロース及びその誘導体、ポリシロキサン、ゴム、並びに熱可塑性エラストマーが挙げられる。絶縁材料に含まれ得る有機重合体は、単独重合体であってもよく共重合体であってもよい。
絶縁材料は、好ましくは、下記式(I)で表される構成単位を含む重合体を含む。以下、式(I)で表される構成単位を含む重合体を、重合体(1)ともいう。重合体(1)は、式(I)で表される構成単位を、一種のみ含んでいてもよく、二種以上の組み合わせで含んでいてもよい。
Figure 2022091095000037
式(I)中、Ri1は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素原子数1~20のアルキル基を表し、Ri2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、下記式(II-1)で表される基、式(II-2)で表される基、又は式(II-3)で表される基を表す。
Figure 2022091095000038
前記式(II-1)中、Ri2aは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素原子数1~20のアルキル基を表す。
前記式(II-2)中、Ri2bは、水素原子又は炭素原子数1~20のアルキル基を表す。
前記式(II-3)中、Ri2cは、炭素原子数1~20のアルキル基を表す。
i1は、好ましくは水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基であり、より好ましくは水素原子又は炭素原子数1~5のアルキル基であり、更に好ましくは、水素原子である。
i2aは、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、又は炭素原子数1~10のアルキル基であり、より好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素原子数1~5のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子である。
i2bは、好ましくは炭素原子数1~10のアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数1~5のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基である。
i2cは、好ましくは炭素原子数1~10のアルキル基であり、より好ましくは炭素原子数1~5のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基である。
i2は、好ましくは、水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、又は式(II-1)~式(II-3)で表される基であり、より好ましくは、水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基、又は式(II-1)~式(II-3)で表される基であり、更に好ましくは、炭素原子数1~5のアルキル基、又は式(II-1)~式(II-3)で表される基である。
一実施形態において、重合体(1)は、式(I)において、Ri2が炭素原子数1~20のアルキル基である構成単位及び式(I)においてRi2が式(II-1)で表される構成単位からなる群より選択される一種以上の構成単位を含むことが好ましく、ポリスチレン、又はスチレン単位及び式(I)においてRi2が式(II-1)で表される構成単位を含む重合体であることがより好ましい。
別の実施形態において、重合体(1)は、式(I)においてRi2が式(II-2)で表される構成単位を含むことが好ましく、メチルメタクリレート単位を含むことがより好ましい。
絶縁材料中の重合体(1)の含有率は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上であり、通常100重量%以下であり、100重量%であってもよい。絶縁材料は、重合体(1)を一種のみ含んでいてもよく、二種以上の組み合わせで含んでいてもよい。
重合体(1)は、式(I)で表される構成単位に加えて、任意の構成単位を含んでいてもよい。任意の構成単位の例としては、アルカジエン単位(例、1,3-ブタジエン単位、イソプレン単位)が挙げられる。
重合体(1)は、従前公知の製造方法により製造できる。また、重合体(1)として、市販品を使用することもできる。
好ましくは、絶縁材料は、組成物の溶媒に25℃で0.1重量%以上溶解する材料である。
より好ましくは、絶縁材料は、重合体(1)であって、組成物の溶媒に25℃で0.1重量%以上溶解する重合体である。
絶縁材料に含まれ得る有機重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、溶媒への溶解性の観点から、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは500,000以下、更に好ましくは200,000以下である。
本実施形態に係る絶縁材料の具体例として、ポリスチレン-block-ポリ(エチレン-ran-ブチレン)-block-ポリスチレン(重量平均分子量:118000以下)、ポリスチレン(重量平均分子量:35000)、ポリスチレン-block-ポリイソプレン-block-ポリスチレン(数平均分子量 1900)、及びポリ(メチルメタクリレート)(重量平均分子量:15000以下)が挙げられる。
組成物中の絶縁材料の含有量は、例えば0.5重量%以上又は0.1重量%以上であり、例えば5重量%以下又は1重量%以下である。ここで、組成物における、p型半導体材料、n型半導体材料、絶縁材料、及び溶媒の総重量を100重量%とする。
組成物における、絶縁材料のp型半導体材料に対する重量比(絶縁材料/p型半導体材料)は、例えば1/10以上又は1/5以上であり、例えば1/3以下又は1/2以下である。
[1.3.溶媒]
本実施形態に係る組成物は、溶媒を含む。組成物は、溶媒を一種のみ含んでいてもよく、二種以上の組み合わせで含んでいてもよい。
本実施形態に係る組成物は、好ましくは下記に述べる第1溶媒を含み、任意で更に第2溶媒を含み得る。
(第1溶媒)
溶媒は、選択されたp型半導体材料及びn型半導体材料に対する溶解性、膜を形成する際の乾燥条件に対応するための特性(沸点など)を考慮して選択してよい。
第1溶媒は、置換基(例えば、アルキル基、ハロゲン原子)を有していてもよい芳香族炭化水素(以下、単に芳香族炭化水素という。)又はハロゲン化アルキル溶媒であることが好ましい。第1溶媒は、選択されたp型半導体材料及びn型半導体材料の溶解性を考慮して選択することが好ましい。
第1溶媒である芳香族炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン(例、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン)、トリメチルベンゼン(例、メシチレン、1,2,4-トリメチルベンゼン(プソイドクメン))、ブチルベンゼン(例、n-ブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン)、メチルナフタレン(例、1-メチルナフタレン)、テトラリン、インダン、クロロベンゼン及びジクロロベンゼン(1,2-ジクロロベンゼン)が挙げられる。
第1溶媒であるハロゲン化アルキル溶媒としては、例えば、クロロホルムが挙げられる。
第1溶媒は1種のみの芳香族炭化水素から構成されていても、2種以上の芳香族炭化水素から構成されていてもよい。第1溶媒は、1種のみの芳香族炭化水素から構成されることが好ましい。
第1溶媒は、好ましくは、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、プソイドクメン、n-ブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、メチルナフタレン、テトラリン、インダン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン及びクロロホルムからなる群から選択される1種以上を含む。
(第2溶媒)
第2溶媒は、特にn型半導体材料の溶解性を高める観点から選択される溶媒であることが好ましい。第2溶媒の例としては、ケトン溶媒(例、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、プロピオフェノン)、エステル溶媒(例、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸フェニル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、安息香酸ブチル、安息香酸ベンジル)が挙げられる。
(第1溶媒及び第2溶媒の重量比)
組成物が、第1溶媒及び第2溶媒を含む場合、第1溶媒の第2溶媒に対する重量比(第1溶媒/第2溶媒)は、p型半導体材料及びn型半導体材料の溶解性をより向上させる観点から、85/15~99/1の範囲とすることが好ましい。
(組成物における溶媒の重量百分率)
組成物に含まれる溶媒の総重量は、組成物の全重量を100重量%としたときに、p型半導体材料及びn型半導体材料の溶解性をより向上させる観点から、好ましくは90重量%以上、より好ましくは92重量%以上、更に好ましくは95重量%以上であり、塗布液中のp型半導体材料及びn型半導体材料の濃度を高くして一定の厚さ以上の層を形成し易くする観点から、好ましくは99.9重量%以下である。
組成物は、前記の第1溶媒及び任意の第2溶媒に加えて、更に任意の第3溶媒を含んでいてもよい。塗布液に含まれる全溶媒の合計重量を100重量%とした場合に、任意の第3溶媒の含有率は、好ましくは5重量%以下であり、より好ましくは3重量%以下であり、更に好ましくは1重量%以下である。任意の第3溶媒としては、第2溶媒より沸点が高い溶媒が好ましい。
[1.4.任意の成分]
本実施形態に係る組成物は、前記のp型半導体材料、n型半導体材料、絶縁材料、及び溶媒に加えて、本発明の目的及び効果を損なわない限度において、任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分の例としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、吸収した光により電荷を発生させる機能を増感するためのため増感剤、及び紫外線からの安定性を増すための光安定剤が挙げられる。
組成物における任意成分の合計の含有量は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下であり、通常0重量%以上である。
[1.5.p型半導体材料、n型半導体材料、及び絶縁材料の含有割合]
組成物中の、p型半導体材料、n型半導体材料、及び絶縁材料の合計の含有割合は、例えば、塗布法の種類、用いる成分の粘度などに応じて適宜設定しうる。組成物中の、p型半導体材料、n型半導体材料、及び絶縁材料の合計の含有割合は、組成物においてこれらが溶解可能な範囲では特に限定されないが、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、更に好ましくは3重量%以上であり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは7重量%以下である。
組成物が、絶縁材料を含むことにより、組成物中の固形分濃度を所望の範囲に維持しつつ、p型半導体材料及び/又はn型半導体材料の含有割合を小さくすることができる。また、p型半導体材料及び/又はn型半導体材料の含有割合を小さくする場合であっても、組成物から製造されうる膜の特性の変動を小さくしうる。
[1.6.組成物の製造方法]
組成物は、従来公知の方法により製造することができる。例えば、溶媒として、前記第1溶媒及び第2溶媒を用いる場合には、第1溶媒及び第2溶媒を混合して混合溶媒を調製し、混合溶媒にp型半導体材料、n型半導体材料、及び絶縁材料を添加する方法、第1溶媒にp型半導体材料及び絶縁材料を添加し、第2溶媒にn型半導体材料を添加してから、各材料が添加された第1溶媒及び第2溶媒を混合する方法などにより、製造することができる。
溶媒と、p型半導体材料、n型半導体材料、及び絶縁材料とを、溶媒の沸点以下の温度まで加温して混合してもよい。
溶媒と、p型半導体材料、n型半導体材料、及び絶縁材料とを混合した後、得られた混合物をフィルターを用いて濾過し、得られた濾液を組成物としてよい。フィルターとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂で形成されたフィルターを用いることができる。
[1.7.組成物の用途]
組成物は、塗布法によりp型半導体材料、n型半導体材料、及び絶縁材料を含む膜を形成するためのインクとして好適に用いられ得る。本明細書において、「インク」は、塗布法に用いられる液状物を意味しており、着色した液に限定されない。また、「塗布法」は、液状物を用いて膜(層)を形成する方法を包含する。本発明の組成物は、とりわけスピンコート法に好適であるが、他の塗布法を用いることも可能である。例えば、スロットダイコート法、スリットコート法、ナイフコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットコート法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、及びキャピラリーコート法が挙げられる。
[2.膜]
本発明の一実施形態に係る膜は、p型半導体材料、n型半導体材料、及び絶縁材料を含み、n型半導体材料が非フラーレン化合物を含む。以下、p型半導体材料、n型半導体材料、及び絶縁材料を含み、n型半導体材料が非フラーレン化合物を含む膜を、「膜A」ともいう。
p型半導体材料の例及び好ましい例、n型半導体材料の例及び好ましい例、絶縁材料の例及び好ましい例、並びに非フラーレン化合物の例及び好ましい例は、項目[1.組成物]において述べた例と同様である。
本実施形態に係る膜におけるp型半導体材料のn型半導体材料に対する重量比(p型半導体材料/n型半導体材料)の好ましい範囲は、組成物における当該重量比の好ましい範囲と同様とすることができる。
本実施形態に係る膜における、絶縁材料のp型半導体材料に対する重量比(絶縁材料/p型半導体材料)の好ましい範囲は、組成物における当該重量比の好ましい範囲と同様とすることができる。
本実施形態に係る膜の厚さは、目的とする膜の機能に応じて適宜設定し得る。本実施形態に係る膜の厚さは、好ましくは100nm以上、より好ましくは150nm以上、更に好ましくは200nm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは1μm以下である。
本実施形態に係る膜は、任意の方法により製造し得る。例えば、本実施形態に係る膜は、下記工程を含む方法により製造し得る。
工程(1):組成物を、塗布対象に塗布して塗膜を形成する工程。
工程(2):前記塗膜を乾燥させる工程。
前記工程(1)及び工程(2)は、通常この順で行われる。
(工程(1))
組成物は、p型半導体材料と、n型半導体材料と、絶縁材料と、溶媒とを含む組成物であって、かつ前記n型半導体材料が、非フラーレン化合物を含む組成物である。組成物として、既に例示した好ましい組成物が用いられ得る。
本実施形態に係る膜を光電変換素子の活性層として機能させる場合、組成物を塗布する対象の例としては、電極、電子輸送層、及び正孔輸送層が挙げられる。
組成物を塗布対象に塗布する方法としては、任意の塗布法を用いることができる。工程(1)において組成物を塗布対象に塗布する方法の例としては、前記例示の塗布法が挙げられ、中でも均一な厚さの塗膜を得やすいことから、スピンコート法が好ましい。
本実施形態に係る組成物によれば、スピンコート法において、高い回転速度で厚い塗膜を形成し得る。この利点を得る観点から、組成物を塗布対象に塗布する方法としては、スピンコート法が好ましい。
(工程(2))
塗膜を乾燥させることにより、通常塗膜に含まれる溶媒が除去される。塗膜を乾燥させる方法の例としては、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でホットプレートを用いて直接的に加熱する方法、熱風乾燥法、赤外線加熱乾燥法、フラッシュランプアニール乾燥法、減圧乾燥法などの乾燥法、これらの組み合わせが挙げられる。
乾燥温度、乾燥処理時間などの乾燥条件は、組成物に含まれる溶媒の沸点、塗膜の厚さなどを考慮して、任意好適な条件とすることができる。
本実施形態に係る膜の製造方法は、前記工程(1)及び工程(2)に加えて、任意の工程を含むものであってもよい。
[3.光電変換素子]
[3.1.光電変換素子の構成]
本発明の一実施形態に係る光電変換素子は、第一の電極と、前記膜Aと、第二の電極とをこの順で含む。光電変換素子において、通常前記膜Aは、活性層として機能し得る。光電変換素子に光を照射した場合において、第一の電極は、外部回路へ正の電荷を流出させる電極であり、第二の電極は、外部回路から正の電荷が流入する電極である。
以下、図面を用いて本実施形態の光電変換素子を説明する。
図1は、光電変換素子の構成例を模式的に示す図である。
図1に示されるように、光電変換素子10は、支持基板11に設けられている。光電変換素子10は、支持基板11に接するように設けられている第一の電極12と、第一の電極12に接するように設けられている正孔輸送層13と、正孔輸送層13に接するように設けられている活性層14と、活性層14に接するように設けられている電子輸送層15と、電子輸送層15に接するように設けられている第二の電極16とを備えている。この構成例では、第二の電極16に接するように封止部材17がさらに設けられている。
以下、本実施形態の光電変換素子に含まれ得る構成要素について具体的に説明する。
(基板)
光電変換素子は、通常、基板(支持基板)上に形成される。また、さらに基板(封止基板)により封止される場合もある。基板には、通常、第一の電極及び第二の電極からなる一対の電極のうちの一方が形成される。基板の材料は、特に有機化合物を含む層を形成する際に化学的に変化しない材料であれば特に限定されない。
基板の材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコンが挙げられる。不透明な基板が用いられる場合には、不透明な基板側に設けられる電極とは反対側の電極(換言すると、不透明な基板から遠い側の電極)が透明又は半透明の電極とされることが好ましい。
(電極)
光電変換素子は、一対の電極である第一の電極及び第二の電極を含んでいる。第一の電極及び第二の電極のうち、少なくとも一方の電極は、光を入射させるために、透明又は半透明の電極とすることが好ましい。
透明又は半透明の電極の材料の例としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、NESA等の導電性材料、金、白金、銀、銅が挙げられる。透明又は半透明である電極の材料としては、ITO、IZO、酸化スズが好ましい。また、電極として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体などの有機化合物が材料として用いられる透明導電膜を用いてもよい。透明又は半透明の電極は、第一の電極であっても第二の電極であってもよい。
一対の電極のうちの一方の電極が透明又は半透明であれば、他方の電極は光透過性の低い電極であってもよい。光透過性の低い電極の材料の例としては、金属、及び導電性高分子が挙げられる。光透過性の低い電極の材料の具体例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、及びこれらのうちの2種以上の合金、又は、これらのうちの1種以上の金属と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン及び錫からなる群から選ばれる1種以上の金属との合金、グラファイト、グラファイト層間化合物、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体が挙げられる。合金としては、マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、マグネシウム-アルミニウム合金、インジウム-銀合金、リチウム-アルミニウム合金、リチウム-マグネシウム合金、リチウム-インジウム合金、及びカルシウム-アルミニウム合金が挙げられる。
(活性層)
本実施形態の光電変換素子は、活性層として、前記膜Aを有する。本実施形態に係る、膜Aである活性層は、バルクヘテロジャンクション型の構造を有しており、p型半導体材料、n型半導体材料、及び絶縁材料を含み、n型半導体材料が非フラーレン化合物を含む。p型半導体材料の例及び好ましい例、n型半導体材料の例及び好ましい例、絶縁材料の例及び好ましい例、並びに非フラーレン化合物の例及び好ましい例は、項目[1.組成物]において述べた例と同様である。
活性層におけるp型半導体材料のn型半導体材料に対する重量比(p型半導体材料/n型半導体材料)の好ましい範囲は、組成物における当該重量比の好ましい範囲と同様とすることができる。
活性層における、絶縁材料のp型半導体材料に対する重量比(絶縁材料/p型半導体材料)の好ましい範囲は、組成物における当該重量比の好ましい範囲と同様とすることができる。
本実施形態において、活性層の厚さは、特に限定されない。活性層の厚さは、暗電流の抑制と生じた光電流の取り出しとのバランスを考慮して、任意好適な厚さとすることができる。活性層の厚さは、特に暗電流をより低減する観点から、好ましくは100nm以上であり、より好ましくは150nm以上であり、さらに好ましくは200nm以上である。また、活性層の厚さは、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは1μm以下である。
(中間層)
図1に示されるとおり、本実施形態の光電変換素子は、光電変換効率などの特性を向上させるための構成要素として、例えば、電荷輸送層(電子輸送層、正孔輸送層、電子注入層、正孔注入層)などの中間層(バッファー層)を備えていることが好ましい。
また、中間層に用いられる材料の例としては、カルシウムなどの金属、酸化モリブデン、酸化亜鉛などの無機酸化物半導体、及びPEDOT(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン))とPSS(ポリ(4-スチレンスルホネート))との混合物(PEDOT:PSS)が挙げられる。
一実施形態では、図1に示されるように、光電変換素子は、第一の電極と活性層との間に、正孔輸送層を備えることが好ましい。正孔輸送層は、活性層から電極へと正孔を輸送する機能を有する。
別の実施形態では、光電変換素子は、正孔輸送層を備えていなくてもよい。
第一の電極に接して設けられる正孔輸送層を、特に正孔注入層という場合がある。第一の電極に接して設けられる正孔輸送層(正孔注入層)は、第一の電極への正孔の注入を促進する機能を有する。正孔輸送層(正孔注入層)は、活性層に接していてもよい。
正孔輸送層は、正孔輸送性材料を含む。正孔輸送性材料の例としては、ポリチオフェン及びその誘導体、芳香族アミン化合物、芳香族アミン残基を有する構成単位を含む高分子化合物、CuSCN、CuI、NiO、酸化タングステン(WO)及び酸化モリブデン(MoO)が挙げられる。
中間層は、従来公知の任意好適な形成方法により形成することができる。中間層は、真空蒸着法や活性層の形成方法と同様の塗布法により形成することができる。
本実施形態にかかる光電変換素子は、中間層が電子輸送層であって、基板(支持基板)、第一の電極、正孔輸送層、活性層、電子輸送層、第二の電極がこの順に互いに接するように積層された構成を有することが好ましい。
図1に示されるように、本実施形態の光電変換素子は、第二の電極と活性層との間に、中間層として電子輸送層を備えていることが好ましい。電子輸送層は、活性層から第二の電極へと電子を輸送する機能を有する。電子輸送層は、第二の電極に接していてもよい。電子輸送層は活性層に接していてもよい。
第二の電極に接して設けられる電子輸送層を、特に電子注入層という場合がある。第二の電極に接して設けられる電子輸送層(電子注入層)は、活性層で発生した電子の第二の電極への注入を促進する機能を有する。
電子輸送層は、電子輸送性材料を含む。電子輸送性材料の例としては、ポリアルキレンイミン及びその誘導体、フルオレン構造を含む高分子化合物、カルシウムなどの金属、金属酸化物が挙げられる。
ポリアルキレンイミン及びその誘導体の例としては、エチレンイミン、プロピレンイミン、ブチレンイミン、ジメチルエチレンイミン、ペンチレンイミン、ヘキシレンイミン、ヘプチレンイミン、オクチレンイミンといった炭素原子数2~8のアルキレンイミン、特に炭素原子数2~4のアルキレンイミンの1種又は2種以上を常法により重合して得られるポリマー、並びにそれらを種々の化合物と反応させて化学的に変性させたポリマーが挙げられる。ポリアルキレンイミン及びその誘導体としては、ポリエチレンイミン(PEI)及びエトキシ化ポリエチレンイミン(PEIE)が好ましい。
フルオレン構造を含む高分子化合物の例としては、ポリ[(9,9-ビス(3’-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル)-2,7-フルオレン)-オルト-2,7-(9,9’-ジオクチルフルオレン)](PFN)及びPFN-P2が挙げられる。
金属酸化物の例としては、酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化ニオブが挙げられる。金属酸化物としては、亜鉛を含む金属酸化物が好ましく、中でも酸化亜鉛が好ましい。
その他の電子輸送性材料の例としては、ポリ(4-ビニルフェノール)、ペリレンジイミドが挙げられる。
(封止部材)
本実施形態の光電変換素子は、封止部材をさらに含み、かかる封止部材により封止された封止体とすることが好ましい。
封止部材は任意好適な従来公知の部材を用いることができる。封止部材の例としては、基板(封止基板)であるガラス基板とUV硬化性樹脂などの封止材(接着剤)との組合せが挙げられる。
封止部材は、1層以上の層構造である封止層であってもよい。封止層を構成する層の例としては、ガスバリア層、ガスバリア性フィルムが挙げられる。
封止層は、水分を遮断する性質(水蒸気バリア性)又は酸素を遮断する性質(酸素バリア性)を有する材料により形成することが好ましい。封止層の材料として好適な材料の例としては、三フッ化ポリエチレン、ポリ三フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、脂環式ポリオレフィン、エチレン-ビニルアルコール共重合体などの有機材料、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボンなどの無機材料などが挙げられる。
封止部材は、通常、光電変換素子が適用される、例えば後述する適用例のデバイスに組み込まれる際において実施され得る加熱処理に耐え得る材料により構成される。
[3.2.光電変換素子の製造方法]
本実施形態の光電変換素子は、任意の方法で製造しうる。本実施形態の光電変換素子は、構成要素を形成するにあたり選択された材料に好適な形成方法を組み合わせることにより製造することができる。
以下、本発明の実施形態として、基板(支持基板)、第一の電極、正孔輸送層、活性層としての膜A、電子輸送層、第二の電極がこの順に互いに接する構成を有する光電変換素子の製造方法について説明する。
(基板を用意する工程)
本工程では、例えば第一の電極が設けられた支持基板を用意する。また、既に説明した電極の材料により形成された導電性の薄膜が設けられた基板を市場より入手し、必要に応じて、導電性の薄膜をパターニングして第一の電極を形成することにより、第一の電極が設けられた支持基板を用意することができる。
本実施形態にかかる光電変換素子の製造方法において、支持基板上に第一の電極を形成する場合の第一の電極の形成方法は特に限定されない。第一の電極は、既に説明した材料を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、めっき法、塗布法などの従来公知の任意好適な方法によって、第一の電極を形成すべき構成(例、支持基板、活性層、正孔輸送層)上に形成することができる。
(正孔輸送層の形成工程)
光電変換素子の製造方法は、活性層と第一の電極との間に設けられる正孔輸送層(正孔注入層)を形成する工程を含んでいてもよい。
正孔輸送層の形成方法は特に限定されない。正孔輸送層の形成工程をより簡便にする観点からは、従来公知の任意好適な塗布法によって正孔輸送層を形成することが好ましい。正孔輸送層は、例えば、既に説明した正孔輸送層の材料と溶媒とを含む塗布液を用いる塗布法や真空蒸着法により形成することができる。
(活性層の形成工程)
本実施形態の光電変換素子の製造方法においては、正孔輸送層上に活性層としての膜Aが形成される。膜Aは、任意好適な従来公知の形成工程により形成することができる。本実施形態において、活性層としての膜Aは、前記組成物を用いる塗布法により製造されうる。
活性層としての膜Aは、[2.膜]において説明した膜の製造方法と同様の方法により形成されうる。本実施形態では、p型半導体材料と、n型半導体材料と、絶縁材料と、溶媒とを含む組成物であって、かつn型半導体材料が非フラーレン化合物を含む前記の組成物を、正孔輸送層上に塗布して塗膜を形成する工程、次いで、前記塗膜を乾燥させる工程を含む工程により、活性層としての膜Aが形成されうる。
(電子輸送層の形成工程)
本実施形態の光電変換素子の製造方法は、活性層上に設けられた電子輸送層(電子注入層)を形成する工程を含んでいる。
電子輸送層の形成方法は特に限定されない。電子輸送層の形成工程をより簡便にする観点からは、従来公知の任意好適な真空蒸着法によって電子輸送層を形成することが好ましい。
(第二の電極の形成工程)
第二の電極の形成方法は特に限定されない。第二の電極は、例えば、上記例示の電極の材料を、塗布法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、めっき法など従来公知の任意好適な方法によって、電子輸送層上に形成することができる。以上の工程により、本実施形態の光電変換素子が製造される。
(封止体の形成工程)
封止体の形成にあたり、本実施形態では、従来公知の任意好適な封止材(接着剤)及び基板(封止基板)を用いる。具体的には、製造された光電変換素子の周辺を囲むように、支持基板上に、例えばUV硬化性樹脂などの封止材を塗布した後、封止材により隙間なく貼り合わせた後、選択された封止材に好適な、UV光の照射などの方法を用いて支持基板と封止基板との間隙に光電変換素子を封止することにより、光電変換素子の封止体を得ることができる。
[3.3.光電変換素子の用途]
本実施形態の光電変換素子の用途としては、光検出素子、太陽電池が挙げられる。
より具体的には、本実施形態の光電変換素子は、電極間に電圧(逆バイアス電圧)を印加した状態で、透明又は半透明の電極側から光を照射することにより、光電流を流すことができ、光検出素子(光センサー)として動作させることができる。また、光検出素子を複数集積することによりイメージセンサーとして用いることもできる。このように本実施形態の光電変換素子は、特に光検出素子として好適に用いることができる。
また、本実施形態の光電変換素子は、光が照射されることにより、電極間に光起電力を発生させることができ、太陽電池として動作させることができる。光電変換素子を複数集積することにより太陽電池モジュールとすることもできる。
(光電変換素子の適用例)
本実施形態にかかる光電変換素子は、光検出素子として、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、入退室管理システム、デジタルカメラ、及び医療機器などの種々の電子装置が備える検出部に好適に適用することができる。
本実施形態の光電変換素子は、上記例示の電子装置が備える、例えば、X線撮像装置及びCMOSイメージセンサーなどの固体撮像装置用のイメージ検出部(例えば、X線センサーなどのイメージセンサー)、指紋検出部、顔検出部、静脈検出部及び虹彩検出部などの生体の一部分の所定の特徴を検出する生体情報認証装置の検出部(例えば、近赤外線センサー)、パルスオキシメータなどの光学バイオセンサーの検出部などに好適に適用することができる。
本実施形態の光電変換素子は、固体撮像装置用のイメージ検出部として、さらにはTime-of-flight(TOF)型距離測定装置(TOF型測距装置)に好適に適用することもできる。
TOF型測距装置では、光源からの放射光が測定対象物において反射された反射光を光電変換素子で受光させることにより距離を測定する。具体的には、光源から放射された照射光が測定対象物で反射して反射光として戻るまでの飛行時間を検出して測定対象物までの距離を求める。TOF型には、直接TOF方式と間接TOF方式とが存在する。直接TOF方式では光源から光を照射した時刻と反射光を光電変換素子で受光した時刻との差を直接計測し、間接TOF方式では飛行時間に依存した電荷蓄積量の変化を時間変化に換算することで距離を計測する。間接TOF方式で用いられる電荷蓄積により飛行時間を得る測距原理には、光源からの放射光と測定対象で反射される反射光との位相から飛行時間を求める連続波(特に正弦波)変調方式とパルス変調方式とがある。
以下、本実施形態にかかる光電変換素子が好適に適用され得る検出部のうち、固体撮像装置用のイメージ検出部及びX線撮像装置用のイメージ検出部、生体認証装置(例えば指紋認証装置や静脈認証装置など)のための指紋検出部及び静脈検出部、並びにTOF型測距装置(間接TOF方式)のイメージ検出部の構成例について、図面を参照して説明する。
(固体撮像装置用のイメージ検出部)
図2は、固体撮像装置用のイメージ検出部の構成例を模式的に示す図である。
イメージ検出部1は、CMOSトランジスタ基板20と、CMOSトランジスタ基板20を覆うように設けられている層間絶縁膜30と、層間絶縁膜30上に設けられている、本発明の実施形態にかかる光電変換素子10と、層間絶縁膜30を貫通するように設けられており、CMOSトランジスタ基板20と光電変換素子10とを電気的に接続する層間配線部32と、光電変換素子10を覆うように設けられている封止層40と、封止層40上に設けられているカラーフィルター50とを備えている。
CMOSトランジスタ基板20は、従来公知の任意好適な構成を設計に応じた態様で備えている。
CMOSトランジスタ基板20は、基板の厚さ内に形成されたトランジスタ、コンデンサなどを含み、種々の機能を実現するためのCMOSトランジスタ回路(MOSトランジスタ回路)などの機能素子を備えている。
機能素子としては、例えば、フローティングディフュージョン、リセットトランジスタ、出力トランジスタ、選択トランジスタが挙げられる。
このような機能素子、配線などにより、CMOSトランジスタ基板20には、信号読み出し回路などが作り込まれている。
層間絶縁膜30は、例えば酸化シリコン、絶縁性樹脂などの従来公知の任意好適な絶縁性材料により構成することができる。層間配線部32は、例えば、銅、タングステンなどの従来公知の任意好適な導電性材料(配線材料)により構成することができる。層間配線部32は、例えば、配線層の形成と同時に形成されるホール内配線であっても、配線層とは別途形成される埋込みプラグであってもよい。
封止層40は、光電変換素子10を機能的に劣化させてしまうおそれのある酸素、水などの有害物質の浸透を防止又は抑制できることを条件として、従来公知の任意好適な材料により構成することができる。封止層40は、既に説明した封止部材17と同様の構成とすることができる。
カラーフィルター50としては、従来公知の任意好適な材料により構成され、かつイメージ検出部1の設計に対応した例えば原色カラーフィルターを用いることができる。また、カラーフィルター50としては、原色カラーフィルターと比較して、厚さを薄くすることができる補色カラーフィルターを用いることもできる。補色カラーフィルターとしては、例えば(イエロー、シアン、マゼンタ)の3種類、(イエロー、シアン、透明)の3種類、(イエロー、透明、マゼンタ)の3種類、及び(透明、シアン、マゼンタ)の3種類が組み合わされたカラーフィルターを用いることができる。これらは、カラー画像データを生成できることを条件として、光電変換素子10及びCMOSトランジスタ基板20の設計に対応した任意好適な配置とすることができる。
カラーフィルター50を介して光電変換素子10が受光した光は、光電変換素子10によって、受光量に応じた電気信号に変換され、電極を介して、光電変換素子10外に受光信号、すなわち撮像対象に対応する電気信号として出力される。
次いで、光電変換素子10から出力された受光信号は、層間配線部32を介して、CMOSトランジスタ基板20に入力され、CMOSトランジスタ基板20に作り込まれた信号読み出し回路により読み出され、図示しないさらなる任意好適な従来公知の機能部によって信号処理されることにより、撮像対象に基づく画像情報が生成される。
(指紋検出部)
図3は、表示装置に一体的に構成される指紋検出部の構成例を模式的に示す図である。
携帯情報端末の表示装置2は、本発明の実施形態にかかる光電変換素子10を主たる構成要素として含む指紋検出部100と、当該指紋検出部100上に設けられ、所定の画像を表示する表示パネル部200とを備えている。
この構成例では、表示パネル部200の表示領域200aと一致する領域に指紋検出部100が設けられている。換言すると、指紋検出部100の上方に、表示パネル部200が一体的に積層されている。
表示領域200aのうちの一部の領域においてのみ指紋検出を行う場合には、当該一部の領域のみに対応させて指紋検出部100を設ければよい。
指紋検出部100は、本発明の実施形態にかかる光電変換素子10を本質的な機能を奏する機能部として含む。指紋検出部100は、図示されていない保護フィルム(protection film)、支持基板、封止基板、封止部材、バリアフィルム、バンドパスフィルター、赤外線カットフィルムなどの任意好適な従来公知の部材を所望の特性が得られるような設計に対応した態様で備え得る。指紋検出部100には、既に説明したイメージ検出部の構成を採用することもできる。
光電変換素子10は、表示領域200a内において、任意の態様で含まれ得る。例えば、複数の光電変換素子10が、マトリクス状に配置されていてもよい。
光電変換素子10は、既に説明したとおり、支持基板11に設けられており、支持基板11には、例えばマトリクス状に電極(第一の電極又は第二の電極)が設けられている。
光電変換素子10が受光した光は、光電変換素子10によって、受光量に応じた電気信号に変換され、電極を介して、光電変換素子10外に受光信号、すなわち撮像された指紋に対応する電気信号として出力される。
表示パネル部200は、この構成例では、タッチセンサーパネルを含む有機エレクトロルミネッセンス表示パネル(有機EL表示パネル)として構成されている。表示パネル部200は、例えば有機EL表示パネルの代わりに、バックライトなどの光源を含む液晶表示パネルなどの任意好適な従来公知の構成を有する表示パネルにより構成されていてもよい。
表示パネル部200は、既に説明した指紋検出部100上に設けられている。表示パネル部200は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)220を本質的な機能を奏する機能部として含む。表示パネル部200は、さらに任意好適な従来公知のガラス基板といった基板(支持基板210又は封止基板240)、封止部材、バリアフィルム、円偏光板などの偏光板、タッチセンサーパネル230などの任意好適な従来公知の部材を所望の特性に対応した態様で備え得る。
以上説明した構成例において、有機EL素子220は、表示領域200aにおける画素の光源として用いられるとともに、指紋検出部100における指紋の撮像のための光源としても用いられる。
ここで、指紋検出部100の動作について簡単に説明する。
指紋認証の実行時には、表示パネル部200の有機EL素子220から放射される光を用いて指紋検出部100が指紋を検出する。具体的には、有機EL素子220から放射された光は、有機EL素子220と指紋検出部100の光電変換素子10との間に存在する構成要素を透過して、表示領域200a内である表示パネル部200の表面に接するように載置された手指の指先の皮膚(指表面)によって反射される。指表面によって反射された光のうちの少なくとも一部は、間に存在する構成要素を透過して光電変換素子10によって受光され、光電変換素子10の受光量に応じた電気信号に変換される。そして、変換された電気信号から、指表面の指紋についての画像情報が構成される。
表示装置2を備える携帯情報端末は、従来公知の任意好適なステップにより、得られた画像情報と、予め記録されていた指紋認証用の指紋データとを比較して、指紋認証を行う。
(X線撮像装置用のイメージ検出部)
図4は、X線撮像装置用のイメージ検出部の構成例を模式的に示す図である。
X線撮像装置用のイメージ検出部1は、CMOSトランジスタ基板20と、CMOSトランジスタ基板20を覆うように設けられている層間絶縁膜30と、層間絶縁膜30上に設けられている、本発明の実施形態にかかる光電変換素子10と、層間絶縁膜30を貫通するように設けられており、CMOSトランジスタ基板20と光電変換素子10とを電気的に接続する層間配線部32と、光電変換素子10を覆うように設けられている封止層40と、封止層40上に設けられているシンチレータ42とシンチレータ42を覆うように設けられている反射層44と、反射層44を覆うように設けられている保護層46とを備えている。
CMOSトランジスタ基板20は、従来公知の任意好適な構成を設計に応じた態様で備えている。
CMOSトランジスタ基板20は、基板の厚さ内に形成されたトランジスタ、コンデンサなどを含み、種々の機能を実現するためのCMOSトランジスタ回路(MOSトランジスタ回路)などの機能素子を備えている。
機能素子としては、例えば、フローティングディフュージョン、リセットトランジスタ、出力トランジスタ、選択トランジスタが挙げられる。
このような機能素子、配線などにより、CMOSトランジスタ基板20には、信号読み出し回路などが作り込まれている。
層間絶縁膜30は、例えば酸化シリコン、絶縁性樹脂などの従来公知の任意好適な絶縁性材料により構成することができる。層間配線部32は、例えば、銅、タングステンなどの従来公知の任意好適な導電性材料(配線材料)により構成することができる。層間配線部32は、例えば、配線層の形成と同時に形成されるホール内配線であっても、配線層とは別途形成される埋込みプラグであってもよい。
封止層40は、光電変換素子10を機能的に劣化させてしまうおそれのある酸素、水などの有害物質の浸透を防止又は抑制できることを条件として、従来公知の任意好適な材料により構成することができる。封止層40は、既に説明した封止部材17と同様の構成とすることができる。
シンチレータ42は、X線撮像装置用のイメージ検出部1の設計に対応した従来公知の任意好適な材料により構成することができる。シンチレータ42の好適な材料の例としては、CsI(ヨウ化セシウム)やNaI(ヨウ化ナトリウム)、ZnS(硫化亜鉛)、GOS(酸硫化ガドリニウム)、GSO(ケイ酸ガドリニウム)といった無機材料の無機結晶や、アントラセン、ナフタレン、スチルベンといった有機材料の有機結晶や、トルエン、キシレン、ジオキサンといった有機溶媒にジフェニルオキサゾール(PPO)やテルフェニル(TP)などの有機材料を溶解させた有機液体、キセノンやヘリウムといった気体、プラスチックなどを用いることができる。
上記の構成要素は、シンチレータ42が入射したX線を可視領域を中心とした波長を有する光に変換して画像データを生成できることを条件として、光電変換素子10及びCMOSトランジスタ基板20の設計に対応した任意好適な配置とすることができる。
反射層44は、シンチレータ42で変換された光を反射する。反射層44は、変換された光の損失を低減し、検出感度を増大させることができる。また、反射層44は、外部から直接的に入射する光を遮断することもできる。
保護層46は、シンチレータ42を機能的に劣化させてしまうおそれのある酸素、水などの有害物質の浸透を防止又は抑制できることを条件として、従来公知の任意好適な材料により構成することができる。
ここで、上記の構成を有するX線撮像装置用のイメージ検出部1の動作について簡単に説明する。
X線やγ線といった放射線エネルギーがシンチレータ42に入射すると、シンチレータ42は放射線エネルギーを吸収し、可視領域を中心とした紫外から赤外領域の波長の光(蛍光)に変換する。そして、シンチレータ42によって変換された光は、光電変換素子10によって受光される。
このように、シンチレータ42を介して光電変換素子10が受光した光は、光電変換素子10によって、受光量に応じた電気信号に変換され、電極を介して、光電変換素子10外に受光信号、すなわち撮像対象に対応する電気信号として出力される。検出対象である放射線エネルギー(X線)は、シンチレータ42側、光電変換素子10側のいずれから入射させてもよい。
次いで、光電変換素子10から出力された受光信号は、層間配線部32を介して、CMOSトランジスタ基板20に入力され、CMOSトランジスタ基板20に作り込まれた信号読み出し回路により読み出され、図示しないさらなる任意好適な従来公知の機能部によって信号処理されることにより、撮像対象に基づく画像情報が生成される。
(静脈検出部)
図5は、静脈認証装置用の静脈検出部の構成例を模式的に示す図である。
静脈認証装置用の静脈検出部300は、測定時において測定対象である手指(例、1以上の手指の指先、手指及び掌)が挿入される挿入部310を画成するカバー部306と、カバー部306に設けられており、測定対象に光を照射する光源部304と、光源部304から照射された光を測定対象を介して受光する光電変換素子10と、光電変換素子10を支持する支持基板11と、支持基板11と光電変換素子10を挟んで対向するように配置されており、所定の距離でカバー部306から離間して、カバー部306とともに挿入部306を画成するガラス基板302から構成されている。
この構成例では、光源部304は、光電変換素子10とは、使用時において測定対象を挟んで離間するように、カバー部306と一体的に構成されている透過型撮影方式を示しているが、光源部304は必ずしもカバー部306側に位置させる必要はない。
光源部304からの光を、測定対象に効率的に照射できることを条件として、例えば、光電変換素子10側から測定対象を照射する反射型撮影方式としてもよい。
静脈検出部300は、本発明の実施形態にかかる光電変換素子10を本質的な機能を奏する機能部として含む。静脈検出部300は、図示されていない保護フィルム(protection film)、封止部材、バリアフィルム、バンドパスフィルター、近赤外線透過フィルター、可視光カットフィルム、指置きガイドなどの任意好適な従来公知の部材を所望の特性が得られるような設計に対応した態様で備え得る。静脈検出部300には、既に説明したイメージ検出部1の構成を採用することもできる。
光電変換素子10は、任意の態様で含まれ得る。例えば、複数の光電変換素子10が、マトリクス状に配置されていてもよい。
光電変換素子10は、既に説明したとおり、支持基板11に設けられており、支持基板11には、例えばマトリクス状に電極(第一の電極又は第二の電極)が設けられている。
光電変換素子10が受光した光は、光電変換素子10によって、受光量に応じた電気信号に変換され、電極を介して、光電変換素子10外に受光信号、すなわち撮像された静脈に対応する電気信号として出力される。
静脈検出時(使用時)において、測定対象は、光電変換素子10側のガラス基板302に接触していても、接触していなくてもよい。
ここで、静脈検出部300の動作について簡単に説明する。
静脈検出時には、光源部304から放射される光を用いて静脈検出部300が測定対象の静脈パターンを検出する。具体的には、光源部304から放射された光は、測定対象を透過して光電変換素子10の受光量に応じた電気信号に変換される。そして、変換された電気信号から、測定対象の静脈パターンの画像情報が構成される。
静脈認証装置では、従来公知の任意好適なステップにより、得られた画像情報と、予め記録されていた静脈認証用の静脈データとを比較して、静脈認証が行われる。
(TOF型測距装置用イメージ検出部)
図6は、間接方式のTOF型測距装置用イメージ検出部の構成例を模式的に示す図である。
TOF型測距装置用イメージ検出部400は、CMOSトランジスタ基板20と、CMOSトランジスタ基板20を覆うように設けられている層間絶縁膜30と、層間絶縁膜30上に設けられている、本発明の実施形態にかかる光電変換素子10と、光電変換素子10を挟むように離間して配置されている2つの浮遊拡散層402と、光電変換素子10と浮遊拡散層402を覆うように設けられている絶縁層40と、絶縁層40上に設けられており、互いに離間して配置されている2つのフォトゲート404とを備えている。
離間した2つのフォトゲート404の間隙からは絶縁層40の一部分が露出しており、残余の領域は遮光部406により遮光されている。CMOSトランジスタ基板20と浮遊拡散層402とは層間絶縁膜30を貫通するように設けられている層間配線部32によって電気的に接続されている。
層間絶縁膜30は、例えば酸化シリコン、絶縁性樹脂などの従来公知の任意好適な絶縁性材料により構成することができる。層間配線部32は、例えば、銅、タングステンなどの従来公知の任意好適な導電性材料(配線材料)により構成することができる。層間配線部32は、例えば、配線層の形成と同時に形成されるホール内配線であっても、配線層とは別途形成される埋込みプラグであってもよい。
絶縁層40は、この構成例では、酸化シリコンにより構成されるフィールド酸化膜などの従来公知の任意好適な構成とすることができる。
フォトゲート404は、例えばポリシリコンなどの従来公知の任意好適な材料により構成することができる。
TOF型測距装置用イメージ検出部400は、本発明の実施形態にかかる光電変換素子10を本質的な機能を奏する機能部として含む。TOF型測距装置用イメージ検出部400は、図示されていない保護フィルム(protection film)、支持基板、封止基板、封止部材、バリアフィルム、バンドパスフィルター、赤外線カットフィルムなどの任意好適な従来公知の部材を所望の特性が得られるような設計に対応した態様で備え得る。
ここで、TOF型測距装置用イメージ検出部400の動作について簡単に説明する。
光源から光が照射され、光源からの光が測定対象より反射され、反射光を光電変換素子10で受光する。光電変換素子10と浮遊拡散層402との間には2つのフォトゲート404が設けられており、交互にパルスを加えることによって、光電変換素子10によって発生した信号電荷を2つの浮遊拡散層402のいずれかに転送し、浮遊拡散層402に電荷が蓄積される。2つのフォトゲート404を開くタイミングに対して、光パルスが等分にまたがるように到来すると、2つの浮遊拡散層402に蓄積される電荷量は等量になる。一方のフォトゲート404に光パルスが到達するタイミングに対して、他方のフォトゲート404に光パルスが遅れて到来すると、2つの浮遊拡散層402に蓄積される電荷量に差が生じる。
浮遊拡散層402に蓄積された電荷量の差は、光パルスの遅延時間に依存する。測定対象までの距離Lは、光の往復時間tdと光の速度cを用いてL=(1/2)ctdの関係にあるので、遅延時間が2つの浮遊拡散層402の電荷量の差から推定できれば、測定対象までの距離を求めることができる。
光電変換素子10が受光した光の受光量は、2つの浮遊拡散層402に蓄積される電荷量の差として電気信号に変換され、光電変換素子10外に受光信号、すなわち測定対象に対応する電気信号として出力される。
次いで、浮遊拡散層402から出力された受光信号は、層間配線部32を介して、CMOSトランジスタ基板20に入力され、CMOSトランジスタ基板20に作り込まれた信号読み出し回路により読み出され、図示しないさらなる任意好適な従来公知の機能部によって信号処理されることにより、測定対象に基づく距離情報が生成される。
[4.光検出素子]
前記のとおり、本実施形態の有機光電変換素子は、照射された光を、受光量に応じた電気信号に変換し、電極を介して外部回路に出力しうる光検出機能を有しうる。
したがって、本発明の一実施形態に係る光検出素子は、前記有機光電変換素子を含むことにより、光検出機能を有しうる。本実施形態の光検出素子は、前記有機光電変換素子そのものであってもよく、前記有機光電変換素子に加えて、電圧制御のためなどの機能素子を含むものであってもよい。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示す。本発明は以下に説明する実施例に限定されるものではない。以下の実施例は、特に断りのない限り、常温常圧の条件下で行った。また、「%」及び「部」は、特に断りのない限り、それぞれ「重量%」及び「重量部」を表す。
<使用した材料>
下記実施例において使用された、p型半導体材料(電子供与性化合物)、n型半導体材料(電子受容性化合物)、及び絶縁材料(光電変換過程に関与しない化合物)は、下記のとおりである。
(p型半導体材料)
p型半導体材料として、高分子化合物である下記の重合体P-1~P-3を用いた。
Figure 2022091095000039
p型半導体材料である重合体P-1は、国際公開第2011/052709号に記載の方法を参考にして合成し、使用した。
p型半導体材料である重合体P-2は、国際公開第2013/051676号に記載の方法を参考にして合成し、使用した。
p型半導体材料である重合体P-3は、PTB7(商品名、1-material社製)を市場より入手して使用した。
(n型半導体材料)
n型半導体材料として、下記の化合物N-1~N-4を用いた。
Figure 2022091095000040
n型半導体材料である化合物N-1は、diPDI(商品名、1-material社製)を市場より入手して使用した。
n型半導体材料である化合物N-2は、ITIC(商品名、1-material社製)を市場より入手して使用した。
n型半導体材料である化合物N-3は、Y6(商品名、1-material社製)を市場より入手して使用した。
n型半導体材料である化合物N-4は、E100(商品名、フロンティアカーボン社製)を市場より入手して使用した。
(絶縁材料)
絶縁材料として、下記の重合体Z-1~Z-5を用いた。
Figure 2022091095000041
絶縁材料である化合物Z-1は、Polystyrene-block-poly(ethylene-ran-butylene)-block-polystyrene(重量平均分子量Mw 118000以下、Aldrich社製)を市場より入手して使用した。
絶縁材料である化合物Z-2は、ポリスチレン(重量平均分子量Mw 35000、Aldrich社製)を市場より入手して使用した。
絶縁材料である化合物Z-3は、Polystyrene-block-polyisoprene-block-polystyrene(数平均分子量Mn 1900、Aldrich社製)を市場より入手して使用した。
絶縁材料である化合物Z-4は、Poly(methyl methacrylate)(重量平均分子量Mw 15000以下、Aldrich社製)を市場より入手して使用した。
絶縁材料である化合物Z-5は、Poly(vinyl alcohol)(重量平均分子量Mw 9000以上10000以下、Aldrich社製)を市場より入手して使用した。
[絶縁材料の溶媒への溶解性]
絶縁材料の溶媒への溶解性を、下記のとおり評価した。
第1溶媒としてテトラリン、第2溶媒として安息香酸ブチルを用い、第1溶媒と第2溶媒との重量比を97:3として混合溶媒を調製した。前記混合溶媒99重量部に、絶縁材料である化合物Z-1~Z-5のいずれかを1重量部添加し、60℃で1時間撹拌した。25℃に冷却後の混合物を目視で観察し、絶縁材料が溶け残っているか否かを確認した。下記の基準で絶縁材料の溶解性を評価した。
良:溶け残りがない。
不良:溶け残りがある。
評価結果を下記表1に示す。絶縁材料Z-1~Z-4は、前記混合溶媒に25℃で0.1重量%以上溶解する材料であることが分かった。
Figure 2022091095000042
前記混合溶媒99.9重量部に、絶縁材料Z-5を0.1重量部添加し、60℃で1時間攪拌した。攪拌後の混合物を25℃に冷却した。混合物を目視で観察したところ、絶縁材料が溶け残っていた。絶縁材料Z-5は前記混合溶媒に25℃で0.1重量%以上溶解しない材料であることが分かった。
絶縁材料として、前記混合溶媒に25℃で0.1重量%以上溶解する、化合物Z-1~Z-4を用いて、インクである組成物を調製した。
<製膜性及び光電変換素子特性の評価>
[インク(組成物)の調製]
[調製例1]インクI-1の調製
第1溶媒としてテトラリン、第2溶媒として安息香酸ブチルを用い、第1溶媒と第2溶媒との重量比を97:3として混合溶媒を調製した。
得られた混合溶媒に、p型半導体材料である高分子化合物(重合体)P-1をインクの全重量に対し1.5重量%の濃度となるように、n型半導体材料である化合物N-1をインクの全重量に対して1.5重量%の濃度となるように、絶縁材料である化合物Z-1をインクの全重量に対して0.75重量%の濃度となるように、それぞれ添加し、60℃で8時間撹拌し、混合液を得た。得られた混合液をフィルターを用いてろ過し、インクI-1を得た。
[調製例2]インクI-2の調製
・絶縁材料として、化合物Z-1の代わりに化合物Z-2を用いた。
以上の事項以外は、調製例1と同様に操作して、インクI-2を得た。
[調製例3]インクI-3の調製
・絶縁材料として、化合物Z-1の代わりに化合物Z-3を用いた。
以上の事項以外は、調製例1と同様に操作して、インクI-3を得た。
[参考調製例1]インクR-1の調製
・絶縁材料である化合物Z-1を混合溶媒に添加しなかった。
以上の事項以外は、調製例1と同様に操作して、インクR-1を得た。
[調製例4]インクI-4の調製
・p型半導体材料として、重合体P-1の代わりに重合体P-2を用い、インクの全重量に対して2重量%の濃度となるように混合溶媒に添加した。
・n型半導体材料として、化合物N-1の代わりに化合物N-2を用い、インクの全重量に対して4重量%の濃度となるように混合溶媒に添加した。
・絶縁材料である化合物Z-1を、インクの全重量に対して1重量%の濃度となるように混合溶媒に添加した。
以上の事項以外は、調製例1と同様に操作して、インクI-4を得た。
[参考調製例2]インクR-2の調製
・p型半導体材料として、重合体P-1の代わりに重合体P-2を用い、インクの全重量に対して2重量%の濃度となるように混合溶媒に添加した。
・n型半導体材料として、化合物N-1の代わりに化合物N-2を用い、インクの全重量に対して4重量%の濃度となるように混合溶媒に添加した。
・絶縁材料である化合物Z-1を混合溶媒に添加しなかった。
以上の事項以外は、調製例1と同様に操作して、インクR-2を得た。
[調製例5]インクI-5の調製
・p型半導体材料として、重合体P-1の代わりに重合体P-3を用いた。
・n型半導体材料として、化合物N-1の代わりに化合物N-3を用いた。
・絶縁材料として、化合物Z-1の代わりに化合物Z-4を用いた。
以上の事項以外は、調製例1と同様に操作して、インクI-5を得た。
[参考調製例3]インクR-3の調製
・p型半導体材料として、重合体P-1の代わりに重合体P-3を用いた。
・n型半導体材料として、化合物N-1の代わりに化合物N-3を用いた。
・絶縁材料である化合物Z-1を混合溶媒に添加しなかった。
以上の事項以外は、調製例1と同様に操作して、インクR-3を得た。
[比較調製例1]インクC-1の調製
・n型半導体材料として、化合物N-1の代わりに化合物N-4を用いた。
以上の事項以外は、調製例1と同様に操作して、インクC-1を得た。
[参考調製例4]インクR-4の調製
・n型半導体材料として、化合物N-1の代わりに化合物N-4を用いた。
・絶縁材料である化合物Z-1を混合溶媒に添加しなかった。
以上の事項以外は、調製例1と同様に操作して、インクR-4を得た。
各調製例の配合を下記表2に示す。
Figure 2022091095000043
[実施例1~5、参考例1a、1b、2~4、比較例1]
(1)光電変換素子及びその封止体の製造
スパッタ法により50nmの厚さでITOの薄膜(第一の電極)が形成されたガラス基板を用意し、このガラス基板に対し、表面処理としてオゾンUV処理を行った。
次に、前日に調製したインクI-1~I-5、インクR-1~R-4、及びインクC-1のいずれかを、ITOの薄膜上にスピンコート法により回転速度Xrpmで塗布して、塗膜を形成した。塗布プログラムは、下記のとおりである。
・1秒間で0rpmからXrpmまで加速し、Xrpmで30秒間回転させ、次いで1秒間でXrpmから0rpmまで減速して停止する。回転速度Xは、表3に示すとおりとした。
次いで、塗膜を、窒素ガス雰囲気下で100℃に加熱したホットプレートを用いて10分間加熱処理して乾燥させ、活性層としての膜を形成した。形成された膜(活性層)の厚さは、およそ表3に示すとおりであった。
次に、抵抗加熱蒸着装置内にて、形成された活性層の上にカルシウム(Ca)層を約5nmの厚さで形成し、電子輸送層とした。
次いで、形成された電子輸送層上に、銀(Ag)層を約60nmの厚さで形成し、第二の電極とした。
以上の工程により光電変換素子が、ガラス基板上に製造された。
次に、製造された光電変換素子の周辺を囲むように、支持基板であるガラス基板上に封止材であるUV硬化性封止剤を塗布し、封止基板であるガラス基板を貼り合わせた。次いで、これにUV光を照射して、光電変換素子を、支持基板と封止基板との間隙に封止した。これにより、光電変換素子の封止体を得た。支持基板と封止基板との間隙に封止された光電変換素子を厚さ方向から見たときの平面的な形状は2mm×2mmの正方形であった。
(2)光電変換素子の評価
製造された光電変換素子の封止体に対し、暗所で逆方向にバイアス電圧(2.5V)を印加し、この印加電圧における外部量子効率(EQE)をソーラーシミュレーター(CEP-2000、分光計器社製)を用いて測定して評価した。
EQEについては、まず光電変換素子の封止体に、暗所で逆方向にバイアス電圧(2.5V)を印加した状態で、300nmから1200nmの波長範囲において20nmごとに一定の光子数(1.0×1016)の光を照射したときに発生する電流の電流値を測定し、公知の手法により波長300nmから1200nmにおけるEQEのスペクトルを求めた。
次いで、得られた20nmごとの複数の測定値のうち、EQEスペクトルのピーク波長に最も近い波長(λmax)における測定値をEQEの値(%)とした。
各実施例、参考例、及び比較例における、スピンコート法による塗布条件(回転速度)及び得られた活性層のおよその厚さを、表3に示した。
Figure 2022091095000044
[製膜性の評価結果]
表3における結果から、以下の事項が分かる。
参考例1aに対する実施例1~2の結果から、絶縁材料を0.75重量%含むインクI-1、I-2(すなわち、インクにおける絶縁材料のp型半導体材料に対する重量比率は0.75/1.5=50/100である。)は、スピンコート法による塗布の際の回転速度を高くしても、絶縁材料を含まないインクから製造される活性層と同程度の厚さの活性層を製造できることが分かる。
参考例1bに対する実施例3の結果から、絶縁材料Z-3を0.75重量%含むインクI-3(すなわち、インクにおける絶縁材料のp型半導体材料に対する重量比率は0.75/1.5=50/100である。)は、スピンコート法による塗布の際の回転速度を高くしても、絶縁材料を含まないインクから製造される活性層よりも厚い活性層を製造できることが分かる。
参考例2に対する実施例4の結果、及び参考例3に対する実施例5の結果から、p型半導体材料及びn型半導体材料を変更したインクI-4、I-5も、スピンコートの際の回転速度を高くしても、絶縁材料を含まないインクから製造される活性層と同程度、又はそれ以上の厚さの活性層を製造できることが分かる。
参考例4に対する比較例1の結果から、n型半導体材料としてフラーレン化合物を含むインクC-1も、スピンコート法による塗布の際の回転速度を高くしても、絶縁材料を含まないインクから製造される活性層よりも厚い活性層を製造できることが分かる。
以上の結果は、絶縁材料をインクに含有させることにより、絶縁材料を含有しないインクと同程度以上の厚さを有する膜を、より大きな回転速度条件のスピンコート法で製造することができ、製膜性を向上させ得ることを示す。
[EQEの測定結果]
絶縁材料を含むインクにより活性層が製造された実施例1~5、比較例1に係るEQE(EQEとする。)を、絶縁材料を含まないインクにより活性層が製造された参考例に係るEQE(EQEとする。)で除算することにより、実施例1~5、比較例1に係るEQEを規格化してEQE/EQEを算出した。具体的には、表4のとおりの実施例又は比較例と、参考例との組み合わせで、EQE/EQEを算出した。算出結果を表4に併せて示す。
表4において、EQEは、実施例1~5又は比較例1のEQEを示す。EQEは、参考例のEQEを示す。
Figure 2022091095000045
表4の結果から、以下の事項が分かる。
実施例1~5に係る光電変換素子は、EQE/EQEの値が1前後であり、絶縁材料を含まない参考例に係る光電変換素子と比較して、EQEが大きく低下していないことが分かる。
一方、使用されたインクが、n型半導体材料として非フラーレン化合物を含まず、n型半導体材料がフラーレン化合物のみからなる場合、比較例1に係る光電変換素子は、EQE/EQEの値が顕著に小さく、絶縁材料を含まない参考例に係る光電変換素子と比較して、EQEが大きく低下していることが分かる。
以上の結果は、p型半導体材料と、n型半導体材料と、絶縁材料と、溶媒とを含む組成物であって、かつn型半導体材料として非フラーレン化合物を含む組成物は、光電変換素子の活性層を製造するためのインクとして有用であり、EQEを維持しつつ、活性層の製膜性を向上させ得ることが分かる。
<インクの安定性評価1:製膜性及びEQEの安定性>
[調製例6]インクI-6の調製
・p型半導体材料である重合体P-1を、インクの全重量に対して1.1重量%の濃度となるように混合溶媒に添加した。
・n型半導体材料である化合物N-1を、インクの全重量に対して1.1重量%の濃度となるように混合溶媒に添加した。
・絶縁材料として、化合物Z-1の代わりに化合物Z-3を用い、インクの全重量に対して0.55重量%の濃度となるように混合溶媒に添加した。
以上の事項以外は、調製例1と同様に操作して、インクI-6を得た。
[調製例7]インクI-7の調製
・p型半導体材料である重合体P-1を、インクの全重量に対して0.88重量%の濃度となるように混合溶媒に添加した。
・n型半導体材料である化合物N-1を、インクの全重量に対して1.1重量%の濃度となるように混合溶媒に添加した。
・絶縁材料として、化合物Z-1の代わりに化合物Z-3を用い、インクの全重量に対して0.77重量%の濃度となるように混合溶媒に添加した。
以上の事項以外は、調製例1と同様に操作して、インクI-7を得た。
[比較調製例2]インクC-2の調製
・p型半導体材料である重合体P-1を、インクの全重量に対して1.4重量%の濃度となるように混合溶媒に添加した。
・n型半導体材料である化合物N-1を、インクの全重量に対して1.4重量%の濃度となるように混合溶媒に添加した。
・絶縁材料である化合物Z-1を混合溶媒に添加しなかった。
以上の事項以外は、調製例1と同様に操作して、インクC-2を得た。
各調製例の配合を下記表5に示す。
下記表5中、総固形分濃度は、インクにおける、p型半導体材料、n型半導体材料、及び絶縁材料の、合計の含有率を示す。
Figure 2022091095000046
[実施例6、7、比較例2]
・インクとして、前日に調製したインクI-6、I-7、又はC-2を用い、回転速度Xを表6に示すとおりとした。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、光電変換素子を製造し、評価した。得られた活性層の厚さを、表6に示す。
[実施例6’、実施例7’、比較例2’、比較例2’’]
・インクとして、調製してから30日間常温暗所で保管したインクI-6、I-7、又はC-2を用い、回転速度Xを表6に示すとおりとした。
以上の事項以外は、実施例1と同様にして、光電変換素子を製造し、評価した。得られた活性層の厚さを、表6に示す。
Figure 2022091095000047
[製膜性の評価結果]
比較例2に対する実施例6、7の結果から、総固形分濃度を変更せずに、p型半導体材料及びn型半導体材料の一部を絶縁材料に置き換えたインクI-6、I-7は、スピンコート法による塗布の際の回転速度を高くしても、絶縁材料を含まないインクC-2から製造する活性層と同じ厚さの活性層を製造できることが分かる。
また、実施例6に対する実施例6’、実施例7に対する実施例7’の結果から、30日間保管した後のインクを用いた場合であっても、保管前のインクを用いた場合と同じスピンコート法の条件(回転速度)で、同じ厚さの活性層を製造できることが分かる。
一方、比較例2に対する比較例2’及び比較例2’’の結果から、絶縁材料を含まないインクC-2は、30日間保管すると、保管前と比較して製膜性が変化することが分かる。すなわち、30日間保管後のインクでは、保管前のインクを用いた場合と同じスピンコートの条件(回転速度)では、保管前のインクを用いた場合よりも厚さの大きい活性層が得られ(比較例2’)、保管前のインクを用いた場合と同等の厚さの活性層を得るためには、スピンコート法の条件の再調整が必要であった(比較例2’’)。
以上の結果は、絶縁材料をインクに含有させることにより、保管による製膜性の変動が抑制されることを示す。
[EQEの測定結果]
絶縁材料を含むインクにより活性層が製造された実施例6~7、6’~7’に係るEQE(EQEとする。)を、絶縁材料を含まないインクにより活性層が製造された比較例2、2’に係るEQE(EQEとする。)で除算することにより、実施例6~7、6’~7’に係るEQEを規格化し、EQE/EQEを算出した。具体的には、表7のとおりの実施例と、比較例との組み合わせで、EQE/EQEを算出した。算出結果を表7に併せて示す。
表7において、EQEは、実施例6,実施例6’、実施例7、又は実施例7’のEQEを示す。EQEは、比較例2、比較例2’又は比較例2’’のEQEを示す。
Figure 2022091095000048
表7に示す結果から、総固形分濃度を変更せずに、p型半導体材料及びn型半導体材料の一部を絶縁材料に置き換えたインクI-6、I-7を用いて製造された光電変換素子は、絶縁材料を含まないインクC-2を用いて製造された光電変換素子のEQEに対して、9割以上のEQEを有していることが分かる。
<インクの安定性評価2:粘度の安定性>
前記調製例6、調製例7、及び比較調製例2によりそれぞれ調製された、インクI-6、インクI-7、及びインクC-2について、調製当日に粘度を測定し、初期粘度B(cP)とした。また、これらのインクについて、30日間常温暗所で保存したのちに、粘度を測定し、保管後粘度B30(cP)とした。
粘度の測定は、回転式粘度計(brookfield engineering laboratories社製「DV2TLV」)を使用し、スピンドルの温度30℃及び回転速度10rpmの条件で行った。各インクの30日間の保管における粘度の変化率を下記式に従い計算した。
粘度変化率(%)=(B30-B)/B×100
結果を表8に示す。
Figure 2022091095000049
表8に示す結果から、インクC-2に比べ、インクI-6、I-7においては粘度変化率は顕著に低く、絶縁材料を含むインクは、粘度の経時変化(特に粘度の上昇)を抑制し得ることが分かる。このように、インクの安定性が向上することで、製膜プロセスの安定性を向上させ得る。製膜プロセスが安定性を有することにより、製膜工程における条件を大きく変化させずに、安定した品質の膜を製造できる。
1 イメージ検出部
2 表示装置
10 光電変換素子
11、210 支持基板
12 第一の電極
13 正孔輸送層
14 活性層
15 電子輸送層
16 第二の電極
17 封止部材
20 CMOSトランジスタ基板
30 層間絶縁膜
32 層間配線部
40 封止層
42 シンチレータ
44 反射層
46 保護層
50 カラーフィルター
100 指紋検出部
200 表示パネル部
200a 表示領域
220 有機EL素子
230 タッチセンサーパネル
240 封止基板
300 静脈検出部
302 ガラス基板
304 光源部
306 カバー部
310 挿入部
400 TOF型測距装置用イメージ検出部
402 浮遊拡散層
404 フォトゲート
406 遮光部

Claims (7)

  1. p型半導体材料と、n型半導体材料と、絶縁材料と、溶媒とを含む組成物であって、前記n型半導体材料が非フラーレン化合物を含む、組成物。
  2. 前記絶縁材料が、前記溶媒に25℃で0.1重量%以上溶解する材料である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記絶縁材料が、下記式(I)で表される構成単位を含む重合体を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
    Figure 2022091095000050
    (式(I)中、
    i1は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素原子数1~20のアルキル基を表し、
    i2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、下記式(II-1)で表される基、式(II-2)で表される基、又は式(II-3)で表される基を表す。
    Figure 2022091095000051
    (式(II-1)中、
    複数あるRi2aは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素原子数1~20のアルキル基を表す。)
    Figure 2022091095000052
    (式(II-2)中、
    i2bは、水素原子又は炭素原子数1~20のアルキル基を表す。)
    Figure 2022091095000053
    (式(II-3)中、
    i2cは、炭素原子数1~20のアルキル基を表す。))
  4. 前記p型半導体材料が、下記式(III)で表される構成単位及び下記式(IV)で表される構成単位からなる群より選択される一種以上の構成単位を含む重合体を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
    Figure 2022091095000054
    (式(III)中、
    Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい3価の芳香族複素環基を表す。
    Zは、下記式(Z-1)~式(Z-7)で表される基を表す。
    Figure 2022091095000055
    (式(Z-1)~(Z-7)中、
    Rは、
    水素原子、
    ハロゲン原子、
    置換基を有していてもよいアルキル基、
    置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
    置換基を有していてもよいアルケニル基、
    置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
    置換基を有していてもよいアルキニル基、
    置換基を有していてもよいシクロアルキニル基、
    置換基を有していてもよいアリール基、
    置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、
    置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、
    置換基を有していてもよいアリールオキシ基、
    置換基を有していてもよいアルキルチオ基、
    置換基を有していてもよいシクロアルキルチオ基、
    置換基を有していてもよいアリールチオ基、
    置換基を有していてもよい1価の複素環基、
    置換基を有していてもよい置換アミノ基、
    置換基を有していてもよいイミン残基、
    置換基を有していてもよいアミド基、
    置換基を有していてもよい酸イミド基、
    置換基を有していてもよい置換オキシカルボニル基、
    シアノ基、
    ニトロ基、
    -C(=O)-Rで表される基、又は
    -SO-Rで表される基を表し、
    及びRは、それぞれ独立して、
    水素原子、
    置換基を有していてもよいアルキル基、
    置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
    置換基を有していてもよいアリール基、
    置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、
    置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、
    置換基を有していてもよいアリールオキシ基、又は
    置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
    式(Z-1)~式(Z-7)中、Rが2つある場合、2つあるRは同一であっても異なっていてもよい。))

    -Ar- (IV)
    (式(IV)中、Arは2価の芳香族複素環基を表す。)
  5. p型半導体材料と、n型半導体材料と、絶縁材料とを含み、前記n型半導体材料は非フラーレン化合物を含む、膜。
  6. 第一の電極と、請求項5に記載の膜と、第二の電極とをこの順で含む、有機光電変換素子。
  7. 請求項6に記載の有機光電変換素子を含む、光検出素子。
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