JP2022087731A - 防音パネル、防音パネルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】腐食の発生を好適に抑制できる防音パネル及びその製造方法を提供する。【解決手段】防音パネル10は、正面側が開口してかつ上面板部材40等から構成された箱状のケース部材と、ケース部材の正面側に取り付けられる金属製の正面板部材50とを備えている。正面板部材50にはルーバー53が上下方向に並んで形成されている。正面板部材50の下端部は、背面側に折り返された折り返し部52とされており、ケース部材の底面板部材30において正面側の端部は、下方に屈曲した金属製の屈曲部32とされている。折り返し部52に屈曲部32が差し込まれている。防音パネル10は、正面板部材50の幅方向に延びるとともに、最下ルーバー53aの裏面に当接して設けられ、折り返し部52と屈曲部32との間の隙間への水の浸入を阻止する止水部材100を備えている。【選択図】 図2
Description
本発明は、道路等で用いられる防音壁を構成する防音パネル及びその製造方法に関する。
従来、道路を走行する車両の騒音を低減するための防音壁が知られている。防音壁は、複数の防音パネルを組み合わせて構築されている。防音パネルは、正面側が開口した箱状のケース部材と、ケース部材の正面側に取り付けられる正面板部材とを備えている。
ケース部材の底板部と正面板部材とは、いわゆるはぜ継ぎにより接合されている。詳しくは、正面板部材の下端部は、背面側に折り返された折り返し部とされている。底板部において正面側の端部は、下方に屈曲した屈曲部とされている。折り返し部に屈曲部が差し込まれることにより、正面板部と底板部とが接合されている。
正面板部材にはルーバーが上下方向に並んで形成されている。各ルーバーは、正面板部の裏面側から表面側に向かって斜め下方に傾斜している。正面板部材において各ルーバーの間には開口が形成されている。騒音が開口を介して防音パネル内部に導かれることにより、吸音効果を奏することができる。
ところで、開口を介して防音パネル内部に水が入り込み、入り込んだ水が正面板部材を構成する折り返し部に溜まることがある。この場合、折り返し部や屈曲部が劣化し得る。具体的には例えば、正面板部材がアルミニウムにより形成され、屈曲部が亜鉛メッキ鋼板により形成されていると、電食によってアルミニウムが溶け出し、折り返し部に割れが発生し得る。
そこで、特許文献1に記載の防音パネルでは、折り返し部に水抜き孔が形成されている。これにより、折り返し部に水が溜まりにくくなり、腐食の発生の抑制を図っている。
また、特許文献2に記載の防音パネルでは、正面板部材の下端部が背面側に折り返されておらず、正面板部材の下端部が下方に延びる構成とされている。この構成において、正面板部材の下端部と屈曲部とがリベットにより接合されている。これにより、折り返し部を無くし、水が溜まらない構造にしている。
特許文献1に記載の防音パネルには、折り返し部と屈曲部との間に隙間がある。この防音パネルは、折り返し部に水が溜まりにくい構造ではあるものの、開口を介して防音パネル内部に入り込んだ水は、毛細管現象によりその隙間に浸入し、長期にわたって隙間にとどまることとなる。その結果、折り返し部や屈曲部が劣化し得る。
また、特許文献2に記載の防音パネルにも、正面板部材の下端部と屈曲部との間に隙間がある。この防音パネルは、折り返し部が設けられない構造ではあるものの、開口を介して防音パネル内部に入り込んだ水は、毛細管現象によりその隙間に浸入し、わずかながらも隙間にとどまることとなる。その結果、正面板部材の下端部や屈曲部が劣化し得る。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、劣化の発生を好適に抑制できる防音パネル及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、正面側が開口した箱状のケース部材と、
前記ケース部材の正面側に取り付けられる正面板部材と、
を備える防音パネルにおいて、
前記正面板部材にはルーバーが上下方向に並んで形成されており、
前記各ルーバーは、前記正面板部材の裏面側から表面側に向かって斜め下方に傾斜しており、
前記正面板部材において前記各ルーバーの間には開口が形成されており、
前記正面板部材の下端部は、背面側に折り返された折り返し部とされており、
前記ケース部材の底板部において正面側の端部は、下方に屈曲した屈曲部とされており、
前記折り返し部に前記屈曲部が差し込まれており、
前記正面板部材の幅方向に延びるとともに、前記各ルーバーのうち最下に位置するルーバーの裏面、及び前記正面板部材の裏面において前記最下に位置するルーバーと前記折り返し部との間の面のうち、少なくとも一方に当接して設けられ、前記折り返し部と前記屈曲部との間の隙間への水の浸入を阻止する止水部材を備える。
前記ケース部材の正面側に取り付けられる正面板部材と、
を備える防音パネルにおいて、
前記正面板部材にはルーバーが上下方向に並んで形成されており、
前記各ルーバーは、前記正面板部材の裏面側から表面側に向かって斜め下方に傾斜しており、
前記正面板部材において前記各ルーバーの間には開口が形成されており、
前記正面板部材の下端部は、背面側に折り返された折り返し部とされており、
前記ケース部材の底板部において正面側の端部は、下方に屈曲した屈曲部とされており、
前記折り返し部に前記屈曲部が差し込まれており、
前記正面板部材の幅方向に延びるとともに、前記各ルーバーのうち最下に位置するルーバーの裏面、及び前記正面板部材の裏面において前記最下に位置するルーバーと前記折り返し部との間の面のうち、少なくとも一方に当接して設けられ、前記折り返し部と前記屈曲部との間の隙間への水の浸入を阻止する止水部材を備える。
本発明では、各ルーバーのうち最下に位置するルーバーの裏面、及び正面板部材の裏面において最下に位置するルーバーと折り返し部との間の面のうち、少なくとも一方に当接するとともに、正面板部材の幅方向に延びる止水部材が設けられている。このため、開口を介して防音パネル内部に水が浸入する場合であっても、折り返し部と屈曲部との間の隙間への水の浸入を阻止することができる。これにより、折り返し部や屈曲部の劣化の発生を好適に抑制することができる。
以下、本発明の防音パネルを具体化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。防音パネルが上下に多段積みされることにより防音壁が構築される。防音壁は、例えば、車両が走行する道路に沿って構築される。
図1~図8を用いて、本実施形態に係る防音パネル10について説明する。なお、各図面のうち、便宜上、一部の構成の図示を省略している図もある。
防音パネル10は、背面板部材20、底面板部材30及び上面板部材40を備えている。本実施形態において、各板部材20,30,40は、例えば、高耐食性鋼板、又は母材である亜鉛メッキ鋼板にフッ素樹脂系フィルムがラミネートされたフッ素樹脂ラミネート鋼板により形成されている。高耐食性鋼板としては、例えば、亜鉛メッキ鋼板又はアルミ亜鉛合金メッキ鋼板を用いることができる。
背面板部材20は、上下方向に延びている。背面板部材20の上端部は、正面側に向かって斜め上方に屈曲した背面側天板部21とされている。背面側天板部21の正面側の端部は、下方に屈曲した第1天板側接続部22とされている。背面板部材20の下端部は、正面側に向かって斜め上方に屈曲した背面側基底部23とされている。背面側基底部23の正面側の端部は、上方に屈曲した第1基底側接続部24とされている。なお、本実施形態では、図2に示すように、背面板部材20において、背面側天板部21と背面側基底部23との間の部分に、正面側に凹む部分が3つ形成されている。ただし、正面側に凹む部分は、3つに限らず、例えば、上記特許文献1の図2に記載されているように1つ形成されていてもよいし、2つ、4つ又は5つ以上形成されていてもよい。
底面板部材30は、正面側に向かって斜め上方に延びている。底面板部材30の背面側の端部は、上方に屈曲した第2基底側接続部31とされている。底面板部材30の正面側の端部は、下方に屈曲した屈曲部32とされている。第2基底側接続部31と第1基底側接続部24とは、例えばリベットにより接合されている。底面板部材30において第2基底側接続部31と屈曲部32との間の部分は、正面側に向かって斜め上方に傾斜する底面傾斜部33になっている。
上面板部材40は、正面側に向かって斜め上方に延びている。上面板部材40の背面側の端部は、下方に屈曲した第2天板側接続部41とされている。第2天板側接続部41と第1天板側接続部22とは、例えばリベットにより接合されている。上面板部材40において第2天板側接続部41よりも正面側の天板部分が正面側天板部42とされている。
防音パネル10は、正面板部材50を備えている。正面板部材50は、例えば、アルミニウム、高耐食性鋼板又はフッ素樹脂ラミネート鋼板により形成されている。高耐食性鋼板としては、例えば、上述したように、亜鉛メッキ鋼板又はアルミ亜鉛合金メッキ鋼板を用いることができる。正面板部材50の上端部は、背面側に向かって斜め下方に屈曲した正面側接続部51とされている。正面側接続部51が上面板部材40の上面に重ね合わせられた状態で、正面側接続部51と正面側天板部42とがリベットにより接合されている。正面板部材50の下端部は、背面側に折り返された折り返し部52とされている。折り返し部52には、屈曲部32が差し込まれている。
正面板部材50には、ルーバー53が上下方向に所定間隔で並んで形成されている。ルーバー53は、図1に示すように、正面板部材50の幅方向にも並んで形成されている。正面板部材50において上下方向に並ぶ各ルーバー53の間には開口54(ガラリ)が形成されている。開口54は、正面板部材50の幅方向に延びる長尺状をなしている。各ルーバー53は、正面板部材50の裏面側から表面側に向かって斜め下方に傾斜している。各ルーバー53は、正面板部材50の裏面よりも背面側に斜め上向きに延びている。本実施形態において、各ルーバー53のうち、最下に位置するルーバーを最下ルーバー53aと称す。
防音パネル10は、図3及び図4に示すように、第1側面板部材60及び第2側面板部材70を備えている。各側面板部材60,70は、防音パネル10の幅方向における両端部それぞれに設けられている。各側面板部材60,70は、例えば、上述した高耐食性鋼板又はフッ素樹脂ラミネート鋼板により形成されている。
第1側面板部材60は、上下方向に延びている。第1側面板部材60の背面側の端部は、防音パネル10の幅方向中央側に屈曲した第1側面接続部61とされている。第1側面接続部61と背面板部材20の幅方向における端部とは、例えばリベットにより接合されている。第1側面板部材60の正面側の端部は、第1側面接続部61の屈曲方向とは逆方向に屈曲した第2側面接続部62とされている。第1側面板部材60において、第1側面接続部61と第2側面接続部62との間の部分が第1側面部63とされている。
第2側面板部材70は、上下方向に延びている。第2側面板部材70の背面側の端部は、第2側面接続部62の屈曲方向と同じ方向に屈曲した第3側面接続部71とされている。第3側面接続部71と第2側面接続部62とは、例えばリベットにより接合されている。第2側面板部材70の正面側の端部は、第3側面接続部71の屈曲方向と同じ方向に屈曲した第4側面接続部72とされている。第4側面接続部72と正面板部材50の幅方向における端部とは、例えばリベットにより接合されている。第2側面板部材70において、第3側面接続部71と第4側面接続部72との間の部分が第2側面部73とされている。なお、本実施形態において、底面板部材30、上面板部材40、正面板部材50、第1側面板部材60及び第2側面板部材70により、箱状のケース部材が構成されている。
防音パネル10は、導水板部材80を備えている。導水板部材80は、例えば、上述した高耐食性鋼板又はフッ素樹脂ラミネート鋼板により形成されている。
導水板部材80は、正面側に向かって斜め上方に延びている。導水板部材80の背面側の端部は、上方に屈曲した壁部81とされている。導水板部材80の正面側の端部は、上方に屈曲した立ち上がり部82とされている。立ち上がり部82の正面側の端部は、正面側に向かって斜め上方に屈曲した延出部83とされている。導水板部材80において壁部81と立ち上がり部82との間が、導水傾斜部84とされている。導水傾斜部84及び壁部81は、一対の第2側面板部材70のうち一方から他方にわたって延びている。立ち上がり部82及び延出部83は、底面板部材30の幅方向における一端から他端にわたって延びている。なお、本実施形態において、導水傾斜部84及び底面傾斜部33が底板部に相当する。
導水板部材80は、図5~図7に示すように、幅方向において上向きに凸となるように湾曲している。このため、導水傾斜部84は、幅方向における中間部(具体的には例えば中央)から幅方向における両端部それぞれに向かって下り傾斜になっている。底面板部材30と導水板部材80とは、例えばリベットにより接合されている。なお、図1の2-2線断面図である図2と、図2に示す防音パネル10の下側部分の拡大図である図5とにおいて、底面傾斜部33と導水傾斜部84との間には、導水傾斜部84が湾曲しているため実際には隙間がある。しかし、図2及び図5では、便宜上、この隙間の図示を省略している。
防音パネル10は、その内部空間に収容された吸音材90を備えている。吸音材90は、直方体形状をなし、例えばグラスウール又はポリエステルウールにより形成されている。吸音材90の正面側には、保護シート91が設けられている。保護シート91は、撥水機能を有しており、例えばポリフッ化ビニールフィルム又はETFE(四フッ化エチレンポリマーフィルム)により形成された保護フィルムである。
防音パネル10は、支持部材92と、押さえ部材93とを備えている。支持部材92及び押さえ部材93は、例えば、上述した高耐食性鋼板又はフッ素樹脂ラミネート鋼板により形成されている。
支持部材92は、導水傾斜部84の上面に、導水板部材80の幅方向において並んで複数設けられている。具体的には、支持部材92は、導水傾斜部84の幅方向における中央に対して各第2側面板部材70側に1つずつ設けられている。
支持部材92は、導水傾斜部84に固定された固定部92aと、固定部92aの正面側の端部から上方に延びる起立部92bと、起立部92bの先端部から正面側に延びる持ち上げ部92cとを備えている。固定部92aは、例えばリベットにより導水傾斜部84に固定されている。持ち上げ部92cの上面には、吸音材90が載置されている。なお、本実施形態において、支持部材92が載置部に相当する。
支持部材92により吸音材90の底部が導水傾斜部84から離間している。このため、導水傾斜部84の上面における水の流れが吸音材90により妨げられることを抑制できる。また、吸音材90の底部を水に濡れにくくすることができる。
押さえ部材93は、背面板部材20の裏面に固定されている。吸音材90は、正面側の保護シート91を各ルーバー53に当接させるとともに、背面側から押さえ部材93で押さえられた状態で持ち上げ部92cに載置されている。
図2に示すように、一対の第2側面部73それぞれにおいて背面側の下端部には、排水部としての排水口74が形成されている。各排水口74は、導水傾斜部84の上面に沿って流れてくる水を防音パネル10外部に排出する。また、一対の第2側面部73それぞれにおいて正面側の下端部には、立ち上がり部82及び延出部83の幅方向における端部が挿通される挿通口が形成されている。これにより、立ち上がり部82及び延出部83の幅方向における両端部のそれぞれは、第2側面部73よりも幅方向外側に配置されている。
防音パネル10は、止水部材100を備えている。止水部材100は、弾性材料により形成されており、本実施形態ではクロロプレンゴムにより形成されている。止水部材100は、矩形板状に形成されたパッキンである。止水部材100は、正面板部材50の幅方向における一端から他端にわたって延びている。
止水部材100において正面側の端部と背面側の端部との中間部の下面には、正面側から背面側に向かって凹むとともに延出部83が差し込まれる凹部101が形成されている。止水部材100の厚さ寸法は、1.4mm以上であってかつ2.4mm以下であり、具体的には例えば1.5mmである。止水部材100のショア硬度Aは、65度以上であってかつ75度以下である。なお、ショア硬度Aは、例えば、JISK6253-3:2012に基づくタイプAデュロメータを用いて測定される硬度である。
止水部材100の正面側の端部は、幅方向に並ぶ各最下ルーバー53aの裏面に、背面側に向かって斜め上向きで当接している。これにより、開口54を介して防音パネル10内部に入り込んだ水が正面板部材50の裏面と止水部材100との間の隙間に浸入することを好適に抑制する。また、本実施形態では、止水部材100の正面側の端部は、各最下ルーバー53aの裏面に、弾性変形して押し当てられている。これにより、正面板部材50の裏面と止水部材100との間の隙間をできにくくしている。なお、止水部材100の正面側の先端は、例えば図6に示すように、各最下ルーバー53aの裏面において背面側の端からはみ出していないことが望ましい。これにより、騒音を取り入れる開口54の面積が減少することを抑制しつつ、正面板部材50の裏面と止水部材100との間の隙間に水が浸入することをより好適に抑制する。
なお、本実施形態では、止水部材100の上面に吸音材90が当接している。ただし、当接している構成に限らず、吸音材90と止水部材100とが離間していてもよい。また、図3及び図4に示す第4側面接続部72と、正面板部材50の幅方向における両端部それぞれとの間には、止水部材100の正面側の端部が弾性変形した状態で挟まれている。ただし、図3では、便宜上、止水部材100の図示を省略している。また、図3では、ルーバー53の図示も省略している。
止水部材100の背面側の端部は、背面側に向かって下り傾斜になっている。本実施形態では、止水部材100の背面側の端部は、導水傾斜部84から離間している。開口54を介して防音パネル10内部に入り込んだ水は、止水部材100の上面を正面側から背面側に向かって流れていく。
導水傾斜部84は、背面側に向かって下り傾斜の傾斜面になっている。また、導水傾斜部84は、幅方向における中間部から幅方向における両端部それぞれに向かって下り傾斜になっている。このため、止水部材100から導水傾斜部84に流れた水を、導水傾斜部84の幅方向における両端部それぞれの背面側に的確に導くことができる。これにより、導かれた水を、各排水口74を介して防音パネル10外部に的確に排出することができる。このように、本実施形態によれば、開口54を介して防音パネル10内部に水が浸入する場合であっても、折り返し部52と屈曲部32との間の隙間への水の浸入を阻止することができる。これにより、折り返し部52や屈曲部32の腐食の発生を好適に抑制することができる。
続いて、図9を用いて、底面板部材30、上面板部材40、正面板部材50、第1側面板部材60及び第2側面板部材70により構成されるケース部材の正面側に正面板部材50を取り付ける工程について説明する。
図9(a)に示す状態は、正面板部材50がケース部材の正面側に取り付けられる前の状態である。延出部83に凹部101を差し込む。これにより、止水部材100の正面側の端部は、斜め上向きに傾斜した状態で、屈曲部32よりも正面側に突出している。
その後、図9(b)に示すように、ケース部材に対して正面板部材50を下方から上方に移動させる。その移動に伴って止水部材100の正面側の端部が最下ルーバー53aに上向きに押されることにより、止水部材100の正面側の端部が弾性変形して上向きにされつつ、屈曲部32に折り返し部52を差し込む。ケース部材に対する正面板部材50の取り付け前の状態において止水部材100の正面側の端部が斜め上方に傾斜しているため、最下ルーバー53aに押された場合に止水部材100の正面側の端部を上向きにしやすくなる。
その後、正面側接続部51を正面側天板部42に重ね、正面側接続部51と正面側天板部42とをリベットにより接合する。これにより、図9(c)に示すように、止水部材100の正面側の端部を最下ルーバー53aの裏面に斜め上向きで押し当てた状態に保持する。止水部材100として、厚さ寸法が1.4mm以上であってかつ2.4mm以下であり、ショア硬度Aが65度以上であってかつ75度以下であるものが用いられる。このため、正面板部材50の一連の取り付け作業において、止水部材100を適正に弾性変形させて止水部材100の正面側の端部を最下ルーバー53aの裏面に押し当てることができる。以上説明した正面板部材50の取り付け工程によれば、正面板部材50の取り付け作業の作業性を向上させることができる。
<その他の実施形態>
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・止水部材100の背面側の端部が導水傾斜部84に当接していてもよい。これにより、導水傾斜部84の上面の水が屈曲部32側に行くことをより好適に防止できる。
・止水部材100の正面側の端部が、正面板部材50の幅方向に並ぶ各最下ルーバー53aの裏面ではなく、例えば、正面板部材50の裏面において各最下ルーバー53aと折り返し部52との間の面に当接してもよい。
・防音パネル10の幅方向において、導水板部材80が上向きに凸となるように湾曲していなくてもよい。この場合、導水板部材80を構成する延出部83及び導水傾斜部84は、幅方向において傾斜することなく、幅方向に直線的に延びることとなる。また、この場合、例えば、導水傾斜部84及び底面板部材30の背面側の端部に上下方向に貫通する排水口が形成されていてもよい。
・防音パネル10に導水板部材80が備えられていなくてもよい。この場合、止水部材としては、図8等に示したものに限らない。例えば、止水部材として、底面傾斜部33において正面側の端部から上方に延びるとともに底面板部材30の幅方向における一端から他端にわたって延びるベース部と、ベース部の上端部から正面側及び背面側それぞれに延びる平板部とを備え、横断面形状がT字状のものが用いられてもよい。この場合、止水部材は、弾性材料により形成されていなくてもよい。また、止水部材を構成するベース部は、例えば、底面傾斜部33に接着剤により固定されていればよい。平板部の正面側の端部は、正面板部材50の裏面において最下ルーバー53aと折り返し部52との間の面、又は最下ルーバー53aの裏面に当接している。なお、平板部の上面は、正面側から背面側に向かって下り傾斜になっていてもよい。
また、止水部材としては、例えば、横断面形状が円形状又は矩形状のものが用いられてもよい。この場合、止水部材は、例えば、正面板部材50の裏面において最下ルーバー53aと折り返し部52との間の面、及び最下ルーバー53aの裏面のうち少なくとも一方と、底面傾斜部33とに当接していればよい。
・折り返し部及び屈曲部としては、金属製のものに限らず、例えば合成樹脂により形成されたものであってもよい。この場合であっても、隙間に浸入した水により折り返し部及び屈曲部が劣化するおそれがあるとき、本発明の適用が有効である。
10…防音パネル、20…背面板部材、30…底面板部材、32…屈曲部、40…上面板部材、50…正面板部材、52…折り返し部、53…ルーバー、54…開口、80…導水板部材、82…立ち上がり部、83…延出部、90…吸音材、92…支持部材、100…止水部材、101…凹部。
Claims (8)
- 正面側が開口した箱状のケース部材と、
前記ケース部材の正面側に取り付けられる正面板部材と、
を備える防音パネルにおいて、
前記正面板部材にはルーバーが上下方向に並んで形成されており、
前記各ルーバーは、前記正面板部材の裏面側から表面側に向かって斜め下方に傾斜しており、
前記正面板部材において前記各ルーバーの間には開口が形成されており、
前記正面板部材の下端部は、背面側に折り返された折り返し部とされており、
前記ケース部材の底板部において正面側の端部は、下方に屈曲した屈曲部とされており、
前記折り返し部に前記屈曲部が差し込まれており、
前記正面板部材の幅方向に延びるとともに、前記各ルーバーのうち最下に位置するルーバーの裏面、及び前記正面板部材の裏面において前記最下に位置するルーバーと前記折り返し部との間の面のうち、少なくとも一方に当接して設けられ、前記折り返し部と前記屈曲部との間の隙間への水の浸入を阻止する止水部材を備える防音パネル。 - 前記止水部材は、板状に形成されたパッキンであり、
前記止水部材の正面側の端部は、前記最下に位置するルーバーの裏面、及び前記正面板部材の裏面において前記最下に位置するルーバーと前記折り返し部との間の面のうち、少なくとも一方に上向きで当接しており、
前記止水部材の背面側の端部は、背面側に向かって下り傾斜になっている、請求項1に記載の防音パネル。 - 前記底板部から上方に延びる立ち上がり部と、
前記立ち上がり部の先端部から正面側に向かって延びる延出部と、
を備え、
前記止水部材は、弾性材料により形成されており、
前記止水部材において正面側の端部と背面側の端部との中間部の下面には、正面側から背面側に向かって凹むとともに前記延出部が差し込まれる凹部が形成されており、
前記止水部材の正面側の端部は、前記最下に位置するルーバーの裏面、及び前記正面板部材の裏面において前記最下に位置するルーバーと前記折り返し部との間の面のうち、少なくとも一方に、弾性変形して押し当てられている、請求項2に記載の防音パネル。 - 前記止水部材のショア硬度Aは、65度以上であってかつ75度以下であり、
前記止水部材の厚さ寸法は、1.4mm以上であってかつ2.4mm以下である、請求項3に記載の防音パネル。 - 前記各ルーバーは、前記正面板部材の裏面よりも背面側に斜め上向きに延びており、
前記止水部材の正面側の端部は、前記最下に位置するルーバーの裏面に、背面側に向かって斜め上向きで当接している、請求項2~4のいずれか1項に記載の防音パネル。 - 前記底板部において前記止水部材の背面側の端部よりも背面側は、背面側に向かって下り傾斜になっているとともに、前記底板部の幅方向における中間部から前記底板部の幅方向における両端部それぞれに向かって下り傾斜になっており、
前記ケース部材において前記底板部の幅方向における両端部には、前記底板部の傾斜面に沿って流れてくる水を排出する排出部が形成されている、請求項2~5のいずれか1項に記載の防音パネル。 - 前記ケース部材に収容された吸音材と、
前記傾斜面に設けられ、前記傾斜面から前記吸音材の底部を離間させた状態で前記吸音材が載置される載置部と、
を備える請求項6に記載の防音パネル。 - 請求項3又は4に記載の防音パネルの製造方法において、
前記正面板部材が前記ケース部材の正面側に取り付けられる前の状態において、前記延出部に前記凹部が差し込まれた状態における前記止水部材の正面側の端部は、前記屈曲部よりも正面側に突出しており、
前記延出部に前記凹部を差し込む工程と、
前記ケース部材に対して前記正面板部材を下方から上方に移動させ、その移動に伴って前記止水部材の正面側の端部を前記最下に位置するルーバーに当接させて上向きにしつつ、前記屈曲部に前記折り返し部を差し込む工程と、
前記正面板部材の上端部を前記ケース部材の天板部に接合することにより、前記止水部材の正面側の端部を、前記最下に位置するルーバーの裏面、及び前記正面板部材の裏面において前記最下に位置するルーバーと前記折り返し部との間の面のうち、少なくとも一方に上向きで当接させた状態に保持する工程と、
を備える防音パネルの製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2020199858A JP2022087731A (ja) | 2020-12-01 | 2020-12-01 | 防音パネル、防音パネルの製造方法 |
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2020
- 2020-12-01 JP JP2020199858A patent/JP2022087731A/ja active Pending
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