JP2022085144A - ビスフェノールの製造方法および再生ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
<1> ポリカーボネート樹脂、芳香族モノアルコール、グリコール及び触媒を含む反応液を調製する調製工程と、前記調製工程で調製した反応液中で前記ポリカーボネート樹脂をビスフェノールと炭酸アルキレンに分解させる分解反応工程と、前記分解反応工程で得られたビスフェノールを回収するビスフェノール回収工程とを、有するビスフェノールの製造方法。
<2> 前記触媒が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルキルアミン及び酸からなる群から選択されるいずれかである、前記<1>に記載のビスフェノールの製造方法。
<3> 前記アルカリ金属水酸化物が、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである、前記<2>に記載のビスフェノールの製造方法。
<4> 前記アルキルアミンが、下記式(I)で示される、前記<2>に記載のビスフェノールの製造方法。
<5> 前記アルキルアミンが、第三級アミンである、前記<2>又は<4>に記載のビスフェノールの製造方法。
<6> 前記酸が、塩酸、硫酸、リン酸及びスルホン酸からなる群から選択されるいずれかである、前記<2>に記載のビスフェノールの製造方法。
<7> 前記芳香族モノアルコールが、フェノール、クレゾール及びキシレノールからなる群から選択されるいずれかである、前記<1>から<6>のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
<8> 前記グリコールが、エチレングリコール又はプロピレングリコールである、前記<1>から<7>のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
<9> 前記ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対する、前記グリコールのモル比が、1.0以上2.0以下である、前記<1>から<8>のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
<10> 前記ビスフェノールが、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンである、前記<1>から<9>のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
<11> 前記分解反応工程で得られた炭酸アルキレンを回収する炭酸アルキレン回収工程を有する、前記<1>から<10>のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
<12> 前記<1>から<11>のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法で得られたビスフェノールを含むビスフェノール原料を用いて、再生ポリカーボネート樹脂を製造する、再生ポリカーボネート樹脂の製造方法。
本発明は、ポリカーボネート樹脂、芳香族モノアルコール、グリコール及び触媒を含む反応液を調製する調製工程と、前記調製工程で調製した反応液中で前記ポリカーボネート樹脂をビスフェノールと炭酸アルキレンに分解させる分解反応工程と、前記分解反応工程で得られたビスフェノールを回収するビスフェノール回収工程とを、有するビスフェノールの製造方法(以下、「本発明のビスフェノールの製造方法」と記載する場合がある)に関するものである。
本発明者らは、触媒の存在下で、芳香族モノアルコールとグリコールを併用することで、温和な条件であっても、ポリカーボネート樹脂をビスフェノールと炭酸アルキレンに分解できることを見出した。また、ハロゲン溶媒のようなポリカーボネート樹脂の溶解性が高い溶媒を用いてポリカーボネート樹脂を完全に溶解させなくても、芳香族モノアルコールとグリコールを併用することで、ポリカーボネート樹脂の分解反応が高い反応率で生じることがわかった。
本発明のビスフェノールの製造方法は、ポリカーボネート樹脂、芳香族モノアルコール、グリコール及び触媒を含む反応液を調製する調製工程を有する。
本発明のビスフェノールの製造方法で用いられるポリカーボネート樹脂は、カーボネート結合(-O-C(=O)-O-)を含む重合組成物を含むものである。具体的には、本発明のビスフェノールの製造方法で用いられるポリカーボネート樹脂は、一般式(1)で示される、ビスフェノールに由来する繰り返し単位を含むポリマーを含むものである。
また、ポリカーボネート樹脂は、2種類以上の異なるポリカーボネート樹脂を混合して用いてよい。
本発明のビスフェノールの製造方法は、芳香族モノアルコールを用いることが特徴の一つである。芳香族モノアルコールは、1つのヒドロキシル基が芳香環を形成する炭素原子に結合した化合物であり、フェノール、クレゾールおよびキシレノールからなる群から選択されるいずれかが好ましい。
クレゾールとしては、オルトクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、および、これらを1以上含む異性体混合物が挙げられる。30℃付近で液体であれば分解槽に供給しやすいことから、好ましくは、オルトクレゾール、メタクレゾール、メタクレゾールとパラクレゾールの異性体混合物、又はオルトクレゾールとメタクレゾールとパラクレゾールの異性体混合物である。
キシレノールとしては、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,5-キシレノール、3,4-キシレノール、および、これらを1以上含む異性体混合物が挙げられる。工業的に安価に入手できることから、好ましくは、2,5-キシレノールである。
本発明のビスフェノールの製造方法は、グリコールを用いることが特徴の一つである。グリコールは、炭素数2以上のアルキル基の2つの炭素原子に1つずつヒドロキシル基が結合した化合物である。グリコールは、エチレングリコール又はプロピレングリコールであることが好ましい。
本発明のビスフェノールの製造方法では、更に触媒を用いることが特徴の一つである。触媒は、ポリカーボネート樹脂の分解を促進できるものであればよいが、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルキルアミンおよび酸からなる群から選択されるいずれかであることが好ましい。
アルカリ金属水酸化物は、アルカリ金属イオン(M+)と水酸化物イオン(OH-)との塩であり、MOH(Mはアルカリ金属原子を表す)で表される化合物である。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが好ましい。
アルカリ金属炭酸塩は、アルカリ金属イオン(M+)と炭酸イオン(CO3 2-)との塩であり、M2CO3(Mはアルカリ金属原子を表す)で表される化合物である。アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムが好ましい。
アルキルアミンは、アンモニアの少なくとも1つの水素原子がアルキル基で置換された化合物である。アルキルアミンの中でも1級アミンであるモノアルキルアミンはポリカーボネート樹脂のカーボネート結合部分と反応してイソシアネートを生成するので、より好ましくは2級アミンであるジアルキルアミン及び3級アミンであるトリアルキルアミンである。
2級アミンであるジアルキルアミンはポリカーボネート樹脂のカーボネート結合部分と反応してテトラアルキル尿素を生成するので、更に好ましくは3級アミンであるトリアルキルアミンである。
RAは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はイソプロピル基が好ましく、RB~RCは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はイソプロピル基が好ましい。
酸としては、塩酸や硫酸、リン酸などの無機酸、および、カルボン酸やスルホン酸などの有機酸が挙げられる。好ましくは、塩酸、硫酸、リン酸及びスルホン酸からなる群から選択されるいずれかである。スルホン酸としては、メタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸、トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸などが挙げられる。
調製工程で調製される反応液は、ポリカーボネート樹脂、芳香族モノアルコール、グリコール及び触媒を含む。ポリカーボネート樹脂を完全に溶解させなくても、芳香族モノアルコールとグリコールを併用することで、ポリカーボネート樹脂の分解反応が進行するため、調製される反応液はスラリー状とすることができる。芳香族モノアルコールおよびグリコールを含む溶媒中にポリカーボネート樹脂を分散させたスラリー状の反応液を調製し、スラリー状の反応液中でポリカーボネート樹脂を分解させることで、溶解度分だけ溶解したポリカーボネート樹脂のみが分解反応に関与し、急激に分解反応が進行することなく、安定して反応を進行させることができるため、反応の制御がしやすく好ましい。
本発明のビスフェノールの製造方法は、調製工程で調製した反応液中で前記ポリカーボネート樹脂をビスフェノールと炭酸アルキレンに分解させる分解反応工程を有する。分解反応工程では、芳香族モノアルコール、グリコール及び触媒の存在により、ポリカーボネート樹脂のカーボネート結合部分が切断され、ビスフェノールと炭酸アルキレンが生成される。例えば、エチレングリコール又はプロピレングリコールを用いる場合は、以下の反応式(2)に示す反応が起こる。なお、反応式(2)において、R1~R6は、上記一般式(1)のと同義であり、R7は、水素原子又はメチル基である。
分解反応は、反応液の調製時の温度と同じ温度で行ってもよいが、反応液を調製後に所定の反応温度に昇温して行うことが好ましい。反応液の調製時の温度が高すぎると分解反応の制御が困難になるおそれがある。反応液を調製後に昇温して分解反応を行うことで、分解反応を安定に進行させることができるため好ましい。
反応時間は、スラリー濃度や反応温度等に応じて適宜選択されるものであるが、長い場合は生成したビスフェノールが分解する傾向にあることから、30時間以下が好ましく、25時間以下、20時間以下、15時間以下、10時間以下、5時間以下の順で数値が小さくなる程より好ましい。また、反応時間が短い場合は分解反応が十分に進行しない場合があるため、好ましくは0.1時間以上、より好ましくは0.5時間以上、更に好ましくは1時間以上である。
本発明のビスフェノールの製造方法は、分解反応工程で得られたビスフェノールを回収するビスフェノール回収工程を有する。分解反応後の反応液からのビスフェノールの回収は、ポリカーボネート樹脂の分解反応を停止させた後、晶析やカラムクロマトグラフィーなどの手段により行うことができる。
ポリカーボネート樹脂の分解反応の停止方法は、用いる触媒の種類によって、適宜選択される。触媒として、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩又は酸が使用される場合は、中和などにより分解反応を停止することができる。また、触媒として、アルキルアミンが使用される場合は、アルキルアミンを留去や中和することにより、分解反応を停止することができる。酸を供給して中和によりアルキルアミンを除去する方法では、アンモニウム塩が発生し、その除去も必要となることから、アルキルアミンの除去は、好ましくは留去する方法である。
本発明のビスフェノールの製造方法では、分解反応工程で得られた炭酸アルキレンを回収する炭酸アルキレン回収工程を有してもよい。炭酸アルキレンの回収(単離、精製)は、常法により行うことが出来る。例えば、反応液または反応液を中和した後の有機相を蒸留する方法が挙げられる。蒸留は、例えば10~101kPa、100~250℃の条件とすることができる。
ビスフェノールの製造方法(A)は、ビスフェノールAに由来する繰り返し単位を含有するポリカーボネート樹脂、フェノール、エチレングリコール、及び、触媒としてアルカリ金属水酸化物を含む反応液を調製する工程(A1)と、反応液中でポリカーボネート樹脂を分解させる工程(A2)と、工程(A2)後の反応液を中和し、ビスフェノールAが溶解した有機相を得る工程(A3)と、工程(A3)で得られた有機相を減圧加熱した後、晶析によりビスフェノールAを回収する工程(A4)を有する。
具体的には、工程(A3)で得られる有機相を減圧加熱して、フェノール、炭酸エチレンなどの液体成分を留去し、ビスフェノールAの粗生成物を得る。次いで、ビスフェノールAの粗生成物に芳香族炭化水素などの有機溶媒を加えて、ビスフェノールAが溶解した晶析用溶液を調製した後、これを冷却してビスフェノールAを析出させる。析出したビスフェノールAを、固液分離により回収する。
ビスフェノールの製造方法(B)は、ビスフェノールAに由来する繰り返し単位を含有するポリカーボネート樹脂、フェノール、エチレングリコール、及び、触媒としてアルキルアミンを含む反応液を調製する工程(B1)と、反応液中でポリカーボネート樹脂を分解させる工程(B2)と、工程(B2)後の反応液を減圧加熱した後、晶析によりビスフェノールAを回収する工程(B3)を有する。
ビスフェノールの製造方法(C)は、ビスフェノールAに由来する繰り返し単位を含有するポリカーボネート樹脂、フェノール、エチレングリコール、及び、触媒として酸を含む反応液を調製する工程(C1)と、反応液中でポリカーボネート樹脂を分解させる工程(C2)と、工程(C2)後の反応液を中和し、ビスフェノールAが溶解した有機相を得る工程(C3)と、工程(C3)で得られた有機相を減圧加熱した後、晶析によりビスフェノールAを回収する工程(C4)を有する。
本発明のビスフェノールの製造方法で得られるビスフェノール(以下、「再生ビスフェノール」と記載する場合がある。)は、光学材料、記録材料、絶縁材料、透明材料、電子材料、接着材料、耐熱材料など種々の用途に用いられるポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレ-ト樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂など種々の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリベンゾオキサジン樹脂、シアネート樹脂など種々の熱硬化性樹脂などの構成成分、硬化剤、添加剤もしくはそれらの前駆体などとして用いることができる。また、感熱記録材料等の顕色剤や退色防止剤、殺菌剤、防菌防カビ剤等の添加剤としても有用である。
また、本発明は、本発明のビスフェノールの製造方法で得られたビスフェノール(再生ビスフェノール)を含むビスフェノール原料を用いて、再生ポリカーボネート樹脂を製造する、再生ポリカーボネート樹脂の製造方法(以下、「本発明の再生ポリカーボネート樹脂の製造方法」と記載する場合がある。)に関するものである。本発明の再生ポリカーボネート樹脂の製造方法は、廃プラスチック等に含まれるポリカーボネート樹脂をモノマーであるビスフェノールまで分解して得られる再生ビスフェノールを原料としてポリカーボネート樹脂を製造するケミカルリサイクル方法を利用するものである。
例えば、再生ビスフェノールを含むビスフェノール原料と、炭酸ジフェニル等の炭酸ジエステル原料とを、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の存在下でエステル交換反応させる方法などにより再生ポリカーボネート樹脂を製造することができる。
上記方法により再生ポリカーボネート樹脂を製造するには、上記の両原料を、原料混合槽に連続的に供給し、得られた混合物とエステル交換触媒を重合槽に連続的に供給することが好ましい。
得られた再生ポリカーボネート樹脂や組成物は、未使用のポリカーボネート樹脂と同様に、光学部材や光学記録媒体などの各種成形品に成形加工することができる。
ポリカーボネート樹脂は、三菱ケミカルエンジニアリングプラスチックス株式会社のポリカーボネート樹脂「NOVAREX(登録商標)M7027BF」を使用した。
フェノール、トルエン、水酸化ナトリウム、パラトルエンスルホン酸、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチルアミン、アセトニトリル、及び炭酸セシウムは、富士フィルム和光純薬株式会社の試薬を使用した。
炭酸ジフェニルは、三菱ケミカル株式会社の製品を使用した。
ビスフェノールの生成確認と純度は、高速液体クロマトグラフィーにより、以下の手順と条件で行った。
・装置:島津製作所社製LC-2010A、Waters社 5μm 150mm×4.6mmID
・方式:低圧グラジェント法
・分析温度:40℃
・溶離液組成:
A液 アセトニトリル
B液 85%リン酸:水=1mL:999mLの溶液
分析時間0分では、A液:B液=35:65(体積比、以下同様。)、分析時間0~5分は溶離液組成をA液:B液=35:65とした後、分析時間5~40分で徐々にA液:B液=90:10にした。
・流速:0.85mL/分
・検出波長:280nm
・装置:島津製作所社製 GC-2014
Agilent DB-1 0.530mm×30m 1.5μm
・検出方法:FID
・気化室温度:230℃
・検出器温度:300℃
・分析時間0分から5分では、カラム温度を50℃に保ち、分析時間5~30分はカラム温度を280℃まで徐々に昇温し、分析時間30分から40分はカラム温度を280℃に維持した。
・定量法:ビフェニルを内部標準とした内部標準方法
粘度平均分子量(Mv)は、ポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解し(濃度6.0g/L)、ウベローデ粘度管を用いて20℃における比粘度(ηsp)を測定し、下記の式により粘度平均分子量(Mv)を算出した。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp)
[η]=1.23×10-4Mv0.83
ビスフェノールの溶融色は、日電理化硝子社製試験管「P-24」(2mmφ×200mm)にビスフェノールを20g入れて、174℃で30分溶融させ、日本電色工業社製「OME7700」を用い、そのハーゼン色数を測定した。
pHの測定は、株式会社堀場製作所pH計「pH METER ES-73」を用いて、フラスコから取り出した25℃の水相に対して実施した。
(調製工程)
ジムロート冷却管、攪拌翼、温度計を備えたジャケット式セパラブルフラスコに、窒素雰囲気下、ポリカーボネート樹脂80g(ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位の分子量は254g/モルであるので、繰り返し単位のモル数=80g÷254g/モル=0.31モル)、フェノール240g、エチレングリコール35g(0.56モル、ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対するエチレングリコールのモル比=0.56モル÷0.31モル=1.8)、水酸化ナトリウム2g(2g÷40g/モル=0.05モル)を室温で入れた(液量は、80g+240g+35g+2g=357g)。
その後、内温を85℃に昇温した。85℃に到達した時の反応液には、未溶解分のポリカーボネート樹脂が見られた(スラリー状であった)。そのまま、85℃を維持したまま4時間反応させて均一の反応液を得た。
実施例1において、エチレングリコール35gの代わりに、プロピレングリコール43g(0.56モル)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
得られた反応液の一部を、高速液体クロマトグラフィーで組成を確認したところ、ビスフェノールAが19.6質量%(19.6÷100×365g÷228g/モル÷0.31モル=100モル%)生成していることを確認した。また、炭酸プロピレンの生成も確認した。
実施例1において、水酸化ナトリウム2gの代わりに、パラトルエンスルホン酸20g(0.12モル)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
得られた反応液の一部を、高速液体クロマトグラフィーで組成を確認したところ、ビスフェノールAが10.2質量%(10.2÷100×375g÷228g/モル÷0.31モル=54モル%)生成していることを確認した。また、炭酸エチレンの生成も確認した。
(調製工程)
ジムロート冷却管、攪拌翼、温度計を備えたジャケット式セパラブルフラスコに、窒素雰囲気下、ポリカーボネート樹脂80g(0.31モル)、フェノール240g、エチレングリコール35g(0.56モル、ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対するエチレングリコールのモル比=1.8)、トリエチルアミン8g(8g÷101g/モル=0.08モル)を室温で入れた(液量は、80g+240g+35g+8g=363g)。
その後、内温を85℃に昇温した。85℃に到達した時の反応液には、未溶解分のポリカーボネート樹脂が見られた(スラリー状であった)。そのまま、85℃を維持したまま4時間反応させて均一の反応液を得た。
また、得られた反応液の一部を、ガスクロマトグラフィーで組成を確認したところ、炭酸エチレンが6.9質量%(6.9÷100×363g÷88g/モル÷0.31モル=92モル%)生成していることを確認した。
得られた反応液を、温度計、攪拌翼、留出管、及び圧力調整機を備えた蒸留装置に移し、留出量を見ながら、内温を徐々に180℃まで昇温し、内圧を常圧から徐々に100kPaまで下げて、トリエチルアミン、フェノールを留去させた。更に、10kPaまで下げて、炭酸エチレンを留出させて、炭酸エチレン14gを得た。
得られたビスフェノールAの純度は99.8質量%、溶融色はAPHA181であった。
実施例4において、フェノール240gを入れず、エチレングリコール35gの代わりにエチレングリコール275gを入れた以外は、実施例4と同様に実施した。85℃を維持したまま4時間反応させたが、ポリカーボネート樹脂の固形分が残っていた。得られた反応液の一部を、高速液体クロマトグラフィーで組成を確認したところ、ビスフェノールAが痕跡量見られ、分解が進行していないことが確認された。
実施例4において、エチレングリコール35gを入れず、トリエチルアミン8gの代わりにトリエチルアミン15gを入れた以外は、実施例4と同様に実施した。
得られた反応液の一部を、高速液体クロマトグラフィーで組成を確認したところ、ビスフェノールAが8.5質量%(8.5÷100×335g÷228g/モル÷0.31モル=40モル%)生成していることを確認した。
撹拌機及び留出管を備えた内容量45mLのガラス製反応槽に、実施例4で得られたビスフェノールA10.00g(0.04モル)、炭酸ジフェニル9.95g(0.05モル)及び400質量ppmの炭酸セシウム水溶液18μLを入れた。該ガラス製反応槽を約100Paに減圧し、続いて、窒素で大気圧に復圧する操作を3回繰り返し、反応槽の内部を窒素に置換した。その後、該反応槽を220℃のオイルバスに浸漬させ、内容物を溶解した。
Claims (12)
- ポリカーボネート樹脂、芳香族モノアルコール、グリコール及び触媒を含む反応液を調製する調製工程と、
前記調製工程で調製した反応液中で前記ポリカーボネート樹脂をビスフェノールと炭酸アルキレンに分解させる分解反応工程と、
前記分解反応工程で得られたビスフェノールを回収するビスフェノール回収工程とを、有するビスフェノールの製造方法。 - 前記触媒が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルキルアミン及び酸からなる群から選択されるいずれかである、請求項1に記載のビスフェノールの製造方法。
- 前記アルカリ金属水酸化物が、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである、請求項2に記載のビスフェノールの製造方法。
- 前記アルキルアミンが、第三級アミンである、請求項2または4に記載のビスフェノールの製造方法。
- 前記酸が、塩酸、硫酸、リン酸及びスルホン酸からなる群から選択されるいずれかである、請求項2に記載のビスフェノールの製造方法。
- 前記芳香族モノアルコールが、フェノール、クレゾール及びキシレノールからなる群から選択されるいずれかである、請求項1から6のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
- 前記グリコールが、エチレングリコール又はプロピレングリコールである、請求項1から7のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
- 前記ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対する、前記グリコールのモル比が、1.0以上2.0以下である、請求項1から8のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
- 前記ビスフェノールが、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンである、請求項1から9のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
- 前記分解反応工程で得られた炭酸アルキレンを回収する炭酸アルキレン回収工程を有する、請求項1から10のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
- 請求項1から11のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法で得られたビスフェノールを含むビスフェノール原料を用いて、再生ポリカーボネート樹脂を製造する、再生ポリカーボネート樹脂の製造方法。
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