JP2023013730A - ポリカーボネート樹脂の分解方法、ウレアの製造方法、ビスフェノールの製造方法、及び再生ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂の分解方法、ウレアの製造方法、ビスフェノールの製造方法、及び再生ポリカーボネート樹脂の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023013730A
JP2023013730A JP2021118116A JP2021118116A JP2023013730A JP 2023013730 A JP2023013730 A JP 2023013730A JP 2021118116 A JP2021118116 A JP 2021118116A JP 2021118116 A JP2021118116 A JP 2021118116A JP 2023013730 A JP2023013730 A JP 2023013730A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polycarbonate resin
mol
bisphenol
producing
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021118116A
Other languages
English (en)
Inventor
馨 内山
Kaoru Uchiyama
誠 中村
Makoto Nakamura
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2021118116A priority Critical patent/JP2023013730A/ja
Publication of JP2023013730A publication Critical patent/JP2023013730A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/62Plastics recycling; Rubber recycling

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

【課題】ウレア及び/又はビスフェノールを効率良く得ることができるポリカーボネート樹脂の分解方法を提供する。また、前記分解方法を利用したウレアの製造方法及び前記分解方法を利用したビスフェノールの製造方法を提供する。【解決手段】ポリカーボネート樹脂を、芳香族モノアルコール及び第二級アミンの存在下で分解させる、ポリカーボネート樹脂の分解方法。前記ポリカーボネート樹脂の分解方法を用いて、ポリカーボネート樹脂を分解させる工程(S1)と、前記ポリカーボネート樹脂の分解により生成したウレアを回収する工程(S2A)と、を有するウレアの製造方法。前記ポリカーボネート樹脂の分解方法を用いて、ポリカーボネート樹脂を分解させる工程(S1)と、前記ポリカーボネート樹脂の分解により生成したビスフェノールを回収する工程(S2B)と、を有するビスフェノールの製造方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂の分解方法に関する。また、本発明は、ウレアの製造方法及びビスフェノールの製造方法に関する。詳しくは、ポリカーボネート樹脂の分解を利用した、ウレアの製造方法及びビスフェノールの製造方法に関する。更に、前記ビスフェノールの製造方法で得られるビスフェノールを用いた再生ポリカーボネート樹脂の製造方法に関するものである。
テトラメチル尿素に代表されるウレアはその特異な構造から、酸や塩基と混和することが出来る。また、有機溶媒に対して溶解度が低いカプロラクタムや安息香酸なども溶解させることが出来るだけでなく、一部の無機塩も溶解することが出来る。このようにウレアは、優れた溶解特性が知られている。更に、ウレアは中性の化合物にも関わらず、高い誘電率、双極子能率が高いため、各種の反応を促進する効果も有することが知られている。
ウレアの製造方法として、塩化カルボニルとアミンを作用させる方法等が知られている。例えば、特許文献1には、ジメチルアミンをアルカリの存在下、水性媒体中でホスゲンと反応させてテトラメチル尿素を製造する方法が開示されている。
一方、プラスチックは手軽で耐久性に富み、安価であることから我が国のみならず世界中で大量に生産されている。そのプラスチックの多くは「使い捨て」として用いられるため、適切に処理されず、環境中に流出するものもある。具体的には、プラスチックごみは河川から海へと流れ込み、その過程で波や紫外線で劣化して5mm以下となる。このような小さなプラスチックゴミは、マイクロプラスチックと呼ばれる。このマイクロプラスチックを、動物や魚が誤飲してしまう。このように、プラスチックゴミは生態系に甚大な影響を与え、近年、海洋プラスチック問題として世界中で問題視されている。
ポリカーボネート樹脂は、透明性、機械物性、難燃性、寸法安定性、電気特性により、幅広い分野で用いられているが、このポリカーボネート樹脂も例外ではない。
ポリカーボネート樹脂のリサイクル方法の1つとして、ポリカーボネート樹脂を化学的に分解して再利用するケミカルリサイクルがあり、ポリカーボネート樹脂の分解方法の1つとして、アミノリシスが知られている。
例えば、特許文献2には、芳香族炭化水素と第1級アミンを用いて、ポリカーボネート樹脂を分解させ、ビスフェノールAと尿素(ウレア)誘導体を得る方法が開示されている。特許文献2の実施例1によれば、ポリカーボネート樹脂とトルエンと第一級アミンであるエチルアミン水溶液を用いることにより、ポリカーボネート樹脂をアミノリシスさせ、ジエチル尿素とビスフェノールAを含む反応液を得ている。
特開昭59-31752号公報 特開2001-302573号公報
特許文献1に記載されるような、塩化カルボニルとアミンを作用させウレアを製造する方法は、ガスを用いるため、容易に製造することが困難であった。
特許文献2に記載の方法は、第1級アミンを過剰に用いる必要があったり、反応液が2層系のため、尿素誘導体とビスフェノールAを含む反応液から、それぞれを単離することが複雑であった。更に、尿素誘導体を回収し、精製後に単離するためには蒸留する必要があり、この蒸留によって、尿素誘導体は加熱されその一部はイソシアネートとなるため、尿素誘導体を効率良く得ることが困難であった。
ポリカーボネート樹脂をアミノリシスにて効率的に分解させることができれば、ウレアだけでなく、ビスフェノールも効率的に得ることができる。そのため、アミノリシスによりポリカーボネート樹脂を分解させることに対して、更なる改良が求められていた。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、ポリカーボネート樹脂のアミノリシスにより、ウレア及び/又はビスフェノールを効率良く得ることができるポリカーボネート樹脂の分解方法を提供することを目的とする。
また、効率良くウレアを製造することができる、前記ポリカーボネート樹脂の分解方法を利用したウレアの製造方法を提供することを目的とする。
また、効率良くビスフェノールを製造することができる、前記ポリカーボネート樹脂の分解方法を利用したビスフェノールの製造方法を提供することを目的とする。
更に、得られた前記ビスフェノールを含むビスフェノール原料を用いた再生ポリカーボネート樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、芳香族モノアルコールと第二級アミンを用いることで、ポリカーボネート樹脂を分解させて、効率良くウレアとビスフェノールを製造できることを見出した。また、得られた前記ビスフェノールを用いた再生ポリカーボネート樹脂の製造方法を見出した。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> ポリカーボネート樹脂を、芳香族モノアルコール及び第二級アミンの存在下で分解させる、ポリカーボネート樹脂の分解方法。
<2> 前記芳香族モノアルコールが、フェノール、クレゾール及びキシレノールからなる群から選択されるいずれかである、前記<1>に記載のポリカーボネート樹脂の分解方法。
<3> 前記第二級アミンがアルキレンジアミンである、前記<1>又は<2>に記載のポリカーボネート樹脂の分解方法。
<4> 前記ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対する前記第二級アミン中のアミノ基のモル比が、1以上5以下である、前記<1>から<3>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の分解方法。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の分解方法を用いて、ポリカーボネート樹脂を分解させる工程と、前記ポリカーボネート樹脂の分解により生成したウレアを回収する工程と、を有するウレアの製造方法。
<6> 前記<1>から<4>のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の分解方法を用いて、ポリカーボネート樹脂を分解させる工程と、前記ポリカーボネート樹脂の分解により生成したビスフェノールを回収する工程と、を有するビスフェノールの製造方法。
<7> 前記ビスフェノールが、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンである、前記<6>に記載のビスフェノールの製造方法。
<8> 前記<6>又は<7>に記載のビスフェノールの製造方法で得られたビスフェノールを含むビスフェノール原料を用いて、再生ポリカーボネート樹脂を製造する、再生ポリカーボネート樹脂の製造方法。
本発明によれば、効率的にポリカーボネート樹脂を分解することができるポリカーボネート樹脂の分解方法が提供される。
また、本発明によれば、効率的にウレアを製造することができるウレアの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、効率的にビスフェノールを製造することができるビスフェノールの製造方法が提供される。
更に、本発明によれば、得られた前記ビスフェノールを含むビスフェノール原料を用いた再生ポリカーボネート樹脂の製造方法が提供される。
本発明のウレアの製造方法及び本発明のビスフェノールの製造方法の一例を示すフロー図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施の態様の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
<ポリカーボネート樹脂の分解方法>
本発明は、ポリカーボネート樹脂を、芳香族モノアルコール及び第二級アミンの存在下で分解させる、ポリカーボネート樹脂の分解方法(以下、「本発明の分解方法」と記載する場合がある。)に関するものである。
本発明の分解方法は、ポリカーボネート樹脂を、芳香族モノアルコール及び第二級アミンの存在下で分解させる。芳香族モノアルコール及び第二級アミンの存在により、ポリカーボネート樹脂のカーボネート結合部分が切断される分解反応が起こり、分解生成物として、ビスフェノール及びウレアが生成する。芳香族モノアルコール及び第二級アミンを用いることで、分解反応を効率的に進行させ、かつ、生成するウレアは単離精製時にイソシアネートとなりにくく、効率良くウレアを得ることができる。
また、本発明者らは、ポリカーボネート樹脂は、芳香族モノアルコールには溶解しにくいにもかかわらず、芳香族モノアルコールを用い、常圧の温和な条件であって、ポリカーボネート樹脂を分解できることを見出した。ハロゲン溶媒のようなポリカーボネート樹脂の溶解性が高い溶媒を用いてポリカーボネート樹脂を完全に溶解させなくても、芳香族モノアルコールを用いることでポリカーボネート樹脂の分解反応を高い反応率で生じさせることができる。
(ポリカーボネート樹脂)
本発明の分解方法で用いられるポリカーボネート樹脂は、カーボネート結合(-O-C(=O)-O-)を含む重合組成物を含むものである。具体的には、本発明の分解方法で用いられるポリカーボネート樹脂は、一般式(1)で示される、ビスフェノールに由来する繰り返し単位を含むポリマーを含むものである。
Figure 2023013730000002
1~R4の置換基としては、それぞれに独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基などが挙げられる。例えば、水素原子、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、i-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、2,6-ジメチルフェニル基などが挙げられる。
5とR6の置換基としては、それぞれに独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基などが挙げられる。例えば、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルへキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、i-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、2,6-ジメチルフェニル基などが挙げられる。
5とR6は、2つの基の間で互いに結合又は架橋し、シクロアルキリデン基を形成しても良い。例えば、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、3,3,5-トリメチルシクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、シクロオクチリデン、シクロノニリデン、シクロデシリデン、シクロウンデシリデン、シクロドデシリデン、フルオレニリデン、キサントニリデン、チオキサントニリデンなどが挙げられる。
中でも、本発明の分解方法は、上記一般式(1)のR1~R4が水素原子であり、R5、R6がメチル基であるポリカーボネート樹脂(ビスフェノールA型のポリカーボネート樹脂)を原料として用いることが好適である。
また、本発明の原料であるポリカーボネート樹脂としては、ポリカーボネート樹脂単独のものだけでなく、共重合体やポリマーアロイのようにポリカーボネート樹脂以外の樹脂を含む組成物を用いても良い。ポリカーボネート樹脂以外の樹脂を含む組成物としては、例えば、ポリカーボネート/ポリエステル共重合体、ポリカーボネート/ポリエステルアロイ、ポリカーボネート/ポリアリレート共重合体、ポリカーボネート/ポリアリレートアロイ等が挙げられる。ポリカーボネート樹脂以外の樹脂を含む組成物を用いる場合、ポリカーボネート樹脂が主成分である(組成物中にポリカーボネート樹脂を50質量%以上含む)ものが好適に使用できる。
また、ポリカーボネート樹脂は、2種類以上の異なるポリカーボネート樹脂を混合して用いることができる。なお、ポリカーボネート樹脂は、単にポリカーボネートと呼ばれることがある。
ケミカルリサイクルの観点から、ポリカーボネート樹脂は、廃プラスチックに含まれるポリカーボネート樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂は、ヘッドランプなどの光学部材や、光学ディスクなどの光学記録媒体などの各種成形品に成形加工されて用いられている。ポリカーボネート樹脂を含む廃プラスチックとして、これらの成形品にポリカーボネート樹脂を成形加工する際の端材や不良品、使用済みの成形品などを用いることができる。
廃プラスチックは、適宜、洗浄、破砕、粉砕などをしたものを用いることができる。廃プラスチックの破砕の方法としては、ジョークラッシャや旋回式クラッシャを用いて20cm以下に破砕する粗砕や、旋回式クラッシャ、コーンクラッシャ、ミルを用いて1cm以下まで破砕する中砕、ミルを用いて1mm以下まで破砕する粉砕等であり、分解槽に供給出来る大きさまで小さくできれば良い。また、廃プラスチックがCDやDVDのように薄いプラスチックの場合、シュレッダー等を用いて裁断し、分解槽に供給することができる。また、共重合体やポリマーアロイの他の樹脂、光学ディスクの表面や裏面の層のようにポリカーボネート樹脂以外の成分で形成される部分を予め除去して用いても良い。
(芳香族モノアルコール)
本発明の分解方法は、芳香族モノアルコールを用いることが特徴の一つである。芳香族モノアルコールを用いることで、ポリカーボネート樹脂の分解反応を効率的に進行させることができる。芳香族モノアルコールは、1つのヒドロキシル基が芳香環を形成する炭素原子に結合した化合物であり、フェノール、クレゾール及びキシレノールからなる群から選択されるいずれかが好ましい。
クレゾールとしては、オルトクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、及び、これらを1以上含む異性体混合物が挙げられる。30℃付近で液体であれば分解槽に供給しやすいことから、好ましくは、オルトクレゾール、メタクレゾール、メタクレゾールとパラクレゾールの異性体混合物、又はオルトクレゾールとメタクレゾールとパラクレゾールの異性体混合物である。
キシレノールとしては、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,5-キシレノール、3,4-キシレノール、及び、これらを1以上含む異性体混合物が挙げられる。工業的に安価に入手できることから、好ましくは、2,5-キシレノールである。
使用するポリカーボネート樹脂に対して使用する芳香族モノアルコールの量が小さいと、液に対する固体(ポリカーボネート樹脂)の量が多くなってスラリー濃度が高くなり、混合不良となる傾向にある。そのため、ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位(すなわち、上記一般式(1)で表される繰り返し単位)1モルに対する芳香族モノアルコールのモル比[(使用する芳香族モノアルコールの質量[g]/芳香族モノアルコールの分子量[g/mol])/(使用するポリカーボネート樹脂の質量[g]/繰り返し単位の分子量[g/mol])]は、0.01以上が好ましく、0.03以上がより好ましい。また、使用するポリカーボネート樹脂に対して使用する芳香族モノアルコールの量が大きいと、製造効率が悪化する傾向にある。そのため、ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対する芳香族モノアルコールのモル比は、100以下が好ましく、70以下がより好ましく、50以下が更に好ましい。
(第二級アミン)
本発明の分解方法では、更に第二級アミンを用いることが特徴の一つである。第二級アミンは、アンモニアの2つの水素原子が置換された構造を有する化合物である。
第二級アミンは、200℃以下の沸点のものが好ましく、160℃以下の沸点のものがより好ましい。このような沸点であれば、フェノールなどの芳香族モノアルコールと共に減圧加熱により除去することができる。また、沸点が低すぎると、分解反応中に第二級アミンが揮発し分解速度が低下する場合があるため、第二級アミンの沸点は、10℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましい。
第二級アミンとしては、例えば、一般式(I)に示すジアルキルアミンが挙げられる。
NHRAB ・・・(I)
式(I)中、RA、RBはそれぞれ独立に炭素数1~5のアルキル基を表す。
本発明で用いられる第二級アミンは、ジアミンであっても良い。第二級アミンは、アルキレンジアミンであることが好ましい。アルキレンジアミンを用いることで、分解反応を促進させることができる。なお、アルキレンジアミンは、アルキレンに2つのアミノ基が結合した化合物である。本発明は第二級アミンを用いるものであり、本発明で用いられるアルキレンジアミンは、アルキレンに結合した2つのアミノ基の少なくとも1つが第二級アミノ基である化合物である。
本発明で用いられるアルキレンジアミンとしては、N,N,N’-トリアルキルアルキレンジアミン、N,N’-ジアルキルアルキレンジアミン、N-アルキルアルキレンジアミン等が挙げられ、N,N’-ジアルキルアルキレンジアミンであることが好ましい。
例えば、下記一般式(II)で表されるアルキレンジアミンが挙げられる。
CHN-(CH2n-NRDE ・・・(II)
一般式(II)において、RCは、炭素数1~5のアルキル基であり、RD、REはそれぞれ独立して、炭素数1~5のアルキル基又は水素原子であり、nは2~6である。分解反応をより促進させるためには、RC、RDはそれぞれ独立して、炭素数1~5のアルキル基であり、REは水素原子であり、nは2~6であることが好ましい。
第二級アミンの具体例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、N,N’-ジメチルトリメチレンジアミン等が挙げられる。
使用するポリカーボネート樹脂に対して使用する第二級アミンの量が小さいと、ウレアが生成しにくく、ポリカーボネート樹脂の分解速度も遅くなり、分解時間が長時間化して、効率が悪化する傾向にある。そのため、ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対して第二級アミン中のアミノ基の窒素原子が1モル以上であることが好ましい。すなわち、[(使用する第二級アミンの質量[g]/第二級アミンの分子量[g/mol]×第二級アミン中のアミノ基の個数)/(使用するポリカーボネート樹脂の質量[g]/繰り返し単位の分子量[g/mol])]≧1であることが好ましい。更に、ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対して第二級アミン中のアミノ基の窒素原子は、1.5以上、2以上、2.3以上、2.4以上、2.5以上の順で数値が大きい程好ましい。
使用するポリカーボネート樹脂に対して使用する第二級アミンの量が大きいと、アミン臭がより発生しやすくなる。そのため、ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対して第二級アミン中のアミノ基の窒素原子が5モル以下であることが好ましい。すなわち、[(使用する第二級アミンの質量[g]/第二級アミンの分子量[g/mol]×第二級アミン中のアミノ基の個数)/(使用するポリカーボネート樹脂の質量[g]/繰り返し単位の分子量[g/mol])]≦5であることが好ましい。更に、ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対して第二級アミン中のアミノ基の窒素原子は、4.5以下、4以下、3.5以下の順で数値が小さい程好ましい。
(ポリカーボネート樹脂の分解反応)
ポリカーボネート樹脂の分解は、ポリカーボネート樹脂、芳香族モノアルコール及び第二級アミンを含むスラリー状の反応液を調製し、この反応液を所定の温度で攪拌して行うことが好ましい。ポリカーボネート樹脂を分散させたスラリー状の反応液中で反応を行うことで、溶解度分だけ溶解したポリカーボネート樹脂のみが分解反応に関与するため反応の制御が行いやすく、安定してポリカーボネート樹脂を分解させることができる。
調製する反応液中のスラリー濃度(反応液中の固形分の質量/反応液の質量)は、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましい。また、0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。スラリー濃度(固形分の濃度)が低すぎると分解効率が低下し、スラリー濃度が高すぎると混合不良となる。
調製される反応液は、ポリカーボネート樹脂のアミノリシスに影響を与えない溶媒であれば含有しても良いが、ポリカーボネート樹脂、芳香族モノアルコール及び第二級アミンを主成分とすることが好ましい。これにより、ポリカーボネート樹脂の分解をより効率的に進行させることができる。例えば、反応液の質量に対する、ポリカーボネート樹脂、芳香族モノアルコール及び第二級アミンの合計質量は、0.9以上や、0.95以上、0.98以上、0.99以上などとすることが好ましい。反応液は、実質的にポリカーボネート樹脂、芳香族モノアルコール及び第二級アミンからなるものとしても良い。
また、反応液中に水や脂肪族アルコールが存在すると、アミノリシス以外の分解反応を生じさせ、ウレアが生成しにくくなる。そのため、反応液中の水及び脂肪族アルコールの合計の含有量(水及び脂肪族アルコールの合計の質量/反応液の質量)は、通常、0.005以下である。反応液中の水及び脂肪族アルコールの合計の含有量は0.001以下が好ましく、0.0005以下がより好ましい。
(反応液の調製)
反応液の調製は、10℃以上で行うことが好ましく、20℃以上で行うことがより好ましい。また、反応液の調製は、40℃以下で行うことが好ましく、35℃以下で行うことがより好ましい。反応液調製時の温度が低すぎると芳香族モノアルコールの種類によっては固化しやすくなり、混合不良が生じやすくなったり、均一に混合することが困難になる場合がある。また、反応液の調製時の温度が高すぎると、第二級アミンの種類によっては揮発しやすく、所定濃度に調製することや分解反応の制御が困難になるおそれもある。
ポリカーボネート樹脂、芳香族モノアルコール及び第二級アミンの混合順は特に限定されず、例えば、ポリカーボネート樹脂に、芳香族モノアルコール及び第二級アミンを順次供給しても良いし、芳香族モノアルコールに、ポリカーボネート樹脂及び第二級アミンを順次供給しても良い。より均一に混合できるため、ポリカーボネート樹脂は、芳香族モノアルコールの後に反応槽に供給することが好ましい。
分解反応は、常圧下で行っても加圧下で行っても良いが、常圧下でも十分に反応は進行するため、常圧下で行うことが好ましい。
(反応温度)
分解反応は、反応液の調製時の温度と同じ温度で行っても良いが、反応液を調製後に所定の反応温度に昇温して行うことが好ましい。反応液の調製時の温度が高すぎると分解反応の制御が困難になるおそれがある。反応液を調製後に昇温して分解反応を行うことで、分解反応を安定に進行させることができるため好ましい。
反応温度は、芳香族モノアルコールの種類や反応時間等に応じて適宜選択されるものであるが、高温の場合は反応液中の第二級アミンが蒸発してしまい、アミノリシスが停止する。また、低温の場合は、芳香族モノアルコールが固化したり、加溶媒分解が進行しにくくなり反応速度が低下したりするため、分解に要する時間が長時間化する。これらのことから、反応温度は、60℃以上が好ましく、70℃以上、75℃以上、80℃以上の順で大きい程より好ましい。また、120℃以下が好ましく、110℃以下、100℃以下、95℃以下の順で数値の小さい程より好ましい。
なお、反応液の調製時と同じ温度で反応を行う場合、反応温度は、ポリカーボネート樹脂、芳香族モノアルコール及び第二級アミンの混合が完了した時点から、分解反応を停止させるための中和や留去の操作を始める時点までの平均の温度である。また、反応液調製後に昇温を行い、反応を行う場合は、所定の温度に到達した時点から、分解反応を停止させるための中和や留去の操作を始める時点までの平均の温度である。
(反応時間)
反応時間は、スラリー濃度や反応温度等に応じて適宜選択されるものであるが、長い場合は生成したビスフェノールが分解する傾向にあることから、30時間以下が好ましく、25時間以下、20時間以下、15時間以下、10時間以下、5時間以下の順で短い程より好ましい。また、反応時間が短い場合は分解反応が十分に進行しない場合があるため、好ましくは0.1時間以上、より好ましくは0.5時間以上、更に好ましくは1時間以上である。
なお、反応時間は、ポリカーボネート樹脂、芳香族モノアルコール及び第二級アミンの混合が完了した時点から、分解反応を停止させるための中和や留去の操作を始める時点までの時間である。反応時間の終点は、液体クロマトグラフィーなどで分解反応を追跡して決定しても良い。
(ポリカーボネート樹脂の分解反応の停止方法)
ポリカーボネート樹脂の分解反応は、第二級アミンを留去や中和することにより、停止することができる。酸を供給して中和により第二級アミンを除去する方法では、アンモニウム塩が発生し、その除去も必要となることから、第二級アミンの除去は、好ましくは留去する方法である。
<ウレアの製造方法>
本発明は、本発明の分解方法を用いて、ポリカーボネート樹脂を分解させる工程と、前記ポリカーボネート樹脂の分解により生成したウレアを回収する工程と、を有するウレアの製造方法(以下、「本発明のウレアの製造方法」と記載する場合がある。)に関するものである(例えば、図1参照)。すなわち、本発明のウレアの製造方法は、ポリカーボネート樹脂を、芳香族モノアルコール及び第二級アミンの存在下で分解させる工程と、ポリカーボネート樹脂の分解により生成したウレアを回収する工程とを有する。
上記の通り、本発明の分解方法では、分解生成物としてウレアが生成するので、本発明の分解方法は、ウレアの製造方法に利用することができる。また、ポリカーボネート樹脂の分解により生成するウレアは、ウレア(H2NCONH2)の窒素原子に結合する全ての水素原子が置換された構造、及び/又は、環状構造であるため、ウレアを回収する工程において、イソシアネートになりにくく、効率的にウレアを回収することができる。
例えば、ポリカーボネート樹脂の分解により、下記一般式(2)又は一般式(3)で示されるウレアを生成させることができる。
Figure 2023013730000003
一般式(2)中のRA、RBは、上記一般式(I)のRA、RBと同義である。また、一般式(3)中のRC、RD、nは、上記一般式(II)のRC、RD、nと同義である。
一般式(2)で示されるようなテトラアルキルウレアは、第二級アミンとしてジアルキルアミンを用いることで得ることができる。また、一般式(3)で示されるような環状ウレア(N-アルキルイミダゾリジノン又はN,N’-ジアルキルイミダゾリジノン)は、第二級アミンとしてN-アルキルアルキレンジアミン又はN,N’-ジアルキルアルキレンジアミンを用いることで得ることができる。
すなわち、本発明のウレアの製造方法は、テトラアルキルウレア又は環状ウレアを製造する方法とすることができる。
分解効率を高めることができ、得られたウレアを効率的に回収できるため、本発明のウレアの製造方法は、環状ウレアを製造する方法とすることが好ましく、N,N’-ジアルキルイミダゾリジノンを製造する方法とすることがより好ましい。
(ウレアの回収)
生成したウレアの回収は、ポリカーボネート樹脂の分解反応を停止させた後、蒸留により行うことが好ましい。具体的には、後述する図1の工程(S2A)に示すように、ポリカーボネート樹脂の分解反応後、反応液を減圧及び/又は加熱して、芳香族モノアルコール、第二級アミンを留去する。更に、減圧及び/又は加熱しウレアを留出させることで、ウレアを回収することができる。例えば、常圧下(101kPa)で、反応液を蒸留装置に移した後、80~230℃(好ましくは80~200℃)まで昇温する、及び/又は、0.1~100kPa(好ましくは1~50kPa)まで減圧することで、芳香族モノアルコール、第二級アミン及びウレアを沸点の低い順に留出させ、回収することができる。
また、本発明のウレアの製造方法は、ビスフェノールを回収することは必須ではないが、ポリカーボネート樹脂の分解により生成したビスフェノールを回収する工程を有しても良い。ウレアを蒸留した後、蒸発せずに蒸留装置残った液(缶出液)はビスフェノールを含むため、この缶出液から、ビスフェノールを回収することができる。ビスフェノールの回収は、後述するビスフェノールの製造方法におけるビスフェノールの回収と同様に方法で実施することができる。
<ウレアの用途>
本発明のウレアの製造方法で得られるウレア(以下、「再生ウレア」と記載する場合がある。)は、優れた溶解特性があることから、溶媒として広く用いることができる。また、反応を促進させる効果もあることから、反応用の溶媒としても使用できる。
<ビスフェノールの製造方法>
本発明は、本発明の分解方法を用いて、ポリカーボネート樹脂を分解させる工程と、前記ポリカーボネート樹脂の分解により生成したビスフェノールを回収する工程と、を有するビスフェノールの製造方法(以下、「本発明のビスフェノールの製造方法」と記載する場合がある。)に関するものである(例えば、図1参照)。すなわち、本発明のビスフェノールの製造方法は、ポリカーボネート樹脂を、芳香族モノアルコール及び第二級アミンの存在下で分解させる工程と、ポリカーボネート樹脂の分解により生成したビスフェノールを回収する工程とを有する。
上記の通り、本発明の分解方法では、分解生成物としてビスフェノールが生成するので、本発明の分解方法は、ビスフェノールの製造方法に利用することができる。ポリカーボネート樹脂の分解により、一般式(4)で示されるビスフェノールを生成させることができる。
Figure 2023013730000004
一般式(4)中のR1~R6は、上記一般式(1)のR1~R6と同義である。
中でも、本発明のビスフェノールの製造方法は、ポリカーボネートA型のポリカーボネート樹脂を原料として、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)を製造する方法とすることが好ましい。
(ビスフェノール回収)
生成するビスフェノールの回収は、ポリカーボネート樹脂の分解反応を停止させた後、芳香族モノアルコール等の除去や、晶析、カラムクロマトグラフィーなどの手段により行うことができる。
ビスフェノール回収は、晶析によりビスフェノールを回収する晶析工程を有することが好ましい。具体的には、後述する図1の工程(S2B)に示すように、ポリカーボネート樹脂の分解反応後、反応液を減圧及び/又は加熱して、芳香族モノアルコール、第二級アミンを留去し、更にウレアを留去し、ビスフェノールの粗生成物を得る。このときの温度及び圧力は、ウレアの回収と同様の温度及び圧力に設定することができる。次いで、ビスフェノールの粗生成物と有機溶媒を混合し得られた有機相を、水又は食塩水などで洗浄し、更に必要に応じて塩化アンモニウム水などで中和洗浄する。次いで、洗浄後の有機相を冷却し晶析させる。
晶析時に用いることのできる有機溶媒としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、t-ブタノール、n-ペンタノール、i-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、n-ノナノール、n-デカノール、n-ウンデカノール、n-ドデカノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族アルコールなどを用いることができる。
なお、該晶析前に蒸留により余剰の芳香族モノアルコールや有機溶媒を留去してから晶析させても良い。また、ビスフェノールAは、フェノールの存在下で晶析すると、フェノールと共結晶を形成する。フェノールを用いてビスフェノールAに由来する繰り返し単位(上記一般式(1)のR1~R4が水素原子であり、R5、R6がメチル基である繰り返し単位)を含有するポリカーボネート樹脂を分解させた場合、共結晶としないためには、晶析前にフェノールを留去する必要がある。
本発明のビスフェノールの製造方法は、ウレアを回収することは必須ではないが、ポリカーボネート樹脂の分解により生成したウレアを回収する工程を有しても良い。
<ビスフェノールの用途>
本発明のビスフェノールの製造方法で得られるビスフェノール(以下、「再生ビスフェノール」と記載する場合がある。)は、光学材料、記録材料、絶縁材料、透明材料、電子材料、接着材料、耐熱材料など種々の用途に用いられるポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレ-ト樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂など種々の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリベンゾオキサジン樹脂、シアネート樹脂など種々の熱硬化性樹脂などの構成成分、硬化剤、添加剤もしくはそれらの前駆体などとして用いることができる。また、感熱記録材料等の顕色剤や退色防止剤、殺菌剤、防菌防カビ剤等の添加剤としても有用である。
これらのうち、良好な機械物性を付与できるため、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の原料(モノマ-)として用いることが好ましく、中でもポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂の原料として用いることがより好ましい。また、顕色剤として用いることも好ましく、特にロイコ染料、変色温度調整剤と組み合わせて用いることがより好ましい。
以下、図1に示す本発明のウレアの製造方法及び本発明のビスフェノールの製造方法について説明する。
図1に示すウレアの製造方法は、ポリカーボネート樹脂を、芳香族モノアルコール及び第二級アミンの存在下で分解させる工程(S1)と、前記ポリカーボネート樹脂の分解により生成したウレアを回収する工程(S2A)とを有する。工程(S2A)は、工程(S1)後の反応液から、芳香族モノアルコール及び第二級アミンを留出させた後、ウレアを留出させてウレアを得るものとできる。
また、図1では、ウレア留出後に蒸発せず残った液からビスフェノールを回収することもできる。すなわち、図1に示すビスフェノールの製造方法は、ポリカーボネート樹脂を、芳香族モノアルコール及び第二級アミンの存在下で分解させる工程(S1)と、前記ポリカーボネートの分解により生成したビスフェノールを回収する工程(S2B)とを有する。ここで、工程(S2B)は、工程(S1)後の反応液から芳香族モノアルコール、第二級アミン及びウレアを留出させ、ビスフェノールの粗生成物を得る工程と、ビスフェノールの粗生成物を晶析しビスフェノールを得る工程を有するものとすることができる。
具体的には、図1では、先ず、分解槽に、ポリカーボネート樹脂、芳香族モノアルコール及び第二級アミンを供給し、ポリカーボネート樹脂を分解させる。次いで、ポリカーボネート樹脂を分解させた後の反応液を蒸留装置に移し、第二級アミン、芳香族モノアルコール、及びウレアを留出させる。留出したウレアを回収することで、ウレアを得ることができる。また、蒸留装置からウレアを留出させた後、蒸留装置にはビスフェノールが濃縮された液が残る。そのため、ビスフェノールが濃縮された液を蒸留装置から取り出し、ビスフェノールの粗生成物として回収し、これを晶析することで、ビスフェノールが得られる。
<再生ポリカーボネート樹脂の製造方法>
また、本発明は、本発明のビスフェノールの製造方法で得られたビスフェノール(再生ビスフェノール)を含むビスフェノール原料を用いて、再生ポリカーボネート樹脂を製造する、再生ポリカーボネート樹脂の製造方法(以下、「本発明の再生ポリカーボネート樹脂の製造方法」と記載する場合がある。)に関するものである。本発明の再生ポリカーボネート樹脂の製造方法は、廃プラスチック等に含まれるポリカーボネート樹脂をモノマーであるビスフェノールまで分解して得られる再生ビスフェノールを原料としてポリカーボネート樹脂を製造するケミカルリサイクル方法を利用するものである。
再生ポリカーボネート樹脂は、具体的には、再生ビスフェノール(本発明のビスフェノールの製造方法により、ポリカーボネート樹脂を分解することによって得られた再生ビスフェノール)を含むビスフェノール原料と炭酸ジエステル原料とを重合させることで得ることができる。重合は公知の方法を適宜選択して行うことができる。
例えば、再生ビスフェノールを含むビスフェノール原料と、炭酸ジフェニル等の炭酸ジエステル原料とを、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の存在下でエステル交換反応させる方法などにより再生ポリカーボネート樹脂を製造することができる。
再生ビスフェノールは、ビスフェノール原料の全部として使用しても良いし、再生ビスフェノールでない一般のビスフェノールと混合してビスフェノール原料の一部として使用しても良い。再生ビスフェノールの量に特に限定はないが、再生ビスフェノールの割合が多いほど、環境に優しい。そのため、環境への配慮の観点からは、ビスフェノール原料に対する再生ビスフェノールの量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上の順で大きい程より好ましい。
上記エステル交換反応は、公知の方法を適宜選択して行うことができるが、以下に炭酸ジエステル原料として炭酸ジフェニルを用いた方法の一例を説明する。
上記の再生ポリカーボネート樹脂の製造方法において、炭酸ジフェニルは、ビスフェノール原料に対して過剰量用いることが好ましい。該ビスフェノール原料に対して用いる炭酸ジフェニルの量は、製造された再生ポリカーボネート樹脂に末端水酸基が少なく、ポリマーの熱安定性に優れる点では大きいことが好ましく、また、エステル交換反応速度が速く、所望の分子量の再生ポリカーボネート樹脂を製造し易い点では少ないことが好ましい。これらのことから、ビスフェノール原料1モルに対する使用する炭酸ジフェニルの量は、通常1.001モル以上、好ましくは1.002モル以上であり、また、通常1.3モル以下、好ましくは1.2モル以下である。
原料の供給方法としては、ビスフェノール原料及び炭酸ジフェニルを固体で供給することもできるが、一方又は両方を、溶融させて液体状態で供給することが好ましい。
炭酸ジフェニルとビスフェノール原料とのエステル交換反応で再生ポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。このエステル交換触媒として、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を使用することが好ましい。これらは、1種類で使用しても良く、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。実用的には、アルカリ金属化合物を用いることが望ましい。
ビスフェノール原料又は炭酸ジフェニル1モルに対して用いられる触媒量は、通常0.05μモル以上、好ましくは0.08μモル以上、さらに好ましくは0.10μモル以上であり、また、通常100μモル以下、好ましくは50μモル以下、さらに好ましくは20μモル以下である。
触媒の使用量が上記範囲内であることにより、所望の分子量の再生ポリカーボネート樹脂を製造するために必要な重合活性を得やすく、且つ、ポリマー色相に優れ、また過度のポリマーの分岐化が進まず、成形時の流動性に優れたポリカーボネート樹脂を得やすい。
上記方法により再生ポリカーボネート樹脂を製造するには、上記の両原料を、原料混合槽に連続的に供給し、得られた混合物とエステル交換触媒を重合槽に連続的に供給することが好ましい。
エステル交換法による再生ポリカーボネート樹脂の製造においては、通常、原料混合槽に供給された両原料は、均一に攪拌された後、触媒が添加される重合槽に供給され、ポリマーが生産される。
(再生ポリカーボネート樹脂及びその組成物)
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法により得られた再生ポリカーボネート樹脂は、そのまま用いても良いし、未使用のポリカーボネート樹脂と再生ポリカーボネート樹脂とを含む再生ポリカーボネート樹脂組成物として用いても良い。再生ポリカーボネート樹脂組成物は、公知の混練方法等を適宜選択して、未使用のポリカーボネート樹脂と再生ポリカーボネート樹脂とを混合することで得ることができる。未使用のポリカーボネート樹脂と再生ポリカーボネート樹脂とを含む再生ポリカーボネート樹脂組成物とする場合、再生ポリカーボネート樹脂の量に特に限定はないが、再生ポリカーボネート樹脂の割合が多いほど、環境に優しい。そのため、環境への配慮の観点からは、再生ポリカーボネート樹脂組成物に対する再生ポリカーボネート樹脂の量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上の順で大きい程より好ましい。
得られた再生ポリカーボネート樹脂や組成物は、未使用のポリカーボネート樹脂と同様に、光学部材や光学記録媒体などの各種成形品に成形加工することができる。
以下、実施例および比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
[原料及び試薬]
ポリカーボネート樹脂は、三菱ケミカルエンジニアリングプラスチックス株式会社のポリカーボネート樹脂「NOVAREX(登録商標)M7027BF」を使用した。
フェノール、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、N,N’-ジメチルトリメチレンジアミン、アセトニトリル、及び炭酸セシウムは、富士フィルム和光純薬株式会社の試薬を使用した。
炭酸ジフェニルは、三菱ケミカル株式会社の製品を使用した。
[分析]
テトラアルキルウレア又は環状ウレアの分析は、ガスクロマトグラフィーにより、以下の手順と条件で行った。
・装置:島津製作所社製 GC-2014
Agilent DB-1 0.530mm×30m 1.5μm
・検出方法:FID
・気化室温度:230℃
・検出器温度:300℃
・分析時間0分から5分では、カラム温度を50℃に保ち、分析時間5~30分はカラム温度を280℃まで徐々に昇温し、分析時間30分から40分はカラム温度を280℃に維持した。
・定量法:ビフェニルを内部標準とした内部標準方法
ビスフェノールAの生成確認、純度、定量は、高速液体クロマトグラフィーにより、以下の手順と条件で行った。
・装置:島津製作所社製LC-2010A、Waters社 5μm 150mm×4.6mmID
・方式:低圧グラジェント法
・分析温度:40℃
・溶離液組成:
A液 アセトニトリル
B液 85%リン酸:水=1mL:999mLの溶液
分析時間0分では、A液:B液=35:65(体積比、以下同様。)、分析時間0~5分は溶離液組成をA液:B液=35:65とした後、分析時間5~40分で徐々にA液:B液=90:10にした。
・流速:0.85mL/分
・検出波長:280nm
[粘度平均分子量(Mv)]
粘度平均分子量(Mv)は、ポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解し(濃度6.0g/L)、ウベローデ粘度管を用いて20℃における比粘度(ηsp)を測定し、下記の式により粘度平均分子量(Mv)を算出した。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp)
[η]=1.23×10-4Mv0.83
[pHの測定]
pHの測定は、株式会社堀場製作所pH計「pH METER ES-73」を用いて、フラスコから取り出した25℃の水相に対して実施した。
[実施例1]
ジムロート冷却管、攪拌翼、温度計を備えたジャケット式セパラブルフラスコに、窒素雰囲気下、ポリカーボネート樹脂30g(ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位の分子量は254g/モルであるので、繰り返し単位のモル数=30g÷254g/モル=0.12モル)、フェノール150g、ジイソプロピルアミン18g(18g÷101g/モル=0.18モル、ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対するジイソプロピルアミン中のアミノ基のモル比=0.18モル×1÷0.12モル=1.5)を室温で入れた(液量は、30g+150g+18g=198g)。
その後、内温を85℃に昇温した。85℃に到達した時の反応液には、未溶解分のポリカーボネート樹脂が見られた(スラリー状であった)。そのまま、85℃を維持したまま3時間反応させて均一の反応液を得た。
得られた反応液の一部を、ガスクロマトグラフィーで組成を確認したところ、テトライソプロピルウレアが2.9質量%(2.9÷100×198g÷228g/モル÷0.12モル×100=21モル%)、N,N-ジイソプロピルカルバミン酸フェニルが6.2質量%(6.2÷100×198g÷221g/モル÷0.12モル×100=46モル%)であった。
また、得られた反応液の一部を、高速液体クロマトグラフィーで組成を確認したところ、ビスフェノールAが10.8質量%(10.8÷100×198g÷228g/モル÷0.12モル×100=78モル%)であった。
[実施例2]
実施例1において、ジイソプロピルアミン18gの代わりにジイソプロピルアミン30g(30g÷101g/モル=0.30モル、ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対するジイソプロピルアミン中のアミノ基のモル比=0.30モル×1÷0.12モル=2.5)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した(液量は、30g+150g+30g=210g)。
得られた反応液の一部を、ガスクロマトグラフィーで組成を確認したところ、テトライソプロピルウレアが3.1質量%(3.1÷100×210g÷228g/モル÷0.12モル×100=24モル%)、N,N-ジイソプロピルカルバミン酸フェニルが6.4質量%(6.4÷100×210g÷221g/モル÷0.12モル×100=51モル%)であった。
また、得られた反応液の一部を、高速液体クロマトグラフィーで組成を確認したところ、ビスフェノールAが10.5質量%(10.5÷100×210g÷228g/モル÷0.12モル×100=81モル%)であった。
[実施例3]
実施例1において、ジイソプロピルアミン18gの代わりにジイソプロピルアミン42g(42g÷101g/モル=0.42モル、ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対するジイソプロピルアミン中のアミノ基のモル比=0.42モル×1÷0.12モル=3.5)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した(液量は、30g+150g+42g=222g)。
得られた反応液の一部を、ガスクロマトグラフィーで組成を確認したところ、テトライソプロピルウレアが3.2質量%(3.2÷100×222g÷228g/モル÷0.12モル×100=26モル%)、N,N-ジイソプロピルカルバミン酸フェニルが6.5質量%(6.5÷100×222g÷221g/モル÷0.12モル×100=54モル%)であった。
また、得られた反応液の一部を、高速液体クロマトグラフィーで組成を確認したところ、ビスフェノールAが10.6質量%(10.6÷100×222g÷228g/モル÷0.12モル×100=86モル%)であった。
[実施例4]
実施例1において、ジイソプロピルアミン18gの代わりにジブチルアミン23g(23g÷129g/モル=0.18モル、ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対するジブチルアミン中のアミノ基のモル比=0.18モル×1÷0.12モル=1.5)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した(液量は、30g+150g+23g=203g)。
得られた反応液の一部を、ガスクロマトグラフィーで組成を確認したところ、テトラブチルウレアが1.2質量%(1.2÷100×203g÷284g/モル÷0.12モル×100=7モル%)、N,N-ジブチルカルバミン酸フェニルが8.2質量%(8.2÷100×203g÷249g/モル÷0.12モル×100=56モル%)であった。
また、得られた反応液の一部を、高速液体クロマトグラフィーで組成を確認したところ、ビスフェノールAが10.4質量%(10.4÷100×203g÷228g/モル÷0.12モル×100=77モル%)であった。
[実施例5]
実施例1において、ジイソプロピルアミン18gの代わりにジブチルアミン38g(38g÷129g/モル=0.29モル、ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対するジブチルアミン中のアミノ基のモル比=0.29モル×1÷0.12モル=2.4)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した(液量は、30g+150g+38g=218g)。
得られた反応液の一部を、ガスクロマトグラフィーで組成を確認したところ、テトラブチルウレアが1.5質量%(1.5÷100×218g÷284g/モル÷0.12モル×100=10モル%)、N,N-ジブチルカルバミン酸フェニルが8.5質量%(8.5÷100×218g÷249g/モル÷0.12モル×100=62モル%)であった。
また、得られた反応液の一部を、高速液体クロマトグラフィーで組成を確認したところ、ビスフェノールAが10.2質量%(10.2÷100×218g÷228g/モル÷0.12モル×100=81モル%)であった。
[実施例6]
実施例1において、ジイソプロピルアミン18gの代わりにジブチルアミン53g(53g÷129g/モル=0.41モル、ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対するジブチルアミン中のアミノ基のモル比=0.41モル×1÷0.12モル=3.4)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した(液量は、30g+150g+53g=233g)。
得られた反応液の一部を、ガスクロマトグラフィーで組成を確認したところ、テトラブチルウレアが1.9質量%(1.9÷100×233g÷284g/モル÷0.12モル×100=13モル%)、N,N-ジブチルカルバミン酸フェニルが8.8質量%(8.8÷100×233g÷249g/モル÷0.12モル×100=69モル%)であった。
また、得られた反応液の一部を、高速液体クロマトグラフィーで組成を確認したところ、ビスフェノールAが9.9質量%(9.9÷100×233g÷228g/モル÷0.12モル×100=84モル%)であった。
[実施例7]
実施例1において、ジイソプロピルアミン18gの代わりにN,N’-ジメチルエチレンジアミン15g(15g÷88g/モル=0.17モル、ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対するN,N-ジメチルエチレンジアミン中のアミノ基のモル比=0.17モル×2÷0.12モル=2.8)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した(液量は、30g+150g+15g=195g)。
得られた反応液の一部を、ガスクロマトグラフィーで組成を確認したところ、N,N’-ジメチルイミダゾリジノンが6.5質量%(6.5÷100×195g÷114g/モル÷0.12モル×100=93モル%)。
また、得られた反応液の一部を、高速液体クロマトグラフィーで組成を確認したところ、ビスフェノールAが13.7質量%(13.7÷100×195g÷228g/モル÷0.12モル×100=98モル%)であった。
[実施例8]
実施例1において、ジイソプロピルアミン18gの代わりにN,N-ジメチルプロピレンジアミン18g(18g÷102g/モル=0.18モル、ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対するN,N-ジメチルプロピレンジアミン中のアミノ基のモル比=0.18モル×2÷0.12モル=3.0)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した(液量は、30g+150g+18g=198g)。
得られた反応液の一部を、ガスクロマトグラフィーで組成を確認したところ、N,N-ジメチルプロピレンウレアが7.2質量%(7.2÷100×198g÷128g/モル÷0.12モル×100=93モル%)。
また、得られた反応液の一部を、高速液体クロマトグラフィーで組成を確認したところ、ビスフェノールAが13.5質量%(13.5÷100×198g÷228g/モル÷0.12モル×100=98モル%)であった。
[比較例1]
実施例1において、ジイソプロピルアミン18gの代わりにイソプロピルアミン11g(11g÷59g/モル=0.19モル、ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対するイソプロピルアミン中のアミノ基のモル比=0.19モル×1÷0.12モル=1.6)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した(液量は、30g+150g+11g=191g)。
得られた反応液の一部を、高速液体クロマトグラフィーで組成を確認したところ、ビスフェノールAが5.6質量%(5.6÷100×191g÷228g/モル÷0.12モル×100=39モル%)であった。
[比較例2]
実施例1において、ジイソプロピルアミン18gの代わりにブチルアミン13g(13g÷73g/モル=0.18モル、ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対するブチルアミンのモル比=0.18モル÷0.12モル=1.5)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した(液量は、30g+150g+13g=193g)。
得られた反応液の一部を、高速液体クロマトグラフィーで組成を確認したところ、ビスフェノールAが7.2質量%(7.2÷100×193g÷228g/モル÷0.12モル×100=51モル%)であった。
実施例1~8及び比較例1~2において、ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対するアミン中のアミノ基のモル比、アミンの級数、生成したビスフェノールAの量、生成したテトラアルキルウレア又は環状ウレアの量を、表1に纏めた。表1より、アミンが第二級であるとき、生成したビスフェノールA量が多いことが分かる。また、ジアミンを用いることで、環状ウレア及びビスフェノールAが効率的に得られることがわかる。
Figure 2023013730000005
[実施例9]
ジムロート冷却管、攪拌翼、温度計を備えたジャケット式セパラブルフラスコに、窒素雰囲気下、ポリカーボネート樹脂200g(ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位の分子量は254g/モルであるので、繰り返し単位のモル数=200g÷254g/モル=0.79モル)、フェノール600g、N,N-ジメチルエチレンジアミン100g(100g÷88g/モル=1.14モル、ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対するメタノールのモル比=1.14モル÷0.79モル=1.4)を室温で入れた(液量は、200g+600g+100g=900g)。
その後、内温を85℃に昇温した。85℃に到達した時の反応液には、未溶解分のポリカーボネート樹脂が見られた(スラリー状であった)。そのまま、85℃を維持したまま3時間反応させて均一の反応液を得た。
得られた混合液を、減圧装置、温度計及び留出管を備えたフラスコに入れ、そのフラスコをオイルバスに浸漬させた。圧力を、1kPaとして、オイルバスを160℃に設定し、未反応のN,N’-ジメチルエチレンジアミン及びフェノールを留去した。
その後、オイルバスを190℃として、留出させてN,N’-ジメチルイミダゾリジノン73gを得た。得られたN,N’-ジメチルイミダゾリジノンの純度を、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、99質量%であった。
得られた釜残(缶出液)を、トルエンに溶解させて、トルエン溶液を得た。得られたトルエン溶液の温度を80℃にした。その後、80℃で脱塩水を用いて5回洗浄した後、20℃まで降温させて、スラリー溶液を得た。得られたスラリー溶液を、遠心分離機を用いて固液分離し、ケーキを得た。ケーキを、80℃のオイルバスを備えたエバポレーターで、乾燥させることで、ビスフェノールA90gを得た。
[実施例10]
撹拌機及び留出管を備えた内容量45mLのガラス製反応槽に、実施例9で得られたビスフェノールA10.00g(0.04モル)、炭酸ジフェニル9.95g(0.05モル)及び400質量ppmの炭酸セシウム水溶液18μLを入れた。該ガラス製反応槽を約100Paに減圧し、続いて、窒素で大気圧に復圧する操作を3回繰り返し、反応槽の内部を窒素に置換した。その後、該反応槽を220℃のオイルバスに浸漬させ、内容物を溶解した。
撹拌機の回転数を毎分100回とし、反応槽内のビスフェノールAと炭酸ジフェニルのオリゴマー化反応により副生するフェノールを留去しながら、40分間かけて反応槽内の圧力を、絶対圧力で101.3kPaから13.3kPaまで減圧した。
続いて反応槽内の圧力を13.3kPaに保持し、フェノールを更に留去させながら、80分間、エステル交換反応を行った。
その後、反応槽外部温度を290℃に昇温すると共に、40分間かけて反応槽内圧力を絶対圧力で13.3kPaから399Paまで減圧し、留出するフェノールを系外に除去した。
その後、反応槽の絶対圧力を30Paまで減圧し、重縮合反応を行った。反応槽の撹拌機が予め定めた所定の撹拌動力となったときに、重縮合反応を終了した。290℃に昇温してから重合を終了するまでの時間は120分であった。
次いで、反応槽を窒素により絶対圧力で101.3kPaに復圧した後、ゲージ圧力で0.2MPaまで昇圧し、反応槽からポリカーボネート樹脂を抜出し、ポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は25200であった。
本発明の分解方法によれば、ケミカルリサイクルを利用して廃プラスチック等から、ウレア及び/又はビスフェノールを得ることができ、産業上有用である。

Claims (8)

  1. ポリカーボネート樹脂を、
    芳香族モノアルコール及び第二級アミンの存在下で分解させる、ポリカーボネート樹脂の分解方法。
  2. 前記芳香族モノアルコールが、フェノール、クレゾール及びキシレノールからなる群から選択されるいずれかである、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂の分解方法。
  3. 前記第二級アミンがアルキレンジアミンである、請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂の分解方法。
  4. 前記ポリカーボネート樹脂の繰り返し単位1モルに対する前記第二級アミン中のアミノ基のモル比が、1以上5以下である、請求項1~3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の分解方法。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の分解方法を用いて、ポリカーボネート樹脂を分解させる工程と、
    前記ポリカーボネート樹脂の分解により生成したウレアを回収する工程と、を有するウレアの製造方法。
  6. 請求項1~4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の分解方法を用いて、ポリカーボネート樹脂を分解させる工程と、
    前記ポリカーボネート樹脂の分解により生成したビスフェノールを回収する工程と、を有するビスフェノールの製造方法。
  7. 前記ビスフェノールが、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンである、請求項6に記載のビスフェノールの製造方法。
  8. 請求項6又は7に記載のビスフェノールの製造方法で得られたビスフェノールを含むビスフェノール原料を用いて、再生ポリカーボネート樹脂を製造する、再生ポリカーボネート樹脂の製造方法。
JP2021118116A 2021-07-16 2021-07-16 ポリカーボネート樹脂の分解方法、ウレアの製造方法、ビスフェノールの製造方法、及び再生ポリカーボネート樹脂の製造方法 Pending JP2023013730A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021118116A JP2023013730A (ja) 2021-07-16 2021-07-16 ポリカーボネート樹脂の分解方法、ウレアの製造方法、ビスフェノールの製造方法、及び再生ポリカーボネート樹脂の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021118116A JP2023013730A (ja) 2021-07-16 2021-07-16 ポリカーボネート樹脂の分解方法、ウレアの製造方法、ビスフェノールの製造方法、及び再生ポリカーボネート樹脂の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023013730A true JP2023013730A (ja) 2023-01-26

Family

ID=85129160

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021118116A Pending JP2023013730A (ja) 2021-07-16 2021-07-16 ポリカーボネート樹脂の分解方法、ウレアの製造方法、ビスフェノールの製造方法、及び再生ポリカーボネート樹脂の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023013730A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024154816A1 (ja) * 2023-01-20 2024-07-25 三菱ケミカル株式会社 ビスフェノールの製造方法、及び、再生ポリカーボネート樹脂の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024154816A1 (ja) * 2023-01-20 2024-07-25 三菱ケミカル株式会社 ビスフェノールの製造方法、及び、再生ポリカーボネート樹脂の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN105764878B (zh) 从包含芴结构的树脂回收双酚芴类的方法
CN105593199B (zh) 具有芴结构的聚碳酸酯树脂的解聚方法
EP4238954A1 (en) Bisphenol production method, recycled polycarbonate resin production method, carbon dioxide production method, carbonic diester production method, epoxy resin production method, and epoxy resin cured product production method
JP2022085144A (ja) ビスフェノールの製造方法および再生ポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2023013730A (ja) ポリカーボネート樹脂の分解方法、ウレアの製造方法、ビスフェノールの製造方法、及び再生ポリカーボネート樹脂の製造方法
KR20230112112A (ko) 폴리카보네이트 수지의 분해 방법, 비스페놀의 제조 방법, 탄산디알킬의 제조 방법, 탄산알킬아릴의 제조 방법, 탄산디아릴의 제조 방법, 재생 폴리카보네이트 수지의 제조 방법, 에폭시 수지의 제조 방법 및 에폭시 수지 경화물의 제조 방법
JP2022103564A (ja) ビスフェノールaの製造方法及びポリカーボネート樹脂の製造方法
CA2927187A1 (en) Method for direct ammonolysis of polycarbonate-containing materials and products
JP7524721B2 (ja) ビスフェノールの製造方法および再生ポリカーボネート樹脂の製造方法
WO2022145366A1 (ja) ビスフェノールaの製造方法及びポリカーボネート樹脂の製造方法
JP6372857B2 (ja) フルオレン構造を含む樹脂からビスフェノールフルオレン類を回収する方法
JP7087848B2 (ja) ビスフェノールの製造方法、及びポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2004277396A (ja) 芳香族ポリカーボネートから芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジアルキルを得る方法
WO2023163026A1 (ja) ビスフェノールの製造方法、再生ポリカーボネート樹脂の製造方法、エポキシ樹脂の製造方法、エポキシ樹脂硬化物の製造方法及びビスフェノール-炭酸アルキル縮合体の製造方法
JP2023124421A (ja) ビスフェノールの製造方法、再生ポリカーボネート樹脂の製造方法、エポキシ樹脂の製造方法及びエポキシ樹脂硬化物の製造方法
WO2023210563A1 (ja) ビスフェノール含有組成物及びその製造方法、ビスフェノールaの製造方法並びにポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2024032229A (ja) ビスフェノールの製造方法及び再生ポリカーボネート樹脂の製造方法
CN118748990A (zh) 双酚制造方法、再生聚碳酸酯树脂制造方法、环氧树脂制造方法、环氧树脂固化物制造方法及双酚-碳酸烷基酯缩合物制造方法
JP4364747B2 (ja) 廃芳香族ポリカーボネートから芳香族ジヒドロキシ化合物を得る方法
WO2024154816A1 (ja) ビスフェノールの製造方法、及び、再生ポリカーボネート樹脂の製造方法
JP4272123B2 (ja) 廃芳香族ポリカーボネートから精製された芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液を得る方法
JP2003041049A (ja) ポリカーボネート樹脂のリサイクル方法
JP2023124422A (ja) イソプロペニルフェノール含有溶液の製造方法、ビスフェノールa含有溶液の製造方法、ビスフェノールaの製造方法及びポリカーボネート樹脂の製造方法
WO2023058599A1 (ja) ジヒドロキシ化合物の製造方法および再生樹脂の製造方法
CN117986094A (zh) 一种pc塑聚一步法定向制备双酚a二甲醚的方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240311