JP2022079126A - 加熱装置、定着装置、画像形成装置 - Google Patents

加熱装置、定着装置、画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ベルト部材に、複数の抵抗発熱体の配列方向の温度ムラが生じるという課題があった。【解決手段】定着ベルト20と、定着ベルト20に対向する加圧ローラ21と、複数の抵抗発熱体31を有する面状のヒータ22と、ヒータ22を保持するヒータホルダ23と、を備えた定着装置6であって、抵抗発熱体31は複数並んで配列され、ヒータホルダ23は、ヒータ22に対して、加圧ローラ21の定着ベルト20に対する加圧方向に接触し、ヒータホルダ23は、複数の抵抗発熱体31の配列方向において、抵抗発熱体31の分割領域Bに対応する位置に、その他の部分よりも、ヒータ22に対する加圧方向の接触面積を小さくする逃げ部23b、23cを有することを特徴とする。【選択図】図12

Description

本発明は、加熱装置、定着装置および画像形成装置に関する。
加熱装置としての定着装置には、ベルト部材としての定着ベルトや、定着ベルトを加熱する、面状の加熱体が設けられる。このような加熱体として、主たる発熱部分である抵抗発熱体が複数配列され、抵抗発熱体同士が電気的に並列に接続されたタイプのものが存在する。
上記の加熱体では、抵抗発熱体同士の分割領域において、その他の部分よりも加熱体による発熱量が小さくなる。これにより、加熱体や定着ベルトの温度が、複数の抵抗発熱体の配列方向に対して不均一になるという問題があった。
特許文献1(特開2019-164328号公報)の定着装置には、ヒータをその背面側から保持するヒータホルダが設けられる。このヒータホルダには、定着ベルトをガイドするガイド部が、ヒータの長手方向に対して複数設けられる。そして、抵抗発熱体の分割領域に対応する位置で、ガイド部の熱容量を非分割領域に対応する位置の熱容量よりも小さくすることで、定着ベルトの局所的な温度低下を抑制している。
ベルト部材に、複数の抵抗発熱体の配列方向の温度ムラが生じるという課題があった。
上記の課題を解決するため、本発明は、ベルト部材と、前記ベルト部材に対向する対向部材と、複数の抵抗発熱体を有する面状の加熱体と、前記加熱体を保持する保持部材と、を備えた加熱装置であって、前記抵抗発熱体は複数並んで配列され、前記保持部材は、前記加熱体に対して、前記対向部材の前記ベルト部材に対する加圧方向に接触し、前記保持部材は、複数の抵抗発熱体の配列方向の前記抵抗発熱体の分割領域に対応する位置に、その他の部分よりも前記加熱体に対する前記加圧方向の接触面積を小さくする逃げ部を有することを特徴とする。
ベルト部材の、複数の抵抗発熱体の配列方向の温度ムラを抑制できる。
画像形成装置の概略構成図である。 本発明の一実施形態に係る定着装置の概略構成を示す断面図である。 ヒータを示す平面図である。 ヒータへの電力供給回路を示す図である。 図4と異なる形態のヒータを示す平面図である。 図4と異なる形態のヒータを示す平面図である。 定着ベルトの配列方向の温度分布とヒータの配置との位置関係を示す図である。 図5のヒータの分割領域を示す図である。 上記と異なるヒータの分割領域を示す図である。 図6のヒータの分割領域を示す図である。 ヒータホルダの斜視図である。 ヒータとヒータホルダの配列方向の位置関係を示す図である。 逃げ部の変形例を示す斜視図である。 逃げ部の変形例を示す斜視図である。 ヒータホルダがヒータを保持した状態の平面図である。 分割領域における抵抗発熱体の幅を拡大した形態のヒータを示す図である。
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。以下の説明では、加熱装置の一例として、トナー画像を用紙表面に定着させる定着装置を説明する。
図1に示すモノクロの画像形成装置1には、感光体ドラム10が設けられている。感光体ドラム10は、その表面上に現像剤としてのトナーを担持できる。感光体ドラム10は、図の矢印方向に回転可能な、ドラム状の回転体である。感光体ドラム10の周囲には、帯電ローラ11と、現像ローラ19等を備えた現像装置12と、クリーニングブレード13等で構成されている。帯電ローラ11は感光体ドラム10の表面を一様に帯電させる。現像ローラ19は感光体ドラム10の表面にトナーを供給する。クリーニングブレード13は感光体ドラム10の表面をクリーニングする。
プロセスユニット2の上方には、露光部3が配置されている。露光部3が画像データに基づいてレーザ光Lbを発する。このレーザ光Lbが、ミラー14を介して感光体ドラム10の表面に照射される。
また、感光体ドラム10に対向する位置に転写手段15が配置されている。転写手段15は、転写チャージャを備え、感光体ドラム10表面上の画像を用紙Pに転写する。
画像形成装置1の下部には給紙部4が位置する。給紙部4は、給紙カセット16や、給紙ローラ17等からなっている。給紙ローラ17の搬送方向下流側にはレジストローラ18が配置されている。給紙カセット16は、記録媒体としての用紙Pを収容する。給紙ローラ17は給紙カセット16から用紙Pを搬送路5へ搬出する。
定着装置6は、定着ベルト20、加圧ローラ21等を有している。定着ベルト20は加熱体としての後述のヒータによって加熱される。加圧ローラ21は定着ベルト20を加圧する。
以下、図1を参照して上記画像形成装置1の基本的動作について説明する。
画像形成動作が開始されると、まず帯電ローラ11が感光体ドラム10の表面を帯電させる。そして、画像データに基づいて露光部3からレーザービームLbが感光体ドラム10に照射される。これにより、感光体ドラム10の照射された部分の電位が低下し、その部分に静電潜像が形成される。静電潜像が形成された感光体ドラム10には、現像装置12から表面部分にトナーが供給され、トナー画像(現像剤像)として可視像化される。そして、転写後の感光体ドラム10に残されたトナー等は、クリーニングブレード13によって感光体ドラム10表面から取り除かれる。
一方、画像形成動作が開始されると、画像形成装置1の下部では、給紙部4の給紙ローラ17が回転駆動することによって、給紙カセット16に収容された用紙Pが搬送路5に送り出される。
搬送路5に送り出された用紙Pは、レジストローラ18によってタイミングを計られ、感光体ドラム10表面上のトナー画像と向かい合うタイミングで転写部へ搬送される。この転写部は、転写手段15と感光体ドラム10との対向部である。転写手段15による転写バイアス印加により、転写部に搬送された用紙Pの表面にトナー画像が転写される。
トナー画像が転写された用紙Pは、定着装置6へと搬送される。加熱されている定着ベルト20と加圧ローラ21とによって用紙Pを加熱および加圧し、用紙Pの表面にトナー画像を定着させる。そして、トナー画像が定着された用紙Pは、定着ベルト20から分離され、定着装置6の下流側に設けられた搬送ローラ対によって搬送されて排紙トレイへと排出される。排紙トレイは装置外側に設けられる。
続いて、定着装置の構成について説明する。
図2に示すように、本実施形態に係る定着装置6は、ベルト部材(定着部材あるいは回転部材)としての無端状の定着ベルト20と、対向部材あるいは加圧部材としての加圧ローラ21と、加熱体としてのヒータ22と、保持部材としてのヒータホルダ23と、支持部材としてのステー24と、温度検知手段としてのサーミスタ等を備えている。加圧ローラ21は定着ベルト20の外周面に当接して、ニップ部としての定着ニップNを形成する。ヒータ22は定着ベルト20を加熱する。ヒータホルダ23はヒータ22を保持する。ステー24はヒータホルダ23をその背面側から支持する。サーミスタは定着ベルト20の温度を検知する。定着ベルト20、加圧ローラ21、ヒータ22、ヒータホルダ23、およびステー24は、図2の紙面に垂直な方向に延在しており、以下この方向を各部材の長手方向、あるいは単に長手方向とも呼ぶ。この方向は加圧ローラ21の軸方向でもあり、定着装置6に通紙される用紙Pの幅方向でもある。
定着ベルト20は、例えば外径が25mmで厚みが40~120μmのポリイミド(PI)製の筒状基体を有している。定着ベルト20の最表層には、耐久性を高めて離型性を確保するために、PFAやPTFE等のフッ素系樹脂による厚みが5~50μmの離型層が形成される。基体と離型層の間に厚さ50~500μmのゴム等からなる弾性層を設けてもよい。また、定着ベルト20の基体はポリイミドに限らず、PEEKなどの耐熱性樹脂やニッケル(Ni)、SUSなどの金属基体であってもよい。定着ベルト20の内周面に摺動層としてポリイミドやPTFEなどをコートしてもよい。定着ベルト20は、ヒータ22に加熱される被加熱部材である。
加圧ローラ21は、例えば外径が25mmである。加圧ローラ21は中実の鉄製芯金21aと、弾性層21bと、離型層21cとで構成されている。弾性層21bは芯金21aの表面に形成される。弾性層21bはシリコーンゴムで形成されており、厚みは例えば3.5mmである。離型層21cは弾性層21bの外側に形成される。離型層21cは、加圧ローラ21表面の離型性を高めるために、厚みが例えば40μm程度のフッ素樹脂層とするのが望ましい。
加圧ローラ21が付勢手段によって定着ベルト20側へ付勢されることで、加圧ローラ21は定着ベルト20を介してヒータ22に圧接される。これにより、定着ベルト20と加圧ローラ21との間に定着ニップNが形成される。また、加圧ローラ21は駆動手段によって回転駆動されるように構成されている。加圧ローラ21が図2の矢印方向に回転すると、これに伴って定着ベルト20が従動回転する。
ヒータ22は、長手方向にわたって設けられた面状の加熱体である。
ヒータ22は、板状の基材30と、抵抗発熱体(発熱部)31と、絶縁層32等で構成されている。抵抗発熱体31は基材30上に設けられる。絶縁層32は抵抗発熱体31等の導体を被覆する。また、ヒータ22は、絶縁層32側で定着ベルト20の内周面に対して接触しており、抵抗発熱体31から発された熱は、絶縁層32を介して定着ベルト20へと伝達される。
ヒータホルダ23およびステー24は、定着ベルト20の内周側に配置されている。ステー24は、金属製のチャンネル材で構成され、その両端部分が定着装置6の両側板に支持されている。ステー24によってヒータホルダ23およびこれに保持されるヒータ22が支持される。これにより、加圧ローラ21が定着ベルト20に加圧された状態で、ヒータ22が加圧ローラ21の押圧力を確実に受けとめ、定着ベルト20と加圧ローラ21との間に定着ニップNを安定して形成する。
ヒータホルダ23は、ヒータ22の熱によって高温になりやすいため、耐熱性の材料で形成されることが望ましい。例えば、ヒータホルダ23をLCPなどの低熱伝導性の耐熱性樹脂で形成した場合は、ヒータ22からヒータホルダ23への伝熱が抑制され、ヒータ22が定着ベルト20を効率的に加熱することができる。
また、ヒータホルダ23には、定着ベルト20をガイドするガイド部材(接触部材)26が設けられている。ガイド部材26は、ヒータ22のベルト回転方向の上流側(図2におけるヒータ22の下側)と下流側(図2におけるヒータ22の上側)とにそれぞれ設けられている。また、上流側と下流側のガイド部材26は、ヒータ22の長手方向にわたって間隔をあけて複数配置されている(図11参照)。各ガイド部材26は、略扇型に形成されており、ベルト対向面260を有する。ベルト対向面260は、定着ベルト20の内周面に対向し、ベルト周方向に延在する円弧状又は凸曲面状の面である。
図2に示すように、本実施形態に係る定着装置6が印刷動作を開始すると、加圧ローラ21が回転駆動され、定着ベルト20が従動回転を開始する。このとき、定着ベルト20の内周面がガイド部材26のベルト対向面260に接触してガイドされることで、定着ベルト20は安定かつ円滑に回転する。また、ヒータ22の抵抗発熱体31に電力が供給されることで、定着ベルト20が加熱される。そして、定着ベルト20の温度が所定の目標温度(定着温度)に到達した状態で、未定着トナー画像が担持された用紙Pが、定着ベルト20と加圧ローラ21との間(定着ニップN)に搬送される。これにより、未定着トナー画像が加熱および加圧されて用紙Pに定着される。
次に、ヒータ22の構成についてより詳細に説明する。
図3に示すように、板状の基材30の表面には、複数(4つ)の抵抗発熱体31と、導電体としての給電線33a、33bと、第1電極部34aおよび第2電極部34bとが設けられる。そして、基材30の表面およびこれらの導電部分を覆うようにして、これらを絶縁する絶縁層32が設けられる。
基材30の材料としては、アルミナや窒化アルミなどのセラミック、ガラス、マイカ、ポリイミド(PI)等の耐熱性樹脂材料が耐熱性および絶縁性に優れ好ましい。他にも、基材30の材料としては、導電材料の上に前述の絶縁性材料を積層したものでも良い。例えば、基材30を構成する導電材料としては、アルミや銅、銀、グラファイトやグラフェンなどの高熱伝導率の材料がより好ましい。つまり、これらの材料は、熱伝導の作用によりヒータ全体の温度を均一化することで画像品質を高められる。
抵抗発熱体31や給電線33a、33bの材料としては、銀(Ag)やパラジウム(Pd)、白金(Pt)、酸化ルテニウム(RuO2)などを用いることができる。これらの材料を調合した導電材料ペーストをスクリーン印刷等により基材30上に塗工し、その後、焼成することによって、抵抗発熱体31や給電線33a、33bを形成できる。
ここで、抵抗発熱体31はヒータ22の主たる発熱部分であり、定格電圧の40%の電圧を定着装置6に3sec印加した際に、その温度が100度以上昇温する部分である。
絶縁層32は、アルミナや窒化アルミなどのセラミック、ガラス、マイカ、ポリイミド等の耐熱性樹脂材料により形成することができる。これにより、絶縁層32が耐熱性および絶縁性に優れ、好ましい。
各抵抗発熱体31は、給電線33aを介して第1電極部34aに接続され、給電線33bを介して第2電極部34bに接続される。各抵抗発熱体31は電気的に並列に接続されている。本実施形態では、複数の抵抗発熱体31が前述の長手方向Xに並んで配列されている。以下、この長手方向Xを複数の抵抗発熱体31の配列方向、あるいは、単に配列方向とも呼ぶ。また以下の説明では、配列方向に交差する方向(本実施形態では垂直な方向)で、基材30の厚み方向と異なる方向である図3の上下方向Yを複数の抵抗発熱体31の配列方向に交差する方向、あるいは、単に配列交差方向とも呼ぶ。配列交差方向は、ヒータ22の短手方向でもある。
抵抗発熱体31はPTC特性を有する。PTC特性とは、温度が高くなると抵抗値が高くなる(一定電圧をかけた場合に、ヒータ出力が下がる)特性である。各抵抗発熱体31がPTC特性を有することで、低温時にはヒータ22の出力が大きくなり、定着ベルト20を高速で昇温できる。また、高温時にはヒータ22の出力が下がるため、小サイズ用紙を連続印刷した場合等の、非通紙領域における定着ベルト20の過昇温を抑制できる。
図4に示すように、各抵抗発熱体31に電力を供給するため電力供給回路が、交流電源200とヒータ22の電極部34a、34bとを電気的に接続することで構成されている。また、電力供給回路には、供給電力量を制御するトライアック210が設けられている。制御部220は、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェース等を包含するマイクロコンピュータで構成される。
本実施形態では、サーミスタ25が、最小通紙幅内であるヒータ22の配列方向中央領域と、ヒータ22の配列方向一端部側とに、それぞれ配置されている。さらに、ヒータ22の配列方向他端部側には、電力遮断手段としてのサーモスタット27が配置されている。サーモスタット27は、抵抗発熱体31の温度が所定温度以上となった場合に、抵抗発熱体31への電力供給を遮断する。サーミスタ25およびサーモスタット27は、基材30の裏面(抵抗発熱体31を配置した側とは反対側)に接触してヒータ22の温度を検知する。
制御部220は、トライアック210を介して、各抵抗発熱体31への供給電力量を制御する。制御部220は、サーミスタ25の検知温度に基づいて、各抵抗発熱体31への供給電力量を決定し、定着装置6への通紙時には、用紙Pに奪われる熱量も考慮して上記供給電力量を決定する。
本実施形態では、第1電極部34aおよび第2電極部34bが配列方向の同じ側に設けられるが、それぞれ異なる側に設けられていてもよい。また抵抗発熱体31は、本実施形態の形状に限らない。例えば図5に示すように、抵抗発熱体31は長方形状であってもよいし、図6に示すように、抵抗発熱体31が線状部からなり、この線状部を折り返して略平行四辺形状をなす構成であってもよい。
図7は定着ベルト20の配列方向の温度分布を示す図である。(a)図がヒータ22の配置を示す図である。(b)図は縦軸が定着ベルト20の温度Tを示し、横軸が定着ベルト20の配列方向の各位置を表している。
図7(a)および図7(b)に示すように、配列方向において、抵抗発熱体31同士の間の部分である分割領域B(あるいは、その周辺を含む拡大分割領域C)では、抵抗発熱体31が占める面積がその他の部分よりも小さくなり、発熱量が小さくなる。これにより、分割領域Bにおける定着ベルト20の温度がその他の部分よりも小さくなり、定着ベルト20の配列方向の温度ムラの原因となる。なお、ヒータ22の温度も、同様に分割領域Bあるいは拡大分割領域Cでの温度が小さくなる。ここで、図7(a)の拡大図に示すように、分割領域Bは、ヒータ22の主たる発熱部分である抵抗発熱体31が配列方向に分割された部分全体を含む配列方向領域を意味する。また、分割領域Bに加えて、抵抗発熱体31の接続部311に対応する範囲を含む領域を拡大分割領域Cとする。なお、接続部311は、抵抗発熱体31のうち、配列交差方向に延在し、各給電線33a、33bに接続される部分を指す。
図8に示すように、図5に示した長方形状の抵抗発熱体31を有するヒータ22においても、分割領域Bの温度がその他の部分よりも小さくなる。また図9に示す形状の抵抗発熱体31を有するヒータ22においても、分割領域Bの温度がその他の部分よりも小さくなる。さらに、図10に示すように、図6に示す形状の抵抗発熱体31を有するヒータ22においても、分割領域Bの温度がその他の部分よりも小さくなる。ただし、図7や図9、図10のように、隣り合う抵抗発熱体31同士を配列方向にオーバーラップさせることで、分割領域Bのその他の部分に対する温度落ち込みを抑制できる。なお、図8~図10のように、抵抗発熱体31が上記接続部311(図7参照)を有しておらず、配列交差方向に延在する部分が給電線により構成される場合や、接続部が配列方向に直交する方向(図8等の上下方向)に延びる場合には、拡大分割領域Cは存在しない(拡大分割領域Cが分割領域Bと同じ範囲である)。
次に、ヒータ22を保持するヒータホルダ23をより詳細に説明した上で、分割領域Bにおける温度落ち込みを抑制するヒータホルダ23の構造について説明する。
図11に示すように、ヒータホルダ23は、ヒータ22の基材30の裏面に当接する当接部23aを有する(図11のハッチング部参照)。当接部23aは加圧ローラ21の定着ベルト20に対する加圧方向に突出した部分であり、配列方向に延在する。この加圧方向は、図2の左右方向で、以下、単に加圧方向とも呼ぶ。またこの加圧方向は、ヒータホルダ23の厚み方向、あるいは、加圧ローラ21のヒータホルダ23に対する接近方向でもある。当接部23aは、配列方向にわたって、基材30の裏面に対して加圧方向に当接する。ヒータホルダ23は、前述のサーミスタやサーモスタットに対応する位置に、加圧方向に貫通する孔部を有する。
当接部23aは、ヒータホルダ23の配列交差方向の両側に設けられ、ヒータホルダ23の配列交差方向中央側に、当接部23aが設けられない非接触部分が存在する。ヒータホルダ23の短手方中央側を基材30に対して非接触とすることで、ヒータホルダ23が基材30に接触する面積を減らし、ヒータ22からヒータホルダ23への伝熱を抑制できる。なお、配列方向の一方側(図11の左側)は、ヒータ22に抵抗発熱体31が設けられていない部分で、非通紙領域であり、ヒータ22からヒータホルダ23への伝熱量も小さい。このため、この部分では、ヒータホルダ23がその配列交差方向中央側でも基材30に接触している。
またヒータホルダ23は、配列方向の複数箇所に、ヒータ22との加圧方向の接触面積を減らす逃げ部を有する。本実施形態では、用紙搬送方向の上流側(図11の下側)の逃げ部は、当接部23aの配列交差方向の幅を小さくする切り欠き部23bである。また、用紙搬送方向の下流側の逃げ部は、当接部23aを部分的になくし(配列交差方向の幅を0にし)、配列方向のその位置でヒータ22と接触しない非接触部23cである。
図12に示すように、配列方向において、逃げ部としての切り欠き部23bや非接触部23cは、分割領域B(特に本実施形態では拡大分割領域C)に対応する位置に設けられる。これにより、配列方向の分割領域Bに対応する位置で、ヒータ22とヒータホルダ23との加圧方向の接触面積を小さくし、ヒータ22からヒータホルダ23への伝熱量をその他の部分よりも小さくする。特に非接触部23cを設けることで、配列方向の非接触部23cの位置で、当接部23aとヒータ22とが加圧方向に接触しない構成とし、ヒータ22からヒータホルダ23への伝熱量を特に減らすことができる。このように、逃げ部は、配列方向の分割領域に対応する位置の少なくとも一部で、ヒータホルダ23のヒータ22との接触面積を、分割領域外のその他の部分の接触面積よりも小さくする部分である。ただし、この分割領域外のその他の部分とは、分割領域外の全範囲である必要はない。つまり、配列方向の逃げ部の設けられた部分は、その他の部分の少なくとも一部に対して上記接触面積が小さくなっている。
以上により、配列方向の分割領域Bに対応する位置で、ヒータ22からヒータホルダ23への伝熱による熱損失を減らすことができる。従って、分割領域Bにおけるヒータ22や定着ベルト20の温度が大きくなり、図7で示した分割領域Bにおける温度落ち込みを抑制できる。従って、定着ベルト20の配列方向の温度ムラを抑制できる。特に本実施形態のように、配列方向の拡大分割領域Cに対応する位置で逃げ部を設けることにより、分割領域周辺においてもヒータ22からヒータホルダ23への伝熱を抑制できるため、定着ベルト20の配列方向の温度ムラをより抑制できる。なお、逃げ部は分割領域の全域に設けられる必要はなく、少なくとも分割領域の一部に設けられることで、上記のように定着ベルト20の配列方向の温度ムラを抑制する効果を得ることができる。
本実施形態のように、用紙搬送方向上流側に切り欠き部23b、下流側に非接触部23cを設ける構成とすることで、上流側の分割領域Bに対応する位置で、ヒータ22とヒータホルダ23との接触面積を一定量確保できる。これにより、ヒータホルダ23が、用紙搬送方向下流側で加圧ローラ21からの加圧力をより適切に受け止めることができる。これにより、異常画像の形成を防止できる。
また上記実施形態とは逆に、ヒータホルダ23の上流側に非接触部を設け、下流側に切り欠き部を設けてもよい。配列方向の分割領域Bに対応する位置において、上流側でヒータ22とヒータホルダ23の接触面積を確保することで、定着ニップの入口側における圧力分布を配列方向に均一化できる。これにより、用紙のシワの発生を防止できる。さらに、上流側と下流側に共に切り欠き部を設け、それぞれの切り欠き部の配列交差方向の幅を異ならせることもできる。
また用紙搬送方向の上流側と下流側とで、配列交差方向に逃げ部の範囲を変更するだけでなく、配列方向に変化させてもよい。例えば図13に示すように、用紙搬送方向上流側の逃げ部である切り欠き部23bの配列方向の幅を、下流側の逃げ部である非接触部23cの配列方向の幅よりも大きくできる。
また逃げ部の形状は上記に限らない。例えば図14に示すように、ヒータホルダ23の当接部23aの用紙搬送方向下流側には、逃げ部として、当接部分が配列方向に断続的に設けられた断続部23dを備える。本実施形態では、断続部23dはその断面が略円形状に設けられる。断続部23dにより、ヒータホルダ23のヒータ22に対する非接触部分が断続的に設けられることになり、配列方向の広範囲に非接触部分が連続することを防止できる。従って、本実施形態の構成により、分割領域におけるヒータ22とヒータホルダ23との接触面積を減らすと共に、加圧ローラ21による加圧時のヒータ22の撓みを効果的に抑制できる。
また、配列方向に設けられたそれぞれの分割領域における逃げ部の形状、配列方向および配列交差方向の幅は、同じである必要はない。例えば、配列方向端部側の分割領域において、逃げ部の幅を中央側よりも大きく設けてもよい。画像形成装置の立ち上げ時等には、定着ベルト20やヒータ22の配列方向の端部側は、側板などの他部材との接触による伝熱や空気中の放熱により、中央側よりもその熱量が流出しやすく、中央側に比べて温度が上昇しにくい。従って、配列方向端部側の逃げ部の幅を大きくすることで、端部側におけるヒータホルダ23への熱の流出をより抑制し、中央側との温度差を抑制できる。以上のように、それぞれの逃げ部の形状、配列方向および配列交差方向の幅は、定着装置6の構成や使用環境などを考慮して、定着ベルト20やヒータ22の温度を配列方向に均一化できるように、最適なものを選択できる。これにより、定着ベルト20やヒータ22の配列方向の温度ムラを効果的に抑制したり、ヒータ22の撓みを抑制したりすることができる。
また図12に示すように、加圧方向視(図12の紙面に垂直な方向視)で、配列方向の分割領域Bに対応する範囲において、当接部23aが設けられる配列交差方向(図12の上下方向)の範囲は、抵抗発熱体31が設けられた領域の外側の範囲である(つまり、図12の点線L1よりも上側あるいは点線L2よりも下側の範囲である)。これにより、分割領域Bにおいて、ヒータ22の主たる発熱部分である抵抗発熱体31に対応する位置で、ヒータホルダ23がヒータ22に接触しなくなる。従って、分割領域Bにおいて、ヒータ22からヒータホルダ23への伝熱を効果的に抑制でき、ヒータ22や定着ベルト20の配列方向の温度ムラを抑制できる。
図15に示すように、ヒータホルダ23の凹部(当接部23a等が配置される部分)にヒータ22が嵌め込まれることで、ヒータ22がヒータホルダ23に保持される。この際、基材30に設けられた凹部30a(図7等ではその図示を省略)に、ヒータホルダ23の凸部23eが嵌る。これにより、ヒータ22のヒータホルダ23に対する配列方向および配列交差方向の位置決めがされる。なお、図15では、基材30表面に形成された抵抗発熱体31や電極部等の記載を省略している。
また図16に示すように、分割領域Bに対応する範囲で、抵抗発熱体31の配列交差方向の幅を大きくする幅拡張部31aを設けていてもよい。これにより、分割領域Bにおける抵抗発熱体31の発熱量を大きくし、分割領域Bにおけるヒータ22や定着ベルト20の温度落ち込みを抑制できる。従って、ヒータ22や定着ベルト20の配列方向の温度ムラを抑制できる。
さらに、加圧方向視(図16の紙面に垂直な方向視)で、幅拡張部31aに対応する位置が、定着ニップの範囲と重なることが好ましい。これにより、幅拡張部31aの発熱を効率良く定着ニップに伝達できる。
なお、ニップの範囲は以下の方法により測定できる。つまり、ヒータの定着ベルト内面側の表面に任意の耐熱性塗料(例えば、フッ素系塗料やシリコン系塗料)を塗布し、加圧ローラと定着ベルトの間で定着ニップを形成する。その後、ヒータの上記塗布面を観察して塗料の摩耗状態の違いを調べる。具体的には、ニップされてない箇所は塗布した状態のままの表面で、ニップされている部分は塗布が荒れた状態の表面をしている。これにより、ニップされた部分か否かを判断できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
本発明に係る画像形成装置は、図1に示すモノクロ画像形成装置に限らず、カラー画像形成装置や、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
記録媒体としては、用紙P(普通紙)の他、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート、プラスチックフィルム、プリプレグ、銅箔等が含まれる。
また、本発明は、上記の実施形態で説明したような定着装置に限らず、用紙に塗布されたインクを乾燥させる乾燥装置、さらには、被覆部材としてのフィルムを用紙等のシートの表面に熱圧着するラミネータや、包材のシール部を熱圧着するヒートシーラーなどの熱圧着装置のような加熱装置にも適用可能である。このような装置にも本発明を適用することで、ベルト部材(被加熱部材)の配列方向の温度ムラを抑制できる。
1 画像形成装置
6 定着装置(加熱装置)
20 定着ベルト(ベルト部材または定着部材)
21 加圧ベルト(対向部材または加圧部材)
22 ヒータ(加熱体)
23 ヒータホルダ(保持部材)
23a 当接部
23b 切り欠き部(逃げ部)
23c 非接触部(逃げ部)
23d 断続部(逃げ部)
30 基材
31 抵抗発熱体
31a 幅拡張部
311 接続部
32 絶縁層
33a、33b 給電線(導電体)
34a、34b 電極部
B 分割領域
C 拡大分割領域
N 定着ニップ(ニップ部)
X 配列方向(複数の抵抗発熱体の配列方向)
Y 配列交差方向(複数の抵抗発熱体の配列方向に交差する方向)
特開2019-164328号公報

Claims (10)

  1. ベルト部材と、
    前記ベルト部材に対向する対向部材と、
    複数の抵抗発熱体を有する面状の加熱体と、
    前記加熱体を保持する保持部材と、を備えた加熱装置であって、
    前記抵抗発熱体は複数並んで配列され、
    前記保持部材は、前記加熱体に対して、前記対向部材の前記ベルト部材に対する加圧方向に接触し、
    前記保持部材は、複数の抵抗発熱体の配列方向の前記抵抗発熱体の分割領域に対応する位置に、その他の部分よりも前記加熱体に対する前記加圧方向の接触面積を小さくする逃げ部を有することを特徴とする加熱装置。
  2. 前記加熱体は、電極部と、前記電極部と前記抵抗発熱体とをつなぐ導電体とを有し、
    前記抵抗発熱体は、前記複数の抵抗発熱体の配列方向に交差する方向に延在し、前記導電体と接続する接続部を有し、
    前記複数の抵抗発熱体の配列方向において、前記逃げ部が前記接続部に対応する位置に設けられる請求項1記載の加熱装置。
  3. 前記抵抗発熱体の配列方向の前記分割領域に対応する位置において、前記保持部材の前記加熱体に対する前記抵抗発熱体の配列方向に交差する方向の接触位置は、前記抵抗発熱体が配置される領域の外側である請求項1または2記載の加熱装置。
  4. 前記逃げ部の少なくとも一部が、前記複数の抵抗発熱体の配列方向の前記逃げ部が設けられた位置における、前記保持部材を前記加熱体に対して非接触にする非接触部である請求項1から3いずれか1項に記載の加熱装置。
  5. 前記加熱体は、前記抵抗発熱体の配列方向において、複数の前記分割領域を有し、
    前記保持部材は複数の前記逃げ部を有し、
    それぞれの前記逃げ部の、前記複数の抵抗発熱体の配列方向の幅あるいは前記複数の抵抗発熱体の配列方向に交差する方向の幅の少なくともいずれか一方が異なる請求項1から4いずれか1項に記載の加熱装置。
  6. 前記複数の抵抗発熱体の配列方向と交差する方向において、前記保持部材は、前記加熱体の両端側で前記加熱体にそれぞれ接触し、
    前記保持部材は前記加熱体の前記複数の抵抗発熱体の配列方向と交差する方向の両端に前記逃げ部を有し、当該それぞれの逃げ部の、前記複数の抵抗発熱体の配列方向の幅、前記複数の抵抗発熱体の配列方向に交差する方向の幅、あるいはその形状の少なくともいずれか1つが異なる請求項1から5いずれか1項に記載の加熱装置。
  7. 前記複数の抵抗発熱体の配列方向において、前記抵抗発熱体は、前記分割領域に対応する位置で、前記複数の抵抗発熱体の配列方向に交差する方向の幅をその他の部分よりも大きくする幅拡張部を有する請求項1から6いずれか1項に記載の加熱装置。
  8. 前記幅拡張部に対応する位置で、前記対向部材が前記ベルト部材との間にニップ部を形成する請求項7記載の加熱装置。
  9. 請求項1から8いずれか1項に記載の加熱装置を備え、記録媒体上の画像を定着させる定着装置。
  10. 請求項9記載の定着装置を備えた画像形成装置。
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