JP2022075515A - 毛髪用洗浄剤 - Google Patents
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Abstract
Description
洗浄成分としては、従来、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩(AES)などのアニオン界面活性剤、ラウリン酸アミドプロピルベタインなどの両性界面活性剤が用いられている。コンディショニング成分としては、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガムなどのカチオン性高分子化合物が用いられている。
これらの洗浄成分とコンディショニング成分とを適宜組み合わせることにより、洗浄力、すすぎ性能、乾燥後の風合い等のバランスを取ることができる。
これに対して、すすぎ性能を高める点から、アミノ酸系界面活性剤を選択することが有効である。
特許文献1には、具体的な例として、N-アシルアミノ酸系界面活性剤を含むアニオン界面活性剤と、カチオン化セルロースと、を含有する洗浄剤組成物が開示されている。特許文献1に記載の洗浄剤組成物によれば、N-アシルアミノ酸系界面活性剤を含有することで、すすぎ時のなめらかさの向上が図られている。
しかしながら、これに対して、AES等の他のアニオン界面活性剤を併用すると、組成に占めるアミノ酸系成分の配合比率が低くなってしまう。また、コンディショニング成分の配合量を低減すると、すすぎの際に感じられる指通りの良さが弱くなってしまう。
すなわち、本発明は、上記の課題を解決するため、以下の構成を採用した。
本発明の一実施形態に係る毛髪用洗浄剤は、(A)成分:アミノ酸系界面活性剤と、(P)成分:カチオン性高分子化合物と、必要に応じてその他成分とを含有する。
(A)成分としては、例えば、長鎖脂肪酸とアミノ酸とのアシル化により形成されるもの、すなわち、長鎖アシルアミノ酸に対イオンを有するものが挙げられる。
前記長鎖脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム脂肪酸等が挙げられる。これらのうちの一種を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、特に泡立ちが良い点から、ヤシ油脂肪酸、ラウリン酸、ミリスチン酸が好ましい。
本実施形態の毛髪用洗浄剤中の(A)成分の含有量は、毛髪用洗浄剤の総質量(100質量%)に対して1.5~20質量%が好ましく、5~15質量%がより好ましい。
(A)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、泡立ちがより良好となり、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、毛髪用洗浄剤の粘度が高くなりすぎるのを抑えやすくなる。
本実施形態の毛髪用洗浄剤において、(P)成分は、(P1)成分:カチオン化セルロース及びカチオン化グアーガムからなる群より選択される少なくとも一種と、(P2)成分:カチオン化デンプンと、を含む。
(P1)成分は、カチオン化セルロース及びカチオン化グアーガムからなる群より選択される少なくとも一種である。
(P1)成分には、通常シャンプーに配合されているカチオン化セルロース、カチオン化グアーガムを用いることができ、それぞれの多糖類骨格にアミノ基又はアンモニウム基を導入したものが好適に挙げられる。
本実施形態で用いることが可能なカチオン化セルロースの市販例としては、DOCQUAT(登録商標)10、DOCQUAT(登録商標)10V(DOC Japan株式会社製);レオガードシリーズ(ライオン株式会社製);Ucare polymerシリーズ(ダウ・ケミカル社製);カチナールHC-100(東邦化学工業株式会社製)等が挙げられる。
本実施形態で用いることが可能なカチオン化グアーガムの市販例としては、DOCGUM(登録商標)CG-L、DOCGUM(登録商標)CG-M(DOC Japan株式会社製);ラボールガムCG-M8M(DSP五協フード&ケミカル株式会社製);JAGUAR C-13S、JAGUAR C-14S、JAGUAR EXCEL、JAGUAR C-162(Solvay S.A.社製)等が挙げられる。
本実施形態の毛髪用洗浄剤中の(P1)成分の含有量は、毛髪用洗浄剤の総質量(100質量%)に対して0.02~0.75質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
(P1)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、すすぎ時の指の通りが向上しやすくなり、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、(P2)成分との併用効果が得られやすくなる。
(P2)成分は、カチオン化デンプンである。
(P2)成分には、デンプンにアミノ基又はアンモニウム基を導入したものが好適に挙げられる。カチオン化デンプンを構成するデンプンとしては、例えば、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプン、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)、小麦デンプン等が挙げられる。
本実施形態で用いることが可能なカチオン化デンプンの市販例としては、DOCSTARCH(登録商標)CP、DOCSTARCH(登録商標)CP PF、DOCSTARCH(登録商標)CP Plus、DOCSTARCH(登録商標)CP-75(DOC Japan株式会社製)等が挙げられる。
本実施形態の毛髪用洗浄剤中の(P2)成分の含有量は、毛髪用洗浄剤の総質量(100質量%)に対して0.1~1.35質量%が好ましく、0.2~0.75質量%がより好ましい。
(P2)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、すすぎ時のべたつき感が低減されやすくなり、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、(P1)成分との併用効果が得られやすくなる。
(P3)成分には、(P1)成分及び(P2)成分以外のものであって、通常シャンプーにコンディショニング成分として配合されているカチオン性高分子化合物を用いることができる。
(P3)成分としては、例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウムホモポリマー、塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリルアミドとの共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリルアミドとアクリル酸との共重合体、塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウムとN-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミドとの共重合体などが挙げられる。
(P)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、指の通り等のすすぎ性能が充分に発現するようになり、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、泡立ちが良好に保たれ、また、毛髪用洗浄剤の粘度が高くなりすぎるのを抑えやすくなる。
(P2)成分/(P1)成分で表される質量比が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、(P1)成分及び(P2)成分の併用効果が得られやすく、すすぎ時の指の通り良さと、べたつき感の低減との両立がより図られる。一方、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、すすぎの際に指の通りが良く毛髪が絡まりにくい感触を高められる。
後述のように、(A)成分、(P1)成分及び(P2)成分に加えて、さらにアミンオキシドを併用する場合、本実施形態の毛髪用洗浄剤中、前記(P1)成分と前記(P2)成分との比率は、(P2)成分/(P1)成分で表される質量比として、3/7~9/1であることが好ましく、3/7~8/2であることがより好ましく、4/6~8/2であることがさらに好ましい。
(P2)成分/(P1)成分で表される質量比が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、(P1)成分及び(P2)成分の併用効果が得られやすく、すすぎ時の指の通り良さと、べたつき感の低減との両立がより図られる。一方、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、すすぎの際に指の通りが良く毛髪が絡まりにくい感触を高められる。
本実施形態の毛髪用洗浄剤は、(A)成分及び(P)成分に加えて、必要に応じてその他成分を含有してもよい。
その他成分には、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の毛髪洗浄剤に配合される成分を適宜用いることができる。かかるその他成分としては、例えば、溶剤、(A)成分以外のアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、(P)成分以外のポリマー、香料、保湿剤、湿潤剤、pH調整剤、可溶化剤、粘度調整剤、殺菌剤、防腐剤、キレート剤、色素、各種訴求成分などが挙げられる。
塩としては、例えば、ナトリウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩等が挙げられる。
これらの中でも、すすぎ感触の向上、洗浄剤組成の可溶化能の向上、洗浄剤の増粘効果の観点から、アミンオキシドを用いることが好ましい。
アミンオキシドは、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
毛髪用洗浄剤がアミンオキシドを含有する場合、毛髪用洗浄剤中のアミンオキシドの含有量は、毛髪用洗浄剤の総質量(100質量%)に対して1~12質量%が好ましく、1.5~10質量%がより好ましく、2~7.5質量%がさらに好ましい。
アミンオキシドの含有量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、すすぎ感触、増粘効果、洗浄剤の可溶化能、泡立て時の性能がより良好となり、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、毛髪用洗浄剤の粘度が高くなりすぎるのを抑えやすくなる。
(A)成分の配合は、毛髪用洗浄剤を製造する際に、あらかじめアルカリで中和してあるものを用いてもよいし、酸形態の原料を用いて製造工程中にアルカリを加えることで、中和した塩の形態としてもよい。
なお、毛髪用洗浄剤のpHは、化粧品原料基準(第2版)の一般試験法に定められた方法を用い、毛髪用洗浄剤中に直接pHメーターの電極を差し込み、安定した後のpH値を読むことで測定することができる。
毛髪用洗浄剤の粘度は、化粧品原料基準第2法に従い、BM型粘度計にてローターNo.4(粘度の低いものはNo.3)を用い、ローターを6rpmで1分間回転させた後の読み値から粘度を算出する。
なお、実使用上は、目的等に応じて、例えば粘度調整剤を適宜添加することによって、毛髪用洗浄剤の粘度を、より高粘度に設定することがある。
また、本実施形態の毛髪用洗浄剤においては、(A)成分と(P)成分とアミンオキシドとを溶剤に溶解した溶液の25℃における粘度が、例えば500~7000mPa・sの範囲であるものが好ましく、粘度が700~5000mPa・sの範囲であるものがより好ましい。
本実施形態の毛髪用洗浄剤においては、(A)成分と(P1)成分とを含有する組成に、コンディショニング成分として、さらに、(P2)成分:カチオン化デンプンを併用したことにより、すすぎ性能が改質している。すなわち、すすぎ時の指の通りに優れ、かつ、べたつき感が低減されている。
加えて、本実施形態の毛髪用洗浄剤においては、AES等の他のアニオン界面活性剤を併用すること無く、すすぎ性能を改質できるため、洗浄成分に占めるアミノ酸系成分の配合比率を下げることがない。
アミノ酸系界面活性剤に対し、カチオン化セルロース及びカチオン化グアーガムの少なくとも一方をコンディショニング成分とした複合体(コアセルベート)の場合、水に濡れた頭髪上に塗布して泡立てた際のコアセルベートの生成量が多い。
これに対し、コンディショニング成分として、さらに、カチオン化デンプンを併用した本実施形態の場合には、(i)前記の泡立てた際のコアセルベートの生成量が少なく抑えられている、もしくは(ii)水に濡れた頭髪上で泡立てる操作から、流水ですすぐ過程で生成するコアセルベートの生成量が全体的に少なく抑えられている、又は(iii)流水ですすぐ過程におけるコアセルベートの生成挙動(コアセルベーションの起きやすい濃度範囲)が異なる(図3参照)。
あるいは、(iv)カチオン化セルロース及びカチオン化グアーガムの少なくとも一方と、カチオン化デンプンと、アミノ酸系界面活性剤と、の新たな複合体が形成する(図4参照)。
以上より、本実施形態の毛髪用洗浄剤によれば、すすぎ性能が改質し、すすぎ時の指の通りに優れ、かつ、べたつき感が低減される、と推測される。
さらにアミンオキシドを併用することにより、(P1)成分と(P2)成分とを広い混合比率で組み合わせて用いることが可能となり、複合体(コアセルベート)の生成挙動が変化し得る。これに伴い、すすぎ時の指の通り、及びすすぎ後のべたつき感の低減効果がより向上する。加えて、アミンオキシドを含有することで、毛髪用洗浄剤における可溶化能が高められ、透明な外観を保ちやすくなる。さらに、粘度調整剤として増粘剤を任意に含有する場合、アミンオキシドが増粘剤の働きを高めて、組成物の粘度増加に寄与する。
実施例及び比較例では、以下に示す成分を用いた。
A-1:N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン液、商品名「アミノサーファクト(登録商標)ACMT-L」、旭化成ファインケム株式会社製;純分30質量%
(P)成分には、(P1)成分としてカチオン化セルロースと、(P2)成分としてカチオン化デンプンとを用いた。
ポリクオタニウム-10(塩化O-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロース)、商品名「DOCQUAT(登録商標)10」、DOC Japan株式会社製;重量平均分子量(Mw)80万、純分100質量%
塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン、商品名「DOCSTARCH(登録商標)CP Plus」、DOC Japan株式会社製;じゃがいもでんぷん由来の水溶性カチオン性ポリマー、純分32質量%
両性界面活性剤(1):コカミドプロピルベタイン液、商品名「アンヒトール55AB」、花王株式会社製;純分30質量%
両性界面活性剤(2):ラウリルヒドロキシスルホベタイン液、商品名「アンヒトール20HD」、花王株式会社製;純分30質量%
ノニオン界面活性剤(1):コカミドMEA、商品名「アミゾールCME」、川研ファインケミカル株式会社製
ノニオン界面活性剤(2):コカミドMEA、商品名「トーホールN-120」、東邦化学工業株式会社製
ノニオン界面活性剤(3):ラウラミンオキシド、商品名「アンヒトール20N」、花王株式会社製;純分35質量%
粘度調整剤(増粘剤):トリイソステアリン酸PEG-160ソルビタン、商品名「レオドールTW-IS399C」、花王株式会社製
保湿剤:1,3-ブチレングリコール、商品名「1,3-BG」、株式会社ダイセル製
湿潤剤:ソルビトール、商品名「ソルビトール(70%)」、花王株式会社製;純分70質量%
防腐剤(1):メチルパラベン、商品名「パラオキシ安息香酸メチル」、上野製薬株式会社製
防腐剤(2):フェノキシエタノール、商品名「ネオロンPH100」、ダウ・ケミカル日本株式会社製
防腐剤(3):ペンチレングリコール、商品名「Activonol-5」、Activon社製
キレート剤:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、商品名「クレワット N」、ナガセケムテックス株式会社製
溶剤:プロピレングリコール、商品名「PG」、ダウ・ケミカル株式会社製
溶剤:水、商品名「精製水(局方)」、小堺製薬株式会社製
(実施例1~4、比較例1~2)
下記の表1に示す組成及び含有量となるように、各例の毛髪用洗浄剤を以下のようにして調製した。
具体的には、溶剤である水に、(P1)成分を加温しながら分散し、80℃にて(A)成分、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤(1)を順次、添加しながら混合溶解した。次いで、冷却し、60℃以下で(P2)成分及び防腐剤を添加しながら混合溶解することにより、各例の毛髪用洗浄剤を得た。
毛髪用洗浄剤のpHは、pHメーター(製品名HM-30G、東亜ディーケーケー株式会社製)を用い、25℃に調整した毛髪用洗浄剤中に直接pHメーターの電極を差し込み、安定した後のpH値を読むことで測定した。
毛髪用洗浄剤の粘度は、BM型粘度計にてローターNo.4を用い、25℃に調整した毛髪用洗浄剤に対し、ローターを6rpmで1分間回転させた後の読み値から粘度を算出した。
各例の毛髪用洗浄剤を用いて毛束を洗髪し、すすぎ後の湿潤状態及びすすぎ後の乾燥状態における毛髪の櫛通り荷重(コーミングフォース)をそれぞれ測定することにより、すすぎ後の感触について評価した。具体的には以下のようにして評価を行った。
ノーダメージの毛束として購入した、長さ10cmの毛束1gを、ノーマル毛用の毛束として使用した。
また、ノーダメージの毛束として購入した、長さ10cmの毛束1gを、市販のブリーチ剤(株式会社マンダム製)で、その取り扱い説明書の処理時間の2倍の時間にて処理して水洗し、さらに乾燥してから、ダメージ毛用の毛束として使用した。
手順(1):ノーマル毛用の長さ10cmの毛束1gを、40℃の温水により濡らして軽く絞り、試料である毛髪用洗浄剤0.1gを、この濡れた毛束の全体に延ばすように塗布した。
手順(4):少なくとも8回の櫛入れの際の引張強度を測定した。
櫛入れの際の引張強度の測定は、前記フォースゲージを固定し、毛束を吊り下げて、櫛通しを行いながら行った。すなわち、櫛を、毛束の長さ方向に対して垂直に保ちつつ、重力方向の下方へまっすぐに通したときの最大荷重を測定した。
また、櫛入れの際の引張強度の測定は、櫛入れ最初の1~2回目の測定値、及び毛束にたまたま櫛が引っかかってしまったような場合の異常値をいずれも除外した後の、複数の測定値の平均値を採用した。
ノーマル毛用の長さ10cmの毛束1gに対し、上記の手順(1)及び手順(2)の操作を同様にして行った。
手順(2)の操作後、軽く絞った後の毛束を、室温(25℃)で24時間自然乾燥した。
この後、自然乾燥した毛束に、櫛入れを5回行ってから、櫛通り荷重(コーミングフォース)の測定を開始した。そして、上記手順(4)の操作を同様にして行い、櫛入れの際の引張強度を測定した。
尚、縦軸は、櫛入れの際の引張強度(単位:N(ニュートン))を示している。
本発明を適用した実施例3の毛髪用洗浄剤を用いた場合、比較例1の毛髪用洗浄剤を用いた場合に比べて、毛髪の櫛通り荷重が少し高くなっていた。
比較例1、実施例3及び比較例2の中では、比較例2の毛髪用洗浄剤を用いた場合が、毛髪の櫛通り荷重が最も高い値であった。
本発明を適用した実施例3の毛髪用洗浄剤を用いた場合は、比較例1の毛髪用洗浄剤を用いた場合に比べて、すすぎの際の指通りの強さが適度に抑えられていること、すすぎ後のべたつき(ヌルつき)の無さが改善していること、が考えられる。また、すすぎ後の乾燥状態では、実施例3の毛髪用洗浄剤を用いた場合は、比較例1の毛髪用洗浄剤を用いた場合より、指の通りが良好であること、が考えられる。
比較例2の毛髪用洗浄剤を用いた場合は、すすぎの際の指通りの良さは劣るものの、すすぎ後の乾燥状態における指の通りが良好であること、が考えられる。
上述した、ノーマル毛用の毛束での結果の相違は、比較例1、実施例3、比較例2の各毛髪用洗浄剤における複合体(コアセルベート)の生成量、複合体の質の違いが現れていると推測される。
比較例1、実施例3の各毛髪用洗浄剤で実際に洗髪(実用試験)を行い、以下のようにして官能評価を行った。
具体的には、トレーニングされた専門パネル4名がそれぞれ、濡らした頭髪に、髪の長さに合わせて毛髪用洗浄剤4~10gを塗布して、洗浄操作、すすぎ操作を順に行った。
次いで、コンディショナーを塗布して、すすぎ操作、乾燥操作を順に行った。コンディショナーには、各自が普段使っているブランドのコンディショナー5~12gを用いた。
その際、洗浄操作後のすすぎ操作におけるすすぎ操作後半の頭皮のさっぱり感、乾燥操作後の髪のべたつきの無さ、乾燥操作後の頭皮のさっぱり感を、前記の専門パネル4名にて評価した。
かかる評価は、各項目について、0点から4.5点まで;0.5点間隔で採点を行い、平均化することにより行った。
すなわち、実使用においても、すすぎ時の感触の違いを、使用者が充分に実感できることが確認できた。
各例の毛髪用洗浄剤を水で希釈した際に生成するコアセルベートの生成挙動について検討した。この結果を図3に示した。
図3において、横軸は、毛髪用洗浄剤の希釈倍率を示し、右から左へ向かって希釈倍率が大きくなっている。これは、毛髪用洗浄剤を、濡れた頭髪に塗布して洗浄操作、すすぎ操作(すすぎ途中、すすぎ後半)と行う一連の洗髪行動に相当する。
縦軸は、濁度を指標とした、コアセルベート生成量を示している。濁度は、波長420nmの吸光度を測定している。濁度の値が低いほど、コアセルベート生成量が少なく(毛髪用洗浄剤の希釈液の濁りが弱く)なっており、濁度の値が高いほど、コアセルベート生成量が多く(毛髪用洗浄剤の希釈液の濁りが強く)なっている。
特に、毛髪用洗浄剤の希釈倍率が低い範囲(洗浄操作)及び希釈倍率が20~50倍付近(すすぎ途中)で、実施例3の毛髪用洗浄剤を用いた場合のコアセルベートの生成量と、比較例1の毛髪用洗浄剤を用いた場合のコアセルベートの生成量と、の差が大きいことが分かる。
また、毛髪用洗浄剤の希釈倍率が50~100倍付近(すすぎ後半)では、実施例3の毛髪用洗浄剤を用いた場合のコアセルベートの生成量が著しく増加している。実施例3の毛髪用洗浄剤と、比較例1の毛髪用洗浄剤とでは、流水ですすぐ過程におけるコアセルベートの生成挙動(コアセルベーションの起きやすい濃度範囲)が異なることが分かる。
各例の毛髪用洗浄剤を水で50倍希釈した際の、希釈液の外観を目視観察した。
図4は、前記希釈液を写した写真である。
各毛髪用洗浄剤を調製後、室温(25℃)で1日間保存したサンプル0.1~1.0gを水で50倍希釈し、60秒間振とうし30分間以上放置経過後に撮影した。
図4における写真は、左側から、比較例1、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、比較例2の各毛髪用洗浄剤の希釈液を撮影したものである。
加えて、この3成分からなる新たな複合体は、カチオン化セルロースとカチオン化デンプンとの混合比率によっても、その物性が異なることが推測される。
(実施例5~8、比較例3~4)
下記の表3に示す組成及び含有量となるように、各例の毛髪用洗浄剤を以下のようにして調製した。
具体的には、溶剤である水に、(P1)成分を加温しながら分散し、80℃にて(A)成分、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤(2)、ノニオン界面活性剤(3)、粘度調整剤(増粘剤)を順次、添加しながら混合溶解した。次いで、冷却し、60℃以下で(P2)成分及び防腐剤を添加しながら混合溶解することにより、各例の毛髪用洗浄剤を得た。
毛髪用洗浄剤のpHは、pHメーター(製品名HM-30G、東亜ディーケーケー株式会社製)を用い、25℃に調整した毛髪用洗浄剤中に直接pHメーターの電極を差し込み、安定した後のpH値を読むことで測定した。
毛髪用洗浄剤の粘度は、BM型粘度計にてローターNo.4を用い、25℃に調整した毛髪用洗浄剤に対し、ローターを6rpmで1分間回転させた後の読み値から粘度を算出した。
実施例5~8及び比較例3~4の各毛髪用洗浄剤を用いて毛束を洗髪し、すすぎ後の湿潤状態及びすすぎ後の乾燥状態における毛髪の櫛通り荷重(コーミングフォース)をそれぞれ測定することにより、すすぎ後の感触について評価した。
具体的には、[毛束の準備]、[櫛通り荷重(コーミングフォース)の測定;すすぎ後の湿潤状態の場合]及び[櫛通り荷重(コーミングフォース)の測定;すすぎ後の乾燥状態の場合]を、それぞれ上記<評価(1)>と同様にして行った。
尚、縦軸は、櫛入れの際の引張強度(単位:N(ニュートン))を示している。
一方、図5に示す結果では、比較例3(P1-1単独)及び実施例5~8(P1-1とP2-1との組合せ)の各毛髪用洗浄剤を用いた場合、図1に示す結果と異なり、すすぎ後の乾燥状態における毛髪の櫛通り荷重の方が、すすぎ後の湿潤状態における毛髪の櫛通り荷重よりも、櫛入れの際の引張強度が低い値であった。
加えて、さらにアミンオキシドを併用することにより、(P1)成分と(P2)成分とを広い混合比率で組み合わせて用いることが可能となる。例えば、(P2)成分を、(P1)成分よりも少ない質量比となるように混合してもよい。
上述した、ダメージ毛用の毛束での結果の相違は、比較例3、実施例5~8、比較例4の各毛髪用洗浄剤における複合体(コアセルベート)の生成量、複合体の質の違いがアミンオキシドの併用により現れるため、と推測される。
比較例3、実施例6の各毛髪用洗浄剤で実際に洗髪(実用試験)を行い、以下のようにして官能評価を行った。
具体的には、トレーニングされた専門パネル2名がそれぞれ、濡らした頭髪に、髪の長さに合わせて毛髪用洗浄剤4~10gを塗布して、洗浄操作、すすぎ操作を順に行った。
次いで、コンディショナーを塗布して、すすぎ操作、乾燥操作を順に行った。コンディショナーには、各自が普段使っているブランドのコンディショナー5~12gを用いた。
その際、洗浄操作時の泡量、洗浄操作時の泡質(弾力)、洗浄操作時の毛髪表面のすべり(きしみの無さ)、洗浄操作後のすすぎ操作におけるすすぎ操作後半の頭皮のさっぱり感、洗浄操作後のすすぎ操作を終えた後にコンディショナーを塗布した際の乗りの良さ、乾燥操作後の指通り(からまりの無さ)、乾燥操作後の毛髪表面のすべり(きしみの無さ)を、前記の専門パネル2名にて評価した。
かかる評価は、各項目について、1点から7点まで;0.5点間隔で採点を行い、平均化することにより行った。
すなわち、実使用においても、すすぎ時の感触の違いを、使用者が充分に実感できることが確認できた。加えて、泡立て時の性能、コンディショナー処理後の感触の違いについても、使用者が充分に実感できることが確認できた。
下記の表5に示す組成及び含有量となるように、各例の毛髪用洗浄剤を以下のようにして調製した。
溶剤である水に、(P1)成分を加温しながら分散し、80℃にて(A)成分、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤(2)、ノニオン界面活性剤(3)、粘度調整剤(増粘剤)を順次、添加しながら混合溶解した。次いで、冷却し、60℃以下で(P2)成分及び防腐剤を添加しながら混合溶解することにより、実施例9の毛髪用洗浄剤を得た。
ノニオン界面活性剤(3)を配合しない以外は、実施例9と同様にして、表5に示す各成分を混合溶解することにより、実施例10の毛髪用洗浄剤を得た。
毛髪用洗浄剤のpHは、pHメーター(製品名HM-30G、東亜ディーケーケー株式会社製)を用い、25℃に調整した毛髪用洗浄剤中に直接pHメーターの電極を差し込み、安定した後のpH値を読むことで測定した。
実施例9及び実施例10の各毛髪用洗浄剤について、以下のようにして粘度の測定、及び経時安定性の評価をそれぞれ行った。
各例の毛髪用洗浄剤の粘度は、BM型粘度計にてローターNo.4を用い、25℃に調整した毛髪用洗浄剤に対し、ローターを6rpmで1分間回転させた後の読み値から粘度を算出した。その結果を表5に示した。
各例の毛髪用洗浄剤を、温度2℃の冷蔵庫内に45日間静置して保管した。このように保管されていた毛髪用洗浄剤を冷蔵庫内から取り出し、室温(25℃)の実験室で3分間経過後の外観を図6に示した。
Claims (5)
- (A)成分:アミノ酸系界面活性剤、及び(P)成分:カチオン性高分子化合物を含有し、前記(P)成分が、
(P1)成分:カチオン化セルロース及びカチオン化グアーガムからなる群より選択される少なくとも一種と、
(P2)成分:カチオン化デンプンと、
を含む、毛髪用洗浄剤。 - さらに、アミンオキシドを含有する、請求項1に記載の毛髪用洗浄剤。
- 前記(P1)成分と前記(P2)成分との比率は、
(P2)成分/(P1)成分で表される質量比として、3/7~9/1である、請求項1又は2に記載の毛髪用洗浄剤。 - 前記(A)成分の含有量は、1.5~20質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の毛髪用洗浄剤。
- 前記(P)成分の含有量は、0.2~1.5質量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の毛髪用洗浄剤。
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