JP2022075012A - シールドトンネルの覆工構造 - Google Patents

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幸司 粥川
Koji Kayukawa
貴裕 守田
Takahiro Morita
浩 名倉
Hiroshi Nagura
隆弘 深田
Takahiro Fukada
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West Japan Railway Co
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Abstract

【課題】複数の並設するシールドトンネルを一部で又は一部からすり付けるシールドトンネルの覆工構造を提供する。【解決手段】本構造では、先行のシールドトンネルТ1の側部一定の範囲の大きい切削ブロック220に対してシールドM2前部のカッターヘッドを漸次必要なオーバーラップ度合でオーバーラップさせて切削していき、後行のシールドトンネルТ2を漸次オーバーラップ幅を広げながらすり付ける。そして、先行のシールドトンネルТ1内の隔壁ブロック120により、先行、後行のシールドトンネルТ1、Т2を各々独立したシールドトンネルとして隣接して構築する。【選択図】図13

Description

本発明は、複数の並設するシールドトンネルを一部で又は一部から相互に接触させて又はオーバーラップさせて隣接させ、かつ各々を独立したシールドトンネルとして構築する施工に有用なシールドトンネルの覆工構造に関する。
鉄道シールドトンネルでしばしば見られるが、2本の単線断面シールドトンネルを1本の複線断面シールドトンネルにすり付けるすり付け施工が知られている。この施工では、図17に示すように、2本の単線断面シールドトンネルの区間(並設区間)と1本の複線断面シールドトンネルの区間との間にすり付け区間が設けられ、このすり付け区間で2本の単線断面シールドトンネルのすり付けが行われる。この施工は、2本の線路が漸近することで断面変化が生じるため、開削工法で実施されるのが通常である。
ところが、都市部でのトンネル工事において、開削工法は、地上が占有されることで、現場周辺住民の生活環境や地上交通への影響が非常に大きい。しかも、この工法では、多量の土砂を掘削し、またこれを埋戻しすることから、施工期間が長くなる。そこで、すり付け区間での開削工法による施工範囲を可及的に短くすることが望ましい。
この種のすり付け施工において、すり付け区間での開削工法による施工範囲をできるだけ短くする方法として、すり付け区間でシールド工法を用いて2本のシールドトンネルをすり付け方向に隣接させることが考えられる。シールド工法を用いて2本のシールドトンネルを隣接させる工法が従前より、特許文献1などにより提案されている。
この文献1の工法では、推進用セグメントを用いて、2つの単線トンネルを隣接して構築する。推進用セグメントは、外側に円弧状の凹部が形成された壁体部と、壁体部の凹部に設けられ、外面がトンネルの円弧と連続する円弧面とされた掘削体とを有する。この推進用セグメントをトンネル内の複数のセグメントからなる円筒部に連結させて先行の単線トンネルを構築する。そして、先行の単線トンネルに対してシールドマシンにより先行の単線トンネルの掘削体を掘削させながら後行の単線トンネルを隣接して構築する。このようにして2つの単線トンネルを隣接させる。
特開平11-159297号公報
しかしながら、特許文献1に提案の工法では、次のような点で、問題がある。
(1)この工法で用いられる「推進用セグメントは、壁体部の凹部がトンネル内空間に向けて凸に形成され、この凹部に掘削体が設けられて」いる。このような推進用セグメントの構造では、シールドマシンに搭載されるエレクターの可動領域を侵しており、この推進用セグメントをエレクターを使ってセグメントリングの一部に組み立てることは難しい。この工法を図17に示す施工に用いても、シールドマシンのエレクターで推進用セグメントを組み立てることができないため、通常のシールド工法と同様の施工は望めない。
(2)この工法では、「先行の単線トンネルに対して後行の単線トンネルを構築する場合、シールドマシンを先行の単線トンネルに近接させてこの単線トンネルに沿って掘削する」。このようにして「シールドマシンにより先行の単線トンネルに配設された推進用セグメントの掘削体を地盤とともに削る」ようになっている。さらに、この文献1の図1、図2では、シールドマシンが先行の単線トンネルに沿って平行に掘進され、掘削体が同じ度合で(つまり、均等の幅に)切削される状態が示されている。この方法を図17に示す施工に適用した場合、このようなシールドマシンの掘進方向及び掘削体に対する切削では、シールドトンネルの一方に対して他方を任意の接触度合いで接触させて又は任意のオーバーラップ度合いでオーバーラップさせて隣接させることはできない。したがって、この工法を、図17に示すすり付け施工に用いても、2本のシールドトンネルをすり付け方向に隣接させることができないため、すり付け区間において開削工法による施工範囲を短くすることはできない。
(3)この方法では「先行の単線トンネルの側部に通常の円筒状の後続の単線トンネルを構築する。先行の単線トンネルに隣接させて後続の単線トンネルを構築したら、これら単線トンネル内に支柱を立設する。そして、先行の単線トンネルの推進用セグメント及び後続の単線トンネルの先行の単線トンネル側のセグメントを取り外し、それぞれのトンネルのセグメントからなる円筒部同士の間に、断面Y字状に形成された分岐部セグメントを配設し、これら分岐部セグメント同士の間に、柱、壁体等からなる支持体を配設し、その後、各トンネルに配設した支柱を取り外し」て、多連形トンネルを完成させる。この工法を図17に示す施工に適用した場合、各単線トンネルを各々独立したシールドトンネルとするために、各単線トンネルの構築後、各単線トンネル間に新たに支持体を設けるため、その分だけ構造が複雑になり、多くの作業を必要とし、コストが増大する。
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、この種のシールドトンネルの覆工構造において、上記掘削体などの切削ブロックを通常のシールド工法と概ね同様の施工により簡易且つ効率的に形成すること、複数の並設するシールドトンネルを一部で又は一部からすり付ける際に、シールドトンネルの一方に対して他方を任意の接触度合いで接触させて又は任意のオーバーラップ度合いでオーバーラップさせて隣接させ、複数のシールドトンネルのすり付け施工を可能にすること、各シールドトンネル間に新たに支持体を設けることなしに各々を独立したシールドトンネルとして構築することなど、を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、
シールドトンネル内に複数の断面円弧状のセグメントがリング状に組み立てられてなるセグメントリングの一部のセグメントに代えて、前記一部のセグメントの両側の各セグメント間に断面直線状に延びる隔壁部と前記隔壁部の外側に形成されて外面が前記両側の各セグメントの円弧に連続する断面円弧状をなす切削部とからなる特殊構造のセグメントを備え、前記複数のセグメントとともに、前記特殊構造のセグメントがトンネル軸方向に並列に組み立てられて、前記シールドトンネル内に前記複数の隔壁部により前記複数のセグメントとともにトンネル内空間を保持する隔壁ブロックを形成され、その外側に複数の切削部により切削ブロックが形成されるシールドトンネルの覆工構造において、
前記特殊構造のセグメントは、前記セグメントとともに前記セグメントリングを組み立て可能に前記セグメントリングの円弧と当該円弧に近接する弦との間に形成され、前記隔壁部の長さ及び前記切削部の円弧の長さの異なる隔壁部、切削部が一体の小さい一体型部材と隔壁部、切削部が別体の大きい別体型部材とを有し、
前記切削ブロックは、複数の前記一体型部材の切削部からなる小さい切削ブロック、又は複数の前記別体型部材の切削部からなる大きい切削ブロック、又は前記小さい切削ブロックと前記大きい切削ブロックとの組み合わせにより構成される、
ことを要旨とする。
また、本発明は各部が次のように構成されることが好ましい。
(1)一体型部材は、シールド掘進機に搭載されるエレクターにより組み立て可能な大きさで、切削部全体が切削部材により一体成形され、前記シールド掘進機の前記エレクターにより、セグメントリングの一部として組み立てられる。
(2)一体型部材は、隔壁部が鋼製セグメント又は鋼殻とコンクリートとを一体化した合成セグメントからなり、切削部がコンクリートを母材とする切削部材からなり、前記切削部は前記隔壁部にスタッドジベルを介して一体に接合される。
この場合、スタッドジベルはシールド掘進機で切削可能な材質からなり、隔壁部に固着されたナットに締結されて、前記隔壁部に突設される。
(3)別体型部材は、切削部がシールド掘進機に搭載されるエレクターにより組み立て可能な大きさで断面円弧状の切削セグメントと前記切削セグメントと隔壁部との間に充填される切削充填材とにより構成され、前記隔壁部及び前記切削充填材は後付けで、前記切削セグメントが、前記シールド掘進機の前記エレクターにより、セグメントリングの一部に組み立てられる。
この場合、別体型部材は、隔壁部が鋼製セグメント又は鋼殻とコンクリートとを一体化した合成セグメントからなり、切削セグメントがコンクリートを母材とするセグメントからなり、切削充填材は流動化処理土、エアモルタルを含む。
(4)別体型部材の隔壁部が前記別体型部材の両側のセグメントに前記隔壁部と同じ断面形状で鉛直方向シールドトンネルの内方に向けて突設される取付部間に取り付けられる。
この場合、別体型部材の隔壁部と各取付部とのセグメント継手面に継手角度が設けられる。
この場合、別体型部材は、相互に隣り合うセグメントリング間で、隔壁部と各取付部とのセグメント継手面が千鳥配置されるように、前記相互に隣り合うセグメントリング間で、前記隔壁部の長さ、前記各取付部の長さが異なる。
(5)別体型部材の隔壁部は複数の分割部材からなり、前記各分割部材のセグメント継手面に継手角度が設けられる。
この場合、別体型部材は、相互に隣り合うセグメントリング間で、隔壁部の各分割部材間のセグメント継手面が千鳥配置されるように、前記相互に隣り合うセグメントリング間で、前記各分割部材の長さが異なる。
(6)別体型部材は、切削部の円弧の高さをトンネル内空間に必要な空間を確保可能な範囲を超えて拡張する場合、前記隔壁部に代えて、仮壁部が取り外し可能に配置されて、前記仮壁部の外側に前記切削部が形成され、複数の前記仮壁部により仮壁ブロックが形成される。
本発明によれば、上記の構成により、切削ブロックを通常のシールド工法と概ね同様の施工により簡易且つ効率的に形成することができ、複数の並設するシールドトンネルを一部で又は一部からすり付ける際に、シールドトンネルの一方に対して他方を任意の接触度合いで接触させて又は任意のオーバーラップ度合いでオーバーラップさせて隣接させ、複数のシールドトンネルのすり付け施工を可能とし、併せて各シールドトンネル間に新たに支持体を設けることなしに各々を独立したシールドトンネルとして構築することができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
本発明の一実施の形態に係るシールドトンネルの覆工構造の構成を示す図((a)はセグメントリングの一部に特殊構造のセグメントの一体型部材が組み込まれたセグメントリング全体の正面断面図(b)はセグメントリングの一部に特殊構造のセグメントの別体型部材が組み込まれたセグメントリング全体の正面断面図) 同構造を備えたシールドトンネルの外部の構成を示す図((a)は小さい切削ブロック側から見た斜視図(b)は大きい切削ブロック側から見た斜視図) 同構造を備えたシールドトンネルの内部の構成を示す図((a)は小さい切削ブロック側から見た一部省略斜視図(b)は大きい切削ブロック側から見た一部省略斜視図)) 同構造に用いる特殊構造のセグメントの特に一体型部材の構成を示す図(斜視図) 同構造に用いる特殊構造のセグメントの特に一体型部材の切削部の構成を示す図((a)は外側の側面図(b)は正面断面図(c)は平面断面図) 同構造に用いる特殊構造のセグメントの特に一体型部材の隔壁部と切削部との接合に使用するスタッドジベル及びナットの構成を示す図(正面図) 同構造に用いる特殊構造のセグメントの特に別体型部材の構成をセグメントリングとともに示す図((a)は先組みの別体型部材の正面図(b)は後組みの別体型部材の正面図) 同構造に用いる特殊構造のセグメントの特に別体型部材(先組み)の構成を示す図((a)は内側となる側面図(b)は正面図(c)は端面図) 同構造に用いる特殊構造のセグメントの特に別体型部材(後組み)の構成を示す図((a)は内側となる側面図(b)は正面図(c)は端面図) 同構造に用いる特殊構造のセグメントの特に別体型部材の取付部(先組み)の構成を示す図((a)は内側の側面図(b)は正面図(c)は一方の端面図(d)は他方の端面図(e)は取付部のみの内側の側面図(f)は取付部のみの端面図) 同構造に用いる特殊構造のセグメントの特に別体型部材の取付部(後組み)の構成を示す図((a)は内側の側面図(b)は正面図(c)は一方の端面図(d)は他方の端面図(e)は取付部のみの端面図) 同構造の小さい切削ブロックを用いて先行のシールドトンネルに後行のシールドトンネルをすり付ける施工例を示す図(正面断面図) 同構造の大きい切削ブロックを用いて先行のシールドトンネルに後行のシールドトンネルをすり付ける施工例を示す図(正面断面図) 同構造の特殊構造のセグメントの別体型部材の組み立て手順を示す図(内側の側面図) 同構造を用いて鉄道シールドトンネルの2本の単線断面シールドトンネルを1本の複線断面シールドトンネルにすり付ける施工例を示す図(平面断面図) 同構造を用いて鉄道シールドトンネルの2本の単線断面シールドトンネルを1本の複線断面シールドトンネルにすり付けるための施工手順及びその状況を示す図(正面断面図) 鉄道シールドトンネルで2本の単線断面シールドトンネルを1本の複線断面シールドトンネルにすり付ける場合の従来の施工例を示す図(平面断面図)
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
シールドトンネルは、周知のとおり、シールド掘進機(以下、単にシールドという。)を用いたシールド工法により施工される。すなわち、シールドの掘進とともに、シールド前部のカッターヘッドにより地山にトンネル(掘削穴)が掘削され、このトンネル(掘削穴)の内壁にシールド後部のエレクターにより複数の断面円弧状のセグメントがリング状に組み立てられて、シールドトンネルが構築される。このシールド工法に用いられるセグメントとしては、平面視横長の長方形で断面円弧状のものが通常で、左右両端面がセグメント継手面、前後両面(正面、背面)がリング継手面になっている。このような複数のセグメントがトンネル周方向にリング状に配置され、各セグメント継手面間が合わせられてボルト、ナットその他の固定手段により連結され、無端のセグメントリングとして組み立てられる。さらに、このセグメントリングはトンネル軸方向に並列に配列され、各セグメントリング間の各セグメントの各リング継手面間が合わせられてボルト、ナットその他の固定手段によりにより連結される。しかしてシールドトンネルの覆工構造が構築される。
図1に示すように、このシールドトンネルの覆工構造(以下、本構造という。)では、シールドトンネルТ内に複数の断面円弧状のセグメントSがリング状に組み立てられてなるセグメントリングRの一部のセグメントに代えて、その一部のセグメントの両側の各セグメントS間に、断面直線状に延びる隔壁部11、12と隔壁部11、12の外側に形成されて外面が両側の各セグメントSの円弧に連続する断面円弧状をなす切削部21、22とからなる特殊構造のセグメントSS1、SS2を備える。そして、図2、図3に示すように、複数のセグメントSとともに、特殊構造のセグメントSS1、SS2がトンネル軸方向に並列に組み立てられて、シールドトンネルТ内に複数の隔壁部11、12により複数のセグメントSとともにトンネルТ内空間を保持する隔壁ブロック110、120を形成され、その外側に複数列の切削部21、22により切削ブロック210、220が形成される。
なお、本構造では、各セグメントSに合成セグメントを用いるが、これに限定されるものではなく、鋼製セグメントなど他のものであってもよい。
そして、本構造では特に、図1に示すように、特殊構造のセグメントSS1、SS2が、断面円弧状のセグメントSとともにセグメントリングRを組み立て可能にセグメントリングRの円弧と当該円弧に近接する弦との間に形成され、隔壁部11、12の長さ及び切削部21、22の円弧の長さの異なる隔壁部11、切削部21が一体の小さい一体型部材SS1と隔壁部12、切削部22が別体の大きい別体型部材SS2とを有し、図2、図3に示すように、切削ブロック210、220は、複数の一体型部材SS1の切削部21からなる小さい切削ブロック210、又は複数の別体型部材SS2の切削部22からなる大きい切削ブロック220、又は小さい切削ブロック210と大きい切削ブロック220との組み合わせにより構成される。
図4に示すように、一体型部材SS1は、全体がシールドに搭載されるエレクターにより組み立て可能な大きさで、切削部21全体が切削部材により一体成形される。この場合、切削部21の円弧の高さ(円弧の最も高い箇所の高さ)がセグメントSの厚さの2倍相当で、隔壁部11の厚さがセグメントSの厚さと略同等である。なお、これらの寸法に関する記載はこの後の説明の便宜上のもので、適宜変更し得る。このような構成により、一体型部材SS1は、セグメントSと同様にセグメントリングRを組み立て可能にセグメントリングRの円弧と当該円弧に近接する弦との間に断面略弓形に形成され、セグメントSと同様に、シールドに搭載のエレクターにより、セグメントリングRの一部に組み立て可能になっている。
隔壁部11は、セグメントSと同様に、鋼殻111とコンクリート114とを一体化した合成セグメントからなる。この場合、鋼殻111は、鋼板により一体的に形成され、断面略直線状に延びる隔壁構成部112と、この隔壁構成部112の両端から断面ハの字形に延びる一対の接続部113とを有する。隔壁構成部112は、両端方向に長い長方形の内側となる側面と、両側で両端方向に細長い長方形の正面、背面とからなり、外側となる側面は開口になっている。各接続部113は、隔壁構成部112の内側となる側面の両端及び外側の開口の両端から、それぞれ、断面ハの字形に延伸される両側方向に長い長方形の面、隔壁構成部112の正面、背面の両端から、それぞれ、断面ハの字形に延伸される延伸方向に長い長方形の面、これらハの字形に延びる各面の延伸端間に囲まれる両側方向に長い長方形の面からなる。隔壁部11はこのような鋼殻111の内部に鉄筋、鋼材を配置され、コンクリート114が打設されて、合成セグメントとして形成される。かくして隔壁部11は、各セグメントSと同様な断面性能、止水性能を有する。なお、この隔壁部11は合成セグメントからなるものとしたが、これに限定されるものではなく、鋼製セグメントなどであってもよい。
切削部21はコンクリートを母材とする切削部材からなる。この場合、切削部材には軽量骨材コンクリートが使用される。図5、図6に示すように、この切削部21は隔壁部11にスタッドジベルやボルト、又は孔あき鋼板などのずれ止めを配置されて一体化される。この場合、スタッドジベル31が採用され、このスタッドジベル31に繊維強化プラスチック(FRP)からなり、ねじ切り加工されたものが用いられる。隔壁部11の内側の面をなす鋼板に複数の鋼製のナット30が溶接により固着され、これらのナット30にFRP製のスタッドジベル31が締結されて、隔壁部11の内側の側面上に突設される。なお、この場合、この側面上に複数のひび割れ防止筋(FRP製)32が併せて配筋される。このようにして隔壁部11の外側の側面に複数のスタッドジベル31、複数のひび割れ防止筋32を介して軽量骨材コンクリートが打設され、切削部21が一体に形成される。すなわち、一体型部材SS1として一体化される。なお、この一体型部材SS1は工場製作である。切削部21は、各セグメントSと同様に、一体型部材SS1の組み立て施工時にシールドジャッキの推力を負担する。なお、切削部21は軽量骨材コンクリートからなるものとしたが、これに限定されるものではなく、普通のコンクリートであってもよい。スタッドジベル31は繊維強化プラスチックからなるものとしたが、これに限定されるものではなく、シールドで切削可能な材料からなるものであればよい。ナットも鋼製のものでなくてもよい。ひび割れ防止筋32はFRP製としたが、これに限定されるものではなく、ガラス繊維、炭素繊維などシールドで切削可能な材料からなるものであればよい。
また、この一体型部材SS1は、前述のとおり、セグメントリングRの一部のセグメントSに代えて、その一部のセグメントSの両側の各セグメントS間に組み込まれるので、この一体型部材SS1の隔壁部11とセグメントSとの間のセグメント継手面P1に継手角度が設けられる。この場合、図1(a)に示すように、隔壁部11の両端面(既述の各接続部113の延伸端の面)とセグメントSの一端面がセグメント継手面P1であり、この隔壁部11の両端のセグメント継手面P1と各セグメントSの一端のセグメント継手面P1との間に継手角度が付けられる。隔壁部11とセグメントSとの各セグメント継手面P1間はボルト、ナットにより連結される。
さらに、一体型部材SS1は、前述のとおり、セグメントリングRの一部のセグメントSに代えて、その一部のセグメントSの両側の各セグメントS間に組み込まれるので、この一体型部材SS1は、相互に隣り合うセグメントリングR間で各一体型部材SS1の各隔壁部11間の各リング継手面P2でボルト、ナットその他の固定手段により連結される。
図1(b)に示すように、別体型部材SS2は、切削部22がシールドに搭載されるエレクターにより組み立て可能な大きさで断面円弧状の切削セグメント221とこの切削セグメント221と隔壁部12との間に充填される切削充填材222とにより構成され、切削部22と隔壁部12が別体になっている。この場合、切削部22の円弧の高さ(円弧の最も高い箇所の高さ)はセグメントSの厚さの2倍よりも大きく、ここでは5倍程度にしている。なお、ここでは、トンネルТ内空間を確保するため、また、エレクターの可動領域を維持するために、別体型部材SS2の切削部22の円弧の高さはセグメントSの厚さの5倍程度までにするものとしてある。前述したとおり、この寸法に関する記載はこの後の説明の便宜上のものであり、適宜変更し得る。このような構成により、別体型部材SS2は全体が、セグメントSとともにセグメントリングRを組み立て可能に、セグメントリングRの円弧と当該円弧に近接する弦との間に断面略弓形に形成され、隔壁部12及び切削充填材222は後付けで、切削セグメント221が、セグメントSと同様に、シールドに搭載のエレクターにより、セグメントリングRの一部に組み立て可能である。
図7、図8及び図9に示すように、別体型部材SS2は、各セグメントリングR間で相互に隣り合う隔壁部12の継手位置が異なるように、隔壁部12は長さの異なる2種類がある。この場合、トンネルТの内壁において先に組み立てられる先組みの隔壁部12が短く、後に組み立てられる後組みの隔壁部12が長くなっている。
どちらの別体型部材SS2も、隔壁部12は鋼殻121、122とコンクリート124、125とを一体化した合成セグメントからなる。図8に示すように、先組みの別体型部材SS2の場合、鋼殻121は、鋼板により一体的に形成され、両端方向に長い長方形の外側となる側面と、両側で両端方向に細長い台形の正面、背面と、両端で両側方向に長い台形の各端面とからなり、内側となる側面が開口される。この場合、外側となる側面が内側となる開口よりも小さくなる。図9に示すように、後組みの別体型部材SS2の場合、鋼殻122は、鋼板により一体的に形成され、両端方向に長い長方形の内側となる側面と、両側で両端方向に細長い台形の正面、背面と、両端で両側方向に長い台形の各端面とからなり、内側となる側面が開口される。この場合、外側となる側面が内側となる開口よりも小さくなる。そして、いずれの別体型部材SS2も、鋼殻121、122の内部に鉄筋、鋼材を配置され、コンクリート124、125が打設されて、隔壁部12が、断面円弧状のセグメントSと同様に、合成構造を有する。なお、この隔壁部12は合成セグメントからなるものとしたが、これに限定されるものではなく、鋼製セグメントなどであってもよい。
また、どちらの別体型部材SS2も、前述のとおり、セグメントリングRの一部のセグメントSに代えて、その一部のセグメントSの両側の各セグメントS間に組み込まれるので、隔壁部12は、相互に隣り合うセグメントリングR間で各別体型部材SS2の各隔壁部12間の各リング継手面P3に継手角度が設けられる。この場合、図8、図9に示すように、各隔壁部12の正面、背面が各隔壁部12間のリング継手面P3であり、各隔壁部12間のリング継手面P3に継手角度が付けられる。
さらに、後組みの別体型部材SS2の隔壁部12は複数の分割部材12Pからなり、各分割部材12Pのセグメント継手面P4に継手角度が設けられる。また、この場合、相互に隣り合うセグメントリングR間で、隔壁部12の各分割部材12P間のセグメント継手面P4が千鳥配置されるように、相互に隣り合うセグメントリングR間で、各分割部材12Pの長さが異なる。
なお、隔壁部12のセグメント、リング各継手面にシール溝が設けられ、シール溝にはシール材が取り付けられて、セグメントSと同様な止水性能を有する。
切削セグメント221はコンクリートを母材とするセグメントからなる。
切削充填材222は流動化処理土、エアモルタルなどが使用される。
そして、どちらの別体型部材SS2も、前述のとおり、セグメントリングRの一部のセグメントSに代えて、その一部のセグメントSの両側の各セグメントS間に組み込まれるので、図7に示すように、両側の各セグメントSにそれぞれ、隔壁部12を取り付けるための取付部4が設けられる。図10、図11に示すように、各取付部4は、両側のセグメントSに隔壁部12と同じ断面形状及び構造で鉛直方向シールドトンネルТの内方に向けて突設される。また、各取付部4は、相互に隣り合うセグメントリングR間で、隔壁部12と取付部4とのセグメント継手面P6が千鳥配置されるように、長さの異なる2種類がある。この場合、2種類の隔壁部12の長さとは反対に(2種類の隔壁部12の長さに合わせて)、先組みのものが長く、後組みのものが短くなっている。各取付部4の隔壁部12との接続端面はセグメント継手面P6になっており、継手角度が設けられる。各セグメントリングR間で相互に隣り合う取付部4の対向面はリング継手面P7で継手角度が設けられる。なお、各取付部4のセグメント、リング各継手面にシール溝が設けられ、シール溝にはシール材が取り付けられて、セグメントSと同様な止水性能を有する。各セグメント継手面間、各リング継手間がボルト、ナットその他の固定手段により連結される。
各隔壁部12は、先組みのもの、後組みのもの共に、その長さにより運搬などに支障が生ずる場合は、さらに分割される。この場合、各隔壁部12は相互に隣接するリング継手面が同一にならない位置で分割される。またこの場合、最後に組み立てられるものに支障がないように、隔壁部12の分割された面に継手角度が設けられる。
なお、別体型部材SS2が、切削部22の円弧の高さを、セグメントSの厚さの5倍程度を超えてトンネルТ内空間に必要な空間を確保可能な範囲を超えて拡張する場合、隔壁部12に代えて、仮壁部13(図16(6)参照)が取り外し可能に配置されて、仮壁部13の外側に切削部22が形成され、複数の仮壁部13により仮壁ブロック130が形成される。前述したとおり、寸法に関する記載(上記5倍程度)は説明の便宜上のものであり、適宜変更し得る。
このようにして本構造では、シールド工法を用いて、相互に隣り合うシールドトンネルを接触、オーバーラップさせて切削し隣接させる際に、各シールドトンネル間のオーバーラップの程度を小さくする場合(接触の場合を含む。)は、一体型部材SS1を用いて、シールドトンネルの接触、オーバーラップ部分に隔壁ブロック110を介して小さい切削ブロック210を形成し、各シールドトンネル間のオーバーラップの程度を大きくする場合は、別体型部材SS2を用いて、シールドトンネルのオーバーラップ部分に隔壁ブロック120を介して大きい切削ブロック220を形成する。
図12に本構造の小さい切削ブロック210を用いて先行のシールドトンネルТ1に後行のシールドトンネルТ2をすり付ける施工例を示している。この施工では、先行のシールドトンネルТ1の一部の側部に後行のシールドトンネルТ2を接触させてすり付け、各々を独立したシールドトンネルТ1、Т2として隣接して構築する。
この施工では、まず、先行のシールドトンネルТ1を通常のシールド工法で施工する。すなわち、図12(1)、(2)に示すように、シールドの掘進とともに、シールド前部のカッターヘッドにより地山にトンネル(掘削穴)を掘削し、このトンネル(掘削穴)の内壁にシールド後部のエレクターにより複数のセグメントSを、その一部に特殊構造のセグメント、この場合、一体型部材SS1を含めて、リング状に組み立てて、先行のシールドトンネル(覆工構造)Т1を構築する。このようにして先行のシールドトンネルТ1の一部のトンネル内空間側に隔壁ブロック110を、その外側、つまり、先行のシールドトンネルТ1の一部の側部に小さい切削ブロック210を、それぞれ、形成する。
そして、先行のシールドトンネルТ1の側方に向けて後行のシールドトンネル用のシールドM2を掘進させる。この施工では、シールドM2を、図12(1)に示すように、前部のカッターヘッドを先行のシールドトンネルТ1の側部に漸次近接させ、図12(2)、(3)に示すように、先行のシールドトンネルТ1の一部の側部、小さい切削ブロック210に対してシールドM2前部のカッターヘッドを必要とする接触度合で接触させて切削し、後行のシールドトンネルТ2をすり付ける。このようにすることで、先行のシールドトンネルТ1の一部に対して後行のシールドトンネルТ2が必要な接触幅だけ接触されてすり付けられ、先行のシールドトンネルТ1内の隔壁ブロック110により、先行、後行のシールドトンネルТ1、Т2が各々独立したシールドトンネルとして隣接して構築される。先行のシールドトンネルТ1は円形の断面形状ではなくなるものの、セグメント構造やその組み立て構造は通常のシールドトンネルと同等であり、永久構造物として成立する。
図13に本構造の大きい切削ブロック220を用いて先行のシールドトンネルТ1に後行のシールドトンネルТ2をすり付ける施工例を示している。この施工例では、先行のシールドトンネルТ1の一部の側部に後行のシールドトンネルТ2をオーバーラップさせてすり付け、各々を独立したシールドトンネルТ1、Т2として隣接して構築する。
この施工では、まず、先行のシールドトンネルТ1を通常のシールド工法で施工する。すなわち、図13(1)、(2)に示すように、シールドの掘進とともに、シールド前部のカッターヘッドにより地山にトンネル(掘削穴)を掘削し、このトンネル(掘削穴)の内壁にシールド後部のエレクターにより複数のセグメントSを、その一部に特殊構造のセグメント、この場合、別体型部材SS2を含めて、リング状に組み立てて、先行のシールドトンネルТ1(覆工構造)を構築する。この場合、シールド後部のエレクターにより、トンネル(掘削穴)の内壁に、複数のセグメントSを、その一部に切削セグメント221を含めて、リング状に組み立てる。この施工後に、切削セグメント221に対向して隔壁部12を組み立てる。そして、切削セグメント221と隔壁部との間に切削充填材222を充填し、切削部22を形成する。このようにして先行のシールドトンネルТ1の一部のトンネル内空間側に複数の隔壁部12からなる隔壁ブロック120を、その外側、つまり、先行のシールドトンネルТ1の一部の側部に複数の切削部22からなる大きい切削ブロック220を、それぞれ、形成する。図14に特に、隔壁部12の組み立て手順を示している。図14に示すように、隔壁部12はリング継手面に継手角度があるので、壁長さの短い先組みのものを先に組み立てた後に、壁長さの長い後組みのものを組み立てる。なお、この隔壁部12の組み立ては、隔壁部12の両端のセグメント継手面の向きによって、隔壁部12をトンネルの内空側からトンネルの地山に向けて組み立てる場合と、隔壁部12をトンネルの地山からトンネルの内空側に向けて組み立てる場合がある。つまり、各セグメント継手面間の長さがトンネルの地山側から内空側へ漸次拡大されて各セグメント継手面がハの字形をなす場合は、隔壁部12をトンネルの内空側からトンネルの地山側に向けて組み入れる。この場合は、施工性の点で、有利である。各セグメント継手面間の長さがトンネルの内壁側から漸次縮小されて各セグメント継手面が逆ハの字形をなす場合は、隔壁部をトンネルの地山側からトンネルの内空側に向けて組み入れる。この場合は、外荷重により各隔壁部のセグメント継手面に発生するせん断力に対して有利になる。
そして、先行のシールドトンネルТ1でのセグメントの組み立て後、先行のシールドトンネルТ1の側方に向けて後行のシールドトンネル用のシールドM2を掘進させる。図13(1)に示すように、シールドM2を、先行のシールドトンネルТ1の側部に漸次近接させていき、図13(2)、(3)に示すように、先行のシールドトンネルТ1の一部の側部、大きい切削ブロック220に対してシールドM2前部のカッターヘッドC2を必要とするオーバーラップ度合でオーバーラップさせて切削し、後行のシールドトンネルТ2をすり付ける。このようにすることで、先行のシールドトンネルТ1の一部に対して後行のシールドトンネルТ2が必要なだけオーバーラップしてすり付けられ、先行のシールドトンネルТ1内の隔壁ブロック120により、先行、後行のシールドトンネルТ1、Т2が各々独立したシールドトンネルとして隣接して構築される。先行のシールドトンネルТ1は円形の断面形状ではなくなるものの、セグメント構造や止水性能は通常のシールドトンネルと同等であり、永久構造物として成立する。
図15、図16に本構造の小さい切削ブロック210と大きい切削ブロック220との組み合わせを用いて鉄道シールドトンネルの2本の単線断面シールドトンネルТ1、Т2を1本の複線断面シールドトンネルТ3にすり付ける施工例を示している。この施工では、先行、後行の2本のシールドトンネルТ1、Т2のすり付けに要する区間を延伸して、すり付け区間に向けて2本のシールドトンネルТ1、Т2の漸近区間、接触・オーバーラップ区間を設け、2本のシールドトンネルТ1、Т2を漸近させ、漸次接触、漸次オーバーラップさせて、各々を独立したシールドトンネルТ1、Т2として隣接させながら、すり付ける。
この施工では、まず、図16(1)-(6)に示すように、先行のシールドトンネルТ1を漸近区間、接触・オーバーラップ区間に通し、1本の複線断面シールドトンネルТ3に向けて斜めに、通常のシールド工法により施工する。すなわち、図16(1)に示すように、シールドの掘進とともに、シールド前部のカッターヘッドにより地山にトンネル(掘削穴)を掘削し、このトンネル(掘削穴)の内壁にシールド後部のエレクターにより複数のセグメントSを、その一部に特殊構造のセグメントSS1、SS2を含めて、リング状に組み立てて、先行のシールドトンネルТ1を構築する。この場合、図16(2)-(5)に示すように、接触・オーバーラップ区間では、先行のシールドトンネルТ1に対する後行のシールドトンネルТ2の接触度合、オーバーラップ度合に応じて、特殊構造のセグメントに一体型部材SS1、別体型部材SS2を使い分け、先行のシールドトンネルТ1の側部一定の範囲の一部に小さい切削ブロック210を形成し、この切削ブロック210に連続して残部に大きい切削ブロック220を形成する。そして、後行のシールドトンネル用のシールドM2を掘進させる。シールドを、図16(1)に示すように、漸近区画で先行のシールドトンネルТ1の側方に向けて漸近させ、図16(2)、(3)に示すように、接触・オーバーラップ区間で、先行のシールドトンネルТ1の側部一定の範囲の一部の小さい切削ブロック210に対してシールドM2前部のカッターヘッドを漸次必要な接触度合で接触させて切削していき、後行のシールドトンネルТ2を漸次接触幅を広げながらすり付ける。続いて、図16(4)、(5)に示すように、先行のシールドトンネルТ2の側部一定の範囲の残部の大きい切削ブロック220に対してシールドM2前部のカッターヘッドを漸次必要なオーバーラップ度合でオーバーラップさせて切削していき、後行のシールドトンネルТ2を漸次オーバーラップ幅を広げながらすり付ける。このようにすることで、先行のシールドトンネルТ1の側部一定の範囲に後行のシールドトンネルТ2が接触幅、オーバーラップ幅を漸次大きくしながらすり寄せられる。そして、先行のシールドトンネルТ1内の隔壁ブロック110、120により、先行、後行のシールドトンネルТ1、Т2は各々独立したシールドトンネルとして隣接して構築される。先行のシールドトンネルТ1は円形の断面形状ではなくなるものの、セグメント構造やその組み立て構造は通常のシールドトンネルと同等であり、永久構造物として成立する。
なお、先行のシールドトンネルТ1の側部に形成される切削ブロック220は接触・オーバーラップ区間の終端に近づくと、後行のシールドトンネルТ2とのオーバーラップ度合を大きくする必要があり、切削ブロック220の円弧の高さを断面円弧状のセグメントSの厚さの5倍程度を超えてトンネル内空間に必要な空間を確保可能な範囲を超えて拡張する必要がある。この場合、図16(6)に示すように、隔壁部12に代えて、仮壁部13を大きい切削ブロック220のトンネル内空間での拡張位置に取り外し可能に配置して、この仮壁部13の外側に切削部22により大きい切削ブロック220を形成し、複数の仮壁部13により仮壁ブロック130を形成する。このようにすることで、先行のシールドトンネルТ1の側部一定の範囲の終端側で後行のシールドトンネルТ2がさらに必要なオーバーラップ幅ですり寄せられる。そして、シールドM2がこの切削ブロック220を切削通過後、先行、後行の各シールドトンネルТ1、Т2間に中壁14又は柱などが設けられて、複数の仮壁部13からなる仮壁ブロック130、大きい切削ブロック220の切削充填材222が撤去され、先行、後行のシールドトンネルТ1、Т2が各々独立したシールドトンネルとして隣接して構築される。前述したとおり、寸法に関する記載(上記5倍程度)は説明の便宜上のものであり、適宜変更し得る。
この施工により、図15に示すように、すり付け区間において開削工法による施工範囲を大幅に縮小することができる。
以上説明したように、本構造によれば、シールドトンネル内に複数のセグメントSをリング状に組み立ててなるセグメントリングRの一部のセグメントSに代えて、一部のセグメントSの両側の各セグメントS間に断面直線状に延びる隔壁部11、12と隔壁部11、12の外側に形成されて外面が両側の各セグメントSの円弧に連続する断面円弧状をなす切削部21、22とからなる特殊構造のセグメントSS1、SS2を備える。そして、複数のセグメントSとともに、特殊構造のセグメントSS1、SS2をトンネル軸方向に並列に組み立てて、シールドトンネル内に複数の隔壁部11、12により複数のセグメントSとともにトンネル内空間を保持する隔壁ブロック110、120を形成し、その外側に複数列の切削部21、22により切削ブロック210、220を形成するので、通常のシールド工法と概ね同様の施工により簡易且つ効率的に、トンネル内空間に隔壁ブロック110、120を形成し、その外側に切削ブロック210、220を形成することができる。そして、特殊構造のセグメントSS1、SS2が隔壁部11、12の長さ及び切削部21、22の円弧の長さの異なる小さい一体型部材SS1と大きい別体型部材SS2とを有し、隔壁ブロック110、120の外側に切削ブロック210、220を、複数の一体型部材SS1の切削部21からなる小さい切削ブロック210、又は複数の別体型部材SS2の切削部22からなる大きい切削ブロック220、又は小さい切削ブロック210と大きい切削ブロック220との組み合わせにより構成するので、複数の並設するシールドトンネルを一部で又は一部から任意の接触度合いで接触させて又は任意のオーバーラップ度合いでオーバーラップさせて隣接させることができる。この場合、各シールドトンネルの隣接により一方のセグメントリングRの一部が切削されるものの、当該一部を隔壁ブロック110、120により支持して、トンネル内空間を保持するので、各々を独立したシールドトンネルとして構築することができる。
本構造を、鉄道シールドトンネルの2本の単線断面シールドトンネルを1本の複線断面シールドトンネルにすり付ける施工に適用することで、すり付け区間において開削工法による施工範囲を大幅に縮小することができ、これにより、現場周辺住民の生活環境や地上交通への影響を最小限にすることができ、工期の短縮を図ることもできる。
また、本発明は各部がさらに次のように具体化され、次のような顕著な効果を有する。
一体型部材SS1は、全体がシールドに搭載されるエレクターにより組み立て可能な大きさで、切削部21全体が切削部材により一体成形され、切削部21と隔壁部11が一体に接合されてなり、セグメントSと同様に、シールドのエレクターにより、セグメントリングRの一部に組み立てられる。これにより、通常のシールド工法と概ね同様の施工により、トンネル内空間に隔壁ブロック110を、その外側に切削ブロック210を、それぞれ、簡易且つ効率的に形成することができる。
一体型部材SS1は、隔壁部11が鋼殻111とコンクリート114とを一体化した合成セグメントからなり、切削部21がコンクリートを母材とする切削部材からなり、切削部21は隔壁部11にスタッドジベル31を介して一体に接合される。これにより、通常のシールド工法と概ね同様の施工により、トンネル内空間に隔壁ブロック110を、その外側に切削ブロック210を、それぞれ、簡易且つ効率的に形成することができる。なお、隔壁部11を合成セグメントに代えて鋼製セグメントとしても、上記と同様の作用効果を奏することができる。
また、この場合、スタッドジベル31はシールドで切削可能な材質からなり、隔壁部11に固着されたナット30に締結されて、隔壁部11に突設される。これにより、鋼殻111に貫通孔がなく、水みちが生じないので、鋼殻111とコンクリート114とを一体化させるに当たり、一体型部材SS1に漏水や浸水が発生することがない。
別体型部材SS2は、切削部22がシールドに搭載されるエレクターにより組み立て可能な大きさで断面円弧状の切削セグメント221とこの切削セグメント221と隔壁部12との間に充填される切削充填材222とにより構成され、隔壁部12及び切削充填材222は後付けで、切削セグメント221が、セグメントSと同様に、シールドのエレクターにより、セグメントリングRの一部に組み立てられる。これにより、通常のシールド工法と概ね同様の施工により、セグメントリングRの一部に別体型部材SS2の一部(切削ブロック221)を簡易且つ効率的に組み込むことができる。この場合、隔壁部12及び切削充填材222は後付けになるが、この施工は、シールドの掘進後に行えるので、シールドの各部の可動領域や後続台車の通行、その他の配管設備や換気設備などの各種設備を侵すこともなく、通常のシールド工法による施工の妨げになることがない。
この場合、別体型部材SS2は、隔壁部12が鋼殻121とコンクリート124とを一体化した合成セグメントからなり、切削セグメント221がコンクリートを母材とするセグメントからなり、切削充填材222は流動化処理土、エアモルタルを含む。これにより、トンネル内空間に隔壁ブロック120を、その外側に切削ブロック220を、それぞれ、簡易且つ効率的に形成することができる。なお、隔壁部12を合成セグメントに代えて鋼製セグメントとしても、上記と同様の作用効果を奏することができる。
別体型部材SS2の隔壁部12が別体型部材SS2の両側のセグメントSに隔壁部12と同じ断面形状で鉛直方向シールドトンネルの内方に向けて突設される取付部4間に取り付けられる。これにより、別体型部材SS2の隔壁部12を別体型部材SS2の両側のセグメントS間に円滑かつ確実に取り付けることができる。
この場合、別体型部材SS2の隔壁部12と各取付部4とのセグメント継手面P6に継手角度が設けられる。これにより、別体型部材SS2の隔壁部12を別体型部材SS2の両側のセグメントSの各取付部4間に円滑かつ確実に取り付けることができる。
別体型部材SS2は、相互に隣り合うセグメントリングR間で、隔壁部12と各取付部4とのセグメント継手面P6が千鳥配置されるように、相互に隣り合うセグメントリングR間で、隔壁部12の長さ、各取付部4の長さが異なる。これにより、別体型部材SS2の隔壁部12を別体型部材SS2の両側のセグメント12の各取付部4間に円滑かつ確実に取り付けることができる。
別体型部材SS2の隔壁部12は複数の分割部材12Pからなり、各分割部材12Pのセグメント継手面P4に継手角度が設けられる。これにより、別体型部材SS2の隔壁部12を別体型部材SS2の両側のセグメントS間に円滑かつ確実に取り付けることができる。
別体型部材SS2は、相互に隣り合うセグメントリングR間で、隔壁部12の各分割部材12P間のセグメント継手面P4が千鳥配置されるように、相互に隣り合うセグメントリングR間で、各分割部材12Pの長さが異なる。これにより、別体型部材SS2の隔壁部12を別体型部材SS2の両側のセグメントS間に円滑かつ確実に取り付けることができる。
別体型部材SS2は、切削部22の円弧の高さをトンネル内空間に必要な空間を確保可能な範囲を超えて拡張する場合、隔壁部12に代えて、仮壁部13が取り外し可能に配置されて、仮壁部13の外側に切削部22が形成され、複数の仮壁構成セグメント13により仮壁ブロック13が形成される。これにより、切削ブロック220の円弧の高さをトンネル内空間に必要な空間を確保可能な範囲を超えて各シールドトンネル間のオーバーラップ度合を拡張する場合に、対応することができる。
なお、本構造は、各シールドトンネルを独立したシールドトンネルとして構築するもので、各シールドトンネルを一体化し大空間を構築するものではない。
Т シールドトンネル
R セグメントリング
S 断面円弧状のセグメント
SS1 特殊構造のセグメント(一体型部材)
11 隔壁部
110 隔壁ブロック
111 鋼殻
112 隔壁構成部
113 接続部
114 コンクリート
21 切削部
210 切削ブロック
SS2 特殊構造のセグメント(別体型部材)
12 隔壁部
12P 分割部材
120 隔壁ブロック
121 鋼殻
122 鋼殻
124 コンクリート
125 コンクリート
22 切削部
220 切削ブロック
221 切削セグメント
222 切削充填材
13 仮壁部
130 仮壁ブロック
14 中壁
30 ナット
31 スタッドジベル
32 ひび割れ防止筋
4 取付部
P1 セグメント継手面
P2 リング継手面
P3 リング継手面
P4 セグメント継手面
P5 セグメント継手面
P6 セグメント継手面
P7 セグメント継手面
M2 シールド掘進器

Claims (11)

  1. シールドトンネル内に複数の断面円弧状のセグメントがリング状に組み立てられてなるセグメントリングの一部のセグメントに代えて、前記一部のセグメントの両側の各セグメント間に断面直線状に延びる隔壁部と前記隔壁部の外側に形成されて外面が前記両側の各セグメントの円弧に連続する断面円弧状をなす切削部とからなる特殊構造のセグメントを備え、前記複数のセグメントとともに、前記特殊構造のセグメントがトンネル軸方向に並列に組み立てられて、前記シールドトンネル内に前記複数の隔壁部により前記複数のセグメントとともにトンネル内空間を保持する隔壁ブロックを形成され、その外側に複数の切削部により切削ブロックが形成されるシールドトンネルの覆工構造において、
    前記特殊構造のセグメントは、前記セグメントとともに前記セグメントリングを組み立て可能に前記セグメントリングの円弧と当該円弧に近接する弦との間に形成され、前記隔壁部の長さ及び前記切削部の円弧の長さの異なる隔壁部、切削部が一体の小さい一体型部材と隔壁部、切削部が別体の大きい別体型部材とを有し、
    前記切削ブロックは、複数の前記一体型部材の切削部からなる小さい切削ブロック、又は複数の前記別体型部材の切削部からなる大きい切削ブロック、又は前記小さい切削ブロックと前記大きい切削ブロックとの組み合わせにより構成される、
    ことを特徴とするシールドトンネルの覆工構造。
  2. 一体型部材は、シールド掘進機に搭載されるエレクターにより組み立て可能な大きさで、切削部全体が切削部材により一体成形され、前記シールド掘進機の前記エレクターにより、セグメントリングの一部として組み立てられる請求項1に記載のシールドトンネルの覆工構造。
  3. 一体型部材は、隔壁部が鋼製セグメント又は鋼殻とコンクリートとを一体化した合成セグメントからなり、切削部がコンクリートを母材とする切削部材からなり、前記切削部は前記隔壁部にスタッドジベルを介して一体に接合される請求項1又は2に記載のシールドトンネルの覆工構造。
  4. スタッドジベルはシールド掘進機で切削可能な材質からなり、隔壁部に固着されたナットに締結されて、前記隔壁部に突設される請求項3に記載のシールドトンネルの覆工構造。
  5. 別体型部材は、切削部がシールド掘進機に搭載されるエレクターにより組み立て可能な大きさで断面円弧状の切削セグメントと前記切削セグメントと隔壁部との間に充填される切削充填材とにより構成され、前記隔壁部及び前記切削充填材は後付けで、前記切削セグメントが、前記シールド掘進機の前記エレクターにより、セグメントリングの一部に組み立てられる請求項1乃至4のいずれかに記載のシールドトンネルの覆工構造。
  6. 別体型部材は、隔壁部が鋼製セグメント又は鋼殻とコンクリートとを一体化した合成セグメントからなり、切削セグメントがコンクリートを母材とするセグメントからなり、切削充填材は流動化処理土、エアモルタルを含む請求項5に記載のシールドトンネルの覆工構造。
  7. 別体型部材の隔壁部が前記別体型部材の両側のセグメントに前記隔壁部と同じ断面形状で鉛直方向シールドトンネルの内方に向けて突設される取付部間に取り付けられる請求項1乃至6のいずれかに記載のシールドトンネルの覆工構造。
  8. 別体型部材の隔壁部と各取付部とのセグメント継手面に継手角度が設けられる請求項7に記載のシールドトンネルの覆工構造。
  9. 別体型部材は、相互に隣り合うセグメントリング間で、隔壁部と各取付部とのセグメント継手面が千鳥配置されるように、前記相互に隣り合うセグメントリング間で、前記隔壁部の長さ、前記各取付部の長さが異なる請求項7又は8に記載のシールドトンネルの覆工構造。
  10. 別体型部材の隔壁部は複数の分割部材からなり、前記各分割部材のセグメント継手面に継手角度が設けられる請求項1乃至9のいずれかに記載のシールドトンネルの覆工構造。
  11. 別体型部材は、相互に隣り合うセグメントリング間で、隔壁部の各分割部材間のセグメント継手面が千鳥配置されるように、前記相互に隣り合うセグメントリング間で、前記各分割部材の長さが異なる請求項10に記載のシールドトンネルの覆工構造。
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