JP2022074444A - モータ制御装置、制御システム、モータ制御方法 - Google Patents

モータ制御装置、制御システム、モータ制御方法 Download PDF

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Noriyuki Aramaki
大助 仙波
Daisuke Senba
怜 市原
Rei Ichihara
正弘 笛木
Masahiro Fueki
貴彦 大兼
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Abstract

【課題】要求トルクに対するトルク低下を抑制しつつ、バッテリ電流のピークを低減する。【解決手段】モータは、突極を有するステータコアと、ステータコアの突極に取り付けられた複数相のコイルと、突極を有するロータと、ロータの角度を検出する角度検出センサと、電源と複数相のコイルとに電気的に接続され、複数相のコイルを流れる相電流の大きさを相ごとに独立して制御可能となる態様で複数のスイッチング素子を備える駆動回路と、複数相のコイルを流れる電流の大きさを相ごとに検出する電流検出センサと、を備えており、当該モータ制御装置は、電源電流の大きさが所定基準値を超えた場合に、2つの相のそれぞれの通電区間が重複する一の重複通電区間において、2つの相のうちの少なくとも一方の相に係る相電流の大きさを、指令値に基づく相電流の大きさよりも小さくする補正処理を実行する。【選択図】図1

Description

本発明は、モータ制御装置、制御システムおよびモータ制御方法に関する。
ロータに永久磁石を使用しないスイッチト・リラクタンス・モータ(Switched Reluctance Motor)が知られている(例えば、特許文献1参照)。このモータでは、ステータに設けられたコイルに通電することにより磁界を発生させ、この磁界による吸引力を利用して回転力を得ている。永久磁石を使用しないシンプルな構成とすることができるため、堅牢で高温や高速回転に対するロバスト性が高いモータを得ることができる。
特開2012-125096号公報
スイッチト・リラクタンス・モータで発生させるトルクを高めるために広角通電を行う場合、各相の通電区間が重複する区間(以下、「重複通電区間」とも称する)において、電源(車載バッテリ)からの持ち出し電流(以下、「バッテリ電流」とも称する)が一時的に大きくなるピークが発生する。このようなバッテリ電流のピークを抑制するため、バッテリ電流が比較的高い場合に相電流の指令値を低下させると、要求トルクに対するトルク低下が顕著になるおそれがある。
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、要求トルクに対するトルク低下を抑制しつつ、バッテリ電流のピークを低減することを目的とする。
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、モータを制御するモータ制御装置であって、
前記モータは、突極を有するステータコアと、前記ステータコアの突極に取り付けられた複数相のコイルと、突極を有し、前記複数相のコイルにより発生する磁界により回転されるロータと、前記ロータの角度を検出する角度検出センサと、電源と前記複数相のコイルとに電気的に接続され、前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさを相ごとに独立して制御可能となる態様で複数のスイッチング素子を備える駆動回路と、前記複数相のコイルを流れる電流の大きさを相ごとに検出する電流検出センサと、を備えており、
当該モータ制御装置は、前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさに係る指令値を相ごとに生成する指令値生成部と、前記指令値生成部により生成された前記指令値に基づいて、前記複数相のコイルのうちの2つの相の通電区間が重複するように通電条件を設定する通電条件設定部と、前記電源から前記駆動回路に向けて流れる電源電流の大きさを表す情報を取得する電源電流情報取得部と、前記電源電流情報取得部により取得された前記情報に基づく前記電源電流の大きさが所定基準値を超えた場合に、前記通電条件設定部により設定された2つの相のそれぞれの通電区間が重複する一の重複通電区間において、前記2つの相のうちの少なくとも一方の相に係る相電流の大きさを、前記指令値生成部により生成された該一方の相に係る前記指令値に基づく相電流の大きさよりも小さくする補正処理を実行する補正部と、を備えたモータ制御装置が提供される。
この発明によれば、要求トルクに対するトルク低下を抑制しつつ、バッテリ電流のピークを低減することが可能となる。
制御システムおよびモータ制御装置の構成を示す図。 モータの一部の断面を示す概略的な断面図。 ロータ12の角度位置(電気角)と、力行領域および回生領域との関係を示す図。 電流制御部の、より詳細な機能のブロック図。 補正対象相マップの説明図。 角度位置が異なるロータとステータコアとの周方向の位置関係を示す図。 角度位置が異なるロータとステータコアとの周方向の位置関係を示す図。 電流制御部の機能を説明する波形図。 比較例による波形図。 他の実現による電流制御部の機能を説明する波形図。 他の実現による電流制御部の機能のブロック図。 比較例により実現される各種波形の説明図。 電流制御部により実現される処理のフローチャート。 図8の処理の説明図。 他の実施例による電流制御部の機能のブロック図。 図8に対する代替例として電流制御部により実現される処理のフローチャート。 比較例による処理に係る各種波形を示す図。 図10Bの処理に係る各種波形を示す図。 他の実施例による電流制御部の機能のブロック図。
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は、制御システムMおよびモータ制御装置1の構成を示す図である。図2は、モータ10の一部の断面を示す概略的な断面図である。
図1に示すように、制御システムMは、モータ10と、モータ10を駆動する駆動回路20と、を備える。
モータ10は、図2に示すように、スイッチト・リラクタンス・モータの形態である。モータ10は、突極11Aを有するステータコア11と、突極12Aを有するロータ12と、ステータコア11の突極11Aに巻装された各相(u相、v相およびw相)のコイル13u、13v、13wと、を備える。なお、モータ10の極数は任意である。
互いに直列に接続された各コイル13u、13v、13wに電流を流すと、各コイル13u、13v、13wが巻装された突極11Aには、ロータ12の中心軸に対して回転対象の磁場が形成される。
ロータ12の回転角は、モータ10に設けられた回転センサ15(角度検出センサの一例)によって検出される。回転センサ15は、例えばレゾルバやロータリエンコーダ等であってよい。
駆動回路20は、各相(u相、v相およびw相)の駆動回路20u、20v、20wを備える。駆動回路20uはコイル13uを、駆動回路20vはコイル13vを、駆動回路20wはコイル13wを、それぞれ独立駆動する。
駆動回路20uは、直列接続又は並列接続されたコイル13uの一端に接続された高電位側スイッチング素子23uおよび低電位側スイッチング素子22uと、直列接続又は並列接続されたコイル13uの他端に接続された高電位側スイッチング素子21uおよび低電位側スイッチング素子24uと、を備える。
本実施例では、各スイッチング素子21u~24uとしてn型FET(Field effect transistor)を用いた例を示しているが、任意の素子を用いることができる。駆動回路20v、20wを構成するスイッチング素子も同様である。
駆動回路20vは、直列接続又は並列接続されたコイル13vの一端に接続された高電位側スイッチング素子23vおよび低電位側スイッチング素子22vと、直列接続又は並列接続されたコイル13vの他端に接続された高電位側スイッチング素子21vおよび低電位側スイッチング素子24vと、を備える。
駆動回路20wは、直列接続又は並列接続されたコイル13wの一端に接続された高電位側スイッチング素子23wおよび低電位側スイッチング素子22wと、直列接続又は並列接続されたコイル13wの他端に接続された高電位側スイッチング素子21wおよび低電位側スイッチング素子24wと、を備える。
図1に示すように、高電位側スイッチング素子21u、21v、21wおよび高電位側スイッチング素子23u、23v、23wのドレインは、電源25の正極に、低電位側スイッチング素子22u、22v、22wおよび低電位側スイッチング素子24u、24v、24wのソースは、電源25の負極に、それぞれ接続される。
また、電源25にはコンデンサ26が並列に接続されている。電源25は、車載バッテリであり、例えば鉛バッテリやリチウムイオンバッテリ等であってよい。また、電源25は、複数種類のバッテリの組み合わせにより実現されてもよい。
電源25から駆動回路20に供給された電流(以下、「バッテリ電流」と称する)の値は、バッテリ電流センサ27Aにより検出される。バッテリ電流センサ27Aは、モータ制御装置1に電気的に接続される。
電源25の両端電圧(以下、「バッテリ電圧」と称する)の値は、バッテリ電圧センサ27Bにより検出される。バッテリ電圧センサ27Bは、モータ制御装置1に電気的に接続される。
各相のコイル13u、13v、13wに流れる電流の大きさは、相電流センサ28(電流検出センサの一例)により検出される。相電流センサ28は、モータ制御装置1に電気的に接続される。
モータ制御装置1には、上位ECU(Electronic Control Unit)(図示せず)から各種の指令値が与えられる。なお、モータ制御装置1は、上位ECUの機能の一部または全部を実現してもよい。
図1には、モータ制御装置1の機能がブロック図の形式で概略的に示される。
モータ制御装置1は、バッテリ電圧検出部101と、バッテリ電流検出部102(電源電流情報取得部の一例)と、相電流検出部103と、位置検出部104と、回転速度算出部105と、回転方向指令生成部110、相電流指令値生成部112(目標値算出部の一例)と、駆動モード生成部114と、通電条件設定部120と、通電タイミング出力部130と、電流制御部140と、ゲート駆動部150と、を備える。
バッテリ電圧検出部101は、バッテリ電圧センサ27Bからのセンサ情報に基づいて、バッテリ電圧の大きさを表すバッテリ電圧情報を生成する。
バッテリ電流検出部102は、バッテリ電流センサ27Aからのセンサ情報に基づいて、バッテリ電流の大きさを表すバッテリ電流情報を生成する。
相電流検出部103は、相電流センサ28からのセンサ情報に基づいて、各相に係る相電流の大きさを表す相電流情報を生成する。具体的には、相電流検出部103は、U相に係るU相電流情報と、V相に係るV相電流情報と、W相に係るW相電流情報とを生成する。
位置検出部104は、回転センサ15からのセンサ情報に基づいて、ロータ12の角度位置を表す角度位置情報を生成する。
回転速度算出部105は、位置検出部104からの角度位置情報に基づいて、ロータ12の回転速度を表す回転速度情報を生成する。
回転方向指令生成部110は、上位ECUからの制御モード指令(図1の入力IN2)に基づいて、ロータ12の回転方向(正転方向または逆転方向)を指示する。
相電流指令値生成部112は、上位ECUからのトルク指令(図1の入力IN1)に基づいて、トルク指令に係る要求トルクがモータ10により発生されるように相電流指令値を相ごとに生成する。
駆動モード生成部114は、上位ECUからの制御モード指令(図1の入力IN2)に基づいて、駆動モードを指示する。なお、駆動モードの種類は、任意であり、例えば力行駆動モードや回生駆動モード等を含んでよい。
通電条件設定部120は、回転速度算出部105からの回転速度情報と、相電流指令値生成部112からの相電流指令値と、駆動モード生成部114から指示された駆動モードとに基づいて、通電条件を相ごとに設定する。通電条件は、相電流および進角に関する条件を含んでよい。図1では、通電条件設定部120は、進角マップ121、通電角マップ122、相電流目標値マップ123、および相電流傾斜角マップ124を有し、これらのマップを参照することで、通電条件を設定する。例えば、通電条件設定部120は、相電流指令値生成部112からの相電流指令値に基づいて、相電流目標値マップ123を参照して相電流目標値(相電流の大きさに係る制御目標値の一例)を相ごとに算出する。また、通電条件設定部120は、回転速度算出部105からの回転速度情報と相電流指令値生成部112からの相電流指令値とに基づいて、進角マップ121を参照して進角を相ごとに設定する。なお、他の実施例では、相電流指令値生成部112からの相電流指令値は、相電流目標値としてそのまま利用されてもよい。この場合、相電流指令値生成部112からの相電流指令値は、相電流目標値として電流制御部140に与えられる。
図2Aは、ロータ12の角度位置(電気角)θと、力行領域および回生領域との関係を示す図である。図2Aのグラフの縦軸に示すコイル13uのインダクタンスは、ロータ12の突極12Aとステータコア11との磁気的な結合の度合いに対応する。コイル13uのインダクタンスが最も高くなるθ=θ0の状態は、ロータ12の突極12Aと、コイル13uが巻装されたステータコア11の突極11Aとが正対する状態(図5Bの状態)に相当する。
図2Aに示すように、ロータ12の回転に従ってコイル13uのインダクタンスが増加する領域に力行領域が、ロータ12の回転に従ってコイル13uのインダクタンスが減少する領域に回生領域が、それぞれ位置付けられる。力行領域および回生領域はロータ12の回転角について、所定角度(120°から180°の間であり、例えば、約160°)ずつ確保され、基本的には力行領域においてコイル13uに通電することによりロータ12に正のトルクが与えられ、回生領域においてコイル13uに通電することによりロータ12に負のトルクが与えられる。
コイル13uへの通電区間は、要求されるモータの特性等に応じて設定でき、例えば、力行動作に対して図2Aに示す通電区間100を、回生動作に対して図2Aに示す通電区間200を、それぞれ設定することができる。この場合、通電区間100は、力行領域の開始角(基準角)に先行する角度幅に相当する進角Δθ1と、通電区間100の長さに相当する通電角θ1とにより規定される。同様に、通電区間200は、回生領域の開始角(基準角)に先行する角度幅に相当する進角Δθ2と、通電区間200の長さに相当する通電角θ2とにより規定される。
このように、コイル13uへ通電する通電区間100および通電区間200は、基準角、進角Δθ1、通電角θ1、進角Δθ2および通電角θ2により規定され、相電流指令値やロータ12の回転速度(角速度)などに応じて変化する。これは、コイル13v、13wについても同様である。
通電区間100の通電開始に対応する電気角は、
電気角=基準角-進角Δθ1 ・・・(1式)
で表すことができる。基準値は各相の通電区間100に割り当てられた固有値である。また、通電区間100の通電終了に対応する電気角は、
電気角=基準角-進角Δθ1+通電角θ1 ・・・(2式)
で表すことができる。
同様に、通電区間200の通電開始に対応する電気角は、
電気角=基準角-進角Δθ2 ・・・(3式)
で表すことができる。基準値は各相の通電区間200に割り当てられた固有値である。また、通電区間100の通電終了に対応する電気角は、
電気角=基準角-進角Δθ2+通電角θ2 ・・・(4式)
で表すことができる。
なお、通電角θ1、θ2が大きくなると、通電区間が大きくなる。このような比較的大きい通電区間で通電を行う態様を、“広角通電”と称する。
通電タイミング出力部130は、位置検出部104からの角度位置情報と、回転方向指令生成部110から指示された回転方向と、通電条件設定部120から設定された進角とに基づいて、通電タイミングを相ごとに決定する。通電タイミング出力部130は、決定した通電タイミングを表す情報を電流制御部140に与える。
電流制御部140は、PWM(Pulse Width Modulation)制御により駆動回路20を介してモータ10の通電を制御する。電流制御部140は、バッテリ電流検出部102からのバッテリ電流情報と、回転方向指令生成部110から指示された回転方向と、駆動モード生成部114から指示された駆動モードと、通電条件設定部120により設定された相電流目標値と、相電流検出部103からの相電流情報と、通電タイミング出力部130からの通電タイミングの情報とに基づいて、通電の際のデューティーを決定し、決定したデューティー(図1では、「Duty」と表記)をゲート駆動部150に与える。
ゲート駆動部150は、電流制御部140により与えられたデューティーで駆動回路20が駆動されるように、駆動回路20の各スイッチング素子21uから24wのゲートにゲート信号を与える。
次に、前述した制御システムMおよびモータ制御装置1における電流制御部140について複数の実施例に分けて説明する。
[第1実施例による電流制御部]
図3は、第1実施例による電流制御部140の機能のブロック図である。図3には、ゲート駆動部150が電流制御部140とともに示されている。
電流制御部140は、図3に示すように、バッテリ電流差分算出部141(差分算出部の一例)と、指令値補正対象相選択部142(補正対象相選択部の一例)と、U相電流指令値補正部143u、V相電流指令値補正部143v、およびW相電流指令値補正部143w(補正部の一例)と、U相電流差分算出部144u、V相電流差分算出部144v、およびW相電流差分算出部144wと、U相PWM出力部145u、V相PWM出力部145v、およびW相PWM出力部145wとを含む。
バッテリ電流差分算出部141は、バッテリ電流基準値(図3の入力IN303)と、バッテリ電流情報(図3の入力IN304)とに基づいて、バッテリ電流基準値とバッテリ電流の大きさの差分(以下、「バッテリ電流差分」と称する)を算出する。例えば、バッテリ電流差分=バッテリ電流基準値-バッテリ電流の大きさであり、バッテリ電流の大きさがバッテリ電流基準値を超えると、0未満となる。
バッテリ電流差分算出部141は、算出したバッテリ電流差分が0以下であるか否かを判定し、バッテリ電流差分が0以下であると判定した場合に、相電流の補正指令を指令値補正対象相選択部142に与える。
指令値補正対象相選択部142は、相電流の補正指令をバッテリ電流差分算出部141から与えられると、3相(U相、V相、W相の3相)のうちの、どの相に係る相電流目標値(通電条件設定部120により設定された相電流目標値)を補正するかを選択する。指令値補正対象相選択部142により選択された相に係る相電流目標値は、U相電流差分算出部144u、V相電流差分算出部144v、およびW相電流差分算出部144wによって、通電条件設定部120により設定された相電流目標値(図3の入力IN305)よりも小さくなる方向に補正される。以下では、指令値補正対象相選択部142により選択される相を、「補正対象相」と称する。
指令値補正対象相選択部142は、駆動モード生成部114により指示された駆動モード(図3の入力IN300)と、回転方向指令生成部110により指示された回転方向(図3の入力IN301)と、位置検出部104からの角度位置情報(図3の入力IN302)とに基づいて、補正対象相を決定する。
図4は、補正対象相の決定方法の説明図であり、補正対象相マップの説明図である。図5Aおよび図5Bは、角度位置が異なるロータ12とステータコア11との周方向の位置関係を示す図であり、図2と同様、モータ10の一部の断面を示す概略的な断面図である。なお、図5Aおよび図5Bには、ロータ12の回転方向が矢印R1で模式的に表されている。
具体的には、図5Aおよび図5Bは、一例として、図5Aでは、U相に係るコイル13uが巻装される突極11Aと、ロータ12の突極12Aとが、径方向で対向し合わない位相(ロータ12の角度位置)であり、図5Bでは、U相に係るコイル13uが巻装される突極11Aと、ロータ12の突極12Aとが、径方向で対向する位相(ロータ12の角度位置)である。
U相に係るコイル13uが巻装される突極11Aと、ロータ12の突極12Aとが径方向で対向し合わない位相のとき、通電相の突極11Aが突極12Aに対向しないがゆえに、径方向の力(吸引力)F1が比較的小さくなる。
これに対して、U相に係るコイル13uが巻装される突極11Aと、ロータ12の突極12Aとが径方向で対向する位相(突極11Aと突極12Aとが互いに周方向全体にわたって径方向で対向する位相)のとき、通電相の突極11Aが突極12Aに対向するがゆえに、径方向の力(吸引力)F2が比較的大きくなる。
モータ10において径方向の力に起因して生じる異音(作動音を含む)は、径方向の力が大きいほど大きくなりやすい。
そこで、本実施例では、指令値補正対象相選択部142は、その角度位置で径方向の力が大きい方の相を、補正対象相として選択する。すなわち、指令値補正対象相選択部142は、その角度位置で、ロータ12の突極12Aに対して径方向に対向する周方向範囲が最も広いステータコア11の突極11Aに基づいて、当該突極11Aに巻装されるコイル13u、13vまたは13wの相を、補正対象相として選択する。
なお、モータ10は、U相に係るコイル13uが巻装される突極11Aと、ロータ12の突極12Aとが径方向で対向する位相のとき、V相およびW相に係るコイル13v、13wが巻装される突極11Aと、ロータ12の突極12Aとが径方向で対向しない。同様に、V相に係るコイル13vが巻装される突極11Aと、ロータ12の突極12Aとが径方向で対向する位相のとき、U相およびW相に係るコイル13u、13wが巻装される突極11Aと、ロータ12の突極12Aとが径方向で対向しない。W相に係るコイル13wが巻装される突極11Aと、ロータ12の突極12Aとが径方向で対向する位相のとき、V相およびU相に係るコイル13v、13uが巻装される突極11Aと、ロータ12の突極12Aとが径方向で対向しない。
ところで、バッテリ電流差分が0以下となる状態は、2つの相に係るコイルに同時に通電が実行されている区間、すなわち2つの相のそれぞれの通電区間の重複区間(以下、「重複通電区間」と称する)で生じうる。なお、バッテリ電流差分が0以下となるような重複通電区間は、広角通電を行う場合に発生しやすい。
従って、本実施例では、指令値補正対象相選択部142は、このような重複通電区間における補正対象相を選択することになる。例えば、U相とV相との間の重複通電区間について、図5Aに示すような角度位置の場合、指令値補正対象相選択部142は、V相を補正対象相として選択する。他方、U相とV相との間の重複通電区間について、図5Bに示すような角度位置の場合、指令値補正対象相選択部142は、U相を補正対象相として選択する。
このようにして、本実施例では、一の重複通電区間において、ステータコア11とロータ12とは、2つの相のうちの一方の相の方が他方の相よりも同一の相電流あたりの径方向の吸引力が大きくなる角度関係を有し、当該一方の相が、補正対象相として選択される。そして、当該一方の相(補正対象相)は、ロータ12の回転中、ロータ12の角度位置に応じて3相の中で切り替わっていく。従って、指令値補正対象相選択部142は、角度位置情報等に基づいて適切な相(その角度位置で径方向の力が大きい方の相)を補正対象相として選択することで、ロータ12の回転中における径方向の力に起因して生じる異音を低減できる。
本実施例では、指令値補正対象相選択部142は、図4に示すような関係を示す補正対象相マップを参照して、回転方向、駆動モード、および角度位置に応じて、補正対象相を選択する。例えば、図4に示すように、回転方向が時計回りの正転方向(「CW」と表記)であり、駆動モードが“力行”である場合、角度位置が電気角で0度から120度の範囲内であるとき、V相が補正対象相として選択される。また、回転方向が時計回りの正転方向(「CW」と表記)であり、駆動モードが“回生”である場合、角度位置が電気角で0度から120度の範囲内であるとき、W相が補正対象相として選択される。また、回転方向が時計回りの逆転方向(「CCW」と表記)であり、駆動モードが“力行”である場合、角度位置が電気角で0度から120度の範囲内であるとき、W相が補正対象相として選択される。また、回転方向が時計回りの逆転方向(「CCW」と表記)であり、駆動モードが“回生”である場合、角度位置が電気角で0度から120度の範囲内であるとき、V相が補正対象相として選択される。
このような図4に示す関係を示す補正対象相マップを用いることで、回転方向ごとに、かつ、駆動モードごとに、角度位置に応じた適切な相(その角度位置で径方向の力が大きい方の相)を補正対象相として選択することで、径方向の力に起因して生じる異音を低減できる。
なお、以下では、図4に示した各種の角度範囲のうちの、角度位置が当該角度範囲内であるときにU相が補正対象相として選択される角度範囲を、U相補正区間とも称する。同様に、図4に示した各種の角度範囲のうちの、角度位置が当該角度範囲内であるときにV相が補正対象相として選択される角度範囲を、V相補正区間とも称する。また、図4に示した各種の角度範囲のうちの、角度位置が当該角度範囲内であるときにW相が補正対象相として選択される角度範囲を、W相補正区間とも称する。
U相電流指令値補正部143uは、指令値補正対象相選択部142によりU相が補正対象相として選択された場合に動作する。U相電流指令値補正部143uは、U相が補正対象相として選択された場合に、そうでない場合に比べて、U相に係る相電流目標値を低減する。この場合、U相に係る相電流目標値の低減量は、常に固定値であってもよいが、好ましくは、バッテリ電流差分算出部141により算出されるバッテリ電流差分に応じて決定されてもよい。具体的には、U相に係る相電流目標値の低減量は、バッテリ電流差分の絶対値(すなわちバッテリ電流基準値を超える超過分)が大きいほど大きくなるように設定されてもよい。例えば、補正による低減量は、バッテリ電流差分の絶対値に補正係数kを乗じた値であってよい。なお、バッテリ電流差分に応じて低減量が算出される場合は、U相電流指令値補正部143uには、バッテリ電流差分算出部141により算出されるバッテリ電流差分が与えられる。
V相電流指令値補正部143vは、指令値補正対象相選択部142によりV相が補正対象相として選択された場合に動作する。V相電流指令値補正部143vは、V相が補正対象相として選択された場合に、そうでない場合に比べて、V相に係る相電流目標値を低減する。この場合、U相に係る相電流目標値の低減量と同様、V相に係る相電流目標値の低減量は、常に固定値であってもよいが、好ましくは、バッテリ電流差分算出部141により算出されるバッテリ電流差分に応じて決定されてもよい。
W相電流指令値補正部143wは、指令値補正対象相選択部142によりW相が補正対象相として選択された場合に動作する。W相電流指令値補正部143wは、W相が補正対象相として選択された場合に、そうでない場合に比べて、W相に係る相電流目標値を低減する。この場合、U相に係る相電流目標値の低減量と同様、W相に係る相電流目標値の低減量は、常に固定値であってもよいが、好ましくは、バッテリ電流差分算出部141により算出されるバッテリ電流差分に応じて決定されてもよい。
U相電流差分算出部144uは、U相電流指令値補正部143uを介して与えられたU相に係る相電流目標値と、相電流検出部103から与えられた相電流情報に基づくU相の相電流値(図3の入力IN306「U相電流値」参照)との差分を算出する。なお、この際、U相電流指令値補正部143uを介して与えられたU相に係る相電流目標値は、前述したようにU相が補正対象相として選択されている状態では、補正された後の値である。そして、U相電流差分算出部144uは、算出した差分に基づいて、U相に係る電圧指令値(図3では、「U相電圧指令値」と表記)を生成する。
V相電流差分算出部144vは、V相電流指令値補正部143vを介して与えられたV相に係る相電流目標値と、相電流検出部103から与えられた相電流情報に基づくV相の相電流値(図3の入力IN307「V相電流値」参照)との差分を算出する。なお、この際、V相電流指令値補正部143vを介して与えられたV相に係る相電流目標値は、前述したようにV相が補正対象相として選択されている状態では、補正された後の値である。そして、V相電流差分算出部144vは、算出した差分に基づいて、V相に係る電圧指令値(図3では、「V相電圧指令値」と表記)を生成する。
W相電流差分算出部144wは、W相電流指令値補正部143wを介して与えられたW相に係る相電流目標値と、相電流検出部103から与えられた相電流情報に基づくW相の相電流値(図3の入力IN308「W相電流値」参照)との差分を算出する。なお、この際、W相電流指令値補正部143wを介して与えられたW相に係る相電流目標値は、前述したようにW相が補正対象相として選択されている状態では、補正された後の値である。そして、W相電流差分算出部144wは、算出した差分に基づいて、W相に係る電圧指令値(図3では、「W相電圧指令値」と表記)を生成する。
U相PWM出力部145uは、U相電流差分算出部144uから与えられたU相に係る電圧指令値に基づいて、当該電圧指令値に係る電圧が実現されるようにU相のデューティーを算出する。そして、U相PWM出力部145uは、算出したU相のデューティーを表す情報(図3では、「U相Duty」と表記)をゲート駆動部150に与える。
V相PWM出力部145vは、V相電流差分算出部144vから与えられたV相に係る電圧指令値に基づいて、当該電圧指令値に係る電圧が実現されるようにV相のデューティーを算出する。そして、V相PWM出力部145vは、算出したV相のデューティーを表す情報(図3では、「V相Duty」と表記)をゲート駆動部150に与える。
W相PWM出力部145wは、W相電流差分算出部144wから与えられたW相に係る電圧指令値に基づいて、当該電圧指令値に係る電圧が実現されるようにW相のデューティーを算出する。そして、W相PWM出力部145wは、算出したW相のデューティーを表す情報(図3では、「W相Duty」と表記)をゲート駆動部150に与える。
図6A以降を参照して、電流制御部140の動作例を更に説明する。
図6Aは、電流制御部140の機能を説明する波形図であり、上から順に、角度位置(横軸)に応じたバッテリ電流(縦軸)の波形と、角度位置(横軸)に応じた相電流(縦軸)の波形と、角度位置(横軸)に応じたV相電圧(縦軸)の波形とが示されている。なお、バッテリ電流波形は、補正しない場合の波形600が点線で示され、補正した場合の波形601が実線で示されている。また、相電流波形は、U相に係る相電流波形603u、V相に係る相電流波形603v、およびW相に係る相電流波形603wが示されている。図6Bは、比較例による波形図であり、U相電流指令値補正部143u、V相電流指令値補正部143v、およびW相電流指令値補正部143wによる前述した補正が実行されない場合を示す。
ここでは、図6Aに示すような、V相とU相の重複通電区間A1において、V相が補正対象相として選択された場合について、図6Bに示す比較例との対比で説明する。
この場合、バッテリ電流の大きさがバッテリ電流基準値Ithを超えると(補正指令発生区間A2の開始時の角度位置参照)、図6Aにおいて一番下のV相電圧波形604に示すように、デューティー(V相電圧が横軸上の0よりも大きくなる時間の長さ)が低下される。このようなデューティーの補正(低下)は、バッテリ電流の大きさがバッテリ電流基準値Ithよりも有意に低下する(補正指令発生区間A2の終了時の角度位置参照)まで継続される。すなわち、重複通電区間A1において補正指令発生区間A2が形成される。この結果、図6Aにおいて真ん中のV相に係る相電流波形603vに示すように、重複通電区間A1における補正指令発生区間A2において、V相に係る相電流目標値が低下(補正)され、バッテリ電流の大きさがバッテリ電流基準値Ithを有意に超えること(図6B参照)を防止できる。
なお、図6Aに示す例では、補正指令発生区間A2においては、補正により低下されたデューティーでV相のスイッチング素子21v~24vが駆動される。例えば、スイッチング素子21v~24vのうちの、スイッチング素子23vとスイッチング素子24vがオンする通電状態(励磁区間)と、スイッチング素子23vに代えてスイッチング素子22vがオンする非通電状態(還流区間)とが交互に繰り返される。なお、かかる還流区間は、スイッチング素子21v~24vのうちの、スイッチング素子24vだけがオンすることで実現されてもよい。
しかしながら、図6Cに示す例のように、補正指令発生区間A2においては、スイッチング素子22vと、スイッチング素子24vがオンする通電状態(還流区間)が維持されてもよい。このような構成は、例えば図6Dに示す電流制御部140Cにより実現できる。この場合、電流制御部140Cは、図6Dに示すように、図3に示した指令値補正対象相選択部142、U相電流指令値補正部143u、V相電流指令値補正部143v、およびW相電流指令値補正部143wに代えて、補正対象相選択部142C及び還流制御部147が設けられる。この場合、補正対象相選択部142Cは、図3に示した指令値補正対象相選択部142と同様の態様で補正対象相を選択し、還流制御部147は、バッテリ電流差分算出部141から補正指令が生成されると、指令値補正対象相選択部142により選択された補正対象相において、前述した還流区間を実現する。すなわち、例えばV相が補正対象相である場合は、スイッチング素子21v~24vのうちの、スイッチング素子22vとスイッチング素子24vがオンする通電状態(還流区間)が形成される。
図7を参照して、本実施例の効果を説明する。
図7は、比較例により実現される各種波形の説明図であり、図7には、角度位置(横軸)に応じたバッテリ電流(縦軸)の波形G600、G602と、角度位置(横軸)に応じた相電流(縦軸)の波形G601、G603とが示されている。
上位ECUからのトルク指令(図1の入力IN1)に係る要求トルクが比較的高い場合、それに応じて比較的高い相電流指令値および相電流目標値が設定されると、バッテリ電流の大きさがバッテリ電流基準値Ithを超える場合がある。具体的には、波形G601のような相電流が生成されることで、波形G600のようにバッテリ電流の大きさがバッテリ電流基準値Ithを超える場合がある。
この点、上位ECUからのトルク指令(図1の入力IN1)に係る要求トルクが比較的高い場合でも、波形G603のように相電流を、波形G600のような相電流よりも低減量ΔI2だけ低くなるように補正すれば、波形G602のように、バッテリ電流の大きさを低減して(図7の低減量ΔI1参照)バッテリ電流基準値Ith以下とすることができる。
しかしながら、この場合、上位ECUからのトルク指令(図1の入力IN1)に係る要求トルクに対して有意に低いトルクしか発生できない。換言すると、要求トルクの上限値は、図7の波形G603の相電流で得られるようなトルクに制限される。
これに対して、本実施例によれば、要求トルクが比較的高い場合においても、図6Aを参照して前述したように、相電流目標値は、重複通電区間においてのみ(図6Aでは、重複通電区間A1における補正指令発生区間A2のみ)補正されるので、全区間にわたって補正される場合(図7のG603参照)に比べて、補正に起因したトルク低下を低減できる。
また、本実施例によれば、前述したように、重複通電区間において角度位置に応じた適切な相(その角度位置で径方向の力が大きい方の相)に係る相電流目標値が補正されるので、径方向の力に起因して生じる異音を低減できる。すなわち、異音が生じ難い態様でバッテリ電流のピークを抑制することができる。
図8以降を参照して、電流制御部140の更なる詳細を、フローチャートを用いて説明する。
図8は、電流制御部140により実現される処理のフローチャートである。図9は、図8の処理の説明図であり、横軸に角度位置を取り、縦軸に相電流を取り、角度位置(横軸)に応じた相電流(縦軸)の波形903u、903v、903wが相ごとに示されている。
図8に示すように、電流制御部140は、各種情報(角度位置情報等)や相電流目標値を取得し(ステップS800)、バッテリ電流差分を算出する(ステップS802)。次いで、電流制御部140は、補正係数kを算出する(ステップS804)。例えば、電流制御部140は、バッテリ電流差分の絶対値が大きい場合に当該絶対値が0になるような補正係数kを算出する。この場合、バッテリ電流差分が0より大きい場合に補正係数k=0と設定する。次いで、電流制御部140は、角度位置がU相補正区間である場合(ステップS806で“YES”)、U相に係る相電流目標値を補正係数kに基づいて補正する(ステップS808)。この場合、図9に波形903uにおいて波形部分Q1で示すように、U相に係る相電流目標値が補正前の値(図7の波形G601参照)よりも低くなるように低減される。他方、電流制御部140は、角度位置がV相補正区間である場合(ステップS810で“YES”)、V相に係る相電流目標値を補正係数kに基づいて補正する。この場合、図9に波形903vにおいて波形部分Q2で示すように、V相に係る相電流目標値が補正前の値(図7の波形G601参照)よりも低くなるように低減される。あるいは、電流制御部140は、角度位置がW相補正区間である場合(ステップS810で“NO”)、W相に係る相電流目標値を補正係数kに基づいて補正する。この場合、図9に波形903wにおいて波形部分Q3で示すように、W相に係る相電流目標値が補正前の値(図7の波形G601参照)よりも低くなるように低減される。電流制御部140は、このようにして通電条件設定部120からの相電流目標値(図3の入力IN305参照)を補正すると、補正後の相電流目標値に基づいて、各相の電圧指令値を算出する(ステップS816)。そして、電流制御部140は、各相の電圧指令値に基づいて各相のデューティーを算出する(ステップS818)。
なお、変形例では、電流制御部140は、バッテリ電流差分が0以下であるか否かを判定し、バッテリ電流差分が0以下でない場合は、補正せずに、ステップS816に進むこととしてもよい。他方、バッテリ電流差分が0以下である場合、補正係数kを算出してよい。例えば、電流制御部140は、バッテリ電流差分の絶対値が大きいほど補正量(相電流目標値の低減量)が大きくなる補正係数kを算出してもよい。
[第2実施例による電流制御部]
図10Aは、第2実施例による電流制御部140Aの機能のブロック図である。図10Aにおいては、図3に示した構成と同じである構成については同一の参照符号が付され、説明が省略される。
電流制御部140Aは、図10Aに示すように、目標値変動抑制部146u、146v、146w(増加抑制部の一例)を追加的に備える。
目標値変動抑制部146uは、U相電流指令値補正部143uにより与えられた相電流目標値に生じる変動(処理周期ごとの変動)を抑制する機能を有する。具体的には、目標値変動抑制部146uは、U相に係る通電区間内では、U相電流指令値補正部143uにより与えられたU相に係る電流目標値が一旦減少した場合に、U相に係る電流目標値が上昇しないように、上昇方向の変動を抑制する。上昇方向の変動を抑制する方法は、例えば前回値よりも今回値が大きい場合、前回値を維持する方法である。
目標値変動抑制部146v、146wについても、相が異なるだけであり、目標値変動抑制部146uと同様の処理を実行する。
図10Bは、電流制御部140Aにより実現される処理のフローチャートである。
図10Bの処理は、前述した図8に示す処理に対して、ステップS816の前に、ステップS900からステップS914までの処理(Q2部)が追加された点が異なる。以下では、主に、追加されたQ部の処理について説明する。なお、Q部の処理は、主に目標値変動抑制部146u、146v、146wにより実行される。
電流制御部140Aは、まず3相のうちの任意の一の相(例えばU相)を選択し(ステップS900)、角度位置が、選択した相の通電区間内であるか否かを判定し(ステップS902)、角度位置が、選択した相の補正区間内である場合(ステップS902で“YES”)、ステップS904に進み、角度位置が、選択した相の補正区間内でない場合(ステップS902で“NO”)、ステップS903に進む。この場合、今回の処理周期で、選択した相の補正区間が終了したか否かを判定し(ステップS903)、今回の処理周期で、選択した相の補正区間が終了した場合(ステップS903の“YES”)、選択した相に係る相電流目標値Icmdを初期値に設定する(ステップS910)。なお、初期値は例えば0である。他方、すでに前回以前の処理周期で補正区間が終了している場合は、そのままステップS912に進む。この場合、ステップS800で得た相電流目標値がそのまま(補正されることなく)利用されることになる。
電流制御部140Aは、選択した相に係る相電流目標値Icmdに関して、前回値Icmd(n-1)と、今回値Icmd(n)とを比較し(ステップS904)、今回値Icmd(n)が前回値Icmd(n-1)より小さい場合(ステップS904で“YES”)、今回値Icmd(n)=今回値Icmd(n)とする(ステップS906)。なお、今回値Icmd(n)とは、今回の処理周期におけるステップS808、ステップS812またはステップS814で補正された相電流目標値、若しくは、補正されない相電流目標値(通電条件設定部120からの相電流目標値)である。
電流制御部140Aは、選択した相に係る相電流目標値Icmdに関して、今回値Icmd(n)が前回値Icmd(n-1)以上である場合(ステップS904で“NO”)、今回値Icmd(n)=前回値Icmd(n-1)とする(ステップS908)。すなわち、今回値Icmd(n)は破棄され、前回値Icmd(n-1)が保持される。
電流制御部140Aは、3相のすべての相を選択したか否かを判定し(ステップS912)、選択していない場合(ステップS912で“NO”)は、新たな他の一の相を選択して(ステップS914)、ステップS902からの処理を繰り返す。
電流制御部140Aは、3相のすべての相を選択した場合(ステップS912で“YES”)は、各相に関してステップS906、ステップS908またはステップS910で算出した相電流目標値を、最終的な相電流目標値として設定する。この場合、電流制御部140Aは、設定した相電流目標値に基づいて、各相の電圧指令値を算出する(ステップS816)。
ここで、図11および図12を参照して、電流制御部140Aによる図10Bの処理の効果について説明する。
図11は、比較例による処理に係る各種波形を示し、図12は、図10Bの処理に係る各種波形を示す。図11および図12では、それぞれ、上から順に、角度位置(横軸)に応じたバッテリ電流(縦軸)の波形と、角度位置(横軸)に応じた相電流目標値(縦軸)の波形と、角度位置(横軸)に応じた相電流(縦軸)の波形とが示されている。なお、図11および図12は、3相のうちの、任意の一の相に係る波形を表す。
図11に係る比較例による処理は、図10BにおけるQ2部の処理が実行されない処理(図8)に対応する。
図11では、角度位置α1でバッテリ電流がバッテリ電流基準値Ithを超えることで相電流目標値の補正が実行される。その後、角度位置α2でバッテリ電流がバッテリ電流基準値Ithを有意に下回ることで、相電流目標値の補正が実行されなくなる。これに伴い、通電条件設定部120からの比較的高い相電流目標値(相電流目標値の前回値Icmd(n-1)よりも高い相電流目標値)が今回値Icmd(n)としてそのまま利用されることに起因して、相電流目標値が増加し(図11のQ3部参照)、その結果、角度位置α2以降の角度位置で相電流が一時的に上昇する(図11のQ4部参照)。このような上昇は、径方向の力(図5B参照)の増加に伴う異音の発生を起こすおそれがある。
なお、このような相電流目標値の補正後の再増加は、モータ10の回転数が比較的低い場合に生じやすい。これは、モータ10の回転数が比較的低い場合、通電区間の開始時からの角度位置の変化に対する相電流の立ち上がりが早くなり、その分だけ、重複通電区間における相電流目標値の補正の開始タイミングの角度位置α1が進み側になりやすいためである。なお、重複通電区間における相電流目標値の補正の開始タイミングでの角度位置が進み側になると、その分だけ補正の終了タイミングでの角度位置α2が進み側になり、当該角度位置α2での相電流目標値の今回値Icmd(n)が比較的高い状態のままである可能性が高くなる。
これに対して、図10Bの処理によれば、このような比較例による処理で生じうる問題点(径方向の力(図5B参照)の増加に伴う異音の発生の可能性)を低減できる。具体的には、図12に示すように、角度位置α1でバッテリ電流がバッテリ電流基準値Ithを超えることで相電流目標値の補正が実行される。その後、角度位置α2でバッテリ電流がバッテリ電流基準値Ithを有意に下回ることで、相電流目標値の補正が実行されなくなる。しかしながら、図10Bに示す処理では、前述した比較例による処理とは異なり、通電条件設定部120からの比較的高い相電流目標値(相電流目標値の前回値Icmd(n-1)よりも高い相電流目標値)が今回値Icmd(n)としてそのまま利用されることはない。すなわち、今回値Icmd(n)が前回値Icmd(n-1)以上である場合は、前回値Icmd(n-1)が保持される(ステップS908)(図12のQ5部参照)。これにより、角度位置α2以降の角度位置で相電流が一時的に上昇する(図11のQ4部参照)ことはなく(図12のQ6部参照)、径方向の力(図5B参照)の増加に伴う異音の発生を防止できる。
[第3実施例による電流制御部]
図13は、第3実施例による電流制御部140Bは、図3を参照して前述した電流制御部140とは異なり、U相電流指令値補正部143u、V相電流指令値補正部143v、およびW相電流指令値補正部143wの代わりとして、U相電圧指令値補正部149u、V相電圧指令値補正部149v、およびW相電圧指令値補正部149w(補正部の一例)が設けられる。
U相電圧指令値補正部149uは、U相電流差分算出部144uとU相PWM出力部145uとの間に設けられる。U相電圧指令値補正部149uは、U相電流差分算出部144u(目標値算出部の一例)により与えられたU相に係る電圧指令値(相電流の大きさに係る制御目標値の一例)を補正する。この場合も、U相電流指令値補正部143uによるU相に係る相電流目標値の補正方法と同様に、U相電圧指令値補正部149uは、U相が補正対象相として選択された場合に、そうでない場合に比べて、U相に係る電圧指令値を低減する。この場合、U相に係る電圧指令値の低減量は、常に固定値であってもよいが、好ましくは、バッテリ電流差分算出部141により算出されるバッテリ電流差分に応じて決定されてもよい。具体的には、U相に係る電圧指令値の低減量は、バッテリ電流差分の絶対値(すなわちバッテリ電流基準値Ithを超える超過分)が大きいほど大きくなるように設定されてもよい。例えば、補正による低減量は、バッテリ電流差分の絶対値に補正係数kを乗じた値であってよい。なお、バッテリ電流差分に応じて低減量が算出される場合は、U相電圧指令値補正部149uには、バッテリ電流差分算出部141により算出されるバッテリ電流差分が与えられる。
V相電圧指令値補正部149vおよびW相電圧指令値補正部149wについても、相が異なるだけであり、前述したU相電圧指令値補正部149uと同様の処理を実行する。
このような実施例によっても、前述した第1実施例による電流制御部140による効果と同様の効果が得られる。
このように、相電流を低減するための補正が実行される箇所は、相電流指令値生成部112からゲート駆動部150までのどの箇所であってもよい。例えば、U相PWM出力部145u、V相PWM出力部145v、およびW相PWM出力部145wからゲート駆動部150に与えられるべきデューティー(相電流の大きさに係る制御目標値の一例)を補正することで、同様の効果が実現されてもよい。
以上、この発明の各実施例について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
例えば、前述した各実施例では、重複通電区間において指令値補正対象相選択部142により選択された補正対象相に係る補正(すなわち、相電流目標値や電圧指令値の低減、または、還流区間の強制的な設定)のみが実行されるが、選択されない方の相についても同様の補正が実行されてもよい。この場合、選択されない方の相に対する補正量(例えば補正係数k)は、指令値補正対象相選択部142により選択された相に対する補正量よりも小さくてもよい。
なお、以上の本発明の実施例に関し、さらに以下の付記を開示する。
[付記1]
モータ(10)を制御するモータ制御装置(1)であって、
前記モータは、
突極(11A)を有するステータコア(11)と、
前記ステータコアの突極に取り付けられた複数相のコイル(13u、13v、13w)と、
突極(12A)を有し、前記複数相のコイルにより発生する磁界により回転されるロータ(12)と、
前記ロータの角度を検出する角度検出センサ(例えば回転センサ15)と、
電源と前記複数相のコイルとに電気的に接続され、前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさを相ごとに独立して制御可能となる態様で複数のスイッチング素子(21u~24u、21v~24v、21w~24w)を備える駆動回路(20)と、
前記複数相のコイルを流れる電流の大きさを相ごとに検出する電流検出センサ(例えば相電流センサ28)と、を備えており、
当該モータ制御装置は、
前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさに係る指令値を相ごとに生成する指令値生成部(例えば相電流指令値生成部112)と、
前記複数相のコイルのうちの2つの相の通電区間が重複するように通電条件を設定する通電条件設定部(120)と、
前記電源から前記駆動回路に向けて流れる電源電流の大きさを表す情報を取得する電源電流情報取得部(例えばバッテリ電流検出部102)と、
前記電源電流情報取得部により取得された前記情報に基づく前記電源電流の大きさが所定基準値(例えば、バッテリ電流基準値Ith)を超えた場合に、前記通電条件設定部により設定された2つの相のそれぞれの通電区間が重複する一の重複通電区間において、前記2つの相のうちの少なくとも一方の相に係る相電流の大きさを、前記指令値生成部により生成された該一方の相に係る前記指令値に基づく相電流の大きさよりも小さくする補正処理を実行する補正部(例えばU相電流指令値補正部143u、V相電流指令値補正部143v、およびW相電流指令値補正部143w)と、を備えたモータ制御装置。
付記1の構成によれば、電源電流の大きさが比較的大きくなった場合に、一の重複通電区間において補正処理が実行されるので、全区間にわたり補正処理が実行される構成に比べて、トルク低下を抑制できる。このようにして、要求トルクに対するトルク低下を抑制しつつ、バッテリ電流のピークを低減できるモータ制御装置を得ることができる。
[付記2]
付記1に記載のモータ制御装置において、
前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさに係る制御目標値を相ごとに算出する目標値算出部(例えば相電流指令値生成部112、通電条件設定部120、U相電流差分算出部144u、V相電流差分算出部144v、W相電流差分算出部144w、U相PWM出力部145u、V相PWM出力部145v、およびW相PWM出力部145w)を更に備え、
前記補正処理は、前記指令値生成部により生成された前記一方の相に係る前記指令値、または、前記目標値算出部により算出された前記一方の相に係る前記制御目標値を補正する処理を含む、モータ制御装置。
付記2の構成によれば、指令値や制御目標値を利用して補正を実現できる。
[付記3]
付記1または付記2に記載のモータ制御装置において、
前記角度検出センサからの検出結果に基づいて、前記一方の相を補正対象相として選択する補正対象相選択部(例えば指令値補正対象相選択部142)を更に備え、
前記補正処理は、前記2つの相のうちの前記一方の相に対する相電流の低減量を、他方の相に対する相電流の低減量よりも大きくする。
付記3の構成によれば、相ごとに相電流の低減量を異ならせることで、ロータとステータコアの突極間に生じる径方向の力に起因した異音を低減できる。
[付記4]
付記1または付記2に記載のモータ制御装置において、
前記角度検出センサからの検出結果に基づいて、前記一方の相を補正対象相として選択する補正対象相選択部(例えば指令値補正対象相選択部142)を更に備え、
前記2つの相のうちの前記一方の相に対してのみ実行される、モータ制御装置。
付記4の構成によれば、一方の相に係る相電流だけを補正するだけでよいので、処理負荷を低減できる。また、電源電流を低減するための一方の相に係る相電流の低減量を、電源電流を同様に低減するために2つの相の双方に係る相電流を補正する場合に比べて、大きくすることができる。
[付記5]
前記一の重複通電区間において前記補正処理が実行される際、前記2つの相のうちの前記一方の相のコイルが巻装される前記ステータコアの突極は、他方の相のコイルが巻装される前記ステータコアの突極よりも、前記ロータの突極に対して径方向に対向する周方向範囲が広い、付記3または付記4に記載のモータ制御装置。
付記5の構成によれば、ロータとステータコアの突極間に生じる径方向の力が大きくなる方の相が補正対象相として選択されるので、径方向の力に起因した異音を効果的に低減できる。
[付記6]
前記補正対象相選択部は、前記ロータの角度位置と、前記ロータの回転方向と、前記ロータの駆動モードとを含む3つのパラメータと、前記補正対象相との関係を表すマップデータを参照して、前記一方の相を選択する、付記5に記載のモータ制御装置。
付記6の構成によれば、マップデータを参照して補正対象相を適切に選択できる。
[付記7]
付記1から付記6のいずれか1項に記載のモータ制御装置において、
前記電源電流情報取得部により取得された前記情報に基づく前記電源電流の大きさと前記所定基準値との差分を算出する差分算出部(例えばバッテリ電流差分算出部141)を更に備え、
前記補正部は、前記差分算出部により算出される前記差分の大きさに応じて前記補正処理における相電流の低減量を変化させる、モータ制御装置。
付記7の構成によれば、差分の大きさに応じた適切な低減量で補正を行うことができる。
[付記8]
付記1から付記7のいずれか1項に記載のモータ制御装置において、
前記一の重複通電区間において、前記補正部が前記補正処理を実行した後は、前記電源電流情報取得部により取得された前記情報に基づく前記電源電流の大きさが前記所定基準値を下回った場合でも、前記一方の相に係る相電流が再び増加することを抑制する増加抑制部(例えば目標値変動抑制部146u、146v、146w)を更に備える、モータ制御装置。
付記8の構成によれば、補正処理後の相電流の上昇に起因した異音を低減できる。
[付記9]
モータ(10)と、
前記モータを制御するモータ制御装置(1)と、
を備えるモータ制御システムであって、
前記モータは、
突極(11A)を有するステータコア(11)と、
前記ステータコアの突極に取り付けられた複数相のコイル(13u、13v、13w)と、
突極(12A)を有し、前記複数相のコイルにより発生する磁界により回転されるロータ(12)と、
前記ロータの角度を検出する角度検出センサ(例えば回転センサ15)と、
電源と前記複数相のコイルとに電気的に接続され、前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさを相ごとに独立して制御可能となる態様で複数のスイッチング素子(21u~24u、21v~24v、21w~24w)を備える駆動回路(20)と、
前記複数相のコイルを流れる電流の大きさを相ごとに検出する電流検出センサ(例えば相電流センサ28)と、を備えており、
当該モータ制御装置は、
前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさに係る指令値を相ごとに生成する指令値生成部(例えば相電流指令値生成部112)と、
前記複数相のコイルのうちの2つの相の通電区間が重複するように通電条件を設定する通電条件設定部(120)と、
前記電源から前記駆動回路に向けて流れる電源電流の大きさを表す情報を取得する電源電流情報取得部(例えばバッテリ電流検出部102)と、
前記電源電流情報取得部により取得された前記情報に基づく前記電源電流の大きさが所定基準値(例えば、バッテリ電流基準値Ith)を超えた場合に、前記通電条件設定部により設定された2つの相のそれぞれの通電区間が重複する一の重複通電区間において、前記2つの相のうちの少なくとも一方の相に係る相電流の大きさを、前記指令値生成部により生成された該一方の相に係る前記指令値に基づく相電流の大きさよりも小さくする補正処理を実行する補正部(例えばU相電流指令値補正部143u、V相電流指令値補正部143v、およびW相電流指令値補正部143w)と、を備えている、制御システム。
付記9の構成によれば、電源電流の大きさが比較的大きくなった場合に、一の重複通電区間において補正処理が実行されるので、全区間にわたり補正処理が実行される構成に比べて、トルク低下を抑制できる。このようにして、要求トルクに対するトルク低下を抑制しつつ、バッテリ電流のピークを低減できる制御システムを得ることができる。
[付記10]
モータ(10)を制御するモータ制御方法であって、
前記モータは、
突極(11A)を有するステータコア(11)と、
前記ステータコアの突極に取り付けられた複数相のコイル(13u、13v、13w)と、
突極(12A)を有し、前記複数相のコイルにより発生する磁界により回転されるロータ(12)と、
前記ロータの角度を検出する角度検出センサ(例えば回転センサ15)と、
電源と前記複数相のコイルとに電気的に接続され、前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさを相ごとに独立して制御可能となる態様で複数のスイッチング素子(21u~24u、21v~24v、21w~24w)を備える駆動回路(20)と、
前記複数相のコイルを流れる電流の大きさを相ごとに検出する電流検出センサ(例えば相電流センサ28)と、を備え、
当該モータ制御方法は、
前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさに係る指令値を相ごとに生成する指令値生成ステップと、
前記複数相のコイルのうちの2つの相の通電区間が重複するように通電条件を設定するステップと、
前記電源から前記駆動回路に向けて流れる電源電流の大きさを表す情報を取得するステップと、
前記取得ステップにより取得された前記情報に基づく前記電源電流の大きさが所定基準値を超えた場合に、前記通電条件設定ステップにより設定された2つの相のそれぞれの通電区間が重複する一の重複通電区間において、前記2つの相のうちの少なくとも一方の相に係る相電流の大きさを、前記指令値生成ステップにより生成された該一方の相に係る前記指令値に基づく相電流の大きさよりも小さくするステップとを含む、モータ制御方法。
付記10の構成によれば、電源電流の大きさが比較的大きくなった場合に、一の重複通電区間において補正処理が実行されるので、全区間にわたり補正処理が実行される構成に比べて、トルク低下を抑制できる。このようにして、要求トルクに対するトルク低下を抑制しつつ、バッテリ電流のピークを低減できる制御方法を得ることができる。
M 制御システム
1 モータ制御装置
10 モータ
11 ステータコア
11A 突極
12 ロータ
12A 突極
13u、13v、13w コイル
15 回転センサ
20 駆動回路
20u、20v、20w 駆動回路
21u~24u スイッチング素子
21v~24v スイッチング素子
21w~24w スイッチング素子
25 電源
26 コンデンサ
27A バッテリ電流センサ
27B バッテリ電圧センサ
28 相電流センサ
101 バッテリ電圧検出部
102 バッテリ電流検出部
103 相電流検出部
104 位置検出部
105 回転速度算出部
110 回転方向指令生成部
112 相電流指令値生成部
114 駆動モード生成部
120 通電条件設定部
121 進角マップ
122 通電角マップ
123 相電流目標値マップ
124 相電流傾斜角マップ
130 通電タイミング出力部
140、140A、140B、140C 電流制御部
141 バッテリ電流差分算出部
142 指令値補正対象相選択部
142C 補正対象相選択部
143u U相電流指令値補正部
143v V相電流指令値補正部
143w W相電流指令値補正部
144u U相電流差分算出部
144v V相電流差分算出部
144w W相電流差分算出部
145u U相PWM出力部
145v V相PWM出力部
145w W相PWM出力部
146u、146v、146w 目標値変動抑制部
149u U相電圧指令値補正部
149v V相電圧指令値補正部
149w W相電圧指令値補正部
150 ゲート駆動部

Claims (10)

  1. モータを制御するモータ制御装置であって、
    前記モータは、
    突極を有するステータコアと、
    前記ステータコアの突極に取り付けられた複数相のコイルと、
    突極を有し、前記複数相のコイルにより発生する磁界により回転されるロータと、
    前記ロータの角度を検出する角度検出センサと、
    電源と前記複数相のコイルとに電気的に接続され、前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさを相ごとに独立して制御可能となる態様で複数のスイッチング素子を備える駆動回路と、
    前記複数相のコイルを流れる電流の大きさを相ごとに検出する電流検出センサと、を備えており、
    当該モータ制御装置は、
    前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさに係る指令値を相ごとに生成する指令値生成部と、
    前記指令値生成部により生成された前記指令値に基づいて、前記複数相のコイルのうちの2つの相の通電区間が重複するように通電条件を設定する通電条件設定部と、
    前記電源から前記駆動回路に向けて流れる電源電流の大きさを表す情報を取得する電源電流情報取得部と、
    前記電源電流情報取得部により取得された前記情報に基づく前記電源電流の大きさが所定基準値を超えた場合に、前記通電条件設定部により設定された2つの相のそれぞれの通電区間が重複する一の重複通電区間において、前記2つの相のうちの少なくとも一方の相に係る相電流の大きさを、前記指令値生成部により生成された該一方の相に係る前記指令値に基づく相電流の大きさよりも小さくする補正処理を実行する補正部と、を備えたモータ制御装置。
  2. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記指令値生成部により生成された前記指令値に基づいて、前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさに係る制御目標値を相ごとに算出する目標値算出部を更に備え、
    前記補正処理は、前記指令値生成部により生成された前記一方の相に係る前記指令値、または、前記目標値算出部により算出された前記一方の相に係る前記制御目標値を補正する処理を含む、モータ制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のモータ制御装置において、
    前記角度検出センサからの検出結果に基づいて、前記一方の相を補正対象相として選択する補正対象相選択部を更に備え、
    前記補正処理は、前記2つの相のうちの前記一方の相に対する相電流の低減量を、他方の相に対する相電流の低減量よりも大きくする、モータ制御装置。
  4. 請求項1または請求項2に記載のモータ制御装置において、
    前記角度検出センサからの検出結果に基づいて、前記一方の相を補正対象相として選択する補正対象相選択部を更に備え、
    前記補正処理は、前記2つの相のうちの前記一方の相に対してのみ実行される、モータ制御装置。
  5. 前記一の重複通電区間において前記補正処理が実行される際、前記2つの相のうちの前記一方の相のコイルが巻装される前記ステータコアの突極は、他方の相のコイルが巻装される前記ステータコアの突極よりも、前記ロータの突極に対して径方向に対向する周方向範囲が広い、請求項3または請求項4に記載のモータ制御装置。
  6. 前記補正対象相選択部は、前記ロータの角度位置と、前記ロータの回転方向と、前記ロータの駆動モードとを含む3つのパラメータと、前記補正対象相との関係を表すマップデータを参照して、前記一方の相を選択する、請求項5に記載のモータ制御装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のモータ制御装置において、
    前記電源電流情報取得部により取得された前記情報に基づく前記電源電流の大きさと前記所定基準値との差分を算出する差分算出部を更に備え、
    前記補正部は、前記差分算出部により算出される前記差分の大きさに応じて前記補正処理における相電流の低減量を変化させる、モータ制御装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のモータ制御装置において、
    前記一の重複通電区間において、前記補正部が前記補正処理を実行した後は、前記電源電流情報取得部により取得された前記情報に基づく前記電源電流の大きさが前記所定基準値を下回った場合でも、前記一方の相に係る相電流が再び増加することを抑制する増加抑制部を更に備える、モータ制御装置。
  9. モータと、
    前記モータを制御するモータ制御装置と、
    を備えるモータ制御システムであって、
    前記モータは、
    突極を有するステータコアと、
    前記ステータコアの突極に取り付けられた複数相のコイルと、
    突極を有し、前記複数相のコイルにより発生する磁界により回転されるロータと、
    前記ロータの角度を検出する角度検出センサと、
    電源と前記複数相のコイルとに電気的に接続され、前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさを相ごとに独立して制御可能となる態様で複数のスイッチング素子を備える駆動回路と、
    前記複数相のコイルを流れる電流の大きさを相ごとに検出する電流検出センサと、を備えており、
    前記モータ制御装置は、
    前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさに係る指令値を相ごとに生成する指令値生成部と、
    前記指令値生成部により生成された前記指令値に基づいて、前記複数相のコイルのうちの2つの相の通電区間が重複するように通電条件を設定する通電条件設定部と、
    前記電源から前記駆動回路に向けて流れる電源電流の大きさを表す情報を取得する電源電流情報取得部と、
    前記電源電流情報取得部により取得された前記情報に基づく前記電源電流の大きさが所定基準値を超えた場合に、前記通電条件設定部により設定された2つの相のそれぞれの通電区間が重複する一の重複通電区間において、前記2つの相のうちの少なくとも一方の相に係る相電流の大きさを、前記指令値生成部により生成された該一方の相に係る前記指令値に基づく相電流の大きさよりも小さくする補正処理を実行する補正部と、を備えている、制御システム。
  10. モータを制御するモータ制御方法であって、
    前記モータは、
    突極を有するステータコアと、
    前記ステータコアの突極に取り付けられた複数相のコイルと、
    突極を有し、前記複数相のコイルにより発生する磁界により回転されるロータと、
    前記ロータの角度を検出する角度検出センサと、
    電源と前記複数相のコイルとに電気的に接続され、前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさを相ごとに独立して制御可能となる態様で複数のスイッチング素子を備える駆動回路と、
    前記複数相のコイルを流れる電流の大きさを相ごとに検出する電流検出センサと、を備え、
    当該モータ制御方法は、
    前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさに係る指令値を相ごとに生成する指令値生成ステップと、
    前記複数相のコイルのうちの2つの相の通電区間が重複するように通電条件を設定する通電条件設定ステップと、
    前記電源から前記駆動回路に向けて流れる電源電流の大きさを表す情報を取得する取得ステップと、
    前記取得ステップにより取得された前記情報に基づく前記電源電流の大きさが所定基準値を超えた場合に、前記通電条件設定ステップにより設定された2つの相のそれぞれの通電区間が重複する一の重複通電区間において、前記2つの相のうちの少なくとも一方の相に係る相電流の大きさを、前記指令値生成ステップにより生成された該一方の相に係る前記指令値に基づく相電流の大きさよりも小さくするステップとを含む、モータ制御方法。
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