JP2022073570A - 包装材の製造方法、包装材、及び包装容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】任意の箇所を意図的に破壊し易くした構造を簡単な構成でかつ低コストで実現する。【解決手段】包装材の製造方法は、フィルム状又は薄板状の基材の厚み方向に貫いて1又は複数の切れ込み部を形成する切れ込み部形成工程と、切れ込み部の少なくとも一部を熱接着樹脂材で埋めることで切れ込み部を閉塞する切れ込み部閉塞工程と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、包装材の製造方法、包装材、及び包装容器に関する。
従来、包装容器は、包装容器内の圧力上昇を抑制したり、ユーザによる包装容器の開封を補助したりするために、包装容器の任意の箇所を意図的に破壊し易くした構造が知られている。しかしながら、従来構成では、構造や製造工程が複雑でコストが高く、そのため、改善の余地があった。
そこで、本発明の目的は、任意の箇所を意図的に破壊し易くした構造を簡単な構成でかつ低コストで実現することができる包装材の製造方法、包装材、及び包装容器を提供することにある。
本発明による包装材の製造方法は、フィルム状又は薄板状の基材の厚み方向に貫いて1又は複数の切れ込み部を形成する切れ込み部形成工程と、前記切れ込み部の少なくとも一部を前記熱接着樹脂材で埋めることで前記切れ込み部を閉塞する切れ込み部閉塞工程と、を備える。
本発明による包装材は、フィルム状又は薄板状に構成されて厚み方向に貫通した1又は複数の切れ込み部を有する基材と、前記基材に設けられ前記切れ込み部の少なくとも一部を埋めて前記切れ込み部を閉塞している熱接着樹脂材と、を備える。
本発明による包装容器は、1又は複数の包装材を貼り合わせて構成されて内部に収容物を収容可能な収容空間を有する包装容器であって、前記1又は複数の包装材のうち少なくとも1つは上記の包装材を含んで構成されている。
以下、本発明の実施形態及び実施例について図面を参照して説明する。なお、各実施形態及び実施例において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。また、各図において、部材の厚み寸法については構成の理解を容易にするため実際のものよりも極端に厚く描いている場合がある。
まず、図1に示す包装材101、及び図2に示す包装材102の構成について説明する。図1に示す包装材101及び図2に示す包装材102は、水や水蒸気、空気等の気体を通し難い又は通さない性質を有しており、例えば食品や衣料品その他の品を包装するための包装容器に用いられる樹脂製のフィルム状又は薄板状の部材である。この場合、図1に示す包装材101は、例えばフィルム状のものに好適である。また、図2に示す包装材102は、例えばプラスチック板等ある程度の剛性を有する薄板状のものに好適である。
なお、本実施形態において薄板状とは、平坦な板状に形成した場合に自重によって、又は外力を加えて揺らした場合に撓む程度に薄い板状であることを意味する。また、本実施形態において包装容器とは、包装容器を構成する包装材にある程度の剛性があり、その剛性によって内容物や外力に関わらず自己の形状を維持できるものだけでなく、自重や内容物、若しくは外力等によって容器の形状が容易に変形するもの、例えば袋状のものも含まれる。すなわち、本実施形態において、包装容器には、袋状の包装袋体の概念も含まれる。
包装材101、102は、それぞれ基材11及び熱接着樹脂材12を備えている。基材11は、包装材101、102の主体となる樹脂製の部材である。基材11の材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリアミド樹脂(PA)等がある。なお、基材11の材料は、上述したものに限られない。また、基材11は、複数の樹脂材を積層したものや金属材を積層したものであっても良い。
基材11は、1つ又は複数の切れ込み部111を有している。切れ込み部111は、基材11の厚み方向に貫通して形成されている。本実施形態の場合、切れ込み部111は、基材11の厚み方向に切断した断面が熱接着樹脂材12側へ向かって狭まる又は広がる台形形状に形成されている。例えば図1に示す包装材101において、切れ込み部111は、基材11の厚み方向に切断した断面が熱接着樹脂材12側へ向かって狭まる台形形状に形成されている。また、例えば図2に示す包装材102において、切れ込み部111は、基材11の厚み方向に切断した断面が熱接着樹脂材12側へ向かって広がる台形形状に形成されている。
熱接着樹脂材12は、例えば加熱することによって溶けて流動性が増すとともに、自然冷却によって固化する樹脂部材で構成されている。すなわち、熱接着樹脂材12は、常温では流動性を有さない固体であり、加熱することで溶融して液状化し、その後、冷却することで固化する熱可塑性の接着剤である。
本実施形態の場合、熱接着樹脂材12が軟化又は溶解する温度、すなわちガラス転移温度又は融点温度は、基材11の融点温度よりも低く設定されている。このため、包装材101、102の製造時において、熱接着樹脂材12のガラス転移温度及び融点温度よりも高くかつ基材11の融点温度よりも低い温度で熱接着樹脂材12を加熱することで、基材11を溶かすことなく熱接着樹脂材12を溶かすことができる。熱接着樹脂材12は、例えば酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等の熱可塑性樹脂を主体にしたいわゆるホットメルト接着剤若しくはホットボンド等と称される部材で構成することができる。
熱接着樹脂材12は、基材11の片面又は両面において少なくとも切れ込み部111を覆う部分に設けられている。熱接着樹脂材12は、図1に示す包装材101では基材11の片側の面の全面に積層されている。この場合、包装材101は、基材11の層に熱接着樹脂材12の層を積層した積層材として構成されている。なお、図1に示す包装材101においては、基材11の両側の面に熱接着樹脂材12が積層されていても良い。また、熱接着樹脂材12は、図2に示す包装材102では切れ込み部111の周辺に塗布等によって部分的に配置されている。
熱接着樹脂材12は、切れ込み部111の容積全体のうち少なくとも一部又は全部を埋めて切れ込み部111を閉塞している。例えば図1に示す包装材101の熱接着樹脂材12は、断面が台形形状に形成された切れ込み部111において、少なくとも基材11の両表面側に位置する平行な2辺のうち短い方の辺側の面に設けられている。また、例えば図2に示す包装材102の熱接着樹脂材12は、断面が台形形状に形成された切れ込み部111において、少なくとも基材11の両表面側に位置する平行な2辺のうち長い方の辺側の面に設けられている。
切れ込み部111を閉塞する熱接着樹脂材12は、水等の液体や、水蒸気、空気等の気体が切れ込み部111を通過することを阻害する。これにより、包装材101、102は、切れ込み部111に関わらず、水等の液体や、水蒸気、空気等の気体を通し難い又は通さない性質を発揮することができる。
この構成において、包装材101、102に何らの力が作用していない場合、切れ込み部111は熱接着樹脂材12によって閉塞されているため、切れ込み部111を通して液体や気体が通過することが防がれている。このため、包装材101、102は、液体や気体の不透過性能を発揮することができる。一方、包装材101、102の切れ込み部111の周辺に所定の力が作用すると、その力は切れ込み部111に集中し、その結果、切れ込み部111が破壊されて開裂する。
この切れ込み部111の構造は、切れ込み部111の長さ寸法や配置、数、熱接着樹脂材12の材質、熱接着樹脂材12の加熱温度、加熱時間、及び基材11に対する押圧力等を調整することにより、切れ込み部111の開裂に要する力すなわち開裂強度を調整することができる。そして、この切れ込み部111の構造は、例えば容器内の昇圧防止構造や、容器の開封を補助するためのミシン目等に適用することができる。
次に、図3から図5を参照して包装材101、102の製造方法について説明する。包装材101、102の製造方法は、図3に示すように、ステップS1の切れ込み部形成工程と、ステップS2の切れ込み部閉塞工程と、を備えている。包装材101、102の製造工程が開始されると、ステップS1の切れ込み部形成工程と、ステップS2の切れ込み部閉塞工程と、が順に実行される。
ステップS1の切れ込み部形成工程は、基材11の厚み方向に貫いて1又は複数の切れ込み部111を形成する工程である。切れ込み部形成工程では、図4及び図5の(A)~(C)にかけて示すように、治具や装置等の刃91によって基材11を貫くことで基材11に切れ込み部111を形成する。図1に示す包装材101の場合、図4の(A)に示すように、加工前の素材には、予め基材11に熱接着樹脂材12が積層された積層材を用いる。また、図2に示す包装材102の場合、図5(A)に示すように、加工前の素材には、熱接着樹脂材12が積層されていない基材11を用いる。そして、図4の(A)に示した加工前の素材に基材11と熱接着樹脂材12との積層材を用いる場合、図4の(B)に示すように、基材11の両側面のうち熱接着樹脂材12が設けられていない側から基材11に刃91が差し込まれる。
ステップS2の切れ込み部閉塞工程は、切れ込み部111の少なくとも一部を熱接着樹脂材12で埋めることで切れ込み部111を閉塞する工程である。図1に示す包装材101の場合、加工前の素材として、基材11の表面に予め熱接着樹脂材12が積層された積層材を用いることができる。この場合、切れ込み部閉塞工程は、基材11の全体に積層された熱接着樹脂材12のうち少なくとも切れ込み部111を覆う位置に配置された熱接着樹脂材12を加熱する工程を含む。
すなわち、図1に示す包装材101の場合、切れ込み部閉塞工程では、図4の(D1)に示すように、ヒータ等の加熱装置の加熱部92を基材11の片側又は両側の面に当てて、切れ込み部111を覆う位置に配置された熱接着樹脂材12を融点温度以上に加熱する。これにより、切れ込み部111を覆う位置に配置された熱接着樹脂材12が溶けて切れ込み部111の隙間に入り込む。
また、図2に示す包装材102の場合、図5(A)に示すように、加工前の素材として熱接着樹脂材12が積層されていない基材11を用いることができる。この場合、切れ込み部閉塞工程は、図5の(D2)に示すように、例えば塗布装置93や刷毛93等によって、加熱されて軟化又は液状化した熱接着樹脂材12を基材11の表面側に塗布により配置する工程を含んでいる。この場合、熱接着樹脂材12は、基材11の片側面又は両面において、切れ込み部111を覆う位置に部分的に配置される。本実施形態の場合、熱接着樹脂材12は、切れ込み部形成工程において刃91が差し込まれる側の面に塗布される。これにより、加熱されて軟化若しくは液状化した熱接着樹脂材12が切れ込み部111の隙間に入り込む。
そして、熱接着樹脂材12を例えば自然冷却により冷却して固化させることで、図4及び図5の(E)に示す包装材101、102が完成する。なお、熱接着樹脂材12を加熱する際の加熱部92の温度及び加熱された熱接着樹脂材12の温度は、基材11の融点温度よりも低く設定されている。このため、加熱部92の加熱や熱接着樹脂材12自体の温度によって基材11が溶けることが防がれる。
次に、包装材101、102を用いた包装容器の複数の実施例について説明する。以下で説明する包装容器は、1又は複数の包装材101、102を貼り合わせて構成されて内部に収容物を収容可能な収容空間を有するものである。
(実施例1)
実施例1について図6及び図7も参照して説明する。図6に示す包装容器20は、切れ込み部111の構造を昇圧防止構造に適用した例である。包装容器20は、例えば図1に示す包装材101又は図2に示す包装材102を複数枚張り合わせて袋状に形成されている。この場合、包装材101、102は薄いフィルムに構成されている。包装容器20は、昇圧防止機能付きのいわゆるパウチ容器である。
実施例1について図6及び図7も参照して説明する。図6に示す包装容器20は、切れ込み部111の構造を昇圧防止構造に適用した例である。包装容器20は、例えば図1に示す包装材101又は図2に示す包装材102を複数枚張り合わせて袋状に形成されている。この場合、包装材101、102は薄いフィルムに構成されている。包装容器20は、昇圧防止機能付きのいわゆるパウチ容器である。
包装容器20は、貼り合わせ部21及び昇圧防止構造22を有している。貼り合わせ部21は、対向する包装材101、102同士を加熱接着した部分である。図6では、貼り合わせ部21つまり熱接着樹脂材12によって加熱接着された領域を破線のハッチングで示している。本実施例の場合、包装容器20を構成する包装材として図1の包装材101及び図2の包装材102のいずれも使用できるが、予め熱接着樹脂材12が積層された包装材101を利用することが好ましい。これによれば、図5(D2)に示す工程、すなわち、基材11の表面のうち貼り合わせ部21及び切れ込み部111に対応する位置に熱接着樹脂材12を塗布により配置する工程を省略することができる。
昇圧防止構造22は、包装容器20内の圧力が所定の圧力まで上昇した場合に内部の気体を外部に排出して、包装容器20内の圧力が過度に上昇することを抑制する機能を有する。昇圧防止構造22は、包装容器20の少なくとも1つの面に設けられている。昇圧防止構造22は、少なくとも1つの切れ込み部111を有して構成されている。本実施例の場合、昇圧防止構造22は、交差する2本の切れ込み部111を含んで構成されている。なお、切れ込み部111の長さ寸法や数等は上記したものに限られない。本実施例の切れ込み部111は、包装容器20内の収容空間内の圧力の上昇を受けて破壊し、これにより熱接着樹脂材12による閉塞が開放されて収容空間内の圧力を外部に逃がす機能を有する。このため、昇圧防止機能を発揮するための切れ込み部111は、昇圧防止スリットと称することができる。
包装容器20は、例えば調理食品等のように利用時に加熱を要する物品を内部の収容空間に密閉した状態で収容可能に構成されている。切れ込み部111が開裂されていない場合、切れ込み部111は熱接着樹脂材12によって閉塞されているため、包装容器20の気密性及び水密性は保たれている。なお、本明細書において気密及び水密とは、完全に気体や液体を透過させないことまでは要求されず、気体や液体の自由な出入りが制限される程度であっても良い。
そして、例えば電子レンジ等によって包装容器20を温めると包装容器20内の食品の含有水分が蒸発し、包装容器20内の圧力が上昇する。そして、包装容器20内の圧力が切れ込み部111の開裂強度を超えると、熱接着樹脂材12による切れ込み部111の閉塞が破壊されて包装容器20の内部と外部とが連通する。これにより、包装容器20内の水蒸気等が、開裂した切れ込み部111から外部に排出されて、包装容器20内の過度な圧力上昇が抑制される。その結果、包装容器20内を一定の圧力に維持した状態で調理を続けることができるため、好みに合わせた調理を行うことができる。
本実施例によれば、昇圧防止機能を実現するために包装容器20の任意の箇所を意図的に破壊し易くした包装容器20を簡単な構成でかつ低コストで実現することができる。
(実施例2)
次に、実施例2の包装容器30について図8を参照して説明する。図8に示す包装容器30は、切れ込み部111の構造を昇圧防止構造に適用した例である。包装容器30は、容器本体31、蓋体32、及び昇圧防止構造33を有している。容器本体31は、例えば自重で折れ曲がらない程度の剛性を有した樹脂部材つまりプラスチックによって一面が開口した容器状に形成されており、内部に収容物を収容可能な収容空間を有している。容器本体31の開口部の周囲にはフランジ形状に形成されたフランジ部311が設けられている。このフランジ部311は、蓋体32を容器本体31に貼りつけるための貼り付け部として機能する。
次に、実施例2の包装容器30について図8を参照して説明する。図8に示す包装容器30は、切れ込み部111の構造を昇圧防止構造に適用した例である。包装容器30は、容器本体31、蓋体32、及び昇圧防止構造33を有している。容器本体31は、例えば自重で折れ曲がらない程度の剛性を有した樹脂部材つまりプラスチックによって一面が開口した容器状に形成されており、内部に収容物を収容可能な収容空間を有している。容器本体31の開口部の周囲にはフランジ形状に形成されたフランジ部311が設けられている。このフランジ部311は、蓋体32を容器本体31に貼りつけるための貼り付け部として機能する。
蓋体32は、例えば図1に示す包装材101又は図2に示す包装材102によって構成されている。この場合、蓋体32を構成する包装材101、102は、薄いフィルムに構成されている。蓋体32は、容器本体31の開口部の周囲のフランジ部311に貼りつけられており、容器本体31内の収容空間を密閉している。この場合、蓋体32は、フランジ部311の面に熱接着樹脂材12を有しており、フランジ部311に配置された状態でフランジ部311周辺を加熱することで、熱接着樹脂材12が溶けてフランジ部311に加熱接着される。図8では、フランジ部311のうち熱接着樹脂材12によって加熱接着された領域を破線のハッチングで示している。本実施例の場合、蓋体32は、フランジ部311の全面に接着されている。
本実施例の場合、蓋体32を構成する包装材として図1の包装材101及び図2の包装材102のいずれも使用できるが、予め熱接着樹脂材12が積層された包装材101を利用することが好ましい。これによれば、図5(D1)に示す工程、すなわち、基材11の表面のうち貼り合わせ部21及び切れ込み部111に対応する位置に熱接着樹脂材12を配置する工程を省略することができる。
昇圧防止構造33は、蓋体32においてフランジ部311の内側つまり貼り付け部の内側に設けられている。昇圧防止構造33は、少なくとも1つの切れ込み部111を有している。本実施例の場合、昇圧防止構造33は、交差する2本の切れ込み部111を有している。なお、切れ込み部111の長さ寸法や数等は上記したものに限られない。昇圧防止構造33を構成する切れ込み部111は、包装容器20内の収容空間内の圧力の上昇を受けて破壊し、これにより熱接着樹脂材12による閉塞が開放されて収容空間内の圧力を外部に逃がす機能を有する。このため、本実施例における切れ込み部111も、昇圧防止スリットと称することができる。
本実施例の包装容器30によっても、上記した実施例1の包装容器20と同様の作用効果が得られる。すなわち、本実施例によっても、昇圧防止機能を実現するために包装容器30の任意の箇所を意図的に破壊し易くした包装容器30を簡単な構成でかつ低コストで実現することができる。
(実施例3)
次に、実施例3の包装容器40について図9から図13を参照して説明する。図9に示す包装容器40は、切れ込み部111の構造を開封補助の構造として適用した例である。包装容器40は、包装容器40の両端部を内側へ折り込んだ形状のいわゆるガゼット袋であり、開封補助機能が付いている。この場合、包装容器40は、平坦なシート状に形成された第1フィルム部材41と、断面がV字状に織り込まれた第2フィルム部材42とを貼り合わせて構成されている。包装容器40は、対向する2つの第1フィルム部材41のうち少なくとも一方が、図1に示す包装材101又は図2に示す包装材102で構成されている。包装容器40は、一方が開口した袋状に形成されている。そして、ユーザは、開口部401から包装容器40内に収納物を収納した後、開口部401を加熱溶着して閉じる。これにより、包装容器40が密閉される。
次に、実施例3の包装容器40について図9から図13を参照して説明する。図9に示す包装容器40は、切れ込み部111の構造を開封補助の構造として適用した例である。包装容器40は、包装容器40の両端部を内側へ折り込んだ形状のいわゆるガゼット袋であり、開封補助機能が付いている。この場合、包装容器40は、平坦なシート状に形成された第1フィルム部材41と、断面がV字状に織り込まれた第2フィルム部材42とを貼り合わせて構成されている。包装容器40は、対向する2つの第1フィルム部材41のうち少なくとも一方が、図1に示す包装材101又は図2に示す包装材102で構成されている。包装容器40は、一方が開口した袋状に形成されている。そして、ユーザは、開口部401から包装容器40内に収納物を収納した後、開口部401を加熱溶着して閉じる。これにより、包装容器40が密閉される。
包装容器40は、貼り合わせ部43及び開封補助構造44を有している。貼り合わせ部43は、第1フィルム部材41と第2フィルム部材42とを加熱接着した部分である。図9では、貼り合わせ部43つまり熱接着樹脂材12によって加熱接着された領域を破線のハッチングで示している。本実施例の場合、第1フィルム部材41を構成する包装材として図1の包装材101及び図2の包装材102のいずれも使用できるが、予め熱接着樹脂材12が積層された包装材101を利用することが好ましい。これによれば、上記各実施例と同様に、図5の(D2)に示す工程、すなわち、基材11の表面のうち貼り合わせ部21及び切れ込み部111に対応する位置に熱接着樹脂材12を塗布により配置する工程を省略することができる。
開封補助構造44は、線状に配置した多数の切れ込み部111を有して構成されている。具体的には、本実施例の開封補助構造44は、2本のミシン目部441と摘み部442とを含んで構成されている。各ミシン目部441は、多数の切れ込み部111を線状この場合直線状に配置することで構成されている。ミシン目部441は、包装容器40の対向する両辺に跨って設けられている。このミシン目部441を構成する切れ込み部111も熱接着樹脂材12によって閉塞されているため、包装容器40内の気密性及び水密性は確保されている。
摘み部442は、直線状に配置されたミシン目部441の両端部のうち一方又は両方に設けられている。摘み部442は、ミシン目部441の端部であって貼り合わせ部21部分を、平面視において包装容器40の外側へ向かって広がるハ字状に切断して形成されている。すなわち、包装容器40を切断することで形成された切断線443は、ミシン目部441に接続されない位置つまりミシン目部441から若干離れた位置に設けられている。そして、切断線443は、包装容器40の内側から外側つまり包装容器40の端部側へ向かって傾斜するように形成されている。また、切断線443は、貼り合わせ部21において第1フィルム部材41及び第2フィルム部材42の両方を切断することで形成されている。
ここで、図11において二点鎖線で示すように、各切断線443を延長した仮想線を第1仮想線L1とし、第1仮想線L1と2本のミシン目部441との交点を結んだ仮想線を第2仮想線L2とし、貼り合わせ部43における第1フィルム部材41の面方向の内側に位置する辺部を第3仮想線L3とする。この場合、2本の第1仮想線L1と、第2仮想線L2と、第3仮想線L3と、で囲まれた領域は、第1フィルム部材41と第2フィルム部材42とが接着されていない未接着領域444として設定されている。
この構成において、ユーザは摘み部442を引っ張って包装容器40を開封することができる。ユーザが摘み部442を引っ張ると、摘み部442に引っ張られた第1フィルム部材41及び第2フィルム部材42が切断線443に沿って引き裂かれる。第1フィルム部材41がミシン目部441まで引き裂かれると、第2フィルム部材42は、図13に示すように切断線443の第1仮想線L1に沿った概ね三角形状に引き裂かれるとともに、第1フィルム部材41はミシン目部441に沿って直線状に引き裂かれる。これにより、包装容器40が開封される。
本実施例によれば、包装容器40の開封を補助するための機能を実現するために包装容器40の任意の箇所を意図的に破壊し易くした包装容器40を簡単な構成でかつ低コストで実現することができる。
(実施例4)
次に、実施例4の包装容器50について図14を参照して説明する。図14に示す包装容器50は、実施例3の包装容器40と同様に、切れ込み部111の構造を開封の補助機能として適用した例である。包装容器50は、いわゆるパウチ容器であり、貼り合わせ部51、注ぎ口52、摘み部53、及び開封補助構造54を有している。包装容器50は、例えば2枚の包装材101、102を貼り合わせ部51において貼り合わせて構成されている。
次に、実施例4の包装容器50について図14を参照して説明する。図14に示す包装容器50は、実施例3の包装容器40と同様に、切れ込み部111の構造を開封の補助機能として適用した例である。包装容器50は、いわゆるパウチ容器であり、貼り合わせ部51、注ぎ口52、摘み部53、及び開封補助構造54を有している。包装容器50は、例えば2枚の包装材101、102を貼り合わせ部51において貼り合わせて構成されている。
開封補助構造54は、注ぎ口52と摘み部53との境界部分を形成している。開封補助構造54は、複数の切れ込み部111を注ぎ口52の全周に亘って1本の環状に形成したものである。ユーザは摘み部53を持って引っ張ることで、開封補助構造54の作用により摘み部53が注ぎ口52から引き離される。これにより、注ぎ口52が開封される。
本実施例によっても、包装容器50の開封を補助するための機能を実現するために包装容器50の任意の箇所を意図的に破壊し易くした包装容器50を簡単な構成でかつ低コストで実現することができる。
(実施例5)
次に、実施例5の包装容器60について図15から図21を参照して説明する。図15に示す包装容器60は、切れ込み部111の構造を開封補助の構造及び昇圧防止構造として適用した例である。包装容器60は、容器本体61、蓋体62、及び開封補助構造63を有している。容器本体61は、実施例2の容器本体31と同様の構成である。
次に、実施例5の包装容器60について図15から図21を参照して説明する。図15に示す包装容器60は、切れ込み部111の構造を開封補助の構造及び昇圧防止構造として適用した例である。包装容器60は、容器本体61、蓋体62、及び開封補助構造63を有している。容器本体61は、実施例2の容器本体31と同様の構成である。
すなわち、容器本体61は、例えば自重で折れ曲がらない程度の剛性を有した樹脂部材つまりプラスチックによって一面が開口した容器状に形成されており、内部に収容物を収容可能な収容空間を有している。容器本体61の開口部の周囲にはフランジ形状に形成された本体フランジ部611が設けられている。
蓋体62は、例えば自重で折れ曲がらない程度の剛性を有した樹脂部材つまりプラスチックによって一面この場合容器本体61側が開口した容器状に形成されている。蓋体62は、容器本体61とともに内部に収容物を収容可能な収容空間を形成する。蓋体62の開口部の周囲は、容器本体61と同様に、フランジ形状に形成された蓋体フランジ部621が設けられている。容器本体61と蓋体62とは、内部に収容物を収容した後、両者のフランジ部611、621に熱接着樹脂材12が塗布された状態で相互に重ね合わせられる。これにより、両者のフランジ部611、621の一部が熱接着樹脂材12を用いて相互に接着される。
フランジ部611、621において加熱接着された領域を接着領域64とする。そして、図15、図16、及び図21では、接着領域64を破線のハッチングで示している。接着領域64は、本体フランジ部611と蓋体フランジ部621とを相互に貼り合わせている貼り合わせ部として機能する。接着領域64は、フランジ部611、621が相互に対向する側の面のうちフランジ部611、621の外周縁部から所定の幅の領域に設定されている。接着領域64は、フランジ部611、621の全周に亘って設けられている。フランジ部611、621が加熱接着されると、包装容器60内は気密及び水密に維持される。なお、フランジ部611、621のうち接着領域64以外の部分、つまり図16及び図17において破線のハッチングが施されていない部分は、フランジ部611、621が相互に接着されていない領域である。
開封補助構造63及び昇圧防止構造66は、それぞれ容器本体61又は蓋体62のフランジ部611、621に設けられている。この場合、容器本体61及び蓋体62は、開封補助構造63又は昇圧防止構造66のうち少なくともいずれかが設けられている場合には、図1に示す包装材101又は図2に示す包装材102で構成される。本実施例の場合、開封補助構造63及び昇圧防止構造66は、蓋体62のフランジ部621に設けられている。そのため、蓋体62は、図1に示す包装材101又は図2に示す包装材102で構成されている。この場合、開封補助構造63及び昇圧防止構造66をいずれも蓋体62のフランジ部621に設けることで、製造工程を簡単なものにすることができる。
開封補助構造63は、実施例3の開封補助構造44と同様に、線状に配置した多数の切れ込み部111を有して構成されている。具体的には、本実施例の開封補助構造63は、2本のミシン目部631と摘み部632とを含んで構成されている。各ミシン目部631は、例えば蓋体フランジ部621において接着領域64よりも内側にあって、蓋体フランジ部621の全周に亘って設けられている。各ミシン目部631は、多数の切れ込み部111を蓋体フランジ部621に沿って配置することで構成されている。ミシン目部631を構成する切れ込み部111も熱接着樹脂材12によって閉塞されているため、包装容器60内の気密性及び水密性は確保されている。
摘み部632は、線状に配置されたミシン目部631の始点部分に配置されている。摘み部632は、図17にも示すように、フランジ部611、621の一部を外方へ突出させた形状に形成されている。また、本体フランジ部611には、溝部612が形成されている。溝部612は、本体フランジ部611においてミシン目部631の始端と摘み部632との境界部分に対応する位置に形成された直線状の溝である。
この構成において、ユーザは摘み部632を折り曲げ及び引っ張って包装容器60を開封することができる。ユーザが摘み部632を溝部612に沿って折り曲げると、摘み部632は溝部612に沿って破断し本体フランジ部611つまり容器本体61から分離する。その後、ユーザが摘み部632を引っ張ると、蓋体フランジ部621において溝部612の両端側が引き裂かれる。そして、ユーザが摘み部632を引っ張って引き裂きがミシン目部631まで進行すると、その後は図21に示すようにミシン目部631が切り裂かれて行く。そして、ミシン目部631を全長に亘って切り裂くと、蓋体62と容器本体61とが切り離されて包装容器60が開封される。
このように、本実施例によれば、包装容器60の開封を補助するための機能を実現するために包装容器60の任意の箇所を意図的に破壊し易くした包装容器60を簡単な構成でかつ低コストで実現することができる。
また、この場合、包装容器60は、薄肉部65を有している。この場合、薄肉部65は、蓋体62の蓋体フランジ部621に形成されている。薄肉部65は、ミシン目部631つまり切れ込み部111が設けられている領域に形成されている。薄肉部65は、蓋体62を構成する包装材101、102の基材11を、周囲の厚みに対して薄く形成した部分である。本実施例の場合、薄肉部65は、周囲の厚みに対して50~70%程度の厚みに設定されている。この場合、薄肉部65は、蓋体フランジ部621の全周に沿って形成されている。そして、ミシン目部631は、薄肉部65が形成されている領域内に形成されている。
これによれば、ミシン目部631は、周囲の厚みよりも薄い薄肉部65に設けられている。そのため、ミシン目部631つまり切れ込み部111を破断するために必要な力を小さくすることができる。その結果、本実施例のように剛性を有する蓋体62に開封補助構造としてのミシン目部631を設けた場合であっても、ユーザはより軽い力でミシン目部631を引き裂いて包装容器60を開封することができる。なお、薄肉部65は、必ずしも設ける必要はなく、例えば蓋体62を構成する包装材101、102の材質や剛性、厚み、若しくはミシン目部631を引き裂く際に要求する力の強さ等に応じて設ければ良い。
また、包装容器60は、昇圧防止構造66を有している。昇圧防止構造66は、少なくとも1つの切れ込み部111を有して構成されている。本実施例の場合、昇圧防止構造66は、蓋体フランジ部621に設けられている。更に本実施例の場合、昇圧防止構造66は、蓋体フランジ部621のうち接着領域64の内側でかつ2本のミシン目部631に挟まれた位置に設けられている。これによっても、包装容器60が開封されていない状態では密閉状態が保たれ、かつ、包装容器60内の圧力が上昇した場合にはその圧力を逃がすことができる。
なお、本実施例において、開封補助構造63及び昇圧防止構造66を構成する切れ込み部111は、容器本体61のフランジ部611と蓋体62のフランジ部621とを貼り合わせる際にフランジ部611、621に塗布された熱接着樹脂材12によって埋められて閉塞される。
(実施例6)
次に、実施例6の包装容器70について図22から図26を参照して説明する。図22に示す包装容器70は、切れ込み部111の構造を開封補助の構造として適用した例である。包装容器70は、容器本体71、蓋体72、及び開封補助構造73を有している。容器本体71は、実施例2の容器本体31と同様の構成である。容器本体71は、例えば自重で折れ曲がらない程度の剛性を有した樹脂部材つまりプラスチックによって一面が開口した容器状に形成されており、内部に収容物を収容可能な収容空間を有している。容器本体71の開口部の周囲にはフランジ形状に形成されたフランジ部711が設けられている。フランジ部711は、蓋体72を容器本体71に貼りつけるための貼り付け部として機能する。
次に、実施例6の包装容器70について図22から図26を参照して説明する。図22に示す包装容器70は、切れ込み部111の構造を開封補助の構造として適用した例である。包装容器70は、容器本体71、蓋体72、及び開封補助構造73を有している。容器本体71は、実施例2の容器本体31と同様の構成である。容器本体71は、例えば自重で折れ曲がらない程度の剛性を有した樹脂部材つまりプラスチックによって一面が開口した容器状に形成されており、内部に収容物を収容可能な収容空間を有している。容器本体71の開口部の周囲にはフランジ形状に形成されたフランジ部711が設けられている。フランジ部711は、蓋体72を容器本体71に貼りつけるための貼り付け部として機能する。
蓋体72は、上記実施例2の蓋体32と同様に、例えば図1に示す包装材101又は図2に示す包装材102によって構成されている。この場合、蓋体72を構成する包装材101、102は、薄いフィルムに構成されている。蓋体72は、容器本体71の開口部の周囲のフランジ部711に貼りつけられており、容器本体71内の収容空間を密閉している。この場合、蓋体72は、フランジ部711の面に熱接着樹脂材12を有しており、フランジ部711に配置された状態でフランジ部711周辺を加熱することで、熱接着樹脂材12が溶けてフランジ部711に加熱接着される。
図22、図23、及び図26では、フランジ部711のうち熱接着樹脂材12によって加熱接着された接着領域74を破線のハッチングで示している。本実施例の場合、蓋体72は、フランジ部711のうちフランジ部711の外側縁部から所定の幅の領域に接着されている。なお、フランジ部711のうち接着領域74以外の部分、つまり図22及び図23において破線のハッチングが施されていない部分は、フランジ部711と蓋体72とが相互に接着されていない領域である。
本実施例の場合、蓋体72を構成する包装材として図1の包装材101及び図2の包装材102のいずれも使用できるが、予め熱接着樹脂材12が積層された包装材101を利用することが好ましい。この場合、包装材101が有する熱接着樹脂材12は、蓋体72を容器本体71のフランジ部711に接着するためにも用いられる。これによれば、切れ込み部111を閉塞するための熱接着樹脂材12を配置する工程を省略することができるため、製造工程を簡単にすることができる。
本実施例の開封補助構造73は、蓋体72に設けられている。開封補助構造73は、線状に配置した多数の切れ込み部111を有して構成されている。本実施例の開封補助構造73は、ミシン目部731と摘み部732とを含んで構成されている。各ミシン目部731は、多数の切れ込み部111をフランジ部711に沿った線状に配置することで構成されている。
摘み部732は、フランジ部711及び蓋体72の一部で構成されている。摘み部732は、線状に配置されたミシン目部731の始点部分に配置されている。また、フランジ部711には、溝部712が形成されている。溝部712は、本体フランジ部711においてミシン目部731の始端と摘み部732との境界部分に対応する位置に形成された直線状の溝である。この場合、溝部712は、本体フランジ部711の角部に設けられており、本体フランジ部711の角部を略三角形状に区切っている。
この構成において、ユーザは摘み部732を折り曲げ及び引っ張って包装容器70を開封することができる。ユーザが摘み部732を溝部712に沿って折り曲げると、摘み部732は溝部712に沿って破断しフランジ部711つまり容器本体71から分離する。その後、ユーザが摘み部732を引っ張ると、蓋体72において溝部712の両端側が引き裂かれる。そして、ユーザが摘み部732を引っ張って引き裂きがミシン目部731まで進行すると、その後は図26に示すようにミシン目部731が切り裂かれて行く。そして、ミシン目部731を全長に亘って切り裂くと、蓋体72と容器本体71とが切り離されて包装容器70の全面が開封される。
このように、本実施例によれば、包装容器70の開封を補助するための機能を実現するために包装容器70の任意の箇所を意図的に破壊し易くした包装容器70を簡単な構成でかつ低コストで実現することができる。
(実施例7)
次に、実施例7の包装容器80について図27から図30を参照して説明する。図27に示す包装容器80は、切れ込み部111の構造を開封補助の構造として適用した例である。本実施形態の包装容器80は、例えば液体やゲル状又はジェル状のような流動性を有する部材の収容により適したものである。包装容器80は、容器本体81、蓋体82、及び開封補助構造83を有している。容器本体81は、例えば自重で折れ曲がらない程度の剛性を有した樹脂部材つまりプラスチックによって一面が開口した容器状に形成されており、内部に収容物を収容可能な収容空間を有している。
次に、実施例7の包装容器80について図27から図30を参照して説明する。図27に示す包装容器80は、切れ込み部111の構造を開封補助の構造として適用した例である。本実施形態の包装容器80は、例えば液体やゲル状又はジェル状のような流動性を有する部材の収容により適したものである。包装容器80は、容器本体81、蓋体82、及び開封補助構造83を有している。容器本体81は、例えば自重で折れ曲がらない程度の剛性を有した樹脂部材つまりプラスチックによって一面が開口した容器状に形成されており、内部に収容物を収容可能な収容空間を有している。
容器本体81の開口部の周囲にはフランジ形状に形成されたフランジ部811が設けられている。フランジ部811は、蓋体82を容器本体81に貼りつけるための貼り付け部として機能する。また、本実施例の場合、容器本体81は隔壁812を有している。隔壁812は、容器本体81内の収容空間を複数この場合2つに仕切っている。
蓋体82は、上記実施例2の蓋体32及び上記実施例6の蓋体72と同様に、例えば図1に示す包装材101又は図2に示す包装材102によって構成されている。この場合、蓋体82を構成する包装材101、102は、薄いフィルムに構成されている。蓋体82は、容器本体81の開口部の周囲のフランジ部811に貼りつけられており、容器本体81内の収容空間を密閉している。この場合、蓋体82は、フランジ部811の面に熱接着樹脂材12を有しており、フランジ部811に配置された状態でフランジ部811周辺を加熱することで、熱接着樹脂材12が溶けてフランジ部811に加熱接着される。
図27、図28、及び図30では、フランジ部811のうち熱接着樹脂材12によって加熱接着された接着領域84を破線のハッチングで示している。本実施例の場合、蓋体82は、フランジ部811のうちフランジ部811の外側縁部から所定の幅の領域に接着されている。なお、フランジ部811のうち接着領域84以外の部分、つまり図27、図28、及び図30において破線のハッチングが施されていない部分は、フランジ部811と蓋体82とが相互に接着されていない領域である。
本実施例の場合、蓋体82を構成する包装材として図1の包装材101及び図2の包装材102のいずれも使用できるが、予め熱接着樹脂材12が積層された包装材101を利用することが好ましい。これによれば、図5(D2)に示す工程、すなわち、基材11の表面のうち貼り合わせ部21及び切れ込み部111に対応する位置に熱接着樹脂材12を配置する工程を省略することができる。
本実施例の開封補助構造83は、蓋体82に設けられている。開封補助構造83は、線状に配置した多数の切れ込み部111を有して構成されている。本実施例の開封補助構造83は、ミシン目部831と摘み部832とを含んで構成されている。各ミシン目部831は、図28に示すように、多数の切れ込み部111を例えばフランジ部811側から内側へ向かって閉じるV字状に形成されている。V字状のミシン目部831で挟まれた領域は、容器本体81内の収容空間に対して平面視で重なっている。
摘み部832は、例えばフランジ部811の一部を例えば三角形状に切り出すようにして形成されている。摘み部832は、V字状のミシン目部831の両端部に接続されている。また、図29に示すように、フランジ部811には溝部813が形成されている。溝部813は、フランジ部811においてミシン目部831の始端と摘み部832との境界部分に対応する位置に形成された直線状の溝である。
この構成において、ユーザは摘み部832を折り曲げ及び引っ張って包装容器80を開封することができる。ユーザが摘み部832を溝部813に沿って折り曲げると、摘み部832は溝部813に沿って破断しフランジ部811つまり容器本体81から分離する。その後、ユーザが摘み部832を更に引っ張ると、ミシン目部831が破断し、蓋体82のうちV字状のミシン目部831と摘み部832とで囲まれた略三角形状の三角形状部821の部分が摘み部832とともに蓋体82から分離する。これにより、蓋体82が除かれて内部空間に連通した吐出口833が形成される。このようにして、包装容器80が開封される。そして、これにより、ユーザは、包装容器80内に収容されている液体等の流動性を有する物体を吐出口833から吐出させることができる。
このように、本実施例によれば、包装容器80の開封を補助するための機能を実現するために包装容器80の任意の箇所を意図的に破壊し易くした包装容器80を簡単な構成でかつ低コストで実現することができる。
包装材101、102の製造方法は、切れ込み部形成工程と、切れ込み部閉塞工程と、を備える。切れ込み部形成工程は、フィルム状又は薄板状の基材11の厚み方向に貫いて1又は複数の切れ込み部111を形成する工程である。切れ込み部閉塞工程は、切れ込み部111の少なくとも一部を熱接着樹脂材12で埋めることで切れ込み部111を閉塞する工程である。
また、包装材101、102は、基材11と、熱接着樹脂材12と、を備える。基材11は、フィルム状又は薄板状に構成されて厚み方向に貫通した1又は複数の切れ込み部111を有する。熱接着樹脂材12は、基材11に設けられ切れ込み部111の少なくとも一部を埋めて切れ込み部111を閉塞している。
そして、上記説明した包装容器20、30、40、50、60、70、80は、1又は複数の包装材を貼り合わせて構成されて内部に収容物を収容可能な収容空間を有する包装容器である。そして、包装容器20、30、40、50、60、70、80を構成する1又は複数の包装材のうち少なくとも1つは、上記した図1に示す包装材101又は図2に示す包装材102を含んで構成されている。
これによれば、例えば昇圧防止構造や開封補助構造等に用いるために、任意の箇所を意図的に破壊し易くした構造を簡単な構成でかつ低コストで実現することができる。
基材11には、熱接着樹脂材12が積層されている。切れ込み部形成工程は、熱接着樹脂材12と共に基材11を貫通させて切れ込み部111を形成する工程を含んでいる。
そして、切れ込み部閉塞工程は、切れ込み部111を覆う位置に配置された熱接着樹脂材12を加熱する工程を含む。これによれば、例えば基材に熱接着樹脂材が積層された周知の積層フィルム等を用いることで、切れ込み部111を形成した後に熱接着樹脂材12を別途配置する必要がないため、製造工程を更に簡単なものとすることができる。また、切れ込み部111以外の箇所に配置された熱接着樹脂材12を用いて包装材101、102を接着することができるため、包装材101、102を接着するために熱接着樹脂材12を別途配置する必要がなく、その結果、製造工程を更に簡単なものとすることができる。
そして、切れ込み部閉塞工程は、切れ込み部111を覆う位置に配置された熱接着樹脂材12を加熱する工程を含む。これによれば、例えば基材に熱接着樹脂材が積層された周知の積層フィルム等を用いることで、切れ込み部111を形成した後に熱接着樹脂材12を別途配置する必要がないため、製造工程を更に簡単なものとすることができる。また、切れ込み部111以外の箇所に配置された熱接着樹脂材12を用いて包装材101、102を接着することができるため、包装材101、102を接着するために熱接着樹脂材12を別途配置する必要がなく、その結果、製造工程を更に簡単なものとすることができる。
また、切れ込み部閉塞工程は、基材11の表面において切れ込み部111を覆う位置に加熱されて軟化又は液状化した熱接着樹脂材12を配置する工程を含んでいる。これによれば、基材11に予め熱接着樹脂材12が積層されていない例えばプラスチック材であっても、切れ込み部111を熱接着樹脂材12によって閉塞することができる。
また、包装材101、102を構成する基材11は、周囲の厚みに対して薄く形成された薄肉部65を有し、切れ込み部111は、薄肉部65に設けられていても良い。これによれば、例えば基材11が剛性を有するプラスチック等である場合においも、切れ込み部111の周囲を薄肉化することによって、小さい力で切れ込み部111を破壊することができる。その結果、ユーザは軽い力で包装容器を開封することができるようになり、ユーザの利便性を図ることができる。
切れ込み部111は、収容空間内の圧力の上昇を受けて熱接着樹脂材12による閉塞が破壊されて収容空間内の圧力を外部に逃がす機能、すなわち昇圧防止構造に適用することができる。これによれば、包装容器の昇圧防止構造を簡単な構成でかつ低コストで実現することができる。
切れ込み部111は、ユーザの力を受けて熱接着樹脂材12による閉塞が破壊されて開封を補助する機能、すなわち開封補助構造に適用することができる。これによれば、包装容器の開封保持構造を簡単な構成でかつ低コストで実現することができる。
以上、本発明の複数の実施形態及び実施例を説明したが、これらの実施形態及び実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態及び実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
101、102…包装材、11…基材、111…切れ込み部、12…熱接着樹脂材、20、30、40、50、60、70、80…包装容器、65…薄肉部
Claims (8)
- フィルム状又は薄板状の基材の厚み方向に貫いて1又は複数の切れ込み部を形成する切れ込み部形成工程と、
前記切れ込み部の少なくとも一部を熱接着樹脂材で埋めることで前記切れ込み部を閉塞する切れ込み部閉塞工程と、
を備える包装材の製造方法。 - 前記基材には、前記熱接着樹脂材が積層されており、
前記切れ込み部形成工程は、前記熱接着樹脂材と共に前記基材を貫通させて前記切れ込み部を形成する工程を含み、
前記切れ込み部閉塞工程は、前記切れ込み部を覆う位置に配置された前記熱接着樹脂材を加熱する工程を含む、
請求項1に記載の包装材の製造方法。 - 前記切れ込み部閉塞工程は、前記基材の表面において前記切れ込み部を覆う位置に加熱されて軟化又は液状化した前記熱接着樹脂材を塗布する工程を含んでいる、
請求項1に記載の包装材の製造方法。 - フィルム状又は薄板状に構成されて厚み方向に貫通した1又は複数の切れ込み部を有する基材と、
前記基材に設けられ前記切れ込み部の少なくとも一部を埋めて前記切れ込み部を閉塞している熱接着樹脂材と、
を備える包装材。 - 前記基材は、周囲の厚みに対して薄く形成された薄肉部を有し、
前記切れ込み部は、前記薄肉部に設けられている、
請求項4に記載の包装材。 - 1又は複数の包装材を貼り合わせて構成されて内部に収容物を収容可能な収容空間を有する包装容器であって、
前記1又は複数の包装材のうち少なくとも1つは、請求項4から5のいずれか一項に記載の包装材を含んで構成されている包装容器。 - 前記切れ込み部は、前記収容空間内の圧力の上昇を受けて前記熱接着樹脂材による閉塞が破壊されて前記収容空間内の圧力を外部に逃がす機能を有する、
請求項6に記載の包装容器。 - 前記切れ込み部は、ユーザの力を受けて前記熱接着樹脂材による閉塞が破壊されて開封を補助する機能を有する、
請求項6又は7に記載の包装容器。
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JP2020183635A JP2022073570A (ja) | 2020-11-02 | 2020-11-02 | 包装材の製造方法、包装材、及び包装容器 |
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- 2020-11-02 JP JP2020183635A patent/JP2022073570A/ja active Pending
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