JP2022066240A - 磁気センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】磁気センサの検出精度をより向上させる。【解決手段】磁気センサ1は、基板10と、基板10上に、磁化自由層21と非磁性層22と磁化固定層23とが積層された素子部20と、磁気収束部30L、30Rと、を備え、上面視で、磁化自由層21の面積は磁化固定層23の面積よりも大きく、磁化自由層21と磁気収束部30L、30Rとは、上面視で少なくとも一部が重なる第1の重複領域Pを有し、磁化固定層23と磁気収束部30L、30Rとは上面視で重ならない。【選択図】図1

Description

本発明は、磁気センサに関する。
磁場を検出する磁気センサとして、GMR(巨大磁気抵抗)効果やTMR(トンネル磁気抵抗)効果を用いたスピンバルブ型MR磁気センサがある。
スピンバルブ型MR磁気センサは、非磁性層を強磁性層で挟んだ構造(強磁性層/非磁性層/強磁性層)を有し、一方の磁性層の磁化を反強磁性層で固定し(磁化固定層)、もう一方の強磁性層(磁化自由層)の磁化は外部磁場に対して自由に回転できる構造を有している(スピンバルブ構造)。スピンバルブ型MR磁気センサは、外部磁場Hが加わり、磁化固定層の磁化と磁化自由層の磁化との相対角が変化すると、非磁性層である中間層を流れる電流が変化するため、磁場を検出することができる(例えば、特許文献1参照)。
スピンバルブ型MR磁気センサは微小な磁場で大きな磁気抵抗(MR)変化を示すことが知られており、主にハードディスクの磁気ヘッド等に用いられている。また、スピンバルブ型MR磁気センサは、ホール効果を用いた磁気センサと比較して高感度であること、つまり微小磁場の検出が可能であることが知られている( 例えば、特許文献2参照)。
MRセンサには他の方式があり、例えばAMR(異方性磁気抵抗)効果を利用したAMR磁気センサがある。AMR磁気センサはGMR磁気センサやTMR磁気センサと比較して感度は小さいが、ノイズ特性が優れており、磁気検出能はGMR磁気センサやTMR磁気センサと比較しても同等レベルである(例えば、特許文献3参照)。
特開平9-199769号公報 特開2005-221383号公報 特許第5044070号公報
上述したようなGMR効果やTMR効果を用いたスピンバルブ型MR磁気センサは、ホール素子やAMR素子に比べて磁気感度が高いという特徴を持つ。しかし、生体から発生する磁場等、非常に微小な磁場を得るには感度が足りない。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、検出精度をより向上させることの可能な磁気センサを提供することを目的としている。
基板と、基板上に、磁化自由層と非磁性層と磁化固定層とが積層された素子部と、磁気収束部と、を備え、上面視で、磁化自由層の面積は磁化固定層の面積よりも大きく、磁化自由層と磁気収束部とは、上面視で少なくとも一部が重なる第1の重複領域を有し、磁化固定層と磁気収束部とは上面視で重ならないことを特徴としている。
本発明の一態様によれば、磁気センサの感度特性を向上させ、検出精度をより向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る磁気センサの一例を示す概略構成図である。 比較例としての磁気センサの一例を示す概略構成図である。 磁性体群の配置の一例を示す図である。 磁性体群の配置の一例を示す図である。 磁性体群の配置の一例を示す図である。 磁性体群の配置の一例を示す図である。 磁性体群の配置の一例を示す図である。 磁性体30L′と磁性体21′との重複幅と、感磁エリア23′の増幅率の平均値との関係を示す特性図の一例である。 感磁エリア23′に占める面積Qの割合と、感磁エリア23′の増幅率の平均値との関係を示す特性図の一例である。 重複部分を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る磁気センサのその他の例を示す概略構成図である。 本発明の一実施形態に係る磁気センサのその他の例を示す平面図である。 図12Aに示す磁気センサの断面図である。 素子部の膜構造を説明するための説明図である。 比較例としての磁気センサのその他の例を示す平面図である。
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の具体的な構成について記載されている。しかしながら、このような特定の具体的な構成に限定されることなく他の実施態様が実施できることは明らかである。また、以下の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴的な構成の組み合わせの全てを含むものである。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一部分には同一符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。
<磁気センサ>
本発明の一実施形態に係る磁気センサは、基板と、基板上に、磁化自由層と非磁性層と磁化固定層とが積層された素子部と、磁気収束部と、を備え、上面視で、磁化自由層の面積は磁化固定層の面積よりも大きく、磁化自由層と磁気収束部とは、上面視で少なくとも一部が重なる第1の重複領域を有するように構成される。
またプロセスの容易性の観点から、素子部は、基板上に磁化自由層と非磁性層と磁化固定層とがこの順に積層されることが望ましい。
(感磁軸)
本発明では、磁気センサが磁場を検知する方向を「感磁軸」と記載する。磁気センサの感磁軸の向きと測定対象である磁場の向きとが平行である時に、磁場を検知する感度が最もよい。磁気センサは、感磁軸の向きと磁場の向きとが垂直である時には、磁場を検知せず出力変動がないことが望ましいが、変化が起こってもよい。
(重複領域P)
本発明に係る磁気センサは、上面視で、磁化自由層の一部と磁気収束部の少なくとも一部とが重なる部分を有する。本発明では、これを「重複領域P」と定義する。
重複領域(第1の重複領域)Pは、上面視で磁化自由層の一部と磁気収束部の少なくとも一部とが重なることを表し、重複領域Pの断面を見た時、後述の図1(b)に示すように磁気収束部30(30L、30R)と磁化自由層21とは接していない。
ここで、重複領域Pと、下記に定義する重複部分Q及びRを示す模式図を図10に示す。重複領域Pは、図10(a)に示すように、磁化自由層21と磁気収束部30とが重なる部分であり、重複部分Qと重複部分Rの和に相当する。
(重複部分Q)
本発明に係る磁気センサは、上面視で、磁化固定層23の一部と磁気収束部30の少なくとも一部とが重なる部分を有していても、有していなくてもよい。本発明では、図10(b)に示すように、磁化自由層21と磁気収束部30とが重なる部分である重複領域Pのうち、磁化固定層23と重なる部分(第2の重複領域)を「重複部分Q」と定義する。
磁気感度増加の観点から、上面視での磁化固定層23に占める重複部分Qの割合は、3/8以下である方が望ましく、2/8以下である方がさらに望ましく、1/8以下である方がさらに望ましく、Q=0である方がさらに望ましい。
(重複部分R)
図10(a)、(b)に示すように、重複領域Pのうち、重複部分Qを除く部分を「重複部分R」と定義する。
本発明に係る磁気センサは、磁気感度増加の観点から、重複部分Qの面積が重複部分Rの面積よりも小さい方が望ましい。
磁気収束部と磁化自由層とはどちらが上方にあってもよい。通常は、素子作製の簡便性の観点から、素子部を作製した後、保護層を成膜し、その上に磁気収束部を作製するため、磁気収束部は磁化自由層よりも上側に来る。磁気収束部を下側にする場合、磁気収束部を作製した後、基板上全面にSiO等の絶縁層を形成し、上面が同じ高さになるように研磨した後に素子部を形成することで、実現することができる。また、磁気収束部と磁化自由層との間には、例えば、SiOやSiNで構成される絶縁層を設けることができる。SiOやSiNに限るものではなく他の物質で構成される絶縁膜であっても適用することができる。
次に、本発明の一実施形態に係る磁気センサの各構成部について、例を挙げて説明する。
(1)磁化自由層
本発明の一実施形態に係る磁気センサにおける磁化自由層は、外部磁場によって容易に磁化される強磁性材料で主に構成される。磁化自由層は、一つの材料で構成される場合に限るものではなく多層膜であってもよい。強磁性材料としては、NiFe、CoFeB、CoFeSiB、CoFe、及びNiFeSiB等のうちのいずれかを用いることができるが、この限りではない。磁化自由層は、磁気感度向上のため磁化自由層中にRuやTa等の非磁性層が挿入された多層膜であることが好ましい。なお、磁化自由層の微細加工形状は問わない。
良好な磁気特性を得るためには、NiFe(第1の強磁性層)、Ru(第1の磁気結合層)、及びCoFeB(第2の強磁性層)が、この順に積層された積層膜が磁化自由層として望ましい。
(2)非磁性層
本発明の一実施形態に係る磁気センサにおける非磁性層は、絶縁性の非磁性材料で構成される。一般的に、TMR素子の場合はAl又はMgO等の絶縁材料を用いることができるが、この限りではない。高磁気感度化のため、非磁性層にMgOを利用することが好ましい。なお、非磁性層の微細加工形状は問わない。
また本発明の他の実施形態に係る磁気センサにおける非磁性層は、絶縁性でなくてもよい。非絶縁性の非磁性材料としては、CuやAg、Au等を用いることができるが、この限りではない。
(3)磁化固定層
本発明の一実施形態の磁気センサにおける磁化固定層は、外部磁場によって磁化方向が容易に変化しないように、強磁性材料を主に用いて構成される。磁化固定層は、一つの材料で構成される場合に限るものではなく、多層膜であってもよい。一例として、磁化固定層は、強磁性材料を反強磁性材料でピン止めした構造が用いられる。軟磁性材料としては、NiFe、CoFeB、CoFeSiB及びCoFe等のうちのいずれかを用いることができるが、この限りではない。磁気感度向上のため、磁化固定層中にRu又はTa等の非磁性層が挿入された多層膜であることが好ましい。また、反強磁性材料としてIrMn又はPtMn等を用いることができるが、本発明はこの構成に限定されない。なお、磁化固定層の微細加工形状は問わない。
良好な磁気特性を得るために、CoFeB(第3の強磁性層)、Ru(第2の磁気結合層)、CoFe(第4の強磁性層)、及びIrMn(第1の反強磁性層)が、この順に積層された積層膜が磁化固定層として望ましい。
外部から磁場が印加された時、磁化自由層面内では、磁化自由層の重心を通り、素子部の感磁軸と直交する線分上が最大になるような磁化分布が存在する。外部磁場に対して磁化の変化が大きい方がより感度の高い素子を得られることから、より高い感度の素子を作製するため、磁化固定層の少なくとも一部は、後述の図1に示すように、上面視で、磁化自由層の重心を通り、素子部の感磁軸と直交する線分上に配置されることが好ましい。
(4)素子部
本発明の一実施形態に係る磁気センサにおける素子部は、磁化自由層と、第一の方向に磁化が固定された磁化固定層と、磁化自由層と磁化固定層との間に配置された非磁性層と、を含み、磁化自由層、非磁性層及び磁化固定層の順に積層される。素子部は、基板上に、磁化自由層、非磁性層及び磁化固定層の順に積層されてもよく、逆に、磁化固定層、非磁性層及び磁化自由層の順に積層されてもよい。
微細加工プロセスの簡便さの観点から、上部からエッチングを行うため、磁化自由層と磁化固定層の上面視での面積は、基板側にある方が大きいことが望ましい。また、素子の磁気感度向上の観点から、磁化自由層の面積は大きい方が望ましい。以上2点を考慮した上で素子全体の面積効率を考えると、磁化自由層を磁化固定層よりも基板側に形成し、磁化自由層の一部の上に磁化固定層を形成することが望ましい。つまり、上面視で磁化固定層は磁化自由層内に含まれることが望ましい。すなわち、磁化自由層の面積は、磁化固定層の面積よりも大きくなる。
上記三つの層(磁化固定層、磁化自由層及び非磁性層)の上又は下、又は三つの層の間に他の層が挿入されていてもよい。
素子部の最上部には、酸化防止の観点から、非磁性のキャップ層を備えていることが好ましい。非磁性のキャップ層は、配線部との接続の観点から、Au又はRu等の導電性材料であることが好ましい。
密着性の観点から、キャップ層と、磁化自由層(又は磁化固定層)との間にTi又はTa等の金属層を備えていることが望ましい。素子部は公知の方法で形成することができ、一例としては、スパッタリング法により形成することができる。また、複数の素子部を形成する場合、基板上に形成された、少なくとも磁化自由層、非磁性層及び磁化固定層がこの順又は逆の順に積層された積層膜を、フォトリソグラフィー法で形成されたマスク部材を用いてドライエッチングやウェットエッチングすることにより形成することができる。
この時、素子部の途中でエッチングを停止させることにより、素子部の形状を制御してもよい。この場合、エッチング停止点より上側の層が、エッチング停止点の下側の層上に複数部分に分かれて形成されていてもよい。
また、エッチング停止点は任意に設定することができる。例えば、上側の層に磁化固定層(又は磁化自由層)と非磁性層の一部とが含まれ、下側の層に非磁性層の一部と磁化自由層(又は磁化固定層)とが含まれていてもよい。また、上側の層に磁化自由層、非磁性層、及び磁化固定層、が含まれ、下側の層はそれ以外の層(例えばTa又はRu等)で構成されていてもよい。
積層膜の磁化容易軸を決定するために、磁化容易軸にしたい方向と平行に、成膜中に磁場を印加してもよい。
ここで、磁化容易軸とは、磁性体のもつ磁気異方性の特性により、磁化されやすい方向のことを意味する。磁気異方性は、磁性体の形状によって決まる形状磁気異方性、結晶方位によって決まる結晶磁気異方性、磁性原子の配列によって起こる誘導磁気異方性等により決定される。
また、積層膜を成膜後に、磁場中で熱処理を行うことで磁化容易軸を決定してもよい。
また、磁化自由層を上面視で細長い形状に加工することで、磁化容易軸を決定してもよい。
また、素子部に流入する磁束密度を均一にするため、上面視で、素子部の、感磁軸に直交する方向における長さは、磁気収束部の、感磁軸に直交する方向における長さよりも短いことが好ましい。
また、磁気センサのノイズ低減の観点から、素子部は並列または直列に接続されていることが望ましい。さらに、絶縁破壊耐性向上のため、素子部は直列に接続されていることがより望ましい。また、素子部全体を効率的に磁気増幅するため、磁気収束部の感磁軸に直交する辺に沿って素子部を配置することが望ましい。
また、磁化自由層は、第1の強磁性層と、第1の磁気結合層と、第2の強磁性層とがこの順に積層されてなり、磁化固定層は、第3の強磁性層と、第2の磁気結合層と、第4の強磁性層と、第1の反強磁性層と、がこの順に積層されてなり、第1及び第2の磁気結合層は導電性の非磁性材料で形成され、第1及び第2の磁気結合層の膜厚は、第1~第4の強磁性層のいずれか一つの膜厚よりも小さく、第2の強磁性層及び第3の強磁性層は少なくともCo及びFeを含んでいてよい。
また、良好な磁気特性を得るため、第1の強磁性層の膜厚は、第2~第4の強磁性層の膜厚の総和よりも大きいことが好ましい。
(5)磁気収束部
本発明の一実施形態に係る磁気センサにおける磁気収束部は、膜厚方向が磁化困難軸方向となっている軟磁性材料により構成される。軟磁性材料は、NiFe、CoFeSiB、NiFeCuMo及びCoZrNb等が挙げられるがこの限りではない。磁気収束部はスパッタリング法やめっきによって作製することができる。すなわち、磁気収束部は公知の方法で形成することが可能である。一例としては、配線等が形成された積層部の全面に、Cu又はNiFe等の材料を用いてシード層を作り、フォトリソグラフィー法でマスク部材を形成し、さらにめっき膜を形成し、マスク部材や余分なシード層を除去することにより、磁気収束部を形成するか、蒸着法やスパッタリング法により磁気収束部を形成し、さらに、マスク部材を取り除くことで形成することができる。または、磁気収束部は、別途リボン状に形成された軟磁性体を切り出して形成し、素子部に近接するように貼りつけることでも形成できる。磁気収束部は、めっき等によって作製された第1の軟磁性体に、リボン状に形成された第2の軟磁性体を貼り付けて組み合わせてもよい。保磁力を抑制するために、膜面内の磁気特性に関して、素子部の感磁軸方向と平行な方向が、感磁軸に垂直な方向に比べて磁化困難軸的であることが望ましい。
また本発明の他の実施形態に係る磁気センサにおける磁気収束部は、素子部と電気的に絶縁されて構成される。磁気収束部と素子部とを電気的に絶縁するための構成としては、後述する保護層に用いられる酸化ケイ素、窒化ケイ素及び酸化アルミニウム等を磁気収束部と素子部の間に形成するが挙げられるが、この限りではない。
効率的に磁気増幅するため、上面視で、感磁軸に垂直な方向の磁気収束部の辺に、素子部ができるだけ近くなるように配置することが望ましい。磁気収束部は1つだけでも効果を発揮するが、より効果的な磁気増幅のため、上面視で、素子部を挟むように少なくとも2つの磁気収束部を配置することが望ましい。したがって、図11に示すように、素子部20が複数ある場合、素子部20は、上面視で、感磁軸の方向と略直交する方向に並んで配置されていることが望ましい。なお、図11に示す磁気センサは、図1に示す磁気センサにおいて、各部の寸法は若干異なるものの、素子部20を複数有すること以外は同一であるので、同一部には同一符号を付与している。
また、磁気収束部で発生する磁気的なノイズが素子部に伝搬し、デバイス特性が悪化することを防ぐため、磁気収束部と素子部とは絶縁されていることが望ましい。
また、磁化固定層と磁気収束部とが重なると、素子部の凹凸を反映して磁気収束部の形状が変化する。そのため、磁化固定層と磁気収束部とは重ならないように配置することが望ましい。また、素子部を均一に磁気増幅するため、磁気収束部は矩形であることが望ましい。
また、効率的に磁気増幅するために、後述の図1(b)に示すように、磁気収束部の膜厚D30は、素子部の膜厚D20よりも大きいことが好ましい。
また、簡便なプロセスで作製できるように、図1(b)に示すように、磁気収束部は素子部に対し、側面視で素子部の上端部が、磁気収束部の下端部よりも低くなるように配置されていることが好ましい。
また、効率的に磁気増幅するために、後述の図3で説明するように、磁気収束部は、上面視で、感磁軸と略平行方向に沿った長さが、感磁軸と略垂直方向に沿った長さよりも2倍以上長いことが好ましい。
また、簡便なプロセスで効率的な磁気増幅を可能にするため、図12A及び図12Bに示すように磁気収束部は、基板上に形成された第1の軟磁性体と、第1の軟磁性体とは別に形成された第2の軟磁性体と、を含んでいてもよい。例えば、第2の軟磁性体を、別途リボン状に形成された軟磁性体を切り出して形成し、これを第1の軟磁性体に張り付けてもよい。なお、図12A及び図12Bに示す磁気センサは、図11に示す磁気センサにおいて、磁気収束部の構成が異なること以外は同一であるので、同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
また、簡便なプロセスで効率的な磁気増幅を可能にするため、磁気収束部の少なくとも一部は、めっきプロセス工程によって形成されるめっき膜を含んでいてもよい。
(6)保護層
本発明の一実施形態に係る磁気センサにおける保護層は、素子部、配線部、及び磁気収束部等との絶縁を保つために用いる。保護層の材料は素子部、配線部、及び磁気収束部等を絶縁可能なものであれば特に制限されず、一例として酸化ケイ素、窒化ケイ素及び酸化アルミニウム等が挙げられる。保護層は素子部の表面全体を覆うように形成され、保護層の、素子部と配線部との接合部分や、電極等の上部に相当する領域には、通電窓(すなわち、開口部)が存在する。本発明において通電窓の位置や形状は限定されない。
(7)配線部
本発明の一実施形態に係る磁気センサにおける配線部は、保護層(絶縁層)上に形成された通電窓を介して電極と素子部とを接続する。また、配線部は、複数の磁気センサを、直列接続又は並列接続する場合、素子部同士を電気的に接続するためにも用いる。密着性の観点から、キャップ層(又は素子部の最上層)と配線部との間にTi又はTa等の層を備えていることが望ましい。
素子部同士を直列又は並列に接続して、複数の磁気センサを直列又は並列に接続する場合、磁気収束部を用いた効率的な磁気増幅を行うという観点から、上面視で素子部の感磁軸方向と略直交する方向に延びるように素子部同士を接続することが好ましい。
配線部の材料としては、素子部同士、また、電極間を電気的に接続することが可能な導電性の材料(例えばAu、Cu、Cr、Ni、Al、Ta及びRu等)であれば特に制限されない。また、配線部は単一の材料で構成されていてもよく、また、複数の材料が混合又は積層されることにより構成されていてもよい。配線部は公知の方法で形成することが可能であり、一例としては、フォトリソグラフィー法でマスク部材を形成し、マスク部材を含む基板全面に、蒸着法やスパッタリング法により導電性材料を形成し、さらに剥離液を用いてマスク部材を剥離すること(すなわち、リフトオフ法)により形成することができる。
また、素子部にバイアス磁場を加える目的で、素子部と接続しない配線部を別に設けてもよい。
(8)電極
本発明の一実施形態に係る磁気センサにおける電極は、外部の回路等との接続に用いる。密着性の観点から、基板または素子部上に電極を設ける場合には、基板と電極との間にTi、Ta等の層を備えていることが望ましい。基板上に素子部を残し、その上部に電極を作製してもよい。電極の材料としては、配線部同様、導電性の材料(例えばAu、Cu、Cr、Ni、Al、Ta及びRu等)であれば特に制限されないが、素子特性の観点から、酸化されにくい材料(Au又はRu等)である方が好ましい。
また、電極は単一の材料から構成されていてもよく、また、複数の材料が混合されたもの又は積層されたものから構成されていてもよい。電極は公知の方法で形成することが可能であり、一例としては、フォトリソグラフィー法でマスク部材を形成し、さらに、マスク部材を含む積層部全面に、蒸着法やスパッタリング法により導電性材料を形成し、さらに剥離液を用いてマスク部材を剥離すること(すなわち、リフトオフ法)により形成することができる。プロセス工数の観点から、配線部と同一プロセスで作製することが望ましい。
また、配線部及び電極を保護層が覆っている場合、電極部は、外部と電気的に接続するための通電窓を有する。
<具体例>
以下、本発明の一実施形態に係る磁気センサの具体例を、図面を用いて説明する。また、従来技術との比較を行い、優位性を示す。なお、以下に説明する各図において、同一の構成を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
<実施形態>
(構成の一例)
図1は、本発明の一実施形態に係る磁気センサ1の構成の一例を示す模式図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のA-A′断面図である。なお、図1(a)には、各層の重なりが明確になるように、一部外部に露出していない磁気センサ1内部の境界線も破線で示している。
図1に示す磁気センサ1は、基板10と、基板10上に配置された素子部20と、素子部20を覆う保護層40と、保護層40に形成された通電窓としての開口部40aを通じて素子部20と接続される配線部50と、配線部50及び保護層40を覆う保護層41と、を備える。さらに、磁気センサ1は、保護層41上に、シード層31を介して積層された磁気収束部30を備える。上面視で、配線部50と重なる保護層41の一部には、通電窓41aが形成され、配線部50が露出した部分が電極51を形成している。
磁気収束部30は一対の磁気収束部30L及び30Rを含む。磁気収束部30L及び30Rは、上面視で矩形状に形成され、素子部20の感磁軸の方向と磁気収束部30L及び30Rそれぞれの対向する一対の辺とが平行となり、且つ、磁気収束部30L及び30Rそれぞれの他方の一対の辺同士が平行となり、これら磁気収束部30Lと30Rとの間に、素子部20をその両側から挟むように配置される。図1(a)では、素子部20の左側の磁気収束部を磁気収束部30Lとし、右側の磁気収束部を磁気収束部30Rとして記載している。また、素子部20の感磁軸の方向を磁気センサ1の幅方向、すなわち図1において左から右に向かう方向としている。
素子部20は磁化自由層21と、非磁性層22と、磁化固定層23とがこの順で基板10上に積層されて構成される。
さらに本発明の一実施形態に係る磁気センサ1は、図1に示すように、上面視で、磁化自由層21の一部と、磁気収束部30の少なくとも一部とが重複するように配置される。
(製造方法の一例)
本発明の第一実施形態に係る磁気センサ1の製造方法を示す。以下に示す製造方法は一例であって、必ずしも以下の方法で作製する必要はない。
まず、基板10上に、スパッタリング法等の公知の方法で、磁化自由層21、非磁性層22及び磁化固定層23となる強磁性層と非磁性層と強磁性層との積層膜を交互に成膜する。次に、この積層膜上に、フォトリソグラフィー法等により、マスク部材を形成する。マスク部材は、積層膜上に所望の箇所で所望の形状で形成してよい。
次に、このマスク部材をマスクに、イオンミリング等の公知の方法で積層膜をエッチングする。これにより、基板10上の積層膜を所望の形状に加工しマスク部材を除去する。この時、エッチングにより、積層膜の一部から構成される積層部を複数形成してもよい。
次に、この積層部の上に、フォトリソグラフィー法等によりマスク部材を形成する操作を再度行う。この時マスク部材の開口部は、上面視で、積層部内に収まるように形成する。
次に、積層部の上に形成されたマスク部材をマスクに、イオンミリング等の公知の方法で積層部をエッチングする。このとき、積層部に含まれる「強磁性層/非磁性層/強磁性層」構造の、非磁性層付近でエッチングを止め、マスク部材を除去する。その際、下側の強磁性層が一部エッチングされてもよい。これにより素子部20が形成される。
次に素子部20を含む基板10全体を覆うように、CVD法等公知の方法で保護層40となる絶縁膜を成膜する。この絶縁膜上に、フォトリソグラフィー法等により、開口部40a形成用のマスク部材を形成する。さらにRIE等の公知の方法で絶縁膜をエッチングし、開口部40aを形成し、マスク部材を除去する。これにより、開口部40aを備えた保護層40が形成される。
次に、この開口部40aを備えた保護層40の上に、フォトリソグラフィー法等により、配線部50及び電極51形成用のマスク部材を形成する。さらにスパッタリング法等公知の方法で金属薄膜を成膜し、マスク部材を除去することでマスク部材上の金属薄膜が剥離され、配線部50及び電極51が同時に形成される。
次に、CVD法等公知の方法で全面に保護層41となる絶縁膜を成膜し、さらに、保護層41の上に、スパッタリング法等公知の方法でめっきシード層31を形成する。さらに、このシード層31上にフォトリソグラフィー法等により磁気収束部30形成用の領域のみが開口されたマスク部材を形成する操作を行う。
次に、電解めっき等の公知の方法で磁気収束部30となるめっき膜を形成し、マスク部材を除去する。さらにイオンミリング等公知の方法で、露出している表面全体を覆うシード層31を除去することで、磁気収束部30L及び30Rを形成する。さらに、フォトリソグラフィー法等により電極51となる領域のみが開口されたマスク部材を形成する操作を行う。そして、RIE等公知の方法で保護層41となる絶縁膜をエッチングして通電窓41aを形成し、マスク部材を除去する。この操作により、電極51と外部端子とを接続することが可能になる。
以上の工程により、本発明の第一実施形態に係る磁気センサ1を得ることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。この実施例では、素子部20と磁気収束部30とが、上面視で重なる重複領域Pを有するように作製し、その磁気感度に関して検討した。
<実施例1>
[磁気センサの形成]
実施例1に係る磁気センサとして、図11に示す磁気センサ1を次の成膜及び微細加工プロセスを経て作製した。図11のA-A′断面図は、図1(b)に対応する。
まず、図13に示すように、表面にSiOが1μm程度成膜された基板10上に、磁化自由層21の下地層となるTa、磁化自由層21となるNiFe、Ru及びCoFeBがこの順に積層された多層膜、非磁性層22となるMgO、磁化固定層23となるCoFeB、Ru、CoFe及びIrMnがこの順に積層された多層膜、キャップ層となるTa及びRuがこの順で積層された多層膜を、この順で積層し積層膜を形成した。
次にこの積層膜上にフォトリソグラフィー法により、積層膜から、素子部20となる積層部を複数形成するための第1のマスク部材を形成した。次に、ECRプラズマエッチング装置を用いて、積層膜のうち、第1のマスク部材で覆われていない部分を除去し、複数の積層部を形成した。その後、第1のマスク部材を除去した。
次に、フォトリソグラフィー法により、素子部20を形成するための第2のマスク部材を、全ての積層部の上に2つずつ形成した。次に、ECRプラズマエッチング装置を用いて、第2のマスク部材で覆われていない積層部を非磁性層22となる層まで除去した。これにより、複数の素子部20を基板10上に形成した。その後、第2のマスク部材を除去した。
次に、複数の素子部20が形成された基板10上に、SiOで構成される保護層40を成膜した。次に、開口部40aを作製するためフォトリソグラフィー法により、全ての素子部20の磁化固定層23の中央付近のみ露出し、それ以外の領域を覆う第3のマスク部材を保護層40上に形成した。そして、この第3のマスク部材をマスクに、RIEエッチング装置を用いて保護層40の露出部分をエッチングした。これにより、配線部50との接続のための開口部40aを有する保護層40を形成した。その後、第3のマスク部材を除去した。
次に、フォトリソグラフィー法により、各開口部40aを直列に接続するような配線部50が形成される領域と、電極51が形成される領域とが露出し、それ以外の領域を覆う第4のマスク部材を保護層40上に形成した。次に、マグネトロンスパッタリング装置を用いて全面に金属膜を積層した。その後、リフトオフ法により第4のマスク部材を除去し、金属膜から配線部50及び電極51を形成した。
次に、磁場中熱処理装置を用いて、膜面内で感磁軸とする方向と垂直な方向に磁場をかけながら325℃で1時間熱処理(第1の熱処理)を行い、磁場をかけたままで100℃以下まで冷却した。その後さらに、感磁軸とする方向に磁場をかけながら325℃で1時間熱処理(第2の熱処理)を行い、磁場をかけたままで100℃以下まで冷却した。
次に、配線部50及び電極51を含む基板10上全面にSiOで構成される保護層41を積層後、マグネトロンスパッタリング装置を用いて、さらに保護層41上全面にシード層31となるTa/Cu層を積層した。さらに、フォトリソグラフィー法により、磁気収束部30が形成される領域以外を覆う、第5のマスク部材をシード層31となるTa/Cu層上に形成した。
次に、電解めっきにより、第5のマスク部材の開口部の、シード層31上に磁気収束部30を形成した。この時、磁気収束部30L、30Rの、素子部20側の端部は、上面視で磁化自由層21の両端をそれぞれ20μmずつ覆うように形成した。その後リフトオフ法により第5のマスク部材を除去し、エッチング装置を用いて余分なシード層31を除去した。さらに、フォトリソグラフィー法等により電極51となる領域のみが開口されたマスク部材を形成する操作を行い、第6のマスク部材を形成した。そして、この第6のマスク部材をマスクに、RIEエッチング装置を用いて保護層41の露出部分をエッチングし、マスク部材を除去した。
以上の操作により、磁気センサ1を作製した。
作製した磁気センサ1に1Vの電圧をかけながら、感磁軸とする方向から外部磁場を「-0.6Oe以上0.6Oe以下」の範囲で変化させ、磁気抵抗変化の測定を行った。
<比較例1>
次に、比較例1について説明する。
図14は、比較例1に係る磁気センサ2の構成の一例を示す平面図であり、素子部20を三つ備えている例である。なお、図14には、各層の重なりが明確になるように、一部外部に露出していない磁気センサ2内部の境界線も破線で示している。また、図14における素子部20を一つのみとした場合の磁気センサの平面図は、図2(a)となる。図14のA-A′断面図及び図2(a)のA-A′断面図は、いずれも図2(b)である。
図14に示す比較例1に係る磁気センサ2は、図11に示す実施例1における磁気センサ1において、磁気収束部30の、素子部20側の端部が、上面視で磁化自由層21の両端からそれぞれ5μmずつ離れた位置となるように形成したものである。これ以外は、実施例1における磁気センサ1と同様であり、同一部には同一構成を付与している。また、実施例1と同様の方法で磁気センサ2の形成と磁気抵抗変化の測定とを行った。
<感度の比較>
実施例1と比較例1とについて感度の比較を行った。
本発明の一実施形態に係る磁気センサ1の抵抗変化の原理は、すでに公知である、TMR効果(Tunnel Magneto Resistance effect)によるものである。TMR効果による抵抗値の変化は、磁化自由層の磁化と磁化固定層の磁化の相対角の変化によるものであり、これらの界面において抵抗が変化する。TMRセンサ等の感度の定義は、公知であるように、磁化の相対角度が0°である時の抵抗値をRp、180°である時の抵抗値をRap、抵抗変化範囲を2Hkとしたとき、次式(1)で表すことができる。
(((Rap-Rp)/Rp)×100)/2Hk[%/Oe] ……(1)
前記の定義により感度を比較すると、実施例1では、感度が226%/Oeとなり、比較例1では、感度が118%/Oeとなった。実施例1と比較例1との違いは、図11及び図14からわかるように、磁気収束部30の配置位置のみである。以上の結果より、本発明の一実施形態に係る磁気センサ1、つまり、上面視で磁化自由層21と磁気収束部30L、30Rとがそれぞれ重なっている方が、感度がより高いことがわかる。
<実施例2>
次に実施例2について説明する。
実施例2では、実施例1の磁気センサ1における各磁性体と同等の構成を有する磁性体群を想定し、有限要素法による磁場解析シミュレーションを行った。なお、後述の実施例3~実施例25、比較例2~比較例10も同様にして磁場解析シミュレーションを行った。
磁場解析シミュレーションでは、任意の形状、透磁率の磁性体をコンピュータ上に作製することができる。形状を定義された磁性体を、任意の大きさの小領域に区切り、磁場を印加すると、磁性体中の各小領域の磁化状態を計算することができる。磁性体の磁化の値の大小は、感度の増幅率と対応している。
そこで実施例2では、磁気収束部30に対応する磁性体30′と磁化自由層21に対応する磁性体21′とを定義し、磁性体30′が在る時の磁性体21′の磁化が、磁性体30′が無い時の磁性体21′の磁化に対して何倍になっているかを調査した。この値を「増幅率」と定義する。
ここで、本発明の一実施形態に係る磁気センサ1の抵抗変化が起こる部分は、上面視で、磁化自由層21と磁化固定層23とが重なっている部分である。本発明の一実施形態に係る磁気センサ1の抵抗変化に相当するのは、磁化自由層21と磁化固定層23とが上面視で重なっている領域の磁化の変化である。そこで本シミュレーションでは、磁性体21′の中央付近の領域を感磁エリア23′とし、感磁エリア23′の磁化の平均値を増幅率の計算に使用した。
なお、以下の実施例では計算を簡単にするため、感磁エリア23′の長さを磁性体21′の長さと一致させて増幅率を計算するが、感磁エリア23′の感磁軸と垂直な方向の長さは磁性体21′の長さと異なっていても良い。増幅率は、感磁エリア23′の磁化の平均値に依存するため、感磁軸と垂直な方向の長さが変わっても磁化の平均値はほとんど変わらないためである。また、ここでは、上面視で、磁性体21′と磁性体30′とが重なる領域の面積を「面積P」とし、感磁エリア23′と磁性体30′とが重なる領域の面積を「面積Q」とし、磁性体21′と磁性体30′とが重なる領域のうち、感磁エリア23′と重ならない部分の面積を「面積R」としている。
面積P、Q、及びRの関係を図10に示す。面積P、Q及びRは、上述の重複領域P、重複部分Q及び重複部分Rに対応しており、P=Q+Rの関係にある。
「面積P」が「0」よりも大きい場合が実施例、「面積P」が「0」の場合が比較例となる。
図3は実施例2に係る磁性体群a2の配置を示す模式図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は図3(a)のA-A′断面図である。なお、以後、磁性体群とは、磁化自由層21に対応する磁性体21′と、磁化固定層23に対応する感磁エリア23′と、磁気収束部30Lに対応する磁性体30L′と、磁気収束部30Rに対応する磁性体30R′とを表す。
まず、磁場解析シミュレーション上の、磁気センサ1における各磁性体と同等の構成を有する磁性体群について、磁化自由層21と対応する磁性体21′を、長さL21=140μm、幅W21=100μm、厚さD21=0.1μm、透磁率2000として配置した。磁性体21′の厚さD21の中心から、厚さ方向に1μm離れた平面上に、本発明に係る磁気収束部30L及び30Rと対応する磁性体30L′及び30R′の底面がくるように配置した。磁性体30L′及び30R′は、長さL30=750μm、幅W30=10mm、厚さD30=10μm、透磁率2000として、それぞれ磁性体21′の幅方向の左側と右側とに配置した。このとき、上面視で磁性体30L′の幅方向右端が、磁性体21′の幅方向左端よりも5μm右側となり、磁性体30R′の幅方向左端が、磁性体21′の幅方向右端よりも5μm左側となるように配置した。また、感磁エリア23′を、磁性体21′と重心が同じ位置に、長さL23=140μm、幅W23=40μmの大きさで定義した。
このように定義すると実施例2では、面積Pは140×5×2=1400μmとなる。また、感磁エリア23′と磁性体30′(30L′、30R′)とが重複部分を持たないので、面積Qは0μm、面積RはR=P-Qより1400μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rよりも小さい。
また、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は「0」である。
上記のように配置された磁性体21′と磁性体30L′及び30R′に対して、図3に示すように図3における左側から右側へ、つまり、磁性体21′(素子部20)の感磁軸方向に0.1nTの磁場を印加し、その時の磁性体21′の感磁エリア23′の磁化を取得した。
また、磁性体30L′、30R′は配置せず、磁性体21′のみを配置して、同様の手順で感磁エリア23′の磁化を取得して、感磁エリア23′の増幅率の平均値を算出した。
以下、実施例3~実施例25及び比較例2~比較例10について説明する。
実施例3~実施例25それぞれに係る磁性体群a3~a25及び比較例2~比較例10それぞれに係る磁性体群b2~b10は、それぞれ実施例2において、磁場解析シミュレーション上の、磁気センサ1における各磁性体と同等の構成を有する。また、各磁性体群a3~a25、b2~b10は、実施例2において、磁性体30L′及び30R′と、磁性体21′との配置位置又は感磁エリア23′の幅W23を異ならせたものである。それ以外は、実施例2と同様の方法で、感磁エリア23′の増幅率の平均値を算出した。
ここで、磁性体30L′及び30R′と、磁性体21′とが、磁性体21′の幅方向左右端それぞれにおいて、上面視で重なるように配置した場合の、磁性体30L′と磁性体21′との重なり幅を重複幅WPとする。なお、磁性体30L′と磁性体21′との重なり幅と磁性体30R′と磁性体21′との重なり幅とは同一となるように配置する。つまり、磁性体21′と磁性体30L′との位置関係と、磁性体21′と磁性体30R′との位置関係とは同一となるように配置する。また、磁性体30L′及び30R′と、磁性体21′とが、磁性体21′の幅方向左右端それぞれにおいて、上面視で重ならないように配置した場合には、磁性体30L′と磁性体21′との間隔はマイナス値の重複幅WPで表すものとする。
<実施例3>
実施例3に係る磁性体群a3の配置を示す模式図は、図3に示す模式図と同一である。
実施例3は実施例2において、重複幅WPを10μmとしたものである。感磁エリア23′の幅W23は40μmである。
実施例3では、面積Pは140×10×2=2800μmとなる。また、感磁エリア23′と磁性体30′とが重複部分を持たないので、面積Qは0μm、面積RはR=P-Qより2800μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rよりも小さい。また、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は「0」である。
<実施例4>
実施例4に係る磁性体群a4の配置を示す模式図は、図3に示す模式図と同一である。
実施例4は実施例3において、重複幅WPを15μmとしたものである。
実施例4では、面積Pは140×15×2=4200μmとなる。また、面積Qは0μm、面積Rは4200μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rよりも小さい。また、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は「0」である。
<実施例5>
実施例5に係る磁性体群a5の配置を示す模式図は、図3に示す模式図と同一である。
実施例5は実施例3において、重複幅WPを20μmとしたものである。
実施例5では、面積Pは140×20×2=5600μmとなる。また、面積Qは0μm、面積Rは5600μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rよりも小さい。また、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は「0」である。
<実施例6>
実施例6に係る磁性体群a6の配置を示す模式図は、図3に示す模式図と同一である。
実施例6は実施例3において、重複幅WPを25μmとしたものである。
実施例6では、面積Pは140×25×2=7000μmとなる。また、面積Qは0μm、面積Rは7000μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rよりも小さい。また、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は「0」である。
<実施例7>
図4は実施例7に係る磁性体群a7の配置を示す模式図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は図4(a)のA-A′断面図である。
実施例7は実施例3において、重複幅WPを30μmとしたものである。つまり、上面視で磁性体30L′の幅方向右端と、感磁エリア23′の幅方向左端とが一致し、磁性体30R′の幅方向左端と、感磁エリア23′の幅方向右端とが一致するように配置した。
実施例7では、面積Pは140×30×2=8400μmとなる。また、面積Qは0μm、面積Rは8400μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rよりも小さい。また、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は「0」である。
<実施例8>
図5は実施例8に係る磁性体群a8の配置を示す模式図であり、図5(a)は平面図、図5(b)は図5(a)のA-A′断面図である。
実施例8は実施例3において、重複幅WPを35μmとしたものである。
実施例8では、面積Pは140×35×2=9800μmとなる。また、感磁エリア23′と磁性体30′とは、片側5μmずつ感磁エリア23′の両側に重複幅を持つので、面積Qは、140×5×2=1400μm、面積Rは8400μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rよりも小さい。また、感磁エリア23′の面積は、140×40=5600μmであるため、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は1/4である。
<実施例9>
実施例9に係る磁性体群a9の配置を示す模式図は、図5に示す模式図と同一である。
実施例9は実施例8において、重複幅WPを37.5μmとしたものである。
実施例9では、面積Pは140×37.5×2=10500μmとなる。また、片側7.5μmずつ感磁エリア23′の両側に重複幅を持つので、面積Qは、140×7.5×2=2100μm、面積Rは8400μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rよりも小さい。また、感磁エリア23′の面積は、140×40=5600μmであるため、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は3/8である。
<実施例10>
実施例10に係る磁性体群a10の配置を示す模式図は、図5に示す模式図と同一である。
実施例10は実施例8において、重複幅WPを40μmとしたものである。
実施例10では、面積Pは140×40×2=11200μmとなる。また、片側10μmずつ感磁エリア23′の両側に重複幅を持つので、面積Qは、140×10×2=2800μm、面積Rは8400μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rよりも小さい。また、感磁エリア23′の面積は、140×40=5600μmであるため、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は1/2である。
<比較例2>
図6は比較例2に係る磁性体群b2の配置を示す模式図であり、図6(a)は平面図、図6(b)は図6(a)のA-A′断面図である。
比較例2は実施例3において、磁性体30L′及び30R′と、磁性体21′とを、上面視で磁性体30L′の幅方向右端が、磁性体21′の幅方向左端から10μm左側となり、磁性体30R′の幅方向左端が、磁性体21′の幅方向右端から10μm右側となるように配置した。つまり、重複幅WPを-10μmとしたものである。感磁エリア23′の幅W23は40μmである。
比較例2では、磁性体21′と磁性体30′とが重複部分を持たないので、面積Pは0μmとなり、面積PはP=Q+Rであるため、面積P、Q及びRは全て0μmとなる。
<比較例3>
比較例3に係る磁性体群b3の配置を示す模式図は、図6に示す模式図と同一である。
比較例3は比較例2において、重複幅WPを-5μmとしたものである。
比較例3では、面積Pは0μmとなり、面積P、Q及びRは全て0μmとなる。
<比較例4>
図7は比較例4に係る磁性体群b4の配置を示す模式図であり、図7(a)は平面図、図7(b)は図7(a)のA-A′断面図である。
比較例4は比較例2において、磁性体30L′及び30R′と、磁性体21′とを、上面視で磁性体30L′の幅方向右端と、磁性体21′の幅方向左端とが一致し、磁性体30R′の幅方向左端と、磁性体21′の幅方向右端とが一致するように配置した。つまり、重複幅WPを0μmとしたものである。
比較例4では、面積Pは0μmとなり、面積P、Q及びRは全て0μmとなる。
<実施例11>
実施例11に係る磁性体群a11の配置を示す模式図は、図3に示す模式図と同一である。
実施例11は、実施例2における感磁エリア23′を、磁性体21′と重心が同じ位置に、長さL23=140μm、幅W23=60μmの大きさで定義した。また、重複幅WPを5μmとした。
実施例11では、面積Pは140×5×2=1400μmとなる。また、感磁エリア23′と磁性体30′とが重複部分を持たないので、面積Qは0μm、面積Rは1400μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rよりも小さい。また、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は「0」である。
<実施例12>
実施例12に係る磁性体群a12の配置を示す模式図は、図3に示す模式図と同一である。
実施例12は実施例11において、重複幅WPを10μmとした。
実施例12では、面積Pは140×10×2=2800μmとなる。また、面積Qは0μm、面積Rは2800μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rよりも小さい。また、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は「0」である。
<実施例13>
実施例13に係る磁性体群a13の配置を示す模式図は、図3に示す模式図と同一である。
実施例13は実施例11において、重複幅WPを15μmとした。
実施例13では、面積Pは140×15×2=4200μmとなる。また、面積Qは0μm、面積Rは4200μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rよりも小さい。また、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は「0」である。
<実施例14>
実施例14に係る磁性体群a14の配置を示す模式図は、図4に示す模式図と同一である。
実施例14は実施例11において、重複幅WPを20μmとした。つまり、上面視で磁性体30L′の幅方向右端と、感磁エリア23′の幅方向左端とが一致し、磁性体30R′の幅方向左端と、感磁エリア23′の幅方向右端とが一致するように配置した。
実施例14では、面積Pは140×20×2=5600μmとなる。また、感磁エリア23′と磁性体30′とが重複部分を持たないので、面積Qは0μm、面積Rは5600μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rよりも小さい。また、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は「0」である。
<実施例15>
実施例15に係る磁性体群a15の配置を示す模式図は、図5に示す模式図と同一である。
実施例15は実施例11において、重複幅WPを25μmとした。
実施例15では、面積Pは140×25×2=7000μmとなる。また、感磁エリア23′と磁性体30′とは、片側5μmずつ感磁エリア23′の両側に重複幅を持つので、面積Qは、140×5×2=1400μmとなる。また、面積Rは5600μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rよりも小さい。また、感磁エリア23′の面積は、140×60=8400μmであるため、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は1/6となる。
<実施例16>
実施例16に係る磁性体群a16の配置を示す模式図は、図5に示す模式図と同一である。
実施例16は実施例15において、重複幅WPを30μmとした。
実施例16では、面積Pは140×30×2=8400μmとなる。また、感磁エリア23′は、片側10μmの重複幅を持つので、面積Qは、140×10×2=2800μm、面積Rは5600μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rよりも小さい。また、感磁エリア23′の面積は、140×60=8400μmであるため、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は1/3となる。
<実施例17>
実施例17に係る磁性体群a17の配置を示す模式図は、図5に示す模式図と同一である。
実施例17は実施例15において、重複幅WPを35μmとした。
実施例17では、面積Pは140×35×2=9800μmとなる。また、感磁エリア23′と磁性体30′とは、片側15μmずつ感磁エリア23′の両側に重複幅を持つので、面積Qは、140×15×2=4200μm、面積Rは5600μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rよりも小さい。また、感磁エリア23′の面積は、140×60=8400μmであるため、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は1/2となる。
<実施例18>
実施例18に係る磁性体群a18の配置を示す模式図は、図5に示す模式図と同一である。
実施例18は実施例15において、重複幅WPを37.5μmとした。
実施例18では、面積Pは140×37.5×2=10500μmとなる。また、感磁エリア23′と磁性体30′とは、片側17.5μmずつ感磁エリア23′の両側に重複幅を持つので、面積Qは、140×17.5×2=4900μm、面積Rは5600μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rよりも小さい。また、感磁エリア23′の面積は、140×60=8400μmであるため、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は約3/5(58.3%)となる。
<実施例19>
実施例19に係る磁性体群a19の配置を示す模式図は、図5に示す模式図と同一である。
実施例19は実施例15において、重複幅WPを40μmとした。
実施例19では、面積Pは140×40×2=11200μmとなる。また、感磁エリア23′と磁性体30′とは、片側20μmずつ感磁エリア23′の両側に重複幅を持つので、面積Qは、140×20×2=5600μm、面積Rは5600μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rと同一となる。また、感磁エリア23′の面積は、140×60=8400μmであるため、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は約2/3となる。
<比較例5>
比較例5に係る磁性体群b5の配置を示す模式図は、図6に示す模式図と同一である。
比較例5は、実施例11において、磁性体30L′及び30R′と、磁性体21′とを、上面視で磁性体30L′の幅方向右端が、磁性体21′の幅方向左端から10μm左側となり、磁性体30R′の幅方向左端が、磁性体21′の幅方向右端から10μm右側となるように配置した。つまり、重複幅WPを-10μmとしたものである。
比較例5では、磁性体21′と磁性体30′とが重複部分を持たないので、面積Pは0μmとなり、面積PはP=Q+Rであるため、面積P、Q及びRは全て0μmとなる。
<比較例6>
比較例6に係る磁性体群b6の配置を示す模式図は、図6に示す模式図と同一である。
比較例6は比較例5において、重複幅WPを-5μmとしたものである。
比較例6では、面積Pは0μmとなり、面積P、Q及びRは全て0μmとなる。
<比較例7>
比較例7に係る磁性体群b7の配置を示す模式図は、図7に示す模式図と同一である。
比較例7は実施例11において、磁性体30L′及び30R′と、磁性体21′とを、上面視で磁性体30L′の幅方向右端と、磁性体21′の幅方向左端とが一致し、磁性体30R′の幅方向左端と、磁性体21′の幅方向右端とが一致するように配置した。つまり、重複幅WPを0μmとしたものである。
比較例7では、面積Pは0μmとなり、面積P、Q及びRは全て0μmとなる。
<実施例20>
実施例20に係る磁性体群a20の配置を示す模式図は、図3に示す模式図と同一である。
実施例20は、実施例2における感磁エリア23′を、磁性体21′と重心が同じ位置に、長さL23=140μm、幅W23=80μmの大きさで定義した。また、重複幅WPを5μmとした。
実施例20では、面積Pは140×5×2=1400μmとなる。また、感磁エリア23′と磁性体30′とが重複部分を持たないので、面積Qは0μm、面積Rは1400μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rよりも小さい。また、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は「0」である。
<実施例21>
実施例21に係る磁性体群a21の配置を示す模式図は、図4に示す模式図と同一である。
実施例21は実施例20において、重複幅WPを10μmとした。
実施例21では、面積Pは140×10×2=2800μmとなる。また、面積Qは0μm、面積Rは2800μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rよりも小さい。また、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は「0」である。
<実施例22>
実施例22に係る磁性体群a22の配置を示す模式図は、図5に示す模式図と同一である。
実施例22は実施例20において、重複幅WPを15μmとした。
実施例22では、面積Pは140×15×2=4200μmとなる。また、感磁エリア23′と磁性体30′とは、片側5μmの重複幅を持つので、面積Qは、140×5×2=1400μm、面積Rは2800μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rより小さい。また、感磁エリア23′の面積は、140×80=11200μmであるため、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は約1/8である。
<実施例23>
実施例23に係る磁性体群a23の配置を示す模式図は、図5に示す模式図と同一である。
実施例23は実施例20において、重複幅WPを20μmとした。
実施例23では、面積Pは140×20×2=5600μmとなる。また、感磁エリア23′と磁性体30′とは、片側10μmの重複幅を持つので、面積Qは、140×10×2=2800μm、面積Rは2800μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rと同一となる。また、感磁エリア23′の面積は、140×80=11200μmであるため、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は約1/4である。
<実施例24>
実施例24に係る磁性体群a24の配置を示す模式図は、図5に示す模式図と同一である。
実施例24は実施例20において、重複幅WPを25μmとした。
実施例24では、面積Pは140×25×2=7000μmとなる。また、感磁エリア23′と磁性体30′とは、片側15μmずつ感磁エリア23′の両側に重複幅を持つので、面積Qは、140×15×2=4200μm、面積Rは2800μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rより大きい。また、感磁エリア23′の面積は、140×80=11200μmであるため、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は約3/8である。
<実施例25>
実施例25に係る磁性体群a25の配置を示す模式図は、図5に示す模式図と同一である。
実施例25は実施例20において、重複幅WPを30μmとした。
実施例25では、面積Pは140×30×2=8400μmとなる。また、感磁エリア23′と磁性体30′とは、片側20μmずつ感磁エリア23′の両側に重複幅を持つので、面積Qは、140×20×2=5600μm、面積Rは2800μmとなる。
したがって、面積Qは面積Rより大きい。また、感磁エリア23′の面積は、140×80=11200μmであるため、感磁エリア23′に占める面積Qの割合は1/2である。
<比較例8>
比較例8に係る磁性体群b8の配置を示す模式図は、図6に示す模式図と同一である。
比較例8は、実施例20において、上面視で磁性体30L′の幅方向右端が、磁性体21′の幅方向左端から10μm左側となり、磁性体30R′の幅方向左端が、磁性体21′の幅方向右端から10μm右側となるように配置した。つまり、重複幅WPを-10μmとした。
比較例8では、磁性体21′と磁性体30′とが重複部分を持たないので、面積Pは0μmとなり、面積PはP=Q+Rであるため、面積P、Q及びRは全て0μmとなる。
<比較例9>
比較例9に係る磁性体群b9の配置を示す模式図は、図6に示す模式図と同一である。
比較例9は比較例8において、重複幅WPを-5μmとした。
比較例9では、面積Pは0μmとなり、面積P、Q及びRは全て0μmとなる。
<比較例10>
比較例10に係る磁性体群b10の配置を示す模式図は、図7に示す模式図と同一である。
比較例10は比較例8において、上面視で磁性体30L′の幅方向右端と、磁性体21′の幅方向左端とが一致し、磁性体30R′の幅方向左端と、磁性体21′の幅方向右端とが一致するように配置した。つまり、重複幅WPを0μmとした。
比較例10では、磁性体21′と磁性体30′とが重複部分を持たないので、面積Pは0μmとなり、面積P、Q及びRは全て0μmとなる。
<増幅率の比較>
実施例2~実施例25及び比較例2~比較例10の、感磁エリア23′の幅(W23と表記)と、上面視での磁性体30L′(又は磁性体30R′)と磁性体21′との重複幅(WPと表記)と、P、Q及びRの面積と、感磁エリア23′に占める面積Qの割合(Q/S23と表記)と、感磁エリア23′における増幅率の平均値との関係を表1にまとめて示す。
なお、表1中においても、重複幅WPは、磁性体30L′及び30R′と磁性体21′とが上面視で重ならず、上面視で磁性体21′と磁性体30′との間に間隔がある場合、重複幅WPをマイナス値として表記している。
Figure 2022066240000002
図8に、上面視での磁性体30L′と磁性体21′との重複幅WPを横軸、感磁エリア23′の増幅率の平均値を縦軸とした、これら間の関係を示す。
また、図9に、感磁エリア23′に占める面積Qの割合Q/S23を横軸、感磁エリア23′の増幅率の平均値を縦軸とした、これら間の関係を示す。
なお、図8及び図9において、記号「◆、◇」は感磁エリア23′の幅W23が40μmである場合、記号「●、○」は幅W23が60μmである場合、記号「▲、△」は幅W23が80μmである場合を表す。また、記号「◆、●、▲」は実施例2~実施例25を表し、記号「◇、○、△」は、比較例2~比較例10を表す。
ここで、実施例と比較例との違いは、磁性体30′の配置位置のみであるから、表1、図8及び図9から、多くの実施例で、各比較例に対して増幅率が向上し、より優れた感度特性を得られることがわかる。
また、磁化自由層21と磁気収束部30の重複部分の幅が大きい時は、磁気センサ1全体のサイズが小さくなっている。すなわち、優れた感度特性を維持しつつ、小型化できるという点で、比較例よりも優れていると言える。
つまり、本発明の一実施形態に係る磁気センサ1は、比較例に対してより小型で、優れた感度特性を得ることができる。
ここで、仮想空間上の磁性体21′は磁化自由層21に対応する。また、磁性体30′は磁気収束部30に対応する。感磁エリア23′は磁化固定層23に対応する。面積P、Q、Rは、それぞれ、重複領域P、重複部分Q及びRに対応する。
つまり、実施例2~実施例25、比較例2~比較例10の結果から、磁気センサが重複領域Pを有するとき、比較例に比べてより優れていることが分かる。
さらに、重複領域Pを有する磁気センサにおいて、重複部分Qの面積が重複部分Rの面積よりも小さい時、または、上面視での磁化固定層に占める重複部分Qの割合が3/8以下である時、磁気センサは、比較的高い増幅率を得られることがわかる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置および方法における動作、手順等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の順序に関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
1、2 磁気センサ
10 基板
20 素子部
21 磁化自由層
21′ 磁性体
22 非磁性層
23 磁化固定層
23′ 感磁エリア
30、30L、30R 磁気収束部
30′、30L′、30R′ 磁性体
31 シード層
40 保護層
40a 開口部
41 保護層
41a 通電窓
50 配線部
51 電極
a2~a25 実施例2~実施例25の磁性体群
b2~b10 比較例2~比較例10の磁性体群

Claims (5)

  1. 基板と、
    前記基板上に、磁化自由層と非磁性層と磁化固定層とが積層された素子部と、
    磁気収束部と、
    を備え、
    上面視で、前記磁化自由層の面積は前記磁化固定層の面積よりも大きく、
    前記磁化自由層と前記磁気収束部とは、上面視で少なくとも一部が重なる第1の重複領域を有し、
    前記磁化固定層と前記磁気収束部とは上面視で重ならない磁気センサ。
  2. 前記磁気収束部を二つ備え、
    前記素子部は感磁軸を有し、
    前記素子部は上面視で前記二つの磁気収束部に挟まれており、
    前記磁気収束部と前記素子部は、前記感磁軸の方向に沿って配置されている請求項1に記載の磁気センサ。
  3. 前記磁化固定層は、上面視で、前記素子部のうち前記二つの磁気収束部に挟まれた領域に配置される請求項2に記載の磁気センサ。
  4. 前記磁化固定層は、上面視で前記磁化自由層の重心を通り、前記感磁軸の方向と直交する線分上に配置されている請求項1から請求項3の何れか一項に記載の磁気センサ。
  5. 前記素子部は、前記磁化固定層を複数有すると共に感磁軸を有し、
    上面視で、複数の前記磁化固定層は前記感磁軸と直交する方向に沿って配置されている請求項1から請求項4の何れか一項に記載の磁気センサ。
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