JP4329746B2 - 巨大磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサ及び同磁気センサの製造方法 - Google Patents

巨大磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサ及び同磁気センサの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、巨大磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサ及びその製造方法に関する。
従来から知られる巨大磁気抵抗効果素子は、ピンド層及び同ピンド層の磁化の向きを固定するためのピニング層を含む固定層と、外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層と、同ピンド層と同フリー層との間に配置された非磁性導電体からなるスペーサ層と、からなるスピンバルブ膜から構成されている。上記固定層のピンド層は、単一の強磁性体膜(例えばCoFe層)のみを含むので、以下、便宜上、「単一膜固定層」と称呼する。また、このような単一膜固定層を有する巨大磁気抵抗効果素子を、本明細書においては、「通常GMR素子」と称呼する。
この通常GMR素子の抵抗値は、ピンド層の固定された磁化の向きとフリー層の磁化の向きのなす角度に応じて変化する。通常GMR素子の抵抗値は、ピンド層の固定された磁化の向きとフリー層の磁化の向きが平行(相対角度0°)であるとき最小となり、ピンド層の固定された磁化の向きとフリー層の磁化の向きが反平行(相対角度180°)であるとき最大となる。
一方、一般に、フリー層の磁化の向きは、外部磁界が加わっていないときにピンド層と直交する向きになるように設定されている。ピンド層の固定された磁化の向きと直交する外部磁界の成分が一定又は無視できるほど小さい場合には、フリー層の磁化の向きは、ピンド層の固定された磁化の向きに沿う外部磁界の成分の大きさに基づいて回転する。従って、通常GMR素子の抵抗値は、外部磁界のピンド層の磁化の向きに沿う成分の大きさに応じて変化する。
換言すると、通常GMR素子は、固定層の固定された磁化の向き(ピンド層の向き)に沿って大きさが変化する磁界を検出することができるから、素子の磁気検出方向は「ピンド層の固定された磁化の向きに沿う向き(実際には、ピンド層の固定された磁化の向きと反平行の向き)」となる。ピンド層の磁化は、例えば、ピンド層となる強磁性体膜にピニング層となる反強磁性体膜を積層し、その積層された膜に所定の向きの磁界を加えながら同膜を高温下に置く磁場中熱処理を行うことにより同所定の向きに固定される。
ところで、このような通常GMR素子を利用した磁気センサは、図21(A)に示したように、磁気検出方向が所定の向きの二つの通常GMR素子101,102及び磁気検出方向が前記所定の向きと180度異なる二つの通常GMR素子103,104を備え、これらの素子をフルブリッジ接続して図示した箇所の電位差を出力Vとして取り出している。図21(B)は、図21(A)に示した磁気センサの磁気検出方向の外部磁界Hに対する出力Vを示す。
このブリッジ接続により、従来の磁気センサは、微小な磁界に対しても大きな出力を得ることが可能となる。また、各素子の温度は同様に変化するから、各素子の抵抗値も同様に変化する。即ち、例えば、一つの素子の温度が上昇したとき他の素子の温度も同様に上昇するから、各素子の抵抗値は同様に変化する。従って、出力Vは素子温度の変化の影響を受け難いので、上記磁気センサは、素子温度が変化した場合にも外部磁界を精度良く検出することができる(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2004−163419号
一方、磁気検出方向を決定するピンド層の磁化の向きは磁場中熱処理において固定層となる層に与えられる磁界の向きと一致する。従って、図21に示したように、上記ブリッジ接続に用いる磁気検出方向が互いに180度異なる複数の通常GMR素子を形成するためには、向きが180度異なる磁界を複数の通常GMR素子となる膜が形成された基板に付与しなければならない。
更に、直交する2軸(例えば、X軸及びY軸)方向の磁界の成分をそれぞれ検出することが可能な磁気センサは、X軸正方向、Y軸正方向、X軸負方向及びY軸負方向の各方向に磁気検出方向を有する通常GMR素子を微小な基板上に備えなければならないので、磁場中熱処理において複数の通常GMR素子となる膜が形成された基板にこの4方向の磁界を付与しなければならない。ところが、このような互いに向きが異なる磁界を狭い範囲に発生させることは容易でない。
そこで、上記特許文献は、以下に述べるセンサ構造とマグネットアレイとを採用することにより、このような磁気センサを製造する技術を開示している。即ち、先ず、平面図である図22に示したように、略正方形の基板100aの各辺の近傍に各2個(合計で8個)の通常GMR素子101〜108となる膜を形成する。
マグネットアレイは、四角柱の永久磁石を正方格子状に配列したものである。永久磁石は、複数の永久磁石の端面の総てが略同一平面上に存在し、且つ、最短距離を隔てて互いに隣接する二つの永久磁石の端面に形成された磁極の極性が異なるように、配置されている。図23は、かかるマグネットアレイの一部の永久磁石110の斜視図である。図23から理解されるように、マグネットアレイの上部にはN極からS極へ向う4方向の磁界が発生する。
そして、磁場中熱処理を実行するとき、マグネットアレイの上部に上記通常GMR膜となる膜が形成された基板100aを配置する。これにより、図24に示したように、マグネットアレイの上部に発生した4方向の磁界が磁場中熱処理の磁界として通常GMR素子となる膜に付与される。以上により、図22に示した磁気センサ100が製造される。
この磁気センサ100において、通常GMR素子101〜104は、X軸方向の磁界成分を検出するための素子である。通常GMR素子101,102の各ピンド層の固定された磁化の向きはX軸負方向である。通常GMR素子103,104の各ピンド層の固定された磁化の向きはX軸正方向である。通常GMR素子101〜104は、図21のようにフルブリッジ接続されてX軸方向の磁界を検出するX軸磁気センサとなる。
通常GMR素子105〜108は、Y軸方向の磁界成分を検出するための素子である。通常GMR素子105,106の各ピンド層の固定された磁化の向きはY軸正方向である。通常GMR素子107,108の各ピンド層の固定された磁化の向きはY軸負方向である。通常GMR素子105〜108も通常GMR素子101〜104と同様にフルブリッジ接続され、Y軸方向の磁界を検出するY軸磁気センサとなる。
しかしながら、このような磁気センサにおいては、基板100aの各辺の近傍に通常GMR素子が配置されることになるので、磁気センサ(チップ)を十分に小型化できないという問題がある。
また、複数の通常GMR素子間の距離が大きいと、基板100aや基板100a等を覆う樹脂が熱や外部から加わる応力などによって変形したとき、同複数の通常GMR素子に互いに異なる応力が加わって各通常GMR素子が互いに異なるように変形する。従って、各通常GMR素子の抵抗値が種々に変化するので、通常GMR素子をブリッジ接続した回路を有する磁気センサにおいては、ブリッジ回路のバランスが崩れてしまう。その結果、かかる磁気センサは磁界を精度良く検出することがでいないという問題も有している。
更に、上記磁気センサにおいては、通常GMR素子同士の距離が大きくなるので、それらをフルブリッジ接続するための配線の長さが長くなり、その配線の抵抗による損失が大きくなってしまうという問題もある。
本発明の磁気センサは、上記課題に対処するためになされたものであって、単一膜固定層の第1巨大磁気抵抗効果素子(第1巨大磁気抵抗効果素子膜)と、多重膜積層固定層の第2巨大磁気抵抗効果素子(第2巨大磁気抵抗効果素子膜)と、これらの巨大磁気抵抗効果素子にバイアス磁界を付与する複数のバイアス磁石膜と、を単一の基板上に形成してなるセンサである。
前記第1巨大磁気抵抗効果素子は、
単一の強磁性体膜及びピニング層からなり同強磁性体膜の磁化の向きが同ピニング層により第1の向き(例えば、X軸正方向)に固定されて同強磁性体膜がピンド層を構成する固定層と、
外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層と、
同ピンド層と同フリー層との間に配置された非磁性導電体からなるスペーサ層と、
を備えた単一膜固定層のスピンバルブ膜からなる。
前記第2巨大磁気抵抗効果素子は、
第1強磁性体膜、同1強磁性体膜に接する交換結合膜、同交換結合膜に接する第2強磁性体膜及び同第2強磁性体膜に接するピニング層からなり同第2強磁性体膜の磁化の向きが同ピニング層により固定され且つ同第1強磁性体膜が同第2強磁性体膜と同交換結合膜を介して交換結合することにより同第1強磁性体膜の磁化の向きが第2の向き(例えば、X軸負方向)に固定されたピンド層を構成する固定層と、
外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層と、
同ピンド層と同フリー層との間に配置された非磁性導電体からなるスペーサ層と、
を備えた多重膜積層固定層のスピンバルブ膜からなる。
そして、前記第1巨大磁気抵抗効果素子と前記第2巨大磁気抵抗効果素子とは前記基板上に近接して配置される。前記第1巨大磁気抵抗効果素子のピンド層の固定された磁化の向き(即ち、第1の向き)と、前記第2巨大磁気抵抗効果素子のピンド層の固定された磁化の向き(即ち、第2の向き)とは180度相違している(反平行である。)。
ところで、基板上に前記単一膜固定層の第1巨大磁気抵抗効果素子となる膜と前記多相膜固定層の第2巨大磁気抵抗効果素子となる膜とを形成しておき、これらの膜に対して同一方向の磁界を高温下で与える磁場中熱処理を施すと、第1巨大磁気抵抗効果素子となる膜の固定層のピンド層となる強磁性体膜の磁化及び第2巨大磁気抵抗効果素子となる膜の第2強磁性体膜の磁化は、同一の向きに固定される。更に、第2巨大磁気抵抗効果素子となる膜のピンド層となる第1強磁性体膜は交換結合膜を介して第2強磁性体膜と交換結合するので、第1強磁性体膜の磁化は第2強磁性体膜の磁化の向きと180度相違する向きに固定される。この結果、第1巨大磁気抵抗効果素子のピンド層(強磁性体膜)の磁化の向きと第2巨大磁気抵抗効果素子のピンド層(第1強磁性体膜)の磁化の向きとが180度相違するように固定される。
一方、前記第1巨大磁気抵抗効果素子及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子は、何れも、ピンド層の固定された磁化の向きと180度相違する向きに磁気検出方向を有する。換言すると、何れの素子においても、磁気検出方向はピンド層の固定された磁化の向きと反平行の向きとなる。この結果、これらの素子の磁気検出方向は互いに180度相違することになる。
以上のことから、本発明による磁気センサにおいては、従来の磁気センサのように「180度相違する向きの磁界を二つの巨大磁気抵抗効果素子に付与することを可能とするために同二つの巨大磁気抵抗効果素子間の距離を大きくしておくこと」が要求されない。即ち、本発明による磁気センサは、前記第1巨大磁気抵抗効果素子となる膜と前記第2巨大磁気抵抗効果素子となる膜とを近接させて形成しておき、これらの素子に同一の向きの磁界を付与する上記磁場中熱処理を施すことにより容易に製造され得る。従って、本発明によれば、磁気検出方向が180度相違する二つの巨大磁気抵抗効果素子の距離(第1巨大磁気抵抗効果素子と第2巨大磁気抵抗効果素子の距離)を小さく設定することができるので、非常に小型の磁気センサが提供される。
更に、本発明による磁気センサは、
前記第1巨大磁気抵抗効果素子の一つの端部に接するように前記基板上に形成され、同第1巨大磁気抵抗効果素子に前記第1の向きと実質的に直交する第3の向きのバイアス磁界を付与する第1バイアス磁石膜と、
前記第2巨大磁気抵抗効果素子の一つの端部に接するように前記基板上に形成され、同第2巨大磁気抵抗効果素子に前記第3の向きのバイアス磁界を付与する第2バイアス磁石膜と、
前記第1巨大磁気抵抗効果素子の他の端部及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子の他の端部の両方に接するように前記基板上に形成され、同第1巨大磁気抵抗効果素子及び同第2巨大磁気抵抗効果素子に前記第3の向きのバイアス磁界を付与する単一の第3バイアス磁石膜と、
を備える。
バイアス磁石膜は、第1巨大磁気抵抗効果素子及び第2巨大磁気抵抗効果素子に外部磁界が加わっていないときの各素子の各フリー層の磁化の向きを各固定層の磁化の向きに略直交する向きに一致させるためのバイアス磁界を発生する膜である。このバイアス磁石膜の存在により、磁気センサの外部磁界に対するヒステリシスが低減する。一般に、このようなバイアス磁石膜は、第1巨大磁気抵抗効果素子の両端部及び第2巨大磁気抵抗効果素子の両端部に配置される。
一方、磁気センサを小型化するためには、第1巨大磁気抵抗効果素子と第2巨大磁気抵抗効果素子とを極力接近させることが好ましい。そこで、本発明の磁気センサにおいては、前記第1巨大磁気抵抗効果素子の他の端部及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子の他の端部に接するバイアス磁石膜を、共通の単一バイアス磁石膜(第3バイアス磁石膜)とした。これにより、少なくとも2つのバイアス磁石膜を1つのバイアス磁石膜とすることができるので、第1巨大磁気抵抗効果素子と第2巨大磁気抵抗効果素子とをより接近させることが可能となる。従って、本発明によれば、より小型の磁気センサが提供され得る。また、第3バイアス磁石膜に接する二つの素子は、電気的に接続されることになるから、それらの間の配線を形成する必要がなく、巨大磁気抵抗効果素子をブリッヂ接続した構成を備えた磁気センサがより安価に提供され得る。
なお、本発明は、複数の第1巨大磁気抵抗効果素子膜が直列接続されて一つの第1巨大磁気抵抗効果素子を形成する場合、及び、複数の第2巨大磁気抵抗効果素子膜が直列接続されて一つの第2巨大磁気抵抗効果素子を形成する場合にも適用される。また、本発明は、一対の第1巨大磁気抵抗効果素子(又は第1巨大磁気抵抗効果素子膜)と一対の第2巨大磁気抵抗効果素子(又は第2巨大磁気抵抗効果素子膜)とを備え、これらをフルブリッヂ接続した磁気センサにも適用され得る。
即ち、本発明は、一端に第1電位が与えられる第1巨大磁気抵抗効果素子の他端と第2巨大磁気抵抗効果素子の一端とを直列接続するとともに同第2巨大磁気抵抗効果素子の他端を例えば接地して同他端に第2電位を与える第1回路要素と、一端に前記第1電位が与えられる第2巨大磁気抵抗効果素子の他端と第1巨大磁気抵抗効果素子の一端とを直列接続するとともに同第1巨大磁気抵抗効果素子の他端に前記第2電位を与える第2回路要素と、を備え、第1回路要素の第1巨大磁気抵抗効果素子と第2巨大磁気抵抗効果素子との接続点の電位と、第2回路要素の第1巨大磁気抵抗効果素子と第2巨大磁気抵抗効果素子との接続点の電位と、の電位差を出力として取り出すようにしたフルブリッヂ接続タイプの磁気センサにも適用される。また、本発明は、一つの第1巨大磁気抵抗効果素子と一つの第2巨大磁気抵抗効果素子とを備え、これらを接続し、第1巨大磁気抵抗効果素子と第2巨大磁気抵抗効果素子との接続点の電位を出力として取り出すようにしたハーフブリッヂ接続タイプの磁気センサにも適用され得る。
この場合、前記第1巨大磁気抵抗効果素子及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子は前記第1の向きに実質的に直交する向きに長手方向を有する幅狭帯状部を有し、それらの幅狭帯状部は前記第3バイアス磁石膜を起点として同一の側に延在していてもよい。或いは、前記第1巨大磁気抵抗効果素子及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子は前記第1の向きに実質的に直交する向きに長手方向を有する幅狭帯状部を有し、それらの幅狭帯状部は一つの直線上に配設され、前記第3バイアス磁石膜は、前記第1巨大磁気抵抗効果素子と前記第2巨大磁気抵抗効果素子との間に配設されていてもよい。これらの何れの場合においても、従来の二つのバイアス磁石膜が単一のバイアス磁石膜(第3バイアス磁石膜)に置換されているから、より小型の磁気センサが提供され得る。
更に、本発明による磁気センサにおいては、
前記第1巨大磁気抵抗効果素子及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子の何れか一方が前記基板の上面に接するように形成され、
前記第1巨大磁気抵抗効果素子及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子の何れか他方が前記第1巨大磁気抵抗効果素子及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子の何れか一方と平面視において交差する部分を有し、
前記第1巨大磁気抵抗効果素子及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子の間に絶縁膜が形成されることが好適である。
これによれば、第1巨大磁気抵抗効果素子と第2巨大磁気抵抗効果素子とを基板の上下方向において(平面視において)交差するように形成することができる。従って、第1巨大磁気抵抗効果素子及び第2巨大磁気抵抗効果素子を互いにより近接させることができる。
更に、本発明による磁気センサであって、
前記第1乃至第3バイアス磁石膜のそれぞれは、断面が台形形状であって前記基板に対して傾斜した斜面及び同基板の上面に平行な上面を有するように形成され、
前記第1巨大磁気抵抗効果素子は、前記一つの端部が前記第1バイアス磁石膜の斜面に接し、前記他の端部が前記第3バイアス磁石膜の斜面に接し、且つ、その中央部(一つの端部と他の端部との間の部分)が前記基板の上面に接するように形成され、
前記バイアス磁石膜の上面が存在する平面に到るまで前記第1巨大磁気抵抗効果素子を覆うように形成された絶縁膜を備え、
前記第2巨大磁気抵抗効果素子は、前記一つの端部が前記第2バイアス磁石膜の上面に接し、前記他の端部が前記第3バイアス磁石膜の上面に接し、且つ、その中央部(一つの端部と他の端部との間の部分)が前記絶縁膜の上面に接するように形成されることが好適である。
また、第1巨大磁気抵抗効果素子及び第2巨大磁気抵抗効果素子は、どちらが基板の上面に接するように形成されてもよいから、上記断面が台形形状のバイアス磁石膜を備える磁気センサの場合、
前記第2巨大磁気抵抗効果素子は、前記一つの端部が前記第2バイアス磁石膜の斜面に接し、前記他の端部が前記第3バイアス磁石膜の斜面に接し、且つ、その中央部が前記基板の上面に接するように形成され、
前記バイアス磁石膜の上面が存在する平面に到るまで前記第2巨大磁気抵抗効果素子を覆うように形成された絶縁膜が備えられ、
前記第1巨大磁気抵抗効果素子は、前記一つの端部が前記第1バイアス磁石膜の上面に接し、前記他の端部が前記第3バイアス磁石膜の上面に接し、且つ、その中央部が前記絶縁膜の上面に接するように形成されてもよい。
各巨大磁気抵抗効果素子にバイアス磁石膜からバイアス磁界を与えるためには、各巨大磁気抵抗効果素子の一部とバイアス磁石膜とが接することにより互いに磁気的に結合していることが必要である。これに対し、上記構成によれば、各巨大磁気抵抗効果素子とバイアス磁石膜とが接しているので、各巨大磁気抵抗効果素子にバイアス磁界を容易に付与することができる磁気センサが提供される。
係る磁気センサを製造するための本発明による製造方法は、
前記単一の基板を準備する工程(基板準備工程)と、
前記第1乃至第3バイアス磁石膜となる膜を前記基板上に形成するバイアス磁石膜形成工程と、
前記第1巨大磁気抵抗効果素子となる膜及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子となる膜の何れか一方の膜を前記基板の上面及び前記第1乃至第3バイアス磁石膜の上面に形成する第1膜形成工程と、
前記形成されたバイアス磁石膜となる膜及び前記形成された前記磁気抵抗効果素子となる膜の上部を覆うように絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
前記形成された絶縁膜と、前記形成されたバイアス磁石膜となる膜と、前記形成された磁気抵抗効果素子となる膜と、を同バイアス磁石膜となる膜の上面が表出するように除去するとともに、これらの膜の上面を平坦にする平坦化工程と、
前記平坦化された膜の上面に前記第1巨大磁気抵抗効果素子となる膜及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子となる膜の何れか他方の膜を形成する第2膜形成工程と、
前記形成された前記第1巨大磁気抵抗効果素子となる膜及び前記形成された前記第2巨大磁気抵抗効果素子となる膜に対して同一の向きの磁界を高温下で付与することにより各膜の前記ピンド層の磁化の向きを固定する磁場中熱処理工程と、
を含んでいる。
この製造方法によれば、先ず、バイアス磁石膜が形成され、次いで、第1巨大磁気抵抗効果素子又は第2巨大磁気抵抗効果素子の何れか一方の膜が形成され(所定の形状にカットされる工程を含む)、その後、全面に絶縁膜が形成される。
次に、バイアス磁石膜の上面が露呈し且つ絶縁膜の上面がバイアス磁石膜の上面と同一の平面を形成するように、絶縁膜等が除去され平坦化される。その後、第1巨大磁気抵抗効果素子又は第2巨大磁気抵抗効果素子の何れか他方の膜が形成され(所定の形状にカットされる工程を含む)、磁場中熱処理が行われてピンド層の磁化の向きが固定される。
これによれば、上記磁場中熱処理により、第1巨大磁気抵抗効果素子の固定層のピンド層と第2巨大磁気抵抗効果素子の固定層のピンド層との磁化を180度相違する向きに容易に固定することができるので、磁気検出方向が互いに180度相違する2つの巨大磁気抵抗効果素子を近接させた磁気センサを容易に製造することができる。
更に、第1巨大磁気抵抗効果素子と第2巨大磁気抵抗効果素子との間の絶縁を絶縁膜により維持できるので、これらの素子を互いに近接配置した磁気センサを容易に製造することができる。また、この製造方法によれば、絶縁膜を介して第1及び第2巨大磁気抵抗効果素子を上下に重ねる又は上下方向において交差させることもできる。従って、より一層小型の磁気センサを製造することができる。
この場合、前記バイアス磁石膜形成工程は、前記第1乃至第3バイアス磁石膜を、それぞれが前記基板に対して傾斜した斜面を有するように形成する工程であることが好適である。
これによれば、バイアス磁石膜が斜面を有する形状となるので、第1膜形成工程にて形成される巨大磁気抵抗効果素子の膜の端部を所定のバイアス磁石膜の斜面に容易に接しめることができる。また、バイアス磁石膜の上面が表出された状態にて第2膜形成工程が実施されるので、同第2膜形成工程にて形成される巨大磁気抵抗効果素子の膜の端部を所定のバイアス磁石膜の上面に容易に接しめることができる。
この場合、
前記磁場中熱処理工程は、
略直方体形状であって同直方体の一つの中心軸に直交する断面の形状が略正方形である複数の永久磁石を、同略正方形を有する端面の重心が正方格子の格子点に一致するように配設するとともに、同配設された各永久磁石の磁極の極性が最短距離を隔てて隣接する他の永久磁石の磁極の極性と異なるように配置されたマグネットアレイによって形成される磁界を前記磁場中熱処理工程中の磁界として用いることが好ましい。
これによれば、磁気検出方向が180度相違する少なくとも二つの巨大磁気抵抗効果素子を単一基板上の狭い領域内に容易且つ効率的に形成することができる。
以下、本発明による磁気センサの各実施形態について図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
(磁気センサの構造)
図1に平面図を示した本発明の第1実施形態に係る磁気センサ10は、単一の基板(モノリシックチップ)10aと、X軸磁気センサ11及びY軸磁気センサ21を含んでいる。磁気センサ10は、便宜上「Nタイプの磁気センサ10」と称呼される。
基板10aは、シリコンからなっている。基板10aは、平面視において互いに直交するX軸及びY軸に沿った辺を有する長方形状(略正方形状)を有し、X軸及びY軸に直交するZ軸方向に小さな厚みを有する薄板体である。
X軸磁気センサ11は、外部磁界のX軸方向の成分を検出する磁気センサである。X軸磁気センサ11は、基板10aのY軸方向略中央部且つX軸正方向端部近傍であって、基板10aの上部に形成されている。Y軸磁気センサ21は、外部磁界のY軸方向の成分を検出する磁気センサである。Y軸磁気センサ21は、基板10aのX軸方向略中央部且つY軸正方向端部近傍であって、基板10aの上部に形成されている。Y軸磁気センサ21は、X軸磁気センサ11を平面視において(図1又は図2において)基板10aに対し左回転方向に90度だけ回転させたセンサである。従って、以下、X軸磁気センサ11について説明する。
X軸磁気センサ11は、図2に示したように、4個のバイアス磁石膜12〜15、一対の通常GMR素子(第1巨大磁気抵抗効果素子)16,17及び一対のSAF素子(第2巨大磁気抵抗効果素子)18,19を備えている。通常GMR素子及びSAF素子の膜構成については後述する。
バイアス磁石膜12〜15のそれぞれは、CoCrPt等の硬質強磁性体であって高保磁力及び高角型比を有する材質からなっている。バイアス磁石膜12〜15は、磁化の向きがY軸正方向となるように着磁され、永久磁石膜(ハードマグネット膜)となっている。バイアス磁石膜12〜15のそれぞれは、図2の1−1線及び2−2線に沿った平面にてX軸磁気センサ11をそれぞれ切断した断面図である図3及び図4に示したように、基板10aの上面(主面)に対して傾斜した斜面を有するとともに、基板10aと平行な上面を有する形状となっている。即ち、各バイアス磁石膜の断面(縦断面)は台形である。バイアス磁石膜12〜15の上面は、同一平面内に存在している。
バイアス磁石膜12は、図2に示したように、平面視においてT字形状を有している。バイアス磁石膜12は、基板10aのY軸方向中央部且つX軸正方向端部近傍に形成されている。バイアス磁石膜13は、平面視において長方形状を有している。バイアス磁石膜13は、バイアス磁石膜12からY軸正方向に第1距離だけ隔てた位置に形成されている。
バイアス磁石膜14は、平面視においてバイアス磁石膜12と同一のT字形状を有している。バイアス磁石膜14は、バイアス磁石膜12からX軸負方向に第1距離より短い第2距離だけ隔てた位置に形成されている。バイアス磁石膜15は、平面視においてバイアス磁石膜13と同一の長方形状を有している。バイアス磁石膜15は、バイアス磁石膜12からY軸負方向に第1距離だけ隔てた位置に形成されている。
通常GMR素子16は、図2に示したように、平面視において幅狭帯状であり、その長手方向はY軸に平行である。通常GMR素子16は、図3に示したように、基板10aの上面に接するように形成されている。通常GMR素子16の一つの端部はバイアス磁石膜12の斜面に接するように形成され、他の端部はバイアス磁石膜13の斜面に接するように形成されている。
通常GMR素子16は、図5の(A)に膜構成を示した通常のスピンバルブ膜からなっている。このスピンバルブ膜は、基板10aの上に形成されたフリー層F、フリー層Fの上に形成されたスペーサ層S、スペーサ層Sの上に形成された固定層P及び固定層Pの上に形成された保護層(キャッピング層)Cからなっている。なお、基板10aの上面とフリー層Fとの間に図示を省略したSiO又はSINSからなる絶縁・配線層が形成されていてもよい。基板10aと絶縁・配線層とからなるものを「基板」と称呼することもできる。
フリー層Fは、外部磁界の向きに応じて磁化の向きが変化する層である。フリー層Fは、基板10aの直上に形成されたCoZrNbアモルファス磁性層と、CoZrNbアモルファス磁性層の上に形成されたNiFe磁性層と、NiFe磁性層の上に形成されたCoFe磁性層とからなっている。これらは、軟質の強磁性体膜を構成している。
フリー層Fに外部磁界が付与されていない場合の同フリー層Fの磁化の向き(以下、「初期状態における磁化の向き」と称呼する。)は、形状異方性によりフリー層Fの長手方向(通常GMR素子16の場合はY軸正方向)となっている。
スペーサ層Sは、非磁性導電体(本例では、Cu)からなる膜である。
固定層(固着層、磁化固定層)Pは、強磁性体膜であるCoFe磁性層Pdと、Ptを45〜55mol%含むPtMn合金から形成した反強磁性膜Piとを重ね合わせた単一膜固定層である。CoFe磁性層Pdは、ピニング層を構成する反強磁性膜Piに交換結合的に裏打されることにより磁化(磁化ベクトル)の向きがX軸正方向にピン(固着)されるピンド層Pdを構成している。CoFe磁性層Pdの磁化の向きが、各通常GMR素子のピンド層の固定された磁化の向きである。
保護層Cは、チタン(Ti)又はタンタル(Ta)からなっている。
通常GMR素子16は、固定層Pの磁化の向きとフリー層Fの磁化の向きとの成す角度に応じた抵抗値を示す。従って、通常GMR素子16は、図5の(B)及び図5の(C)に示したように、−Hc〜+Hcの範囲において固定層PのCoFe磁性層Pdの固定された磁化の向き(この場合、X軸正方向の向き)に沿って変化する外部磁界Hに対して変化する抵抗値(X軸正方向の外部磁界の大きさが大きくなるほど減少する抵抗値)を示すようになっている。換言すると、通常GMR素子16の磁気検出方向は、スペーサ層Sに隣接した固定層PのCoFe磁性層Pdの固定された磁化の向きと反平行の向き(180度相違する向き)である。即ち、通常GMR素子16の磁気検出方向は、X軸負方向である。なお、通常GMR素子16は、Y軸に沿って変化する外部磁界に対しては略一定の抵抗値を示すようになっている。
また、通常GMR素子16のフリー層Fは、通常GMR素子16の両端部において直下に形成されたバイアス磁石膜12,13と磁気的に結合している。この結果、バイアス磁石膜12,13は、通常GMR素子16のフリー層Fに対して同フリー層Fの長手方向(通常GMR素子16の場合、Y軸正方向)にバイアス磁界を付与している。
通常GMR素子17の形状、膜構成及び特性は、通常GMR素子16と同一である。従って、通常GMR素子17の磁気検出方向は、X軸負方向である。通常GMR素子17は、図3に示したように、基板10aの上面に接するように形成されている。通常GMR素子17の一つの端部はバイアス磁石膜14の斜面に接するように形成され、他の端部はバイアス磁石膜15の斜面に接するように形成されている。従って、通常GMR素子17(通常GMR素子17のフリー層F)は、バイアス磁石膜14,15からY軸正方向のバイアス磁界が付与されている。
SAF素子18は、図2に示したように、平面視で長手方向がY軸に平行な幅狭帯状部を有している。SAF素子18のY軸正方向端部の形状は、バイアス磁石膜13より僅かに小さい長方形である。SAF素子18のY軸正方向端部は、バイアス磁石膜13の上面に形成されている。SAF素子18のY軸負方向端部の形状は、バイアス磁石膜14より僅かに小さいT字形状である。SAF素子18のY軸負方向端部は、バイアス磁石膜14の上面に形成されている。SAF素子18の幅狭帯状部は、図2及び図4に示したように、絶縁膜INSの上面に形成されている。絶縁膜INSは、バイアス磁石膜13,14(及びバイアス磁石膜12,15)の上面と同一面内に上面を有するように基板10a上に形成されている。即ち、SAF素子18は、バイアス磁石膜13,14の上面と絶縁膜INSの上面とが形成する平面上に形成されている。
SAF素子18は、図6の(A)に示したシンセティックスピンバルブ膜からなっている。このシンセティックスピンバルブ膜は、フリー層F、フリー層Fの上に形成されたスペーサ層S、スペーサ層Sの上に形成された固定層P’及び固定層P’の上に形成された保護層(キャッピング層)Cからなっている。
シンセティックスピンバルブ膜のフリー層F、スペーサ層S及び保護層Cは、図5の(A)に示した通常のスピンバルブ膜と同一の構成を備えている。即ち、シンセティックスピンバルブ膜は、固定層P’のみが通常のスピンバルブ膜の固定層Pと相違している。
固定層P’は、CoFeからなる第1強磁性体膜P1と、第1強磁性体膜P1の上に積層されたRuからなる交換結合膜Exと、交換結合膜Exの上に積層されたCoFeからなる第2強磁性体膜P2と、第2強磁性体膜P2の上に積層されるとともにPtを45〜55mol%含むPtMn合金からなる交換バイアス膜(反強磁性体膜)Ebとを重ね合わせた多重膜積層固定層である。
交換結合膜Exは、第1強磁性体膜P1と第2強磁性体膜P2とにサンドイッチ状に挟まれている。第1強磁性体膜P1は、交換結合膜Ex及び第2強磁性体膜P2と協働して磁化の向きが外部磁界の変化に対して変化しないように固定されるピンド層を構成している。交換バイアス膜Ebは、第2強磁性体膜P2及び交換結合膜Exを介してピンド層である第1強磁性体膜P1の磁化の向きを固定するピニング層を構成している。なお、第1強磁性体膜P1、交換結合膜Ex及び第2強磁性体膜P2をピンド層と呼ぶこともできる。
交換バイアス膜Ebは第2強磁性体膜P2と交換結合し、第2強磁性体膜P2の磁化(磁化ベクトル)の向きをX軸正方向に固定している。また、第1強磁性体膜P1と第2強磁性体膜P2は、交換結合膜Exを介して互いに交換結合している。このとき、図6の(B)に矢印にて示したように、第1強磁性体膜P1の磁化の向きと第2強磁性体膜P2の磁化の向きは反平行となる。この結果、第1強磁性体膜P1の磁化の向きは、X軸負方向に固定される。
このように構成されたSAF素子18は、図6の(C)に示したように、−Hc〜+Hcの範囲において固定層P’における第1強磁性体膜P1(ピンド層)の固定された磁化の向きに沿って変化する外部磁界Hに対して変化する抵抗値(X軸正方向の外部磁界Hの大きさが大きくなるほど増大する抵抗値)を示すようになっている。換言すると、SAF素子18の磁気検出方向は、スペーサ層Sに隣接した固定層P’の第1磁性層P1の固定された磁化の向きと反平行の向きである。即ち、SAF素子18の磁気検出方向は、X軸正方向である。なお、SAF素子18は、Y軸に沿って変化する外部磁界に対しては略一定の抵抗値を示すようになっている。
また、SAF素子18のフリー層Fは、SAF素子18の両端部において直下に形成されたバイアス磁石膜13,14と磁気的に結合している。この結果、バイアス磁石膜13,14は、SAF素子18のフリー層Fに対して同フリー層Fの長手方向(SAF素子18の場合、Y軸正方向)にバイアス磁界を付与している。
SAF素子19の形状、膜構成及び特性は、SAF素子18と同一である。従って、SAF素子19の磁気検出方向は、X軸正方向である。SAF素子19は、図2に示したように、平面視で長手方向がY軸に平行な幅狭帯状部を有している。SAF素子19のY軸正方向端部の形状は、バイアス磁石膜12より僅かに小さいT字形状である。SAF素子19のY軸正方向端部は、バイアス磁石膜12の上面に形成されている。SAF素子18のY軸負方向端部の形状は、バイアス磁石膜15より僅かに小さい長方形である。SAF素子19のY軸負方向端部は、バイアス磁石膜15の上面に形成されている。SAF素子19の幅狭帯状部は、図2及び図3に示したように、絶縁膜INSの上面に形成されている。絶縁膜INSは、バイアス磁石膜12,15の上面と同一面内に上面を有するように基板10a上に形成されている。即ち、SAF素子19は、バイアス磁石膜12,15の上面と絶縁膜INSの上面とが形成する平面上に形成されている。
また、SAF素子19のフリー層Fは、SAF素子19の両端部において直下に形成されたバイアス磁石膜12,15と磁気的に結合している。この結果、バイアス磁石膜12,15は、SAF素子19のフリー層Fに対して同フリー層Fの長手方向(SAF素子19の場合、Y軸正方向)にバイアス磁界を付与している。
このように、X軸磁気センサ11においては、バイアス磁石膜12〜15のそれぞれは、一つの通常GMR素子と一つのSAF素子にバイアス磁界を付与している。換言すると、一つの通常GMR素子及び一つのSAF素子は、共通の単一バイアス磁石膜からバイアス磁界を受けるようになっている。
このように構成されたX軸磁気センサ11は、図7の(A)に等価回路を示したように、素子16〜19がフルブリッジ接続されていることになる。更に、X軸磁気センサ11においては、図示しない経路を通してバイアス磁石膜13に第1電位(図示しない定電圧源により与えられる一定電圧)+Vdが付与され、バイアス磁石膜15は接地されて(GNDに接続されて)第1電位と異なる第2電位(0V)が付与されている。そして、バイアス磁石膜12の電位Vout1とバイアス磁石膜14の電位Vout2との差がX軸磁気センサ11の出力Voxとして取り出される。この結果、X軸磁気センサ11は、図7の(B)に示したように、外部磁界のX軸成分Hxに略比例するとともに、外部磁界Hxが大きいほど大きくなる電圧Voxを出力するようになっている。
一方、Y軸磁気センサ21は、上述したように、X軸磁気センサを平面視で左回転方向に90度回転したセンサである。従って、Y軸磁気センサ21は、外部磁界のY軸成分Hyに略比例するとともに、外部磁界Hyが大きいほど大きくなる電圧Voyを出力するようになっている。
(磁気センサ10の製造方法)
次に、磁気センサ10(X軸磁気センサ11及びY軸磁気センサ21)の製造方法を説明する。X軸磁気センサ11及びY軸磁気センサ21は同じ工程を経て同時に形成される。従って、ここでは、X軸磁気センサ11の製造方法について、図8乃至図10を参照しながら説明する。なお、図8乃至図10は、図2の1−1線に沿った平面にて製造途中にある磁気センサ10を切断した部分を示す断面図である。
先ず、基板10aを準備する(基板準備工程)。次に、バイアス磁石膜12〜15となる膜を形成する。実際には、基板10aの上面全体にバイアス磁石膜12〜15となる膜をスパッタリングにより成膜し、レジストにより必要部分をマスキングする。その後、イオンミリングにより不要部分を除去し、最後にレジストを除去する。これにより、図8に示したバイアス磁石膜12,13,15となる膜と、図8には示されていないバイアス磁石膜14となる膜と、が所定の位置に形成される。
次に、通常GMR素子16,17となる膜を形成する。実際には、通常GMR素子16,17となる膜を、基板10aの上面及びバイアス磁石膜となる膜の上面の全体に形成する。次いで、その膜の上面にレジストを形成し、そのレジストを通常GMR素子16,17となる膜の必要部分のみを覆うパターンにカットする。次いで、イオンミリングにより通常GMR素子16,17となる膜の不要部分を除去し、最後にレジストを除去する。これにより、図8に示した通常GMR素子16となる膜と、図8には示されていない通常GMR素子17となる膜と、が所定の位置に形成される。この工程を、第1膜形成工程と呼ぶ。
次に、図9に示したように、基板10a、バイアス磁石膜12〜15となる膜及び通常GMR素子となる膜16,17を覆うように、これらの上面にSiNからなる絶縁膜INSをCVD法により形成する。絶縁膜INSはSiOであってもよい。この工程を、絶縁膜形成工程と呼ぶ。
次に、バイアス磁石膜12〜15となる膜の上面が表出する(露呈する)まで絶縁膜INSを除去するとともに、バイアス磁石膜12〜15となる膜、絶縁膜INS及び通常GMR素子となる膜16,17の端部の上面を研磨して平坦にする。この工程を平坦化工程と呼ぶ。
次いで、平坦化された膜の上面にSAF素子18,19となる膜を形成する。実際には、SAF素子18,19となる膜を、平坦化された膜の上面の全体に形成する。次に、その膜の上面にレジストを形成し、そのレジストをSAF素子18,19となる膜の必要部分のみを覆うパターンにカットする。次いで、イオンミリングによりSAF素子となる膜18,19の不要部分を除去し、最後にレジストを除去する。これにより、図10に示したSAF素子19となる膜と、図10には示されていないSAF素子18となる膜と、が所定の位置に形成される。この工程を、第2膜形成工程と呼ぶ。以上により、X軸磁気センサ11となる膜及びY軸磁気センサ21となる膜が図1に示した所定の位置に図2に示した形状を有するように形成される。
実際には、このようなX軸磁気センサ11となる膜及びY軸磁気センサ21となる膜Mは、図11に示したように、基板10aを複数含む基板10a−1の上面の複数箇所に形成される。このとき、X軸磁気センサ11となる膜及びY軸磁気センサ21となる膜Mは、後に説明する切断行程において基板10a−1が切断線CLに沿って切断されることにより個々の磁気センサ10(基板10a)に分割されたとき、基板10aに対して図1に示した位置に存在するように形成される。
その後、形成された通常GMR素子となる膜及び形成されたSAF素子となる膜に対して同一の向きの磁界を高温下で付与することにより各膜の前記ピンド層の磁化の向きを固定する。この工程を、磁場中熱処理工程と呼ぶ。
以下、上記磁場中熱処理工程について、より具体的に説明する。先ず、図12及び図13に示したマグネットアレイ30を準備する。図12は、マグネットアレイ30の平面図である。図13は、図12の3−3線に沿った平面にてマグネットアレイ30を切断したマグネットアレイ30の断面図である。このマグネットアレイ30は、それぞれが直方体形状の複数の永久磁石(永久棒磁石)31…31と透明な石英ガラスからなるプレート32と、を備えている。永久磁石31…31は正方格子状に配列され、各上面がプレート32の下面に固定されている。永久磁石31…31は、永久磁石31…31の各端面を含む平面において、最短距離で隣接する磁極の極性が異なるように配列されている。
即ち、マグネットアレイ30は、略直方体形状であって同直方体の一つの中心軸に直交する断面の形状が略正方形である複数の永久磁石31を、同略正方形を有する端面の重心が正方格子の格子点に一致するように配設するとともに、永久磁石31…31の各端面を含む平面において同配設された各永久磁石31の磁極の極性が最短距離を隔てて隣接する他の永久磁石31の磁極の極性と異なるように配置・構成されたマグネットアレイである。
図14は、上記永久磁石31…31を5個だけ取り出した状態を示す同永久磁石の斜視図である。この図から明らかなように、永久磁石31…31の端面(前記磁極が形成された端面)では、一つのN極から同N極に最短距離で隣接するS極に向かう90°ずつ方向が異なる磁界が形成される。本実施形態においては、この磁界をX軸磁気センサ11及びY軸磁気センサ21を構成する各素子(通常GMR素子及びSAF素子)のピンド層の磁化の向きを固定する際の磁界として使用する。
次に、上記膜Mが形成された基板10a−1をマグネットアレイ30の上に配置する。このとき、図15の平面図に示したように、基板10a−1を切断線CLにて切断したときに形成される正方形の「膜Mが隣接して形成されていない2辺」及びその2辺の交点を、永久磁石31のX軸負方向側においてY軸に沿う辺とY軸負方向側においてX軸に沿う辺及びその2辺の交点とそれぞれ一致させるように、基板10a−1とマグネットアレイ30とを相対的に配置する。この結果、図14及び図15に矢印にて示したように、各膜Mに同各膜Mの幅狭帯状部の長手方向と直交する向きの磁界が加わる。
そして、この状態にある基板10a−1及びマグネットアレイ30を真空中で250℃〜280℃に加熱し、その後、4時間ほど放置する磁場中熱処理を実施する。これにより、固定層P(ピンド層Pd)の磁化の向き及び固定層P’(ピンド層P1)磁化の向きが固定される。
ところで、通常GMR素子となる膜及びSAF素子となる膜に対し、磁場中熱処理において同一方向の磁界を与えると、図16に示したように、磁気検出方向が互いに反平行である巨大磁気抵抗効果素子が得られる。これは、通常GMR素子となる膜の固定層Pのピンド層Pd(CoFe磁性層)及びSAF素子となる膜の固定層P’の第2強磁性体膜P2の磁化の向きは一致し、固定層P’の第1強磁性体膜P1の磁化の向きは第2強磁性体膜P2の磁化の向きと反平行となるからである。
従って、上記製造方法によれば、磁界検出方向がX軸負方向である一対の通常GMR素子(例えば、通常GMR素子16,17)と、磁界検出方向がX軸正方向である一対のSAF素子(例えば、SAF素子18,19)と、を極めて狭い領域内に形成することができる。
なお、実際には、このように磁場中熱処理を実施した後、バイアス磁石膜等の着磁などの必要な処理を行い、図15に示した切断線CLに沿って基板10a−1を切断する。これにより、図1に示した磁気センサ10と、図示しないSタイプの磁気センサと、が同時に多数個製造される。
以上、説明したように、磁気センサ10のX軸磁気センサ11及びY軸磁気センサ21の各々は、一対の通常GMR素子と一対のSAF素子とを備え、これらをフルブリッヂ接続した磁気センサである。磁場中熱処理工程において通常GMR素子となる膜とSAF素子となる膜に同一方向の磁界を与えれば、それらの素子の磁気検出方向は反平行となる。従って、磁気センサ10はブリッジ接続に必要な「磁気検出方向が互いに反平行の巨大磁気抵抗効果素子」を基板上において極めて近接させて形成することができる。その結果、磁気センサ10は、非常に小型の磁気センサとなる。
更に、磁気センサ10は、
第1巨大磁気抵抗効果素子(例えば、通常GMR素子16)の一つの端部に接するように基板10a上に形成され、同第1巨大磁気抵抗効果素子に第1の向き(例えば、X軸負方向)と実質的に直交する第3の向き(例えば、Y軸正方向)のバイアス磁界を付与する第1バイアス磁石膜(例えば、バイアス磁石膜12)と、
第2巨大磁気抵抗効果素子(例えば、SAF素子18)の一つの端部に接するように基板10a上に形成され、同第2巨大磁気抵抗効果素子に前記第3の向きのバイアス磁界を付与する第2バイアス磁石膜(例えば、バイアス磁石膜14)と、
前記第1巨大磁気抵抗効果素子の他の端部及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子の他の端部の両方に接するように基板10a上に形成され、同第1巨大磁気抵抗効果素子及び同第2巨大磁気抵抗効果素子に前記第3の向きのバイアス磁界を付与する単一の第3バイアス磁石膜(例えば、バイアス磁石膜13、共通バイアス磁石膜)と、
を備える。
同様に、磁気センサ10は、
第1巨大磁気抵抗効果素子(例えば、通常GMR素子16)の一つの端部に接するように基板10a上に形成され、同第1巨大磁気抵抗効果素子に第1の向き(例えば、X軸負方向)と実質的に直交する第3の向き(例えば、Y軸正方向)のバイアス磁界を付与する第1バイアス磁石膜(例えば、バイアス磁石膜13)と、
第2巨大磁気抵抗効果素子(例えば、SAF素子19)の一つの端部に接するように基板10a上に形成され、同第2巨大磁気抵抗効果素子に前記第3の向きのバイアス磁界を付与する第2バイアス磁石膜(例えば、バイアス磁石膜15)と、
前記第1巨大磁気抵抗効果素子の他の端部及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子の他の端部の両方に接するように基板10a上に形成され、同第1巨大磁気抵抗効果素子及び同第2巨大磁気抵抗効果素子に前記第3の向きのバイアス磁界を付与する単一の第3バイアス磁石膜(例えば、バイアス磁石膜12、共通バイアス磁石膜)と、
を備えている。
このように、磁気センサ10(X軸磁気センサ11又はY軸磁気センサ21)においては、第1巨大磁気抵抗効果素子の他の端部と第2巨大磁気抵抗効果素子の他の端部とのそれぞれに必要とされていた2つのバイアス磁石膜を、単一のバイアス磁石膜(バイアス磁石膜12〜15)としているで、第1巨大磁気抵抗効果素子と第2巨大磁気抵抗効果素子とをより接近させることが可能となる。また、そのような単一のバイアス磁石膜に接する二つの素子は、電気的に接続されることになるから、それらの間の配線を形成する必要がない。
なお、磁気センサ10(X軸磁気センサ11)においては、第1巨大磁気抵抗効果素子(例えば、通常GMR素子16)及び第2巨大磁気抵抗効果素子(例えば、SAF素子18)は、前記第1の向きに実質的に直交する向き(この場合、Y軸正方向)に長手方向を有する幅狭帯状部を有し、それらの幅狭帯状部は第3バイアス磁石膜(バイアス磁石膜13)を起点として同一の側(Y軸負側)に延在している。
また、磁気センサ10(X軸磁気センサ11)においては、第1巨大磁気抵抗効果素子(例えば、通常GMR素子16)及び第2巨大磁気抵抗効果素子(例えば、SAF素子19)は前記第1の向きに実質的に直交する向き(Y軸正方向)に長手方向を有する幅狭帯状部を有し、それらの幅狭帯状部は一つの直線(Y軸と平行な直線)上に配設されている。更に、第3バイアス磁石膜(この場合、バイアス磁石膜12)は、前記第1巨大磁気抵抗効果素子(通常GMR素子16)と前記第2巨大磁気抵抗効果素子(SAF素子19)との間に配設されている。この場合にも、従来の二つのバイアス磁石膜が単一のバイアス磁石膜(第3バイアス磁石膜12)に置換されているから、より小型の磁気センサが提供され得る。
なお、磁気センサ10においては、第1巨大磁気抵抗効果素子(通常GMR素子)が基板10aの上面に接するように形成され、第2巨大磁気抵抗効果素子(SAF素子)が絶縁膜INSの上面に接するように形成されていたが、どちらの素子が基板10aの上面に接するように形成されてもよい。即ち、例えば、図2乃至図4に示したX軸磁気センサ11において、通常GMR素子16,17をSAF素子に置換し、SAF素子18,19を通常GMR素子に置換してもよい。
更に、上記磁気センサ10においては、一つのフルブリッジ回路を形成する巨大磁気抵抗効果素子16〜19が基板10a上の微小領域内に形成されるから、それらの素子には一様な応力(例えば、略同一の引張応力又は略同一の圧縮応力)が加わる。従って、各巨大磁気抵抗効果素子の抵抗値は互いに同様に増大又は減少するので、ブリッジ回路のバランスが崩れてしまう可能性が低減する。この結果、磁気センサ10は巨大磁気抵抗効果素子に応力が加わった場合においても、外部磁界を精度良く検出することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る磁気センサについて説明する。第2実施形態に係る磁気センサは、以下の2点のみにおいて、第1実施形態に係る磁気センサ10と相違している。
・磁気センサ10のX軸磁気センサ11を図17に示したX軸磁気センサ41に置換する。
・磁気センサ10のY軸磁気センサ21を、X軸磁気センサ41を平面視で左回転方向に90度回転させた磁気センサに置換する。
従って、以下、X軸磁気センサ41について説明する。
X軸磁気センサ41は、外部磁界のX軸方向の成分を検出する磁気センサである。X軸磁気センサ41は、12個のバイアス磁石膜42a〜42l、一対の通常GMR素子43,44及び一対のSAF素子45,46を備えている。
バイアス磁石膜42a〜42lは、第1実施形態のバイアス磁石膜12〜15と同様に、その断面が台形となっている。バイアス磁石膜42a〜42lは、バイアス磁石膜12〜15と同一材質からなり、Y軸正方向に着磁された永久磁石膜となっている。平面視においてバイアス磁石膜42a,42gは、互いに同一のT字形状を有し、残りのバイアス磁石膜は互いに同一の長方形状を有している。バイアス磁石膜42a〜42lの上面は、同一面内に存在している。
バイアス磁石膜42aは、基板10aのY軸方向中央部且つX軸正方向端部近傍に形成されている。バイアス磁石膜42gは、バイアス磁石膜42aからX軸負方向に第3距離だけ隔てた位置に形成されている。バイアス磁石膜42aとバイアス磁石膜42gとの間には、バイアス磁石膜42c,42e,42i,42kが形成されている。
バイアス磁石膜42cは、X軸負方向に僅かな距離を隔ててバイアス磁石膜42aに隣接するように配置されている。バイアス磁石膜42eは、X軸負方向に僅かな距離を隔ててバイアス磁石膜42cに隣接するように、且つ、X軸正方向に僅かな距離を隔ててバイアス磁石膜42gに隣接するように配置されている。バイアス磁石膜42c,42eのY軸正方向端部は、バイアス磁石膜42a,42gのY軸正方向端部と一致している。
バイアス磁石膜42bは、バイアス磁石膜42aからY軸正方向に第1距離だけ離間し、且つ、バイアス磁石膜42a及びバイアス磁石膜42cに対向する位置に形成されている。バイアス磁石膜42dは、X軸負方向に僅かな距離を隔ててバイアス磁石膜42bに隣接するように配置されている。バイアス磁石膜42dは、バイアス磁石膜42c及びバイアス磁石膜42eに対向する位置に形成されている。バイアス磁石膜42fは、X軸負方向に僅かな距離を隔ててバイアス磁石膜42dに隣接するように配置されている。バイアス磁石膜42fは、バイアス磁石膜42e及びバイアス磁石膜42gに対向する位置に形成されている。バイアス磁石膜42b,42d,42fのY軸負方向端部は、同一直線上に存在している。
バイアス磁石膜42kは、X軸負方向に僅かな距離を隔ててバイアス磁石膜42aに隣接するように配置されている。バイアス磁石膜42iは、X軸負方向に僅かな距離を隔ててバイアス磁石膜42kに隣接するように、且つ、X軸正方向に僅かな距離を隔ててバイアス磁石膜42gに隣接するように配置されている。バイアス磁石膜42i,42kのY軸負方向端部は、バイアス磁石膜42a,42gのY軸負方向端部と一致している。
バイアス磁石膜42hは、バイアス磁石膜42gからY軸負方向に第1距離だけ離間し、且つ、バイアス磁石膜42g及びバイアス磁石膜42iに対向する位置に形成されている。バイアス磁石膜42jは、X軸正方向に僅かな距離を隔ててバイアス磁石膜42hに隣接するように配置されている。バイアス磁石膜42jは、バイアス磁石膜42i及びバイアス磁石膜42kに対向する位置に形成されている。バイアス磁石膜42lは、X軸正方向に僅かな距離を隔ててバイアス磁石膜42jに隣接するように配置されている。バイアス磁石膜42lは、バイアス磁石膜42k及びバイアス磁石膜42aに対向する位置に形成されている。バイアス磁石膜42h,42j,42lのY軸正方向端部は、同一直線上に存在している。
通常GMR素子43は、3個の通常GMR素子膜43a〜43cからなっている。素子膜43a〜43cの各々は、図17に示したように、平面視において幅狭帯状であり、その長手方向はY軸に平行である。素子膜43a〜43cの各々(各中央部)は、第1実施形態の通常GMR素子16と同様に基板10aの上面に接するように形成されている。
素子膜43aの一つの端部はバイアス磁石膜42aの斜面に接し、他の端部はバイアス磁石膜42bの斜面に接している。素子膜43bの一つの端部はバイアス磁石膜42bの斜面に接し、他の端部はバイアス磁石膜42cの斜面に接している。素子膜43cの一つの端部はバイアス磁石膜42cの斜面に接し、他の端部はバイアス磁石膜42dの斜面に接している。この構成により、通常GMR素子43の抵抗値は、素子膜43a〜43cの各抵抗値の総和となる。
通常GMR素子44は、3個の通常GMR素子膜44a〜44cからなっている。素子膜44a〜44cの各々は、図17に示したように、平面視において幅狭帯状であり、その長手方向はY軸に平行である。素子膜44a〜44cの各々(各中央部)は、第1実施形態の通常GMR素子16と同様に基板10aの上面に接するように形成されている。
素子膜44aの一つの端部はバイアス磁石膜42gの斜面に接し、他の端部はバイアス磁石膜42hの斜面に接している。素子膜44bの一つの端部はバイアス磁石膜42hの斜面に接し、他の端部はバイアス磁石膜42iの斜面に接している。素子膜44cの一つの端部はバイアス磁石膜42iの斜面に接し、他の端部はバイアス磁石膜42jの斜面に接している。この構成により、通常GMR素子44の抵抗値は、素子膜44a〜44cの各抵抗値の総和となる。
SAF素子45は、3個のSAF素子膜45a〜45cを含んでいる。素子膜45a〜45cの各々は、図17に示したように、平面視において幅狭帯状の部分を備えている。各幅狭帯状部の長手方向はY軸に平行である。素子膜45a〜45cの各々は、第1実施形態のSAF素子18と同様、絶縁膜の上面に接するように形成されている。その絶縁膜は、バイアス磁石膜42a〜42lの上面と同一面内に上面を有するように基板10a上に形成されている。
素子膜45aの一つの端部は、バイアス磁石膜42gより僅かに小さいT字形状であり、バイアス磁石膜42gの上面に形成されている。素子膜45aの他の端部は、バイアス磁石膜42fより僅かに小さい長方形状であり、バイアス磁石膜42fの上面に形成されている。素子膜45bの一つの端部は、バイアス磁石膜42fの上面にて素子膜45aの他の端部と接続されている。素子膜45bの他の端部は、バイアス磁石膜42eより僅かに小さい長方形状であり、バイアス磁石膜42eの上面に形成されている。素子膜45cの一つの端部は、バイアス磁石膜42eの上面にて素子膜45bの他の端部と接続されている。素子膜45cの他の端部は、バイアス磁石膜42dより僅かに小さい長方形状であり、バイアス磁石膜42dの上面に形成されている。この構成により、SAF素子45の抵抗値は、素子膜45a〜45cの各抵抗値の総和となる。
SAF素子46は、3個のSAF素子膜46a〜46cを含んでいる。素子膜46a〜46cの各々は、図17に示したように、平面視において幅狭帯状の部分を備えている。各幅狭帯状部のの長手方向はY軸に平行である。素子膜46a〜46cの各々は、第1実施形態のSAF素子18と同様、前述した絶縁膜の上面に接するように形成されている。
素子膜46aの一つの端部は、バイアス磁石膜42aより僅かに小さいT字形状であり、バイアス磁石膜42aの上面に形成されている。素子膜46aの他の端部は、バイアス磁石膜42lより僅かに小さい長方形状であり、バイアス磁石膜42lの上面に形成されている。素子膜46bの一つの端部は、バイアス磁石膜42lの上面にて素子膜46aの他の端部と接続されている。素子膜46bの他の端部は、バイアス磁石膜42kより僅かに小さい長方形状であり、バイアス磁石膜42kの上面に形成されている。素子膜46cの一つの端部は、バイアス磁石膜42kの上面にて素子膜46bの他の端部と接続されている。素子膜46cの他の端部は、バイアス磁石膜42jより僅かに小さい長方形状であり、バイアス磁石膜42jの上面に形成されている。この構成により、SAF素子46の抵抗値は、素子膜46a〜46cの各抵抗値の総和となる。
このように構成されたX軸磁気センサは、図7に示した等価回路(磁気センサ10と同じフルブリッヂ回路)と同様なフリブリッヂ回路を備えたセンサとなっている。
係るX軸磁気センサ41においては、通常GMR素子43を構成する素子膜43a及びSAF素子46を構成する素子膜46aは、共通の単一バイアス磁石膜42aからバイアス磁界を受けるようになっている。通常GMR素子43を構成する素子膜43c及びSAF素子45を構成する素子膜45cは、共通の単一バイアス磁石膜42dからバイアス磁界を受けるようになっている。SAF素子45を構成する素子膜45a及び通常GMR素子44を構成する素子膜44aは、共通の単一バイアス磁石膜42gからバイアス磁界を受けるようになっている。通常GMR素子44を構成する素子膜44c及びSAF素子46を構成する素子膜46cは、共通の単一バイアス磁石膜42jからバイアス磁界を受けるようになっている。
従って、X軸磁気センサ41は、磁気センサ10と同様、従来において必要とされていた2つのバイアス磁石膜を1つのバイアス磁石膜に置換しているので、通常GMR素子とSAF素子とをより接近させることができる。その結果、X軸磁気センサ及びY軸磁気センサがより小型化されるので、第2実施形態の磁気センサはより小型化され得る。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る磁気センサについて説明する。第3実施形態に係る磁気センサは、以下の2点のみにおいて、第1実施形態に係る磁気センサ10と相違している。
・磁気センサ10のX軸磁気センサ11を図18に示したX軸磁気センサ51に置換する。
・磁気センサ10のY軸磁気センサ21を、X軸磁気センサ51を平面視で左回転方向に90度回転させた磁気センサに置換する。
従って、以下、X軸磁気センサ51について説明する。
X軸磁気センサ51は、外部磁界のX軸方向の成分を検出する磁気センサである。X軸磁気センサ51は、12個のバイアス磁石膜52a〜52l、SAF素子53、通常GMR素子54、SAF素子55及び通常GMR素子56を備えている。
バイアス磁石膜52a〜52lは、第1実施形態のバイアス磁石膜12〜15と同様に、その断面が台形となっている。バイアス磁石膜52a〜52lは、バイアス磁石膜12〜15と同一材質からなり、Y軸正方向に着磁された永久磁石膜となっている。平面視において、バイアス磁石膜52a,52gは互いに同一の長方形状を有し、残りのバイアス磁石膜は互いに同一の長方形状を有している。バイアス磁石膜52a〜52lは、図18に示した位置に形成され、それらの上面は同一面内に存在している。
SAF素子53は、3個のSAF素子膜53a〜53cを含んでいる。素子膜53a〜53cの各々は、図18に示したように、平面視において幅狭帯状の部分を備えている。素子膜53a及び素子膜54cの各幅狭帯状部の長手方向は、Y軸正方向に対し微小な角度θ(θ>0)だけ傾斜した向きに沿っている。素子膜53bの幅狭帯状部の長手方向は、Y軸正方向に対し微小な角度−θだけ傾斜した向きに沿っている。素子膜53a〜53cの各々のスペーサ層Sに隣接した第1磁性層P1の固定された磁化の向きはX軸負方向である。即ち、素子膜53a〜53cの磁気検出方向はX軸正方向である。
素子膜53aの一つの端部はバイアス磁石膜52aの上面の略全体に接するように長方形状に形成され、他の端部はバイアス磁石膜52bの上面の略全体に接するように長方形状に形成されている。素子膜53bの一つの端部はバイアス磁石膜52bの上面にて素子膜53aに接続され、他の端部はバイアス磁石膜52fの上面の略全体に接するように長方形状に形成されている。素子膜53cの一つの端部はバイアス磁石膜52fの上面にて素子膜53bに接続され、他の端部はバイアス磁石膜52dの上面の略全体に接するように長方形状に形成されている。
通常GMR素子54は、3個の通常GMR素子膜54a〜54cからなっている。素子膜54a〜54cの各々は、図18に示したように、平面視において幅狭帯状である。素子膜54aの長手方向はY軸に沿っている。素子膜54bの長手方向はY軸正方向に対し微小な角度−θだけ傾斜した向きに沿っている。素子膜54cの長手方向は、Y軸正方向に対し微小な角度θだけ傾斜した向きに沿っている。素子膜54a〜54cの各々のスペーサ層Sに隣接した磁性層P(固定層P)の固定された磁化の向きはX軸正方向である。即ち、素子膜54a〜54cの磁気検出方向はX軸負方向である。
素子膜54a〜54cの各々は、第1実施形態の通常GMR素子16と同様、基板10aの上面に接するように形成されている。また、素子膜54aの一つの端部はバイアス磁石膜52eの斜面に接するように形成され、他の端部はバイアス磁石膜52dの斜面に接するように形成されている。素子膜54bの一つの端部はバイアス磁石膜52eの斜面に接するように形成され、他の端部はバイアス磁石膜52cの斜面に接するように形成されている。素子膜54cの一つの端部はバイアス磁石膜52cの斜面に接するように形成され、他の端部はバイアス磁石膜52gの斜面に接するように形成されている。
一方、上述したSAF素子53の素子膜53a〜53cの各々は、第1実施形態のSAF素子18と同様、基板10a及び通常GMR素子54を覆う絶縁膜INSの上面に形成されている。従って、図18の4−4線に沿った平面に沿ってX軸磁気センサ51を切断した断面図である図19に示したように、素子膜53bは素子膜54cの上方を通過し、素子膜53bと素子膜54cとの間には絶縁膜INSが存在している。同様に、素子膜53cは素子膜54bの上方を通過し、素子膜53cと素子膜54bとの間には絶縁膜INSが存在している。
SAF素子55は、3個のSAF素子膜55a〜55cを含んでいる。素子膜55a〜55cの各々は、図18に示したように、平面視において幅狭帯状の部分を備えている。素子膜55aの幅狭帯状部の長手方向はY軸に沿っている。素子膜55bの幅狭帯状部の長手方向はY軸正方向に対し微小な角度θだけ傾斜した向きに沿っている。素子膜55cの幅狭帯状部の長手方向は、Y軸正方向に対し微小な角度−θだけ傾斜した向きに沿っている。素子膜55a〜55cの各々のスペーサ層Sに隣接した第1磁性層P1の固定された磁化の向きはX軸負方向である。即ち、素子膜55a〜55cの磁気検出方向はX軸正方向である。
素子膜55aの一つの端部はバイアス磁石膜52jの上面の略全体に接するように長方形状に形成され、他の端部はバイアス磁石膜52iの上面の略全体に接するように長方形状に形成されている。素子膜55bの一つの端部はバイアス磁石膜52iの上面にて素子膜55aに接続され、他の端部はバイアス磁石膜52kの上面の略全体に接するように長方形状に形成されている。素子膜55cの一つの端部はバイアス磁石膜52kの上面にて素子膜55bに接続され、他の端部はバイアス磁石膜52gの上面の略全体に接するように長方形状に形成されている。
通常GMR素子56は、3個の通常GMR素子膜56a〜56cからなっている。素子膜56a〜56cの各々は、図18に示したように、平面視において幅狭帯状である。素子膜56aの長手方向はY軸正方向に対し微小な角度−θだけ傾斜した向きに沿っている。素子膜56bの長手方向はY軸正方向に対し微小な角度θだけ傾斜した向きに沿っている。素子膜56cの長手方向は、Y軸正方向に対し微小な角度−θだけ傾斜した向きに沿っている。素子膜56a〜56cの各々のスペーサ層Sに隣接した磁性層P(固定層P)の固定された磁化の向きはX軸正方向である。即ち、素子膜56a〜56cの磁気検出方向はX軸負方向である。
素子膜56a〜56cの各々は、第1実施形態の通常GMR素子16と同様、基板10aの上面に接するように形成されている。また、素子膜56aの一つの端部はバイアス磁石膜52aの斜面に接するように形成され、他の端部はバイアス磁石膜52lの斜面に接するように形成されている。素子膜56bの一つの端部はバイアス磁石膜52lの斜面に接するように形成され、他の端部はバイアス磁石膜52hの斜面に接するように形成されている。素子膜56cの一つの端部はバイアス磁石膜52hの斜面に接するように形成され、他の端部はバイアス磁石膜52jの斜面に接するように形成されている。
一方、上述したSAF素子55の素子膜55a〜55cの各々は、第1実施形態のSAF素子18と同様、基板10a及び通常GMR素子56を覆う絶縁膜INSの上面に形成されている。従って、素子膜55bは、素子膜56cの上方を通過し、素子膜55bと素子膜56cとの間には絶縁膜INSが存在している。同様に、素子膜55cは素子膜56bの上方を通過し、素子膜55cと素子膜56bとの間には絶縁膜INSが存在している。
以上のように構成されたX軸磁気センサ51は、図20に等価回路図を示したように、磁気検出方向がX軸負方向である一対の通常GMR素子54,56と、磁気検出方向がX軸正方向である一対のSAF素子53,55とがフルブリッヂ接続されている。そして、X軸磁気センサ51においては、バイアス磁石膜52aに第1電位+Vdが付与され、バイアス磁石膜52gは接地され第2電位(0V)が与えられる。更に、SAF素子53と通常GMR素子54との接続箇所に存在するバイアス磁石膜52dから電位Vout1が取り出され、SAF素子55と通常GMR素子56との接続箇所に存在するバイアス磁石膜52jから電位Vout2が取り出される。電位Vout1と電位Vout2との差がX軸磁気センサ51の出力Voxとして取り出される。
このように、第3実施形態に係る磁気センサは、
第1巨大磁気抵抗効果素子(例えば、通常GMR素子56の素子膜56a)の一つの端部に接するように基板10a上に形成され、同第1巨大磁気抵抗効果素子に第1の向き(例えば、X軸負方向)と実質的に直交する第3の向き(例えば、Y軸正方向)のバイアス磁界を付与する第1バイアス磁石膜(例えば、バイアス磁石膜52l)と、
第2巨大磁気抵抗効果素子(例えば、SAF素子53の素子膜53a)の一つの端部に接するように基板10a上に形成され、同第2巨大磁気抵抗効果素子に前記第3の向きのバイアス磁界を付与する第2バイアス磁石膜(例えば、バイアス磁石膜52b)と、
前記第1巨大磁気抵抗効果素子の他の端部及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子の他の端部の両方に接するように基板10a上に形成され、同第1巨大磁気抵抗効果素子及び同第2巨大磁気抵抗効果素子に前記第3の向きのバイアス磁界を付与する単一の第3バイアス磁石膜(例えば、バイアス磁石膜52a、共通バイアス磁石膜)と、
を備える。
同様に、第3実施形態に係る磁気センサは、
第1巨大磁気抵抗効果素子(例えば、通常GMR素子54の素子膜54a)の一つの端部に接するように基板10a上に形成され、同第1巨大磁気抵抗効果素子に第1の向き(例えば、X軸負方向)と実質的に直交する第3の向き(例えば、Y軸正方向)のバイアス磁界を付与する第1バイアス磁石膜(例えば、バイアス磁石膜52e)と、
第2巨大磁気抵抗効果素子(例えば、SAF素子53の素子膜53c)の一つの端部に接するように基板10a上に形成され、同第2巨大磁気抵抗効果素子に前記第3の向きのバイアス磁界を付与する第2バイアス磁石膜(例えば、バイアス磁石膜52f)と、
前記第1巨大磁気抵抗効果素子の他の端部及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子の他の端部の両方に接するように基板10a上に形成され、同第1巨大磁気抵抗効果素子及び同第2巨大磁気抵抗効果素子に前記第3の向きのバイアス磁界を付与する単一の第3バイアス磁石膜(例えば、バイアス磁石膜52d、共通バイアス磁石膜)と、
を備える。
更に、バイアス磁石膜52j及びバイアス磁石膜52gも、共通バイアス磁石膜(第3バイアス磁石膜)として機能している。
従って、第3実施形態に係る磁気センサも、磁気センサ10と同様、第1巨大磁気抵抗効果素子の他の端部と第2巨大磁気抵抗効果素子の他の端部とのそれぞれに必要とされていた2つのバイアス磁石膜を、1つのバイアス磁石膜(バイアス磁石膜52a、52d、52j、52g)としているで、第1巨大磁気抵抗効果素子と第2巨大磁気抵抗効果素子とをより接近させることが可能となる。
また、第3実施形態に係る磁気センサは、
第1巨大磁気抵抗効果素子(例えば、通常GMR素子54の素子膜54b)は基板10aの上面に接するように形成され、
第2巨大磁気抵抗効果素子(例えば、SAF素子53の素子膜53c)は第1巨大磁気抵抗効果素子(通常GMR素子54の素子膜54b)と平面視において交差する部分を有し、且つ、第1巨大磁気抵抗効果素子の上部に形成され、
前記第1巨大磁気抵抗効果素子及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子の間に絶縁膜INSが形成されている磁気センサでもある。
これによれば、第1巨大磁気抵抗効果素子と第2巨大磁気抵抗効果素子とを基板の上下方向において(平面視において)交差するように形成することができる。従って、第1巨大磁気抵抗効果素子及び第2巨大磁気抵抗効果素子を互いにより近接させることができる。
なお、第3実施形態に係る磁気センサにおいても、第1巨大磁気抵抗効果素子(通常GMR素子)が基板10aの上面に接するように形成され、第2巨大磁気抵抗効果素子(SAF素子)が絶縁膜INSの上面に接するように形成されていたが、どちらの素子が基板10aの上面に接するように形成されてもよい。即ち、例えば、図18に示したX軸磁気センサ51において、通常GMR素子54,56をSAF素子に置換し、SAF素子53,55を通常GMR素子に置換してもよい。
以上、説明したように、本発明の各実施形態に係る磁気センサは、小型であって、素子が受ける応力の出力値への影響を極力小さくした磁気センサとなっている。なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
本発明の第1実施形態に係る磁気センサ(Nタイプ)の平面図である。 図1に示したX軸磁気センサの拡大平面図である。 図2の1−1線に沿った平面にてX軸磁気センサを切断した断面図である。 図2の2−2線に沿った平面にてX軸磁気センサを切断した断面図である。 図5の(A)は図2に示した通常GMR素子の膜構成を示した図、図5の(B)は通常GMR素子の概念的斜視図、図5の(C)は通常GMR素子の外部磁界に対する抵抗値の変化を示したグラフである。 図6の(A)は図2に示したSAF素子の膜構成を示した図、図6の(B)はSAF素子の概念的斜視図、図6の(C)はSAF素子の外部磁界に対する抵抗値の変化を示したグラフである。 図7の(A)は図2に示したX軸磁気センサの等価回路図であり、図7の(B)は外部磁界のX軸正方向成分に対する同X軸磁気センサの出力の変化を示したグラフである。 図1に示した磁気センサを製造する方法を説明するための工程図である。 図1に示した磁気センサを製造する方法を説明するための工程図である。 図1に示した磁気センサを製造する方法を説明するための工程図である。 図1に示した磁気センサを製造するためのウエハ(基板)の部分平面図である。 図1に示した磁気センサのピンド層の磁化の向きを固定する際に使用するマグネットアレイの平面図である。 図12の3−3線に沿った平面にてマグネットアレイを切断した同マグネットアレイの断面図である。 図12に示したマグネットアレイの永久磁石を5個だけ取り出した状態を示す同永久磁石の斜視図である。 図12に示した磁気センサの通常GMR素子及びSAF素子のピンド層の磁化の向きを固定する方法を示したマグネットアレイ及びウエハの部分平面図である。 通常GMR素子及びSAF素子の磁場中熱処理時における磁界方向と、得られる素子の特性と、の関係を示した図である。 本発明の第2実施形態に係る磁気センサが備えるX軸磁気センサの平面図である。 本発明の第3実施形態に係る磁気センサが備えるX軸磁気センサの平面図である。 図18の4−4線に沿った平面にてX軸磁気センサを切断した断面図である。 図18に示したX軸磁気センサの等価回路図である。 図21の(A)は従来の磁気センサの等価回路図であり、図21の(B)は同従来の磁気センサの外部磁界に対する出力の変化を示したグラフである。 従来の磁気センサの平面図である。 従来の磁気センサの固定層の磁化の向きを固定する際に使用するマグネットアレイの永久磁石を5個だけ取り出した状態を示す同永久磁石の斜視図である。 固定層の磁化の向きを固定する際の図23に示したマグネットアレイとウエハとの位置関係を示した平面図である。
符号の説明
10…磁気センサ、10a…基板、11…X軸磁気センサ、12〜15…バイアス磁石膜、16,17…通常GMR素子(第1巨大磁気抵抗効果素子)、18,19…SAF素子(第2巨大磁気抵抗効果素子膜)、21…Y軸磁気センサ、30…マグネットアレイ、31…永久磁石、41…X軸磁気センサ、42a〜42l…バイアス磁石膜、43,44…通常GMR素子、45,46…SAF素子、51…X軸磁気センサ、52a〜52l…バイアス磁石膜、53,55…SAF素子、54,56…通常GMR素子、INS…絶縁膜。

Claims (9)

  1. 単一の基板と、
    前記基板上に形成されるとともに、単一の強磁性体膜及びピニング層からなり同強磁性体膜の磁化の向きが同ピニング層により第1の向きに固定されて同強磁性体膜がピンド層を構成する固定層と、外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層と、同ピンド層と同フリー層との間に配置された非磁性導電体からなるスペーサ層と、を備えた単一膜固定層のスピンバルブ膜からなる第1巨大磁気抵抗効果素子と、
    前記基板上であって前記第1巨大磁気抵抗効果素子の近傍に形成されるとともに、第1強磁性体膜、同1強磁性体膜に接する交換結合膜、同交換結合膜に接する第2強磁性体膜及び同第2強磁性体膜に接するピニング層からなり同第2強磁性体膜の磁化の向きが同ピニング層により固定され且つ同第1強磁性体膜が同第2強磁性体膜と同交換結合膜を介して交換結合することにより同第1強磁性体膜の磁化の向きが前記第1の向きと180度相違する第2の向きに固定されたピンド層を構成する固定層と、外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層と、同ピンド層と同フリー層との間に配置された非磁性導電体からなるスペーサ層と、を備えた多重膜積層固定層のスピンバルブ膜からなる第2巨大磁気抵抗効果素子と、
    前記第1巨大磁気抵抗効果素子の一つの端部に接するように前記基板上に形成され、同第1巨大磁気抵抗効果素子に前記第1の向きと実質的に直交する第3の向きのバイアス磁界を付与する第1バイアス磁石膜と、
    前記第2巨大磁気抵抗効果素子の一つの端部に接するように前記基板上に形成され、同第2巨大磁気抵抗効果素子に前記第3の向きのバイアス磁界を付与する第2バイアス磁石膜と、
    前記第1巨大磁気抵抗効果素子の他の端部及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子の他の端部の両方に接するように前記基板上に形成され、同第1巨大磁気抵抗効果素子及び同第2巨大磁気抵抗効果素子に前記第3の向きのバイアス磁界を付与する単一の第3バイアス磁石膜と、
    を備えた磁気センサ。
  2. 請求項1に記載の磁気センサにおいて、
    前記第1巨大磁気抵抗効果素子及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子は前記第1の向きに実質的に直交する向きに長手方向を有する幅狭帯状部を有し、それらの幅狭帯状部は前記第3バイアス磁石膜を起点として同一の側に延在している磁気センサ。
  3. 請求項1に記載の磁気センサにおいて、
    前記第1巨大磁気抵抗効果素子及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子は前記第1の向きに実質的に直交する向きに長手方向を有する幅狭帯状部を有し、それらの幅狭帯状部は一つの直線上に実質的に配設され、
    前記第3バイアス磁石膜は、前記第1巨大磁気抵抗効果素子と前記第2巨大磁気抵抗効果素子との間に配設されている磁気センサ。
  4. 請求項1に記載の磁気センサであって、
    前記第1巨大磁気抵抗効果素子及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子の何れか一方は前記基板の上面に接するように形成され、
    前記第1巨大磁気抵抗効果素子及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子の何れか他方は前記第1巨大磁気抵抗効果素子及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子の何れか一方と平面視において交差する部分を有し、
    前記第1巨大磁気抵抗効果素子及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子の間に絶縁膜が形成されている磁気センサ。
  5. 請求項1に記載の磁気センサであって、
    前記第1乃至第3バイアス磁石膜のそれぞれは、断面が台形形状であって前記基板に対して傾斜した斜面及び同基板の上面に平行な上面を有するように形成され、
    前記第1巨大磁気抵抗効果素子は、前記一つの端部が前記第1バイアス磁石膜の斜面に接し、前記他の端部が前記第3バイアス磁石膜の斜面に接し、且つ、その中央部が前記基板の上面に接するように形成され、
    前記バイアス磁石膜の上面が存在する平面に到るまで前記第1巨大磁気抵抗効果素子を覆うように形成された絶縁膜を備え、
    前記第2巨大磁気抵抗効果素子は、前記一つの端部が前記第2バイアス磁石膜の上面に接し、前記他の端部が前記第3バイアス磁石膜の上面に接し、且つ、その中央部が前記絶縁膜の上面に接するように形成された磁気センサ。
  6. 請求項1に記載の磁気センサであって、
    前記第1乃至第3バイアス磁石膜のそれぞれは、断面が台形形状であって前記基板に対して傾斜した斜面及び同基板の上面に平行な上面を有するように形成され、
    前記第2巨大磁気抵抗効果素子は、前記一つの端部が前記第2バイアス磁石膜の斜面に接し、前記他の端部が前記第3バイアス磁石膜の斜面に接し、且つ、その中央部が前記基板の上面に接するように形成され、
    前記バイアス磁石膜の上面が存在する平面に到るまで前記第2巨大磁気抵抗効果素子を覆うように形成された絶縁膜を備え、
    前記第1巨大磁気抵抗効果素子は、前記一つの端部が前記第1バイアス磁石膜の上面に接し、前記他の端部が前記第3バイアス磁石膜の上面に接し、且つ、その中央部が前記絶縁膜の上面に接するように形成された磁気センサ。
  7. 請求項1に記載の磁気センサの製造方法であって、
    前記単一の基板を準備する工程と、
    前記第1乃至第3バイアス磁石膜となる膜を前記基板上に形成するバイアス磁石膜形成工程と、
    前記第1巨大磁気抵抗効果素子となる膜及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子となる膜の何れか一方の膜を前記基板の上面及び前記第1乃至第3バイアス磁石膜の上面に形成する第1膜形成工程と、
    前記形成されたバイアス磁石膜となる膜及び前記形成された前記磁気抵抗効果素子となる膜の上部を覆うように絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
    前記形成された絶縁膜と、前記形成されたバイアス磁石膜となる膜と、前記形成された磁気抵抗効果素子となる膜と、を同バイアス磁石膜となる膜の上面が表出するように除去するとともに、これらの膜の上面を平坦にする平坦化工程と、
    前記平坦化された膜の上面に前記第1巨大磁気抵抗効果素子となる膜及び前記第2巨大磁気抵抗効果素子となる膜の何れか他方の膜を形成する第2膜形成工程と、
    前記形成された前記第1巨大磁気抵抗効果素子となる膜及び前記形成された前記第2巨大磁気抵抗効果素子となる膜に対して同一の向きの磁界を高温下で付与することにより各膜の前記ピンド層の磁化の向きを固定する磁場中熱処理工程と、
    を含む磁気センサの製造方法。
  8. 請求項7に記載の磁気センサの製造方法において、
    前記バイアス磁石膜形成工程は、前記第1乃至第3バイアス磁石膜を、それぞれが前記基板に対して傾斜した斜面を有するように形成する工程である磁気センサの製造方法。
  9. 請求項7又は請求項8に記載の磁気センサの製造方法において、
    前記磁場中熱処理工程は、
    略直方体形状であって同直方体の一つの中心軸に直交する断面の形状が略正方形である複数の永久磁石を、同略正方形を有する端面の重心が正方格子の格子点に一致するように配設するとともに、同配設された各永久磁石の磁極の極性が最短距離を隔てて隣接する他の永久磁石の磁極の極性と異なるように配置されたマグネットアレイによって形成される磁界を前記磁場中熱処理工程中の磁界として用いる磁気センサの製造方法。
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