JP2022064068A - 耐液性ゴムおよび耐液性ゴムの調合方法 - Google Patents

耐液性ゴムおよび耐液性ゴムの調合方法 Download PDF

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Abstract

【課題】油分や薬品等との接触によって体積変化が生じ難い耐液性ゴムを提供する。【解決手段】主成分であるゴム材料に粉状のカーボンブラックを12.6~23.6wt%含むと共に、カーボンナノ構造体CSを粉砕して形成した太さが100ナノメートル以下、アスペクト比が500以下の基体1に小枝状の突起2が複数方向に延出するテトラポッド状カーボンTCを0.2~1.6重量%含み、その他の成分として、架橋剤・可塑剤・充填材のうち少なくとも一つを含む耐液性ゴムおよび耐液性ゴムの調合方法。【選択図】図1

Description

本発明は、主成分であるゴム材料に対して、粉状のカーボンブラックと、カーボンナノ構造体を粉砕して形成したテトラポッド状カーボンと、を含めた耐液性ゴムに関する。
従来より、ゴム材料の特性を改善するためにカーボンブラックが混入される。そのような技術を示すものとして例えば特許文献1(〔0016〕乃至〔0019〕段落および〔0039〕乃至〔0041〕段落参照)がある。
特許文献1に係る技術では、ゴム素材の導電性を向上させるためにカーボンブラックが混入される。具体的には、過酸化物架橋が可能な3元系フッ素ゴムに、カーボンブラックと、架橋剤としての多官能不飽和化合物と、架橋促進剤としての有機過酸化物と、が配合される。カーボンブラックは、フッ素ゴム100重量部に対して例えば30重量部が混入される。これにより、表面抵抗のオーダを1000Ω以下とした高導電性フッ素ゴム組成物が得られる。
特許文献1によれば、メカニズムは不明なものの、3元系フッ素ゴムに多官能不飽和化合物を組み合わせることでカーボンブラックの高配合が可能となり、適度なゴム弾性を備えたゴム組成物が得られる。また、ゴム組成物の表面抵抗が1000Ω以下である高導電性フッ素ゴムが得られるとのことである。
特開2011-1478号公報
上記特許文献1のフッ素ゴムは、主に導電性を向上させることが目的である。そして特許文献1においても、当該導電性ゴムは、例えば、溶剤を頻繁に使用する作業場であって、ガソリンなどの燃料を使用する環境下で滑り止め静電気防止作業マットとして使用する場合などがある旨が記載されている(〔0007〕段落参照)。
しかしながら、特許文献1の記載をみても、耐油性や耐薬品性の由来が、多官能不飽和化合物を混入することによるものか、従来からのフッ素ゴムにカーボンブラックを含めた材料が備える一般的特性としてのものか等が区別されていない。
この従来技術に限らず他の従来技術においても良好な導電性を備えるゴム材料につき信頼性の向上に係る技術まで言及したものは少ないと思われる。このように、良好な導電性を備えたゴム材料であっても信頼性の観点からは未だ改善の余地がある。本発明は、信頼性の中でも特に各種薬品との接触によって体積変化が生じ難い耐液性ゴムを提供することを目的とする。
(特徴構成)
本発明に係る耐液性ゴムは、主成分であるゴム材料に粉状のカーボンブラックを12.6~23.6wt%含むと共に、カーボンナノ構造体を粉砕して形成した太さが100ナノメートル以下、アスペクト比が500以下の基体に小枝状の突起が複数方向に延出するテトラポッド状カーボンを0.2~1.6重量%含み、その他の成分として架橋剤・可塑剤・充填材のうち少なくとも一つを含む点に特徴を有する。
(効果)
ゴム材料に粉状のカーボンブラックを混入させることで導電性を備えたゴム材料を得ることができる。ただし、ゴムのポリマー中には使用環境下の油性分や溶剤が溶け込み、体積変化を起こす場合がある。
そこで本構成のごとく、小枝状の複数の突起を有するテトラポッド状カーボンをゴム材料に加えることで、突起どうしの係合する部位が多数形成され、ポリマーの体積膨張に対する抵抗力が高まる。
テトラポッド状カーボンであれば、相互の過度な絡まりが防止され、ゴム材料に対して適度に分散混入することができる。
また、テトラポッド状カーボンの突起は隣接するカーボンブラックとの接触を増大させ、導電性が更に向上するという効果も期待できる。
(特徴構成)
本発明に係る耐液性ゴムは、前記ゴム材料としてのフッ素ゴムの含有量が71~79重量%である点に特徴を有する。
(効果)
本構成は、ゴム材料がフッ素ゴムである場合のフッ素ゴムの含有量を規定するものである。これを規定することで、フッ素ゴムを主体として体積変化の程度が少なく、導電性および加工性に優れた耐液性ゴムを得ることができる。
(特徴構成)
本発明に係る耐液性ゴムは、前記ゴム材料としてのNBRの含有量が46.8~47.1重量%であり、前記テトラポッド状カーボンの含有量が0.2~0.9重量%である点に特徴を有する。
(効果)
本構成は、ゴム材料がNBRである場合のNBR及びテトラポッド状カーボンの含有量を規定するものである。これらを規定することで、NBRを主体として体積変化の程度が少なく、導電性および加工性に優れた耐液性ゴムを得ることができる。
(特徴構成)
本発明に係る耐液性ゴムの調合方法は、主成分であるゴム材料に粉状のカーボンブラックを第1設定比率で加えて混錬した第1材料を作製し、前記ゴム材料および前記カーボンブラックと、カーボンナノ構造体を小枝状に粉砕したテトラポッド状カーボンと、を第2設定比率で加えて混錬した第2材料を作製し、前記第1材料に、前記第2材料と、その他の成分として架橋剤・可塑剤・充填材のうち少なくとも一つを第3設定比率で加えて混錬する点に特徴を有する。
(効果)
本方法によれば、テトラポッド状カーボンの形状を良好に維持しつつ、耐液性ゴムを調合することができる。つまり、良好な体積変化特性や導電性を備えるためには、テトラポッド状カーボンの突起が適切な長さで複数の方向に延出しているのが望ましい。よって、ゴム材料との混錬前に調整した形状を維持するためにテトラポッド状カーボンの混錬時間を短くするのが良い。
そこで、混錬する材料を予め第1材料と第2材料とに分けると共に、混入するテトラポッド状カーボンの全量を第2材料に混入させる。テトラポッド状カーボンを混入させるゴム材料を少なくすることで、当該ゴム材料の中でのテトラポッド状カーボンの分散程度を高めることができる。この後、さらに第1材料と混錬することで全体的に分散程度が良好なゴム材料を早く得ることができる。よって、混錬に際して破壊されがちなテトラポッド状カーボンの形状が良好に維持され、耐液性に優れたゴム材料を調合することができる。
テトラポッド状カーボンの外観を示す説明図 第1実施形態に係る耐液性ゴムの表面状態を示す顕微鏡写真 第2実施形態に係る耐液性ゴムの表面状態を示す顕微鏡写真
〔概要〕
本発明に係る耐液性ゴムは、主成分となるゴム材料に、カーボンブラックおよび小枝状の複数の突起を有するカーボン素材を混入させ、特に耐油性および耐溶剤性を向上させたものである。
従来より、ゴム材料の耐久性や耐摩耗性を高める補強剤としてカーボンブラックが用いられてきた。カーボンブラックの粒子どうしは凝集してネットワーク構造が形成されるうえ、これらの表面にはヒドロキシ基やカルボキシ基等の官能基が存在している。これによりゴム材料との間で相互作用が生じて物理的特性が向上する。
また、カーボンブラックは紫外線の吸収能力が高くゴム材料の劣化防止効果を高めることができる。さらに、カーボンブラックは導電性を有するからゴム材料が電気的な機能性材料ともなる。
一方、カーボンブラックを混入することで、ゴム材料の硬さが向上し、体積変化率が減少する。これにより、高強度を備えつつ形状変化の少ないゴム材料を得ることができる。
ゴム材料の特性の一つに耐液性、即ち耐油性および耐溶剤性がある。例えば、フッ素ゴムはこのような耐油性等に優れた材料である。しかし、アルコール燃料やケトン類、エーテル類等の溶剤はゴムの分子間に浸入し易く、その場合、ゴム材料が膨潤する。
そこで、本実施形態のゴム材料は、カーボンナノ構造体を粉砕して形成したテトラポッド状カーボンを混入させることで耐液性を向上させるものである。以下、本耐液性ゴムに係る各実施形態につき図表に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係る耐液性ゴムは、主成分のゴム材料としてフッ素ゴムを用いた。具体的には、テトラフルオロエチレンとプロピレンの重合体であるフッ素ゴムAFLAS 150P(AGC株式会社製)を使用した。
当該フッ素ゴムに、粉状のカーボンブラックと、基体1から小枝状の突起2が複数方向に延出するテトラポッド状カーボンとを混入する。
表1には、第1実施形態に係る耐液性ゴムと比較のフッ素ゴムにつき組成および特性を示した。表1に示すように、実施例1~4のフッ素ゴムの含有量は71~79重量%に設定した。また、カーボンブラックは全体の質量に対して12.6~23.6wt%を含有させた。ここで用いたカーボンブラックは、例えば、窒素吸着比表面積が12m/g、DBP吸収量(A法)が42cm/100gであるASTM D 1765-01:コードN990を用いた。
これらに対して更に加えるテトラポッド状カーボンは、CABOT社製のカーボンナノ構造体「ATHLOS」を用いた。これは同社の化学気相成長プロセスを用いて製造した薄片・フレーク状のカーボンナノ構造体を粉砕したものである。図1(a)にはカーボンナノ構造体CSの粉砕前の模式図を示し、図1(b)には粉砕後のカーボンナノ構造体CSの模式図を示した。本願では、この粉砕後のものをテトラポッド状カーボンTCと称している。テトラポッド状カーボンTCの個々の形状は、例えば、太さが100ナノメートル以下であってアスペクト比が500以下の基体1をもち、この基体1に小枝状の突起2が複数方向に延出したものである。このテトラポッド状カーボンTCの含有量は0.2~1.6重量%とした。
その他の成分として一般の架橋剤・可塑剤・充填材を含有させた。
フッ素ゴム等の調合作業および混錬作業は例えば以下の手順で行った。まず、主成分であるフッ素ゴムにカーボンブラックを第1設定比率で加えて混合し、第1材料を作製した。ここでの第1設定比率はフッ素ゴムに対するカーボンブラックの所定の混入量であり、例えばフッ素ゴム70重量部に対してカーボンブラックが20重量部の比率である。
次に、フッ素ゴムとカーボンブラック、テトラポッド状カーボンTCを第2設定比率で混合して第2材料を作製した。具体的には、フッ素ゴムおよびカーボンブラックの比率を第1設定比率と同じ70:20に設定し、これ等の合計量に対してテトラポッド状カーボンTCを約5重量%の比率で投入する。
第1材料の混錬時間は例えば20分とし、第2材料の混錬時間はその1.5倍の30分とした。第2材料の混錬時間が長いのは、テトラポッド状カーボンTCの形状に起因してフッ素ゴム材料への分散性が劣るためである。
第1材料および第2材料の混錬が終了した後、所定量の第2材料に第1材料の適量を加え、さらに、その他の架橋剤および可塑剤を第3設定比率で加えて約10分間混錬した。第1材料の混入量は、テトラポッド状カーボンTCの比率が低下し、全体の0.2~1.6重量%となるように調整した。また、架橋剤および可塑剤の割合は全体の約6重量%となるようにした。
このような手順で材料を混錬することで、テトラポッド状カーボンTCの分散程度が良好なフッ素ゴムを早く得ることができる。よって、混錬に際して破壊されがちなテトラポッド状カーボンTCの形状が良好に維持され、耐液性に優れたフッ素ゴムを調合することができる。
テトラポッド状カーボンTCを混入することで、従来から混入しているカーボンブラックの効果をより高めることができる。つまり、ゴムのポリマー中に分散したテトラポッド状カーボンTCの突起どうしが接触し或いは係合することでポリマーの体積膨張に対する抵抗力が高まる。これにより、フッ素ゴムの強度や耐摩耗性が向上する。また、テトラポッド状カーボンTCの突起は隣接するカーボンブラックとの接触の機会を増大させるから導電性が更に向上する。
表1には、第1実施形態に係る実施例として4種類のフッ素ゴムと、テトラポッド状カーボンTCを含まない比較例として2種類のフッ素ゴムを示した。
Figure 2022064068000002
比較例1のフッ素ゴムは、フッ素ゴムが72.2重量%、カーボンブラックが21.7重量%であり、その他の架橋剤および可塑剤等が6.1重量%である。比較例2のフッ素ゴムは、カーボンブラックの比率を高めたものであり、フッ素ゴムが63.1重量%、カーボンブラックが31.5重量%であり、その他の架橋剤および可塑剤等が5.4重量%である。
比較例1と比較例2につき、先ず体積変化率を比較する。体積変化率は、フッ素ゴム材料については常温下で試験体をジメチルエーテルに1週間に亘って浸漬し、体積の増減を測定したものである。カーボンブラックの含有率が高い比較例2の方が体積変化率は小さくなった。また、電気伝導度を示す体積固有抵抗の値はカーボンブラックの含有量が多い比較例2の方が小さくなった。さらに比較例2の材料の方が硬くなり、それに伴って加工性が劣るものとなった。
これに対して、まず実施例1~3は、何れもフッ素ゴム71重量%に対してカーボンブラックを21重量%とし、テトラポッド状カーボンTCを夫々0.2、0.4、1.4重量%と変化させた。これらは比較例1と同等である。また、実施例4は、テトラポッド状カーボンTCを1.6重量%としながらフッ素ゴムを79.1重量%とし、カーボンブラックを12.6重量%と減少させた。架橋剤および可塑剤等は、6.0~6.7重量%である。
実施例1~4につき略同じカーボンブラックを含有する比較例1と比較すると、体積変化率は何れも大幅に向上していることがわかる。また、実施例1~3をみると、テトラポッド状カーボンTCの量が増えるほど体積変化率は減少することがわかる。尚、テトラポッド状カーボンTCの量が1.4重量%と1.6重量%である実施例3および実施例4とでは、体積変化率は夫々+56および+57で略同じであった。ただし、実施例4ではカーボンブラックの比率が僅かに低いので、カーボンブラックの減少による体積変化率の増大をテトラポッド状カーボンTCの点火で補っているとも考えられる。
加工性については、実施例1および2では良好であった。一方、テトラポッド状カーボンTCが1.4重量%以上になるとやや加工性が低下した。
硬さについても、実施例1および2では夫々A71,A73であり、比較例1と同等であった。ただし、テトラポッド状カーボンTCが1.4重量%以上になると硬さが微増した。
電気伝導度を示す体積固有抵抗は、比較例1に比べて実施例1~4の何れも極めて良好である。また、テトラポッド状カーボンTCが増えると体積固有抵抗が低下することがわかる。ただし、実施例3および4は体積固有抵抗が同じであった。
表1の結果からみて、テトラポッド状カーボンTCの混入量が増えるほど体積変化率が減少し、体積固有抵抗が低下することがわかる。ただし、テトラポッド状カーボンTCが1.4重量%の場合と1.6重量%の場合とでは明確な差はみられないから、ゴム材料の製造コストなどを考慮すると一定の限界値が存在すると考えられる。
図2には、比較例1および実施例3に係る材料断面の顕微鏡写真を示す。倍率100倍の写真では両者とも同様の素地の模様が見られる。しかし、倍率3000倍では実施例3の材料の表面に糸状の部材が見える。これは、テトラポッド状カーボンTCが混錬によって線状に繋がったものと考えられる。表1の結果を勘案すると、この糸状の部材はゴム材料の組織中に分散して存在するには過剰なものが線状に構成されたものと推測される。よって、顕微鏡組織の観察によってもテトラポッド状カーボンTCの含有量の上限が判断できるものと思われる。
〔第2実施形態〕
本発明に係る耐液性ゴムの第2実施形態に係る結果を表2および図3に示す。第2実施形態に係る耐液性ゴムは、主成分のゴム材料としてNBRを用いたものである。NBRは、結合アクリロニトリル量が35%の中高NBRを使用し、カーボンブラックとしては、窒素吸着比表面積が27m/g、DBP吸収量(A法)が68cm/100gであるASTM D 1765-01:コードN762のものを用いた。このNBRに、粉状のカーボンブラックと小枝状の突起が複数方向に延出するテトラポッド状カーボンTCを混入した。
表2に示すように、比較例1の材料として、NBRを47.2重量%、カーボンブラックを23.6重量%としたものを用意した。その他の成分としては、充填材としてのシリカを9.5重量%、架橋剤および可塑剤等を19.7重量%含有している。また、比較例2の材料として、NBRを42.9重量%としカーボンブラックを含有しないものを用意した。その代わりにテトラポッド状カーボンTCを0.4重量%含有させた。その他の成分としては、シリカが12.9重量%、炭酸カルシウムが27.9重量%、架橋剤および可塑剤等を15.9重量%含有している。
Figure 2022064068000003
比較例に対する実施例1~4としては、NBRの含有量を42.8~47.1重量%としカーボンブラックを23.4~29.9重量%とした。テトラポッド状カーボンTCは、0.2~0.9重量%の範囲で変化させた。その他の成分としては、シリカを8.6~9.4重量%、架橋剤および可塑剤等を17.8~19.7重量%含むものとした。
第2実施形態においても、NBRおよびテトラポッド状カーボンTC等の調合作業および混錬作業は第1材料と第2材料とに分けて行った。
比較例1のNBRは、NBRが47.2重量%、カーボンブラックが23.6重量%であり、その他の成分としてシリカが9.5重量%、架橋剤および可塑剤等が19.7重量%である。比較例2のNBRは42.9重量%、カーボンブラックをゼロとし、その代わりにテトラポッド状カーボンTCを0.4重量%混入させている。その他、シリカが12.9重量%、炭酸カルシウムが27.9重量%、架橋剤および可塑剤等が15.9重量%である。
これに対して実施例1~4については、NBRを42.8~47.1重量%とし、カーボンブラックを23.4~29.9重量%とした。テトラポッド状カーボンTCは、夫々0.2~0.9重量%に変化させた。その他の成分として、シリカを8.6~9.4重量%とし、架橋剤および可塑剤等を17.8~19.7重量%とした。
体積変化率の測定に際しては、ここではメチルエチルケトンを用い、常温下で試験体を1週間浸漬したのち体積の増減を測定した。実施例1~4のゴム材料に係る体積変化率は比較例1および比較例2の材料と比較して良好な結果を示しており、テトラポッド状カーボンの含有量が増えるほど良い値を示すことがわかる。
体積固有抵抗も比較例1および比較例2に比べて極めて良好である。NBRを用いる場合でもテトラポッド状カーボンTCが増えると体積固有抵抗が低下することがわかる。
加工性については実施例1および2では良好であった。一方、テトラポッド状カーボンTCが0.9重量%以上になるとやや加工性が低下した。
硬さについては、実施例1および実施例2では夫々A71,A76であり、比較例1および比較例2と同等であった。尚、テトラポッド状カーボンTCの混入量が増えるほど硬さは増加する。
表2の結果においてもテトラポッド状カーボンTCの混入量が増えるほど体積変化率が減少し体積固有抵抗が低下した。
図3には、比較例1および実施例3に係る材料断面の顕微鏡写真を示す。倍率100倍の写真では両者とも同様の素地の模様が見られる。また、倍率3000倍の写真も同様な表面が観察された。この場合、材料の表面に糸状の部材は認められなかった。NBRの場合、フッ素ゴムに比べてテトラポッド状カーボンTCが素材の内部に適度に分散していると推測される。
以上の結果に基づけば、NBRの含有量を46.8~47.1重量%とし、テトラポッド状カーボンTCの含有量を0.2~0.9重量%とすることで、体積変化率が小さく導電性および加工性に優れた耐液性ゴムを得ることができる。
〔実施例3〕
上記第1実施形態および第2実施形態の結果に鑑みれば、本発明に係る耐液性ゴムとしては、フッ素ゴム或いはNBRなど主成分であるゴム材料に粉状のカーボンブラックを12.6~23.6重量%含むと共に、カーボンナノ構造体CSを粉砕して形成した太さが100ナノメートル以下、アスペクト比が500以下の基体1に小枝状の突起2が複数方向に延出するテトラポッド状カーボンTCを0.2~1.6重量%含み、その他の成分として、架橋剤・可塑剤・充填材のうち少なくとも一つを含むものとすることができる。
本構成であれば、テトラポッド状カーボンTCの突起どうしがゴム材料のポリマー中において多数係合しポリマーの体積膨張に対する抵抗力を高めることができる。
また、テトラポッド状カーボンTCの突起はポリマー中に分散するカーボンブラックと接触することで導電性が更に向上するという効果も期待できる。
本発明に係る耐液性ゴムはゴム素材にカーボンブラックを含めて特性改善を図るゴム材料に広く適用することができる。
1 基体
2 突起
CS カーボンナノ構造体
TC テトラポッド状カーボン

Claims (4)

  1. 主成分であるゴム材料に粉状のカーボンブラックを12.6~23.6wt%含むと共に、
    カーボンナノ構造体を粉砕して形成した太さが100ナノメートル以下、アスペクト比が500以下の基体に小枝状の突起が複数方向に延出するテトラポッド状カーボンを0.2~1.6重量%含み、
    その他の成分として架橋剤・可塑剤・充填材のうち少なくとも一つを含む耐液性ゴム。
  2. 前記ゴム材料としてのフッ素ゴムの含有量が71~79重量%である請求項1に記載の耐液性ゴム。
  3. 前記ゴム材料としてのNBRの含有量が46.8~47.1重量%であり、
    前記テトラポッド状カーボンの含有量が0.2~0.9重量%である請求項1に記載の耐液性ゴム。
  4. 主成分であるゴム材料に粉状のカーボンブラックを第1設定比率で加えて混錬した第1材料を作製し、
    前記ゴム材料および前記カーボンブラックと、カーボンナノ構造体を小枝状に粉砕したテトラポッド状カーボンと、を第2設定比率で加えて混錬した第2材料を作製し、
    前記第1材料に、前記第2材料と、その他の成分として架橋剤・可塑剤・充填材のうち少なくとも一つを第3設定比率で加えて混錬する耐液性ゴムの調合方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022249993A1 (ja) * 2021-05-25 2022-12-01 Agc株式会社 樹脂組成物、その製造方法及び成形体

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