JP2022059210A - 繊維構造物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】綿の有する吸水性を維持させつつ、ポリエステル等の合成繊維に近い速乾性を両立する繊維構造物、及びその製造方法の提供。【解決手段】セルロース系繊維とポリエステル系繊維とを含み、セルロース系繊維の含有量Bは、繊維構造物全体に対し15~80質量%であり、繊維構造物は、ポリエーテル成分を有するポリエステル系樹脂とアミノ樹脂とを含有しており、ポリエーテル成分の重量平均分子量(Mw)が、1500~6000g/mol、かつ、ポリエーテル成分の分子量分布(Mw/Mn)が1.00~1.35、かつ、下記式(1)および式(2)を満たす繊維構造物。ΔMR(%)=MR2-MR1・・(1)(ΔMR(%)/B(質量%))×100(%)≧3.5(%)・・(2)[MR1;20℃×65%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)MR2;30℃×90%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)]【選択図】なし

Description

本発明は、繊維構造物およびその製造方法に関する。
セルロース系繊維は、吸水性、吸湿性に優れており、風合いも良好であることから、肌着等の用途で使用されることが多いが、高い吸水性故に繊維内に水を保水してしまうため、速乾性が低く、汗冷えしやすい等という問題がある。それらの問題を解決するために今までに様々な開発がなされてきた。
例えば、速乾性向上においては、特許文献1では、綿を含む紡績糸を甘撚りにし、かつ目付を小さく、綿繊維の繊維長を規定することで、水分の拡散性を向上させ、速乾性を向上させていた。
また、特許文献2では、精練・漂白工程を繰り返すことで繊維中のケイ素元素量、カルシウム元素量を低減する製造方法を提案した。
一方で、特許文献3では、ポリエステルフィラメントとセルロース系紡績糸を組み合わせることで速乾性を向上させることを提案した。
さらに特許文献4では、単繊維表面に、トリアジン環含有重合性単量体を重合成分として含有してなる樹脂皮膜を有し、かつ、該皮膜中に、親水性ポリエステル系樹脂が含有されてなる繊維構造物が記載されている。
特開2019-137942号公報 特開2017-66583号公報 特開2019-60047号公報 特開2008-163474号公報
速乾性向上に関し、特許文献1では、甘撚りかつ低目付ゆえに展開用途が限られる懸念があった。
また、特許文献2では、ポリエステル等と混用する場合、繰り返し、精練、漂白を行うことで、ポリエステルの強度が低下する懸念があった。
また、特許文献3では、ポリエステル繊維の含有量が規定されているため、用途によっては求める吸湿性が得らえない懸念があった。
また、アミノ樹脂と親水性ポリエステル樹脂の組合せについては特許文献4等にも記載されているが、スチーム処理を行うことで樹脂が繊維表面を覆うため、綿の有する吸湿性が損なわれる懸念があった。
このように、セルロース系繊維の本来持つ吸水性および、吸湿性を保持しつつ、速乾性向上させた繊維構造物は今までに開発されていなかった。
本発明は、綿の有する吸水性を維持しつつ、ポリエステル系繊維等の合成繊維に近い速乾性を有する繊維構造物およびその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、本発明は下記の構成を採用する。
(1)セルロース系繊維とポリエステル系繊維とを含む繊維構造物であって、
前記セルロース系繊維の含有量Bは、前記繊維構造物全体に対し15質量%以上80質量%以下であり、
前記繊維構造物は、ポリエーテル成分を有するポリエステル系樹脂とアミノ樹脂とを含有しており、
前記ポリエーテル成分のサイズ排除クロマトグラフィーから得られるポリエチレングリコール換算重量平均分子量が、1500~6000g/molであり、
かつ、前記ポリエーテル成分の分子量分布(ポリエチレングリコール換算重量平均分子量のポリエチレングリコール換算数平均分子量に対する比)が1.00~1.35であり、
かつ、下記式(1)で表される吸湿率差ΔMRと、繊維構造物に含まれるセルロース系繊維の含有量Bの比が下記式(2)を満たす繊維構造物。
ΔMR(%)=MR-MR (1)
(ΔMR(%)/B(質量%))×100(%)≧3.5(%) (2)
MR;20℃×65%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
MR;30℃×90%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
(2)前記アミノ樹脂がセルロース系繊維に対して0.7質量%以上5.0質量%以下の量でセルロース系繊維に付着している(1)に記載の繊維構造物。
(3)前記ポリエステル系樹脂がポリエステル系繊維に対して0.01質量%以上1.5質量%以下の量でポリエステル系繊維に付着している(1)または(2)に記載の繊維構造物。
(4)前記アミノ樹脂が、メラミン系樹脂である、(1)~(3)のいずれかに記載の繊維構造物。
(5)前記ポリエーテル成分のサイズ排除クロマトグラフィーから得られるポリエチレングリコール換算重量平均分子量が、1500~6000g/molの範囲であり、
かつ、前記ポリエーテル成分の分子量分布(ポリエチレングリコール換算重量平均分子量のポリエチレングリコール換算数平均分子量に対する比)が1.00~1.35以内の範囲であるポリエーテル成分を有するポリエステル系樹脂とアミノ樹脂を、浴中処理またはパッド・ドライ法でセルロース系繊維とポリエステル系繊維とを含む繊維構造物に担持させる工程を含むことを特徴とする(1)~(4)のいずれか記載のポリエステル系繊維構造物の製造方法。
本発明により、綿の有する高い吸水性および吸湿性を維持し、かつポリエステル系繊維の有する速乾性という二律相反の性能を兼ね備えた繊維構造物が得られるようになった。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に述べる基本要件である速乾性能の優れた生地についての概念は、発汗時を想定して水分を素早く、吸収し、生地に付与したときの吸水拡散性に優れていることで速く乾く生地のことを示す。
本発明におけるアミノ樹脂としては、分子中に第1~4級のアミノ基を含む樹脂であって、かつ、熱や光等により架橋反応や硬化反応が生じ、硬化する樹脂のことを指し、例えば、メラミン系樹脂、尿素樹脂、イソシアネート系樹脂等が挙げられるが、中でも洗濯耐久性等の観点から、メラミン系樹脂やイソシアネート系樹脂等の、セルロース系繊維の有する水酸基と反応性を有する樹脂が好ましい。上記の理由から、アミノ樹脂は、メラミン系樹脂であることがより好ましい。
アミノ樹脂は、セルロース系繊維内部で反応することで、繊維内部への水分の繊維内部への浸透を抑制、保水性を制御できる。また、保水性を制御することで速乾性を向上できる一方で、添加量が多すぎると風合い硬化の原因にもなるため、繊維構造物内中のセルロース系繊維に対する添加量を制御することが好ましい。速乾性の観点から、繊維構造物内中のセルロース系繊維に対して0.7質量%以上5.0質量%以下の範囲で添加することが好ましい。さらに好ましくは1.0%~5.0質量%の範囲である。
本発明で用いるポリエーテル成分を有するポリエステル系樹脂(以下ポリエステル系樹脂と称する)としては、特に規定はないが、ポリエステルとポリアルキレングリコール等のポリエーテル成分からなる共重合ポリエステル樹脂等が挙げられる。このようなポリエステル系樹脂はポリエステル系繊維に固着し、良好な洗濯耐久性が得られるため、好適である。ポリエステル系樹脂は、単繊維表面および/または単繊維間隙に存在することで吸水性、水分拡散性を向上させることで速乾性を向上できる一方で、添加量が多すぎると堅牢度の悪化やポリエステル系樹脂の吸水膨潤による速乾性低下が生じるため、繊維構造物内のポリエステル系繊維に対する添加量を制御することが好ましい。好ましくは繊維構造物内のポリエステル系繊維に対して0.01質量%以上1.5質量%以下の範囲で添加することが好ましい。さらに好ましくは0.01質量%~0.5質量%の範囲である。
上記のようにアミノ樹脂とポリエーテル成分を有するポリエステル系樹脂を併用することで、綿等のセルロース系繊維の吸水性を制御し、ポリエステル系繊維表面での吸水拡散を促進させることで、速乾性を向上することができる。この機構は定かではないが、スチーム処理を行うことで樹脂が繊維表面を被覆してしまうような態様では、効果が得られず、後述するような浴中処理やパッド法等で効果が顕著であることから次のように推測される。すなわち、アミノ樹脂とポリエーテル成分を含むポリエステル系樹脂を浴中処理やパッド・ドライ処理で処理すると、親和性やその他の物理法則に基づき、アミノ樹脂はセルロース系繊維に、ポリエーテル成分を含むポリエステル系樹脂はポリエステル系樹脂に付着しやすい。そして、アミノ樹脂は綿等のセルロース系繊維内部に浸透し、繊維内部の保水性を下げるが、表面の吸水性を大きく損なうほど厚く被覆されない。一方ポリエーテル成分を有するポリエステル系樹脂はポリエステル系繊維の表面に多く付着しているので、セルロース系繊維により吸水された水分を効率よくポリエステル系繊維表面に移動させて拡散させ、蒸散を促進させる。そのため、吸水性に優れるとともに速乾性も顕著に向上させることができたものと考えられる。
良好な速乾性を得るためには、用いられる共重合ポリエステル樹脂のポリエーテル成分のポリエチレングリコール換算重量平均分子量を制御することが重要である。ポリエチレングリコール換算重量平均分子量は、1500~6000g/molの比較的高分子量のポリエーテル成分を用いる。好ましくは2000~4000g/molである。
さらに、用いられる共重合ポリエステル樹脂のポリエーテル成分の分子量分布(ポリエチレングリコール換算重量平均分子量(Mw)のポリエチレングリコール換算数平均分子量(Mn)に対する比)は、速乾性の観点から、小さい方、すなわち分子量が揃っていることが重要であり、本発明においては1.00~1.35である。なかでも1.00~1.25といった、より分子量の揃ったポリエーテルを用いることが好ましい。さらに好ましくは1.00~1.20である。ポリエチレングリコール換算重量平均分子量のポリエチレングリコール換算数平均分子量に対する比(Mw/Mn)から求められる。さらに、分子量分布のばらつきを小さくすることで、SR性も向上することができる。
上記繊維構造物は、ポリエーテル成分のサイズ排除クロマトグラフィーから得られるポリエチレングリコール換算重量平均分子量が、1500~6000g/molの範囲であり、かつ、前記ポリエーテル成分の分子量分布(ポリエチレングリコール換算重量平均分子量のポリエチレングリコール換算数平均分子量に対する比)が1.00~1.35以内の範囲であるポリエーテル成分を有するポリエステル系樹脂とアミノ樹脂を、浴中処理またはパッド・ドライ法でセルロース系繊維とポリエステル系繊維とを含む繊維構造物に担持させる工程を行うことにより製造することができる。
上記アミノ樹脂、ポリエステル系樹脂を繊維構造物に担持させる工程の具体的な方法としては、浴中処理、パッド法等でアミノ樹脂、ポリエステル系樹脂を含む加工剤で後加工する方法のほかに、繊維それ自体を構成する素材としてのアミノ樹脂、ポリエステル系樹脂を共重合させたベースポリマーの使用や繊維への練り込みといった原糸改質等が考えられる。しかし、原糸改質の場合、糸強度等の物性が大きく変化したり、汚れが繊維内部に浸透しやすくなる可能性があるため、物性を損なわない浴中処理、パッド・ドライ法等の後加工での処理が好ましい。浴中処理とパッド・ドライ法は、例えばポリエステル系樹脂の担持を浴中処理で行い、アミノ樹脂の担持をパッド・ドライ法で行うなど、両者を組み合わせて行うことも可能である。
中でも、アミノ樹脂およびポリエステル系樹脂の担持を一工程で処理可能で、さらにセルロース系繊維の繊維内に浸透させやすい状態で加工でき、かつ乾熱処理で行うことで樹脂が被膜化しにくく、繊維内部で硬化しやすいパッド・ドライ法での付与が最も好ましい。湿熱処理を行うようなパッド・スチーム法のように繊維表面に被膜化しやすい加工方法では、吸湿性や速乾性を損なう傾向にあるため、不適である。
ここでいう浴中処理とは、染色と同様に生地を加工剤が投入された浴に浸漬させた状態で加熱処理することで繊維構造物に加工剤を付着させる方法で、親水性樹脂をポリエステル繊維の表面に付着させるのに好適な加工方法である。
パッド・ドライ法とは加工剤が投入された浴に生地を浸漬させ、マングルローラー等で一定量の加工剤が付着するように圧搾した後、乾燥機内で生地を乾燥しつつ、メラミン樹脂のような硬化性樹脂を硬化させる方法である。水分が乾燥しながら樹脂の硬化が進むため、繊維内部に取り込まれた樹脂についてはそのまま繊維内部で硬化しやすい方法である。
パッド・スチーム法とは加工剤が投入された浴に生地を浸漬させ、マングルローラー等で一定量の加工剤が付着するように圧搾した後、100℃の飽和水蒸気下で湿熱によりメラミン樹脂のような硬化性樹脂を硬化させる方法であり、水分が繊維表面に保持された状態で硬化が進むため、両繊維種の表面に加工剤が被膜化しやすい方法である。
また、メラミン樹脂のように反応時にホルマリンが発生する樹脂を使用する場合、樹脂加工後に洗いの工程を行ったり、ホルマリンキャッチャー剤を併用することも可能である。また、その他要求される性能を応じて、形態安定剤や抗菌剤、スリップ防止剤、帯電防止剤、フィックス剤、柔軟剤等を併用してもよい。
本発明におけるセルロース系繊維としては、β-グルコース構造がグリコシド結合で重合したセルロース構造が繊維を構成するポリマーであり、例えば、綿、麻等の天然セルロース系繊維やビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、ポリノジック、リヨセル等の再生セルロース系繊維からなる繊維が挙げられる。中でも綿繊維は、繊維内部にアミノ樹脂が充填されることで、風合いを損なわず、効果的に保水性を低減できることから好ましい。また、風合いや吸湿性の観点から、前記セルロース系繊維の含有量は、前記繊維構造物全体に対し15質量%以上80質量%以下であり、好ましくは、35質量%以上80質量%以下である。
本発明においてポリエステル系繊維を構成する素材としては、エステル結合を有するポリマーであればよく、好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、その共重合体などの芳香族ポリエステル、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルなどを基本骨格とするポリエステル類が挙げられ、なかでも繊維構造物の強度の観点から芳香族ポリエステルが好ましく、さらにはポリエチレンテレフタレートが好ましい。
これらポリエステル系繊維にはヒンダードフェノール系、アミン系、ホスファイト系、チオエステル系などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系などの紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、シアニン系、スチルベン系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ベリノン系、キナクリドン系などの有機顔料、無機顔料、蛍光増白剤、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタンなどの粒子、静電剤などの添加剤が含有されていてもよい。
上記セルロース系繊維とポリエステル系繊維は混紡して紡績糸として繊維構造物に供することが好ましい。紡績糸の形態としては、結束紡績糸、リング紡績糸、サイロコンパクト紡績糸等特に制限はないが、なかでも風合いの点から結束紡績糸であることが好ましい。
本発明に用いる繊維構造物の形態としては、特に限定されるものでなく、織物、編物および不織布などの布帛状物の形態のものを好ましく使用することができ、組織としては、平、ツイル、サテンおよびオックス等の織物や、カノコ、インターループ、ハーフ、デンビー、ポンチ、天竺、フライスおよびスムースなどの編物でもよい。また、繊維構造物を構成する繊維の形態としては短繊維、長繊維、長/短複合のいずれであってもよく、これらに限定されるものではない。
かくして得られる本発明の繊維構造物は、綿の有する高い吸水性を維持し、かつポリエステル系繊維の有する速乾性という二律相反の性能を兼ね備える。
速乾性は、セルロース系繊維の含有量Bに影響を受けるが、同等のセルロース系繊維の含有量を有する従来の繊維構造物よりも顕著に優れる。本発明においては、以下に示す式で求められるセルロース系繊維の含有量(B)(質量%)に対する、イオン交換水の滴下60分後の残留水分率である、拡散性残留水分率A(%)の比[(A/B)]として、0.3以下を達成することが可能であり、それにより着用快適性の観点から好ましく、より好ましい態様においては、0.2以下、さらに好ましい態様においてくは、0.1以下を達成することも可能である。速乾性が高いほど、生地の張り付きや
汗冷え等が生じにくくなるため、着用快適性を向上することが可能である。
A/B≦0.3
A=[(Wx-W)/(W1-W)]×100
A:拡散性残留水分率A(質量%)
Wx:イオン交換水の滴下60分後の質量(g)
W1:イオン交換水の滴下直後の質量(g)
W:試験片の試験開始直前の質量(g)
また、ポリエステル系繊維に比較してセルロース系繊維は吸湿性に優れることから、吸湿性もセルロース系繊維の含有量Bに影響を受けるが、従来技術であるトリアジン環含有重合性単量体を重合成分として含有し、かつ親水性ポリエステル系樹脂を含有する樹脂皮膜を有する繊維構造物と比較したときに、同等のセルロース系繊維の含有量であれば、本発明の繊維構造物の方が格段に吸湿性に優れる。本発明においては、以下に示す式で求められるセルロース系繊維の含有量(B)(質量%)に対する、吸湿性差ΔMR(%)の百分率[(ΔMR/B)×100(%)]として、3.5%以上を達成することが可能である。好ましい態様において、3.7%以上を達成することも可能である。前記範囲を満たすことで、着用時の発汗、不感蒸泄による衣服内のムレを除去できるため、着用快適性に優れる。
吸湿率差ΔMR(%)=MR2-MR1 (1)
(ΔMR/B)×100(%)≧3.5(%) (2)
MR1;20℃×65%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
MR2;30℃×90%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
かくして得られる本発明の繊維構造物は,綿の有する高い吸水性を維持し、かつポリエステル系繊維の有する速乾性という二律相反の性能を兼ね備えるので、発汗を伴うスポーツウェア用途に好適に用いることができる。
<評価方法>
(ポリエチレングリコール換算重量平均分子量測定方法)
以下の条件でポリエチレングリコール換算重量平均分子量を測定した。装置:ゲル浸透クロマトグラフ GPC(島津製作所製 LC-20AD)
検出器:示差屈折率検出器 RI (Waters 製RI-8020 型,感度32x)
カラム :TSKgel G3000PWXL(東ソー製)
溶媒 :0.1M塩化ナトリウム水溶液
流速 :0.8 mL/min
カラム温度 :23℃
注入量:0.1 mL
標準試料:ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド
データ処理:島津製作所製 Prominence GPCシステム
試料の調製方法を以下に示す。
1.繊維構造物中のポリエステル系繊維のみ5gを分取し、分取したポリエステル系繊維5gとアンモニア水30mL試験管に加え、密栓する。
2.120℃で5時間加熱し、放冷する。
3.開栓し、精製水30mLを加えた後、6M塩酸をテレフタル酸由来の沈殿物が生じるまで加え、遠心分離する。
4.上澄み液を採取し、塩酸濃度が0.1Mになるよう調製する。
5.0.45μmフィルターでろ過し、分子量測定に用いた。
なお、ポリエチレンテレフタレート繊維を使用し、かつポリエーテル成分がポリエチレングリコール成分である場合、上記測定には、ポリエチレンテレフタレート由来のエチレングリコール成分が検出される場合があるが、この場合は測定の趣旨を鑑み、ポリエチレングリコール成分を評価の対象とする。
(NMR測定)
上記ポリエチレングリコール換算重量平均分子量の測定で試料の調整方法1~3と同じ操作を行い、得られる上澄み液5mLを乾固させたのち、50%重水素化クロロホルム/重水素化ヘキサフルオロ2-プロパノール1mLに溶解させたものをNMRチューブに入れ、以下の測定方法でH-NMR測定を行った。
NMRのスペクトルチャートで内部基準テトラメチルシラン由来のピークを0ppmとしたとき、3.7~3.8ppmに強いピークが検出されることにより、ポリエチレングリコール成分が存在することが分かる。
H-NMR測定方法)
[条件]
装置名 :ECA400 (日本電子製)
測定核 :1H
観測周波数 :399.78 MHz
溶媒 :重水素化クロロホルム+重水素化ヘキサフルオロ2-プロパノール(1/1 v/v)
内部標準 :テトラメチルシラン(TMS)
[詳細]
測定法:Single pulse
スペクトル幅: 8000 Hz
パルス幅:6.45 μs(45°パルス)
パルス待ち時間:15.0 s
データポイント:32768
(洗濯方法)
JIS L0217(1995年度版)103法)を用いた。具体的には、JIS C 9606(2007年度版)に規定される遠心式脱水装置付きの家庭用電気洗濯機(Panasonic製NA-F50B9)を用い、標準水量を示す水位線まで液温40℃の水を入れ、これに標準使用量となる割合で洗濯用合成洗剤(花王製アタック高活性バイオEX)を20g添加して溶解し、洗濯液とした。この洗濯液に浴比が、1:30になるように試料、負荷布を投入して運転を開始した。
5分間処理した後、運転を止め、試料及び負荷布を脱水機で脱水し、次に洗濯液を30℃以下の新しい水に代えて、同一の浴比で2分間すすぎ洗いを行った。2分間のすすぎ洗いを行った後、運転を止め、試料と負荷布を脱水し、再び2分間すすぎ洗いを行い、脱水し、直接日光の影響を受けない状態で、つり干しをした。
(拡散性残留水分率A)
室温20±2℃、相対湿度65±3%の試験室内に150mm×150mmの試験片を2時間以上放置して、試験片を調湿したのち、試験片の重量を測定する。この試験片にイオン交換水を0.3mL滴下し、10分おきに試験片を測定する。このようにして測定した測定値を用いて、次式より拡散性残留水分率Aを求める。拡散性残留水分率Aは、数値が低いほど速乾性が高いことを示す。
A=(Wx-W)×100/(W1-W)
Wx:イオン交換水の滴下60分後の質量(g)
W1:イオン交換水の滴下直後の質量(g)
W:試験片の試験開始直前の質量(g)
(セルロース系繊維に対するアミノ樹脂の付着量)
繊維構造物中のセルロース系繊維のみを10gを分取し、水洗、繊維表面の不純物を除去した後、乾燥する。その後、乾燥させたセルロース系繊維を精秤し、70質量%硫酸10mlにセルロース系ポリマーを溶解し、アミノ樹脂を沈殿させる。その後、遠心分離を行い、沈殿物のみを分取し、水洗し、乾固する。
得られた沈殿物の重量を測定し、溶解前のセルロース系繊維に対するアミノ樹脂の付着量を算出する。
(ポリエステル系繊維に対するポリエーテル成分を含むポリエステル系樹脂の付着量)
繊維構造物中のポリエステル系繊維のみ10gを分取し、分取して精秤したポリエステル系繊維10gを、重量比率4:1でHFIP(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール):クロロホルム混合した液15mlに溶解し、穴径0.45μmのPTFE製シリンジフィルターでろ過し、不純物を除去したうえで、貧溶媒として5℃に調整したエタノール300mLに滴下し、再沈殿を行う。沈殿物は、繊維を形成するポリエステル系ポリマーであり、エタノールに溶解ないし乳化分散しているポリマーが、親水性ポリエステル系樹脂を形成するポリマーとなる。遠心分離を行った後、沈殿物および上澄みのエタノールを分離し、それぞれを乾固した後、重量を測定することで、溶解前のポリエステル系繊維に対する親水性ポリエステル系樹脂の付着量を算出する。
(JIS-L1919 C2法での油汚れに対するSR性)
JIS-L1919「繊維製品の防汚性試験方法」(2006年度版)のC法に準じた油性汚れに対するSR性能を評価した。JIS-L1919「繊維製品の防汚性試験方法」(2006年度版)のC法に規定されている親油性汚染物質-2の成分を使用した汚染物質(オイルレッド分率0.1%)を作製し、以下の手順で試験を実施した。
方形ろ紙の上にPETフィルムを置き、その上に8cm×8cmにカットした布帛をのせた。10cmの高さから油性汚れを0.1mL滴下し、30秒放置した。円形ろ紙を乗せてろ紙の自重で汚れを吸い取った。さらに、ろ紙の位置をずらしてろ紙が汚れていない部分で再度汚れを吸い取った。ろ紙が汚れを吸い取らなくなるまでこの操作を繰り返した。ろ紙が汚染部分に触れない場合はろ紙の両端を持ち、なるべく加重をかけないようにろ紙と汚れを接触させて吸い取った。その後、汚染した布帛を縫い合わせて、約40cm×40cmのサイズにし、汚染剤滴下後一時間以内に洗濯を行った。汚染した布帛が足りない場合は、捨て布を縫い合わせた。JIS L0805(2005年度版)汚染色用グレースケールを用いてD65光源下でSR性級判定を行った。1級から5級まであり、数値が大きいほど、SR性が高いことを示す。
(吸水性)
JISL1907(2010年度版)吸水速度法(滴下法)に従って吸水性を評価した。
(吸湿性)
以下に示す吸湿率差 ΔMR(%)を測定し、吸湿性を評価した。得られたΔMR(%)とセルロース系繊維の含有量(質量%)からΔMR/B×100(%)の値を求めた。この値が大きいほど、繊維構造物の吸湿性はより高いといえる。
吸湿率(MR(%)およびMR(%))は、JIS L1096(2010年度版)(織物及び編物の生地試験方法)8.10の水分率に準じて算出した。始めに、3cm角にカットした試料を60℃で30分熱風乾燥した後、温度20℃、湿度65%RHに調湿された恒温恒湿機内に24時間静置し、試料の重量(W1)を測定後、温度30℃、湿度90%RHに調湿された恒温恒湿機内に試料を24時間静置し、試料の重量(W2)を測定した。その後、試料を105℃で2時間熱風乾燥し 、絶乾後の試料の重量(W3)を測定した。試料の重量W1、W3を用いて下記式(3)により絶乾状態から温度20℃、湿度65%RH雰囲気下に24時間静置したときの 吸湿率MR(%)を算出し、試料の重量W2、W3を用いて下記式(4)により絶乾状態から温度30℃、湿度90%RH雰囲気下に24時間静置したときの吸湿率MR(%)を算出した後、下記式(1)によって吸湿率差(△MR)を算出した。なお、測定は1試料につき5回行い、その平均値を吸湿率差(△MR)とした。
着用快適性の観点からΔMR/B×100(%)は高い方が良好である。
<吸湿率差;ΔMR(%)>
ΔMR(%)=MR-MR (1)
(ΔMR/B)×100(%)≧3.5(%) (2)
MR(%)={(W1-W3)/W3}×100 ・・・(3)
MR(%)={(W2-W3)/W3}×100 ・・・(4)
MR;20℃×65%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
MR;30℃×90%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
(ホルマリン残留量)
アセチルアセトン法(厚生省例34号)に準拠し、試験を行った。
(着用評価)
実施例および比較例に記載の繊維構造物を用いて作製したTシャツ(編布)、Yシャツ(織布)を着用し、発汗を伴う運動を30分行った後、30分間椅子に座り、休憩した後の速乾性、ムレ感、汗冷え、繰り返し使用時の不快臭の有無により総合的に着用快適性を評価する。評価としてはA、B、C、Dの4段階でAが最も着用快適性に優れることを意味し、Dが最も着用快適性に劣る、不快であることを意味する。
A:速乾性が良く、汗冷えしにくく、繰り返し使用を行っても皮脂成分由来の不快臭が発生しにくかった。
B:速乾性が悪く、汗冷えしやすいが、繰り返し使用を行っても皮脂成分由来の不快臭が発生しにくかった。または、速乾性が良く、汗冷えしにくいが、繰り返し使用を行っていくと皮脂成分由来の不快臭が少し発生した。
C:速乾性が悪く、汗冷えしやすく、繰り返し使用を行っていくと皮脂成分由来の不快臭が少し発生した。または、速乾性が良く、汗冷えしにくいが、吸湿性が低いため、着用中に蒸れ感を感じ、繰り返し使用を行っても皮脂成分由来の不快臭が発生しにくかった。
D:速乾性が悪く、汗冷えしやすく、繰り返し使用を行っていくと皮脂成分由来の不快臭が発生した。
(ポリエーテル成分を含むポリエステル系樹脂の製造)
ポリエステルからなるハードセグメントとしてテレフタル酸およびエチレングリコールのポリエステル成分を、ポリエーテル成分からなるソフトセグメントとしてポリエチレングリコール成分を任意の割合で混合し、同時に縮合反応させることで、ポリエステル系樹脂を得た。
[実施例1]
溶媒を水とし、“アミディア(登録商標)”M-3(DIC(株)製、メラミン樹脂単量体80%水溶液);20g/Lと、“キャタリストACX”(DIC(株)製、メラミン樹脂反応触媒);2g/L、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコールとからなるブロック共重合体、固形分10%);20g/Lとを含む加工液に、セルロース系繊維の混用率が65質量%で、30番手綿繊維/繊度1.5Tポリエチレンテレフタレート繊維の結束紡績糸(MVS)で編成した目付230g/cmのカノコ編布を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%となるように絞ったのち、130℃で2分間加熱処理して繊維構造物を得た。実施例1で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。着用テストの結果、速乾性が良く、汗冷えしにくく、着用快適性が良好であった。また、SR性も良好であるため、繰り返し使用を行っても皮脂成分由来の不快臭が発生しにくかったことから着用評価をAとした。
[実施例2]
溶媒を水とし、“アミディア(登録商標)”M-3(DIC(株)製、メラミン樹脂単量体80%水溶液);10g/Lと、“キャタリストACX”(DIC(株)製、メラミン樹脂反応触媒);1g/L、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコールとからなるブロック共重合体、固形分10%);20g/Lとを含む加工液に、セルロース系繊維の混用率が35質量%で、30番手綿繊維/繊度1.5Tポリエチレンテレフタレート繊維の結束紡績糸(MVS)で編成した目付230g/cmのカノコ編布を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%となるように絞ったのち、130℃で2分間加熱処理して繊維構造物を得た。実施例2で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。着用テストの結果、速乾性が良く、汗冷えしにくく、着用快適性が良好であった。また、SR性が良好であるため、繰り返し使用を行っても皮脂成分由来の不快臭が発生しにくかったことから着用評価をAとした。
[実施例3]
溶媒を水とし、“アミディア(登録商標)”M-3(DIC(株)製、メラミン樹脂単量体80%水溶液);5g/Lと、“キャタリストACX”(DIC(株)製、メラミン樹脂反応触媒);1g/L、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコールとからなるブロック共重合体、固形分10%);20g/Lとを含む加工液に、セルロース系繊維の混用率が22質量%で、30番手綿繊維/繊度1.5Tポリエチレンテレフタレート繊維の結束紡績糸(MVS)で編成した目付230g/cmのカノコ編布を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%となるように絞ったのち、130℃で2分間加熱処理して繊維構造物を得た。実施例3で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。着用テストの結果、速乾性が良く、汗冷えしにくく、着用快適性が良好であった。また、SR性が良好であるため、繰り返し使用を行っても皮脂成分由来の不快臭が発生しにくかったことから着用評価をAとした。
[実施例4]
溶媒を水とし、“アミディア(登録商標)”M-3(DIC(株)製、メラミン樹脂単量体80%水溶液);10g/Lと、“キャタリストACX”(DIC(株)製、メラミン樹脂反応触媒);1g/L、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコールとからなるブロック共重合体、固形分10%);20g/Lとを含む加工液に、セルロース系繊維の混用率が35質量%で、50番手レーヨン繊維/繊度0.5Tポリエチレンテレフタレート繊維のサイロコンパクト紡績糸を経糸および緯糸に用いて織布した、目付130g/cmの平織物を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%となるように絞ったのち、130℃で2分間加熱処理して繊維構造物を得た。実施例4で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。着用テストの結果、比較例1に記載の未処理布と比べて、速乾性が良く、汗冷えしにくく、着用快適性が良好であった。また、SR性が良好であるため、繰り返し使用を行っても皮脂成分由来の不快臭が発生しにくかったことから着用評価をAとした。
[実施例5]
溶媒を水とし、“アミディア(登録商標)”M-3(DIC(株)製、メラミン樹脂単量体80%水溶液);20g/Lと、“キャタリストACX”(DIC(株)製、メラミン樹脂反応触媒);2g/L、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコールとからなるブロック共重合体、固形分10%);20g/L、リケンレジンキャッチャー剤C76(三木理研(株)製、ホルマリンキャッチャー剤);20g/Lとを含む加工液に、セルロース系繊維の混用率が65質量%で、30番手綿繊維/繊度1.5Tポリエチレンテレフタレート繊維の結束紡績糸(MVS)で編成した目付230g/cmのカノコ編布を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%となるように絞ったのち130℃で2分間加熱処理した後、60℃の湯浴に浴比1:30になるように10分間浸漬させた後、脱水し、再度130℃で2分間加熱処理を行い、繊維構造物を得た。実施例5で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。ホルマリン残留量は、40ppmであった。着用テストの結果、速乾性が良く、汗冷えしにくく、着用快適性が良好であった。また、SR性も良好であるため、繰り返し使用を行っても皮脂成分由来の不快臭が発生しにくかったことから着用評価をAとした。
[実施例6]
溶媒を水とし、“アミディア(登録商標)”M-3(DIC(株)製、メラミン樹脂単量体80%水溶液);10g/Lと、“キャタリストACX”(DIC(株)製、メラミン樹脂反応触媒);1g/L、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコールとからなるブロック共重合体、固形分10%);20g/L、リケンレジンキャッチャー剤C76(三木理研(株)製、ホルマリンキャッチャー剤);20g/Lとを含む加工液に、セルロース系繊維の混用率が35質量%で、30番手綿繊維/繊度1.5Tポリエチレンテレフタレート繊維の結束紡績糸(MVS)で編成した目付230g/cmのカノコ編布を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%となるように絞ったのち130℃で2分間加熱処理した後、60℃の湯浴に浴比1:30になるように10分間浸漬させた後、脱水し、再度130℃で2分間加熱処理を行い、繊維構造物を得た。実施例6で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。ホルマリン残留量は、20ppmであった。着用テストの結果、速乾性が良く、汗冷えしにくく、着用快適性が良好であった。また、SR性が良好であるため、繰り返し使用を行っても皮脂成分由来の不快臭が発生しにくかったことから着用評価をAとした。
[実施例7]
溶媒を水とし、“アミディア(登録商標)”M-3(DIC(株)製、メラミン樹脂単量体80%水溶液);5g/Lと、“キャタリストACX”(DIC(株)製、メラミン樹脂反応触媒);1g/L、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコールとからなるブロック共重合体、固形分10%);20g/L、リケンレジンキャッチャー剤C76(三木理研(株)製、ホルマリンキャッチャー剤);20g/Lとを含む加工液に、セルロース系繊維の混用率が22%で、30番手綿繊維/繊度1.5Tポリエチレンテレフタレート繊維の結束紡績糸(MVS)で編成した目付230g/cmのカノコ編布を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%となるように絞ったのち130℃で2分間加熱処理した後、60℃の湯浴に浴比1:30になるように10分間浸漬させた後、脱水し、再度130℃で2分間加熱処理を行い、繊維構造物を得た。ホルマリン残留量は、10ppmであった。実施例7で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。着用テストの結果、速乾性が良く、汗冷えしにくく、着用快適性が良好であった。また、SR性が良好であるため、繰り返し使用を行っても皮脂成分由来の不快臭が発生しにくかったことから着用評価をAとした。
[実施例8]
溶媒を水とし、“アミディア(登録商標)”M-3(DIC(株)製、メラミン樹脂単量体80%水溶液);20g/Lと、“キャタリストACX”(DIC(株)製、メラミン樹脂反応触媒);2g/L、上記のポリエーテル成分を含むポリエステル系樹脂の製造方法に基づき、重量平均分子量1700g/molのポリエチレングリコールを使用し、ポリエステル成分とポリエチレングリコール成分の重量比1:3で製造したポリエステル系樹脂P-1;2g/Lとを含む加工液に、セルロース系繊維の混用率が65質量%で、30番手綿繊維/繊度1.5Tポリエチレンテレフタレート繊維の結束紡績糸(MVS)で編成した目付230g/cmのカノコ編布を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%となるように絞ったのち、130℃で2分間加熱処理して繊維構造物を得た。実施例8で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。着用テストの結果、速乾性が良く、汗冷えしにくいが、繰り返し使用を行っていくと皮脂成分由来の不快臭が少し発生したことから着用評価をBとした。
[実施例9]
溶媒を水とし、“アミディア(登録商標)”M-3(DIC(株)製、メラミン樹脂単量体80%水溶液);20g/Lと、“キャタリストACX”(DIC(株)製、メラミン樹脂反応触媒);2g/L、上記のポリエーテル成分を含むポリエステル系樹脂の製造方法に基づき、重量平均分子量5800g/molのポリエチレングリコールを使用し、ポリエステル成分とポリエチレングリコール成分の重量比重量比1:3で製造したポリエステル系樹脂P-2;2g/Lとを含む加工液とを含む加工液に、セルロース系繊維の混用率が65質量%で、30番手綿繊維/繊度1.5Tポリエチレンテレフタレート繊維の結束紡績糸(MVS)で編成した目付230g/cmのカノコ編布を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%となるように絞ったのち、130℃で2分間加熱処理して繊維構造物を得た。実施例1で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。着用テストの結果、速乾性が良く、汗冷えしにくいが、繰り返し使用を行っていくと皮脂成分由来の不快臭が少し発生したことから着用評価をBとした。
[比較例1]
実施例1に記載のセルロース系繊維の混用率が65質量%で、30番手結束紡績糸で編成した目付230g/cmのカノコ編布に加工を行わず、繊維構造物を得た。比較例1で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。着用テストの結果、速乾性が悪く、汗冷えしやすいため、着用快適性が不良であった。また、SR性も低いであるため、繰り返し使用を行っていくと皮脂成分由来の不快臭が発生したことから着用評価をDとした。
[比較例2]
実施例2に記載のセルロース系繊維の混用率が35質量%で、30番手の結束紡績糸で編成した目付230g/cmのカノコ編布に加工を行わず、繊維構造物を得た。比較例2で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。着用テストの結果、速乾性が悪く、汗冷えしやすいため、着用快適性が不良であった。また、SR性も低いため、繰り返し使用を行っていくと皮脂成分由来の不快臭が発生したことから着用評価をDとした。
[比較例3]
実施例3に記載のセルロース系繊維の混用率が22質量%で、30番手の結束紡績糸で編成した目付230g/cmのカノコ編布に加工を行わず、繊維構造物を得た。比較例3で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。着用テストの結果、速乾性が悪く、汗冷えしやすいため、着用快適性が不良であった。また、SR性も低いため、繰り返し使用を行っていくと皮脂成分由来の不快臭が発生したことから着用評価をDとした。
[比較例4]
溶媒を水とし、“アミディア(登録商標)”M-3(DIC(株)製、メラミン樹脂単量体80%水溶液);20g/Lと、キャタリストACX(DIC(株)製、メラミン樹脂反応触媒);2g/Lとを含む加工液に、セルロース系繊維の混用率が65質量%で、30番手綿繊維/繊度1.5Tポリエチレンテレフタレート繊維の結束紡績糸(MVS)で編成した目付230g/cmのカノコ編布を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%となるように絞ったのち、120℃で2分間加熱処理し、150℃で1分間加熱処理して繊維構造物を得た。比較例4で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。着用テストの結果、SR性が良好であるため、繰り返し使用を行っても皮脂成分由来の不快臭が発生しにくいが、吸水性が悪く、着用快適性が不良であったことから着用評価をDとした。
[比較例5]
溶媒を水とし、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコールとからなるブロック共重合体、固形分10%);20g/Lを含む加工液に、セルロース系繊維の混用率が65質量%で、30番手綿繊維/繊度1.5Tポリエチレンテレフタレート繊維の結束紡績糸(MVS)で編成した目付230g/cmのカノコ編布を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%となるように絞ったのち、120℃で2分間加熱処理し、150℃で1分間加熱処理して繊維構造物を得た。比較例5で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。着用テストの結果、繰り返し使用を行うと皮脂成分由来の不快臭が少し発生し、速乾性が悪く、汗冷えしやすいため、着用快適性が不良であったことから着用評価をCとした。
[比較例6]
溶媒を水とし、“アミディア(登録商標)”M-3(DIC(株)製、メラミン樹脂単量体80%水溶液);20g/Lと、“キャタリストACX”(DIC(株)製、メラミン樹脂反応触媒);2g/L、TM-SS21(松本油脂製薬(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコールとからなるブロック共重合体、固形分10%);20g/Lとを含む加工液に、セルロース系繊維の混用率が65質量%で、30番手綿繊維/繊度1.5Tポリエチレンテレフタレート繊維の結束紡績糸(MVS)で編成した目付230g/cmのカノコ編布を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%となるように絞ったのち、100℃で10分間スチーム処理を行った後、水洗、脱水し、130℃で2分間加熱処理して繊維構造物を得た。比較例6で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。着用テストの結果、速乾性が悪く、汗冷えしやすく、また、吸湿性が低いため、着用中に蒸れ感を感じ、着用快適性が不良であった。また、SR性が良好であるため、繰り返し使用を行っても皮脂成分由来の不快臭が発生しにくかったことから着用評価をCとした。
[比較例7]
溶媒を水とし、“アミディア(登録商標)”M-3(DIC(株)製、メラミン樹脂単量体80%水溶液);10g/Lと、“キャタリストACX”(DIC(株)製、メラミン樹脂反応触媒);1g/L、TO-SR―1(高松油脂(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコールとからなるブロック共重合体、固形分10%);20g/Lとを含む加工液に、セルロース系繊維の混用率が35質量%で、30番手綿繊維/繊度1.5Tポリエチレンテレフタレート繊維の結束紡績糸(MVS)で編成した目付230g/cmのカノコ編布を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%となるように絞ったのち、130℃で2分間加熱処理して繊維構造物を得た。比較例7で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。着用テストの結果、速乾性が悪く、汗冷えしやすいため、着用快適性が不良であった。また、SR性が低いため、繰り返し使用を行っていくと皮脂成分由来の不快臭が徐々に発生したため、着用評価をCとした。
[比較例8]
溶媒を水とし、“アミディア(登録商標)”M-3(DIC(株)製、メラミン樹脂単量体80%水溶液);10g/Lと、“キャタリストACX”(DIC(株)製、メラミン樹脂反応触媒);1g/L、“ナイスポール”PRK-60(日華化学(株)製、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸とアルキレングリコールからなるポリエステル単位とポリアルキレングリコール単位とからなるブロック共重合体、固形分10%);20g/Lとを含む加工液に、セルロース系繊維の混用率が35質量%で、30番手綿繊維/繊度1.5Tポリエチレンテレフタレート繊維の結束紡績糸(MVS)で編成した目付230g/cmのカノコ編布を浸漬させ、ピックアップ率が90質量%となるように絞ったのち、130℃で2分間加熱処理して繊維構造物を得た。比較例8で得た繊維構造物の測定結果を表1に示す。着用テストの結果、速乾性が悪く、汗冷えしやすいため、着用快適性が不良であったことから着用評価をCとした。
Figure 2022059210000001
Figure 2022059210000002

Claims (5)

  1. セルロース系繊維とポリエステル系繊維とを含む繊維構造物であって、
    前記セルロース系繊維の含有量Bは、前記繊維構造物全体に対し15質量%以上80質量%以下であり、
    前記繊維構造物は、ポリエーテル成分を有するポリエステル系樹脂とアミノ樹脂とを含有しており、
    前記ポリエーテル成分のサイズ排除クロマトグラフィーから得られるポリエチレングリコール換算重量平均分子量が、1500~6000g/molであり、
    かつ、前記ポリエーテル成分の分子量分布(ポリエチレングリコール換算重量平均分子量のポリエチレングリコール換算数平均分子量に対する比)が1.00~1.35であり、
    かつ、下記式(1)で表される吸湿率差ΔMRと、繊維構造物に含まれるセルロース系繊維の含有量Bの比が下記式(2)を満たす繊維構造物。
    ΔMR(%)=MR-MR (1)
    (ΔMR(%)/B(質量%))×100(%)≧3.5(%) (2)
    MR;20℃×65%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
    MR;30℃×90%RH雰囲気下に24時間放置した時の吸湿率(%)
  2. 前記アミノ樹脂がセルロース系繊維に対して0.7質量%以上5.0質量%以下の量でセルロース系繊維に付着している請求項1に記載の繊維構造物。
  3. 前記ポリエステル系樹脂がポリエステル系繊維に対して0.01質量%以上1.5質量%以下の量でポリエステル系繊維に付着している請求項1または2に記載の繊維構造物。
  4. 前記アミノ樹脂が、メラミン系樹脂である、請求項1~3のいずれかに記載の繊維構造物。
  5. 前記ポリエーテル成分のサイズ排除クロマトグラフィーから得られるポリエチレングリコール換算重量平均分子量が、1500~6000g/molの範囲であり、
    かつ、前記ポリエーテル成分の分子量分布(ポリエチレングリコール換算重量平均分子量のポリエチレングリコール換算数平均分子量に対する比)が1.00~1.35以内の範囲であるポリエーテル成分を有するポリエステル系樹脂とアミノ樹脂を、浴中処理またはパッド・ドライ法でセルロース系繊維とポリエステル系繊維とを含む繊維構造物に担持させる工程を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか記載のポリエステル系繊維構造物の製造方法。
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