JP2022057308A - プロセスチーズ類およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022057308000001
【課題】特定の原料チーズや副原料を使用する必要がなく、粒子感があり、脆く、断面に凹凸がある組織を有するプロセスチーズ類、およびその製造方法の提供。
【解決手段】原料チーズとして、硬質系ナチュラルチーズ、及び/又は半硬質系ナチュラルチーズの少なくとも1つと、溶融塩として、リン酸塩と、を含む原料を、混合する混合工程と、混合した前記原料を加熱溶融する加熱溶融工程と、加熱溶融した前記原料を70℃以上の高温に保持する高温保持工程と、高温保持した前記原料を、-10℃以下まで凍結する凍結工程と、凍結した前記原料を解凍する解凍工程と、を含む、プロセスチーズ類の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、新規な食感を有するプロセスチーズ類、およびその製造方法に関する。
なお、本発明において「プロセスチーズ類」とは、プロセスチーズ、チーズフードなど、乳等省令(昭和6年12月27日厚生省令第52号)、公正競争規約の成分規格において規定されたものの他、乳等を主要原料とする食品など(以下、「乳主原」という。)の当該技術分野における通常の意味を有する範囲のものを全て包含する。
プロセスチーズ類は、一般的に、様々なナチュラルチーズを原料とし、それらが持つ独特の風味や物理化学的な特徴を活かして、溶融塩と呼ばれる乳化剤を用いて加熱溶融することで得られる。また、溶融塩にも様々な種類のものがあり、それらの使用量、配合、配合比および乳化条件等の製造条件によって、最終製品に様々な特徴を与えることができる。
これまでにも、プロセスチーズ類の配合や乳化条件等の製造方法による風味や物性制御等に関する様々な検討がなされ、風味発現の制御や、熱によりとろけるような特徴や、糸を引くといった特徴、熱に対して溶けにくい等の機能性を付与するような検討により、多くの技術が確立されてきた。
近年、食の欧米化に伴い、日本国内のチーズ消費量は増加している。特に、ナチュラルチーズの消費量は増加傾向にあり、それらのチーズ特有の食感や風味が好まれている。特にチェダーチーズやゴーダチーズ等の硬質・半硬質系のチーズは、熟成されることで、砕いたチーズ断面に凹凸のある組織を有し、脆くてボロボロと崩れるような食感は、芳醇な風味とともに好まれている。
プロセスチーズ類は、ナチュラルチーズと比べて、配合や製造条件等により前述に記載した風味や物性の制御が可能な点や加熱殺菌が可能であることから保存性が高い点がメリットとして挙げられる。したがって、このようなプロセスチーズ類のメリットを有しながら、ナチュラルチーズ特有の食感を同時に付与することが求められる。
プロセスチーズ類の食感改良に関しては、これまでに多数の試みがなされている。例えば、溶融塩として縮合リン酸塩を使用し、原料チーズとして熟度30%以上のナチュラルチーズを用いることで、「ねちゃつき」を低減し、「口どけ」を向上させたプロセスチーズ類を製造する方法(特許文献1)、ヨウ素価33以上のモノグリセリドを使用することで、「滑らか」で「軽い口溶け」のプロセスチーズ類を製造する方法(特許文献2)、原料チーズとしてクッキング温度40℃以上で製造したナチュラルチーズを20%以上使用することで、「ガム様の弾力」のある食感を有するチーズを製造する方法(特許文献3)、熟度23.0%以上で、かつホエイ中でカードの圧搾を行わない製法により製造されたチーズを原料チーズとして使用し、さらに再生チーズを添加して、加熱溶融後に高温保持工程を経ることで、「口腔内で砕け易く」、「軽い食感」を有するプロセスチーズ類を製造する方法(特許文献4)等が挙げられる。
特開2014-023437号公報 特開平11-000105号公報 特開平10-234299号公報 特開2015-165813号公報
しかしながら、特許文献1~4には、砕いたチーズ断面に凹凸のある組織を有し、脆くてボロボロと崩れるようなナチュラルチーズ特有の食感を、プロセスチーズ類に付与する技術については開示されていない。
そこで、本発明の課題は、特定の原料チーズや副原料を使用する必要がなく、粒子感があり脆く、断面に凹凸がある組織を有するナチュラルチーズ特有の食感が付与されたプロセスチーズ類を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するものであり、本発明には以下の構成が含まれる。
(1) 原料チーズと、溶融塩と、を含むプロセスチーズ類であって、
プロセスチーズ類の全質量基準で、乳タンパク質含量が15%以上、水分含量が50%以下、pHが5.0から6.3、硬度が100N以下であり、粒子感があり、脆く、断面に凹凸を有するプロセスチーズ類。
(2) 幅35mm×厚み15mm×高さ10mmに成型した前記プロセスチーズ類の試験体を、25mm間隔を空けて設置した2つの支持体(幅90mm、厚み5mm、高さ32mm)上に、端部に合わせて固定せずに水平に乗せ、前記試験体の上面から冶具(幅90mm、厚み5mm、冶具先端は直径5mmの半円形)を前記試験体の中央部に接触させてから、0.33mm/sの速度で降下させた際に、前記治具が接触してから前記試験体が折れるまでの前記治具の降下距離が4.2mm以内である、前記(1)記載のプロセスチーズ類。
(3) 折れた前記試験体の断面を、形状測定レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス、VK-9710)を用いて測定した、算術平均粗さRa(観察視野内の全データを平均した高さの平面を基準面とし、各点の高さと基準面の高さの差の絶対値を平均したもの)が60μm以上である、前記(1)又は(2)記載のプロセスチーズ類。
(4) 前記溶融塩が、リン酸塩である前記(1)~(3)のいずれか1つに記載のプロセスチーズ類。
(5) 前記(1)~(4)のいずれか1つに記載のプロセスチーズ類の製造方法であって、
原料チーズとして、硬質系ナチュラルチーズ、及び/又は半硬質系ナチュラルチーズの少なくとも1つと、溶融塩として、リン酸塩と、を含む原料を、混合する混合工程と、
混合した前記原料を加熱溶融する加熱溶融工程と、
加熱溶融した前記原料を、70℃以上の高温に保持する高温保持工程と、
高温保持した前記原料を、-10℃以下まで凍結する凍結工程と、
凍結した前記原料を解凍する解凍工程と、
を含む、プロセスチーズ類の製造方法。
(6) 前記高温保持工程における保持時間及び保持方法が、85℃における粘度が100dPa・s以上になるまで静置する方法、及び/又は撹拌する方法である前記(5)記載のプロセスチーズ類の製造方法。
(7) -10℃以下まで凍結する前記凍結工程において、高温保持した原料を-2.0℃から-7.9℃に到達するまでの凍結速度を-40℃/h以下とする、前記(5)又は(6)記載のプロセスチーズ類の製造方法。
本発明によれば、特定の原料チーズや副原料を使用する必要がなく、粒子感があり脆く、断面に凹凸がある組織を有するナチュラルチーズ特有の食感が付与されたプロセスチーズ類を提供することができる。
本発明のプロセスチーズ類の曲げ試験方法を説明するための図である。
本発明者等は、特定の原料チーズや副原料を使用する必要がなく、粒子感があり脆く、断面に凹凸がある組織を有するナチュラルチーズ特有の食感(以下、「該食感」と称する)が付与されたプロセスチーズ類を提供するという課題を解決するために鋭意検討した結果、加熱溶融して調製したプロセスチーズ類を、特定の条件下で、加熱保持した後に、凍結・解凍処理することにより従来のプロセスチーズ類とは異なる該食感を付与することができることを見出した。本発明は上記知見に基づくものである。
以下、本発明のプロセスチーズ類およびその製造方法について、具体的に説明する。
[プロセスチーズ類]
本発明のプロセスチーズ類は、原料チーズと、溶融塩と、を含み、以下の物性パラメータを満足する。なお、以下の説明において%はプロセスチーズ類の全質量基準である。
・乳タンパク質含量 プロセスチーズ類は、乳タンパク質含量は15%以上であり、19%以上であることが好ましい。乳タンパク質含量の上限の制限は特にないが23%程度である。
・水分含量
またプロセスチーズ類は、水分含量は50%以下であり、46%以下が好ましい。水分含量の下限の制限は特にないが35%程度である。
・pH
プロセスチーズ類のpHは、5.00以上6.35以下であり、5.20以上6.00以下がより好ましい。
プロセスチーズ類のpHは、プロセスチーズ類12gに水40gを加え、ホモブレンダーで3分間均質化し、この均質溶液のpHをpHメーターで測定することにより確認することができる。
・硬度(N)
プロセスチーズ類の硬度は、100N以下である。チーズ硬度の下限の制限は特にないが15N程度である。
チーズ硬度は後述するように実施例に記載した方法により測定することができる。
本発明のプロセスチーズ類は、粒子感、脆さ、断面の凹凸というナチュラルチーズ特有の該食感を付与されている。該食感の点から、プロセスチーズ類は、加えて、以下の物性パラメータの要件を満足することが好ましい。
即ち、幅35mm×厚み15mm×高さ10mmに成型したチーズ類の試験体を、25mm間隔を空けて設置した2つの支持体(幅90mm、厚み5mm、高さ32mm)上に、端部に合わせて固定せずに水平に乗せ、前記試験体の上面から冶具(幅90mm、厚み5mm、冶具先端は直径5mmの半円形)を前記試験体の中央部に接触させてから、0.33mm/sの速度で降下させた際に、前記治具が接触してから前記試験体が折れるまでの前記治具の降下距離が4.2mm以内であり、特に3.9mm以内であることが好ましい。
また前述の折れた試験体の断面を、形状測定レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス、VK-9710)を用いて測定した算術平均粗さRa(観察視野内の全データを平均した高さの平面を基準面とし、各点の高さと基準面の高さの差の絶対値を平均したもの)が60μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましい。Raの上限は特にない。
[プロセスチーズ類の原料]
本発明のプロセスチーズ類は、原料チーズ及び溶融塩を必須の成分とする。
・原料チーズ 本発明において使用する原料チーズは特に限定されないが、通常、プロセスチーズ類の原料として用いられるゴーダチーズやチェダーチーズなどの半硬質チーズや、パルメザンなどの硬質チーズ等のナチュラルチーズを例示することができる。これらを1種類もしくは2種類以上を混合して使用することも可能であるが、硬質系ナチュラルチーズ、及び/又は半硬質系ナチュラルチーズの少なくとも1つを原料チーズとして含まれるようにことが好ましい。原料チーズの配合量は、最終的に得られるプロセスチーズ類に必要な風味に合わせて、決定することができるが、これらの原料チーズを最終製品であるチーズ類に対して、好ましくは70%~90%含有させることができる。
・溶融塩
本発明において使用する溶融塩としては、リン酸塩を用いることが好ましく、例えば、水溶性のポリリン酸塩、ジリン酸塩、モノリン酸塩等のリン酸塩などを例示することができる。これらを1種類もしくは2種類以上併用することも可能である。これら溶融塩の添加量は、原料チーズ全量に対し、好ましくは1.0~3.0%である。
・副原料
本発明では、副原料の使用なしに該食感を付与することができるが、その他の目的や更なる食感の向上を目的として、副原料を添加してもよい。使用できる副原料は、特に限定されず、プロセスチーズ類の製造に使用するものであればいずれの原料を配合することができる。例えば、プロセスチーズ類に使用できる溶融塩以外の乳化剤、安定剤(増粘多糖類、酸化デンプン等の加工デンプン、セルロース等)、香料、pH調整剤等の食品添加物のほか、乳タンパク質源としての乳素材、デンプン、ゼラチン、寒天等の食品、脂肪調整のためのバター、その他の動物油脂、植物油脂、風味付け等に使用するシーズニング等を例示することができる。これらの副原料は、本発明品の食感形成、構造形成に積極的には寄与しておらず、食感的に特に問題の無い範囲において使用することが可能である。
本発明においては、原料にプレクックチーズを添加することも可能である。プレクックチーズとは、プロセスチーズ類の製造過程で発生した仕掛品であり、プロセスチーズ類と同成分のものである。
[プロセスチーズ類の製造方法]
本発明のプロセスチーズ類は、
原料チーズとして、硬質系ナチュラルチーズ、及び/又は半硬質系ナチュラルチーズの少なくとも1つと、溶融塩として、リン酸塩と、を含む原料を、混合する混合工程と、
混合した前記原料を加熱溶融する加熱溶融工程と、
加熱溶融した前記原料を、70℃以上の高温に保持する高温保持工程と、
高温保持した前記原料を、-10℃以下まで凍結する凍結工程と、
凍結した前記原料を解凍する解凍工程と、
を含む方法により、好ましく製造することができる。
・混合工程
本工程においては、原料チーズとして、硬質系ナチュラルチーズ、及び/又は半硬質系ナチュラルチーズの少なくとも1つと、溶融塩として、リン酸塩と、を含む原料を混合する。原料としては、原料チーズ、溶融塩のほか、適宜、副原料を混合し、前記水分含量を満たすように原料を調製する。混合は、調製した原料を、通常のプロセスチーズを乳化する際に使用する乳化装置を用い、混合乳化する。乳化装置としては、例えば、ケトル型乳化機やステファン型乳化機のようなバッチ式乳化機、サーモシリンダーのような連続式乳化機などを例示することができる。
・加熱溶融工程
本工程では、前記工程で混合した原料を加熱溶融する。加熱溶融は、上記の乳化機を用いて、一般的なプロセスチーズ類の加熱溶融工程を経ればよく、例えば、ステファン型乳化機を用いて、500rpm~1500rpmの攪拌を行いながら、70℃以上、好ましくは80℃以上まで加熱する方法が挙げられる。
・高温保持工程
本工程では、前記工程で加熱溶融した原料を70℃以上、好ましくは80℃以上の高温に保持する。本工程における保持時間及び保持方法としては、85℃での粘度が100dPa・s以上になるまで静置する方法及び/又は攪拌する方法を好ましく挙げることができる。例えば、ステファン型乳化機を用いて、500rpm~1500rpmの攪拌を行いながら、70℃以上の温度を保持する方法が挙げられる。
・凍結工程
本工程では、前記工程で高温保持した原料を-10℃以下まで冷却して凍結する。原料の凍結は、原料の温度が-2.0℃から-7.9℃に到達するまでの凍結速度を-40℃/h以下とすることが好ましい。例えば、上記の高温保持工程後の原料を、容器やフィルム等に充填した後、原料の品温を、上記の凍結速度で-10℃以下まで冷却すればよい。また、凍結工程前に、上記の高温保持した原料を一度冷蔵保存することも可能である。この場合、冷蔵保存は、3~15℃の範囲とすることが好ましい。
・解凍工程
本工程では、前記工程で凍結した原料を0℃以上まで昇温して解凍すればよい。例えば、凍結された原料を、10℃に設定した恒温器内で所定の時間保存する方法が挙げられる。
なお、本発明のプロセスチーズ類は特徴的な食感を有しているため、その食感を活かす食シーン、例えば、ポーションタイプやカットして食するブロックタイプ等の形状とすると、本発明の効果がより発現され、望ましい形態と言える。しかし、特にこれらの形状に限定されるものではなく、スライスタイプ、ダイスタイプ、シュレッドタイプ等の他のいずれの形状、形態でも問題はない。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。特に明記しない限り、%は質量基準である。
[実施例1]
熟度指標12%以上のチェダーチーズ3.0kgを粉砕し、原料ナチュラルチーズとして用いた。これに溶融塩としてポリリン酸Na60.0g、pH調整剤として重曹22.3gを混合した後、最終的な乳タンパク質含量が21%となるように水を添加し、高せん断タイプのステファン型式乳化釜を用い、1500rpmで85℃まで加熱溶融した。85℃に到達後、そのままの回転数で粘度が100dPa・S以上になるまで撹拌保持した。得られたプロセスチーズ類は、フィルムに400gずつ充填して、厚さが20mmになるように成型した。その後、冷蔵庫(10℃)で8時間以上冷却した後、-25℃の冷凍庫内で8時間以上保存し凍結した。凍結したプロセスチーズ類は、冷蔵庫(10℃)で一晩かけて解凍し、実施例品1を得た。
[実施例2]
原料ナチュラルチーズに、追加でプレクック(市販プロセスチーズ、商品名:「雪印6Pチーズ」、製造元:雪印メグミルク株式会社)150gを混合した以外は、実施例1と同様にして、プロセスチーズ類を調製し、実施例1と同等の凍結解凍工程を経た実施例品2を得た。
[実施例3]
実施例品1と同様の製造方法でプロセスチーズ類を調製し、冷蔵庫(10℃)で8時間以上冷却した後、-70℃の冷凍庫内で8時間以上保存し凍結した。凍結したプロセスチーズ類は、冷蔵庫(10℃)で一晩かけて解凍し、実施例品3を得た。
[実施例4]
熟度指標7%以上、12%以下のグリーンチーズ3.0kgを粉砕し、原料ナチュラルチーズとして用いた以外は、実施例1と同様の製造方法で調製し、実施例1と同等の凍結解凍工程を経た実施例品4を得た。
[実施例5]
熟度指標12%以上のチェダーチーズ3.0kgを粉砕し、原料ナチュラルチーズとして用いた。これに溶融塩としてポリリン酸Na60.0gを混合した後、最終乳タンパク質含量が21%となるように水を添加した。以降、実施例1と同様の製造方法で調製し、実施例1と同等の凍結解凍工程を経た実施例品5を得た。
[実施例6]
熟度指標12%以上のチェダーチーズ3.0kgを粉砕し、原料ナチュラルチーズとして用いた。これに溶融塩としてポリリン酸Na60.0g、pH調整剤として重曹36.0gを混合した後、最終乳タンパク質含量が21%となるように水を添加した。以降、実施例1と同様の製造方法で調製し、実施例1と同等の凍結解凍工程を経た実施例品6を得た。
[実施例7]
熟度指標12%以上のチェダーチーズ3.0kgを粉砕し、原料ナチュラルチーズとして用いた。これに溶融塩として、ポリリン酸Na30.0g、pH調整剤として重曹22.3gを混合した後、最終乳タンパク質含量が21%となるように水を添加した。以降、実施例1と同様の製造方法で調製し、実施例1と同等の凍結解凍工程を経た実施例品7を得た。
[実施例8]
熟度指標12%以上のチェダーチーズ3.0kgを粉砕し、原料ナチュラルチーズとして用いた。これに溶融塩として、ポリリン酸Na90.0g、pH調整剤として重曹22.3gを混合した後、最終乳タンパク質含量が21%となるように水を添加した。以降、実施例1と同様の製造方法で調製し、実施例1と同等の凍結解凍工程を経た実施例品8を得た。
[比較例1]
実施例1と同様の製造方法でプロセスチーズ類を調製し、冷蔵庫(10℃)で8時間以上冷却し、凍結していないプロセスチーズ類を比較例品1とした。
[比較例2]
熟度指標12%以上のチェダーチーズ3.0kgを粉砕し、原料ナチュラルチーズとして用いた。これに溶融塩としてクエン酸3Na60.0g、pH調整剤として重曹5.0gを混合した後、最終乳タンパク質含量が21%となるように水を添加した。以降、実施例1と同様の製造方法で調製し、実施例1と同等の凍結解凍工程を経た比較例品2を得た。
[比較例3]
熟度指標12%以上のチェダーチーズ3.0kgを粉砕し、原料ナチュラルチーズとして用いた。これに溶融塩としてポリリン酸Na60.0g、pH調整剤として重曹21.6gを混合した後、最終乳タンパク質含量が21%となるように水を添加し、高せん断タイプのステファン型式乳化釜を用い、1500rpmで85℃まで加熱溶融した。85℃に到達後、そのままの回転数で30秒間撹拌保持し、粘度が100dPa・S未満であることを確認した。以降、実施例1と同様の製造方法で調製し、実施例1と同等の凍結解凍工程を経た比較例品3を得た。
[試験例]
A:官能評価法
実施例品1~8、比較例品1~3、および市販のプロセスチーズの1品に関して、訓練されたパネラー9名により、ブラインドでの官能評価を実施した。官能評価項目は、プロセスチーズ類を喫食した際の「脆さ」および「粒子感」と、目視で観察した際の「チーズの断面の凹凸」とした。官能評価基準は、以下のように定義した。プロセスチーズ類の「もろさ」は、咀嚼時に、嚥下可能なサイズまで、プロセスチーズ類を破壊するために必要な力の合計と定義した。「脆さ」の官能評価点は、市販のプロセスチーズを基準(0点)とし、3点~-3点で点数付けした。つまり、「脆さ」がとても強く感じられた:3点、強く感じられた:2点、やや強く感じられた:1点、市販のプロセスチーズと同等:0点、やや弱く感じられた:-1点、弱く感じられた-2点、とても弱く感じられた:-3点とした。
プロセスチーズ類の「粒子感」は、咀嚼時に、舌上で感じられる細分化されたチーズの粒子の量と定義した。「粒子感」の官能評価点は、市販のプロセスチーズを基準(0点)とし、3点~-3点で点数付けした。つまり、「粒子感」がとても強く感じられた:3点、強く感じられた:2点、やや強く感じられた:1点、市販のプロセスチーズと同等:0点、やや弱く感じられた:-1点、弱く感じられた:-2点、とても弱く感じられた:-3点とした。
プロセスチーズ類の「チーズの断面の凹凸」は、チーズを手で割り、その断面を目視で観察した際の凹凸の程度と定義した。「チーズの断面の凹凸」の官能評価点は、市販のプロセスチーズを基準(0点)とし、3点~-3点で点数付けした。つまり、「チーズの断面の凹凸」がとてもある:3点、凹凸がある:2点、やや凹凸がある:1点、市販のプロセスチーズと同等:0点、やや凹凸がない:-1点、凹凸がない:-2点、とても凹凸がない:-3点とした。結果を表2に示す。
B:物性評価法(チーズ類の硬度)
実施例品1~8、比較例品1~3、および市販のプロセスチーズの1品に関して、テクスチャーアナライザー(英弘精機(株)、TA-XT2i)を用いたチーズの圧縮試験を次の手順で実施した。幅3.8mm×厚み3.8mm×高さ3.8mmに成型したチーズ類の試験体を水平の測定台に乗せ、上面から直径75mmの圧縮用プローブ(SMSP/75)のプランジャーを成型したチーズ類に接触させてから、0.50mm/sの速度で、試料高さの80%を圧縮した際に、最大応力(硬度)を測定した。なお、成型したチーズは、測定前に予め10℃で1時間以上保持した。最大応力(硬度)を表1に示す。
C:物性評価法(チーズが折れるまでの距離)
実施例品1~8、比較例品1~3、および市販のプロセスチーズ(商品名:「雪印6Pチーズ」、製造元:雪印メグミルク株式会社)の1品に関して、前記Bと同様のテクスチャーアナライザーを用いたチーズの曲げ試験を次の手順で実施した。幅35mm×高さ15mm×厚み10mmに成型したチーズ類の試験体(図1の1参照)を、25mm間隔を空けて設置した2つの支持体(幅90mm、厚み5mm、高さ32mm)(図1の3、4参照)上に、端部に合わせて固定をせずに水平に乗せ、試験体の上面から冶具(幅90mm、厚み5mm、高さ13mm、冶具先端は直径5mmの半円形)(図1の2参照)を試験体の中央部に接触させ、接触から、0.33mm/sの速度で降下させた際に、治具にチーズが接触してからチーズが折れるまでの治具の降下距離を測定した。なお、成型したチーズは、測定前に予め10℃で1時間以上保持した。折れるまでの距離を表2に示す。
D:物性評価法(チーズの断面の凹凸)
実施例品1~8、比較例品1~3、および市販のプロセスチーズの1品に関して、上記記載の折れたチーズの断面を、形状測定レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス、VK-9710)を用いて、算術平均高さRa(観察視野内の全データを平均した高さの平面を基準面とし、各点の高さと基準面の高さの差の絶対値を平均したもの)を測定した。結果を表2に示す。
E: 総合評価
実施例品1~8、比較例品1~3、および市販のプロセスチーズの1品に関して、以下のように総合的に評価した。評価基準について、プロセスチーズ類を喫食した際の「脆さ」および「粒子感」と、目視で観察した際の「チーズの断面の凹凸」の官能評価点から、いずれも1点以上、および、市販品のプロセスチーズと比べ、折れるまでの距離が小さく、断面凹凸の算術平均粗さが高かった場合は、該食感を有すると判断し、〇とする。それ以外の場合は、該食感を乏しいと判断し、×とする。結果を表2に示す。
Figure 2022057308000002
Figure 2022057308000003
表1の測定値から、実施例品1~8、および比較例品1~3は、いずれも、乳タンパク質が15%以上、水分50%以下、pHが5.0から6.3、硬度100N以下であった。
表2の官能評価点の結果から、実施例品1~8は、従来法で調製した比較例品1よりも、脆く、粒子感とチーズ断面の凹凸が増加した、該食感を発現した。また、プレクックの添加(実施例品2)、凍結温度の変更(実施例品3)、原料チーズの熟度の変更(実施例品4)、pHの変更(実施例品5、6)、ポリリン酸Naの添加量の変更(実施例7、8)による、該食感の発現への影響は変わらなかった。
一方、比較例品2および比較例品3より、本発明の方法で調製した実施例品1に対して、溶融塩としてクエン酸3Naへの変更(比較例品2)や、仕上げ粘度が100dPa・s未満(比較例品3)となる場合には、該食感が発現しないことが示された。
表2の機器分析値の結果から、該食感を有する実施例品1~8は、曲げ試験による折れるまでの距離が4.2mm以内であり、表面粗さ計の測定によるチーズの断面の算術平均粗さ(Ra)が60μm以上であった。これらの数値は該食感の特性値であることが認められた。
1 試験体
2 冶具
3,4 支持体

Claims (7)

  1. 原料チーズと、溶融塩と、を含むプロセスチーズ類であって、
    プロセスチーズ類の全質量基準で、乳タンパク質含量が15%以上、水分含量が50%以下、pHが5.00から6.35、硬度が100N以下であり、粒子感があり、脆く、断面に凹凸を有するプロセスチーズ類。
  2. 幅35mm×厚み15mm×高さ10mmに成型したプロセスチーズ類の試験体を、25mm間隔を空けて設置した2つの支持体(幅90mm、厚み5mm、高さ32mm)上に、端部に合わせて固定せずに水平に乗せ、前記試験体の上面から冶具(幅90mm、厚み5mm、冶具先端は直径5mmの半円形)を前記試験体の中央部に接触させてから、0.33mm/sの速度で降下させた際に、前記治具が接触してから前記試験体が折れるまでの前記治具の降下距離が4.2mm以内である、請求項1記載のプロセスチーズ類。
  3. 折れた前記試験体の断面を、形状測定レーザー顕微鏡(株式会社キーエンス、VK-9710)を用いて測定した、算術平均粗さRa(観察視野内の全データを平均した高さの平面を基準面とし、各点の高さと基準面の高さの差の絶対値を平均したもの)が60μm以上である、請求項1又は2記載のプロセスチーズ類。
  4. 前記溶融塩がリン酸塩である、請求項1~3にいずれか1項に記載のプロセスチーズ類。
  5. 請求項1~4の何れか1項に記載のプロセスチーズ類の製造方法であって、
    原料チーズとして、硬質系ナチュラルチーズ、及び/又は半硬質系ナチュラルチーズの少なくとも1つと、溶融塩として、リン酸塩と、を含む原料を、混合する混合工程と、
    混合した前記原料を加熱溶融する加熱溶融工程と、
    加熱溶融した前記原料を70℃以上の高温に保持する高温保持工程と、
    高温保持した前記原料を、-10℃以下まで凍結する凍結工程と、
    凍結した前記原料を解凍する解凍工程と、
    を含む、プロセスチーズ類の製造方法。
  6. 前記高温保持工程における保持時間及び保持方法が、85℃における粘度が100dPa・s以上になるまで静置する方法、及び/又は撹拌する方法である、請求項5記載のプロセスチーズ類の製造方法。
  7. -10℃以下まで凍結する前記凍結工程凍結工程において、高温保持した原料を-2.0℃から-7.9℃に到達するまでの凍結速度を-40℃/h以下とする、請求項5又は6記載のプロセスチーズ類の製造方法。
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