JP2022055307A - 端子、ワイヤハーネス、及び、端子付き電線 - Google Patents

端子、ワイヤハーネス、及び、端子付き電線 Download PDF

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Abstract

【課題】外部から及ぼされる振動等に対する耐久性に優れた端子を提供すること。【解決手段】端子20は、電線10に取り付けられる。端子20は、相手側端子が挿入される箱部31と、箱部31の前端部から延出して梁状に延びて自由端32aが箱部31の後端部よりも箱部31の内側にあり且つ相手側端子との接点箇所32bを有するバネ部32と、バネ部32に接触する押え片34と、を備える。バネ部32は、相手側端子と接点箇所32bとが接触したときに相手側端子から離れる撓み向きに弾性的に変形する。押え片34は、バネ部32の接点箇所32bと自由端32aとの間の箇所を、箱部31の内側であり且つ接点箇所32bよりも撓み向き側にある所定位置において、撓み向きに押さえる。押え片34は、バネ部32の自由端32aを撓み向きに押さえることが好適である。【選択図】図3

Description

本発明は、端子、ワイヤハーネス、及び、端子付き電線に関する。
従来から、電線の端末に取り付けられる端子(例えば、いわゆる圧着端子)が提案されている。例えば、従来の圧着端子の一つは、相手側端子が挿入される筒状の箱部と、箱部の内側に設けられて相手側端子との接点箇所を有する梁状のバネ部と、電線に端子を加締めて固定する固定部と、を有する(例えば、特許文献1を参照)。
特開2010-118360号公報
ところで、上述した従来の端子が取り付けられた電線と他の電線とを電気的に接続するために、双方の電線の導体芯線同士を密着させた状態で超音波接合処理を施し、双方の導体芯線を接合する場合がある。この場合、接合箇所に及ぼされる超音波振動が電線を介して端子にまで伝わることで、端子が振動する場合がある。特に、バネ部は、梁状の形状を有するため、固定端周りに撓みながら弾性変形と弾性回復とを繰り返すような振動を生じ易い。この振動の度合いによっては、バネ部に過大な撓み等が繰り返し生じることで、バネ部の劣化や塑性的な変形などが生じる可能性がある。同様に、例えば、従来の端子と電線の導体芯線とを超音波接合処理によって接合する場合にも、バネ部の振動に起因したバネ部の劣化等が生じる可能性がある。端子と相手側端子との電気的接続の信頼性を向上する観点から、このようなバネ部の劣化等を出来る限り抑制することが望ましい。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外部から及ぼされる振動等に対する耐久性に優れた端子、そのような端子が取り付けられた電線を用いるワイヤハーネス、及び、そのような端子が取り付けられた端子付き電線、を提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係る端子、ワイヤハーネス、及び、端子付き電線は、下記[1]~[5]を特徴としている。
[1]
電線に取り付けられる端子であって、
相手側端子が挿入される筒状の箱部と、前記箱部の前端部から梁状に延びて自由端が前記箱部の後端部よりも前記箱部の内側にある形状を有し且つ前記相手側端子との接点箇所を有するバネ部と、前記バネ部の撓み範囲を規制する押え片と、を備え、
前記バネ部は、
前記接点箇所に前記相手側端子が接触したときに前記相手側端子から離れる撓み向きに弾性的に変形し、
前記押え片は、
前記箱部の内側であり且つ前記接点箇所よりも前記撓み向き側に位置する押え位置において、前記バネ部の前記接点箇所よりも前記自由端に近い箇所が前記押え位置よりも前記撓み向き側に位置するように、前記バネ部の撓み範囲を規制する、ように構成される、
端子であること。
[2]
上記[1]に記載の端子において、
前記押え片は、
前記バネ部の前記自由端が前記押え位置よりも前記撓み向き側に位置するように、前記バネ部の撓み範囲を規制する、ように構成される、
端子であること。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の端子であって、
前記箱部の側壁から前記箱部の外側に向けて延出し且つ延出端が前記箱部の内側に向けて折り返される形状を有する突出部を、更に備え、
前記押え片は、
前記突出部の前記延出端に設けられる、
端子であること。
[4]
複数の電線と、前記複数の前記電線のうちの少なくとも一つに取り付けられる上記[1]~上記[3]の何れか一つに記載の端子と、を備え、
前記複数の前記電線の導体芯線同士が接合された接合部を有し、
前記接合部は、超音波接合処理による接合痕を有する、
ワイヤハーネスであること。
[5]
電線と、前記電線に取り付けられる上記[1]~上記[3]の何れか一つに記載の端子と、を備え、
前記電線の導体芯線と前記端子とが接合された接合部を有し、
前記接合部は、超音波接合処理による接合痕を有する、
端子付き電線。
上記[1]の構成の端子によれば、箱部の内側であり且つ接点箇所よりも撓み向き側に位置する押え位置において、箱部に設けられたバネ部の接点箇所よりも自由端に近い箇所が、その押え位置よりも撓み向き側にあるように、バネ部の撓み範囲が規制さられる。これにより、端子に振動等の外力が及んだ場合であっても、押え片によってバネ部の振動範囲が制限されている(即ち、押え位置を超える範囲にまでバネ部が変形しない)ため、そのような振動等によるバネ部の劣化等を抑制できる。特に、発明者による実験および考察等によれば、バネ部の自由端の変位がバネ部の接点箇所を超えない(即ち、押え位置を超えない)範囲内に留まっていれば、バネ部の劣化等を特に効果的に抑制できることが分かっている。更に、押え片が箱部の内側でバネ部の撓み範囲を規制することで、箱部の外側でバネ部の撓み範囲を規制する場合に比べ、端子全体の形状を小型化できる。このように、本構成の端子は、外部から及ぼされる振動等に対する耐久性に優れる。
上記「押え片」の具体的な形状等は特に制限されない。例えば、押え片は、端子の一部分(例えば、箱部の側壁)から梁状に延出してバネ部に向けて折り曲げられた形状を有してもよいし、端子の一部分(例えば、箱部の側壁)からバネ部に向けて切り起こされた形状を有してもよいし、箱部からバネ部に向けて延びる形状を有してもよい。なお、上記「押え片」は、上述したようにバネ部の撓み範囲を規制できればよく、必ずしも押え位置において常にバネ部に接触している必要はなく、例えば、押え片の一部分(例えば、押え片の先端部分)が押え位置に存在すればよい。
更に、上記「端子」を電線に取り付ける手法も特に制限されない。例えば、端子は、電線の導体芯線に圧着されてもよいし、導体芯線にレーザ等で溶接されてもよいし、導体芯線に超音波接合処理によって接合されてもよい。
上記構成の端子は振動等に対する耐久性に優れるため、この端子を取り付けた複数の電線が上述したように超音波接合処理によって接合されたとしても、端子(特にバネ部)の劣化等を抑制できる。同様に、電線への端子の取り付けに超音波接合処理が用いられる場合であっても、上述したバネ部の振動を抑制する効果が発揮されることで、端子(特にバネ部)の劣化等を抑制できる。
上記[2]の構成の端子によれば、振動等によって特に振幅が大きくなり得る端子の自由端の撓み範囲を押え片が規制することで、振動等に対する端子の耐久性を更に向上できる。
上記[3]の構成の端子によれば、端子の箱部に設けられる突出部(例えば、端子をハウジング等に収容する際の姿勢規制に用いられる、いわゆるスタビライザ)の延出端に押え片が設けられる。これにより、例えば、押え片と突出部とを別々の独立した部材として設ける場合に比べ、端子の構造を合理化でき、端子の小型化等を図ること等ができる。
上記[4]の構成のワイヤハーネスによれば、複数の電線の導体芯線同士を超音波接合処理で接合する際、振動等の外力が端子に及んでも、バネ部の振動が押え片によって抑制される。よって、端子(特にバネ部)の劣化等を抑制できる。したがって、本構成のワイヤハーネスは、電線に取り付けられた端子と相手側端子との電気的接続の信頼性を向上できる。
上記[5]の構成の端子付き電線によれば、電線の導体芯線と端子とを超音波接合処理で接合する際、振動等の外力が端子に及んでも、バネ部の振動が押え片によって抑制される。よって、端子(特にバネ部)の劣化等を抑制できる。したがって、本構成の端子付き電線は、電線に取り付けられた端子と相手側端子との電気的接続の信頼性を向上できる。
なお、上記[4]及び上記[5]における「接合痕」は、典型的には、超音波接合処理に用いられる接合用圧子(いわゆるホーンやアンビル等)の表面の凹凸が転写された形状を有している。よって、通常、接合部の外表面を観察することで、接合痕の有無を識別可能である。但し、導体芯線同士の界面における接合状態など、接合部の外表面に表れない内部構造も、上記「接合痕」となり得る。
このように、本発明によれば、外部から及ぼされる振動等に対する耐久性に優れた端子、そのような端子が取り付けられた電線を用いるワイヤハーネス、及び、そのような端子が取り付けられた端子付き電線を提供できる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1は、本発明の実施形態に係る端子が取り付けられた端子付き電線を示し、図1(a)は、その斜視図であり、図1(b)は、その平面図である。 図2は、電線に端子を圧着する前の状態を示す斜視図である。 図3(a)は、図1(b)のA-A断面図であり、図3(b)は、図1(b)のB-B断面図である。 図4は、複数の端子付き電線の導体芯線同士が超音波接合された接合部を有する本発明の実施形態に係るワイヤハーネスを示す平面図であって、図4(a)は、接合部が外部に露出した状態を示し、図4(b)は、接合部が保護部材で覆われた状態を示す。 図5は、図4に示すワイヤハーネスの接合部を形成するための超音波接合機の概略図である。 図6(a)~図6(c)は、図5に示す超音波接合機により接合処理を行う際の手順を説明するための図である。 図7(a)及び図7(b)はそれぞれ、第1の変形例における図3(a)及び図3(b)に対応する図である。 図8(a)及び図8(b)はそれぞれ、第2の変形例における図3(a)及び図3(b)に対応する図である。 図9は、第3の変形例における端子を示す斜視図(図2に相当)である。 図10(a)は、第3の変形例における図3(a)の端子部分に対応する図であり、図10(b)は図10(a)のC-C断面図である。
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、電線10に本発明の実施形態に係る端子20を取り付けた端子付き電線1について説明する。以下、説明の便宜上、端子20の軸方向(嵌合方向)において、相手側端子(図示省略)が嵌合する側(図1及び図2において左側)を先端側(前方側)とし、その反対側(図1及び図2において右側)を基端側(後方側)と称呼する。また、図1(a)及び図2において上側及び下側をそれぞれ、上側及び下側と称呼する。また、端子20の軸方向及び上下方向に直交する方向を、幅方向と称呼する。
図1及び図3(a)に示すように、電線10の端部に端子20が圧着され、端子20と電線10の導体芯線11とが電気的に接続されている。電線10と端子20とにより、端子付き電線1が構成されている。端子付き電線1は、例えば、自動車等の車両に配索されるワイヤハーネス2(図4参照)を構成する。
電線10は、導体芯線11と、導体芯線11を覆う樹脂からなる被覆体12と、を有する絶縁電線である。本例では、導体芯線11は、アルミニウム又はアルミニウム合金から構成され、複数の素線を撚り合わせて構成されている。電線10の導体芯線11をアルミニウム又はアルミニウム合金から構成することで、端子付き電線1が軽量化され、端子付き電線1を含んで構成されるワイヤハーネス2も軽量化される。軽量化された端子付き電線1は、特に電気自動車やハイブリッド自動車などのワイヤハーネスが多用される車両に好適に用いられる。なお、導体芯線11は、他の材料(例えば、銅又は銅合金)から構成されてもよい。
端子20は、相手側端子(図示省略)が挿入されることになる箱部31を先端側に有し、箱部31の基端側に、電線10の端部から露出した導体芯線11に圧着される第1バレル部41を有し、第1バレル部41の基端側に、電線の端部の被覆体12に圧着される第2バレル部42を有している。箱部31と第1バレル部41とは、第1連結部35によって互いに繋がり、第1バレル部41と第2バレル部42とは、第2連結部36によって互いに繋っている。箱部31の基端部から基端側に連続して延びる底壁及び一対の側壁は、第1連結部35、第1バレル部41、第2連結部36及び第2バレル部42のそれぞれに属する底壁及び一対の側壁を構成している。
端子20は、金属板(板状体)に対してプレス加工(打ち抜き加工および曲げ加工)等を施すことで形成されたものである。本例では、端子20は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる導体芯線11とは異なる金属材料から形成されている。具体的には、端子20は、銅または銅合金などからなる金属板(板状体)を母材として形成されている。なお、導体芯線11と端子20とは、必ずしも異種の金属材料である必要はなく、同種の金属材料から形成されてもよい。
端子20は、上述したプレス加工の後、電線10への圧着前に、電線10の導体芯線11の腐食を抑制して耐食性を向上させる等の目的から、メッキ処理が施されることが好適である。本例では、電線10への圧着前の端子20に、スズ(錫。Sn)によるメッキ処理が施されている。具体的には、端子20には、表裏面及びプレス加工で形成された切断面からなる側面を覆うように、スズを含むメッキ層が設けられている。なお、端子20の表面には、他の材料(例えば、金(Au)、銀(Ag)並びにニッケル(Ni)、及び、それらの合金など)によるメッキ処理が施されてもよい。
箱部31は、図1~図3に示すように前後方向に延びて前後方向に貫通する矩形筒状の形状を有している。箱部31には、バネ部32が一体に設けられている。バネ部32は、箱部31の底壁の先端部から延出して箱部31の内部を基端側に向けて延びる片持ち梁状の板バネである。バネ部32は、上下方向に弾性変形可能である。バネ部32は、箱部31の基端部より先端側の所定位置まで延びている。よって、バネ部32の自由端(延出端)32a(図2及び図3(a)参照)は、箱部31の内部に位置している。
バネ部32には、バネ部32の固定端(箱部31の先端部)の近傍部分にて、相手側端子と接触することになる接点箇所32bが設けられている。接点箇所32bは、上方に隆起し且つ幅方向に延びる部分である。箱部31の先端側開口から相手側端子(図示省略)が挿入されると、相手側端子がバネ部32の接点箇所32bを下方に押し下げることでバネ部32が下方に弾性変形した状態で、相手側端子が箱部31内に収容される。これにより、接点箇所32bと相手側端子とが押圧接触した状態が維持されて、接点箇所32b(よって、端子20)と相手側端子とが電気的に接続されることになる。
箱部31の基端部の幅方向一側の側壁には、上方に突出する突出部33が設けられている。突出部33は、当該側壁から上方に延出する帯状の延出片における延出方向の第1途中部分を下方に向けて箱部31内に折り返し、更に、第1途中部分より延出端側の第2途中部分を幅方向他側に向けて箱部31内にて折り返すことで形成されている。突出部33は、端子20をハウジング等に収容する際に端子20の姿勢を規制するいわゆるスタビライザとして機能する。
突出部33における第2途中部分から幅方向他側に向けて箱部31内にて延びる延出端部は、押え片34として機能する。押え片34は、バネ部32の自由端32a(或いは、自由端32aの近傍箇所)を下方に押し下げている。これにより、押え片34が、バネ部32の自由端32a(或いは、自由端32aの近傍箇所)を、箱部31の内側であり且つ接点箇所32bよりも下側にある所定位置において、下向きに押えていることになる(図3(a)及び図3(b)参照)。このことによる作用・効果については、後述する。
第1バレル部41に属する一対の側壁には、図2に示すように、電線10への圧着前において上方に延出する一対の加締片45が形成されている。一対の加締片45は、端子20の軸方向において同じ位置に設けられている。
第2バレル部42に属する一対の側壁には、図2に示すように、電線10への圧着前において上方に延出する加締片46,47が形成されている。加締片46,47は、端子20の軸方向において互いに重ならない位置に設けられている。
図2に示すように、電線10の端部から露出した導体芯線11が一対の加締片45に挟まれた位置にあり、且つ、電線10の端部の被覆体12が加締片46,47に挟まれた位置にあるように、電線10への圧着前の端子20の第1バレル部41及び第2バレル部42に、電線10が配置された状態で、一対の加締片45及び加締片46,47が所定の圧着機を用いて加締められる。
これにより、図1及び図3(a)に示すように、第1バレル部41の一対の加締片45は、一方の加締片45の延出端部と他方の加締片45の延出端部とが互いに突き合わされるように加締められ、電線10の端部から露出した導体芯線11に圧着される。第2バレル部42の加締片46,47は、両者の延出端部同士が端子20の軸方向の互いに異なる位置にて延出方向に重なるように加締められ、電線10の端部の被覆体12に圧着される。以上により、図1及び図3(a)に示す端子付き電線1が得られる。
図1及び図3(a)に示す端子付き電線1は、例えば、図4に示すワイヤハーネス2を構成する。ワイヤハーネス2は、図4(a)に示すように、複数(本例では、2本)の端子付き電線1の電線10における露出した導体芯線11同士が超音波接合された接合部13を有している。ワイヤハーネス2は、3本以上の電線10における露出した導体芯線11同士が超音波接合された接合部13を有していてもよい。また、ワイヤハーネス2を構成する複数の電線10のうちの一部には、端子20が取り付けられていなくてもよい。以下、接合部13を形成する際に用いられる接合機50について説明する。
図5に示すように、接合機50は、上下方向に対向する一対の接合用圧子51、52(いわゆる、アンビル及びホーン)と、左右方向に対向する一対の平板状の位置決めブロック53,54と、一対の接合用圧子51,52間に付与する接合用のエネルギー(超音波励振)を制御する制御装置55と、を備える。
一対の接合用圧子51,52と、一対の位置決めブロック53,54と、により、角柱状の接合空間56が画成される。この接合空間56の内部に、複数の電線10の露出した導体芯線11が配置される。
接合用圧子51は、接合機50に対して固定されている。接合用圧子52、位置決めブロック53、及び、位置決めブロック54はそれぞれ、接合用圧子51に対して、図5に示す矢印の方向に並行移動可能となっている。このため、接合機50は、接合空間56内に配置された複数の導体芯線11を圧縮した状態で一対の接合用圧子51,52間にエネルギー(超音波励振)を印加することで、複数の導体芯線11に対して超音波溶接処理を行うことができる。この結果、複数の導体芯線11が接合された接合部13(図4(a)参照)が形成される。
具体的には、まず、図6(a)に示すように、接合機50において、接合用圧子52を左方(位置決めブロック54から離れる方向)に移動させることで、接合空間56の上方を開放させた状態にて、複数の電線10の露出した導体芯線11が接合空間56内に上方から配置される。
次いで、図6(b)に示すように、接合用圧子52を右方(位置決めブロック54に近づく方向)に移動させて接合空間56の上方を塞ぎ、更に、接合用圧子52、位置決めブロック53、及び、位置決めブロック54をそれぞれ図6(b)に示す矢印の方向に移動させて接合空間56を狭めることで、複数の電線10の導体芯線11の位置関係を所望の態様になるように調整する。
次いで、図6(c)に示すように、接合用圧子52、位置決めブロック53、及び、位置決めブロック54をそれぞれ図6(c)に示す矢印の方向に移動させて接合空間56を更に狭めることで、複数の電線10の導体芯線11を圧縮し、複数の導体芯線11が圧縮された状態で、一対の接合用圧子51,52間に所定の大きさのエネルギー(超音波励振)を印加する。これにより、複数の導体芯線11に対して超音波接合処理が行われることで、複数の導体芯線11が接合された接合部13(図4(a)参照)が形成される。
上述した超音波接合処理の際、電線10に及ぼされる振動等に起因し、電線10に取り付けられた端子20のバネ部32が(典型的には上下に)振動し、バネ部32の劣化や変形などが生じる場合がある。端子20と相手側端子との電気的接続の信頼性を向上する観点から、このようなバネ部32の劣化などを出来る限り抑制することが望ましい。
この点、端子20では、上述したように、箱部31に設けられたバネ部32の自由端32a(或いは、自由端32aの近傍箇所)が、押え片34により、箱部31の内側であり且つ接点箇所32bよりも下側にある所定位置において、下向きに押さえられている。これにより、端子20に振動等の外力が及んだ場合であっても、押え片34によってバネ部32の振動範囲が制限されている(即ち、押え位置を超える範囲にまでバネ部32が変形しない)ため、そのような振動等によるバネ部32の劣化等を抑制できる。特に、発明者による実験および考察等によれば、バネ部32の自由端32aの変位がバネ部32の接点箇所32bを超えない(即ち、押え位置を超えない)範囲内に留まっていれば、バネ部32の劣化等を特に効果的に抑制できることが分かっている。更に、押え片34が箱部31の内側でバネ部32を押さえることで、箱部31の外側で同様に押さえる場合に比べ、端子20全体の形状を小型化できる。
なお、本例では、図4(a)に示す2本の導体芯線11は、同種の金属材料(本例では、アルミニウム又はアルミニウム合金)から構成されている。しかし、複数の導体芯線11の各々は、異種の金属材料(例えば、銅又は銅合金、及び、アルミニウム又はアルミニウム合金)から構成されてもよい。超音波接合処理により、異種の金属材料から構成された導体芯線11であっても適正な電気的接続が可能である。
接合部13の外表面には、超音波接合による接合痕が形成されている。接合痕は、本例でぇあ、超音波接合に用いられる接合用圧子51,52の表面の凹凸が転写された形状を有しており、接合部13の外表面から識別可能である。
図4(a)に示す接合部13には、図4(b)に示すように、接合部13の外表面全域を覆う保護部材3が装着されることが好適である。これにより、接合部13が周囲の部材と衝突することによる接合部13の傷付きが防止され、且つ、接合部13が周囲の導電部材と接触することによる意図しないショートの発生が防止され得る。
<作用・効果>
以上、本実施形態に係る端子20によれば、上述した所定位置(押え位置)において、箱部31に設けられたバネ部32の接点箇所32bと自由端32aとの間の箇所が、所定位置よりも撓み向き側(下側)にあるように、バネ部32の撓み範囲が規制される。これにより、端子20に振動等の外力が及んだとき、押え片34が無い場合に比べ、バネ部32の振動が抑制される。更に、押え片34が箱部31の内側でバネ部32を押さえることで、箱部31の外側で同様に撓み範囲を規制する場合に比べ、端子20全体の形状を小型化できる。したがって、本実施形態に係る端子20は、外部から及ぼされる振動等に対する耐久性に優れる。
更に、本実施形態に係る端子20によれば、バネ部32の自由端32aを押え片34が押さえる。振動等によって特に振幅が大きくなり得る端子20の自由端32aの撓み範囲を規制することで、外部から及ぼされる振動等に対する端子20の耐久性を、更に向上できる。
更に、本実施形態に係る端子20によれば、端子20の箱部31に設けられる突出部33(端子20をハウジング等に収容する際の姿勢規制用のいわゆるスタビライザ)の延出端に押え片34が設けられる。これにより、突出部33と押え片34とを別々の独立した部材として設ける場合に比べ、端子20の構造を合理化でき、端子20全体の形状を更に小型化すること等ができる。
更に、本実施形態に係るワイヤハーネス2によれば、複数の電線10の導体芯線11同士を超音波接合する際、端子20に振動等の外力が及んでも、バネ部32の振動が押え片によって抑制される。したがって、本実施形態に係るワイヤハーネス2は、電線10に取り付けられた端子20と相手側端子との電気的接続の信頼性を向上できる。
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
図1~図6に示す実施形態では、押え片34は、端子20の突出部33から梁状に延出してバネ部32に向けて折り曲げられた形状を有している(図3(a)及び図3(b)参照)。これに対し、図7(a)及び図7(b)に示すように、押え片34は、端子20の箱部31の上壁の基端部からバネ部32(の自由端32a)に向けて先端側且つ下側に斜めに延びる形状を有してもよい。これによっても、押え片34が、バネ部32の自由端32a(或いは、自由端32aの近傍箇所)を、箱部31の内側であり且つ接点箇所32bよりも下側にある所定位置において、下向きに押えることができる。
更に、図8(a)及び図8(b)に示すように、押え片34は、端子20の箱部31の一方の側壁からバネ部32に向けて幅方向内側に切り起こされた形状を有してもよい。これによっても、押え片34が、バネ部32の自由端32a(或いは、自由端32aの近傍箇所)を、箱部31の内側であり且つ接点箇所32bよりも下側にある所定位置において、下向きに押えることができる。
更に、図1~図8に示す実施形態では、バネ部32は、箱部31の底壁の先端部から延出する片持ち梁状の形状を有している(例えば、図1,3を参照)。これに対し、図9及び図10に示すように、バネ部32は、箱部31の上壁の先端部から延出する片持ち梁状の形状を有してもよい。
より具体的には、図10(a)に示すように、バネ部32は、箱部31の上壁の先端部から延出し、箱部31の内部を基端側に向けて延びて、箱部31の基端部より先端側の所定位置まで到達している。本例でも、バネ部32の自由端(延出端)32aは、箱部31の内部に位置している。バネ部32は、上下方向に弾性変形可能である。バネ部32の固定端(箱部31の先端部)の近傍部分にて、相手側端子と接触することになる接点箇所32bが設けられている。接点箇所32bは、下方に隆起し且つ幅方向に延びる部分である。箱部31の先端側開口から相手側端子(図示省略)が挿入されると、相手側端子がバネ部32の接点箇所32bを上方に押し上げることでバネ部32が上方に弾性変形した状態で、相手側端子が箱部31内に収容される。これにより、接点箇所32bと相手側端子とが押圧接触した状態が維持されて、接点箇所32b(よって、端子20)と相手側端子とが電気的に接続されることになる。
図10(a)及び図10(b)に示すように、本例では、押え片34は、端子20の箱部31の底壁37からバネ部32に向けて上方に切り起こされた形状を有する。押え片34は、上方に向かうにつれて徐々に幅が狭くなる形状(いわゆるテーパ形状)を有する。箱部31の底壁37には、切り起こされた押え片34に対応する形状の開口部38がある。押え片34は、バネ部32の自由端32a(或いは、自由端32aの近傍箇所)を上方に押し上げている。これにより、押え片34が、バネ部32の自由端32a(或いは、自由端32aの近傍箇所)を、箱部31の内側であり且つ接点箇所32bよりも上側にある所定位置において、上向きに押えていることになる(図3(a)及び図3(b)参照)。
本例の端子20では、バネ部32の自由端32a(或いは、自由端32aの近傍箇所)が、押え片34により、上述した所定位置において上向きに押さえられている。これにより、図1~図8に示す実施形態と同様、端子20に振動等の外力が及んだ場合であっても、押え片34によってバネ部32の振動範囲が制限されている(即ち、押え位置を超える範囲にまでバネ部32が変形しない)ため、そのような振動等によるバネ部32の劣化等を抑制できる。更に、バネ部32の自由端32aの変位がバネ部32の接点箇所32bを超えない(即ち、押え位置を超えない)範囲内に留まっていることで、バネ部32の劣化等を特に効果的に抑制できる。更に、押え片34が箱部31の内側でバネ部32を押さえることで、端子20全体の形状を小型化できる。
なお、図9に示すように、箱部31の基端部の幅方向一側の側壁には、幅方向外側に突出する突出部39が設けられている。突出部39は、図1~図8に示す実施形態における突出部33と同様、端子20をハウジング等に収容する際に端子20の姿勢を規制するいわゆるスタビライザとして機能する。また、上記説明から理解されるように、バネ部32は、箱部31の底壁37や上壁に代えて、箱部31の側壁の先端部から延出する片持ち梁状の形状を有していてもよい。
更に、図1~図8に示す実施形態では、押え片34が、バネ部32の自由端32a(或いは、自由端32aの近傍箇所)を、箱部31の内側であり且つ接点箇所32bよりも下側にある所定位置において、下向きに押えている。これに対し、押え片34が、バネ部32の自由端32aと接点箇所32bとの間の自由端32aから十分に離れた箇所を、箱部31の内側であり且つ接点箇所32bよりも下側にある所定位置において、下向きに押えていてもよい。
一方、図9及び図10に示す実施形態では、押え片34が、バネ部32の自由端32a(或いは、自由端32aの近傍箇所)を、箱部31の内側であり且つ接点箇所32bよりも上側にある所定位置において、上向きに押えている。これに対し、押え片34が、バネ部32の自由端32aと接点箇所32bとの間の自由端32aから十分に離れた箇所を、箱部31の内側であり且つ接点箇所32bよりも上側にある所定位置において、上向きに押えていてもよい。
更に、図1~図10に示す各実施形態では、説明の便宜上、押え片34が常にバネ部32に接するように記載されている。しかし、押え片34は、上述したようにバネ部の撓み範囲を規制できればよく、必ずしも所定位置(押え位置)において常にバネ部32に接触している必要はなく、例えば、押え片34の一部分(例えば、押え片34の先端部分)が押え位置に存在すればよい。
更に、図1~図10に示す実施形態では、端子20が有する一対の加締片45が電線10の導体芯線11に加締められることで、端子20と導体芯線11とが電気的に接続されるようになっている。しかし、例えば、この加締めに代えて又はこの加締めに加えて、超音波接合処理によって端子20に電線10の導体芯線11が接合されることで、端子20と導体芯線11とが電気的に接続されてもよい。このように端子20と導体芯線11が超音波接合される場合でも、上記同様、押え片34によってバネ部32の撓み範囲が規制されることで、端子20と相手側端子との電気的接続の信頼性を向上できる。なお、この場合においても、導体芯線11と端子20とは、異種の金属材料から構成されてもよいし、同種の金属材料から構成されてもよい。
ここで、上述した本発明に係る端子20、ワイヤハーネス2及び端子付き電線の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
電線(10)に取り付けられる端子(20)であって、
相手側端子が挿入される筒状の箱部(31)と、前記箱部(31)の前端部から梁状に延びて自由端(32a)が前記箱部(31)の後端部よりも前記箱部(31)の内側にある形状を有し且つ前記相手側端子との接点箇所(32b)を有するバネ部(32)と、前記バネ部(32)の撓み範囲を規制する押え片(34)と、を備え、
前記バネ部(32)は、
前記接点箇所(32b)に前記相手側端子が接触したときに前記相手側端子から離れる撓み向きに弾性的に変形し、
前記押え片(34)は、
前記箱部(31)の内側であり且つ前記接点箇所(32b)よりも前記撓み向き側に位置する押え位置において、前記バネ部(32)の前記接点箇所(32b)よりも前記自由端(32a)に近い箇所が前記押え位置よりも前記撓み向き側に位置するように、前記バネ部(32)の撓み範囲を規制する、ように構成される、
端子(20)。
[2]
上記[1]に記載の端子(20)において、
前記押え片(34)は、
前記バネ部(32)の前記自由端(32a)前記押え位置よりも前記撓み向き側に位置するように、前記バネ部(32)の撓み範囲を規制する、
端子(20)。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の端子(20)であって、
前記箱部(31)の側壁から前記箱部(31)の外側に向けて延出し且つ延出端が前記箱部(31)の内側に向けて折り返される形状を有する突出部(33)を、更に備え、
前記押え片(34)は、
前記突出部(33)の前記延出端に設けられる、
端子(20)。
[4]
複数の電線(10)と、前記複数の前記電線(10)のうちの少なくとも一つに取り付けられる上記[1]~上記[3]の何れか一つに記載の端子(20)と、を備え、
前記複数の前記電線(10)の導体芯線(11)同士が接合された接合部(13)を有し、
前記接合部(13)は、超音波接合処理による接合痕を有する、
ワイヤハーネス(2)。
[5]
電線(10)と、前記電線(10)に取り付けられる上記[1]~上記[3]の何れか一つに記載の端子(20)と、を備え、
前記電線の導体芯線(11)と前記端子(20)とが接合された接合部を有し、
前記接合部は、超音波接合処理による接合痕を有する、
端子付き電線。
1 端子付き電線
2 ワイヤハーネス
10 電線
11 導体芯線
13 接合部
20 端子
31 箱部
32 バネ部
32a 自由端
32b 接点箇所
33 突出部
34 押え片

Claims (5)

  1. 電線に取り付けられる端子であって、
    相手側端子が挿入される筒状の箱部と、前記箱部の前端部から梁状に延びて自由端が前記箱部の後端部よりも前記箱部の内側にある形状を有し且つ前記相手側端子との接点箇所を有するバネ部と、前記バネ部の撓み範囲を規制する押え片と、を備え、
    前記バネ部は、
    前記接点箇所に前記相手側端子が接触したときに前記相手側端子から離れる撓み向きに弾性的に変形し、
    前記押え片は、
    前記箱部の内側であり且つ前記接点箇所よりも前記撓み向き側に位置する押え位置において、前記バネ部の前記接点箇所よりも前記自由端に近い箇所が前記押え位置よりも前記撓み向き側に位置するように、前記バネ部の撓み範囲を規制する、ように構成される、
    端子。
  2. 請求項1に記載の端子において、
    前記押え片は、
    前記バネ部の前記自由端が前記押え位置よりも前記撓み向き側に位置するように、前記バネ部の撓み範囲を規制する、
    端子。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の端子であって、
    前記箱部の側壁から前記箱部の外側に向けて延出し且つ延出端が前記箱部の内側に向けて折り返される形状を有する突出部を、更に備え、
    前記押え片は、
    前記突出部の前記延出端に設けられる、
    端子。
  4. 複数の電線と、前記複数の前記電線のうちの少なくとも一つに取り付けられる請求項1~請求項3の何れか一項に記載の端子と、を備え、
    前記複数の前記電線の導体芯線同士が接合された接合部を有し、
    前記接合部は、超音波接合処理による接合痕を有する、
    ワイヤハーネス。
  5. 電線と、前記電線に取り付けられる請求項1~請求項3の何れか一項に記載の端子と、を備え、
    前記電線の導体芯線と前記端子とが接合された接合部を有し、
    前記接合部は、超音波接合処理による接合痕を有する、
    端子付き電線。
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