JP2022054437A - 油脂組成物 - Google Patents

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美穂 櫻田
Yoshio Sakurada
喜之 將野
Yoshiyuki Masano
世里子 遠藤
Yoriko Endo
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Abstract

【課題】乳脂肪の風味がより強く発現された、または、乳脂肪の風味がより嗜好性の高いものに改質された、油脂組成物および/または飲食品を提供することである。【解決手段】乳脂肪とナッツオイルとを、99.9:0.1~70:30の質量比で含有する、油脂組成物。前記ナッツオイルが未脱臭油である、前記油脂組成物。前記ナッツオイルが、ヘーゼルナッツオイル、マカテミアナッツオイル、ピスタチオオイル、アーモンドオイル、ピーナッツオイル、から選ばれる1種以上である、前記油脂組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、乳脂肪とナッツオイルとを含有する油脂組成物に関する。
油脂(脂質)は三大栄養素であるだけではなく、食品に美味しさを付与する重要な成分である。油脂は食品の味をマイルドにし、かつコクを与える。油脂があるために美味しくなる食品としては、天ぷら、フライ食品、らーめん、パイ、チョコレート、クリーム、チーズなど、多くの食品が挙げられる。油脂には、サラダ油のように無味無臭に近いものから、焙煎胡麻油、バターのように独特の風味が重宝されるものまで、さまざまなものがあり、用途に合わせて使用されている。また、ラー油やネギ油のように、独特の風味を付与した風味油脂も知られている。
油脂の風味の中でも乳脂肪に代表される風味(主に乳風味、乳味)は、飲料、クリーム、チーズ、菓子、パンなどの食品において、おいしさを左右する重要な要素である。乳味の特徴を出すために、産地限定のバターを使用したり、発酵させたバターを使用したり、乳脂肪を分別して乳味の濃いオレイン部(液状部)と淡白なステアリン部(固体部)に分けたりと、さまざまな乳脂肪が使用されている。また、バターを加熱処理した、いわゆる焦がしバターの風味も人気がある
しかしながら、バターやバターオイルは、高価であるとともに、しばしば供給不足が懸念されるなど、価格と安定供給の課題がある。したがって、乳脂肪の風味をより強く発現したり、乳脂肪の風味をより嗜好性の高いものに改質したりできれば、乳脂肪の使用量を減らしても風味豊かな乳脂肪含有食品が提供できる。特許文献1には、50質量%以上100質量%以下の乳脂を含有し、180℃での揮発成分に基づくペンタナール/ヘキサナール(モル比)が0.15以上0.70以下である油脂組成物が開示される。しかし、特許文献1の油脂組成物は、バター風味のフレーバーとして少量添加して使用されるものであり、乳脂肪自体の風味を改質するものではない。
特開2017-63784号公報
本開示の課題は、乳脂肪の風味がより強く発現された、または、乳脂肪の風味がより嗜好性の高いものに改質された、油脂組成物および/または飲食品を提供することである。
本開示者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、乳脂肪に少量のナッツオイルを併用することにより、上記課題が解決できることを見出した。すなわち、本開示は、以下の態様であり得る。
[1]乳脂肪とナッツオイルとを、99.9:0.1~70:30の質量比で含有する、油脂組成物。
[2]前記ナッツオイルが未脱臭油である、[1]の油脂組成物。
[3]前記ナッツオイルが、ヘーゼルナッツオイル、マカダミアナッツオイル、ピスタチオオイル、アーモンドオイル、ピーナッツオイル、から選ばれる1種以上である、[1]または[2]の油脂組成物。
[4]前記乳脂肪が、焦がしバター由来である、[1]~[3]の何れか1つの油脂組成物。
[5][1]~[4]の何れか1つの油脂組成物を含有する飲食品。
[6]乳脂肪とナッツオイルとを、99.9:0.1~70:30の質量比で含有する、飲食品。
[7]乳脂肪とナッツオイルとを、99.9:0.1~70:30の質量比で併用する、乳脂肪の風味を改質する方法。
本開示によれば、乳脂肪の風味がより強く発現された、または、乳脂肪の風味がより嗜好性の高いものに改質された、油脂組成物および/または飲食品を提供することができる。
本開示の油脂組成物は、乳脂肪を含有する。ここで、乳脂肪は、牛、ヤギ、馬などの乳に含まれる油脂であり、好ましくは牛の乳に含まれる油脂である。本開示の油脂組成物に含まれる乳脂肪は、バター、バターオイル、バターオイル分別油、生クリーム、牛乳、濃縮乳、練乳、チーズ、全脂粉乳など、およびそれらの発酵物など、の乳製品に含まれる形で存在し得る。油脂組成物に含まれる乳脂肪の態様としては、好ましくはバター、バターオイル、バターオイル分別油、およびそれらの発酵物が、油脂組成物の原材料として含まれる。乳脂肪は、2種類以上の態様のものが使用されてもよい。油脂組成物に含まれる乳脂肪は、より好ましくは、焦がしバター由来の乳脂肪である。
本開示の油脂組成物に含まれる油脂に占める乳脂肪の含有量は、特に限定されない。しかし、油脂組成物に含まれる油脂に占める乳脂肪の含有量の下限は、好ましくは、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、から選ばれ得る。また、油脂組成物に含まれる油脂に占める乳脂肪の含有量の上限は、好ましくは、99.9質量%以下、99.5質量%以下、99質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、から選ばれ得る。また、油脂組成物に含まれる油脂に占める乳脂肪の含有量の下限と上限は、任意に組み合わせ得る。なお、油脂組成物に含まれる乳脂肪の含有量は、乳脂肪を含有する原材料の含有量に、その原材料に含まれる乳脂肪の含有率を掛けることによって求めることができる。例えば、油脂組成物に乳脂肪を45質量%含有する生クリームが20質量%含まれる場合、生クリームに由来する油脂組成物中の乳脂肪含有量は、9質量%(=20×0.45)と求められる。油脂組成物に含まれる乳脂肪の含有量は、個々の原材料に由来する乳脂肪の含有量の合計値である。同様に、油脂組成物または後述の飲食品に含まれる油脂は、上記生クリームに含まれる乳脂肪のように、原材料に含まれる油脂を含める。
本開示の油脂組成物は、ナッツオイルを含有する。ここで、ナッツオイルは、堅果実類から採油された油(堅果実油)であり、例えば、へーゼルナッツオイル、マカダミアナッツオイル、アーモンドオイル、ピーナッツオイル、ピスタチオオイル、カシュ―ナッツオイル、ブラジルナッツオイル、ピーカンナッツオイル、クルミ油、松の実油など、が挙げられる。ナッツオイルは、2種以上が使用されてもよい。油脂組成物に含まれるナッツオイルは、好ましくは、ヘーゼルナッツオイル、マカダミアナッツオイル、アーモンドオイル、ピスタチオオイル、ピーナッツオイル、から選ばれる1種以上であり、より好ましくは、ヘーゼルナッツオイル、マカダミアナッツオイル、ピスタチオオイル、から選ばれる1種以上である。ナッツオイルはナッツファットあるいはナッツバターと称される場合もあるが、本開示では、ナッツオイルと、ナッツファットあるいはナッツバターとは、は同義として扱う。なお、ナッツオイルを含む堅果実は、果実から油脂が漏出しにくいため、油脂組成物が原材料の一部に堅果実(例えば、堅果実のパウダーなど)を含む場合、堅果実に含まれるオイルは、油脂組成物に含まれる油脂には含めるが、油脂組成物に含まれるナッツオイルとしては扱わない。
本開示の油脂組成物に含まれるナッツオイルは、好ましくは未焙煎のナッツオイルである。ナッツオイルは未焙煎であることが好ましいが、180℃以下、より好ましくは160℃以下、さらに好ましくは140℃以下、の焙煎が適用されたナッツから得られてもよい。焙煎は、例えば、回転流動床式、回転ドラム式、ロータリーキルン式などの焙煎機を使用するなど、従来公知の方法を適用できる。ナッツオイルは、従来公知の方法により得られる。例えば、脱殻した果実を圧搾することにより得られる。圧搾された油は、静置され、滓(オリ)などが取り除かれてもよい。また、水洗後、乾燥されてもよい。また、本開示の油脂組成物に含まれるナッツオイルは、好ましくは未脱臭のナッツオイルである。ここで、脱臭は、油脂の精製における脱臭であり、水蒸気蒸留、短工程蒸留、薄膜蒸留、分子蒸留などによる脱臭が挙げられる。ナッツオイルは、未脱臭であることが好ましいが、180℃以下、より好ましくは160℃以下、さらに好ましくは140℃以下、の脱臭が適用されてもよい。
本開示の油脂組成物は、乳脂肪とナッツオイルとを、99.9:0.1~70:30の質量比で含有する。油脂組成物における、乳脂肪とナッツオイルとの含有割合(質量比)は、好ましくは99.5:0.5~80:20であり、より好ましくは99:1~87:13であり、さらに好ましくは98.5:1.5~92:8であり、ことさらに好ましくは98:2~93:7である。特にピスタチオオイルは、好ましくは99.9:0.1~97:3(より好ましくは99.8:0.2~98:2)程度の含有割合でも効果的である。油脂組成物に含まれる、乳脂肪とナッツオイルとの含有割合(質量比)が、上記の範囲程度であると、乳脂肪の風味をより強く発現できる、または、乳脂肪の風味をより嗜好性の高いものに改質できる。
本開示の油脂組成物の好ましい態様の1つとしては、油脂組成物に含まれる乳脂肪が、焦がしバター由来である態様が挙げられる。焦がしバターは、例えば、無塩バターを加熱して溶かした溶かしバターを、さらに加熱を続けて、泡立ちしながら薄茶色から茶褐色を呈するまで煮詰めることで得られる。したがって、焦がしバターの製造は、手間ひまがかかる上、得られる品質にバラつきが生じやすく、量産が難しい。本開示によれば、焦がしバターに含まれる乳脂肪に対して上記の割合でナッツオイルを併用することにより、焦がしバターのコクや香気が強められ、結果として、焦がしバターの使用量を、2~3割、多い場合には5割程度少なくしても、焦がしバターのみを使用した場合と同等の効果が得られる。また、焦がしバターに含まれる乳脂肪に対するナッツオイルの割合を調整することで、安定した品質の焦がしバター風味油脂組成物が製造できる。
本開示の油脂組成物は、乳脂肪とナッツオイルとを、99.9:0.1~70:30の質量比で含有する限りにおいて、その他の食用油脂を含有してもよい。その他の食用油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、胡麻油、カカオ脂、シア脂、サル脂、パーム油、パーム核油、ヤシ油、牛脂、豚脂、乳脂、魚油、鯨油などの各種の植物油脂および動物油脂、並びに、これらに、混合、水素添加、分別およびエステル交換から選択された一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。その他の食用油脂は、これらの油脂の中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
本開示の油脂組成物は、乳脂肪とナッツオイルとを、99.9:0.1~70:30の質量比で含有する限りにおいて、その態様は限定されない。例えば、ショートニングのように油溶性の成分のみで構成されてもよいし、水を含む、水中油型、油中水型、複合乳化型などの乳化状態であってもよい。しかし、油脂組成物は、好ましくは油脂を連続相とする。すなわち、油脂組成物は、より好ましくは、例えばショートニングのような実質無水物であり、例えばマーガリンのような油中水型乳化物である。油脂組成物に含まれる油脂の含有量は特に限定されない。しかし、好ましくは60~100質量%であり、より好ましくは70~100質量%であり、さらに好ましくは80~99.5質量%である。
本開示の油脂組成物は、油脂組成物に含まれる油脂以外のその他の成分として、油脂組成物に一般的に使用される成分を含有してもよい。その他の成分としては、水、乳化剤、増粘安定剤、食塩、塩化カリウムなどの塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸などの酸味料、糖類、糖アルコール類、ステビア、アスパルテームなどの甘味料、β-カロテン、カラメル、紅麹色素などの着色料、トコフェロール、茶抽出物(カテキン)、ルチンなどの酸化防止剤、小麦蛋白、大豆蛋白などの植物蛋白、卵、卵加工品、香料、全脂粉乳、脱脂粉乳、乳清蛋白などの乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料などの食品添加物、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類などの食品素材、が挙げられる。しかし、油脂組成物に占める、水を除くその他成分の含有量は、好ましくは0~20質量%であり、より好ましくは0.2~12質量%であり、さらに好ましくは0.5~8質量%である。
本開示の油脂組成物は、従来公知の方法によって製造できる。例えば、油脂組成物が実施的に無水である場合、油脂に油溶成分を混合溶解することで製造できる。また、可塑性油脂組成物とする場合は、油溶成分を混合融解して油相を調製する。必要により水溶成分を混合溶解して水相を調製する。可塑性油脂組成物は、融解した油相を単独で、または、油相に水相を混合乳化した後、冷却し、結晶化させることで製造できる。冷却および結晶化は、好ましくは冷却可塑化を含む。冷却条件は、好ましくは-0.5℃/分以上、より好ましくは-5℃/分以上である。この際、徐冷却より急冷却の方が好ましい。また、油相の調製後または混合乳化後は、殺菌処理することが望ましい。殺菌方法としては、タンクでのバッチ式や、プレート型熱交換機、掻き取り式熱交換機を用いた連続式が挙げられる。冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクターなどのマーガリン製造機やプレート型熱交換機などが挙げられる。また、冷却する機器としては、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組み合わせも挙げられる。
本開示の油脂組成物は、従来知られている乳脂肪を含む飲食品のすべてに使用できる。例えば、バターの代用として、パン、焼菓子などのベーカリー食品の、練り込み用、折り込み用などとして使用できる。ガナッシュ、バタークリーム、ホイップクリーム、アイスクリーム、飲料用クリーム、調理用クリーム、フラワーペーストなどのクリーム類、およびそれらを使用した、飲料、ソース、シチュウ、グラタン、チーズ様食品などにも使用できる。飲食品が乳化物である場合、本開示の効果がより得られやすい。
本開示の飲食品の1態様によれば、本開示の第1の飲食品は、本開示の油脂組成物を含有する飲食品である。第1の飲食品は、本開示の効果を効率よく得るために、飲食品に含まれる油脂に占める本開示の油脂組成物の割合が、好ましくは50~100質量%であり、より好ましくは70~100質量%であり、さらに好ましくは80~100質量%である。
本開示の飲食品のまた別の態様によれば、本開示の第2の飲食品は、本開示の油脂組成物の含有を必須としなくても、飲食品に含まれる油脂において、乳脂肪とナッツオイルとを、99.9:0.1~70:30の質量比で含有する飲食品である。第2の飲食品に含まれる油脂において、油脂に占める乳脂肪の含有量の下限は、好ましくは、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、から選ばれ得る。また、第2の飲食品に含まれる油脂において、油脂に占める乳脂肪の含有量の上限は、好ましくは、99.9質量%以下、99.5質量%以下、99質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、から選ばれ得る。第2の飲食品に含まれる油脂に占める乳脂肪の含有量の下限と上限は、任意に組み合わせ得る。また、第2の飲食品に含まれる油脂において、乳脂肪とナッツオイルとの含有割合(質量比)は、好ましくは99.5:0.5~80:20であり、より好ましくは99:1~87:13であり、さらに好ましくは98.5:1.5~92:8であり、ことさらに好ましくは98:2~93:7である。第2の飲食品は、乳脂肪とナッツオイルとを、99.9:0.1~70:30の質量比で含有する以外、従来知られている乳脂肪を含む飲食品のすべてを含む。飲食品が乳化物である場合、本開示の効果がより得られやすい。
本開示の飲食品に含まれる油脂の含有量は、特に限定されない。飲食品に適した量の油脂が含まれていればよい。しかし、飲食品に含まれる油脂は、例えば、1質量%以上、2質量%、4質量%、6質量%、10質量%、15質量%、20質量%、から選ばれる含有量以上であり得、例えば、90質量%、80質量%、70質量%、60質量%、50質量%、から選ばれる含有量以下であり得る。飲食品の油脂含有量の下限と上限は任意に組み合わせ得る。なお、飲食品に含まれる油脂の含有量(油分)は、ソックスレー法など従来公知の方法で測定できる。また、ナッツオイルを含む堅果実は、果実から油脂が漏出しにくいため、本開示の飲食品が原材料の一部に堅果実(例えば、堅果実のスライスやパウダー)を含む場合、堅果実に含まれるオイルは、飲食品に含まれる油脂には含めるが、飲食品に含まれるナッツオイルとしては扱わない。
本開示の飲食品は、それぞれの飲食品について通常行われる方法にて製造することができる。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例の内容に限定して解釈されるものではない。
<乳脂肪・ナッツオイル他の準備>

乳脂肪の供給源として、以下のものを準備した。
・乳脂肪1:バター(商品名:Candiaバター、油脂含有量82質量%、Candia Clemont―Ferrand社製)を乳脂肪1とした。
・乳脂肪2:乳脂肪1をコンロで加熱し、褐色を呈するまで煮詰め、固形分を濾別することで、焦がしバターを調製し、乳脂肪2とした。

ナッツオイル(未焙煎、未脱臭)として、以下のものを準備した。
・ナッツオイル1:マカダミアナッツオイル(商品名:日清マカダミアナッツオイル、日清オイリオグループ株式会社製)をナッツオイル1とした。
・ナッツオイル2:ヘーゼルナッツオイル(オーフスユナイテッド社製)をナッツオイル2とした。
・ナッツオイル3:ピスタチオオイル(アメリカ産)をナッツオイル3とした。

その他植物油として、以下のものを準備した。
・植物油1:高オレイン酸ひまわり油(商品名:オレインリッチ、昭和産業株式会社製)を植物油1とした。
・植物油2:パーム核油と硬化パーム核油の混合油(日清オイリオグループ株式会社製)を植物油2とした。
・植物油3:パーム油の分別中融点画分(日清オイリオグループ株式会社製)を植物油3とした。
<油脂組成物および焼き菓子の調製1>
表1、2に記載の配合にしたがって、油脂を融解混合することにより、例1~16の油脂組成物を調製した。そして、調製した例1~16の各油脂組成物を使用し、表3に記載の配合で、以下の製造手順にしたがって、焼き菓子(フィナンシェ、油脂含有量26.0質量%)を調製した。

(フィナンシェの製造手順)
1.卵白と上白糖を混ぜ合わせ、上白糖が溶けるまで混合する。
2.湯煎で融解させた油脂組成物(60℃)を加え、混合する。
3.薄力粉、アーモンドプードル、ベーキングパウダーを合わせてふるったものを加えて混合し、生地を調製する。
4.生地を型に充填し、210℃のオーブンで12分焼成する。
Figure 2022054437000001
Figure 2022054437000002
Figure 2022054437000003
<焼き菓子の評価1>
例1の油脂組成物を使用したフィナンシェを対照として、例2~8の油脂組成物を使用したフィナンシェの風味評価を、また、例9の油脂組成物を使用したフィナンシェを対照として、例10~16の油脂組成物を使用したフィナンシェの風味評価を、油脂を含む食品の風味評価に熟練したパネラー5名により、以下の基準にしたがって、総合評価した。結果を表1、2に示した。


評価基準 評点
対照と比較して、コク味・香味を強く感じる 2点
対照と比較して、コク味・香味をやや強く感じる 1点
対照と比較して、コク味・香味を同程度に感じる 0点
対照と比較して、コク味・香味が弱い、または、
異質で違和感がある -1点

総合評価
◎◎:8点以上 (焦がし)バターより、コク味・香味が強い
◎:5点以上7点以下 (焦がし)バターより、コク味・香味がやや強い
〇:1点以上4点以下 (焦がし)バター程度のコク味・香味がある
×:0点以下 (焦がし)バターより、コク味・香味が劣る
<油脂組成物および焼き菓子の調製2>
表4に記載の配合にしたがって、油脂を融解混合した。常法にしたがって、融解混合物を急冷混捏後シート状に成形することにより、例17~20の(可塑性)油脂組成物を調製した。そして、調製した例17~20の各油脂組成物を使用し、表5に記載の配合で、以下の製造手順にしたがって、焼き菓子(パイ、油脂含有量36.7質量%)を調製した。

(パイの製造手順)
1.表5の配合にしたがって、原材料を混捏し、折り込み用生地を調製する。
2.100質量部の折り込み用生地に、50質量部のシート状油脂組成物を載せる。
3.4つ折り、さらに3つ折りに折込み、-2℃で2時間置いた後、3つ折り、さらに4つ折りに折り込み、折り数144、厚さ3mmのパイ生地を調製する。
4.8.5cm×5.5cmに成形し、200℃のオーブンで20分焼成する。
Figure 2022054437000004
Figure 2022054437000005
<焼き菓子の評価2>
例17の油脂組成物を使用したパイを対照として、例18~20の油脂組成物を使用したパイの風味評価を、油脂を含む食品の風味評価に熟練したパネラー5名により、<焼き菓子の評価1>と同様の基準にしたがって、総合評価した。結果を表4に示した。
<植物性ホイップクリームの調製>
表6に記載の配合で、以下の製造手順にしたがって、植物性ホイップクリーム1、2を調製した。

(ホイップクリームの製造手順)
1.油脂に、油脂以外の油相成分を混合し、70℃の油相を調製する。
2.水に、水以外の水相成分を混合し、70℃の水相を調製する。
3.水相に油相を投入して撹拌乳化しながら、80℃まで昇温する。
4.次いでホモゲナイザーを用いて6MPaの圧力下で微細均質化する。
5.その後、85℃、15分のバッチ殺菌を行う。
6.得られた乳化物を氷水に浸漬して冷却後、5℃で12時間以上静置する。
Figure 2022054437000006

<コンパウンドホイップクリームの調製>
上記で調製した植物性ホイップクリーム1、2と生クリーム(乳脂肪分45質量%)とを、それぞれ質量比、2:1および5:1の割合で混合し、例21~24のコンパウンドタイプのホイップクリームを調製した(表7)。例21~24の各ホイップクリーム500g計量し、品温を7℃に調整した。砂糖35gを加え、ホバートミキサー(ホバートジャパン社製)を用い、中速2(約120rpm)で10分立てまでホイップし、評価用の試料(ホイップドクリーム)とした。
<コンパウンドホイップクリームの評価>
例21のコンパウンドホイップクリームを対照として、例22のコンパウンドホイップクリームの風味評価を、また、例23のコンパウンドホイップクリームを対照として、例24のコンパウンドホイップクリームの風味評価を、油脂を含む食品の風味評価に熟練したパネラー5名により、以下の基準にしたがって、総合評価した。結果を表7に示した。


評価基準 評点
対照と比較して、コク味・乳味を強く感じる 2点
対照と比較して、コク味・乳味をやや強く感じる 1点
対照と比較して、コク味・乳味を同程度に感じる 0点
対照と比較して、コク味・乳味が弱い、または、
異質で違和感がある -1点

総合評価
◎◎:8点以上 対照より、コク味・乳味が強い
◎:5点以上7点以下 対照より、コク味・乳味がやや強い
〇:1点以上4点以下 対照より、コク味・乳味がある
×:0点以下 対照より、コク味・香味が劣る
Figure 2022054437000007

Claims (7)

  1. 乳脂肪とナッツオイルとを、99.9:0.1~70:30の質量比で含有する、油脂組成物。
  2. 前記ナッツオイルが未脱臭油である、請求項1に記載の油脂組成物。
  3. 前記ナッツオイルが、ヘーゼルナッツオイル、マカダミアナッツオイル、ピスタチオオイル、アーモンドオイル、ピーナッツオイル、から選ばれる1種以上である、請求項1または2に記載の油脂組成物。
  4. 前記乳脂肪が、焦がしバター由来である、請求項1~3の何れか1項に記載の油脂組成物。
  5. 請求項1~4の何れか1項に記載の油脂組成物を含有する飲食品。
  6. 乳脂肪とナッツオイルとを、99.9:0.1~70:30の質量比で含有する、飲食品。
  7. 乳脂肪とナッツオイルとを、99.9:0.1~70:30の質量比で併用する、乳脂肪の風味を改質する方法。
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