JP2022053825A - 車輪ガード装置の回り止め部材とそれを備えた車輪ガード装置 - Google Patents

車輪ガード装置の回り止め部材とそれを備えた車輪ガード装置 Download PDF

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Abstract

Figure 2022053825000001
【課題】 車輪ガード装置をまくらぎに固定している固定ボルトの回り止めを図れる回り止め部材を提供する。
【解決手段】 脱線しようとする車輪が当接する係止部を有するガードレールと、ガードレールを支持部材で固定する可動部材と、可動部材を取り付ける固定部材と、固定部材の固定部を軌道又はまくらぎに対して鉛直方向に固定する固定ボルトと、を有するガード締結装置の固定ボルトの回転を防止する回り止め部材であって、固定ボルトの頭部を挿入してこの頭部と係合する係合突起を有する挿入部と、水平面内における該回り止め部材の回転を固定部の壁面に当接して抑止する回転抑止部と、を有している。
【選択図】 図1A

Description

本発明は、鉄道車両の車輪が本線レールから脱線することを防止する車輪ガード装置を軌道又はまくらぎに固定している固定ボルトの回り止め部材とそれを備えた車輪ガード装置に関する。
従来、鉄道車両(以下、単に「車両」ともいう)が走行する本線レールに沿って、車輪の脱線を防止する車輪ガード装置を設ける場合がある。特に、曲線軌道などには、本線レールに沿って、車輪が本線レールから脱線することを防止するとともに、車輪が脱線したとしても鉄道車両が軌道外方に大きく逸脱することを防止する車輪ガード装置を設ける場合がある。この車輪ガード装置には、本線レールから脱線しようとする車輪が当接するガードレールを設けたものがある。
例えば、本出願人が出願した先行技術として、まくらぎに固定したベース板上に本線レールとガードレールとを固定し、このガードレールに、本線レールの内側に向けて車輪が脱線するのを防止する外側係止部と、脱線した車両が軌道外方に向けて逸脱するのを防止する内側係止部とを具備させたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2012-12772号公報
ところで、上記したような車輪ガード装置は、例えば、本線レール上を走行する車両によって生じる振動などを受ける。そして、この振動などによって車輪ガード装置を軌道又はまくらぎ(以下、「まくらぎ」を例に説明する)に固定している固定ボルトが緩むおそれがある。
そのため、車輪ガード装置をまくらぎに固定している固定ボルトの緩みなどを定期点検で確認しているが、夜間の点検になるため、その確認に時間と労力を要する。また、車輪ガード装置が長い区間に設けられている場合には多くの固定ボルトを確認する必要があり、多くの時間と労力を要する。しかも、車輪ガード装置の構造によっては、固定ボルトの部分を確認することが難しい場合がある。
そこで、本発明は、車輪ガード装置をまくらぎに固定している固定ボルトの回り止めを図れる回り止め部材とそれを備えた車輪ガード装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る車輪ガード装置の回り止め部材は、脱線しようとする車輪が当接する係止部を有するガードレールと、前記ガードレールを支持部材で固定する可動部材と、前記可動部材を取り付ける固定部材と、前記固定部材の固定部を軌道又はまくらぎに対して鉛直方向に固定する固定ボルトと、を有するガード締結装置の前記固定ボルトの回転を防止する回り止め部材であって、前記固定ボルトの頭部に挿入して該頭部と係合する係合突起を有する挿入部と、前記固定ボルトの前記頭部が前記挿入部に挿入された状態で、水平面内における回転を前記固定部の壁面に当接して抑止する回転抑止部と、を有している。
この構成により、回り止め部材を、ガードレールを固定している可動部材を取り付けている固定部材を軌道又はまくらぎに固定する固定ボルトの頭部に装着することで、固定ボルトが回転すると回転抑止部が固定部材の固定部の壁面に当接して回転が防止される。よって、固定ボルトが緩むことを適切に防止できる。
また、上面側に、前記固定ボルトの頭部に前記挿入部を挿入した状態で、前記支持部材の内方で上向きに突出する所定高さの突起部を有していてもよい。このように構成すれば、回り止め部材の厚みが経年使用によって磨り減ったとしても、突起部が支持部材の下端部に当接して固定ボルトの部分から飛び出ることを防ぐことができる。
また、下面側に、前記固定ボルトの座金が入り込む大きさで所定深さに形成された凹状部を有していてもよい。このように構成すれば、回り止め部材の凹状部に、固定ボルトの頭部とガード締結装置との間に挿入される座金が入った状態で装着することができ、回り止め部材が座金に載らない状態で装着できる。
また、少なくとも上面側に識別部分を有していてもよい。識別部分は、着色部、凹凸部などにできる。このように構成すれば、夜間の作業であっても回り止め部材の装着方向、装着状態を作業者が容易に認識することができる。
また、耐候性樹脂材料で形成されていてもよい。
このように構成すれば、回り止め部材の重量低減と、経年使用に耐えうるように構成することができる。
一方、本発明に係る車輪ガード装置は、脱線しようとする車輪が当接する係止部を有するガードレールと、前記ガードレールを支持部材で固定する可動部材と、軌道又はまくらぎに固定する固定部材と、を有するガード締結装置を備え、前記固定部材は、前記軌道又は前記まくらぎに対して鉛直方向に固定する固定ボルトのねじ部を挿入する固定穴と、前記壁面を有し前記固定ボルトの頭部を配置する固定部と、を有し、前記固定部に配置した前記固定ボルトの頭部に前記回り止め部材のいずれかが装着されている。
この構成により、車輪ガード装置の固定部材を固定している固定ボルトが緩む方向に回転すると、回り止め部材が固定部材の壁面に当接して緩むことを防止できる。よって、車輪ガード装置の固定状態を適切に保つことができる。
また、前記固定部材は、前記固定部の前記ガードレールが延びる方向に前記壁面を有し、前記支持部材は、前記可動部材に前記ガードレールを固定した状態で、前記固定部に向けて下向きに突出する突出部を有していてもよい。
このように構成すれば、回り止め部材が振動などで浮き上がったとしても、回り止め部材の突起部が支持部材の突出部に当接し、装着状態を適切に保つことができる。
本発明によれば、回り止め部材によって車輪ガード装置を軌道又はまくらぎに固定している固定ボルトの回り止めを図ることができるので、車輪ガード装置を軌道又はまくらぎに固定している状態を適切に保つことが可能となる。
図1Aは、本発明の第1実施形態に係る第1回り止め部材を示す図面であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図である。 図1Bは、図1Aに示す第1回り止め部材の他の面を示す図面であり、(a)は底面図、(b)は正面図、(c)は背面図である。 図2は、図1A、図1Bに示す第1回り止め部材を備えた一実施形態に係る車輪ガード装置を示す正面図である。 図3は、図2に示す固定部材の斜視図である。 図4は、図2に示す可動部材の斜視図である。 図5は、図2に示す支持部材の斜視図である。 図6は、図2に示すガードレールの斜視図である。 図7は、図2に示す車輪ガード装置の拡大正面図である。 図8は、図7に示す車輪ガード装置の平面図である。 図9は、図2に示す車輪ガード装置に備えさせた第1回り止め部材の作用効果を示す説明図であり、(a)は図7に示すIXa-IXa矢視の部分拡大平面図、(b)は(a)に示すIXb-IXb矢視の断面図である。 図10は、本発明の第2実施形態に係る第2回り止め部材を示す図面であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。 図11は、本発明の第3実施形態に係る第3回り止め部材を示す図面であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図である。 図12は、図11に示す第3回り止め部材を車輪ガード装置に装着した状態を示す部分拡大断面図である。 図13は、本発明の第4実施形態に係る第4回り止め部材を示す図面であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。 図14は、本発明の第5実施形態に係る第5回り止め部材を示す図面であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。 図15は、図2に示す車輪ガード装置による脱線防止時の作用図である。 図16は、図2に示す車輪ガード装置による逸脱防止時の作用図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では、第1実施形態に係る第1回り止め部材50と、この第1回り止め部材50を備えた車輪ガード装置1について主に説明する。また、以下に説明する車輪ガード装置1は、ガードレール10が軌道110(図2)の内方に向けて転換可能となった例を説明する。なお、この明細書及び特許請求の範囲の書類中における方向の概念は、図2に示す軌道110と直交する断面において、本線レール120の間の内側を「内方」、本線レール120の外側を「外方」とする。図2に示すガードレール10が延びる方向(紙面と直交する方向)を「軌道方向」という。
(第1実施形態に係る第1回り止め部材の構成)
図1Aは、第1実施形態に係る第1回り止め部材50を示す図面であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図である。図1Bは、図1Aに示す第1回り止め部材50の他の面を示す図面であり、(a)は底面図、(b)は正面図、(c)は背面図である。第1回り止め部材50は、固定部材21(図7)を本線レール120側でまくらぎ100(図7)に固定している固定ボルト32に装着される。
第1回り止め部材50は、所定の厚みH1を有し、平面視における中央部分に固定ボルト32(図7)の頭部32aを挿入する挿入部51が設けられている。挿入部51には、周囲に固定ボルト32の頭部32aと係合する複数の係合突起52が形成されている。この実施形態の係合突起52は、固定ボルト32の六角に形成された頭部32aと係合するように、2倍の12個が設けられている。第1回り止め部材50の平面視の外形は、一辺が直線状の直線辺53に形成され、この直線辺53と交差する2辺は一部が直線状の回転抑止部54に形成され、途中から円弧を描くように形成されている。直線辺53と対向する部分は円弧部55に形成されている。直線辺53から円弧部55までは、寸法L1で形成されている。
そして、円弧部55の部分に、上面50aから上向きに突出する突起部56が設けられている。突起部56は、直線辺53と直交する中心線Cに対してほぼ均等に約45度の角度で広がるように形成され、全体でほぼ90度の角度で突出している。突起部56は、第1回り止め部材50の上面50aと円弧面50bで連なるように一体的に形成されている。突起部56の所定高さH2は、以下に説明する車輪ガード装置1の可動部材22に固定した支持部材27の、可動部材22から下向きに突出する突出部27cの突出量と同等の寸法とすることができる。第1回り止め部材50は、所定高さH2の突起部56を設けて全体の厚みH1を薄くすることで、重量軽減を図ることができる。
また、第1回り止め部材50は、少なくとも上面50a側に識別部分57を有するようにできる。識別部分57としては、例えば、着色部や凹凸部とすることができる。識別部分57は、上面50aの一部に設けても、全面に設けてもよい。識別部分57は、下面や側面に設けることもできる。
第1回り止め部材50に識別部分57を備えさせることで、第1回り止め部材50の取り付け、点検作業などを夜間に行っても、第1回り止め部材50の装着方向(上下方向)、装着状態を作業者が容易に認識することができる。よって、第1回り止め部材50の取り付け作業、点検作業を効率良く行うことが可能となる。
さらに、第1回り止め部材50は、樹脂材料の一体成型によって形成することができ、樹脂材料を用いることで重量低減を図ることができる。第1回り止め部材50は、重量低減を図ることで、作業者が持ち歩く場合の労力低減を図ることができる。樹脂材料としては、耐候性樹脂材料を用いることで、経年使用に耐えうるようにできる。
(車輪ガード装置の構成)
図2は、図1A、図1Bに示す第1回り止め部材50を備えた一実施形態に係る車輪ガード装置1を示す正面図である。図3は、図2に示す固定部材21の斜視図、図4は、図2に示す可動部材22の斜視図、図5は、図2に示す支持部材27の斜視図、図6は、図2に示すガードレール10の斜視図である。以下の説明では、合成まくらぎ100(以下、単に「まくらぎ100」という)に固定する車輪ガード装置1を例に説明する。
図2に示すように、軌道110と直交する方向に延びるように配設されたまくらぎ100に、一対のレール締結装置40が設けられている。一対のレール締結装置40のそれぞれにより、本線レール120が軌道方向に固定されている。本線レール120は、両側部に設けられた押え金具43を介してボルト44で床板41に固定されており、床板41はまくらぎ100にねじくぎ42で固定されている。
そして、上記本線レール120の内方に沿ってガードレール10をそれぞれ配置するように、車輪ガード装置1が設けられている。車輪ガード装置1は、本線レール120の内方に設けられており、複数本間隔のまくらぎ100にガード締結装置20が備えられている。車輪ガード装置1は、ガード締結装置20をまくらぎ100に固定する固定部材21と、固定部材21に取り付けられる可動部材22とを備えている。これにより、車輪ガード装置1は、ガードレール10が固定された可動部材22を固定部材21に連結された配置状態と、ガードレール10とともに可動部材22を軌道内方に向けて回動させた退避状態(図示する二点鎖線の状態)とにできる転換機能を備えている。この転換機能でガードレール10を本線レール120から離れた位置に退避させれば、本線レール120の真下付近のバラストを図示しないタイタンパーやマルチプルタイタンパー等の突き固め機で密に突き固める作業や、レール削正作業等を効率良く行うことができる。
図3に示すように、固定部材21は、固定ボルト32(図7)のねじ部32b(図7)をまくらぎ100に鉛直方向に挿入して固定する固定穴31と、可動部材22を固定する連結ボルト24が挿入される連結穴33とが上下方向の軸線で設けられている。固定穴31は、まくらぎ100の長手方向における両端部に設けられた固定部21cに設けられている。固定部21cは、固定部材21の上面から所定深さの凹状に形成されており、所定の厚みを有している。固定部材21の一端には、可動部材22の支持側22bを支持軸23(図7)で支持する支持穴34が水平方向に設けられている。固定部材21の上面には、以下に説明する可動部材22の下面に形成された係合凸部22aが係合する係合凹部21aが設けられている。係合凹部21aの部分に、上記連結穴33が設けられている。
可動部材22の先端側22cに位置する固定部21cは、固定部21cの周囲に係合凹部21aの部分から固定部材21の端面まで延びる壁面21bが形成されている。壁面21bは、固定穴31の周囲を囲むように形成され、係合凹部21a側は円弧状に形成され、この円弧状の部分から固定部材21の長手方向の端部に向けて平面状に形成されている。壁面21bは、固定部材21の端部は開放している。
図4に示すように、可動部材22は、支持側22bに固定部材21の支持穴34に支持軸23で支持される支持穴35が水平方向に設けられている。中央部分には、上記連結穴33に連結ボルト24を挿入して固定する固定穴36が上下方向に設けられている。可動部材22の先端側22cには、ガードレール10が支持される一対のU字状の保持部26が設けられている。可動部材22には、保持部26の部分に、ガードレール10の凹条15(図6)と係合する凸条30が軌道方向に設けられている。
図5に示すように、支持部材27は、可動部材22に設けられた一対の保持部26の間に挿入される大きさに形成されている。支持部材27は、ガードレール10と接する面と反対方向の左右位置に一対の補強部27aが設けられている。補強部27aの間には、ボルト穴27bが設けられている。支持部材27の下端には、可動部材22にガードレール10を固定した状態で、下向き(固定部材21の方向)に突出する突出部27cが形成されている。
図6に示すように、ガードレール10は、可動部材22に支持部材27で固定されるウエブ部11と、このウエブ部11の上端に設けられて水平方向に延びるフランジ部12とを有する略T字状断面で形成されている。ガードレール10は、軌道方向に所定間隔で設けられた複数のガード締結装置20に固定される長さを有している(図は一部を示している)。ガードレール10は、フランジ部12の外方端部が外側係止部13となっており、内方端部が内側係止部14となっている。外側係止部13は、車輪W(図15)が脱線するのを防止し、内側係止部14は、脱線した車両V(図16)が軌道外方に向けて逸脱するのを防止する(後述する図15、図16)。また、ガードレール10には、可動部材22に設けられた凸条30と係合する凹条15が長手方向に設けられている。
(第1回り止め部材を備えた車輪ガード装置の構成)
図7は、図2に示す車輪ガード装置1の一部を示す拡大正面図、図8は、図7に示す車輪ガード装置1の平面図である。
この実施形態のガード締結装置20は、固定部材21の固定穴31に固定ボルト32のねじ部32bを挿入してまくらぎ100に固定されている。固定ボルト32は、頭部32aと固定部21cとの間に平座金37とばね座金38を取り付けた状態で固定されている。可動部材22は、固定部材21の内方端部に支持軸23で支持されている。可動部材22は、支持軸23を中心に、軌道内方に向けて回動可能となっている。可動部材22は、固定部材21に連結ボルト24で固定されている。連結ボルト24は、可動部材22の上方から固定穴36を介して固定部材21の連結穴33に挿入され、90°回転させることで頭部を固定部材21に係止して、その状態でナット24aによって固定されている。可動部材22の保持部26に支持されたガードレール10は、支持部材27を取付ボルト28とナット29とで可動部材22に固定されている。この状態で、支持部材27の突出部27cは、可動部材22の下面に対して突出量H(図9(b))で下方に突出している。ガードレール10は、可動部材22と支持部材27との間に固定されており、可動部材22の上部に配設されている。また、ガードレール10は、可動部材22に固定されることで凹条15が凸条30と係合して固定された状態が保たれている。
可動部材22に固定されたガードレール10は、本線レール120に向けて突出する外側係止部13と本線レール120の頭部側面121と所定間隔Aを保つように配設されている。また、この外側係止部13は、上端が本線レール120の上面よりも高さBだけ高い位置に配置されている。これにより、後述するように、車輪Wが脱線することを防止することができる。
(車輪ガード装置に備えさせた第1回り止め部材の作用効果)
図9は、図2に示す車輪ガード装置1に備えさせた第1回り止め部材50の作用効果を示す説明図であり、(a)は図7に示すIXa-IXa矢視の部分拡大平面図、(b)は(a)に示すIXb-IXb矢視の断面図である。(b)では、図7に示す構成も示している。
図9(a)に示すように、第1回り止め部材50は、固定ボルト32の頭部32aに挿入部51を挿入した状態で装着される。この状態で固定ボルト32が緩む方向(この例では反時計回り)に回転した場合、第1回り止め部材50も同一方向へ回転し、回転抑止部54が固定部材21の壁面21bに当接して水平面内の回転が防止される(図示する二点鎖線の状態)。これにより、固定ボルト32の頭部32aの回転が止められ、固定ボルト32の緩み止めが図られる。第1回り止め部材50は、固定ボルト32の頭部32aとともに僅かな回転角で壁面21bに当接するため、固定ボルト32が緩むことを適切に防止できる。
一方、図9(b)に示すように、第1回り止め部材50は、固定ボルト32の頭部32aが挿入部51に挿入された状態で載せられているため、本線レール120からの振動などによって上方へ飛び上がる場合がある(図示する二点鎖線の状態)。しかし、第1回り止め部材50には、上面50aから上方に突出する突起部56がある。しかも、第1回り止め部材50は、この突起部56が支持部材27よりも奥側(固定部材21の係合凹部21aの方向)に位置した状態で固定ボルト32の頭部32aに装着されている。このため、第1回り止め部材50は、上方に飛び上がったとしても突起部56が可動部材22に当接して固定ボルト32の頭部32aから外れることはない。仮に、第1回り止め部材50の厚みが経年使用によって磨り減ったとしても、突起部56が可動部材22の下面に対して突出量Gで下方に突出する支持部材27の突出部27cに当接し、第1回り止め部材50が固定ボルト32の頭部32aから外方へ飛び出ることを防止できる。よって、第1回り止め部材50は、振動などによって生じる飛び上がりや、経年使用による厚み減少を生じても、固定ボルト32から飛び出ることを防ぐことができる。
なお、図9(a)、(b)で説明した第1回り止め部材50の作用効果において、固定ボルト32の回り止めに関する作用効果は、以下に説明する他の実施形態においても同様であるため、以下の説明ではそれぞれの実施形態における作用効果のみを説明する。
(他の実施形態に係る回り止め部材)
図10は、第2実施形態に係る第2回り止め部材60を示す図面であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。図11は、第3実施形態に係る第3回り止め部材70を示す図面であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。図12は、図11に示す第3回り止め部材70を車輪ガード装置1に装着した状態を示す部分拡大断面図である。図13は、第4実施形態に係る第4回り止め部材80を示す図面であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。図14は、第5実施形態に係る第5回り止め部材90を示す図面であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。なお、図11に示す第3回り止め部材70の側面図を除く図面と、図13に示す第4回り止め部材80及び図14に示す第5回り止め部材90は、上下逆向きにして下面側を見た状態で示している。
第2回り止め部材60は、上記第1回り止め部材50と同様の使用形態であるため、車輪ガード装置1に備えさせた状態の説明は省略する。第3回り止め部材70については、車輪ガード装置1に備えさせた状態を図12で説明し、第4回り止め部材80及び第5回り止め部材90については、第3回り止め部材70と同様の使用形態であるため、車輪ガード装置1に備えさせた状態の説明は省略する。
図10(a)、(b)に示す第2回り止め部材60は、上記第1回り止め部材50と比べて、厚みH3が厚く、直線辺63から円弧部65までの寸法L3が小さくなっている。なお、第1回り止め部材50と同一の構成には、第1回り止め部材50における符号に「10」を加えた符号を付し、その説明は省略する。
第2回り止め部材60は、ガード締結装置20の固定部材21を固定する固定ボルト32の頭部32aと可動部材22との間隔が広く、固定部材21の壁面21bが固定ボルト32の頭部32aに近い位置となっている場合に使用することができる。
第2回り止め部材60によっても、本線レール120からの振動などによって上方へ飛び上がったとしても突起部66が可動部材22に当接して固定ボルト32の頭部32aから外れることはない。仮に、第2回り止め部材60が経年使用によって厚みが磨り減ったとしても、突起部66が支持部材27の下方に突出する突出部27cに当接して固定ボルト32の頭部32aから外方へ飛び出ることを防止できる。よって、第2回り止め部材60は、振動などによって生じる飛び上がりや、経年使用による厚み減少を生じても、固定ボルト32から飛び出ることを防止できる。なお、第2回り止め部材60を固定ボルト32の頭部32aに装着した状態、及び他の作用などは第1回り止め部材50と同一であるため、その説明は省略する。
図11(a)、(b)、(c)に示す第3回り止め部材70は、固定ボルト32の頭部32aと固定部材21の固定部21cとの間に挿入される平座金37とばね座金38(図7)とが入り込む大きさで所定深さに形成された凹状部78を有する例である。なお、第1回り止め部材50と同一の機能を奏する構成には、第1回り止め部材50における符号に「20」を加えた符号を付し、その説明は省略する。
第3回り止め部材70は、第2回り止め部材60とほぼ同等の厚みH5を有し、中央部分に固定ボルト32の頭部32aを挿入する挿入部71が設けられている。そして、下面側には、挿入部71よりも大きく形成された凹状部78が設けられている。凹状部78は、第3回り止め部材70の下面側に、平座金37とばね座金38の外形よりも大きく、平座金37の厚みにばね座金38の厚みを加えた厚みよりも深い厚みH4で形成されている。第3回り止め部材70は、先端部75が直線辺73と平行の直線状に形成されており、先端部75の下方は切除部76によって凹状部78と連なる空間部分となっている。第3回り止め部材70は、その他の構成は第1回り止め部材50と同様であるため、詳細な説明は省略する。
図12に示すように、図11に示す第3回り止め部材70は、直線辺73が車輪ガード装置1(図7,8)の固定部材21の端部方向となるように固定ボルト32の頭部32aに装着される。これにより、第3回り止め部材70の凹状部78に平座金37とばね座金38とが入り込み、第3回り止め部材70は下端が固定部材21の固定部21cに載った状態で装着される。この状態で、係合突起72が固定ボルト32の頭部32aと係合する状態となる。
第3回り止め部材70によっても、固定ボルト32が緩む方向に回転した場合、第3回り止め部材70も同一方向へ回転し、回転抑止部74が固定部材21の壁面21bに当接する(図9(a)と同様)。これにより、固定ボルト32の頭部32aの回転が止められ、固定ボルト32の緩み止めが図られる。第3回り止め部材70も、固定ボルト32の頭部32aとともに僅かな回転角で壁面21bに当接するため、固定ボルト32の緩みを防止できる。
また、第3回り止め部材70は、上方に飛び上がったとしても上面70aが可動部材22に当接して固定ボルト32の頭部32aから外れることはない。よって、第3回り止め部材70は、振動などによって固定ボルト32から飛び出ることを防止できる。
図13(a)、(b)に示す第4回り止め部材80は、第3回り止め部材70と同様に、固定ボルト32の頭部32aと固定部材21の固定部21cとの間に挿入される平座金37とばね座金38とが入り込む所定深さの凹状部78が設けられた例である。なお、第1回り止め部材50と同一の機能を奏する構成には、第1回り止め部材50における符号に「30」を加えた符号を付し、その説明は省略する。
第4回り止め部材80は、第3回り止め部材70と同様の外形であり、中央部分に固定ボルト32の頭部32aを挿入する挿入部81が設けられ、下面側には挿入部81よりも大きく形成された凹状部88が設けられている。凹状部88は、第4回り止め部材80の下面側に、平座金37とばね座金38の外形よりも大きく、平座金37の厚みにばね座金38の厚みを加えた厚みよりも深い厚み(図11(c)のH4と同等)で形成されている。第4回り止め部材80は、先端部85に設けられた切除部86に加え、側面部にも切除部89が設けられている。これらの切除部86,89は、凹状部88と連なる空間部分となっている。また、第4回り止め部材80は、上面80aにおける挿入部81の周囲にも切除部89があり、より軽量化が図られている。第4回り止め部材80は、その他の構成は第3回り止め部材70と同様であるため、詳細な説明は省略する。
第4回り止め部材80によっても、上記第3回り止め部材70と同様に、固定ボルト32の頭部32aに装着すると、第4回り止め部材80の凹状部88に平座金37とばね座金38とが入り込み、第4回り止め部材80の下端が固定部21cに載った状態となる。そして、固定ボルト32が緩む方向に回転した場合、第4回り止め部材80も同一方向へ回転し、回転抑止部84が固定部材21の壁面21bに当接して、固定ボルト32の緩み止めが図られる。また、第4回り止め部材80によれば、第3回り止め部材70に比べて切除部89が多いため、より軽量化を図ることができる。第4回り止め部材80の他の作用効果は第3回り止め部材70と同様であり、説明は省略する。
図14(a)、(b)に示す第5回り止め部材90は、第3回り止め部材70と同様に、固定ボルト32の頭部32aと固定部材21の固定部21cとの間に挿入される平座金37とばね座金38とが入り込む所定深さの凹状部78が設けられた例である。なお、第1回り止め部材50と同一の機能を奏する構成には、第1回り止め部材50における符号に「40」を加えた符号を付し、その説明は省略する。
第5回り止め部材90は、第3回り止め部材70と同様の外形であり、中央部分に固定ボルト32の頭部32aを挿入する挿入部91が設けられ、下面側には挿入部91よりも大きく形成された凹状部98が設けられている。凹状部98は、第5回り止め部材90の下面側に、平座金37とばね座金38の外形よりも大きく、平座金37の厚みにばね座金38の厚みを加えた厚みよりも深い厚み(図11(c)のH4と同等)で形成されている。第5回り止め部材90は、先端部95に設けられた切除部96に加え、側面部にも切除部99が設けられている。これらの切除部96,99は、凹状部98と連なる空間部分となっている。また、第5回り止め部材90は、上面90aにおける外周部分に切除部99があり、より軽量化が図られている。第5回り止め部材90は、その他の構成は第3回り止め部材70と同様であるため、詳細な説明は省略する。
第5回り止め部材90によっても、上記第3回り止め部材70と同様に、固定ボルト32の頭部32aに装着すると、第5回り止め部材90の凹状部98に平座金37とばね座金38とが入り込み、第5回り止め部材90の下端が固定部21cに載った状態となる。そして、固定ボルト32が緩む方向に回転した場合、第5回り止め部材90も同一方向へ回転し、回転抑止部94が固定部材21の壁面21bに当接して、固定ボルト32の緩み止めが図られる。また、第5回り止め部材90によれば、第3回り止め部材70に比べて切除部99が多いため、より軽量化を図ることができる。第5回り止め部材90の他の作用効果は第3回り止め部材70と同様であり、説明は省略する。
(その他の実施形態)
上記した第1回り止め部材50において少なくとも上面側に備えさせた識別部分57は、上記したいずれの回り止め部材60,70,80,90においても適用できる。識別部分57としては、例えば、凹凸部、着色部などにすることができる。凹凸部とすれば、作業者が手で触れて上面などを認識することができる。着色部とすれば、作業者が目視で上面などを認識することができる。識別部分57は、これらの両方でも、他の構成でもよい。識別部分57を設けることで、回り止め部材50,60,70,80,90の取り付け作業が夜間の作業であっても、回り止め部材50,60,70,80,90の装着方向、装着状態などを作業者が容易に認識することができる。
さらに、上記した実施形態は一例を示しており、各実施形態の構成を組み合わせてもよく、本発明の要旨を損なわない範囲で種々の変更は可能であり、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。
(車輪ガード装置の機能)
図15は、図2に示す車輪ガード装置1による脱線防止時の作用図である。図16は、図2に示す車輪ガード装置1による逸脱防止時の作用図である。なお、車両Vの下面には、車輪Wが脱線した場合にガードレール10に当接して車両Vが軌道110から大きく逸脱するのを防ぐための逸脱防止突起部Dが車両長手方向に所定間隔(例えば、1つの車両Vの前後位置に各1個)で設けられている。
図15に示すように、車両Vに大きな横力F(この例では図の右側からの横力F)が作用した場合、一方の車輪W(図の左側)が本線レール120上に乗り上げたとしても、他方の車輪W(図の右側)は内側がガードレール10に接してガードされた状態となる。この状態では、図の右側の車輪Wは本線レール120上を走行しているので、車輪Wの脱線を防ぐことができる。
また、図16に示すように、さらに横力Fが増して、車輪Wがガードレール10を越えて脱線してしまった場合、車両Vは横力Fによって軌道110の外方に飛び出そうとする。この時、車両Vの下部に設けられた逸脱防止突起部Dがガードレール10の内側係止部14に当接して、それ以上、軌道110の外方に向けて逸脱することを防ぐことができる。これにより、仮に車輪Wが脱線したとしても、車両Vを軌道110から大きく逸脱しない状態で停止させることができる。よって、例えば、対向車両との接触などを防ぐことができる。
(総括)
以上のように、回り止め部材50,60,70,80,90によれば、ガードレール10を支持部材27で固定している可動部材22と、可動部材22を取り付けている固定部材21と、を有する車輪ガード装置1において、固定部材21を固定している固定ボルト32が振動などで緩むことを適切に防止することが可能となる。よって、上記した回り止め部材50,60,70,80,90を備えた車輪ガード装置1によれば、定期点検などに要する労力と時間を大幅に削減することが可能となる。
1 車輪ガード装置
10 ガードレール
20 ガード締結装置
21 固定部材
21b 壁面
21c 固定部
22 可動部材
27 支持部材
27c 突出部
31 固定穴
32 固定ボルト
32a 頭部
37 平座金
38 座金
50 回り止め部材
50a 上面
51 挿入部
52 係合突起
54 回転抑止部
56 突起部
57 識別部分
60 回り止め部材
66 突起部
70 回り止め部材
71 挿入部
74 回転抑止部
80 回り止め部材
81 挿入部
84 回転抑止部
90 回り止め部材
91 挿入部
94 回転抑止部
100 まくらぎ
L1 寸法
L3 寸法
H1~H5 厚み

Claims (7)

  1. 脱線しようとする車輪が当接する係止部を有するガードレールと、前記ガードレールを支持部材で固定する可動部材と、前記可動部材を取り付ける固定部材と、前記固定部材の固定部を軌道又はまくらぎに対して鉛直方向に固定する固定ボルトと、を有するガード締結装置において前記固定ボルトの回転を防止する回り止め部材であって、
    前記固定ボルトの頭部に挿入して該頭部と係合する係合突起を有する挿入部と、
    前記固定ボルトの前記頭部が前記挿入部に挿入された状態で、水平面内における回転を前記固定部の壁面に当接して抑止する回転抑止部と、を有している、
    ことを特徴とする車輪ガード装置の回り止め部材。
  2. 上面側に、前記固定ボルトの頭部に前記挿入部を挿入した状態で、前記支持部材の内方で上向きに突出する所定高さの突起部を有している、
    請求項1に記載の車輪ガード装置の回り止め部材。
  3. 下面側に、前記固定ボルトの座金が入り込む大きさで所定深さに形成された凹状部を有している、
    請求項1に記載の車輪ガード装置の回り止め部材。
  4. 少なくとも上面側に識別部分を有している、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の車輪ガード装置の回り止め部材。
  5. 耐候性樹脂材料で形成されている、
    請求項1~4のいずれか1項に記載の車輪ガード装置の回り止め部材。
  6. 脱線しようとする車輪が当接する係止部を有するガードレールと、前記ガードレールを支持部材で固定する可動部材と、軌道又はまくらぎに固定する固定部材と、を有するガード締結装置を備え、
    前記固定部材は、前記軌道又は前記まくらぎに対して鉛直方向に固定する固定ボルトのねじ部を挿入する固定穴と、前記壁面を有し前記固定ボルトの頭部を配置する固定部と、を有し、
    前記固定部に配置した前記固定ボルトの頭部に請求項1~5のいずれか1項に記載の前記回り止め部材が装着されている、
    ことを特徴とする車輪ガード装置。
  7. 前記固定部材は、前記固定部の前記ガードレールが延びる方向に前記壁面を有し、
    前記支持部材は、前記可動部材に前記ガードレールを固定した状態で、前記固定部に向けて下向きに突出する突出部を有している、
    請求項6に記載の車輪ガード装置。
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