JP2022053727A - 電池用セパレータ、電極体、非水電解質二次電池、及び電池用セパレータの製造方法 - Google Patents

電池用セパレータ、電極体、非水電解質二次電池、及び電池用セパレータの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長時間熱プレスにおける湿潤時の電極とセパレータとの接着性(WET接着性)と、将来の電池に向けた更なる出力特性の両方に優れ、かつ、異物短絡耐性に優れた電池用セパレータと電池用セパレータの製造方法、電池用セパレータを用いた電極体及び二次電池を提供する。【解決手段】ポリオレフィン微多孔膜と、前記ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一方の面に積層された多孔層と、を備える電池用セパレータであって、前記ポリオレフィン微多孔膜は特定の空孔率と平均流量細孔径を持ち、前記多孔層は、特定のフッ化ビニリデン系ポリマーと、ポリアクリル酸と、無機粒子を含み、前記フッ化ビニリデン系ポリマーは、重量平均分子量が60万以上200万以下であり、前記多孔層による透気抵抗度上昇率が10%以上100%以下であり、前記ポリアクリル酸の粘度平均分子量、前記ポリアクリル酸の含有量が特定範囲内である電池用セパレータ。【選択図】図1

Description

本発明は電池用セパレータ、電極体、非水電解質二次電池、及び電池用セパレータの製造方法に関する。
非水電解質二次電池、中でも、リチウムイオン二次電池は、携帯電話や携帯情報端末等の小型電子機器に使用されて広く普及している。非水電解質二次電池の形態としては、例えば円筒型電池、角型電池、ラミネート型電池等が挙げられる。一般にこれらの電池は正極と負極とがセパレータを介して配置された電極体と、非水電解液とが外装体に収納された構成を有する。電極体の構造としては、例えば正極と負極とをセパレータを介して積層した積層電極体、正極と負極とをセパレータを介して渦巻き状に巻回した巻回電極体などが挙げられる。
従来、電池用セパレータとしては、主にポリオレフィン樹脂からなる微多孔膜が使用されている。ポリオレフィン樹脂からなる微多孔質膜は、いわゆるシャットダウン機能を有するため、電池の異常発熱時にセパレータの細孔を閉塞することにより、電流の流れを抑制して、発火などを防ぐことができる。
近年、電池用セパレータにおいて、ポリオレフィン樹脂からなる層の一方または両方の面に、ポリオレフィン樹脂以外の他の層を設けることで電池特性を向上させる試みがなされている。例えば、フッ素樹脂を含有する多孔層をポリオレフィン樹脂からなる層の一方又は両方の面に設けた電池用セパレータが提案されている。また、多孔層に無機粒子を加えることにより、事故などで電池に鋭利な金属が貫き、急な短絡を起こし発熱した場合でもセパレータの溶融収縮を防ぎ、電極間における短絡部の拡大を抑制することが知られている。
例えば、特許文献1には、正極と負極とポリプロピレン・ポリエチレン・ポリプロピレンからなる三層セパレータとこれら電極とセパレータとの間に配置されたポリフッ化ビニリデンとアルミナ粉末からなる接着性樹脂層とを備えた電極体が記載されている。
また、特許文献2には、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体及びシアノエチルポリビニルアルコールをアセトンへ添加しこれにアルミナ粉末を加え分散しスラリーを作成し、塗工して得られた電池用セパレータが記載されている。
また、特許文献3の実施例2には、フッ化ビニリデン-ヘキサフロロプロピレン共重合体と、ポリエチルメタクリレートを、ジメチルアセトアミド及びトリプロピレングリコールを含む混合溶媒に添加し塗工用スラリーを作製し塗工して得られたセパレータが記載されており、さらに、セパレータ、正極、負極を積層したものを外装体に封入し、電解液を注液、真空シールしたのち、次いで2MPa、90℃、2分の条件で熱プレスした電池で電池評価を実施していることが記載されている。
さらに、近年、非水電解質二次電池は、大型タブレット、草刈り機、電動二輪車、電気自動車、ハイブリッド自動車、小型船舶などの大型用途向けの展開が期待されており、これに伴い大型電池の普及が想定され、さらに高容量化、高出力化も想定される。
そして、ラミネート型電池においては、外装体で圧力をかけられる角型、円筒型電池に比べて、圧力をかけづらく、充放電に伴う電極の膨潤・収縮により、セパレータと電極の界面での部分的な遊離がおこりやすい。その結果、電池の膨れ、電池内部の抵抗増大、サイクル性能の低下につながる。そのため、電解液を注入後の電池内での電極との接着性(WET接着性ともいう)がセパレータには要求されている。
従来このWET接着性は、電解液注液後熱プレス処理することでセパレータ中の樹脂が電解液を取り込み膨潤しゾル化をしてその後放冷される最中にゲル化することで電極と密着し接着性が発現される。この処理は、製造時間を短くする為に数分から30分程度の比較的短時間の熱プレス処理による接着発現をさせることが多かった。しかしながら、電池製造では必須である初充電での化成処理工程や、初充電を何割か実施したのち室温以上で保持することでガス発生(例えば、電池中のわずかに残った水分の分解物である水素ガス)させこれを取り除くエージング工程などがあり、これらと同時に比較的長時間である数時間(例えば2時間)の熱プレス処理を実施し接着処理させることで製造効率を上げる手法も近年、増えてきた。
再表1999-036981号公報 特許第6069677号公報 特許第6054001号公報

短時間熱プレスでのWET接着性に優れたセパレータを用いた場合、長時間熱プレスでのWET接着性は発現するが、出力特性が低下する傾向になることが明らかになった。この理由は定かではないがおそらく熱プレス中にコート層中の樹脂が電解液を過剰にとりこみ、膨潤しすぎて活物質表面やポリオレフィン微多孔膜の表面を被覆させる面積が多くなることで、リチウムイオンの移動性が低下した為と思われる。
将来の電池高性能化を見据えた場合、出力特性とWET接着性と両立することが上述の特許文献1~3に開示される技術では極めて困難であることを発明者らは新たに見出した。
さらに、電池には急激な衝撃が加わっても電極活物質の凸部分がセパレータを貫通して電極が短絡しにくい特性(以下、異物短絡耐性と記す。)が電池の高容量化、高出力化にともない今後ますます求められる。しかし、今後、電池用セパレータは体積当たりの高エネルギー化にともない膜厚の薄膜化が予測されるところであるが、セパレータの厚さが薄くなるほど異物短絡耐性の確保が困難になる。異物短絡耐性を確保するには多孔層に一定量以上の無機粒子を含有させるのが有効であることが知られているが、異物短絡耐性を確保できるほどの無機粒子を含有させる場合、電極とセパレータとの密着性(WET接着性)が低下する傾向にある。
発明者らは鋭意検討の結果、多孔層中に無機粒子及びフッ化ビニリデン系ポリマーと合わせて、電解液に対して膨潤しづらい成分であり、かつ有機溶剤に溶解するポリアクリル酸を所定の分子量、含有量にて添加し、特定の物性を持つポリオレフィン微多孔膜に塗布し凝固液に浸漬させることでイオン透過性が高い多孔層を設け電池用セパレータを得ることを見出した。これにより長時間熱プレスでもフッ化ビニリデン系ポリマーが電解液に対し過剰に膨潤することをポリアクリル酸が抑制し、さらに多孔層の活物質への過剰な被覆、ポリオレフィン微多孔膜への過剰な被覆を抑えることで出力特性低下を抑制させながら、十分なWET接着が発現でき、さらに将来の電池に向けた更なる出力特性向上とサイクル特性を満足し、さらには無機粒子とポリアクリル酸中のカルボン酸が相互作用することで多孔層が強固になり異物短絡耐性を向上できることを新たに見出した。
本発明は、上記課題を鑑みたものであり、長時間熱プレスにおける湿潤時の電極とセパレータとの接着性(WET接着性)と、将来の電池に向けた更なる出力特性の両方に優れ、かつ、異物短絡耐性に優れた電池用セパレータと電池用セパレータの製造方法、電池用セパレータを用いた電極体及び二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、所定のフッ化ビニリデン系ポリマーと所定のポリアクリル酸とその配合比および無機粒子を含む多孔層を備えるセパレータによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の様態の電池用セパレータは、ポリオレフィン微多孔膜と、
前記ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一方の面に積層された多孔層と、を備える電池用セパレータであって、
前記多孔層は、フッ化ビニリデン単独重合体及びフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群から選ばれるフッ化ビニリデン系ポリマーと、
ポリアクリル酸と、
無機粒子を含み、
前記ポリオレフィン微多孔膜の空孔率が30%以上55%以下であり、
前記ポリオレフィン微多孔膜の平均流量細孔径が30nm以上、55nm以下であり、
前記フッ化ビニリデン系ポリマーは、重量平均分子量が60万以上200万以下であり、
前記多孔層による透気抵抗度上昇率が10%以上、100%以下であり、
前記ポリアクリル酸の粘度平均分子量が10万以上400万以下であり、
前記フッ化ビニリデン系ポリマーの質量と前記ポリアクリル酸の質量の和を100質量%としたとき、前記ポリアクリル酸の含有量が0.5質量%以上10.0質量%以下である。
(ここで、多孔層による透気抵抗度上昇率は以下の式であらわす。
多孔層による透気抵抗度上昇率=100×([電池用セパレータの透気抵抗度]-[ポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度])/[ポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度])
(2)また、前記多孔層中の固形分100体積%に対し、前記無機粒子を30体積%以上、80体積%以下含むことが好ましい。
(3)また、前記無機粒子がアルミナ、ベーマイト及び硫酸バリウムから選ばれる1種以上であることが好ましい。
(4)また、前記多孔層による透気抵抗度上昇率が10%以上70%以下であることが好ましい。
(5)また、前記ポリアクリル酸の粘度平均分子量が20万以上150万以下であることが好ましい。
(6)本発明の第2の様態の電極体は、正極と、負極と、上記電池用セパレータとを備えることが好ましい。
(7)本発明の第3の様態の非水電解質二次電池は、上記電極体と、非水電解質とを備えることが好ましい。
(8)(1)~(5)のいずれか1項に記載の電池用セパレータの製造方法であって、以下の工程(a1)~(e1)を順次含む、電池用セパレータの製造方法。
(a1)前記フッ化ビニリデン系ポリマーを溶媒に溶解したフッ素系樹脂溶液を得る工程
(b1)前記フッ素系樹脂溶液に前記無機粒子を添加し、混合、分散して分散液を得る工程
(c1)前記ポリアクリル酸を溶媒に溶解したポリアクリル酸溶液を得る工程
(d1)前記分散液と前記ポリアクリル酸溶液を混合し塗工液を得る工程
(e1)前記塗工液を前記ポリオレフィン微多孔膜に塗布して凝固液に浸漬し、洗浄、乾燥する工程
(9)(1)~(5)のいずれか1項に記載の電池用セパレータの製造方法であって、以下の工程(a2)~(c2)を順次含む、電池用セパレータの製造方法。
(a2)前記フッ化ビニリデン系ポリマーと前記ポリアクリル酸を溶媒に溶解した樹脂溶液を得る工程
(b2)前記樹脂溶液に前記無機粒子を添加し、混合、分散して塗工液を得る工程
(c2)前記塗工液を前記ポリオレフィン微多孔膜に塗布して凝固液に浸漬し、洗浄、乾燥する工程
本発明によれば、長時間熱プレスにおける湿潤時の電極とセパレータとの接着性と、出力特性の両方に優れ、かつ、異物短絡耐性に優れた電池用セパレータと電池用セパレータの製造方法、電池用セパレータを用いた電極体及び二次電池を提供する。
図1(A)及び(B)は、本実施形態の電池用セパレータの一例を示す模式図である。 図2は、WET接着性の評価方法を示す模式図である。 図3(A)及び(B)は、異物短絡耐性試験の評価方法を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、微多孔膜又はセパレータの表面(面内方向)に平行な面をXY平面とする。また、XY平面に垂直な方向(厚み方向)はZ方向とする。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が-方向であるものとして説明する。また、図面においては、各構成をわかりやすくするために、一部を強調して、あるいは一部を簡略化して表しており、実際の構造または形状、縮尺等が異なっている場合がある。
本明細書では、電解液を注入後の電池内での電極との接着性について、後述する測定方法により得られるWET接着性評価を指標として評価する。この強さが大きいと充放電繰り返し後の電池の膨れ抑制などの電池特性向上が期待され、さらにサイクル性が向上すると考えらえる。なお、本明細書でいうWET接着性とはセパレータが電解液を含む状態でのセパレータと電極との接着性を表す。
1.電池用セパレータ
図1は、本実施形態に係る電池用セパレータの一例を示す図である。図1(A)及び(B)に示すように、電池用セパレータ10(以下、「セパレータ10」と略記する場合がある。)は、ポリオレフィン微多孔膜1と、ポリオレフィン微多孔膜1の少なくとも一方の面に積層された多孔層2と、を備える。以下、電池用セパレータを構成する各層について説明する。
[1]ポリオレフィン微多孔膜
ポリオレフィン微多孔膜1は、ポリオレフィン樹脂を含む微多孔膜である。ポリオレフィン微多孔膜1は、特に限定されず、公知の電池用セパレータに用いられるポリオレフィン微多孔膜を用いることができる。なお、本明細書において、微多孔膜とは内部に連結した空隙を有する膜を意味する。以下、ポリオレフィン微多孔膜1の一例について説明するが、本発明の実施形態に用いられるポリオレフィン微多孔膜は、これに限定されるものではない。
[ポリオレフィン樹脂]
ポリオレフィン微多孔膜1(以下、「微多孔膜1」と略記する場合がある。)を構成するポリオレフィン樹脂としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル1-ペンテン、1-ヘキセンなどを重合した単独重合体、2段階重合体、共重合体またはこれらの混合物等が挙げられる。中でも、ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン系樹脂を主成分とするとすることが好ましい。ポリエチレン系樹脂の含有量は、微多孔膜1中のポリオレフィン樹脂の全質量100質量%に対して、70質量%以上であるのが好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。ポリオレフィン樹脂には、必要に応じて、酸化防止剤、無機充填剤などの各種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で添加しても良い。
ポリオレフィン微多孔膜1の膜厚は、特に限定されないが、電池の高容量化の観点から3μm以上、16μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以上、12μm以下であり、さらに好ましくは5μm以上、10μm以下である。ポリオレフィン微多孔膜の膜厚が上記好ましい範囲である場合、実用的な膜強度と孔閉塞機能を保有させることができ、今後、進むと予想される電池の高容量化により適する。すなわち、本実施形態の電池用セパレータ10は、ポリオレフィン微多孔膜1の厚さが薄くても、セパレータ10のポリオレフィン微多孔膜1と多孔層2との層間、及び、セパレータ10と電極間との接着性に優れることができ、セパレータ10を薄膜化した際、その効果がより明確に発揮される。
ポリオレフィン微多孔膜1の透気抵抗度は、特に限定されないが、50sec/100mLAir以上、300sec/100mLAir以下が好ましい。
本発明の実施形態におけるポリオレフィン微多孔膜1の空孔率は、30%以上55%以下である。その下限が好ましくは30%以上であり、より好ましくは35%以上である。一方、ポリオレフィン微多孔膜1の空孔率は、その上限が好ましくは55%以下であり、より好ましくは53%以下である。ポリオレフィン微多孔膜1の空孔率が上記範囲内であり、かつポリオレフィン微多孔膜1の平均流量細孔径が特定の範囲内である場合、長時間熱プレス処理をしても多孔層によるポリオレフィン微多孔膜への被覆が過剰になることなく、出力特性を低下抑制でき好適である。上限を上回る場合、出力特性を低下抑制できるが空孔が増えすぎてしまうことで、異物短絡耐性が低下し物性バランスの観点から不適である。また、下限を下回る場合、長時間熱プレス処理後、理由は定かではないが多孔層によるポリオレフィン微多孔膜への被覆が多くなりすぎる為出力特性が低下することがあり不適である。
本発明の実施形態におけるポリオレフィン微多孔膜1の平均流量細孔径は、30nm以上55nm以下である。その下限が好ましくは30nm以上であり、より好ましくは32nm以上である。一方、ポリオレフィン微多孔膜1の平均流量細孔径は、その上限が好ましくは55nm以下であり、より好ましくは53nm以下である。ポリオレフィン微多孔膜1の平均流量細孔径が上記範囲内であり、かつ、ポリオレフィン微多孔膜1の空孔率が特定の範囲内である場合、長時間熱プレス処理をしても多孔層によるポリオレフィン微多孔膜への被覆が過剰になることなく、出力特性を低下抑制でき好適である。上限を上回る場合、出力特性を低下抑制できるが平均流量細孔径が大きくなりすぎてしまうことで、異物短絡耐性が低下し物性バランスの観点から不適である。また、下限を下回る場合、長時間熱プレス処理後、理由は定かではないが多孔層によるポリオレフィン微多孔膜への被覆が多くなりすぎる為出力特性が低下することがあり不適である。
なお、ポリオレフィン微多孔膜1の平均流量細孔径は、JISK3832やASTMF316-86にならって測定され、例えば、パームポロメーター(PMI社製、CFP-1500A)を用いて、Dry-up、Wet-upの順で測定した。Wet-upには表面張力が既知のPMI社製Galwick(商品名)で十分に浸した微多孔膜に圧力をかけ、空気が貫通し始める圧力から換算される孔径を最大孔径とした。平均流量細孔径についてはDry-up測定で圧力、流量曲線の1/2の傾きを示す曲線と、Wet-up測定の曲線が交わる点の圧力から孔径を換算した。圧力と孔径の換算は下記の数式を用いた。
d=C・γ/P
(上記式中、「d(μm)」は微多孔膜の孔径、「γ(mN/m)」は液体の表面張力、「P(Pa)」は圧力、「C」は定数とした。)
[ポリオレフィン微多孔膜の製造方法]
微多孔膜1の製造方法としては、所望の特性を有するポリオレフィン微多孔膜が製造できれば、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。微多孔膜1の製造方法は、例えば、日本国特許第2132327号公報および日本国特許第3347835号公報、国際公開2006/137540号等に記載された方法を用いることができる。以下、微多孔膜1の製造方法の一例について、説明する。なお、微多孔膜1の製造方法は、下記の方法に限定されない。
微多孔膜1の製造方法は、下記の工程(1)~(5)を含むことができ、さらに下記の工程(6)~(8)の少なくとも1つの工程を含むこともできる。
(1)前記ポリオレフィン樹脂と成膜用溶剤とを溶融混練し、ポリオレフィン溶液を調製する工程
(2)前記ポリオレフィン溶液を押出し、冷却しゲル状シートを形成する工程
(3)前記ゲル状シートを延伸する第1の延伸工程
(4)前記延伸後のゲル状シートから成膜用溶剤を除去する工程
(5)前記成膜用溶剤除去後のシートを乾燥する工程
(6)前記乾燥後のシートを延伸する第2の延伸工程
(7)前記乾燥後のシートを熱処理する工程
(8)前記延伸工程後のシートに対して架橋処理及び/又は親水化処理する工程
以下、各工程についてそれぞれ説明する。
(1)ポリオレフィン溶液の調製工程
ポリオレフィン樹脂に、それぞれ適当な成膜用溶剤を添加した後、溶融混練し、ポリオレフィン溶液を調製する。溶融混練方法として、例えば日本国特許第2132327号公報および日本国特許第3347835号公報に記載の二軸押出機を用いる方法を利用することができる。溶融混練方法は公知であるので説明を省略する。
ポリオレフィン溶液中、ポリオレフィン樹脂と成膜用溶剤との配合割合は、特に限定されないが、ポリオレフィン樹脂20~30質量部に対して、成膜用溶剤70~80質量部であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂の割合が上記範囲内であると、ポリオレフィン溶液を押し出す際にダイ出口でスウェルやネックインが防止でき、押出し成形体(ゲル状成形体)の成形性及び自己支持性が良好となる。
(2)ゲル状シートの形成工程
ポリオレフィン溶液を押出機からダイに送給し、シート状に押し出す。同一または異なる組成の複数のポリオレフィン溶液を、押出機から一つのダイに送給し、そこで層状に積層し、シート状に押出してもよい。
押出方法はフラットダイ法及びインフレーション法のいずれでもよい。押出し温度は140~250℃好ましく、押出速度は0.2~15m/分が好ましい。ポリオレフィン溶液の各押出量を調節することにより、膜厚を調節することができる。押出方法としては、例えば日本国特許第2132327号公報および日本国特許第3347835号公報に開示の方法を利用することができる。
得られた押出し成形体を冷却することによりゲル状シートを形成する。ゲル状シートの形成方法として、例えば日本国特許第2132327号公報および日本国特許第3347835号公報に開示の方法を利用することができる。冷却は少なくともゲル化温度までは50℃/分以上の速度で行うのが好ましい。冷却は25℃以下まで行うのが好ましい。冷却により、成膜用溶剤によって分離されたポリオレフィンのミクロ相を固定化することができる。冷却速度が上記範囲内であると結晶化度が適度な範囲に保たれ、延伸に適したゲル状シートとなる。冷却方法としては冷風、冷却水等の冷媒に接触させる方法、冷却ロールに接触させる方法等を用いることができるが、冷媒で冷却したロールに接触させて冷却させることが好ましい。
(3)第1の延伸工程
次に、得られたゲル状シートを少なくとも一軸方向に延伸する。ゲル状シートは成膜用溶剤を含むので、均一に延伸できる。ゲル状シートは、加熱後、テンター法、ロール法、インフレーション法、又はこれらの組合せにより所定の倍率で延伸するのが好ましい。延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよいが、二軸延伸が好ましい。二軸延伸の場合、同時二軸延伸、逐次延伸及び多段延伸(例えば、同時二軸延伸及び逐次延伸の組合せ)のいずれでもよい。
本工程における延伸倍率(面積延伸倍率)は、9倍以上が好ましく、16倍以上がより好ましく、25倍以上が特に好ましい。また、機械方向(MD)及び幅方向(TD)での延伸倍率は、互いに同じでも異なってもよい。なお、本工程における延伸倍率とは、本工程直前の微多孔膜を基準として、次工程に供される直前の微多孔膜の面積延伸倍率のことをいう。
本工程の延伸温度は、ポリオレフィン樹脂の結晶分散温度(Tcd)~Tcd+30℃の範囲内にするのが好ましく、結晶分散温度(Tcd)+5℃~結晶分散温度(Tcd)+28℃の範囲内にするのがより好ましく、Tcd+10℃~Tcd+26℃の範囲内にするのが特に好ましい。例えば、ポリオレフィン樹脂としてポリエチレン系樹脂を用いる場合は、延伸温度を90~140℃とするのが好ましく、より好ましくは100~130℃にする。結晶分散温度(Tcd)は、ASTM D4065による動的粘弾性の温度特性測定により求められる。
以上のような延伸によりポリオレフィンラメラ間に開裂が起こり、ポリオレフィン相が微細化し、多数のフィブリルが形成される。フィブリルは三次元的に不規則に連結した網目構造を形成する。延伸により機械的強度が向上するとともに細孔が拡大するが、適切な条件で延伸を行うと、貫通孔径を制御し、さらに薄い膜厚でも高い空孔率を有する事が可能となる。
所望の物性に応じて、膜厚方向に温度分布を設けて延伸してもよく、これにより機械的強度に優れた微多孔膜が得られる。その方法の詳細は日本国特許第3347854号公報に記載されている。
(4)成膜用溶剤の除去
洗浄溶媒を用いて、成膜用溶剤の除去(洗浄)を行う。ポリオレフィン相は成膜用溶剤相と相分離しているので、成膜用溶剤を除去すると、微細な三次元網目構造を形成するフィブリルからなり、三次元的に不規則に連通する孔(空隙)を有する多孔質の膜が得られる。洗浄溶媒およびこれを用いた成膜用溶剤の除去方法は公知であるので説明を省略する。例えば日本国特許第2132327号公報や特開2002-256099号公報に開示の方法を利用することができる。
(5)乾燥
成膜用溶剤を除去した微多孔膜を、加熱乾燥法又は風乾法により乾燥する。乾燥温度はポリオレフィン樹脂の結晶分散温度(Tcd)以下であることが好ましく、特にTcdより5℃以上低いことが好ましい。乾燥は、微多孔膜を100質量%(乾燥質量)として、残存洗浄溶媒が5質量%以下になるまで行うのが好ましく、3質量%以下になるまで行うのがより好ましい。残存洗浄溶媒が上記範囲内であると、後段の微多孔膜の延伸工程及び熱処理工程を行ったときに微多孔膜の空孔率が維持され、イオン透過性の悪化が抑制される。
(6)第2の延伸工程
乾燥後の微多孔膜を、少なくとも一軸方向に延伸することが好ましい。微多孔膜の延伸は、加熱しながら上記と同様にテンター法等により行うことができる。延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよい。二軸延伸の場合、同時二軸延伸及び逐次延伸のいずれでもよい。本工程における延伸温度は、特に限定されないが、通常90~135℃が好ましく、より好ましくは95~130℃である。
本工程における微多孔膜の延伸の一軸方向への延伸倍率(面積延伸倍率)は、一軸延伸の場合、機械方向又は幅方向に1.0~2.0倍とする。二軸延伸の場合、面積延伸倍率は、下限値が1.0倍であるのが好ましく、より好ましくは1.1倍、さらに好ましくは1.2倍である。上限値は、3.5倍が好適である。機械方向及び幅方向に各々1.0~2.0倍とし、機械方向と幅方向での延伸倍率が互いに同じでも異なってもよい。なお、本工程における延伸倍率とは、本工程直前の微多孔膜を基準として、次工程に供される直前の微多孔膜の延伸倍率のことをいう。
(7)熱処理
また、乾燥後の微多孔膜は、熱処理を行うことができる。熱処理によって結晶が安定化し、ラメラが均一化される。熱処理方法としては、熱固定処理及び/又は熱緩和処理を用いることができる。熱固定処理とは、膜の寸法が変わらないように保持しながら加熱する熱処理である。熱緩和処理とは、膜を加熱中に機械方向や幅方向に熱収縮させる熱処理である。熱固定処理は、テンター方式又はロール方式により行うのが好ましい。例えば、熱緩和処理方法としては特開2002-256099号公報に開示の方法があげられる。熱処理温度はポリオレフィン樹脂のTcd~Tmの範囲内が好ましく、微多孔膜の延伸温度±5℃の範囲内がより好ましく、微多孔膜の第2の延伸温度±3℃の範囲内が特に好ましい。
(8)架橋処理、親水化処理
また、乾燥後の微多孔膜に対して、さらに、架橋処理および親水化処理を行うこともできる。例えば、微多孔膜に対して、α線、β線、γ線、電子線等の電離放射線の照射をすることにより、架橋処理を行う。電子線の照射の場合、0.1~100Mradの電子線量が好ましく、100~300kVの加速電圧が好ましい。架橋処理により微多孔膜のメルトダウン温度が上昇する。また、親水化処理は、モノマーグラフト、界面活性剤処理、コロナ放電等により行うことができる。モノマーグラフトは架橋処理後に行うのが好ましい。
[2]多孔層
多孔層2は、フッ化ビニリデン単独重合体及びフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群から選ばれるフッ化ビニリデン系ポリマーと、ポリアクリル酸と無機粒子とを含む。以下、多孔層2を構成する各成分について以下に説明する。
[フッ化ビニリデン系ポリマー]
フッ化ビニリデン系ポリマーは、フッ化ビニリデン単独重合体と、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群から選ばれるポリマーである。フッ化ビニリデン系ポリマーがフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体である場合、ヘキサフルオロプロピレン単位の含有量は、特に制限されないが、その上限が5.0mol%以下であることが好ましく、より好ましくは4.0mol%以下である。
フッ化ビニリデン系ポリマーの重量平均分子量は、60万以上200万以下である。その下限が好ましくは70万以上であり、より好ましくは90万以上である。一方、フッ化ビニリデン系ポリマーの重量平均分子量は、その上限が好ましくは180万以下であり、より好ましくは150万以下である。フッ化ビニリデン系ポリマーの重量平均分子量が上記範囲内である場合、多孔層を形成する工程において、フッ化ビニリデン系ポリマーを溶媒に溶解させる時間が極端に長くならず、生産効率を上げることができたり、電解液に膨潤した際に適度なゲル強度を維持でき、WET接着性が向上させたりすることができる。
なお、フッ化ビニリデン系ポリマーの重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロ
マトグラフィによるポリスチレン換算値である。
フッ化ビニリデン系ポリマーは、親水基を有していてもよい。フッ化ビニリデン系ポリマーは、親水基を有することで電極表面に存在する活物質や電極中のバインダー成分や無機粒子とより強固に接着することが可能となる。この理由は特に限定されないが、水素結合により接着力が向上するためと推測される。親水基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボン酸基、スルホン酸基、およびこれらの塩などが挙げられる。これらの中でも、特に、カルボン酸基、カルボン酸エステルが好ましい。
フッ化ビニリデン系ポリマーに親水基を導入する方法としては、公知の方法を用いることがき、例えば、フッ化ビニリデン系ポリマーの合成の際に、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸エステル、マレイン酸モノメチルエステル等の親水基を有する単量体を共重合させることにより主鎖に導入する方法や、グラフト化により側鎖として導入する方法などを用いることができる。フッ化ビニリデン系ポリマーの親水基による変性率は、FT-IR、NMR(核磁気共鳴)法、定量滴定法などで測定できる。例えば、親水基がカルボン酸基の場合、FT-IRを用いてフッ化ビニリデン系ポリマーのホモポリマーを基準として、C-H伸縮振動とカルボキシル基のC=O伸縮振動の吸収強度比から求めることができる。
フッ化ビニリデン系ポリマーの親水基の含有量は、特に制限されないが、その上限は5.0mol%以下が好ましく、より好ましくは4.0mol%以下である。親水基の含有量が5.0mol%を超える場合、ポリマー結晶性が低くなりすぎ、電解液に対する膨潤度が高くなりWET接着性が悪化する。また、親水基の含有量が上記範囲内である場合、多孔層2に含まれる無機粒子と、フッ化ビニリデン系ポリマーとの親和性が増し、異物短絡耐性の向上、及び、無機粒子の脱落を抑制する効果も奏する。この理由は特に限定されないが、多孔層2の主成分である親水基を有する共重合体(A)と無機粒子によって、多孔層2の膜強度が増すことによるものと推察される。
フッ化ビニリデン系ポリマーは、特性を損なわない範囲で、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、及び、親水基を有する単量体以外の、他の単量体をさらに重合した共重合体であってもよい。
他の単量体として、例えば、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、トリク
ロロエチレン、フッ化ビニル等の単量体が挙げられる。
フッ化ビニリデン系ポリマーの構造、重量平均分子量を上記範囲内とすることで、セパレータ10は、非水電解質二次電池に用いた場合、非水電解液に対して親和性が高く、化学的、物理的な安定性が高く、WET接着性を発現し、高温下での使用にも電解液との親和性が十分維持される。
[ポリアクリル酸]
ポリアクリル酸は、アクリル酸モノマーを重合して得られる水溶性かつ、N-メチル-2-ピロリドンに溶解するポリマーである。ポリアクリル酸を含むことで、ポリアクリル酸自身が電解液に対してほぼ膨潤しないので、多孔層中に膨潤しない部分を設けることができる。
原理や構造の詳細は定かではないが、長時間熱プレス工程を経てもポリアクリル酸部分の形態は保持されることで、樹脂の主成分であるフッ化ビニリデン系ポリマーの過剰な膨潤を抑制しWET接着発現可能な量を膨潤、ゲル化させる作用があると推定している。またさらに上記作用により多孔層の活物質及びポリオレフィン微多孔膜への過剰な被覆が抑えられ出力特性低下が抑制されると推定している。さらにポリアクリル酸中のカルボン酸部位が無機粒子と相互作用することで多孔層が強固になる。
本発明の実施形態におけるポリアクリル酸の粘度平均分子量は、10万以上400万以下である必要がある。その下限は、好ましくは15万以上であり、より好ましくは20万以上である。一方、ポリアクリル酸の粘度平均分子量は、その上限が好ましくは300万以下であり、より好ましくは150万以下である。ポリアクリル酸の粘度平均分子量が上記範囲内である場合、後述する凝固工程を経ても水溶性ポリマーではあるが溶出されずにポリアクリル酸の効果が発現し好適である。上限を上回る場合、塗工液作製時の溶解に時間がかかってしまい工業的に不適である。また、下限を下回る場合、凝固工程にて溶出してしまい、ポリアクリル酸の効果が発現できなくなり不適である。
なお、ポリアクリル酸の粘度平均分子量は、JISK7367-1にならってウベローデ型毛細管粘度計を用いてポリアクリル酸の希薄溶液の流下時間を測定し、固有粘度[η]を求め、さらにMark-Houwink-桜田式から粘度平均分子量Mvを算出する。
[ポリアクリル酸の含有量及びフッ化ビニリデン系ポリマーの含有量]
本発明の実施形態に係るポリアクリル酸の含有量は、0.5質量%以上10.0質量%以下である必要がある。
ポリアクリル酸の含有量とは、多孔層中のフッ化ビニリデン系ポリマーの質量とポリアクリル酸の質量の和を100質量%としたときの質量%を表す。ポリアクリル酸の含有量の下限値は、好ましくは1.0質量%であり、より好ましくは3.0質量%である。ポリアクリル酸の含有量は、その上限値が好ましくは10.0質量%以下であり、より好ましくは9.0質量%以下である。ポリアクリル酸の含有量が下限値を下回った場合、ポリアクリル酸によるフッ化ビニリデン系ポリマーの過剰膨潤抑制効果を発現できない。ポリアクリル酸の含有量が上限値を上回った場合、水分率が高くなり、電池性能低下が懸念される。もしくは相対的にフッ化ビニリデン系ポリマーの含有量が低下しWET接着性が低下する。
ポリアクリル酸の含有量を上記範囲内とする場合、多孔層2は長時間熱プレスに供した場合であってもフッ化ビニリデン系ポリマーを過剰に膨潤させることなく適度に膨潤させ、WET接着性と出力特性を高いレベルで両立できる。さらに、無機粒子とポリアクリル酸中のカルボン酸部位と相互作用することで多孔層が強固になり、異物短絡耐性を向上させることができる。
なお、多孔層2は、本発明の効果を阻害しない範囲で、フッ化ビニリデン系ポリマー及びポリアクリル酸以外の樹脂を含むことができるが、多孔層2を構成する樹脂成分としては、フッ化ビニリデン系ポリマー及びポリアクリル酸からなることが好ましい。なお、フッ化ビニリデン系ポリマー)及びポリアクリル酸以外の樹脂を含む場合、上記ポリアクリル酸の含有量は、多孔層2の樹脂成分100質量%に対する割合とする。
[無機粒子]
多孔層2は、無機粒子を含む。多孔層2に粒子を含むことにより、特に異物短絡耐性を向上させることができる。
無機粒子としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、非晶性シリカ、結晶性のガラス粒子、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、シリカ-アルミナ複合酸化物粒子、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン、マイカ、ベーマイト、酸化マグネシウムなどが挙げられる。特に、ポリアクリル酸中のカルボン酸部位やフッ化ビニリデン系ポリマーに親水基が含まれる場合の親水基部位との親和性の観点から、表面に酸素原子を含む無機粒子が好ましく、具体的には、アルミナ、ベーマイト、硫酸バリウムから選ばれる1種類以上を用いることがより好ましい。
多孔層2に含まれる無機粒子の含有量は、特に制限されないが多孔層2の固形分体積を100体積%に対して、上限値は好ましくは80体積%以下であり、より好ましくは70体積%以下であり、更に好ましくは60体積%以下である。一方、無機粒子の含有量は、その下限値は好ましくは30体積%以上であり、より好ましくは40体積%以上であり、更に好ましくは45体積%以上である。なお、多孔層2に含まれる無機粒子の含有量は、フッ化ビニリデン系ポリマーの密度を1.77g/cm、ポリアクリル酸の密度を1.20g/cmとして計算して算出した。
一般に、多孔層に接着性を持たない無機粒子が含まれる場合、WET接着性が低下する傾向にある。しかし、本実施形態に係る多孔層2は、上述したように、特定のフッ化ビニリデン系ポリマー及びポリアクリル酸を特定の割合で含有することにより、無機粒子を含有した場合、電極に対する高い接着力を有し、WET接着性と異物短絡耐性のバランスが良好となる。
セル巻回時の巻き取芯とのすべり性や粒子脱落の観点から、無機粒子の平均粒径は0.3μm~1.8μmが好ましく、より好ましくは0.4μm~1.5μm、さらに好ましくは0.4μm~1.1μmである。粒子の平均粒径はレーザー回折方式や動的光散乱方式の測定装置を使用して測定できる。例えば、超音波プローブを用いて界面活性剤入り水溶液に分散させた粒子を粒度分布測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラックHRA)で測定し、体積換算での小粒子側から50%累積された時の粒子径(D50)の値を平均粒径とするのが好ましい。粒子の形状は真球形状、略球形状、板状、針状が挙げられるが特に限定されない。
[多孔層の物性]
多孔層2の膜厚は、片面当たり0.5μm以上、3μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以上、2.5μm以下、さらに好ましくは1μm以上、2μm以下である。片面あたり膜厚が0.5μm以上である場合、電極との高いWET接着性が確保できる。一方、片面あたり膜厚が3μm以下であれば巻き嵩を抑えることができ、より薄膜化することができ、今後、進むであろう電池の高容量化により適する。
多孔層2の空孔率は、30%以上、90%以下が好ましく、より好ましくは40%以上、70%以下である。多孔層2の空孔率を上記範囲内とした場合、セパレータの電気抵抗の上昇を防ぎ、大電流を流すことができ、かつ膜強度を維持できる。
2.電池用セパレータの製造方法
電池用セパレータの製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いて製造することができる。以下、電池用セパレータの製造方法の一例について、説明する。電池用セパレータの製造方法は、以下の工程(a1)~(e1)を順次含むことができる。
(a1)前記フッ化ビニリデン系ポリマーを溶媒に溶解したフッ素系樹脂溶液を得る工程
(b1)前記フッ素系樹脂溶液に前記無機粒子を添加し、混合、分散して分散液を得る工程
(c1)前記ポリアクリル酸を溶媒に溶解したポリアクリル酸溶液を得る工程
(d1)前記分散液と前記ポリアクリル酸溶液を混合し塗工液を得る工程
(e1)前記塗工液を前記ポリオレフィン微多孔膜に塗布して凝固液に浸漬し、洗浄、乾燥する工程
(a1)フッ化ビニリデン系ポリマーを溶媒に溶解したフッ素系樹脂溶液を得る工程
フッ化ビニリデン系ポリマーを溶媒に徐々に添加し完全に溶解させる。
溶媒はフッ化ビニリデン系ポリマーを溶解でき、かつ、凝固液と混和しうるものであれば特に限定されない。溶解性、低揮発性の観点から、溶媒はN-メチル-2-ピロリドンが好ましい。
(b1)フッ素系樹脂溶液に無機粒子を添加し、混合、分散して分散液を得る工程
分散溶液を得るには、無機粒子を十分に分散させることが重要である。具体的には、前記フッ素系樹脂溶液を撹拌しながら粒子を添加して一定の時間(例えば、約1時間)ディスパーなどで撹拌することで予備分散し、次いでビーズミルやペイントシェーカーを用いて粒子を分散させる工程(分散工程)を経て、粒子の凝集を減らし、さらに、撹拌羽根のついたスリーワンモータで攪拌して分散液を調製する。
(c1)ポリアクリル酸を溶媒に溶解したポリアクリル酸溶液を得る工程
溶媒は工程(a1)と同一の溶媒が好ましく、溶解性、低揮発性の観点からN-メチル-2-ピロリドンがより好ましい。ポリアクリル酸溶液を得る例としては、N-メチル-2-ピロリドンにポリアクリル酸粉末を徐々に加え、ディスパーなどで攪拌、溶解させるのが操作性の観点から好ましい。
(d1)分散溶液とポリアクリル酸溶液を混合し塗工液を得る工程
分散液にポリアクリル酸溶液を加え攪拌混合する。例えば撹拌羽根のついたスリーワンモータ、で混合して塗工液を調製する。
(e1)塗工液を微多孔膜に塗布し、凝固液に浸漬し、洗浄、乾燥する工程
微多孔膜に塗工液を塗布し、塗布した微多孔膜を凝固液に浸漬してフッ化ビニリデン系ポリマーとポリアクリル酸を相分離させ、多孔構造を有する状態で凝固させ、洗浄、乾燥する。これにより微多孔膜と、微多孔膜の表面に多孔層を備えた電池用セパレータが得られる。この工程を実施すると、後述の多孔層が設けられたことによる透気抵抗度の上昇を抑えることができ好適である。
塗工液を微多孔膜に塗布する方法は、公知の方法でもよく、例えば、ディップ・コート法、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、マイヤーバーコート法、パイプドクター法、ブレードコート法およびダイコート法などが挙げられ、これらの方法を単独あるいは組み合わせることができる。
凝固液は水を主成分とすることが好ましく、フッ化ビニリデン系ポリマーに対する良溶媒を1~20質量%含む水溶液が好ましく、より好ましくは5~15質量%含有する水溶液である。良溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドが挙げられる。凝固液内での浸漬時間は1秒以上とすることが好ましい。上限は30秒であり、これを超えるとポリアクリル酸が溶出する場合がある。洗浄に関しても浸漬時間は同様で1秒以上とすることが好ましい。上限は30秒であり、これを超えるとポリアクリル酸が溶出する場合がある。
洗浄には水を用いることができる。乾燥は、例えば100℃以下の熱風を用いた乾燥することができる。
工程簡略化の観点から工程(a1)で、フッ化ビニリデン系ポリマーとポリアクリル酸を溶解させ、工程(b1)で無機粒子を分散しこの分散液を塗工液としてもよい。
他の実施形態に係る電池用セパレータの製造方法は、以下の工程(a2)~(c2)を
順次含むことができる。
(a2)前記フッ化ビニリデン系ポリマーとポリアクリル酸を溶媒に溶解した樹脂溶液を
得る工程
(b2)前記樹脂溶液に前記無機粒子を添加し、混合、分散して塗工液を得る工程
(c2)前記塗工液を前記ポリオレフィン微多孔膜に塗布して凝固液に浸漬し、洗浄、乾
燥する工程
3.電池用セパレータ
本実施形態の電池用セパレータ10は、水系電解液を使用する電池、非水系電解質を使用する電池のいずれにも好適に使用できるが、非水系電解質二次電池により好適に用いることができる。具体的には、ニッケル-水素電池、ニッケル-カドミウム電池、ニッケル-亜鉛電池、銀-亜鉛電池、リチウム二次電池、リチウムポリマー二次電池等の二次電池のセパレータとして好ましく用いることができる。中でも、リチウムイオン二次電池のセパレータとして用いるのが好ましい。
非水系電解質二次電池は、正極と負極がセパレータを介して配置されており、セパレータが電解液(電解質)を含有している。非水系電解質電極の構造は、特に限定されず、従来公知の構造を用いることができ、例えば、円盤状の正極及び負極が対向するように配設された電極構造(コイン型)、平板状の正極及び負極が交互に積層された電極構造(積層型)、積層された帯状の正極及び負極が巻回された電極構造(捲回型)等に有することができる。本実施形態の電池用セパレータは、いずれの電池構造においても、セパレータと電極間で、優れた接着性を有することができる。
リチウムイオン二次電池等を含む非水系電解質二次電池に使用される、集電体、正極、正極活物質、負極、負極活物質および電解液は、特に限定されず、従来公知の材料を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、電池用セパレータ10は、図1(A)に示すように、ポリオレフィン微多孔膜1の一方の面に多孔層2を積層してもよく、ポリオレフィン微多孔膜1の両方の面に多孔層2を積層してもより。また、図1(A)及び(B)では、ポリオレフィン微多孔膜1は、一層であるが、二層以上の積層体であってもよい。また、電池用セパレータ10は、ポリオレフィン微多孔膜1及び多孔層2以外の他の層をさらに積層してもよい。
4.電池用セパレータの物性
電池用セパレータのWET接着性は、好ましくは3.0N以上であり、より好ましくは4.0N以上である。WET接着性の上限値は特に定めないが、例えば、15.0N以下である。WET接着性が上記好ましい範囲内である場合、セパレータと電極との界面での部分的な遊離をより抑制し、電池内部抵抗の増大、電池特性の低下を抑制できる。なお、WET接着性は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の実施形態に係る電池用セパレータにおける、多孔層による透気抵抗度上昇率は、10%以上、100%以下である必要がある。その下限値は好ましくは10%、より好ましくは15%であり、その上限値は好ましくは100%、より好ましくは70%である。透気抵抗度上昇率が下限値を下回る場合、多孔層の強度が低下し微多孔膜の脱落が起きやすくなり収率の観点から不適である。透気抵抗度上昇率が上限を超える場合、電池出力特性低下が懸念され不適である。上記範囲内でかつ、特定の空孔率及び平均流量細孔径を持つポリオレフィン微多孔膜に多孔層が積層されている場合、高透過性な状態であると言え、この状態が本願構成にあるポリアクリル酸により長時間プレスを経ても維持され電池出力特性が良好となる。
多孔層による透気抵抗度上昇率とは、ポリオレフィン微多孔膜に多孔層を積層することにより、電池用セパレータの透気抵抗度が、ポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度よりも、どの程度上昇したかを示すものである。
多孔層による透気抵抗度上昇率は、実施例に記載の方法により算出することができ、ポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度は、塗布前のポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度を測定して得られる。
なお、ポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度は、ポリオレフィン微多孔膜に多孔層が積層された電池用セパレータの多孔層中の樹脂成分が可溶な場合、その樹脂成分を可溶な溶媒で洗浄、乾燥して、多孔層が除去されたことを確認し、ポリオレフィン微多孔膜を得て透気抵抗度を測定してもよい。あるいは、ポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度は、電池用セパレータの断面SEMを撮像して電池用セパレータにおける多孔層の厚みを測定し、その多孔層の厚みの分だけ電子線を用いたエッチングなどで物理的に当該多孔層を除去し、その後洗浄した上でポリオレフィン微多孔膜を得て測定しても良い。
5.電池製造工程
電池製造工程における注液後の熱プレス処理時間は、特に制限されないが、1時間を超え、12時間以下の処理時間が接着発現の観点から好ましい。上限を超えると、電池内部材の熱による分解、変質が過剰に起こる可能性がある。
また熱プレス圧力は特に制限されないが、その下限は0.05MPa以上が好ましく、またその上限は5MPaより好ましくは2MPa、さらに好ましくは1MPaである。上限を超えると、多孔層がつぶれすぎたり、流動しすぎてしまいイオンの透過性が低下する可能性がある。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明の実施態様は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例で用いた評価法、分析の各法および材料は、以下の通りである。
(1)膜厚
接触式膜厚計(株式会社ミツトヨ製“ライトマチック”(登録商標)series318)を使用して、微多孔膜及びセパレータの膜厚を測定した。測定は、超硬球面測定子φ9.5mmを用いて、加重0.01Nの条件で20点を測定し、得られた測定値の平均値を膜厚とした。
(2)ポリオレフィン微多孔膜の空孔率
10cm角のポリオレフィン微多孔膜を用意し膜厚を測定し、試料体積を算出する。その試料体積(cm3)と質量(g)を測定し得られた結果から次式を用いて空孔率(%)を計算した。
なお樹脂密度は0.99g/ccとした。
ポリオレフィン微多孔膜の空孔率=(1-質量/(樹脂密度×試料体積))×100
(3)ポリオレフィン微多孔膜の平均流量細孔径
ポリオレフィン微多孔膜の平均流量細孔径は、JISK3832にならい測定した。パームポロメーター(PMI社製、CFP-1500A)を用いて、Dry-up、Wet-upの順で測定した。Wet-upには表面張力が既知のPMI社製Galwick(商品名)で十分に浸した微多孔膜に圧力をかけ、空気が貫通し始める圧力から換算される孔径を最大孔径とした。平均流量細孔径についてはDry-up測定で圧力、流量曲線の1/2の傾きを示す曲線と、Wet-up測定の曲線が交わる点の圧力から孔径を換算した。圧力と孔径の換算は下記の数式を用いた。
d=C・γ/P
(上記式中、「d(μm)」は微多孔膜の孔径、「γ(mN/m)」は液体の表面張力、「P(Pa)」は圧力、「C」は定数とした。)。
(4)多孔層による透気抵抗度上昇率
電池用セパレータ及びそのポリオレフィン微多孔膜に対して、JIS P8117(2009)に準拠して、王研式透気度試験機(旭精工株式会社製、EGO-1T)で3か所測定し、得られた測定値の平均値をそれぞれの透気抵抗度(単位:sec/100mLAir)とし、以下の式を用いて多孔層による透気抵抗度上昇率(単位:%)を算出した。この時、多孔層による透気抵抗度上昇率が10%以上100%以下の場合、良好。100%を超える場合、不良とした。なお10%未満の場合多孔層がもろくなる場合がありこれも不良とした。
多孔層による透気抵抗度上昇率=100×([電池用セパレータの透気抵抗度]-[ポ
リオレフィン微多孔膜の透気抵抗度])/[ポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度]。
(5)フッ化ビニリデン系ポリマーの重量平均分子量(Mw)
以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求めた。
・測定装置:Waters Corporation製GPC-150C
・カラム:昭和電工株式会社製shodex KF-806M 2本
・カラム温度:23℃
・溶媒(移動相):0.05M塩化リチウム添加N-メチル-2-ピロリドン(NMP)
・溶媒流速:0.5mL/分
・試料調製:試料2mgに測定溶媒4mLを加え、室温で穏やかに攪拌した(溶解を視認)。
・インジェクション量:0.2mL
・検出器:示差屈折率検出器 RI(東ソー製 RI-8020型 感度16)
・検量線:単分散ポリスチレン標準試料を用いて得られた検量線から、所定の換算定数を用いて作成した。
(6)ポリアクリル酸の粘度平均分子量(Mv)
以下の条件方法でポリアクリル酸の粘度平均分子量(Mv)を求めた。
ポリアクリル酸を0.1、0.2g、0.5g秤量し、これらをそれぞれ1,4-ジオキサンに溶解して、最終的に100mLの希薄溶液となるよう調製した。これらの溶液濃度はそれぞれ0.1、0.2、0.5g/dLとなる。これら希薄溶液をウベローデ型毛細管粘度計にて30℃で測定し、還元粘度(単位:dL/g)を算出した。還元粘度(単位:dL/g)をY軸、上記の溶液濃度(単位:g/dL)をX軸として還元粘度の測定結果をプロットし最小二乗法にて切片を算出しこれを固有粘度[η](単位:dL/g)とした。さらに以下のMark-Houwink-桜田式からポリアクリル酸の粘度平均分子量Mvを算出した。なお式中の定数K及びaは、K=0.85×10-3(単位:dL/g)、a=0.5とした。
[η]=K×Mv ・・・Mark-Houwink-桜田式。
(7)WET接着性
一般に、正極にはフッ素樹脂のバインダーが用いられ、フッ素樹脂を含む多孔層がセパレータ上に備えられている場合、フッ素樹脂同士の相互拡散により接着性が担保されやすい。一方、一般に、負極にはフッ素樹脂以外のバインダーが用いられ、フッ素系樹脂の拡散が起きにくいため正極に比べ負極はセパレータとの接着性が得られにくい。そこで、本測定では、以下に述べるWET接着性を測定することにより、セパレータと負極との間の接着性の指標として評価した。図2は、WET接着性の強度の測定方法を模式的に示す正面断面図である。以下、図2を参照して、詳細を記載する。
(負極の作製)
カルボキシメチルセルロースを1.5質量部含む水溶液を、活物質としての人造黒鉛96.5質量部に加えて混合し、さらにバインダーとして、固形分として2質量部のスチレンブタジエンラテックスを加えて混合して負極合剤含有スラリーとした。この負極合剤含有スラリーを、厚みが8μmの銅箔からなる負極集電体の両面に均一に塗付して乾燥して負極層を形成し、その後、ロールプレス機により圧縮成形して集電体を除いた負極層の密度を1.5g/cmにして、負極を作製した。
(試験用巻回体の作製)
上記で作成された負極20(機械方向161mm×幅方向30mm)と、作製された電池用セパレータ10(機械方向160mm×幅方向34mm)を重ね、金属板(長さ300mm、幅25mm、厚さ1mm)を巻き芯として電池用セパレータ10が内側になるように電池用セパレータ10と負極20を巻き取り、金属板を引き抜いて試験用巻回体30を得た。試験用巻回体は長さ約34mm×幅約28mmとなった。
(WET接着性の測定方法)
ポリプロピレンからなるラミネートフィルム(長さ70mm、幅65mm、厚さ0.07mm)2枚を重ね、4辺のうち3辺を溶着した袋状のラミネートフィルム22内に試験用巻回体30を入れた。エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを体積比3:7で混合した溶媒にLiPFを1mol/Lの割合で溶解させた電解液500μLをグローブボックス中でラミネートフィルム22の開口部から注入し、試験用巻回体30に含浸させ、真空シーラーで開口部の一辺を封止した。
次に、ラミネートフィルム22に封入した試験用巻回体30を2枚のガスケット(厚さ1mm、5cm×5cm)で挟み込み、精密加熱加圧装置(新東工業株式会社製、CYPT-10)にて80℃、0.7MPaで2時間加圧し、室温で放冷した。ラミネートフィルム22に封入したまま、加圧後の試験用巻回体30について、万能試験機(株式会社島津製作所製、AGS-J)を用いてWET接着性を測定した。
2本のアルミニウム製L字アングル41(厚さ1mm、10mm×10mm、長さ5cm)を90°部分が上になるように平行に、端部をそろえて配置し、90°部分を支点として支点間距離が15mmとなるよう固定した。2本のアルミニウム製L字アングル41の支点間距離の中間である7.5mm地点に試験用巻回体の幅方向の辺(約28mm)の中点を合わせてL字アングル41の長さ方向の辺からはみ出さないように試験用巻回体30を配置した。
次に、圧子としてアルミニウム製L字アングル42(厚さ1mm、10mm×10mm、長さ4cm)の長さ方向の辺から試験用巻回体の長さ方向の辺(約34mm)がはみ出さないようにかつ平行にして、試験用巻回体の幅方向の辺の中点にアルミニウム製L字アングル42の90°部分を合わせ、90°部分が下になるようにアルミニウム製L字アングル42を万能試験機のロードセル(ロードセル容量50N)に固定した。3個の試験用巻回体を負荷速度0.5mm/minにて測定し得られた最大試験力の平均値をWET接着性の強度とした。この時、WET接着性の強度が6N以上を特に良好、3N以上6N未満を良好、3N未満を不良として表記した。
(8)異物短絡耐性試験
異物短絡耐性の評価は、卓上型精密万能試験機 オートグラフAGS-X(株式会社 島津製作所製)を用いて実施した。まず、図3(A)に示されるように、ポリプロピレン製絶縁体(樹脂製絶縁体5)(厚み0.2mm)、リチウムイオン電池用の負極21(総厚:約140μm、基材:銅箔(厚み約9μm)、活物質:人造黒鉛(粒径約30μm)、両面塗工)、セパレータ10、アルミニウム箔4(厚み約0.1mm)を積層したサンプル積層体31を作製した。
次に、図3(B)に示されるように、サンプル積層体31を万能試験機の圧縮治具(下側)44に両面テープで固定した。次に、上記サンプル積層体31のアルミニウム箔4、負極21を、コンデンサとクラッド抵抗器からなる回路にケーブルでつないだ。 コンデンサは約1.5Vに充電し、サンプル積層体31中のセパレータ、アルミニウム箔4の間に直径約500μmの金属球6(材質:クロム(SUJ-2))を置いた。
次に、万能試験機に圧縮治具を取り付け、図3(B)に示されるように両圧縮治具43、44の間に金属球6を含むサンプル積層体31を置いて、速度0.3mm/minで圧縮し、荷重が100Nに達した時点で試験終了とした。このとき、圧縮荷重変化において変曲点が現れた部分をセパレータの破膜点とし、さらに金属球を介して上記回路が形成され電流が検知された瞬間をショート発生点とした。圧縮によりセパレータが破膜し圧縮応力に変曲点を生じたときの圧縮変位A(t)、および回路に電流が流れた瞬間の圧縮変位B(t)を測定し、次の(式1)で求める数値が1.2以上の場合、及び1.1以上1.2未満の場合、電池内に混入した異物によりセパレータが破膜しても、異物表面に塗工層組成物が付着することにより絶縁が保たれることを意味するため、異物短絡耐性は特に良好、良好とそれぞれ評価した。
一方、(式1)で求める数値が1.0より大きく1.1未満の場合、セパレータの破膜と短絡は同時には起こらないものの、電池部材の捲回にかかる張力や充放電時の電極の膨張に伴う電池内圧上昇においても短絡が生じないためには、ある一定以上の耐性が必要となるため、異物短絡耐性はやや不良と評価した。(式1)で求める数値が1.0の場合は、セパレータの破膜と同時に短絡が発生しており、塗工層による異物短絡耐性の向上はみられていないため、異物短絡耐性は不良と評価し表記した。
B(t)÷A(t)・・・(式1)。
(9)電池評価
(正極の作製)
バインダーとしてPVDFを1.2質量部含むNMP溶液を、活物質としてのコバルト酸リチウム97質量部、カーボンブラック1.8質量部に加えて混合し、正極合剤含有スラリーとした。この正極合剤含有スラリーを、厚みが20μmのアルミ箔からなる正極集電体の両面に均一に塗布して乾燥して正極層を形成し、その後、ロールプレス機により圧縮成型して集電体を除いた正極層の密度を3.6g/cmにして正極を作製した。
(負極の作製)
カルボキシメチルセルロースナトリウムを1.0質量部含む水溶液を、活物質としての人造黒鉛98質量部に加えて混合し、さらにバインダーとして固形分として1.0質量部含むスチレンブタジエンラテックスを加えて混合して負極合剤含有スラリーとした。この負極合剤含有スラリーを、厚みが10μmの銅箔からなる負極集電体の両面に均一に塗付して乾燥して負極層を形成し、その後、ロールプレス機により圧縮成形して集電体を除いた負極層の密度を1.45g/cmにして、負極を作製した。
(試験用電池の作製)
上記正極、負極にタブ付けされたものと各微多孔膜を使用して巻回体を作製した。次いで、アルミラミネート袋内に巻回体を設置し、電解液(1.1mol/L,LiPF,エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート/ジエチレンカーボネート=3/5/2(体積比)に0.5重量%ビニレンカーボネート、2重量%フルオロエチレンカーボネートを添加したもの)を750μL滴下し真空ラミネータにて封止した。次いで0.2C(Cは電池が1時間で満充電できる電流値をあらわし、本電池の場合300mAとしている)にて全容量の10%を充電後、一晩放置しその後精密加熱加圧装置(新東工業株式会社製、CYPT-10)を用いて80℃、2時間、0.7MPa加圧処理した。さらに、ガス抜きの為にラミネートの1辺を開けすぐに再度真空シーラーで封止した。次いで0.1C、4.35V、カットオフ電流0.05Cの定電流定電圧充電し、さらに0.1Cで3Vまで定電流放電した。その後、0.2C、4.35V、カットオフ電流0.05Cの定電流定電圧充電しその後0.2C、3V定電流放電した。この0.2Cの充放電を3回繰り返した。これを300mAh級の試験用電池とした。
(出力特性試験)
上記試験用電池を用いて出力特性試験を実施した。0.2C、4.35V、カットオフ電流0.05Cの定電流定電圧充電したのち、0.2Cで3Vまで定電流放電しこの容量を0.2C放電容量として記録した。次いで0.2C、4.35V、カットオフ電流0.05Cの定電流定電圧充電し、その後3Cで3Vまで定電流放電しこの容量を3C放電容量として記録した。
3C放電容量維持率を以下の式にて算出した。
3C放電容量維持率=[3C放電容量]/[0.2C放電容量]
これを計3個の試験用電池で同様の処理をし、3C放電容量維持率の平均値を出力特性とした。この時、3C放電容量維持率の平均値が75%以上であるものを特に良好、65%以上75%未満を良好、65%未満であるものを不良とし表記した。
(サイクル特性試験)
出力特性試験を終えた試験用電池を0.5C、4.35V、カットオフ電流0.05Cの定電流定電圧充電したのち、0.2Cで3Vまで定電流放電しこの容量を1回目の放電容量として記録した。この状態の電池を以下条件で充放電を実施した。
充電:1C、4.35V定電流定電圧充電、カットオフ電流0.05C
放電:1C、3V定電流放電
測定温度:25℃
計3個の試験用電池にて実施し、1回目の放電容量を基にした300回目の放電容量の割合すなわち容量維持率の平均値を算出し、これをサイクル特性の指標とした。この時、容量維持率の平均値が85%以上であるものを特に良好とし、80%以上85%未満であるものを良好、70%以上80%未満であるものをやや良好、70%未満を不十分と表記した。
(実施例1)
[フッ化ビニリデン系ポリマー(A)]
フッ化ビニリデン系ポリマー(A)として、以下のように合成した。
フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)を出発原料として懸濁重合法にてフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンのモル比が97/3となるようにフッ化ビニリデン系ポリマー(A1)を合成した。得られたフッ化ビニリデン系ポリマー(A1)の重量平均分子量は140万であった。
[ポリアクリル酸(B1)溶液の調製]
ポリアクリル酸として、粘度平均分子量が125万、架橋度0.1%であるポリアクリル酸(B1)(製品番号306215)をシグマ アルドリッチ ジャパン合同会社より購入して使用した。N-メチル-2-ピロリドン(NMP)95質量部をディスパーで攪拌しながら上記ポリアクリル酸を5質量部添加していき、最終的に溶解させ5.0質量%濃度のポリアクリル酸(B1)溶液を得た。
[分散液マスターバッチの作製]
フッ化ビニリデン系ポリマー(A1)4.6質量部と、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)100質量部とを混合溶解し、その後、ディスパーで撹拌しながらアルミナ粒子(平均粒径0.5μm、密度4.0g/cm)を10.4質量部加え、さらに、ディスパーで1時間、2000rpmで予備攪拌した。次いで、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス製ダイノーミルマルチラボ(1.46L容器、充填率80%、φ0.5mmアルミナビーズ))を用いて、流量11kg/hr、周速10m/sの条件下で3回処理し、分散液マスターバッチを作製した。
[塗工液の作製]
上記分散液マスターバッチ93.5質量部に、5.0質量%濃度のポリアクリル酸(B1)溶液を6.5質量部加えディスパーで30分攪拌したものを塗工液(A)とした。塗工液(A)中のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を除いた体積組成比はアルミナ/フッ化ビニリデン系ポリマー(A1)/ポリアクリル酸(B1)=47/47/6となった。また、ポリアクリル酸の含有量は8質量%となる。ポリアクリル酸の含有量とは、フッ化ビニリデン系ポリマーの質量とポリアクリル酸の質量の和を100質量%としたときの質量%を表す。なおフッ化ビニリデン系ポリマー(A)の密度を1.77g/cm、ポリアクリル酸(B)の密度を1.2g/cmとして計算している。
[電池用セパレータの作製]
得られた塗工液(A)を、厚さ7μm、空孔率40%、平均流量細孔径43nm、透気抵抗度80sec/100mLAirのポリエチレン微多孔膜(A)の両面に、ディップコート法にて等量塗布した。塗布後の膜を、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を10質量%含有する水溶液(凝固液)中に15秒浸漬させ、純水に15秒浸漬させて洗浄した後、50℃で乾燥し、電池用セパレータを得た。電池用セパレータの厚さは10μmであった。多孔層中の体積組成比は、アルミナ/フッ化ビニリデン系ポリマー(A1)/ポリアクリル酸(B1)=47/47/6となった。また、ポリアクリル酸の含有量は8質量%となる。なおフッ化ビニリデン系ポリマー(A)の密度を1.77g/cm、ポリアクリル酸(B)の密度を1.2g/cmとして計算している。
(実施例2)
塗工液の作製において、実施例1中記載の分散液マスターバッチ96.0質量部に、ポリアクリル酸(B1)溶液を4.0質量部加え調製した塗工液(B)を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。塗工液(B1)中のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を除いた体積組成比はアルミナ/フッ化ビニリデン系ポリマー(A1)/ポリアクリル酸(B1)=48/48/4となった。なおポリアクリル酸の含有量は5質量%となる。
(実施例3)
[ポリアクリル酸(B2)溶液の調製]
ポリアクリル酸として、粘度平均分子量が20万、架橋度0.1%であるポリアクリル酸(B2)を使用した。N-メチル-2-ピロリドン(NMP)95質量部をディスパーで攪拌しながら上記ポリアクリル酸を5質量部添加していき、最終的に溶解させ5.0質量%濃度のポリアクリル酸(B2)溶液を得た。
[電池用セパレータの作製]
塗工液の作製において5.0質量%濃度のポリアクリル酸(B1)溶液の替わりに上記5.0質量%濃度のポリアクリル酸(B2)溶液を使用し、塗工液(C)を作製した以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
(実施例4)
[ポリアクリル酸(B3)溶液の調製]
ポリアクリル酸として、粘度平均分子量が400万、架橋度0.1%であるポリアクリル酸(B3)を使用した。N-メチル-2-ピロリドン(NMP)95質量部をディスパーで攪拌しながら上記ポリアクリル酸を5質量部添加していき、最終的に溶解させ5.0質量%濃度のポリアクリル酸(B3)溶液を得た。
[電池用セパレータの作製]
塗工液の作製において、5.0質量%濃度のポリアクリル酸(B1)溶液の替わりに5.0質量%濃度のポリアクリル酸(B3)溶液を使用し、塗工液(D)を作製した以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
(実施例5)
フッ化ビニリデン系ポリマー(A)として、以下のようにフッ化ビニリデン系ポリマー(A2)を合成した。フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンを出発原料として懸濁重合法にてフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンのモル比が99/1となるようにフッ化ビニリデン系ポリマー(A2)を合成した。得られたフッ化ビニリデン系ポリマー(A2)の重量平均分子量は100万であった。塗工液の作製においてフッ化ビニリデン系ポリマー(A1)をフッ化ビニリデン系ポリマー(A2)に替えた塗工液(E)を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
(実施例6)
フッ化ビニリデン系ポリマー(A)として、以下のようにフッ化ビニリデン系ポリマー(A3)を合成した。フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンを出発原料として懸濁重合法にてフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンのモル比が97/3となるようにフッ化ビニリデン系ポリマー(A3)を合成した。得られたフッ化ビニリデン系ポリマー(A3)の重量平均分子量は60万であった。塗工液の作製においてフッ化ビニリデン系ポリマー(A1)をフッ化ビニリデン系ポリマー(A3)に替えた塗工液(F)を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
(実施例7)
フッ化ビニリデン系ポリマー(A)として、以下のようにフッ化ビニリデン系ポリマー(A4)を合成した。フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンを出発原料として懸濁重合法にてフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンのモル比が97/3となるようにフッ化ビニリデン系ポリマー(A4)を合成した。得られたフッ化ビニリデン系ポリマー(A4)の重量平均分子量は200万であった。塗工液の作製においてフッ化ビニリデン系ポリマー(A1)をフッ化ビニリデン系ポリマー(A4)に替えた塗工液(G)を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
(実施例8)
フッ化ビニリデン系ポリマー(A)として、以下のようにフッ化ビニリデン系ポリマー(A5)を合成した。フッ化ビニリデンを出発原料として懸濁重合法にてフッ化ビニリデン系ポリマー(A5)を合成した。得られたフッ化ビニリデン系ポリマー(A5)の重量平均分子量は90万であった。塗工液の作製においてフッ化ビニリデン系ポリマー(A1)をフッ化ビニリデン系ポリマー(A5)に替えた塗工液(H)を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
(実施例9)
フッ化ビニリデン系ポリマー(A1)5.4質量部と、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)100質量部とを混合溶解し、その後、ディスパーで撹拌しながらベーマイト粒子(平均粒径0.5μm、密度3.1g/cm)を9.5質量部加え、さらに、ディスパーで1時間、2000rpmで予備攪拌した。次いで、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス製ダイノーミルマルチラボ(1.46L容器、充填率80%、φ0.5mmアルミナビーズ))を用いて、流量11kg/hr、周速10m/sの条件下で3回処理し、分散液を作製した。この分散液92.4質量部に、5.0質量%濃度のポリアクリル酸(B1)溶液を7.6質量部加えディスパーで30分攪拌したものを塗工液(I)とした以外は実施例1と同様に電池用セパレータを得た。なお塗工液(I)中のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を除いた体積組成比はベーマイト/フッ化ビニリデン系ポリマー(A1)/ポリアクリル酸(B1)=47/47/6となった。また、ポリアクリル酸の含有量は8質量%となる。
(実施例10)
フッ化ビニリデン系ポリマー(A1)4.2質量部と、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)100質量部とを混合溶解し、その後、ディスパーで撹拌しながら硫酸バリウム粒子(平均粒径0.5μm、密度4.5g/cm)を10.7質量部加え、さらに、ディスパーで1時間、2000rpmで予備攪拌した。次いで、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス製ダイノーミルマルチラボ(1.46L容器、充填率80%、φ0.5mmアルミナビーズ))を用いて、流量11kg/hr、周速10m/sの条件下で3回処理し、分散液を作製した。この分散液94.0質量部に、5.0質量%濃度のポリアクリル酸(B1)溶液を6.0質量部加えディスパーで30分攪拌したものを塗工液(J)とした以外は実施例1と同様に電池用セパレータを得た。なお塗工液(J)中のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を除いた体積組成比は硫酸バリウム/フッ化ビニリデン系ポリマー(A1)/ポリアクリル酸(B1)=47/47/6となった。なお、ポリアクリル酸の含有量は8質量%となる。
(実施例11)
塗工液の作製において、実施例1中記載の分散液マスターバッチ98.4質量部に、ポリアクリル酸(B1)溶液を8.2質量部加え調製した塗工液(K)を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。塗工液(B)中のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を除いた体積組成比はアルミナ/フッ化ビニリデン系ポリマー(A1)/ポリアクリル酸(B1)=49/49/1となった。なおポリアクリル酸の含有量は3質量%となる。
(実施例12)
塗工液の作製において、実施例1中記載の分散液マスターバッチ91.8質量部に、ポリアクリル酸(B1)溶液を1.6質量部加え調製した塗工液(L)を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。塗工液(B)中のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を除いた体積組成比はアルミナ/フッ化ビニリデン系ポリマー(A1)/ポリアクリル酸(B1)=46/46/8となった。なおポリアクリル酸の含有量は10質量%となる。
(実施例13)
フッ化ビニリデン系ポリマー(A)として、以下のようにフッ化ビニリデン系ポリマー(A6)を合成した。フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、マレイン酸モノメチルエステルを出発原料として懸濁重合法にてフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/マレイン酸モノメチルエステルのモル比が96.5/3/0.5となるようにフッ化ビニリデン系ポリマー(A6)を合成した。得られたフッ化ビニリデン系ポリマー(A6)の重量平均分子量は140万であった。塗工液の作製においてフッ化ビニリデン系ポリマー(A1)をフッ化ビニリデン系ポリマー(A6)に替えた塗工液(M)を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
(実施例14)
フッ化ビニリデン系ポリマー(A1)3.7質量部と、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)100質量部とを混合溶解し、その後、ディスパーで撹拌しながらアルミナ粒子(平均粒径0.5μm、密度4.0g/cm)を17.7質量部加え、さらに、ディスパーで1時間、2000rpmで予備攪拌した。次いで、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス製ダイノーミルマルチラボ(1.46L容器、充填率80%、φ0.5mmアルミナビーズ))を用いて、流量11kg/hr、周速10m/sの条件下で3回処理し、分散液を作製した。この分散液94.9質量部に、5.0質量%濃度のポリアクリル酸(B1)溶液を5.1質量部加えディスパーで30分攪拌したものを塗工液(N)とした以外は実施例1と同様に電池用セパレータを得た。なお塗工液(N)中のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を除いた体積組成比はアルミナ/フッ化ビニリデン系ポリマー(A1)/ポリアクリル酸(B1)=65/31/4となった。また、ポリアクリル酸の含有量は8質量%となる。
(実施例15)
フッ化ビニリデン系ポリマー(A1)3.1質量部と、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)100質量部とを混合溶解し、その後、ディスパーで撹拌しながらアルミナ粒子(平均粒径0.5μm、密度4.0g/cm)を31.7質量部加え、さらに、ディスパーで1時間、2000rpmで予備攪拌した。次いで、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス製ダイノーミルマルチラボ(1.46L容器、充填率80%、φ0.5mmアルミナビーズ))を用いて、流量11kg/hr、周速10m/sの条件下で3回処理し、分散液を作製した。この分散液96.1質量部に、5.0質量%濃度のポリアクリル酸(B1)溶液を3.9質量部加えディスパーで30分攪拌したものを塗工液(O)とした以外は実施例1と同様に電池用セパレータを得た。なお塗工液(O)中のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を除いた体積組成比はアルミナ/フッ化ビニリデン系ポリマー(A1)/ポリアクリル酸(B1)=80/17.7/2.3となった。また、ポリアクリル酸の含有量は8質量%となる。
(実施例16)
フッ化ビニリデン系ポリマー(A1)4.3質量部と、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)100質量部とを混合溶解し、その後、ディスパーで撹拌しながらアルミナ粒子(平均粒径0.5μm、密度4.0g/cm)を4.7質量部加え、さらに、ディスパーで1時間、2000rpmで予備攪拌した。次いで、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス製ダイノーミルマルチラボ(1.46L容器、充填率80%、φ0.5mmアルミナビーズ))を用いて、流量11kg/hr、周速10m/sの条件下で3回処理し、分散液を作製した。この分散液93.6質量部に、5.0質量%濃度のポリアクリル酸(B1)溶液を6.4質量部加えディスパーで30分攪拌したものを塗工液(P)とした以外は実施例1と同様に電池用セパレータを得た。なお塗工液(P)中のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を除いた体積組成比はアルミナ/フッ化ビニリデン系ポリマー(A1)/ポリアクリル酸(B1)=30/62/8となった。また、ポリアクリル酸の含有量は8質量%となる。
(実施例17)
塗工液(A)を、厚さ7μm、空孔率35%、平均流量細孔径42nm、透気抵抗度175sec/100mLAirのポリエチレン微多孔膜(B)の両面に、ディップコート法にて等量塗布した以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
(実施例18)
塗工液(A)を、厚さ7μm、空孔率50%、平均流量細孔径43nm、透気抵抗度60sec/100mLAirのポリエチレン微多孔膜(C)の両面に、ディップコート法にて等量塗布した以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
(実施例19)
塗工液(A)を、厚さ7μm、空孔率40%、平均流量細孔径33nm、透気抵抗度90sec/100mLAirのポリエチレン微多孔膜(D)の両面に、ディップコート法にて等量塗布した以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
(実施例20)
塗工液(A)を、厚さ7μm、空孔率40%、平均流量細孔径52nm、透気抵抗度75sec/100mLAirのポリエチレン微多孔膜(E)の両面に、ディップコート法にて等量塗布した以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
(比較例1)
塗工液の作製において、実施例1で作成した分散液にポリアクリル酸溶液(B1)を添加せずに分散液をそのまま塗工液(Q)とした以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。なお塗工液(Q)中のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を除いた体積組成比はアルミナ/フッ化ビニリデン系ポリマー(A1)=50/50となった。
(比較例2)
[ポリアクリル酸(B4)溶液の調製]
ポリアクリル酸として、粘度平均分子量が5万、架橋度0.1%であるポリアクリル酸(B4)を使用した。N-メチル-2-ピロリドン(NMP)95質量部をディスパーで攪拌しながら上記ポリアクリル酸を5質量部添加していき、最終的に溶解させ5.0質量%濃度のポリアクリル酸(B4)溶液を得た。
[電池用セパレータの作製]
塗工液の作製において、5.0質量%濃度のポリアクリル酸(B1)溶液の替わりに5.0質量%濃度のポリアクリル酸(B4)溶液を使用し、塗工液(R)を作製した以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得たが、ポリアクリル酸成分が凝固液に溶出していた。この為、多孔層中の無機粒子は50体積%となった。
(比較例3)
ポリアクリル酸溶液の作製において、ポリアクリル酸(B1)の替わりに粘度平均分子量が600万、架橋度0.1%であるポリアクリル酸(B5)を使用したが、ポリアクリル酸溶液の溶解に長時間かけても溶解しきらず、塗工液の作製まで至らなかった。
(比較例4)
フッ化ビニリデン系ポリマー(A)として、以下のようにフッ化ビニリデン系ポリマー(A6)を合成した。フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンを出発原料として懸濁重合法にてフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンのモル比が97/3となるようにフッ化ビニリデン系ポリマー(A6)を合成した。得られたフッ化ビニリデン系ポリマー(A6)の重量平均分子量は40万であった。塗工液の作製においてフッ化ビニリデン系ポリマー(A1)をフッ化ビニリデン系ポリマー(A6)に替えた塗工液(S)を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
(比較例5)
フッ化ビニリデン系ポリマー(A)として、以下のようにフッ化ビニリデン系ポリマー(A7)を合成した。フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンを出発原料として懸濁重合法にてフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンのモル比が97/3となるようにフッ化ビニリデン系ポリマー(A7)を合成した。得られたフッ化ビニリデン系ポリマー(A7)の重量平均分子量は300万であった。塗工液の作製においてフッ化ビニリデン系ポリマー(A7)4.6質量部とN-メチル-2-ピロリドン(NMP)100質量部とを混合し、溶解させようとしたが、長時間かけても溶解しきらず、塗工液の作製まで至らなかった。
(比較例6)
塗工液(A)を、厚さ7μm、空孔率40%、透気抵抗度80sec/100mLAirのポリエチレン微多孔膜の両面に、ディップコート法にて湿度1%で等量塗布し、湿度1%のオーブン80℃で乾燥した以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
(比較例7)
塗工液(A)を、厚さ7μm、空孔率40%、透気抵抗度80sec/100mLAirのポリエチレン微多孔膜の両面に、ディップコート法にて湿度70%で等量塗布し、湿度70%のオーブン80℃で乾燥した以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
(比較例8)
塗工液(A)100質量部にN-メチル-2-ピロリドン(NMP)80質量部を混合したものを塗工液(T)として、これを用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得たが、多孔層の脱落が多く歩留まりが悪く、多孔層による透気抵抗度上昇率の測定以降の評価は実施できなかった。
(比較例9)
塗工液の作製において、実施例1中に記載の分散液マスターバッチ87.7質量部に、ポリアクリル酸(B1)溶液を12.3質量部加え調製した塗工液(U)を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。塗工液(U)中のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を除いた体積組成比はアルミナ/フッ化ビニリデン系ポリマー(A1)/ポリアクリル酸(B1)=44/44/12となった。なおポリアクリル酸の含有量は15質量%となる。
(比較例10)
フッ化ビニリデン系ポリマー(A1)4.6質量部と、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)100質量部とを混合溶解しフッ化ビニリデン系ポリマー(A1)溶液を得た。その後、フッ化ビニリデン系ポリマー(A1)溶液85質量部に5.0質量%濃度のポリアクリル酸(B1)溶液を6.5質量部加えディスパーで30分攪拌したものを塗工液(V)とした以外は、実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。なお、ポリアクリル酸の含有量は8質量%となる。
(比較例11)
[ポリエチルメタクリレート溶液の調製]
ポリエチルメタクリレートとして、製品番号182087(重量平均分子量51.5万)をシグマ アルドリッチ ジャパン合同会社より購入して使用した。N-メチル-2-ピロリドン(NMP)95質量部をディスパーで攪拌しながら上記ポリエチルメタクリレートを5質量部添加していき、最終的に溶解させ5.0質量%濃度のポリエチルメタクリレート溶液を得た。
[電池用セパレータの作製]
塗工液の作製において、5.0質量%濃度のポリアクリル酸(B1)溶液の替わりに上記5.0%濃度のポリエチルメタクリレート溶液を使用し、塗工液(W)を作製した以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
塗工液(W)中のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を除いた体積組成比はアルミナ/フッ化ビニリデン系ポリマー(A1)/ポリエチルメタクリレート=47/47/6となった。ポリエチルメタクリレートの密度は1.2g/cmとして計算しており、多孔層中のフッ化ビニリデン系ポリマーの質量とポリエチルメタクリレートの質量の和を100質量%としたとき、ポリエチルメタクリレート含有量は8質量%となる。
比較例11は出力特性が不良となったが、これはポリエチルメタクリレートがポリアクリル酸対比、電解液に対し膨潤しやすく長時間熱プレスの間に多孔層が活物質表面を多量に被覆され出力特性が低下した為と考える。
(比較例12)
塗工液(A)を、厚さ7μm、空孔率25%、平均流量細孔径43nm、透気抵抗度240sec/100mLAirのポリエチレン微多孔膜(F)の両面に、ディップコート法にて等量塗布した以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
(比較例13)
塗工液(A)を、厚さ7μm、空孔率60%、平均流量細孔径43nm、透気抵抗度45sec/100mLAirのポリエチレン微多孔膜(G)の両面に、ディップコート法にて等量塗布した以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
(比較例14)
塗工液(A)を、厚さ7μm、空孔率40%、平均流量細孔径24nm、透気抵抗度105sec/100mLAirのポリエチレン微多孔膜(H)の両面に、ディップコート法にて等量塗布した以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
(比較例15)
塗工液(A)を、厚さ7μm、空孔率40%、平均流量細孔径65nm、透気抵抗度65sec/100mLAirのポリエチレン微多孔膜(I)の両面に、ディップコート法にて等量塗布した以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
(比較例16)
塗工液(A)を、厚さ7μm、空孔率27%、平均流量細孔径24nm、透気抵抗度269sec/100mLAirのポリエチレン微多孔膜(J)の両面に、ディップコート法にて等量塗布した以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
Figure 2022053727000002
Figure 2022053727000003
表1及び2中の添加成分とは、塗工液中のフッ化ビニリデン系ポリマー以外の樹脂成分を表す。
本実施形態の電池用セパレータは、非水電解質二次電池に用いられた際、長時間熱プレス処理でのセパレータと電極間の接着性に優れ、且つ、過剰膨潤が抑えられ多孔層による活物質及びポリオレフィン微多孔膜への被覆が抑えられることで出力特性にも優れ、さらに異物短絡耐性に優れる電池用セパレータを提供することができる。
したがって、本実施形態の電池用セパレータは、今後、電池(特にラミネート型電池)のより大型化、高容量化、高出力化が要求された際にも、好適に用いることができる。
1…ポリオレフィン微多孔膜
2…多孔層
4…アルミニウム箔
5…樹脂製絶縁体
6…金属球
10…電池用セパレータ
20…負極(接着性評価用)
21…負極(異物短絡耐性評価用)
22…ラミネートフィルム
30…試験用巻回体
31…サンプル積層体
41…アルミニウム製L字アングル(下側)
42…アルミニウム製L字アングル(上側)
43…圧縮治具(上側)
44…圧縮治具(下側)

Claims (9)

  1. ポリオレフィン微多孔膜と、
    前記ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一方の面に積層された多孔層と、を備える電池用セパレータであって、
    前記多孔層は、フッ化ビニリデン単独重合体及びフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群から選ばれるフッ化ビニリデン系ポリマーと、
    ポリアクリル酸と、
    無機粒子を含み、
    前記ポリオレフィン微多孔膜の空孔率が30%以上55%以下であり、
    前記ポリオレフィン微多孔膜の平均流量細孔径が30nm以上、55nm以下であり、
    前記フッ化ビニリデン系ポリマーは、重量平均分子量が60万以上200万以下であり、
    前記多孔層による透気抵抗度上昇率が10%以上、100%以下であり、
    前記ポリアクリル酸の粘度平均分子量が10万以上400万以下であり、
    前記フッ化ビニリデン系ポリマーの質量と前記ポリアクリル酸の質量の和を100質量%としたとき、前記ポリアクリル酸の含有量が0.5質量%以上10.0質量%以下である
    電池用セパレータ。
    (ここで、多孔層による透気抵抗度上昇率は以下の式であらわす。
    多孔層による透気抵抗度上昇率=100×([電池用セパレータの透気抵抗度]-[ポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度])/[ポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度])
  2. 前記多孔層中の固形分100体積%に対し、前記無機粒子を30体積%以上、80体積%以下含む、請求項1に記載の電池用セパレータ。
  3. 前記無機粒子がアルミナ、ベーマイト及び硫酸バリウムから選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の電池用セパレータ。
  4. 前記多孔層による透気抵抗度上昇率が10%以上70%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の電池用セパレータ。
  5. 前記ポリアクリル酸の粘度平均分子量が20万以上150万以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池用セパレータ。
  6. 正極と、負極と、前記請求項1~5のいずれか1項に記載の電池用セパレータと、を備える電極体。
  7. 請求項6に記載の電極体と、非水電解質とを備える非水電解質二次電池。
  8. 請求項1~5のいずれか1項に記載の電池用セパレータの製造方法であって、以下の工程(a1)~(e1)を順次含む、電池用セパレータの製造方法。
    (a1)前記フッ化ビニリデン系ポリマーを溶媒に溶解したフッ素系樹脂溶液を得る工程
    (b1)前記フッ素系樹脂溶液に前記無機粒子を添加し、混合、分散して分散液を得る工程
    (c1)前記ポリアクリル酸を溶媒に溶解したポリアクリル酸溶液を得る工程
    (d1)前記分散液と前記ポリアクリル酸溶液を混合し塗工液を得る工程
    (e1)前記塗工液を前記ポリオレフィン微多孔膜に塗布して凝固液に浸漬し、洗浄、乾燥する工程
  9. 請求項1~5のいずれか1項に記載の電池用セパレータの製造方法であって、以下の工程(a2)~(c2)を順次含む、電池用セパレータの製造方法。
    (a2)前記フッ化ビニリデン系ポリマーと前記ポリアクリル酸を溶媒に溶解した樹脂溶液を得る工程
    (b2)前記樹脂溶液に前記無機粒子を添加し、混合、分散して塗工液を得る工程
    (c2)前記塗工液を前記ポリオレフィン微多孔膜に塗布して凝固液に浸漬し、洗浄、乾燥する工程
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