JP2022052974A - 梁接合構造及び梁接合構造の設計方法 - Google Patents

梁接合構造及び梁接合構造の設計方法 Download PDF

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聡 北岡
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【課題】合成梁の長手方向の中間部における曲げモーメントを抑えつつ、合成梁に横座屈が生じるのを抑制した梁接合構造を提供する。【解決手段】合成梁10と、合成梁の一対の端部10aを支持する一対の支持部30と、合成梁の一対の端部及び一対の支持部を互いに接合する一対の接合部35と、を備える梁接合構造2であって、合成梁に、合成梁の全長にわたって等分布荷重が作用し、合成梁の両端がそれぞれ半剛接合の場合には、合成梁のモーメント形状係数γが、所定の数式を満たすように、一対の接合部の少なくとも一方の回転剛性Sj、合成梁の長さ、及び合成梁の曲げ剛性の少なくとも1つが調整され、合成梁の一方の端がピン接合であり他方の端が半剛接合の場合には、モーメント形状係数γが所定の数式を満たすように、一対の接合部の少なくとも一方の回転剛性Sj、合成梁の長さ、及び合成梁の曲げ剛性の少なくと1つが調整されている。【選択図】図2

Description

本発明は、梁接合構造及び梁接合構造の設計方法に関する。
従来、大梁、小梁等を含む合成梁と、合成梁の一対の端部を支持する一対の支持部と、を備える梁接合構造が検討されている(例えば、特許文献1,2及び非特許文献1参照)。合成梁の一対の端部と、一対の支持部とは、一対の接合部により互いに接合されている。
特開2015-068001号公報 特開2005-282019号公報
一般的に、鉄骨構造や合成構造で構成されたグラビティフレーム(鉛直力抵抗架構)の合成梁や、モーメントフレーム(水平力抵抗架構)の床を支える小梁等は、各接合部において合成梁等と支持部とがピン接合されているものとして設計される。この場合、合成梁の長手方向の中間部に発生する曲げモーメント及びたわみ量は、比較的大きくなる。ピン接合で両端を支持された合成梁は、全長に渡って正曲げ(下に凸の曲げ)となるため、下フランジが引張応力を受ける。一方で、圧縮力を受ける上フランジは、合成梁によって梁材軸回りの回転及び梁材軸と直交方向への水平移動が拘束されているため、横座屈(Lateral Torsional Buckling)が生じる恐れはない。
しかしながら、支持部が剛性を持ち、半剛接合又は剛接合となると、合成梁の長手方向の中間部に発生する曲げモーメント及びたわみ量は、比較的小さくなる。この場合、合成梁の端部は負曲げ(上に凸の曲げ)となるため、下フランジが圧縮力を受け、横座屈を生じる可能性がある。例えば、半剛接合は、“Eurocode 3: Design of steel structures - Part 1-8”, EN 1993-1-1 (2005)(以下、文献1と言う)の規定に準拠する。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、合成梁の長手方向の中間部における曲げモーメントを抑えつつ、合成梁に横座屈が生じるのを抑制した梁接合構造及び梁接合構造の設計方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の梁接合構造は、合成梁と、前記合成梁の一対の端部を支持する一対の支持部と、前記合成梁の前記一対の端部及び前記一対の支持部を互いに接合する一対の接合部と、を備える梁接合構造であって、前記合成梁に、前記合成梁の全長にわたって等分布荷重が作用し、前記合成梁の両端がそれぞれ半剛接合の場合には、(1)式で規定される前記合成梁のモーメント形状係数γが、(2)式から(8)式を用いて得られる(9)式を満たすように、前記一対の接合部の少なくとも一方の回転剛性S、前記合成梁の長さ、及び前記合成梁の曲げ剛性の少なくとも1つが調整され、前記合成梁の一方の端がピン接合であり他方の端が半剛接合の場合には、前記モーメント形状係数γが、(2)式、(3)式、(4-2)式から(7-2)式、及び(8)式を用いて得られる(9)式を満たすように、前記一対の接合部の少なくとも一方の回転剛性S、前記合成梁の長さ、及び前記合成梁の曲げ剛性の少なくとも1つが調整されていることを特徴としている。
ただし、Lは前記合成梁の長さであり、wは前記等分布荷重の大きさであり、Mj1は前記合成梁の第1端に作用する曲げモーメントであり、Mj2は前記合成梁の第2端に作用する曲げモーメントであって前記曲げモーメントMj1以下の値をとり、EIは前記合成梁の正曲げ剛性であり、EIは前記合成梁の負曲げ剛性である。
Figure 2022052974000002
この発明によれば、発明者らは、等分布荷重が作用する合成梁において、以下のことを見出した。すなわち、各接合部をピン接合すると合成梁の各端部における負曲げの領域が無いため、合成梁に横座屈が生じないが、合成梁の長手方向の中間部における曲げモーメント及びたわみ量が大きくなる。一方で、各接合部を剛接合すると合成梁の各端部における負曲げの領域が広くなるため、合成梁に横座屈が生じやすくなるが、合成梁の長手方向の中間部における曲げモーメント及びたわみ量が小さくなる。そこで、発明者らは、多数の梁接合構造を、(1)式で規定されるモーメント形状係数γに基づいて鋭意検討した。その結果、合成梁の両端の接合条件に応じて、モーメント形状係数γが(9)式を満たすように、各接合部における回転剛性S、合成梁の長さL、及び合成梁の曲げ剛性EI,EIの少なくとも1つを調整すると、合成梁の端部における負曲げの領域が適切に調節され、合成梁に生じる負曲げモーメントが合成梁の横座屈耐力よりも大きくならない。その結果、合成梁に横座屈が生じるのが抑制されつつ、合成梁の長手方向の中間部における曲げモーメントが抑えられることを見出した。
従って、本発明の梁接合構造では、モーメント形状係数γが(9)式を満たすように調整されているため、合成梁の長手方向の中間部における曲げモーメントを抑えつつ、合成梁に横座屈が生じるのを抑制することができる。
また、前記梁接合構造において、前記回転剛性Sを、前記合成梁の単位長さ当たりの曲げ剛性EI/Lで除した値を、無次元化回転剛性αとしたときに、(10)式から(13)式を用いて得られる(14)式を、前記一対の接合部の前記無次元化回転剛性αがそれぞれ満たしてもよい。
Figure 2022052974000003
この発明によれば、(9)式によるモーメント形状係数γの下限値γllim及び上限値γulimにより規定される範囲を、無次元化回転剛性αの下限値αllim、及び上限値αulimにより規定される範囲に換算することができる。無次元化回転剛性αに、単位長さ当たりの曲げ剛性を乗じることで、接合部の回転剛性Sが容易に求まる。従って、(4)式から(7-2)式、(12)式から(14)式により、接合部の回転剛性Sが容易に求まる無次元化回転剛性αの範囲を規定することができる。
また、前記梁接合構造において、前記合成梁の両端がそれぞれ半剛接合の場合には、(7)式による無次元化剛接モーメントβMj,rigidが0.4以下のときには、前記無次元化剛接モーメントβMj,rigidに代えて、前記無次元化剛接モーメントβMj,rigidに基づいて(15)式により算出される無次元化剛接モーメントβMj,rigid,Theoを用い、前記合成梁の一方の端がピン接合であり他方の端が半剛接合の場合には、(7-2)式による無次元化剛接モーメントβMj,rigidが0.8以下のときには、前記無次元化剛接モーメントβMj,rigidに代えて、前記無次元化剛接モーメントβMj,rigidに基づいて(15-2)式により算出される無次元化剛接モーメントβMj,rigid,Theoを用いてもよい。
Figure 2022052974000004
この発明によれば、無次元化剛接モーメントβMj,rigidが、合成梁の両端の接合条件に応じて定まる0.4又は0.8の値以下である場合には、無次元化剛接モーメントβMj,rigidが厳密解に対して誤差が大きくなる。この場合であっても、合成梁の両端の接合条件に応じて、無次元化剛接モーメントβMj,rigidに代えて無次元化剛接モーメントβMj,rigid,Theoを用いることにより、無次元化剛接モーメントをより精度良く算出することができる。
また、前記梁接合構造において、前記合成梁の長手方向の中間部に補剛材が設けられていなくてもよい。
この発明によれば、梁接合構造に補剛材が設けられていなくても、モーメント形状係数γが(10)式を満たすように調整されているため、合成梁の長手方向の中間部に横座屈が生じるのを抑制することができる。
また、本発明の梁接合構造の設計方法は、合成梁と、前記合成梁の一対の端部を支持する一対の支持部と、前記合成梁の前記一対の端部及び前記一対の支持部を互いに接合する一対の接合部と、を備える梁接合構造を設計する梁接合構造の設計方法であって、前記合成梁に、前記合成梁の全長にわたって等分布荷重が作用し、前記合成梁に生じる負曲げモーメントが、前記合成梁の横座屈耐力よりも大きくならないように、前記一対の接合部の少なくとも一方の回転剛性、前記合成梁の長さ、及び前記合成梁の曲げ剛性の少なくとも1つを調整する調整工程を行うことを特徴としている。
この発明によれば、発明者らは、等分布荷重が作用する合成梁において、以下のことを見出した。すなわち、各接合部をピン接合すると合成梁の各端部における負曲げの領域が無いため、合成梁に横座屈が生じないが、合成梁の長手方向の中間部における曲げモーメント及びたわみ量が大きくなる。一方で、各接合部を剛接合すると合成梁の各端部における負曲げの領域が広くなるため、合成梁に横座屈が生じやすくなるが、合成梁の長手方向の中間部における曲げモーメント及びたわみ量が小さくなる。
このため、調整工程において、合成梁に生じる負曲げモーメントが、合成梁の横座屈耐力よりも大きくならないように、一対の接合部の少なくとも一方の回転剛性、合成梁の長さ、及び合成梁の曲げ剛性の少なくとも1つを調整する。これにより、合成梁の長手方向の中間部における曲げモーメントを抑えつつ、合成梁に横座屈が生じるのを抑制することができる。
また、前記梁接合構造の設計方法において、前記調整工程では、前記合成梁の両端がそれぞれ半剛接合の場合には、(21)式で規定される前記合成梁のモーメント形状係数γが、(22)式から(28)式を用いて得られる(29)式を満たすように、前記一対の接合部の少なくとも一方の回転剛性S及び前記合成梁の曲げ剛性の少なくとも一方を調整し、前記合成梁の一方の端がピン接合であり他方の端が半剛接合の場合には、前記モーメント形状係数γが、(22)式、(23)式、(24-2)式から(27-2)式、及び(28)式を用いて得られる(29)式を満たすように、前記一対の接合部の少なくとも一方の回転剛性S、前記合成梁の長さ、及び前記合成梁の曲げ剛性の少なくとも1つを調整してもよい。
ただし、Lは前記合成梁の長さであり、wは前記等分布荷重の大きさであり、Mj1は前記合成梁の第1端に作用する曲げモーメントであり、Mj2は前記合成梁の第2端に作用する曲げモーメントであって前記曲げモーメントMj1以下の値をとり、EIは前記合成梁の正曲げ剛性であり、EIは前記合成梁の負曲げ剛性である。
Figure 2022052974000005
この発明によれば、発明者らは、多数の梁接合構造を、(21)式で規定されるモーメント形状係数γに基づいて鋭意検討した。その結果、合成梁の両端の接合条件に応じて、モーメント形状係数γが(29)式を満たすように、各接合部における回転剛性S、合成梁の長さL、及び合成梁の曲げ剛性EI,EIの少なくとも1つを調整すると、合成梁の端部における負曲げの領域が適切に調節され、合成梁に生じる負曲げモーメントが合成梁の横座屈耐力よりも大きくならない。そして、合成梁に横座屈が生じるのが抑制されつつ、合成梁の長手方向の中間部における曲げモーメントが抑えられることを見出した。
従って、梁接合構造の設計方法では、モーメント形状係数γが(29)式を満たすように調整するため、合成梁の長手方向の中間部における曲げモーメントを抑えつつ、合成梁に横座屈が生じるのを抑制することができる。
また、前記梁接合構造の設計方法において、前記合成梁は、スラブと、鉄骨梁と、前記スラブと前記鉄骨梁を接合するためのシアコネクタと、を備え、前記調整工程では、前記スラブの厚さ、前記スラブ内の補強鉄筋の量、前記シアコネクタの配置、及び前記シアコネクタの量の少なくとも1つを調整することで、前記一対の接合部の少なくとも一方の回転剛性S及び前記合成梁の曲げ剛性の少なくとも一方を調整してもよい。
この発明によれば、調整工程において、スラブの厚さ、補強鉄筋の量、シアコネクタの配置、及びシアコネクタの量の少なくとも1つを調整するという簡単な調整で、一対の接合部の少なくとも一方の回転剛性S及び合成梁の曲げ剛性を容易に調整することができる。
本発明の梁接合構造及び梁接合構造の設計方法によれば、合成梁の長手方向の中間部における曲げモーメント及びたわみ量を抑えつつ、合成梁に横座屈が生じるのを抑制することができる。
本発明の梁接合構造が用いられる建築物を模式的に示す斜視図である。 同建築物の要部における断面図である。 同梁接合構造を模式化した正面図である。 同梁接合構造の合成小梁における正曲げされる領域及び負曲げされる領域等を模式化して示す図である。 第1モーメント形状係数βが0の場合における、第2モーメント形状係数γによる曲げモーメント分布m(x)の変化を示す図である。 第1モーメント形状係数βが0.4の場合における、第2モーメント形状係数γによる曲げモーメント分布m(x)の変化を示す図である。 第1モーメント形状係数βが1.0の場合における、第2モーメント形状係数γによる曲げモーメント分布m(x)の変化を示す図である。 第1モーメント形状係数βが0の場合における、第2モーメント形状係数γに対する(Mj1/M)値の変化を示す図である。 第1モーメント形状係数βが0.2の場合における、第2モーメント形状係数γに対する(Mj1/M)値の変化を示す図である。 第1モーメント形状係数βが0.4の場合における、第2モーメント形状係数γに対する(Mj1/M)値の変化を示す図である。 第1モーメント形状係数βが0.6の場合における、第2モーメント形状係数γに対する(Mj1/M)値の変化を示す図である。 第1モーメント形状係数βが0.8の場合における、第2モーメント形状係数γに対する(Mj1/M)値の変化を示す図である。 第1モーメント形状係数βが1.0の場合における、第2モーメント形状係数γに対する(Mj1/M)値の変化を示す図である。 ケース1からケース5における無次元化回転剛性と無次元化接合部モーメントとの関係を示す図である。 合成梁における無次元化曲げ剛性と無次元化剛接モーメントとの試算結果の関係を示す図である。 無次元化剛接モーメントの近似解と厳密解との関係を示す図である。 無次元化曲げ剛性と係数kとの関係を示す図である。 無次元化曲げ剛性と変数αj,Tとの関係を示す図である。 各第1モーメント形状係数に対する包絡線を示す図である。 各包絡線における(Mj1/M)値が1.0のときの第2モーメント形状係数γの値を示した図である。 連続梁における端スパンの合成小梁と中間スパンの合成小梁を示す図である。
以下、本発明に係る梁接合構造の一実施形態を、図1から図21を参照しながら説明する。
図1に示すように、梁接合構造2は、建築物1に用いられている。図1及び図2に示すように、梁接合構造2は、合成小梁(合成梁)10と、一対の大梁(支持部)30と、一対の接合部35と、を備えている。
図2に示すように、合成小梁10は、合成梁の長手方向Xに延びている。例えば、長手方向Xは水平面に沿う方向である。合成小梁10は、スラブ11と、鉄骨小梁(鉄骨梁)12と、シアコネクタ13と、を備えている。
鉄骨小梁12には、H形鋼が用いられている。鉄骨小梁12では、上フランジ16と、下フランジ17とが、ウェブ18により連結されている。上フランジ16は、下フランジ17よりも上方に配置されている。上フランジ16の下面における幅方向Yの中心、及び下フランジ17の上面における幅方向Yの中心には、ウェブ18がそれぞれ接合されている。
本実施形態では、スラブ11は、デッキ合成スラブ(床スラブ)である。スラブ11は、鉄骨小梁12上に配置されている。スラブ11は、コンクリート21と、補強鉄筋22、及びデッキプレート23と、を備えている。
デッキプレート23は、鋼板を折り曲げること等により形成されている。デッキプレート23は、鉄骨小梁12の上フランジ16上に配置されている。
コンクリート21は、厚さ方向が上下方向Zに沿う平板状に形成されている。コンクリート21は、デッキプレート23上に配置されている。補強鉄筋22は、コンクリート21(スラブ11)内に埋設されている。スラブ11は、補強鉄筋22を複数備えている。例えば、複数の補強鉄筋22のうちの一部は、長手方向Xに延びている。複数の補強鉄筋22のうちの残部は、幅方向Yに延びている。
以下では、スラブ11を、スラブ11全体のうち、長手方向Xにおいて一対の大梁30間で支持された部分に着目して説明する。
本実施形態では、シアコネクタ13は、頭付きスタッドである。合成小梁10は、シアコネクタ13を複数備えている。複数のシアコネクタ13は、鉄骨小梁12の上フランジ16の上面に、長手方向Xに互いに間隔を空けて配置されている。
シアコネクタ13の下端部は、上フランジ16に固定されている。シアコネクタ13は、上フランジ16から上方に向かって突出している。シアコネクタ13は、デッキプレート23を通して、コンクリート21内に埋設されている。シアコネクタ13は、スラブ11と鉄骨小梁12とを接合している。これにより、上フランジ16がスラブ11に対して幅方向Yに移動すること(横移動)が規制されている。
なお、シアコネクタ13は、打ち込み鋲や、上フランジ16にデッキプレート23を溶接接合する際に形成される焼抜き栓溶接部等でもよい。
スラブ11のコンクリート21は、引張耐力よりも圧縮耐力が大きい。合成小梁10の負曲げ領域においては、スラブ11に引張力が作用し、コンクリート21が早期に引張耐力に達する。従って、スラブ11は、圧縮に対する剛性よりも引張に対する剛性が小さくなる。このため、本実施形態では、合成小梁10の正曲げの曲げ剛性(以下、正曲げ剛性と言う)と負曲げの曲げ剛性(以下、負曲げ剛性と言う)とが互いに異なる。具体的には、合成小梁10の正曲げ剛性は、合成小梁10の負曲げ剛性よりも大きい。
なお、正曲げ剛性と負曲げ剛性とが互いに等しくなるように(コンクリート21に作用する力が引張耐力以下となるように)、合成小梁を構成してもよい。
大梁30には、鉄骨小梁12よりもせいが高いH形鋼が用いられている。大梁30は、幅方向Yに延びている。大梁30では、上フランジ31と、下フランジ32とが、ウェブ33により連結されている。
上フランジ31は、上下方向Zにおいて鉄骨小梁12の上フランジ16と同等の位置に配置されている。下フランジ32は、鉄骨小梁12の下フランジ17よりも下方に配置されている。
例えば、接合部35は、ガセットプレート36と、締結部材37と、を備えている。
ガセットプレート36は、大梁30における上フランジ31、下フランジ32、及びウェブ33に溶接等により接合されている。
締結部材37は、高力ボルト等により構成されている。締結部材37は、ガセットプレート36と鉄骨小梁12のウェブ18とを互いに接合している。
本実施形態では、各接合部35は、半剛接合により、合成小梁10の端部10a及び大梁30を互いに接合している。
大梁30は、合成小梁10の一対の端部10aを支持している。大梁30は、図1に示す柱40により支持されている。
〔1.半剛接合により支持された合成小梁についての、設計の試み〕
〔1.1 鉄骨小梁の基準化されたモーメント分布〕
図3に示すように、梁接合構造2を模式化して説明する。
合成小梁10に沿って右向きに座標xを規定する。合成小梁10の左端の位置を、座標xの原点とする。合成小梁10の長さが、Lであるとする。合成小梁10の正曲げ剛性を、EIとする。合成小梁10の負曲げ剛性を、EIとする。
合成小梁10に、合成小梁10の全長にわたって下方向きに等分布荷重wが作用していると仮定する。等分布荷重のx方向の単位長さ当たりの大きさは、wである。
合成小梁10の第1端に作用する曲げモーメントを、Mj1と規定する。ただし、曲げモーメントは、合成小梁10を正曲げさせる向きを正とする。合成小梁10における第1端とは反対の第2端に作用する曲げモーメントを、Mj2と規定する。ただし、曲げモーメントMj2が曲げモーメントMj1以下の値をとるように、合成小梁10の第1端及び第2端が設定される。この例では、曲げモーメントMj1,Mj2が、互いに等しいとする。そして、合成小梁10の左端を第1端10bとし、合成小梁10の右端を第2端10cとする。
鉄骨小梁12の曲げモーメント分布M(x)は、(35)式のように表される。
Figure 2022052974000006
この場合の典型的な曲げモーメント分布M(x)は、図4に示すようになる。合成小梁10の両端部10aで、合成小梁10が負曲げされ、合成小梁10の曲げ剛性が負曲げ剛性EIになる。合成小梁10における両端部10a以外の部分では、合成小梁10が正曲げされ、合成小梁10の曲げ剛性が正曲げ剛性EIになる。
ここで、(36)式のように、曲げモーメントMj1により基準化された曲げモーメント分布m(x)を規定する。
Figure 2022052974000007
曲げモーメント分布m(x)は、(37)式のように変形でき、さらに(38)式のように変形できる。ただし、合成小梁10の第1モーメント形状係数β、第2モーメント形状係数(モーメント形状係数)γは、(39)式、(40)式でそれぞれ規定される。
Figure 2022052974000008
なお、第1モーメント形状係数βは、曲げせん断応力比を表す。第2モーメント形状係数γは、鉛直等分布荷重比を表す。
モーメント形状係数β,γに対する曲げモーメント分布m(x)の変化を、図5から図7に示す。図5には、第1モーメント形状係数βが0の場合に、第2モーメント形状係数γを0,1,6,8,10と変化させた結果を示す。図6には、第1モーメント形状係数βが0.4の場合に、第2モーメント形状係数γを0,1,6,8,10と変化させた結果を示す。そして、図7には、第1モーメント形状係数βが1.0の場合に、第2モーメント形状係数γを0,1,6,8,10と変化させた結果を示す。
第1モーメント形状係数βが0,0.4,1.0のいずれの場合においても、第2モーメント形状係数γが大きくなるのに従い、x=0.5の位置における曲げモーメント分布m(x)が大きくなり、合成小梁10の端部10aにおける負曲げの領域が狭くなることが分かった。
〔1.2 設計変数の範囲〕
国際公開第2018/151298号(以下、文献2と言う)に開示された方法に基づいて、設計条件の広範囲にわたって、横座屈に対する曲げモーメント抵抗(横座屈耐力)Mを計算した。
文献2によると、曲げモーメント抵抗Mは、(41)式から(49)式で表される。
ただし、Eは、鉄骨小梁12のヤング係数である。Iは、鉄骨小梁12の断面二次モーメントである。dは、鉄骨小梁12のフランジ16,17の板厚中心間距離である。Gは、鉄骨小梁12のせん断弾性係数である。Jは、鉄骨小梁12のサン・ブナンのねじり定数である。Mは、鉄骨小梁12の全塑性モーメントである。φは、横座屈によって鉄骨小梁12に生じる横断面のねじり角である。ねじり角は、合成小梁10の端における回転角に相当する。tは、積分のための助変数である。φ’はφの一階微分、φ’’はφの二階微分を表す。
Figure 2022052974000009
この検討において、鉄骨小梁12の上フランジ16は、鉄骨小梁12のねじれによる幅方向Yの変位がスラブ11により完全に抑制されると仮定した。そして、鉄骨小梁12の長手方向Xの両端の下フランジ17の端面の反りは拘束されない(支持部でねじり角φの変化率φ’がゼロではない)と仮定した。
検討した変数の範囲を、表1に示す。検討した梁接合構造のケースは、91446に及ぶ。これらの検討ケースのうち、合成小梁の長さ、等分布荷重、合成小梁のサイズが非現実的な組み合わせとなっているものを、以下のように除いた。すなわち、等分布荷重w、合成小梁の長さL、鉄骨梁の曲げ剛性EIを用いて計算した単純支持を仮定した場合の梁のたわみδ(=5×w×L/(384×EI))がL/250を超えるケース(40326ケース)を除外した。以降の検討は、上記を除外した残り51120ケースを対象とした。
Figure 2022052974000010
表1に示すように、例えば、第1モーメント形状係数βを、最小値0から最大値1まで、所定の刻み幅で変化させた。モーメント形状係数γ等についても、同様である。
〔1.3 曲げモーメント分布と横座屈への感受性との関係〕
横座屈への感受性は、(Mj1/M)の式による値(以下、(Mj1/M)値と言う)により定量化することができる。図8から図13に、各第1モーメント形状係数βの値に対して、第2モーメント形状係数γに対する(Mj1/M)値の変化を示す。
各図において、横軸は第2モーメント形状係数γを表し、縦軸は(Mj1/M)値を表す。例えば、図8では、第1モーメント形状係数βが0である場合における、第2モーメント形状係数γに対する(Mj1/M)値の変化を示す。
図8から図13に示す結果から、(Mj1/M)値は、第1モーメント形状係数β及び第2モーメント形状係数γでは定まらないことが分かった。しかし、(Mj1/M)値の包絡線は、モーメント形状係数β,γの影響を受けるように思われる。包絡線は、各第2モーメント形状係数γに対する(Mj1/M)値の最大値を通る線である。
例えば、図8に示す第1モーメント形状係数βが0の場合、包絡線を符号L1で示す。図11に示す第1モーメント形状係数βが0.6の場合、包絡線を符号L2で示す。
〔2.両端が半剛接合された合成梁の撓みの微分方程式(厳密解)〕
以下の検討は、全て合成梁の弾性範囲(コンクリート21の引張抵抗は無視してもよい)に限定する。
図3に示す合成小梁10において、等分布荷重w(N/mm:ニュートン・パー・ミリメートル)が作用するとする。
接合部35の回転剛性(rotational stiffness of joint)を、S(Nmm/rad:ニュートンミリメートル・パー・ラジアン)とする。合成小梁10の端における回転角を、図3に示す正面視における時計回りを正としてθ(rad:ラジアン)とする。
このとき、合成小梁10の端における曲げモーメントの絶対値(端部の半剛接合部のモーメント。以下、半剛接モーメントという。)M(Nmm)は、(50)式で表される。
Figure 2022052974000011
合成小梁10の座標xに沿う曲げモーメントの分布M(x)(Nmm)は、合成小梁10の下フランジ17に引張応力が作用するとき(合成小梁10が正曲げされるとき)の曲げモーメントを正とすると、力の釣り合い条件から(51)式で表される。
Figure 2022052974000012
合成小梁10の曲率φ(rad/mm)は、合成小梁10に作用する曲げモーメントM(Nmm)と、合成小梁10の曲げ剛性EI(Nmm)と、を用いて表せる。合成小梁10の正曲げ剛性をEI(Nmm)とし、合成小梁10の負曲げ剛性をEI(Nmm)とする。そして、図4に示すように、座標xが0以上L以下の範囲、及びL以上L以下の範囲で合成小梁10が負曲げされるとする。ただし、Lは0よりも大きく、LはLよりも大きくLよりも小さい。座標xがL以上L以下の範囲で、合成小梁10が正曲げされるとする。
このとき、(51)式が0となる時のxの解が、L及びLである。
合成小梁10の曲率φは、合成小梁10が正曲げされる領域と、合成梁が負曲げされる領域と、に分けて、(52)式及び(53)式で表される。
Figure 2022052974000013
(51)式が0に等しいとした式をLについて解くと、L及びLが、(54)式及び(55)式で求まる。
Figure 2022052974000014
次に、合成小梁10(以下では、合成梁とも言う)の回転角θ(x)(rad)を、水平面に対し時計回りの回転を正(+)として説明する。回転角θ(x)は、(52)式及び(53)式の曲率φを座標xで積分し、さらに、座標xが0のときに回転角θがθになる境界条件を考慮して、(58)式を用いて、(59)式から(61)式のように表される。
Figure 2022052974000015
次に、合成梁に生じる撓みδ(x)(mm)を、鉛直下向きを正(+)として説明する。撓みδ(x)は、(59)式から(61)式の回転角θを座標xで積分し、さらに、座標xが0のときに撓みδ(x)が0になる境界条件を考慮して、(64)式及び(65)式を用いて、(66)式から(68)式のように表される。
Figure 2022052974000016
以上で求めた(66)式から(68)式は、半剛接モーメントM及び回転角θを含む形で表されているが、このままでは、任意の回転剛性Sに対して、半剛接モーメントM及び回転角θが一義的に決まらない。ここでさらに、座標xが(L/2)のときに回転角θが0radになるという変形の適合条件を用いると、(50)式及び(60)式から、回転剛性Sと回転角θとの関係が、(69)式のように表される。
Figure 2022052974000017
また、座標xがLのときに撓みδ(x)が0になるという変形の適合条件を用いると、(50)式及び(68)式から、回転剛性Sと回転角θとの関係が、(70)式のように表される。
なお、(69)式は(70)式と等価である。
Figure 2022052974000018
合成梁に生じる撓みの最大値δmaxは、(67)式における座標xが(L/2)のときの値となる。
前記(67)式を用いて撓みの最大値δmaxを算出するためには、(69)式又は(70)式を用いて収斂計算を行って回転角θを算出し、さらに(67)式を用いて、座標xが(L/2)のときの撓みδ(x)を算出する必要がある。
〔3.両端が半剛接合された合成梁の撓みの近似式〕
発明者らは無次元化された値である無次元化回転剛性及び無次元化曲げ剛性に基づいて撓みの最大値δmaxを評価することにより、合成梁の仕様によらずに、梁のモーメント分布及び端部曲げモーメント及び撓みの最大値δmaxを汎用性高く、かつ収斂計算を行わずに精度良く算出できることを見出した。
以下では、端部曲げモーメント及び撓みの最大値を陽関数により算出できる近似式について説明する。
(75)式及び(76)式のように、無次元化曲げ剛性α及び無次元化回転剛性αを規定した。
Figure 2022052974000019
すなわち、無次元化曲げ剛性αは、合成梁の正曲げ剛性及び合成梁の負曲げ剛性の比である。この例では、無次元化曲げ剛性αは、合成梁の負曲げ剛性EIに対する、合成梁の正曲げ剛性EIの比である。この場合、無次元化曲げ剛性αは、一般に1以上の値をとる。これは、通常床(スラブ)は梁の鉛直方向上方にあり、床のコンクリートは引張抵抗より圧縮抵抗が大きい。このため、床のコンクリートが引張られる負曲げに比べ、圧縮される正曲げに対して床の抵抗が大きくなるからである。一般的な合成梁の仕様では、無次元化曲げ剛性αは10以下であり、より一般的に用いられる合成梁では無次元化曲げ剛性αは3以下である。
なお、無次元化曲げ剛性αは、合成梁の正曲げ剛性EIに対する、合成梁の負曲げ剛性EIの比であるとしてもよい。
無次元化回転剛性αは、接合部の回転剛性を、合成梁の単位長さ当たりの曲げ剛性で除した値である。正曲げ剛性と負曲げ剛性とが互いに異なる合成梁の場合には、無次元化回転剛性αの計算に、曲げ剛性として負曲げ剛性を用いることが好ましい。
さらに、ピン接モーメントM、半剛接モーメントM、剛接モーメントMjr、無次元化接合部モーメントβMj、及び無次元化剛接モーメントβMj,rigidを規定した。
ピン接モーメントMは、正曲げ剛性と負曲げ剛性とが互いに等しい梁において、両端がそれぞれピン接合されて全長にわたって等分布荷重が作用するとしたときの前記梁の端に作用する曲げモーメントに等しい。ピン接モーメントMは、(77)式で表される。具体的には、ピン接モーメントMは、(wL/8)の式による値である。
Figure 2022052974000020
半剛接モーメントMは、前述のように、合成梁の端における曲げモーメントの絶対値であり、より具体的には、正曲げ剛性と負曲げ剛性とが互いに異なる合成梁において、両端がそれぞれ半剛接合されて全長にわたって等分布荷重が作用する合成梁の端に作用する曲げモーメントのことを意味する。半剛接モーメントMは、(69)式又は(70)式を用いて収斂計算を行って算出した回転角θを用い、(50)式で表される。
剛接モーメントMjrは、正曲げ剛性と負曲げ剛性とが互いに異なる合成梁において、両端がそれぞれ剛接合されて全長にわたって等分布荷重が作用するとしたときの合成梁の端に作用する曲げモーメントのことを意味する。
なお、〔3.〕における合成梁は、正曲げ剛性と負曲げ剛性とが互いに異なる梁である。説明の便宜上、正曲げ剛性と負曲げ剛性とが互いに等しい比較例の梁を仮定する。その比較例の梁において、両端がそれぞれ剛接合されて全長にわたって等分布荷重が作用するとしたとき、剛接モーメントMjrは(wL/12)の式による値である。
無次元化接合部モーメントβMjは、半剛接モーメントMをピン接モーメントMで除した値であり、(79)式で表される。
Figure 2022052974000021
無次元化剛接モーメントβMj,rigidは、剛接モーメントMjrをピン接モーメントMで除した値であり、(80)式で表される。
Figure 2022052974000022
前記無次元化回転剛性α、無次元化曲げ剛性α等の指標を評価するために、表2に示すケース1からケース6の仕様の合成梁に対して、無次元化回転剛性α、無次元化曲げ剛性αを変化させて無次元化接合部モーメントβMjを試算した。
なお、ケース1からケース5では合成梁の両端が半剛接合され、ケース6では合成梁の両端が剛接合される。
Figure 2022052974000023
ケース1では、合成梁の長さLを10.0m(10000mm)、負曲げ剛性EIを229397kNm、等分布荷重wを28.6kN/m(28.6N/mm)とし、ピン接モーメントMは(77)式から357kNmとした。ケース1では、無次元化回転剛性αを、最小値0.00から最大値50.00まで1.00刻みで、51種類の値に変化させた。すなわち、無次元化回転剛性αを、0.00、1.00、2.00、‥、50.00の値とした。無次元化曲げ剛性αを、最小値1.00から最大値6.00まで0.10刻みで、51種類の値に変化させた。すなわち、無次元化曲げ剛性αを、1.00、1.10、1.20、‥、6.00の値とした。ケース1では、無次元化回転剛性α及び無次元化曲げ剛性αの値を変化させた、(51×51)の式による2601通りの場合を試算した。
ケース2では、ケース1において、合成梁の長さLを15.0mとし、ピン接モーメントMは(77)式から803kNmとした。ケース2では、ケース1と同様に無次元化回転剛性α及び無次元化曲げ剛性αを変化させ、2601通りの場合を試算した。
ケース3では、ケース2において、無次元化回転剛性αの刻み、及び無次元化曲げ剛性αの最大値及び刻みを変化させた。すなわち、ケース3では、無次元化回転剛性αを、最小値0.00から最大値50.00まで0.01刻みで、5001種類の値に変化させた。すなわち、無次元化回転剛性αを、0.00、0.01、0.02、‥、50.00の値とした。無次元化曲げ剛性αを、最小値1.00から最大値1.06まで0.01刻みで、7種類の値に変化させた。すなわち、無次元化曲げ剛性αを、1.00、1.01、1.02、‥、1.06の値とした。ケース3では、無次元化回転剛性α及び無次元化曲げ剛性αの値を変化させた、(5001×7)の式による35007通りの場合を試算した。ケース3では、ケース2における無次元化回転剛性α及び無次元化曲げ剛性αの一部の範囲に対して、より詳細に試算した。
ケース4では、ケース1において、合成梁の長さLを8.4m、負曲げ剛性EIを214311kNmとし、ピン接モーメントMは(77)式から252kNmとした。ケース4では、無次元化回転剛性αを、最小値0.00から最大値100.00まで0.50刻みで、201種類の値に変化させた。すなわち、無次元化回転剛性αを、0.00、0.50、1.00、‥、100.00の値とした。無次元化曲げ剛性αを、最小値1.00から最大値1.30まで0.05刻みで、7種類の値に変化させた。すなわち、無次元化曲げ剛性αを、1.00、1.05、1.10、‥、1.30の値とした。ケース4では、無次元化回転剛性α及び無次元化曲げ剛性αの値を変化させた、(201×7)の式による1407通りの場合を試算した。
ケース5では、ケース1において、合成梁の長さLを13.8mとし、ピン接モーメントMは(77)式から680kNmとした。ケース5では、無次元化回転剛性αの値はケース4と同様に変化させた。無次元化曲げ剛性αを、最小値1.00から最大値4.00まで0.50刻みで、7種類の値に変化させた。すなわち、無次元化曲げ剛性αを、1.00、1.50、2.00、‥、4.00の値とした。ケース5では、無次元化回転剛性α及び無次元化曲げ剛性αの値を変化させた、(201×7)の式による1407通りの場合を試算した。
ケース1からケース5では、合計で43023通りの場合を試算した。
ケース6では、ケース2において、無次元化回転剛性α、及び無次元化曲げ剛性αの最大値を変化させた。ケース6では、無次元化回転剛性αを無限大(∞)、すなわち回転剛性Sを無限大にして、合成梁の両端が剛接合されるとした。無次元化曲げ剛性αを、最小値1.00から最大値51.00まで0.10刻みで、501種類の値に変化させた。すなわち、無次元化曲げ剛性αを、1.00、1.10、1.20、‥、51.00の値とした。
図14に、ケース1からケース5における無次元化回転剛性αと無次元化接合部モーメントβMjとの関係を示す。図14において、横軸は無次元化回転剛性αを表し、縦軸は無次元化接合部モーメントβMjを表す。
直線L11は、正曲げ剛性と負曲げ剛性とが互いに等しい通常の梁における無次元化剛接モーメントβMj,rigid,uである。通常の梁において、長さをL(mm)、等分布荷重をw(N/mm)とする。この場合、通常の梁において、剛接モーメントMjrは(wL/12)、ピン接モーメントMは(wL/8)であるため、無次元化剛接モーメントβMj,rigid,uは{(wL/12)/(wL/8)}の式により、約0.667の値になる。
ケース1の試算結果を、白抜きの正方形印で表す。同様に、ケース2の試算結果を白抜きの三角形印で表し、ケース3の試算結果を白抜きの丸形印で表し、ケース4の試算結果を白抜きの菱形印で表し、ケース5の試算結果をバツ印で表す。
横軸の無次元化回転剛性αが大きくなるのに従い、合成梁の両端の接合が剛接合に近づく。無次元化曲げ剛性αが1に近づくに従い、無次元化接合部モーメントβMjは、ケース1からケース5の上限の包絡線である曲線L12に近づく。
さらに、無次元化回転剛性αが大きくなるのに従い、合成梁の両端の接合が剛接合に近づき、無次元化接合部モーメントβMjは上限値である、直線L11が表す無次元化剛接モーメントβMj,rigidの値に収束する。
曲線L12により表される無次元化接合部モーメントβMjは、関数の形状と、無次元化回転剛性αが0及び無限大となるときの無次元化接合部モーメントβMjの極限を考慮して、(82)式で近似できると考えられる。
Figure 2022052974000024
(82)式において、kは係数である。変数αj,Tは、無次元化接合部モーメントβMjが無次元化剛接モーメントβMj,rigidの半分の値をとるときの無次元化回転剛性αである。以下では、無次元化剛接モーメントβMj,rigid、係数k、変数αj,Tの同定方法を提案する。
〔4.両端がそれぞれ半剛接合された合成梁の接合部モーメントの近似式の同定〕
〔4.1.無次元化剛接モーメントの支配変数〕
(69)式において、合成梁の両端が剛接合される場合、回転剛性Sを無限大(無次元化回転剛性αを無限大)とし、さらに方程式を無次元化剛接モーメントβMj,rigid、無次元化曲げ剛性α、ピン接モーメントMを用いて式を表すと、(86)式のようになる。
Figure 2022052974000025
(86)式は、(87)式及び(88)式のように変形される。さらに、(89)式を用いて、(90)式のように変形される。
Figure 2022052974000026
以上から、無次元化剛接モーメントβMj,rigidは厳密には、(90)式による3次方程式の解であり、無次元化剛接モーメントβMj,rigidの解は、無次元化曲げ剛性αにのみ依存し、合成梁の長さL、等分布荷重w等には依存しないことがわかった。従って、3次方程式の解法であるカルダノの公式を用いて(90)式の解を求め、そのうちの実数解により、無次元化剛接モーメントβMj,rigidの厳密解を得ることができる。
なお、前記ケース6についての無次元化曲げ剛性αと無次元化剛接モーメントβMj,rigidとの試算結果の関係は、図15に示すようになる。図15において、横軸は無次元化曲げ剛性αを表し、縦軸は無次元化剛接モーメントβMj,rigidを表す。
〔4.2.無次元化剛接モーメントの近似式〕
無次元化剛接モーメントβMj,rigidは、厳密には(90)式による3次方程式の実数解として得ることができる。しかし、図15に示すように、無次元化曲げ剛性αが約10以下の範囲では、無次元化剛接モーメントβMj,rigidは、無次元化曲げ剛性αの常用対数の線形式で近似できると考えられる。
前述のように、一般的な合成梁のスラブの厚さであれば無次元化曲げ剛性αは10以下である。このため、図15において、無次元化曲げ剛性αが10以下の範囲を線形式で近似して、無次元化剛接モーメントβMj,rigidを(93)式で近似する。
Figure 2022052974000027
(93)式では、無次元化曲げ剛性αに基づいて無次元化剛接モーメントβMj,rigidを陽関数により算出している。
(93)式を、図15中に直線L14で示す。無次元化曲げ剛性αが10以下の範囲では、直線L14は試算結果と重なっている。
なお、ケース6について、無次元化剛接モーメントβMj,rigidの(93)式による近似解と、(90)式による厳密解を比較して図16に示す。図16において、横軸は(93)式による無次元化剛接モーメントβMj,rigidの近似解を表し、縦軸は(90)式による無次元化剛接モーメントβMj,rigidの厳密解(無次元化剛接モーメントβMj,rigid,Theo)を表す。無次元化剛接モーメントβMj,rigidの近似解及び厳密解が互いに一致していれば、試算結果のプロットは、直線L16上に配置される。
無次元化剛接モーメントβMj,rigidの近似解と厳密解とは、無次元化剛接モーメントβMj,rigidの近似解が0.4を超えるときには、概ね一致する。しかし、無次元化剛接モーメントβMj,rigidの近似解が0.4以下のときには、無次元化剛接モーメントβMj,rigidを(94)式で補正してもよい。(94)式を、図16中に無次元化剛接モーメントβMj,rigidを横軸、無次元化剛接モーメントβMj,rigid,Theoを縦軸にとり、曲線L17で示す。無次元化剛接モーメントβMj,rigid,Theoは、無次元化剛接モーメントβMj,rigidの厳密解と重なっている。
Figure 2022052974000028
すなわち、無次元化剛接モーメントβMj,rigidの近似解がβMj,rigid,lim以下のときには、合成小梁10の両端がそれぞれ半剛接合の場合には、(82)式において、無次元化剛接モーメントβMj,rigidに代えて、無次元化剛接モーメントβMj,rigidに基づいて(94)式により算出される無次元化剛接モーメントβMj,rigid,Theoを用いてもよい。
ここで、βMj,rigid,limは、合成小梁10の両端がそれぞれ半剛接合の場合には、0.4である。
次に、係数k及び変数αj,Tの近似式を求める。
各無次元化曲げ剛性αについて、係数kを差分進化法で求めた。求めた係数kと無次元化曲げ剛性αとの関係を、図17に示す。係数kは、無次元化曲げ剛性αに高次で依存しており、(95)式で近似した。
同様に、各無次元化曲げ剛性αについて、変数αj,Tを差分進化法で求めた。求めた変数αj,Tと無次元化曲げ剛性αとの関係を、図18に示す。変数αj,Tは、無次元化曲げ剛性αに高次で依存しており、(96)式で近似した。
Figure 2022052974000029
(95)式を、図17中に曲線L18で示す。検討範囲において、曲線L18は試算結果をよく近似している。同様に、(96)式を、図18中に曲線L19で示す。検討範囲において、曲線L19は試算結果をよく近似している。
前述のように無次元化剛接モーメントβMj,rigid、係数k、変数αj,Tが無次元化曲げ剛性αにより算出されると、(82)式により無次元化接合部モーメントβMjが算出される。すなわち、算出した無次元化曲げ剛性α、無次元化回転剛性α、及び無次元化剛接モーメントβMj,rigidに基づいて、無次元化接合部モーメントβMjを(82)式の陽関数により算出する。より詳しく説明すると、無次元化接合部モーメントβMjを、(93)式、(95)式、(96)式を用いて(82)式により算出する。または、(93)式の代わりに、(93)式及び(94)式を用いて算出した無次元化剛接モーメントβMj,rigid,Theoを(82)式の無次元化剛接モーメントβMj,rigidに代入して無次元化接合部モーメントβMjを算出してもよい。
〔5.一方の端がピン接合、他方の端が半剛接合された合成梁の接合部モーメントの近似式の同定〕
発明者らは、〔3.〕と同じパラメータで、一方の端がピン接合、他方の端が半剛接合された正曲げと負曲げの剛性が異なる合成梁についても近似式を検討した。その結果、〔4.〕と同様、無次元化回転剛性α及び無次元化曲げ剛性αに基づいて、(82)式を用いて無次元化接合部モーメントβMj及び梁のモーメント分布を求めることにより、合成梁の仕様によらずに、端部曲げモーメント及び撓みの最大値δmaxを汎用性高く、かつ収斂計算を行わずに精度良く算出できることを見出した。
ただし、一方の端がピン接合、一方の端とは反対の他方の端が半剛接合された合成梁の場合は、係数k、変数αj,Tの算出には(95)式、(96)式に代わって(95-2)式、(96-2)式を用いる。βMj,rigidの算出には(93)式に代わって(93-2)式を用いる。このとき、αが2以上、またはβMj,rigidがβMj,rigid,lim以下のときは、(93-2)式及び(94-2)式を用いて算出した無次元化剛接モーメントβMj,rigid,Theoを(82)式の無次元化剛接モーメントβMj,rigidに代入して無次元化接合部モーメントβMjを算出してもよい。
ここで、βMj,rigid,limは、合成小梁10の一方の端がピン接合、他方の端が半剛接合の場合には、0.8とする。
この場合においても、第2モーメント形状係数γが(100)式を満たすように、一対の接合部35それぞれの回転剛性S、合成小梁10の長さL、及び曲げ剛性EI,EIが調整される。
なお、一方の端がピン接合、他方の端が剛接合された一様な梁の固定端モーメントMj1は(wL/8)、ピン接モーメントMは(wL/8)であるため、無次元化剛接モーメントβMj,rigid,uは{(wL/8)/(wL/8)}の式により、1.0の値になる。
無次元化剛接モーメントβMj,rigidの近似解がβMj,rigid,lim以下のときで、合成小梁10の一方の端がピン接合であり他方の端が半剛接合の場合には、無次元化剛接モーメントβMj,rigidに代えて、無次元化剛接モーメントβMj,rigidに基づいて(94-2)式により算出される無次元化剛接モーメントβMj,rigid,Theoを用いる。
Figure 2022052974000030
〔6.横座屈を避けるための閾値の規格化〕
〔6.1.曲げモーメント分布に対する要因の許容値〕
図8から図13における包絡線を、図19に示す。(Mj1/M)値が1.0を超えることは、横座屈が生じるため、そのケースは認められないことを意味する。そして、第2モーメント形状係数γが減少するのに従い漸次、(Mj1/M)値が増加する。このことにより、(Mj1/M)値が1.0に等しいときの第2モーメント形状係数γの値よりも第2モーメント形状係数γを大きく調整することで、横座屈が生じなくなることが分かる。例えば、第1モーメント形状係数βが0の場合に、包絡線L1において、(Mj1/M)値が1.0のときの第2モーメント形状係数γの値を、γとする。第1モーメント形状係数βが0の場合に、第2モーメント形状係数γの値をγ以上に調整すると、(Mj1/M)値が1.0以下になり、鉄骨小梁12に横座屈が生じるのが抑制される。
接合部35の接合モーメント(joint moment)を抑えることで、もしくは(40)式に基づく第2モーメント形状係数γを大きくすることで、(Mj1/M)の値が抑制され、鉄骨小梁12に横座屈が生じるのが抑制される。そして、接合部35の回転剛性Sまたは無次元化回転剛性αを減少させることによって、接合モーメントを抑制する、または第2モーメント形状係数γを大きくすることができる。
一方で、鉄骨小梁12の撓み及び最大曲げモーメントを抑制して半剛接合の利点を保証する観点から、第2モーメント形状係数γの上限値が定量化されるべきである。それゆえに、第2モーメント形状係数γは、(100)式で示される範囲内に制御されるべきである。
Figure 2022052974000031
〔3.〕、〔4.〕、及び〔5.〕で説明したように、(50)式等の曲げモーメントの分布と接合部35の回転剛性Sとの関係は、後述する手続きに従って近似される。従って、下限値γllim,及び上限値γulimは、後述するように定量化される。
〔6.2.曲げモーメント分布に対する要因の許容下限値〕
(Mj1/M)値が1.0に等しいときの第2モーメント形状係数γの値γは、第2モーメント形状係数γに許される最小値である。この最小値は、下限値γllimである。下限値γllimは、横座屈が生じないために、第1モーメント形状係数βに基づいて定められる。
図20の曲線L22は、図19において、各包絡線における(Mj1/M)値が1.0のときの第2モーメント形状係数γの値を示した図である。図20において、横軸は第1モーメント形状係数βを表し、縦軸は下限値γllimを表す。この(Mj1/M)値が1.0のときの第2モーメント形状係数γの値が、下限値γllimに対応する。図20に示すように、下限値γllimは、第1モーメント形状係数βの多項式でほぼ近似できる。図20中の近似曲線L22は、(101)式で表される。なお、近似曲線L22の決定係数Rは、0.9983である。
さらに、長期荷重に対する設計では、安全率1.5を考慮する。このため、(Mj1/M)値が2/3に等しいときの第2モーメント形状係数γの値は、長期荷重に対する設計において第2モーメント形状係数γに許される最小値である。この最小値は、下限値γllimである。下限値γllimは、横座屈が生じないために、第1モーメント形状係数βに基づいて定められる。図20の曲線L23は、図19において、各包絡線における(Mj1/M)値が2/3のときの第2モーメント形状係数γの値を示した図である。図20において、横軸は第1モーメント形状係数βを表し、縦軸は下限値γllimを表す。この(Mj1/M)値が2/3のときの第2モーメント形状係数γの値が、長期荷重に対する設計において下限値γllimに対応する。図20に示すように、下限値γllimは、第1モーメント形状係数βの多項式でほぼ近似できる。図20中の近似曲線L23は、(101B)式で表される。なお、近似曲線L23の決定係数Rは、0.9998である。
Figure 2022052974000032
この近似曲線L22及びL23から、第1モーメント形状係数βに基づいて、許容される第2モーメント形状係数γが、(102)式及び(102B)式のように定められる。
Figure 2022052974000033
前記のように定められた下限値γllimは、〔3.〕、〔4.〕及び〔5.〕で提案された関係を用いて、接合部等価剛性(equivalent joint stiffness)に変換される。前記(40)式は、無次元化接合部モーメントβMjを用いて、(103)式のように表される。
Figure 2022052974000034
ここで、無次元化接合部モーメントβMjは、(79A)式のように表される。
Figure 2022052974000035
また、〔3.〕、〔4.〕及び〔5.〕によると、無次元化接合部モーメントβMjは、概算で(82A)式のように表される。
Figure 2022052974000036
(102)式、(103)式、及び(82A)式から、許可される無次元化接合部モーメントβMjが、(104)式のように表される。
Figure 2022052974000037
(104)式をk<0であることを考慮して無次元化回転剛性αについて解くと、無次元化接合部モーメントβMjは、前記(23)式により接合部35の回転剛性Sに変換される。従って、下限値γllimに相当する回転剛性Sの上限値Sj,ulimは、決定される。回転剛性Sが上限値Sj,ulimを超えない限り、横座屈は発生しない。
〔6.3.曲げモーメント分布に対する要因の許容上限値〕
上限値γulimは、半剛接合の利点を得るための第2モーメント形状係数γの上限値である。上限値γulimは、無次元化回転剛性αが0.5に等しくなる状態に相当すると想定される。この状態は、前記文献1に記載された、半剛接合に対する最低限の剛性に相当する。上限値γulimは、無次元化回転剛性αが0.5である無次元化回転剛性αの下限値(αj,min)に等しいとして置換し、合成梁の特性を考慮したうえで、(103)式及び(82A)式を用いることで、(105)式のように決定される。整理すると、上限値γulimは、(105A)式のように決定される。
Figure 2022052974000038
それ故に、回転剛性Sが、回転剛性Sの下限値Sj,llimよりも小さくならない限り、半剛接合の接合部35の利点は達成される。なお、下限値Sj,llimは、0.5(EI/L)の式で与えられる。
〔6.4.接合部剛性の、許容範囲〕
第2モーメント形状係数γの下限値γllim、上限値γulimは、無次元化回転剛性αの上限値αj,ulim、下限値αj,llimにそれぞれ変換(換算)される。
(103)式及び(82A)式から、第2モーメント形状係数γの(100)式に対応する無次元化回転剛性αの許容範囲が、(106)式のように得られる。
なお、(106)式における無次元化接合部モーメントβMjは、(107)式から得られる。
Figure 2022052974000039
図21は、本実施形態の1例である連続梁100を模式的に示したものである。連続梁100は、複数の合成小梁を長手方向に互いに接合して構成されている。連続梁100では、長手方向の両始終端の2つの支点(接合部)100aがピン接合であり、100aを除く中間スパンの支点100bが半剛接合である。任意の隣り合う2つの支点間の梁のうち、両端支点が支点100bである合成小梁を、中間スパンの合成小梁101(合成小梁101)と言う。片端支点が支点100a、もう一方の端部支点が支点100bである合成小梁を、端スパンの合成小梁102(合成小梁102)と言う。
本実施形態の合成小梁10は、図21に示すように、連続梁100の中間スパンの合成小梁101、端スパンの合成小梁102を含む。
本実施形態の中間スパンの合成小梁101では、第2モーメント形状係数γが、(39)式を用いて得られる(102)式、及び(75)式、(93)式、(94)式、(95)式、(96)式を用いて得られる(105)式を満たすように、一対の接合部35それぞれの回転剛性S、合成小梁10の長さL、及び曲げ剛性EI,EIが調整されている。これにより、中間スパンの合成小梁101に生じる負曲げモーメントが、中間スパンの合成小梁101の横座屈耐力よりも大きくならない。例えば、回転剛性S及び曲げ剛性EI,EIの調整は、スラブ11の厚さ、補強鉄筋22の量(コンクリート21の単位体積当たりに埋設される補強鉄筋22の体積)、シアコネクタ13の配置、及びシアコネクタ13の量の少なくとも1つを調整することで行われる。
なお、一対の接合部35の一方が(102)式または(102B)式を満たすように、回転剛性S及び梁長さL、曲げ剛性EI,EIが調整されていてもよい。
中間スパンの合成小梁101では、(106)式中の第2式及び第3式を用いて得られる第1式を、一対の接合部35の無次元化回転剛性αがそれぞれ満たすことが好ましい。
なお、中間スパンの合成小梁101の長手方向Xの中間部に、補剛材が設けられていない。
本実施形態の端スパンの合成小梁102では、第2モーメント形状係数γが、(39)式を用いて得られる(102)式、及び(75)式、(93-2)式、(94-2)式、(95-2)式、(96-2)式を用いて得られる(105)式を満たすように、接合部35の回転剛性S及び端スパンの合成小梁102の長さL、曲げ剛性EI,EIが調整されている。これにより、端スパンの合成小梁102に生じる負曲げモーメントが、端スパンの合成小梁102の横座屈耐力よりも大きくならない。例えば、回転剛性S及び曲げ剛性EI,EIの調整は、スラブ11の厚さ、補強鉄筋22の量(コンクリート21の単位体積当たりに埋設される補強鉄筋22の体積)、シアコネクタ13の配置、及びシアコネクタ13の量の少なくとも1つを調整することで行われる。
なお、接合部35が(102)式または(102B)式を満たすように、回転剛性S及び梁長さL、曲げ剛性EI,EIが調整されていてもよい。
端スパンの合成小梁102では、(106)式中の第2式及び第3式を用いて得られる第1式を、一対の接合部35の無次元化回転剛性αがそれぞれ満たすことが好ましい。
なお、端スパンの合成小梁102の長手方向Xの中間部に、補剛材が設けられていない。
なお、前記調整は、合成小梁10についても同様に適用される。
合成小梁10では、第2モーメント形状係数γが(105)式(100式)を満たすように、一対の接合部35の少なくとも一方の回転剛性S、合成小梁10の長さL、及び曲げ剛性EI,EIの少なくとも1つが調整されていてもよい。
次に、前記梁接合構造2を設計する、本実施形態の梁接合構造の設計方法(以下、単に設計方法と言う)について説明する。なお、合成小梁10に、合成小梁10の全長にわたって等分布荷重wが作用している。
設計方法では、調整工程を行う。調整工程では、合成小梁10に生じる負曲げモーメントが、合成小梁10の横座屈耐力よりも大きくならないように、中間スパンの合成小梁101の場合は一対の接合部100bの、端スパンの合成梁102の場合は中間スパンの合成小梁101側の端部の接合部100a,100bの回転剛性S、合成小梁の長さ、及び合成小梁10の曲げ剛性EI,EIを調整する。なお、調整工程では、中間スパンの合成小梁101の場合は一対の接合部100bの、端スパンの合成梁102の場合は中間スパンの合成小梁101側の端部の接合部100bの一方の回転剛性Sj、合成小梁の長さ、及び合成小梁10の曲げ剛性EI,EIを調整してもよい。
調整工程では、各接合部の回転剛性S、合成小梁の長さ、及び合成小梁の曲げ剛性EI,EIの少なくとも1つを調整してもよい。
より詳しく説明すると、調整工程では、中間スパンの合成小梁101の第2モーメント形状係数γが、(39)式を用いて得られる(102)式または(102B)式、及び(75)式、(93)式、(94)式、(95)式、(96)式を用いて得られる(105)式を満たすように、一対の接合部35それぞれの回転剛性S及び中間スパンの合成小梁101の長さL、曲げ剛性EI,EIを調整する。また、端スパンの合成小梁102の第2モーメント形状係数γが、(39)式を用いて得られる(102)式または(102B)式、及び(75)式、(93-2)式、(94-2)式、(95-2)式、(96-2)式を用いて得られる(105)式を満たすように、片端の接合部35の回転剛性S及び端スパンの合成小梁102の長さL、曲げ剛性EI,EIを調整する。具体的には、調整工程では、梁のスパンや補強鉄筋22の量、シアコネクタ13の配置、及びシアコネクタ13の量の少なくとも1つを調整することで、接合部35の回転剛性S及び合成小梁10の長さL、曲げ剛性EI,EIを調整する。
この調整工程では、合成小梁の両端の接合条件に応じて、前記のように用いる式が使い分けられる。
なお、本設計方法は、合成小梁10に対しても、同様に適用可能である。
以上説明したように、本実施形態の梁接合構造2によれば、発明者らは、等分布荷重wが作用する合成小梁10において、以下のことを見出した。すなわち、各接合部35をピン接合すると合成小梁10の各端部10aにおける負曲げの領域が無いため、合成小梁10に横座屈が生じないが、合成小梁10の長手方向Xの中間部における曲げモーメント及びたわみ量が大きくなる。一方で、各接合部35を剛接合すると合成小梁10の各端部10aにおける負曲げの領域が広くなるため、合成小梁10に横座屈が生じやすくなるが、合成小梁10の長手方向Xの中間部における曲げモーメント及びたわみ量が小さくなる。そこで、発明者らは、多数の梁接合構造2を、モーメント形状係数γに基づいて鋭意検討した。その結果、合成小梁10の両端の接合条件に応じて、モーメント形状係数γが(100)式を満たすように、各接合部35における回転剛性S、合成小梁10の長さL、及び曲げ剛性EI,EIを調整すると、合成小梁10の端部10aにおける負曲げの領域が適切に調節され、合成小梁10に生じる負曲げモーメントが合成小梁10の横座屈耐力よりも大きくならない。その結果、合成小梁10に横座屈が生じるのが抑制されつつ、合成小梁10の長手方向Xの中間部における曲げモーメントが抑えられることを見出した。
従って、梁接合構造2では、モーメント形状係数γが(100)式を満たすように調整されているため、合成小梁10の長手方向Xの中間部における曲げモーメントを抑えつつ、合成小梁10に横座屈が生じるのを抑制することができる。
以上のように、横座屈が発生しなく半剛接合の利点を維持する、接合部35の回転剛性Sの有効な範囲が、半剛接合により支持された合成小梁10の設計の試みを通じて、一般化され定量化された。
合成小梁10では、(106)式中の第2式及び第3式を用いて得られる第1式を、各接合部35の無次元化回転剛性αが満たす。(100)式によるモーメント形状係数γの下限値γllim及び上限値γulimにより規定される範囲を、無次元化回転剛性αの上限値αulim及び下限値αllimにより規定される範囲に換算することができる。無次元化回転剛性αに、合成小梁10の単位長さ当たりの曲げ剛性を乗じることで、接合部35の回転剛性Sが容易に求まる。従って、(106)式により、接合部35の回転剛性Sが容易に求まる無次元化回転剛性αの範囲を規定することができる。
中間スパンの合成小梁101の場合には、(93)式で計算される無次元化剛接モーメントβMj,rigidの近似解がβMj,rigid,lim以下のときには、(82)式において、合成小梁10の両端の接合条件に応じて、無次元化剛接モーメントβMj,rigidに代えて、(93)式で計算される無次元化剛接モーメントβMj,rigidに基づいて(94)式により算出される無次元化剛接モーメントβMj,rigid,Theoを用いる。(93)式で計算される無次元化剛接モーメントβMj,rigidがβMj,rigid,lim以下である場合には、無次元化剛接モーメントβMj,rigidが厳密解に対して誤差が大きくなる。この場合であっても、無次元化剛接モーメントβMj,rigidに代えて無次元化剛接モーメントβMj,rigid,Theoを用いることにより、無次元化剛接モーメントをより精度良く算出することができる。中間スパンの合成小梁101の場合には、βMj,rigid,limは0.4とする。
端スパンの合成小梁102の場合には、無次元化剛接モーメントβMj,rigidの近似解がβMj,rigid,lim以下のときには、(82)式において、(93-2)式で計算される無次元化剛接モーメントβMj,rigidに代えて、(93-2)式で計算される無次元化剛接モーメントβMj,rigidに基づいて(94-2)式により算出される無次元化剛接モーメントβMj,rigid,Theoを用いる。無次元化剛接モーメントβMj,rigidが0.4以下である場合には、無次元化剛接モーメントβMj,rigidが厳密解に対して誤差が大きくなる。この場合であっても、無次元化剛接モーメントβMj,rigidに代えて無次元化剛接モーメントβMj,rigid,Theoを用いることにより、無次元化剛接モーメントをより精度良く算出することができる。端スパンの合成小梁102の場合には、βMj,rigid,limは0.8とする。
合成小梁10の長手方向Xの中間部には、補剛材が設けられていない。梁接合構造2に補剛材が設けられていなくても、モーメント形状係数γが(100)式を満たすように調整されているため、合成小梁10の長手方向Xの中間部に横座屈が生じるのを抑制することができる。
また、本実施形態の設計方法によれば、発明者らは、等分布荷重wが作用する合成小梁10において、以下のことを見出した。すなわち、各接合部35をピン接合すると合成小梁10の各端部10aにおける負曲げの領域が無いため、合成小梁10に横座屈が生じないが、合成小梁10の長手方向Xの中間部における曲げモーメント及びたわみ量が大きくなる。一方で、各接合部35を剛接合すると合成小梁10の各端部10aにおける負曲げの領域が広くなるため、合成小梁10に横座屈が生じやすくなるが、合成小梁10の長手方向Xの中間部における曲げモーメント及びたわみ量が小さくなる。
このため、調整工程において、合成小梁10に生じる負曲げモーメントが、合成小梁10の横座屈耐力よりも大きくならないように、各接合部35の回転剛性S、梁長さL、及び合成梁の曲げ剛性EI,EIを調整する。これにより、合成小梁10の長手方向Xの中間部における曲げモーメントを抑えつつ、合成小梁10に横座屈が生じるのを抑制することができる。
中間スパンの合成小梁101の場合には、(39)式を用いて得られる(102)式、及び(75)式、(93)式、(94)式、(95)式、(96)式を用いて得られる(105)式を満たすように、一対の接合部35それぞれの回転剛性S及び中間スパンの合成小梁101の長さL、曲げ剛性EI,EIを調整する。
端スパンの合成小梁101の場合には、(39)式を用いて得られる(102)式、及び(75)式、(93-2)式、(94-2)式、(95-2)式、(96-2)式を用いて得られる(105)式を満たすように、片端の接合部35の回転剛性S及び中間スパンの合成小梁101の長さL、曲げ剛性EI,EIを調整する。
発明者らは、多数の梁接合構造2を、モーメント形状係数γに基づいて鋭意検討した。その結果、モーメント形状係数γが(100)式を満たすように、各接合部35における回転剛性S、合成小梁10の長さL、及び曲げ剛性EI,EIを調整すると、合成小梁10の端部10aにおける負曲げの領域が適切に調節され、合成小梁10に生じる負曲げモーメントが合成小梁10の横座屈耐力よりも大きくならない。その結果、合成小梁10に横座屈が生じるのが抑制されつつ、合成小梁10の長手方向Xの中間部における曲げモーメントが抑えられることを見出した。
従って、設計方法では、モーメント形状係数γが(100)式を満たすように調整するため、合成小梁10の長手方向Xの中間部における曲げモーメントを抑えつつ、合成小梁10に横座屈が生じるのを抑制することができる。
調整工程では、スラブ11の厚さ、補強鉄筋22の量、シアコネクタ13の配置、及びシアコネクタ13の量の少なくとも1つを調整することで、各回転剛性S及び曲げ剛性EI,EIを調整する。従って、調整工程において、補強鉄筋22の量、シアコネクタ13の配置、及びシアコネクタ13の量の少なくとも1つを調整するという簡単な調整で、各接合部35の回転剛性S及び合成小梁10の曲げ剛性EI,EIを容易に調整することができる。
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記梁接合構造2では、第2モーメント形状係数γが(102)式または(102B)式を満たすように、一対の接合部35それぞれの回転剛性S及び合成小梁10の長さL、曲げ剛性EI,EIが調整されていなくてもよい。
中間スパンの合成小梁101において無次元化剛接モーメントβMj,rigidの近似解が0.4以下のときでも、(82)式において、無次元化剛接モーメントβMj,rigidに代えて、無次元化剛接モーメントβMj,rigidに基づいて(94)式により算出される無次元化剛接モーメントβMj,rigid,Theoを用いなくてもよい。
端スパンの合成小梁102において無次元化剛接モーメントβMj,rigidの近似解が0.8以下のときでも、(82)式において、無次元化剛接モーメントβMj,rigidに代えて、無次元化剛接モーメントβMj,rigidに基づいて(94-2)式により算出される無次元化剛接モーメントβMj,rigid,Theoを用いなくてもよい。
調整工程では、第2モーメント形状係数γが(102)式または(102B)式を満たすように、各接合部35それぞれの回転剛性S及び合成小梁10の長さL、曲げ剛性EI,EIを調整しなくてもよい。
なお、長手方向Xに並べられた複数の鉄骨小梁12が互いに半剛接合により接合されることで、連続小梁を構成してもよい。
合成梁が合成小梁10であり、支持部が大梁30であるとした。しかし、合成梁が合成大梁であり、支持部が柱である等としてもよい。
(実施例)
以下では、本発明の実施例及び比較例を具体的に示してより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
表3~表7に、本発明の実施例を示す。
Figure 2022052974000040
Figure 2022052974000041
Figure 2022052974000042
Figure 2022052974000043
表3~表6のNo.1~3は、比較対象となる、両端がピン接合で支持された(Simply supported)合成小梁である。一方、表3~表6のNo.4~7は5本の合成小梁が連続する連続小梁である。表3~表6中のiは、連続小梁の任意の端部に配置された合成小梁をi=1とし、各スパンの合成小梁をもう一方の端部に向かってi=2、3、4、5番目と順に番号付けしたものである。表3及び表4に解析条件を示し、表5及び表6に解析結果を示す。
No.1~7共通の条件として、鉄骨小梁の断面は、高さ700mm、フランジ幅200mm、ウェブ板厚9mm、フランジ板厚12mmのH形鋼梁(H-700x200x9x12と表記)である。床スラブ(スラブ)は、厚さD=180mmのRC(鉄筋コンクリート)スラブで、デッキプレートの山が無い。スラブ内の鉄筋(スラブ負曲げ補強筋及び接合部補強筋)は、上端筋が呼び径10mmの異形鉄筋が100mmピッチの正方形メッシュ状に配置されたD10@100のメッシュ鉄筋とした。スラブ内の鉄筋は、下端筋が呼び径10mmの異形鉄筋が200mmピッチの正方形メッシュ状に配置されたD10@200のメッシュ鉄筋とした。
No.1、5では、スパン(合成小梁の長さL)が10mである。スラブの支持幅(小梁一本当たりで支える床スラブの幅)は2500mm、合成小梁に作用する単位長さ当たりの等分布荷重は30kN/mである。
No.2、7では、スパンが12mである。スラブの支持幅は3000mm、合成小梁に作用する単位長さ当たりの等分布荷重は36kN/mである。
No.3では、スパンが14mである。スラブの支持幅は3000mm、合成小梁に作用する単位長さ当たりの等分布荷重は36kN/mである。
No.4は、端スパンが14m、中間スパンが12mの連続小梁である。スラブの支持幅は3000mm、合成小梁に作用する単位長さ当たりの等分布荷重は36kN/mである。
No.6は、端スパンが14m、中間スパンが12mの連続小梁である。スラブの支持幅は3000mm、合成小梁に作用する単位長さ当たりの等分布荷重は36kN/mである。No.4とNo.6との違いは、No.4は、合成小梁の梁端の上下フランジを支点の大梁に全強接合(溶接剛接合又は高力ボルト摩擦接合)しているいわゆる剛接小梁である。一方で、No.6は、合成小梁の梁端の上フランジは直接支点の大梁に接合されておらず、合成小梁の上フランジに設置されたスタッドによって、床スラブを介して大梁や隣接するスパンの合成小梁と連続するように構成されている半剛接小梁である。No.5とNo.7も、半剛接小梁である。
床スラブと鉄骨梁を接合するスタッド(シアコネクタ)は、No.1~6では、軸部の径が19mmのスタッドを1列に200mmピッチで配置した(表中に、「1-φ19@200」と表示している。以下同様)。No.7では、軸部の径が19mmのスタッドを1列に400mmピッチで配置した(1-φ19@400)。No.7は、No.6に比べスタッドのピッチを倍(1-φ19@400)にしており、接合部の剛性(回転剛性)をNo.6に比べ小さくした。
No.4と5の違いは、スパンL、等分布荷重w、スラブ支持幅である。
以上の検討ケースおいて、接合部の回転剛性Sは、欧州設計基準である「Eurocode 4: Design of composite steel and concrete structures Part 1-1:General rules and rules for buildings」に基づき計算した。
表5に、ピン接合された合成小梁のたわみδに対する連続小梁のたわみδb,pinの比率(たわみ低減率、δ/δb,pin)を示す。No.4~7の各スパンiの合成小梁は、それぞれNo.1~3のうち、同じスパンLの梁のδに対するたわみ低減率を示した。No.4~7のいずれのスパンiにおいても、対応するピン接合と比べ、連続小梁とすることでたわみが低減されている。
さらに、No.4~7の各スパンiにおいて、横座屈に対する曲げモーメント抵抗(横座屈耐力)Mを計算し、端部に作用する接合部モーメントMと比較した。すると、No.4の剛接小梁では、i=2、4においてM/M≧1となり、端部に作用する接合部モーメントが横座屈に対する曲げモーメント抵抗を上回った。この場合は、横座屈してしまうため判定を「Not Okay」とした。一方、半剛接小梁としたNo.5~7ではいずれもM/M<1となった。M/M<1の場合は横座屈しないため、判定を「OK」とした。
次に、本発明の(10)式を用いて、(10)式を満たすものを実施例、満たさないものを比較例として、表6に示した。すると、(10)式の判定において実施例となったものはM/M<1を満たしており、(10)式の判定において比較例となったものはM/M≧1となっている。従って、(10)式の判定によって横座屈の発生の有無を判別できていることがわかる。
以上から、(10)式を満たすように接合部の回転剛性S、合成小梁の長さL、曲げ剛性EI,EIの少なくとも1つを調整することで、ピン接合の小梁に対してたわみを低減しつつ、横座屈を防止できることがわかった。
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
2 梁接合構造
10,101,102 合成小梁(合成梁)
10a 端部
10b 第1端
10c 第2端
11 スラブ
12 鉄骨梁
13 シアコネクタ
30 大梁(支持部)
35 接合部
100 連続梁
100a,100b 支点

Claims (7)

  1. 合成梁と、
    前記合成梁の一対の端部を支持する一対の支持部と、
    前記合成梁の前記一対の端部及び前記一対の支持部を互いに接合する一対の接合部と、
    を備える梁接合構造であって、
    前記合成梁に、前記合成梁の全長にわたって等分布荷重が作用し、
    前記合成梁の両端がそれぞれ半剛接合の場合には、(1)式で規定される前記合成梁のモーメント形状係数γが、(2)式から(8)式を用いて得られる(9)式を満たすように、前記一対の接合部の少なくとも一方の回転剛性S、前記合成梁の長さ、及び前記合成梁の曲げ剛性の少なくと1つが調整され、
    前記合成梁の一方の端がピン接合であり他方の端が半剛接合の場合には、前記モーメント形状係数γが、(2)式、(3)式、(4-2)式から(7-2)式、及び(8)式を用いて得られる(9)式を満たすように、前記一対の接合部の少なくとも一方の回転剛性S、前記合成梁の長さ、及び前記合成梁の曲げ剛性の少なくと1つが調整されている梁接合構造。
    ただし、Lは前記合成梁の長さであり、wは前記等分布荷重の大きさであり、Mj1は前記合成梁の第1端に作用する曲げモーメントであり、Mj2は前記合成梁の第2端に作用する曲げモーメントであって前記曲げモーメントMj1以下の値をとり、EIは前記合成梁の正曲げ剛性であり、EIは前記合成梁の負曲げ剛性である。
    Figure 2022052974000044
  2. 前記回転剛性Sを、前記合成梁の単位長さ当たりの曲げ剛性で除した値を、無次元化回転剛性αとしたときに、
    (10)式から(13)式を用いて得られる(14)式を、前記一対の接合部の前記無次元化回転剛性αがそれぞれ満たす請求項1に記載の梁接合構造。
    Figure 2022052974000045
  3. 前記合成梁の両端がそれぞれ半剛接合の場合には、(7)式による無次元化剛接モーメントβMj,rigidが0.4以下のときには、前記無次元化剛接モーメントβMj,rigidに代えて、前記無次元化剛接モーメントβMj,rigidに基づいて(15)式により算出される無次元化剛接モーメントβMj,rigid,Theoを用い、
    前記合成梁の一方の端がピン接合であり他方の端が半剛接合の場合には、(7-2)式による無次元化剛接モーメントβMj,rigidが0.8以下のときには、前記無次元化剛接モーメントβMj,rigidに代えて、前記無次元化剛接モーメントβMj,rigidに基づいて(15-2)式により算出される無次元化剛接モーメントβMj,rigid,Theoを用いる請求項1又は2に記載の梁接合構造。
    Figure 2022052974000046
  4. 前記合成梁の長手方向の中間部に補剛材が設けられていない請求項1から3のいずれか一項に記載の梁接合構造。
  5. 合成梁と、前記合成梁の一対の端部を支持する一対の支持部と、前記合成梁の前記一対の端部及び前記一対の支持部を互いに接合する一対の接合部と、を備える梁接合構造を設計する梁接合構造の設計方法であって、
    前記合成梁に、前記合成梁の全長にわたって等分布荷重が作用し、
    前記合成梁に生じる負曲げモーメントが、前記合成梁の横座屈耐力よりも大きくならないように、前記一対の接合部の少なくとも一方の回転剛性、前記合成梁の長さ、及び前記合成梁の曲げ剛性の少なくとも1つを調整する調整工程を行う梁接合構造の設計方法。
  6. 前記調整工程では、
    前記合成梁の両端がそれぞれ半剛接合の場合には、(21)式で規定される前記合成梁のモーメント形状係数γが、(22)式から(28)式を用いて得られる(29)式を満たすように、前記一対の接合部の少なくとも一方の回転剛性S及び前記合成梁の曲げ剛性の少なくとも一方を調整し、
    前記合成梁の一方の端がピン接合であり他方の端が半剛接合の場合には、前記モーメント形状係数γが、(22)式、(23)式、(24-2)式から(27-2)式、及び(28)式を用いて得られる(29)式を満たすように、前記一対の接合部の少なくとも一方の回転剛性S、前記合成梁の長さ、及び前記合成梁の曲げ剛性の少なくと1つを調整する請求項5に記載の梁接合構造の設計方法。
    ただし、Lは前記合成梁の長さであり、wは前記等分布荷重の大きさであり、Mj1は前記合成梁の第1端に作用する曲げモーメントであり、Mj2は前記合成梁の第2端に作用する曲げモーメントであって前記曲げモーメントMj1以下の値をとり、EIは前記合成梁の正曲げ剛性であり、EIは前記合成梁の負曲げ剛性である。
    Figure 2022052974000047
  7. 前記合成梁は、スラブと、鉄骨梁と、前記スラブと前記鉄骨梁を接合するためのシアコネクタと、を備え、
    前記調整工程では、前記スラブの厚さ、前記スラブ内の補強鉄筋の量、前記シアコネクタの配置、及び前記シアコネクタの量の少なくとも1つを調整することで、前記一対の接合部の少なくとも一方の回転剛性S及び前記合成梁の曲げ剛性の少なくとも一方を調整する請求項5又は6に記載の梁接合構造の設計方法。
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