JP2022052579A - 蓄電素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】充放電の繰り返しに伴う抵抗上昇を低減した蓄電素子の提供。【解決手段】発明の一態様は、正極活物質層を含む正極及び負極活物質層を含む負極を有する電極体2と、電解液とを備え、上記電極体の少なくとも一部が押圧された状態であり、放電状態において上記電極体の少なくとも一部に加わる圧力が0.24MPa以上であり、上記正極活物質層と上記負極活物質層とが対向している部分における上記正極活物質層の全細孔容積に対する上記負極活物質層の全細孔容積の比が、1.0超である蓄電素子である。【選択図】図1
Description
本発明は、蓄電素子に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。また、非水電解液二次電池以外の蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタ、非水電解液以外の電解液が用いられた蓄電素子等も広く普及している。
蓄電素子としては、正極基材の表面に正極活物質層が積層された正極と負極基材の表面に負極活物質層が積層された負極とが電気絶縁性を有するセパレータを介して重ね合わされている電極体を備えるものが広く用いられている。このような電極体が電解液と共に容器に収納され、蓄電素子を構成している(特許文献1、2参照)。
蓄電素子には、充放電が繰り返された後にも出力性能が優れることが求められる。しかし、従来の蓄電素子は、充放電の繰り返しに伴い抵抗が上昇し、その結果、出力が徐々に低下していくという不都合を有する。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、充放電サイクル後の抵抗増加率が低減された蓄電素子を提供することである。
本発明の一態様は、正極活物質層を含む正極及び負極活物質層を含む負極を有する電極体と、電解液とを備え、上記電極体の少なくとも一部が押圧された状態であり、放電状態において上記電極体の少なくとも一部に加わる圧力が0.24MPa以上であり、上記正極活物質層と上記負極活物質層とが対向している部分における上記正極活物質層の全細孔容積に対する上記負極活物質層の全細孔容積の比が、1.0超である蓄電素子である。
本発明の一態様によれば、充放電サイクル後の抵抗増加率が低減された蓄電素子を提供することができる。
初めに、本明細書によって開示される蓄電素子の概要について説明する。
本発明の一態様に係る蓄電素子は、正極活物質層を含む正極及び負極活物質層を含む負極を有する電極体と、電解液とを備え、上記電極体の少なくとも一部が押圧された状態であり、放電状態において上記電極体の少なくとも一部に加わる圧力が0.24MPa以上であり、上記正極活物質層と上記負極活物質層とが対向している部分における上記正極活物質層の全細孔容積に対する上記負極活物質層の全細孔容積の比が、1.0超である蓄電素子である。
本発明の一態様に係る蓄電素子は、充放電サイクル後の抵抗増加率が低減されている。この理由は定かではないが、以下の理由が推測される。まず、当該蓄電素子においては、電極体の少なくとも一部が所定圧力以上で押圧されている。このため、充放電を繰り返しても活物質層内の十分な導電性が維持されることから、充放電サイクル後の抵抗増加率が低減されると推測される。
また、一般的に蓄電素子においては、充放電に伴うイオンの出入りにより正極及び負極の活物質が膨張すると、正極及び負極の各活物質層内の細孔容積が小さくなり、電解液は正極及び負極の各活物質層内から流出する。そして正極及び負極の活物質が収縮すると、各活物質層内の細孔容積が大きくなり、電解液は各活物質層内へ流入する。活物質層内へ電解液が十分に戻らない場合、活物質層内で電解液が枯渇した部分が生じる。このような状態で充放電を繰り返すと、活物質層内の電解液が枯渇した部分の周囲で局所的に電流密度が増大して電解液の分解が促進されることなどにより、活物質が劣化し、抵抗上昇を引き起こすと考えられる。また、充放電の繰り返しに伴って活物質層内の電解液が枯渇した部分が増えていくと、充放電に寄与する活物質層の反応面積が減少することからも、抵抗上昇を引き起こすと考えられる。ここで、一般的に正極活物質層よりも負極活物質層の方が、全細孔容積に対する孔径の大きい細孔容積の割合が多いため、毛細管現象による電解液の浸透が遅いと考えられ、負極活物質層において電解液の枯渇が生じ易くなると推測される。そこで、本発明の一態様に係る蓄電素子においては、正極活物質層と負極活物質層とが対向している部分における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積を大きくすることで、負極活物質層の電解液の保持量を増やし、電解液の枯渇が生じ難い構成としている。このようなことから、本発明の一態様に係る蓄電素子においては、充放電サイクルに伴う劣化が抑制され、充放電サイクル後の抵抗増加率が低減されると推測される。
なお、電極体が押圧された状態である場合、活物質の膨張時に電解液が活物質層外へ流出しやすくなり且つ活物質の収縮時には電解液が活物質層内部まで流入しにくくなることから、各活物質層における電解液の枯渇が生じ易くなるとも考えられる。しかしながら、本発明の一態様に係る蓄電素子においては、上記のように正極活物質層と負極活物質層の全細孔容積の比を調整することで、正極及び負極の各活物質層において電解液が枯渇した部分が生じ難くなっており、上記効果が奏されていると考えられる。
また、本発明の一態様に係る蓄電素子は、充放電サイクル後の容量維持率が高いといった利点も有する。
また、一般的に蓄電素子においては、充放電に伴うイオンの出入りにより正極及び負極の活物質が膨張すると、正極及び負極の各活物質層内の細孔容積が小さくなり、電解液は正極及び負極の各活物質層内から流出する。そして正極及び負極の活物質が収縮すると、各活物質層内の細孔容積が大きくなり、電解液は各活物質層内へ流入する。活物質層内へ電解液が十分に戻らない場合、活物質層内で電解液が枯渇した部分が生じる。このような状態で充放電を繰り返すと、活物質層内の電解液が枯渇した部分の周囲で局所的に電流密度が増大して電解液の分解が促進されることなどにより、活物質が劣化し、抵抗上昇を引き起こすと考えられる。また、充放電の繰り返しに伴って活物質層内の電解液が枯渇した部分が増えていくと、充放電に寄与する活物質層の反応面積が減少することからも、抵抗上昇を引き起こすと考えられる。ここで、一般的に正極活物質層よりも負極活物質層の方が、全細孔容積に対する孔径の大きい細孔容積の割合が多いため、毛細管現象による電解液の浸透が遅いと考えられ、負極活物質層において電解液の枯渇が生じ易くなると推測される。そこで、本発明の一態様に係る蓄電素子においては、正極活物質層と負極活物質層とが対向している部分における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積を大きくすることで、負極活物質層の電解液の保持量を増やし、電解液の枯渇が生じ難い構成としている。このようなことから、本発明の一態様に係る蓄電素子においては、充放電サイクルに伴う劣化が抑制され、充放電サイクル後の抵抗増加率が低減されると推測される。
なお、電極体が押圧された状態である場合、活物質の膨張時に電解液が活物質層外へ流出しやすくなり且つ活物質の収縮時には電解液が活物質層内部まで流入しにくくなることから、各活物質層における電解液の枯渇が生じ易くなるとも考えられる。しかしながら、本発明の一態様に係る蓄電素子においては、上記のように正極活物質層と負極活物質層の全細孔容積の比を調整することで、正極及び負極の各活物質層において電解液が枯渇した部分が生じ難くなっており、上記効果が奏されていると考えられる。
また、本発明の一態様に係る蓄電素子は、充放電サイクル後の容量維持率が高いといった利点も有する。
「放電状態において電極体の少なくとも一部に加わる圧力」は、以下の方法により測定される値とする。加圧部材等によって押圧された状態の放電状態の蓄電素子を、ロードセルを有する圧縮試験機に設置する。圧縮試験機により、加圧部材等による荷重よりも十分に小さい荷重を蓄電素子に付与する。この状態のまま、すなわち蓄電素子の厚さを維持したまま、加圧部材等による荷重を解き、圧縮試験機で測定される荷重の変化量を電極体へ付与されている荷重とする。測定された荷重を加圧部材等によって荷重が付与されている蓄電素子の面の面積で除した値を電極体の少なくとも一部に加わる圧力とする。なお、通常、加圧部材等によって蓄電素子の対向する一対の面に対して荷重が付与されるが、この一対の面の一方の面のみの面積を荷重が付与されている面の面積とする。
「放電状態」とは、完全放電状態であり、具体的には以下の状態をいう。まず、蓄電素子を、1.0Cの充電電流で通常使用時の充電終止電圧となるまで定電流充電し、その後、3時間定電圧充電を行い満充電状態とする。10分の休止後、1.0Cの放電電流で通常使用時の下限電圧まで定電流放電する。この状態を放電状態とする。ここで、通常使用時とは、当該蓄電素子について推奨され、又は指定される充放電条件を採用して当該蓄電素子を使用する場合であり、当該蓄電素子のための充電器が用意されている場合は、その充電器を適用して当該蓄電素子を使用する場合をいう。
正極活物質層と負極活物質層とが対向している部分における正極活物質層又は負極活物質層の「全細孔容積(cm3)」は、正極活物質層又は負極活物質層の質量あたりの全細孔容積(cm3/g)と、正極活物質層と負極活物質層とが対向している部分における正極活物質層又は負極活物質層の質量(g)との積である。正極活物質層及び負極活物質層の「質量あたりの全細孔容積」は、水銀圧入法にて細孔容積分布を測定して求める。具体的には、測定装置としてAutoPore9600を用い、水銀の接触角を130°、表面張力を484mN/mに設定する。測定する細孔径範囲は20μmから0.0055μmとして、この範囲の積算細孔容積を求め、積算細孔容積を活物質層の質量で除して算出する。求められた質量あたりの全細孔容積と、正極活物質層と負極活物質層とが対向している部分における正極活物質層又は負極活物質層の質量とから、正極活物質層と負極活物質層とが対向している部分における正極活物質層又は負極活物質層の全細孔容積を算出する。なお、細孔容積分布の測定に供する正極活物質層又は負極活物質層の試料は、次の方法により準備する。当該蓄電素子を、0.05Cの電流値で、通常使用時の下限電圧まで定電流放電する。蓄電素子を解体し、正極又は負極を取り出して作用極とし、金属Liを対極として単極電池を組み立てる。正極については、正極活物質1gあたり10mAの電流値で正極電位が3.0V vs.Li/Li+となるまで定電流放電を行う。負極については、負極活物質1gあたり10mAの電流値で負極電位が2.0V vs.Li/Li+となるまで定電流充電を行う。なお、ここでは作用極の電位が上昇するように単極電池に電流を印加することを充電とし、電位が低下するように単極電池に電流を印加することを放電とする。単極電池を解体して正極又は負極を取り出し、ジメチルカーボネートにより充分に洗浄した後、室温にて24時間減圧乾燥を行う。乾燥後の正極又は負極を、所定サイズ(例えば2×2cm)に切り出し、細孔容積分布の測定における試料とする。蓄電素子の解体から細孔容積分布の測定までの作業は、露点-40℃以下の乾燥空気雰囲気中で行う。
上記正極活物質層と上記負極活物質層とが対向している部分における上記正極活物質層の全細孔容積に対する上記負極活物質層の全細孔容積の比が、2.0以下であることが好ましい。上記正極活物質層と上記負極活物質層とが対向している部分における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比が1.0超2.0以下であることで、より電解液の枯渇が生じ難い状態となり、充放電サイクル後の抵抗増加率がより低減される。
上記正極活物質層と上記負極活物質層とが対向している部分における上記負極活物質層のBET比表面積が、5.5m2/g超であることが好ましい。上記正極活物質層と上記負極活物質層とが対向している部分における負極活物質層のBET比表面積が十分に大きい場合、負極活物質層への電解液の浸透が生じ易くなることなどにより、充放電サイクル後の抵抗増加率がより低減される。
負極活物質層の「BET比表面積」は、窒素ガス吸着法を用いた吸着等温線から求める値とする。具体的には、BET比表面積は以下の方法により測定する。まず、蓄電素子を、0.05Cの電流値で通常使用時の下限電圧まで定電流放電する。蓄電素子を解体し、負極を取り出し、金属Liを対極とした試験電池を組み立て、負極活物質1gあたり10mAの電流値で、負極電位が2.0V vs.Li/Li+となるまで定電流放電を行う。なお、ここでは負極の電位が上昇するように単極電池に電流を印加することを充電とする。試験電池を再解体し、負極を取り出す。ジメチルカーボネートを用いて、取り出した負極に付着した電解液を十分に洗浄し、室温にて24時間減圧乾燥後、負極活物質層を採取して被測定試料とする。被測定試料(負極活物質層)の粉体1.00gを測定用のサンプル管に入れ、120℃にて12時間減圧乾燥することで、測定試料中の水分を十分に除去する。次に、液体窒素を用いた窒素ガス吸着法により、相対圧力P/P0(P0=約770mmHg)が0から1の範囲内で吸着等温線を測定する。得られた吸着等温線のP/P0=0.05から0.3の領域から5点を抽出してBETプロットを行い、その直線のy切片と傾きからBET比表面積を算出する。蓄電素子の解体から負極活物質層の採取までは、露点-60℃以下のアルゴン雰囲気中で行う。
以下、本発明の一実施形態に係る蓄電素子について詳説する。
<蓄電素子>
本発明の一実施形態に係る蓄電素子は、正極及び負極を有する電極体と、電解液とを備える。以下、蓄電素子の一例として、非水電解液二次電池(以下、単に「二次電池」ともいう。)について説明する。上記電極体は、正極及び負極がセパレータを介して積層又は巻回により交互に重畳された構造を有する。電極体は、積層型の電極体であってもよく、巻回型の電極体であってもよい。この電極体は容器に収納され、この容器内に非水電解液が充填される。上記非水電解液は、正極と負極との間に介在する。また、上記容器としては、二次電池の容器として通常用いられる公知の金属容器、樹脂容器等を用いることができる。
本発明の一実施形態に係る蓄電素子は、正極及び負極を有する電極体と、電解液とを備える。以下、蓄電素子の一例として、非水電解液二次電池(以下、単に「二次電池」ともいう。)について説明する。上記電極体は、正極及び負極がセパレータを介して積層又は巻回により交互に重畳された構造を有する。電極体は、積層型の電極体であってもよく、巻回型の電極体であってもよい。この電極体は容器に収納され、この容器内に非水電解液が充填される。上記非水電解液は、正極と負極との間に介在する。また、上記容器としては、二次電池の容器として通常用いられる公知の金属容器、樹脂容器等を用いることができる。
(正極)
上記正極は、正極基材、及びこの正極基材に直接又は中間層を介して積層される正極活物質層を有する。
上記正極は、正極基材、及びこの正極基材に直接又は中間層を介して積層される正極活物質層を有する。
正極基材は、導電性を有する。「導電性を有する」とは、JIS-H-0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が107Ω・cm以下であることを意味し、「非導電性」とは、上記体積抵抗率が107Ω・cm超であることを意味する。正極基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はそれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ及びコストのバランスからアルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。また、正極基材の形成形態としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの面から箔が好ましい。つまり、正極基材としてはアルミニウム箔が好ましい。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H-4000(2014年)又はJIS-H-4160(2006年)に規定されるA1085、A3003、A1N30等が例示できる。
正極基材の平均厚さは、3μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、8μm以上30μm以下がさらに好ましく、10μm以上25μm以下が特に好ましい。正極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、正極基材の強度を高めつつ、二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。正極基材及び後述する負極基材の「平均厚さ」とは、所定の面積の基材を打ち抜いた際の打ち抜き質量を、基材の真密度及び打ち抜き面積で除した値をいう。
中間層は、正極基材の表面の被覆層であり、炭素粒子等の導電性粒子を含むことで正極基材と正極活物質層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば樹脂バインダ及び導電性粒子を含有する組成物により形成できる。
正極活物質層は、正極活物質を含むいわゆる正極合剤から形成される。また、正極活物質層を形成する正極合剤は、必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
正極活物質としては、公知の正極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。正極活物質としては、例えば、α-NaFeO2型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、ポリアニオン化合物、カルコゲン化合物、硫黄等が挙げられる。α-NaFeO2型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、例えば、Li[LixNi1-x]O2(0≦x<0.5)、Li[LixNiγCo1-x-γ]O2(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LixCo1-x]O2(0≦x<0.5)、Li[LixNiγMn1-x-γ]O2(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LixNiγMnβCo1-x-γ-β]O2(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)、Li[LixNiγCoβAl1-x-γ-β]O2(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)等が挙げられる。スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、LixMn2O4、LixNiγMn2-γO4等が挙げられる。ポリアニオン化合物として、LiFePO4、LiMnPO4、LiNiPO4、LiCoPO4、Li3V2(PO4)3、Li2MnSiO4、Li2CoPO4F等が挙げられる。カルコゲン化合物として、二硫化チタン、二硫化モリブデン、二酸化モリブデン等が挙げられる。これらの材料中の原子又はポリアニオンは、他の元素からなる原子又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。
正極活物質としては、リチウム遷移金属複合酸化物が好ましく、ニッケルと、コバルトと、マンガン又はアルミニウムとを含むリチウム遷移金属複合酸化物がより好ましく、ニッケルと、コバルトと、マンガンとを含むリチウム遷移金属複合酸化物がさらに好ましい。このリチウム遷移金属複合酸化物は、α-NaFeO2型結晶構造を有することが好ましい。このようなリチウム遷移金属複合酸化物を用いることで、エネルギー密度を高くすることなどができる。
α-NaFeO2型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物としては、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
Li1+αMe1-αO2 ・・・(1)
式(1)中、Meは、Niと、Coと、Mn又はAlとを含む金属(Liを除く)である。0≦α<1である。
Li1+αMe1-αO2 ・・・(1)
式(1)中、Meは、Niと、Coと、Mn又はAlとを含む金属(Liを除く)である。0≦α<1である。
式(1)中のMeは、実質的にNi、Co及びMnの三元素、又はNi、Co及びAlの三元素から構成されていることが好ましく、Ni、Co及びMnの三元素から構成されていることがより好ましい。但し、Meは、その他の金属が含有されていてもよい。
電気容量がより大きくなることなどの観点から、式(1)で表される化合物における各構成元素の好適な含有量(組成比)は以下の通りである。なお、モル比は、原子数比に等しい。
式(1)中、Meに対するNiのモル比(Ni/Me)の下限としては、0.1が好ましく、0.2、0.3又は0.4がより好ましい場合もある。一方、このモル比(Ni/Me)の上限としては、0.9が好ましく、0.8、0.7又は0.6がより好ましい場合もある。
式(1)中、Meに対するCoのモル比(Co/Me)の下限としては、0.01が好ましく、0.1又は0.2がより好ましい場合もある。一方、このモル比(Co/Me)の上限としては、0.5が好ましく、0.4又は0.3がより好ましい場合もある。
式(1)中、Meに対するMnのモル比(Mn/Me)の下限としては、0であってよく、0.05が好ましく、0.1又は0.2がより好ましい場合もある。一方、このモル比(Mn/Me)の上限としては、0.6が好ましく、0.4又は0.3がより好ましい場合もある。
式(1)中、Meに対するAlのモル比(Al/Me)の下限としては、0であってよく、0.01が好ましく、0.02又は0.03がより好ましい場合もある。一方、このモル比(Al/Me)の上限としては、0.3が好ましく、0.2又は0.1がより好ましい場合もある。
式(1)中、Meに対するLiのモル比(Li/Me)、即ち、(1+α)/(1-α)は、1であってよく、1.0超(α>0)又は1.1以上が好ましい場合もある。一方、このモル比(Li/Me)の上限としては、1.6が好ましく、1.4又は1.2がより好ましい場合もある。
なお、リチウム遷移金属複合酸化物の組成比は、次の方法により完全放電状態としたときの組成比をいう。まず、蓄電素子(二次電池)を、0.05Cの電流値で通常使用時の下限電圧まで定電流放電する。解体し、正極を取り出し、金属Liを対極とした試験電池を組み立て、正極活物質1gあたり10mAの放電電流で、正極電位が3.0V vs.Li/Li+となるまで定電流放電を行い、正極を完全放電状態に調整する。再解体し、正極を取り出す。ジメチルカーボネートを用いて、取り出した正極に付着した電解液を十分に洗浄し、室温にて24時間減圧乾燥後、正極活物質のリチウム遷移金属複合酸化物を採取する。採取したリチウム遷移金属複合酸化物を測定に供する。蓄電素子の解体から測定までの作業は露点-60℃以下のアルゴン雰囲気中で行う。
好適なリチウム遷移金属複合酸化物としては、例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、LiNi3/5Co1/5Mn1/5O2、LiNi1/2Co1/5Mn3/10O2、LiNi1/2Co3/10Mn1/5O2、LiNi8/10Co1/10Mn1/10O2、LiNi0.8Co0.15Al0.05O2等を挙げることができる。
正極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。用いる全ての正極活物質中のリチウム遷移金属複合酸化物の含有割合としては、50質量%以上が好ましく、70質量%以上100質量%以下がより好ましく、80質量%以上100質量%以下がさらに好ましい。実質的にリチウム遷移金属複合酸化物のみからなる正極活物質を用いることが特に好ましい。
正極活物質は、通常、粒子である。正極活物質の平均粒子径は、例えば、0.1μm以上20μm以下とすることが好ましい。正極活物質の平均粒子径を上記下限以上とすることで、正極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。正極活物質の平均粒子径を上記上限以下とすることで、正極活物質層の導電性が向上する。なお、正極活物質と他の材料との複合体を用いる場合、該複合体の平均粒子径を正極活物質の平均粒子径とする。「平均粒子径」とは、JIS-Z-8825(2013年)に準拠し、粒子を溶媒で希釈した希釈液に対しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS-Z-8819-2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値を意味する。
粒子を所定の粒子径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法として、例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェットミル、旋回気流型ジェットミル又は篩等を用いる方法が挙げられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、篩や風力分級機等が、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
正極活物質層における正極活物質の含有量は、50質量%以上99質量%以下が好ましく、70質量%以上98質量%以下がより好ましく、80質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。正極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
導電剤は、導電性を有する材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、例えば、炭素質材料、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。炭素質材料としては、黒鉛、非黒鉛質炭素、グラフェン系炭素等が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、カーボンナノファイバー、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。グラフェン系炭素としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等が挙げられる。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。導電剤としては、これらの材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの材料を複合化して用いてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料を用いてもよい。これらの中でも、電子伝導性及び塗工性の観点よりカーボンブラックが好ましく、中でもアセチレンブラックが好ましい。
正極活物質層における導電剤の含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。導電剤の含有量を上記の範囲とすることで、二次電池のエネルギー密度を高めることができる。
バインダとしては、例えば、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
正極活物質層におけるバインダの含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、2質量%以上9質量%以下がより好ましく、3質量%以上6質量%以下がさらに好ましい。バインダの含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質を安定して保持することができる。
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。増粘剤がリチウム等と反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させてもよい。増粘剤を使用する場合、正極活物質層における増粘剤の含有量は、0.1質量%以上8質量%以下とすることができ、通常、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。ここで開示される技術は、正極活物質層が上記増粘剤を含まない態様で好ましく実施され得る。
フィラーは、特に限定されない。フィラーとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。フィラーを使用する場合、正極活物質層におけるフィラーの含有量は、0.1質量%以上8質量%以下とすることができ、通常、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。ここで開示される技術は、正極活物質層が上記フィラーを含まない態様で好ましく実施され得る。
正極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Nb、W等の遷移金属元素を正極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
正極活物質層の厚さとしては特に限定されないが、30μm以上200μm以下が好ましく、50μm以上150μm以下がより好ましく、70μm以上120μm以下がさらに好ましい。正極活物質層の厚さを上記範囲内とすることで二次電池の充放電性能を高めることなどができる。
正極活物質層の全細孔容積は、2cm3以上20cm3以下が好ましく、3cm3以上15cm3以下がより好ましく、4cm3以上10cm3以下がさらに好ましい。正極活物質層の全細孔容積を上記範囲内とすることで、二次電池の充放電性能を高めること、充放電サイクル後の抵抗増加率をより低減することなどができる。正極活物質層の全細孔容積は、正極活物質の粒子径及び比表面積、正極活物質層の組成、厚さ及び面積、製造時の正極活物質層へのプレスの有無及びプレスの強度等によって調整することができる。
正極の作製は、例えば正極基材に直接又は中間層を介して、正極合剤ペーストを塗布し、乾燥させることにより行うことができる。乾燥後、必要に応じてプレス等を行ってもよい。正極合剤ペーストには、正極活物質、及び任意成分である導電剤、バインダ等、正極活物質層を構成する各成分が含まれる。正極合剤ペーストには、通常さらに分散媒が含まれる。
(負極)
上記負極は、負極基材、及びこの負極基材に直接又は中間層を介して積層される負極活物質層を有する。上記中間層は正極の中間層と同様の構成とすることができる。
上記負極は、負極基材、及びこの負極基材に直接又は中間層を介して積層される負極活物質層を有する。上記中間層は正極の中間層と同様の構成とすることができる。
負極基材は、正極基材と同様の構成とすることができるが、材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属又はそれらの合金が用いられ、銅又は銅合金が好ましい。つまり、負極基材としては銅箔が好ましい。銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が例示される。
負極基材の平均厚さは、2μm以上35μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましく、4μm以上25μm以下がさらに好ましく、5μm以上20μm以下が特に好ましい。負極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、負極基材の強度を高めつつ、二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
負極活物質層は、一般的に負極活物質を含むいわゆる負極合剤から形成される。また、負極活物質層を形成する負極合剤は、必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分は、正極活物質層と同様のものを用いることができる。
負極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を負極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
負極活物質としては、公知の負極活物質の中から適宜選択できる。例えばリチウムイオン二次電池用の負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。負極活物質としては、例えば、金属Li;Si、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Ti酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;Li4Ti5O12、LiTiO2、TiNb2O7等のチタン含有酸化物;ポリリン酸化合物;炭化ケイ素;黒鉛(グラファイト)、非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。これらの材料の中でも、黒鉛及び非黒鉛質炭素が好ましく、黒鉛がより好ましい。負極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
「黒鉛」とは、充放電前又は放電状態において、エックス線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.33nm以上0.34nm未満の炭素材料をいう。また、炭素材料の「放電状態」とは、負極活物質として炭素材料を含む負極を作用極として、金属Li(リチウム)を対極として用いた単極電池において、開回路電圧が0.7V以上である状態をいう。開回路状態での金属Li対極の電位は、Liの酸化還元電位とほぼ等しいため、上記単極電池における開回路電圧は、Liの酸化還元電位に対する炭素材料を含む負極の電位とほぼ同等である。つまり、上記単極電池における開回路電圧が0.7V以上であることは、負極活物質である炭素材料から、充放電に伴い吸蔵放出可能なリチウムイオンが十分に放出されていることを意味する。
黒鉛としては、天然黒鉛及び人造黒鉛が挙げられる。安定した物性の材料を入手できるという観点で、人造黒鉛が好ましい。
「非黒鉛質炭素」とは、充放電前又は放電状態においてエックス線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.34nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。非黒鉛質炭素としては、難黒鉛化性炭素や、易黒鉛化性炭素が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、例えば、樹脂由来の材料、石油ピッチまたは石油ピッチ由来の材料、石油コークスまたは石油コークス由来の材料、植物由来の材料、アルコール由来の材料等が挙げられる。
「難黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.36nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。
「易黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.34nm以上0.36nm未満の炭素材料をいう。
負極活物質の形態が粒子の場合、負極活物質の平均粒子径は、例えば、1nm以上100μm以下とすることができる。負極活物質が例えば炭素材料である場合、その平均粒子径は1μm以上100μm以下が好ましい場合があり、5μm以上20μm以下がより好ましい場合がある。負極活物質が、金属、半金属、金属酸化物、半金属酸化物、チタン含有酸化物、ポリリン酸化合物等である場合、その平均粒子径は、1nm以上1μm以下が好ましい場合がある。負極活物質の平均粒子径を上記下限以上とすることで、負極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。負極活物質の平均粒子径を上記上限以下とすることで、負極活物質層の導電性が向上する。
負極活物質層のBET比表面積は、3.0m2/g以上12m2/g以下が好ましく、4.5m2/g超10m2/g以下がより好ましく、5.5m2/g超9.0m2/g以下がさらに好ましく、5.6m2/g以上8.0m2/g以下がよりさらに好ましい。負極活物質層のBET比表面積を上記範囲内とすることで、二次電池の充放電性能を高めることなどができる。特に、負極活物質層のBET比表面積を上記下限以上又は上記下限超とすることで、当該二次電池の充放電サイクル後の抵抗増加率がより低減される。
負極活物質層における負極活物質の含有量は、60質量%以上99質量%以下が好ましく、90質量%以上98質量%以下がより好ましい。負極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、負極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
負極活物質層の厚さとしては特に限定されないが、50μm以上300μm以下が好ましく、100μm以上250μm以下がより好ましく、140μm以上200μm以下がさらに好ましい。負極活物質層の厚さを上記下限以上とすることで二次電池の充放電性能を高めることなどができる。
負極活物質層の全細孔容積は、4cm3以上24cm3以下が好ましく、6cm3以上18cm3以下がより好ましく、8cm3以上14cm3以下がさらに好ましい。負極活物質層の全細孔容積を上記範囲内とすることで、二次電池の充放電性能を高めること、充放電サイクル後の抵抗増加率をより低減することなどができる。負極活物質層の全細孔容積は、負極活物質の粒子径及び比表面積、負極活物質層の組成、厚さ及び面積、製造時の負極活物質層へのプレスの有無及びプレスの強度等によって調整することができる。
負極の作製は、例えば負極基材に直接又は中間層を介して、負極合剤ペーストを塗布し、乾燥させることにより行うことができる。乾燥後、必要に応じてプレス等を行ってもよい。負極合剤ペーストには、負極活物質、及び任意成分である導電剤、バインダ等、負極活物質層を構成する各成分が含まれる。負極合剤ペーストには、通常さらに分散媒が含まれる。
(正極と負極との関係)
正極活物質層と負極活物質層とが対向している部分における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比(負極活物質層/正極活物質層)は、1.0超であり、1.05以上が好ましく、1.1以上がより好ましく、1.2以上がさらに好ましく、1.3以上がよりさらに好ましい。全細孔容積の比を上記下限超又は上記下限以上とすることで、活物質の収縮時に負極活物質層にも十分に電解液を流入させることができ、当該二次電池の充放電サイクル後の抵抗増加率が低減される。一方、上記全細孔容積の比(負極活物質層/正極活物質層)は、例えば2.5以下であればよく、2.0以下が好ましく、1.9以下がより好ましい。全細孔容積の比を上記下限超又は下限以上且つ上記上限以下とすることで、正極活物質層と負極活物質層との双方において各活物質の収縮時に各活物質層に十分に電解液を流入させることができ、より電解液の枯渇が生じ難い状態となり、当該二次電池の充放電サイクル後の抵抗増加率がより低減される。
正極活物質層と負極活物質層とが対向している部分における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比(負極活物質層/正極活物質層)は、1.0超であり、1.05以上が好ましく、1.1以上がより好ましく、1.2以上がさらに好ましく、1.3以上がよりさらに好ましい。全細孔容積の比を上記下限超又は上記下限以上とすることで、活物質の収縮時に負極活物質層にも十分に電解液を流入させることができ、当該二次電池の充放電サイクル後の抵抗増加率が低減される。一方、上記全細孔容積の比(負極活物質層/正極活物質層)は、例えば2.5以下であればよく、2.0以下が好ましく、1.9以下がより好ましい。全細孔容積の比を上記下限超又は下限以上且つ上記上限以下とすることで、正極活物質層と負極活物質層との双方において各活物質の収縮時に各活物質層に十分に電解液を流入させることができ、より電解液の枯渇が生じ難い状態となり、当該二次電池の充放電サイクル後の抵抗増加率がより低減される。
本発明の好適な一形態では、正極活物質層及び負極活物質層の各細孔分布曲線における微分細孔容積のピークの位置について、正極活物質層におけるピーク(AP)よりも負極活物質層におけるピーク(AN)の方が大孔径側にある(図3A、図3B参照)。なお、微分細孔容積のピークが複数存在する場合には、最も大孔径側のピークに基づく。正極活物質層の微分細孔容積のピーク(AP)に対応する細孔径は、例えば0.09μm以上0.15μm以下である。負極活物質層の微分細孔容積のピーク(AN)に対応する細孔径は、例えば0.7μm以上1.7μm以下である。また、負極活物質層の0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合は例えば50%以上である。また、本発明の好適な他の一形態においては、正極活物質がリチウム遷移金属複合酸化物であり、負極活物質が炭素材料である。このような形態の蓄電素子の場合、毛細管現象の生じ易さの差などによって、正極活物質層に比べて負極活物質層の方が、特に電解液が浸透しにくくなる。従って、このような形態の蓄電素子に対して、負極活物質層に電解液が流入しやすい構成を採用した場合、充放電サイクル後の抵抗増加率が低減されるという効果が顕著に生じる。なお、各活物質層の各細孔分布曲線は、上記の水銀圧入法にて測定された細孔容積分布である。
(セパレータ)
セパレータは、公知のセパレータの中から適宜選択できる。セパレータとして、例えば、基材層のみからなるセパレータ、基材層の一方の面又は双方の面に耐熱粒子とバインダとを含む耐熱層が形成されたセパレータ等を使用することができる。セパレータの基材層の形状としては、例えば、織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が挙げられる。これらの形状の中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解液の保液性の観点から不織布が好ましい。セパレータの基材層の材料としては、シャットダウン機能の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。セパレータの基材層として、これらの樹脂を複合した材料を用いてもよい。
セパレータは、公知のセパレータの中から適宜選択できる。セパレータとして、例えば、基材層のみからなるセパレータ、基材層の一方の面又は双方の面に耐熱粒子とバインダとを含む耐熱層が形成されたセパレータ等を使用することができる。セパレータの基材層の形状としては、例えば、織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が挙げられる。これらの形状の中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解液の保液性の観点から不織布が好ましい。セパレータの基材層の材料としては、シャットダウン機能の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。セパレータの基材層として、これらの樹脂を複合した材料を用いてもよい。
耐熱層に含まれる耐熱粒子は、大気下で室温から500℃に加熱したときの質量減少が5%以下であるものが好ましく、大気下で室温から800℃に加熱したときの質量減少が5%以下であるものがさらに好ましい。加熱したときの質量減少が所定以下である材料として無機化合物が挙げられる。無機化合物として、例えば、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;硫酸バリウム等の硫酸塩;フッ化カルシウム、フッ化バリウム等の難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。無機化合物として、これらの物質の単体又は複合体を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの無機化合物の中でも、二次電池の安全性の観点から、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又はアルミノケイ酸塩が好ましい。
セパレータの空孔率は、強度の観点から80体積%以下が好ましく、放電性能の観点から20体積%以上が好ましい。ここで、「空孔率」とは、体積基準の値であり、水銀ポロシメータでの測定値を意味する。
(非水電解液)
非水電解液としては、公知の非水電解液の中から適宜選択できる。非水電解液は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩とを含む。
非水電解液としては、公知の非水電解液の中から適宜選択できる。非水電解液は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩とを含む。
非水溶媒としては、公知の非水溶媒の中から適宜選択できる。非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、カルボン酸エステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、エーテル、アミド、ニトリル等が挙げられる。非水溶媒として、これらの化合物に含まれる水素原子の一部がハロゲンに置換されたものを用いてもよい。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でもECが好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート、トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。これらの中でもDMC及びEMCが好ましい。
非水溶媒として、環状カーボネート及び鎖状カーボネートの少なくとも一方を用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートを用いることで、電解質塩の解離を促進して非水電解液のイオン伝導度を向上させることができる。鎖状カーボネートを用いることで、非水電解液の粘度を低く抑えることができる。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比率(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、例えば、5:95から50:50の範囲とすることが好ましい。
電解質塩としては、公知の電解質塩から適宜選択できる。電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等が挙げられる。これらの中でもリチウム塩が好ましい。
リチウム塩としては、LiPF6、LiPO2F2、LiBF4、LiClO4、LiN(SO2F)2等の無機リチウム塩、LiSO3CF3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)(SO2C4F9)、LiC(SO2CF3)3、LiC(SO2C2F5)3等のハロゲン化炭化水素基を有するリチウム塩等が挙げられる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPF6がより好ましい。
非水電解液における電解質塩の含有量は、0.1mol/dm3以上2.5mol/dm3以下であると好ましく、0.3mol/dm3以上2.0mol/dm3以下であるとより好ましく、0.5mol/dm3以上1.7mol/dm3以下であるとさらに好ましく、0.7mol/dm3以上1.5mol/dm3以下であると特に好ましい。電解質塩の含有量を上記の範囲とすることで、非水電解液のイオン伝導度を高めることができる。
非水電解液は、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えばビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t-ブチルベンゼン、t-アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2-フルオロビフェニル、o-シクロヘキシルフルオロベンゼン、p-シクロヘキシルフルオロベンゼン等の上記芳香族化合物の部分ハロゲン化物;2,4-ジフルオロアニソール、2,5-ジフルオロアニソール、2,6-ジフルオロアニソール、3,5-ジフルオロアニソール等のハロゲン化アニソール化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物;亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、4,4’-ビス(2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン)、4-メチルスルホニルオキシメチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド、パーフルオロオクタン、ホウ酸トリストリメチルシリル、リン酸トリストリメチルシリル、チタン酸テトラキストリメチルシリル等が挙げられる。これら添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
非水電解液に含まれる添加剤の含有量は、非水電解液全体の質量に対して0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上7質量%以下がより好ましく、0.2質量%以上5質量%以下がさらに好ましく、0.3質量%以上3質量%以下が特に好ましい。添加剤の含有量を上記の範囲とすることで、高温保存後の容量維持性能又は充放電サイクル性能を向上させたり、安全性をより向上させたりすることができる。
(電極体への押圧)
電極体は、その少なくとも一部が押圧された状態となっている。放電状態において電極体の少なくとも一部に加わる圧力の下限は、0.24MPaであり、0.3MPaが好ましい。これにより、充放電を繰り返しても活物質層内の十分な導電性が維持され、当該二次電池の充放電サイクル後の抵抗増加率を低減することができる。また、当該二次電池の充放電サイクル後の容量維持率も高まる傾向にある。
電極体は、その少なくとも一部が押圧された状態となっている。放電状態において電極体の少なくとも一部に加わる圧力の下限は、0.24MPaであり、0.3MPaが好ましい。これにより、充放電を繰り返しても活物質層内の十分な導電性が維持され、当該二次電池の充放電サイクル後の抵抗増加率を低減することができる。また、当該二次電池の充放電サイクル後の容量維持率も高まる傾向にある。
通常、容器に収納された電極体は、容器の外部から、すなわち容器を介して押圧されている。また、通常、電極体は、正極、負極及びセパレータが重ね合わされた方向(各層の厚さ方向)に押圧されている。すなわち、正極活物質層及び負極活物質層が厚さ方向に押しつぶされる方向に押圧されている。但し、電極体の一部(例えば、扁平状の巻回型の電極体における一対の曲面部等)は、押圧されていなくてもよい。また、積層型の電極体、及び扁平状の巻回型の電極体の平坦部の一部、例えば中央部分のみが押圧されていてもよい。放電状態における上記圧力の上限としては、例えば3MPaが好ましく、1MPaがより好ましく、0.6MPaがさらに好ましく、0.4MPaがよりさらに好ましい。放電状態における上記圧力が上記上限以下であることで、活物質層内へ非水電解液が十分に流入されることなどにより、当該二次電池の充放電サイクル後の抵抗増加率をより低減することができる。放電状態における上記圧力は、上記したいずれかの下限以上且ついずれかの上限以下であってよい。
上記電極体の少なくとも一部への押圧(荷重の付与)は、例えば容器を外側から押圧する加圧部材等により行うことができる。加圧部材は、容器の形状を拘束する拘束部材であってよい。加圧部材(拘束部材)は、例えば容器を介して電極体を厚さ方向の両面から挟み込んで押圧するように設けられる。電極体において押圧される面は、直接又は他の部材を介して、容器の内面と接している。このため、容器が押圧されることにより、電極体が押圧される。加圧部材としては、例えば拘束バンド、金属製のフレームなどが挙げられる。例えば金属製のフレームにおいては、ボルト等によって荷重が調整可能に構成されていてよい。また、複数の二次電池(蓄電素子)を、電極体の厚さ方向に並べて配置し、この厚さ方向の両端から複数の二次電池を押圧した状態でフレーム等を用いて固定してもよい。
本実施形態の蓄電素子は、充放電サイクル後の抵抗増加率が低減されている。ここで、一般的な蓄電素子においては、通常、高い電流密度で充放電が行われるとき、充放電サイクル後の抵抗増加が顕著に生じる。これは、速い速度で充放電がなされるため電解液の移動が追従しきれず、活物質層内において電解液が枯渇した部分が特に生じ易くなるためであると考えられる。このため、電解液が十分に活物質層へ流入できるように構成された本実施形態の蓄電素子は、高い電流密度で充放電が行われる用途、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源等に好適に用いられる。
本実施形態の蓄電素子(二次電池)の形状については特に限定されるものではなく、例えば、円筒型電池、角型電池、扁平型電池、コイン型電池、ボタン型電池等が挙げられる。
図1に角型電池の一例としての蓄電素子1を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。セパレータを挟んで巻回された正極及び負極を有する電極体2が角型の容器3に収納される。正極は正極リード41を介して正極端子4と電気的に接続されている。負極は負極リード51を介して負極端子5と電気的に接続されている。また、図1の蓄電素子1においては、図示しない加圧部材等が、例えば容器3の両面(通常、図1における手前側の面と奥側の面)を挟み込んで、容器3、及び容器3に収納された電極体2を加圧するように設けられていてよい。
<蓄電素子の製造方法>
本発明の一実施形態に係る蓄電素子は、例えば、正極を作製すること、負極を作製すること、電解液を調製すること、正極及び負極を、セパレータを介して積層又は巻回することにより交互に重畳された電極体を形成すること、正極及び負極(電極体)を容器に収容すること、上記容器に上記電解液を注入すること、注入後、注入口を封止すること、並びに加圧部材等を取り付けることを備える製造方法により製造することができる。
本発明の一実施形態に係る蓄電素子は、例えば、正極を作製すること、負極を作製すること、電解液を調製すること、正極及び負極を、セパレータを介して積層又は巻回することにより交互に重畳された電極体を形成すること、正極及び負極(電極体)を容器に収容すること、上記容器に上記電解液を注入すること、注入後、注入口を封止すること、並びに加圧部材等を取り付けることを備える製造方法により製造することができる。
<蓄電装置の構成>
本実施形態の蓄電素子は、EV、HEV、PHEV等の自動車用電源、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器用電源、又は電力貯蔵用電源等に、複数の蓄電素子を集合して構成した蓄電ユニット(バッテリーモジュール)として搭載することができる。この場合、蓄電ユニットに含まれる少なくとも一つの蓄電素子に対して、本発明の一実施形態に係る技術が適用されていればよい。
本実施形態の蓄電素子は、EV、HEV、PHEV等の自動車用電源、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器用電源、又は電力貯蔵用電源等に、複数の蓄電素子を集合して構成した蓄電ユニット(バッテリーモジュール)として搭載することができる。この場合、蓄電ユニットに含まれる少なくとも一つの蓄電素子に対して、本発明の一実施形態に係る技術が適用されていればよい。
図2に、電気的に接続された二以上の蓄電素子1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合した蓄電装置30の一例を示す。蓄電ユニット20又は蓄電装置30は、複数の蓄電素子1を、例えば図2における左右方向から押圧する押圧部材(図示しない)を備えていてよい。蓄電装置30は、二以上の蓄電素子1を電気的に接続するバスバ(図示せず)、二以上の蓄電ユニット20を電気的に接続するバスバ(図示せず)等を備えていてもよい。蓄電ユニット20又は蓄電装置30は、一以上の蓄電素子の状態を監視する状態監視装置(図示せず)を備えていてもよい。
<その他の実施形態>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成又は周知技術に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。また、ある実施形態の構成に対して周知技術を付加することができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成又は周知技術に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。また、ある実施形態の構成に対して周知技術を付加することができる。
上記実施形態では、蓄電素子が充放電可能な非水電解液二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、蓄電素子の種類、形状、寸法、容量等は任意である。本発明の蓄電素子は、種々の非水電解液二次電池、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタにも適用できる。また、本発明の蓄電素子は、電解液が非水電解液以外の電解液である蓄電素子にも適用できる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の正極活物質層及び負極活物質層の全細孔容積及び微分細孔容積のピークに対応する細孔径、負極活物質層のBET比表面積及び0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合(0.1μm以上の細孔容積の割合)、並びに負極活物質の平均粒子径は、上記した方法により測定した値である。なお、以下、正極活物質層及び負極活物質層の全細孔容積は、正極活物質層と負極活物質層とが対向する部分における全細孔容積であり、負極活物質層のBET比表面積は、上記正極活物質層と上記負極活物質層とが対向している部分におけるBET比表面積である。
なお、以下の正極活物質層及び負極活物質層の全細孔容積及び微分細孔容積のピークに対応する細孔径、負極活物質層のBET比表面積及び0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合(0.1μm以上の細孔容積の割合)、並びに負極活物質の平均粒子径は、上記した方法により測定した値である。なお、以下、正極活物質層及び負極活物質層の全細孔容積は、正極活物質層と負極活物質層とが対向する部分における全細孔容積であり、負極活物質層のBET比表面積は、上記正極活物質層と上記負極活物質層とが対向している部分におけるBET比表面積である。
[実施例1]
(正極の作製)
正極活物質であるLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、導電剤であるアセチレンブラック(AB)、バインダであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)及び分散媒であるN-メチルピロリドン(NMP)を用いて正極合剤ペーストを調製した。なお、正極活物質、AB及びPVDFの質量比率は93:3.5:3.5(固形分換算)とした。正極基材としてのアルミニウム箔の両面に正極合剤ペーストを塗布し、乾燥した。その後、ロールプレスを行い、正極を得た。正極活物質層の全細孔容積は、7.92cm3であった。正極活物質層の微分細孔容積のピークに対応する細孔径は、0.12μmであった。
(正極の作製)
正極活物質であるLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、導電剤であるアセチレンブラック(AB)、バインダであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)及び分散媒であるN-メチルピロリドン(NMP)を用いて正極合剤ペーストを調製した。なお、正極活物質、AB及びPVDFの質量比率は93:3.5:3.5(固形分換算)とした。正極基材としてのアルミニウム箔の両面に正極合剤ペーストを塗布し、乾燥した。その後、ロールプレスを行い、正極を得た。正極活物質層の全細孔容積は、7.92cm3であった。正極活物質層の微分細孔容積のピークに対応する細孔径は、0.12μmであった。
(負極の作製)
負極活物質である黒鉛A(平均粒子径9.0μm)、バインダであるスチレン-ブタジエンゴム(SBR)、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)、及び分散媒である水を用いて負極合剤ペーストを調製した。なお、負極活物質、SBR及びCMCの質量比率は97.5:1.5:1(固形分換算)とした。負極基材としての銅箔の両面に負極合剤ペーストを塗布し、乾燥した。その後、ロールプレスを行い、負極を得た。負極活物質層の全細孔容積は、9.10cm3であった。負極活物質層のBET比表面積は、5.2m2/gであった。負極活物質層の微分細孔容積のピークに対応する細孔径は、0.83μmであった。負極活物質層の0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合は、65%であった。正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比は、1.15であった。
負極活物質である黒鉛A(平均粒子径9.0μm)、バインダであるスチレン-ブタジエンゴム(SBR)、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)、及び分散媒である水を用いて負極合剤ペーストを調製した。なお、負極活物質、SBR及びCMCの質量比率は97.5:1.5:1(固形分換算)とした。負極基材としての銅箔の両面に負極合剤ペーストを塗布し、乾燥した。その後、ロールプレスを行い、負極を得た。負極活物質層の全細孔容積は、9.10cm3であった。負極活物質層のBET比表面積は、5.2m2/gであった。負極活物質層の微分細孔容積のピークに対応する細孔径は、0.83μmであった。負極活物質層の0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合は、65%であった。正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比は、1.15であった。
(非水電解液)
エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートの体積比率が30:70となるように混合した溶媒に、塩濃度が1.2mol/dm3となるようにLiPF6を溶解させ、非水電解液を得た。
エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネートの体積比率が30:70となるように混合した溶媒に、塩濃度が1.2mol/dm3となるようにLiPF6を溶解させ、非水電解液を得た。
(セパレータ)
セパレータには、ポリオレフィン製微多孔膜を用いた。
セパレータには、ポリオレフィン製微多孔膜を用いた。
(電池の組み立て)
上記正極と負極とセパレータとを用いて巻回型の電極体を得た。電極体を角型の容器に収納し、非水電解液を注入して封口した。加圧部材を取り付け、この加圧部材により容器の両面から電極体が放電状態において0.48MPaで押圧された状態として、実施例1の二次電池(蓄電素子)を得た。
なお、実施例1の二次電池における正極活物質層の細孔分布曲線を図3Aに、負極活物質層の細孔分布曲線を図3Bにそれぞれ示す。
上記正極と負極とセパレータとを用いて巻回型の電極体を得た。電極体を角型の容器に収納し、非水電解液を注入して封口した。加圧部材を取り付け、この加圧部材により容器の両面から電極体が放電状態において0.48MPaで押圧された状態として、実施例1の二次電池(蓄電素子)を得た。
なお、実施例1の二次電池における正極活物質層の細孔分布曲線を図3Aに、負極活物質層の細孔分布曲線を図3Bにそれぞれ示す。
[実施例2]
負極活物質を黒鉛B(平均粒子径10μm)に変更して全細孔容積が9.06cm3、BET比表面積が4.9m2/g、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が1.03μm、0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合が61%の負極活物質層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の二次電池を得た。実施例2の二次電池における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比は、1.14であった。
負極活物質を黒鉛B(平均粒子径10μm)に変更して全細孔容積が9.06cm3、BET比表面積が4.9m2/g、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が1.03μm、0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合が61%の負極活物質層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の二次電池を得た。実施例2の二次電池における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比は、1.14であった。
[実施例3]
正極活物質層の塗布重量を変更して全細孔容積が7.42cm3、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.12μmの正極活物質層を形成したこと、負極活物質を黒鉛B(平均粒子径10μm)に変更し、さらにロールプレスのプレス圧力を変更して全細孔容積が9.96cm3、BET比表面積が5.7m2/g、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が1.57μm、0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合が73%の負極活物質層を形成したこと、及び加圧部材による押圧の圧力を0.36MPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の二次電池を得た。実施例3の二次電池における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比は、1.34であった。
正極活物質層の塗布重量を変更して全細孔容積が7.42cm3、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.12μmの正極活物質層を形成したこと、負極活物質を黒鉛B(平均粒子径10μm)に変更し、さらにロールプレスのプレス圧力を変更して全細孔容積が9.96cm3、BET比表面積が5.7m2/g、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が1.57μm、0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合が73%の負極活物質層を形成したこと、及び加圧部材による押圧の圧力を0.36MPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の二次電池を得た。実施例3の二次電池における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比は、1.34であった。
[実施例4]
正極活物質をLiNi1/2Co3/10Mn1/5O2に変更して、さらに塗布重量を変更して全細孔容積が7.95cm3、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.12μmの正極活物質層を形成したこと、及び塗布重量を変更して全細孔容積が9.14cm3、BET比表面積が5.2m2/g、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.83μm、0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合が65%の負極活物質層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の二次電池を得た。実施例4の二次電池における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比は、1.15であった。
正極活物質をLiNi1/2Co3/10Mn1/5O2に変更して、さらに塗布重量を変更して全細孔容積が7.95cm3、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.12μmの正極活物質層を形成したこと、及び塗布重量を変更して全細孔容積が9.14cm3、BET比表面積が5.2m2/g、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.83μm、0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合が65%の負極活物質層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の二次電池を得た。実施例4の二次電池における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比は、1.15であった。
[実施例5]
塗布重量を変更して全細孔容積が6.14cm3、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.12μmの正極活物質層を形成したこと、負極活物質を黒鉛B(平均粒子径10μm)に変更し、負極活物質、SBR及びCMCの質量比率を98:1:1(固形分換算)に変更し、さらに塗布重量を変更して全細孔容積が11.55cm3、BET比表面積が5.7m2/g、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が1.29μm、0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合が68%の負極活物質層を形成したこと、及び加圧部材による押圧の圧力を0.36MPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の二次電池を得た。実施例5の二次電池における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比は、1.88であった。
塗布重量を変更して全細孔容積が6.14cm3、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.12μmの正極活物質層を形成したこと、負極活物質を黒鉛B(平均粒子径10μm)に変更し、負極活物質、SBR及びCMCの質量比率を98:1:1(固形分換算)に変更し、さらに塗布重量を変更して全細孔容積が11.55cm3、BET比表面積が5.7m2/g、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が1.29μm、0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合が68%の負極活物質層を形成したこと、及び加圧部材による押圧の圧力を0.36MPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の二次電池を得た。実施例5の二次電池における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比は、1.88であった。
[比較例1]
負極活物質を黒鉛C(平均粒子径6.6μm)に変更して全細孔容積が7.89cm3、BET比表面積が5.1m2/g、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.53μm、0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合が60%の負極活物質層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の二次電池を得た。比較例1の二次電池における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比は、1.00であった。
負極活物質を黒鉛C(平均粒子径6.6μm)に変更して全細孔容積が7.89cm3、BET比表面積が5.1m2/g、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.53μm、0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合が60%の負極活物質層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の二次電池を得た。比較例1の二次電池における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比は、1.00であった。
[比較例2]
塗布重量を変更して全細孔容積が7.91cm3、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.12μmの正極活物質層を形成したこと、及び負極合剤ペーストに更に鱗片状黒鉛を混合し、負極活物質、SBR、CMC及び鱗片状黒鉛の質量比率を87.5:1.5:1:10(固形分換算)として全細孔容積が7.81cm3、BET比表面積が5.0m2/g、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.82μm、0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合が64%の負極活物質層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の二次電池を得た。比較例2の二次電池における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比は、0.99であった。
塗布重量を変更して全細孔容積が7.91cm3、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.12μmの正極活物質層を形成したこと、及び負極合剤ペーストに更に鱗片状黒鉛を混合し、負極活物質、SBR、CMC及び鱗片状黒鉛の質量比率を87.5:1.5:1:10(固形分換算)として全細孔容積が7.81cm3、BET比表面積が5.0m2/g、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.82μm、0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合が64%の負極活物質層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の二次電池を得た。比較例2の二次電池における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比は、0.99であった。
[比較例3]
正極活物質をLiNi1/2Co3/10Mn1/5O2に変更し、導電剤をファーネスブラックに変更して、さらに塗布重量を変更して全細孔容積が9.44cm3、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.18μmの正極活物質層を形成したこと、及び塗布重量を変更して全細孔容積が9.14cm3、BET比表面積が5.2m2/g、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.83μm、0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合が65%の負極活物質層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の二次電池を得た。比較例3の二次電池における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比は、0.97であった。
正極活物質をLiNi1/2Co3/10Mn1/5O2に変更し、導電剤をファーネスブラックに変更して、さらに塗布重量を変更して全細孔容積が9.44cm3、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.18μmの正極活物質層を形成したこと、及び塗布重量を変更して全細孔容積が9.14cm3、BET比表面積が5.2m2/g、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.83μm、0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合が65%の負極活物質層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の二次電池を得た。比較例3の二次電池における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比は、0.97であった。
[比較例4]
塗布重量を変更して全細孔容積が6.53cm3、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.12μmの正極活物質層を形成したこと、負極活物質、SBR及びCMCの質量比率を97:2:1(固形分換算)に変更して、さらに塗布重量を変更して全細孔容積が6.52cm3、BET比表面積が5.2m2/g、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.77μm、0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合が58%の負極活物質層を形成したこと、及び加圧部材を取り付けなかった(電極体に対して押圧をしていない状態とした)こと以外は実施例1と同様にして、比較例4の二次電池を得た。比較例4の二次電池における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比は、1.00であった。
塗布重量を変更して全細孔容積が6.53cm3、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.12μmの正極活物質層を形成したこと、負極活物質、SBR及びCMCの質量比率を97:2:1(固形分換算)に変更して、さらに塗布重量を変更して全細孔容積が6.52cm3、BET比表面積が5.2m2/g、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.77μm、0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合が58%の負極活物質層を形成したこと、及び加圧部材を取り付けなかった(電極体に対して押圧をしていない状態とした)こと以外は実施例1と同様にして、比較例4の二次電池を得た。比較例4の二次電池における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比は、1.00であった。
[比較例5]
塗布重量を変更して全細孔容積が5.97cm3、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.12μmの正極活物質層を形成したこと、ロールプレスのプレス圧力を変更して、さらに塗布重量を変更して全細孔容積が12.70cm3、BET比表面積が5.2m2/g、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が1.10μm、0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合が62%の負極活物質層を形成したこと、及び加圧部材による押圧の圧力を0.19MPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較例5の二次電池を得た。比較例5の二次電池における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比は、2.12であった。
塗布重量を変更して全細孔容積が5.97cm3、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が0.12μmの正極活物質層を形成したこと、ロールプレスのプレス圧力を変更して、さらに塗布重量を変更して全細孔容積が12.70cm3、BET比表面積が5.2m2/g、微分細孔容積のピークに対応する細孔径が1.10μm、0.1μm以上の細孔容積が全細孔容積に占める割合が62%の負極活物質層を形成したこと、及び加圧部材による押圧の圧力を0.19MPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較例5の二次電池を得た。比較例5の二次電池における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比は、2.12であった。
[評価]
(初期の抵抗)
得られた各二次電池について、25℃にて、1.0Cの電流値で定電流充電を行い、SOC(State of Charge)を50%にした後、-10℃にて0.2C、0.5C、又は1.0Cの電流値で、各30秒間放電した。各放電電流における電流と放電開始後10秒目の電圧との関係をプロットし、3点のプロットから得られた直線の傾きから直流抵抗を求め、初期の抵抗とした。
(初期の抵抗)
得られた各二次電池について、25℃にて、1.0Cの電流値で定電流充電を行い、SOC(State of Charge)を50%にした後、-10℃にて0.2C、0.5C、又は1.0Cの電流値で、各30秒間放電した。各放電電流における電流と放電開始後10秒目の電圧との関係をプロットし、3点のプロットから得られた直線の傾きから直流抵抗を求め、初期の抵抗とした。
(充放電サイクル試験)
次いで、以下の充放電サイクル試験を行った。60℃にて、8Cの電流値で、充電終止電圧4.10Vとして定電流充電した。その後、休止を設けず、8Cの電流値で、下限電圧2.50Vとして定電流放電を行った。この充放電を6000サイクル実施した。
次いで、以下の充放電サイクル試験を行った。60℃にて、8Cの電流値で、充電終止電圧4.10Vとして定電流充電した。その後、休止を設けず、8Cの電流値で、下限電圧2.50Vとして定電流放電を行った。この充放電を6000サイクル実施した。
(抵抗増加率)
充放電サイクル試験後、上記「初期の抵抗」と同様の方法にて、各二次電池の直流抵抗を求め、充放電サイクル試験後の抵抗とした。充放電サイクル試験後の抵抗と初期の抵抗との差を初期の抵抗で除することにより、充放電サイクル試験後の抵抗増加率を求めた。結果を表1に示す。
充放電サイクル試験後、上記「初期の抵抗」と同様の方法にて、各二次電池の直流抵抗を求め、充放電サイクル試験後の抵抗とした。充放電サイクル試験後の抵抗と初期の抵抗との差を初期の抵抗で除することにより、充放電サイクル試験後の抵抗増加率を求めた。結果を表1に示す。
(容量維持率)
上記充放電サイクル試験における1サイクル目の放電容量に対する6000サイクル目の放電容量を容量維持率として求めた。結果を表1に示す。
上記充放電サイクル試験における1サイクル目の放電容量に対する6000サイクル目の放電容量を容量維持率として求めた。結果を表1に示す。
表1に示されるように、放電状態において電極体の少なくとも一部に加わる圧力が0.24MPa以上であり、正極活物質層と負極活物質層とが対向している部分における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比が1.0超である実施例1から5の各二次電池においては、充放電サイクル後の抵抗増加率が低い結果となった。また、これらの各実施例の二次電池においては、充放電サイクル後の容量維持率が十分に高いものであった。さらに、実施例3及び5の各二次電池のように、正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比をより高めることで、充放電サイクル後の抵抗増加率がより低くなる傾向が確認できた。また、実施例3及び5の各二次電池のように、負極活物質層のBET比表面積が5.5m2/g超である場合も、充放電サイクル後の抵抗増加率がより低くなる傾向が確認できた。
一方、比較例1から4の各二次電池のように正極活物質層と負極活物質層とが対向している部分における正極活物質層の全細孔容積に対する負極活物質層の全細孔容積の比が1.0以下である場合、及び比較例4及び5の各二次電池のように放電状態において電極体の少なくとも一部に加わる圧力が0.24MPa未満である場合は、充放電サイクル後の抵抗増加率が高い結果となった。
本発明は、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車などの電源として使用される蓄電素子などに適用できる。
1 蓄電素子
2 電極体
3 容器
4 正極端子
41 正極リード
5 負極端子
51 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置
2 電極体
3 容器
4 正極端子
41 正極リード
5 負極端子
51 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置
Claims (3)
- 正極活物質層を含む正極及び負極活物質層を含む負極を有する電極体と、電解液とを備え、
上記電極体の少なくとも一部が押圧された状態であり、放電状態において上記電極体の少なくとも一部に加わる圧力が0.24MPa以上であり、
上記正極活物質層と上記負極活物質層とが対向している部分における上記正極活物質層の全細孔容積に対する上記負極活物質層の全細孔容積の比が、1.0超である蓄電素子。 - 上記正極活物質層と上記負極活物質層とが対向している部分における上記正極活物質層の全細孔容積に対する上記負極活物質層の全細孔容積の比が、2.0以下である請求項1に記載の蓄電素子。
- 上記正極活物質層と上記負極活物質層とが対向している部分における上記負極活物質層のBET比表面積が、5.5m2/g超である請求項1又は請求項2に記載の蓄電素子。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2022052579A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022259724A1 (ja) * | 2021-06-09 | 2022-12-15 | 株式会社Gsユアサ | 蓄電素子 |
-
2020
- 2020-09-23 JP JP2020159045A patent/JP2022052579A/ja active Pending
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