JP2022051619A - メカニカルシール - Google Patents

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Abstract

【課題】分解,組立が容易で高圧の条件下で使用できるアウトサイド型のメカニカルシールを提供する。【解決手段】回転機器のハウジングに取り付けられた分割型のシールケース12と、シールケース12に対して軸線方向移動可能に保持されており、円筒形状の保持円筒部34を有する分割型の第1保持環3と、第1保持環3の保持円筒部34に外嵌されている分割型の第1密封環4と、接着により円筒形状に形成され、保持円筒部34と第1密封環4の間に設けられている第1密封シートS1と、第1保持環3の分割割面に挟持された第1割面シートD1と、を具備し、第1密封環4と前記回転機器の回転軸Rに設けられた第2密封環7の対向端面である密封端面の相対回転摺接作用により当該密封端面の内周側領域である被密封流体領域Hと当該密封端面の外周側領域である非密封流体領域Lとをシールするように構成されるメカニカルシールである。【選択図】図2

Description

本発明は、ポンプ(海水淡水化用ポンプ、灌漑用ポンプ、各種産業用ポンプ)、ブロアやコンプレッサ等の回転機器に装備されるアウトサイド型のメカニカルシールであって、特に、密封環が周方向に分割された分割型密封環である分割型のメカニカルシールに関するものである。
アウトサイド型のメカニカルシールは、一般に、シールケースに対して軸線方向移動可能に保持された第1密封環と回転軸に対して固定された第2密封環との相対回転摺接作用により、その相対回転摺接部分の内周側領域たる被密封流体領域とその外周側領域たる非密封流体領域とを遮蔽シールするように構成される。そのうち、両密封環が分割型密封環をなすものとしては、例えば、特許文献1の図1に開示される如く各密封環が保持環に締め付け自在に取り付けた緊縛環によって端面側弾性部材及び周面側弾性部材を介して円環状に緊縛された状態で固定保持される分割型メカニカルシール(以下「第1従来シール」という)が知られている。また、特許文献2の図1に開示される如く各密封環をシール部材を介在させた状態で緊縛環により円環状に緊縛固定しつつ、当該シール部材がシールケースと緊縛環の隙間をシールする機能を併せ持つ分割型メカニカルシール(以下「第2従来シール」という)が周知である。
而して、第1従来シールにおいては、シールケースに保持環をOリングを介して軸線方向に移動可能に保持させると共に、保持環に緊縛環を軸線方向に締め付け自在に取り付け、分割型密封環と保持環との軸線方向における対向端面間及び分割型密封環と緊縛環との対向周面間に夫々ゴムシート等の弾性部材を介装して、緊縛環を保持環へと締め付けることにより、分割型密封環を保持環の軸線方向端面に端面側弾性部材を介して押圧保持させると共に緊縛環の内周面に周面側弾性部材を介して嵌合保持させるように構成する。
また、第2従来シールにおいては、図9に示す如く、密封環104、密封環107は夫々、密封端面を形成した先端部分とこれに連なる外径一定の中間部分とこれより外径を小径とする外径一定の基端部分とからなる、周方向に2分割された分割型密封環である。密封環104、密封環107は夫々、その中間部分及び基端部分を第1シール部材106又は第2シール部材109の一端部分161、一端部分191を介在させた状態で周方向に2分割された緊縛環105、緊縛環108及び緊縛体181により円環状に緊縛した状態で固定されている。さらに、シールケース側(機内側)の第1シール部材106は、他端部分164がハウジング101aとシールケース103との軸線方向対向端面間に挟圧固定されて、シールケース103と緊縛環105との間をシールする。機外側の第2シール部材109は、他端部分192が回転軸102と緊縛環108との間に挟圧固定されて、回転軸102と緊縛環108との間をシール(二次シール)する。
特開2007-298123号公報 特開2017-166517号公報
このような分割型メカニカルシールは、これが大型のものである場合にもメンテナンス作業を含む分解,組立作業を容易に行うことができ、大型回転機器の軸封手段として好適
するものであるが、次のような問題が指摘できる。
第1従来シールは、上記した如く、分割型密封環と緊縛環及び保持環との間に弾性部材を介在させているため、緊縛環による緊縛力に過不足がある場合や分割型密封環に作用する内圧が高い場合にも、密封環の分割面が開いたり分割部分に歪みが生じて分割部分の衝合面から被密封流体が漏洩する虞れが少ない利点を有する。しかし、第1従来シールにおいては、密封環のみが分割型であり、緊縛環及び保持環は分割型に構成されていないため、組立や分解に軸線方向のスペースを必要とし、分解や再組立てが容易でなくメンテナンスに手間を要する。また、緊縛環及び保持環が分割型に構成されておらず、分割型密封環の緊縛力を緊縛環の保持環への軸線方向への締め付けによって得ている(分割型密封環と緊縛環との嵌合面をテーパ面に構成し、緊縛環の軸線方向力(保持環への締め付け力)の分力によって緊縛力を得ている)ため、緊縛環の締め付け時に分割型密封環の衝合面(両分割部分の衝合面)が軸線方向にズレを生じる虞れがあり、当該密封環をその密封端面が適正な環状平面となるように組み立てることが困難である。
第2従来シールは、すべてのメカニカルシール部品を軸に直交する方向に分解・組立できる構成とすることで、第1従来シールに係る上記問題点を解消することを意図するものである。すなわち、第2従来シールにおいては、周方向に2分割された緊縛環の分割面を締結すること、つまり各緊縛環を分割面に対して垂直に締め付けることにより、分割型の各密封環が弾性材製のシール部材の一端部分を介在した状態で緊縛される。このことから、第1従来シールのように緊縛環を軸線方向に締め付ける場合と異なって、分割型の各密封環の組立時(緊縛時)に分割部分が軸線方向にズレを生じる虞れが少ない。しかも、密封環と緊縛環との間に介在させるシール部材の一端部分の径方向厚みを大きくとることができるから、緊縛環による緊縛力を高くしても、それによって分割型の各密封環に歪を生じる虞れも少ない。したがって、第2従来シールは、ある程度の高圧条件下で使用される場合にも、分割型の各密封環の分割面から漏れが生じる虞れが少なく、高PV値回転機器にも好適に使用することができる。
しかし、第2従来シールには、上記シール部材(ゴムベローズ)の形状が複雑で、その製作には寸法公差の精度が要求されることから金型が必要となり、新規サイズのメカニカルシールを設計,製作することが容易でないという問題がある。当該シール部材は、分割型の密封環の保持及び周り止め(分割型の密封環と緊縛環の隙間のシール及び両分割部分の衝合面を通じた被密封流体の漏出のシール)の機能と、シールケースと緊縛環105との隙間のシール機能又は緊縛環108と回転軸との間のシール機能の両方を果たしており、これら全ての機能をゴムの弾性により実現するために高精度な3次元形状が要求されるから当該シール部材の製作に金型を必要とするのである。
さらに、第2従来シールには、特に高圧の条件下(約1MPaG以上)で使用される場合に、分割型密封環(第1及び第2密封環)の密封端面が外当たり(円環状の密封端面の外周部分が非常に高い圧力で当接する)となり、潤滑不良を生じ易いという問題がある。第2従来シールにおいては、第1及び第2密封環並びに第1及び第2シール部材(ゴムベローズ)の表面の大きな面積部分が被密封流体に直接接していて受圧面積が大きいから、特に高圧の状況下では該シール部材が径方向には圧縮され軸方向には伸長する変形をしやすく、その結果、密封端面が外当たりとなるのである。
本発明は、このような問題を解決して、メカニカルシールのメンテナンスを含む分解,組立を容易に行うことができるアウトサイド型の分割型メカニカルシールであって、更なる高圧の条件下で使用できるメカニカルシールを提供することを目的とするものである。
本発明は、上記の目的を達成すべくなされたものであり、周方向に分割されており、円環状に締結された状態で回転機器のハウジングに取り付けられたシールケースと、周方向に分割されており、円環状に締結された状態で前記シールケースに軸線方向移動可能に保持されていて、円筒形状の保持円筒部を有する第1保持環と、周方向に分割されており、円環状に緊縛された状態で、第1保持環に外嵌されている第1密封環と、接着により円筒形状に形成され、第1保持環の保持円筒部と第1密封環の間に設けられている第1密封シートと、を具備し、第1密封環と前記回転機器の回転軸に設けられた第2密封環の対向端面である密封端面の相対回転摺接作用により当該密封端面の内周側領域である被密封流体領域と当該密封端面の外周側領域である非密封流体領域とをシールするように構成されることを特徴とするメカニカルシールが提案される。
かかるメカニカルシールの好ましい実施の形態においては、接着により円環板状に形成され、前記ハウジングと、前記シールケースと、第1保持環と、に密着状態で固定された円環板シートを有するメカニカルシールが好ましい。また、第1保持環を構成する分割部分の少なくとも1つの分割割面に設けられた第1割面溝と、第1割面溝に収容された第1割面シートと、を備え、第1割面シートの一端は第1密封シートと密着し、第1割面シートの他端は前記円環板シートと密着しているメカニカルシールが好ましい。また、周方向に分割されており、円環状に締結された状態で第1保持環に取り付けられて、第1密封環を第1保持環上に緊縛固定している第1緊縛環と、接着により円筒形状に構成されていて、第1密封環と第1緊縛環の間に設けられている第1緊縛シートと、を備えるメカニカルシールが好ましい。また、周方向に分割されており、円環状に締結された状態で前記回転機器の回転軸に固定されていて、円筒形状の保持円筒部を有する第2保持環と、周方向に分割されており、円環状に緊縛された状態で、第2保持環に外嵌されている第2密封環と、接着により円筒形状に形成され、第2保持環の保持円筒部と第2密封環の間に設けられている第2密封シートと、を具備するメカニカルシールが好ましい。また、第2保持環を構成する分割部分の少なくとも1つの分割割面に設けられた第2割面溝と、第2割面溝に収容された第2割面シートと、を備え、第2割面シートの一端は第2密封シートと密着し、第2割面シートの他端は前記回転軸と密着しているメカニカルシールが好ましい。また、周方向に分割されており、円環状に締結された状態で第2保持環に取り付けられて、第2密封環を第2保持環上に緊縛固定している第2緊縛環と、接着により円筒形状に構成されていて、第2密封環と第2緊縛環の間に設けられている第2緊縛シートと、を備えるメカニカルシールが好ましい。また、第1保持環と第1密封環の軸線方向対向端面間に弾性材製の第1基端シートが介装されており、第2保持環と第2密封環の軸線方向対向端面間に弾性材製の第2基端シートが介装されているメカニカルシールが好ましい。なお、本発明における「接着により」という記載は、好ましくは接着剤を用いて接着するのであるが融着や溶着により接着することも可能であることを意味する。
本発明のメカニカルシールは、メカニカルシール構成部品が回転軸に対してこれに直交する方向に分解,組立できる構成となっているから、前記した緊縛環等の軸線方向移動スペースを十分に確保できない場合にも、更には密封環以外のメカニカルシール構成部品を交換等のメンテナンスする必要がある場合にも、メンテナンスを含むメカニカルシールの分解,組立作業を容易に行うことができる利点を有する。さらに、本発明のメカニカルシールにおいては、第1密封環が第1保持環の保持円筒部に外嵌されているから、第1密封環の表面は、両密封環の対向端面である密封端面の近傍の内周側のテーパ面を除いて被密封流体領域にほとんど露出しておらず、被密封流体からの受圧面積が小さい。また、本発明のメカニカルシールにおいては、第1密封シートが、第1保持環の保持円筒部と第1密封環の間に設けられているから、第1密封シートの被密封流体からの受圧面積も小さい。したがって、本発明のメカニカルシールは、高圧の条件下(約1MPaG以上)で使用される場合であっても第1密封シートの変形が少なく、両密封環の密封端面の端面隙間を維
持しやすいため、潤滑特性が向上する利点を有する。さらに、本発明の好ましい形態のメカニカルシールにおいては、第1及び第2密封環がそれぞれ第1又は第2保持環の保持円筒部に外嵌されているから、第1及び第2密封環の表面は、両密封環の対向端面である密封端面の近傍の内周側のテーパ面を除いて被密封流体領域にほとんど露出しておらず、被密封流体からの受圧面積が小さい。また、複数のシート状シール部材、すなわち、シールケースと第1保持環との隙間のシール機能を果たす弾性材製の円環板シート、第1及び第2密封環と第1又は第2保持環との隙間のシール機能を果たす弾性材製の第1及び第2密封シート、及び、第1又は第2保持環の両分割部分の衝合面を通じた被密封流体の漏出のシール機能を果たす弾性材製の第1及び第2割面シートのうちで、被密封流体領域に直接的に露出しているのは円環板シートの一部分のみである。そして、円環板シートは第1密封環と位置的に離れており、直接接触する位置関係にないから、円環板シートが被密封流体の圧力を受けて変形しても、その応力は第1及び第2密封環に直接伝わることはなく、両密封環の対向端面の向きを変える作用を有しない。したがって、本発明の好ましい形態のメカニカルシールは、高圧の条件下(約1MPaG以上)で使用される場合であってもシール部材の変形が少なく、両密封環の密封端面の端面隙間を維持しやすいため、潤滑特性が向上する利点を有する。
このように本発明のメカニカルシールは、シール機能及び分解,組立作業性に優れ、且つ、更なる高圧の条件下へと用途を大幅に拡大できるものであり、その実用的価値極めて大なるものである。
図1は本発明に係るメカニカルシールの一例を示す断面図である。 図2は図1の要部を拡大して示す詳細図である 図3は図1のIII-III線に沿う端面図である。 図4は図1のIV-IV線に沿う端面図である。 図5は図1のV-V線に沿う端面図である。 図6は図1のVI-VI線に沿う端面図である。 図7は図1のVII-VII線に沿う端面図である。 図8は構造解析の比較結果を示すコンター図である。 図9は第2従来シールの要部を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本発明に係る分割型メカニカルシールの一例を示す断面図であり、図2は図1の要部を拡大して示す詳細図であり、図3は図1のIII-III線に沿う端面図であり、図4は図1のIV-IV線に沿う端面図であり、図5は図1のV-V線に沿う端面図であり、図6は図1のVI-VI線に沿う端面図であり、図7は図1のVII-VII線に沿う端面図であり、図8は構造解析の比較結果を示すコンター図である。なお、以下の説明において、前後とは図1及び図2における左右を意味するものとする。
図1に示す分割型メカニカルシールは、回転機器のハウジング(ポンプハウジング等であり、以下「機器ハウジング」という)1と回転軸(インぺラ軸等)Rとの間に装置されたものであり、機器ハウジング1に取り付けられたシールケース2と、シールケース2に第1保持環3及び第1密封シートS1を介して軸線方向(前後方向)に移動可能に保持された第1密封環4と、回転軸Rに第2保持環6及び第2密封シートS2を介して固定された第2密封環7と、シールケース2と第1保持環3との間に介装されて、第1密封環4を第2密封環7に押圧接触させるべく軸線方向へと附勢するスプリング部材32sとを具備する。図2に示す如く、分割型メカニカルシールは、第1及び第2密封環4,7の対向端
面たる密封端面41a及び密封端面71aの相対回転摺接作用により、その密封端面41a,71aの内周側領域である被密封流体領域(機内領域)Hと密封端面41a,71aの外周側領域である非密封流体領域(機外領域であり、この例では大気領域)Lとを遮蔽シールするように構成されたアウトサイド型の端面接触形メカニカルシールである。
シールケース2は、図3に示す如く、周方向に直径線上で2分割された金属製の円環状体であり、分割部分2A,分割部分2Bの両端部同士を一対の締結ボルト2tで締結することにより、分割面が衝合する円環状に構成される。シールケース2は、図1から図3に示す如く、周方向に等間隔を隔てて配置した複数個の取付ボルト2zにより、機器ハウジング1の端部に形成されたメカニカルシール取付部12に回転軸Rと同心状に取り付けられている。シールケース2のメカニカルシール取付部12に対する径方向の位置決めは、シールケース2の内周部後方に形成された環状切欠部22がメカニカルシール取付部12の大気領域側端部(前端面)に突設された環状凸部14の外周部に嵌合することによって行われる。また、シールケース2の内周部にはその前端から内方に突出する円環状のフランジ部21が形成されており、シールケース2をメカニカルシール取付部12に取り付けた状態において環状凸部14,フランジ部21が軸線方向に所定間隔を隔てて直対向するようになっている。すなわち、当該環状凸部14とフランジ部21との対向端面の内外径は一致している。なお、この例では、メカニカルシール取付部12は、図1に示す如く、機器ハウジング1の本体部11とは別部材で構成された金属製の円環状体であり、当該本体部11の大気領域側端部(前端部)に複数個の取付ボルト12z(図1には図示せず)により固着されている。また、各取付ボルト2zは、シールケース2及びメカニカルシール取付部12に形成したボルト挿通孔を貫通して、機器ハウジング1の本体部11に螺着されている。
第1保持環3は、図1,図5に示す如く、周方向に直径線上で2分割された金属製の円環状体であり分割部分3A,分割部分3Bの両端部を一対の締結ボルト3tで軸線に直交する方向に締結することにより、分割部分3A,3Bの端面同士が衝合する円環状に構成される。
第1保持環3は、図1に示す如く、円環状の保持壁部33と、その内周部の後端部から軸線方向後方に突出する円環形状の摺動部31と、保持壁部33の内周部の前端部から軸線方向前方に突出する円筒形状の保持円筒部34とからなる。第1保持環3を構成する摺動部31、保持壁部33及び保持円筒部34の内径はいずれも一定で同一であり、第1保持環3の内周面は軸線と平行な円筒面をなしている。保持壁部33は、図2も参照して、軸線方向後方に位置する外径一定の保持壁部後部33bと、同じく前方に位置する外径一定の保持壁部前部33aから構成されている。保持円筒部34の外径は一定であって保持壁部前部33aの外径より小さく、保持壁部後部33bの外径は保持壁部前部33aの外径より大きい。保持壁部前部33aの前方端面及び保持壁部後部33bの前方端面はいずれも軸線方向に垂直な円環平面となっている。摺動部31は、シールケース2のフランジ部21に挿入されている。すなわち、摺動部31は、その外周面をフランジ部21の内周面に若干の隙間を隔てて対向させることにより、シールケース2に対して軸線方向移動可能に保持されている。摺動部31の外周面には、フランジ部21の内周面より若干小さな径を有する部分が存在しており、当該部分には環状溝が設けられていて、当該環状溝には摺動目的のOリング31oが、その周方向の1箇所に設けられた切離面を接着することにより装着されている。
第1保持環3の保持円筒部34の外周面には、図2に示す如く、弾性材製の第1密封シートS1の内周面が係合可能な環状溝36が形成されており、当該環状溝に第1密封シートS1が装着されている。第1密封シートS1の厚みは、環状溝36の深さ(径方向の長さ)より若干大きく設定されている。
第1密封シートS1は、図5に示す如く、軸線方向の幅及び厚みが一定の円筒形状のシートであり、周方向の一箇所であって軸線方向の全長に亘って切離された切離部分(切離面)S1cを現場で接着剤等で接着することにより円筒形状に構成されて、保持円筒部34の外周面に形成された環状溝36に装着される。第1密封シートS1の材質としては、例えばニトリルゴム(NBR)が用いられる。
シールケース2には、図1及び図4に示す如く、その周方向の2箇所においてドライブピン21yが螺着されている。第1保持環3の保持壁部後部33bの外周部には、図1に示す如く、その周方向の2箇所においてドライブ切欠部32yが形成されており、各ドライブ切欠部32yに各ドライブピン21yを係合させることにより、第1保持環3のシールケース2に対する相対回転が阻止されている。また、シールケース2には図1に示す如く、その外周部分に調整部材23が取付ボルト23zにより螺着されている。調整部材23は円柱形状の部材であり、その前方部分が拡径したフランジ部23aとなっている。フランジ部23aの後方端面は、図2も参照して、第1保持環3の保持壁部後部33bの前方端面と軸線方向に近接対向しており、第1保持環3の軸線方向前方への移動を規制している。したがって、調整部材23により、メカニカルシールの取付け作業の際に、シールケース2と第1保持環3の間に介挿されたスプリング部材32sの弾性伸長力によって、第1保持環3が軸線方向前方に向かって飛び出す危険が除去される。
第1密封環4は、図2に示す如く、外周面を基端方向(後方向)へと漸次拡径するテーパ面(截頭円錐面)に形成した先端部分41とこれに連なる外径一定の基端部分43とからなる円環状体である。第1密封環4は、図5に示す如く、周方向に直径線上で2分割された分割型密封環に構成されており、その分割部分4A,分割部分4Bを第1緊縛シートT1により緊縛することにより、分割部分4A,4Bの端面同士が衝合する円環状に保持(仮止め)される。第1密封環4の材質としては、例えばSiC(シリコンカーバイド)又はカーボンが用いられる。
第1密封環4の先端部分41の先端面(前端面)は軸線に直交する平滑な環状平面である第1密封端面41aに構成されている。第1密封環4の基端部分43の外径は後述する環状溝を除いて一定であり、先端部分41の基端外径(テーパ面の最大径)と同一に設定されている。すなわち、基端部分43の外周面は、先端部分41の外周面から面一状に連なる円柱面をなしている。
第1密封環4の基端部分43の内周面は、後述するドライブ切欠部43yを除いて、内径が一定の円筒形状に形成されている。第1密封環4の先端部分41の内周面は、基端部分43の内周面と面一に連なり、内径が先端方向に向かって漸次拡大するテーパ面(截頭円錐面)に形成されている。基端部分43の内周面は、第1保持環3の保持円筒部34に外嵌されているので、被密封流体領域Hに露出しておらず、その受圧面積はゼロである。先端部分41の内周面は、第1密封端面41a近傍の一部のみが被密封流体領域Hに露出しているが、その受圧面積は小さい。したがって、第1密封環4の内周面は一部のみが被密封流体領域Hに露出しているにすぎず、その受圧面積は小さい。
第1密封環4の基端部分43の外周面には、図2に示す如く、弾性材製の第1緊縛シートT1の内周部が係合しうる環状溝44が形成されており、当該環状溝に第1緊縛シートT1が装着されている。第1緊縛シートT1の厚みは、環状溝44の深さ(径方向の長さ)より若干大きく設定されている。
第1緊縛シートT1は、軸線方向の幅及び厚みが一定の円筒形状のシートであり、周方向の一箇所であって軸線方向の全長に亘って切離された切離部分(切離面)T1cを現場
で接着剤等で接着することにより円筒形状に構成されて、基端部分43の外周面に形成された環状溝44に装着される。第1緊縛シートT1の材質としては、例えばニトリルゴム(NBR)が用いられる。
第1保持環3の保持壁部前部33aには、図1、図2及び図5に示す如く、その周方向の2箇所においてドライブピン33yが螺着されている。第1密封環4の基端部分43の基端面(後端面)には、図1及び図2に示す如く、その周方向の2箇所においてドライブ切欠部43yが形成されており、各ドライブ切欠部43yに各ドライブピン33yを係合させることにより、第1密封環4の第1保持環3に対する相対回転が阻止されている。
第1緊縛環5は、図5に示す如く、周方向に直径線上で2分割された金属製の円環状体であり、分割部分5A,分割部分5Bの両端部を一対の締結ボルト5tで軸線に直交する方向に締結することにより、分割部分5A,5Bの端面同士が衝合する円環状に構成される。
第1緊縛環5は、図1及び図2に示す如く、後方に位置する円環状の基端部分52と前方に位置する円環状の先端部分51とからなる。基端部分52の内周面及び外周面は軸線に平行する円柱面をなしており、換言すれば、基端部分52の内径及び外径は一定である。先端部分51の外周面は軸線に平行する円柱面をなしており、基端部分52の外周面と連続に接続されている。先端部分51の内周面は第1密封環4の先端部分41の外周面(テーパ面)に衝合しうるテーパ面に形成されており、基端部分52の内周面と連続に接続されている。第1緊縛環5は、図1、図2及び図5に示す如く、周方向に等間隔を隔てて配置した複数個の取付ボルト5zにより、第1保持環3の保持壁部33の保持壁部後部33bに螺着されている。第1緊縛環5の保持壁部33に対する径方向の位置決めは、第1緊縛環5の基端部分52の内周部が、保持壁部33の保持壁部前部33aの外周部に嵌合することによって行われる。すなわち、基端部分52の内径と保持壁部前部33aの外径は一致している。また、各取付ボルト5zは、第1緊縛環5に形成したボルト挿通孔を挿通して、第1保持環3の保持壁部33の保持壁部後部33bに螺着されている。
第1緊縛環5の分割部分5A,5Bを1対の締結ボルト5tを用いて軸線に直交する方向に締結することによって、第1密封シートS1が装着された状態の第1保持環3の保持円筒部34に外嵌された第1密封環4が、第1緊縛シートT1及び第1密封シートS1を介して、円環状に緊縛された状態で第1保持環3に固定される。また、第1緊縛環5を複数の取付ボルト5zを用いて、第1保持環3の保持壁部33の保持壁部後部33bに螺着することにより、第1緊縛環5の先端部分51の内周部と第1密封環4の先端部分41の外周部との当接テーパ面を介して働く応力の作用で、第1密封環4が第1保持環3の保持壁部前部33aに向けて押圧される結果、第1密封環4が第1保持環3に対して軸線方向に相対移動しない状態で固定される。
この例では、図2に示す如く、第1保持環3の保持壁部前部33aと第1密封環4の基端部分43の対向端面間には、クッション性を確保する目的で、弾性材製の第1基端シートU1が介挿されている。第1基端シートU1は、その周方向の一箇所が径方向の全長に亘って切離された切離部分U1cを有する円環板状のシートであり、ドライブピン33yを挿通するための孔が2箇所設けられている。第1基端シートU1は、その材質がやや硬質の弾性材製であることが好ましく、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート等のフッ素系樹脂シートである。第1基端シートU1を介挿することで、振動等の外力が加わる環境下や負圧の条件下においても、分割型密封環である第1密封環4の密封端面の平面度(2つの分割部分の先端面の軸線方向位置の一致度)及び軸線方向に対する直角性を確保できる。
円環板シートD3は、図3及び図4に示す如く、周方向の一箇所であって径方向の全長に亘って切離された切離部分D3cを接着剤等で接着することにより円環板状に構成されている弾性材製のシートであって、図2に示す如く、その外縁部分D3oの全周が、ハウジング1のメカニカルシール取付部12に設けられた環状凸部14と、シールケース2のフランジ部21との軸線方向対向端面間に挟圧固定されており、その内縁部分D3iの片面の全周が第1保持環3の摺動部31の摺動部端面(後方端面)31fに密着固定されている。円環板シートD3は、シールケース2のフランジ部21と第1保持環3の摺動部31との当接摺動周面を被密封流体領域Hから遮蔽シールしており、被密封流体領域Hのスラリーが当該摺動周面へと侵入することによる作動不良を防止して、高圧の条件下であっても、シールケース2に対する第1保持環3の軸線方向移動可能性を確保している。また、円環板シートD3は、シールケース2とメカニカルシール取付部12の当接端面の隙間を遮蔽シールする機能も果たしている。
この例では、図1及び図2に示す如く、円環板シートD3の内縁部分D3iは、摺動部31の摺動部端面31fに円環板状の押えプレート31pにより押圧固定されており、円環板シートD3の内縁部分D3i及び押えプレート31pは、図1及び図4に示す如く、周方向に等間隔に配置された複数の取付ボルト31z(図1には図示せず)により摺動部31の摺動部端面31fに螺着されている。その結果、円環板シートD3の内縁部分D3iの片面(前方端面)は摺動部端面31fに密着固定されている。なお、押えプレート31pは、周方向に直径線上で2分割された金属製の円環板状体である。
機器ハウジング1のメカニカルシール取付部12に設けられた環状凸部14とシールケース2のフランジ部21との対向端面及び円環板シートD3の外縁部分D3oには、図1及び図2に示す如く、抜け止め構造D3a,14aが設けられている。当該抜け止め構造により、負圧条件下(被密封流体領域Hの圧力が非密封流体領域Lの圧力より小さいとき)において、円環板シートD3の外縁部分D3oが、当該外縁部分を挟圧保持している上記対向端面間から被密封流体領域H側へと抜け出ることを防止できる。この例では、図2に示す如く、環状凸部14に抜け止め構造14aとして環状凸条14a1が設けられており、環状凸部14とフランジ部21に挟みこまれた円環板シートD3の外縁部分D3oに、環状凸条14a1が食い込むことにより外縁部分D3oに抜け止め構造D3aが形成され、抜け止めとなる。なお、本形態の変形形態として、環状凸部14に抜け止め構造14aとして環状凸条14a1が設けられており、円環板シートD3の外縁部分D3oには、抜け止め構造D3aとして環状凸条14a1に対応する環状凹条D3a1が設けられていて、環状凸条14a1と環状凹条D3a1を係合させることで抜け止めとする形態も可能である。
円環板シートD3は、円環板状に構成されている弾性材製のシートであって、単純な形状をなすゆえ切離部分D3cも含めて切削加工又はウォータージェット加工により製作可能であり、その製造に金型を要しないから新サイズの設計,製作が容易である利点を有する。円環板シートD3の材質としては、例えばニトリルゴム(NBR)を用いる。
第1保持環3は、図1,図2及び図5に示す如く、第1保持環3を構成する2つの分割部分3A,3Bの少なくとも一方(この例では両分割部分)がその分割割面3Ad又は分割割面3Bdの、回転軸に関して互いに反対方向に位置する2箇所に、第1割面シートD1を収容するための第1割面溝35(すなわち、第1割面溝35A又は第1割面溝35B)を有しており、第1割面溝35はその一端が第1保持環3の保持円筒部34の外周面に設けられた環状溝36に開口していて、他端が第1保持環3の摺動部端面31fに開口しており、第1割面溝35に収容された第1割面シートD1の一端が前記環状溝36に装着された第1密封シートS1と密着し、第1割面シートD1の他端が摺動部端面31fに密着固定された円環板シートD3と密着している。
第1割面シートD1は、この例では、軸線方向に延伸する先端部分D1f,それと垂直に延伸する中間部分D1m及び軸線方向に延伸する基端部分D1bの3つのセグメントからなる折れ線状に構成されているが、軸線方向に延伸する直線形状又は円弧形状など他の形状でも構わない。また、第1割面溝35も、この例では、軸線方向に延伸する先端部分35f,それと垂直に延伸する中間部分35m及び軸線方向に延伸する基端部分35bの3つのセグメントからなる折れ線状に構成されているが、軸線方向に延伸する直線形状又は円弧形状など他の形状でも構わない。第1割面シートD1の厚みは一定であり、その厚みは、第1割面溝35の深さ(両分割部分3A,3Bに第1割面溝35を設ける場合には、各分割部分3A,3Bに設けられた第1割面溝35の深さの和)より若干大きく設定されている。
第1割面シートD1が第1割面溝35に収容された状態で両分割部分3A,3Bを締結により円環状に緊縛固定して第1保持環3を構成することで、両分割部分3A,3Bの衝合面に沿った径方向(回転軸に垂直な方向)への被密封流体の漏出が防止される。また、第1割面溝35に収容された第1割面シートD1の一端が前記環状溝36に装着された第1密封シートS1と密着し、第1割面シートD1の他端が円環板シートD3と密着しているから、両分割部分3A,3Bの衝合面に沿った軸線方向への被密封流体の漏出も防止される。したがって、互いに密着する第1割面シートD1、第1密封シートS1及び円環板シートD3を用いた上記構成により、第1保持環3の両分割部分3A,3Bの衝合面に沿った、被密封流体領域Hから非密封流体領域Lへの被密封流体の漏出が防止(シール)される。
第1割面シートD1は、厚み一定の直線状,折れ線状又は円弧状等の形状に形成されている弾性材製のシートであって、単純な形状をなすゆえ切削加工又はウォータージェット加工により製作可能であり、その製造に金型を要しないから新サイズの設計,製作が容易である利点を有する。第1割面シートD1の材質としては、例えばニトリルゴム(NBR)を用いる。
固定体9は、図1及び図7に示す如く、周方向に直径線上で2分割された金属製の円環状体であり、分割部分9A,分割部分9Bの両端部を一対の締結ボルト9tで軸線に直交する方向に締結することにより、分割部分9A,9Bの端面同士が衝合する円環状に構成される。固定体9は、複数個のセットスクリュー91により、回転軸Rに嵌合固定されている。固定体9は、図2に示す如く、第2保持環6の内周部に設けられた環状切欠部61に嵌合する環状凸部92を有する。
第2保持環6は、図6に示す如く、周方向に直径線上で2分割された金属製の円環状体であり、図1に示す如く、分割部分6A,分割部分6Bの両端部を一対の締結ボルト6tで軸線に直交する方向に締結することにより、分割部分6A,6Bの端面同士が衝合する円環状に構成されている。第2保持環6は、複数の取付ボルト9zにより固定体9に螺着固定されている。固定体9と第2保持環6の間には弾性材製で円環形状のクッションシートU3が介挿されている。クッションシートU3は、円環板状に構成されている弾性材製のシートであって、周方向の一箇所に径方向の全長に亘って切離された切離部分U3cを有している。また、クッションシートU3には、取付ボルト9zを挿通させるための複数の挿通孔が形成されている。クッションシートU3は、その材質がやや硬質の弾性材製であることが好ましく、例えばPTFEシート等のフッ素系樹脂シートである。
第2保持環6は、図1及び図2に示す如く、円環状の保持壁部63と、保持壁部63の内周部の後端部から軸線方向後方に突出する円筒形状の保持円筒部64とからなる。第2保持環6を構成する保持壁部63及び保持円筒部64の内径は環状切欠部61を除いてい
ずれも一定で同一であって回転軸Rの外径とほぼ等しく設定されており、第2保持環6の内周面は環状切欠部61を除いて軸線と平行な円筒面をなしている。保持壁部63は、軸線方向後方に位置する外径一定の保持壁部後部63bと、同じく前方に位置する外径一定の保持壁部前部63aから構成されている。保持円筒部64の外径は一定であって保持壁部後部63bの外径より小さく、保持壁部前部63aの外径は保持壁部後部63bの外径より大きい。保持壁部前部63aの前方端面及び後方端面並びに保持壁部後部63bの後方端面はいずれも軸線方向に垂直な円環平面となっている。保持壁部前部63aの内周部の前方端面には環状切欠部61が設けられており、環状切欠部61の内周面を、固定体9の環状凸部92の外周面に係合させることにより、第2保持環6が固定体9に対して径方向に位置決めされている。すなわち、環状切欠部61の周面は、環状凸部92の外周面と等しい径を有している。回転軸Rの外周面の、環状切欠部61と環状凸部92の軸線方向対向端面間の部分には、シール用のOリング61oがその周方向の1箇所に設けられた切離面を接着することにより装着されている。
第2保持環6の保持円筒部64の外周面には、図2及び図6に示す如く、弾性材製の第2密封シートS2の内周面が係合可能な環状溝66が形成されており、当該環状溝に第2密封シートS2が装着されている。第2密封シートS2の厚みは、環状溝66の深さ(径方向の長さ)より若干大きく設定されている。
第2密封シートS2は、軸線方向の幅及び厚みが一定の円筒形状のシートであり、周方向の一箇所であって軸線方向の全長に亘って切離された切離部分(切離面)S2cを現場で接着剤等で接着することにより円筒形状に構成されて、保持円筒部64の外周面に形成された環状溝66に装着される。第2密封シートS2の材質としては、例えば第1密封シートS1と同質のニトリルゴム(NBR)が用いられる。
第2密封環7は、図2に示す如く、外周面を基端方向(前方向)へと漸次拡径するテーパ面(截頭円錐面)に形成した先端部分71とこれに連なる外径一定の基端部分73とからなる円環状体であり、図6に示す如く、周方向に直径線上で2分割された分割型密封環に構成されており、その分割部分7A,分割部分7Bを第2緊縛シートT2により緊縛することにより、分割部分7A,7Bの端面同士が衝合する円環状に保持(仮止め)される。第2密封環7の材質としては、例えばSiC(シリコンカーバイド)又はカーボンが用いられる。
第2密封環7の先端部分71の先端面(後端面)は軸線に直交する平滑な環状平面である第2密封端面71aに構成されている。第2密封環7の基端部分73の外径は後述する環状溝74を除いて一定であり、先端部分71の基端外径(テーパ面の最大径)と同一に設定されている。すなわち、基端部分73の外周面は、先端部分71の外周面から面一状に連なる円柱面をなしている。
第2密封環7の基端部分73の内周面は、後述するドライブ切欠部73yを除いて、内径が一定の円筒形状に形成されている。第2密封環7の先端部分71の内周面は、基端部分73の内周面と面一に連なり、内径が先端方向に向かって漸次拡大するテーパ面(截頭円錐面)に形成されている。基端部分73の内周面は、第2保持環6の保持円筒部64に外嵌されているので、被密封流体領域Hに露出しておらず、その受圧面積はゼロである。先端部分71の内周面は、第2密封端面71a近傍の一部のみが被密封流体領域Hに露出しているが、その受圧面積は小さい。したがって、第2密封環7の内周面は一部のみが被密封流体領域Hに露出しているにすぎず、その受圧面積は小さい。
第2密封環7の基端部分73の外周面には、図2に示す如く、弾性材製の第2緊縛シートT2の内周部が係合しうる環状溝74が形成されており、当該環状溝に第2緊縛シート
T2が装着されている。第2緊縛シートT2の厚みは、環状溝74の深さ(径方向の長さ)より若干大きく設定されている。
第2緊縛シートT2は、軸線方向の幅及び厚みが一定の円筒形状のシートであり、周方向の一箇所であって軸線方向の全長に亘って切離された切離部分(切離面)T2cを現場で接着剤等で接着することにより円筒形状に構成されて、基端部分73の外周面に形成された環状溝74に装着される。第2緊縛シートT2の材質としては、例えば第1緊縛シートT1と同質のニトリルゴム(NBR)が用いられる。
第2保持環6の保持壁部後部63bには、図1、図2及び図6に示す如く、その周方向の2箇所においてドライブピン63yが螺着されている。第2密封環7の基端部分73の基端面(前端面)には、図1及び図2に示す如く、その周方向の2箇所においてドライブ切欠部73yが形成されており、各ドライブ切欠部73yに各ドライブピン63yを係合させることにより、第2密封環7の第2保持環6に対する相対回転が阻止されている。
第2緊縛環8は、図6に示す如く、周方向に直径線上で2分割された金属製の円環状体であり、分割部分8A,分割部分8Bの両端部を一対の締結ボルト8tで軸線に直交する方向に締結することにより、分割部分8A,8Bの端面同士が衝合する円環状に構成される。
第2緊縛環8は、図1及び図2に示す如く、前方に位置する円環状の基端部分82と後方に位置する円環状の先端部分81とからなる。基端部分82の内周面及び外周面は軸線に平行する円柱面をなしており、換言すれば、基端部分82の内径及び外径は一定である。先端部分81の外周面は軸線に平行する円柱面をなしており、基端部分82の外周面と連続に接続されている。先端部分81の内周面は第2密封環7の先端部分71の外周面(テーパ面)に衝合しうるテーパ面に形成されており、基端部分82の内周面と連続に接続されている。第2緊縛環8は、図1及び図6に示す如く、周方向に等間隔を隔てて配置した複数個の取付ボルト8zにより、第2保持環6の保持壁部63の保持壁部前部63aに螺着されている。第2緊縛環8の保持壁部63に対する径方向の位置決めは、第2緊縛環8の基端部分82の内周部が、保持壁部63の保持壁部後部63bの外周部に嵌合することによって行われる。すなわち、基端部分82の内径と保持壁部後部63bの外径は一致している。また、各取付ボルト8zは、第2緊縛環8に形成したボルト挿通孔を挿通して、第2保持環6の保持壁部63の保持壁部前部63aに螺着されている。
第2緊縛環8の分割部分8A,8Bを1対の締結ボルト8tを用いて軸線に直交する方向に締結することによって、第2密封シートS2が装着された状態の第2保持環6の保持円筒部64に外嵌された第2密封環7が、第2緊縛シートT2及び第2密封シートS2を介して、円環状に緊縛された状態で第2保持環6に固定される。また、第2緊縛環8を複数の取付ボルト8zを用いて、第2保持環6の保持壁部63の保持壁部前部63aに螺着することにより、第2緊縛環8の先端部分81の内周部と第2密封環7の先端部分71の外周部との当接テーパ面を介して働く応力の作用で、第2密封環7が第2保持環6の保持壁部後部63bに向けて押圧される結果、第2密封環7が第2保持環6に対して軸線方向に相対移動しない状態で固定される。
この例では、第2保持環6の保持壁部後部63bと第2密封環7の基端部分73の対向端面間には、クッション性を確保する目的で、弾性材製の第2基端シートU2が介挿されている。第2基端シートU2は、周方向の一箇所が径方向の全長に亘って切離された切離部分U2cを有する円環板状のシートであり、ドライブピン63yを挿通するための孔が2箇所設けられている。第2基端シートU2は、その材質がやや硬質の弾性材であることが好ましく、例えばPTFEシート等のフッ素系樹脂シートである。第2基端シートU2
を介挿することで、振動等の外力が加わる環境下や負圧の条件下においても、分割型密封環である第2密封環7の密封端面の平面度(2つの分割部分の先端面の軸線方向位置の一致度)及び軸線方向に対する直角性を確保できる。
第2保持環6は、図1,図2及び図6に示す如く、第2保持環6を構成する2つの分割部分6A,6Bの少なくとも一方(この例では両分割部分)がその分割割面の、回転軸Rに関して互いに反対方向に位置する2箇所に、第2割面シートD2を収容するための第2割面溝65を有している。第2割面溝65は、その一端が第2保持環6の保持円筒部64の外周面に設けられた環状溝66に開口していて、他端が第2保持環6の回転軸Rに当接する内周面に開口しており、第2割面溝65に収容された第2割面シートD2の一端が前記環状溝66に装着された第2密封シートS2と密着し、第2割面シートD2の他端が回転軸Rと密着している。
第2割面シートD2は、この例では、軸線方向に延伸する横部分D2aとそれに垂直に延伸する縦部分D2bの2つのセグメントからなる折れ線状に構成されているが、軸線に交差する方向に延びる直線形状又は円弧形状など他の形状でも構わない。また、第2割面溝65も、この例では、軸線方向に延伸する横部分65aとそれと垂直に延伸する縦部分65bの2つのセグメントからなる折れ線状に構成されているが、軸線に交差する方向に延伸する直線形状又は円弧形状など他の形状でも構わない。第2割面シートD2の厚みは一定であり、その厚みは、第2割面溝65の深さ(両分割部分6A,6Bに第2割面溝65を設ける場合には、各分割部分6A,6Bに設けられた第2割面溝65の深さの和)より若干大きく設定されている。
第2割面シートD2が第2割面溝65に収容された状態で両分割部分6A,6Bを締結により円環状に緊縛固定して第2保持環6を構成することで、両分割部分6A,6Bの衝合面に沿った、第2割面シートD2と交差する方向への被密封流体の漏出が防止される。また、第2割面溝65に収容された第2割面シートD2の一端が前記環状溝66に装着された第2密封シートS2と密着し、第2割面シートD2の他端が回転軸Rと密着しているから、両分割部分6A,6Bの衝合面に沿い、かつ、第2割面シートD2に沿った方向への被密封流体の漏出も防止される。したがって、互いに密着する第2割面シートD2,第2密封シートS2及び回転軸Rを用いた上記構成により、第2保持環6の両分割部分6A,6Bの衝合面に沿った、被密封流体領域Hから非密封流体領域Lへの被密封流体の漏出が防止される。
第2割面シートD2は、厚み一定の直線状,折れ線状又は円弧状等の形状に形成されている弾性材製のシートであって、単純な形状をなすゆえ切削加工又はウォータージェット加工により製作可能であり、その製造に金型を要しないから新サイズの設計,製作が容易である利点を有する。第2割面シートD2の材質としては、例えば第1割面シートD1と同質のニトリルゴム(NBR)を用いる。
両密封環4,7は、シール条件等に応じて、共に炭化珪素等のセラミックスや超硬合金等の硬質材で構成されるか、或いは一方を炭化珪素等のセラミックスや超硬合金等の硬質材で構成すると共に他方をこれより軟質のカーボン等で構成する。この例では、両密封環4,7を炭化珪素(SiC)で構成してある。
スプリング部材32sは、図1及び図2に示す如く、シールケース2と第1保持環3との間に装填されて、第1保持環3を前方へと附勢する、つまり第1保持環3に第1基端シートU1を介して嵌合固定された第1密封環4を第2密封環7に押圧接触させるべく軸線方向に附勢するものであり、シールケース2ないし第1保持環3の周方向に等間隔を隔てて配置した複数個のコイルスプリング32saで構成されている。この例では、各コイル
スプリング32saが、図1に示す如く、シールケース2の前端部に形成した凹部2aと第1保持環3の保持壁部後部33bの後端部に形成した凹部3aとに両端部を係合させた状態で保持されている。スプリング部材32sによる附勢力(スプリング力)は、図1に示す如く、シールケース2と第1保持環3との軸線方向対向間隔を所定寸法としたときにおいて両密封環4,7の接触面圧が適正となるように設定されている。すなわち、当該メカニカルシールは、シールケース2と第1保持環3との軸線方向対向間隔が上記所定寸法となるように組み立てられる。具体的には、シールケース2の外周部にボルト止めした一対の調整部材23を、そのフランジ部23aが第1保持環3の保持壁部前部33aに当接する状態で適正な接触面圧が実現されるように配置しておき、その状態で両密封環4,7の先端端面が当接するように、固定体9のセットスクリュー91による回転軸Rへの固定位置を調整する。なお、シールケース2と第1保持環3との軸線方向対向間隔が上記所定寸法とされたときにおいては、スプリング部材32sが軸線方向に圧縮された状態となっている。
なお、機器ハウジング1の前端部を構成するメカニカルシール取付部12には、図1に示す如く、その内周部に開口するフラッシング通路13が形成されていて、フラッシング通路13から供給されたフラッシング流体Fを、メカニカルシール取付部12、円環板シートD3、第1保持環3及び第1密封環4と回転軸Rとの対向周面間に形成される環状通路1eから密封端面41a,71aへと誘導するように構成されている。フラッシング流体Fとしては、被密封流体領域Hの流体(被密封流体)と混合しても支障ない水等が使用される。
また、メカニカルシール取付部12の内周部は、フラッシング通路13の開口部より後方側において2段階に縮径しており、縮径した一定の内径を有するラビリンス取付部15と、更に縮径し、回転軸Rの外径とほぼ同じ内径を有するラビリンス取付部後部壁15bを構成している。ラビリンス取付部15と回転軸Rの間には複数のガータースプリング15eを介してラビリンス環15rが介装され、取付プレート15pとラビリンス取付部後部壁15bとの間に軸線方向に挟圧保持されている。取付プレート15pは、周方向に直径線上で2分割された金属製の円環板体であり、複数の取付ボルト15zによりメカニカルシール取付部12の内周面(ラビリンス取付部15の前方端面)に螺着されている。ラビリンス環15rは、周方向に直径線上で2分割されたカーボン製の円環状体であり、回転軸Rに対向するその内周面に複数のフィンが設けられ、高圧の流体を迷路に導いて減圧を重ねることによって回転軸Rに沿った流体の漏出を抑える効果を有する。この例では、ラビリンス環15rは被密封流体の一種であるスラリーの侵入防止の目的で設けられている。
フラッシング流体Fの注入により負圧の発生(被密封流体領域Hの圧力が非密封流体領域Lの圧力より小さくなること)が防止されるから、ラビリンス環15rの設置と併用することで、メカニカルシール取付部12の内周部と回転軸Rの外周部が形成する隙間からスラリーが流入し、両密封環4,7の対向端面である密封端面41a,71aの端面隙間にスラリーの懸濁粒子が侵入して密封端面の摩耗や潤滑不良を引き起こす可能性を大幅に減じることができる。また、円環板シートD3の遮蔽シールの働きにより、シールケース2と第1保持環3の摺動部31との隙間にスラリーが侵入して第1保持環3のシールケース2に対する軸線方向への移動を妨げることがなく、メカニカルシールの円滑な作動が確保される。更に、フラッシング流体Fの注入とラビリンス環15rの設置を併用することで負圧の発生が防止されるから、円環板シートD3の外縁部分D3oが、当該外縁部分を挟圧保持しているメカニカルシール取付部12とシールケース2の対向端面間から被密封流体領域H側へと抜け出ることを防止できる。
図8は構造解析の比較結果を示すコンター図であり、被密封流体領域Hの圧力(非密封
流体領域Lの圧力0.1MPaとの差)が1.5MPaGの場合に、両密封環4,7やその周辺の部材の各部のy方向(径方向外側向き)の変位を濃淡図で表現したものである。図(8A)は第2従来シールの場合を示しており、図(8B)は本発明に係る図1に示すメカニカルシール(以下、「本発明シール」とする)の場合を示している。
図(8A)に示す第2従来シールにおいては、両密封環104,107は夫々、密封端面を形成した先端部分とこれに連なる外径一定の中間部分とこれより外径を小径とする外径一定の基端部分とからなる、周方向に2分割された分割型密封環に構成されており、各分割型密封環は、その中間部分及び基端部分を第1又は第2シール部材106,109の一端部分を介在させた状態で周方向に2分割された緊縛環105,108により円環状に緊縛固定されている。図から分かるように、第1及び第2シール部材106,109はともに、各密封環104,107の基端面に当接する部分が大きくy方向に変位して変形している。このため、両密封環の密封端面は外当たりとなって平面性又は平行性を失い、潤滑不良を生じる虞れがあることが分かる。第2従来シールでは第1及び第2シール部材の受圧面積が大きいために、高圧の条件下で大きな変形が広範囲に生じていると考えられる。
図(8B)に示す本発明シールにおいては、第1及び第2密封環4,7は夫々、密封端面を形成した先端部分41,71とこれに連なる外径が略一定の基端部分とからなる、周方向に2分割された分割型密封環に構成されており、第1及び第2密封環4,7は、その基端部分の外周面に設けられた環状溝に弾性材製の第1又は第2緊縛シートT1,T2を装着した状態で、第1又は第2保持環3,6の保持円筒部に外嵌保持されていて、両保持円筒部の外周面に設けられた環状溝には夫々あらかじめ弾性材製の第1又は第2密封シートS1,S2が装着されている。さらに、第1及び第2密封環は、周方向に2分割された緊縛環5,8により円環状に緊縛固定されている。図に示した解析結果から分かるように、第1及び第2密封シートS1,S2並びに第1及び第2緊縛シートT1,T2の各部のy方向の変位は、第2従来シールにおける第1及び第2シール部材の最大変位の約20%以下であり、大幅に小さい。このため、第1及び第2密封環4,7の密封端面は平面性及び平行性を維持して適切な端面隙間を保つことができ、高圧の条件下であっても良好な潤滑特性が得られる。本発明シールでは、第1及び第2緊縛シートT1,T2は被密封流体領域Hに露出しておらず、第1及び第2密封シートS1,S2並びに第1及び第2密封環4,7もその表面の一部(両先端部分の内周側のテーパ面の一部)が被密封流体領域Hに露出しているものの受圧面積が小さいために、高圧の条件下であっても弾性材製の各シートに小さな変形しか生じないものと考えられる。
以上のように構成された本発明のメカニカルシールにあっては、第1及び第2密封環4,7等のメカニカルシール構成部品が回転軸Rに対してこれに直交する方向(径方向)に分解,組立できる構成となっている。すなわち、当該メカニカルシールの分解,組立に際して、第1及び第2密封環4,7、第1及び第2保持環3,6及び第1及び第2緊縛環5,8はその分割部分を回転軸Rの径方向両側から衝合,分離させ得るものであり、第1及び第2密封シートS1,S2、第1及び第2緊縛シートT1,T2及び円環板シートD3はその切離部分を開いて回転軸Rの径方向片側から密封環4,7等に嵌合等させ得るものであり、第1及び第2割面シートD1,D2は第1及び第2保持環3,6の衝合前にそれらの分割割面に各々装着させ得るものである。スプリング部材32sも含めてすべてのメカニカルシール構成部品が回転軸Rに挿通移動させる必要のないものである。したがって、緊縛環等の軸線方向移動スペースを十分に確保できない場合にも、更には第1及び第2密封環4,7以外のメカニカルシール構成部品を交換等のメンテナンスする必要がある場合にも、メンテナンスを含むメカニカルシールの分解,組立作業を容易に行うことができる。
また、第1及び第2密封環4,7の基端面と第1及び第2保持環3,6の保持壁部33,63との間に硬質樹脂材製の基端シートU1,U2が介挿され、固定体9と第2保持環6の間に硬質樹脂材製のクッションシートU3が介挿されていることから、密封環4,7に不必要な軸線方向の押圧力が作用した場合や負圧の条件下においても、これが基端シートU1,U2及びクッションシートU3の弾性によって吸収緩和(クッション機能)されることになることから、密封端面41a,71aの接触面圧が常に適正に保持されて、密封端面4a,7aの相対回転摺接作用によるシール機能が良好に発揮される。
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本原理と技術的思想を逸脱しない範囲において、適宜に改良,変更することができる。
1 機器ハウジング(回転機器のハウジング)
1e 環状通路
11 本体部
12 メカニカルシール取付部 12z 取付ボルト
13 フラッシング通路
14 環状凸部
14a 抜け止め構造 14a1 環状凸条
15 ラビリンス取付部
15b ラビリンス取付部後部壁 15e ガータースプリング
15p 取付プレート 15r ラビリンス環
15z 取付ボルト
2 シールケース
2A 分割部分 2B 分割部分
2a 凹部 2t 締結ボルト
2z 取付ボルト
21 フランジ部 21y ドライブピン
22 環状切欠部
23 調整部材
23a フランジ部 23z 取付ボルト
3 第1保持環
3A 分割部分 3B 分割部分
3Ad 分割割面 3Bd 分割割面
3a 凹部 3t 締結ボルト
31 摺動部
31f 摺動部端面 31p 押えプレート
31o Оリング 31z 取付ボルト
32s スプリング部材 32sa コイルスプリング
32y ドライブ切欠部
33 保持壁部 33a 保持壁部前部
33b 保持壁部後部 33y ドライブピン
34 保持円筒部
35 第1割面溝 35f 先端部分
35m 中間部分 35b 基端部分
4 第1密封環
4A 分割部分 4B 分割部分
41 先端部分 41a 第1密封端面
43 基端部分 43y ドライブ切欠部
44 環状溝
5 第1緊縛環
5A 分割部分 5B 分割部分
5t 締結ボルト 5z 取付ボルト
51 先端部分
52 基端部分
6 第2保持環
6A 分割部分 6B 分割部分
6t 締結ボルト
61 環状切欠部 61o Oリング
63 保持壁部 63a 保持壁部前部
63b 保持壁部後部 63y ドライブピン
64 保持円筒部
65 第2割面溝
65a 横部分 65b 縦部分
66 環状溝
7 第2密封環
7A 分割部分 7B 分割部分
71 先端部分 71a 第2密封端面
73 基端部分 73y ドライブ切欠部
74 環状溝
8 第2緊縛環
8A 分割部分 8B 分割部分
8t 締結ボルト 8z 取付ボルト
81 先端部分
82 基端部分
9 固定体
9A 分割部分 9B 分割部分
9t 締結ボルト 9z 取付ボルト
91 セットスクリュー
92 環状凸部
D1 第1割面シート D1f 先端部分
D1m 中間部分 D1b 基端部分
D2 第2割面シート
D2a 横部分 D2b 縦部分
D3 円環板シート
D3a 抜け止め構造 D3a1 環状凹条
D3i 内縁部分 D3o 外縁部分
F フラッシング流体
H 被密封流体領域(機内領域)
L 非密封流体領域(大気領域)
R 回転軸
S1 第1密封シート S1c 切離部分
S2 第2密封シート S2c 切離部分
T1 第1緊縛シート T1c 切離部分
T2 第2緊縛シート T2c 切離部分
U1 第1基端シート U1c 切離部分
U2 第2基端シート U2c 切離部分
U3 クッションシート U3c 切離部分

Claims (7)

  1. 周方向に分割されており、円環状に締結された状態で回転機器のハウジングに取り付けられたシールケースと、
    周方向に分割されており、円環状に締結された状態で前記シールケースに軸線方向移動可能に保持されていて、円筒形状の保持円筒部を有する第1保持環と、
    周方向に分割されており、円環状に緊縛された状態で、第1保持環に外嵌されている第1密封環と、
    接着により円筒形状に形成され、第1保持環の保持円筒部と第1密封環の間に設けられている第1密封シートと、を具備し、
    第1密封環と前記回転機器の回転軸に設けられた第2密封環の対向端面である密封端面の相対回転摺接作用により当該密封端面の内周側領域である被密封流体領域と当該密封端面の外周側領域である非密封流体領域とをシールするように構成されることを特徴とするメカニカルシール。
  2. 接着により円環板状に形成され、前記ハウジングと、前記シールケースと、第1保持環と、に密着状態で固定された円環板シートを有する請求項1に記載のメカニカルシール。
  3. 第1保持環を構成する分割部分の少なくとも1つの分割割面に設けられた第1割面溝と、
    第1割面溝に収容された第1割面シートと、を備え、
    第1割面シートの一端は第1密封シートと密着し、第1割面シートの他端は前記円環板シートと密着している請求項1又は2に記載のメカニカルシール。
  4. 周方向に分割されており、円環状に締結された状態で第1保持環に取り付けられて、第1密封環を第1保持環上に緊縛固定している第1緊縛環と、
    接着により円筒形状に構成されていて、第1密封環と第1緊縛環の間に設けられている第1緊縛シートと、
    を備える請求項1~3のいずれかに記載のメカニカルシール。
  5. 周方向に分割されており、円環状に締結された状態で前記回転機器の回転軸に固定されていて、円筒形状の保持円筒部を有する第2保持環と、
    周方向に分割されており、円環状に緊縛された状態で、第2保持環に外嵌されている第2密封環と、
    接着により円筒形状に形成され、第2保持環の保持円筒部と第2密封環の間に設けられている第2密封シートと、
    を具備する請求項1~4のいずれかに記載のメカニカルシール。
  6. 第2保持環を構成する分割部分の少なくとも1つの分割割面に設けられた第2割面溝と、
    第2割面溝に収容された第2割面シートと、を備え、
    第2割面シートの一端は第2密封シートと密着し、第2割面シートの他端は前記回転軸と密着している請求項1~5のいずれかに記載のメカニカルシール。
  7. 周方向に分割されており、円環状に締結された状態で第2保持環に取り付けられて、第2密封環を第2保持環上に緊縛固定している第2緊縛環と、
    接着により円筒形状に構成されていて、第2密封環と第2緊縛環の間に設けられている第2緊縛シートと、
    を備える請求項1~6のいずれかに記載のメカニカルシール。
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