JP2022047289A - 電気化学式酸素センサ - Google Patents

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Abstract

Figure 2022047289000001
【課題】 貯蔵特性に優れた電気化学式酸素センサを提供する。
【解決手段】 本発明の電気化学式酸素センサは、筒状の容器と、前記容器内に収容された正極、負極、および水溶液で構成された電解液とを備え、前記容器は、前記電解液を保持する樹脂製の本体部を有し、前記本体部の表面の少なくとも一部は、前記電解液の散逸を防ぐための樹脂バリア層で被覆されており、前記樹脂バリア層は、前記本体部とは異なる樹脂で構成され、かつ金属層を介さずに前記本体部の表面に接合されていることを特徴とするものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、貯蔵特性に優れた電気化学式酸素センサに関するものである。
電気化学式酸素センサ(以下、酸素センサともいう)は、安価、手軽であり、かつ常温での作動が可能という利点を有することから、船倉内部やマンホール内の酸欠状態のチェック、麻酔器や人工呼吸器などの医療機器における酸素濃度の検出など、広い分野で使用されている。
電気化学式酸素センサの外装体は、一般に樹脂製の容器(プラスチック製の容器)が使用されており、このような外装体に使用される樹脂には、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂などのように通常は成形しやすい材料が選択されるが、比較的水蒸気を透過しやすいことが多い。よって、電気化学式酸素センサに水溶液系の電解液を使用していると、電解液中の水分が樹脂製の外装体を通じて外部に排出される。そのため、電気化学式酸素センサを長期間使用していると、電解液の濃度や液量が変動して測定結果の信頼性が低下する虞がある。
一方、こうした問題の解決を図る技術の提案もある。例えば、特許文献1には、電気化学式酸素センサ(ガルバニ電池式酸素センサ)を構成するプラスチック製の容器の表面に金属を蒸着し、さらに形成した金属蒸着層を熱収縮性プラスチックチューブで被覆する技術が提案されている。
また、特許文献2には、電気化学式酸素センサ(ガルバニ電池式酸素センサ)を構成する合成樹脂容器の外壁全面に金属メッキ処理を行い、金属メッキ処理後の容器の外壁全面をエポキシ樹脂でコーティングする技術が提案されている。
樹脂製容器の表面に形成される金属蒸着層や金属メッキ層は傷が付きやすく、それによって容器の水蒸気透過を抑制する機能が低下しやすいが、特許文献1における熱収縮性プラスチックチューブによる被覆や、特許文献2におけるエポキシ樹脂でのコーティングは、金属蒸着層や金属メッキ層の傷付きを抑制することを目的とするものであると推測される。
特開昭62-272151号公報 特開平4-151548号公報
特許文献1、2の技術によれば、電気化学式酸素センサの貯蔵特性向上が見込める一方で、それを構成する容器に金属層と樹脂層とを形成する必要があることから、製造工程が複雑化するといった問題がある。よって、電気化学式酸素センサにおいては、より簡素な工程で製造でき、電解液中の水分の外部への排出による貯蔵特性の低下を抑制可能な技術の開発が求められる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、貯蔵特性に優れた電気化学式酸素センサを提供することにある。
本発明の電気化学式酸素センサは、筒状の容器と、前記容器内に収容された正極、負極、および水溶液で構成された電解液とを備え、前記容器は、前記電解液を保持する樹脂製の本体部を有し、前記本体部の表面の少なくとも一部は、前記電解液の散逸を防ぐための樹脂バリア層で被覆されており、前記樹脂バリア層は、前記本体部とは異なる樹脂で構成され、かつ金属層を介さずに前記本体部の表面に接合されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、貯蔵特性に優れた電気化学式酸素センサを提供することができる。
本発明の電気化学式酸素センサの一例を模式的に表す断面図である。 比較例1の電気化学式酸素センサを模式的に表す断面図である。 参考例の電気化学式酸素センサの一例を模式的に表す断面図である。 実施例1~4および比較例1の電気化学式酸素センサの貯蔵特性評価結果を表すグラフである。
まず、本発明の電気化学式酸素センサを、好適な実施形態の一例であるガルバニ電池式酸素センサを例にとり、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の電気化学式酸素センサの一実施形態であるガルバニ電池式酸素センサを、模式的に表す断面図である。
図1に示す酸素センサ1は、有底筒状の容器20内に正極50、負極80および電解液90を有している。容器20は、内部に電解液90を保持する本体部21と、本体部21の開口部に保護膜40、隔膜60および正極50を固定するための封止蓋10とで構成されている。封止蓋10は、第1封止蓋(中蓋)11と、第1封止蓋11を固定するための第2封止蓋(外蓋)12とで構成され、酸素センサ1内に酸素を取り込むための貫通孔120を有しており、O-リング30を介して本体部21に取り付けられている。
電解液90を収容する本体部21の内部には、負極80が電解液中に浸漬された状態で配されており、負極80には、リード部81が形成されている。また、正極50は、触媒電極51と正極集電体52とが積層されて構成されており、正極集電体52には、リード線53が取り付けられている。そして、容器21のうちの電解液90を保持する本体部21の下部には、正極52に取り付けられたリード線53を通すための穿孔70が設けられている。
負極80のリード部81と正極集電体52に取り付けられたリード線53との間には、補正抵抗100および温度補償用サーミスタ110が直列に連結され、本体部21の内部に収容されている。また、負極80のリード部81には、負極端子82が接続されており、正極集電体52に取り付けられたリード線53には、正極端子54が接続されており、それぞれ本体部21の外部に導出されている。
正極50の外面側には、酸素を選択的に透過させ、かつ透過量を電池反応に見合うように制限する隔膜60が配されており、封止蓋10に設けられた貫通孔120からの酸素が、隔膜60を通じて正極50へ導入される。また、隔膜60の外面側には、隔膜60へのゴミやチリ、水などの付着を防止するための保護膜40が配されており、第1封止蓋11によって固定されている。
すなわち、第1封止蓋11は、保護膜40、隔膜60および正極50の押圧端板として機能する。図1に示すセンサ1では、本体部21の開口部の外周部に形成されたネジ部と螺合するように、第2封止蓋12の内周部にネジ部が形成されている。そして、封止蓋10をネジ締めすることにより、第1封止蓋11がO-リング30を介して本体部21に押し付けられることで、気密性および液密性を保持した状態で、保護膜40、隔膜60および正極50を本体部21に固定できるようになっている。
本体部21は、樹脂で構成されており、その表面の少なくとも一部は、電解液90の散逸を防ぐための樹脂バリア層22で被覆されている。樹脂バリア層22は、本体部21とは異なる樹脂で構成されており、かつ金属層を介さずに本体部21の表面に接合されている。
電気化学式酸素センサの容器は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂など成形が容易な樹脂によって形成されるが、このような樹脂は水蒸気透過性が比較的高いため、内部の電解液中の水分が、容器の側壁などを通じて外部に排出される。しかしながら、本発明の電気化学式酸素センサにおいては、電解液を保持する本体部の表面の少なくとも一部を、電解液の散逸を防ぐ樹脂バリア層により被覆し、本体部の樹脂と樹脂バリア層を接合することで、電気化学式酸素センサの長期に渡る使用・貯蔵中での電解液中の水分量の減少を抑えることが可能となり、これにより、優れた貯蔵特性を確保できる。
なお、例えば、電気化学式酸素センサの容器を厚くすることによっても、電解液中の水分量の減少を抑制することは可能であるが、この場合、電気化学式酸素センサのサイズが増大してしまう。しかしながら、本発明の電気化学式酸素センサであれば、サイズの増大を回避しつつ、電解液中の水分量の減少を抑制できることから、優れた貯蔵特性を確保しつつコンパクトなサイズとすることも可能である。
また、本発明の電気化学式酸素センサは、樹脂バリア層が、金属層を介さずに直接本体部の表面に形成されるため、例えば特許文献1、2にあるように、容器に金属蒸着層や金属メッキ層を形成し、さらに、これらの傷付きを防止するための保護層を設けるといった煩雑な工程を設けることなく製造できることから、その生産性も良好なものとなる。
電気化学式酸素センサにおいては、本体部の表面の少なくとも一部を樹脂バリア層で被覆すればよいが、図1に示すように、少なくとも、本体部の中で面積の割合が大きく、従って電解液中の水分の透過量が大きくなる側面を被覆することが好ましい。このようにすることで、電気化学式酸素センサの貯蔵特性をより高めることができる。
電気化学式酸素センサにおいては、電解液中の水分量の減少を抑制して貯蔵特性をより高めるため、本体部の表面の面積のうちの50%以上が樹脂バリア層で被覆されていることが好ましい。
さらに、電気化学式酸素センサにおいては、図1に示すように、本体部の上面(図1中上側の面。)を樹脂バリア層で被覆してもよく、さらには、本体部の表面の全面(本体部の表面の面積のうちの100%)を樹脂バリア層で被覆してもよい。また、本体部の開口部に取り付ける封止蓋(図1中、第2封止蓋12)についても、その側面や下面(図1中下側の面。ただし、センサ内部に酸素を取り込むための貫通孔120の箇所を除く。)を、本体部と同様に樹脂バリア層で被覆することも可能であり、この場合には、電気化学式酸素センサの貯蔵特性をさらに高めることができる。
酸素センサの容器の本体部は、ABS樹脂のほか、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂などの樹脂で形成することができる。これらの中でも、加工性が良好で、比較的安価でもあることから、ABS樹脂を用いることが好ましい。
また、酸素センサの封止蓋は、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリカーボネート、フッ素樹脂などの樹脂で形成することができる。
酸素センサの容器の本体部の表面に形成したり、好ましくは封止蓋の表面に形成したりする樹脂バリア層を構成する樹脂は、容器の本体部や封止蓋を構成する樹脂よりも吸水性や水蒸気透過性が低いものが使用されるが、具体的には、その吸水率が、0.2%以下のものが好ましく、0.1%以下のものがより好ましい。本明細書でいう樹脂の吸水率は、JIS K 7209の規定に準じ、3mm厚さの試験片によりA法を用いて23℃の水に24時間浸漬した後に測定される値である。なお、樹脂バリア層を構成する樹脂の吸水率は、低いほどよいが、通常は、0.01%以上である。
樹脂バリア層を構成する樹脂の具体例としては、例えば、ポリプロピレン(PP、吸水率:0.01~0.03%程度)などのポリオレフィン;ポリフェニレンサルファイド(PPS、吸水率:0.02%程度);ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE、吸水率:0.01%未満)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA、吸水率:0.01%程度)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP、吸水率:0.01%程度)などのフッ素樹脂;ポリスルフォン(PSF、吸水率:0.03%程度);ポリブチレンテレフタレート(PBT、吸水率:0.06~0.08%程度)などのポリエステル;エポキシ樹脂(架橋体、吸水率:0.05~0.15%程度)などが挙げられる。前記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂(前記例示のエポキシ樹脂の硬化物)などが挙げられる。
樹脂バリア層は、本体部を構成する樹脂の外側(酸素センサの外側)の面に形成してもよく、内側の面(電解液と接する面)に形成してもよいが、より容易に形成できることから、通常は、外側に形成する。
樹脂バリア層の厚みは、電解液中の水分量の減少をより良好に抑制して、酸素センサの貯蔵特性をより向上させる観点から、50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましい。また、酸素センサの貯蔵特性向上の観点からは、樹脂バリア層は厚いほどよいが、一定以上の厚みでその効果が飽和し、また、厚くしすぎるとセンサのサイズの増大につながることから、例えばコンパクトなセンサとすることを考慮すると、1.5mm以下であることが好ましく、0.7mm以下であることがより好ましい。
樹脂バリア層は、例えば、前記のエポキシ樹脂で形成する場合には、射出成形などの公知の成形法で形成した容器の本体部や封止蓋の所定箇所に、前記のエポキシ樹脂を公知の方法で塗布し、使用するエポキシ樹脂に応じた条件で硬化させることで形成することができる。
また、容器の本体部の表面には、樹脂バリア層以外の樹脂層を有していてもよい。例えば、樹脂バリア層と他の樹脂層との2層構造などとすることができる。前記他の樹脂層は、例えば、容器の本体部と同じ樹脂で構成することができる。ただし、酸素センサのコンパクト化などの観点からは、本体部の表面に存在する樹脂層の数はあまり多くない方がよく、樹脂バリア層のみであることが好ましい。
酸素センサの正極は、例えば、図1に示すように、触媒電極と正極集電体とで構成されたものが使用される。触媒電極の構成材料としては、正極上の電気化学的な酸素の還元によって電流が生じ得るものであれば特に限定されないが、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、チタン(Ti)などの、酸化還元に活性な触媒が好適に用いられる。
酸素センサの負極は、特に制限はないが、例えば、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、スズ(Sn)や、これらの合金などで形成することができる。
酸素センサの電解液には、水溶液で構成されたものが使用され、例えば、酢酸、酢酸カリウムおよび酢酸鉛を含有する水溶液、クエン酸およびクエン酸塩(アルカリ金属塩など)を含有する水溶液などのカルボン酸またはその塩を含有する酸性水溶液;水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などのアルカリ性水溶液;を使用することができる。
また、電解液を構成する水溶液は、pH調整の目的で、必要に応じて各種の有機酸や無機酸、アルカリを含有していてもよい。
また、酸素センサの正極の外面には、触媒電極に到達する酸素が多くなりすぎないように、酸素の侵入を制御するための隔膜を配置することが好ましい。隔膜としては、酸素を選択的に透過させると共に、酸素ガスの透過量を制限できるものが好ましい。隔膜の材質や厚みについては特に制限はないが、通常、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素樹脂;ポリエチレンなどのポリオレフィン;などが使用される。隔膜には、多孔膜、無孔膜、更には、キャピラリー式と呼ばれる毛細管が形成された孔を有する膜を使用することができる。
さらに、前記隔膜を保護するために、隔膜上に多孔性の樹脂膜からなる保護膜を配置することが好ましい。保護膜は、隔膜へのゴミやチリ、水などの付着を防止でき、空気(酸素を含む)を透過する機能を有していれば、その材質や厚みについては特に制限はないが、通常、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂が使用される。
また、容器20の本体部21と封止蓋10(第1封止蓋11)との間に介在させるO-リング30は、本体部21と第2封止蓋12とのネジ締めによって押圧されて変形することで、酸素センサ1の気密性および液密性を保持できるようになっている。O-リングの材質については特に制限はないが、通常、ニトリルゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素樹脂などが使用される。
これまで、本発明の電気化学式酸素センサの一実施形態であるガルバニ電池式酸素センサを例にとって本発明を説明してきたが、本発明の電気化学式酸素センサは前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の変更が可能である。また、図1に示す酸素センサについても、酸素センサとしての機能および前述した酸素供給経路を備えていれば、各種設計変更が可能である。
また、本発明の電気化学式酸素センサは、定電位式酸素センサとしての形態を採ることもできる。定電位式酸素センサは、正極と負極との間に一定電圧を印加するセンサであり、印加電圧は各電極の電気化学特性や検知するガス種に応じて設定される。定電位式酸素センサでは正極と負極の間に適当な一定電圧を印加すると、その間に流れる電流と酸素ガス濃度とは比例関係を有するので、電流を電圧に変換すれば、ガルバニ電池式酸素センサと同様に、電圧を測定することによって未知の気体の酸素ガス濃度を検出することができる。
本発明の電気化学式酸素センサは、従来から知られている電気化学式酸素センサと同じ用途に適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
<電解液の調製>
クエン酸、クエン酸三カリウムおよびアンモニアを水に溶解させて電解液を調製した。なお、電解液中のモル濃度は、クエン酸:2.5mol/L、クエン酸三カリウム:0.5mol/L、アンモニア:3.0mol/Lとした。この電解液のpHは25℃で4.30であった。
<酸素センサの組み立て>
前記の電解液5.4gをABS樹脂製の本体部21の内部に注入し、図1に示す構成のガルバニ電池式酸素センサを組み立てた。封止蓋10(第1封止蓋11および第2封止蓋12)も本体部21と同様にABS樹脂で形成した。また、保護膜40には多孔性のポリテトラフルオロエチレン製シートを使用し、隔膜60にはテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体膜を使用した。
正極50の触媒電極51は金で構成し、正極集電体52およびリード線53にはチタン製のものを使用して、正極集電体52とリード線53は溶接して一体化した。また、負極80は、Sn-Sb合金(Sb含有量:5質量%)によって構成した。
また、正極のリード線53と負極のリード部81との間には、補正抵抗100および温度補償用サーミスタ110を直列に接続し、さらに、正極のリード線53および負極のリード部81から、正極端子54および負極端子81を本体部21の外部にそれぞれ導出することにより、出力される電圧から酸素濃度を検出できるようにした。
得られた酸素センサ1においては、第1封止蓋11、O-リング30、ポリテトラフルオロエチレン製シートの保護膜40、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体製の隔膜60、触媒電極51、および正極集電体52は、本体部21と第2封止蓋12とのネジ締めによって押圧され良好な封止状態を維持するようにした。
<樹脂バリア層の形成>
容器20の側面(本体部21および第2封止蓋12の側面)および上面(本体部21の上面)に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を塗布して硬化させ、厚みが0.05mmの樹脂バリア層22を形成することにより、電気化学式酸素センサを得た。
実施例2
樹脂バリア層の厚みを0.1mmとした以外は実施例1と同様にして、電気化学式酸素センサを作製した。
実施例3
樹脂バリア層の厚みを1.5mmとした以外は実施例1と同様にして、電気化学式酸素センサを作製した。
実施例4
樹脂バリア層の厚みを5mmとした以外は実施例1と同様にして、電気化学式酸素センサを作製した。
比較例1
図2に示すように、樹脂バリア層を形成しない以外は実施例1と同様にして、電気化学式酸素センサ200を作製した。
参考例
隔膜からの電解液の水分の揮発量を調べるため、樹脂バリア層を形成しない以外は実施例1と同様にして電気化学式酸素センサ201を作製し、図3に示すように、第1封止蓋11の貫通孔をエポキシ樹脂130で塞いだ。なお、前記エポキシ樹脂には、実施例1の電気化学式酸素センサに係る樹脂バリア層と同じものを使用した。
実施例1、比較例1および参考例の酸素センサを、それぞれ40℃で相対湿度約20%の恒温槽内に42日間貯蔵した後取り出し、貯蔵前後での重量の変化から電解液の減少量(水分の減少量)を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2022047289000002
表1に示す通り、比較例1の酸素センサと参考例の酸素センサとの電解液の減少量の差:18mgに対し、比較例1の酸素センサと実施例1の酸素センサとの電解液の減少量の差:38mgがかなり大きくなっていることから、酸素センサの外部への電解液の散逸は、正極の隔膜を透過するものの量に比べ、容器の本体部を透過するものの量の方がかなり多かった。このことから、本体部の表面に樹脂バリア層を形成することにより、酸素センサにおける電解液の散逸を効果的に防止できることが判明した。
また、実施例1~4および比較例1の酸素センサを、40℃で酸素濃度100%の雰囲気中で所定期間貯蔵し、貯蔵後に取り出して室温の空気中で3時間以上放置した後、空気中(酸素濃度:約21%)での出力を測定した。貯蔵前の各酸素センサの空気中での出力を100としたときの、各貯蔵期間における出力の相対値を図4に示す。なお、40℃での貯蔵期間:180日は、室温での5年に相当する。
図4から明らかなように、容器の本体部の表面が樹脂バリア層で被覆されていない比較例1の酸素センサは、電解液の散逸量が多くなるため出力が大きく低下した。一方、容器の本体部の表面の少なくとも一部を樹脂バリア層で被覆した実施例1~4の酸素センサは、電解液の散逸量を低減することができたため、出力の低下を抑制することができ、貯蔵特性を改善することができた。樹脂バリア層の厚みが厚くなるほど、電解液の散逸量が低下するため、貯蔵特性が向上するが、一定以上の厚みでその効果が飽和するため、実用的には、1mm程度の厚みがあれば十分であると考えられる。
1 電気化学式酸素センサ
2 本体部
10 封止蓋
11 第1封止蓋(中蓋)
12 第2封止蓋(外蓋)
20 容器
21 容器の本体部
22 樹脂バリア層
30 O-リング
40 保護膜
50 正極
51 触媒電極
52 正極集電体
53 正極のリード線
54 正極端子
60 隔膜
70 リード線用の穿孔
80 負極
81 負極のリード部
82 負極端子
90 電解液
100 補正抵抗
110 温度補償用サーミスタ
120 貫通孔
130 エポキシ樹脂

Claims (5)

  1. 筒状の容器と、前記容器内に収容された正極、負極、および水溶液で構成された電解液とを備え、
    前記容器は、前記電解液を保持する樹脂製の本体部を有し、
    前記本体部の表面の少なくとも一部は、前記電解液の散逸を防ぐための樹脂バリア層で被覆されており、
    前記樹脂バリア層は、前記本体部とは異なる樹脂で構成され、かつ金属層を介さずに前記本体部の表面に接合されていることを特徴とする電気化学式酸素センサ。
  2. 前記容器の本体部は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂で構成されている請求項1に記載の電気化学式酸素センサ。
  3. 前記樹脂バリア層は、エポキシ樹脂で構成されている請求項1または2に記載の電気化学式酸素センサ。
  4. 前記本体部の少なくとも側面部に前記樹脂バリア層を有する請求項1~3のいずれかに記載の電気化学式酸素センサ。
  5. 前記本体部の表面の面積のうちの50%以上が、前記樹脂バリア層で被覆されている請求項1~4のいずれかに記載の電気化学式酸素センサ。
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