JP2022046321A - タイヤ及び溝深さ設定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 優れた耐摩耗性能を維持しつつノイズ性能を向上し得るタイヤ及び当該タイヤの溝深さ設定方法を提供する。【解決手段】 トレッド部2を有するタイヤ1である。トレッド部2には、タイヤ周方向に延びる複数の周方向溝4が形成されている。トレッド部2は、正規リムにリム組みされかつ正規内圧に調整された正規状態で、正規荷重がキャンバー角0°で負荷されたときの接地面2aが、タイヤ軸方向のそれぞれの位置Pに関連したタイヤ周方向の長さである接地長Lを有している。周方向溝4は、周方向溝4が形成されるタイヤ軸方向の位置Pにおける接地長Lに比例した溝深さdを有している。【選択図】 図1
Description
本発明は、トレッド部を有するタイヤ及びタイヤの溝深さ設定方法に関する。
従来、タイヤ周方向に延びる複数の周方向溝が形成されたトレッド部を有するタイヤが知られている。例えば、下記特許文献1は、タイヤ周方向に延びる複数の主溝が形成されたトレッド部のプロファイルを特定することで、耐摩耗性能を向上させるタイヤを提案している。
しかしながら、特許文献1のタイヤは、主溝の溝深さが同一であり、溝深さが大きい主溝がノイズの発生源となることから、主溝によるノイズの発生に対して、更なる改善が望まれていた。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、優れた耐摩耗性能を維持しつつノイズ性能を向上し得るタイヤ及び当該タイヤの溝深さ設定方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、トレッド部を有するタイヤであって、前記トレッド部には、タイヤ周方向に延びる複数の周方向溝が形成されており、前記トレッド部は、正規リムにリム組みされかつ正規内圧に調整された正規状態で、正規荷重がキャンバー角0°で負荷されたときの接地面が、タイヤ軸方向のそれぞれの位置に関連したタイヤ周方向の長さである接地長を有し、前記周方向溝は、前記周方向溝が形成されるタイヤ軸方向の位置における前記接地長に比例した溝深さを有することを特徴とする。
本発明のタイヤにおいて、前記接地面は、タイヤ赤道から、前記接地面のタイヤ軸方向の外端である接地端までの距離である接地半幅を有し、前記接地長は、前記タイヤ赤道でのクラウン接地長L0と、前記タイヤ赤道から前記接地半幅の80%の距離を隔てた位置でのショルダー接地長とを含み、前記クラウン接地長L0は、前記ショルダー接地長の1.10~1.50倍であるのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、無負荷の前記正規状態におけるタイヤ子午線断面において、前記タイヤ赤道を中心とし基準半径r0を有する基準仮想円と、前記タイヤ赤道からタイヤ軸方向に隔てた前記トレッド部の外表面上の第1位置を中心とし第1半径r1を有する第1仮想円と、前記基準仮想円と前記第1仮想円とに接する前記外表面よりもタイヤ半径方向の内側の仮想線とが定義されたときに、前記周方向溝は、前記仮想線上に溝底が位置する前記溝深さを有するのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記第1位置は、前記タイヤ赤道から前記接地半幅の40%~55%の距離を隔てた位置であるのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記仮想線は、前記タイヤ赤道から前記接地半幅の75%~80%の距離を隔てた前記外表面上の第2位置を中心とし第2半径r2を有する第2仮想円にさらに接するのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記第1半径r1及び前記第2半径r2は、それぞれ、下記式1及び2に基づき定められるのが望ましい。
ここで、
r0:基準半径
L0:クラウン接地長
L1:第1位置における接地長
L2:第2位置における接地長
α :補正係数
ここで、
r0:基準半径
L0:クラウン接地長
L1:第1位置における接地長
L2:第2位置における接地長
α :補正係数
本発明のタイヤにおいて、前記補正係数は、0.5~1.0であるのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記基準半径r0は、前記タイヤ赤道に配された前記周方向溝の溝深さ、又は、前記タイヤ赤道に隣接して配された前記周方向溝の溝深さに基づき定義されるのが望ましい。
本発明は、タイヤ周方向に延びる複数の周方向溝が形成されたトレッド部を有するタイヤの溝深さの設定方法であって、正規リムにリム組みされかつ正規内圧に調整された正規状態で、正規荷重がキャンバー角0°で負荷されたときの前記トレッド部の接地面を特定する第1工程と、前記接地面のタイヤ軸方向のそれぞれの位置に関連したタイヤ周方向の長さである接地長を求める第2工程と、予め定められたタイヤ軸方向の位置における前記接地長に比例した仮想半径を求める第3工程と、無負荷の前記正規状態におけるタイヤ子午線断面において、前記トレッド部の外表面上を中心とし前記仮想半径を有する仮想円に接する仮想線を定義する第4工程と、前記仮想線上に溝底が位置するように前記周方向溝の溝深さを設定する第5工程とを含むことを特徴とする。
本発明のタイヤにおいて、周方向溝は、前記周方向溝が形成されるタイヤ軸方向の位置における接地長に比例した溝深さを有している。このような周方向溝は、タイヤ軸方向の位置によって異なる摩耗量に対して過度に大きい溝深さを抑制することができ、周方向溝に起因するノイズを低減することができる。このため、本発明のタイヤは、優れた耐摩耗性能を維持しつつノイズ性能を向上させることができる。
本発明の溝深さ設定方法は、予め定められたタイヤ軸方向の位置における接地長に比例した仮想半径を求める第3工程と、無負荷の前記正規状態におけるタイヤ子午線断面において、トレッド部の外表面上を中心とし前記仮想半径を有する仮想円に接する仮想線を定義する第4工程と、前記仮想線上に溝底が位置するように周方向溝の溝深さを設定する第5工程とを含んでいる。
このような溝深さ設定方法は、周方向溝の溝深さをタイヤ軸方向の位置によって異なる摩耗量に対して適正化することができ、周方向溝に起因するタイヤのノイズを低減することができる。このため、本発明の溝深さ設定方法は、タイヤの優れた耐摩耗性能を維持しつつノイズ性能を向上させることができる。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき詳細に説明される。
図1は、本実施形態の正規状態のタイヤ1のトレッド部2を示すタイヤ子午線断面模式図である。本実施形態のタイヤ1は、乗用車用の空気入りタイヤとして好適に用いられる。タイヤ1は、乗用車用の空気入りタイヤに限定されるものではなく、例えば、重荷重用の空気入りタイヤや二輪車用の空気入りタイヤ、タイヤの内部に加圧された空気が充填されない非空気式タイヤ等の様々なタイヤに用いることができる。
図1は、本実施形態の正規状態のタイヤ1のトレッド部2を示すタイヤ子午線断面模式図である。本実施形態のタイヤ1は、乗用車用の空気入りタイヤとして好適に用いられる。タイヤ1は、乗用車用の空気入りタイヤに限定されるものではなく、例えば、重荷重用の空気入りタイヤや二輪車用の空気入りタイヤ、タイヤの内部に加圧された空気が充填されない非空気式タイヤ等の様々なタイヤに用いることができる。
ここで、「正規状態」とは、タイヤ1が空気入りタイヤの場合、タイヤ1が正規リムにリム組みされ、かつ、正規内圧に調整された無負荷の状態である。なお、本明細書において、特に言及されない場合、タイヤ1の各部の寸法等は、正規状態で測定された値である。
「正規リム」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系が有る場合、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば"Measuring Rim" である。「正規リム」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系が無い場合、メーカー等がタイヤ毎に定めるリムである。
「正規内圧」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系が有る場合、各規格がタイヤ毎に定める空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。「正規内圧」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系が無い場合、メーカー等がタイヤ毎に定める空気圧である。
図1に示されるように、本実施形態のタイヤ1は、走行時に路面に接触するトレッド部2を有している。本実施形態のトレッド部2には、複数の溝3が形成されている。溝3は、タイヤ周方向に延びる複数の、本実施形態では4本の周方向溝4を含んでいる。すなわち、本実施形態の周方向溝4は、タイヤ赤道C側に配されたクラウン周方向溝4Aと、クラウン周方向溝4Aのタイヤ軸方向の外側に配されたショルダー周方向溝4Bとを含んでいる。溝3は、例えば、タイヤ軸方向に延びる横溝5を含んでいてもよい。このようなタイヤ1は、ウェット路面走行時の排水性が良好である。
図2は、トレッド部2の接地面2aを示す模式図である。図2に示されるように、本実施形態のトレッド部2は、正規状態で、正規荷重がキャンバー角0°で負荷されたときの接地面2aが、タイヤ軸方向のそれぞれの位置Pに関連したタイヤ周方向の長さである接地長Lを有している。
ここで、「正規荷重」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系が有る場合、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。「正規荷重」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系が無い場合、メーカー等がタイヤ毎に定める荷重である。
図1及び図2に示されるように、本実施形態の周方向溝4は、周方向溝4が形成されるタイヤ軸方向の位置Pにおける接地長Lに比例した溝深さdを有している。このような周方向溝4は、摩耗時の溝深さdの減少割合を一定にすることができ、タイヤ軸方向の位置によって異なる摩耗量に対して過度に大きい溝深さdを抑制することができるので、周方向溝4に起因するノイズを低減することができる。このため、本実施形態のタイヤ1は、周方向溝4の溝深さdを適正化することで、優れた耐摩耗性能を維持しつつノイズ性能を向上させることができる。
図2に示されるように、より好ましい態様として、接地面2aは、タイヤ赤道Cから、接地面2aのタイヤ軸方向の外端である接地端Teまでの距離である接地半幅Twを有している。接地長Lは、例えば、タイヤ赤道Cでのクラウン接地長L0と、タイヤ赤道Cから接地半幅Twの80%の距離を隔てた位置でのショルダー接地長とを含んでいる。このとき、クラウン接地長L0は、好ましくは、ショルダー接地長の1.10~1.50倍である。このような接地面2aは、タイヤ1が乗用車用の空気入りタイヤの場合、操縦安定性能と耐摩耗性能とを両立するのに適している。
図1に示されるように、本実施形態の周方向溝4は、無負荷の正規状態におけるタイヤ子午線断面において、予め定義された仮想線VL上に溝底が位置する溝深さdを有している。このため、仮想線VLは、周方向溝4の溝深さdを適正に定義することができる。
このような周方向溝4は、ショルダー部における過度に大きい溝深さdを抑制し、周方向溝4に起因するノイズを低減することができる。また、仮想線VLは、トレッド部2のトレッドゴム2gの厚さtを小さくすることに役立ち、タイヤ1を軽量化することができるので、タイヤ1の低燃費性能を向上させることができる。なお、トレッドゴム2gの厚さtは、トレッド部2の外表面2bとトレッド部2に配されたベルト層Bとの距離として定義される。
ここで、仮想線VLは、基準仮想円Vc0と第1仮想円Vc1とに接するトレッド部2の外表面2bよりもタイヤ半径方向の内側の線として定義される。基準仮想円Vc0は、タイヤ赤道Cを中心とし基準半径r0を有する円として定義される。第1仮想円Vc1は、タイヤ赤道Cからタイヤ軸方向に隔てた外表面2b上の第1位置P1を中心とし第1半径r1を有する円として定義される。
このような仮想線VLは、基準仮想円Vc0と、その両側の第1仮想円Vc1とにより、一意的に定義することができる。また、仮想線VLは、周方向溝4のタイヤ軸方向の位置毎に対応する接地長Lを求める必要がなく、周方向溝4の溝深さdを定める時間を短縮することができる。
本実施形態の基準半径r0は、タイヤ赤道Cに隣接して配された周方向溝4の溝深さdに基づき定義される。すなわち、基準半径r0は、タイヤ赤道Cに隣接して配されたクラウン周方向溝4Aの溝底間を、外表面2bと同じ曲率半径Rでつないだ曲線とタイヤ赤道Cとの距離として定義される。
図1及び図2に示されるように、第1位置P1は、例えば、タイヤ赤道Cから接地半幅Twの40%~55%の距離W1を隔てた位置である。第1位置P1は、例えば、クラウン周方向溝4Aとショルダー周方向溝4Bとの間のミドル陸部6に位置している。接地長Lは、例えば、第1位置P1において、第1接地長L1を有している。
仮想線VLは、タイヤ赤道Cから接地半幅Twの75%~80%の距離W2を隔てた外表面2b上の第2位置P2を中心とし第2半径r2を有する第2仮想円Vc2にさらに接するのが望ましい。このような仮想線VLは、基準仮想円Vc0と、第1仮想円Vc1と、第2仮想円Vc2とにより、より精度よく定義することができる。
第2位置P2は、例えば、ショルダー周方向溝4Bよりもタイヤ軸方向の外側のショルダー陸部7に位置している。接地長Lは、例えば、第2位置P2において、第2接地長L2を有している。本実施形態の第2接地長L2は、ショルダー接地長に等しい。
第1半径r1及び第2半径r2は、それぞれ、下記式(1)及び(2)に基づき定められるのが望ましい。このような式(1)及び(2)は、仮想線VLを一意的に定義するのに役立つ。
ここで、
r0:基準半径
L0:クラウン接地長
L1:第1位置における接地長(第1接地長)
L2:第2位置における接地長(第2接地長)
α :補正係数
r0:基準半径
L0:クラウン接地長
L1:第1位置における接地長(第1接地長)
L2:第2位置における接地長(第2接地長)
α :補正係数
補正係数αは、好ましくは、0.5~1.0である。このような補正係数αは、周方向溝4の溝深さdを適正化することに役立ち、タイヤ1の優れた耐摩耗性能を維持しつつ、ノイズ性能を向上させ、軽量化を図ることができる。また、このような補正係数αは、ベルト層Bの変形を抑制し、タイヤ1の耐久性能を向上することができる。このような観点から、補正係数αは、より好ましくは、0.6~0.9であり、さらに好ましくは、0.7~0.8である。
仮想線VLは、例えば、タイヤ赤道Cから接地半幅Twの90%~95%の距離W3を隔てた外表面2b上の第3位置P3を中心とし第3半径r3を有する第3仮想円Vc3にさらに接していてもよい。このような仮想線VLは、基準仮想円Vc0と、第1仮想円Vc1と、第2仮想円Vc2と、第3仮想円Vc3とにより、より精度よく定義することができる。
第3位置P3は、例えば、ショルダー陸部7に位置している。接地長Lは、例えば、第3位置P3において、第3接地長L3を有している。
第3半径r3は、下記式(3)に基づき定められるのが望ましい。このような式(3)は、仮想線VLを一意的に定義するのに役立つ。
ここで、
r0:基準半径
L0:クラウン接地長
L3:第3位置における接地長(第3接地長)
α :補正係数
ここで、
r0:基準半径
L0:クラウン接地長
L3:第3位置における接地長(第3接地長)
α :補正係数
本実施形態の横溝5は、仮想線VL上又は仮想線VLよりもタイヤ半径方向の外側に溝底が位置する溝深さdを有している。このため、仮想線VLは、横溝5の溝深さdの最大値を適正に定義することができる。
なお、溝3の溝深さdの最大値は、例えば、上述の式(1)ないし(3)を一般化した下記式(4)に基づき定めることもできる。このような溝3は、仮想線VLを定義することなく、溝深さdを定めることができ、仮想線VLの定義に時間を要する場合に好適である。
ここで、
r0:基準半径
L0:クラウン接地長
L :溝の位置における接地長
α :補正係数
ここで、
r0:基準半径
L0:クラウン接地長
L :溝の位置における接地長
α :補正係数
図3は、他の実施形態の正規状態のタイヤ10のトレッド部11を示すタイヤ子午線断面模式図である。図3に示されるように、この実施形態のタイヤ10のトレッド部11には、3本の周方向溝4が形成されている。この実施形態の周方向溝4の1本は、タイヤ赤道C上に形成されている。
この実施形態の基準仮想円Vc0は、基準半径r0が、タイヤ赤道Cに配された周方向溝4の溝深さdとして定義される。このような基準仮想円Vc0は、基準半径r0の定義が明確であり、仮想線VLの設定が容易である。
次に、図1ないし図3を参酌しつつ、タイヤ周方向に延びる複数の周方向溝4が形成されたトレッド部2を有するタイヤ1の溝深さdの設定方法が説明される。
図4は、本実施形態の溝深さ設定方法を示すフローチャートである。図4に示されるように、本実施形態の溝深さ設定方法は、まず、正規状態で、正規荷重がキャンバー角0°で負荷されたときのトレッド部2の接地面2aを特定する第1工程S1が行われる。第1工程S1は、例えば、コンピュータを用いたシミュレーションにより接地面2aを特定してもよく、実験的に特定してもよい。このような第1工程S1は、接地面2aの形状を正確に特定することができる。
本実施形態の溝深さ設定方法は、第1工程S1の次に、接地面2aのタイヤ軸方向のそれぞれの位置Pに関連したタイヤ周方向の長さである接地長Lを求める第2工程S2が行われる。第2工程S2は、例えば、タイヤ赤道Cと、第1位置P1、第2位置P2及び第3位置P3の少なくとも1つとに関連した接地長Lを求めている。このような第2工程S2は、全てのタイヤ軸方向の位置Pに関連する接地長Lを求める必要がなく、計算時間を短縮することができる。
本実施形態の溝深さ設定方法は、第2工程S2の次に、予め定められたタイヤ軸方向の位置Pにおける接地長Lに比例した仮想半径rを求める第3工程S3が行われる。仮想半径rとしては、例えば、基準仮想円Vc0の基準半径r0、第1仮想円Vc1の第1半径r1、第2仮想円Vc2の第2半径r2及び第3仮想円Vc3の第3半径r3が挙げられる。第3工程S3は、例えば、基準半径r0と、第1半径r1、第2半径r2及び第3半径r3の少なくとも1つとを求めている。
本実施形態の溝深さ設定方法は、第3工程S3の次に、無負荷の正規状態におけるタイヤ子午線断面において、トレッド部2の外表面2b上を中心とし仮想半径rを有する仮想円Vcに接する仮想線VLを定義する第4工程S4が行われる。
本実施形態の溝深さ設定方法は、第4工程S4の次に、仮想線VL上に溝底が位置するように周方向溝4の溝深さdを設定する第5工程S5が行われる。このような溝深さ設定方法は、周方向溝4の溝深さdをタイヤ軸方向の位置によって異なる摩耗量に対して適正化することができ、周方向溝4に起因するタイヤ1のノイズを低減することができる。このため、本実施形態の溝深さ設定方法は、タイヤ1の優れた耐摩耗性能を維持しつつノイズ性能を向上させることができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施され得る。
図1の基本構造を有し、数式(1)及び(2)に基づく周方向溝の溝深さを有する実施例のタイヤが表1の仕様に基づき試作された。比較例として、周方向溝の溝深さが等しいタイヤが試作された。これら試作タイヤの耐摩耗性能、ノイズ性能、タイヤ重量及び耐久性能がテストされた。各試作タイヤの共通仕様とテスト方法は、以下のとおりである。
<共通仕様>
タイヤサイズ:255/65R18
リムサイズ:18×7.5J
タイヤサイズ:255/65R18
リムサイズ:18×7.5J
<耐摩耗性能>
各試作タイヤを走行車両の全輪に装着し、ドライの舗装路面を20000km走行したときに、タイヤ軸方向で異なる複数の位置での摩耗量が計測され、最も摩耗が進行している位置の摩耗量が評価された。結果は、比較例1を100とする指数で表示され、数値が大きいほど摩耗が進行しておらず、耐摩耗性能に優れていることを示す。
各試作タイヤを走行車両の全輪に装着し、ドライの舗装路面を20000km走行したときに、タイヤ軸方向で異なる複数の位置での摩耗量が計測され、最も摩耗が進行している位置の摩耗量が評価された。結果は、比較例1を100とする指数で表示され、数値が大きいほど摩耗が進行しておらず、耐摩耗性能に優れていることを示す。
<ノイズ性能>
各試作タイヤを走行車両の全輪に装着し、ロードノイズ計測路面を走行したときの車外騒音が計測された。結果は、比較例1を100とする指数で表示され、数値が大きいほど車外騒音が小さく、ノイズ性能に優れていることを示す。
各試作タイヤを走行車両の全輪に装着し、ロードノイズ計測路面を走行したときの車外騒音が計測された。結果は、比較例1を100とする指数で表示され、数値が大きいほど車外騒音が小さく、ノイズ性能に優れていることを示す。
<低燃費性能>
各試作タイヤの重量が計測された。結果は、比較例1を100とする指数で表示され、数値が大きいほど重量が軽く、低燃費性能に優れていることを示す。
各試作タイヤの重量が計測された。結果は、比較例1を100とする指数で表示され、数値が大きいほど重量が軽く、低燃費性能に優れていることを示す。
<耐久性能>
正規状態の各試作タイヤをドラム試験機に装着し、正規荷重を負荷して10000km走行させたときのベルトのエッジに発生したセパレーションの長さが計測された。結果は、比較例1を100とする指数で表示され、数値が大きいほどセパレーションが発生しておらず、耐久性能に優れていることを示す。
正規状態の各試作タイヤをドラム試験機に装着し、正規荷重を負荷して10000km走行させたときのベルトのエッジに発生したセパレーションの長さが計測された。結果は、比較例1を100とする指数で表示され、数値が大きいほどセパレーションが発生しておらず、耐久性能に優れていることを示す。
テストの結果、実施例のタイヤは、比較例に対して同等の耐摩耗性能を維持しつつ、ノイズ性能及び低燃費性能を向上しており、耐久性能にも優れていることが確認された。
1 タイヤ
2 トレッド部
2a 接地面
4 周方向溝
2 トレッド部
2a 接地面
4 周方向溝
Claims (9)
- トレッド部を有するタイヤであって、
前記トレッド部には、タイヤ周方向に延びる複数の周方向溝が形成されており、
前記トレッド部は、正規リムにリム組みされかつ正規内圧に調整された正規状態で、正規荷重がキャンバー角0°で負荷されたときの接地面が、タイヤ軸方向のそれぞれの位置に関連したタイヤ周方向の長さである接地長を有し、
前記周方向溝は、前記周方向溝が形成されるタイヤ軸方向の位置における前記接地長に比例した溝深さを有する、
タイヤ。 - 前記接地面は、タイヤ赤道から、前記接地面のタイヤ軸方向の外端である接地端までの距離である接地半幅を有し、
前記接地長は、前記タイヤ赤道でのクラウン接地長L0と、前記タイヤ赤道から前記接地半幅の80%の距離を隔てた位置でのショルダー接地長とを含み、
前記クラウン接地長L0は、前記ショルダー接地長の1.10~1.50倍である、請求項1に記載のタイヤ。 - 無負荷の前記正規状態におけるタイヤ子午線断面において、前記タイヤ赤道を中心とし基準半径r0を有する基準仮想円と、前記タイヤ赤道からタイヤ軸方向に隔てた前記トレッド部の外表面上の第1位置を中心とし第1半径r1を有する第1仮想円と、前記基準仮想円と前記第1仮想円とに接する前記外表面よりもタイヤ半径方向の内側の仮想線とが定義されたときに、
前記周方向溝は、前記仮想線上に溝底が位置する前記溝深さを有する、請求項2に記載のタイヤ。 - 前記第1位置は、前記タイヤ赤道から前記接地半幅の40%~55%の距離を隔てた位置である、請求項3に記載のタイヤ。
- 前記仮想線は、前記タイヤ赤道から前記接地半幅の75%~80%の距離を隔てた前記外表面上の第2位置を中心とし第2半径r2を有する第2仮想円にさらに接する、請求項4に記載のタイヤ。
- 前記補正係数は、0.5~1.0である、請求項6に記載のタイヤ。
- 前記基準半径r0は、前記タイヤ赤道に配された前記周方向溝の溝深さ、又は、前記タイヤ赤道に隣接して配された前記周方向溝の溝深さに基づき定義される、請求項3ないし7のいずれか1項に記載のタイヤ。
- タイヤ周方向に延びる複数の周方向溝が形成されたトレッド部を有するタイヤの溝深さの設定方法であって、
正規リムにリム組みされかつ正規内圧に調整された正規状態で、正規荷重がキャンバー角0°で負荷されたときの前記トレッド部の接地面を特定する第1工程と、
前記接地面のタイヤ軸方向のそれぞれの位置に関連したタイヤ周方向の長さである接地長を求める第2工程と、
予め定められたタイヤ軸方向の位置における前記接地長に比例した仮想半径を求める第3工程と、
無負荷の前記正規状態におけるタイヤ子午線断面において、前記トレッド部の外表面上を中心とし前記仮想半径を有する仮想円に接する仮想線を定義する第4工程と、
前記仮想線上に溝底が位置するように前記周方向溝の溝深さを設定する第5工程とを含む、
溝深さ設定方法。
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