JP2022039239A - 電線用導体及び電線 - Google Patents
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Abstract
【課題】第1方向に曲げ易くすることができる電線用導体及び電線を提供する。
【解決手段】平型導体10は、断面形状において第1方向よりも第1方向と直交する第2方向に長い導電性の板材11aが、互いに平行に第1方向に沿って複数枚積層され、導体全体の断面形状が第1方向に長手となる概略板材状をなす板材積層部11を有する。さらに、平型導体10は、板材積層部11を構成する複数枚の板材11aを接合する接合部13を備えると共に、第2板材積層部12を備えている。第2板材積層部12は、断面形状において第2方向よりも第1方向に長い導電性の第2板材12aが、互いに平行に第2方向に沿って複数枚積層され、導体全体の断面形状が第1方向に長手となる概略板材状をなす。
【選択図】図2
【解決手段】平型導体10は、断面形状において第1方向よりも第1方向と直交する第2方向に長い導電性の板材11aが、互いに平行に第1方向に沿って複数枚積層され、導体全体の断面形状が第1方向に長手となる概略板材状をなす板材積層部11を有する。さらに、平型導体10は、板材積層部11を構成する複数枚の板材11aを接合する接合部13を備えると共に、第2板材積層部12を備えている。第2板材積層部12は、断面形状において第2方向よりも第1方向に長い導電性の第2板材12aが、互いに平行に第2方向に沿って複数枚積層され、導体全体の断面形状が第1方向に長手となる概略板材状をなす。
【選択図】図2
Description
本発明は、電線用導体及び電線に関する。
従来、車両の電動化や自動運転化に伴いワイヤーハーネスの使用量が増加傾向にあり、ワイヤーハーネスの省スペース化が求められている。このような省スペース化を実現し得るものとして、電線の形状を従来の丸形から平型形状とすることにより省スペース化を図った電線が提案されている(特許文献1参照)。
ここで、特許文献1に記載の電線は平型形状であるため、フラット方向(平型平面に対する法線方向であって、以下第2方向という)に曲げ易いものの、エッジ方向(平型平面に沿う方向であって、以下第1方向という)には曲げ難くなってしまう。
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、第1方向に曲げ易くすることができる電線用導体及び電線を提供することにある。
本発明に係る電線用導体は、断面形状において第1方向よりも前記第1方向と直交する第2方向に長い導電性の板材が、互いに平行に前記第1方向に沿って複数枚積層され、導体全体の断面形状が前記第1方向に長手となる概略板材状をなす板材積層部を有する。
また、本発明に係る電線は、上記に記載の電線用導体と、前記電線用導体の周囲を覆う絶縁性の被覆部と、を備える。
本発明によれば、第1方向に曲げ易くすることができる電線用導体及び電線を提供することができる。
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
図1は、本発明の実施形態に係る平型電線を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係る平型電線(電線)1は、例えばワイヤーハーネスとして車両内に配索されるものであって、平型導体(電線用導体)10と、被覆部20とを備えている。平型導体10は、例えば車両電源からの電力を送電する送電部として機能するものであり、アルミニウム、アルミニウム合金、及び銅等によって構成されている。被覆部20は、平型導体10の周囲を覆う絶縁性の部材である。
このような平型電線1は、後述する板材積層部11に該当する第1部位2において第1方向に曲げられており、後述する第2板材積層部12に該当する第2部位3において第2方向に曲げられている。第1方向は、平型導体10の平面方向に沿う方向(エッジ方向)である。第2方向は、平型導体10の平面に対する法線方向(フラット方向)である。
図2は、図1に示した平型電線1の断面図であり、(a)はA-A断面を示し、(b)はB-B断面を示し、(c)はC-C断面を示している。図2(a)~(c)に示すように、平型導体10は、板材積層部11と、第2板材積層部12と、接合部13とを備えている。
図2(a)に示す板材積層部11は、複数枚の導電性の板材11aにより構成されている。各板材11aは、断面形状において、第1方向よりも、第1方向に直交する第2方向に長く形成されている。板材積層部11は、このような板材11aが第1方向に沿って複数枚積層されて、導体全体の断面形状が第1方向に長手となる概略板材状となっている。
図2(b)に示す第2板材積層部12は、複数枚の導電性の第2板材12aにより構成されている。各第2板材12aは、断面形状において、第2方向よりも第1方向に長く形成されている。第2板材積層部12は、このような第2板材12aが第2方向に沿って複数枚積層されている。この第2板材積層部12も板材積層部11と同様に、導体全体の断面形状が第1方向に長手となる概略板材状となっている。
ここで、丸形電線において導体半径を5.65mmとすると、導体断面積約100mm2を実現することができる。このような丸形電線と略同じ断面積を実現するために平型導体10は、例えば第1方向の長さが20mmとされ、第2方向の長さが5mmとされる。
このような導体断面積を実現するために、図2(a)に示す板材積層部11は、例えば断面視して各板材11aが第1方向に1mmであり第2方向に5mmとなる寸法とされ、このような板材11aが20枚積層されることで構成される。特に、板材積層部11は、例示した寸法のように、各板材11aが第2方向に長くされていることから、板材積層部11の全体としても第2方向よりも第1方向に曲げ易い構成とされている。
また、上記のような導体断面積を実現するために、図2(b)に示す第2板材積層部12は、例えば断面視して各第2板材12aが第1方向に20mmであり第2方向に1mmとなる寸法とされ、このような第2板材12aが5枚積層されることで構成される。特に、第2板材積層部12は、例示した寸法のように、各第2板材12aが第1方向に長くされていることから、第2板材積層部12の全体としても第1方向よりも第2方向に曲げ易い構成とされている。
図2(c)及び後述の図3のイメージに示す接合部13は、板材積層部11を構成する複数枚の板材11aを接合するものである。また、接合部13は、第2板材積層部12を構成する複数枚の第2板材12aを接合するものとしても機能する。このような接合部13は、板材積層部11と第2板材積層部12との間に介在している。これにより、平型導体10は、接合部13を介して第1方向に曲げ易い板材積層部11と第2方向に曲げ易い第2板材積層部12とを接続することができる。
なお、接合部13については、例えば、板材積層部11と第2板材積層部12とを互いに突き合わせ、突き合わせた部位を固相接合することで形成することができる。しかし、接合部13は、これに限らず、1枚の金属板によって構成され、金属板に対して板材積層部11と第2板材積層部12とが溶接等によって取り付けられたものであってもよい。
次に、本実施形態に係る平型電線1の曲げについて説明する。図3は、本実施形態に係る平型導体10の撓みσを示す図表である。図4は、図3に示す項目である断面二次モーメントI及び撓みσの計算方法を説明する図であり、(a)は断面二次モーメントIの計算方法を説明し、(b)は撓みσの計算方法を説明している。なお、撓みσは柔軟性を示すものである。
図3に示すように、1枚の板材11aについては板幅bが5.0mmであり、板厚hが1.0mmであるとする。板材積層部11は、このような板材11aを20枚積層することで、例えば断面積100mm2を確保しているものとする。
図4(a)に示すように、断面二次モーメントI(mm2)はI=bh3/12であることから、1枚の板材11aの断面二次モーメントIは約0.4となり、板材11aが20枚積層された板材積層部11の断面二次モーメントIは約8.3となる。
ここで、図3に示すように板材11aの導体材料を純アルミとすると縦弾性係数Eは68600(N/mm2)となる。よって、導体の曲げ剛性EIは、1枚の板材11aで2.9E+04であり、板材積層部11で5.7E+05となる。
また、図4(b)に示すように、撓みσ(mm)はσ=PL3/48EIである。このため、荷重Pを10Nとし、長さLを1000mmとした場合、1枚の板材11aの撓みσは約7289mmとなり、板材積層部11の撓みσは約364mmとなる。
また、図3に示すように、第2板材積層部12を構成する1枚の第2板材12aについては板幅bが20.0mmであり、板厚hが1.0mmであるとする。第2板材積層部12は、このような第2板材12aを5枚積層することで、例えば断面積100mm2を確保しているものとする。
図4(a)に示すように、断面二次モーメントI(mm2)はI=bh3/12であることから、1枚の第2板材12aの断面二次モーメントIは約1.7となり、第2板材12aが5枚積層された第2板材積層部12の断面二次モーメントIは約8.3となる。
ここで、図3に示すように第2板材12aの導体材料を純アルミとすると縦弾性係数Eは68600(N/mm2)となる。よって、導体の曲げ剛性EIは、1枚の第2板材12aで1.1E+05であり、第2板材積層部12で5.7E+05となる。
また、図4(b)に示すように、撓みσ(mm)はσ=PL3/48EIである。このため、荷重Pを10Nとし、長さLを1000mmとした場合、1枚の第2板材12aの撓みσは約1822mmとなり、第2板材積層部12の撓みσは約364mmとなる。
ここで、導体断面積約100mm2とする円形導体について同様に計算を行うと、撓みσは4mmとなる。よって、板材積層部11の第1方向への曲げ、及び、第2板材積層部12の第2方向への曲げについては、円形導体よりも格段に曲げ易く、柔軟性を有したものとなっている。
さらに、図3に示した例においては、板材積層部11と第2板材積層部12との撓みσの値が同じ(一致に限らず、例えば撓みσの差が10%以内の略同じであってもよい)となっている。すなわち、板材積層部11の第1方向への曲げ易さと、第2板材積層部12の第2方向への曲げ易さとが同じとすることで、平型電線1であるにもかかわらず円形電線のような曲げ方向によって曲げ難さが変わり難い電線とすることができる。
図5は、積層枚数lと撓みσとの相関を示すグラフである。なお、図5においては第2板材積層部12を例に説明するが、板材積層部11についても同様である。また、図5においては、図3に示したものと同様に、導体材料を純アルミとし、荷重10Nとし、長さ1000mmとした場合の撓みσを示している。
図5に示すように、まず断面積約100mm2とする円形導体の直径は約11.3mmとなる(すなわち図外の厚さ約11.3mmとなる)。このような円形導体の撓みσは、4mmである。また、板幅20.0mmとし板厚を5.0mmとした1枚の金属板からなる平型電線(単層1枚)は、撓みσが15mmとなる。
次に、第2板材積層部12を2枚の第2板材12aで構成した場合、1枚の第2板材12aの厚さは2.5mmとなり、撓みσは58mmとなる。以降、第2板材積層部12を構成する第2板材12aを増やしていくことにより、1枚の第2板材12aは薄くなり第2板材積層部12の撓みσは大きくなる。
具体的に、第2板材12aが3枚である場合、厚さは1.67mmとなり撓みσは131mmとなる。第2板材12aが4枚である場合、厚さは1.25mmとなり撓みσは233mmとなる。第2板材12aが5枚である場合、厚さは1.00mmとなり撓みσは364mmとなる。
第2板材12aが6枚である場合、厚さは0.83mmとなり撓みσは525mmとなる。第2板材12aが7枚である場合、厚さは0.71mmとなり撓みσは714mmとなる。第2板材12aが8枚である場合、厚さは0.63mmとなり撓みσは938mmとなる。
第2板材12aが9枚である場合、厚さは0.56mmとなり撓みσは1181mmとなる。第2板材12aが10枚である場合、厚さは0.50mmとなり撓みσは1458mmとなる。第2板材12aが11枚である場合、厚さは0.45mmとなり撓みσは1764mmとなる。
第2板材12aが12枚である場合、厚さは0.42mmとなり撓みσは2099mmとなる。第2板材12aが13枚である場合、厚さは0.38mmとなり撓みσは2464mmとなる。第2板材12aが14枚である場合、厚さは0.36mmとなり撓みσは2857mmとなる。
第2板材12aが15枚である場合、厚さは0.33mmとなり撓みσは3280mmとなる。第2板材12aが16枚である場合、厚さは0.31mmとなり撓みσは3732mmとなる。第2板材12aが17枚である場合、厚さは0.29mmとなり撓みσは4213mmとなる。
第2板材12aが18枚である場合、厚さは0.28mmとなり撓みσは4723mmとなる。第2板材12aが19枚である場合、厚さは0.26mmとなり撓みσは5262mmとなる。第2板材12aが20枚である場合、厚さは0.25mmとなり撓みσは5831mmとなる。
第2板材12aが21枚である場合、厚さは0.24mmとなり撓みσは6459mmとなる。第2板材12aが22枚である場合、厚さは0.23mmとなり撓みσは7055mmとなる。第2板材12aが23枚である場合、厚さは0.22mmとなり撓みσは7711mmとなる。
第2板材12aが24枚である場合、厚さは0.21mmとなり撓みσは8397mmとなる。第2板材12aが25枚である場合、厚さは0.20mmとなり撓みσは9111mmとなる。
以上のように、第2板材12aを増やしていくことにより第2板材積層部12の撓みσを大きくできることから、必要となる撓みσとの関係から積層枚数を決定することで、適切な車両配索性の実現に寄与することもできる。
このようにして、本実施形態に係る平型導体10及び平型電線1によれば、平型導体10が導体全体の断面形状が第1方向に長手となる概略板材状である板材積層部11を有し、断面形状において第1方向よりも第2方向に長い導電性の板材11aが、互いに平行に第1方向に沿って複数枚積層されている。このため、概略的には第1方向に長手の平型導体10を形成しているが、平型導体10自体が第2方向に長い複数枚の板材11aの積層によって構成されていることから、各板材11aが第1方向に曲げ易くなり、且つ、全体としても第1方向に曲げ易くなる。従って、第1方向に曲げ易くすることができる電線用導体10及び平型電線1を提供することができる。
また、複数枚の板材11aを接合する接合部13を有するため、接合部13において板材状の形状を維持し易くなっており、形状崩れを抑えることができる。
また、第2板材積層部12を有するため、第1方向だけでなく第2方向にも曲げ易くすることができる。また、板材積層部11と第2板材積層部12との間に接合部13を介在しているため、接合部13を介して第1方向に曲げ易い部位と第2方向に曲げ易い部位とを変えることができる。
さらに、板材積層部11において第1方向へ曲げられており、第2板材積層部12において第2方向へ曲げられているため、これらの曲げを利用して車両へ適切に配索することができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能であれば公知又は周知の技術を組み合わせてもよい。
例えば、本実施形態に係る平型電線1は、板材積層部11と第2板材積層部12と接合部13とを備えているが、特にこれに限らず、板材積層部11のみを備えていてもよいし、板材積層部11と接合部13とを備えていてもよい。
また、本実施形態においては、平型導体10のみを被覆部20によって覆っているが、これに限らず、被覆部20は平型導体10に加えて円形導体を一括して覆う構成のものであってもよい。
さらに、本実施形態において板材積層部11は、板材11aが2段以上に形成されていてもよい。すなわち、図2に示す例において例えば平型導体10が第1方向に延びる直線によって分割されており、2段構造とされていてもよいし、3段以上とされていてもよい。
加えて、本実施形態において板材積層部11は各板材11aが接触状態となっているが、特にこれに限らず、板材11a同士が接触することなく板材11aの間に被覆部20を構成する樹脂等が入り込んでいてもよい。第2板材積層部12も同様である。
1 :平型電線(電線)
10 :平型導体(電線用導体)
11 :板材積層部
11a :板材
12 :第2板材積層部
12a :第2板材
13 :接合部
20 :被覆部
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11 :板材積層部
11a :板材
12 :第2板材積層部
12a :第2板材
13 :接合部
20 :被覆部
Claims (5)
- 断面形状において第1方向よりも前記第1方向と直交する第2方向に長い導電性の板材が、互いに平行に前記第1方向に沿って複数枚積層され、導体全体の断面形状が前記第1方向に長手となる概略板材状をなす板材積層部を有する
ことを特徴とする電線用導体。 - 前記板材積層部を構成する複数枚の前記板材を接合する接合部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電線用導体。 - 断面形状において前記第2方向よりも前記第1方向に長い導電性の第2板材が、互いに平行に前記第2方向に沿って複数枚積層され、導体全体の断面形状が前記第1方向に長手となる概略板材状をなす第2板材積層部を有し、
前記接合部は、前記第2板材積層部を構成する複数枚の前記第2板材を接合し、前記板材積層部と前記第2板材積層部との間に介在している
ことを特徴とする請求項2に記載の電線用導体。 - 前記板材積層部において前記第1方向に曲げられ、前記第2板材積層部において前記第2方向に曲げられている
ことを特徴とする請求項3に記載の電線用導体。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電線用導体と、
前記電線用導体の周囲を覆う絶縁性の被覆部と、
を備えることを特徴とする電線。
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