JP2022037489A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、特許文献2に開示された表面シートでは、コットンの凝集塊による肌触りの低下を抑制するために、肌側に合成繊維からなる層を配置しているものの、コットンは熱融着性がないために、表面シートに強い変形力が加わるような場合には、表面シートの肌側面へコットンの凝集塊が移動してしまって、違和感につながるという可能性がある。
前記シート構造は、
合成繊維と天然繊維とを含む混合繊維層と、
前記混合繊維層の一面側に配置され、前記吸収性物品の前記表層を構成する、繊維成分として合成繊維を主体とする合成繊維層と、を有する。
前記混合繊維層は、前記天然繊維が凝集した天然繊維塊を含む。
前記合成繊維層は、前記合成繊維が凝集した合成繊維塊を含む。
本実施形態の使い捨ておむつ1は、図1に示すように、いわゆる展開型の使い捨ておむつである。使い捨ておむつ1は、以下、おむつ1と称する。
使い捨ておむつ1は、着用者の前後方向に対応する縦方向Xと、着用者の左右方向に対応し縦方向Xに直交する横方向Yとを有する。さらに、使い捨ておむつ1は、縦方向X及び横方向Yの双方に直交する厚み方向Zを有する。これらの縦方向X、横方向Y及び厚み方向Zは、各部の弾性部材を伸張させて平面状に広げた状態において相互に直交するものとする。
本明細書において、各構成を厚み方向Zの方向からみる場合、平面視という。
本明細書では、厚み方向Zに関しては、着用時に着用者の肌に近い側を上又は肌側、着衣に近い側を下又は非肌側という事がある。
「着用時」は、通常想定される適正な着用位置が維持された状態をいう。
背側領域Bは、股下領域Cから左右の横方向Y外方に突出した側部を含む。当該側部の横方向Yにおける側縁部には、ファスニングテープ6が設けられている。
同様に、腹側領域Aは、股下領域Cから左右の横方向Y外方に突出した側部を含む。腹側領域Aの非肌対向面には、ファスニングテープ6を接着させるためのランディングテープ(図示せず)が設けられている。背側領域B及び腹側領域Aは、着用時に、ファスニングテープ6によって相互に接着され、一体となって着用者の腰周り及びウエスト周りに配置される。
股下領域Cは、腹側領域A及び背側領域Bよりも幅狭となるように、横方向Y内方に括れた脚繰りが形成される。股下領域Cは、典型的には、おむつ1の着用時に着用者の排泄部(例えば排尿部)に対向して配置される排泄部対向部を有している。
吸収体4は、吸収性コア40と、コアラップシート41と、を有する。
吸収性コア40は、例えば、液を保持することが可能な高吸水性ポリマーを含む。具体的に、吸収性コア40は、高吸水性ポリマーのみからなる構成、親水性繊維の積繊体に高吸水性ポリマーを担持させた構成等を有する。
コアラップシート41は、吸収性コア40を被覆し、例えば吸収性コア40の形状を保持する機能等を有する。コアラップシート41は、例えばティッシュペーパー状の薄く柔らかい紙や液透過性の不織布等で形成される。
中間シート7は、例えば不織布からなり、表面シート2とコアラップシート41との間に配置される。中間シート7は、表面シート2から吸収体4への液の透過性の向上等の観点から配置される。
サイドシート5は、立体ギャザーを形成し得る。サイドシート5の横方向Y中央部側の側端部は、表面シート2等に接合されない自由端部となっており、弾性部材51が配されている。弾性部材51は、股下領域Cにおいて縦方向Xに延び、例えば腹側領域A及び背側領域Bの一部まで延びていてもよい。弾性部材51を設けることにより、立体ギャザーが構成される。
サイドシート5の横方向Y外方側の側端部近傍には、例えば縦方向Xに伸縮する弾性部材52が配置されることで、着用時に着用者の脚周りにフィットするレッグギャザーが構成される。
弾性部材51及び52は、縦方向Xに伸縮可能な糸状又は帯状の弾性部材である。
本実施形態のおむつ1は、着用者又はおむつ1の交換等を行う処理者の肌に触れる部分の良好な肌触りを実現する等の観点から、表層側に配置されたシート構造10を備える。
おむつ1の「表層」とは、着用時に着用者の肌に当接し得る肌当接面と、着用時に着用者の着衣側に配置される外表面と、を含む部分を意味する。つまり、おむつ1の表層は、着用者の肌、又はおむつ1の交換等を行う処理者の肌に触れ得る面を含む部分を意味する。
上記肌当接面は、例えば、表面シート2の肌当接面2aを含む。また、外装体3の一部が肌側に折り返されている場合には、外装体3の当該折り返し部分も肌当接面を含む。また、サイドシート5の立体ギャザーにおいて着用者の肌に触れ得る部分も、肌当接面を含む。
上記外表面は、典型的には外装体3の外表面3aにより構成される。
「シート構造10が表層側に配置される」とは、シート構造10の少なくとも一部が上記肌当接面又は上記外表面を含むように配置されることを意味する。
シート構造10は、具体的には、外装体3の少なくとも一部を構成してもよいし、表面シート2の少なくとも一部を構成してもよい。
図2に示す例では、シート構造10は、外装体3を構成する。あるいは、図3に示すように、シート構造10が表面シート2を構成してもよい。
合成繊維層12は、表面12aを含む。表面12aは、図2に示すように、外装体3の外表面3aの少なくとも一部を構成してもよいし、図3に示すように、表面シート2の肌当接面2aの少なくとも一部を構成してもよい。
なお、図4において、混合繊維層11及び合成繊維層12の断面を斜線のハッチングで示しているが、このハッチングは、各層の範囲を模式的に示すためのものであり、これらの各層に含まれる繊維の配向等を示すものではない。
あるいは、混合繊維層11及び合成繊維層12は、それぞれ異なるシート材を形成していてもよい。この場合、混合繊維層11及び合成繊維層12は、ホットメルト接着剤等によって接着されていてもよい。また、混合繊維層11と合成繊維層12は、平面視において同一の形状を有している例に限定されない。例えば、合成繊維層12が、混合繊維層11上のおむつ1の表層(肌当接面又は外表面)を構成する部分にのみ配置されていてもよい。
混合繊維層11は、合成繊維と天然繊維とを含み、これらの繊維の集合体として構成される。混合繊維層11は、不織布層として構成され、例えば、エアスルー不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布から選択される1又は複数の不織布層を含む。
さらに、天然繊維は、合成繊維と比較して、吸湿性が高く、かつ不織布中に保持している水蒸気を放出しやすい。このため、例えばシート構造10が外装体3として用いられる場合には、天然繊維が、吸収体4によって吸収された水分由来の水蒸気を吸収し、さらにおむつ1の外部に水蒸気を放出することができる。また、例えばシート構造10が表面シート2として用いられる場合には、天然繊維が、排泄された液や着用者の汗に由来する水蒸気を吸収し、吸収体4の未使用部分(すなわち、排泄液を吸収可能な部分)へ当該水蒸気を放出することができる。したがって、混合繊維層11が天然繊維を含むことにより、おむつ1の着用時のムレを効果的に抑制し、おむつ1の着用者の肌トラブルを抑制することができる。
天然繊維の繊維長は、シート構造10からの天然繊維の脱落や、塊が大きくなりすぎることを抑制する観点から、例えば、好ましくは5mm以上、好ましくは15mm以上であり、好ましくは40mm以下、好ましくは35mm以下である。
天然繊維塊13の厚みは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上であり、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.6mm以下である。なお、「天然繊維塊13の厚み」は、シート構造10の厚み方向(例えば図1~3の厚み方向Z)における天然繊維塊13の寸法を意味する。
なお、天然繊維塊13のサイズ及び厚みは、1枚のおむつ1(吸収性物品)に用いられる混合繊維層11において例えば5個以上の天然繊維塊13の径及び厚みを測定し、同様に3枚のおむつ1(吸収性物品)について測定した場合の、合計15個以上の天然繊維塊13の径及び厚みの平均値として算出される。天然繊維塊13のサイズ及び厚みは、例えば後述する「繊維塊の個数の測定方法」で説明するように、天然繊維塊13を着色して測定されてもよい。
このうち、混合繊維層11に含まれる合成繊維としては、不織布の強度とやわらかく良好な触感を両立する観点から、好ましくは複合繊維が用いられる。
混合繊維層11の合成繊維の繊度は、柔らかくふんわりとした触感を有する観点から、例えば、好ましくは0.5dtex以上、好ましくは1.0dtex以上であり、好ましくは6.0dtex以下、好ましくは4.5dtex以下である。
混合繊維層11の合成繊維の繊維長は、カード機を用いて不織布を製造する際のウェブ形成のし易さの観点から、例えば、好ましくは20mm以上、好ましくは35mm以上であり、好ましくは75mm以下、好ましくは70mm以下である。
なお、合成繊維層12が「繊維成分として、合成繊維を主体として含む」とは、好ましくは合成繊維のみで形成されることを意味するが、天然繊維塊を形成しない範囲で天然繊維を含むことを排除しないものである。
このうち、合成繊維層12に含まれる合成繊維としては、後述する合成繊維塊15を効率よく形成する観点から、好ましくは繊度2.5dtex以下の複合繊維が用いられる。
合成繊維層12に含まれる合成繊維は、混合繊維層11に含まれる合成繊維と異なっていてもよいし、少なくとも一部が同一であってもよい。また、合成繊維層12は、繊維径や横断面の形状の異なる合成繊維を含んでいてもよい。
合成繊維塊15の厚みは、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.08mm以上であり、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.2mm以下である。なお、「合成繊維塊15の厚み」は、シート構造10の厚み方向(例えば図1~3の厚み方向Z)における合成繊維塊15の寸法を意味する。
なお、合成繊維塊15のサイズ及び厚みは、1枚のおむつ1(吸収性物品)に用いられる合成繊維層12において例えば5個以上の合成繊維塊15の径及び厚みを測定し、同様に3枚のおむつ1(吸収性物品)について測定した場合の、合計15個以上の合成繊維塊15の径及び厚みの平均値として算出される。
当該合成繊維の繊維長は、合成繊維塊15を効率よく形成する観点から、例えば、好ましくは20mm以上、好ましくは35mm以上であり、好ましくは75mm以下、好ましくは70mm以下である。
また、合成繊維層12に含まれる合成繊維の繊度は、混合繊維層11に含まれる合成繊維の繊度よりも小さいことが肌触りの観点から好ましい。
例えば、混合繊維層11を構成する合成繊維及び天然繊維を用いてウェブを形成する。一方、合成繊維層12を構成する合成繊維を用いてウェブを形成する。ウェブの形成には、公知のカード機等の装置を用いることができる。これらのウェブに含まれる繊維を、熱処理等によって結合させて、混合繊維層11及び合成繊維層12を形成する。その後、必要に応じて、カレンダー加工等を行ってもよい。
繊維を結合させるための処理としては、エアスルー法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法等が挙げられ、天然繊維塊13及び合成繊維塊15を効率よく形成する観点から、エアスルー法が好ましい。
あるいは、繊維を結合させるための処理は、混合繊維層11を形成するウェブ及び合成繊維層12を形成するウェブ各々に対して行われてもよい。この場合は、混合繊維層11に対応する不織布シート及び合成繊維層12に対応する不織布シートがそれぞれ得られる。
また、混合繊維層11の一面側に、合成繊維同士が融着された合成繊維層12が配置される。このため、混合繊維層11中の天然繊維塊13が当該表層側に移動しにくい。特に、合成繊維層12が周囲の繊維とも融着された合成繊維塊15を有するため、天然繊維塊13の表層側への移動が、合成繊維塊15によって効果的に制限される。これにより、天然繊維塊13がおむつ1の表層(合成繊維層12の表面12a)から突出することが抑制される。したがって、天然繊維の突出によるおむつ1の表層の異物感や肌触りの低下を抑制でき、肌触りの良好なおむつ1を得ることができる。
以上のように、本実施形態のシート構造10によれば、天然繊維による安心感や柔らかい風合い及びムレ抑制効果と、おむつ1の表層の肌触りの良さとを両立させることができる。
天然繊維による柔らかい風合いや、良好な吸湿性及び水蒸気の放出性を得る観点から、混合繊維層11の厚みは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上であり、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。
天然繊維による風合いを活かすとともに、おむつ1の表層を構成するシート構造10として十分な強度を得る観点から、シート構造10の厚みは、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.0mm以下である。
同様の観点から、シート構造10の坪量は、好ましくは10g/m2以上、より好ましくは15g/m2以上であり、好ましくは60g/m2以下、より好ましくは30g/m2以下である。
混合繊維層11と、合成繊維層12とは、積層構造を有していてもよい。ここでいう積層構造とは、混合繊維層11上に合成繊維層12が積層されており、2層が分離不可能な不織布シートを構成していることを意味する。これにより、2層を一体の不織布シートとして取り扱うことができ、おむつ1の製造工程上の取り扱いが容易になる。
特に、図4に示すように、混合繊維層11と合成繊維層12との界面に、混合繊維層11の合成繊維塊14が配置されている場合は、当該合成繊維塊14が混合繊維層11及び合成繊維層12の双方の合成繊維と結合し得る。このため、混合繊維層11と合成繊維層12との間の剥離が生じることをより確実に抑制できる。
合成繊維層12は、おむつ1の表層の肌触りを一層良好なものとする観点から、扁平率が1.2以上の合成繊維を含んでいることが好ましい。本明細書では、扁平率が1.2以上の合成繊維を、「扁平繊維」とも称する。
扁平率とは、繊維の断面の短軸長に対する長軸長の比率(長軸長/短軸長)を意味する。繊維の断面が真円形状の場合の扁平率は1であり、該断面の潰れの程度が大きくなるに従って扁平率は1より大きくなる。繊維の扁平率の詳細な測定方法については、後述する。
上記観点から、扁平繊維は、少なくとも合成繊維層12の表面12aに配置されていることが好ましい。
また、扁平繊維によって、合成繊維層12において平面方向に密に繊維が配置され得るため、天然繊維塊13の表面12aへの移動がより制限される。これにより、天然繊維塊13の表面12aからの突出がより効果的に抑制され、おむつ1の表層の肌触りをより確実に高めることができる。
おむつ1の表層の肌触りをより良好にするとともに、合成繊維層12の表面12aからの天然繊維の脱落を防止する観点から、合成繊維層12及び混合繊維層11の合成繊維の繊維径を以下のような関係とすることが好ましい。
合成繊維層12の合成繊維の繊維径は、混合繊維層11の合成繊維の繊維径よりも小さいことが好ましい。
例えば、混合繊維層11の合成繊維の繊維径に対する合成繊維層12の合成繊維の繊維径の比率は、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.8以下であり、また、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上である。
合成繊維層12の合成繊維の繊維径は、好ましくは4μm以上、より好ましくは8μm以上であり、好ましくは17μm以下、より好ましくは15μm以下である。
混合繊維層11の合成繊維の繊維径は、好ましくは7μm以上、より好ましくは10μm以上であり、好ましくは26μm以下、より好ましくは22μm以下である。
例えば、天然繊維塊13を構成する天然繊維の繊維径に対する合成繊維塊15を構成する合成繊維の繊維径の比率は、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.8以下である。
混合繊維層11の天然繊維の繊維径は、好ましくは9μm以上、より好ましくは12μm以上であり、好ましくは36μm以下、より好ましくは30μm以下である。
合成繊維層12における合成繊維塊15の100cm2当たりの個数は、好ましくは10個以上、より好ましくは20個以上であり、好ましくは400個以下、より好ましくは200個以下である。
混合繊維層11における天然繊維塊13の100cm2当たりの個数は、好ましくは5個以上、より好ましくは10個以上であり、好ましくは200個以下、より好ましくは150個以下である。
混合繊維層11における天然繊維塊13のサイズに対する合成繊維層12における合成繊維塊15のサイズの比率は、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.65以下である。なお、各繊維塊のサイズとは、平面視における円相当直径を意味する。
混合繊維層11における天然繊維塊13の厚みに対する合成繊維層12における合成繊維塊15の厚みの比率は、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.5以下である。
混合繊維層11の厚みに対する合成繊維層12の厚みの比率は、好ましくは0.95以下であり、より好ましくは0.8以下である。
シート構造10が着用者の肌に当接する部分に用いられる場合、合成繊維層12の表面12aは、着用者の肌と長時間接触することになる。このような場合に、着用者の肌トラブルを抑制する観点から、合成繊維層12は、合成繊維の表面に、スキンケア剤を含んでいてもよい。スキンケア剤は、スキンケア効果を発現するものである。「スキンケア効果」とは、皮膚のかぶれ防止、消炎、傷つき防止、抗菌等の皮膚の状態を正常にする効能全般を意味する。
疎水性スキンケア剤としては、アルガンオイル、シアバター等の天然物抽出成分やワセリン等を用いることができる。例えば、不飽和脂肪酸を含む疎水性の植物油であるアルガンオイルは、肌の水分と油分のバランスを保って肌の乾燥を防ぐことができる。さらに、アルガンオイルは、オレイン酸、リノール酸といった不飽和脂肪酸を多く含み、活性酸素除去力が強く、肌のダメージを軽減させることができる。
親水性スキンケア剤としては、桃の葉エキス、ハマメリエキス等の天然物抽出成分や炭素鎖数が2~4の多価アルコール、スキンケア効果を有する親水性化合物を用いることができる。例えば、植物抽出エキスである桃の葉エキス(親水性エキス)は、抗菌作用、抗炎症作用を有する。
また、スキンケア剤には、天然物抽出成分を用いることが好ましい。これにより、着用者のアレルギー反応や肌トラブルをより一層抑制できるとともに、消費者に安心感や爽やかなイメージを付与することができる。
図5~7に示すように、シート構造10は、合成繊維層12の表面12aに形成された複数の凸部16と、複数の凸部16の間に位置する凹部17と、を有していてもよい。
例えば、シート構造10が積層構造を有する場合には、シート構造10全体に凹凸構造が形成されていてもよい。
合成繊維層12と混合繊維層11とが別体のシート材で構成される場合には、合成繊維層12のみが凹凸構造を有していてもよい。
シート構造10が凹凸構造を有することで、特に合成繊維層12が肌に当接する場合に、肌との接触面積を低減させることができ、通気性を高めることができる。また、おむつ1の表層の肌触りを一層良好にすることができる。
図5Aに示す例において、シート構造10は外装体3を構成し、シート構造10の凹部17は、ホットメルト接着剤等の接着剤Sによって防漏シート8に接合されている。
図5Bに示す例において、シート構造10は表面シート2を構成し、シート構造10の凹部17は、ホットメルト接着剤等の接着剤Sによって中間シート7に接合されている。
なお、図5A及びBに示す構成の他、例えば、凹凸構造を有する合成繊維層12の凹部17が、略平坦な混合繊維層11に接合されることで、凹凸構造を有するシート構造10が形成されてもよい。
以下、本実施形態の説明を補足する。
荷重がかかっていない状態のシート構造10から、50mm×100mm(面積5000mm2)の長方形状に切り出した測定用サンプルを作製する。次いで、測定用サンプルを断面視して、何れか一方の面から厚さ方向に0.2mm間隔を空けた位置における繊維10本の繊維太さを、電子顕微鏡を用いて実測し、繊維太さ平均値Dn(μm)を算出する。次いで、前記一方の面から厚さ方向に0.2mm間隔を空けた位置における繊維の構成成分を特定し、示差走査熱量測定器(DSC)を用いて、理論繊維存在密度Pn(g/cm3)を求める。得られた繊維太さ平均値Dn(μm)及び理論繊維存在密度Pn(g/cm3)から、繊維長さ10,000m当たりの重さ(g)を算出して、この算出された値を繊維の繊度(dtex)とする。
なお、吸収性物品からシート構造10等の測定対象を採取する場合には、当該測定対象の構成部材と他の構成部材との接合に用いられている接着剤などをコールドスプレー等の冷却手段で弱めた後に、測定対象の構成部材を丁寧に剥がして取り出す方法が好ましい。この方法は、以下で説明する各測定方法等についても用いられ得る。
測定対象のシート構造10を縦方向50mm×横方向50mmに切断し、シート構造10の切断片を作製する。次に、この切断片を平板上に載せ、その上に平板上のガラス板を載せ、ガラス板を含めた荷重が49Paになるようにガラス板上に重りを均等に載せた上で、該切断片の厚みを測定する。測定環境は温度20±2℃、相対湿度65±5%、測定機器にはマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VHX-1000)を用いる。切断片の厚みの測定は、まず、該切断片の切断面の拡大写真を得る。この拡大写真には、既知の寸法のものを同時に写しこむ。次に、前記切断片の切断面の拡大写真にスケールを合わせ、該切断片の厚みすなわち測定対象のシートの厚みを測定する。以上の操作を3回行い、3回の平均値を、測定対象のシート構造10又は各層の厚みとする。なお、測定対象のシート構造10が積層構造を有する場合は、繊維径及び/又は繊維密度の違いからからその境界を判別し、各層の厚みを算出する。
測定対象のシート構造10の一部を、フェザー安全剃刃株式会社製片刃剃刀を用いて切断し、あらかじめ定めた面積となるように測定片を得る。それらの測定片の重量を電子天秤(A&D社製電子天秤GR-300、精度:小数点以下4桁)を用いて測定する。求めた重量を測定片の面積で除して測定片の坪量を算出する。測定片5個の坪量の平均を坪量とする。
測定対象(混合繊維層11及び合成繊維層12)を剃刀(例えばフェザー安全剃刃株式会社製片刃)で切断し、平面視四角形形状(8mm×4mm)の測定片を得る。この測定対象の切断の際には、その切断によって形成される測定片の切断面の構造が、切断時の圧力などによって破壊されないように注意する。好ましい測定対象の切断方法として、測定対象の切断に先立って、測定対象を液体窒素中に入れて十分に凍結させ、しかる後切断する方法が挙げられる。紙両面テープ(ニチバン株式会社製ナイスタックNW-15)を用いて、測定片を試料台に貼り付ける。次いで測定片を白金コーティングする。コーティングには日立那珂精器株式会社製イオンスパッタ装置E-1030型(商品名)を用い、スパッタ時間は30秒とする。測定片の切断面を、日立製作所株式会社製S-4000型電界放射型走査電子顕微鏡を用いて倍率1000倍で観察する。例えば測定対象が積層構造を有する場合、電子顕微鏡像より、繊維径及び/又は繊維密度の違いから各層の境界を判別し、各層に存する繊維それぞれについて、繊維の長手方向に対する幅方向の長さを10本測定し、その平均値を繊維径とする。
上記「繊維径の測定方法」と同様に、測定片を用意しその切断面を電子顕微鏡で観察する。例えば合成繊維層12の切断面を観察し、繊維の長手方向に対する幅方向の太さ(長軸長)、厚み方向の太さ(短軸長)を測定し、長軸長を短軸長で除することで繊維1本の扁平率を算出する。これを10本分測定し、その平均値を扁平率とする。
上述のように、合成繊維層12の全体に扁平繊維が分布していた場合、繊維径は以下のように測定する。
上述の「繊維径の測定方法」と同様に、測定片を用意しその切断面を電子顕微鏡で観察する。観察された繊維の横断面の断面積を、画像処理ソフトを用いて計測する。計測された断面積を、真円の断面積とみなして、真円の場合の直径を算出する。合成繊維層12に存する繊維10本について同様に直径を算出し、この平均値を繊維径とする。
吸収性物品からコールドスプレーを用いてシート構造10を剥がし、このシート構造10から10cm四方の測定片を切り出す。切り出した測定片を黒色の台紙上に配置し、繊維塊の個数を目視で測定する。この測定された個数を、a個とする。
その後、測定片を着色水(例えば赤色2号等の食用色素)に浸し、キムタオル(日本製紙クレシア製)等の吸水紙で挟み吸水させ、70℃で24時間乾燥させる。着色された繊維塊の数を目視で測定する。この測定された個数を、b個とする。
合成繊維塊15の100cm2当たりの個数は、(a-b)個とする。
天然繊維塊13の100cm2当たりの個数は、b個とする。
1枚の吸収性物品に対して2箇所から測定片を切り出して測定し、3枚の吸収性物品について測定を行う。合計6枚の測定片からの測定結果の平均値を算出し、合成繊維塊15及び天然繊維塊13の100cm2当たりの個数とする。
鋭利な刃を用い、合成繊維塊15の中心部を含む切断面を得る。切断面をマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VHX-1000)を用いて100~200倍の倍率で観察して、合成繊維塊15の厚みを測定する。同様に着色された天然繊維塊13の厚みを測定する。
スキンケア剤は、親水性油剤とスキンケア剤を含む混合物からなる表面処理剤として塗工されてもよい。あるいは、親水性油剤が塗工された繊維を用いて不織布を形成した後、当該不織布に、スキンケア剤を含む表面処理剤を塗工してもよい。
親水性油剤は、衛生品用途に使用される一般的な親水化剤であれば特に限定されない。親水性油剤は、一般に、液体である表面処理剤を繊維に安定的に付着させる作用を有する。
また、上記表面処理剤は、スキンケア剤の他、スキンケア効果以外の機能を有するもの(例えば抗菌剤、消臭剤等)等を含んでいてもよい。
上記多価アルコールとしては、例えば1,3-ブチレングリコールが挙げられる。1,3-ブチレングリコールは、保湿性のある液状の水溶性基剤成分で、さらっとした使用感でべたつきが少なく、肌の潤いを保つ。
凹凸構造を有するシート構造10のシート片(測定片)の裏面(表面12aとは反対の面)を、平らなアクリル板に貼り付ける。ゴム印などをスタンプする際に使用する一般的なスタンプ台(例えば、三菱鉛筆(株)社製のユニスタンプ(商品名)、赤色)の上に、アクリル板を貼り付けた測定片を、表面12a側を下にして置く。次に、測定片を、アクリル板の上から、1.2kPaで加圧し、該測定片の表面12aにインクをつける。次に、白紙の上に、インクが付いた測定片の表面12a(インク面)を下にして測定片を置き、アクリル板の上から1.2kPaで加圧し、インクを白紙に転写する。この白紙にインクが転写された部分(接触部)を凸部とし、インクが転写されていない部分(非接触部)を凹部とする。
あるいは、シート構造10では、混合繊維層11の両面に合成繊維層12が配置されていてもよい。
また、シート構造10は、サイドシート5の立体ギャザーに用いられ、合成繊維層12の表面12aが肌当接面を構成してもよい。
表層側に配置されたシート構造を有する吸収性物品であって、前記シート構造は、合成繊維と天然繊維とを含む混合繊維層と、前記混合繊維層の一面側に配置され、前記吸収性物品の前記表層を構成する、繊維成分として合成繊維を主体とする合成繊維層と、を有し、前記混合繊維層は、前記天然繊維が凝集した天然繊維塊を含み、前記合成繊維層は、前記合成繊維が凝集した合成繊維塊を含む、吸収性物品。
<2>
前記混合繊維層と、前記合成繊維層とは、積層構造を有する、<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記合成繊維層は、扁平率が1.2以上の合成繊維を含む、<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4>
前記合成繊維層の前記合成繊維の繊維径は、前記混合繊維層の前記合成繊維の繊維径よりも小さい、<1>から<3>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<5>
前記合成繊維層の前記合成繊維の繊維径は、4μm以上、17μm以下であり、好ましくは8μm以上、15μm以下である、<4>に記載の吸収性物品。
<6>
前記混合繊維層の前記合成繊維の繊維径は、7μm以上、26μm以下、好ましくは10μm以上、22μm以下である、<4>又は<5>に記載の吸収性物品。
<7>
前記合成繊維塊を構成する前記合成繊維の繊維径は、前記天然繊維塊を構成する前記天然繊維の繊維径よりも小さい、<1>から<6>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<8>
前記天然繊維塊を構成する前記天然繊維の繊維径に対する前記合成繊維塊を構成する前記合成繊維の繊維径の比率は、0.05以上0.95以下、好ましくは0.1以上0.8以下である、<7>に記載の吸収性物品。
<9>
前記合成繊維層は、前記合成繊維の表面にスキンケア剤を含む、<1>から<8>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<10>
前記シート構造は、前記合成繊維層の表面に形成された複数の凸部と、前記複数の凸部間に位置する凹部と、を有する、<1>から<9>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<11>
前記凹部は、貫通孔を有する、<10>に記載の吸収性物品。
<12>
前記シート構造が、外装体の少なくとも一部を構成し、前記合成繊維層が前記外装体の最外層の少なくとも一部を構成する、<1>から<11>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<13>
前記シート構造が、肌当接面を含む表面シートの少なくとも一部を構成し、前記合成繊維層が、前記肌当接面の少なくとも一部を構成する、<1>から<11>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<14>
前記混合繊維層は、前記合成繊維を80質量%以上、99.8質量%以下、好ましくは90質量%以上、99.5質量%以下含んでいる、<1>から<13>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<15>
前記混合繊維層の前記合成繊維の繊度は、0.5dtex以上、6.0dtex以下、好ましくは1.0dtex以上、4.5dtex以下である、<1>から<14>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<16>
前記混合繊維層の前記合成繊維の繊維長は、20mm以上、75mm以下、好ましくは35mm以上、70mm以下である、<1>から<15>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<17>
前記合成繊維層は、繊維成分として前記合成繊維を、95質量%以上含んでおり、好ましくは100質量%含んでいる、<1>から<16>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<18>
前記合成繊維層は天然繊維塊を含まない、<1>から<17>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<19>
前記合成繊維層に含まれる前記合成繊維の繊度は、0.2dtex以上、2.5dtex以下であり、好ましくは0.7dtex以上、2.0dtex以下である、<1>から<18>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<20>
前記合成繊維層に含まれる前記合成繊維の繊度は、前記混合繊維層に含まれる前記合成繊維の繊度よりも小さい、<1>から<19>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<21>
前記合成繊維層に含まれる前記合成繊維の繊維長は、20mm以上、75mm以下であり、好ましくは35mm以上、70mm以下である、<1>から<20>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<22>
前記合成繊維層の前記合成繊維塊の一定面積当たりの個数は、前記混合繊維層における前記天然繊維塊の当該一定面積当たりの個数よりも多い、<1>から<21>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<23>
前記合成繊維層における前記合成繊維塊のサイズは、前記混合繊維層における前記天然繊維塊のサイズより小さい、<22>に記載の吸収性物品。
<24>
前記混合繊維層における前記天然繊維塊のサイズに対する前記合成繊維層における前記合成繊維塊のサイズの比率は、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.65以下である、<23>に記載の吸収性物品。
<25>
前記合成繊維層における前記合成繊維塊の厚みは、前記混合繊維層における前記天然繊維塊の厚みよりも大きい、<1>から<24>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<26>
前記混合繊維層における前記天然繊維塊の厚みに対する前記合成繊維層における前記合成繊維塊の厚みの比率は、0.8以下、好ましくは0.5以下である、<25>に記載の吸収性物品。
<27>
前記合成繊維層の厚みは、前記混合繊維層の厚みよりも小さい、<1>から<26>のいずれか一つに記載の吸収性物品。
<28>
前記混合繊維層の厚みに対する前記合成繊維層の厚みの比率は、0.95以下であり、好ましくは0.8以下である、<27>に記載の吸収性物品。
2…表面シート
3…外装体
10…シート構造
11…混合繊維層
12…合成繊維層
13…天然繊維塊
15…合成繊維塊
Claims (10)
- 表層側に配置されたシート構造を有する吸収性物品であって、
前記シート構造は、
合成繊維と天然繊維とを含む混合繊維層と、
前記混合繊維層の一面側に配置され、前記吸収性物品の前記表層を構成する、繊維成分として合成繊維を主体とする合成繊維層と、を有し、
前記混合繊維層は、前記天然繊維が凝集した天然繊維塊を含み、
前記合成繊維層は、前記合成繊維が凝集した合成繊維塊を含む
吸収性物品。 - 前記混合繊維層と、前記合成繊維層とは、積層構造を有する
請求項1に記載の吸収性物品。 - 前記合成繊維層は、扁平率が1.2以上の合成繊維を含む
請求項1又は2に記載の吸収性物品。 - 前記合成繊維層の前記合成繊維の繊維径は、前記混合繊維層の前記合成繊維の繊維径よりも小さい
請求項1から3のいずれか一項に記載の吸収性物品。 - 前記合成繊維塊を構成する前記合成繊維の繊維径は、前記天然繊維塊を構成する前記天然繊維の繊維径よりも小さい
請求項1から4のいずれか一項に記載の吸収性物品。 - 前記合成繊維層は、前記合成繊維の表面にスキンケア剤を含む
請求項1から5のいずれか一項に記載の吸収性物品。 - 前記シート構造は、前記合成繊維層の表面に形成された複数の凸部と、前記複数の凸部間に位置する凹部と、を有する
請求項1から6のいずれか一項に記載の吸収性物品。 - 前記凹部は、貫通孔を有する
請求項7に記載の吸収性物品。 - 前記シート構造が、外装体の少なくとも一部を構成し、
前記合成繊維層が、前記外装体の最外層の少なくとも一部を構成する
請求項1から8のいずれか一項に記載の吸収性物品。 - 前記シート構造が、肌当接面を含む表面シートの少なくとも一部を構成し、
前記合成繊維層が、前記肌当接面の少なくとも一部を構成する
請求項1から8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
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