JP2022034513A - リチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子、リチウムイオン電池用負極及びリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子、リチウムイオン電池用負極及びリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022034513A
JP2022034513A JP2021083855A JP2021083855A JP2022034513A JP 2022034513 A JP2022034513 A JP 2022034513A JP 2021083855 A JP2021083855 A JP 2021083855A JP 2021083855 A JP2021083855 A JP 2021083855A JP 2022034513 A JP2022034513 A JP 2022034513A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
negative electrode
active material
electrode active
group
ion battery
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021083855A
Other languages
English (en)
Inventor
俊明 山口
Toshiaki Yamaguchi
健一 川北
Kenichi Kawakita
和也 南
Kazuya Minami
英明 堀江
Hideaki Horie
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanyo Chemical Industries Ltd
APB Corp
Original Assignee
Sanyo Chemical Industries Ltd
APB Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanyo Chemical Industries Ltd, APB Corp filed Critical Sanyo Chemical Industries Ltd
Priority to US18/021,909 priority Critical patent/US20230317953A1/en
Priority to PCT/JP2021/030234 priority patent/WO2022039201A1/ja
Priority to EP21858345.8A priority patent/EP4203099A1/en
Publication of JP2022034513A publication Critical patent/JP2022034513A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

【課題】電解液と被覆負極活物質粒子との間で起こる副反応を抑制し、リチウムイオン電池の内部抵抗値が上昇することを防止できるリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子を提供する。【解決手段】負極活物質粒子表面の少なくとも一部が被覆層で被覆されたリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子であって、上記被覆層が、高分子化合物と導電助剤とセラミック粒子とを含むリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子。【選択図】 なし

Description

本発明は、リチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子、リチウムイオン電池用負極及びリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子の製造方法に関する。
近年、環境保護のため、二酸化炭素排出量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が鋭意行われている。二次電池としては、高エネルギー密度、高出力密度が達成できるリチウムイオン電池に注目が集まっている。
例えば、特許文献1には、炭素数1~12の1価の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物及びアニオン性単量体を含んでなる単量体組成物の重合体であり、酸価が30~700である重合体を含んでなる活物質被覆用樹脂組成物、及び、上記活物質被覆用樹脂組成物を含んでなる被覆層を活物質の表面の少なくとも一部に有する被覆活物質が開示されている。
特開2017-160294号公報
リチウムイオン電池は、様々な用途に広範に使用されるようになっており、例えば、高温環境下で使用されることもある。
従来の被覆活物質を用いたリチウムイオン電池では、高温環境下で使用される場合に、電解液と被覆活物質との間で副反応が起こり、リチウムイオン電池が劣化(具体的には、内部抵抗値が上昇)することがあるといった課題があり、改善の余地があった。
本発明は、高温環境下で用いたとしても、電解液と被覆負極活物質粒子との間で起こる副反応を抑制し、リチウムイオン電池の内部抵抗値が上昇することを防止できるリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子を提供することを目的とする。本発明はまた、上記リチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子を含むリチウムイオン電池用負極、及び、上記リチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、負極活物質粒子表面に高分子化合物と導電助剤とセラミック粒子を含む被覆層を形成することにより、電解液と被覆負極活物質粒子との間で起こる副反応を抑制することができ、リチウムイオン電池の内部抵抗値が上昇することを防止できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、負極活物質粒子表面の少なくとも一部が被覆層で被覆されたリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子であって、上記被覆層が、高分子化合物と導電助剤とセラミック粒子とを含むリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子;上記リチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子を含むリチウムイオン電池用負極であって、上記リチウムイオン電池用負極に含まれる高分子化合物の重量割合が、上記リチウムイオン電池用負極の重量を基準として1~10重量%であるリチウムイオン電池用負極;上記リチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子と、電解質及び溶媒を含有する電解液とを含む負極活物質層を備えるリチウムイオン電池用負極であって、上記負極活物質層は、上記リチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子の非結着体からなるリチウムイオン電池用負極;負極活物質粒子、高分子化合物、導電助剤、セラミック粒子及び有機溶剤を混合した後に脱溶剤する工程を有するリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子の製造方法である。
本発明によれば、電解液と被覆負極活物質粒子との間で起こる副反応を抑制することができ、リチウムイオン電池の内部抵抗値が上昇することを防止できるリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子を得ることができる。
図1は、各実施例及び比較例で得られたリチウムイオン電池の保存日数と内部抵抗値の関係を示すグラフである。
[リチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子]
本発明のリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子(以下、単に「被覆負極活物質粒子」ともいう)は、負極活物質粒子表面の少なくとも一部が被覆層で被覆された被覆負極活物質粒子であって、上記被覆層が、高分子化合物と導電助剤とセラミック粒子とを含む。
本発明の被覆負極活物質粒子においては、被覆層が、高分子化合物と導電助剤とセラミック粒子とを含むことにより、電解液と被覆負極活物質粒子との間で起こる副反応を抑制することができ、リチウムイオン電池の内部抵抗値が上昇することを防止できる。
負極活物質粒子としては、炭素系材料[黒鉛、難黒鉛化性炭素、アモルファス炭素、樹脂焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)及び炭素繊維等]、珪素系材料[珪素、酸化珪素(SiOx)、珪素-炭素複合体(炭素粒子の表面を珪素及び/又は炭化珪素で被覆したもの、珪素粒子又は酸化珪素粒子の表面を炭素及び/又は炭化珪素で被覆したもの並びに炭化珪素等)及び珪素合金(珪素-アルミニウム合金、珪素-リチウム合金、珪素-ニッケル合金、珪素-鉄合金、珪素-チタン合金、珪素-マンガン合金、珪素-銅合金及び珪素-スズ合金等)等]、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリピロール等)、金属(スズ、アルミニウム、ジルコニウム及びチタン等)、金属酸化物(チタン酸化物及びリチウム・チタン酸化物等)及び金属合金(例えばリチウム-スズ合金、リチウム-アルミニウム合金及びリチウム-アルミニウム-マンガン合金等)等及びこれらと炭素系材料との混合物等が挙げられる。
上記負極活物質粒子のうち、内部にリチウム又はリチウムイオンを含まないものについては、予め負極活物質粒子の一部又は全部にリチウム又はリチウムイオンを含ませるプレドープ処理を施してもよい。
負極活物質粒子の体積平均粒子径は、電池の電気特性の観点から、0.01~100μmであることが好ましく、0.1~60μmであることがより好ましく、2~40μmであることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、体積平均粒子径は、マイクロトラック法(レーザー回折・散乱法)によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(Dv50)を意味する。マイクロトラック法とは、レーザー光を粒子に照射することによって得られる散乱光を利用して粒度分布を求める方法である。なお、体積平均粒子径の測定には、日機装(株)製のマイクロトラック等を用いることができる。
被覆層は、高分子化合物と導電助剤とセラミック粒子とを含む。
高分子化合物としては、例えば、アクリルモノマー(a)を必須構成単量体とする重合体を含む樹脂であることが好ましい。
具体的には、被覆層を構成する高分子化合物は、アクリルモノマー(a)として、アクリル酸(a0)を含む単量体組成物の重合体であることが好ましい。上記単量体組成物において、被覆層の柔軟性の観点から、アクリル酸(a0)の含有量は、単量体全体の重量を基準として90重量%以上、95重量%以下であることが好ましい。
被覆層を構成する高分子化合物は、アクリルモノマー(a)として、アクリル酸(a0)以外のカルボキシル基又は酸無水物基を有するモノマー(a1)を含有してもよい。
アクリル酸(a0)以外のカルボキシル基又は酸無水物基を有するモノマー(a1)としては、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸等の炭素数3~15のモノカルボン酸;(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の炭素数4~24のジカルボン酸;アコニット酸等の炭素数6~24の3価~4価又はそれ以上の価数のポリカルボン酸等が挙げられる。
被覆層を構成する高分子化合物は、アクリルモノマー(a)として、下記一般式(1)で表されるモノマー(a2)を含有してもよい。
CH=C(R)COOR (1)
[式(1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数4~12の直鎖又は炭素数3~36の分岐アルキル基である。]
上記一般式(1)で表されるモノマー(a2)において、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rはメチル基であることが好ましい。
は、炭素数4~12の直鎖若しくは分岐アルキル基、又は、炭素数13~36の分岐アルキル基であることが好ましい。
(a21)Rが炭素数4~12の直鎖又は分岐アルキル基であるエステル化合物
炭素数4~12の直鎖アルキル基としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基が挙げられる。
炭素数4~12の分岐アルキル基としては、1-メチルプロピル基(sec-ブチル基)、2-メチルプロピル基、1,1-ジメチルエチル基(tert-ブチル基)、1-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基(ネオペンチル基)、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-メチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、1-エチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、1,1-ジメチルペンチル基、1,2-ジメチルペンチル基、1,3-ジメチルペンチル基、2,2-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2-エチルペンチル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、4-メチルヘプチル基、5-メチルヘプチル基、6-メチルヘプチル基、1,1-ジメチルヘキシル基、1,2-ジメチルヘキシル基、1,3-ジメチルヘキシル基、1,4-ジメチルヘキシル基、1,5-ジメチルヘキシル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、1-メチルオクチル基、2-メチルオクチル基、3-メチルオクチル基、4-メチルオクチル基、5-メチルオクチル基、6-メチルオクチル基、7-メチルオクチル基、1,1-ジメチルヘプチル基、1,2-ジメチルヘプチル基、1,3-ジメチルヘプチル基、1,4-ジメチルヘプチル基、1,5-ジメチルヘプチル基、1,6-ジメチルヘプチル基、1-エチルヘプチル基、2-エチルヘプチル基、1-メチルノニル基、2-メチルノニル基、3-メチルノニル基、4-メチルノニル基、5-メチルノニル基、6-メチルノニル基、7-メチルノニル基、8-メチルノニル基、1,1-ジメチルオクチル基、1,2-ジメチルオクチル基、1,3-ジメチルオクチル基、1,4-ジメチルオクチル基、1,5-ジメチルオクチル基、1,6-ジメチルオクチル基、1,7-ジメチルオクチル基、1-エチルオクチル基、2-エチルオクチル基、1-メチルデシル基、2-メチルデシル基、3-メチルデシル基、4-メチルデシル基、5-メチルデシル基、6-メチルデシル基、7-メチルデシル基、8-メチルデシル基、9-メチルデシル基、1,1-ジメチルノニル基、1,2-ジメチルノニル基、1,3-ジメチルノニル基、1,4-ジメチルノニル基、1,5-ジメチルノニル基、1,6-ジメチルノニル基、1,7-ジメチルノニル基、1,8-ジメチルノニル基、1-エチルノニル基、2-エチルノニル基、1-メチルウンデシル基、2-メチルウンデシル基、3-メチルウンデシル基、4-メチルウンデシル基、5-メチルウンデシル基、6-メチルウンデシル基、7-メチルウンデシル基、8-メチルウンデシル基、9-メチルウンデシル基、10-メチルウンデシル基、1,1-ジメチルデシル基、1,2-ジメチルデシル基、1,3-ジメチルデシル基、1,4-ジメチルデシル基、1,5-ジメチルデシル基、1,6-ジメチルデシル基、1,7-ジメチルデシル基、1,8-ジメチルデシル基、1,9-ジメチルデシル基、1-エチルデシル基、2-エチルデシル基等が挙げられる。これらの中では、特に、2-エチルヘキシル基が好ましい。
(a22)Rが炭素数13~36の分岐アルキル基であるエステル化合物
炭素数13~36の分岐アルキル基としては、1-アルキルアルキル基[1-メチルドデシル基、1-ブチルエイコシル基、1-ヘキシルオクタデシル基、1-オクチルヘキサデシル基、1-デシルテトラデシル基、1-ウンデシルトリデシル基等]、2-アルキルアルキル基[2-メチルドデシル基、2-ヘキシルオクタデシル基、2-オクチルヘキサデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ウンデシルトリデシル基、2-ドデシルヘキサデシル基、2-トリデシルペンタデシル基、2-デシルオクタデシル基、2-テトラデシルオクタデシル基、2-ヘキサデシルオクタデシル基、2-テトラデシルエイコシル基、2-ヘキサデシルエイコシル基等]、3~34-アルキルアルキル基(3-アルキルアルキル基、4-アルキルアルキル基、5-アルキルアルキル基、32-アルキルアルキル基、33-アルキルアルキル基及び34-アルキルアルキル基等)、並びに、プロピレンオリゴマー(7~11量体)、エチレン/プロピレン(モル比16/1~1/11)オリゴマー、イソブチレンオリゴマー(7~8量体)及びα-オレフィン(炭素数5~20)オリゴマー(4~8量体)等から得られるオキソアルコールから水酸基を除いた残基のような1又はそれ以上の分岐アルキル基を含有する混合アルキル基等が挙げられる。
被覆層を構成する高分子化合物は、アクリルモノマー(a)として、炭素数1~3の1価の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物(a3)を含有してもよい。
エステル化合物(a3)を構成する炭素数1~3の1価の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール及び2-プロパノール等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
被覆層を構成する高分子化合物は、アクリル酸(a0)と、モノマー(a1)、モノマー(a2)及びエステル化合物(a3)のうちの少なくとも1つとを含む単量体組成物の重合体であることが好ましく、アクリル酸(a0)と、モノマー(a1)、エステル化合物(a21)及びエステル化合物(a3)のうちの少なくとも1つとを含む単量体組成物の重合体であることがより好ましく、アクリル酸(a0)と、モノマー(a1)、モノマー(a2)及びエステル化合物(a3)のうちのいずれか1つとを含む単量体組成物の重合体であることがさらに好ましく、アクリル酸(a0)と、モノマー(a1)、エステル化合物(a21)及びエステル化合物(a3)のうちのいずれか1つとを含む単量体組成物の重合体であることが最も好ましい。
被覆層を構成する高分子化合物としては、例えば、モノマー(a1)としてマレイン酸を用いた、アクリル酸及びマレイン酸の共重合体、モノマー(a2)としてメタクリル酸2-エチルヘキシルを用いた、アクリル酸及びメタクリル酸2-エチルヘキシルの共重合体、エステル化合物(a3)としてメタクリル酸メチルを用いた、アクリル酸及びメタクリル酸メチルの共重合体等が挙げられる。
モノマー(a1)、モノマー(a2)及びエステル化合物(a3)の合計含有量は、負極活物質粒子の体積変化抑制等の観点から、単量体全体の重量を基準として2.0~9.9重量%であることが好ましく、2.5~7.0重量%であることがより好ましい。
被覆層を構成する高分子化合物は、アクリルモノマー(a)として、重合性不飽和二重結合とアニオン性基とを有するアニオン性単量体の塩(a4)を含有しないことが好ましい。
重合性不飽和二重結合を有する構造としてはビニル基、アリル基、スチレニル基及び(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
アニオン性基としては、スルホン酸基及びカルボキシル基等が挙げられる。
重合性不飽和二重結合とアニオン性基とを有するアニオン性単量体はこれらの組み合わせにより得られる化合物であり、例えばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸及び(メタ)アクリル酸が挙げられる。
なお、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
アニオン性単量体の塩(a4)を構成するカチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びアンモニウムイオン等が挙げられる。
また、被覆層を構成する高分子化合物は、物性を損なわない範囲で、アクリルモノマー(a)として、アクリル酸(a0)、モノマー(a1)、モノマー(a2)及びエステル化合物(a3)と共重合可能であるラジカル重合性モノマー(a5)を含有してもよい。
ラジカル重合性モノマー(a5)としては、活性水素を含有しないモノマーが好ましく、下記(a51)~(a58)のモノマーを用いることができる。
(a51)炭素数13~20の直鎖脂肪族モノオール、炭素数5~20の脂環式モノオール又は炭素数7~20の芳香脂肪族モノオールと(メタ)アクリル酸から形成されるハイドロカルビル(メタ)アクリレート
上記モノオールとしては、(i)直鎖脂肪族モノオール(トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、アラキジルアルコール等)、(ii)脂環式モノオール(シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘプチルアルコール、シクロオクチルアルコール等)、(iii)芳香脂肪族モノオール(ベンジルアルコール等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(a52)ポリ(n=2~30)オキシアルキレン(炭素数2~4)アルキル(炭素数1~18)エーテル(メタ)アクリレート[メタノールのエチレンオキサイド(以下EOと略記)10モル付加物(メタ)アクリレート、メタノールのプロピレンオキサイド(以下POと略記)10モル付加物(メタ)アクリレート等]
(a53)窒素含有ビニル化合物
(a53-1)アミド基含有ビニル化合物
(i)炭素数3~30の(メタ)アクリルアミド化合物、例えばN,N-ジアルキル(炭素数1~6)又はジアラルキル(炭素数7~15)(メタ)アクリルアミド(N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジベンジルアクリルアミド等)、ジアセトンアクリルアミド
(ii)上記(メタ)アクリルアミド化合物を除く、炭素数4~20のアミド基含有ビニル化合物、例えばN-メチル-N-ビニルアセトアミド、環状アミド[ピロリドン化合物(炭素数6~13、例えば、N-ビニルピロリドン等)]
(a53-2)(メタ)アクリレート化合物
(i)ジアルキル(炭素数1~4)アミノアルキル(炭素数1~4)(メタ)アクリレート[N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート等]
(ii)4級アンモニウム基含有(メタ)アクリレート{3級アミノ基含有(メタ)アクリレート[N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]の4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等}
(a53-3)複素環含有ビニル化合物
ピリジン化合物(炭素数7~14、例えば2-又は4-ビニルピリジン)、イミダゾール化合物(炭素数5~12、例えばN-ビニルイミダゾール)、ピロール化合物(炭素数6~13、例えばN-ビニルピロール)、ピロリドン化合物(炭素数6~13、例えばN-ビニル-2-ピロリドン)
(a53-4)ニトリル基含有ビニル化合物
炭素数3~15のニトリル基含有ビニル化合物、例えば(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアルキル(炭素数1~4)アクリレート
(a53-5)その他の窒素含有ビニル化合物
ニトロ基含有ビニル化合物(炭素数8~16、例えばニトロスチレン)等
(a54)ビニル炭化水素
(a54-1)脂肪族ビニル炭化水素
炭素数2~18又はそれ以上のオレフィン(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン等)、炭素数4~10又はそれ以上のジエン(ブタジエン、イソプレン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン等)等
(a54-2)脂環式ビニル炭化水素
炭素数4~18又はそれ以上の環状不飽和化合物、例えばシクロアルケン(例えばシクロヘキセン)、(ジ)シクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン]、テルペン(例えばピネン及びリモネン)、インデン
(a54-3)芳香族ビニル炭化水素
炭素数8~20又はそれ以上の芳香族不飽和化合物、例えばスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4-ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン
(a55)ビニルエステル
脂肪族ビニルエステル[炭素数4~15、例えば脂肪族カルボン酸(モノ-又はジカルボン酸)のアルケニルエステル(例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメトキシアセテート)]
芳香族ビニルエステル[炭素数9~20、例えば芳香族カルボン酸(モノ-又はジカルボン酸)のアルケニルエステル(例えばビニルベンゾエート、ジアリルフタレート、メチル-4-ビニルベンゾエート)、脂肪族カルボン酸の芳香環含有エステル(例えばアセトキシスチレン)]
(a56)ビニルエーテル
脂肪族ビニルエーテル[炭素数3~15、例えばビニルアルキル(炭素数1~10)エーテル(ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2-エチルヘキシルエーテル等)、ビニルアルコキシ(炭素数1~6)アルキル(炭素数1~4)エーテル(ビニル-2-メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、3,4-ジヒドロ-1,2-ピラン、2-ブトキシ-2’-ビニロキシジエチルエーテル、ビニル-2-エチルメルカプトエチルエーテル等)、ポリ(2~4)(メタ)アリロキシアルカン(炭素数2~6)(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等)]、芳香族ビニルエーテル(炭素数8~20、例えばビニルフェニルエーテル、フェノキシスチレン)
(a57)ビニルケトン
脂肪族ビニルケトン(炭素数4~25、例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン)、芳香族ビニルケトン(炭素数9~21、例えばビニルフェニルケトン)
(a58)不飽和ジカルボン酸ジエステル
炭素数4~34の不飽和ジカルボン酸ジエステル、例えばジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数1~22の、直鎖、分岐鎖又は脂環式の基)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数1~22の、直鎖、分岐鎖又は脂環式の基)
ラジカル重合性モノマー(a5)を含有する場合、その含有量は、単量体全体の重量を基準として0.1~3.0重量%であることが好ましい。
被覆層を構成する高分子化合物の重量平均分子量の好ましい下限は3,000、より好ましい下限は5,000、さらに好ましい下限は7,000である。一方、上記高分子化合物の重量平均分子量の好ましい上限は100,000、より好ましい上限は70,000である。
被覆層を構成する高分子化合物の重量平均分子量は、以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略記)測定により求めることができる。
装置:Alliance GPC V2000(Waters社製)
溶媒:オルトジクロロベンゼン、DMF、THF
標準物質:ポリスチレン
サンプル濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel 10μm、MIXED-B 2本直列(ポリマーラボラトリーズ社製)
カラム温度:135℃
被覆層を構成する高分子化合物は、公知の重合開始剤{アゾ系開始剤[2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)等]、パーオキサイド系開始剤(ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等)等}を使用して公知の重合方法(塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等)により製造することができる。
重合開始剤の使用量は、重量平均分子量を好ましい範囲に調整する等の観点から、モノマーの全重量に基づいて好ましくは0.01~5重量%、より好ましくは0.05~2重量%、さらに好ましくは0.1~1.5重量%であり、重合温度及び重合時間は重合開始剤の種類等に応じて調整されるが、重合温度は好ましくは-5~150℃、(より好ましくは30~120℃)、反応時間は好ましくは0.1~50時間(より好ましくは2~24時間)で行われる。
溶液重合の場合に使用される溶媒としては、例えばエステル(炭素数2~8、例えば酢酸エチル及び酢酸ブチル)、アルコール(炭素数1~8、例えばメタノール、エタノール及びオクタノール)、炭化水素(炭素数4~8、例えばn-ブタン、シクロヘキサン及びトルエン)、アミド(例えばN,N-ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する))及びケトン(炭素数3~9、例えばメチルエチルケトン)が挙げられ、重量平均分子量を好ましい範囲に調整する等の観点から、その使用量はモノマーの合計重量に基づいて好ましくは5~900重量%、より好ましくは10~400重量%、さらに好ましくは30~300重量%であり、モノマー濃度としては、好ましくは10~95重量%、より好ましくは20~90重量%、さらに好ましくは30~80重量%である。
乳化重合及び懸濁重合における分散媒としては、水、アルコール(例えばエタノール)、エステル(例えばプロピオン酸エチル)、軽ナフサ等が挙げられ、乳化剤としては、高級脂肪酸(炭素数10~24)金属塩(例えばオレイン酸ナトリウム及びステアリン酸ナトリウム)、高級アルコール(炭素数10~24)硫酸エステル金属塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム)、エトキシ化テトラメチルデシンジオール、メタクリル酸スルホエチルナトリウム、メタクリル酸ジメチルアミノメチル等が挙げられる。さらに安定剤としてポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等を加えてもよい。
溶液又は分散液のモノマー濃度は好ましくは5~95重量%、より好ましくは10~90重量%、さらに好ましくは15~85重量%であり、重合開始剤の使用量は、モノマーの全重量に基づいて好ましくは0.01~5重量%、より好ましくは0.05~2重量%である。
重合に際しては、公知の連鎖移動剤、例えばメルカプト化合物(ドデシルメルカプタン、n-ブチルメルカプタン等)及び/又はハロゲン化炭化水素(四塩化炭素、四臭化炭素、塩化ベンジル等)を使用することができる。
被覆層を構成する高分子化合物は、該高分子化合物をカルボキシル基と反応する反応性官能基を有する架橋剤(A’){好ましくはポリエポキシ化合物(a’1)[ポリグリシジルエーテル(ビスフェノールAジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル及びグリセリントリグリシジルエーテル等)及びポリグリシジルアミン(N,N-ジグリシジルアニリン及び1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル))等]及び/又はポリオール化合物(a’2)(エチレングリコール等)}で架橋してなる架橋重合体であってもよい。
架橋剤(A’)を用いて被覆層を構成する高分子化合物を架橋する方法としては、負極活物質粒子を、被覆層を構成する高分子化合物で被覆した後に架橋する方法が挙げられる。具体的には、負極活物質粒子と被覆層を構成する高分子化合物を含む樹脂溶液を混合し脱溶剤することにより、被覆活物質粒子を製造した後に、架橋剤(A’)を含む溶液を該被覆活物質粒子に混合して加熱することにより、脱溶剤と架橋反応を生じさせて、被覆層を構成する高分子化合物が架橋剤(A’)によって架橋される反応を負極活物質粒子の表面で起こす方法が挙げられる。
加熱温度は、架橋剤の種類に応じて調整されるが、架橋剤としてポリエポキシ化合物(a’1)を用いる場合は好ましくは70℃以上であり、ポリオール化合物(a’2)を用いる場合は好ましくは120℃以上である。
導電助剤としては、導電性を有する材料から選択されることが好ましい。
導電助剤として好ましいものとしては、金属[アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、金、銅及びチタン等]、カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック及びサーマルランプブラック等)等]、及びこれらの混合物等が挙げられる。
これらの導電助剤は1種単独で用いられてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物として用いられてもよい。
なかでも、電気的安定性の観点から、より好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、金、銅、チタン及びこれらの混合物であり、さらに好ましくは銀、金、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、特に好ましくはカーボンである。
またこれらの導電助剤としては、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料[好ましくは、上記した導電助剤のうち金属のもの]をめっき等でコーティングしたものでもよい。
導電助剤の形状(形態)は、粒子形態に限られず、粒子形態以外の形態であってもよく、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ等、いわゆるフィラー系導電助剤として実用化されている形態であってもよい。
導電助剤の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、電池の電気特性の観点から、0.01~10μm程度であることが好ましい。
本明細書中において、「導電助剤の粒子径」とは、導電助剤の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等の観察手段を用い、数~数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
被覆層を構成する高分子化合物と導電助剤の比率は特に限定されるものではないが、電池の内部抵抗等の観点から、重量比率で被覆層を構成する高分子化合物(樹脂固形分重量):導電助剤が1:0.01~1:50であることが好ましく、1:0.2~1:3.0であることがより好ましい。
セラミック粒子としては、金属炭化物粒子、金属酸化物粒子、ガラスセラミック粒子等が挙げられる。
金属炭化物粒子としては、例えば、炭化ケイ素(SiC)、炭化タングステン(WC)、炭化モリブデン(MoC)、炭化チタン(TiC)、炭化タンタル(TaC)、炭化ニオブ(NbC)、炭化バナジウム(VC)、炭化ジルコニウム(ZrC)等が挙げられる。
金属酸化物粒子としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化スズ(SnO)、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)、酸化インジウム(In)、Li、LiTi12、LiTi、LiTaO、LiNbO、LiAlO、LiZrO、LiWO、LiTiO、LiPO、LiMoO、LiBO、LiBO、LiCO、LiSiOや、ABO(但し、Aは、Ca、Sr、Ba、La、Pr及びYからなる群より選択される少なくとも1種であり、Bは、Ni、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Mo、Ru、Rh、Pd及びReからなる群より選択される少なくとも1種)で表されるペロブスカイト型酸化物粒子等が挙げられる。
金属酸化物粒子としては、電解液と被覆負極活物質粒子との間で起こる副反応を好適に抑制する観点から、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al)、二酸化ケイ素(SiO)、及び、四ほう酸リチウム(Li)が好ましい。
セラミック粒子としては、電解液と被覆負極活物質粒子との間で起こる副反応を好適に抑制する観点から、ガラスセラミック粒子であることが好ましい。
これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ガラスセラミック粒子としては、菱面体晶系を有するリチウム含有リン酸化合物であることが好ましく、その化学式は、LiM”12(X=1~1.7)で表される。
ここでM”はZr、Ti、Fe、Mn、Co、Cr、Ca、Mg、Sr、Y、Sc、Sn、La、Ge、Nb、Alからなる群より選ばれた1種以上の元素である。また、Pの一部をSi又はBに、Oの一部をF、Cl等で置換してもよい。例えば、Li1.15Ti1.85Al0.15Si0.052.9512、Li1.2Ti1.8Al0.1Ge0.1Si0.052.9512等を用いることができる。
また、異なる組成の材料を混合又は複合してもよく、ガラス電解質等で表面をコートしてもよい。又は、熱処理によりNASICON型構造を有するリチウム含有リン酸化合物の結晶相を析出するガラスセラミック粒子を用いることが好ましい。
ガラス電解質としては、特開2019-96478号公報に記載のガラス電解質が挙げられる。
ここで、ガラスセラミック粒子におけるLiOの配合割合は酸化物換算で8質量%以下であることが好ましい。
NASICON型構造でなくとも、Li、La、Mg、Ca、Fe、Co、Cr、Mn、Ti、Zr、Sn、Y、Sc、P、Si、O、In、Nb、Fからなり、LISICON型、ぺロブスカイト型、β-Fe(SO型、LiIn(PO型の結晶構造を、持ち、Liイオンを室温で1×10-5S/cm以上伝導する固体電解質を用いても良い。
上述したセラミック粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
セラミック粒子の体積平均粒子径は、エネルギー密度の観点及び電気抵抗値の観点から、1~1200nmであることが好ましく、1~500nmであることがより好ましく、1~150nmであることがさらに好ましい。
セラミック粒子の重量割合は、被覆負極活物質粒子の重量を基準として0.5~5.0重量%であることが好ましい。
セラミック粒子を上記範囲で含有することにより、電解液と被覆負極活物質粒子との間で起こる副反応を好適に抑制することができる。
セラミック粒子の重量割合は、被覆負極活物質粒子の重量を基準として2.0~4.0重量%であることがより好ましい。
負極活物質粒子は、表面の少なくとも一部が被覆層で被覆されている。
負極活物質粒子は、サイクル特性の観点から、下記計算式で得られる被覆率が30~95%であることが好ましい。
被覆率(%)={1-[被覆負極活物質粒子のBET比表面積/(負極活物質粒子のBET比表面積×被覆負極活物質中に含まれる負極活物質粒子の重量割合+導電助剤のBET比表面積×被覆負極活物質粒子中に含まれる導電助剤の重量割合+セラミック粒子のBET比表面積×被覆負極活物質粒子中に含まれるセラミック粒子の重量割合)]}×100
[リチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子の製造方法]
本発明のリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子の製造方法(以下、単に「被覆負極活物質粒子の製造方法」ともいう)は、負極活物質粒子、高分子化合物、導電助剤、セラミック粒子及び有機溶剤を混合した後に脱溶剤する工程を有する。
有機溶剤としては高分子化合物を溶解可能な有機溶剤であれば特に限定されず、公知の有機溶剤を適宜選択して用いることができる。
被覆負極活物質粒子の製造方法では、まず、負極活物質粒子、被覆層を構成する高分子化合物、導電助剤及びセラミック粒子を有機溶剤中で混合する。
負極活物質粒子、被覆層を構成する高分子化合物、導電助剤及びセラミック粒子を混合する順番は特に限定されず、例えば、事前に混合した被覆層を構成する高分子化合物と導電助剤とセラミック粒子とからなる樹脂組成物を負極活物質粒子とさらに混合してもよいし、負極活物質粒子、被覆層を構成する高分子化合物、導電助剤及びセラミック粒子を同時に混合してもよいし、負極活物質粒子に被覆層を構成する高分子化合物を混合し、さらに導電助剤及びセラミック粒子を混合してもよい。
本発明の被覆負極活物質粒子は、負極活物質粒子を、高分子化合物と導電助剤とセラミック粒子とを含む被覆層で被覆することで得ることができ、例えば、負極活物質粒子を万能混合機に入れて30~500rpmで撹拌した状態で、被覆層を構成する高分子化合物を含む樹脂溶液を1~90分かけて滴下混合し、導電助剤及びセラミック粒子を混合し、撹拌したまま50~200℃に昇温し、0.007~0.04MPaまで減圧した後に10~150分保持して脱溶剤することにより得ることができる。
負極活物質粒子と、被覆層を構成する高分子化合物、導電助剤及びセラミック粒子とを含む樹脂組成物との配合比率は特に限定されるものではないが、重量比率で負極活物質粒子:樹脂組成物=1:0.001~0.1であることが好ましい。
[リチウムイオン電池用負極]
本発明のリチウムイオン電池用負極(以下、単に「負極」ともいう)は、本発明の被覆負極活物質粒子と、電解質及び溶媒を含有する電解液とを含む負極活物質層を備える。
負極活物質層に含まれる被覆負極活物質粒子は、負極活物質粒子の分散性および電極成形性の観点から、負極活物質層の重量を基準として40~95重量%であることが好ましく、60~90重量%であることがより好ましい。
電解質としては、公知の電解液に用いられている電解質が使用でき、例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiClO及びLiN(FSO等の無機アニオンのリチウム塩、LiN(CFSO、LiN(CSO及びLiC(CFSO等の有機アニオンのリチウム塩が挙げられる。これらの内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのはLiN(FSOである。
溶媒としては、公知の電解液に用いられている非水溶媒が使用でき、例えば、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン、スルホラン及びこれらの混合物を用いることができる。
ラクトン化合物としては、5員環(γ-ブチロラクトン及びγ-バレロラクトン等)及び6員環(δ-バレロラクトン等)のラクトン化合物等が挙げられる。
環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート(EC)及びブチレンカーボネート(BC)等が挙げられる。
鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチル-n-プロピルカーボネート、エチル-n-プロピルカーボネート及びジ-n-プロピルカーボネート等が挙げられる。
鎖状カルボン酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及びプロピオン酸メチル等が挙げられる。
環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキソラン及び1,4-ジオキサン等が挙げられる。鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン及び1,2-ジメトキシエタン等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(トリフルオロメチル)、リン酸トリ(トリクロロメチル)、リン酸トリ(トリフルオロエチル)、リン酸トリ(トリパーフルオロエチル)、2-エトキシ-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-オン、2-トリフルオロエトキシ-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-オン及び2-メトキシエトキシ-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-オン等が挙げられる。
ニトリル化合物としては、アセトニトリル等が挙げられる。アミド化合物としては、DMF等が挙げられる。スルホンとしては、ジメチルスルホン及びジエチルスルホン等が挙げられる。
これらの溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
電解液中の電解質の濃度は、1.2~5.0mol/Lであることが好ましく、1.5~4.5mol/Lであることがより好ましく、1.8~4.0mol/Lであることがさらに好ましく、2.0~3.5mol/Lであることが特に好ましい。
このような電解液は、適当な粘性を有するので、被覆負極活物質粒子間に液膜を形成することができ、被覆負極活物質粒子に潤滑効果(被覆活物質粒子の位置調整能力)を付与することができる。
負極活物質層は、上述した被覆負極活物質粒子の被覆層中に必要に応じて含まれる導電助剤とは別に、導電助剤をさらに含んでもよい。被覆層中に必要に応じて含まれる導電助剤が被覆負極活物質粒子と一体であるのに対し、負極活物質層が含む導電助剤は被覆負極活物質粒子と別々に含まれている点で区別できる。
負極活物質層が含んでいてもよい導電助剤としては、[リチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子]で説明したものを用いることができる。
負極活物質層が導電助剤を含む場合、負極中に含まれる導電助剤と被覆層中に含まれる導電助剤の合計含有量は、負極活物質層から電解液を除いた重量を基準として4重量%未満であることが好ましく、3重量%未満であることがより好ましい。一方、負極中に含まれる導電助剤と被覆層中に含まれる導電助剤の合計含有量は、負極活物質層から電解液を除いた重量を基準として2.5重量%以上であることが好ましい。
負極活物質層は、結着剤を含まないことが好ましい。
なお、本明細書において、結着剤とは、負極活物質粒子同士及び負極活物質粒子と集電体とを可逆的に固定することができない薬剤を意味し、デンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、スチレン-ブタジエンゴム、ポリエチレン及びポリプロピレン等の公知の溶剤乾燥型のリチウムイオン電池用結着剤等が挙げられる。
これらの結着剤は、溶剤に溶解又は分散して用いられ、溶剤を揮発、留去することで固体化して、負極活物質粒子同士及び負極活物質粒子と集電体とを不可逆的に固定するものである。
負極活物質層には、粘着性樹脂が含まれていてもよい。粘着性樹脂は、溶媒成分を揮発させて乾燥させても固体化せずに粘着性を有する樹脂を意味し、結着剤とは異なる材料であり、区別される。
また、被覆負極活物質粒子を構成する被覆層が負極活物質粒子の表面に固定されているのに対して、粘着性樹脂は負極活物質粒子の表面同士を可逆的に固定するものである。負極活物質粒子の表面から粘着性樹脂は容易に分離できるが、被覆層は容易に分離できない。従って、上記被覆層と上記粘着性樹脂は異なる材料である。
粘着性樹脂としては、酢酸ビニル、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートからなる群から選択された少なくとも1種の低Tgモノマーを必須構成単量体として含み上記低Tgモノマーの合計重量割合が構成単量体の合計重量に基づいて45重量%以上である重合体が挙げられる。
粘着性樹脂を用いる場合、負極活物質粒子の合計重量に対して0.01~10重量%の粘着性樹脂を用いることが好ましい。
本発明のリチウムイオン電池用負極の第一の態様では、リチウムイオン電池用負極に含まれる高分子化合物の重量割合が、リチウムイオン電池用負極の重量を基準として1~10重量%である。
ここで、「高分子化合物」とは、被覆層を構成する高分子化合物、結着剤及び粘着性樹脂を意味し、本発明のリチウムイオン電池用負極では、被覆層を構成する高分子化合物と粘着性樹脂とを合計した重量割合が、上記「高分子化合物の重量割合」と等しく、結着剤を一切含まない(0重量%)。
本発明のリチウムイオン電池用負極の第二の態様では、負極活物質層が、リチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子の非結着体からなる。
ここで、非結着体とは、負極活物質層中において負極活物質粒子の位置が固定されておらず、負極活物質粒子同士及び負極活物質粒子と集電体とが不可逆的に固定されていないことを意味する。
負極活物質層が非結着体である場合、負極活物質粒子同士は不可逆的に固定されていないため、負極活物質粒子同士の界面で破壊を生じることなく分離することができ、負極活物質層に応力がかかった場合でも負極活物質粒子が移動することで負極活物質層の破壊を防止することができるため好ましい。
非結着体である負極活物質層は、負極活物質粒子、電解液等を含みかつ結着剤を含まない負極活物質層用スラリーを負極活物質層にする等の方法で得ることができる。
負極活物質層の厚みは、電池性能の観点から、150~600μmであることが好ましく、200~550μmであることがより好ましい。
本発明のリチウムイオン電池用負極は、例えば、本発明の被覆負極活物質粒子、電解質及び溶媒を含有する電解液、必要に応じて導電助剤等を含む負極活物質層用スラリーを集電体に塗布した後、乾燥させることによって作製することができる。具体的には、負極活物質層用スラリーを、集電体上にバーコーター等の塗工装置で塗布後、不織布を負極活物質粒子上に静置して吸液すること等で、溶媒を除去し、必要によりプレス機でプレスする方法等が挙げられる。
集電体を構成する材料としては、銅、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル及びこれらの合金等の金属材料、並びに、焼成炭素、導電性高分子材料、導電性ガラス等が挙げられる。
集電体の形状は特に限定されず、上記の材料からなるシート状の集電体、及び、上記の材料で構成された微粒子からなる堆積層であってもよい。
集電体の厚さは、特に限定されないが、50~500μmであることが好ましい。
リチウムイオン電池用負極は、集電体をさらに備え、上記集電体の表面に上記負極活物質層が設けられていることが好ましい。例えば、本発明の負極は、導電性高分子材料からなる樹脂集電体を備え、上記樹脂集電体の表面に上記負極活物質層が設けられていることが好ましい。
樹脂集電体を構成する導電性高分子材料としては例えば、樹脂に導電剤を添加したものを用いることができる。
導電性高分子材料を構成する導電剤としては、被覆層の任意成分である導電助剤と同様のものを好適に用いることができる。
導電性高分子材料を構成する樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン(PCO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらの混合物等が挙げられる。
電気的安定性の観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)及びポリシクロオレフィン(PCO)が好ましく、さらに好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン(PMP)である。
樹脂集電体は、特開2012-150905号公報及び国際公開第2015/005116号等に記載された公知の方法で得ることができる。
[リチウムイオン電池]
本発明の負極を、対極となる電極を組み合わせて、セパレータと共にセル容器に収納し、電解液を注入し、セル容器を密封することでリチウムイオン電池を得ることができる。
また、集電体の一方の面に本発明の負極を形成し、もう一方の面に正極を形成してバイポーラ(双極)型電極を作製し、バイポーラ(双極)型電極をセパレータと積層してセル容器に収納し、電解液を注入し、セル容器を密封することでも得ることができる。
セパレータとしては、ポリエチレン又はポリプロピレン製の多孔性フィルム、多孔性ポリエチレンフィルムと多孔性ポリプロピレンとの積層フィルム、合成繊維(ポリエステル繊維及びアラミド繊維等)又はガラス繊維等からなる不織布、及びそれらの表面にシリカ、アルミナ、チタニア等のセラミック微粒子を付着させたもの等の公知のリチウムイオン電池用のセパレータが挙げられる。
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り部は重量部、%は重量%を意味する。
<被覆用高分子化合物の作製>
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素ガス導入管を付した4つ口フラスコにDMF150部を仕込み、75℃に昇温した。次いで、アクリル酸91部、メタクリル酸メチル9部及びDMF50部を配合した単量体組成物と、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.3部及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.8部をDMF30部に溶解した開始剤溶液とを4つ口フラスコ内に窒素を吹き込みながら、撹拌下、滴下ロートで2時間かけて連続的に滴下してラジカル重合を行った。滴下終了後、75℃で反応を3時間継続した。次いで、80℃に昇温して反応を3時間継続し、樹脂濃度30%の共重合体溶液を得た。得られた共重合体溶液はテフロン(登録商標)製のバットに移して150℃、0.01MPaで3時間の減圧乾燥を行い、DMFを留去して共重合体を得た。この共重合体をハンマーで粗粉砕した後、乳鉢にて追加粉砕して、粉末状の被覆用高分子化合物を得た。
<電解液の作製>
エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合溶媒(体積比率1:1)にLiN(FSOを2.0mol/Lの割合で溶解させて電解液を作製した。
<実施例1>
[被覆負極活物質粒子Aの作製]
被覆用高分子化合物1部をDMF3部に溶解し、被覆用高分子化合物溶液を得た。
負極活物質粒子(ハードカーボン粉末、体積平均粒子径25μm)76部を万能混合機ハイスピードミキサーFS25[(株)アーステクニカ製]に入れ、室温、720rpmで撹拌した状態で、被覆用高分子化合物溶液9部を2分かけて滴下し、さらに5分撹拌した。
次いで、撹拌した状態で導電助剤であるアセチレンブラック[デンカ(株)製 デンカブラック(登録商標)]9部、カーボンナノファイバー[帝人(株)製]2部 及びガラスセラミック粒子(商品名「リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスLICGCTMPW-01(1μm)」[株式会社オハラ製]、体積平均粒子径1000nm)4部を分割しながら2分間で投入し、30分撹拌を継続した。
その後、撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を140℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去した。
得られた粉体を目開き200μmの篩いで分級し、被覆負極活物質粒子Aを得た。
[樹脂集電体の作製]
2軸押出機にて、ポリプロピレン[商品名「サンアロマーPL500A」、サンアロマー(株)製]70部、カーボンナノチューブ[商品名:「FloTube9000」、CNano社製]25部及び分散剤[商品名「ユーメックス1001」、三洋化成工業(株)製]5部を200℃、200rpmの条件で溶融混練して樹脂混合物を得た。
得られた樹脂混合物を、Tダイ押出しフィルム成形機に通して、それを延伸圧延することで、膜厚100μmの樹脂集電体用導電性フィルムを得た。次いで、得られた樹脂集電体用導電性フィルムを17.0cm×17.0cmとなるように切断し、片面にニッケル蒸着を施した後、電流取り出し用の端子(5mm×3cm)を接続した樹脂集電体を得た。
[リチウムイオン電池用負極の作製]
電解液42部と炭素繊維[大阪ガスケミカル(株)製 ドナカーボ・ミルド S-243:平均繊維長500μm、平均繊維径13μm:電気伝導度200mS/cm]4.2部とを遊星撹拌型混合混練装置{あわとり練太郎[(株)シンキー製]}を用いて2000rpmで5分間混合し、続いて上記電解液30部と上記の被覆負極活物質粒子A206部を追加した後、更にあわとり練太郎で2000rpmで2分間混合し、上記電解液20部を更に追加した後、あわとり練太郎による撹拌を2000rpmで1分間行い、更に上記電解液を2.3部更に追加した後あわとり練太郎による撹拌を2000rpmで2分間混合して、負極活物質層用スラリーを作製した。得られた負極活物質層用スラリーを目付量が80mg/cmとなるよう、上記樹脂集電体の片面に塗布し、1.4MPaの圧力で約10秒プレスし、厚さが340μmの実施例1に係るリチウムイオン電池用負極(16.2cm×16.2cm)を作製した。
[リチウムイオン電池の作製]
得られた負極を、セパレータ(セルガード製#3501)を介し、対極Li金属と組み合わせ、ラミネートセルを作製した。
<実施例2>
[被覆負極活物質粒子Bの作製]
ガラスセラミック粒子を、四ほう酸リチウム(商品名「四ほう酸リチウム、無水」、[富士フイルム和光純薬(株)製]、体積平均粒子径35.5nm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして被覆負極活物質粒子Bを得た。
[リチウムイオン電池の作製]
被覆負極活物質粒子Aを被覆負極活物質粒子Bに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池用負極を作製し、リチウムイオン電池を得た。
<実施例3>
[被覆負極活物質粒子Cの作製]
ガラスセラミック粒子を、酸化亜鉛(品目「ZnO」、[関東化学(株)製]、体積平均粒子径65.4nm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして被覆負極活物質粒子Cを得た。
[リチウムイオン電池の作製]
被覆負極活物質粒子Aを被覆負極活物質粒子Cに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池用負極を作製し、リチウムイオン電池を得た。
<実施例4>
[被覆負極活物質粒子Dの作製]
ガラスセラミック粒子を、酸化アルミニウム(品目「Al」、[関東化学(株)製]、体積平均粒子径35.0nm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして被覆負極活物質粒子Dを得た。
[リチウムイオン電池の作製]
被覆負極活物質粒子Aを被覆負極活物質粒子Dに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池用負極を作製し、リチウムイオン電池を得た。
<実施例5>
[被覆負極活物質粒子Eの作製]
ガラスセラミック粒子を、二酸化ケイ素1(品目「SiO」、[関東化学(株)製]、体積平均粒子径51.2nm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして被覆負極活物質粒子Eを得た。
[リチウムイオン電池の作製]
被覆負極活物質粒子Aを被覆負極活物質粒子Eに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池用負極を作製し、リチウムイオン電池を得た。
<実施例6>
[被覆負極活物質粒子Fの作製]
ガラスセラミック粒子を、二酸化ケイ素2(商品名「アエロジル300」、[東新化成(株)製]、体積平均粒子径7.0nm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして被覆負極活物質粒子Fを得た。
[リチウムイオン電池の作製]
被覆負極活物質粒子Aを被覆負極活物質粒子Fに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池用負極を作製し、リチウムイオン電池を得た。
<比較例1>
[被覆負極活物質粒子Gの作製]
ガラスセラミック粒子を加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして被覆負極活物質粒子Gを得た。
[リチウムイオン電池の作製]
被覆負極活物質粒子Aを被覆負極活物質粒子Gに変更したこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン電池用負極を作製し、リチウムイオン電池を得た。
実施例及び比較例で用いたセラミック粒子の種類、体積平均粒子径及び被覆負極活物質粒子の重量を基準とした添加量と、リチウムイオン電池用負極における被覆樹脂の重量割合を表1に示す。
なお、体積平均粒子径は、本明細書に記載の方法で測定した。
Figure 2022034513000001
<内部抵抗値の測定>
各実施例及び比較例で得られたリチウムイオン電池を、25℃で充放電測定装置「バッテリーアナライザー1470型」[東陽テクニカ(株)製]を用いて、0.05Cの定電流で電圧4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧の状態で0.01Cの電流値になるまで充電を行った。10分間の休止後、0.01Cの定電流で電圧2.5Vまで放電し、0.05Cの定電流で電圧4.2Vまで充電を行った。次いで、充電を行ったリチウムイオン電池を60℃環境下で保存した。
インピーダンス測定装置(日置電機(株)製、ケミカルインピータンスアナライザ IM3590)を使用し、0日後(フル充電直後)、7日間保存後及び14日間保存後の周波数1000Hzにおける内部抵抗値を測定した。
その結果を、表2及び図1に示す。
Figure 2022034513000002
表2及び図1より、実施例では、14日後であってもリチウムイオン電池の内部抵抗値の上昇を防止できることが確認された。
本発明の被覆負極活物質粒子は、特に、携帯電話、パーソナルコンピューター、ハイブリッド自動車及び電気自動車用に用いられるリチウムイオン電池用等の負極活物質として有用である。

Claims (6)

  1. 負極活物質粒子表面の少なくとも一部が被覆層で被覆されたリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子であって、
    前記被覆層が、高分子化合物と導電助剤とセラミック粒子とを含むリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子。
  2. 前記セラミック粒子の体積平均粒子径が、1~1200nmである請求項1に記載のリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子。
  3. 前記セラミック粒子の重量割合が、前記被覆負極活物質粒子の重量を基準として0.5~5.0重量%である請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子と、電解質及び溶媒を含有する電解液とを含む負極活物質層を備えるリチウムイオン電池用負極であって、
    前記リチウムイオン電池用負極に含まれる高分子化合物の重量割合が、前記リチウムイオン電池用負極の重量を基準として1~10重量%であるリチウムイオン電池用負極。
  5. 請求項1~3のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子と、電解質及び溶媒を含有する電解液とを含む負極活物質層を備えるリチウムイオン電池用負極であって、
    前記負極活物質層は、前記リチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子の非結着体からなるリチウムイオン電池用負極。
  6. 負極活物質粒子、高分子化合物、導電助剤、セラミック粒子及び有機溶剤を混合した後に脱溶剤する工程を有する請求項1~3のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子の製造方法。
JP2021083855A 2020-08-18 2021-05-18 リチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子、リチウムイオン電池用負極及びリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子の製造方法 Pending JP2022034513A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US18/021,909 US20230317953A1 (en) 2020-08-18 2021-08-18 Coated negative electrode active material particles for lithium ion batteries, negative electrode for lithium ion batteries, lithium ion battery, and method for producing coated negative electrode active material particles for lithium ion batteries
PCT/JP2021/030234 WO2022039201A1 (ja) 2020-08-18 2021-08-18 リチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子、リチウムイオン電池用負極、リチウムイオン電池、及び、リチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子の製造方法
EP21858345.8A EP4203099A1 (en) 2020-08-18 2021-08-18 Coated negative electrode active material particles for lithium ion batteries, negative electrode for lithium ion batteries, lithium ion battery, and method for producing coated negative electrode active material particles for lithium ion batteries

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020138091 2020-08-18
JP2020138091 2020-08-18

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022034513A true JP2022034513A (ja) 2022-03-03

Family

ID=80442181

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021083855A Pending JP2022034513A (ja) 2020-08-18 2021-05-18 リチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子、リチウムイオン電池用負極及びリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022034513A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6998194B2 (ja) リチウムイオン電池用負極及びリチウムイオン電池用負極の製造方法
JP5088336B2 (ja) 固体電解質、リチウムイオン二次電池及び固体電解質の製造方法。
JP7046732B2 (ja) リチウムイオン電池用被覆活物質及びリチウムイオン電池用負極
WO2018194164A1 (ja) リチウムイオン電極用粘着剤、リチウムイオン電池用電極及びリチウムイオン電池用電極の製造方法
JP7143069B2 (ja) リチウムイオン電池用負極及びリチウムイオン電池
WO2022039201A1 (ja) リチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子、リチウムイオン電池用負極、リチウムイオン電池、及び、リチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子の製造方法
JP7297529B2 (ja) リチウムイオン電池用被覆負極活物質、リチウムイオン電池用負極スラリー、リチウムイオン電池用負極、及び、リチウムイオン電池
WO2022225064A1 (ja) リチウムイオン電池用電極組成物の製造方法及びリチウムイオン電池用電極の製造方法
JP2021150281A (ja) リチウムイオン電池用被覆正極活物質粒子、リチウムイオン電池用正極及びリチウムイオン電池用被覆正極活物質粒子の製造方法
WO2023157927A1 (ja) リチウムイオン電池用正極組成物
JP2023013685A (ja) リチウムイオン電池用被覆正極活物質粒子、リチウムイオン電池用正極及びリチウムイオン電池用被覆正極活物質粒子の製造方法
WO2022250144A1 (ja) 組電池
JP7097271B2 (ja) リチウムイオン電池用被覆正極活物質、リチウムイオン電池用正極スラリー、リチウムイオン電池用正極、及び、リチウムイオン電池
JP2022034513A (ja) リチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子、リチウムイオン電池用負極及びリチウムイオン電池用被覆負極活物質粒子の製造方法
JP7297528B2 (ja) リチウムイオン電池用電極及びリチウムイオン電池
WO2022270488A1 (ja) リチウムイオン電池用電極組成物の製造方法
JP2022016033A (ja) リチウムイオン電池用被覆正極活物質及びリチウムイオン電池
JP2022182076A (ja) リチウムイオン電池用被覆電極活物質粒子、リチウムイオン電池用電極、リチウムイオン電池、及び、リチウムイオン電池用被覆電極活物質粒子の製造方法
JP6845733B2 (ja) リチウムイオン電池用電極の製造方法
WO2022210741A1 (ja) リチウムイオン電池の製造方法
WO2023191032A1 (ja) リチウムイオン電池用電極及びリチウムイオン電池
JP2023158439A (ja) リチウムイオン電池用電極組成物
WO2022259997A1 (ja) リチウムイオン電池用被覆電極活物質粒子、リチウムイオン電池用電極及びリチウムイオン電池用被覆電極活物質粒子の製造方法
JP2022152672A (ja) リチウムイオン電池の製造方法
JP2022152671A (ja) リチウムイオン電池の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240419