JP2022031628A - ガスバリア樹脂組成物、単層フィルム、多層フィルム、蒸着フィルム及び多層構造体 - Google Patents

ガスバリア樹脂組成物、単層フィルム、多層フィルム、蒸着フィルム及び多層構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】バイオマス由来の原料を用いていながら、化石燃料由来のものと遜色のない高いガスバリア性、並びに十分なロングラン性及び耐破断性を有するガスバリア樹脂組成物、並びにこのガスバリア樹脂組成物を用いた単層フィルム、多層フィルム、蒸着フィルム及び多層構造体の提供。【解決手段】一種又は二種以上のエチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物及び無機粒子(C)を含み、上記一種又は二種以上のエチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物の原料であるエチレン及びビニルエステルの一部がバイオマス由来であり、残部が化石燃料由来であり、無機粒子(C)の含有量が50ppm以上5000ppm以下である、ガスバリア樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ガスバリア樹脂組成物、単層フィルム、多層フィルム、蒸着フィルム及び多層構造体に関する。
酸素等のガスを遮断する性能(ガスバリア性)に優れた樹脂を用いたガスバリア材は、容器、フィルム、シート、パイプ等の各種用途に幅広く使用されている。ガスバリア性に優れた樹脂としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、アクリロニトリル共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物等が知られている。例えば特許文献1には、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、フッ素含有樹脂及びシリコーン樹脂から選ばれる少なくとも一種のガスバリア性樹脂層を有する多層プラスチック容器の発明が記載されている。
一方、近年、循環型社会を目指し、カーボンニュートラルなバイオマス等のバイオマス由来の原料を用いたバイオプラスチックの需要が高まっている。しかし、バイオマス由来の合成樹脂は、化石燃料由来の合成樹脂と比べて性能が劣る場合があることが知られている。例えば特許文献2には、従来のバイオマス由来のポリオレフィン等のフィルム材は密着性、加工性、耐久性等の品質が十分ではなかったとされ、このような点を改善するための、バイオマス由来の樹脂を含む特定の組成のバイオマス由来樹脂層を備える樹脂フィルムの発明が記載されている。また、特許文献3には、石油由来の樹脂をバイオマス由来の樹脂に置き換えたフィルムは耐衝撃性等が低下する場合があるとされ、このような点を改善するための、バイオマス由来のバイオマスポリエチレンと、化石燃料由来のポリエチレンと、プロピレン系ブロック共重合体樹脂とを含有する中間層を有する積層フィルムの発明が記載されている。
特開2007-137506号公報 国際公開第2014/065380号 国際公開第2018/163835号
ガスバリア材の用途においても、バイオマス由来の原料を用いて合成されたガスバリア樹脂の製品化が期待される。しかし、上述のようにバイオマス由来の合成樹脂は、化石燃料由来の合成樹脂と比べて性能が劣る場合があることから、従来の化石燃料由来のガスバリア樹脂をバイオマス由来のガスバリア樹脂に置き換えた場合、最も重要なガスバリア性が低下することが懸念される。このため、化石燃料由来の樹脂と遜色のない優れたガスバリア性を有するバイオマス由来の樹脂の開発が望まれている。
また、ガスバリア樹脂は、溶融成形によって容器、シート等の各種形状に成形されることがある。このため、ガスバリア樹脂には、長時間に渡る溶融成形を行い続けても、欠陥等が発生し難いといったロングラン性(長時間運転特性)も重要である。さらに、得られた成形体がフィルムである場合には、印刷、ラミネーション、製袋等の工程を経てパウチ等の最終製品を製造することがある。このためガスバリア樹脂から得られたフィルムが前述の工程通過中に破断しないような耐破断性も重要である。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、バイオマス由来の原料を用いていながら、化石燃料由来のものと遜色のない高いガスバリア性、並びに十分なロングラン性及び耐破断性を有するガスバリア樹脂組成物、並びにこのガスバリア樹脂組成物を用いた単層フィルム、多層フィルム、蒸着フィルム及び多層構造体を提供することである。
本発明者は、ガスバリア樹脂の一種であるエチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物においては、バイオマス由来の原料をモノマーとして用いて合成したものが、化石燃料由来の原料をモノマーとして用いて合成された同一構造の従来のものと遜色ない高いガスバリア性を有することを知見した。一方、ロングラン性に関しては、バイオマス由来の原料をモノマーとして用いて合成したエチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物は、化石燃料由来の原料をモノマーとして用いて合成したものと比べて劣るという、ガスバリア性とは異なる傾向にあることもわかった。このようなことから、本発明者らは、バイオマス由来の原料と化石燃料由来の原料とが併用されたエチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物であれば、環境負荷を低減させながら、化石燃料由来の原料のみを用いたものと同じような高いガスバリア性を発揮でき、かつ十分なロングラン性も兼ね備えるものとなることを見いだし、本発明の完成に至った。
すなわち本発明は、
[1]一種又は二種以上のエチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物及び無機粒子(C)を含み、上記一種又は二種以上のエチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物の原料であるエチレン及びビニルエステルの一部がバイオマス由来であり、残部が化石燃料由来であり、無機粒子(C)の含有量が50ppm以上5000ppm以下である、ガスバリア樹脂組成物;
[2]上記一種又は二種以上のエチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物が、原料であるエチレン及びビニルエステルの少なくとも一部がバイオマス由来であるエチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物(A)と、化石燃料由来であるエチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物(B)とを含む、[1]のガスバリア樹脂組成物;
[3]上記エチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物(A)と上記エチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物(B)との質量比(A/B)が1/99~99/1である、[2]のガスバリア樹脂組成物;
[4]上記一種又は二種以上のエチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物が、原料であるエチレン及びビニルエステルの一部がバイオマス由来であり、残部が化石燃料由来であるエチレン-ビニルアルコール共重合体(A’)を含む、[1]のガスバリア樹脂組成物;
[5]上記一種又は二種以上のエチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物のバイオベース度が1%以上99%以下である、[1]~[4]のいずれかのガスバリア樹脂組成物;
[6]バイオベース度が1%以上99%以下である、[1]~[5]のいずれかのガスバリア樹脂組成物;
[7]硫黄化合物を硫黄原子換算で0ppmを超えて100ppm以下含む、[1]~[6]のいずれかのガスバリア樹脂組成物;
[8]上記硫黄化合物が、ジメチルスルフィドまたはジメチルスルホキシドである、[7]のガスバリア樹脂組成物;
[9]上記原料のうちのエチレンの少なくとも一部がバイオマス由来である、[1]~[8]のいずれかのガスバリア樹脂組成物;
[10]上記原料のうちのビニルエステルの少なくとも一部がバイオマス由来である、[1]~[9]のいずれかのガスバリア樹脂組成物;
[11][1]~[10]のいずれかのガスバリア樹脂組成物から形成される、単層フィルム;
[12]延伸フィルムである、[11]の単層フィルム;
[13][1]~[10]のいずれかガスバリア樹脂組成物から形成される層を少なくとも1層備える、多層フィルム;
[14][11]若しくは[12]の単層フィルム、または上記ガスバリア樹脂組成物から形成される層の少なくとも1層を最外層として備える[13]の多層フィルムと、上記単層フィルムまたは上記多層フィルムにおける上記ガスバリア樹脂組成物から形成される層の表出面に積層される少なくとも1層の無機蒸着層とを備える、蒸着フィルム;
[15][14]の蒸着フィルムと、上記蒸着フィルムにおける上記無機蒸着層上に積層される他の層とを備える、多層構造体;
を提供することにより達成される。
本発明によれば、バイオマス由来の原料を用いていながら、化石燃料由来のものと遜色のない高いガスバリア性、及び十分なロングラン性及び耐破断性を有するガスバリア樹脂組成物、並びにこのガスバリア樹脂組成物を用いた単層フィルム、多層フィルム、蒸着フィルム及び多層構造体を提供できる。
<ガスバリア樹脂組成物>
本発明のガスバリア樹脂組成物は、一種又は二種以上のエチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物(エチレン-ビニルアルコール共重合体;以下、「EVOH」ともいう。)及び無機粒子(C)を含み、上記一種又は二種以上のEVOHの原料(原料モノマー)であるエチレン及びビニルエステルの一部がバイオマス由来であり、上記原料(原料モノマー)であるエチレン及びビニルエステルの残部が化石燃料由来である、ガスバリア樹脂組成物である。当該ガスバリア樹脂組成物は、バイオマス由来の原料が一部に用いられていることで、環境負荷が低い。また、当該ガスバリア樹脂組成物は、ガスバリア樹脂としてEVOHを選択して用いており、EVOHはバイオマス由来の原料を用いて合成された場合であっても、化石燃料由来の原料のみから合成された同一構造のEVOHと同等の高いガスバリア性を発揮できる。なお、同一構造のEVOHとは、重合度、各構造単位の含有比率、変性の有無、ケン化度等が同じであるEVOHをいう。さらに、当該ガスバリア樹脂組成物においては、EVOHに化石燃料由来の原料も併用されていることで、ロングラン性も十分なものとなる。なお、本発明がこのような効果を奏する理由は定かではないが、バイオマス由来の原料を用いてEVOHを合成した場合、ガスバリア性には影響を与えないもののロングラン性には影響を与える微量且つ不可避的な不純物が生成又は混入することなどが推測される。また、当該ガスバリア樹脂組成物は、無機粒子(C)を含むことで、耐破断性を高められる傾向となる。
ここで、本明細書におけるロングラン性とは、実施例に記載の方法で評価することができ、ガスバリア樹脂組成物を長時間連続成膜し、得られたフィルムを延伸した際の破断の度合い、並びに得られたフィルムに蒸着を行った際の蒸着欠点及び密着強度の度合いによって総合的に評価できる。
原料として用いられたエチレン及びビニルエステルがバイオマス由来と化石燃料由来の双方を含むことは、バイオベース度の測定により確認することができる。バイオベース度とは、バイオマス由来原料の割合を表す指標であり、本明細書においては、加速器質量分析器(AMS)による放射性炭素(14C)の濃度測定により求められるバイオベース炭素含有率である。バイオベース度は、具体的にはASTM D6866-18に記載の方法に沿って測定することができる。すなわち、通常、EVOHのバイオベース度が0%超100%未満である場合、原料として用いられたエチレン及びビニルエステルがバイオマス由来と化石燃料由来の双方を含むといえる。
「バイオマス」とは、動植物に由来する有機物である資源であって、化石燃料(化石資源)を除いたものをいう。バイオマスは、植物に由来する有機物である資源であってよい。
本発明のガスバリア樹脂組成物は、放射性炭素(14C)の濃度を利用して自社製品を追跡することも可能である。生物はその活動中に、大気中の放射性炭素(14C)を取り込み一定量含有するが、活動を停止すると新しい14Cの取り込みが止まり、全炭素に対する14Cの比が低下する。また、植物が炭素を固定する際に同位体選別と呼ばれる現象が生じ、植物の種毎に全炭素に対する14Cの比が異なることが知られている。全炭素に対する14Cの比は、産地、年代によっても異なることが知られており、原料とするバイオマスにより、異なる全炭素に対する14Cの比の原料を得ることができる。化石燃料由来の原料には14Cが殆ど残っていないため、例えば、バイオマス由来と化石燃料由来の原料の比を変化させることにより、特定の全炭素に対する14Cの比のEVOHを得ることが可能となり、この全炭素に対する14Cの比を調べることにより、自社製EVOH(ガスバリア樹脂組成物)の追跡が可能となる。
EVOHは幅広い用途で使用されており、高品質の製品を市場へ供給することはサプライヤーの責務である。また、ブランディングのために自社製品と他社製品を識別する方法が求められている。例えば、市販の包装容器のガスバリア層に用いられているEVOHは、熱成形により包装容器に成形されるが、熱成形時に受ける熱履歴によりエチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物は溶媒に不溶なゲルを形成することがある。そのため、包装容器を回収し、使用されているEVOHを溶媒で抽出して、その分子量を測定しようとしても、分子量を正確に測定することが困難な場合が多い。そのため、成形体を分析しただけでは自社のEVOHであるか否かを判別することができない。熱成形容器以外の成形体等においても同様のことが懸念される。
EVOHは、多くの流通経路を経て、食品、医薬品、工業薬品、農薬等の包装材料として、フィルム、シート、容器等に利用されている。また、そのバリア性、保温性、耐汚染性等を活かして、自動車等車両の燃料タンク、タイヤ用チューブ材、農業用フィルム、ジオメンブレン、靴用クッション材等の用途にも使用されている。これらのEVOHが使用された材料がさらに廃棄された場合、かかる樹脂やその使用後の包装容器がどの工場、どの製造ラインから製造されたかの判別が困難である。また、使用時あるいは使用後の自社製品の品質調査や廃棄後の環境への影響や地中への分解性などの追跡も困難である。
自社製品の追跡方法の一つとして、例えば、EVOHにトレーサー物質を添加する方法が考えられる。しかしながら、トレーサーの添加はコスト上昇やEVOHの性能低下を起こす場合がある。このような背景において、放射性炭素(14C)の濃度を利用して自社製品を追跡することができることは、非常に有用な効果であると言える。
本発明のガスバリア樹脂組成物は、気体の透過を抑制する機能を有する樹脂組成物である。20℃-65%RH条件下で、JIS K 7126-2(等圧法;2006年)に記載の方法に準じて測定した本発明のガスバリア樹脂組成物の酸素透過速度の上限は、100mL・20μm/(m・day・atm)が好ましく、50mL・20μm/(m・day・atm)がより好ましく、10mL・20μm/(m・day・atm)、1mL・20μm/(m・day・atm)、又は0.5mL・20μm/(m・day・atm)がさらに好ましい。
(EVOH)
本発明のガスバリア樹脂組成物に含まれる一種又は二種以上のEVOHの形態としては、以下の(I)及び(II)の形態が挙げられる。
(I)原料であるエチレン及びビニルエステルの少なくとも一部がバイオマス由来であるEVOH(A)と、化石燃料由来であるEVOH(B)とを含む形態
(II)原料であるエチレン及びビニルエステルの一部がバイオマス由来であり、残部が化石燃料由来であるEVOH(A’)を含む形態
一種又は二種以上のEVOHは、エチレン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステル単位の一部がバイオマス由来であり、残部が化石燃料由来であるものであってよい。すなわち、EVOH(A)は、エチレン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステル単位の少なくとも一部がバイオマス由来のEVOHであってよい。EVOH(B)は、エチレン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステル単位の全てが化石燃料由来のEVOHであってよい。EVOH(A’)は、エチレン単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステル単位の一部がバイオマス由来であり、残部が化石燃料由来のEVOHであってよい。
(EVOH(A))
EVOH(A)は、原料モノマーであるエチレン及びビニルエステルの少なくとも一部がバイオマス由来であるEVOHである。EVOH(A)がバイオマス由来の原料を含むことで、本発明のガスバリア樹脂組成物のバイオベース度を高め、環境負荷を低減できる。
EVOH(A)は、少なくとも一部がバイオマス由来であるエチレン及びビニルエステルの共重合体のケン化により得られる。EVOH(A)の前駆体となるエチレン-ビニルエステル共重合体の製造及びケン化は、従来の化石燃料由来のエチレン-ビニルエステル共重合体の製造及びケン化と同様の公知の方法により行うことができる。ビニルエステルとしては、例えば酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステルを用いることができ、酢酸ビニルが好ましい。
バイオマス由来のエチレンは、例えばバイオマス原料からバイオエタノールを精製し、脱水反応を行うなど、公知の方法で製造することができる。バイオマス原料としては、廃棄物系、未利用系、資源作物系等を用いることができ、例えば、セルロース系作物(パルプ、ケナフ、麦わら、稲わら、古紙、製紙残渣など)、木材、木炭、堆肥、天然ゴム、綿花、サトウキビ、おから、油脂(菜種油、綿実油、大豆油、ココナッツ油、ヒマシ油など)、炭水化物系作物(トウモロコシ、イモ類、小麦、米、籾殻、米ぬか、古米、キャッサバ、サゴヤシなど)、バガス、そば、大豆、精油(松根油、オレンジ油、ユーカリ油など)、パルプ黒液、植物油カスなどを用いることができる。
バイオエタノールを製造する方法は特に限定されず、例えば、バイオマス原料を必要に応じて前処理(加圧熱水処理、酸処理、アルカリ処理、糖化酵素を用いた糖化処理)した上で、酵母発酵させバイオエタノールを製造した後、蒸留工程及び脱水工程を経てバイオエタノールを精製することができる。バイオエタノール製造の際に、糖化処理を行う場合、糖化と発酵を段階的に行う逐次糖化発酵を用いてもよいし、糖化と発酵を同時に行う並行糖化発酵を用いてもよいが、製造効率の観点から並行糖化発酵にてバイオエタノールを製造することが好ましい。
市販のバイオマス由来のエチレンを使用してもよく、例えばBraskem S.A.製のサトウキビ由来バイオエチレン等を使用できる。
バイオマス由来のビニルエステルとしては、バイオマス由来のエチレンを用いて製造したビニルエステルが挙げられる。バイオマス由来のビニルエステルの製造方法としては、例えば一般的な工業製法であるパラジウム触媒を用いてエチレンと酢酸と酸素分子とを反応させる方法等が挙げられる。また、バイオマス由来のビニルエステルは、バイオマス由来のカルボン酸を用いて製造されたビニルエステルであってもよい。EVOH(A)のケン化度が100モル%では無い場合、バイオマス由来のアシル基が残存することとなる。
EVOH(A)のエチレン単位含有量の下限は20モル%が好ましく、23モル%がより好ましく、25モル%がさらに好ましい。EVOH(A)のエチレン単位含有量が20モル%以上であると、ロングラン性が高まる傾向となる。EVOH(A)のエチレン単位含有量の上限は60モル%が好ましく、55モル%がより好ましく、50モル%がさらに好ましい。EVOH(A)のエチレン単位含有量が60モル%以下であると、ガスバリア性がより良好となる傾向となる。EVOHのエチレン単位含有量は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。
EVOH(A)のケン化度の下限は90モル%が好ましく、95モル%がより好ましく、99モル%がさらに好ましい。EVOH(A)のケン化度が90モル%以上であると、本発明のガスバリア樹脂組成物におけるガスバリア性及びロングラン性がより良好となる傾向がある。また、EVOH(A)のケン化度の上限は100モル%であってよく、99.97モル%又は99.94モル%であってもよい。EVOHのケン化度は、H-NMR測定を行い、ビニルエステル構造に含まれる水素原子のピーク面積と、ビニルアルコール構造に含まれる水素原子のピーク面積とを測定して算出できる。
EVOH(A)の原料として用いられるエチレン及びビニルエステルは、その少なくとも一部がバイオマス由来であり、ビニルエステルの少なくとも一部がバイオマス由来であることが好ましく、ビニルエステルの全部がバイオマス由来であってもよい。また、EVOH(A)の原料であるエチレンの少なくとも一部がバイオマス由来であることも好ましく、エチレンの全部がバイオマス由来であってもよい。また、EVOH(A)の原料であるビニルエステルの少なくとも一部及びエチレンの少なくとも一部がバイオマス由来であることが好ましい場合もあり、ビニルエステル及びエチレンの全てがバイオマス由来であってもよい。
EVOH(A)を構成する全ビニルアルコール単位(ビニルエステル単位のケン化物)におけるバイオマス由来のビニルアルコール単位の割合の下限は、1モル%が好ましく、5モル%がより好ましく、10モル%がさらに好ましく、25モル%又は45モル%がよりさらに好ましく、70モル%、90モル%又は99モル%であってもよく、EVOH(A)を構成する全てのビニルアルコール単位がバイオマス由来であってもよい。EVOH(A)を構成する全ビニルアルコール単位における化石燃料由来のビニルアルコール単位の割合の上限は、99モル%が好ましく、95モル%がより好ましく、90モル%がさらに好ましく、75モル%又は55モル%がよりさらに好ましく、30モル%、10モル%又は1モル%であってもよく、EVOH(A)を構成する全ビニルアルコール単位中に化石燃料由来のビニルアルコール単位が含まれていなくてもよい。EVOH(A)を構成する全ビニルアルコール単位におけるバイオマス由来のビニルアルコール単位の割合が高くなると、本発明のガスバリア樹脂組成物におけるバイオベース度が高まり、環境負荷を低減できる傾向となる。一方、バイオベース度及びロングラン性のバランスに優れるガスバリア樹脂組成物を提供する観点からは、バイオマス由来のビニルアルコール単位の割合は5モル%以上95モル%以下が好ましく、15モル%以上85モル%以下がより好ましく、25モル%以上75モル%以下がさらに好ましく、35モル%以上65モル%以下が特に好ましい。
EVOH(A)を構成する全エチレン単位におけるバイオマス由来のエチレン単位の割合の下限は、1モル%が好ましく、5モル%がより好ましく、10モル%がさらに好ましく、25モル%又は45モル%がよりさらに好ましく、70モル%、90モル%又は99モル%であってもよく、EVOH(A)を構成する全てのエチレン単位がバイオマス由来であってもよい。EVOH(A)を構成する全エチレン単位における化石燃料由来のエチレン単位の割合の上限は、99モル%が好ましく、95モル%がより好ましく、90モル%がさらに好ましく、75モル%又は55モル%がよりさらに好ましく、30モル%、10モル%又は1モル%であってもよく、EVOH(A)を構成する全エチレン単位中に化石燃料由来のエチレン単位が含まれていなくてもよい。EVOH(A)を構成する全エチレン単位におけるバイオマス由来のエチレン単位の割合が高くなると、本発明のガスバリア樹脂組成物におけるバイオベース度が高まり、環境負荷を低減できる傾向となる。一方、バイオベース度及びロングラン性のバランスに優れるガスバリア樹脂組成物を提供する観点からは、バイオマス由来のエチレン単位の割合は5モル%以上95モル%以下が好ましく、15モル%以上85モル%以下がより好ましく、25モル%以上75モル%以下がさらに好ましく、35モル%以上65モル%以下が特に好ましい。
EVOH(A)のバイオベース度の下限は、本発明のガスバリア樹脂組成物の環境負荷を低減する観点から1%が好ましく、5%がより好ましく、20%がさらに好ましく、40%が特に好ましい。さらにEVOH(A)のバイオベース度の下限は、60%であってもよく、80%又は95%であってもよい。また、EVOH(A)のバイオベース度の上限は、100%であってもよいが、ロングラン性を良好とする観点から99%が好ましく、95%がより好ましく、85%、75%又は65%がさらに好ましい場合もある。
EVOH(A)は、本発明の目的が阻害されない範囲で、エチレン、ビニルエステル及びそのケン化物以外の他の単量体由来の単位を有していてもよい。EVOH(A)が上記他の単量体由来の単位を有する場合、上記他の単量体由来の単位のEVOH(A)の全構造単位に対する含有量の上限は30モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、10モル%がさらに好ましく、5モル%がよりさらに好ましく、1モル%がよりさらに好ましいこともある。また、EVOH(A)が上記他の単量体由来の単位を有する場合、その含有量の下限は0.05モル%であってもよく、0.10モル%であってもよい。上記他の単量体は、例えば、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン等のアルケン;3-アシロキシ-1-プロペン、3-アシロキシ-1-ブテン、4-アシロキシ-1-ブテン、3,4-ジアシロキシ-1-ブテン、3-アシロキシ-4-メチル-1-ブテン、4-アシロキシ-2-メチル-1-ブテン、4-アシロキシ-3-メチル-1-ブテン、3,4-ジアシロキシ-2-メチル-1-ブテン、4-アシロキシ-1-ペンテン、5-アシロキシ-1-ペンテン、4,5-ジアシロキシ-1-ペンテン、4-アシロキシ-1-ヘキセン、5-アシロキシ-1-ヘキセン、6-アシロキシ-1-ヘキセン、5,6-ジアシロキシ-1-ヘキセン、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパン等のエステル基を有するアルケン又はそのケン化物;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和酸又はその無水物、塩、又はモノ若しくはジアルキルエステル等;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸又はその塩;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β-メトキシ-エトキシ)シラン、γ-メタクリルオキシプロピルメトキシシラン等ビニルシラン化合物;アルキルビニルエーテル類、ビニルケトン、N-ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
EVOH(A)は、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等の手法の後変性がされていてもよい。
EVOH(A)がその他単量体単位等の変性基を有する場合、EVOH(A)が下記式(I)で表される構造単位を持っていてもよい。
Figure 2022031628000001
[式(I)中、Xは水素原子、メチル基又はR-OHで表される基を表す。R及びRは、それぞれ独立に単結合、炭素数1~9のアルキレン基又は炭素数1~9のアルキレンオキシ基を表し、上記アルキレン基及び上記アルキレンオキシ基は水酸基、アルコキシ基又はハロゲン原子を含んでもよい。]
Xは、好ましくは水素原子又はR-OHで表される基であり、より好ましくはR-OHで表される基である。
又はRとして用いられるアルキレン基及びアルキレンオキシ基は水酸基、アルコキシ基又はハロゲン原子を含んでもよい。R及びRは、好ましくは炭素数1~5のアルキレン基又はアルキレンオキシ基であり、より好ましくは炭素数1~3のアルキレン基又はアルキレンオキシ基である。
式(I)で表される構造単位(変性基)の具体例としては、例えば、下記の式(II)、式(III)、及び式(IV)で表される構造単位(変性基)が挙げられる。
Figure 2022031628000002
[式(II)中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基は水酸基、アルコキシ基又はハロゲン原子を含んでもよい。]
Figure 2022031628000003
[式(III)中、Rは式(I)中のXと同義である。Rは、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基は水酸基、アルコキシ基又はハロゲン原子を含んでもよい。]
Figure 2022031628000004
[式(IV)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基または水酸基を表す。また、上記アルキル基、上記シクロアルキル基が有する水素原子の一部または全部は、水酸基、アルコキシ基またはハロゲン原子で置換されていてもよい。]
本発明において、式(I)中のRが単結合で、Xがヒドロキシメチル基(式(II)中のR及びRが水素原子)であってもよい。この構造単位を有するEVOH(A)を用いることで、ガスバリア性を著しく悪化させることなく延伸性、熱成形性等の二次加工性を高められる傾向となる。EVOH(A)が上記構造単位を含有する場合、その含有量の下限は0.1モル%が好ましく、0.4モル%がより好ましく、1.0モル%がさらに好ましい。一方、上記構造単位の含有量の上限は、ガスバリア性を良好とする観点から20モル%が好ましく、10モル%がより好ましく、8モル%がさらに好ましく、5モル%が特に好ましい。
本発明において、式(I)中のRがヒドロキシメチレン基、Xが水素原子(式(III)中のR及びRが水素原子)であってもよい。この構造単位を有するEVOH(A)を用いることで、ガスバリア性を著しく悪化させることなく延伸性、熱成形性等の二次加工性を高められる傾向となる。EVOH(A)が上記構造単位を含有する場合、その含有量の下限は0.1モル%が好ましく、0.4モル%がより好ましく、1.0モル%がさらに好ましい。一方、上記構造単位の含有量の上限は、ガスバリア性を良好とする観点から20モル%が好ましく、10モル%がより好ましく、8モル%がさらに好ましく、5モル%が特に好ましい。
本発明において、式(I)中のRがメチルメチレンオキシ基、Xが水素原子であってもよい。この構造単位を有するEVOH(A)を用いることで、ガスバリア性を著しく悪化させることなく延伸性、熱成形性等の二次加工性を高められる傾向となる。また、上記メチルメチレンオキシ基は、酸素原子が主鎖の炭素原子に結合している。すなわち、式(IV)中、R及びRの一方がメチル基であり、他方が水素原子であることが好ましい。EVOH(A)が上記構造単位を含有する場合、その含有量の下限は0.1モル%が好ましく、0.5モル%がより好ましく、1.0モル%がさらに好ましく、2.0モル%が特に好ましい。一方、上記構造単位の含有量の上限は、ガスバリア性を良好とする観点から20モル%が好ましく、15モル%がより好ましく、10モル%がさらに好ましい。
EVOH(A)は、単独で用いても二種以上併用してもよい。
JIS K7210:1999に準拠して測定した、EVOH(A)の190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR)の下限は、0.1g/10分が好ましく、0.5g/10分がより好ましく、1.0g/10分がさらに好ましい。一方、EVOH(A)のMFRの上限は、30g/10分が好ましく、20g/10分がより好ましく、15g/10分がさらに好ましい。EVOH(A)の190℃、2160g荷重におけるMFRが上記範囲であると、溶融成形性が高まり、結果としてロングラン性が高まる傾向となる。
EVOH(A)の融点の下限は135℃が好ましく、150℃がより好ましく、155℃がさらに好ましい。EVOH(A)の融点が135℃以上であると、ガスバリア性に優れる傾向となる。またEVOH(A)の融点の上限は200℃が好ましく、190℃がより好ましく、185℃がさらに好ましい。EVOH(A)の融点が200℃以下であると、溶融成形性が良好となり、結果としてロングラン性が高まる傾向となる。
(EVOH(B))
EVOH(B)は、化石燃料由来のEVOHである。ここで、化石燃料由来のEVOHとは、化石燃料由来の原料を用いて合成されたEVOHを意味する。すなわち、EVOH(B)は、原料モノマーであるエチレン、ビニルエステル及び必要に応じて用いられるその他の単量体の全てが化石燃料由来であるEVOHである。換言すれば、EVOH(B)は、バイオマス由来の原料を用いずに合成されたEVOHである。本発明のガスバリア樹脂組成物がEVOH(B)を含むことで、十分なロングラン性を発揮することができる。
EVOH(B)の具体的及び好適な態様は、原料が化石燃料由来であること、つまりバイオベース度が0%であること以外は、EVOH(A)と同様である。すなわち、EVOH(B)の具体的及び好適なエチレン単位含有量、ケン化度、他の単量体由来の種類及び含有量、MFR、融点等は、EVOH(A)と同様である。
EVOH(B)は、単独で用いても二種以上併用してもよい。
EVOH(A)とEVOH(B)とを併用する上記(I)の形態において、EVOH(A)とEVOH(B)との質量比(A/B)の下限は、1/99が好ましく、5/95がより好ましく、15/85がさらに好ましく、40/60が特に好ましい。質量比(A/B)を1/99以上とすることにより、本発明のガスバリア樹脂組成物のバイオベース度を高め、環境負荷を小さくすることができる。より環境負荷を低減する観点からは、上記質量比(A/B)の下限は、60/40が好ましい場合もあり、75/25が好ましい場合もある。また、質量比(A/B)の上限は99/1が好ましく、95/5がより好ましく、85/15がさらに好ましい場合もあり、60/40又は40/60がよりさらに好ましい場合もある。質量比(A/B)を99/1以下とすることでロングラン性を高めることができる。
EVOH(A)及びEVOH(B)のエチレン単位含有量、ケン化度、MFR及び融点等は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。ロングラン性等の性能を高めることなどからは、EVOH(A)及びEVOH(B)のエチレン単位含有量、ケン化度、MFR及び融点は、それぞれ同一であるか近い値であることが好ましい。EVOH(A)及びEVOH(B)のエチレン単位含有量の差は、6モル%以下が好ましく、3モル%以下がより好ましく、0モル%がさらに好ましい。また、EVOH(A)及びEVOH(B)のケン化度の差は2モル%以下が好ましく、1モル%以下がより好ましく、0モル%がさらに好ましい。また、EVOH(A)及びEVOH(B)のMFRの差は2g/10分以下が好ましく、1g/10分以下がより好ましく、0g/10分がさらに好ましい。また、EVOH(A)及びEVOH(B)の融点の差は7℃以下が好ましく、3℃以下がより好ましく、0℃がさらに好ましい。
(EVOH(A’))
EVOH(A’)は、原料モノマーであるエチレン及びビニルエステルの一部がバイオマス由来であり、上記原料モノマーであるエチレン及びビニルエステルの残部が化石燃料由来であるEVOHである。EVOH(A’)の原料がバイオマス由来の原料を含むことで、本発明のガスバリア樹脂組成物におけるバイオベース度を高め、環境負荷を低減できる傾向となる。また、EVOH(A’)の原料が化石燃料由来の原料を含むことで、本発明のガスバリア樹脂組成物のロングラン性を良好なものとすることができる。
EVOH(A’)は、一部がバイオマス由来であり残部が化石燃料由来であるエチレン及びビニルエステルの共重合体のケン化により得られる。EVOH(A’)の前駆体となるエチレン-ビニルエステル共重合体の製造及びケン化は、原料の一部にバイオマス由来のものが用いられること以外は、従来公知の方法により行うことができる。
EVOH(A’)の合成に用いられるバイオマス由来のエチレン及びバイオマス由来のビニルエステルの例は、EVOH(A)の合成に用いられるものとして上記したものと同様である。
EVOH(A’)のエチレン単位含有量及びケン化度の具体的及び好適な条件は、前述したEVOH(A)と同様である。
EVOH(A’)の原料として用いられるエチレン及びビニルエステルにおいては、エチレンの少なくとも一部がバイオマス由来であることが好ましく、エチレンの全部がバイオマス由来であってもよい。また、EVOH(A’)の原料であるビニルエステルの少なくとも一部がバイオマス由来であることも好ましく、ビニルエステルの全部がバイオマス由来であってもよい。
EVOH(A’)を構成する全ビニルアルコール単位(ビニルエステル単位のケン化物)におけるバイオマス由来のビニルアルコール単位の割合の下限は、1モル%が好ましく、5モル%がより好ましく、10モル%がさらに好ましく、25モル%又は45モル%がさらに好ましく、70モル%、90モル%又は99モル%であってもよく、EVOH(A’)を構成するすべてのビニルアルコール単位がバイオマス由来であってもよい。EVOH(A’)を構成する全ビニルアルコール単位における化石燃料由来のビニルアルコール単位の割合の上限は、99モル%が好ましく、95モル%がより好ましく、90モル%がさらに好ましく、75モル%又は55モル%がさらに好ましく、30モル%、10モル%又は1モル%であってもよく、EVOH(A’)を構成する全ビニルアルコール単位中に化石燃料由来のビニルアルコール単位が含まれていなくてもよい。EVOH(A’)を構成する全ビニルアルコール単位におけるバイオマス由来のビニルアルコール単位の割合が高くなると、本発明のガスバリア樹脂組成物におけるバイオベース度が高まり、環境負荷を低減できる傾向となる。一方、バイオベース度及びロングラン性のバランスに優れるガスバリア樹脂組成物を提供する観点からは、バイオマス由来のビニルアルコール単位の割合は5モル%以上95モル%以下が好ましく、15モル%以上85モル%以下がより好ましく、25モル%以上75モル%以下がさらに好ましく、35モル%以上65モル%以下が特に好ましい。
EVOH(A’)を構成する全エチレン単位におけるバイオマス由来のエチレンの割合の下限は、1モル%が好ましく、5モル%がより好ましく、10モル%がさらに好ましく、25モル%又は45モル%がさらに好ましく、70モル%、90モル%又は99モル%であってもよく、EVOH(A’)を構成する全てのエチレン単位がバイオマス由来であってもよい。EVOH(A’)を構成する全エチレン単位における化石燃料由来のエチレン単位の割合の上限は、99モル%が好ましく、95モル%がより好ましく、90モル%がさらに好ましく、75モル%又は55モル%がよりさらに好ましく、30モル%、10モル%又は1モル%であってもよく、EVOH(A’)を構成する全エチレン単位中に化石燃料由来のエチレン単位が含まれていなくてもよい。EVOH(A’)を構成する全エチレン単位におけるバイオマス由来のエチレン単位の割合が高くなると、本発明のガスバリア樹脂組成物におけるバイオベース度が高まり、環境負荷を低減できる傾向となる。一方、バイオベース度及びロングラン性のバランスに優れるガスバリア樹脂組成物を提供する観点からは、バイオマス由来のエチレン単位の割合は5モル%以上95モル%以下が好ましく、15モル%以上85モル%以下がより好ましく、25モル%以上75モル%以下がさらに好ましく、35モル%以上65モル%以下が特に好ましい。
EVOH(A’)のバイオベース度の下限は、本発明のガスバリア樹脂組成物の環境負荷を低減する観点から1%が好ましく、5%がより好ましく、20%がさらに好ましく、40%が特に好ましい。また、例えば特に優れたロングラン性が要求されない用途などにおいては、EVOH(A’)のバイオベース度の下限は、60%であってもよく、80%であってもよい。一方、EVOH(A’)のバイオベース度の上限は、ロングラン性を良好とする観点から99%が好ましく、95%がより好ましく、85%、75%又は65%がさらに好ましい場合もある。
EVOH(A’)は、本発明の目的が阻害されない範囲で、エチレン、ビニルエステル及びそのケン化物以外の他の単量体由来の単位を有していてもよく、後変性されていてもよい。共重合成分や後変性の具体例としては、前述したEVOH(A)と同様である。
EVOH(A’)は、単独で用いても二種以上併用してもよい。
JIS K7210:1999に準拠して測定した、EVOH(A’)の190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR)及び融点の好適な態様は、前述したEVOH(A)と同様である。
本発明のガスバリア樹脂組成物を構成する全ての樹脂における一種又は二種以上のEVOHが占める割合の下限は、80質量%が好ましく、90質量%がより好ましく、95質量%がさらに好ましく、98質量%が特に好ましく、99質量%であってもよく、本発明のガスバリア樹脂組成物を構成する樹脂は、実質的に一種又は二種以上のEVOHのみであってもよく、一種又は二種以上のEVOHのみであってもよい。
本発明のガスバリア樹脂組成物に含まれる一種又は二種以上のEVOH全体のバイオベース度の下限は、本発明のガスバリア樹脂組成物の環境負荷を低減する観点から1%が好ましく、5%がより好ましく、20%がさらに好ましく、40%が特に好ましい。また、例えば特に優れたロングラン性が要求されない用途などにおいては、上記EVOH全体のバイオベース度の下限は、60%であってもよく、80%であってもよい。一方、上記EVOH全体のバイオベース度の上限は、ロングラン性を良好とする観点から99%が好ましく、95%がより好ましく、85%、75%、65%、55%、45%、35%又は25%がさらに好ましい場合もある。
本発明のガスバリア樹脂組成物に含まれる一種又は二種以上のEVOH全体のエチレン単位含有量、ケン化度、MFR及び融点の具体的及び好適範囲は、上述したEVOH(A)の範囲と同様である。
(無機粒子(C))
本発明のガスバリア樹脂組成物は、無機粒子(C)を有することで、該ガスバリア樹脂組成物から形成される層を含むフィルムの耐破断性が良好となる傾向となる。また、無機粒子(C)を含むことで、該ガスバリア樹脂組成物から形成される層を含むフィルムの表面上に蒸着層を形成する際に、蒸着欠点を抑制でき、蒸着層との密着強度を高められる場合がある。さらに、無機粒子(C)を含有することで、形成される層またはフィルムの表面の算術平均粗さ(Ra)を適度なものとし、耐ブロッキング性及び滑り性を向上させる場合もある。ここで、無機粒子とは、無機物を主成分とする粒子をいう。主成分とは、最も含有量が多い成分をいい、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。
無機粒子(C)を構成する無機物は、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、セリウム、タングステン及びモリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む無機物が好ましい。中でも、入手が容易であることから、ケイ素、アルミニウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む無機物がより好ましい。上記無機物としては、例示した元素の酸化物、窒化物、酸化窒化物等が挙げられ、酸化物が好ましい。
無機粒子(C)の平均粒子径の下限は、0.5μmが好ましく、1.5μmがより好ましく、2.5μmがさらに好ましい。無機粒子(C)の平均粒子径の上限は、10μmが好ましく、8μmがより好ましく、5μmがさらに好ましい。無機粒子(C)の平均粒子径が上記範囲であると、該ガスバリア樹脂組成物から形成される層またはフィルムの表面の算術平均粗さ(Ra)が適度なものとなり、耐ブロッキング性及び滑り性が向上する傾向となる。その結果、該ガスバリア樹脂組成物は、耐破断性、蒸着欠点抑制性及び蒸着層の密着強度を向上できる傾向となる。
無機粒子(C)の含有量の下限は50ppmであり、100ppmが好ましく、150ppmがより好ましい。無機粒子(C)の含有量の上限は5000ppmであり、4000ppmが好ましく、3000ppmがより好ましく、2000ppm又は1000ppmがさらに好ましい場合もある。無機粒子(C)の含有量が上記範囲であると、該ガスバリア樹脂組成物から形成される層またはフィルムの表面の算術平均粗さ(Ra)が適度なものとなり、耐ブロッキング性及び滑り性が向上する。その結果、該ガスバリア樹脂組成物は、耐破断性及び蒸着欠点抑制性に優れ、また、得られる層の蒸着層との密着強度を向上させることができる。無機粒子(C)としては、1種又は2種以上の粒子を含んでいてもよい。また、1個の粒子が1種又は2種以上の無機物から形成されていてもよい。
本発明のガスバリア樹脂組成物は、硫黄化合物を硫黄原子換算で0ppm超100ppm以下含んでいることが、自社製品を追跡する観点からより好ましい。また、硫黄原子換算で100ppm以下の硫黄化合物は、ガスバリア樹脂組成物の性能に実質的に影響を与えないことを発明者らは知見しており、硫黄化合物はトレーサー物質として好適である。硫黄化合物の含有量の上限は50ppmがより好ましく、5ppmがさらに好ましく、3ppmがよりさらに好ましく、0.3ppmが特に好ましい。硫黄化合物の含有量の下限は、0.0001ppmであっても、0.001ppmであっても、0.01ppmであっても、0.05ppmであっても、0.1ppmであってもよい。バイオマス由来の原料を用いた場合、バイオマス原料に含まれる有機系硫黄化合物を含むEVOHが得られることがある。一方、化石燃料由来のEVOHは、ナフサのクラッキング時に脱硫していることから、バイオマス由来のEVOHに比して硫黄化合物が少なくなる。そのため、このようなバイオマス由来のEVOHを用いた場合、硫黄化合物の含有量を比較することでバイオマス由来のEVOHの追跡がより容易となる。特に、本発明のガスバリア樹脂組成物が、硫黄化合物として、有機系硫黄化合物、中でもジメチルスルフィドまたはジメチルスルホキシドを含むとき、さらに追跡が容易となる。また、自社製品を追跡する観点などからは、EVOHの製造の際に、原料となるバイオマス由来のエチレン及びバイオマス由来のビニルエステル、並びに得られるEVOHに対して、硫黄化合物の含有量が検出限界値以下となるような過剰な精製を行わないことが好ましい場合がある。
(その他成分)
本発明のガスバリア樹脂組成物はカルボン酸をさらに含有することが好ましい。本発明のガスバリア樹脂組成物がカルボン酸を含有すると、溶融成形性や高温下での着色耐性を改善できる。特に、ガスバリア樹脂組成物のpH緩衝能力が高まり、酸性物質や塩基性物質に対する着色耐性を改善できる場合がある点から、カルボン酸のpKaが3.5~5.5の範囲にあることがより好ましい。
本発明のガスバリア樹脂組成物がカルボン酸を含有する場合、その含有量の下限はカルボン酸根換算で30ppmが好ましく、100ppmがより好ましい。一方、カルボン酸の含有量の上限は1000ppmが好ましく、600ppmがより好ましい。カルボン酸の含有量が30ppm以上であると、高温による着色耐性が良好になる傾向となる。一方、カルボン酸の含有量が1000ppm以下であると、溶融成形性が良好となる傾向となる。カルボン酸の含有量は、樹脂組成物10gを純水50mlで95℃にて8時間抽出して得られる抽出液を滴定することで算出する。ここで、樹脂組成物中のカルボン酸の含有量として、上記抽出液中に存在するカルボン酸塩の含有量は考慮しない。また、カルボン酸はカルボン酸イオンとして存在していてもよい。
カルボン酸としては、1価カルボン酸及び多価カルボン酸が挙げられ、これらは1種又は複数種からなっていてもよい。カルボン酸として1価カルボン酸と多価カルボン酸との両方を含む場合、ガスバリア樹脂組成物の溶融成形性や高温下での着色耐性をより改善できる場合がある。また、多価カルボン酸は、3個以上のカルボキシ基を有してもよい。この場合、本発明のガスバリア樹脂組成物の着色耐性をさらに向上できる場合がある。
1価カルボン酸とは、分子内に1つのカルボキシ基を有する化合物である。1価のカルボン酸のpKaが3.5~5.5の範囲にあることが好ましい。このような1価カルボン酸としては、例えばギ酸(pKa=3.77)、酢酸(pKa=4.76)、プロピオン酸(pKa=4.85)、酪酸(pKa=4.82)、カプロン酸(pKa=4.88)、カプリン酸(pKa=4.90)、乳酸(pKa=3.86)、アクリル酸(pKa=4.25)、メタクリル酸(pKa=4.65)、安息香酸(pKa=4.20)、2-ナフトエ酸(pKa=4.17)が挙げられる。これらのカルボン酸は、pKaが3.5~5.5の範囲にある限り、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子といった置換基を有してもよい。中でも、安全性が高く、取扱いが容易であることから酢酸が好ましい。
多価カルボン酸とは、分子内に2つ以上のカルボキシ基を有する化合物である。この場合、少なくとも1つのカルボキシ基のpKaが3.5~5.5の範囲にあることが好ましい。このような多価カルボン酸として、例えばシュウ酸(pKa2=4.27)、コハク酸(pKa1=4.20)、フマル酸(pKa2=4.44)、リンゴ酸(pKa2=5.13)、グルタル酸(pKa1=4.30、pKa2=5.40)、アジピン酸(pKa1=4.43、pKa2=5.41)、ピメリン酸(pKa1=4.71)、フタル酸(pKa2=5.41)、イソフタル酸(pKa2=4.46)、テレフタル酸(pKa1=3.51、pKa2=4.82)、クエン酸(pKa2=4.75)、酒石酸(pKa2=4.40)、グルタミン酸(pKa2=4.07)、アスパラギン酸(pKa=3.90)が挙げられる。
本発明のガスバリア樹脂組成物はリン酸化合物をさらに含有することが好ましい。本発明のガスバリア樹脂組成物がリン酸化合物を含有する場合、その含有量の下限はリン酸根換算で1ppmが好ましく、3ppmがより好ましい。一方、上記含有量の上限はリン酸根換算で200ppmが好ましく、100ppmがより好ましい。この範囲でリン酸化合物を含有すると、本発明のガスバリア樹脂組成物の熱安定性を改善できる場合がある。特に、長時間に亘って溶融成形を行う際のゲル状ブツの発生や着色を抑制できる場合がある。リン酸化合物としては、例えばリン酸、亜リン酸等の各種の酸やその塩等を用いることができる。リン酸塩は第1リン酸塩、第2リン酸塩、第3リン酸塩のいずれの形であってもよい。リン酸塩のカチオン種として、アルカリ金属、アルカリ土類金属が挙げられる。リン酸化合物として、具体的には、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム等が挙げられる。
本発明のガスバリア樹脂組成物は、ホウ素化合物をさらに含有することが好ましい。本発明のガスバリア樹脂組成物がホウ素化合物を含有する場合、その含有量の下限はホウ素原子換算で5ppmが好ましく、100ppmがより好ましい。一方、上記含有量の上限はホウ素原子換算で5000ppmが好ましく、1000ppmがより好ましい。この範囲でホウ素化合物を含有すると、本発明のガスバリア樹脂組成物の溶融成形時の熱安定性を向上でき、ゲル状ブツの発生を抑制できる場合がある。また、得られる成形体の機械物性を向上できる場合もある。これらの効果は、EVOHとホウ素化合物との間にキレート相互作用が発生することに起因すると推測される。ホウ素化合物としては、例えばホウ酸、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素が挙げられる。具体的には、ホウ酸としては、例えばオルトホウ酸(HBO)、メタホウ酸、四ホウ酸が挙げられ、ホウ酸エステルとしては、例えばホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチルが挙げられ、ホウ酸塩としては、例えば上記ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂が挙げられる。
本発明のガスバリア樹脂組成物は、金属イオンをさらに含有することが好ましい。本発明のガスバリア樹脂組成物が金属イオンを含有すると、多層の成形体、すなわち多層フィルムとしたときの層間接着性が優れたものとなる。層間接着性が向上する理由は定かでないが、ガスバリア樹脂組成物からなる層と隣接する層中に、EVOHのヒドロキシ基と反応し得る官能基を有する分子が含まれる場合には、金属イオンによって両者の結合生成反応が加速されると考えられる。また、金属イオンと上記したカルボン酸との含有比率を制御すると、本発明のガスバリア樹脂組成物の溶融成形性や着色耐性も改善できる。
本発明のガスバリア樹脂組成物が金属イオンを含有する場合、その含有量の下限は1ppmが好ましく、100ppmがより好ましく、150ppmがさらに好ましい。一方、金属イオンの含有量の上限は1000ppmが好ましく、400ppmがより好ましく、350ppmがさらに好ましい。金属イオンの含有量が1ppm以上であると、得られる多層フィルムの層間接着性が良好となる傾向となる。一方、金属イオンの含有量が1000ppm以下であると、着色耐性が良好となる傾向となる。
金属イオンとしては、一価金属イオン、二価金属イオン、その他遷移金属イオンが挙げられ、これらは1種又は複数種からなっていてもよい。中でも一価金属イオン及び二価金属イオンが好ましい。
一価金属イオンとしては、アルカリ金属イオンが好ましく、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムのイオンが挙げられ、工業的な入手容易性の点からはナトリウム又はカリウムのイオンが好ましい。また、アルカリ金属イオンを与えるアルカリ金属塩としては、例えば脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、炭酸塩、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩及び金属錯体が挙げられる。中でも、脂肪族カルボン酸塩及びリン酸塩が入手容易である点から好ましく、具体的には、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム及びリン酸カリウムが好ましい。
金属イオンとして二価金属イオンを含むことが好ましい場合もある。金属イオンが二価金属イオンを含むと、例えばトリムを回収して再利用した際のEVOHの熱劣化が抑制され、得られる成形体のゲル及びブツの発生が抑制される場合がある。二価金属イオンとしては、例えばベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及び亜鉛のイオンが挙げられるが、工業的な入手容易性の点からはマグネシウム、カルシウム又は亜鉛のイオンが好ましい。また、二価金属イオンを与える二価金属塩としては、例えばカルボン酸塩、炭酸塩、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩及び金属錯体が挙げられ、カルボン酸塩が好ましい。カルボン酸塩を構成するカルボン酸としては、炭素数1~30のカルボン酸が好ましく、具体的には、酢酸、ステアリン酸、ラウリン酸、モンタン酸、ベヘン酸、オクチル酸、セバシン酸、リシノール酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等が挙げられ、中でも、酢酸及びステアリン酸が好ましい。
本発明のガスバリア樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、例えば、加工助剤、EVOH以外の樹脂、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、充填剤、界面活性剤、乾燥剤、酸素吸収剤、架橋剤、各種繊維などの補強剤などのその他成分を含有してもよい。
加工助剤としては、アルケマ社製Kynar(登録商標)、3M社製ダイナマー(登録商標)などのフッ素系加工助剤が挙げられる。本発明のガスバリア樹脂組成物が加工助剤を含むことで、ダイリップへの目やに付着を防止できる傾向となる。
EVOH以外の樹脂としては、例えば各種ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレンと炭素数4以上のα-オレフィンとの共重合体、ポリオレフィンと無水マレイン酸との共重合体、エチレン-ビニルエステル共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、又はこれらを不飽和カルボン酸もしくはその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフィン等)、各種ポリアミド(ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6/66共重合体、ナイロン11、ナイロン12、ポリメタキシリレンアジパミド等)、各種ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアクリレート及び変性ポリビニルアルコール樹脂が挙げられる。
溶融安定性等を改善するための安定剤としては、ハイドロタルサイト化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤、高級脂肪族カルボン酸の金属塩(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等)等が挙げられる。本発明のガスバリア樹脂組成物が安定剤を含む場合、その含有量は0.001~1質量%が好ましい。
酸化防止剤としては、2,5-ジ-t-ブチル-ハイドロキノン、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、4,4’-チオビス-(6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、オクタデシル-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’-チオビス-(6-t-ブチルフェノール)等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、エチレン-2-シアノ-3’,3’-ジフェニルアクリレート、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)5-クロロベンゾトリアゾール、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
可塑剤としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、ワックス、流動パラフィン、リン酸エステル等が挙げられる。
帯電防止剤としては、ペンタエリスリットモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化ポリオレフィン類、ポリエチレンオキシド、カーボワックス等が挙げられる。
滑剤としては、エチレンビスステアロアミド、ブチルステアレート等が挙げられる。
着色剤としては、カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、ベンガラ等が挙げられる。
充填剤としては、グラスファイバー、アスベスト、バラストナイト、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。
乾燥剤としては、リン酸塩(上記リン酸塩を除く)、ホウ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム等、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、砂糖、シリカゲル、ベントナイト、モレキュラーシーブ、高吸水性樹脂等が挙げられる。
本発明のガスバリア樹脂組成物の含水量は、成形加工時のボイドの発生を防ぐ観点から、一種又は二種以上のEVOHの合計100質量部に対して、3.0質量部以下が好ましく、1.0質量部以下がより好ましく、0.5質量部以下がさらに好ましく、0.3質量部以下が特に好ましい。
本発明のガスバリア樹脂組成物は、EVOH(A)又はEVOH(A’)に起因する、バイオマス由来の不純物を含有する場合がある。様々な不純物を含有する可能性があるが、少なくとも鉄及びニッケル等の金属が多く含まれる場合が多い傾向にある。
本発明のガスバリア樹脂組成物における一種又は二種以上のEVOH及び無機粒子(C)が占める割合の下限は、80質量%が好ましく、90質量%がより好ましく、95質量%がさらに好ましく、98質量%が特に好ましく、99質量%であってもよく、本発明のガスバリア樹脂組成物は実質的に一種又は二種以上のEVOH及び無機粒子(C)のみから構成されていてもよい。
(ガスバリア樹脂組成物のバイオベース度)
本発明のガスバリア樹脂組成物のバイオベース度の下限は、環境負荷を低減する観点から1%が好ましく、5%がより好ましく、20%がさらに好ましく、40%が特に好ましい。また、例えば特に優れたロングラン性が要求されない用途などにおいては、本発明のガスバリア樹脂組成物のバイオベース度の下限は、60%であってもよく、80%であってもよい。一方、本発明のガスバリア樹脂組成物のバイオベース度の上限は、ロングラン性を良好とする観点から99%が好ましく、95%がより好ましく、85%、75%、65%、55%、45%、35%又は25%がさらに好ましい場合もある。なお、このガスバリア樹脂組成物のバイオベース度とは、EVOH以外の任意成分に含まれる他の樹脂等も考慮して測定される値をいう。
<ガスバリア樹脂組成物の製造方法>
本発明のガスバリア樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されない。例えばEVOH(A)とEVOH(B)とを含むガスバリア樹脂組成物の場合、
(1)EVOH(A)のペレットと、EVOH(B)のペレットと、無機粒子(C)と必要に応じて上述したその他成分とを混合(ドライブレンド)し、混合されたペレットを溶融混練する方法
(2)EVOH(A)のペレット及び/又はEVOH(B)のペレットに必要に応じて上述したその他成分等が含まれる溶液に浸漬させた後、EVOH(A)のペレットとEVOH(B)のペレットと無機粒子(C)とをドライブレンドし、これらを溶融混練する方法
(3)EVOH(A)のペレットとEVOH(B)のペレットと無機粒子(C)とをドライブレンドし、これらを溶融混練する際に、押出機の途中で必要に応じて上述したその他成分を含む水溶液を液添する方法
(4)予めEVOH(A)及び/またはEVOH(B)に無機粒子(C)を含有させた上で、EVOH(A)の溶融樹脂とEVOH(B)の溶融樹脂とを溶融状態でブレンドする方法(その他成分は、必要に応じてEVOH(A)及び/又はEVOH(B)に予め含ませておいても、押出機内で液添してもよい)
(5)EVOH(A)及び/またはEVOH(B)を合成する過程で、無機粒子(C)を単独あるいは適当な溶媒を用いた分散液として添加、混合する方法
等が挙げられる。
上記(1)~(5)等の製造方法によれば、用途、性能等に応じて、EVOH(A)とEVOH(B)との混合比率を調整することで環境負荷の低減効果とロングラン性とのバランスを考慮しつつ、高いガスバリア性を有するガスバリア樹脂組成物を製造することができる。これら中でも、(1)EVOH(A)のペレット、EVOH(B)のペレット及び無機粒子(C)をドライブレンドして溶融混練する工程を含むことが好ましい。ペレット同士の混合やペレットと他の成分との混合には、例えばリボンブレンダー、高速ミキサーコニーダー、ミキシングロール、押出機、インテンシブミキサー等を用いることができる。
また、EVOH(A’)を含むガスバリア樹脂組成物の場合、公知の方法でEVOH(A’)を合成し、得られたEVOH(A’)に対して公知の方法で無機粒子(C)を混合し、必要に応じて公知の方法でその他の成分を混合することにより製造することができる。
(成形体の製造方法)
本発明のガスバリア樹脂組成物は、各種溶融成形等、従来公知の成形方法により成形体を製造することができる。ガスバリア樹脂組成物を溶融成形する方法としては、例えば押出成形、キャスト成形、インフレーション押出成形、ブロー成形、溶融紡糸、射出成形、射出ブロー成形等が挙げられる。本発明のガスバリア樹脂組成物を用いた成形体の用途は多岐に亘り、例えばフィルム、シート、容器、ボトル、タンク、パイプ、ホース等が挙げられる。
具体的な成形方法として、例えばフィルム、シート、パイプ、ホースは押出成形により、容器形状は射出成形により、ボトルやタンク等の中空容器は中空成形や回転成形により成形できる。中空成形としては、押出成形によりパリソンを成形し、これをブローして成形を行う押出中空成形と、射出成形によりプリフォームを成形し、これをブローして成形を行う射出中空成形が挙げられる。フレキシブル包装材や容器の製造には、押出成形によって多層フィルム等の包装材を成形する方法、押出成形によって成形した多層シートを熱成形して容器状の包装材にする方法が好適に用いられる。
本発明のガスバリア樹脂組成物は、無機粒子(C)を有し、耐破断性、耐ブロッキング性、蒸着欠点抑制性、及び蒸着層との密着性に優れる傾向にあることから、本発明のガスバリア樹脂組成物は、単層フィルム、多層フィルム、蒸着フィルム等の各種フィルム、及び蒸着フィルムを備える多層構造体に用いることが好適な態様である。
<単層フィルム>
本発明の単層フィルムは、本発明のガスバリア樹脂組成物から形成されるフィルムである。すなわち、当該単層フィルムは、本発明のガスバリア樹脂組成物から形成される層のみからなるフィルムである。本発明の単層フィルムは環境負荷が低く、ガスバリア性及び耐破断性も良好である。本発明の単層フィルムの平均厚みは、例えば1μm以上300μm未満であることが好ましく、5μm以上100μm未満であることがより好ましい。本発明の単層フィルムは、各種包装材などとして好適に用いることができる。
本発明の単層フィルムの、JIS B0601に準拠して測定される少なくとも一方の表面の算術平均粗さ(Ra)は1.0μm以下が好ましく、0.8μm以下がより好ましく、0.6μm以下がさらに好ましく、0.4μm以下が特に好ましい。本発明のフィルムの、少なくとも一方の表面の算術平均粗さ(Ra)は0.05μm以上が好ましく、0.10μm以上がより好ましく、0.15μm以上がさらに好ましく、0.20μm以上が特に好ましい。本発明の単層フィルムの少なくとも一方の表面の算術平均粗さ(Ra)を上記範囲とすると、耐破断性が優れる傾向となる。
本発明の単層フィルムは、非延伸フィルムであってもよいが、延伸されていることが好ましい。延伸されていることでガスバリア性や強度等が向上する傾向となる。さらに、本発明の単層フィルムが延伸フィルムである場合、破断する可能性が低いため、生産性が良好である。
(単層フィルムの製造方法)
本発明の単層フィルムは公知の方法で製造できる。単層フィルムの形成方法としては特に限定されず、例えば溶融法、溶液法、カレンダー法等が挙げられ、溶融法が好ましい。溶融法としては、Tダイ法(キャスト法)、インフレーション法が挙げられ、キャスト法が好ましい。特に、本発明の単層フィルムを構成するガスバリア樹脂組成物をキャスティングロール上に溶融押出するキャスト成形工程、及び上記ガスバリア樹脂組成物から得られる未延伸単層フィルムを延伸する工程を備える方法で製造することが好ましい。溶融法の際の溶融温度はガスバリア樹脂組成物の融点等により異なるが、150~300℃程度が好ましい。
延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよく、二軸延伸が好ましい。二軸延伸は、逐次二軸延伸及び同時二軸延伸のいずれでもよい。面積換算の延伸倍率の下限は6倍が好ましく、8倍がより好ましい。延伸倍率の上限は15倍が好ましく、12倍がより好ましい。延伸倍率が上記範囲であると、単層フィルムの厚みの均一性、ガスバリア性及び機械的強度の点を向上させることができる。また、延伸温度としては、例えば60℃以上120℃以下とすることができる。
本発明の単層フィルムの製造方法は、延伸工程の後に、延伸された単層フィルムを熱処理する工程を備えていてもよい。熱処理温度は、通常、延伸温度よりも高い温度に設定され、例えば120℃超200℃以下とすることができる。
本発明の単層フィルムは、食品包装容器、医薬品包装容器、工業薬品包装容器、農薬包装容器等の各種包装容器の材料として好適に用いられる。
<多層フィルム>
本発明の多層フィルムは、本発明のガスバリア樹脂組成物から形成される層を少なくとも1層備える多層フィルムである。当該多層フィルムの層数の下限としては、2であってよいが、3が好ましい。また、当該多層フィルムの層数の上限としては、例えば1000であってよく、100であってもよく、20又は10であってもよい。当該多層フィルムは、通常、本発明のガスバリア樹脂組成物からなる層と他の層とを積層して得られる。当該多層フィルムの層構成としては、本発明のガスバリア樹脂組成物以外の樹脂からなる層をx層、本発明のガスバリア樹脂組成物層をy層、接着性樹脂層をz層、「/」を接着層又は直接積層を意味するものとすると、例えばx/y、x/y/x、x/z/y、x/z/y/z/x、x/y/x/y/x、x/z/y/z/x/z/y/z/x等が挙げられる。複数のx層、y層、z層を設ける場合は、その種類は同じでも異なってもよい。また、成形時に発生するトリム等のスクラップからなる回収樹脂を用いた層を別途設けてよいし、回収樹脂を他の樹脂からなる層に混合してもよい。多層フィルムの各層の厚さ構成は、成形性及びコスト等の観点から、全層厚さに対するy層の厚さ比が通常2~20%である。なお、上記接着層は、接着性樹脂又はその他の接着剤から形成される層である。
上記x層に使用される樹脂としては、加工性等の観点から熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば各種ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレンと炭素数4以上のα-オレフィンとの共重合体、ポリオレフィンと無水マレイン酸との共重合体、エチレン-ビニルエステル共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、又はこれらを不飽和カルボン酸もしくはその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフィン等)、各種ポリアミド(ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6/66共重合体、ナイロン11、ナイロン12、ポリメタキシリレンアジパミド等)、各種ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアクリレート及び変性ポリビニルアルコール樹脂が挙げられる。かかる熱可塑性樹脂層は無延伸のものであってもよく、一軸又は二軸に延伸又は圧延されていてもよい。中でも、ポリオレフィンは耐湿性、機械的特性、経済性、ヒートシール性の点で、また、ポリアミドやポリエステルは機械的特性、耐熱性の点で好ましい。
上記z層に使用される接着性樹脂は各層間を接着できればよく、例えばポリウレタン系又はポリエステル系の一液型又は二液型硬化性接着剤、カルボン酸変性ポリオレフィンが好適である。ここで、カルボン酸変性ポリオレフィンとは、不飽和カルボン酸又はその無水物(無水マレイン酸等)を共重合成分として含むポリオレフィン系共重合体;又は不飽和カルボン酸又はその無水物をポリオレフィンにグラフトさせて得られるグラフト共重合体を意味する。
多層フィルムには、さらに別の層が積層されていてもよい。
多層フィルムを得る方法としては、例えば共押出成形、共押出中空成形、共射出成形、押出ラミネート、共押出ラミネート、ドライラミネート、溶液コート等が挙げられる。なお、このような方法で得られた多層フィルムに対して、さらに真空圧空深絞成形、ブロー成形、プレス成形等の方法により、再加熱後に二次加工成形を行い、目的とする成形体構造にしてよい。また、多層フィルムに対して、ロール延伸法、パンタグラフ延伸法、インフレーション延伸法等の方法により、EVOHの融点以下の範囲で再加熱後に一軸又は二軸延伸して、延伸された多層フィルムを得ることもできる。
本発明のガスバリア樹脂組成物、単層フィルム又は多層フィルムを用いた成形体としては、容器(袋、カップ、チューブ、トレー、ボトル等)、燃料容器、パイプ、繊維、飲食品用包装材、容器用パッキング材、医療用輸液バッグ材、タイヤ用チューブ材、靴用クッション材、バッグインボックス用内袋材、有機液体貯蔵用タンク材、有機液体輸送用パイプ材、暖房用温水パイプ材(床暖房用温水パイプ材等)、化粧品用包装材、デンタルケア用包装材、医薬品用包装材、包材用子部品(キャップ、バッグインボックスのコック部分など)、農薬ボトル、農業用フィルム(温室用フィルム、土壌燻蒸用フィルム)、穀物保管用袋、ジオメンブレン、真空断熱板外袋、壁紙又は化粧板、水素、酸素等のガスタンク等を挙げることができる。
<蒸着フィルム>
本発明の蒸着フィルムは、本発明の単層フィルムまたは多層フィルムと、無機蒸着層とを備える。具体的に本発明の蒸着フィルムは、本発明の単層フィルム、または上記ガスバリア樹脂組成物から形成される層の少なくとも1層を最外層として備える本発明の多層フィルムと、上記単層フィルムまたは多層フィルムにおける本発明のガスバリア樹脂組成物から形成される層の表出面に積層される少なくとも1層の無機蒸着層とを備える。当該蒸着フィルムにおいては、本発明のガスバリア樹脂層から形成される層上に、無機蒸着層が直接積層されている。
無機蒸着層は、金属や無機酸化物などの無機物からなり、酸素や水蒸気に対するガスバリア性を有する層である。本発明のガスバリア樹脂組成物は、通常の熱可塑性樹脂と比べて金属や無機酸化物との親和性が高く、緻密で欠陥のない無機蒸着層を形成することができる。また、該ガスバリア樹脂組成物がガスバリア性を有しているため、屈曲等によって無機蒸着層に欠陥が生じた際にも、ガスバリア性の低下を抑制できる。さらに、該ガスバリア樹脂組成物は無機粒子(C)を含むため、蒸着欠点が生じ難く、かつ、無機蒸着層との密着強度に優れた蒸着フィルムを製造することができる。したがって、該ガスバリア樹脂組成物から形成される層の少なくとも一方の面上に直接無機蒸着層が積層された構成を有する本発明の蒸着フィルムは、蒸着欠点が生じ難く、かつ、無機蒸着層との密着強度に優れる。
無機蒸着層は、アルミニウムを主成分とする金属蒸着層、及びアルミナ又はシリカを主成分とする無機酸化物蒸着層のいずれかであることが好ましい。遮光性を付与する場合には金属蒸着層が好ましいが、包装材料としての内容物の視認性やレンジ適正、粉砕物を溶融成形する際にゲルやブツの発生を抑制できる観点からは、無機酸化物蒸着層が好ましい。
金属蒸着層は、一般にはアルミニウムを主成分とする層である。金属蒸着層におけるアルミニウム原子の含有量は50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、95モル%以上が特に好ましい。金属蒸着層の平均厚みは120nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましく、90nm以下がさらに好ましい。また、金属蒸着層の平均厚みは25nm以上が好ましく、35nm以上がより好ましく、45nm以上がさらに好ましい。なお、金属蒸着層の平均厚みとは、電子顕微鏡により測定される金属蒸着層断面の任意の10点における厚みの平均値である。
無機酸化物蒸着層は、無機酸化物、例えば、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ホウ素、チタン、鉛、ジルコニウム、イットリウム等の酸化物、好ましくはアルミナ又はシリカの蒸着膜が挙げられる。無機酸化物蒸着層の平均厚みは60nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、40nm以下がさらに好ましい。また、無機酸化物蒸着層の平均厚みは10nm以上が好ましく、15nm以上がより好ましく、20nm以上がさらに好ましい。なお、無機酸化物蒸着層の平均厚みとは、電子顕微鏡により測定される無機酸化物蒸着層断面の任意の10点における厚みの平均値である。
無機蒸着層の平均厚みは120nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましく、80nm以下がさらに好ましく、60nm以下がよりさらに好ましい場合もある。また、無機蒸着層の平均厚みは10nm以上が好ましく、15nm以上がより好ましく、20nm以上がさらに好ましく、30nm以上がよりさらに好ましい。なお、無機蒸着層の平均厚みとは、電子顕微鏡により測定される無機蒸着層断面の任意の10点における厚みの平均値である。
無機蒸着層は、公知の物理的蒸着法や化学的蒸着法により蒸着できる。具体的には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームミキシング法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、MO-CVD法、熱CVD法等が挙げられるが、物理的蒸着法を用いることが好ましく、中でも真空蒸着法を用いることが特に好ましい。なお、本発明の効果を妨げない限り、必要に応じて、無機蒸着層上に保護層(トップコート層)を設けてもよい。蒸着時の基材の表面温度の上限は60℃が好ましく、55℃がより好ましく、50℃がさらに好ましい。また、蒸着時の基材の表面温度の下限は特に限定されないが、0℃が好ましく、10℃がより好ましく、20℃がさらに好ましい。蒸着を行う前に、基材表面をプラズマ処理してもよい。該プラズマ処理は公知の方法を用いることができ、大気圧プラズマ処理が好ましい。大気圧プラズマ処理では放電ガスとして、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。中でも、窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられ、コストを低減できることから、特に窒素が好ましい。
無機蒸着層は、より寸法安定性の高い層に蒸着された方が蒸着時の欠陥が生じにくく高いガスバリア性を発現することができる。寸法安定性の観点より無機蒸着層を積層するガスバリア樹脂組成物から形成される層は延伸されていることが好ましく、延伸後に熱処理を施すことがさらに好ましい。
本発明の蒸着フィルムの層数の下限は、2である。すなわち、当該蒸着フィルムは、本発明の多層フィルムの一態様である。また、当該蒸着フィルムの層数の上限は、多層フィルムと同様に例えば1000であってよく、100であってもよく、20、10、5又は4であってもよい。
本発明の蒸着フィルムの層構成としては、本発明のガスバリア樹脂組成物以外の樹脂からなる層をx層、本発明のガスバリア樹脂組成物から形成される層をy層、接着性樹脂層をz層、無機蒸着層をv層とすると、例えばy/v、v/y/v、x/y/v、x/z/y/v、v/y/z/x/z/y/v等が挙げられる。
<多層構造体>
本発明の蒸着フィルムは、本発明のガスバリア樹脂組成物から形成される層に隣接する最外層として無機蒸着層を有する。一方、当該蒸着フィルムの無機蒸着層上に他の層をさらに積層した多層構造体として用いることもできる。本発明の多層構造体は、本発明の蒸着フィルムと、当該蒸着フィルムにおける無機蒸着層上に積層される他の層(熱可塑性樹脂層等)とを備える。他の層としては特に限定されず、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ビニルエステル樹脂、エチレン-プロピレン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン-α-オレフィン共重合体(炭素数4~20のα-オレフィン)、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンの単独、またはその共重合体、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。中でも、耐湿性、機械的特性、経済性、ヒートシール性等に優れる観点から、ポリオレフィンが好ましく、機械的特性、耐熱性等に優れる観点から、ポリアミドやポリエステルが好ましい。
本発明の多層構造体の層数の下限は、3である。また、当該多層構造体の層数の上限は、例えば1000であってよく、100であってもよく、20、10、5又は4であってもよい。
本発明の多層構造体の層構成としては、本発明のガスバリア樹脂組成物以外の樹脂からなる層をx層、本発明のガスバリア樹脂組成物層をy層、接着性樹脂層をz層、無機蒸着層をv層とすると、例えばx/v/y、x/v/y/v、x/y/v/x、x/v/y/v/x、x/z/v/y、x/z/y/v/z/x、x/z/v/y/v/z/x等が挙げられる。
本発明の蒸着フィルム及び多層構造体は特に優れたバリア性を要求される包装材料に好適に用いられる。具体的には容器(袋、チューブ、蓋材等)、飲食品用包装材、医療用輸液バッグ材、タイヤ用チューブ材、バッグインボックス用内袋材、化粧品用包装材、デンタルケア用包装材、医薬品用包装材、農業用フィルム(温室用フィルム、土壌燻蒸用フィルム)、穀物保管用袋、ジオメンブレン、真空断熱板外袋等を挙げることができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[評価方法]
(1)EVOHのエチレン単位含有量及びケン化度
合成して得られたEVOHペレット並びに実施例及び比較例で得られたガスバリア樹脂組成物ペレットについて、内部標準物質としてテトラメチルシラン、添加剤としてテトラフルオロ酢酸(TFA)を含むジメチルスルホキシド(DMSO)-dに溶解し、500MHzの1H-NMR(日本電子株式会社製「JMTC-400/54/SS」)を用いて80℃で測定し、エチレン単位含有量及びケン化度を測定した。
上記測定のスペクトル中の各ピークは、以下のように帰属される。
0.6~1.9ppm:エチレン単位のメチレンプロトン(4H)、ビニルアルコール単位のメチレンプロトン(2H)、酢酸ビニル単位のメチレンプロトン(2H)
1.9~2.0ppm:酢酸ビニル単位のメチルプロトン(3H)
3.1~4.2ppm:ビニルアルコール単位のメチンプロトン(1H)
(2)カルボン酸の定量
合成して得られたEVOHペレット又は実施例及び比較例で得られたガスバリア樹脂組成物ペレット20gとイオン交換水100mLとを共栓付き200mL三角フラスコに投入し、冷却コンデンサーを付け、95℃で6時間攪拌抽出した。得られた抽出液にフェノールフタレインを指示薬としてN/50のNaOHで中和滴定し、カルボン酸のカルボン酸根換算の含有量を定量した。なお、リン化合物が含まれる態様においては、後述の評価方法で測定されるリン化合物の含有量を加味して、カルボン酸量を算出した。
(3)金属イオン、リン酸化合物及びホウ素化合物の定量
合成して得られたEVOHペレット又は実施例及び比較例で得られたガスバリア樹脂組成物ペレット0.5gをテフロン(登録商標)製圧力容器に入れ、ここに濃硝酸5mLを加えて室温で30分間分解させた。30分後蓋をし、湿式分解装置(アクタック社の「MWS-2」)により150℃で10分間、次いで180℃で5分間加熱することで分解を行い、その後室温まで冷却した。この処理液を50mLのメスフラスコ(TPX製)に移し純水でメスアップした。この溶液について、ICP発光分光分析装置(パーキンエルマー社の「OPTIMA4300DV」)により元素分析を行い、EVOHペレット又はガスバリア樹脂組成物ペレットに含まれる、金属イオンの金属原子換算量、リン化合物のリン原子換算量及びホウ素化合物のホウ素原子換算量を求めた。
(4)バイオベース度
合成して得られたEVOHペレット並びに実施例及び比較例で得られたガスバリア樹脂組成物ペレットについて、ASTM D6866-18に記載の方法に従い、加速器質量分析器(AMS)により放射性炭素(14C)の濃度を測定し、放射性炭素年代測定の原理に基づいて、バイオベース度を算出した。
(5)二軸延伸フィルム評価
(5-1)耐フィルム破断性評価
実施例及び比較例で得られた二軸延伸フィルムについて、2本目から101本目までのフィルムロールをスリッターにかけ、フィルムロールに100N/mの張力をかけて巻きとったときの破断回数を測定し、耐フィルム破断性として評価した。判定基準は以下の通りである。
(判定基準)
A:0~1回/100本
B:2~4回/100本
C:5~7回/100本
D:8~10回/100本
E:11回以上/100本
(5-2)酸素透過度
実施例及び比較例で得られた二軸延伸フィルムについて、2本目の二軸延伸フィルムを20℃/65%RHの条件下で調湿した後、酸素透過度測定装置(ModernControlの「OX-Tran2/20」)を使用し、20℃/65%RHの条件下で酸素透過度を測定した。なお、本測定はJIS K 7126-2(等圧法;2006年)に準拠して実施した。
(6)蒸着フィルム評価
(6-1)無機蒸着層の平均厚みの測定
実施例及び比較例で得られた蒸着フィルムをミクロトームでカットし断面を露出させた。この断面を走査型電子顕微鏡(SEM)(エス・アイ・アイナノテクノロジー社の「ZEISS ULTRA 55」)を用いて観察し、反射電子検出器を用いて10点における無機蒸着層の厚みを測定し、平均厚みを求めた。
(6-2)蒸着欠点抑制性
実施例及び比較例で得られた蒸着フィルムの蒸着欠点抑制性を、蒸着欠点数の測定により行った。蒸着フィルムロールをスリッターにかけて、フィルム下部から100Wの蛍光灯を当てながら巻きだし、幅0.5m、長さ2mの領域について異なる10箇所で蒸着欠点数を目視で数え、その平均値を1mあたりの蒸着欠点数とした。蒸着欠点は、以下の基準で評価した。
(判定基準)
A:0~20個/m
B:21~40個/m
C:41~60個/m
D:61~80個/m
E:81~100個/m
F:101個以上/m
(6-3)無機蒸着層と二軸延伸フィルムとの密着強度の測定
得られた蒸着フィルムの無機蒸着層と二軸延伸フィルムとの密着強度を下記方法により測定した。得られた蒸着フィルムの無機蒸着層側の表面に、ドライラミネート用接着剤(三井化学製タケラックA-385/A-50を6/1の質量比で混合し、固形分濃度23質量%の酢酸エチル溶液としたもの)を、バーコーターを用いてコートし、50℃で5分間熱風乾燥させた後、80℃に加熱したニップロールにて、PETフィルム(東洋紡製E5000)とラミネートを行った。このとき、フィルムの半分は、間にアルミホイルを挟むことで貼りあわされない部分を設けた。その後、40℃で72時間養生し、ラミネートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムを100mm×15mmの短冊に裁断し、引っ張り試験機により引っ張り速度10mm/分にてT型剥離試験を5回行った。得られた測定値の平均値を密着強度とした。密着強度は、以下のように判定した。なお、剥離界面を目視で確認すると、500g/15mm未満の剥離強度を有する蒸着フィルムにおいては、無機蒸着層と二軸延伸フィルム層との界面で剥離が起こっていた。
(判定基準)
A:500g/15mm以上
B:450以上500g/15mm未満
C:400以上450g/15mm未満
D:350以上400g/15mm未満
E:350g/15mm未満
[酢酸ビニル合成触媒の調製]
上海海源化工科技有限公司製シリカ球体担体HSV-I(球体直径5mm、比表面積160m2/g、吸水率0.75g/g)23g(吸水量19.7g)に、56質量%テトラクロロパラジウム酸ナトリウム水溶液1.5g及び17質量%テトラクロロ金酸四水和物水溶液1.5gを含む担体吸水量相当の水溶液を含浸させた後、メタケイ酸ナトリウム9水和物2.5gを含む水溶液40mLに浸漬し、20時間静置した。続いて、52質量%ヒドラジン水和物水溶液3.3mLを添加し、室温で4時間静置した後、水中に塩化物イオンが無くなるまで水洗し、110℃で4時間乾燥した。得られたパラジウム/金/担体組成物を1.7質量%酢酸水溶液60mLに浸漬し、一晩静置した。次いで、一晩水洗し、110℃で4時間乾燥した。その後、2gの酢酸カリウムの担体吸水量相当水溶液に含浸し、110℃で4時間乾燥することで酢酸ビニル合成触媒を得た。
[酢酸ビニルの合成]
<VAM1の合成例>
上記酢酸ビニル合成触媒3mLをガラスビーズ75mLで希釈してSUS316L製反応管(内径22mm、長さ480mm)に充填し、温度150℃、圧力0.6MPaGでエチレン/酸素/水/酢酸/窒素=47.3/6.1/5.6/26.3/14.7(mol%)の割合に混合したガスを流量20NL/時で流通させ、反応を行い、酢酸ビニル(VAM1)を合成した。エチレンには、バイオマス由来のエチレン(Braskem S.A.製、サトウキビ由来のバイオエチレン)を用い、このエチレンが充填されたガスボンベ(エチレン純度96.44%、内容積29.502L、内圧1.8234MPa)を使用した。また、酢酸には、バイオマス由来の酢酸(Godavari Biorefineries Ltd.製、サトウキビ由来のバイオ酢酸)を用い、220℃で気化させてから蒸気で反応系に導入した。
<VAM2~VAM4の合成>
原料のエチレン及び酢酸を表1に記載の通り、バイオマス由来及び/又は化石燃料由来のものに変更した以外は、VAM1と同様の方法でVAM2~VAM4の各酢酸ビニルを合成した。
なお、酢酸ビニルの合成に用いた原料としては、下記の原料を使用した。
・バイオマス由来のエチレン :Braskem S.A.製、サトウキビ由来のバイオエチレン
・化石燃料由来のエチレン:エア・リキード工業ガス株式会社製、化石燃料由来のエチレン
・バイオマス由来の酢酸 :Godavari Biorefineries Ltd.製、サトウキビ由来のバイオ酢酸
・化石燃料由来の酢酸 :富士フィルム和光純薬株式会社製、化石燃料由来の酢酸
Figure 2022031628000005
[EVOHの合成]
<EVOH(A1)ペレットの作製>
(エチレン-酢酸ビニル共重合体の重合)
ジャケット、攪拌機、窒素導入口、エチレン導入口及び開始剤添加口を備えた250L加圧反応槽に、VAM1を105kg、及びメタノール(以下、MeOHと称することもある)を32.3kg仕込み、65℃に昇温した後、30分間窒素バブリングして反応槽内を窒素置換した。次いで反応槽圧力(エチレン圧力)が3.67MPaとなるようにエチレンを昇圧して導入した。エチレンには、バイオマス由来のエチレン(Braskem S.A.製、サトウキビ由来のバイオエチレン)を用いた。反応槽内の温度を65℃に調整した後、開始剤として16.8gの2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社の「V-65」)をメタノール溶液として添加し、重合を開始した。重合中はエチレン圧力を3.67MPaに、重合温度を65℃に維持した。3時間後にVAcの重合率が45%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下で未反応のVAcを除去した後、エチレン-酢酸ビニル共重合体にMeOHを添加して20質量%MeOH溶液とした。
(ケン化及び洗浄)
得られたエチレン-酢酸ビニル共重合体ジャケットの20質量%MeOH溶液250kgを、攪拌機、窒素導入口、還流冷却器及び溶液添加口を備えた500L反応槽に入れ、かかる溶液に窒素を吹き込みながら60℃に昇温し、水酸化ナトリウム4kgを濃度2規定のMeOH溶液として添加した。水酸化ナトリウムの添加終了後、系内温度を60℃に保ちながら2時間攪拌してケン化反応を進行させた。2時間経過した後に、再度、同様の方法で水酸化ナトリウムを4kg添加し、2時間加熱攪拌を継続した。その後、酢酸を14kg添加してケン化反応を停止し、イオン交換水50kgを添加した。加熱攪拌しながら反応槽外にMeOHと水を留出させ反応液を濃縮した。3時間経過した後、更にイオン交換水50kgを添加し、EVOHを析出させた。デカンテーションにより析出したEVOHを収集し、ミキサーで粉砕した。得られたEVOH粉末を1g/Lの酢酸水溶液(浴比20:イオン交換水200Lに対し粉末10kgの割合)に投入して2時間攪拌洗浄した。これを脱液し、さらに1g/Lの酢酸水溶液(浴比20)に投入して2時間攪拌洗浄した。これを脱液したものを、イオン交換水(浴比20)に投入して攪拌洗浄を2時間行い脱液する操作を3回繰り返して精製を行った。これを60℃で16時間乾燥させることでEVOHの粗乾燥物を25kg得た。
(EVOH含水ペレットの製造)
得られたEVOHの粗乾燥物25kgを、ジャケット、攪拌機及び還流冷却器を備えた100L攪拌槽に入れ、さらに水20kg及びMeOH20gを加え、70℃に昇温して溶解させた。この溶解液を径3mmのガラス管を通して5℃に冷却した重量比で水/MeOH=90/10の混合液中に押し出してストランド状に析出させ、このストランドをストランドカッターでペレット状にカットすることでEVOHの含水ペレットを得た。このEVOHの含水ペレットを濃度1g/Lの酢酸水溶液(浴比20)に投入して2時間攪拌洗浄した。これを脱液し、さらに1g/Lの酢酸水溶液(浴比20)に投入して2時間攪拌洗浄した。脱液後、酢酸水溶液を更新し同様の操作を行った。酢酸水溶液で洗浄してから脱液したものを、イオン交換水(浴比20)に投入して攪拌洗浄を2時間行い脱液する操作を3回繰り返して精製を行い、ケン化反応時の触媒残渣とストランド析出時に使用したMeOHが除去された、EVOHの含水ペレットを得た。得られたEVOHの含水ペレットの含水率をメトラー社のハロゲン水分計「HR73」で測定したところ、110質量%であった。
(EVOH(A1)ペレットの製造)
得られたEVOHの含水ペレットを酢酸ナトリウム、酢酸、リン酸及びホウ酸が含まれる水溶液(浴比20)に投入し、定期的に攪拌しながら4時間浸漬させた。なお、各成分の濃度は、得られたEVOH(A1)ペレットにおける各成分の含有量が表2に記載の通りとなるように調整した。浸漬後に脱液し、空気下で80℃、3時間、及び空気下で130℃、7.5時間乾燥することにより、酢酸ナトリウム、酢酸、リン酸及びホウ酸を含むEVOH(A1)ペレットを得た。
<EVOH(A2)~EVOH(A9)及びEVOH(B1)の各ペレットの作製>
原料(原料モノマー)のエチレン及び酢酸ビニルの種類並びにリン酸化合物及びホウ素化合物の含有量を表2に記載の通り変更した以外は、EVOH(A1)ペレットと同様の方法で、EVOH(A2)ペレット~EVOH(A9)ペレット及びEVOH(B1)ペレットを作製した。化石燃料由来のエチレンには、エア・リキード工業ガス株式会社製のエチレンを用いた。
EVOH(A1)ペレット~EVOH(A9)ペレット及びEVOH(B1)ペレットのそれぞれについて、上記評価方法(1)~(4)に記載の方法に従い、エチレン単位含有量及びケン化度、カルボン酸の定量、金属イオン、リン酸化合物及びホウ素化合物の定量、並びにバイオベース度の測定を行った。結果を表2に示す。
ペレット(A1)~ペレット(A9)及びペレット(B1)について、下記記載の方法に従って硫黄化合物の測定を行った。結果(硫黄化合物の硫黄原子換算の含有量及び種類)を表2に示す。
<硫黄化合物含有量の測定>
硫黄化合物の定量は三菱アナリテック製微量窒素硫黄分析装(TS-2100H型)を用いて行い、測定条件は以下の通りとした。
ヒーター温度:Inlet 900℃,Outlet 900℃
ガス流量:Ar,O各300ml/min
[分析システム NSX-2100]
測定モード:TS
パラメータ:SD-210
測定時間(タイマー):540秒(9分)
PMT感度:高濃度
硫黄化合物の同定は、ガスクロマトグラフィー(GC)と、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)を用いて行った。GCの検出器としては、微量の硫黄化合物、リン化合物に対して高い感度を示すFPD(炎光光度検出器)を用いて行い、硫黄化合物が検出された保持時間で観測された質量成分を解析することで、同定を行った。
Figure 2022031628000006
[実施例]
<実施例1>
EVOH(A1)ペレット及びEVOH(B1)ペレットを質量比(A1/B1)10/90、並びに無機粒子として合成シリカ(富士シリシア化学社の「サイリシア310P」;レーザー法で測定された平均粒子径2.7μm)を含有量が300ppmになるようにタンブラーを用いてドライブレンドした後、二軸押出機(株式会社東洋精機製作所の「2D25W」、25mmφ,ダイ温度220℃,スクリュー回転数100rpm)を用い、窒素雰囲気下で押出しペレット化を行い、実施例1のガスバリア樹脂組成物ペレットを得た。
得られた実施例1のガスバリア樹脂組成物ペレットについて、上記評価方法(1)~(4)に記載の方法に従って、エチレン単位含有量及びケン化度、カルボン酸の定量、金属イオン、リン酸化合物及びホウ素化合物の定量及びバイオベース度の測定を行った。結果を表3に示す。
得られたガスバリア樹脂組成物ペレットを210℃にて溶融し、ダイからキャスティングロール上に押出すと同時にエアーナイフを用いて空気を風速30m/秒で吹付け、厚さ170μmの未延伸フィルム(単層)を得た。このEVOH未延伸フィルムを、80℃の温水に10秒接触させ、テンター式同時二軸延伸機を用い、90℃雰囲気下で縦方向に3.2倍、横方向に3.0倍延伸し、さらに170℃に設定したテンター内にて5秒間熱処理を行い、フィルム端部をカットすることにより以下の二軸延伸フィルムロールを得た。
フィルム厚み :12μm
フィルム幅 :50cm
フィルム巻長さ:4,000m
上記二軸延伸フィルム製造開始から10時間経過してから連続して102本の二軸延伸フィルムを採取した。得られた二軸延伸フィルムについて、上記評価方法(5)に記載の方法に従って、二軸延伸フィルム評価を実施した。結果を表4に示す。
得られた二軸延伸フィルムロールの内、1本目と102本目の二軸延伸フィルムを用い、日本真空技術社の「バッチ式蒸着設備EWA-105」を使用して、フィルム走行速度200m/分で、フィルム片側にアルミニウムを蒸着させた後に巻き取り、蒸着フィルムロールを得た。得られた蒸着フィルムについて、上記評価方法(6)に記載の方法に従って、蒸着フィルム評価を実施した。結果を表4に示す。
<実施例2~20、比較例1~3>
用いたEVOHの種類及び質量比(割合)並びに無機粒子の含有量を、表3に記載の通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例2~20及び比較例1~3の各ガスバリア樹脂組成物ペレット、二軸延伸フィルム及び蒸着フィルムを作製し、評価した。結果を表3、4に示す。なお、比較例2に関しては102本目の二軸延伸フィルムを用いて蒸着フィルムを作製する際にフィルムが破断し、目的とするフィルムが得られなかったため、102本目の蒸着フィルムの評価を実施していない。
Figure 2022031628000007
Figure 2022031628000008
表3、4に示されるように、実施例1~20の各ガスバリア樹脂組成物は、バイオマス由来の原料を一部に用いていながら、化石燃料由来のみのもの(比較例3のガスバリア樹脂組成物)と遜色のない高いガスバリア性を有していた。また、実施例1~20の各ガスバリア樹脂組成物は、運転開始より10時間経過した後に作製された二軸延伸フィルムについての耐フィルム破断性、並びに運転開始10時間後に作製された二軸延伸フィルムを用いて作製された蒸着フィルムの無機蒸着層平均厚み、蒸着欠点抑制性及び密着強度がバイオマス由来原料のみのもの(比較例1のガスバリア樹脂組成物)と比較して良好な結果を示しており、十分なロングラン性を有するものであった。
また、実施例及び比較例の結果から、EVOHを用いたガスバリア樹脂組成物において、ガスバリア性はバイオベース度に依存しないのに対し、ロングラン性はバイオベース度が低くなるにつれて高まる傾向にあるという、特異的な性質があることが確認できた。例えば、バイオベース度が65%以下の実施例1、2、5~13、15~20の各ガスバリア樹脂組成物は、運転開始より10時間経過した後に作製された二軸延伸フィルムについての耐フィルム破断性、並びに運転開始10時間後に作製された1本目の二軸延伸フィルムを用いて作製された蒸着フィルムの蒸着欠点抑制性及び密着強度の評価がA又はBであり、高いロングラン性を有するものとなった。
また、比較例2の結果から、EVOHを用いたガスバリア樹脂組成物において、無機粒子を含まない場合には、耐フィルム破断性が不十分であることが確認できた。
(トレーサビリティ性の評価)
実施例14の酸素透過度の評価で得られた二軸延伸フィルムを用いて、追跡可能性(トレーサビリティ性)の評価を行った。具体的には得られた二軸延伸フィルムの一部を切り出し、トレーサビリティ用試料とした。切り出した二軸延伸フィルムのバイオベース度を上記評価方法(4)に記載の方法に従って測定したところ68%であり、用いたEVOHペレット(A3)の値と一致し、トレーサビリティ性があることが確認された。また、切り出した二軸延伸フィルムの硫黄化合物含有量の測定、及びその同定を上記した方法と同様の方法で行った。二軸延伸フィルムに含まれる硫黄化合物は硫黄原子換算で0.2ppmであり、硫黄化合物はジメチルスルフィドであり、EVOHペレット(A3)の値と一致し、トレーサビリティ性があることが確認された。

Claims (15)

  1. 一種又は二種以上のエチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物及び無機粒子(C)を含み、
    上記一種又は二種以上のエチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物の原料であるエチレン及びビニルエステルの一部がバイオマス由来であり、残部が化石燃料由来であり、
    無機粒子(C)の含有量が50ppm以上5000ppm以下である、ガスバリア樹脂組成物。
  2. 上記一種又は二種以上のエチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物が、
    原料であるエチレン及びビニルエステルの少なくとも一部がバイオマス由来であるエチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物(A)と、化石燃料由来であるエチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物(B)とを含む、請求項1に記載のガスバリア樹脂組成物。
  3. 上記エチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物(A)と上記エチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物(B)との質量比(A/B)が1/99~99/1である、請求項2に記載のガスバリア樹脂組成物。
  4. 上記一種又は二種以上のエチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物が、
    原料であるエチレン及びビニルエステルの一部がバイオマス由来であり、残部が化石燃料由来であるエチレン-ビニルアルコール共重合体(A’)を含む、請求項1に記載のガスバリア樹脂組成物。
  5. 上記一種又は二種以上のエチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物のバイオベース度が1%以上99%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のガスバリア樹脂組成物。
  6. バイオベース度が1%以上99%以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のガスバリア樹脂組成物。
  7. 硫黄化合物を硫黄原子換算で0ppmを超えて100ppm以下含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のガスバリア樹脂組成物。
  8. 上記硫黄化合物が、ジメチルスルフィドまたはジメチルスルホキシドである、請求項7に記載のガスバリア樹脂組成物。
  9. 上記原料のうちのエチレンの少なくとも一部がバイオマス由来である、請求項1~8のいずれか1項に記載のガスバリア樹脂組成物。
  10. 上記原料のうちのビニルエステルの少なくとも一部がバイオマス由来である、請求項1~9のいずれか1項に記載のガスバリア樹脂組成物。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載のガスバリア樹脂組成物から形成される、単層フィルム。
  12. 延伸フィルムである、請求項11に記載の単層フィルム。
  13. 請求項1~10のいずれか1項に記載のガスバリア樹脂組成物から形成される層を少なくとも1層備える、多層フィルム。
  14. 請求項11若しくは12に記載の単層フィルム、または上記ガスバリア樹脂組成物から形成される層の少なくとも1層を最外層として備える請求項13に記載の多層フィルムと、
    上記単層フィルムまたは上記多層フィルムにおける上記ガスバリア樹脂組成物から形成される層の表出面に積層される少なくとも1層の無機蒸着層と
    を備える、蒸着フィルム。
  15. 請求項14に記載の蒸着フィルムと、
    上記蒸着フィルムにおける上記無機蒸着層上に積層される他の層と
    を備える、多層構造体。
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