JP2022027403A - スチレン系樹脂発泡成形体、発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法、およびスチレン系樹脂発泡成形体の製造方法 - Google Patents

スチレン系樹脂発泡成形体、発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法、およびスチレン系樹脂発泡成形体の製造方法 Download PDF

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賢治 平井
Kenji Hirai
早織 吉田
Saori Yoshida
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Sekisui Plastics Co Ltd
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Abstract

【課題】優れた光沢を有するスチレン系樹脂発泡成形体を提供すること。【解決手段】本発明の実施形態によるスチレン系樹脂発泡成形体は、予備発泡スチレン系樹脂粒子を発泡させた発泡スチレン系樹脂粒子を含有し、互いに融着した複数の発泡スチレン系樹脂粒子により構成されている。スチレン系樹脂発泡成形体の表面に存在する発泡スチレン系樹脂粒子の表面の平均孔数は20個/mm2未満である。【選択図】なし

Description

本発明は、スチレン系樹脂発泡成形体、発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法、およびスチレン系樹脂発泡成形体の製造方法に関する。
発泡成形体は、軽量かつ断熱性および機械的強度に優れることから、住宅および自動車等に用いられる断熱材、建築資材等に用いられる保温材、魚箱および食品容器等の輸送用梱包材、緩衝材等に幅広く使用されている。中でも、発泡性粒子を原料として製造される型内発泡成形体が、所望の形状を得やすい等の利点から多く使用されている。発泡成形体は、美麗かつ光沢のある外観が望まれるところ、そのような外観を実現するために種々の検討課題が残されている。
特開2014-070150号公報 特許第5014653号 特許第4925620号 特許第4982302号
本発明の主たる目的は、優れた光沢を有するスチレン系樹脂発泡成形体を提供することにある。本発明はまた、そのような発泡成形体を実現し得る発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法、および、そのような発泡成形体の簡便安価な製造方法を提供する。
本発明の実施形態によるスチレン系樹脂発泡成形体は、予備発泡スチレン系樹脂粒子を発泡させた発泡スチレン系樹脂粒子を含有し、互いに融着した複数の該発泡スチレン系樹脂粒子により構成されており、該スチレン系樹脂発泡成形体の表面に存在する該発泡スチレン系樹脂粒子の表面の平均孔数は20個/mm未満である。
1つの実施形態においては、上記スチレン系樹脂発泡成形体の表面に存在する上記発泡スチレン系樹脂粒子の表面粗さRzjis94は、1μm~25μmである。
1つの実施形態においては、上記スチレン系樹脂発泡成形体の表層部の平均気泡径は、25μm~250μmである。
1つの実施形態においては、上記予備発泡スチレン系樹脂粒子を形成する発泡性スチレン系樹脂粒子の残存単量体含有量は200ppm~10000ppmであり、かつ、該発泡性スチレン系樹脂粒子における表面添加剤の含有量は0.05重量%~0.5重量%である。
1つの実施形態においては、上記表面添加剤はポリエチレングリコールを含み、上記発泡性スチレン系樹脂粒子における該ポリエチレングリコールの含有量は0.01重量%~0.1重量%である。
1つの実施形態においては、上記表面添加剤は5℃において液体である脂肪族化合物を含み、上記発泡性スチレン系樹脂粒子における該脂肪族化合物の含有量は0.01重量%~0.3重量%である。
1つの実施形態においては、上記5℃において液体である脂肪族化合物は中鎖脂肪酸トリグリセリドである。
1つの実施形態においては、上記表面添加剤は高級脂肪酸の金属塩を含み、上記発泡性スチレン系樹脂粒子における該高級脂肪酸の金属塩の含有量は0.0025重量%~0.475重量%である。1つの実施形態においては、上記高級脂肪酸の金属塩はステアリン酸亜鉛およびステアリン酸マグネシウムから選択される少なくとも1つである。
本発明のさらに別の局面によれば、発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法が製造される。当該製造方法は、スチレン系単量体を重合させる工程と、重合と同時または重合後に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得る工程と、該発泡性粒子に、ポリエチレングリコールおよび/または5℃において液体である脂肪族化合物を含む表面添加剤を塗布する工程と、を含む。
本発明のさらに別の局面によれば、上記のスチレン系樹脂発泡成形体の製造方法が提供される。当該製造方法は、上記の製造方法により得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を用いる。
本発明の実施形態によれば、スチレン系樹脂発泡成形体において、当該発泡成形体の表面に存在する発泡スチレン系樹脂粒子の表面の単位面積あたりの平均孔数を所定範囲に制御することにより、優れた光沢を有するスチレン系樹脂発泡成形体を実現することができる。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。なお、本明細書における用語の定義は以下のとおりである。
スチレン系樹脂発泡成形体(単に発泡成形体と称する場合がある):予備発泡スチレン系樹脂粒子を発泡させた発泡スチレン系樹脂粒子で構成される、所定の形状に発泡成形された成形体を意味する。
発泡性スチレン系樹脂粒子(単に発泡性粒子と称する場合がある):発泡前の発泡剤を含浸した粒子を意味する。
予備発泡スチレン系樹脂粒子(単に予備発泡粒子と称する場合がある):発泡性粒子を発泡させた粒子であって、発泡成形体を形成するためにさらに発泡され得る粒子を意味する。
発泡スチレン系樹脂粒子(単に発泡粒子と称する場合がある):発泡成形体を構成する、予備発泡スチレン系樹脂粒子をさらに発泡させた粒子を意味する。
本明細書において「重量」と「質量」とは同義である。したがって、例えば「重量%」は「質量%」と読み替えてもよく、また例えば「重量部」は「質量部」と読み替えてもよい。
A.スチレン系樹脂発泡成形体
本発明の実施形態によるスチレン系樹脂発泡成形体は、予備発泡スチレン系樹脂粒子を発泡させた発泡スチレン系樹脂粒子を含有する。より具体的には、発泡成形体は、予備発泡粒子を所定形状の型内で発泡成形することにより、互いに融着した複数の発泡粒子により構成され、当該型に対応した形状を有している。本発明の実施形態においては、発泡成形体の表面に存在する発泡粒子の表面の平均孔数は20個/mm未満である。このような構成であれば、優れた光沢を有する発泡成形体を実現することができる。発泡成形体の表面に存在する発泡粒子の表面の平均孔数は、好ましくは15個/mm以下であり、より好ましくは8個/mm以下であり、さらに好ましくは5個/mm以下であり、特に好ましくは3.5個/mm以下であり、とりわけ好ましくは2.5個/mm以下である。当該平均孔数は小さいほど好ましく、その下限は例えば0.03個/mmであり得る。表面の孔とは、言い換えれば発泡粒子表面の破れを意味する。発泡粒子の表面の単位面積あたりの平均孔数は、発泡成形体の任意に選択した所定領域についての走査型電子顕微鏡(SEM)画像から求められ得る。本発明の実施形態によれば、発泡成形体の表面に存在する発泡粒子の表面の単位面積あたりの平均孔数を上記の所定範囲に制御することにより、優れた光沢を有する発泡成形体を実現することができる。本発明の実施形態による発泡成形体は美麗であり、非常に商品価値が高い。
発泡成形体の表面に存在する発泡粒子の表面粗さRzjis94は、好ましくは1μm~25μmであり、より好ましくは1μm~18μmであり、さらに好ましくは1μm~14μmであり、特に好ましくは1μm~10μmである。表面粗さRzjis94は、例えば5μm~9μmであってもよい。表面粗さRzjis94がこのような範囲であれば、予備発泡粒子の表層部の平均気泡径および発泡粒子の表面の単位面積あたりの平均孔数を最適化する効果との相乗的な効果により、さらに優れた光沢を有する発泡成形体を実現することができる。表面粗さRzjis94は十点平均粗さを意味する。表面粗さRzjis94は、例えば、表面粗さ形状測定機を用いて、発泡粒子間の継ぎ目を測定しないようにして測定され得る。
発泡成形体の表層部の平均気泡径は、好ましくは25μm~250μmであり、より好ましくは35μm~190μmであり、さらに好ましくは45μm~140μmであり、特に好ましくは50μm~130μmである。このような構成であれば、優れた光沢を有する発泡成形体を得ることができる。平均気泡径が大きすぎると、表面の凹凸が大きくなり光沢が不十分となる場合があり、また、機械的強度が不十分となる場合がある。平均気泡径が小さすぎると、成形時に発泡成形体の表面にトケ(発泡粒子が溶融して陥没、収縮等した状態)が発生して、外観美麗性が不十分となる場合がある。発泡成形体の表層部とは、発泡成形体の表面から当該表面に垂直な方向の内方に500μmまでの領域をいう。平均気泡径は、ASTM D2482-69に準拠して測定され得る。平均気泡径の具体的な測定方法の一例は、後述の実施例に記載されている。
発泡成形体を形成し得る予備発泡粒子の表層部の平均気泡径は、例えば20μm~200μmであり、好ましくは25μm~180μmであり、より好ましくは40μm~120μmであり、さらに好ましくは42μm~100μmである。予備発泡粒子の表層部とは、予備発泡粒子の表面から中心方向(すなわち、直径方向)に200μmまでの領域をいう。平均気泡径は、上記の成形体の場合と同様に、ASTM D2482-69に準拠して測定され得る。平均気泡径の具体的な測定方法の一例は、後述の実施例に記載されている。
以下、発泡成形体を形成し得る発泡性粒子および予備発泡粒子について説明し、次いで、発泡性粒子および発泡成形体の製造方法について説明する。
B.発泡性スチレン系樹脂粒子
発泡性粒子は、代表的には、スチレン系樹脂と発泡剤と表面添加剤とを含み、全体として粒子の形状を有する。発泡性粒子の粒径は、例えば0.3mm~3.0mmであり、好ましくは0.3mm~1.7mmである。粒径は、JIS Z 8815に準拠して測定され得る。具体的には、粒径は、JIS Z 8815の篩分け試験による粒度分布から積算値50%の粒径として測定した値とされる。発泡性粒子の形状としては、任意の適切な形状を採用することができる。形状の具体例としては、球状、略球状、楕円球状(卵状)、円柱状、略円柱状が挙げられる。
発泡性粒子は、残存単量体含有量が好ましくは10000ppm以下であり、より好ましくは8000ppm以下であり、さらに好ましくは6000ppm以下であり、特に好ましくは5500ppm以下である。残存単量体含有量は、例えば200ppm~500ppmであってもよい。発泡性粒子の残存単量体含有量がこのような範囲であれば、予備発泡粒子の表層部の平均気泡径と発泡粒子の表面の単位面積あたりの平均孔数とを上記の所定範囲に制御することが容易であり得る。さらに、樹脂の柔軟性を確保できるので、平滑な表面を有する発泡成形体が得られ得る。その結果、優れた光沢を有する発泡成形体を実現することができる。
発泡性粒子における表面添加剤の含有量は、好ましくは0.05重量%~0.5重量%であり、より好ましくは0.05重量%~0.4重量%であり、さらに好ましくは0.1重量%~0.35重量%であり、特に好ましくは0.15重量%~0.35重量%である。表面添加剤の含有量がこのような範囲であれば、予備発泡粒子の表層部の平均気泡径と発泡粒子の表面の単位面積あたりの平均孔数とを上記の所定範囲に制御することが容易であり得る。その結果、優れた光沢を有する発泡成形体を実現することができる。発泡性粒子における表面添加剤の含有量は、実質的には発泡性粒子表面に付着した表面添加剤の量であり、製造時における表面添加剤の塗布量に対応し得る。発泡性粒子における表面添加剤の含有量は、例えば、所定の溶媒(例えば、メタノール)により抽出された表面添加剤量として測定され得る。なお、表面添加剤の具体的な構成については後述する。
B-1.スチレン系樹脂
スチレン系樹脂は、単量体成分としてスチレン系単量体を含む高分子化合物である。スチレン系単量体は、スチレンまたはスチレン誘導体を含む。スチレン誘導体としては、例えば、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i-プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレンが挙げられる。スチレン系単量体は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。スチレン系単量体は、好ましくは、少なくともスチレンを含有する。スチレン系単量体は、スチレンをスチレン系単量体の全量に対して好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上含有する。
スチレン系樹脂は、単量体成分の主成分としてスチレン系単量体を含んでいればよく、スチレン系単量体と共重合成分との共重合体であってもよい。共重合成分の代表例としては、ビニル単量体が挙げられる。本明細書において「主成分」とは、共重合体がスチレン系単量体を好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上含有することをいう。
ビニル単量体としては、例えば、多官能単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、マレイン酸エステル単量体、フマル酸エステル単量体が挙げられる。ビニル単量体は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
多官能単量体の具体例としては、o-ジビニルベンゼン、m-ジビニルベンゼン、p-ジビニルベンゼン等のジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能単量体を用いることにより、スチレン系樹脂に分岐構造を付与することができる。スチレン系樹脂における多官能単量体の含有量は、好ましくは、0質量%~0.1質量%であり、より好ましくは0.005質量%~0.05質量%である。
(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸2エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘキシルが挙げられる。アクリル酸ブチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸エチルが好ましく、アクリル酸ブチルがさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体を用いることにより、スチレン系樹脂のガラス転移温度(Tg)を低くすることができる。スチレン系樹脂におけるアクリル酸エステル単量体の含有量は、好ましくは、0質量%~4.0質量%であり、より好ましくは0.1質量%~3.0質量%である。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
マレイン酸エステル単量体としては、例えば、マレイン酸ジメチルが挙げられる。
フマル酸エステル単量体としては、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸エチルが挙げられる。
B-2.発泡剤
発泡剤としては、任意の適切な発泡剤を用いることができる。発泡剤は、好ましくは、沸点がスチレン系樹脂の軟化点以下であり、常圧でガス状または液状の有機化合物である。具体例としては、プロパン、n-ブタン、イソブタン、ペンタン(n-ペンタン、イソペンタンまたはネオペンタン)、n-ヘキサン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロペンタジエン等の脂環式炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点のエーテル化合物;トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン含有炭化水素が挙げられる。発泡剤として、炭酸ガス、窒素、アンモニア等の無機ガスを用いてもよい。発泡剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。脂肪族炭化水素が好ましい。オゾン層の破壊を防止することができ、かつ、空気と速く置換するので発泡成形体の経時変化を抑制することができるからである。より好ましくは、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、およびこれらの組み合わせである。
発泡性粒子中における発泡剤の含有量は、予備発泡粒子および発泡成形体を形成するに十分な量である限り、目的に応じて適切に設定され得る。発泡剤の含有量は、スチレン系樹脂100質量部に対して、好ましくは2質量部~16質量部であり、より好ましくは3質量部~8質量部である。
B-3.表面添加剤
表面添加剤は、代表的には、発泡性粒子表面に塗布されて、発泡性粒子の表面特性を目的に応じて適切に改質し得る。表面添加剤としては、例えば、結合防止剤、融着促進剤、展着剤、帯電防止剤が挙げられる。添加剤の種類、数、組み合わせ、含有量等を適切に設定することにより、予備発泡粒子の表層部の平均気泡径と発泡粒子の表面の単位面積あたりの平均孔数とを上記の所定範囲に制御することができる。発泡性粒子における表面添加剤の含有量は、上記のとおりである。
表面添加剤は、好ましくはポリエチレングリコールを含む。ポリエチレングリコールは、代表的には、展着剤および帯電防止剤として機能し得る。表面添加剤にポリエチレングリコールを導入することにより、予備発泡粒子の表層部の平均気泡径と発泡粒子の表面の単位面積あたりの平均孔数とを上記の所定範囲に制御することができる。特に、発泡粒子の表面の単位面積あたりの平均孔数を少なくすることができる。これは、表面添加剤の多くは粉体であるところポリエチレングリコールは液体であるので、表面添加剤にポリエチレングリコールを導入することにより、表面添加剤の発泡性粒子表面への展着が均一となり、発泡性粒子が発泡した際の破れが抑制できるからであると推察される。ただし、当該推察は本発明を拘束または制限するものではない。発泡性粒子におけるポリエチレングリコールの含有量は、好ましくは0.01重量%~0.2重量%であり、より好ましくは0.01重量%~0.15重量%であり、さらに好ましくは0.02重量%~0.1重量%であり、特に好ましくは0.02重量%~0.08重量%である。ポリエチレングリコールの含有量がこのような範囲であれば、発泡成形体の他の特性に悪影響を与えることなく優れた光沢を実現することができる。
表面添加剤は、好ましくは5℃において液体である脂肪族化合物を含む。当該脂肪族化合物は、代表的には、融着促進剤として機能し得る。当該脂肪族化合物としては、例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリドが挙げられる。中鎖脂肪酸とは、炭素数が5~12の直鎖状または分岐状の脂肪酸をいう。表面添加剤に当該脂肪族化合物を導入することにより、上記ポリエチレングリコールの場合と同様に、特に、発泡粒子の表面の単位面積あたりの平均孔数を少なくすることができる。発泡性粒子における当該脂肪族化合物の含有量(実質的には、製造時の塗布量)は、好ましくは0.01重量%~0.3重量%であり、より好ましくは0.01重量%~0.25重量%であり、さらに好ましくは0.01重量%~0.1重量%である。当該脂肪族化合物の含有量がこのような範囲であれば、発泡成形体の他の特性に悪影響を与えることなく優れた光沢を実現することができる。
好ましくは、ポリエチレングリコールと上記脂肪族化合物とは併用され得る。これらを併用することにより相乗的な効果が得られ、上記の効果がより顕著なものとなる。さらに、以下の効果も得られ得る。通常、中鎖脂肪酸トリグリセリドを0.05重量%程度含有(実質的には、塗布)すると、得られる発泡成形体の光沢が不十分となる場合がある。一方、このような併用により、高濃度の中鎖脂肪酸トリグリセリドを用いても発泡性粒子表面の過度な可塑化が抑制され、したがって、発泡性粒子が発泡した際の破れが抑制され得る。その結果、優れた光沢を有する発泡成形体が得られ得る。併用する場合のポリエチレングリコールと脂肪族化合物との配合比率(ポリエチレングリコール/脂肪族化合物)は、好ましくは1.1~7.0であり、より好ましくは1.2~6.0である。
表面添加剤は、好ましくは高級脂肪酸の金属塩を含む。高級脂肪酸の金属塩は、代表的には、結合防止剤として機能し得る。高級脂肪酸の金属塩の代表例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく組み合わせて用いてもよい。発泡性粒子における高級脂肪酸の金属塩の含有量は、好ましくは0.0025重量%~0.475重量%であり、より好ましくは0.01重量%~0.3重量%であり、さらに好ましくは0.05重量%~0.2重量%であり、特に好ましくは0.1重量%~0.2重量%である。表面添加剤中の高級脂肪酸の金属塩の含有割合は、好ましくは5重量%~95重量%であり、より好ましくは20重量%~85重量%であり、さらに好ましくは35重量%~80重量%である。高級脂肪酸の金属塩の含有量は、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析により測定された金属量から換算され得る。
表面添加剤の他の例としては、ステアリン酸トリグリセリド(代表的には、融着促進剤として機能し得る)、ステアリン酸モノステアレート(代表的には、帯電防止剤として機能し得る)、シリコーンオイル(代表的には、滑剤として機能し得る)が挙げられる。
B-4.その他
発泡性粒子は、発泡剤とともに発泡助剤を含んでいてもよい。発泡助剤としては、例えば、アジピン酸ジイソブチル、トルエン、シクロヘキサン、エチルベンゼン、流動パラフィン、ヤシ油等が挙げられる。
発泡性粒子は、上記表面添加剤とは別の添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、輻射伝熱抑制成分、スチレン系樹脂以外の樹脂、架橋剤、可塑剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、着色剤、気泡調整剤、耐候剤、老化防止剤、防曇剤、香料が挙げられる。添加剤の種類、数、組み合わせ、含有量等は、目的に応じて適切に設定され得る。
C.予備発泡スチレン系樹脂粒子
予備発泡粒子は、上記B項に記載の発泡性粒子を予備発泡させてなる。予備発泡は、発泡性粒子を、水蒸気等を用いて所望の嵩発泡倍率(嵩密度)に発泡させることを含む。予備発泡粒子の嵩発泡倍率は、好ましくは3倍~100倍であり、より好ましくは30倍~90倍であり、さらに好ましくは50倍~70倍である。嵩密度は、嵩発泡倍率の逆数である。嵩発泡倍率および嵩密度は、例えば以下のようにして求められる。
発泡性粒子を測定試料としてW(g)採取する。この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させ、メスシリンダー内に落下させた測定試料の体積V(cm)をJIS K 6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定する。測定資料の質量および体積から、下記式に基づいて嵩発泡倍数および嵩密度を求めることができる。
嵩発泡倍数(倍=cm/g)=測定試料の体積(V)/測定試料の質量(W)
嵩密度(g/cm)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
予備発泡粒子は、代表的には上記のとおり、所定形状の型内で発泡成形されて発泡成形体を形成し得る。なお、予備発泡粒子は、そのままで緩衝剤、断熱材等として用いることができる。予備発泡粒子をそのまま用いる場合、予備発泡粒子は、好ましくは、多数の予備発泡粒子を袋体に充填した充填体として用いられ得る。
D.発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法
本発明の実施形態による発泡成形体は、代表的には、上記B項に記載の発泡性粒子(したがって、上記C項に記載の予備発泡粒子)を用いることにより実現され得る。したがって、本発明の実施形態は、そのような発泡性粒子の製造方法も包含する。当該製造方法は、スチレン系単量体を重合させる工程と;重合と同時または重合後に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得る工程と;得られた発泡性粒子に、ポリエチレングリコールおよび/または5℃において液体である脂肪族化合物を含む表面添加剤を塗布する工程と;を含む。スチレン系単量体の重合方法としては、代表的には、懸濁重合法が挙げられる。懸濁重合法は、スチレン系単量体に重合開始剤を溶解して、懸濁剤を分散した水とともに、反応槽中で昇温し重合した後冷却して、発泡性粒子を得る方法である。重合の途中および/または重合終了後に発泡剤を添加する方法は1段法と呼ばれる。発泡剤を添加せずに重合して得られた粒子をふるい分けして必要な粒径範囲の粒子のみを、反応槽の懸濁剤を分散した水中で昇温して、ここで発泡剤を添加して粒子に含浸させる方法は2段法(後含浸法)と呼ばれる。また、小粒子のスチレン系樹脂粒子(種粒子)を、懸濁剤を分散した水の入っている反応槽に投入し、昇温した後、重合開始剤を溶解した単量体を連続的に反応槽に供給して重合し、目的とする粒子径まで成長させる方法はシード重合法と呼ばれる。シード重合法において、発泡剤は重合の途中および/または重合終了後に添加される。1段法、2段法(後含浸法)、シード重合法のいずれの方法によっても、発泡性粒子を製造することができる。また、いずれの方法によっても、真球状の発泡性粒子が得られるという利点がある。
スチレン系単量体の重合における重合開始剤としては、任意の適切なラジカル発生型重合開始剤を用いることができる。具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシベンゾート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,2-t-ブチルパーオキシブタン、t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルヘキサノエート、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサイハイドロテレフタレート等の有機過酸化物;アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。これらの重合開始剤は単独でまたは2種以上併用して使用できる。通常は分子量を調整し、残存単量体量を減少させるために、10時間の半減期を得るための分解温度が50~80℃ の範囲にある重合開始剤と、分解温度が80~120℃ の範囲にある重合開始剤とが併用される。重合開始剤は、種粒子に均一に吸収させる必要があることから、液状物として添加することが好ましい。重合開始剤を直接水性懸濁液中に添加すると、種粒子に均一に吸収されにくくなるので、重合開始剤は水性媒体に懸濁または乳化させた状態で添加するか、あるいは少量のスチレン系単量体に溶解し、無機系懸濁安定剤および/またはアニオン界面活性剤とを加え水性懸濁液として添加することが望ましい。
別の実施形態においては、発泡性微粒子は、溶融押出法により製造され得る。溶融押出法は、スチレン系樹脂ペレットを樹脂供給装置に供給し、樹脂供給装置内で溶融されたスチレン系樹脂に発泡剤を圧入・混練し、発泡剤を含有した溶融樹脂を樹脂供給装置先端に付設されたダイの小孔から押し出し、その後冷却して、発泡性粒子を得る方法である。ダイの小孔から冷却用液体中に直接押し出し、押し出した直後に押出物を回転刃で切断し、切断された粒子を冷却用液体中で冷却する方法はホットカット法と呼ばれる。ダイの小孔から一旦空気中にストランド状に押し出し、ストランドが発泡する前に冷却用水槽中に導き、ストランドを冷却用水槽中で冷却した後、切断し円柱状の粒子とする方法はストランドカット法(コールドカット法)と呼ばれる。ホットカット法、ストランドカット法(コールドカット法)のいずれの方法によっても、発泡性粒子を製造することができる。ホットカット法によれば、ほぼ球状の発泡性粒子が得られるという利点がある。
本発明の実施形態においては、上記のとおり、得られた発泡性粒子にポリエチレングリコールおよび/または5℃において液体である脂肪族化合物を含む表面添加剤を塗布する。表面添加剤の詳細については、上記B-3項で説明したとおりである。ポリエチレングリコールおよび上記脂肪族化合物は液体であるので、表面添加剤にこれらの少なくとも1つを導入することにより、粉体のみの表面添加剤を塗布する場合に比べて、発泡性粒子表面への展着が格段に均一なものとなる。その結果、予備発泡粒子の表層部の平均気泡径と発泡粒子の表面の単位面積あたりの平均孔数とを上記の所定範囲に制御することができる。特に、発泡粒子の表面の単位面積あたりの平均孔数を少なくすることができる。最終的には、優れた光沢を有する発泡成形体を得ることができる。
上記のような製造方法においては、得られた発泡性粒子に温風処理を施すことなく、上記所望の特性を実現することができる。したがって、本発明の実施形態による発泡性粒子の製造方法は、製造効率に優れる。
E.スチレン系樹脂発泡成形体の製造方法
本発明の実施形態は、発泡成形体の製造方法も包含する。当該製造方法は、上記D項に記載の製造方法で得られた発泡性粒子を用いる。発泡成形体は、代表的には、目的に応じた所定の形状を有する型内に予備発泡粒子を仕込み、型内発泡成形を行うことにより作製され得る。予備発泡粒子は、上記D項に記載の製造方法で得られた発泡性粒子を予備発泡することにより得られ得る。型内発泡成形は、(i)予備発泡粒子を多数の小孔を有する閉鎖金型内に充填すること、(ii)熱媒体(例えば、加圧水蒸気等)で予備発泡粒子を加熱発泡させて発泡粒子を得ること、(iii)当該加熱発泡により、発泡粒子間の空隙を埋めると共に、発泡粒子を相互に融着させることにより一体化させること;を含む。発泡成形体の密度は、目的に応じて適切に設定され得る。発泡成形体の密度は、例えば、金型内に充填する予備発泡粒子の嵩発泡倍率を予め調整すること、あるいは、金型内への予備発泡粒子の充填量を調整することにより調整することができる。
加熱発泡の温度(実質的には、熱媒体の温度)は、好ましくは90℃~150℃であり、より好ましくは110℃~130℃である。加熱発泡時間は、好ましくは5秒~50秒であり、より好ましくは10秒~50秒である。加熱発泡の成形蒸気圧(熱媒体の吹き込みゲージ圧)は、好ましくは0.06MPa~0.08MPaである。加熱発泡がこのような条件であれば、発泡粒子を相互に良好に融着させることができる。
必要に応じて、発泡成形体の成形前に予備発泡粒子を熟成させてもよい。予備発泡粒子の熟成温度は、好ましくは20℃~60℃である。熟成温度が低すぎると、過度に長い熟成時間が必要とされる場合がある。熟成温度が高すぎると、予備発泡粒子中の発泡剤が散逸して成形性が低下する場合がある。
発泡成形体における発泡粒子の嵩発泡倍率は、好ましくは3倍~100倍であり、より好ましくは30倍~90倍であり、さらに好ましくは50倍~70倍である。
以上のようにして、発泡成形体が作製され得る。このようにして得られた発泡成形体は、優れた光沢を有する。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各特性の測定方法および評価方法は以下の通りである。
(1)発泡性粒子の残存単量体含有量
発泡性粒子の残存単量体含有量はガスクロマトグラフィーにより測定した。具体的には以下のとおりである。実施例および比較例で得られた発泡性粒子をそれぞれ1g精秤し、精秤したサンプルに、0.1体積%のシクロペンタノールを含有するジメチルホルムアミド溶液1mLを内部標準液として加えた後、さらに、ジメチルホルムアミドを加えて25mLの測定溶液を調製した。次いで、この測定溶液1.8μLをガスクロマトグラフ(島津製作所社製、商品名「GC-2014」)に供給して測定した。予め測定しておいたスチレン系モノマーの検量線に基づいて、測定溶液中のスチレン系モノマーの量を算出することにより、発泡性粒子の全重量に対する残存単量体含有量(ppm)を算出した。測定条件は以下のとおりである。
<GC測定条件>
検出器:FID
カラム:ジーエルサイエンス社製(φ3mm×2m)
液相:PEG-20MPT25%
担体:Chromosorb WAW-DWCS
メッシュ:60/80
カラム温度:95℃
DET 温度:220℃
検出器温度:220℃
キャリアーガス:窒素
窒素流量:40mL/min
(2)発泡性粒子の表面添加剤含有量
実施例および比較例で得られた発泡性粒子20gを50mL三角フラスコに入れて精秤した。この三角フラスコに試薬特級メタノールを約30mL注加した。密栓後、手でよく振とうし、三角フラスコの内容物をスターラーバーで2時間撹拌し、上澄み液を200メッシュ金網で濾過した。この濾液を入れたビーカーをドラフトチャンバー内で自然乾燥しメタノールを蒸発させ、さらにこのビーカーを恒温乾燥器で120℃2時間乾燥した。乾燥後のビーカーをデシケーター内で放冷し、金網を用いてろ過を行い、抽出物をビーカーに採取後ビーカーごと乾燥させ、乾燥前後のビーカーの重量よりメタノールによって抽出された表面添加剤の量を算出し、表面添加剤含有量とした。計算式は以下の通りである。
表面添加剤含有量(質量%)=m1/m0×100
m0:試料の初期質量
m1:表面添加剤の質量(M1-M0)
M0:ビーカーの初期の質量
M1:表面添加剤とビーカーとの合計質量
(3)発泡性粒子のステアリン酸亜鉛またはステアリン酸マグネシウム含有量
実施例および比較例で得られた発泡性粒子を約1.0g精秤し、50mL三角フラスコに入れた。この三角フラスコに5N塩酸を10mL加えて確実に蓋を閉めて、10分間攪拌した。その後、超純水を20mL加えてさらに20分間攪拌した。三角フラスコ中の不溶分をADVANTEC製 No.7濾紙で濾過した。濾液を試験液として亜鉛元素濃度、マグネシウム元素濃度を下記条件にて測定した。試験液の亜鉛濃度、マグネシウム濃度を検量線より求めて試料中の亜鉛量、マグネシウム量を算出した。さらにこの亜鉛量をステアリン酸亜鉛に、マグネシウム量をステアリン酸マグネシウム量に換算し、試料中の換算ステアリン酸亜鉛量、ステアリン酸マグネシウム量を下式より算出した。
亜鉛量(質量%)=亜鉛濃度(μg/mL)×30(mL)÷試料質量(g)÷10,000
換算ステアリン酸亜鉛量(質量%)=亜鉛量(質量%)×(632.33/65.38)
マグネシウム量(質量%)=マグネシウム濃度(μg/mL)×30(mL)÷試料質量(g)÷10,000
換算ステアリン酸マグネシウム量(質量%)=マグネシウム量(質量%)×(591.26/24.31)
<ICP測定条件>
測定装置:(株)島津製作所製「ICP-9000」マルチタイプICP発光分光分析装置
測定元素:亜鉛(202.548nm)、マグネシウム(285.213nm)
観察方向:軸方向
高周波出力:1.20kw
キャリア流量:0.7mL/min
プラズマ流量:10.0mL/min
補助流量:0.6mL/min
露光時間:30秒
検量線用標準液:米国SPEX社「XSTC-13」汎用混合標準溶液31元素混合(ベース5%HNO)約10mg/L
(4)発泡性粒子のポリエチレングリコール含有量
実施例および比較例で得られた発泡性粒子1.0gを50mL容三角フラスコに精秤した。HPLC用メタノールをホールピペットで20mL注加した。スターラーバーで60分攪拌し、上澄み液を非水系0.20μmクロマトディスクで濾過した。測定条件は下記に示す通りとした。クロマトグラムより得られたPEGピーク面積値を用いて、検量線より試料液中のPEG濃度を求めた。得られた結果から試料表面PEG量を算出した。なお、検量線用標準PEGは(三洋化成工業(株)製 PEG-300)を使用した。
(HPLC測定条件)
装置:Thermo SCIENTIFIC製「Ultimate3000」高速液体クロマトグラフ
カラム:Thermo SCIENTIFIC製 Acclaim RSCL 120 C18 2.2μm(2.1mmI.D.×50mmL)
カラム温度:40℃
移動相:蒸留水/メタノール=15/85
流量:0.5mL/min
ポンプ温度:室温
注入量:2μL
検出器:Thermo SCIENTIFIC製「CAD Corona VeoRS」荷電化粒子検出器
(5)予備発泡粒子の表層部の平均気泡径
平均気泡径は、ASTM D2842-69の試験方法に準拠して測定した。具体的には、実施例および比較例で得られた予備発泡粒子(嵩発泡倍数60倍)の中から、任意に選択した10個について、剃刀刃を用いて予備発泡粒子の中心付近を通る平面で2等分し、その一方の切断面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、「SU1510」)を用いて、予備発泡粒子の中心から半径の50%に相当する円の外側を60倍に拡大して撮影した。次に、撮影した画像をA4用紙上に印刷し、表層部(予備発泡粒子の表面から中心方向に200μmまでの領域)の任意の箇所に長さ60mmの直線を一本描き、この直線上に存在する気泡数から気泡の平均弦長(t1)を下記式により算出した。
平均弦長t1(μm)=60/(気泡数×写真の倍率)
なお、直線を描くにあたっては、できるだけ直線が気泡に点接触することなく貫通した状態となるようにした。また、一部の気泡が直線に点接触してしまう場合には、この気泡も気泡数に含め、さらに、直線の両端部が気泡を貫通することなく、気泡内に位置した状態となる場合には、直線の両端部が位置している気泡も気泡数に含めた。そして、算出された平均弦長t1に基づいて下記式により気泡径を算出した。
平均気泡径D1(μm)=t1/0.616
撮影した画像の任意の3箇所において上述と同様の要領で気泡径を算出し、計5画像分(合計15カ所)の気泡径の相加平均値を予備発泡スチレン系樹脂粒子の平均気泡径とした。
(6)発泡成形体の表層部の平均気泡径
平均気泡径は、ASTM D2842-69の試験方法に準拠して測定した。具体的には以下のとおりである。実施例および比較例で得られた発泡成形体を、剃刀刃を用いて発泡成形体の表面付近の断面が観察できるように切断した。当該切断面を、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、「SU1510」)を用いて50倍に拡大して撮影した。次に、撮影した画像をA4用紙上に印刷し、表層部(発泡成形体の表面から当該表面に垂直な方向の内方(すなわち、厚み方向)500μmまでの領域)の任意の箇所に長さ60mmの直線を一本描き、この直線上に存在する気泡数から気泡の平均弦長(t2)を下記式により算出した。
平均弦長t2(μm)=60/(気泡数×写真の倍率)
なお、直線を描くにあたっては、できるだけ直線が気泡に点接触することなく貫通した状態とし、発泡粒子間を跨がないように粒子一粒内となるようにした。また、一部の気泡が直線に点接触してしまう場合には、この気泡も気泡数に含め、さらに、直線の両端部が気泡を貫通することなく、気泡内に位置した状態となる場合には、直線の両端部が位置している気泡も気泡数に含めた。このようにして算出された平均弦長t2に基づいて下記式により気泡径を算出した。
平均気泡径D2(μm)=t2/0.616
撮影した画像の任意の3箇所において上述と同様の要領で気泡径を算出し、計5画像分(合計15カ所)の気泡径の相加平均値を発泡成形体の表層部の平均気泡径とした。
(7)発泡粒子の表面の単位面積あたりの平均孔数
実施例および比較例で得られた発泡成形体の表面を1cm角程度および厚さ1mm程度に剃刀刃を用いて切り取った。次に、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、「SU1510」)を用いて、発泡成形品表面を構成する発泡粒子を30倍に拡大して撮影した。撮影画像から発泡成形品表面を構成する発泡粒子の表面1mmあたりに発生している20μm以上の気泡破れの孔の数を数え、任意に10箇所測定し平均値とした。測定の際は粒間を測定しないように、発泡成形品表面を構成する発泡粒子の表面上で測定範囲が終了するようにした。
(8)表面粗さRzjis94
実施例および比較例で得られた発泡成形体を24℃設定の恒温室内で24時間静置させた。次に、表面粗さ形状測定機(東京精密社製、商品名「HANDYSURF E-35A」)を用いて平板形状の発泡成形体の表面を構成する発泡粒子の表面粗さ(10点平均粗さRzjis94)を測定した。測定の際は粒間を測定しないように、発泡成形品表面を構成する発泡粒子の表面上で測定範囲が終了するようにした。発泡成形品表面の任意の20箇所について測定し、その平均値を表面粗さ(10点平均粗さRzjis94)とした。測定条件は以下のとおりである。
<表面粗さ測定条件>
ピックアップ型式:E-DT-SM10A
カットオフ値λc:0.25mm
評価長さL:1.4mm
測定値の単位:μm
算出規格:JIS’94
(9)光沢
実施例および比較例で得られた発泡成形体を24℃設定の恒温室内で24時間静置させた。次に、光沢計(堀場製作所社製、「グロスチェッカIG-331」)を用いて、発泡成形品表面の任意の20箇所について、60°計(入射角60°、受光角60°)での光沢度測定を行い、その平均値を光沢度とした。得られた光沢度から、発泡成形体の光沢を以下の基準で評価した。
◎(優良) :27以上
〇(良好) :24~26
△(許容可能):21~23
×(不良) :20以下
[実施例1]
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>
内容量100リットルの攪拌機付き重合容器に、水40000質量部、懸濁安定剤としてリン酸三カルシウム100質量部及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.2質量部を供給し、攪拌しながらスチレン40000質量部並びに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド102質量部及びt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート24質量部を添加し、90℃に昇温して重合した。この温度で反応系を6時間保持し、さらに、125℃に昇温してから2時間後に冷却してスチレン系樹脂粒子を得た。得られたスチレン系樹脂粒子を篩分けし、種粒子として粒子径0.5~0.71mmのスチレン系樹脂粒子を得た。尚、撹拌の回転数については上記粒子径が得られるように調整した。
次に、内容積25リットルの撹拌機付き重合容器に、種粒子2150質量部、ピロリン酸マグネシウム30質量部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0質量部を供給して撹拌しつつ72℃に加熱して分散液を調製した。次いで、ベンゾイルパーオキサイド31質量部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート8質量部、気泡調整剤としてジドデシル3,3’-チオジプロピオネート0.7質量部をスチレン786質量部およびアクリル酸ブチル137質量部の単量体混合物に溶解させた溶液を、上記分散液に撹拌しながら供給した。溶液をすべて供給した後、反応系を72℃で60分間維持した。次いで、反応系を87℃まで1時間で昇温させながらスチレン2346質量部を一定供給し、さらに、87℃で1時間30分保持しながらスチレン3744質量部にジビニルベンゼンを2.7質量部溶解した単量体混合物を一定供給し、さらに30分保持した。次いで、反応系を125℃まで昇温し、且つ30分保持することで未反応の単量体を反応させた。次いで、反応系を100℃まで冷却し、重合容器内にシクロヘキサン92質量部、アジピン酸ジイソブチル82質量部、スチレン45質量部、混合ブタン640質量部を圧入して2時間に亘って保持した後、重合容器内を25℃に冷却して発泡性粒子を得た。
得られた発泡性粒子に表面添加剤を塗布した。表面添加剤は、発泡性粒子100質量部に対し、ステアリン酸亜鉛0.15質量部、ステアリン酸トリグリセライド0.07質量部、ステアリン酸モノステアレート0.05質量部、ポリエチレングリコール0.08質量部および中鎖脂肪酸トリグリセリド0.01質量部を含むよう調製した。
<予備発泡スチレン系樹脂粒子の製造>
上記表面添加剤を塗布した発泡性粒子を13℃の恒温室にて5日間放置した。次いで、発泡性粒子を加熱して嵩密度0.0166g/cm(嵩発泡倍数60倍)に予備発泡させて予備発泡粒子を得た。
<スチレン系樹脂発泡成形体の製造>
上記で得られた予備発泡粒子を20℃で24時間熟成させた。次いで、予備発泡粒子を室温雰囲気下で24時間放置した後、型内発泡成形を行った。型内発泡成形には積水工機社製のACE-3SP成形機を用い、400mm×300mm×30mmに発泡成形した。加熱時間は一方加熱時間8秒、逆一方加熱時間2秒、両面加熱時間5秒とし、成形圧(蒸気吹き込みゲージ圧)を0.06MPaとした。これにより、発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を上記(9)の評価に供した。結果を表1に示す。なお、表1における「脂肪族化合物」は、5℃において液体である脂肪族化合物(本実施例では中鎖脂肪酸トリグリセリド)を表す。
[実施例2]
気泡調整剤としてジドデシル3,3’-チオジプロピオネート0.98質量部を用いたこと、発泡剤含浸の際に重合容器内にシクロヘキサン92質量部、アジピン酸ジイソブチル82質量部、スチレン49質量部、混合ブタン640質量部を圧入したこと以外は実施例1と同様にして、発泡性粒子を得た。発泡性粒子100質量部に対し、ステアリン酸亜鉛0.18質量部、ステアリン酸トリグリセライド0.03質量部、ポリエチレングリコール0.03質量部、中鎖脂肪酸トリグリセリド0.02質量部を含む表面添加剤を、発泡性粒子に塗布した。この発泡性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例3]
気泡調整剤としてジドデシル3,3’-チオジプロピオネート0.77質量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、発泡性粒子を得た。発泡性粒子100質量部に対し、ステアリン酸亜鉛0.15質量部、ステアリン酸モノステアレート0.05質量部、ポリエチレングリコール0.08質量部、中鎖脂肪酸トリグリセリド0.03質量部を含む表面添加剤を、発泡性粒子に塗布した。この発泡性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例4]
気泡調整剤としてジドデシル3,3’-チオジプロピオネート1.40質量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、発泡性粒子を得た。発泡性粒子100質量部に対し、ステアリン酸亜鉛0.18質量部、ステアリン酸トリグリセライド0.03質量部、ポリエチレングリコール0.03質量部、中鎖脂肪酸トリグリセリド0.02質量部を含む表面添加剤を、発泡性粒子に塗布した。この発泡性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例5]
気泡調整剤としてジドデシル3,3’-チオジプロピオネート1.54質量部を用いたこと、ならびに、発泡剤含浸の際に重合容器内にシクロヘキサン92質量部、アジピン酸ジイソブチル82質量部、スチレン52質量部、混合ブタン640質量部を圧入したこと以外は実施例1と同様にして、発泡性粒子を得た。発泡性粒子100質量部に対し、ステアリン酸亜鉛0.18質量部、ステアリン酸トリグリセライド0.03質量部、ポリエチレングリコール0.03質量部、中鎖脂肪酸トリグリセリド0.02質量部を含む表面添加剤を、発泡性粒子に塗布した。この発泡性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例6]
気泡調整剤としてジドデシル3,3’-チオジプロピオネート1.44質量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、発泡性粒子を得た。発泡性粒子100質量部に対し、ステアリン酸亜鉛0.18質量部、ステアリン酸トリグリセライド0.03質量部、ポリエチレングリコール0.03質量部、中鎖脂肪酸トリグリセリド0.02質量部を含む表面添加剤を、発泡性粒子に塗布した。この発泡性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例7]
発泡剤含浸の際に重合容器内にシクロヘキサン92質量部、アジピン酸ジイソブチル82質量部、スチレン2質量部、混合ブタン640質量部を圧入したこと以外は実施例1と同様にして、発泡性粒子を得た。以下の手順は実施例1と同様にして、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例8]
発泡剤含浸の際に重合容器内にシクロヘキサン92質量部、アジピン酸ジイソブチル82質量部、スチレン7質量部、混合ブタン640質量部を圧入したこと以外は実施例1と同様にして、発泡性粒子を得た。以下の手順は実施例1と同様にして、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例9]
発泡剤含浸の際に重合容器内にシクロヘキサン92質量部、アジピン酸ジイソブチル82質量部、スチレン30質量部、混合ブタン640質量部を圧入したこと以外は実施例1と同様にして、発泡性粒子を得た。以下の手順は実施例1と同様にして、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例10]
発泡剤含浸の際に重合容器内にシクロヘキサン92質量部、アジピン酸ジイソブチル82質量部、スチレン90質量部、混合ブタン640質量部を圧入したこと以外は実施例1と同様にして、発泡性粒子を得た。以下の手順は実施例1と同様にして、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例11]
発泡剤含浸の際に重合容器内にシクロヘキサン92質量部、アジピン酸ジイソブチル82質量部、スチレン70質量部、混合ブタン640質量部を圧入したこと以外は実施例1と同様にして、発泡性粒子を得た。発泡性粒子100質量部に対し、ステアリン酸亜鉛0.15質量部、ステアリン酸トリグリセライド0.04質量部、ステアリン酸モノステアレート0.05質量部、ポリエチレングリコール0.08質量部、中鎖脂肪酸トリグリセリド0.04質量部を含む表面添加剤を、発泡性粒子に塗布した。この発泡性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例12]
発泡剤含浸の際に重合容器内にシクロヘキサン92質量部、アジピン酸ジイソブチル82質量部、スチレン70質量部、混合ブタン640質量部を圧入したこと以外は実施例1と同様にして、発泡性粒子を得た。発泡性粒子100質量部に対し、ステアリン酸亜鉛0.025質量部、ポリエチレングリコール0.02質量部、中鎖脂肪酸トリグリセリド0.01質量部を含む表面添加剤を、発泡性粒子に塗布した。この発泡性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例13]
表面添加剤においてステアリン酸亜鉛の代わりにステアリン酸マグネシウムを使用したこと以外は実施例1と同様にして、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例14]
実施例1と同様にして発泡性粒子を得た。発泡性粒子100質量部に対し、ステアリン酸亜鉛0.15質量部、ステアリン酸トリグリセライド0.07質量部、ステアリン酸モノステアレート0.05質量部、ポリエチレングリコール0.08質量部を含む表面添加剤を、発泡性粒子に塗布した。この発泡性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例1]
気泡調整剤としてジドデシル3,3’-チオジプロピオネート0.98質量部を用いたこと、ならびに、発泡剤含浸の際に重合容器内にシクロヘキサン92質量部、アジピン酸ジイソブチル82質量部、スチレン1.5質量部、混合ブタン640質量部を圧入したこと以外は実施例1と同様にして、発泡性粒子を得た。発泡性粒子100質量部に対し、ステアリン酸亜鉛0.015質量部、ステアリン酸トリグリセライド0.5質量部、ステアリン酸モノステアレート0.05質量部を含む表面添加剤を、発泡性粒子に塗布した。この発泡性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例2]
気泡調整剤としてジドデシル3,3’-チオジプロピオネート1.40質量部を用いたこと、ならびに、発泡剤含浸の際に重合容器内にシクロヘキサン92質量部、アジピン酸ジイソブチル82質量部、スチレン135質量部、混合ブタン640質量部を圧入したこと以外は実施例1と同様にして、発泡性粒子を得た。発泡性粒子100質量部に対し、ステアリン酸亜鉛0.015質量部、ステアリン酸トリグリセライド0.07質量部、ポリエチレングリコール0.23質量部、中鎖脂肪酸トリグリセリド0.4質量部を含む表面添加剤を、発泡性粒子に塗布した。この発泡性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例3]
気泡調整剤としてジドデシル3,3’-チオジプロピオネート1.40質量部を用いたこと、ならびに、発泡剤含浸の際に重合容器内にシクロヘキサン92質量部、アジピン酸ジイソブチル82質量部、スチレン45質量部、混合ブタン640質量部を圧入したこと以外は実施例1と同様にして、発泡性粒子を得た。発泡性粒子100質量部に対し、ステアリン酸亜鉛0.015質量部、ステアリン酸トリグリセライド0.07質量部、ポリエチレングリコール0.23質量部、中鎖脂肪酸トリグリセリド0.4質量部を含む表面添加剤を、発泡性粒子に塗布した。この発泡性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
Figure 2022027403000001
表1から明らかなように、本発明の実施例によれば、スチレン系樹脂発泡成形体を形成する予備発泡スチレン系樹脂粒子の表層部の平均気泡径と当該発泡成形体を構成する発泡スチレン系樹脂粒子の表面の単位面積あたりの平均孔数とを所定範囲に制御することにより、優れた光沢を有するスチレン系樹脂発泡成形体を実現することができる。
本発明の実施形態によるスチレン系樹脂発泡成形体は、住宅および自動車等に用いる断熱材、建築資材等に用いる保温材、魚箱および食品容器等の輸送用梱包材、緩衝材等に好適に用いられる。スチレン系樹脂発泡成形体は、より具体的には、壁用断熱材、床用断熱材、屋根用断熱材、自動車用断熱材、温水タンク用保温材、配管用保温材、ソーラーシステム用保温材、給湯器用保温材、食品および工業製品等の容器、魚および農産物等の梱包材、盛土材、畳の芯材等に好適に用いられる。

Claims (11)

  1. 予備発泡スチレン系樹脂粒子を発泡させた発泡スチレン系樹脂粒子を含有し、互いに融着した複数の該発泡スチレン系樹脂粒子により構成された、スチレン系樹脂発泡成形体であって、
    該スチレン系樹脂発泡成形体の表面に存在する該発泡スチレン系樹脂粒子の表面の平均孔数が20個/mm未満である、
    スチレン系樹脂発泡成形体。
  2. 前記スチレン系樹脂発泡成形体の表面に存在する前記発泡スチレン系樹脂粒子の表面粗さRzjis94が、1μm~25μmである、請求項1に記載のスチレン系樹脂発泡成形体。
  3. 前記スチレン系樹脂発泡成形体の表層部の平均気泡径が、25μm~250μmである、請求項1または2に記載のスチレン系樹脂発泡成形体。
  4. 前記予備発泡スチレン系樹脂粒子を形成する発泡性スチレン系樹脂粒子の残存単量体含有量が200ppm~10000ppmであり、かつ、該発泡性スチレン系樹脂粒子における表面添加剤の含有量が0.05重量%~0.5重量%である、請求項1から3のいずれかに記載のスチレン系樹脂発泡成形体。
  5. 前記表面添加剤がポリエチレングリコールを含み、前記発泡性スチレン系樹脂粒子における該ポリエチレングリコールの含有量が0.01重量%~0.1重量%である、請求項4に記載のスチレン系樹脂発泡成形体。
  6. 前記表面添加剤が5℃において液体である脂肪族化合物を含み、前記発泡性スチレン系樹脂粒子における該脂肪族化合物の含有量が0.01重量%~0.3重量%である、請求項4または5に記載のスチレン系樹脂発泡成形体。
  7. 前記5℃において液体である脂肪族化合物が中鎖脂肪酸トリグリセリドである、請求項6に記載のスチレン系樹脂発泡成形体。
  8. 前記表面添加剤が高級脂肪酸の金属塩を含み、前記発泡性スチレン系樹脂粒子における該高級脂肪酸の金属塩の含有量が0.0025重量%~0.475重量%である、請求項4から7のいずれかに記載のスチレン系樹脂発泡成形体。
  9. 前記高級脂肪酸の金属塩がステアリン酸亜鉛およびステアリン酸マグネシウムから選択される少なくとも1つである、請求項8に記載のスチレン系樹脂発泡成形体。
  10. 発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法であって、
    スチレン系単量体を重合させる工程と、
    重合と同時または重合後に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得る工程と、
    該発泡性粒子に、ポリエチレングリコールおよび/または5℃において液体である脂肪族化合物を含む表面添加剤を塗布する工程と、
    を含む、製造方法。
  11. 請求項10に記載の製造方法により得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を用いる、請求項1から9のいずれかに記載のスチレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
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