JP2022027036A - 車両の自動緊急通報システム - Google Patents
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Abstract
Description
しかも、本発明では、車両は、車両に設けられる判断手段により、通信端末とサーバ装置との通信の良否を判断し、それに応じて緊急時で送信する情報を切り換える。具体的には、サーバ装置との通信状態が良好であると判断されている状態で車両の緊急事態の発生が検出された場合には、車両の緊急事態についての緊急情報とともにリッチ情報を送信する。これに対し、サーバ装置との通信状態が良好であるとは判断されない状態で車両の緊急事態の発生が検出された場合には、緊急情報を送信する。たとえば衝突検出の際の緊急情報は、衝突時の乗員傷害に関連する情報として、車両への衝撃の強さ若しくは方向の情報、車両での乗員保護装置の動作の情報、多重衝突の有無の情報、衝突検出の地点若しくは時刻の情報、車両の車種、色、若しくは特徴の情報、事故時の撮像画像、の中の少なくとも1つを含む、ものでよい。これにより、車両の緊急事態の発生が検出された際にサーバ装置との通信状態が良好であるとは判断されない状態において、緊急情報のみを送信して、リッチ情報を送信しないようにできる。良好であるとは判断されないサーバ装置との通信状態において緊急情報とともにリッチ情報を送信しようとした場合での大量の情報の送信により、緊急情報の送信完了が遅れたり、緊急情報が正しくサーバ装置へ送信されなくなったりしてしまうことを効果的に防止できる。サーバ装置は、車両との通信回線の状態が良好であるとは判断されない場合でも、少なくとも緊急事態の発生を告げる緊急情報を、車両において緊急事態が発生した時において遅滞なく即時的に受信することができる。
また、本発明では、このように緊急時におけるリッチ情報が得られない場合でも、サーバ装置は、通常時における事前に最新のリッチ情報を受信できているため、緊急情報に加え、この緊急事態発生前に取得しているリッチ情報と緊急情報とを併せて用いて、車両の緊急事態についての緊急情報だけでは正確に判断することが難しい緊急時の状態を推定して判断することができる。この場合、緊急時におけるリッチ情報が得られないため、事故後の乗員状態等の詳細な情報は得られないが、事前に取得したリッチ情報の一部である、事故前の通常時の乗員状態等の詳細な情報を活用することで、サーバ装置との通信状態が良好であるとは判断されない状態においてもリッチ情報の一部を用いて、単に緊急情報のみを取得するよりも正確に緊急時の状態を推定することができる。
このように車両の通信端末とサーバ装置との間の通信状態に適応させて、緊急時に車両の通信端末からサーバ装置へ送信しようとする情報の量を増減させることにより、車両の通信端末は、車両と通信する基地局といった社会設備の充実度に制限されることなく、緊急時にサーバ装置において有用となるリッチな情報を送信することができる。
図1の自動緊急通報システム1は、自動車10などによる道路の事故を管理する機関のコールセンタで使用するサーバ装置2、消防などの救命出動部隊で使用するクライアント端末3、複数の自動車10に設けられる自動通報装置4、および、これらに通信回線を提供する無線通信ネットワーク5、を有する。無線通信ネットワーク5は、自動通報装置4などの無線端末と通信するためにたとえば道路に沿って地域に分散して設けられる基地局6、複数の基地局6を接続する通信網7、を有する。基地局6は、通信可能なゾーン内の複数の無線端末が接続されるアクセスポイントとして機能する。そして、図中の複数の基地局6は、自動車10が右から左へ向かって走行することにより、高速大容量の通信が可能な新型のものから、通常通信が可能な従来型のものへ変化する。高速大容量の通信が可能な基地局6は、たとえば5G方式のものである。通常通信が可能な従来型の基地局6は、たとえば4G方式のものである。このような通信方式の境界は、たとえば都市部と郊外部との境界、高速道路と一般道との境界、などにおいて生じ得る。図1の通信網7には、コールセンタのサーバ装置2、救命出動部隊のクライアント端末3、が接続される。
このような事故発生時の自動車10の自動緊急通報システム1には、たとえばAACN(Advanced Automatic Collision Notification)がある。AACNでは、事故に遭った自動車10からコールセンタのサーバ装置2へ即時的に自動的な事故情報が送信される。自動車10は、緊急事態が発生した場合に自動車10からサーバ装置2へ自動的に緊急情報を送信する。この通報に基づいて、コールセンタの出動要請に基づいて救命出動部隊が救急車11やドクターヘリを出動させる。コールセンタは、事故の状況に応じた救命出動部隊を選択して出動要請を出すことができる。救急車11やドクターヘリは、事故の状況を把握している状態で、事故現場へ向かって出動できる。これにより、事故の当事者に対して、適切な救命処理を、短いリードタイムで即座的に提供することが可能となる。
また、図1には、GNSS衛星110が図示されている。図1の各装置は、複数のGNSS衛星110の緯度、経度の位置情報および時刻情報を含む電波を受信することにより、自身の位置および時刻を得ることが可能である。そして、複数の装置は、互いに協働している複数のGNSS衛星110から電波を受信することにより、それぞれの現在時刻などを高い精度で一致させることができる。共通の時刻を使用することができる。事故などの緊急事態の発生時間の信頼性を高めることができる。
図2のサーバ装置2は、サーバ通信デバイス91、サーバメモリ92、サーバCPU93、サーバGNSS受信機94、サーバモニタ95、サーバ通話デバイス96、および、これらが接続されるサーババス97、を有する。
サーバGNSS受信機94は、GNSS衛星110の電波を受信して、現在時刻を得る。サーバ装置2は、サーバGNSS受信機94の現在時刻により校正される不図示のサーバタイマを備えてよい。
サーバモニタ95は、サーバ装置2の情報を表示する。サーバモニタ95は、たとえば、事故などに遭った自動車10から受信した情報を表示する。
サーバ通話デバイス96は、コールセンタの作業員が、サーバ通信デバイス91を用いて、たとえば自動車10の後述する外通信端末60との間に、通話のための回線を確立する。これにより、コールセンタの作業員は、自動車10の乗員と通話することができる。
サーバメモリ92は、コンピュータ読取可能な記録媒体であり、サーバCPU93が実行するプログラム、設定値、などが記録される。サーバメモリ92には、サーバCPU93による制御内容の情報が記録されてよい。サーバCPU93は、サーバメモリ92からプログラムを読み込んで実行する。これにより、サーバ装置2には、サーバ制御部が実現される。サーバ制御部としてのサーバCPU93は、サーバ装置2の全体的な動作を管理する。
図3のクライアント端末3は、クライアント通信デバイス101、クライアントメモリ102、クライアントCPU103、クライアント報知デバイス104、クライアントGNSS受信機105、クライアントモニタ106、クライアント通話デバイス107、および、これらが接続されるクライアントバス108、を有する。
クライアントGNSS受信機105は、GNSS衛星110の電波を受信して、現在時刻を得る。クライアント端末3は、クライアントGNSS受信機105の現在時刻により校正される不図示のサーバタイマを備えてよい。
クライアントモニタ106は、クライアント端末3の情報を表示する。クライアントモニタ106は、たとえば、サーバ装置2から受信する出動要請などを表示する。
クライアント報知デバイス104は、出動部隊の隊員に対して、出動要請音を出力する。
クライアント通話デバイス107は、出動部隊の隊員が、クライアント通信デバイス101を用いて接続されている携帯端末のユーザとの間で通話するために使用される。
クライアントメモリ102は、コンピュータ読取可能な記録媒体であり、クライアントCPU103が実行するプログラム、設定値、などが記録される。クライアントメモリ102には、クライアントCPU103による制御内容の情報が記録されてよい。クライアントCPU103は、クライアントメモリ102からプログラムを読み込んで実行する。これにより、クライアント端末3には、クライアント制御部が実現される。クライアント制御部としてのクライアントCPU103は、クライアント端末3の全体的な動作を管理する。
図4の自動車10の制御系20は、複数の制御装置が、それぞれに組み込まれる制御ECU(Electronic Control Unit)により代表して示されている。制御装置は、制御ECUの他に、たとえば制御プログラムおよびデータを記録するメモリ、制御対象物またはその状態検出装置と接続される入出力ポート、時間や時刻を計測するタイマ、およびこれらが接続される内部バス、を有してよい。
図4に示される制御ECUは、具体的にはたとえば、駆動ECU21、操舵ECU22、制動ECU23、走行制御ECU24、運転操作ECU25、検出ECU26、外通信ECU27、内通信ECU28、UI操作ECU29、乗員保護ECU30、である。自動車10の制御系20は、図示しない他の制御ECUを備えてよい。
検出ECU26からの他の対象物との衝突の予測情報、または衝突検出結果の情報に基づき、乗員保護ECU30はシートベルト装置やエアバッグ装置を作動させる、または制御する。
乗員保護メモリ87は、コンピュータ読取可能な記録媒体であり、乗員保護ECU30が実行するプログラム、設定値、などが記録される。乗員保護メモリ87には、乗員保護ECU30による制御内容の情報が記録されてよい。乗員保護ECU30は、乗員保護メモリ87からプログラムを読み込んで実行する。これにより、乗員保護ECU30は、自動車10の乗員保護制御部として機能し得る。
しかしながら、このように事故に遭った自動車10から、事故時の乗員保護装置の動作状態、位置、事故での衝撃の入力方向および強さといった事故時の緊急情報を送信したとしても、サーバ装置2は、発生している事故に良好に対応した緊急出動を要請することができない可能性がある。サーバ装置2は、たとえば事故での衝撃の入力方向および強さと乗員保護装置の動作状態とにより、乗員の事故後の状態をおおよその確からしさで推定することは可能であるが、それが各事故についての乗員の事故後の状態を正確に推定していることにはならない。たとえば乗員が正しい姿勢で着座していない状態で事故が発生した場合、乗員が正しい乗車姿勢で事故に合ったと推定して事故の影響を判断したとしても、実際に乗員に生じている事故の影響を正しく判断していることにはならない。
このような事態に対応できるようにするためには、たとえば事故時や事故後の内外の撮像画像などを、自動車10からサーバ装置2へ送信するとよい。事故時や事故後の撮像画像があると、たとえば乗員の傷害の状態や車室変形箇所やその程度などを判別できる情報から、事故時の緊急通報と組み合わせて、より詳細な状況を判別することで事故の影響を判断、推定することができる。また、事故前の撮像画像があると、サーバ装置2は、事故直前での乗員の乗車姿勢を判断し、その上で事故時の緊急情報から事故の影響をより確からしく判断することが可能となる。なお、事故時の撮像画像や、事故後の撮像画像などについても、事故時の緊急情報と組み合わせて使用することができる。
その結果、自動車10には、このような大量の情報を常に送信できる状態で走行することが求められる。たとえば、自動車10は、4G方式の基地局6ではなく、5G方式の基地局6との間で通信可能な状態を維持して走行することが求められる。
その一方で、自動車10と通信する基地局6といった社会設備の充実度については、限界がある。たとえば、郊外の交通量が極めて少ない道路に沿って、大量の情報を通信可能な5G方式の基地局6を設置することは現実的ではない。このような地域では、広域のゾーンを管理できる従前型の4G方式の基地局6を設置することが経済的である。
自動車10の緊急通報は、このような通信環境においても、必要な情報をサーバ装置2へ送信し、可能な限りの情報を活用しより良い事故の影響を判断できるようにすることが望ましい。
そこで、通信環境がサーバ装置との通信状態が良好であるとは判断されない状態で車両の緊急事態の発生が検出された場合でも、通信状態が良好でなくても送信可能な少量の情報である緊急情報に加えて、緊急事態の発生の検出前に通信状態が良好であると判断されている状態の時点で送信済みの情報を活用することで、事故時の大量の情報の送信を避け、緊急情報の確実な送信を優先しつつ、より詳細に事故の影響を判断することが考えられる。
次に、本実施形態での、上述した課題を解消し得る手段について説明する。
自動車10の制御系20に設けられるたとえば外通信ECU27は、自動車10の走行中に図5の処理を周期的に繰り返して実行する。なお、図5の処理は、外通信ECU27以外の制御ECU、たとえば乗員保護ECU30が自動車10の走行中に周期的に繰り返して実行してよい。
ここで、リッチ情報は、緊急事態の検出に基づく緊急情報とは異なり、緊急事態とは必ずしも関連づけられずに収集してサーバ装置2へ送信されるものである。サーバ装置2へ送信されるリッチ情報は、少なくとも緊急事態になる前の自動車10の情報であり、さらに緊急時の自動車10の情報または緊急事態の後の自動車10の情報を含んでもよい。外通信ECU27は、図5の周期的な処理により通常時、緊急時、および緊急時の後においても、収集タイミングが異なるこれらのリッチ情報をサーバ装置2へ送信し得る。リッチ情報は、具体的にはたとえば自動車10での乗員の乗車状態の情報、自動車10の状態の情報、最新の走行地点若しくは時刻の情報、自動車10の車種、色、若しくは特徴の情報、が含まれる。乗員の乗車状態の情報には、乗員の乗車人数、着座位置、シートベルト状態、性別、氏名、などが含まれてよい。リッチ情報には、内カメラによる車内の撮像画像が含まれてよい。内カメラの撮像画像には、乗車している乗員の体格などが撮像され得る。
緊急情報は、たとえばAACNによるシステムであれば、AACNで送信することが規格化されている事故時情報である。この場合、リッチ情報は、AACNで送信することが規格化されている事故時情報以外の事故状況の判断に用いることができる付加的な情報でよい。
自動車10の制御系20に設けられる乗員保護ECU30は、自動車10の走行中に図6の処理を周期的に繰り返して実行する。そして、自動車10の緊急の際には、乗員保護ECU30は、送信装置を用いたサーバ装置2への自動的な緊急情報の送信を制御する。なお、図6の処理は、乗員保護ECU30以外の制御ECU、たとえば外通信ECU27が自動車10の走行中に周期的に繰り返して実行してよい。
また、乗員保護ECU30は、その他の処理を実行してもよい。たとば、乗員保護ECU30は、エアバッグ装置についてのプリ展開などを実行してよい。
なお、本実施形態では、ステップST4で衝突を検出した後に乗員保護制御を実行しているが、ステップST1で衝突を予測した後のステップST2の事前制御の段階で乗員保護制御を実施しても良い。
なお、緊急情報は、外通信ECU27により収集されてもよい。
図7は、高速大容量通信ゾーンを走行していた自動車10が通常通信ゾーンへ移動して事故に遭った場合の例である。
図7には、自動車10の自動通報装置4としての制御系20、コールセンタのサーバ装置2、出動部隊のクライアント端末3、が示されている。時間は、上から下へ流れる。
ステップST14において、衝突を検出した自動車10の乗員保護ECU30は、乗員の保護処理を実行する。
ステップST15において、乗員の保護制御を実行した自動車10の乗員保護ECU30または外通信ECU27は、事故情報を収集する。事故情報は、基本的に、上述したAACNで収集する情報としてよい。AACNでは、事故時の乗員保護装置80の動作状態、位置、事故での衝撃の入力方向および強さといった事故情報を収集する。
ステップST19において、自動車10の外通信ECU27は、事故検出に基づいて収集した事故情報についての自動通報を実行する。
なお、ここでサーバ通信デバイス91は、事故に遭った自動車10から、ステップST19の緊急情報のみを受信している場合、情報に含まれる車両IDなどに基づいてすでに受信している同じ車両IDの最も新しいリッチ情報を取得する。
ステップST28において、コールセンタのサーバ装置2のサーバCPU93は、事故に遭った自動車10の外通信ECU27と通信する。ステップST29において、自動車10の乗員保護ECU30は、音声通話に応答する。これにより、サーバ通話デバイス96と自動車10のたとえばマイクロホン55との間に、通話が可能な通話回線が確立する。コールセンタの作業員は、音声により乗員の安否および健康状態を確認する。これにより、事故に遭った自動車10に乗車している乗員の怪我の程度といった状態を直接的に確認できる。コールセンタの作業員は、確認結果を、サーバ装置2に入力してよい。
ステップST30において、コールセンタのサーバ装置2のサーバCPU93は、事故の状況を推定する。サーバCPU93は、サーバ通信デバイス91が受信した自動通報の情報と、コールセンタの作業員の入力情報とに基づいて、状況を推定してよい。サーバCPU93は、過去の事故情報と照合して、人工知能的な処理により、事故の状況を推定してよい。また、コールセンタの作業員が、状況を総合的に勘案して状況を推定し、推定結果をサーバ装置2へ入力してもよい。
ここで、サーバ通信デバイス91は、事故時の緊急情報に加えて、それとともにまたは事前に自動車10の状態についてのリッチ情報を受信している。サーバCPU93は、たとえば、事故前のリッチ情報に含まれる撮像画像に基づいて事故前の乗員の乗車姿勢を具体的に判断し、その乗車姿勢と事故時の緊急情報とを用いて実際の乗車姿勢に応じた事故の状況を判断する。
特に、サーバ通信デバイス91は、事故前に通常通信ゾーンではなく高速大容量通信ゾーンを走行していた自動車10からは、事故時の緊急情報とともに、少なくとも事故前の自動車10の状態についてのリッチ情報を受信できる。この場合、サーバCPU93は、事故直前のリッチ情報に含まれる撮像画像に基づいて事故直前の乗員の乗車姿勢を判断できる。サーバCPU93は、事故直前での状態をより確からしく判断できる。
ステップST31において、コールセンタのサーバ装置2のサーバCPU93は、出動を手配する。サーバCPU93は、サーバ通信デバイス91を用いて、出動部隊のクライアント端末3へ出動要請を送信する。サーバCPU93は、コールセンタの作業員の操作に基づいて、出動要請を送信してもよい。
ステップST33において、出動部隊のクライアント端末3のクライアントCPU103は、出動を報知する。クライアントCPU103は、クライアント通信デバイス101が出動要請を受信したことに基づいて、クライアント報知デバイス104から出動要請音を出力する。また、クライアントCPU103は、クライアントモニタ106に、出動要請の画面を表示してよい。出動要請の画面には、自動通報の情報や、コールセンタの作業員の入力情報が、表示されてよい。
ステップST34において、出動部隊の隊員は、出動する。出動部隊の隊員は、出動要請音および出動要請の画面により、自隊に向けて出動要請があったことを把握して、ドクターヘリや救急車11を用いて緊急出動することができる。ドクターヘリや救急車11は、事故の状況に応じた救急装備により、事故現場へ急行することができる。
しかも、本実施形態では、自動車10は、自動車10に設けられる判断手段により、通信端末とサーバ装置2との通信回線の良否を判断し、それに応じて緊急時で送信する情報を切り換える。具体的には、サーバ装置2との通信回線の状態が良好であると判断されている状態で自動車10の衝突といった緊急事態の発生が検出された場合には、自動車10の衝突に関する緊急事態についての緊急情報とともにリッチ情報を送信する。これに対し、サーバ装置2との通信回線の状態が良好であるとは判断されない状態で自動車10の衝突といった緊急事態の発生が検出された場合には、緊急情報のみを送信する。衝突検出の際の最小限の緊急情報は、たとえば、衝突時の乗員傷害に関連する情報として、自動車10への衝撃の強さ若しくは方向の情報、自動車10での乗員保護装置の動作の情報、多重衝突の有無の情報、衝突検出の地点若しくは時刻の情報、自動車10の車種、色、若しくは特徴の情報、事故時の衝突ごとの内外の撮像画像、の中の少なくとも1つを含んでよい。これにより、自動車10の衝突といった緊急事態の発生が検出された際に、サーバ装置2との通信回線の状態が良好であるとは判断されない状態において、緊急情報のみを送信して、リッチ情報を送信しないようにできる。良好であるとは判断されないサーバ装置2との通信回線の状態において緊急情報とともにリッチ情報を送信しようとした場合での大量の情報の送信により緊急情報の送信完了が遅れたり、緊急情報が正しくサーバ装置2へ送信されなくなったりしてしまうことを効果的に防止できる。サーバ装置2は、自動車10との通信回線の状態の良否に関わらず、緊急事態の発生を告げる緊急情報を、自動車10において緊急事態が検出された時において遅滞なく即時的に受信することができる。
また、本実施形態では、サーバ装置2は、緊急時の受信においてリッチ情報が得られれない場合でも、それ以前の通常時において事前に最新のリッチ情報を受信できているため、この緊急発生前に取得しているリッチ情報と緊急時に取得している緊急情報とを併せて用いて、最小限の緊急情報だけでは正確に判断することが難しい緊急時の状態を推定して判断することができる。サーバ装置2は、通信端末とサーバ装置2との通信回線の状態によらずに、緊急情報だけでは正確に判断することが難しい緊急時の状態を判断することができる。
このように自動車10の通信端末とサーバ装置2との間の通信状態に適応させて、緊急時に自動車10の通信端末からサーバ装置2へ送信しようとする情報の量を増減させることにより、自動車10の外通信端末60は、自動車10と通信する基地局6といった社会設備の充実度に制限されることなく、緊急時にサーバ装置2において有用となるリッチな情報を送信することができる。
Claims (5)
- 車両において緊急事態が発生した場合に前記車両の通信端末からサーバ装置へ自動的に緊急情報を送信する車両の自動緊急通報システムであって、
前記車両に設けられ、前記通信端末と前記サーバ装置との通信の良否を判断する判断手段と、
前記判断手段により前記サーバ装置との通信状態が良好であると判断される前記車両の通常時において、前記サーバ装置で使用可能なリッチ情報を前記通信端末から送信する通常時送信手段と、
前記車両の緊急事態の発生を検出する検出手段と、
前記車両の緊急事態の発生が検出された後に、前記車両の緊急事態についての緊急情報を前記通信端末から前記サーバ装置へ送信する緊急時送信手段と、
を有し、
前記緊急時送信手段は、
前記判断手段により前記サーバ装置との通信状態が良好であると判断されている状態で前記車両の緊急事態の発生が検出された場合、前記車両の緊急事態についての前記緊急情報とともに前記リッチ情報を送信し、
前記判断手段により前記サーバ装置との通信状態が良好であるとは判断されない状態で前記車両の緊急事態の発生が検出された場合、前記緊急情報を送信する、
車両の自動緊急通報システム。
- 前記緊急時送信手段は、前記緊急情報として、前記通常時送信手段が前記リッチ情報として送信していない情報を送信する、
請求項1記載の、車両の自動緊急通報システム。
- 通常時および緊急時の前記車両において、前記サーバ装置へ送信するための前記リッチ情報および前記緊急情報を収集する収集手段、を有し、
前記通常時送信手段は、通常時の前記車両において前記収集手段が収集した前記リッチ情報を前記サーバ装置へ送信し、
前記緊急時送信手段は、前記サーバ装置との通信状態に応じて、緊急時の前記車両において、少なくとも、前記収集手段が収集した未送信の前記緊急情報を送信する、
請求項1または2記載の、車両の自動緊急通報システム。
- 衝突検出の際の前記緊急情報は、衝突時の乗員傷害に関連する情報として、前記車両への衝撃の強さ若しくは方向の情報、前記車両での乗員保護装置の動作の情報、多重衝突の有無の情報、衝突検出の地点若しくは時刻の情報、前記車両の車種、色、若しくは特徴の情報、事故時の撮像画像、の中の少なくとも1つを含む、
請求項1から3のいずれか一項記載の、車両の自動緊急通報システム。
- 前記サーバ装置で使用可能なリッチ情報は、前記車両での乗員の乗車状態の情報、前記車両の状態の情報、最新の走行地点若しくは時刻の情報、前記車両の車種、色、若しくは特徴の情報、最新の撮像画像、の中の少なくとも1つを含む、
請求項1から4のいずれか一項記載の、車両の自動緊急通報システム。
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