JP2022026457A - ポリウレタンフォームおよび床用マット - Google Patents

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Abstract

【課題】適度に高い硬度を示しつつも、優れた反発弾性を発揮可能なポリウレタンフォーム、上記ポリウレタンフォームよりなるウレタン層を備える床用マットを提供する。【解決手段】ポリウレタンフォームは、ポリオール成分、およびイソシアネート成分を含むポリウレタンフォームであり、前記ポリウレタンフォームは、C硬度が70以上78以下であり、反発弾性率が50%以上85%以下であり、かつ見掛け密度が0.40g/cm3以上0.65g/cm3以下であることを特徴とし、かつ床用マット100は、上記ポリウレタンフォームよりなるウレタン層10を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリウレタンフォームおよび床用マットに関する。
工場や店舗などにおける長時間の立ち作業で、足腰を悪くする人が多くいることが知られる。そこで、疲労軽減を図る目的で、立ち作業が行われる現場の床上に敷かれるゴム製のマットが提案されている(例えば特許文献1、2)。
一般的には、立ち作業などの疲労軽減を目的として用いられるマットとしてはゴム製のものが散見され、適度な柔軟性と衝撃吸収性を備えるものが、足裏に心地良い感触を与えるため、好まれる傾向にある。
特開2011-046152号公報 特開2013-215312号公報
しかし、従来の疲労軽減用のマットを床面に敷設した場合でも、長時間の作業等により脚部に疲労感が生じる場合がある。そこで、本発明者らは、上記マットと疲労の関係について鋭意検討した。その結果、柔軟性の高いマットは、短時間の作業では足裏の心地よさが先んじて感じられるものの、当該マットに使用者が乗った場合に沈み込みが大きいため次の動作(足を上げて次の一歩に移る際の動作)がし難く、疲労の蓄積が大きい場合があることがわかった。そのため、使用者が、柔軟性の高いマット上において長時間の立ち作業等を行った場合、当該使用者は強い疲労を感じる場合があることがわかった。
そこで、本発明者らは、ゴムではなくポリウレタンフォームを用いて床用マットを構成することを試みた。しかし、従来のポリウレタンフォームは、反発弾性が高く硬度が低いもの(以下、従来ポリウレタンフォーム1ともいう)か、硬度が高く反発弾性が不十分なもの(以下、従来ポリウレタンフォーム2ともいう)が一般的であった。
上記従来ポリウレタンフォーム1を用いて床用マットを作成した場合、当該床用マットに乗ったときの安定性が不十分であるという問題であった。また従来ポリウレタンフォーム2を用いて床用マットを作成した場合、当該床用マットの上で長時間作業をした際、強い疲労感を感じる場合があり問題であった。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、適度に高い硬度と反発弾性を発揮可能なポリウレタンフォーム、および上記ポリウレタンフォームよりなるウレタン層を備える床用マットの提供を課題とする。
本発明のポリウレタンフォームは、ポリオール成分、およびイソシアネート成分を含むポリウレタンフォームであり、上記ポリウレタンフォームは、C硬度が70以上78以下であり、反発弾性率が50%以上85%以下であり、かつ見掛け密度が0.40g/cm以上0.65g/cm以下であることを特徴とする。
また本発明の床用マットは、本発明のポリウレタンフォームよりなるウレタン層を備えることを特徴とする。
本発明のポリウレタンフォームは、適度に高い硬度と反発弾性を示す優れた物性を有し、たとえば床用マットなどの部材として好適である。
また本発明の床用マットは、本発明のポリウレタンフォームよりなるウレタン層を備えるため、床用マットの上に立ったときの安定感がよく、またその上で長時間作業をした場合に生じる疲労感を軽減可能である。
本発明の床用マットの第一実施形態の断面図である。 落下衝撃試験で用いられた錘の形状を説明するための説明図である。 本発明の床用マットの第二実施形態の斜視図である。
以下、本発明のポリウレタンフォーム、および本発明の床用マットについて説明する。床用マットについては、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略する。尚、本発明の説明に関し用いる図面は、本発明および本発明に含まれる部材の寸法および形状を限定するものではない。
尚、本明細書において用いられるいくつかの用語は以下のとおりである。使用者とは、床用マット上で動作する人間を指し、上記動作は、作業のみならず、作業以外の動作を含む。また床とは、建造物の歩行面を構成する構造部分を指し、床面とは上記床の上方面であって歩行等する人間の足裏が当接する面を意味する。本発明に関し床用マットとは、上記床上に敷設されるシート状物であって、当該床に固定されて用いられるタイプ、および当該床に載置されるだけであって容易に移動可能な置き敷きタイプのいずれも包含する。置き敷きタイプの床用マットは、作業エリアの移動に伴い容易に移動させることができ汎用性が高い。床用マットに関し、安定感とは、当該床用マット上に使用者が足を踏み込み、起立し、あるいは動作したときの足元における安定感を指す。
[ポリウレタンフォーム]
本発明は、ポリオール成分、およびイソシアネート成分を含むポリウレタンフォームであって、適度に高い硬度と発弾性を発揮可能なポリウレタンフォームである。具体的には、本発明のポリウレタンフォームは、C硬度が70以上78以下であり、反発弾性率が50%以上85%以下であり、かつ見掛け密度が0.40g/cm以上0.65g/cm以下である。
以下に、本発明のポリウレタンフォームの詳細について説明する。
C硬度:
本発明のポリウレタンフォームのC硬度は、70以上78以下である。
ポリウレタンフォームのC硬度が70以上であることで、当該ポリウレタンフォームに垂直加重がかかった際、ポリウレタンフォームの弾性変形が適度に抑えられ、大きく沈み込むことを良好に防止することが可能である。たとえば、C硬度が70以上のポリウレタンフォームを用いて床用マットを構成した場合、当該マットに対し足を踏み込み、あるいは当該マット上で歩行したとき、足裏に適度な圧力がかかり、足が沈み込んで足元がぶれることが防止されるとともに良好な安定感を与えうる。かかる観点からは、上記C硬度は、71以上であることが好ましく、72以上であることがより好ましい。
一方、上記ポリウレタンフォームのC硬度が78以下であることで、ポリウレタンフォームの柔軟性を維持しやすい。たとえば、C硬度が78を超えるポリウレタンフォームを用いて床用マットを構成した場合、当該マットが硬すぎて、当該マットに対し足を踏み込み、もしくは当該マット上で歩行したとき、足裏に過剰な圧力を与えてしまい安定感が不足し、または当該マット上での作業により疲労の蓄積が大きくなる恐れがある。かかる観点からは、上記C硬度は、77以下であることが好ましく、76以下であることがより好ましい。
本発明のポリウレタンフォームのC硬度の測定方法は、JIS K 7312に準拠し、アスカーゴム硬度計C型を用いて測定される。より具体的には、上記C硬度は、ポリウレタンフォームからなる厚み12.5mmのシート状の試験片を用い、上記測定方法により測定される。
反発弾性率:
本発明のポリウレタンフォームの反発弾性率は、50%以上85%以下である。
ポリウレタンフォームの反発弾性率を50%以上とすることで、垂直加重に対する当該ポリウレタンフォームの押し返す力が良好に発揮される。たとえば、反発弾性率が50%以上であるポリウレタンフォームを用いて床用マットを構成した場合、当該マット上における歩行時に、足裏に対し適度な反発力が与えられ、次の動作(足を上げて次の一歩に移る際の動作)が容易になる。そのため、長時間の作業においても疲労が蓄積しにくい。かかる観点から、上記反発弾性率は、55%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。
一方、ポリウレタンフォームの反発弾性率が85%以下であることで、たとえば当該ポリウレタンフォームを用いて構成された床用マットにおいて、適度な柔軟性や反発性を発揮させつつ、安定感が損なわれにくい。かかる観点から上記反発弾性率は、84%以下であることが好ましく、83%以下であることがより好ましい。
上記ポリウレタンフォームの反発弾性率の測定方法は、JIS K 6255に準拠して測定される。反発弾性率の測定には、より具体的には、上記反発弾性率は、ポリウレタンフォームからなる厚み12.5mmのシート状の試験片を用い、上記測定方法により測定される。
見掛け密度:
本発明のポリウレタンフォームの見掛け密度は、0.40g/cm以上0.65g/cm以下である。上述するC硬度とともに、見掛け密度もポリウレタンフォームの柔軟性に大きく寄与する。たとえば、見掛け密度が上記範囲であるポリウレタンフォームを用いて床用マットを構成した場合、適度な硬さを示し、優れた安定感を与えうる。
本発明において、ポリウレタンフォームの見掛け密度を0.40g/cm以上とするとともに、当該ポリウレタンフォームのC硬度を70以上78以下および反発弾性率を50%以上85%以下に調整することが肝要である。これにより、例えば、適度な硬さであって優れた安定性を示す床用マットを構成可能である。かかる観点からは、上記見かけ密度は、0.43g/cm以上であることが好ましく、0.46g/cm以上であることがより好ましい。
また本発明において、ポリウレタンフォームの見掛け密度を0.65g/cm以下に調整するとともに、当該ポリウレタンフォームのC硬度を70以上78以下および反発弾性率を50%以上85%以下に調整することが肝要である。これにより、例えば、良好な柔軟性を発揮し、作業しやすく、かつ長時間の作業においても疲労感が蓄積されにくい床用マットを構成可能である。かかる観点からは、上記見かけ密度は、0.63g/cm以下であることが好ましく、0.60g/cm以下であることがより好ましい。
ウレタン層の見掛け密度の測定方法は、JIS K 7222に準拠して測定される。上記見掛け密度は、たとえば所定形状のモールドに注入されるポリウレタンフォーム原料組成物の注入量によって調整することができる。
最大衝撃荷重:
本発明のポリウレタンフォームの最大衝撃荷重は、特に限定されないが、優れた衝撃吸収性を示すという観点からは1.25kN以下であることが好ましく、1.20kN以下であることがより好ましく、1.15kN以下であることがさらに好ましい。一方、本発明において最大衝撃荷重の下限は、衝撃吸収性が良好であるという観点からは特に限定されないが、たとえば本発明のポリウレタンフォームを用いて構成された床用マットにおいて、優れた衝撃吸収性を示しつつ、安定性も確保するという観点からは、0.85kN以上であることが好ましく、0.90kN以上であることがより好ましく、0.95kN以上であることがさらに好ましく、0.97kN以上であることが特に好ましい。
本発明のポリウレタンフォームは、上述するとおりC硬度が70以上78以下であり、適度な硬さを有するにも関わらず、最大衝撃荷重が1.25kN以下という良好な衝撃吸収性を発揮可能である。C硬度が70以上78以下であり、かつ、最大衝撃荷重が1.25kN以下である態様の本発明のポリウレタンフォームは、たとえば床用マットの構成部材として用いられた場合に、当該床用マットにおいて、優れた安定性および長時間作業に対する疲労の蓄積の軽減を良好に図ることができて好ましい。
(落下衝撃試験)
上記ポリウレタンフォームの最大衝撃荷重の測定方法は、以下に示す落下衝撃試験により測定される。尚、図2に落下衝撃試験に用いられる錘Wの形状を示す。
ポリウレタンフォームからなる厚み12.5mmのシート状の試験片を準備し、上記試験片を水平の試験台に載置し、5.1kgの錘Wを50mmの高さから落下させて試験片に対し衝突させ、その際の最大衝撃荷重を測定する。より具体的には、最大衝撃荷重は、例えば、Instron社製、商品名dynatup GRC8200等を用いて測定することができる。
圧縮永久歪:
本発明のポリウレタンフォームの圧縮永久歪は、特に限定されないが、耐久性の観点からは、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、15%以下であることがさらに好ましく、11%以下であることが特に好ましい。
上記ポリウレタンフォームの圧縮永久歪率は、JIS K 6262に準拠して測定される。より具体的には、上記圧縮永久歪率は、ポリウレタンフォームからなる厚み12.5mmのシート状の試験片を用い、圧縮率25%、40℃、24時間の条件で測定される。
ポリウレタンフォームの組成:
次に本発明のポリウレタンフォームの組成について説明する。
本発明のポリウレタンフォームは、ポリオール成分、イソシアネート成分を含み、適宜、触媒、整泡剤、発泡剤、そのほかの任意の添加剤が含まれていてもよい。なお、上記触媒、整泡剤、発泡剤、任意の添加剤については、後述する本発明のポリウレタンフォームの製造方法の説明における記載が参照されるため、ここでの記載を割愛する。
(ポリオール成分)
ポリオール成分は、たとえばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、アルキレンオキシドの開環重合により得られるポリエーテルポリオールが好適である。該アルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、ブチレンオキシド等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。より具体的な好ましい例としては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、またはポリプロピレングリコールが挙げられる。
特にポリオールとしてポリテトラメチレンエーテルグリコールを用いて構成されたポリウレタンフォームは、モールド成形の際に所定範囲の見掛け密度にフォームを調整することによって、適度な硬さ(C硬度)を備え、かつ反発弾性率も適度に高くし易い。そのため、かかるポリウレタンフォームで構成されたウレタン層を備える床用マットは、特に安定性に優れる上、長時間の作業においても疲労軽減効果が高い。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸やフタル酸等の芳香族カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコールとから重縮合して得られたものが使用できる。
ポリオール成分としては、数平均分子量(Mn)が300以上5000以下のポリエーテルポリオールが好ましい。例えば、ポリオール成分は、単一の化合物を用いてもよいし、組成が同じで数平均分子量が異なる複数のポリオール成分を混合して用いてもよいし、組成も数平均分子量も異なる複数のポリオール成分を混合して用いてもよい。
ポリオール成分の数平均分子量が300未満である場合、ポリウレタンフォームの柔軟性が十分に発揮されない虞がある。かかる観点からは、ポリオール成分の数平均分子量は500以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、1500以上であることがさらに好ましい。
一方、ポリオール成分の数平均分子量が5000を超える場合は、本発明で特定する所定範囲の反発弾性率が得られない虞がある。かかる観点からは、ポリオール成分の数平均分子量は4500以下であることが好ましく、4000以下であることがより好ましく、3000以下であることがさらに好ましい。
なお、ポリオール成分には、必要に応じて、架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレンエーテルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、ショ糖、ソルビトール、グルコース等のアルコール類が使用できる。特に、これらのうち、3官能以上のものが好ましい。
(イソシアネート成分)
上記ポリウレタンフォームを構成するイソシアネート成分は、一般的に、ポリオールと反応させてポリウレタンフォームを製造する際に用いられるイソシアネートから適宜選択される。具体的には、芳香族イソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、イソシアネート基末端プレポリマーなどが挙げられる。
より具体的に、ポリオールと反応させるためのイソシアネート成分としては、ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'-MDI)、ポリメリックMDI(クルードMDI)、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)などの芳香族イソシアネート類、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加TDI、水素添加MDIなどの脂環族ジイソシアネート、或いはこれらをプレポリマー化したイソシアネート基末端プレポリマーなどが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することもできる。イソシアネート成分としては、上述した化合物の中でも、イソシアネート基末端プレポリマーが好ましい。
好ましいイソシアネート成分としては、たとえば、後述するイソシアネート基末端プレポリマー及び後述する変性MDIを含有するものが例示される。イソシアネート基末端プレポリマーと変性MDIの含有比率は、イソシアネート基末端プレポリマー及び後述する変性MDIの合計量を100質量部とした場合に、変性MDIに対するイソシアネート基末端プレポリマーの比率で97.0/3.0から70.0/30.0の範囲であることが好ましい。
[イソシアネート基末端プレポリマー]
イソシアネート基末端プレポリマーとしては、数平均分子量が500以上4000以下、平均官能基数が2以上3以下、イソシアネート基含有率が3質量%以上10質量%以下のものを用いることが好ましい。
イソシアネート基末端プレポリマーが、数平均分子量が4000を超えている、及び/又は、イソシアネート基含有率が3質量%未満である場合、得られるポリウレタンフォームは発泡し難く硬くなりすぎてしまい、粘度が大きく、他の材料との混合が困難になりやすい。イソシアネート基末端プレポリマーが、数平均分子量が500未満である、及び/又は、イソシアネート基含有率が10質量%を超えている場合、得られるポリウレタンフォームは発泡しやすく柔らかくなりすぎてしまい、本発明において特定する所定範囲の反発弾性が得られない虞がある。
[変性MDI]
変性MDIとしては、イソシアネート基含有率が25質量%以上33質量%以下のものが好ましく用いられる。これは、このような変性MDIが常温で液体であることから、イソシアネート成分の粘度を下げることができるためである。
イソシアネート基含有率が25質量%未満の変性MDIだと、イソシアネート基末端プレポリマーとの混合時にNCO基含有率を高める効果が小さいので、発泡性が不充分となり適度な見掛け密度のフォーム得られない虞がある。一方、イソシアネート基含有率が33質量%を超える変性MDIだと、非常に少量でNCO基含有率を高めることができるが、変性MDIの量が少量になるために、イソシアネート基末端プレポリマーの粘度を低下させることができず、ポリオール成分と反応する際の混合性が悪くなる。
このような常温で液体である変性MDIの具体例としては、ポリメリックMDI(クルードMDI)、ウレタン変性MDI、ウレア変性MDI、アロファネート変性MDI、ビウレット変性MDI、カルボジイミド変性MDI、ウレトンイミン変性MDI、ウレトジオン変性MDI、イソシアヌレート変性MDIなどが挙げられる。特に、見掛け密度、C硬度、および反発弾性率のバランスが良く疲労軽減効果が高いポリウレタンフォームが得られ易いという観点からは、変性MDIとして、ポリメリックMDI(クルードMDI)あるいはカルボジイミド変性MDIが選択されることが好ましい。
上述ポリオール成分およびイソシアネート成分は、適宜組み合わせ用いることができるが、なかでも、ポリオール成分としてポリテトラメチレンエーテルグリコールを含み、イソシアネート成分として、イソシアネート基末端プレポリマー及びカルボジイミド変性MDIを含んで構成されるポリウレタンフォームが好ましい。かかる組成であれば、上述する好ましい範囲のC硬度、反発弾性率および見掛け密度を示すポリウレタンフォームを構成しやすい。
特に、ポリウレタンフォームを製造するために用いられるポリウレタンフォーム原料組成物として、イソシアネート成分以外の残成分100質量部に対して、イソシアネート成分が60質量部以上80質量部以下であるポリウレタンフォーム原料組成物を用いて構成されたポリウレタンフォームが好ましい。上述のとおり原料組成物全体におけるイソシアネート成分の含有範囲を上述とすることで、本発明で特定される範囲のC硬度、反発弾性率および見掛け密度を示すポリウレタンフォームを構成しやすい。より詳しくは、上記ポリウレタンフォーム原料組成物における上記イソシアネート成分の配合比率が60質量部以上であることによって、良好な反発弾性を示しつつ、C硬度も適度に高いポリウレタンフォームを提供しやすく、一方、上記イソシアネート成分の配合比率が80質量部以下であることによって、C硬度、反発弾性および見掛け密度のバランスのとれたポリウレタンフォームを提供しやすい。
かかる観点から、特に、上記ポリウレタンフォーム原料組成物は、ポリオール成分としてポリテトラメチレンエーテルグリコールを含み、イソシアネート成分が、イソシアネート基末端プレポリマー及びカルボジイミド変性MDIであり、かつイソシアネート成分以外の残成分100質量部に対して、イソシアネート成分が60質量部以上80質量部以下である態様がより好ましい。かかる態様では、適度に高い硬度を示しつつも、優れた反発弾性を発揮する良好な特質を示すポリウレタンフォームを提供しやすい。
[ポリウレタンフォームの製造方法]
次に本発明のポリウレタンフォームの製造方法(以下、本発明の製造方法ともいう)について説明する。ただし以下に述べる本発明の製造方法は、本発明のポリウレタンフォームの製造方法を限定するものではない。
本発明の製造方法は、ポリオール成分、イソシアネート成分、触媒、整泡剤、および発泡剤を含み、イソシアネート成分以外の残成分100質量部に対して、イソシアネート成分が60質量部以上80質量部以下となるよう調製されたポリウレタンフォーム原料組成物を用いてポリウレタンフォームを製造する。上記ポリウレタンフォーム原料組成物には、適宜、さらに任意の添加剤が含有されていてもよい。
上述のとおり、本発明の製造方法において、上記ポリウレタンフォーム原料組成物は、イソシアネート成分以外の残成分100質量部に対して、イソシアネート成分が60質量部以上80質量部以下となるよう調製される。かかるポリウレタンフォーム原料組成物を用い、公知のポリウレタンフォームの製造方法に倣ってポリウレタンフォームを製造することで、C硬度、反発弾性率、および見掛け密度が上述する範囲である本発明のポリウレタンフォームを容易に提供することができる。
公知のポリウレタンフォームの製造方法とは、たとえば、モールド成形が挙げられる。ここでいうモールド成形とは、上記ポリウレタンフォーム原料組成物(原液)をモールド(成形型)内に注入し、モールド内で発泡硬化させ、その後に脱型してポリウレタンフォームを得る方法である。
上記ポリウレタンフォーム原料組成物に含まれるポリオール成分は、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むことが好ましい。これによって、優れた反発弾性率を実現しやすい。また上記ポリウレタンフォーム原料組成物に含まれるイソシアネート成分は、イソシアネート基末端プレポリマー及びカルボジイミド変性MDIを含むことが好ましく、実質的にイソシアネート基末端プレポリマー及びカルボジイミド変性MDIからなることがより好ましい。ポリオール成分としてポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むとともに、イソシアネート成分として、イソシアネート基末端プレポリマー及びカルボジイミド変性MDIを含むポリウレタンフォーム原料組成物を用いてポリウレタンフォームを製造するとによって、C硬度が70以上78以下であり、反発弾性率が50%以上85%以下であり、かつ見掛け密度が0.40g/cm以上0.65g/cm以下であるポリウレタンフォームを提供しやすい。
本発明の製造方法に用いられるポリオール成分、イソシアネート成分、および架橋剤は、上述する本発明のポリウレタンフォームに関する説明が適宜参照されるため、ここでは詳細な説明を割愛する。ポリウレタンフォーム原料組成物に含まれるほかの成分について以下に説明する。
(発泡剤)
発泡剤としては、水(イオン交換水)および/または液体ガスを好ましく用いることができる。ポリウレタンフォーム原料組成物における発泡剤の添加量は、前述のポリオール成分100質量部に対し、0.5質量部以上3質量部以下が好ましい。添加量が0.5質量部未満であれば、発泡が不十分で、反発弾性は発揮するものの、衝撃吸収性に劣ってしまう。添加量が3質量部を超えると、発泡しすぎて得られるポリウレタンフォームのセルが荒れ、その内部が割れやすいなどフォーム状態が劣るほか、所定範囲の反発弾性率が得られない虞がある。
(触媒)
触媒としては、ポリウレタンフォームを製造するために使用可能なものであればよく、特に限定されるものではない。触媒として、従来から使用されているものとしては、例えば、トリエチレンジアミン、ジエタノールアミンなどのアミン系触媒、ビスマス触媒などの金属触媒が挙げられる。ポリウレタンフォーム原料組成物における触媒の添加量は、前述のポリオール成分100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下が好ましい。
(整泡剤)
整泡剤としては、ポリウレタンフォームで使用できるものであれば特に限定されないが、所定範囲の反発弾性率が得られ易いという観点からは、粘度が300mPa・s(25℃)以上2000mPa・s(25℃)以下のシリコーン系化合物を用いることが好ましい。市販されている整泡剤の例としては、たとえば東レダウコーニング・シリコーン株式会社製の商品名SF2969、PRX607、SZ1671等が例示されるがこれに限定されない。整泡剤として使用するシリコーン系化合物の粘度が300mPa・s(25℃)未満であると、整泡作用が弱く、セルが粗大化してしまい、高い反発弾性率が得られにくい。一方、粘度が2000mPa・s(25℃)を超えると、ポリウレタンフォーム原料中に均一に分散し難くなり、得られるフォームのセルサイズが均一とならないばかりか、局所的に物性が変化してしまう(測定箇所によって物性値が変わってしまう)。これらの点を考慮して、整泡剤として使用するシリコーン系化合物の粘度は、600mPa・s(25℃)以上1000mPa・s(25℃)以下であることがより好ましい。なお、シリコーン系化合物の粘度は、B型回転粘度計で測定された値である。
整泡剤として添加するシリコーン系化合物の添加量は、前述のポリオール成分100質量部に対して、0.5質量部以上9質量部以下とされることが好ましい。シリコーン系化合物の添加量が0.5質量部未満であると、整泡作用が弱く、得られるポリウレタンフォームの反発弾性率が所定の範囲より低く、疲労軽減効果が充分に発揮されない虞がある。シリコーン系化合物の添加量が9質量部を超えると、得られるポリウレタンフォームが反発弾性に劣るものとなりやすくなってしまうだけでなく、フォーム表面から整泡剤が染み出すブリードアウトが生じる虞もある。
(他の添加剤)
本発明の製造方法に用いられるポリウレタンフォーム原料組成物には、ポリオール成分、イソシアネート成分、発泡剤、触媒、整泡剤の他に、必要に応じて、さらに他の添加剤が添加されてもよい。他の添加剤としては、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、脱泡剤、相溶化剤、着色剤、安定剤、紫外線吸収剤などポリウレタンフォームの製造に際して一般的に使用可能な添加剤をあげることができる。他の添加剤の添加量は、本発明の効果を阻害しない範囲内において適宜選択されてよい。
[床用マット]
次に本発明の床用マットについて説明する。
本発明の床用マットは、上述する本発明のポリウレタンフォームよりなるウレタン層を備える。本発明の床用マットは、上記ウレタン層を備えることにより、本発明のポリウレタンフォームが発揮する優れた性質を享受し、安定性がよく、かつ長時間の作業によっても疲れにくい優れた効果を発揮する。本発明の床用マットは、床などの水平面に敷設され、当該マット上で使用者が立ち、あるいは作業のために動作することが想定されるものである。上記ウレタン層を構成するポリウレタンフォームは、上述する本発明のポリウレタンフォームに関する説明が適宜参照される。
第一実施形態である床用マット100:
以下に本発明の床用マットに関する第一実施形態である床用マット100について図1を用いて説明する。図1は、床用マット100を厚み方向に切断してなる断面を模式的に示す断面図である。
図1に示すとおり、床用マット100は、ポリウレタンフォームからなるウレタン層10を有している。上記ポリウレタンフォームは、本発明のポリウレタンフォームが用いられている。
本実施形態にかかる床用マット100は、ウレタン層10の上面側に任意層20が設けられている。これは本発明の一態様であり、本発明の床用マットは、実質的にウレタン層10のみからなる単層の態様、およびウレタン層10の下面側または上面側の少なくともいずれか一方に任意の層が積層されてなる態様のいずれも含む。またウレタン層10に任意層20が積層される場合、当該任意層は、一層であってもよいし複数層であってもよい。
床用マット100の厚みは、特に限定されないが、使用者が床用マット100に乗る際、負担がなく、躓きにくい等の観点からは、ウレタン層10の厚みは、20mm以下であることが好ましく、18mm以下であることがより好ましく、17mm以下であることがさらに好ましい。ここでいう床用マット100の厚みとは、床用マット100が略均一な厚みを示す場合には、例えば無作為に選択した10箇所において実測した厚みの算術平均値を指す。
ウレタン層:
ウレタン層10は、上述する本発明のポリウレタンフォームより構成されるため、C硬度が70以上78以下であり、反発弾性率が50%以上85%以下であり、かつ見掛け密度が0.40g/cm以上0.65g/cm以下である。
ウレタン層10を有する床用マット100は、十分な硬さを備えることで、使用者が床用マット100の上に立ったときに優れた安定感を与えるとともに、優れた反発弾性率および見掛け密度を示すことで、使用者が床用マット100上で長時間作業等した場合の疲労感を軽減可能である。
またウレタン層10を構成するポリウレタンフォームの衝撃吸収荷重が1.25kN以下であることが好ましく、これによって優れた衝撃吸収性を示す床用マット100を提供することができる。C硬度が70以上78以下の範囲であり適度に硬いく安定性が良好である上、衝撃吸収荷重が1.25kN以下であり、優れた衝撃吸収性を示すウレタン層10を備える態様の床用マット100は、疲れにくく、安定性も良好であり、使用感が良好である。上記ウレタン層10の衝撃吸収荷重の下限は特に制限されないが、優れた衝撃吸収性を示しつつ、安定性も確保するという観点からは、0.85kN以上であることが好ましい。
ウレタン層10の厚みは、特に限定されず、床用マット100の上で行われる作業内容等を勘案して適宜変更することができる。使用者の脚部の疲労をより良好に軽減するという観点からは、ウレタン層10の厚みは、5mm以上であることが好ましく、10mm以上であることがより好ましい。一方、ウレタン層10の厚みの上限は、上述する床用マット100の上限の範囲において、適宜調整される。たとえば、床用マット100がウレタン層10のみから構成される場合には、ウレタン層10の厚みの上限は20mm以下であることが好ましい。
ここでいうウレタン層10の厚みとは、ウレタン層10が略均一な厚みを示す場合には、例えば無作為に選択した10箇所において実測した厚みの算術平均値を指す。
ウレタン層の成形:
ウレタン層10は、上述した本発明の製造方法により、製造することができる。具体的には、たとえば、本発明の製造方法において調整されるポリウレタンフォーム原料組成物を用い、モールド成形で反応させ所望形状のポリウレタンフォームであるウレタン層10を製造することができる。
任意層:
任意層20は、床用マット100において任意の層である。床用マット100は、たとえば任意層20として、帯電防止層、防汚層、保護層などの適宜の目的の層を1以上備えることができる。また任意層20を設けるために適宜、ウレタン層10と任意層20との間に図示省略する接着層を設けてもよい。
(帯電防止層)
上記帯電防止層は、導電性を示す層であれば特に限定されないが、透明性を有するものが好ましい。透明性を有する具体的な帯電防止層としては、導電性高分子やイオン性界面活性剤を含む層が挙げられる。
導電性高分子としては、例えば、既知の導電性高分子を使用することができ、具体的には以下に示すモノマーを重合させることにより製造された導電性高分子を挙げることができる。例えば、ピロール、N-メチルピロール、およびN-エチルピロール等のピロール誘導体;アニリン、o-クロロアニリン、m-クロロアニリン、およびp-クロロアニリン等のアニリン誘導体;チオフェン、3-メチルチオフェン、および3-n-ブチルチオフェン等のチオフェン誘導体が挙げられる。
(防汚層)
上記防汚層は、床用マット100に対する汚れを防止可能な層である。
防汚層は、たとえば、アクリル樹脂系の汚れ防止処理剤を塗布してなる層が挙げられる。あるいは、防汚層として、たとえば、ポリプロピレン又はエチレン-ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)等を含むシートまたはフィルムをウレタン層10に接着して積層してもよい。
(保護層)
上記保護層は、ウレタン層10を保護し、外観を改善し、または足裏の感触を改善するなどの適宜の目的のために設けられる層である。
保護層は、ウレタン層10に積層し固着(積層)させることができるものであればよい。たとえば、保護層として、塩化ビニルシート等を挙げることができる。
上述する任意層20の厚みは、特に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜決定することができる。たとえば塩化ビニルシートからなる保護層の厚みとしては、0.1mm以上3.0mm以下の範囲で調整されることが好ましい。任意層20の厚みは、ウレタン層10の厚みより小さいことが好ましい。
第二実施形態である床用マット200:
以下に本発明の第二実施形態にかかる床用マット200について図3を用いて説明する。図3は、床用マット200の斜視図である。
本実施形態にかかる床用マット200は、ウレタン層12のみから構成されている。
図3に示すとおり、ウレタン層12の表面には、複数の凸部30が形成されている。凸部30は、床用マット200の上面に現れており、床用マット200の上面において凹凸を構成する。本実施形態にかかる床用マット200(ウレタン層12)は、上面において略平坦面を構成する基板面32と、これより上方に突出する凸部30とを備える。本実施形態における凸部30は、ウレタン層12の上面において略全面に規則的に連続して設けられており、使用者が床用マット200の上を歩行した際に、必ず足裏に凸部30が当接する程度に密に配置されている。図2において外縁が正方形であって中心に頂点34を有する凸部30は、たとえば、当該正方形の一辺を5mm~10mm程度に構成することができる。
ただし、本実施形態の変形例として、凸部30は、ウレタン層12の上面において不規則に設けられていてもよいし、その大きさや形状も限定されない。
本発明において、このように凸部30を有する領域と、有しない領域(すなわち基板面32領域)とを備える床用マット200(ウレタン層12)の厚みは、以下のとおりである。即ち、上面視において凸部30の総面積が、基板面32の総面積より大きい場合には、無作為に選択された10箇所の凸部30の各頂点34において実測された厚みの算術平均値をウレタン層12の厚みとする。一方、凸部30の総面積が、基板面32の総面積より小さい場合には、無作為に選択された10箇所の基板面32の各箇所において実測された厚みの算術平均値をウレタン層12の厚みとする。
床用マット200(ウレタン層12)の厚みは、特に限定されないが、床用マット100と同様に5mm以上20mm以下であることが好ましい。
本実施形態のようにウレタン層12の表面に複数の凸部30が設けられた床用マット200は、使用者の足裏の滑り止め効果を発揮し、動作中の使用者の脚部において足裏の滑りに抵抗するために発生する筋肉の収縮を抑え得る。また凸部30は、使用者の足裏のツボへ刺激を与え得るものであり、足裏の疲労回復が期待される。
凸部30の高さは、特に限定されないが、使用者の足裏に対し不快感を与えることなく、上述する滑り止めの効果や疲労回復効果を発揮させるという観点からは、例えば2mm以上6mm以下であることが好ましい。
ここで、凸部30の高さとは、凸部30の頂点34から凸部30の下端(本実施形態では基板面32)までの距離をいう。複数の凸部30の高さが不揃いの場合には、無作為に選択された10箇所の凸部30の個別の高さを実測し、これを算術平均して得られた値を凸部30の高さとすることができる。
以上に、本発明の床用マットの実施形態について説明したが、本発明の床用マットは上記説明に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜構成の一部を変更することができる。たとえば、第一実施形態に示す表面が平坦なウレタン層10のみから床用マットを構成することもできるし、第二実施形態に示す表面に凸部30を備えるウレタン層12の上面に、さらに任意層を積層させてもよい。この場合、積層された任意層の表面に、凸部30の凸形状が視認できる態様であってもよいし、任意層がウレタン層10よりも硬度が小さく、任意層の上から、足裏に凸部30の感触が伝わるよう構成されてもよい。
実施例1~4、および比較例1~4のポリウレタンフォームを以下のとおり製造した。
内室が600mm×450mm×17mmの四方形状のモールドを準備し、表1に示す組成に従い、ポリオール成分、イソシアネート成分、触媒、整泡剤および発泡剤を、スクリューを用いて撹拌してポリウレタンフォーム原料組成物を調製し、これを混合しながらモールド内に注入した。モールドに対するポリウレタンフォーム原料組成物の注入量は、形成されるポリウレタンフォームの見掛け密度が所望の値となるよう、それぞれ調整された。また、スクリューの回転数は、3000rpmに設定された。
モールド内にポリウレタンフォーム原料組成物が注入された後、モールド温度50℃の条件下でポリウレタンフォーム原料組成物を反応させた。反応後、脱型してポリウレタンフォームを得た。
表1中におけるポリオール成分、イソシアネート成分、触媒、整泡剤および発泡剤については、以下に示すとおりである。なお、表1中の材料の配合を示す数値の単位は、質量部である。
ポリオール1:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(商品名;PTMG2000、Mn=2000、三菱化学株式会社製)
ポリオール2:ポリプロピレングリコール(商品名;アクトコールD-2000、Mn=2000、三井化学株式会社製)
触媒1:トリエチレンジアミン(商品名;TEDA-L33、東ソー株式会社製)
触媒2:ビスマス系触媒(商品名;プキャット25、日本化学産業株式会社製)
整泡剤:シリコーン系化合物(商品名;SZ1671、東レダウコーニング・シリコーン株式会社製、粘度900mPa・s(25℃))
発泡剤1:イオン交換水
発泡剤2:液状ガス(液化フロンガス)
プレポリマー1:イソシアネート基末端プレポリマー(PTMGと4、4’-MDIとを反応させて得たプレポリマー、数平均分子量1000、平均官能基数2、イソシアネート基含有率8%)
プレポリマー2:イソシアネート基末端プレポリマー(商品名;コスモネート、三井化学株式会社製)
イソシアネート1:カルボジイミド変性MDI(平均官能基数2、イソシアネート基含有率29%)
イソシアネート2:ポリメリックMDI(平均官能基数2.5、イソシアネート基含有率31.1%)
比較例5は、市販品である厚み8mmのポリ塩化ビニルマット(商品名;ゼドラン コンフォートキング、ルドローコンポジッツコーポレーション社製)を用いた。
上述のとおり製造または準備した実施例および比較例の物性を以下のとおり評価した。
評価結果は、表1に示す。尚、圧縮永久歪以外の評価は、いずれも室温(23℃±2℃)で実施した。
(C硬度)
各実施例および各比較例から、縦100mm、横100mm、厚み12.5mmの四方形の試験片を切り出して硬度測定用試験片とした。上記硬度測定用試験片を用い、JIS K 7312に準拠しアスカーゴム硬度計C型を用いて硬度を測定した。
(反発弾性率)
各実施例および各比較例から、直径29mm、厚み12.5mmの円柱状の試験を切り出し反発弾性率測定用試験片とした。上記反発弾性率測定試験片を用いてJIS K 6255に準拠して反発弾性率(%)を測定した。
(見掛け密度)
各実施例および各比較例から、縦15mm、横15mm、厚み10mmの四方形の試験片を切り出して密度測定用試験片とした。上記密度測定用試験片を用いてJIS K 7222に準拠して見掛け密度(g/cm)を測定した。
(最大衝撃荷重)
各実施例および各比較例から、縦100mm、横100mm、厚み12.5mmの四方形の試験を切り出し衝撃荷重測定用試験片とした。上記衝撃荷重測定用試験片を用いて落下衝撃試験により最大衝撃荷重を測定した。落下衝撃試験は、「dynatup GRC8200(Instron社製)」を用いて、図2に示すような砲弾状の錘W(鉄製、5.1kg)を50mmの高さから衝撃荷重測定用試験片に落下させ試験片に対し衝突させた際の最大衝撃荷重(kN)を特定することで実施した。
(圧縮永久歪)
各実施例および各比較例から、直径29mm、厚み12.5mmの円柱状の試験を切り出し圧縮永久歪測定用試験片とした。上記圧縮永久歪測定試験片を用いて、圧縮率25%、40℃、24時間の条件下で、JIS K 6262に準拠して、圧縮永久歪(%)を測定した。
上述のとおり製造した各実施例および各比較例を平な床の上に敷設し、床用マットとしての評価を以下のとおり行った。なお、試験者は、足裏が略フラットである運動靴またはスニーカーを履いた成人男性5人および成人女性5人とした。
(疲労軽減効果継続時間)
各試験者は、実施例1の床用マットの上に立ち、足踏みを行った。足踏み開始時間から、疲労を感じるまでの時間(疲労発生時間)を測定した。なお、本評価では、右足の踏み込みおよび左足の踏み込み一回ずつで「1足踏み」とし、足踏みのリズムは、10秒間に7足踏みから9足踏み程度のリズムで行った。足踏み時の足を上げる高さは、試験者それぞれが決定し、おおむね一定の高さとなるよう努めた。
上述と同様の評価を、実施例2~4および比較例1~5についても行った。なお、評価は一日1回とし、評価実施の時刻は試験者ごとに一定の時刻とした。
全実施例および全比較例について疲労発生時間の測定を完了した後、試験者ごとに、比較例2の疲労発生時間を基準(疲労発生時間比1)として、他の実施例、比較例の疲労発生時間比を算出した。たとえば、試験者Xについて、比較例2の疲労発生時間が5分であり、実施例1の疲労発生時間が10分だった場合には、比較例2の疲労発生時間比は1とし、実施例1の疲労発生時間比は2とした。そして、試験者ごとに算出された、各実施例および各比較例における疲労発生時間比の算術平均値を算出し、表1に示した。疲労発生時間比が大きいほど、疲労発生時間が遅く、長時間の作業において疲れにくいことを表す。
参考までに、男性の試験者群の中で標準的な疲労発生時間を示した試験者A(20歳代男性)は、上記実施例1~4の床用マット上で4時間の立ち作業を行っても、強い疲労感を感じずに作業できた。
(安定性評価)
各試験者は、床に起立し、次いで、通常の歩行程度の感覚で、いずれか一方の足を、各実施例および各比較例の上面に踏み込んだ。このときの感覚を以下のとおり点数付けした。
3点:踏み込み時に適度な柔軟性を感じ、また足元がぶれず安定感があった。
2点:踏み込み時に硬さを感じ足元の安定性が不十分であったか、または踏み込み時に顕著な柔らかさを感じ足元の安定性が不十分であった。
1点:踏み込み時に硬さを強く感じ足裏に有意な衝撃があったか、または踏み込み時に柔らかさを強く感じ足元がぶれた感覚があった。
そして、各実施例および各比較例における点数の算術平均値を算出し、これを以下のとおり評価した。評価結果は、表1に示した。
〇:点数の平均値が2.5点以上3.0以下であった。
△:点数の平均値が2.0点以上2.5点未満であった。
×:点数の平均値が2.0点未満であった。
Figure 2022026457000002
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)ポリオール成分、およびイソシアネート成分を含むポリウレタンフォームであり、
上記ポリウレタンフォームは、
C硬度が70以上78以下であり、
反発弾性率が50%以上85%以下であり、かつ
見掛け密度が0.40g/cm以上0.65g/cm以下であることを特徴とするポリウレタンフォーム。
(2)上記ポリオール成分が、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含み、
上記イソシアネート成分が、イソシアネート基末端プレポリマー及びカルボジイミド変性MDIを含む上記(1)に記載のポリウレタンフォーム。
(3)上記ポリオール成分が、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含み、
上記イソシアネート成分が、イソシアネート基末端プレポリマー及びカルボジイミド変性MDIからなり、
上記ウレタンフォームを製造するために用いられるポリウレタンフォーム原料組成物において、上記イソシアネート成分以外の残成分100質量部に対して、イソシアネート成分が60質量部以上80質量部以下である上記(2)に記載のポリウレタンフォーム。
(4)上記(1)から(3)のいずれか一項に記載のポリウレタンフォームを製造するポリウレタンフォーム製造方法であって、
ポリオール成分、触媒、発泡剤、整泡剤、イソシアネート成分を含み、
上記イソシアネート成分以外の残成分100質量部に対して、イソシアネート成分が60質量部以上80質量部以下となるよう調製されたポリウレタンフォーム原料組成物を用いてポリウレタンフォームを製造することを特徴とするポリウレタンフォーム製造方法。
(5)上記ポリオール成分が、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含み、
上記イソシアネート成分が、イソシアネート基末端プレポリマー及びカルボジイミド変性MDIからなる上記(4)に記載のポリウレタンフォーム製造方法。
(6)上記(1)から(3)のいずれか一項に記載のポリウレタンフォームよりなるウレタン層を備えることを特徴とする床用マット。
10、12・・・ウレタン層
20・・・任意層
30・・・凸部
32・・・基板面
34・・・頂点
100、200・・・床用マット
W・・・錘

Claims (4)

  1. ポリオール成分、およびイソシアネート成分を含むポリウレタンフォームであり、
    前記ポリウレタンフォームは、
    C硬度が70以上78以下であり、
    反発弾性率が50%以上85%以下であり、かつ
    見掛け密度が0.40g/cm以上0.65g/cm以下であることを特徴とするポリウレタンフォーム。
  2. 前記ポリオール成分が、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含み、
    前記イソシアネート成分が、イソシアネート基末端プレポリマー及びカルボジイミド変性MDIを含む請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
  3. 前記ポリオール成分が、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含み、
    前記イソシアネート成分が、イソシアネート基末端プレポリマー及びカルボジイミド変性MDIからなり、
    前記ポリウレタンフォームを製造するために用いられるポリウレタンフォーム原料組成物において、前記イソシアネート成分以外の残成分100質量部に対して、イソシアネート成分が60質量部以上80質量部以下である請求項2に記載のポリウレタンフォーム。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のポリウレタンフォームよりなるウレタン層を備えることを特徴とする床用マット。

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