JP2022023327A - 水素精製システムとその運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本開示は、電気化学デバイスのカソードに蓄積したアンモニアを水に溶解させて除去して、電気化学デバイスの水素純化効率が低下するのを抑制できる水素精製システムを提供する。【解決手段】本開示における水素精製システムは、アンモニアと水蒸気とが含まれる水素含有ガスがアノードに供給され、アノードとカソードとの間に電流が流れることにより、水素含有ガスよりも水素の純度が高い水素が、カソードから排出されるように構成されている。所定条件を満たすと、水素精製モードから排出モードに移行する。排出モードは、ガス供給手段からカソードに水素含有ガスが供給されるように、ガス供給手段と供給経路切替手段を制御し、温度調整器によって、カソードに流入した水素含有ガスに含まれる水蒸気を凝縮させる。カソードに蓄積したアンモニアは、凝縮水に溶出して、カソード排出経路切替手段によって凝縮水排出経路から排出される。【選択図】図3

Description

本開示は、水素精製システムとその運転方法に関する。
特許文献1は、水素純度の低い水素含有ガスから水素純度の高い水素を精製する水素精製システムを開示する。
この水素精製システムは、アノードとカソードとの間に電解質膜を有する電気化学デバイスと、都市ガスなどの炭化水素系の燃料から改質反応により生成した水素含有ガスをアノードに供給する改質器と、アノードとカソードとの間に電流を流す電源と、を備える。
アノードに水素含有ガスが供給され、アノードとカソードとの間に電流が流れることにより、アノードは、水素含有ガスに含まれる水素を水素イオンと電子とに解離させ、カソードは、水素イオンと電子とを結合させて水素に戻すので、電気化学デバイスにおいて、水素含有ガスに含まれる水素を精製することができる。
特開2015-117139号公報
本開示は、電気化学デバイスのカソードに蓄積したアンモニアを水に溶解させて除去して、電気化学デバイスの水素純化効率が低下するのを抑制できる水素精製システムとその運転方法を提供する。
本開示の一態様における水素精製システムは、電気化学デバイスと、ガス供給手段と、供給経路切替手段と、カソード排出経路切替手段と、電源と、温度調整器と、制御器と、を備え、電気化学デバイスによって水素含有ガスの水素を精製する場合は水素精製モードで運転し、カソードに蓄積されたアンモニアを排出する場合は排出モードで運転する。
電気化学デバイスは、電解質膜、電解質膜の一方の主面に配置されるアノードおよび電解質膜の他方の主面に配置されるカソードにより電解質膜-電極接合体が構成され、アノードに水素含有ガスが供給され、アノードとカソードとの間に所定方向の電流が流れることにより、アノードに供給された水素含有ガスよりも水素の純度が高い水素が、カソードから排出されるように構成される。
ガス供給手段は、少なくともアンモニアと水蒸気とを含む水素含有ガスを、供給する。電源は、電気化学デバイスのアノードとカソードとの間に所定方向の電流を流す。温度調整器は、電気化学デバイスの温度を調整する。
供給経路切替手段は、二つの出口がそれぞれ開閉可能に構成され、入口がガス供給経路を介してガス供給手段の出口と連通し、一方の出口がアノード供給経路を介して電気化学デバイスのアノードの入口と連通し、他方の出口がカソード供給経路を介して電気化学デバイスのカソードの入口と連通する。
カソード排出経路切替手段は、二つの出口がそれぞれ開閉可能に構成され、入口がカソード排出経路を介して電気化学デバイスのカソードの出口と連通し、一方の出口が水素排出経路の入口に接続され、他方の出口が凝縮水排出経路の入口に接続される。
制御器は、水素精製モードでは、供給経路切替手段の一方の出口を開状態に他方の出口を閉状態にし、さらにカソード排出経路切替手段の一方の出口を開状態に他方の出口を閉状態にして、ガス供給手段および電源を動作させる。
制御器は、排出モードでは、供給経路切替手段の一方の出口を閉状態に他方の出口を開状態にし、さらにカソード排出経路切替手段の一方の出口を閉状態に他方の出口を開状態にして、ガス供給手段を動作させ、電気化学デバイスのカソードに流入した水素含有ガスに含まれる水蒸気が凝縮するように温度調整器を制御する。
また、本開示の別の態様における水素精製システムは、電気化学デバイスと、ガス供給手段と、アノード排出経路切替手段と、カソード排出経路切替手段と、電源と、アノード温度調整器と、カソード温度調整器と、制御器と、を備え、電気化学デバイスによって水素含有ガスの水素を精製する場合は水素精製モードで運転し、カソードに蓄積されたアンモニアを排出する場合は排出モードで運転する。
電気化学デバイスは、電解質膜、電解質膜の一方の主面に配置されるアノードおよび電解質膜の他方の主面に配置されるカソードにより電解質膜-電極接合体が構成され、アノードに水素含有ガスが供給され、アノードとカソードとの間に所定方向の電流が流れることにより、アノードに供給された水素含有ガスよりも水素の純度が高い水素が、カソードから排出されるように構成される。
ガス供給手段は、少なくともアンモニアと水蒸気とを含む水素含有ガスを、ガス供給経路を介して電気化学デバイスのアノードの入口に供給する。電源は、電気化学デバイスのアノードとカソードとの間に所定方向の電流を流す。アノード温度調整器は、電気化学デバイスのアノードの温度を調整し、カソード温度調整器は、電気化学デバイスのカソードの温度を調整する。
アノード排出経路切替手段は、二つの出口がそれぞれ開閉可能に構成され、入口がアノード排出経路を介して電気化学デバイスのアノードの出口と連通し、一方の出口が外部排出経路の入口に接続され、他方の出口がカソード供給経路を介して電気化学デバイスのカソードの入口と連通する。
カソード排出経路切替手段は、二つの出口がそれぞれ開閉可能に構成され、入口がカソード排出経路を介して電気化学デバイスのカソードの出口と連通し、一方の出口が水素排出経路の入口に接続され、他方の出口が凝縮水排出経路の入口に接続される。
制御器は、水素精製モードでは、アノード排出経路切替手段の一方の出口を開状態に他方の出口を閉状態にし、さらにカソード排出経路切替手段の一方の出口を開状態に他方の出口を閉状態にして、ガス供給手段および電源を動作させる。
制御器は、排出モードでは、アノード排出経路切替手段の一方の出口を閉状態に他方の出口を開状態にし、さらにカソード排出経路切替手段の一方の出口を閉状態に他方の出口を開状態にして、ガス供給手段を動作させ、電気化学デバイスのアノードの出口からガス状の水素含有ガスが排出されて電気化学デバイスのカソードの入口に流入した水素含有ガスに含まれる水蒸気がカソードにおいて凝縮するように、アノード温度調整器およびカソード温度調整器を制御する。
本開示における水素精製システムは、カソードに蓄積されたアンモニアを排出する場合は排出モードで運転する。
排出モードで運転するときは、ガス供給手段から供給される水素含有ガスを電気化学デバイスのカソードの入口に供給し、温度調整器によって水素精製モードのときよりも電気化学デバイスのカソードの温度を下げて、カソードに流入した水素含有ガスに含まれる水蒸気を凝縮させ、カソードに蓄積したアンモニアを凝縮水に溶解させる。
そして、カソードの出口から排出されるアンモニアが溶けた凝縮水は、カソード排出経路切替手段によって水素排出経路とは別に設けた凝縮水排出経路に排出する。
そのため、洗浄用の水や水蒸気を含むガスをカソードに供給する手段を追加することなく、簡単な構成でカソードに蓄積したアンモニアを除去し、電気化学デバイスの水素純化効率が低下するのを抑制することができる。
実施の形態1における水素精製システムの構成図 実施の形態1における水素精製システムの水素精製モードで運転しているときの状態を示す説明図 実施の形態1における水素精製システムの排出モードで運転しているときの状態を示す説明図 実施の形態1における水素精製システムの動作を示すフローチャート 実施の形態2における水素精製システムの構成図 実施の形態2における水素精製システムの水素精製モードで運転しているときの状態を示す説明図 実施の形態2における水素精製システムの排出モードで運転しているときの状態を示す説明図 実施の形態2における水素精製システムのアノード洗浄モードで運転しているときの状態を示す説明図 実施の形態2における水素精製システムの動作を示すフローチャート
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、都市ガスなどの炭化水素系の燃料を、改質器によって水素純度の低い水素含有ガスに改質させ、この水素含有ガスから水素純度の高い高圧の水素を精製する技術があった。
この水素純度が高い高圧の水素を精製する技術は、アノードとカソードとの間に電解質膜を有する電気化学デバイスを用いて水素を精製するものであって、電解質膜を挟んで配置されるアノードとカソードとの間に電流を流すことにより、アノード側に供給される水素含有ガスに含まれる水素をカソード側に移動させて、カソード側において、精製昇圧した水素を得るものであった。
しかしながら、窒素ガスを含む燃料を使用すると、改質器において窒素と水素とが反応し、副生成物としてアンモニアが生成され、アンモニアを含む水素含有ガスがアノードに供給される。
そうした状況において、発明者らは、アンモニアを含む水素含有ガスをアノードに供給
しながら、長時間に渡って、水素を精製すると、電気化学デバイスの抵抗が上昇し、水素純化効率が低下する現象に着目した。
ここで、水素純化効率とは、電気化学デバイスに投入する電気エネルギーに対する、精製する水素のエネルギーの割合である。
そして、発明者らは、アノードに供給されたアンモニアは、アノードに含まれる水に溶けて、水素イオンに随伴して、アノードから電解質膜を透過してカソードへと移動して、カソードに蓄積することによって、電気化学デバイスの抵抗が上昇して、水素精製に必要な電気エネルギーが増え、水素純化効率が低下するという課題があることを発見した。そして、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで、本開示は、カソードに蓄積したアンモニアを、水素含有ガスに含まれる水蒸気が凝縮した凝縮水に溶解させて除去し、電気化学デバイスの水素純化効率が低下するのを抑制できる水素精製システムとその運転方法を提供する。
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
なお、添付図面および以下の説明は、当事者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
(実施の形態1)
以下、図1から図4を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
図1は、実施の形態1における水素精製システム200の概略構成を示している。
図1に示すように、水素精製システム200は、電気化学デバイス100と、ガス供給手段121と、ガス供給経路122と、供給経路切替手段123と、アノード供給経路124と、カソード供給経路125と、カソード排出経路切替手段131と、カソード排出経路132と、水素排出経路133と、凝縮水排出経路134と、電源141と、電圧計142と、温度調整器143と、制御器150と、を備える。
電気化学デバイス100は、電解質膜101と、電解質膜101の一方の主面に配置されるアノード102と、電解質膜101の他方の主面に配置されるカソード103とによって構成された電解質膜-電極接合体104を有する。
電気化学デバイス100は、電解質膜-電極接合体104を、一対のアノード側セパレータ105とカソード側セパレータ106とによって挟持した構成となっていて、電解質膜101の両主面とアノード102の外側の面とカソード103の外側の面とが、鉛直方向(重力方向)に対して略平行になるように配置される。
本実施の形態の電解質膜-電極接合体104は、電解質膜101として、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボンスルホン酸系の高分子電解質膜を用い、アノード102およびカソード103として、白金を担持したカーボン粒子を、カーボン製フェルト上に塗布形成したものを用いている。
また、本実施の形態の電気化学デバイス100のアノード側セパレータ105およびカソード側セパレータ106は、ガス透過性のない導電性部材である圧縮カーボンによって構成されている。
アノード側セパレータ105には、水素含有ガスをアノード102に供給するためのアノード入口107と、アノード102に供給された水素含有ガスのうちでアノード102において消費されなかったものをアノード102から排出するためのアノード出口108が、アノード側セパレータ105における外側の面から内側の面にわたって貫通するようにそれぞれ設けられる。
また、アノード側セパレータ105におけるアノード102と対向する面には、上流側端部でアノード入口107と連通し、下流側端部でアノード出口108と連通する溝状のアノード側ガス流路109が形成されている。
なお、アノード入口107はアノード側ガス流路109の上端部に位置し、アノード出口108はアノード側ガス流路109の下端部に位置する。
アノード側ガス流路109は、アノード入口107からアノード側ガス流路109に流入した水素含有ガスが、蛇行しながら重力に逆らわずにアノード出口108に向かって流れるように形成されている。
一方、カソード側セパレータ106には、水素含有ガスをカソード103に供給するためのカソード入口110と、カソード103からの排出物を排出するためのカソード出口111が、カソード側セパレータ106における外側の面から内側の面にわたって貫通するようにそれぞれ設けられる。
また、カソード側セパレータ106におけるカソード103と対向する面には、上流側端部でカソード入口110と連通し、下流側端部でカソード出口111と連通する溝状のカソード側ガス流路112が形成されている。
なお、カソード入口110はカソード側ガス流路112の上端部に位置し、カソード出口111はカソード側ガス流路112の下端部に位置する。
カソード側ガス流路112は、カソード入口110からカソード側ガス流路112に流入した水素含有ガスが、蛇行しながら重力に逆らわずにカソード出口111に向かって流れるように形成されている。
電気化学デバイス100は、アノード入口107とアノード側ガス流路109を通ってアノード102に水素含有ガスが供給され、アノード102とカソード103との間に、アノード102から電解質膜101を通ってカソード103へと向かう電流が流れることによって、アノード102に供給された水素含有ガスよりも水素の純度が高い水素を、カソード103からカソード側ガス流路112に排出し、カソード側ガス流路112に排出された水素がカソード出口111から排出されるように構成される。
ガス供給手段121は、水素の他に少なくともアンモニアと水蒸気とを含む水素含有ガスを、電気化学デバイス100に供給するものである。本実施の形態では、ガス供給手段121として、都市ガスなどの炭化水素系の燃料から水蒸気改質反応を利用して水素含有ガスを生成する燃料改質器を用いる。
都市ガスなどの炭化水素系の燃料には窒素が含まれており、さらに、水蒸気改質反応で
生成された水素含有ガスに含まれる一酸化炭素を、CO選択酸化除去触媒を用いて二酸化炭素に変換するために空気を混合させると、水素含有ガスにおける窒素の含有比率が増加する。そして、水素含有ガスに含まれる水素と窒素が反応してアンモニアが生成される。
また、水蒸気改質反応では、炭化水素系の燃料と水蒸気を反応させるが、改質触媒上で炭素が析出したり、水素と二酸化炭素が反応して一酸化炭素と水が生成されたりするのを抑制するために、通常、燃料の供給量から算出された理論上の水の供給量に対し、1.5倍程度の水を燃料改質器に供給するので、燃料改質器から排出される水素含有ガスには水蒸気が含まれる。
供給経路切替手段123は、一つの入口と二つの出口を有し、二つの出口がそれぞれ開閉可能に構成される。
供給経路切替手段123の入口は、ガス供給経路122を介してガス供給手段121の出口と連通する。
供給経路切替手段123の一方の出口は、アノード供給経路124を介して電気化学デバイス100のアノード入口107(アノード102の入口)と連通する。
供給経路切替手段123の他方の出口は、カソード供給経路125を介して電気化学デバイス100のカソード入口110(カソード103の入口)と連通する。
本実施の形態では、供給経路切替手段123として、制御器150によって二つの出口の開閉を制御可能な三方向電磁弁を用いた。
カソード排出経路切替手段131は、一つの入口と二つの出口を有し、二つの出口がそれぞれ開閉可能に構成される。
カソード排出経路切替手段131の入口は、カソード排出経路132を介して電気化学デバイス100のカソード出口111(カソード103の出口)と連通する。
カソード排出経路切替手段131の一方の出口は、水素排出経路133の入口に接続される。
カソード排出経路切替手段131の他方の出口は、凝縮水排出経路134の入口に接続される。
本実施の形態では、カソード排出経路切替手段131として、制御器150によって二つの出口の開閉を制御可能な三方向電磁弁を用いた。
カソード排出経路132とカソード排出経路切替手段131と凝縮水排出経路134とは、電気化学デバイス100のカソード出口111から凝縮水排出経路134の出口に向かって上り勾配にならないように、できる限り電気化学デバイス100のカソード出口111から凝縮水排出経路134の出口に向かって下り勾配になるように配置される。
また、カソード排出経路切替手段131は、カソード排出経路切替手段131における一方の出口(水素排出経路133の入口に接続される出口)が、カソード排出経路切替手段131における他方の出口(凝縮水排出経路134の入口に接続される出口)よりも鉛直方向の上方に位置するように、配置される。そして、水素排出経路133は、凝縮水排出経路134よりも鉛直方向の上方に位置するように配置される。
電源141は、アノード102の電位をカソード103の電位よりも高くして、アノード102とカソード103との間に、アノード102から電解質膜101を通ってカソード103へと向かう方向の電流を流す。
本実施の形態では、電源141として、必要とされる流量の水素がカソード排出経路132(水素排出経路133)を通流するように、制御器150によって指示された電流量の電流を流す定電流型の直流電源を用いる。
電源141のプラス側出力端子は、アノード側セパレータ105を介してアノード102と電気的に接続され、電源141のマイナス側出力端子は、カソード側セパレータ106を介してカソード103と電気的に接続されている。
電圧計142は、電気化学デバイス100のアノード102とカソード103との間の電圧を計測する。電圧計142の一方の端子は、アノード側セパレータ105を介してアノード102と電気的に接続され、電圧計142の他方の端子は、カソード側セパレータ106を介してカソード103と電気的に接続されている。
温度調整器143は、電気化学デバイス100の温度を調整する。本実施の形態では、温度調整器143として、電気化学デバイス100と熱伝達可能に設けられ、制御器150によって制御されて、電気化学デバイス100を、加熱または冷却するペルチェ素子を用いる。
制御器150は、ガス供給手段121と、供給経路切替手段123と、カソード排出経路切替手段131と、電源141と、温度調整器143と、を制御することができる。制御器150は、電圧計142によって計測されたアノード102とカソード103との間の電圧を検出することができる。制御器150は、時間を管理するためのタイマー機能を有している。
水素精製システム200は、通常は、電気化学デバイス100によって水素含有ガスの水素を精製する水素精製モードで運転する。水素精製モードでの運転時間が長くなると、カソード103へのアンモニアの蓄積量が増えることによって、カソード103の反応面積が減って、水素純化効率が低下する。
そこで、所定条件を満たした場合に、水素精製モードでの運転を終了して、カソード103に蓄積されたアンモニアを排出するための排出モードでの運転を開始する。
水素精製システム200は、電気化学デバイス100によって水素含有ガスの水素を精製する場合は水素精製モードで運転し、カソード103に蓄積されたアンモニアを排出する場合は排出モードで運転する。
制御器150は、水素精製モードでは、供給経路切替手段123の一方の出口(アノード供給経路124を介してアノード入口107と連通する出口)を開状態に他方の出口(カソード供給経路125を介してカソード入口110と連通する出口)を閉状態にし、さらにカソード排出経路切替手段131の一方の出口(水素排出経路133の入口に接続される出口)を開状態に他方の出口(凝縮水排出経路134の入口に接続される出口)を閉状態にして、ガス供給手段121および電源141を動作させるように構成されている。
制御器150は、排出モードでは、供給経路切替手段123の一方の出口(アノード供給経路124を介してアノード入口107と連通する出口)を閉状態に他方の出口(カソ
ード供給経路125を介してカソード入口110と連通する出口)を開状態にし、さらにカソード排出経路切替手段131の一方の出口(水素排出経路133の入口に接続される出口)を閉状態に他方の出口(凝縮水排出経路134の入口に接続される出口)を開状態にして、ガス供給手段121を動作させ、カソード入口110に流入した水素含有ガスに含まれる水蒸気が凝縮するように温度調整器143を制御するように構成されている。
[1-2.動作]
以上のように構成された水素精製システム200において、図2から図4に基づいて、その動作、作用を以下に説明する。
図2は、実施の形態1における水素精製システム200の水素精製モードで運転しているときの状態を示し、図3は、実施の形態1における水素精製システム200の排出モードで運転しているときの状態を示す。図4は、実施の形態1における水素精製システム200の動作を示すフローチャートである。
水素精製システム200は、水素精製モードでの運転を、ある程度行った結果、カソード103に蓄積されたアンモニアによって、水素純化効率が低下するので、水素精製モードでの運転を行っている時に、カソード103へのアンモニアの蓄積量に関連する所定条件を満たした場合に、カソード103に蓄積されたアンモニアを排出するために、水素精製モードでの運転を終了して、排出モードでの運転を開始する。
そのため、水素精製システム200の動作の説明は、先に水素精製モードでの運転を説明してから、排出モードでの運転を説明する。
まず、水素精製システム200に対して、水素の精製を開始する(水素精製モードでの運転を開始する)指示が入ると、制御器150は、電気化学デバイス100の温度が70℃になるように温度調整器143を制御する(S001)。本実施の形態の電気化学デバイス100は、電気化学デバイス100の温度が70℃前後の場合に、他の温度の場合よりも、電気化学デバイス100の水素純化効率が高くなるように構成されている。
次に、制御器150は、供給経路切替手段123において、アノード供給経路124を介してアノード入口107と連通する出口が開状態、カソード供給経路125を介してカソード入口110と連通する出口が閉状態になるように、供給経路切替手段123を制御する。
さらに、カソード排出経路切替手段131において、水素排出経路133の入口に接続される出口が開状態、凝縮水排出経路134の入口に接続される出口が閉状態になるように、カソード排出経路切替手段131を制御する(S002)。
次に、制御器150は、ガス供給手段121を起動して、ガス供給手段121からアノード102への水素含有ガスの供給を開始する(S003)。
このとき、ガス供給手段121から供給される水素含有ガスの流量は、所定流量(5L/min)に設定されており、ガス供給手段121からアノード102に供給される水素含有ガスは、アンモニアと水蒸気とを含んでいる。
S002を実施したことにより、供給経路切替手段123において、アノード供給経路124を介してアノード入口107と連通する出口が開状態、カソード供給経路125を介してカソード入口110と連通する出口が閉状態になっているので、ガス供給手段121からガス供給経路122に排出された水素含有ガスは、供給経路切替手段123によっ
てアノード供給経路124に流入する。
そして、アノード供給経路124に流入した水素含有ガスは、電気化学デバイス100のアノード入口107に流入した後に、アノード側ガス流路109に流入する。この時点では、未だ、アノード102とカソード103との間に電流が流れていないので、アノード側ガス流路109に流入した水素含有ガスは、アノード出口108を通って、電気化学デバイス100の外部に排出される。
アノード出口108から排出される水素含有ガスは、ガス供給手段121の改質触媒を水蒸気改質反応に適した温度に加熱する燃焼器(図示せず)に供給したり、ガス供給手段121に供給される炭化水素系の燃料に混合させたりして有効に活用することができる。
ガス供給手段121からアノード102への水素含有ガスの供給が安定したら、電源141のスイッチを入れて、アノード102とカソード103との間に、アノード102から電解質膜101を通ってカソード103へと流れる電流を所定量(40A)流す(S004)。この40Aの電流値は、電気化学デバイス100のカソード103から、所定流量の精製された水素を得るのに必要な電流量である。
これにより、アノード102では、(化1)に示す、水素含有ガスに含まれる水素が水素イオン(H)と電子(e)とに解離する酸化反応が起こり、水素イオン(H)は、電解質膜101を透過して、アノード102からカソード103に移動し、電子(e)は、電源141を介して、アノード102からカソード103に移動し、カソード103では、(化2)に示す、水素イオン(H)と電子(e)とが結びついて水素になる還元反応が起こる。
Figure 2022023327000002
Figure 2022023327000003
(化1)と(化2)に示す電気化学反応により、アノード102に供給された水素純度の低い水素含有ガスから、水素純度の高い水素が精製され、その精製水素は、カソード103から、カソード側ガス流路112に排出され、カソード側ガス流路112に排出された精製水素は、カソード出口111を通ってカソード排出経路132に排出される。
アノード側ガス流路109に流入した水素含有ガスのうちで、電気化学デバイス100の電気化学反応によってアノード102からカソード103に移動しなかった残りのガス(水素純度が低下した水素含有ガス)は、アノード出口108を通って、電気化学デバイス100の外部に排出される。
アノード出口108から排出される水素純度が低下した水素含有ガスは、ガス供給手段121の改質触媒を水蒸気改質反応に適した温度に加熱する燃焼器(図示せず)に供給したり、ガス供給手段121に供給される炭化水素系の燃料に混合させたりして有効に活用することができる。
S002を実施したことにより、カソード排出経路切替手段131において、水素排出経路133の入口に接続される出口が開状態、凝縮水排出経路134の入口に接続される
出口が閉状態になっているので、カソード排出経路132に排出された精製水素は、カソード排出経路切替手段131によって、水素排出経路133に流入する。
水素排出経路133に流入した精製水素は、必要に応じて適切な処理をした後に、貯蔵されたり、水素利用機器で利用されたりする。
次に、制御器150は、水素精製システム200に対して、水素の精製を終了する指示が入ったかを確認する(S005)。
そして、S005において、水素の精製を終了する指示が入っていれば、S005をYes側に分岐して、電源141のスイッチを切ってアノード102から電解質膜101を通ってカソード103へと流れる電流を停止し(S018)、温度調整器143による温度調整とガス供給手段121による水素含有ガスの供給を停止し(S019)、水素精製システム200の運転(水素精製モードでの運転)を終了する。
S005において、水素の精製を終了する指示が入っていなければ、S005をNo側に分岐して、電圧計142によりアノード102とカソード103との間の電圧を測定し(S006)、S006で測定した電圧が所定電圧より高いかを確認する。
本実施の形態では、S001を実施した時に電圧計142によって測定した電圧を初期値とし、初期値の3倍の電圧を所定電圧としている(S007)。この所定電圧は、カソード103にアンモニアが蓄積されていない状態で水素精製モードでの運転を行っている時に電圧計142によって測定される電圧よりも高い電圧である。
ところで、電解質膜-電極接合体104は、電解質膜-電極接合体104が乾燥し過ぎると、性能が低下するので、電解質膜-電極接合体104の湿潤状態(含水量)を、電気化学デバイス100の電気化学反応に適した状態にする必要があるが、アノード102に供給される水素含有ガスに含まれる水蒸気が、電解質膜-電極接合体104の湿潤状態(含水量)を、電気化学デバイス100の電気化学反応に適した状態にするのに役立っている。
また、アノード102に供給された水素含有ガスに含まれるアンモニアは、アノード102に含まれる水に溶けて、水素イオンに随伴して、アノード102から電解質膜101を透過してカソード103へと移動して、カソード103に蓄積されていく。
カソード103に蓄積されるアンモニアの量が増えると、カソード103における反応面積が減少して、アノード102とカソード103との間の電気抵抗が高くなる。
アノード102とカソード103との間の電気抵抗が高くなっても、電源141は、所定量(40A)の電流をアノード102とカソード103との間に流し続けるので、アノード102とカソード103との間の電圧は、アノード102への水素含有ガスの累積供給量が増加するにつれて高くなる。
S007において、電圧計142により測定したアノード102とカソード103との間の電圧が、初期値の3倍(所定電圧)を超えるまでは、S007をNo側に分岐して、現在の状態を所定時間(1分間)継続してから(S008)、S005に戻る。
やがて、S007において、電圧計142により測定したアノード102とカソード103との間の電圧が、初期値の3倍(所定電圧)を超えると、S007をYes側に分岐して、温度調整器143による温度調整と、ガス供給手段121による水素含有ガスの供
給と、電源141の電流とを停止して水素精製モードでの運転を終了する(S009)。
次に、制御器150は、排出モードでの運転を開始するために、電気化学デバイス100の温度が30℃になるように温度調整器143を制御する(S010)。
次に、制御器150は、供給経路切替手段123において、アノード供給経路124を介してアノード入口107と連通する出口が閉状態、カソード供給経路125を介してカソード入口110と連通する出口が開状態になるように、供給経路切替手段123を制御する。
さらに、カソード排出経路切替手段131において、水素排出経路133の入口に接続される出口が閉状態、凝縮水排出経路134の入口に接続される出口が開状態になるように、カソード排出経路切替手段131を制御する(S011)。
次に、制御器150は、ガス供給手段121を起動して、ガス供給手段121からアノード102への水素含有ガスの供給を開始する(S012)。このとき、ガス供給手段121から供給される水素含有ガスの流量は、所定流量(5L/min)に設定されており、ガス供給手段121からアノード102に供給される水素含有ガスは、アンモニアと水蒸気とを含んでいる。
このとき、供給経路切替手段123は、S011を実施したことにより、アノード供給経路124を介してアノード入口107と連通する出口が閉状態、カソード供給経路125を介してカソード入口110と連通する出口が開状態になっているので、ガス供給手段121からガス供給経路122に排出された水素含有ガスは、供給経路切替手段123によってカソード供給経路125に流入する。
そして、カソード供給経路125に流入した水素含有ガスは、電気化学デバイス100のカソード入口110に流入した後に、カソード側ガス流路112に流入するが、温度調整器143によって電気化学デバイス100の温度が30℃になっているので、水素含有ガスに含まれる水蒸気が冷却されて凝縮水になる。
そして、カソード103に蓄積したアンモニアが、凝縮水に溶出して、アンモニアが溶けた凝縮水が、カソード出口111からカソード排出経路132に排出される。
このとき、カソード排出経路切替手段131は、S011を実施したことにより、水素排出経路133の入口に接続される出口が閉状態、凝縮水排出経路134の入口に接続される出口が開状態になっているので、カソード出口111からカソード排出経路132に排出された、アンモニアが溶けた凝縮水は、カソード排出経路切替手段131によって凝縮水排出経路134に流入し、凝縮水排出経路134の出口から排出されて、適切に処理される。
これによって、カソード103に蓄積したアンモニアを、凝縮水に溶出させて、凝縮水と一緒に、凝縮水排出経路134へ排出することができる。
次に、現在の状態(排出モードの動作)を所定時間(1分間)継続する(S013)。
次に、制御器150は、排出モードを開始(S010を実施)してからの経過時間を測定し(S014)、S014で測定した経過時間が所定時間(60分)を超えたかを確認する(S015)。
そして、S014で測定した経過時間が所定時間(60分)を超えていなければ、所定時間(60分)を超えるまで、S015をNo側に分岐して、S013に戻る。
やがて、S015において、S014で測定した経過時間が所定時間(60分)を超えると、S015をYes側に分岐する。
そして、制御器150は、水素精製システム200に対して、水素の精製を再開する指示が入ったかを確認する(S016)。
そして、S016において、水素の精製を再開する指示が入っていれば、S016をYes側に分岐して、制御器150は、温度調整器143による温度調整とガス供給手段121による水素含有ガスの供給を停止して(S017)、排出モードでの運転を終了し、水素精製モードでの運転を再開するために、S001に戻る。
また、S016において、水素の精製を再開する指示が入っていなければ、S016をNo側に分岐して、制御器150は、温度調整器143による温度調整とガス供給手段121による水素含有ガスの供給を停止して(S019)、水素精製システム200の運転(排出モードでの運転)を終了する。
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態の水素精製システム200は、電解質膜-電極接合体104をアノード側セパレータ105とカソード側セパレータ106とによって挟持した電気化学デバイス100と、ガス供給手段121と、供給経路切替手段123と、カソード排出経路切替手段131と、電源141と、温度調整器143と、制御器150と、を備える。
電解質膜-電極接合体104は、電解質膜101と、電解質膜101の一方の主面に配置されるアノード102と、電解質膜101の他方の主面に配置されるカソード103により構成される。
アノード側セパレータ105は、水素含有ガスをアノード102に供給するためのアノード入口107と、アノード102に供給された水素含有ガスのうちでアノード102において消費されなかったものをアノード102から排出するためのアノード出口108とを有する。
アノード側セパレータ105におけるアノード102と対向する面には、上流側端部でアノード入口107と連通し、下流側端部でアノード出口108と連通する溝状のアノード側ガス流路109が形成されている。
カソード側セパレータ106は、水素含有ガスをカソード103に供給するためのカソード入口110と、カソード103からの排出物を排出するためのカソード出口111とを有する。
カソード側セパレータ106におけるカソード103と対向する面には、上流側端部でカソード入口110と連通し、下流側端部でカソード出口111と連通する溝状のカソード側ガス流路112が形成されている。
電気化学デバイス100は、アノード102に水素含有ガスが供給され、アノード102とカソード103との間に所定方向の電流が流れることにより、アノード102に供給された水素含有ガスよりも水素の純度が高い水素をカソード103から排出されるように
構成される。
ガス供給手段121は、水素含有ガスを供給する。ガス供給手段121によって供給される水素含有ガスには、少なくともアンモニアと水蒸気とが含まれている。
電源141は、電気化学デバイス100のアノード102とカソード103との間に電流を流す。温度調整器143は、電気化学デバイス100の温度を調整する。
供給経路切替手段123は、一つの入口と二つの出口を有し、二つの出口がそれぞれ開閉可能に構成される。
供給経路切替手段123の入口は、ガス供給経路122を介してガス供給手段121の出口と連通する。
供給経路切替手段123の一方の出口は、アノード供給経路124を介して電気化学デバイス100のアノード入口107(アノード102の入口)と連通する。
供給経路切替手段123の他方の出口は、カソード供給経路125を介して電気化学デバイス100のカソード入口110(カソード103の入口)と連通する。
カソード排出経路切替手段131は、一つの入口と二つの出口を有し、二つの出口がそれぞれ開閉可能に構成される。
カソード排出経路切替手段131の入口は、カソード排出経路132を介して電気化学デバイス100のカソード出口111(カソード103の出口)と連通する。
カソード排出経路切替手段131の一方の出口は、水素排出経路133の入口に接続される。
カソード排出経路切替手段131の他方の出口は、凝縮水排出経路134の入口に接続される。
水素精製システム200は、通常は、電気化学デバイス100によって水素含有ガスの水素を精製する水素精製モードで運転する。水素精製モードでの運転時間が長くなると、カソード103へのアンモニアの蓄積量が増えることによって、カソード103の反応面積が減って、水素純化効率が低下する。
そこで、所定条件を満たした場合に、水素精製モードでの運転を終了して、カソード103に蓄積されたアンモニアを排出するための排出モードでの運転を開始する。
制御器150は、水素精製モードでは、供給経路切替手段123の一方の出口(アノード供給経路124を介してアノード入口107と連通する出口)を開状態に他方の出口(カソード供給経路125を介してカソード入口110と連通する出口)を閉状態にし、さらにカソード排出経路切替手段131の一方の出口(水素排出経路133の入口に接続される出口)を開状態に他方の出口(凝縮水排出経路134の入口に接続される出口)を閉状態にして、ガス供給手段121および電源141を動作させるように構成されている。
制御器150は、排出モードでは、供給経路切替手段123の一方の出口(アノード供給経路124を介してアノード入口107と連通する出口)を閉状態に他方の出口(カソード供給経路125を介してカソード入口110と連通する出口)を開状態にし、さらに
カソード排出経路切替手段131の一方の出口(水素排出経路133の入口に接続される出口)を閉状態に他方の出口(凝縮水排出経路134の入口に接続される出口)を開状態にして、ガス供給手段121を動作させ、カソード入口110に流入した水素含有ガスに含まれる水蒸気が凝縮するように温度調整器143を制御するように構成されている。
これにより、水素精製モードでの運転を終了して排出モードでの運転を開始すると、水素精製モードでの運転時にアノード102に供給されていた水素含有ガスがカソード103に供給され、水素精製モードの時よりも電気化学デバイス100の温度が低いために、カソード103に供給された水素含有ガスに含まれる水蒸気が凝縮するので、カソード103に蓄積したアンモニアを、凝縮水に溶出させて、凝縮水と一緒に、カソード103から排出することができる。
そのため、水蒸気を含むガスを供給するガス供給手段を新たに備えることなく、簡単な構成でカソード103に蓄積したアンモニアを除去し、電気化学デバイス100の水素純化効率が低下するのを抑制することができる。
また、本実施の形態のように、水素精製システム200が、電気化学デバイス100のアノード102とカソード103との間の電圧を計測する電圧計142を、さらに備え、電源141は、水素精製モードでの運転中は、カソード103から所定流量の精製された水素を得るのに必要な所定量(40A)の電流を流して、制御器150が、水素精製モードでの運転中に、電圧計142で計測された電圧が所定電圧(初期値の3倍)以上になると、水素精製モードでの運転を終了して、排出モードでの運転を開始するように構成しても構わない。
そのように構成した場合は、カソード103に所定量以上のアンモニアが蓄積したことを自動で確認して、水素精製モードから排出モードへ移行することができる。そのため、電気化学デバイス100の水素純化効率の低下を自動で抑制できる。
(実施の形態2)
以下、図5から図9を用いて、実施の形態2を説明する。
[2-1.構成]
図5は、実施の形態2における水素精製システム400の概略構成を示している。
図5に示すように、水素精製システム400は、電気化学デバイス300と、ガス供給手段321と、ガス供給経路322と、アノード排出経路326と、アノード排出経路切替手段327と、外部排出経路328と、カソード供給経路329と、カソード排出経路切替手段331と、カソード排出経路332と、水素排出経路333と、凝縮水排出経路334と、電源341と、アノード温度調整器343と、カソード温度調整器344と、制御器350と、を備える。
電気化学デバイス300は、電解質膜301と、電解質膜301の一方の主面に配置されるアノード302と、電解質膜301の他方の主面に配置されるカソード303とによって構成された電解質膜-電極接合体304を有する。
電気化学デバイス300は、電解質膜-電極接合体304を、一対のアノード側セパレータ305とカソード側セパレータ306とによって挟持した構成となっていて、電解質膜301の両主面とアノード302の外側の面とカソード303の外側の面とが、鉛直方向(重力方向)に対して略平行になるように配置される。
本実施の形態の電解質膜-電極接合体304は、電解質膜301として、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボンスルホン酸系の高分子電解質膜を用い、アノード302およびカソード303として、白金を担持したカーボン粒子を、カーボン製フェルト上に塗布形成したものを用いている。
また、本実施の形態の電気化学デバイス300のアノード側セパレータ305およびカソード側セパレータ306は、ガス透過性のない導電性部材である圧縮カーボンによって構成されている。
アノード側セパレータ305には、水素含有ガスをアノード302に供給するためのアノード入口307と、アノード302に供給された水素含有ガスのうちでアノード302において消費されなかったものをアノード302から排出するためのアノード出口308が、アノード側セパレータ305における外側の面から内側の面にわたって貫通するようにそれぞれ設けられる。
また、アノード側セパレータ305におけるアノード302と対向する面には、上流側端部でアノード入口307と連通し、下流側端部でアノード出口308と連通する溝状のアノード側ガス流路309が形成されている。
なお、アノード入口307はアノード側ガス流路309の上端部に位置し、アノード出口308はアノード側ガス流路309の下端部に位置する。
アノード側ガス流路309は、アノード入口307からアノード側ガス流路309に流入した水素含有ガスが、蛇行しながら重力に逆らわずにアノード出口308に向かって流れるように形成されている。
一方、カソード側セパレータ306には、水素含有ガスをカソード303に供給するためのカソード入口310と、カソード303からの排出物を排出するためのカソード出口311が、カソード側セパレータ306における外側の面から内側の面にわたって貫通するようにそれぞれ設けられる。
また、カソード側セパレータ306におけるカソード303と対向する面には、上流側端部でカソード入口310と連通し、下流側端部でカソード出口311と連通する溝状のカソード側ガス流路312が形成されている。
なお、カソード入口310はカソード側ガス流路312の上端部に位置し、カソード出口311はカソード側ガス流路312の下端部に位置する。
カソード側ガス流路312は、カソード入口310からカソード側ガス流路312に流入した水素含有ガスが、蛇行しながら重力に逆らわずにカソード出口311に向かって流れるように形成されている。
電気化学デバイス300は、アノード入口307とアノード側ガス流路309を通ってアノード302に水素含有ガスが供給され、アノード302とカソード303との間に、アノード302から電解質膜301を通ってカソード303へと向かう電流が流れることによって、アノード302に供給された水素含有ガスよりも水素の純度が高い水素を、カソード303からカソード側ガス流路312に排出し、カソード側ガス流路312に排出された水素がカソード出口311から排出されるように構成される。
ガス供給手段321は、水素の他に少なくともアンモニアと水蒸気とを含む水素含有ガ
スを、電気化学デバイス300に供給するものである。本実施の形態では、ガス供給手段321として、都市ガスなどの炭化水素系の燃料から水蒸気改質反応を利用して水素含有ガスを生成する燃料改質器を用いる。
都市ガスなどの炭化水素系の燃料には窒素が含まれており、さらに、水蒸気改質反応で生成された水素含有ガスに含まれる一酸化炭素を、CO選択酸化除去触媒を用いて二酸化炭素に変換するために空気を混合させると、水素含有ガスにおける窒素の含有比率が増加する。そして、水素含有ガスに含まれる水素と窒素が反応してアンモニアが生成される。
また、水蒸気改質反応では、炭化水素系の燃料と水蒸気を反応させるが、改質触媒上で炭素が析出したり、水素と二酸化炭素が反応して一酸化炭素と水が生成されたりするのを抑制するために、通常、燃料の供給量から算出された理論上の水の供給量に対し、1.5倍程度の水を燃料改質器に供給するので、燃料改質器から排出される水素含有ガスには水蒸気が含まれる。
アノード排出経路切替手段327は、一つの入口と二つの出口を有し、二つの出口がそれぞれ開閉可能に構成される。
アノード排出経路切替手段327の入口は、アノード排出経路326を介して電気化学デバイス300のアノード出口308(アノード302の出口)と連通する。
アノード排出経路切替手段327の一方の出口は、外部排出経路328の入口に接続される。
アノード排出経路切替手段327の他方の出口は、カソード供給経路329を介して電気化学デバイス300のカソード入口310(カソード303の入口)と連通する。
本実施の形態では、アノード排出経路切替手段327として、制御器350によって二つの出口の開閉を制御可能な三方向電磁弁を用いた。
カソード排出経路切替手段331は、一つの入口と二つの出口を有し、二つの出口がそれぞれ開閉可能に構成される。
カソード排出経路切替手段331の入口は、カソード排出経路332を介して電気化学デバイス300のカソード出口311(カソード303の出口)と連通する。
カソード排出経路切替手段331の一方の出口は、水素排出経路333の入口に接続される。
カソード排出経路切替手段331の他方の出口は、凝縮水排出経路334の入口に接続される。
本実施の形態では、カソード排出経路切替手段331として、制御器350によって二つの出口の開閉を制御可能な三方向電磁弁を用いた。
カソード排出経路332とカソード排出経路切替手段331と凝縮水排出経路334とは、電気化学デバイス300のカソード出口311から凝縮水排出経路334の出口に向かって上り勾配にならないように、できる限り電気化学デバイス300のカソード出口311から凝縮水排出経路334の出口に向かって下り勾配になるように配置される。
また、カソード排出経路切替手段331は、カソード排出経路切替手段331における一方の出口(水素排出経路333の入口に接続される出口)が、カソード排出経路切替手段331における他方の出口(凝縮水排出経路334の入口に接続される出口)よりも鉛直方向の上方に位置するように、配置される。そして、水素排出経路333は、凝縮水排出経路334よりも鉛直方向の上方に位置するように配置される。
また、アノード排出経路326とアノード排出経路切替手段327と外部排出経路328とは、電気化学デバイス300のアノード出口308から外部排出経路328の出口に向かって上り勾配にならないように、できる限り電気化学デバイス300のアノード出口308から外部排出経路328の出口に向かって下り勾配になるように配置される。
アノード排出経路切替手段327は、電気化学デバイス300のアノード出口308よりも鉛直方向の下方に位置するように、配置される。また、アノード排出経路切替手段327は、電気化学デバイス300のカソード入口310よりも鉛直方向の下方に位置するように、配置される。
また、アノード排出経路切替手段327は、アノード排出経路切替手段327における一方の出口(外部排出経路328の入口に接続される出口)が、アノード排出経路切替手段327における他方の出口(カソード供給経路329の入口に接続される出口)よりも鉛直方向の下方に位置するように、配置される。そして、カソード供給経路329は、外部排出経路328よりも鉛直方向の上方に位置するように配置される。
電源341は、アノード302の電位をカソード303の電位よりも高くして、アノード302とカソード303との間に、アノード302から電解質膜301を通ってカソード303へと向かう方向の電流を流す。
本実施の形態では、電源341として、必要とされる流量の水素がカソード排出経路332(水素排出経路333)を通流するように、制御器350によって指示された電流量の電流を流す定電流型の直流電源を用いる。
電源341のプラス側出力端子は、アノード側セパレータ305を介してアノード302と電気的に接続され、電源341のマイナス側出力端子は、カソード側セパレータ306を介してカソード303と電気的に接続されている。
アノード温度調整器343は、電気化学デバイス300のアノード302の温度を調整する。本実施の形態では、アノード温度調整器343として、アノード側セパレータ305と熱伝達可能に設けられ、制御器350によって制御されて、アノード側セパレータ305を介してアノード302を、加熱または冷却するペルチェ素子を用いる。
カソード温度調整器344は、電気化学デバイス300のカソード303の温度を調整する。本実施の形態では、カソード温度調整器344として、カソード側セパレータ306と熱伝達可能に設けられ、制御器350によって制御されて、カソード側セパレータ306を介してカソード303を、加熱または冷却するペルチェ素子を用いる。
制御器350は、ガス供給手段321と、アノード排出経路切替手段327と、カソード排出経路切替手段331と、電源341と、アノード温度調整器343と、カソード温度調整器344と、を制御することができる。制御器350は、時間を管理するためのタイマー機能を有している。
水素精製システム400は、通常は、電気化学デバイス300によって水素含有ガスの
水素を精製する水素精製モードで運転する。水素精製モードでの運転時間が長くなると、カソード303へのアンモニアの蓄積量が増えることによって、カソード303の反応面積が減って、水素純化効率が低下する。
そこで、所定条件を満たした場合に、水素精製モードでの運転を終了して、カソード303に蓄積されたアンモニアを排出するための排出モードでの運転を開始する。
水素精製システム400は、電気化学デバイス300によって水素含有ガスの水素を精製する場合は水素精製モードで運転し、カソード303に蓄積されたアンモニアを排出する場合は排出モードで運転する。また、アノード302に蓄積されたアンモニアを排出する場合は排出モードでの運転の直後にアノード洗浄モードで運転する。
制御器350は、水素精製モードでは、アノード排出経路切替手段327の一方の出口(外部排出経路328の入口に接続される出口)を開状態に他方の出口(カソード供給経路329を介してカソード入口310と連通する出口)を閉状態にし、さらにカソード排出経路切替手段331の一方の出口(水素排出経路333の入口に接続される出口)を開状態に他方の出口(凝縮水排出経路334の入口に接続される出口)を閉状態にして、ガス供給手段321および電源341を動作させるように構成されている。
制御器350は、排出モードでは、アノード排出経路切替手段327の一方の出口(外部排出経路328の入口に接続される出口)を閉状態に他方の出口(カソード供給経路329を介してカソード入口310と連通する出口)を開状態にし、さらにカソード排出経路切替手段331の一方の出口(水素排出経路333の入口に接続される出口)を閉状態に他方の出口(凝縮水排出経路334の入口に接続される出口)を開状態にして、ガス供給手段321を動作させ、電気化学デバイス300のアノード出口308からガス状の水素含有ガスが排出されて、電気化学デバイス300のカソード入口310に流入した水素含有ガスに含まれる水蒸気が、カソード303において凝縮するように、アノード温度調整器343およびカソード温度調整器344を制御するように構成されている。
制御器350は、アノード洗浄モードでは、カソード排出経路切替手段331の一方の出口(水素排出経路333の入口に接続される出口)の閉状態と他方の出口(凝縮水排出経路334の入口に接続される出口)の開状態を排出モードから維持(継続)して、アノード排出経路切替手段327については、水素精製モードの時と同様に、アノード排出経路切替手段327の一方の出口(外部排出経路328の入口に接続される出口)を開状態に他方の出口(カソード供給経路329を介してカソード入口310と連通する出口)を閉状態にして、ガス供給手段321を動作させ、電気化学デバイス300のアノード入口307に流入した水素含有ガスに含まれる水蒸気が、アノード302において凝縮するように、アノード温度調整器343およびカソード温度調整器344を制御するように構成されている。
[2-2.動作]
以上のように構成された水素精製システム400において、図6から図9に基づいて、その動作、作用を以下に説明する。
図6は、実施の形態2における水素精製システム400の水素精製モードで運転しているときの状態を示し、図7は、実施の形態2における水素精製システム400の排出モードで運転しているときの状態を示し、図8は、実施の形態2における水素精製システム400のアノード洗浄モードで運転しているときの状態を示す。図9は、実施の形態2における水素精製システム400の動作を示すフローチャートである。
水素精製システム400は、水素精製モードでの運転を、ある程度行った結果、カソード303に蓄積されたアンモニアによって、水素純化効率が低下するので、水素精製モードでの運転を行っている時に、カソード303へのアンモニアの蓄積量に関連する所定条件を満たした場合に、カソード303に蓄積されたアンモニアを排出するために、水素精製モードでの運転を終了して、排出モードでの運転を開始する。
また、本実施の形態の排出モードでの運転は、アノード側ガス流路309を通過してアノード出口308から排出された水素含有ガスを、カソード入口310からカソード側ガス流路312に流すが、排出モードでの運転中は、アノード302とカソード303との間に電流を流さないので、水素含有ガスに含まれるアンモニアが、排出モードでの運転中にアノード302に蓄積される可能性がある。
そして、アンモニアがアノード302に蓄積された状態で、水素精製モードでの運転を再開すると、アノード302に蓄積されたアンモニアが、アノード302に含まれる水に溶けて、水素イオンに随伴して、アノード302から電解質膜301を透過してカソード303へと移動して、カソード303に蓄積される可能性がある。
そこで、本実施の形態では、水素精製モードでの運転を再開する前に、アノード302に蓄積されたアンモニアを排出するために、排出モードでの運転を終了した後で、アノード洗浄モードでの運転を開始する。
そのため、水素精製システム400の動作の説明は、先に水素精製モードでの運転を説明してから、排出モードでの運転を説明し、最後にアノード洗浄モードでの運転を説明する。
まず、水素精製システム400に対して、水素の精製を開始する(水素精製モードでの運転を開始する)指示が入ると、制御器350は、電気化学デバイス300のアノード302とカソード303の温度が、それぞれ70℃になるようにアノード温度調整器343とカソード温度調整器344を制御する(S101)。
本実施の形態の電気化学デバイス300は、電気化学デバイス300の温度が70℃前後の場合に、他の温度の場合よりも、電気化学デバイス300の水素純化効率が高くなるように構成されている。
次に、制御器350は、アノード排出経路切替手段327において、外部排出経路328の入口に接続される出口が開状態、カソード供給経路329を介してカソード入口310と連通する出口が閉状態になるように、アノード排出経路切替手段327を制御する。
さらに、カソード排出経路切替手段331において、水素排出経路333の入口に接続される出口が開状態、凝縮水排出経路334の入口に接続される出口が閉状態になるように、カソード排出経路切替手段331を制御する(S102)。
次に、制御器350は、ガス供給手段321を起動して、ガス供給手段321からアノード302への水素含有ガスの供給を開始する(S103)。
このとき、ガス供給手段321から供給される水素含有ガスの流量は、所定流量(5L/min)に設定されており、ガス供給手段321からアノード302に供給される水素含有ガスは、アンモニアと水蒸気とを含んでいる。
ガス供給手段321からガス供給経路322に排出された水素含有ガスは、電気化学デ
バイス300のアノード入口307に流入した後に、アノード側ガス流路309に流入する。この時点では、未だ、アノード302とカソード303との間に電流が流れていないので、アノード側ガス流路309に流入した水素含有ガスは、そのまま、アノード出口308からアノード排出経路326に排出される。
S102を実施したことにより、アノード排出経路切替手段327において、外部排出経路328の入口に接続される出口が開状態、カソード供給経路329を介してカソード入口310と連通する出口が閉状態になっているので、アノード排出経路326に排出された水素含有ガスは、アノード排出経路切替手段327によって外部排出経路328に排出される。
外部排出経路328に排出される水素含有ガスは、ガス供給手段321の改質触媒を水蒸気改質反応に適した温度に加熱する燃焼器(図示せず)に供給したり、ガス供給手段321に供給される炭化水素系の燃料に混合させたりして有効に活用することができる。
ガス供給手段321からアノード302への水素含有ガスの供給が安定したら、電源341のスイッチを入れて、アノード302とカソード303との間に、アノード302から電解質膜301を通ってカソード303へと流れる電流を所定量(40A)流す(S104)。この40Aの電流値は、電気化学デバイス300のカソード303から、所定流量の精製された水素を得るのに必要な電流量である。
これにより、アノード302では、(化1)に示す、水素含有ガスに含まれる水素が水素イオン(H)と電子(e)とに解離する酸化反応が起こり、水素イオン(H)は、電解質膜301を透過して、アノード302からカソード303に移動し、電子(e)は、電源341を介して、アノード302からカソード303に移動し、カソード303では、(化2)に示す、水素イオン(H)と電子(e)とが結びついて水素になる還元反応が起こる。
(化1)と(化2)に示す電気化学反応により、アノード302に供給された水素純度の低い水素含有ガスから、水素純度の高い水素が精製され、その精製水素は、カソード303から、カソード側ガス流路312に排出され、カソード側ガス流路312に排出された精製水素は、カソード出口311を通ってカソード排出経路332に排出される。
アノード側ガス流路309に流入した水素含有ガスのうちで、電気化学デバイス300の電気化学反応によってアノード302からカソード303に移動しなかった残りのガス(水素純度が低下した水素含有ガス)は、アノード出口308からアノード排出経路326に排出される。アノード排出経路326に排出された水素含有ガスは、アノード排出経路切替手段327によって外部排出経路328に排出される。
外部排出経路328に排出される水素純度が低下した水素含有ガスは、ガス供給手段321の改質触媒を水蒸気改質反応に適した温度に加熱する燃焼器(図示せず)に供給したり、ガス供給手段321に供給される炭化水素系の燃料に混合させたりして有効に活用することができる。
S102を実施したことにより、カソード排出経路切替手段331において、水素排出経路333の入口に接続される出口が開状態、凝縮水排出経路334の入口に接続される出口が閉状態になっているので、カソード排出経路332に排出された精製水素は、カソード排出経路切替手段331によって、水素排出経路333に流入する。
水素排出経路333に流入した精製水素は、必要に応じて適切な処理をした後に、貯蔵
されたり、水素利用機器で利用されたりする。
次に、制御器350は、水素精製システム400に対して、水素の精製を終了する指示が入ったかを確認する(S105)。
そして、S105において、水素の精製を終了する指示が入っていれば、S105をYes側に分岐して、電源341のスイッチを切ってアノード302から電解質膜301を通ってカソード303へと流れる電流を停止し(S125)、アノード温度調整器343による温度調整とカソード温度調整器344による温度調整とガス供給手段321による水素含有ガスの供給を、それぞれ停止して(S126)、水素精製システム400の運転(水素精製モードでの運転)を終了する。
S105において、水素の精製を終了する指示が入っていなければ、S105をNo側に分岐して、制御器350は、水素精製モードを開始(S101を実施)してからの経過時間を測定する(S106)。
次に、制御器350は、S106で測定した経過時間が所定時間(60分)を超えたかを確認する(S107)。本実施の形態では、水素精製モードを開始(S101を実施)してから、アノード302とカソード303との間の電圧が所定電圧(初期値の3倍)になるまでの経過時間が60分であることが試験で確認できたことから、所定時間を60分に設定している。
ところで、電解質膜-電極接合体304は、電解質膜-電極接合体304が乾燥し過ぎると、性能が低下するので、電解質膜-電極接合体304の湿潤状態(含水量)を、電気化学デバイス300の電気化学反応に適した状態にする必要があるが、アノード302に供給される水素含有ガスに含まれる水蒸気が、電解質膜-電極接合体304の湿潤状態(含水量)を、電気化学デバイス300の電気化学反応に適した状態にするのに役立っている。
また、アノード302に供給された水素含有ガスに含まれるアンモニアは、アノード302に含まれる水に溶けて、水素イオンに随伴して、アノード302から電解質膜301を透過してカソード303へと移動して、カソード303に蓄積されていく。
S107において、S106で測定した経過時間が、所定時間(60分)を超えるまでは、S107をNo側に分岐して、現在の状態を所定時間(1分間)継続してから(S108)、S105に戻る。
やがて、S107において、S106で測定した経過時間が、所定時間(60分)を超えると、S107をYes側に分岐して、アノード温度調整器343による温度調整と、カソード温度調整器344による温度調整と、ガス供給手段321による水素含有ガスの供給と、電源141の電流と、を停止して、水素精製モードでの運転を終了する(S109)。
次に、制御器350は、排出モードでの運転を開始するために、アノード302の温度が70℃になるようにアノード温度調整器343を制御し、カソード303の温度が30℃になるようにカソード温度調整器344を制御する(S110)。
次に、制御器350は、アノード排出経路切替手段327において、外部排出経路328の入口に接続される出口が閉状態、カソード供給経路329を介してカソード入口310と連通する出口が開状態になるように、アノード排出経路切替手段327を制御する。
さらに、カソード排出経路切替手段331において、水素排出経路333の入口に接続される出口が閉状態、凝縮水排出経路334の入口に接続される出口が開状態になるように、カソード排出経路切替手段331を制御する(S111)。
次に、制御器350は、ガス供給手段321を起動して、ガス供給手段321からアノード302への水素含有ガスの供給を開始する(S112)。
このとき、ガス供給手段321からガス供給経路322を介してアノード入口307へ供給される水素含有ガスの流量は、所定流量(5L/min)に設定されており、ガス供給手段321からアノード302(アノード入口307)に供給される水素含有ガスは、アンモニアと水蒸気とを含んでいる。
ガス供給手段321からガス供給経路322に排出された水素含有ガスは、電気化学デバイス300のアノード入口307に流入した後に、アノード側ガス流路309に流入する。
排出モードでは、電源341によってアノード302とカソード303との間に電流を流さず、アノード温度調整器343によってアノード302の温度が70℃になっているので、アノード側ガス流路309に流入した水素含有ガスは、そのまま、アノード出口308からアノード排出経路326に排出される。
S111を実施したことにより、アノード排出経路切替手段327において、外部排出経路328の入口に接続される出口が閉状態、カソード供給経路329を介してカソード入口310と連通する出口が開状態になっているので、アノード排出経路326に排出された水素含有ガスは、アノード排出経路切替手段327によってカソード供給経路329に流入する。
そして、カソード供給経路329に流入した水素含有ガスは、電気化学デバイス300のカソード入口310に流入した後に、カソード側ガス流路312に流入するが、カソード温度調整器344によってカソード303の温度が30℃になっているので、水素含有ガスに含まれる水蒸気が冷却されて凝縮水になる。
そして、カソード303に蓄積したアンモニアが、凝縮水に溶出して、アンモニアが溶けた凝縮水が、カソード出口311からカソード排出経路332に排出される。
このとき、カソード排出経路切替手段331は、S111を実施したことにより、水素排出経路333の入口に接続される出口が閉状態、凝縮水排出経路334の入口に接続される出口が開状態になっているので、カソード出口311からカソード排出経路332に排出された、アンモニアが溶けた凝縮水は、カソード排出経路切替手段331によって凝縮水排出経路334に流入し、凝縮水排出経路334の出口から排出されて、適切に処理される。
これによって、カソード303に蓄積したアンモニアを、凝縮水に溶出させて、凝縮水と一緒に、凝縮水排出経路334へ排出することができる。
次に、現在の状態(排出モードの動作)を所定時間(1分間)継続する(S113)。
次に、制御器350は、排出モードを開始(S110を実施)してからの経過時間を測定し(S114)、S114で測定した経過時間が所定時間(60分)を超えたかを確認
する(S115)。
そして、S114で測定した経過時間が所定時間(60分)を超えていなければ、所定時間(60分)を超えるまで、S115をNo側に分岐して、S113に戻る。
やがて、S115において、S114で測定した経過時間が所定時間(60分)を超えると、S115をYes側に分岐して、アノード温度調整器343による温度調整と、カソード温度調整器344による温度調整と、ガス供給手段321による水素含有ガスの供給と、を停止して、排出モードでの運転を終了する(S116)。
次に、制御器350は、アノード洗浄モードでの運転を開始するために、アノード302の温度が30℃になるようにアノード温度調整器343を制御し、カソード303の温度が70℃になるようにカソード温度調整器344を制御する(S117)。
次に、制御器350は、アノード排出経路切替手段327において、外部排出経路328の入口に接続される出口が開状態、カソード供給経路329を介してカソード入口310と連通する出口が閉状態になるように、アノード排出経路切替手段327を制御する(S118)。
次に、制御器350は、ガス供給手段321を起動して、ガス供給手段321からアノード302への水素含有ガスの供給を開始する(S119)。
このとき、ガス供給手段321からガス供給経路322を介してアノード入口307へ供給される水素含有ガスの流量は、所定流量(5L/min)に設定されており、ガス供給手段321からアノード302(アノード入口307)に供給される水素含有ガスは、アンモニアと水蒸気とを含んでいる。
ガス供給手段321からガス供給経路322に排出された水素含有ガスは、電気化学デバイス300のアノード入口307に流入した後に、アノード側ガス流路309に流入する。
アノード洗浄モードでは、電源341によってアノード302とカソード303との間に電流を流さず、アノード温度調整器343によってアノード302の温度が30℃になっているので、アノード側ガス流路309に流入した水素含有ガスに含まれる水蒸気が、冷却されて凝縮水になる。
そして、アノード302に蓄積したアンモニアが、凝縮水に溶出して、アンモニアが溶けた凝縮水が、アノード出口308からアノード排出経路326に排出される。
S118を実施したことにより、アノード排出経路切替手段327において、外部排出経路328の入口に接続される出口が開状態、カソード供給経路329を介してカソード入口310と連通する出口が閉状態になっているので、アノード排出経路326に排出された、アンモニアが溶けた凝縮水は、アノード排出経路切替手段327によって外部排出経路328に排出されて、適切に処理される。
これによって、アノード302に蓄積したアンモニアを、凝縮水に溶出させて、凝縮水と一緒に、外部排出経路328へ排出することができる。
また、アノード洗浄モードでは、カソード温度調整器344によってカソード303の温度が、排出モードの時の30℃から70℃に上昇するので、カソード側ガス流路312
に残留する凝縮水は気化し、カソード側ガス流路312に残留する水素含有ガスが熱膨張する。
また、アノード洗浄モードでは、カソード側ガス流路312は、カソード出口311、カソード排出経路332、カソード排出経路切替手段331を介して、凝縮水排出経路334と連通しているので、カソード側ガス流路312に残留する水素含有ガスの圧力が、略大気圧にまで低下するように、カソード側ガス流路312に残留する水素含有ガスの一部は、凝縮水排出経路334から排出される。
次に、現在の状態(アノード洗浄モードの動作)を所定時間(1分間)継続する(S120)。
次に、制御器350は、アノード洗浄モードを開始(S117を実施)してからの経過時間を測定し(S121)、S121で測定した経過時間が所定時間(60分)を超えたかを確認する(S122)。
そして、S121で測定した経過時間が所定時間(60分)を超えていなければ、所定時間(60分)を超えるまで、S122をNo側に分岐して、S120に戻る。
やがて、S122において、S121で測定した経過時間が所定時間(60分)を超えると、S122をYes側に分岐する。
そして、制御器350は、水素精製システム400に対して、水素の精製を再開する指示が入ったかを確認する(S123)。
そして、S123において、水素の精製を再開する指示が入っていれば、S123をYes側に分岐して、制御器350は、アノード温度調整器343による温度調整と、カソード温度調整器344による温度調整と、ガス供給手段321による水素含有ガスの供給と、を停止して(S124)、アノード洗浄モードでの運転を終了し、水素精製モードでの運転を再開するために、S101に戻る。
また、S123において、水素の精製を再開する指示が入っていなければ、S123をNo側に分岐して、制御器350は、アノード温度調整器343による温度調整と、カソード温度調整器344による温度調整と、ガス供給手段321による水素含有ガスの供給と、を停止して(S126)、水素精製システム400の運転(アノード洗浄モードでの運転)を終了する。
[2-3.効果等]
以上のように、本実施の形態の水素精製システム400は、電解質膜-電極接合体304をアノード側セパレータ305とカソード側セパレータ306とによって挟持した電気化学デバイス300と、ガス供給手段321と、アノード排出経路切替手段327と、カソード排出経路切替手段331と、電源341と、アノード温度調整器343と、カソード温度調整器344と、制御器350と、を備える。
電解質膜-電極接合体304は、電解質膜301と、電解質膜301の一方の主面に配置されるアノード302と、電解質膜301の他方の主面に配置されるカソード303により構成される。
アノード側セパレータ305は、水素含有ガスをアノード302に供給するためのアノード入口307と、アノード302に供給された水素含有ガスのうちでアノード302に
おいて消費されなかったものをアノード302から排出するためのアノード出口308とを有する。
アノード側セパレータ305におけるアノード302と対向する面には、上流側端部でアノード入口307と連通し、下流側端部でアノード出口308と連通する溝状のアノード側ガス流路309が形成されている。
カソード側セパレータ306は、水素含有ガスをカソード303に供給するためのカソード入口310と、カソード303からの排出物を排出するためのカソード出口311とを有する。
カソード側セパレータ306におけるカソード303と対向する面には、上流側端部でカソード入口310と連通し、下流側端部でカソード出口311と連通する溝状のカソード側ガス流路312が形成されている。
電気化学デバイス300は、アノード302に水素含有ガスが供給され、アノード302とカソード303との間に所定方向の電流が流れることにより、アノード302に供給された水素含有ガスよりも水素の純度が高い水素をカソード303から排出されるように構成される。
ガス供給手段321は、水素含有ガスを供給する。ガス供給手段321によって供給される水素含有ガスには、少なくともアンモニアと水蒸気とが含まれている。
電源341は、電気化学デバイス300のアノード302とカソード303との間に電流を流す。アノード温度調整器343は、電気化学デバイス300のアノード302の温度を調整する。カソード温度調整器344は、電気化学デバイス300のカソード303の温度を調整する。
アノード排出経路切替手段327は、一つの入口と二つの出口を有し、二つの出口がそれぞれ開閉可能に構成される。
アノード排出経路切替手段327の入口は、アノード排出経路326を介して電気化学デバイス300のアノード出口308(アノード302の出口)と連通する。
アノード排出経路切替手段327の一方の出口は、外部排出経路328の入口に接続される。
アノード排出経路切替手段327の他方の出口は、カソード供給経路329を介して電気化学デバイス300のカソード入口310(カソード303の入口)と連通する。
カソード排出経路切替手段331は、一つの入口と二つの出口を有し、二つの出口がそれぞれ開閉可能に構成される。
カソード排出経路切替手段331の入口は、カソード排出経路332を介して電気化学デバイス300のカソード出口311(カソード303の出口)と連通する。
カソード排出経路切替手段331の一方の出口は、水素排出経路333の入口に接続される。
カソード排出経路切替手段331の他方の出口は、凝縮水排出経路334の入口に接続
される。
水素精製システム400は、通常は、電気化学デバイス300によって水素含有ガスの水素を精製する水素精製モードで運転する。水素精製モードでの運転時間が長くなると、カソード303へのアンモニアの蓄積量が増えることによって、カソード303の反応面積が減って、水素純化効率が低下する。
そこで、所定条件を満たした場合に、水素精製モードでの運転を終了して、カソード303に蓄積されたアンモニアを排出するための排出モードでの運転を開始する。
制御器350は、水素精製モードでは、アノード排出経路切替手段327の一方の出口(外部排出経路328の入口に接続される出口)を開状態に他方の出口(カソード供給経路329を介してカソード入口310と連通する出口)を閉状態にし、さらにカソード排出経路切替手段331の一方の出口(水素排出経路333の入口に接続される出口)を開状態に他方の出口(凝縮水排出経路334の入口に接続される出口)を閉状態にして、ガス供給手段321および電源341を動作させるように構成されている。
制御器350は、排出モードでは、アノード排出経路切替手段327の一方の出口(外部排出経路328の入口に接続される出口)を閉状態に他方の出口(カソード供給経路329を介してカソード入口310と連通する出口)を開状態にし、さらにカソード排出経路切替手段331の一方の出口(水素排出経路333の入口に接続される出口)を閉状態に他方の出口(凝縮水排出経路334の入口に接続される出口)を開状態にして、ガス供給手段321を動作させ、電気化学デバイス300のアノード出口308からガス状の水素含有ガスが排出されて、電気化学デバイス300のカソード入口310に流入した水素含有ガスに含まれる水蒸気が、カソード303において凝縮するように、アノード温度調整器343およびカソード温度調整器344を制御するように構成されている。
これにより、水素精製モードでの運転を終了して排出モードでの運転を開始すると、水素精製モードでの運転時にアノード302に供給されていた水素含有ガスが、アノード302で消費されることも凝縮されることもなく、そのまま、アノード302の出口から排出されて、カソード303に供給される。
そして、排出モードでは、水素精製モードの時よりもカソード303の温度が低いために、カソード303に供給された水素含有ガスに含まれる水蒸気が凝縮するので、カソード303に蓄積したアンモニアを、凝縮水に溶出させて、凝縮水と一緒に、カソード303から排出することができる。
そのため、水蒸気を含むガスを供給するガス供給手段を新たに備えることなく、簡単な構成でカソード303に蓄積したアンモニアを除去し、電気化学デバイス300の水素純化効率が低下するのを抑制することができる。
また、本実施の形態のように、水素精製システム400は、排出モードでの運転によってアノード302に蓄積されたアンモニアを排出する場合は、排出モードでの運転の直後にアノード洗浄モードで運転しても構わない。
アノード洗浄モードでは、制御器350は、カソード排出経路切替手段331の一方の出口(水素排出経路333の入口に接続される出口)の閉状態と他方の出口(凝縮水排出経路334の入口に接続される出口)の開状態を排出モードから維持(継続)して、アノード排出経路切替手段327については、水素精製モードの時と同様に、アノード排出経路切替手段327の一方の出口(外部排出経路328の入口に接続される出口)を開状態
に他方の出口(カソード供給経路329を介してカソード入口310と連通する出口)を閉状態にして、ガス供給手段321を動作させ、電気化学デバイス300のアノード入口307に流入した水素含有ガスに含まれる水蒸気が、アノード302において凝縮するように、アノード温度調整器343およびカソード温度調整器344を制御する。
このように、排出モードでの運転の直後にアノード洗浄モードで運転すると、排出モードの時よりも電気化学デバイス300のアノード302の温度が低いために、アノード302に供給された水素含有ガスに含まれる水蒸気が凝縮するので、アノード302に蓄積したアンモニア(排出モードでの運転によってアノード302に蓄積されたアンモニア)を、凝縮水に溶出させて、凝縮水と一緒に、アノード302から排出することができる。
さらに、アノード302に蓄積されたアンモニアが溶けた凝縮水は、アノード排出経路切替手段327によって、カソード303に流入することなく、外部排出経路328から排出されるので、アノード302に蓄積されたアンモニアが溶けた凝縮水によって、カソード303が汚れるのを防止できる。
そのため、水蒸気を含むガスを供給するガス供給手段を新たに備えることなく、簡単な構成で、排出モードでの運転によってアノード302に蓄積したアンモニアを除去し、電気化学デバイス300の水素純化効率が低下するのを抑制することができる。
また、本実施の形態のように、水素精製システム400は、水素精製モードでの運転中に、直近の水素精製モードでの運転開始から所定時間(60分)が経過すると、水素精製モードでの運転を終了して、排出モードでの運転を開始するように、制御器350を構成しても構わない。
なお、この所定時間(60分)は、アノード302とカソード303との間の電圧が、カソード303にアンモニアが蓄積されていない時のアノード302とカソード303との間の電圧より高く設定された所定電圧(例えば、初期値の3倍の電圧)になるまでの時間を基に設定することができる。
そのように構成した場合は、アノード302とカソード303との間の電圧を計測する電圧計をさらに備えることなく、カソード303に所定量以上のアンモニアが蓄積したことを自動で確認して、水素精製モードから排出モードへ移行できる。そのため、電気化学デバイス300の水素純化効率の低下を自動で抑制できる。
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1および実施の形態2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。
また、上記実施の形態1および実施の形態2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
例えば、実施の形態1における図4のS007の電圧の判定基準を変更しても良い。また、実施の形態2における図9のS107の経過時間の判定基準を変更してもよい。
水素精製モードでの運転において、カソード排出経路切替手段における、水素排出経路側の出口を閉から開に、凝縮水排出経路側の出口を開から閉にするタイミングを、電源によりアノードとカソードとの間に電流を流した後で、十分な水素純度の精製水素がカソード排出経路から流出するようになるタイミングに変更しても構わない。
そのようにした場合は、水素精製モードでの運転開始時にカソード(カソード側ガス流路を含む)に水素含有ガスが残留しているために、水素精製モードでの運転開始直後に、純度が低い水素が水素排出経路に流出するのを抑制できる。
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
本開示は、電気化学式水素精製システムに適用可能である。具体的には、電気化学デバイスを用いて、アンモニアと水蒸気とを含む水素含有ガスの水素を純化する水素精製システムなどに適用可能である。
100 電気化学デバイス
101 電解質膜
102 アノード
103 カソード
104 電解質膜-電極接合体
105 アノード側セパレータ
106 カソード側セパレータ
107 アノード入口
108 アノード出口
109 アノード側ガス流路
110 カソード入口
111 カソード出口
112 カソード側ガス流路
121 ガス供給手段
122 ガス供給経路
123 供給経路切替手段
124 アノード供給経路
125 カソード供給経路
131 カソード排出経路切替手段
132 カソード排出経路
133 水素排出経路
134 凝縮水排出経路
141 電源
142 電圧計
143 温度調整器
150 制御器
200 水素精製システム
300 電気化学デバイス
301 電解質膜
302 アノード
303 カソード
304 電解質膜-電極接合体
305 アノード側セパレータ
306 カソード側セパレータ
307 アノード入口
308 アノード出口
309 アノード側ガス流路
310 カソード入口
311 カソード出口
312 カソード側ガス流路
321 ガス供給手段
322 ガス供給経路
326 アノード排出経路
327 アノード排出経路切替手段
328 外部排出経路
329 カソード供給経路
331 カソード排出経路切替手段
332 カソード排出経路
333 水素排出経路
334 凝縮水排出経路
341 電源
343 アノード温度調整器
344 カソード温度調整器
350 制御器
400 水素精製システム

Claims (7)

  1. 電解質膜、前記電解質膜の一方の主面に配置されるアノードおよび前記電解質膜の他方の主面に配置されるカソードにより電解質膜-電極接合体が構成され、前記アノードに水素含有ガスが供給され、前記アノードと前記カソードとの間に所定方向の電流が流れることにより、前記アノードに供給された水素含有ガスよりも水素の純度が高い水素が、前記カソードから排出されるように構成された電気化学デバイスと、
    少なくともアンモニアと水蒸気とを含む水素含有ガスを、供給するガス供給手段と、
    二つの出口がそれぞれ開閉可能に構成され、入口がガス供給経路を介して前記ガス供給手段の出口と連通し、一方の出口がアノード供給経路を介して前記電気化学デバイスの前記アノードの入口と連通し、他方の出口がカソード供給経路を介して前記電気化学デバイスの前記カソードの入口と連通する供給経路切替手段と、
    二つの出口がそれぞれ開閉可能に構成され、入口がカソード排出経路を介して前記電気化学デバイスの前記カソードの出口と連通し、一方の出口が水素排出経路の入口に接続され、他方の出口が凝縮水排出経路の入口に接続されたカソード排出経路切替手段と、
    前記電気化学デバイスの前記アノードと前記カソードとの間に前記電流を流す電源と、
    前記電気化学デバイスの温度を調整する温度調整器と、
    制御器と、を備え、
    前記電気化学デバイスによって前記水素含有ガスの水素を精製する場合は水素精製モードで運転し、前記カソードに蓄積された前記アンモニアを排出する場合は排出モードで運転する水素精製システムであって、
    前記制御器は、
    前記水素精製モードでは、前記供給経路切替手段の前記一方の出口を開状態に前記他方の出口を閉状態にし、さらに前記カソード排出経路切替手段の前記一方の出口を開状態に前記他方の出口を閉状態にして、前記ガス供給手段および前記電源を動作させ、
    前記排出モードでは、前記供給経路切替手段の前記一方の出口を閉状態に前記他方の出口を開状態にし、さらに前記カソード排出経路切替手段の前記一方の出口を閉状態に前記他方の出口を開状態にして、前記ガス供給手段を動作させ、前記電気化学デバイスの前記カソードに流入した前記水素含有ガスに含まれる水蒸気が凝縮するように前記温度調整器を制御する水素精製システム。
  2. 電解質膜、前記電解質膜の一方の主面に配置されるアノードおよび前記電解質膜の他方の主面に配置されるカソードにより電解質膜-電極接合体が構成され、前記アノードに水素含有ガスが供給され、前記アノードと前記カソードとの間に所定方向の電流が流れることにより、前記アノードに供給された水素含有ガスよりも水素の純度が高い水素が、前記カソードから排出されるように構成された電気化学デバイスと、
    少なくともアンモニアと水蒸気とを含む水素含有ガスを、ガス供給経路を介して前記電気化学デバイスの前記アノードの入口に供給するガス供給手段と、
    二つの出口がそれぞれ開閉可能に構成され、入口がアノード排出経路を介して前記電気化学デバイスの前記アノードの出口と連通し、一方の出口が外部排出経路の入口に接続され、他方の出口がカソード供給経路を介して前記電気化学デバイスの前記カソードの入口と連通するアノード排出経路切替手段と、
    二つの出口がそれぞれ開閉可能に構成され、入口がカソード排出経路を介して前記電気化学デバイスの前記カソードの出口と連通し、一方の出口が水素排出経路の入口に接続され、他方の出口が凝縮水排出経路の入口に接続されたカソード排出経路切替手段と、
    前記電気化学デバイスの前記アノードと前記カソードとの間に前記電流を流す電源と、
    前記電気化学デバイスの前記アノードの温度を調整するアノード温度調整器と、
    前記電気化学デバイスの前記カソードの温度を調整するカソード温度調整器と、
    制御器と、を備え、
    前記電気化学デバイスによって前記水素含有ガスの水素を精製する場合は水素精製モー
    ドで運転し、前記カソードに蓄積された前記アンモニアを排出する場合は排出モードで運転する水素精製システムであって、
    前記制御器は、
    前記水素精製モードでは、前記アノード排出経路切替手段の前記一方の出口を開状態に前記他方の出口を閉状態にし、さらに前記カソード排出経路切替手段の前記一方の出口を開状態に前記他方の出口を閉状態にして、前記ガス供給手段および前記電源を動作させ、
    前記排出モードでは、前記アノード排出経路切替手段の前記一方の出口を閉状態に前記他方の出口を開状態にし、さらに前記カソード排出経路切替手段の前記一方の出口を閉状態に前記他方の出口を開状態にして、前記ガス供給手段を動作させ、前記電気化学デバイスの前記アノードの出口からガス状の前記水素含有ガスが排出されて前記電気化学デバイスの前記カソードの入口に流入した前記水素含有ガスに含まれる水蒸気が前記カソードにおいて凝縮するように、前記アノード温度調整器および前記カソード温度調整器を制御する水素精製システム。
  3. 前記水素精製システムは、前記アノードに蓄積された前記アンモニアを排出する場合は前記排出モードでの運転の直後にアノード洗浄モードで運転し、
    前記制御器は、前記アノード洗浄モードでは、前記カソード排出経路切替手段の前記一方の出口の閉状態と前記他方の出口の開状態とは維持して、前記アノード排出経路切替手段の前記一方の出口を開状態に前記他方の出口を閉状態にして、前記ガス供給手段を動作させ、前記電気化学デバイスの前記アノードに流入した前記水素含有ガスに含まれる水蒸気が凝縮するように、前記アノード温度調整器および前記カソード温度調整器を制御する請求項2に記載の水素精製システム。
  4. 前記電気化学デバイスの前記アノードと前記カソードとの間の電圧を計測する電圧計をさらに備え、
    前記電源は、前記水素精製モードでの運転中は、前記カソードから設定量の水素を得るのに必要な電流を流し、
    前記制御器は、前記水素精製モードでの運転中に、前記電圧計で計測された電圧が所定値以上になると、前記水素精製モードでの運転を終了して、前記排出モードでの運転を開始する請求項1から3のいずれか1項に記載の水素精製システム。
  5. 前記制御器は、前記水素精製モードでの運転中に、直近の前記水素精製モードでの運転開始から所定時間が経過すると、前記水素精製モードでの運転を終了して、前記排出モードでの運転を開始する請求項1から3のいずれか1項に記載の水素精製システム。
  6. 電解質膜、前記電解質膜の一方の主面に配置されるアノードおよび前記電解質膜の他方の主面に配置されるカソードにより電解質膜-電極接合体が構成され、前記アノードに水素含有ガスが供給され、前記アノードと前記カソードとの間に所定方向の電流が流れることにより、前記アノードに供給された水素含有ガスよりも水素の純度が高い水素が、前記カソードから排出されるように構成された電気化学デバイスと、
    少なくともアンモニアと水蒸気とを含む水素含有ガスを、供給するガス供給手段と、
    二つの出口がそれぞれ開閉可能に構成され、入口がガス供給経路を介して前記ガス供給手段の出口と連通し、一方の出口がアノード供給経路を介して前記電気化学デバイスの前記アノードの入口と連通し、他方の出口がカソード供給経路を介して前記電気化学デバイスの前記カソードの入口と連通する供給経路切替手段と、
    二つの出口がそれぞれ開閉可能に構成され、入口がカソード排出経路を介して前記電気化学デバイスの前記カソードの出口と連通し、一方の出口が水素排出経路の入口に接続され、他方の出口が凝縮水排出経路の入口に接続されたカソード排出経路切替手段と、
    前記電気化学デバイスの前記アノードと前記カソードとの間に前記電流を流す電源と、
    前記電気化学デバイスの温度を調整する温度調整器と、
    を備え、前記電気化学デバイスによって前記水素含有ガスの水素を精製する場合は水素精製モードで運転し、前記カソードに蓄積された前記アンモニアを排出する場合は排出モードで運転する水素精製システムの運転方法であって、
    前記水素精製モードでは、前記供給経路切替手段の前記一方の出口を開状態に前記他方の出口を閉状態にし、さらに前記カソード排出経路切替手段の前記一方の出口を開状態に前記他方の出口を閉状態にして、前記ガス供給手段および前記電源を動作させ、
    前記排出モードでは、前記供給経路切替手段の前記一方の出口を閉状態に前記他方の出口を開状態にし、さらに前記カソード排出経路切替手段の前記一方の出口を閉状態に前記他方の出口を開状態にして、前記ガス供給手段を動作させ、前記電気化学デバイスの前記カソードに流入した前記水素含有ガスに含まれる水蒸気が凝縮するように前記温度調整器によって前記電気化学デバイスの温度を調整する水素精製システムの運転方法。
  7. 電解質膜、前記電解質膜の一方の主面に配置されるアノードおよび前記電解質膜の他方の主面に配置されるカソードにより電解質膜-電極接合体が構成され、前記アノードに水素含有ガスが供給され、前記アノードと前記カソードとの間に所定方向の電流が流れることにより、前記アノードに供給された水素含有ガスよりも水素の純度が高い水素が、前記カソードから排出されるように構成された電気化学デバイスと、
    少なくともアンモニアと水蒸気とを含む水素含有ガスを、ガス供給経路を介して前記電気化学デバイスの前記アノードの入口に供給するガス供給手段と、
    二つの出口がそれぞれ開閉可能に構成され、入口がアノード排出経路を介して前記電気化学デバイスの前記アノードの出口と連通し、一方の出口が外部排出経路の入口に接続され、他方の出口がカソード供給経路を介して前記電気化学デバイスの前記カソードの入口と連通するアノード排出経路切替手段と、
    二つの出口がそれぞれ開閉可能に構成され、入口がカソード排出経路を介して前記電気化学デバイスの前記カソードの出口と連通し、一方の出口が水素排出経路の入口に接続され、他方の出口が凝縮水排出経路の入口に接続されたカソード排出経路切替手段と、
    前記電気化学デバイスの前記アノードと前記カソードとの間に前記電流を流す電源と、
    前記電気化学デバイスの前記アノードの温度を調整するアノード温度調整器と、
    前記電気化学デバイスの前記カソードの温度を調整するカソード温度調整器と、
    を備え、前記電気化学デバイスによって前記水素含有ガスの水素を精製する場合は水素精製モードで運転し、前記カソードに蓄積された前記アンモニアを排出する場合は排出モードで運転する水素精製システムの運転方法であって、
    前記水素精製モードでは、前記アノード排出経路切替手段の前記一方の出口を開状態に前記他方の出口を閉状態にし、さらに前記カソード排出経路切替手段の前記一方の出口を開状態に前記他方の出口を閉状態にして、前記ガス供給手段および前記電源を動作させ、
    前記排出モードでは、前記アノード排出経路切替手段の前記一方の出口を閉状態に前記他方の出口を開状態にし、さらに前記カソード排出経路切替手段の前記一方の出口を閉状態に前記他方の出口を開状態にして、前記ガス供給手段を動作させ、前記電気化学デバイスの前記アノードの出口からガス状の前記水素含有ガスが排出されて前記電気化学デバイスの前記カソードに流入した前記水素含有ガスに含まれる水蒸気が凝縮するように、前記アノード温度調整器および前記カソード温度調整器によって前記電気化学デバイスの前記アノードと前記カソードの温度を調整する水素精製システムの運転方法。
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