JP2022022315A - タイヤ加硫用ブラダー及び空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
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本発明のタイヤ加硫用ブラダーは、フッ素ゴムからなり、
前記タイヤ加硫用ブラダーの外面の周上に、幅方向に延びる複数本の溝部が形成され、
前記溝部間に、該溝部間を接続する凹部が複数形成されていることを特徴とするものである。
本発明のタイヤ加硫用ブラダーによれば、加硫後のタイヤのベアの発生を抑制することができる。
ここで、「溝部」とは、深さ(最大深さ)が、0.3mm以上のものをいうものとする。
そして、「凹部」とは、深さ(最大深さ)が、0.1~0.25mmのものをいうものとする。
前記タイヤ内面の周上に、タイヤ幅方向に延びる複数本のブラダーリッヂが形成され、
前記ブラダーリッヂ間に、該ブラダーリッヂ間を接続する凸部が複数形成されていることを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤによれば、ベアを低減することができる。
ここで、「ブラダーリッヂ」とは、大気圧下で高さ(最大高さ)が、0.3mm以上のものをいう。
そして、「凸部」とは、大気圧下で高さ(最大高さ)が、0.1~0.25mmであるものをいうものとする。
この構成によれば、ベアをより効果的に低減することができる。
図1は、本発明の一実施形態にかかるタイヤ加硫用ブラダー1を示す、幅方向断面図である。図1は、未加硫タイヤの内面に押し当てた状態のタイヤ加硫用ブラダー1の概略的な断面形状を示すものである。図1に示すように、このタイヤ加硫用ブラダー1(以下、単にブラダーとも称する)は、断面が円形状又は馬蹄形状(図示例では、馬蹄形状)の筒状リングからなるゴム製袋である。本実施形態のブラダー1は、フッ素ゴムからなるもの(ゴム組成物がフッ素ゴムを主成分とするもの)である。
以下、本実施形態のタイヤ加硫用ブラダー1の作用効果について説明する。
本実施形態のタイヤ加硫用ブラダー1によれば、溝部2間に、該溝部2間を接続する凹部3が複数形成されているため、上記のエアが残った場合であっても、複数の凹部3を介してエアが溝部2へ抜けることができ、溝部2から残ったエアを排出することができる。これにより、エアの残留を抑制して、加硫後のタイヤにおけるベアの発生を抑制することができる。
本実施形態のタイヤ加硫用ブラダー1によれば、加硫後のタイヤのベアの発生を抑制することができ、加硫後のタイヤは、ベアが低減したものとなる。
また、本発明のタイヤ加硫用ブラダー1では、溝部2は、外面における幅方向のいずれかの位置で、周方向1インチ当たり8本以上15本以下形成されていることが好ましい。溝部2を、周方向1インチ当たり8本以上形成することにより、1本の溝部2当たりの応力の集中をより一層緩和することができ、一方で、溝部2を、周方向1インチ当たり15本以下形成することにより、加硫工程におけるゴム流れの不良をより一層抑制することができるからである。本発明のタイヤ加硫用ブラダー1では、溝部2は、外面における幅方向のいずれかの位置で、周方向1インチ当たり10本以上形成されていることが好ましい。溝部2を、周方向1インチ当たり10本以上形成することにより、1本の溝部2当たりの応力の集中をさらに緩和することができるからである。
本発明では、タイヤ加硫用ブラダー1のゲージをA(mm)とし、溝部2の深さをB(mm)とするとき、比B/Aは、
0.03≦B/A≦0.15
を満たすことが好ましい。
比B/Aを0.03以上とすることにより、タイヤ内面の品質をさらに向上させることができ、一方で、比B/Aを0.15以下とすることにより、溝部2で生じる応力に対する剛性を確保して、ブラダー1の耐久性をさらに向上させることができるからである。
ここで、「ゲージ」は、最大ゲージをいうものとし、「深さ」は、最大深さをいうものとする。
0.3≦B/C≦1.0
を満たすことが好ましい。
比B/Cを0.3以上とすることにより、タイヤ内面の品質をさらに向上させることができ、一方で、比B/Cを1.0以下とすることにより、溝部2で生じる応力に対する剛性を確保して、ブラダー1の耐久性をさらに向上させることができるからである。
ここで、「溝部の幅」とは、溝部の一方の側壁の2つの変曲点の延在方向の中点と、他方の側壁の2つの変曲点の延在方向の中点との幅方向の距離をいうものとする。
0.001≦B/D≦0.006
を満たすことが好ましい。
比B/Dを0.001以上とすることにより、タイヤ内面の品質をさらに向上させることができ、一方で、比B/Dを0.006以下とすることにより、溝部2で生じる応力に対する剛性を確保して、ブラダー1の耐久性をさらに向上させることができるからである。
1.0≦B/E≦5.0
を満たすことが好ましい。
比B/Eを1.0以上とすることにより、タイヤ内面の品質をさらに向上させることができ、一方で、比B/Eを5.0以下とすることにより、溝部2で生じる応力に対する剛性を確保して、ブラダー1の耐久性をさらに向上させることができるからである。
図4は、本発明の一実施形態にかかる空気入りタイヤ10を示す、タイヤ幅方向断面図である。図4に示すように、このタイヤ10は、一対のビード部11に埋設されたビードコア11aにトロイダル状に跨るカーカス12のタイヤ径方向外側に、1層以上(図示例で2層)のベルト層からなるベルト13と、1層以上(図示例で1層)のベルト保護層14と、トレッド15とを、この順に有している。また、ビードコア11aのタイヤ径方向外側には、断面三角形状のビードフィラ11bが配置されている。本発明のタイヤは、タイヤ内面16以外の構造については、特に限定されるものではない。例えば、ビードフィラ11bやベルト保護層14を有しない構成とすることもできる。また、カーカスプライの枚数やベルト層及びベルト保護層の層数やコードの材質等、カーカス構造やベルト構造も特に限定されない。
さらに、このタイヤ10は、ハンプ部間のタイヤ幅方向領域であるセンター部の少なくとも一部のタイヤ幅方向領域(本実施形態では、センター部のタイヤ内面のペリフェリ長さの中央80%の領域)に、タイヤ内面部材19(本実施形態では、スポンジ材からなる制音体)が配置されている。従って、センター部のタイヤ内面のペリフェリ長さの両端10%ずつの領域は、上記の凸部18が形成されておらず、且つ、タイヤ内面部材19が配置されていない。
以下、本実施形態の空気入りタイヤの作用効果について説明する。
ここで、タイヤ10のブラダーリッヂ17は、ブラダー1の溝部2が転写されたものであり、タイヤ10の凸部18は、ブラダー1の凹部3が転写されたものである。
本実施形態の空気入りタイヤ10によれば、ブラダーリッヂ17間に、該ブラダーリッヂ17間を接続する凸部18が複数形成されているため、上記のエアが残った場合であっても、複数の凹部3を介してエアが溝部2へ抜けることができ、溝部2から残ったエアを排出することができたものである。従って、エアの残留が抑制されており、タイヤのベアが低減している。
本実施形態の空気入りタイヤ10によれば、ベアを低減することができる。
また、本発明の空気入りタイヤ10では、ブラダーリッヂ17は、タイヤ内面16のタイヤ幅方向のいずれかの位置で、タイヤ周方向1インチ当たり8本以上15本以下形成されていることが好ましい。ブラダーリッヂ17を、周方向1インチ当たり8本以上形成することにより、タイヤ内面16の品質をより優れたものとすることができ、一方で、ブラダーリッヂ17を、周方向1インチ当たり15本以下形成することにより、加硫工程におけるゴム流れの不良がより一層抑制されたものとすることができるからである。本発明の空気入りタイヤ10では、ブラダーリッヂ17は、周方向1インチ当たり10本以上形成されていることが好ましい。ブラダーリッヂ17を、周方向1インチ当たり10本以上形成することにより、タイヤ内面16の品質をさらに優れたものとすることができるからである。
本発明では、ビード部11の内面において、ブラダーリッヂ17は、周上のタイヤ周方向1インチ当たり5本以上形成されていることが好ましい。タイヤ内面16の品質をさらに優れたものとすることができるからである。
本発明では、ブラダーリッヂ17の幅をC´(mm)とし、ブラダーリッヂ17の高さをB´(mm)とするとき、比B´/C´は、
0.3≦B´/C´≦1.0
を満たすことが好ましい。
比B´/C´を0.3以上とすることにより、タイヤ内面の品質をさらに向上させることができ、一方で、比B´/C´を1.0以下とすることによって、タイヤ内面16の品質をさらに向上させることができるからである。
ここで、「ブラダーリッヂの幅」とは、大気圧下でのブラダーリッジの一方の側壁の2つの変曲点の延在方向の中点と、他方の側壁の2つの変曲点の延在方向の中点との幅方向の距離をいい、「高さ」とは、大気圧下での最大高さをいうものとする。
0.001≦B´/D´≦0.006
を満たすことが好ましい。
比B´/D´を0.001以上とすることにより、タイヤ内面の品質をさらに向上させることができ、一方で、比B´/D´を0.006以下とすることにより、タイヤ内面16の品質をさらに向上させることができるからである。
1.0≦B´/E´≦5.0
を満たすことが好ましい。
比B´/E´を1.0以上とすることにより、タイヤ内面の品質をさらに向上させることができ、一方で、比B´/E´を5.0以下とすることにより、タイヤ内面16の品質をさらに向上させることができるからである。
上述した応力が最も集中しやすいハンプ部及びビード部に対応する部分において、該応力をさらに緩和することができる。また、ゴム流れの不良を抑制することができ、タイヤの品質を優れたものとすることができる。さらに、エアが残りやすい箇所でもあり、残ったエアを、効果的に凹部3を介して溝部2から排出することができる。一方で、タイヤ10のセンター部においては、スポンジ材等の制音体やシーラント等のパンク防止部材など、タイヤ内面部材を貼り付けやすくすることができる。センター部に凸部18が形成されると、タイヤ内面部材19とタイヤ内面16との接触面積が減少して接着力が低下するためである。
なお、本発明では、凸部18の位置は、必ずしも上記位置のみに形成する場合に限定されず、例えば、センター部にも有することもでき、タイヤ内面16全体に有することもできる。
また、本発明において、タイヤ内面部材19は、タイヤ内面16の周上の少なくとも一部の領域に配置することができる。タイヤ内面部材19は、タイヤ内面16の周上全体に配置することが好ましい。
本実施形態では、タイヤ内面部材19は、スポンジ材からなる制音体である。スポンジ材は、海綿状の多孔構造体であり、例えばゴムや合成樹脂を発泡させた連続気泡を有する所謂スポンジを含む。また、スポンジ材は、上述のスポンジの他に、動物繊維、植物繊維又は合成繊維等を絡み合わせて一体に連結したウエブ状のものを含む。なお、上述の「多孔構造体」は、連続気泡を有する構造体に限らず、独立気泡を有する構造体も含む意味である。上述のようなスポンジ材は、表面や内部に形成される空隙が振動する空気の振動エネルギーを熱エネルギーに変換する。これにより、タイヤ内腔での空洞共鳴が抑制され、その結果、ロードノイズを低減することができる。またスポンジ材は、収縮、屈曲等の変形が容易である。そのため、スポンジ材で形成された制音体がタイヤ内面16に固着されていても、走行時のタイヤ10の変形に実質的な影響を与えない。つまり、タイヤ内面16に制音体を固着する構成としても操縦安定性等に悪影響を与え難い。スポンジ材の材料としては、例えば、エーテル系ポリウレタンスポンジ、エステル系ポリウレタンスポンジ、ポリエチレンスポンジなどの合成樹脂スポンジ、クロロプレンゴムスポンジ(CRスポンジ)、エチレンプロピレンゴムスポンジ(EPDMスポンジ)、ニトリルゴムスポンジ(NBRスポンジ)などのゴムスポンジが挙げられる。制音性、軽量性、発泡の調節可能性、耐久性などの観点を考慮すれば、エーテル系ポリウレタンスポンジを含むポリウレタン系又はポリエチレン系等のスポンジを用いることが好ましい。なお、制音体を構成する材料は、空洞共鳴エネルギーの緩和、吸収、別のエネルギー(例えば熱エネルギー)への変換、等によって、空洞共鳴エネルギーを低減するように制御できるものであればよく、上述したスポンジ材に限られるものではなく、例えば、ウレタンや不織布を用いることもできる。また、スポンジ材の比重は、タイヤ重量の増加と空洞共鳴を抑える効果との両方のバランスを考慮し、0.005~0.06とすることが好ましく、0.01~0.04とすることがより好ましく、0.01~0.03とすることが特に好ましい。さらに、制音体の体積は、タイヤ内腔の全体積の0.4%~20%とすることが好ましい。タイヤ内腔の全体積に対して制音体の体積を0.4%以上確保することにより、所望量(例えば2dB以上)の空洞共鳴エネルギーの低減効果を実現し易い。制音体は、タイヤ内腔の全体積の1%以上とすることがより好ましく、2%以上とすることが更に好ましく、4%以上とすることが特に好ましい。その一方、制音体の体積がタイヤ内腔の全体積の20%を超えるように構成しても空洞共鳴エネルギーの低減効果の向上が期待できない。むしろ組立体の重量バランスを悪化させる可能性がある。このような観点より、制音体の体積は、タイヤ内腔の全体積の16%以下とすることがより好ましく、10%以下とすることが特に好ましい。なお、上述の体積比は、制音体の数に関係しない。つまり、制音体が複数ある場合には、複数の制音体全ての体積の和が上述の体積比の関係を満足すれば、同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態では、タイヤ内面部材19は、制音体であるが、他にもシーラント等のパンク防止部材等、様々な部材とすることができる。シーラントを用いる場合は、任意の既知の材料とすることができる。
例えば、タイヤ内面部材19を制音体とした場合には、タイヤの静音性を向上させることができ、制音体をスポンジ材とした場合には、効果的にタイヤの静音性を向上させることができる。また、例えば、タイヤ内面部材19をパンク防止部材とした場合には、タイヤのパンクを防止することができ、パンク防止部材をシーラントとした場合には、効果的にタイヤのパンクを防止することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
上記発明例1、2及び比較例について、タイヤのベアの発生について評価する試験を行った。
製造されたタイヤについて、目視にてタイヤ内面のベアを観察し、ベアが発生したタイヤをカウントした。なお、「ベア」とは、ゴム流れ不良により表面に凹みが残る不良をいう。
10:空気入りタイヤ、 11:ビード部、 11a:ビードコア、
11b:ビードフィラ、 12:カーカス、 13:ベルト、 14:ベルト保護層、
15:トレッド、 16:タイヤ内面、 17:ブラダーリッヂ、 18:凸部、
19:タイヤ内面部材
Claims (4)
- フッ素ゴムからなるタイヤ加硫用ブラダーであって、
前記タイヤ加硫用ブラダーの外面の周上に、幅方向に延びる複数本の溝部が形成され、
前記溝部間に、該溝部間を接続する凹部が複数形成されており、
前記溝部の深さは、0.3~0.5mmであり、
前記溝部の延在方向の断面における、前記溝部の底部の角部の曲率半径をE(mm)とし、前記溝部の深さをB(mm)とするとき、比B/Eは、
1.0≦B/E≦5.0を満たし、
全ての前記溝部は、互いに平行に延びていることを特徴とする、タイヤ加硫用ブラダー。 - 前記凹部の深さは、0.1~0.25mmである、請求項1に記載のタイヤ加硫用ブラダー。
- タイヤ周上全体での前記溝部の本数をD(本)とし、前記溝部の深さをB(mm)とするとき、比B/Dは、
0.001≦B/D≦0.006
を満たす、請求項1又は2に記載のタイヤ加硫用ブラダー。 - 前記凹部は、前記タイヤ加硫用ブラダーのうち、生タイヤの、完成品となるタイヤのハンプ部からビード部までに対応する部分の内面に当接する部分のみに設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤ加硫用ブラダー。
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JP2009143169A (ja) * | 2007-12-17 | 2009-07-02 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | タイヤ加硫用ブラダー、タイヤの加硫成形方法及び空気入りタイヤ |
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