JP2022022109A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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【課題】注入口が設けられた大容量のインク収容部を備える記録装置を用いながらも、色ずれが生じにくい3次色の画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】複数の水性インクと、水性インクをそれぞれ収容するインク収容部と、水性インクを吐出する吐出口が形成された記録ヘッドと、インク収容部から記録ヘッドに水性インクを供給するチューブとを備えるインクジェット記録装置を使用して画像を記録する工程を有するインクジェット記録方法である。インク収容部には、水性インクを注入する注入口が設けられ、チューブが、樹脂材料で形成され、シアンインクが、フタロシアニン顔料を含有し、イエローインク及びマゼンタインクが、いずれもアゾ顔料を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法、及びそれに用いるインクジェット記録装置に関する。
近年、文字や図表を含むビジネス文章を普通紙などの記録媒体に印刷する場合に、インクジェット記録方法が利用されている。また、在宅ワーカーやSOHO人口の増加により、コンパクトな装置で従来よりも高速に文書を記録可能であることも同時に求められている。このようなビジネス用途への利用頻度の増加に伴い、より大量の文書を記録すべく、インク収容部の大容量化が市場から強く求められている。例えば、大量のインクを収容可能なインク収容部を備えたインクジェット記録装置が提案されている(特許文献1)。
大容量のインク収容部を搭載した記録装置におけるインク供給手段のとしては以下のような構成を挙げることができる。すなわち、キャリッジに搭載された記録ヘッドと、キャリッジとは別の箇所に設置されたインク収容部をインク供給チューブで接続し、チューブを通じてインク収容部から記録ヘッドへとインク供給する手段が知られている。このような供給手段を採用することで、簡易な構成をとりながらも、インク収容部の容量を大きくすることができる。さらに、インク収容部に注入口を設けることで、注入口を通じてインク収容部にインクを継ぎ足すことができるので、より大量のインクを使用する場合に有用である。
また、インクジェット記録方法のビジネス文章への利用拡大を目指し、濃く鮮明な画像を記録することができる色材として、顔料を含有する水性インクが広く用いられるようになっている(特許文献1)。
特開2017-001391号公報
本発明者らは、生産性を高めるのに必要なインクジェット記録装置の構成及びそれを用いるインクジェット記録方法について検討した。具体的には、注入口を設けたインク収容部(メインタンク)と、サブタンクを設けた記録ヘッドとを備え、メインタンクとサブタンクをインク供給チューブで連結した構成を有するインクジェット記録装置を用意した。そして、このインクジェット記録装置を使用し、特許文献1で提案されているような顔料インクで構成されるインクセットにより画像を記録した。その結果、長期間にわたって各カラーインクを吐出した場合に、3次色画像の色ずれが徐々に生ずるという新たな課題が生ずることが判明した。
したがって、本発明の目的は、注入口が設けられた大容量のインク収容部を備える記録装置を用いながらも、色ずれが生じにくい3次色の画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、このインクジェット記録方法に用いるインクジェット記録装置を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを含む複数の水性インクと、前記水性インクをそれぞれ収容するインク収容部と、前記インク収容部から供給される前記水性インクを吐出する吐出口が形成された記録ヘッドと、前記インク収容部から前記記録ヘッドに前記水性インクを供給するチューブと、を備えるインクジェット記録装置を使用し、前記吐出口から吐出した前記水性インクを記録媒体に付与して画像を記録する工程を有するインクジェット記録方法であって、前記インク収容部には、前記水性インクを注入する注入口が設けられ、前記チューブが、樹脂材料で形成され、前記シアンインクが、フタロシアニン顔料を含有し、前記イエローインク及び前記マゼンタインクが、いずれもアゾ顔料を含有することを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
本発明によれば、注入口が設けられた大容量のインク収容部を備える記録装置を用いながらも、色ずれが生じにくい3次色の画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を模式的に示す斜視図である。 インク供給系の一例を概略的に示す模式図である。 チューブの空気透過量の測定方法を説明するための模式図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
本発明者らは、まず、注入口が設けられた大容量のインク収容部であるメインタンクを備えるインクジェット記録装置を用意し、このインクジェット記録装置を使用して長期間画像を記録した際の装置内の変化を観察した。その結果、長期間の使用により、メインタンクから記録ヘッドへとインクを供給するチューブ(インク供給チューブ)の内表面に顔料が凝集したり、チューブ内で顔料が凝集したりすることがわかった。さらに詳細に観察したところ、このような現象は、インクの色によって発生の程度に相違があることが判明した。具体的には、マゼンタインクに対応するチューブの内表面に顔料が強固に付着し、シアンインクやイエローインクに対応するチューブの内径に比して、マゼンタインクに対応するチューブの内径が狭くなっていくことが判明した。
記録装置を使用し始めた初期の段階では、3色それぞれのインクに対応するそれぞれのチューブで顔料の付着や凝集は発生していなかった。しかし、注入口が設けられたメインタンクを備える記録装置の場合、注入口の開閉や長期間インクが収容された状態が維持されることなどによってメインタンク内の液体成分が蒸発しやすいため、インクの濃縮や顔料の凝集が促進される。さらに、染料インクに比して、顔料インクは一般的な樹脂製のチューブ材料である熱可塑性樹脂と相互作用しやすいため、チューブの内表面には顔料が付着しやすい。したがって、注入口を具備するような大容量のメインタンクを備える記録装置を長期間にわたって使用すると、インクや顔料の凝集物がチューブ内を流通及び滞留する状況が繰り返されることになる。
なかでも、マゼンタインクの色材として汎用のキナクリドン顔料はかなり凝集しやすい。このため、記録装置の長期間にわたった使用に伴い、マゼンタインクに対応するチューブの内表面に凝集した顔料が付着して、チューブの内径が狭くなりやすい。これに対して、シアンインクの色材として汎用のフタロシアニン顔料や、イエローインクの色材として汎用のアゾ顔料は、キナクリドン顔料に比してかなり凝集しにくい。このため、マゼンタインクに対応するチューブ内を流れるインクの流量や速度は、シアンインク及びイエローインクのそれぞれに対応するチューブ内を流れるインクの流量や速度に比して、記録装置の長期間にわたった使用に伴って著しく低下しやすい。これにより、画像記録時のマゼンタインクの吐出量がシアンインク及びイエローインクに比して徐々に減少し、3次色の色調が緑味に変化する「色ずれ」が生ずると考えられる。
キナクリドン顔料の高い凝集性はその平面構造に起因する。さらに、この平面構造の表面は疎水面であるため、チューブの内表面と相互作用しやすく、付着の連鎖が発生する。その結果、キナクリドン顔料を含有するマゼンタインクに対応するチューブの内径は特異的に狭くなりやすいと考えられる。一方、マゼンタとして好適な色調を表現するには、キナクリドン顔料を用いることが好ましい。そこで、本発明者らは、従来のマゼンタの色調を表現しながら、3次色の色ずれが生じにくく、高い生産性で画像を記録する方法について検討した。その結果、アゾ顔料をマゼンタインクに用いることを見出し、本発明に至った。
マゼンタインクに用いられる汎用の顔料であるキナクリドン及びキナクリドン固溶体や、マゼンタインクにしばしば用いられる顔料であるジケトピロロピロール及びジオキサジンなどの顔料は、凝集しやすい性質を有する。キナクリドン骨格、ジケトピロロピロール骨格、及びジオキサジン骨格は、芳香環を含む複数の環が縮環した部分の平面性が高いため、平面同士で引きつけ合う面積が大きい。また、イミノ基やカルボニル基を有することから分子間で強固に水素結合しやすい。さらに、これらの顔料の平面性が高い部分によってチューブの内表面との接触面積も大きくなるので、長期間のインクの流通及び滞留によって顔料がチューブの内表面に連鎖的に付着する。
一方、立体的に回転しうる構造(アゾ結合)を有するアゾ顔料は、アゾ結合を回転軸として分子が自由回転しうる。すなわち、アゾ顔料は平面性が高くないため、分子間で強くスタッキングしにくく、顔料が凝集しにくい。その結果、長期間にわたった使用によってもチューブの内表面に顔料が付着しにくいので、チューブの内径が狭くなりにくく、シアンインク、イエローインク、及びマゼンタインクのチューブ内の流量や流速を同等に保つことができる。これにより、注入口が設けられた大容量のインク収容部を備える記録装置を用いながらも、色ずれが生じにくい3次色の画像を記録することができる。
<インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録方法は、複数の水性インクと、インク収容部と、水性インクを吐出する吐出口が形成された記録ヘッドと、チューブとを備えたインクジェット記録装置を使用する。複数の水性インクは、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを含む。インク収容部は、水性インクをそれぞれ収容する、水性インクを注入する注入口が設けられた部材である。記録ヘッドには、インク収容部から供給される水性インクを吐出する吐出口が形成されている。チューブは、記録ヘッドとインク収容部を接続し、インク収容部から記録ヘッドに水性インクを供給する、樹脂材料で形成された部材である。そして、本発明のインクジェット記録方法は、記録ヘッドの吐出口から吐出した水性インクを記録媒体に付与して画像を記録する工程を有する。また、本発明のインクジェット記録装置は、複数の水性インクと、インク収容部と、水性インクを吐出する吐出口が形成された記録ヘッドと、チューブとを備える。そして、インクジェット記録装置のインク収容部には水性インクを注入する注入口が設けられており、チューブは樹脂材料で形成されている。
(インクジェット記録装置)
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一実施形態を模式的に示す斜視図である。本実施形態のインクジェット記録装置は、X方向(主走査方向)に記録ヘッドを往復走査させて記録動作を行う、いわゆるシリアル方式のインクジェット記録装置である。記録媒体101は、搬送ローラ107によってY方向(副走査方向)へと間欠的に搬送される。キャリッジ103に搭載された記録ユニット102は、記録媒体101の搬送方向であるY方向と直交する方向であるX方向(主走査方向)に往復走査される。記録媒体101のY方向への搬送と、記録ユニット102のX方向への往復走査と、により記録動作が行われる。記録ユニット102は、供給されるインクを複数の吐出口から吐出するインクジェット方式の記録ヘッド203(図2)と、第2インク収容部としてのサブタンク202(図2)とで構成され、キャリッジ103に搭載される。キャリッジ103は、X方向に沿って配置されたガイドレール105に沿って移動可能に支持されており、ガイドレール105と並行に移動する無端ベルト106に固定されている。無端ベルト106はモータの駆動力によって往復運動し、それによってキャリッジ103がX方向に往復走査される。
メインタンク収容部108及び109の内部には、第1インク収容部としてのメインタンク201(図2)がそれぞれ収納される。メインタンク収容部108及び109に収納されたメインタンク201と、記録ユニット102のサブタンク202とは、インク供給チューブ104によって接続される。インクは、メインタンク201からインク供給チューブ104を介してサブタンク202(図2)に供給された後、記録ヘッド203の吐出口から吐出される。メインタンク201、インク供給チューブ104、及びサブタンク202は、いずれもインクの種類に対応した数で設けることができる。メインタンク収容部108内のメインタンクと、記録ユニット102を構成するサブタンクとは、カラーインク用チューブ111によって接続されている。また、メインタンク収容部109内のメインタンクと、記録ユニット102を構成するサブタンクとは、ブラックインク用チューブ112によって接続されている。メインタンク201及びサブタンク202は、インク供給チューブ104によって、その他のインク収容部を介することなく接続されていることが好ましい。
メインタンク収容部108及び109には、インクジェット記録装置の外部からメインタンク201にインクを注入するためのインク注入口210が設けられている。インクジェット記録装置を初めて使用するときや、インク量が減少したときなどに、インクジェット記録装置の内部に載置された状態のメインタンクに、インクボトルからインクを注入する。ユーザは、インク注入口210を開放し、インクタンク201内にインクを注入することができる。つまり、メインタンクはインクジェット記録装置の内部に据え置かれ、それ自体が交換されることはない。
図2は、インク供給系の一例を概略的に示す模式図である。メインタンク201に収容されたインク(ハッチングで示す)は、インク供給チューブ104を介してサブタンク202に供給された後、記録ヘッド203へと供給される。メインタンク201には大気連通部としての気体導入チューブ204が接続される。記録が行われ、インクが消費されると、サブタンク202にメインタンク201からインクが供給され、メインタンク201内のインクが減少する。すると、その一端が大気に開放されている気体導入チューブ204からメインタンク201内に空気が導入されることによって、インク供給系において、インクを保持するための内部負圧が略一定に保たれる。
カラーインク用チューブ111及びブラックインク用チューブ112を含むインク供給チューブ104は、キャリッジ103に搭載された記録ユニット102を構成するサブタンク202に接続している。このため、インク供給チューブ104は、キャリッジ103の往復走査に追従して装置内を引き回される。したがって、インク供給チューブ104を構成する材料としては、キャリッジ103の頻繁な往復走査に耐えうる柔軟性を有するものを選択して用いる必要がある。このため、インク供給チューブ104は、樹脂材料で形成されている。
インク供給チューブは、樹脂材料を管状に成形した部材である。チューブを構成する樹脂材料は、単一の樹脂材料であっても、2種以上の樹脂材料の組み合わせであってもよい。また、各種の添加剤を配合した樹脂材料であってもよい。チューブの構造は、単層構造であっても積層構造であってもよい。樹脂材料としては、成形性、ゴム弾性、及び柔軟性に優れることから熱可塑性エラストマーが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系、ウレタン系、エステル系、スチレン系、塩化ビニル系などの樹脂を挙げることができる。なかでも、柔軟性及びゴム弾性に特に優れているため、スチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。樹脂材料に配合される添加剤としては、例えば、軟化剤、滑剤、界面活性剤、酸化防止剤、老化防止剤、接着付与剤、顔料などを挙げることができる。
チューブの内径や肉厚は、成形などの生産性、記録装置内で引き回される際の曲げ剛性、インク供給性、ガスバリア性などの観点から、適宜設定される。チューブの内径は、1mm以上5mm以下であることが好ましく、1mm以上3mm以下であることがさらに好ましい。また、チューブの肉厚は、0.5mm以上5mm以下であることが好ましく、0.5mm以上3mm以下であることがさらに好ましい。
インク供給チューブのガスバリア性が低い、すなわち空気透過量が高いと、チューブ内のインクから水などの液体成分が蒸発しやすい。液体成分が蒸発すると、顔料を分散させるための静電反発力などの作用が弱くなりやすく、これによって顔料の分散状態が不安定になって、チューブ内表面に凝集した顔料が付着しやすくなり、3次色の色調変化を抑制する程度が低下する場合がある。したがって、チューブの空気透過量は、60μL/day以下であることが好ましい。一方、ガスバリア性が低いチューブは剛性が高いが、記録装置内でチューブが引き回されるのに耐えうる柔軟性を有することが好ましい。このため、チューブの空気透過量は10μL/day以上であることが好ましい。
チューブの空気透過量は、以下に示す方法にしたがって測定することができる。図3は、チューブの空気透過量の測定方法を説明するための模式図である。図3に示すように、任意の長さに切断したチューブ301の一端をピンチコック302で封止するとともに、他端をL字型の1mLメスピペット303の一方の先端に接続する。また、メスピペット303の他方の先端を、水が入った容器304内に挿入した状態とする。上記の状態で、温度40℃、相対湿度20%の環境下で放置し、一定期間ごとにメスピペットの目盛りを読み取り、チューブ内に透過した空気量を測定する。本発明におけるチューブの空気透過量は、チューブ長さ100mm当たりの量であり、単位は「μL/day」である。チューブの空気透過量を特定する対象温度を40℃としているのは、インクジェット記録装置が使用される通常の温度環境(常温、25℃)に比してより厳しい条件で評価することで、通常の温度環境でも十分な効果が得られることを確認するためである。
メインタンク201は、記録可能枚数を多くすることで高い生産性を実現するために、インク最大収容量V(mL)を多くすることが好ましい。具体的には、メインタンク201のインク最大収容量V(mL)は、60mL以上300mL以下であることが好ましく、100mL以上250mL以下であることがさらに好ましい。また、メインタンク201の初期のインク充填量は、インク最大収容量を基準として、95%程度までとすることが好ましい。
サブタンク202も、メインタンク201からのインク供給の頻度を低減したり、記録ヘッド203へのインク供給を安定に行ったりするためには、インク最大収容量V(mL)を多くすることが好ましい。但し、例えば、図1に示すようなシリアル方式として、キャリッジ103にサブタンク202を搭載する形態を想定すると、サブタンク202のインク最大収容量V(mL)は多くし過ぎないことが好ましい。すなわち、あまりに多くのインクがサブタンク202に収容された場合、記録ユニット102の大型化を招き、キャリッジ103の移動速度が低下したり、キャリッジ103を移動させる無端ベルト106やモータの強度を高めたりする必要が生じる。したがって、サブタンク202のインク最大収容量V(mL)は、1mL以上20mL以下であることが好ましく、2mL以上10mL以下であることがさらに好ましい。
メインタンク201及びサブタンク202の筺体は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、及びこれらの混合物や改質物などの熱可塑性樹脂で形成されている。筺体の内部には、インクを保持するための負圧を発生しうるインク吸収体を配設してもよい。インク吸収体としては、ポリプロピレンやポリウレタンなどの繊維を圧縮したものが好ましい。また、インク吸収体を配設せず、筺体内部にインクを直接貯留する形態としてもよい。高速記録実現の観点から、サブタンク202内にはインクを含浸して収容するための吸収体が配置されておらず、サブタンク202を構成する筺体内部にインクが直接貯留されている形態が好ましい。
記録ユニット102は、記録ヘッド203と、サブタンク202とで構成される。記録ヘッド203が組み込まれたヘッドカートリッジである記録ユニット102にサブタンク202を装着するとともに、サブタンク202を装着した記録ユニット102をキャリッジ103に装着する形態としてもよい。さらに、サブタンク202と記録ヘッド203とで一体的に構成された記録ユニット102を、キャリッジ103に装着する形態としてもよい。なかでも、図1及び2に示すように、サブタンク202を装着した記録ユニット102を、キャリッジ103にセットする形態を採用することが好ましい。
記録ヘッド203のインク吐出方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げることができる。なかでも、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが好ましい。
画像を記録する対象の記録媒体としては、どのようなものを用いてもよい。なかでも、普通紙や非コート紙などのコート層を有しない記録媒体、及び、光沢紙やアート紙などのコート層を有する記録媒体のような、浸透性を有する紙を用いることが好ましい。
(水性インク)
本発明のインクジェット記録方法は、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを含む複数の水性インクを使用し、記録ヘッドの吐出口から吐出した水性インクを記録媒体に付与して画像を記録する工程を有する。複数の水性インクは、いずれも、色材として顔料を含有する顔料インクである。以下、インクを構成する成分などについて説明する。
[色材]
色材としては、顔料を用いる。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。各インク中の顔料の含有量は、多いものから少ないものの順序で、マゼンタインク、イエローインク、及びシアンインクの順序であることが好ましい。
顔料の分散方式は特に限定されない。例えば、樹脂分散剤により分散させた樹脂分散顔料、界面活性剤により分散させた顔料、及び顔料の粒子表面の少なくとも一部を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを用いることができる。また、顔料の粒子表面にアニオン性基などの親水性基を含む官能基を結合させた自己分散顔料や、顔料の粒子表面に高分子を含む有機基を化学的に結合させた顔料(樹脂結合型の自己分散顔料)などを用いることもできる。また、分散方式の異なる顔料を組み合わせて用いてもよい。なかでも、樹脂分散剤により分散させた樹脂分散顔料が好ましい。この樹脂分散剤としては、水溶性樹脂を用いることがさらに好ましい。
シアンインクは、銅フタロシアニン顔料などのフタロシアニン顔料を含有する。フタロシアニン顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6などを挙げることができる。なかでも、C.I.ピグメントブルー15:3が好ましい。これらのフタロシアニン顔料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
イエローインク及びマゼンタインクは、いずれもアゾ顔料を含有する。イエローインクに用いるアゾ顔料としては、C.I.ピグメントイエロー:1、3、12、13、14、17、55、62、65、73、74、81、83、93、97、100、104、127、151、154、155、174、180、183などを挙げることができる。なかでも、C.I.ピグメントイエロー74が好ましい。これらのアゾ顔料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。マゼンタインクに用いるアゾ顔料としては、C.I.ピグメントレッド:4、9、12、14、23、31、32、49:1、49:2、57、63:1、112、146、147、150、170、175、176、184、185、187、188、208、210、245、268、269などを挙げることができる。なかでも、C.I.ピグメントレッド150が好ましい。これらのアゾ顔料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
マゼンタインクは、アゾ顔料以外の色材として、さらにキナクリドン顔料を含有することが好ましい。キナクリドン顔料としては、C.I.ピグメントレッド:122、192、202、206、207、209、282;C.I.ピグメントバイオレット:19などを挙げることができる。キナクリドン顔料は、これらのキナクリドン顔料のうち2種以上から形成されるキナクリドン固溶体であってもよい。なかでも、C.I.ピグメントバイオレット19とC.I.ピグメントレッド122を含む固溶体が好ましい。アゾ顔料とともに、キナクリドン顔料を含有させることで、マゼンタとしてより好ましい色調を表現することができる。上述の通り、キナクリドン顔料は凝集しやすいが、アゾ顔料が共存すると、顔料としてキナクリドン顔料のみを含有するマゼンタインクと比較して、顔料の凝集が抑制されやすくなる。したがって、キナクリドン顔料を用いても、マゼンタインクのチューブ内表面に凝集した顔料が付着しにくくなるという効果が損なわれることはなく、マゼンタインクとしてより好ましい色調を表現することができる。
マゼンタインク中のアゾ顔料の含有量(質量%)は、マゼンタインク中のすべての顔料の含有量(質量%)を基準として、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。アゾ顔料の占める割合が低すぎると、マゼンタインクのチューブ内表面に凝集したキナクリドン顔料が付着しやすくなり、3次色の色調変化を抑制する程度が低下する場合がある。また、マゼンタインク中のアゾ顔料の含有量(質量%)は、マゼンタインク中のすべての顔料の含有量(質量%)を基準として、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましい。アゾ顔料の占める割合が高すぎると、マゼンタとして好ましい色調をやや表現しにくくなることがある。
シアンインクがC.I.ピグメントブルー15:3を含有し、マゼンタインクがC.I.ピグメントレッド150及びキナクリドン固溶体を含有し、イエローインクがC.I.ピグメントイエロー74を含有することが好ましい。さらには、上記のマゼンタインクのキナクリドン固溶体が、C.I.ピグメントバイオレット19とC.I.ピグメントレッド122を含む固溶体であることが特に好ましい。各インクの顔料を上記のように組み合わせると、マゼンタインクのチューブ内表面に凝集した顔料が付着しにくくなり、3次色の色調変化をより有効に抑制することができるとともに、各インクの色調のバランスにも優れるため、特に好ましい。
[樹脂]
インクは、樹脂を含有することが好ましい。樹脂は、(i)顔料の分散状態を安定化させるため、すなわち、樹脂分散剤やその補助としてインクに添加することができる。また、(ii)記録される画像の各種特性を向上させるためにインクに添加することができる。インク中における樹脂の状態は、水性媒体に溶解した状態であってもよく、水性媒体中に樹脂粒子として分散した状態であってもよい。本明細書における「樹脂が水溶性である」とは、樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に、動的光散乱法などの測定方法により粒径を測定しうる粒子を形成しないことを意味する。インク中の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上3.0質量%以下であることがさらに好ましい。
樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、多糖類、ポリペプチド類などを挙げることができる。なかでも、記録ヘッドの吐出口からの吐出特性の観点から、アクリル樹脂が好ましい。アクリル樹脂としては、アニオン性基を有するユニット及びアニオン性基を有しないユニットを構成ユニットとして有するものが好ましい。アクリル樹脂の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、及びこれらの組み合わせなどを挙げることができる。
重合によりアクリル樹脂を構成するユニットとなるモノマーとしては、アニオン性基を有するモノマー及びアニオン性基を有しないモノマーを挙げることができる。通常、アニオン性基を有するモノマーは重合により親水性ユニットとなり、アニオン性基を有しないモノマーは重合により疎水性ユニットとなる。
アニオン性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボン酸基を有するモノマー;これらのモノマーの無水物や塩などを挙げることができる。アニオン性基を有するモノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、アンモニウムカチオン、及び有機アンモニウムカチオンなどを挙げることができる。
アニオン性基を有しないモノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、1-ビニルイミダゾールなどの芳香族基を有するモノマー;エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(n-、iso-、t-)ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステルなどを挙げることができる。
樹脂の酸価は、40mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましい。なかでも、100mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが特に好ましい。また、樹脂の重量平均分子量は、3,000以上50,000以下であることが好ましく、5,000以上15,000以下であることがさらに好ましい。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の値である。
〔ランダム共重合体〕
インクは、(メタ)アクリル酸に由来するユニットと、芳香族基を有するモノマー及び(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも一方に由来するアニオン性基を有しないユニットと、を含む水溶性のランダム共重合体を含有することが好ましい。なかでも、(メタ)アクリル酸に由来するユニットと、スチレン及びα-メチルスチレンの少なくとも一方のモノマーに由来するユニットと、を含む水溶性のランダム共重合体が好ましい。このようなランダム共重合体は、顔料と相互作用しやすいため、顔料を分散させるための樹脂分散剤として好適である。ランダム共重合体の酸価は、100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。インク中のランダム共重合体の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。
〔ブロック共重合体〕
また、インクは、ブロック共重合体をさらに含有することが好ましい。なかでも、マゼンタインクにブロック共重合体を含有させることが好ましい。ブロック共重合体としては、アニオン性基を有しないAブロックと、アニオン性基を有するBブロックとを含む、水溶性の樹脂が好ましい。Aブロック(疎水性ブロック)は、アニオン性基を有しないモノマーに由来するユニットで構成されるポリマーブロックである。また、Bブロック(親水性ブロック)は、アニオン性基を有するモノマーに由来するユニットで構成されるポリマーブロックである。各ブロックは1種又は2種以上のモノマーに由来するユニットで構成されていてもよく、特に、1種類のモノマーに由来するユニットのみで構成されていることがさらに好ましい。
ブロック共重合体としては、以下のAブロック(疎水性ブロック)及びBブロック(親水性ブロック)を含む、水溶性の樹脂が好ましい。Aブロックは、ベンジルメタクリレートなどの芳香族基を有するモノマーに由来するユニットにより構成されるものが好ましい。また、Bブロックは、ブチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステルに由来するユニット及び(メタ)アクリル酸などのアニオン性基を有するモノマーに由来するユニットを含むものが好ましい。このようなブロック共重合体は、その分子構造内で機能が分離されており、効率的に顔料やその樹脂分散剤に吸着するとともに、立体反発力を長期間発揮するので、顔料の分散状態を安定に維持することができる。このため、チューブ内表面に凝集した顔料が付着しにくくなり、3次色の色調変化をより有効に抑制することができる。ブロック共重合体の酸価は、80mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。ブロック共重合体は、従来一般的に用いられている重合方法にしたがって合成することができる。重合方法の具体例としては、リビングラジカル重合法、リビングアニオン重合法などを挙げることができる。インク中のブロック共重合体の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。
複数のインクがそれぞれ樹脂を含有する場合を想定する。この場合、マゼンタインク中のすべての顔料の含有量(質量%)に対する樹脂の含有量(質量%)の質量比率が、シアンインク中のすべての顔料の含有量(質量%)に対する樹脂の含有量(質量%)の質量比率よりも大きいことが好ましい。また、マゼンタインク中のすべての顔料の含有量(質量%)に対する樹脂の含有量(質量%)の質量比率が、イエローインク中のすべての顔料の含有量(質量%)に対する樹脂の含有量(質量%)の質量比率よりも大きいことが好ましい。上述の3種のインクの関係を満たすことにより、マゼンタインクのチューブ内表面に凝集した顔料が付着しにくくなり、3次色の色調変化をより有効に抑制することができる。
[水性媒体]
インクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性のインクである。インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。
[界面活性剤]
インクには、各種の界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、炭化水素系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などを挙げることができる。これらの界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤のいずれであってもよい。インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上1.5質量%以下であることがさらに好ましい。
[その他の成分]
インクには、さらに、尿素やその誘導体、トリメチロールプロパン、及びトリメチロールエタンなどの25℃で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。インク中の水溶性有機化合物の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。また、インクには、上記成分以外にも必要に応じて、消泡剤、pH調整剤、粘度調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。樹脂の酸価は、水酸化カリウム-メタノール滴定液を用いた電位差滴定により測定した。また、樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算の値である。
<樹脂の準備>
(樹脂1~4)
表1に示すモノマーを常法によりを重合することで、水溶性の樹脂1~4をそれぞれ合成した。樹脂1~4の酸価は120mgKOH/gであり、重量平均分子量は8,000であった。得られた樹脂1~4を、その酸価と等モルの水酸化カリウムを添加してイオン交換水に溶解させ、樹脂の含有量が10.0%である、各樹脂の水溶液を調製した。表1中のモノマーは、St:スチレン、BzMA:ベンジルメタクリレート、nBA:n-ブチルアクリレート、AA:アクリル酸、MAA:メタクリル酸、を示す。
Figure 2022022109000001
(樹脂5)
特開2018-150518号公報の記載に準じて、水溶性のブロック共重合体である樹脂5を合成した。樹脂5は、ベンジルメタクリレートに由来するユニットで構成されるAブロックと、ブチルメタクリレートに由来するユニット及びメタクリル酸に由来するユニットで構成されるBブロックと、を有する。樹脂5の酸価は120mgKOH/gであり、重量平均分子量は10,000であった。得られた樹脂5を用いて、その酸価と等モルの水酸化カリウムを添加してイオン交換水に溶解させ、樹脂5の含有量が10.0%である、樹脂5の水溶液を調製した。
<顔料分散液の調製>
表2の上段に示す成分(単位:部)を混合して混合物を得た。表2中、「固溶体顔料」は、C.I.ピグメントバイオレット19とC.I.ピグメントレッド122を含む固溶体である。サンドグラインダーを用いて得られた混合物を1時間分散した後、遠心分離処理して粗大粒子を除去した。ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過した後、適量のイオン交換水を加えて各顔料分散液を得た。表2の下段には、顔料分散液中の顔料及び樹脂(樹脂分散剤)の含有量を示す。
Figure 2022022109000002
<インクの調製>
表3-1~3-4の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過して、各インクを調製した。表3-1~3-4中、ポリエチレングリコールの数平均分子量は「1,000」である。また、「アセチレノールE100」は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤(アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物)の商品名である。調製したインクの特性を表3-1~3-4の下段に示す。
Figure 2022022109000003
Figure 2022022109000004
Figure 2022022109000005
Figure 2022022109000006
<チューブの用意>
スチレン系の熱可塑性エラストマー、滑剤、及び軟化剤を用いて形成された、内径2mm、外径4mmの形状を持つチューブ1~5を用意した。また、市販のガラスチューブであるチューブ6、及び市販のアルミニウムチューブであるチューブ7を用意した。チューブ1~5の空気透過量を40℃の環境で上述の方法で測定した。チューブの空気透過量はチューブ長さL=100mm当たりの値であり、単位は「μL/day」である。用意したチューブの特性を表4に示す。
Figure 2022022109000007
<評価>
図1に示す主要部の構成を有するとともに、図2に示す構成のインク供給系を組み込んだインクジェット記録装置を用意した。この記録装置は、記録ヘッド203が組み込まれるとともに、サブタンク202を装着した記録ユニット102をキャリッジ103に搭載した、シリアル方式の記録装置である。また、表5に示す種類のチューブをインク供給チューブ104として用いた。メインタンクのインク最大収容量Vは150mL、サブタンクのインク最大収容量Vは5mLとした。表5に示す種類の各色のインクをメインタンク201に充填した。評価の途中でインク残量が減少した場合には、メインタンク201の注入口からインクを補充した。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たりの質量が5ngであるインク滴を2滴付与する条件で記録したベタ画像の記録デューティを100%と定義する。本発明においては、以下に示す各項目の評価基準で、「AAA」、「AA」、及び「A」、及び「B」を許容できるレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表5に示す。
(3次色の色調変化)
上記のインクジェット記録装置を使用し、イエローインク、シアンインク、及びマゼンタインクをこの順で記録媒体に重ねて付与して、各インクの記録デューティがそれぞれ30%であり、合計の記録デューティが90%である3次色画像を記録した。記録媒体としては、商品名「HR-101」(普通紙、キヤノン製)を使用した。得られた画像を「評価用画像1」とした。次いで、以下のベタ画像を10枚分記録した後、記録を1時間休止する、というサイクルを繰り返し、合計で5,000枚分のベタ画像を記録した。記録したベタ画像は、A4サイズの記録媒体の全面に、イエローインク、シアンインク、及びマゼンタインクをこの順で記録媒体に重ねて付与した、各インクの記録デューティがそれぞれ5%であり、合計の記録デューティが15%であるものである。記録媒体としては、商品名「GF-500」(普通紙、キヤノン製)を使用した。その後、評価用画像1と同様の条件で3次色画像を記録した。得られた画像を「評価用画像2」とした。
上記で得られた評価用画像1及び2における3次色画像について、蛍光分光濃度計(商品名「FD-7」、コニカミノルタ製)を使用して、CIE(国際照明委員会)により規定されたL表示系に基づくL、a、及びbを測定した。評価用画像1における測定値をL 、a 、及びb とし、評価用画像2における測定値をL 、a 、及びb とした。測定した各値から、ΔE={(L -L +(a -a +(b -b 1/2の式にしたがって色差ΔEを算出し、以下に示す評価基準にしたがって3次色の色調変化を評価した。ΔEが小さいほど、色調変化が抑制されていることを示す。
本評価では、インクを多く使用するとともに、評価開始からの経過時間を長く取るため、記録枚数を多く設定した。すなわち、注入口からメインタンク内へのインク注入回数を増加し、インク注入時におけるインクと空気との接触時間を長くして、メインタンクに収容されたインクの粘度が上昇しやすい条件とした。加えて、評価時間が長いことで、チューブ内への空気の透過量が増えやすい条件とした。
AAA:ΔEが0.5未満だった。
AA:ΔEが0.5以上1.0未満だった。
A:ΔEが1.0以上1.5未満だった。
B:ΔEが1.5以上2.0未満だった。
C:ΔEが2.0以上だった。
(マゼンタの色調)
上記のインクジェット記録装置を使用し、マゼンタインクのすべてのノズルを用いてA4サイズの記録媒体に記録デューティが100%であるベタ画像を記録した。記録媒体としては、商品名「Red Label Superior」(普通紙、キヤノン製)を使用した。測色器(商品名「FD-7」、コニカミノルタ製)を使用して記録した画像のb値を測定し、以下に示す評価基準にしたがってマゼンタの色調を評価した。
AA:b値が-5以下であった。
A:b値が-5を超えて-3以下であった。
B:b値が-3を超えて1以下であった。
C:b値が1を超えていた。
Figure 2022022109000008
「3次色の色調変化」の評価でΔEが大きくなった比較例では、評価用画像1に比べて評価用画像2の色調が緑味に変化していた。このことから、ΔEが小さい実施例では、マゼンタインクのチューブの閉塞に起因する吐出量の減少が抑制されていたと言える。

Claims (8)

  1. シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを含む複数の水性インクと、前記水性インクをそれぞれ収容するインク収容部と、前記インク収容部から供給される前記水性インクを吐出する吐出口が形成された記録ヘッドと、前記インク収容部から前記記録ヘッドに前記水性インクを供給するチューブと、を備えるインクジェット記録装置を使用し、前記吐出口から吐出した前記水性インクを記録媒体に付与して画像を記録する工程を有するインクジェット記録方法であって、
    前記インク収容部には、前記水性インクを注入する注入口が設けられ、
    前記チューブが、樹脂材料で形成され、
    前記シアンインクが、フタロシアニン顔料を含有し、
    前記イエローインク及び前記マゼンタインクが、いずれもアゾ顔料を含有することを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記チューブの温度40℃での空気透過量(μL/day)が、60μL/day以下である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記マゼンタインクが、さらにキナクリドン顔料を含有する請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記マゼンタインク中の前記アゾ顔料の含有量(質量%)が、前記マゼンタインク中のすべての顔料の含有量(質量%)を基準として、20質量%以上である請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記マゼンタインク中の前記アゾ顔料の含有量(質量%)が、前記マゼンタインク中のすべての顔料の含有量(質量%)を基準として、80質量%以下である請求項3又は4に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記マゼンタインク中のすべての顔料の含有量(質量%)に対する樹脂の含有量(質量%)の質量比率が、
    前記シアンインク中のすべての顔料の含有量(質量%)に対する樹脂の含有量(質量%)の質量比率、及び前記イエローインク中のすべての顔料の含有量(質量%)に対する樹脂の含有量(質量%)の質量比率のいずれよりも大きい請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記マゼンタインクが、さらにブロック共重合体を含有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを含む複数の水性インクと、前記水性インクをそれぞれ収容するインク収容部と、前記インク収容部から供給される前記水性インクを吐出する吐出口が形成された記録ヘッドと、前記インク収容部から前記記録ヘッドに前記水性インクを供給するチューブと、を備えるインクジェット記録装置であって、
    前記インク収容部には、前記水性インクを注入する注入口が設けられ、
    前記チューブが、樹脂材料で形成され、
    前記シアンインクが、フタロシアニン顔料を含有し、
    前記イエローインク及び前記マゼンタインクが、いずれもアゾ顔料を含有することを特徴とするインクジェット記録装置。

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