JP2022019631A - 蓋用積層材、蓋、包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高周波誘導加熱シールに適した、厚さ中間に金属箔よりなるバリア層を有する蓋用積層材であって、サイクル変形疲労を経験させても、当該金属箔に細かいクラックや割れ等が生じない性能を有する積層材、を提供すること。【解決手段】蓋用積層材として、外側より順に、保護樹脂層と、金属箔よりなるバリア層と、アンカーコート層と、接着層と、ヒートシール層とを有する積層材であって、ヒートシール層が熱融着性樹脂フィルムよりなり、かつ、ヒートシール層の最内表面の全体にわたり、複数の独立した凸部よりなるエンボスパターンが形成されているものを用いる。【選択図】図3

Description

本発明は、蓋用積層材に関する。この蓋用積層材は、内容物を充填した容器を熱封緘するための蓋を作製するために用いる。内容物としては、例えば経口摂取される製品が挙げられ、液状若しくは固体状の食料品、又は医薬品を例示できる(以下、内容物というときは同様。)。
本発明はまた、前記蓋用積層材よりなる蓋と、前記内容物を充填した容器をこの蓋で熱封緘してなる包装体と、にも関する。
本明細書において、「アルミニウム」とは、「純アルミニウム」又は「アルミニウム合金」を指す。
また、本明細書において、「外側」とは、本発明の蓋用積層材及びこの蓋用積層材よりなる蓋の上面側の方向をいい、この方向は、図7における上矢印D1の方向に当たる。また、「内側」とは、同蓋用積層材及び同蓋の下面側であって、容器の開口周縁部に臨ませられている側でもあり、図7における下矢印D2の方向に当たる。
従来、内容物を容器に充填し、ガスバリア性の蓋用積層材よりなる蓋で熱封緘する手段として、抵抗加熱式のサーマルヘッドが使用されている。また、蓋用積層材が、例えば、厚さ中間にバリア層としての金属箔(アルミニウム箔など)が介在させられているとともに、最内面に熱可塑性フィルムよりなるヒートシール層が配置させられている複合基材である場合には、高速・高温加熱が可能な高周波誘導加熱シール装置で熱封緘を行うことができる(特許文献1参照)。
高周波誘導加熱によるシールは、ガスバリア性の蓋を、内容物を充填した容器の開口を覆うようにして該開口の周縁部に被せたのち、高周波誘導加熱シール装置において、交流下に高周波磁束を発生させることにより、行う。このとき、蓋のバリア層をなす金属箔を通過する磁束により、この金属箔の表面にジュール熱が発生し、この熱により、金属箔の内側のヒートシール層が溶融させられて、容器の開口周縁部と蓋とが熱融着する。その結果、内容物が密封された包装体が得られる。
特開平9-77006号公報
ところで、高周波誘導加熱シールにより得られる包装体は、多数をパッキングした状態で長距離輸送したとき、蓋のバリア層をなす金属箔に細かいクラックや割れなどが生じるおそれがある。その理由を本出願人は次のように推測する。即ち、前記パッキング状態にある包装体は、輸送中、長時間の振動にさらされるが、特に横揺れ時には、包装体同士が衝突したり、圧迫しあったりする。このとき、各包装体は内圧が増減し、蓋が膨張と収縮を繰り返す。そして、蓋にそのような繰り返し応力が継続的に加えられ、バリア層をなす金属箔に周期的な変形疲労が蓄積するに伴い、蓋のバリア層をなす金属箔がサイクル疲労を起こす結果、金属箔に細かいクラックや割れなどが生ずると考える。
かかる問題に鑑み、本発明は、高周波誘導加熱シールに適した、厚さ中間に金属箔よりなるバリア層を有する蓋用積層材であって、前記サイクル疲労を経験させても、当該金属箔に細かいクラックや割れ等が生じない性能(以下、耐内圧クラック性ということがある。)を有する蓋用積層材を提供すること、を主たる課題とする。また、本発明は、この蓋用積層材よりなる蓋、並びにこの蓋を要素とする包装体を提供することを更なる課題とする。
上記課題を解決するべく、本発明者は、そのような蓋用積層材として、最内面をなすヒートシール層を、エンボスパターンが賦形された熱融着性樹脂フィルムで構成したものが、耐内圧クラック性に優れることを見出した。即ち本発明は、以下の蓋用積層材、及びこの蓋用積層材よりなる蓋、並びにこの蓋を要素とする包装体、に関する。
1)内容物を充填した容器の開口を覆うようにしてその開口周縁部に熱融着させられる蓋用積層材であって、外側より順に、保護樹脂層と、金属箔よりなるバリア層と、アンカーコート層と、接着層と、ヒートシール層とを有しており、ヒートシール層が熱融着性樹脂フィルムよりなり、かつ、ヒートシール層の最内表面の全体にわたり、複数の独立した凸部よりなるエンボスパターンが形成されていることを特徴とする、蓋用積層材。
2)凸部の頂部が平坦とさせられていることを特徴とする、1)の蓋用積層材。
3)凸部の高さが、ヒートシール層の厚みよりも大きく、かつ接着層及びヒートシール層の合計厚みよりも小さいことを特徴とする、1)又は2)の蓋用積層材。
4)保護樹脂層とバリア層の間に、印刷インキ層及び/又はアンカーコート層が介在させられていることを特徴とする、1)~3)のいずれかの蓋用積層材。
5)バリア層をなす金属箔の破断時の引張強さが20~200MPaであるとともに、破断時の全伸びが5~50%であることを特徴とする、1)~4)のいずれかの蓋用積層材。
6)ヒートシール層が、熱融着性樹脂フィルムよりなる熱融着層と、その上面に配置させられた合成樹脂よりなる基材層とで構成されることを特徴とする、1)~5)のいずれかの蓋用積層材。
7)ヒートシール層をなす熱融着性樹脂フィルムのメルトフローレートが2~15g/10分であることを特徴とする、1)~6)のいずれかの蓋用積層材。
8)ヒートシール層をなす熱融着性樹脂フィルムの縦方向(MD)における引張破断強度と、横方向(TD)における引張破断強度とが、いずれも40~100MPaであることを特徴とする、1)~7)のいずれかの蓋用積層材。
9)1)~8)のいずれかの蓋用積層材であって、そのヒートシール層を、該ヒートシール層をなす熱融着性樹脂フィルムと同一の熱融着性樹脂フィルムよりなる厚さ0.3mmのシートに、160℃、0.2MPa及び1秒間の条件で熱融着させた後、該蓋用積層材と該シートを、JIS K6854-3に準拠するT字剥離試験において、引張速度300mm/分の条件で相互に剥離させたときの強度が5~15N/15mmであることを特徴とする、蓋用積層材。
10)1)~9)のいずれかの蓋用積層材であって、保護樹脂層の最外表面に滑剤が付着しており、かつ、保護樹脂層とヒートシール層がいずれも滑剤を含まないことを特徴とする、蓋用積層材。
11)1)~9)のいずれかの蓋用積層材であって、保護樹脂層が、その最外表面にブリードアウトして析出相を形成する性質を有する滑剤を含んでおり、かつ、ヒートシール層が滑剤を含まないことを特徴とする、蓋用積層材。
12)1)~9)のいずれかの蓋用積層材であって、保護樹脂層が、その最外表面にブリードアウトして析出相を形成する性質を有する滑剤を含んでおり、かつ、ヒートシール層が、その最内表面にブリードアウトして析出相を形成する性質を有する滑剤を含むことを特徴とする、蓋用積層材。
13)1)~9)のいずれかの蓋用積層材であって、保護樹脂層が滑剤を含まず、かつ、ヒートシール層が、その最内表面にブリードアウトして析出相を形成する性質を有する滑剤を含むことを特徴とする、蓋用積層材。
14)1)~13)のいずれかの蓋用積層材よりなることを特徴とする、蓋。
15)14)の蓋を、内容物を充填した容器の開口を覆うようにしてその開口周縁部に被せ、高周波誘導加熱により熱融着させることにより得られることを特徴とする、包装体。
16)15)の包装体であって、
その蓋を、その容器の開口周縁部より、JIS K6854-3に規定するT字剥離試験方法に準拠して、引張速度300mm/分の条件で剥離させたときの強度が、5~15N/15mmであることを特徴とする、包装体。
1)の蓋用積層材は、最内面をなすヒートシール層が熱融着性樹脂フィルムで構成されている点に特徴がある。そのため、この蓋用積層材及びこれよりなる蓋は、耐内圧クラック性が良好である。具体的には、1)の蓋用積層材よりなる蓋で、内容物を充填した容器を、高周波誘導加熱シールにより熱封緘してなる包装体は、複数をパッキングした状態で長距離輸送する間、収容空間の内圧の増減に伴い蓋が平面変形を繰り返しても、蓋のバリア層をなす金属箔に、変形疲労に伴う細かいクラックや割れなどが生じない。
また、1)の蓋用積層材よりなる蓋は、容器の開口周縁部に熱融着させられた状態で前記した繰り返しの平面変形に遭っても、開口周縁部から剥がれたり、シール後退を生じたりしない(以下、かかる性質を、耐内圧シール性ということがある。)。
また、1)の蓋用積層材は、ヒートシール層の最内表面の全体にわたり、複数の独立した凸部よりなるエンボスパターンが形成されている点にも特徴がある。そしてこの特徴によっても、この蓋用積層材及びこれよりなる蓋は、耐内圧クラック性及び耐内圧シール性が良好となる。その理由としては、次のことが考えられる。即ち、1)の蓋用積層材よりなる蓋を容器の開口周縁部に熱融着させるさい、容器内の気体を、エンボスパターンの間隔よりなる隙間を通じて、容器の外部に排出させることができるため、熱封緘時における蓋の膨張を未然に防止できる。換言すると、そのような所謂空気逃しが行えるため、包装体にあって、蓋を平坦に保つことができる。そのため、当該包装体は、蓋の外観が損なわれないことはもとより、内容物が例えば乳酸菌飲料等の発酵食品である場合には、内圧上昇に伴う蓋の破れや所謂シール後退を防ぐこともできる。
2)の蓋用積層材は、1)の蓋用積層材において、エンボスパターパンを構成する凸部の頂部が平坦とさせられている点に特徴がある。そのため、この蓋用積層材よりなる蓋を容器の開口周縁部に熱融着させたとき、シール精度及びシール強度が良好となる。
3)の蓋用積層材は、1)又は2)の蓋用積層材において、エンボスターンを構成する凸部の高さが所定範囲に限定されている点に特徴がある。そのため、この蓋用積層材よりなる蓋を用いると、ヒートシール時における容器内部の空気抜きを、より確実に行える。
4)の蓋用積層材は、1)~3)のいずれかの蓋用積層材において、保護樹脂層とバリア層の間に、印刷インキ層及び/又はアンカーコート層が介在させられている点に特徴があり、例えば印刷インキ層を介在させることにより、4)の蓋用積層材及びこれよりなる蓋は、内容物の情報や、意匠が表示される。また、印刷インキ層の内側に、印刷インキ層とバリア層の密着を高める目的でアンカーコート層を設けると、印刷インキ層の抜けや脱落、ズレ等を防止できる。一方、印刷インキ層を設けず、アンカーコート層のみ設けることもできる。この場合には、保護樹脂層とバリア層の密着力を高めることができるため、保護樹脂層の最外表面に何らかの物体が接触する等して外力が加わっても、保護樹脂層の剥がれや脱落を防げたり、両層間のデラミネーション等を防止できたりする。
5)の蓋用積層材は、1)~4)のいずれかの蓋用積層材において、バリア層をなす金属箔の破断時の引張強さと、破断時の全伸びとが、夫々所定範囲に限定されている点に特徴がある。そのため、外部応力に対してよりフレキシブルとなり、破れを防止できる。
6)の蓋用積層材は、1)~5)のいずれかの蓋用積層材において、ヒートシール層を、外側から順に、合成樹脂よりなる基材層と、熱融着性樹脂フィルムよりなるヒートシール層とで構成した点に特徴がある。そのため、例えば6)の蓋用積層材よりなる蓋と、容器とのシール強度を高めたり、蓋自体の強度やクッション性を高めたりすることができる。また、6)の蓋用積層材及びこれよりなる蓋は、耐内圧シール性と耐内圧クラック性も良好である。
7)の蓋用積層材は、1)~6)のいずれかの蓋用積層材において、ヒートシール層をなす熱融着性樹脂フィルムのメルトフローレートが所定範囲に限定されている点に特徴がある。そのため、この蓋用積層材よりなる蓋を用いれば、高周波誘導加熱シールにおいて、内容物を充填した容器を短時間でより確実に熱封緘できる。また、7)の蓋用積層材及びこれよりなる蓋は、耐内圧シール性と耐内圧クラック性が一層良好であるため、シール後退や、熱融着部の剥がれ、金属箔のクラック・割れ等が一層生じなくなる。
8)の蓋用積層材は、1)~7)のいずれかの蓋用積層材において、ヒートシール層の縦方向(MD: Machine Direction)における引張破断強度と、横方向(TD: Transverse Direction)における引張破断強度とが、共に一定範囲に限定されている点に特徴がある。そのため、この蓋用積層材は、全体的な強度が高められている。また、この蓋用積層材は、耐内圧シール性と耐内圧クラック性がより良好であり、シール後退や、熱融着部の剥がれ、金属箔のクラック・割れ等が一層生じなくなる。また、8)の蓋用積層材及びこれよりなる蓋は、引き裂き強度も十分であり、ストロー突き刺し耐性も良好である。ストロー突き刺し耐性が良好であると、例えば、この蓋用積層材及びこれよりなる蓋にストローを突き刺すときの抵抗が小さくなり、ストローが曲がったり折れたりしない。
9)の蓋用積層材は、1)~8)のいずれかの蓋用積層材であって、所定のシート(被着体)に所定条件で熱融着させたのち、所定条件で剥離させたときの強度が所定範囲に限定されている点に特徴がある。そのため、この蓋用積層材よりなる蓋で熱封緘してなる包装体は、輸送時に不意の開封や、蓋の剥がれ、シール後退等が生じない。また、開封時には蓋の剥離が容易である。
10)の蓋用積層材は、1)~9)のいずれかの蓋用積層材の保護樹脂層の最外表面に滑剤を付着させた点に特徴がある。そして、この滑剤により、当該最外表面は動摩擦係数が小さくさせられており、良好な外部滑性を奏する。
11)の蓋用積層材は、1)~9)のいずれかの蓋用積層材の保護樹脂層が滑剤を含む点に特徴がある。この滑剤は、保護樹脂層の最外表面にブリードアウトして析出相を形成する。そして、この析出相により、当該最外表面は動摩擦係数が小さくさせられており、良好な外部滑性を奏する。
12)の蓋用積層材は、1)~9)のいずれかの蓋用積層材の保護樹脂層と、ヒートシール層の両方が滑剤を含む点に特徴があり、保護樹脂層に含まれる滑剤は、保護樹脂層の最外表面にブリードアウトして析出相を形成する。一方、ヒートシール層に含まれる滑剤は、12)の蓋用積層材を巻き取ってコイルとなしたとき、同ヒートシール層の最内表面にブリードアウトして析出相を形成する。そしてこの析出相の一部が、同ヒートシール層の内側に密着させられている保護樹脂層の最外表面に転写させられる。そのため、12)の蓋用積層材は、その最外表面に、保護樹脂層に由来する滑剤と、ヒートシール層に由来する滑剤とが共在している。そして、それら滑剤により、当該最外表面は動摩擦係数が小さくさせられており、良好な外部滑性を奏する。
13)の蓋用積層材は、1)~9)のいずれかの蓋用積層材のヒートシール層が滑剤を含む点に特徴がある。この滑剤は、13)の蓋用積層材を巻き取ってコイルとなしたとき、同ヒートシール層の最内表面にブリードアウトして析出相を形成する。そしてこの析出相の一部が、同ヒートシール層の内側に密着させられている保護樹脂層の最外表面に転写させられる。そのため、13)の蓋用積層材は、その最外表面に、ヒートシール層に由来する滑剤が存在している。そして、この滑剤により、当該最外表面は動摩擦係数が小さくさせられており、良好な外部滑性を奏する。
以上より、10)~13)のいずれかの蓋用積層材よりなる14)の蓋は、その最外表面に何らかの外力が、例えば他の物体の接触による衝撃が加わったり、強い摩擦が生じたりしても、それらの力が水平方向に逃される。そのため、同保護樹脂層の脱落や剥がれを防止できる。また、同保護樹脂層の内側に印刷インキ層が配置させられている場合には、その印刷インキ層の脱落やカスレ、剥がれ、抜け等を防止できる。
15)の包装体は、内容物を充填した容器を14)の蓋を用いて、高周波誘導加熱シールにより熱封緘した物品である。この包装体は、その蓋の最内層をなすヒートシール層が熱融着性樹脂フィルムで構成されており、かつ、この熱融着性樹脂フィルムの最内表面に所定のエンボスパターンが形成されているため、耐内圧クラック性と耐内圧シール性が良好である。そのため、この包装体の蓋に外部応力が周期的に加わり、この蓋が繰り返し変形しても、熱融着部のシール後退や剥がれが生じない。また、この包装体の内圧の増減に伴い、蓋が繰り返し変形しても、この蓋をなす金属箔に、クラックや割れ等が生じない。
16)の包装体は、15)の包装体において、容器の開口周縁部より蓋用積層材を所定条件で剥離させたときの強度が所定範囲に限定されているため、輸送時には不意の開封が生じない。また、開封時には蓋を容易に剥離できる。
本発明の蓋用積層材の垂直断面図である。 本発明の蓋用積層材の垂直断面図である。 本発明の蓋用積層材の、エンボスパターンの斜視図である。 本発明の蓋用積層材の、エンボスパターンの平面図である。 本発明の蓋の斜視図である。 本発明の包装体の断面図である。 本発明の包装体の耐内圧クラック性の評価装置を示す模式図である。
以下、本発明の蓋用積層材、蓋及び包装体を、図1~7を通じて詳細に説明する。ただし、それら図面により本発明の技術範囲が限定されることはない。
図1(a)(b)(c)はいずれも、本発明の蓋用積層材(1)の垂直断面を示す模式図である。
図1(a)の蓋用積層材(1)は、外側より順に、保護樹脂層(11)、印刷インキ層(12)、アンカーコート層(13)、バリア層(14)、アンカーコート層(15)、接着層(16)、及びヒートシール層(17)が積層させられてなる、複合材である。なお、印刷インキ層(12)とアンカーコート層(13)はいずれか一方又は両方が省略できる。
図1(b)の蓋用積層材(1)は、外側より順に、保護樹脂層(11)、バリア層(14)、アンカーコート層(15)、接着層(16)、及びヒートシール層(17)が積層させられてなる、複合材であり、印刷インキ層(12)とアンカーコート層(13)の両方が省略されている。
図1(c)の蓋用積層材(1)は、図1(b)の蓋用積層材(1)と同様、外側より順に、保護樹脂層(11)、バリア層(14)、アンカーコート層(15)、接着層(16)、及びヒートシール層(17)が積層させられてなる、複合材である。ヒートシール層(17)は、独立した二層よりなり、外側の層が基材層(17a)を構成し、その下面にヒートシール層(17b)が積層させられている。
図1(a)(b)(c)の蓋用積層材(1)はいずれも、ヒートシール層(17)の最内表面に、エンボスパターン(18)が形成されている。
エンボスパターン(18)は、複数の独立した凸部(18a)と、凸部(18a)どうしの間隔(18b)と、ベース面(18c)とで構成されており、ベース面(18c)よりなる連続相上に複数の独立した凸部(18a)が島状に点在している。
図2(a)(b)(c)の蓋用積層材(1)はいずれも、図1(b)の蓋用積層材(1)について、エンボスパターン(18)を変形させた例である。詳細は後述する。
図3は、図2(c)の蓋用積層材(1)の斜視図である。そのエンボスパターン(18)は、平坦なベース面(18c)上に、円柱状の凸部(18a)が、複数、等しい間隔(18b)で、規則的に配列させられることによって、構成されている。
図4は、エンボスパターン(18)の模様の例示である。詳細は後述する。
図5は、本発明の蓋(2)の斜視図である。この蓋(2)はキャップ状であり、略水平な円形状の本体部(2a)と、本体部(2a)の周縁より垂下状に伸びるスカート部(2b)とで構成される。
図6(a)(b)は、本発明の包装体(4)の断面図である。包装体(4)は、内容物(C)を充填した容器(3)を、蓋(2)で、高周波誘導加熱シール手段によって、熱封緘してなる物品である。
図6(a)の包装体(4)は、蓋(2)が図5で示されるキャップ状の形態であり、容器(3)の開口周縁部(21)は、略起立状のリムを構成している。
図6(b)の包装体(4)は、蓋(2)が平坦な枚葉状の形態であり、内容物(C)を充填した容器(3)は、開口周縁部(31)が略水平状であって有意の幅をもつフランジとさせられている。
図7は、包装体(4)の耐内圧クラック性の評価装置の模式図である。詳細は後述する。
<蓋用積層材(1)>
保護樹脂層(11)は、蓋用積層材(1)の最外面を構成するとともに、その強度や耐久性、耐候性、耐薬品性等を高める層であり、各種公知のオーバーコート剤及び/又は合成樹脂フィルムで構成できる。
オーバーコート剤としては、オーバーコート剤として利用可能な各種公知のバインダー樹脂を溶媒に溶解させてなる組成物が挙げられ、硬化剤を含めてもよい。バインダー樹脂としては、例えば、硝化綿(ニトロセルロース)、シェラック樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂及び塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。溶媒としては、各種公知の有機溶剤が挙げられ、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等を例示できる。硬化剤としては、メラミン系硬化剤、エポキシ系硬化剤及びエポキシメラミン系硬化剤等が挙げられる。
合成樹脂フィルムをなす合成樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、並びに延伸ポリプロピレン等のポリオレフィンが挙げられ、同種又は異種のフィルムを二以上組み合わせてもよい。合成樹脂のフィルム化手段としては、例えば(共)押出成形法(インフレーション、Tダイ等)や延伸法、ラミネート法等が挙げられる。
オーバーコート剤と合成樹脂フィルムは組み合わせてもよい。その場合には、合成樹脂フィルムの外側にオーバーコート剤を適用し、保護樹脂層(11)の最外表面をオーバーコート層で構成するのが好ましい。
保護樹脂層(11)の全体の厚みは特に制限されず、蓋用積層材(1)及び蓋(2)の強度や耐候性等と、高周波誘導加熱シールの精度等とのバランスを考慮すると、通常1~25μmである。
印刷インキ層(12)は、保護樹脂層(11)と、後述のアンカーコート層(13)又はバリア層(14)との間に介在させられる任意の層であり、文字や図形、記号を形成し、蓋用積層材(1)及びこれよりなる蓋(2)に、包装体(4)の内容物(C)の情報や、意匠を与える。
印刷インキ層(12)は、各種公知の印刷インキで構成する。
印刷インキとしては、バインダー樹脂及び溶媒よりなる各種公知のビヒクルに着色材を各種公知の手段で分散させてなる組成物を利用でき、硬化剤も併用できる。
バインダー樹脂としては、例えば、硝化綿(ニトロセルロース)、シェラック樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂及び塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等の活性エネルギー線で硬化しないタイプのバインダー樹脂が挙げられる。また、活性エネルギー線硬化型のバインダー樹脂として、各種公知のジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレート、並びに分子内に(メタ)アクリロイル基を5~6個有する(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリレート類を使用できる。ポリ(メタ)アクリレート類には、各種公知のウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートといった変性ポリ(メタ)アクリレートが含まれる。活性エネルギー線硬化型バインダー樹脂には、光重合開始剤として、ベンゾフェノン系開始剤やアセトフェノン系開始剤、ベンゾイン系開始剤等を組み合わせることができる。溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等の有機溶剤を使用できる。硬化剤としては、例えば多官能イソシアネートや多官能エポキシ化合物、多官能オキサゾリン化合物、ケチミン化合物、メラミン化合物等を含めてよい。バインダー樹脂が活性エネルギー線硬化型樹脂の場合には、各種公知の(メタ)アクリレートを反応性希釈剤として使用できる。
着色材としては、顔料及び/又は染料が挙げられる。顔料としては二酸化チタン、亜鉛華、グロスホワイト、パライト、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、沈降性シリカ、エアロジル、タルク、アルミナホワイト、マイカ、合成ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、カーボンブラック、マグネタイト及びベンガラ等の有機系若しくは無機系の顔料を例示できる。染料としては、アントラキノン系染料、アゾ系染料及びキノリン系染料等を例示できる。印刷インキにおける着色材の含有量は特に限定されず、通常は0.5~40重量%であるが、印刷インキ層(12)の強度を確保し、その内部脱落や内部剥離を抑制する観点より2~15重量%が好ましい。着色材の大きさは特に限定されず、顔料の場合には、平均一次粒子径が通常0.1~5μm、好ましくは0.5~3μmである。
印刷インキには、その他の添加剤として、例えば各種公知のシランカップリング剤や、硬化剤、帯電防止剤等を適量含めることができる。
印刷インキ層(12)は、図1(a)で示されるようなベタ塗りのような連続的な層であってもよいし、図示は省略するが、ドット状ないしメッシュ状などの断続的な層であってもよい。印刷手段としては、グラビア印刷やオフセット印刷、フレキソ印刷等の公知の方法を採用できる。
印刷インキ層(12)は単色刷りであってもよいし、多色刷りであってもよい。また、単層刷りであってもよいし、二層以上の多層刷りであってもよい。
印刷インキ層(12)全体の厚みは特に限定されず、通常、一層当たり0.5~2μmである。
アンカーコート層(13)は、バリア層(14)の外面側表面に必要に応じて形成させられる任意の層である。この層を、保護樹脂層(11)及び/又は印刷インキ層(12)と、バリア層(14)との間に介在させることによって、層間接着性を高め、デラミネーションを防ぐことができる。
アンカーコート層(13)は、各種公知のアンカーコート剤で形成する。アンカーコート剤の主剤としては、例えば、硝化綿(ニトロセルロース)、シェラック樹脂、エポキシ樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリウレアウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、エラストマー樹脂、及びポリウレタン樹脂等が挙げられ、前記した有機溶剤や、硬化剤を併用できる。ポリウレタン樹脂をベースとするアンカーコート剤としては、二液硬化型ポリエーテル-ウレタン樹脂系接着剤及び/又は二液硬化型ポリエステル-ウレタン樹脂系接着剤が好ましい。当該アンカーコート剤に用いる硬化剤としては、例えば多官能イソシアネートや多官能エポキシ化合物、多官能オキサゾリン化合物、ケチミン化合物等が挙げられる。
アンカーコート剤として、保護樹脂層(11)をなす樹脂及び/又は前記印刷インキをなすバインダー樹脂と同一又は同種の樹脂よりなるものを選択すると、アンカーコート層(13)と、保護樹脂層(11)及び/又は印刷インキ層(12)との密着性が更に良好になり、それらの層間のデラミネーションや、印刷インキ層(12)の抜け、脱落及びカスレ等を防止できる。
アンカーコート層(13)の厚みは特に限定されず、通常0.5~5μmである。
バリア層(14)は、蓋(2)を、内容物(C)を充填した容器(3)の開口周縁部(31)に熱融着させるための発熱手段であり、金属箔で構成する。この金属箔は、蓋(2)を開口周縁部(31)に載置した状態で加圧下に高周波誘導加熱を行うと、発熱する。そして、そのジュール熱が、バリア層(14)下面よりヒートシール層(17)に伝わり、このヒートシール層(17)をなす熱融着性樹脂フィルムが溶融して、蓋(2)下面と開口部(31)の上面とが熱融着させられる。熱封緘後の蓋(2)は、包装体(4)に充填させられている内容物(C)を、ガスや水蒸気、光等から保護する。
金属箔としては、例えば、アルミニウム箔、鉄箔、ステンレス鋼箔、銅箔及びニッケル箔等が挙げられる。これらの中でも、バリア機能、成形性及びコスト等を考慮すると、アルミニウム箔が好適である。アルミニウム箔としては、純アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が挙げられ、高周波誘導加熱シール時の発熱効率を加味すると、純アルミニウム箔か、鉄を0.5~2質量%含有するアルミニウム合金箔が好ましい。当該純アルミニウム箔としては、特に純度99.0質量%以上の純アルミニウム箔が好ましい。また、当該アルミニウム合金箔としては、Al-Fe系アルミニウム合金箔が好ましく、特に、Feを0.7~1.3質量%及びSiを0.05~0.3質量%含有しかつ残部がAl及び不可避的な不純物であるものや、Feを1.2~1.7質量%及びSiを0.15質量%以下含有し残部がAl及び不可避的な不純物であるものが、蓋(2)の成形性の点でより好ましい。また、アルミニウム箔は、軟質材(O材)及び硬質材(H18材)のいずれかであればよい。なかでもJIS H4160で規定される1000系アルミニウム箔のO材や、8000系アルミニウム箔のO材は、成形性の点で好ましい。具体的には、A1N30H-O、A8021H-O及びA8079H-Oが好適である。
金属箔の物性は特に限定されないが、例えば破断時の引張強さが20~200MPaであるとともに、破断時の全伸びが5~50%であると、蓋用積層材(1)及び蓋(2)が破れにくくなり、バリア層(14)をなす金属箔に割れも生じない。引張強さと全伸びはいずれもJIS Z2241で規定される金属材料引張試験方法に基づく測定値である。
金属箔は、25℃における体積抵抗率と100℃における体積抵抗率が共に1~5μΩ・cmであると、高周波誘導加熱シール時の発熱性が良好となり、包装体(4)のシール精度が高まる。
金属箔は、そのいずれか一方の面又は両面に、各種公知の化成処理液による易接着層を形成してもよい。化成処理液としては、例えば、リン酸と、クロム系化合物と、フッ素系化合物及び/又はバインダー樹脂とを含む水-アルコール溶液が挙げられる。クロム系化合物としてはクロム酸及び/又はクロム(III)塩を、フッ素系化合物としてはフッ化物の金属塩及び/又はフッ化物の非金属塩を、バインダー樹脂としてはアクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂及びフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を、夫々例示できる。化成処理液の塗工量は、金属箔の片面当たり、クロム付着量が通常0.1~50mg/m2となる範囲であればよい。
バリア層(14)の厚みは特に制限されないが、例えば蓋用積層材(1)及び蓋(2)の強度や耐候性、ヒートシール層(17)への伝熱性等を考慮すると、5~80μmが好ましい。
アンカーコート層(15)は、バリア層(14)と接着層(16)を密着させ、両層間のデラミネーションを防ぐ等の目的で配置させられる層であり、アンカーコート剤で構成する。
アンカーコート剤としては、アンカーコート層(13)を構成するアンカーコート剤と同じものを使用できる。特に二液硬化型ポリエーテル-ウレタン樹脂系接着剤及び/又は二液硬化型ポリエステル-ウレタン樹脂系接着剤が好ましく、硬化剤も前記したものを使用できる。
アンカーコート層(15)の厚みは特に限定されず、通常1~5μmである。
接着層(16)は、アンカーコート層(15)と協働して、バリア層(14)をヒートシール層(17)に接合させるための層である。また、接着層(16)を設けることで、蓋用積層材(1)及び蓋(2)の引き裂き強度が向上するため、例えばストロー突き刺し耐性を確保できる。
接着層(16)は、各種公知のポリオレフィン樹脂で構成するのが好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、無延伸ポリプロピレン及び酸変性ポリプロピレン等のポリプロピレン、低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、並びに、エチレン-プロピレンランダムコポリマー及びエチレン-プロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂のうち、ポリエチレンには次の利点がある。第一に、高周波誘導加熱シール時の圧力分散性が良好である。第二に、包装体(4)の輸送時に蓋(2)に長時間、繰り返し加わる外部応力をより緩和できる。第三に、包装体(4)の開封時にバリア層(14)に加わる応力の緩和性も良好である。以上より、ポリオレフィン樹脂としてポリエチレンを用いると、蓋用積層材(1)及び蓋(2)の耐内圧シール性と耐内圧クラック性が良好となり、バリア層(14)をなす金属箔のクラックや破れが低減する。
接着層(16)の厚みは特に限定されず、10~50μmが好ましい。同厚みを10μm以上にすることで、高周波誘導加熱シールのさい、熱融着部である容器(3)の開口周縁部(31)で所謂樹脂逃げが発生しなくなり、熱融着部の高さ方向の厚みを確保しやすくなる。その結果、包装体(4)の開封時に蓋(2)を開口周縁部(31)より剥離させるさい、糊残りや膜残りが生じなくなる。一方、同厚みを50μm以下とすることで、高周波誘導加熱シールのさい、バリア層(14)をなす金属箔で生ずるジュール熱が効率よくヒートシール層(17)に伝わるため、シール強度及びシール精度が良好になる。
ヒートシール層(17)は、蓋(2)を、容器(3)の開口周縁部(31)に熱融着させるための層である。
ヒートシール層(17)は、ヒートシール性を有する各種公知の熱融着性樹脂フィルムよりなる。この熱融着性樹脂フィルムは、高周波誘導加熱シール時にバリア層(14)をなす金属箔が生ずるジュール熱によって溶融し、このことにより、蓋(2)の下面と、容器(3)の開口周縁部(31)の上面とが接合される。
熱融着性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリビニル等が挙げられる。ポリプロピレンとしては、例えばホモポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、無延伸ポリプロピレン、エチレン-プロピレンランダムコポリマー、エチレン-プロピレンブロックコポリマー及び酸変性ポリプロピレンが挙げられる。ポリエチレンとしては、例えば低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートが挙げられる。ポリビニルとしては、例えばポリスチレンが挙げられる。
熱融着性樹脂フィルムは、全体として一のフィルムとみなせればよく、層数及び層種を問わない。例えば、一種の熱融着性樹脂よりなる複数層の積層材として利用できる。また、二種以上の熱融着性樹脂よりなる複数層の積層材としても利用できる。積層数は限定されず、1~5程度であればよい。
熱融着性樹脂フィルムは、各種公知の方法で形成でき、例えば押出法やTダイ法等が挙げられる。
ヒートシール層(17)には、次の二態様がある。
第1態様:図1(a)(b)を参照。ヒートシール層(17)を、前記熱融着性樹脂フィルムのみで構成する。
第2態様:図1(c)を参照。ヒートシール層(17)を、合成樹脂よりなる基材層(17a)と、熱融着性樹脂フィルムよりなるヒートシール層(17b)とで構成する。
以下、単にヒートシール層(17)というときは、特に断りのない限り、第1態様のヒートシール層(17)と、第2態様のヒートシール層(17)の両方を指す。
第1態様のヒートシール層(17)の厚みは特に限定されないが、5~40μmであると、ヒートシール層(17)と容器(3)の開口周縁部(31)との熱融着性が良好になるとともに、ヒートシール時の所謂樹脂逃げが生じなくなるため、包装体(4)の開封時、開口周縁部(31)上に糊残りや膜残りも生じない。
第2態様の基材層(17a)は、蓋(2)と、容器(3)の開口周縁部(31)との熱融着性を補助する目的で、接着層(16)及びヒートシール層(17b)の間に任意に介在させられる層である。
基材層(17a)は、各種公知の合成樹脂で構成する。合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン及びポリエステルが挙げられる。ポリプロピレンとしては、例えば、ホモポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、無延伸ポリプロピレン、ポリ(エチレン-プロピレン)ランダム共重合体、ポリエチレン-ポリプロピレンブロック共重合体、酸変性ポリプロピレン、低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートが挙げられる。これらの中でも、基材層(17a)及びヒートシール層(17b)の密着性の点で、ポリオレフィンが好適である。
基材層(17a)は、合成樹脂よりなるフィルム、及び/又は、合成樹脂よりなる押出層で構成することができ、押出層の態様が好適である。
基材層(17a)と接着層(16)を、同一又は同種の合成樹脂で、好適にはポリオレフィンで構成すると、高周波誘導加熱シール時に両層が良好に密着するため、例えば、容器(3)の開口周縁部(31)より蓋(2)を剥離させるさい、破れが生じない。
ヒートシール層(17)を、基材層(17a)及びヒートシール層(17b)で構成する場合、かかるヒートシール層(17)は、好適には、基材層(17a)をなす合成樹脂と、ヒートシール層(17b)をなす熱融着性樹脂との両方を、押出層で構成するのが好ましい。押出手段としては、各種公知の共押出し装置を利用できる。
第1態様のヒートシール層(17)と第2態様のヒートシール層(17b)はいずれも、それらをなす熱融着性樹脂フィルムと、容器(3)の開口周縁部(31)をなす樹脂とを、同一又は同種の熱融着性樹脂で構成するのが好ましく、高周波誘導加熱シールの精度及び強度を高めることができる。そのため、例えば、シール面である開口周縁部(31)の上面に塵芥などの夾雑物が付着していても、蓋用積層材(1)又は蓋(2)と、開口周縁部(31)との熱融着性が大変良好となる。具体的な組み合わせとしては、かかる熱融着性樹脂フィルムとしてポリスチレンフィルムを選択するとともに、開口周縁部(31)をなす樹脂としてポリスチレンを選択する組み合わせが挙げられる。
ヒートシール層(17)の全体の厚みは、特に限定されず、例えば、高周波誘導加熱シールの精度や強度、蓋用積層材(1)及び蓋(2)の強度等を考慮すると、第1態様及び第2態様とも、通常、5~100μmである。また第2態様の場合、基材層(17a)の厚み(T17a)と、ヒートシール層(17b)の厚み(T17b)との比率(T17a/T17b)は特に限定されず、通常、1/3~3/1程度である。
ヒートシール層(17)の全体の物性としては、例えばメルトフローレート(JIS K7210)や引張破断強度(JIS K7127)、引張伸び率(JIS K7127)が挙げられる。
メルトフローレートは、蓋(2)のシール精度乃至シール強度、或いは、包装体(4)開封時における蓋(2)の外観に関わる要因である。具体的には、例えば、ヒートシール層(17)を構成する熱融着性樹脂フィルムのメルトフローレートが2~15g/10分であると、ヒートシール層(17)と開口周縁部(31)との熱融着性が良好になるとともに、所謂樹脂逃げが生じないため、包装体(4)開封時に膜残りが生じない。なお、前記第2態様の場合、基材層(17a)のメルトフローレートは、ヒートシール層(17b)のそれよりも小さければよい。
引張破断強度は、ヒートシール層(17)全体の縦方向(MD)における引張破断強度と、同横方向(TD)における引張破断強度が共に40~100MPaであると、包装体(4)を例えば多数パッキングした状態で長距離輸送する間、蓋(2)が長時間・長周期の外部応力サイクルに付されても、バリア層(14)をなす金属箔にクラックが生じなくなる。
引張伸び率は、ヒートシール層(17)の縦方向(MD)における引張伸び率と、同横方向(TD)における引張伸び率とが共に100~200%であると、蓋用積層材(1)と蓋(2)はいずれも強度が高まり、いわゆるコシが強くなる。そのため、例えば包装体(4)の開封時、蓋(2)に破れが生じない。
なお、引張破断強度と、引張伸び率は、ヒートシール層(17)の最内表面にエンボスパターン(18)を賦形する前の物性である。
ヒートシール層(17)の最内表面には、図1~4で示すように、全体にわたり、エンボスパターン(18)が形成されている。
図1で示すように、エンボスパターン(18)は、複数の独立した凸部(18a)よりなる。凸部(18a)は、所定の間隔(18b)を介して、連続面たるベース面(18c)上に点在させられている(図3及び図4も参照)。
ヒートシール層(17)の最内表面にエンボスパターン(18)を形成すると、蓋(2)を容器(3)の開口周縁部(31)に熱融着させるさい、容器(3)内の気体を、エンボスパターン(18)における間隔(18b)を通じて、容器(3)の外部に排出させることができるため、耐内圧クラック性及び耐内圧シール性が良好となる。また、熱封緘時における蓋(2)の膨張を未然に防止でき、包装体(4)にあって、蓋(2)を平坦に保つことができる。
凸部(18a)の形状は、独立した一単位の隆起物でありさえすれば、特に限定されず、円柱状、楕円柱状、角柱状(図4(a)参照)、円錐状、台形状、千鳥状、ドット状(図4(b)参照)、円環状、ドーム状等であってよい。また、異なる形状の凸部(18a)を複数集合させて、特定の模様を構成してもよい(図4(c)参照)。
図1(a)(b)(c)の凸部(18a)は、断面が矩形状であり、頂部が平坦であるとともに、ベース面(18c)も平坦である。
図2(a)の凸部(18a)は、頂部が曲面とさせられているとともに、ベース面(18c)も凹状の曲面とさせられている。
図2(b)の凸部(18a)は、頂部が曲面とさせられており、かつ、ベース面(18c)は平坦とさせられている。
図2(c)の凸部(18a)は、頂部が平坦とさせられており、かつ、ベース面(18c)も平坦とさせられている。
図1及び図2の態様はいずれも、前記空気逃しに適しているが、特に図1の態様や、図2(c)の態様の場合には、凸部(18a)の頂部が平坦とさせられているため、前記空気逃しの効率が非常に高く、包装体(4)にあって、蓋(2)の平坦性を容易に保てる。また、それら態様の場合には、蓋(2)を容器(3)の開口周縁部(31)に熱融着させるさい、シール精度とシール強度がいずれも高まるため、耐内圧クラック性及び耐内圧シール性が良好となる。
図3のエンボスパターン(18)は、図2(c)のそれに対応しており、略円柱状でかつ頂部が平坦とさせられている凸部(18a)が、一定の間隔(18b)をもって、平坦なベース面(18c)の上に、規則的かつ周期的に配列させられている。
図4はエンボスパターン(18)の平面図である。
図4(a)のエンボスパターン(18)は、凸部(18a)がひし形状である。また、ベース面(18c)は溝状あり、線状の通路を構成している。
図4(b)のエンボスパターン(18)は、凸部(18a)が円状(ドット状)であり、ベース面(18c)は平面状である。
図4(c)のエンボスパターン(18)は、4つの細長の凸部(18a)が一の格子を構成するともに、所定の格子の内部には円状の凸部(18a)が配置させられている。また、ベース面(18c)は平面状である。
但し以上は例示であって、エンボスパターン(18)の形状を限定しない。
凸部(18a)の配列の規則性は限定されず、図4のように周期的であってよいし、図示は省略するが、不規則的であってもよい。
凸部(18a)のサイズも限定されない。例えばこれが、図3で示されるような略円柱状の場合には、一単位の直径が例えば100μm~1000μm程度であればよい。
凸部(18a)の密度も特に限定されず、例えば1~127個/cm2程度であればよい。
凸部(18)の高さ(H)は特に限定されず、ヒートシール層(17)の厚み(T17)よりも大きく、かつ、接着層(16)及びヒートシール層(17)の合計厚み(T17+T16)よりも小さくさせればよい。そのようにすることで、ヒートシール時の空気抜きをより確実に行える。なお、この場合、T16とT17はいずれも、エンボス加工前の厚みである。
間隔(18b)の大きさも特に限定されず、例えばこれが、図3で示されるような略円柱状の場合には、90μm~900μmであればよい。
ベース面(18c)は、平坦とさせられているとともに、その面積が、凸部(18a)の合計面積よりも大きくさせられていると、シール精度及びシール強度の点で、好ましい。
ヒートシール層(17)の最内表面にエンボスパターン(18)を形成する方法としては、各種公知の手段を採用できる。具体的には、ヒートシール層(17)を構成する熱融着性樹脂フィルムの表面に、所定のエンボスパターンが形成されているプレスロールを押圧させることによって、ヒートシール層(17)の最内表面にエンボスパターン(18)を形成することができる。プレスロールは、冷却状態で用いてもよいし、加熱して用いてもよい。プレスロールに代えて、ヒートシール層(17)を構成する熱融着性樹脂フィルムを共押出し法によって作製するさい用いる冷却ロールを用いてもよい。この場合、冷却ロールの表面には所定のエンボスパターンが形成されている。冷却ロールを用いると、インラインでエンボス加工を行えるため、有利である。
<滑剤(S)を用いる態様>
ところで包装体(4)は、搬送時、運搬時、陳列時等において、蓋(2)の最外表面に、他の物体が接触して衝撃が加わったり、強い摩擦が生じたりするなど、外力が加わることがある。また、包装体(4)じたいが落下したり、包装体(4)同士が衝突したりすることによっても、そうした外力が蓋(2)の最外表面に加わる。このとき、保護樹脂層(11)が剥がれたり、脱落したりすることがあり、更に、保護樹脂層(11)の内側のバリア層(14)をなす金属箔にも割れやクラック等が生じることもある。
また、蓋用包装材(1)が印刷インキ層(12)を備える場合、保護樹脂層(11)の最外表面にそうした外力が加わると、印刷インキ層(12)がカスレたり、ズレたり、滲んだりする。特に保護樹脂層(11)がオーバープリントコート剤で形成されている場合には、そうした外力により、保護樹脂層(11)ごと印刷インキ層(12)が脱落することもある。
上記した、保護樹脂層(11)の最外表面に加わる外力に伴う技術的な問題は、特に蓋(2)が図5で示すようなキャップ状の蓋である場合、本体部(2a)の周縁や、スカート部(2b)のエッジ部等で生じやすい。
本発明は、そうした問題の解決策を提案する。具体的には、蓋用積層材(1)の最外表面に滑剤(S)を種々方法で存在させることにより、当該最外表面に外部滑性を付与して、その動摩擦係数を小さくする。そしてそのことにより、当該最外表面に加わる前記外力を水平方向に逃すことができるようになる。その結果、保護樹脂層(11)の剥がれや脱落を防げたり、印刷インキ層(12)のカスレや剥がれ、抜け、脱落を防げたり、バリア層(14)をなす金属箔のクラック等を防げたりする。
滑剤(S)としては、各種公知のワックス及び/又は界面活性剤を特に制限なく使用できる。
ワックスとしては、天然ワックス及び/又は合成ワックスが挙げられる。天然ワックスとしては、動植物系ワックスとして例えばキャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木蝋、蜜蝋、鯨蝋、シェラック蝋及びラノリンワックス等が、また、鉱物系ワックスとして例えばモンタンワックス、オゾケライト及びセレシン等が、また、石油ワックスとして例えばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及びペトロラタム等が挙げられる。一方、合成ワックスとしては、炭化水素系合成ワックスとして例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス及びフィッシャートロプシュワックスが、水素化ワックスとして例えば硬化ヒマシ油及び硬化ヒマシ油誘導体等が、また、変性ワックスとして例えばポリエチレン・ポリプロピレン共重合物にスチレンをグラフト変性させてなるワックス、シリコン系ワックス(シリコーンワックス)、フッ素系ワックス及びアミド系ワックス(オレイン酸アミド、リシノール酸アミド、エルカ酸アミド、N,N'-メチレンビスステアリン酸アミド、N,N'-エチレンビスオレイン酸アミド、ステアリン酸物モノメチロールアミド、シリノール酸アミドワックス及びステアリン酸エステルワックス等)、並びにこれらの複合体等が挙げられる。これらのワックスの中でも、炭化水素系合成ワックスと変性ワックス(特にシリコン系ワックス及びアミド系ワックス)は、材料として安定であるのみならず、保護樹脂層(11)の最外表面の外部滑性が一層良好となる点で好ましい。ワックスの形状は特に限定されず、ペースト状、フレーク状ないし粒子状であってよい。
界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤よりなる群より選ばれる少なくとも一種が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、リシノレイン酸硫酸エステルソーダ、リシノレイン酸エステル硫酸エステルソーダ、硫酸化アミド、オレフィンの硫酸エステル塩、脂肪族アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、こはく酸エステルスルフォン酸塩等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、第一アミン塩、第三アミン塩、第四級アンモニウム化合物、ピリジン誘導体等が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、カルボン酸誘導体、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪族アミノ又は脂肪族アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
ワックス及び界面活性剤は夫々一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて使用できる。また、ワックスと界面活性剤は組み合わせてもよい。
滑剤(S)は、その存在態様乃至利用態様により、滑剤(S1)、滑剤(S2)及び滑剤(S3)に分類できる。
滑剤(S1):保護樹脂層(11)の最外表面に、外部より物理的に付着させられる滑剤である。
滑剤(S2):保護樹脂層(11)に予め含めさせられている滑剤である。これは、同層(11)の最外表面にブリードアウトして、析出相を形成する性質を有する。
滑剤(S3):ヒートシール層(17)に予め含めさせられている滑剤である。これは、同層(17)の最内表面にブリードアウトして、析出相を形成する性質を有する。
なお、本明細書において、単に滑剤(S)というとき、それは、滑剤(S1)、滑剤(S2)及び滑剤(S3)よりなる群より選ばれる少なくとも一の滑剤を指すか、それら滑剤の総称として扱う。また、滑剤(S1)、滑剤(S2)及び滑剤(S3)は全て同種であってもよいし、異種の組み合わせであってもよい。
滑剤(S)を用いる態様を以下に例示する。
・第1滑剤態様:保護樹脂層(11)の最外表面に滑剤(S1)が付着しており、かつ、保護樹脂層(11)が滑剤(S2)を含まず、かつ、ヒートシール層(17)が滑剤(S3)を含まない。
・第2滑剤態様:保護樹脂層(11)が滑剤(S2)を含んでおり、かつ、ヒートシール層が滑剤(S3)を含まない。
・第3滑剤態様:保護樹脂層(11)が滑剤(S2)を含んでおり、かつ、ヒートシール層(17)が滑剤(S3)を含む。
・第4滑剤態様:保護樹脂層(11)が滑剤(S2)を含まず、かつ、ヒートシール層(17)が滑剤(S3)を含む。
第1滑剤態様は、保護樹脂層(11)の最外表面に、滑剤(S1)を塗布したり、蒸着させたりすることにより、実現できる。塗布の場合には、例えば、保護樹脂層(11)の最外表面に、滑剤(S1)を適当な有機溶剤に溶解又は分散させてなる組成物を、各種公知の手段によって塗布し、有機溶剤を揮発させればよい。塗布手段としては、例えばスプレー、グラビアロール、リバースロール等が挙げられる。かかる組成物における、滑剤(S1)の含有量は特に限定されず、通常、重量基準で500ppm~10000ppmであればよい。蒸着の場合には、例えば、真空チャンバー中で滑剤(S1)を加熱して気化させ、保護樹脂層(11)の最外表面に蒸着させればよい。
第2滑剤態様は、保護樹脂層(11)に予め滑剤(S2)を含ませておき、これを経時的に保護樹脂層(11)の最外表面にブリードアウトさせて析出相を形成し、当該析出相が奏する外部滑性を利用する態様である。保護樹脂層(11)を構成するオーバーコート剤や合成樹脂フィルムに滑剤(S2)を含ませる手段は限定されず、各種公知の方法による。ブリードアウトを実現するためのエージング条件も特に限定されず、通常、温度が室温~70℃程度、期間が1~15日程度であればよい。
保護樹脂層(11)を前記オーバープリントコート剤で構成する場合には、バインダー樹脂として硝化綿を選択するとともに、滑剤(S2)として脂肪酸アミド系ワックスを選択すると、印刷インキ層(12)の脱落やズレ等を防止しやすいため、好ましい。
保護樹脂層(11)を前記合成樹脂フィルムで構成する場合には、合成樹脂フィルムとしてポリオレフィンを選択するとともに、滑剤(S2)として脂肪酸アミド系ワックス及び/又はポリオレフィンを選択すると、印刷インキ層(12)の脱落やズレ等を防止しやすいため、好ましい。
保護樹脂層(11)含まれる滑剤(S2)の含有量は特に限定されず、例えば、滑剤(S2)を含む保護樹脂層(11)を構成する合成樹脂の重量を基準として、滑剤(S2)の量が通常40~2000ppmであるのが好ましい。
第3滑剤態様は、第2滑剤態様と同様、保護樹脂層(11)に予め滑剤(S2)を含ませておき、これを経時的に保護樹脂層(11)の最外表面にブリードアウトさせて析出相を形成し、当該析出相が奏する外部滑性を利用する態様である。それと同時に、この態様では、ヒートシール層(17)にも滑剤(S3)が予め含ませられている。この滑剤(S3)は、ヒートシール層(17)の最内表面にブリードアウトして析出相を形成し、かかる析出相の一部が、次に述べる転写工程を経て、保護樹脂層(11)の最外表面に付着させられる。
転写工程は、例えば、次のようにして行う。具体的には、当該態様の蓋用積層材(11)をロール状に巻取り、コイルとなす。次いでこのコイルを、所定温度下に所定時間放置し、エージングを行う。このコイルにあっては、巻回に伴い生ずる半径方向の応力が、相互に積層している複数の蓋用積層材(11)に、漸次負荷されている。そして、この応力が内圧となって、一の蓋用積層材(1)のヒートシール層(17)と、このヒートシール層(17)の下面側に隣接する他の一の蓋用積層材(1)の保護樹脂層(11)とが強く密着させられている。そのため、経時的に、あるヒートシール層(17)の最内表面には滑剤(S3)がブリードアウトして析出相を形成し、この析出相が、当該ヒートシール層(17)と密着している保護樹脂層(11)の最外表面に、前記内圧の下、転写させられる。
ヒートシール層(17)を構成する熱融着性樹脂フィルムに滑剤(S3)を含ませる方法は特に限定されず、各種公知の方法を採用できる。滑剤(S3)のブリードアウトを実現するためのエージング条件も特に限定されず、通常、温度が室温~70℃程度、期間が1~15日程度であればよい。
保護樹脂層(11)に含まれる滑剤(S2)の含有量は特に限定されず、通常40ppm~2000ppmであればよい。
ヒートシール層(17)に含まれる滑剤(S3)の含有量も特に限定されず、通常100ppm~8000ppmであればよい。
第4滑剤態様は、保護樹脂層(11)が滑剤(S1)を含まない一方、ヒートシール層(17)が滑剤(S3)を含む態様である。この滑剤(S3)は、同層(17)の最内表面に経時的にブリードアウトして析出相を形成し、この析出相の一部が、前記転写工程を経て、保護樹脂層(11)の最外表面に付着させられる。そして、当該最外表面は、滑剤(S3)により、外部滑性を奏する。ヒートシール層(17)に含まれる滑剤(S3)の含有量も特に限定されず、通常100ppm~8000ppmであればよい。
なお、第5滑剤態様として、第2滑剤態様、第3滑剤態様及び第4滑剤態様の各保護樹脂層(11)の最外表面に、滑剤(S1)を、前記塗布法や蒸着法によって別途付着させた態様が挙げられ、この態様も本発明の範囲内にある。
また、第3態様及び第4態様において、ヒートシール層(17)が滑剤(S3)を含む場合、同層(17)全体のメルトフローレートは特に限定されず、通常2~15g/10分である。また、同層(17)全体の引張破断強度は、縦方向(MD)におけるそれと、同横方向(TD)におけるそれとが共に、通常40~100MPaである。また、同層(17)全体の引張伸び率は、縦方向(MD)におけるそれと、同横方向(TD)におけるそれとが共に通常100~200%である。なお、引張破断強度と、引張伸び率は、滑剤(S3)を含むヒートシール層(17)の最内表面にエンボスパターンを賦形する前の物性である。
各態様において、保護樹脂層(11)の最外表面に存在する滑剤(S)の量は特に限定されず、通常0.05~1.0μg/cm2程度である。測定方法は特に限定されず、例えばガスクロマトグラフィー法を使用できる。
保護樹脂層(11)の最外表面に滑剤(S)を存在させた場合において、当該最外表面の外部滑性の程度は、動摩擦係数(JIS K7125)で評価できる。その値は特に限定されないが、0.05以上0.3未満であると、印刷インキ層の抜けや脱落等を好適に防止できる。また、包装体(4)開封時において、蓋(2)をつまむ指が滑らなくなるため、開封作業も容易となる。かかる観点より、動摩擦係数は、好ましくは0.03~0.25程度である。一方、保護樹脂層(11)の最外表面に滑剤(S)が存在しない場合、当該最外表面の動摩擦係数(JIS K7125)は、通常、0.3以上0.5未満である。
<蓋用積層材(1)の製造方法及び物性>
蓋用積層材(1)は、例えばドライラミネート法や溶融押し出しラミネート法、ヒートラミネート法等の各種公知の方法で製造でき、これら工法は組み合わせてもよい。
蓋用積層材(1)の物性は特に限定されないが、例えばJIS K7128-2で規格されるエルメンドルフ法に準拠して測定した引き裂き強度が200~1200mmNであると、包装体(3)開封時に蓋(2)が破れにくくなり、蓋(2)のストロー突き刺し耐性も良好となる。
<蓋(2)>
蓋(2)は、蓋用積層材(1)を所定の形状に加工したものである。形状は特に限定されず、容器(3)の形状や、包装体(4)の開封様式に応じて適宜決定できる。
図5は、キャップ状の蓋(2)の斜視図である。この蓋(2)は、略水平の本体部(2a)と、本体部(2a)の周縁から垂下状に伸びているスカート部(2b)とで構成される。
図6は、包装体(3)の断面図である。例えば図6(a)で示されるように、容器(3)がボトル形状であって開口周縁部(31)がリム状である場合には、蓋(2)はキャップ状であってよい。なお、図示は省略するが、容器(3)がボトル形状であっても、開口周縁部(31)をフランジ状に形成できることはもとよりである。また、例えば図6(b)で示されるように、容器(3)がカップ形状であって開口周縁部(31)が略水平なフランジ状である場合には、蓋(2)は枚葉状であってよく、必要に応じタブやノッチ等の開封用タブを形成できる。
蓋(2)のシール特性も特に限定されない。
例えば;
(i)蓋用積層材(1)のヒートシール層(17)を、同層(17)をなす熱融着性樹脂フィルムと同一の熱融着性樹脂フィルムよりなる厚さ0.3mmのシートに、160℃、0.2MPa及び1秒間の条件で熱融着させた後、
(ii)蓋用積層材(1)と該シートを、JIS K6854-3に準拠するT字剥離試験において、引張速度300mm/分の条件で剥離させたときの強度が5~15N/15mmである場合には、
(iii)前述した、包装体(4)輸送時の内圧上昇に伴うシール後退やシール部の剥がれが生じなくなり、内容物(C)の漏洩を確実に防止できるとともに、包装体(4)の易開封性を確保することができる。
<容器(3)>
容器(3)の素材は限定されず、開口周縁部(31)と蓋(2)の熱融着性や、内容物(C)の性状に応じて、選定する。素材としては、例えば、前記したポリオレフィン、ポリエステル及びポリビニル樹脂といった、熱可塑性の合成樹脂の他、ガラス、鉄、銅、アルミニウム等が挙げられる。容器(3)の開口周縁部(31)を、ヒートシール層(17)の最下面をなす熱融着性樹脂フィルムと同一又は同種の熱融着性樹脂で構成すると、包装体(4)のシール精度及び強度が良好となるため、前述したシール後退やシール部の剥がれ、内容物の漏洩を防止しやすくなる。具体的な組み合わせとしては、開口周縁部(31)をなす樹脂としてポリスチレンを選択するとともに、ヒートシール層(17)をなす熱融着性樹脂フィルムとしてポリスチレンフィルムを選択する組み合わせが挙げられる。
容器(3)の形状も特に限定されず、カップ形状、ボトル形状、筒状等が挙げられる。また、容器(3)がボトル形状の場合、図6(a)で示すように、ネック部分をテーパー形状にすると、安定したシールが可能となる。容器(3)の製造法は特に限定されず、例えば深絞りやブロー成形、真空成形、圧空気成形が挙げられる。
<内容物(C)>
内容物(C)としては、経口摂取される製品が挙げられ、乳製品や乳飲料、乳酸菌飲料、清涼飲料、ハム、チーズ、カレー、ソース等の固形状若しくは液状の食料品、又は、液状若しくは固形状の医薬品等を例示できる。
<包装体(4)>
包装体(4)は、内容物(C)を充填した容器(3)の開口周縁部(31)に、蓋(2)をヒートシール層(17)の側より被せ、高周波誘導加熱シール装置を用いて熱融着させ、封緘したものである。シール条件は特に限定されず、蓋(2)や容器(3)の材料種、シール装置のスペック等に応じて適宜決定する。
包装体(4)の開封強度は特に限定されないが、密封性と易開封性の両立等に配慮すると、容器(3)の開口周縁部(31)より、同開口周縁部(31)に熱融着させられている蓋(2)を、JIS K6854-3に準拠するT字剥離試験において、引張速度300mm/分の条件で剥離させたときの強度が5~15N/15mmであるのがよい。この場合、包装体(4)輸送時の内圧上昇に伴うシール後退やシール部の剥がれが生じなくなり、内容物(C)の漏洩を確実に防止できるとともに、包装体(4)の易開封性を確保することができる。なお、この開封強度は、蓋(2)のヒートシール層(17)と容器(3)の開口周縁部(31)の素材とが同一又は同種の合成樹脂であることを前提とする。
図7は、包装体(4)の耐内圧クラック性の評価装置(5)の模式図である。この装置(5)は、包装体(4)をセットする断面凹状の収容部(51)と、収容部(51)の低壁周縁より起立状に立ち上がった側壁部(52)と、左右の側壁部(52)の高さ中間に設けられた一対の当接部材(53)とを備えている。また、この装置(5)は、収容部(51)が図示外の駆動モーターに接続されており、このモーターを始動させると、収容部(51)は一分間に所定回数(例えば120回/分)、図示の左右方向に小刻みに振動させられ、これに連動して包装体(4)も左右に振盪させられる。そして振盪の都度、一対の当接部材(53)が包装体(4)本体に連続的に衝突し、包装体(4)の両側壁部が交互に押し込まれることにより、包装体(4)の内圧が増減を繰り返す。そして、内圧が増減する都度、蓋(2)は開口周縁部(31)に熱融着させられた状態で外側に、即ち図7の上方向矢印D1の方向に変形したのち復元したり、内側に、即ち図7の下矢印D2の方向に変形したのち復元したりする。そして、そのような膨張、復元が繰り返されると、蓋(2)のバリア層(14)をなす金属箔にサイクル疲労が蓄積してゆき、金属箔がサイクル疲労に耐えられないとき、金属箔にクラックが生じ、内容物(C)の漏洩が生じ得る。しかしながら、本発明の包装体(4)は、前記したように、蓋(2)のヒートシール層(17)を熱融着性樹脂フィルムで構成するとともに、その最内表面に所定のエンボスパターンが賦形されているため、そうしたサイクル疲労に因る金属箔のクラックが生じない。
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を更に詳細に説明するが、それら具体例により本発明の技術範囲が限定されることはない。
1.蓋用積層材の作製
<滑剤不使用態様>
実施例1
JIS H4160で規定されるA8079-O材である厚さ25μmのアルミニウム箔の片面に、硝化綿の酢酸エチル溶液(不揮発分10重量%、滑剤を含まない。)を塗工し、乾燥させることにより、厚さ約3μmの保護樹脂層を形成させることによって、中間部材A1を作製した。
次に、中間部材A1をなすアルミニウム箔の他方の面に、市販の二液硬化型ポリエステルポリウレタン系接着剤を塗工し、加熱下で硬化させることにより、厚さ約1μmのアンカーコート層を形成させた。
一方、共押出し法により、ヒートシール層用の複合フィルムA1を作製した。この複合フィルムA1は、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE、滑剤を含まない。)よりなる厚さ7μmの基材層と、ポリスチレン樹脂(滑剤を含まない。)よりなる厚さ30μmのヒートシール層とで構成される。
複合フィルムA1の物性を以下に示す。
・引張破断強度:MD方向は85MPa、TD方向は75MPa
・引張伸び率:MD方向は115%、TD方向は120%
・ヒートシール層をなすポリスチレン樹脂のメルトフローレート:8g/10分
次に、複合フィルムA1のヒートシール層をなすポリスチレン樹脂層の最内表面に、ドット状のエンボスパターンが刻設された冷却ロールを押圧することによって、図4(b)で示されるようなドット状のエンボスパターンを賦形した。このエンボスパターンの凸部は、直径が750μm、高さが50μm、密度が2.2個/cm2であり、間隔が500μmであり、また、ベース面は平坦であった。
最後に、前記中間部材A1のアンカーコート層側の面と、前記複合フィルムA1の基材層側の面とを、溶融低密度ポリエチレン(LDPE)よりなる押出接着層(厚さ30μm)を介して貼り合わせることにより、蓋用積層材A1を作製した。
実施例2~6
表1で示す材料を用いた他は実施例1と同様にして、蓋用積層材A2~A6を作製した。
<滑剤使用態様>
(第1滑剤態様)
実施例7
JIS H4160で規定されるA8079-O材である厚さ25μmのアルミニウム箔の片面に、市販の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系アンカーコート剤(顔料を含まない。)を塗工し、加熱下で硬化させることにより、厚さ約2μmのアンカーコート層を形成させた。次に、このアンカーコート層の表面に、同じアンカーコート剤に二酸化チタンを10重量%分散させてなる白色インキを、厚みが約1.5μmとなるようバーコーターで塗工し、印刷インキ層を形成させた。
次に、この印刷インキ層の表面に、硝化綿の酢酸エチル溶液(不揮発分10重量%、滑剤を含まない。)を塗工し、乾燥させることにより、厚さ3μmの保護樹脂層を形成させることによって、中間部材A7を作製した。
次に、中間部材A7をなすアルミニウム箔の他方の面に、市販の二液硬化型ポリエステルポリウレタン系接着剤を塗工し、加熱下で硬化させることにより、厚さ2μmのアンカーコート層を形成した。
一方、ヒートシール層用に、実施例1で作製した複合フィルムA1を、複合フィルムA7として準備した。そして、この複合フィルムA7のヒートシール層をなすポリスチレン樹脂層の最内表面に、実施例1と同じドット状のエンボスパターンを賦形した。
次に、前記中間部部材A7のアンカーコート層側の面と、前記複合フィルムA7の基材層側の面とを、溶融低密度ポリエチレン(LDPE)よりなる押出接着層(厚さ30μm)を介して貼り合わせることにより、蓋用積層材A7を作製した。
次に、蓋用積層材A7の保護樹脂層の最外表面に、滑剤であるポリエチレンワックスを重量基準で1000ppm含むメチルエチルケトン溶液をスプレーしたのち、フェルト布で軽く拭きとり、120℃で1分間乾燥させることにより、同保護樹脂層の最外表面に滑剤を付着させた。
(第2滑剤態様)
実施例8
JIS H4160で規定されるA8079-O材である厚さ25μmのアルミニウム箔の片面に、市販の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系アンカーコート剤(顔料を含まない。)を塗工し、加熱下で硬化させることにより、厚さ約2μmのアンカーコート層を形成させた。次に、このアンカーコート層の表面に、同じアンカーコート剤に二酸化チタンを10重量%分散させてなる印刷インキを、厚みが約1.5μmとなるようバーコーターで塗工し、印刷インキ層を形成させた。
次に、この印刷インキ層の表面に、硝化綿の酢酸エチル溶液(不揮発分10重量%)であって、滑剤としてエルカ酸アミドを1000ppm含む溶液よりなるオーバープリントコート剤を塗工し、加熱下に硬化させたのち、40℃で10日間エージングさせ、厚み3μmの保護樹脂層を形成させることによって、中間部材A8を作製した。保護樹脂層の最外表面には、前記エージングにより、滑剤であるエルカ酸アミドがブリードアウトし、析出相を形成していた。
次に、中間部材A8をなすアルミニウム箔の他方の面に、市販の二液硬化型ポリエステルポリウレタン系接着剤を塗工し、加熱下で硬化させることにより、厚さ2μmのアンカーコート層を形成した。
一方、ヒートシール層用に、実施例1で作製した複合フィルムA1を、複合フィルムA8として準備した。そして、この複合フィルムA8のヒートシール層の最内面に、実施例1と同じドット状のエンボスパターンを賦形した。
最後に、前記中間部部材A8のアンカーコート層側の面と、前記複合フィルムA8の基材層側の面とを、溶融低密度ポリエチレン(LDPE)よりなる押出接着層(厚さ30μm)を介して貼り合わせることにより、蓋用積層材A8を作製した。
(第3滑剤態様)
実施例9
JIS H4160で規定されるA8079-O材である厚さ25μmのアルミニウム箔の片面に、市販の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系アンカーコート剤(顔料を含まない。)を塗工し、加熱下で硬化させることにより、厚さ約2μmのアンカーコート層を形成させた。次に、このアンカーコート層の表面に、同じアンカーコート剤に二酸化チタンを10重量%分散させてなる印刷インキを、厚みが約1.5μmとなるようバーコーターで塗工し、印刷インキ層を形成させた。
次に、この印刷インキ層の表面に、硝化綿の酢酸エチル溶液(不揮発分10重量%)であって、滑剤としてエルカ酸アミドを1000ppm含む溶液よりなるオーバープリントコート剤を塗工し、加熱下に硬化させたのち、40℃で10日間エージングさせることにより、厚み3μmの保護樹脂層を形成させることによって、中間部材A9を作製した。保護樹脂層の最外表面には、前記エージングにより、滑剤であるエルカ酸アミドがブリードアウトし、析出相を形成していた。
次に、中間部材A9をなすアルミニウム箔の他方の面に、市販の二液硬化型ポリエステルポリウレタン系接着剤を塗工し、加熱下で硬化させることにより、厚さ2μmのアンカーコート層を形成した。
一方、共押出し法により、溶融低密度ポリエチレン樹脂(LDPE、滑剤を含まない。)よりなる厚さ7μmの基材層と、溶融ポリスチレン樹脂よりなる厚さ30μmのヒートシール層(滑剤としてエルカ酸アミドを1500ppm含む。)との二層で構成される、ヒートシール層用の複合フィルムA9を作製した。
複合フィルムA9の物性を以下に示す。
・引張破断強度:MD方向は90MPa、TD方向は70MPa
・引張伸び率:MD方向は130%、TD方向は150%
・ヒートシール層をなすポリスチレン樹脂のメルトフローレート:6g/10分
次に、複合フィルムA9のヒートシール層の最内面に、実施例1と同じドット状のエンボスパターンを賦形した。
次に、前記中間部部材A9のアンカーコート層側の面と、前記複合フィルムA9の基材層側の面とを、溶融低密度ポリエチレン(LDPE)よりなる押出接着層(厚さ30μm)を介して貼り合わせることにより、蓋用積層材9を作製した。
最後に、蓋用積層材A9を、ヒートシール層が内側になるように巻回させてコイルを作製し、このコイルを40℃で10日間エージングさせることによって、ヒートシール層の最内表面に滑剤であるエルカ酸アミドをブリードアウトさせると同時に、これを保護樹脂層の最外表面に転写させた。
(第4滑剤態様)
実施例10
JIS H4160で規定されるA8079-O材である厚さ25μmのアルミニウム箔の片面に、市販の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系アンカーコート剤(顔料を含まない。)を塗工し、加熱下で硬化させることにより、厚さ約2μmのアンカーコート層を形成させた。
次に、このアンカーコート層の表面に、同じアンカーコート剤に二酸化チタンを10重量%分散させてなる印刷インキを、厚みが約1.5μmとなるようバーコーターで塗工し、印刷インキ層を形成させた。
次に、この印刷インキ層の表面に、硝化綿の酢酸エチル溶液(不揮発分10重量%、滑剤を含まない。)を塗工し、乾燥させることにより、厚さ3μmの保護樹脂層を形成させることによって、中間部材A10を作製した。
次に、中間部材A10をなすアルミニウム箔の他方の面に、市販の二液硬化型ポリエステルポリウレタン系接着剤を塗工し、加熱下で硬化させることにより、厚さ2μmのアンカーコート層を形成した。
一方、ヒートシール層用に、実施例9で作製した複合フィルムA9を、複合フィルムA10として準備した。そして、この複合フィルムA10のヒートシール層の最内面に、実施例1と同じドット状のエンボスパターンを賦形した。
次に、前記中間部部材A10のアンカーコート層側の面と、前記複合フィルムA10の基材層側の面とを、溶融低密度ポリエチレン(LDPE)よりなる押出接着層(厚さ30μm)を介して貼り合わせることにより、蓋用積層材A10を作製した。
最後に、蓋用積層材A10を、ヒートシール層が内側になるように巻回させてコイルを作製し、このコイルを40℃で10日間エージングさせることによって、ヒートシール層の最内表面に滑剤であるエルカ酸アミドをブリードアウトさせると同時に、これを保護樹脂層の最外表面に転写させた。
<保護樹脂層最外表面の動摩擦係数>
蓋用積層材A1をなす保護樹脂層の最外表面の動摩擦係数をJIS K7125に準拠して測定(以下、同様)したところ、0.31であった。同様の方法で、蓋用積層材A2~A10についても、保護樹脂層の最外表面の動摩擦係数を測定した。結果を表1及び2に示す。
<T字剥離強度>
蓋用積層材A1より、15mm幅で長さ10cmの短冊状の試験片A1を切り抜き、この試験片A1を、そのポリスチレン樹脂層(ヒートシール層)の側より、厚さ0.3mmのポリスチレン樹脂製試験片(15mm×10cm)に貼り付けた。次に、試験片A1の保護樹脂層の上面より、160℃に加熱したシーラーを、0.2MPaの圧力で1秒間押し付けた。続けて、両試験片のT字剥離強度(JIS K6854-3)を、引張速度300mm/分の条件で測定した結果、剥離強度は11N/15mmであった。同様の方法で、蓋用積層材A2~A10についても、T字剥離強度を測定した。結果を表1及び2に示す。
<引き裂き強度>
蓋用積層材A1の引き裂き強度を、JIS K7128-2で規格されるエルメンドルフ法に基づき評価した結果、500mmNであった。同様の方法で、蓋用積層材A2~A10についても、引き裂き強度を測定した。結果を表1及び2に示す。尚、200mmN以上1000mmN以下であれば合格とみなした。
Figure 2022019631000002
Figure 2022019631000003
2.蓋の作製
蓋用積層材A1より50mm角の小片を切り抜き、これを深絞りすることによって、本体部が円状(直径40mm)で、スカート部を有するキャップ状の蓋A1(本体部直径40mm)を作製した。蓋用積層材A2~A10についても同様にして、同寸法の蓋A2~蓋A10を作製した。
3.包装体の作製及び破裂強さ試験
蓋A1を、開口を有する円筒状のポリスチレン製容器(開口外径40mm、開口内径36mm、高さ80mm)の開口周縁部(幅2mm)に被せ、市販の高周波誘導加熱シール装置(型式BMD-1S、株式会社BME製)を用い、所定のシール条件(出力850、圧力0.05MPa、1.4秒)で高周波シールを行うことにより、内容物を含まない包装体A1を作製した。蓋A2~蓋A10についても同様にして、内容物を含まない包装体A2~包装体A10を作製した。
次に、この包装体A1の破裂強さをJIS Z2038:1998の項目8.の記載に準じて測定した。具体的には、(株)サン科学製シールテスターFKT-100を用い、包装体A1をなす蓋A1の本体部中央付近に空気針を差し込み、差し込み口をゴムシートでシールした上で、コンプレッサーより空気を昇圧速度13.3kPa/10秒で流入させて内圧を上昇させたところ、内圧が20kPa以上でも破裂しなかったため、評価を○とした。包装体A2~包装体A10についても同様にして、破裂強さを評価した。結果を表3に示す。なお、表3における数値は実際の破裂強さ(kPa)である。
4.包装体の作製及び耐内圧クラック性試験
前記試験3.で用いたのと同じ円筒状容器に水60ccを入れ、開口周縁部に蓋A1を被せた後、前記シール装置を用い、所定のシール条件(出力850、圧力0.2MPa、1.0秒)で高周波シールを行うことにより、内容物入りの包装体A1を作製した。蓋A2~蓋A10についても同様にして、内容物入りの包装体A2~包装体A10を作製した。
次に、この包装体A1を、図7で示されるような耐内圧クラック性評価装置にセットし、収容部を一分間に120回振動させ、収容部の側壁内面に設けた当接部材に繰り返し衝突させた。結果、包装体A1は、10000回振盪させても蓋A1のアルミニウム箔にクラックが生じなかった。内容物入りの包装体A2~A10についても同様にして、耐内圧性評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2022019631000004
本発明の蓋用積層材は、例えば液状若しくは固体状の食料品、又は医薬品などの経口摂取される製品を充填した容器を高周波誘導加熱により封緘するための蓋として、有用である。特に、乳酸菌飲料等の発酵飲料を充填した容器を熱封緘するための蓋として、有用である。
(1)蓋用積層材:
(11)保護樹脂層
(12)印刷インキ層
(13)アンカーコート層
(14)バリア層
(15)アンカーコート層
(16)接着層
(17)ヒートシール層
(17a)基材層
(17b)ヒートシール層
(18)エンボスパターン
(18a)凸部
(18b)間隔
(18c)ベース面
(2)蓋
(2a)本体部
(2b)スカート部
(3)容器
(31)開口周縁部
(C)内容物
(4)包装体
(5)耐内圧クラック性評価装置
(51)収容部
(52)側壁部
(53)当接部材
(D1)蓋(2)が外側に変形する方向
(D2)蓋(2)が内側に変形する方向

Claims (16)

  1. 内容物を充填した容器の開口を覆うようにしてその開口周縁部に熱融着させられる蓋用積層材であって、
    外側より順に、
    保護樹脂層と、
    金属箔よりなるバリア層と、
    アンカーコート層と、
    接着層と、
    ヒートシール層とを有しており、
    ヒートシール層が熱融着性樹脂フィルムよりなり、
    かつ、
    ヒートシール層の最内表面の全体にわたり、複数の独立した凸部よりなるエンボスパターンが形成されていることを特徴とする、
    蓋用積層材。
  2. 凸部の頂部が平坦とさせられていることを特徴とする、請求項1の蓋用積層材。
  3. 凸部の高さが、ヒートシール層の厚みよりも大きく、かつ接着層及びヒートシール層の合計厚みよりも小さいことを特徴とする、請求項1又は2の蓋用積層材。
  4. 保護樹脂層とバリア層の間に、印刷インキ層及び/又はアンカーコート層が介在させられていることを特徴とする、請求項1~3のいずれかの蓋用積層材。
  5. バリア層をなす金属箔の破断時の引張強さが20~200MPaであるとともに、破断時の全伸びが5~50%であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかの蓋用積層材。
  6. ヒートシール層が、
    熱融着性樹脂フィルムよりなる熱融着層と、
    その上面に配置させられた合成樹脂よりなる基材層とで構成されることを特徴とする、
    請求項1~5のいずれかの蓋用積層材。
  7. ヒートシール層をなす熱融着性樹脂フィルムのメルトフローレートが2~15g/10分であることを特徴とする、請求項1~6のいずれかの蓋用積層材。
  8. ヒートシール層をなす熱融着性樹脂フィルムの縦方向(MD)における引張破断強度と、横方向(TD)における引張破断強度とが、いずれも40~100MPaであることを特徴とする、請求項1~7のいずれかの蓋用積層材。
  9. 請求項1~8のいずれかの蓋用積層材であって、
    そのヒートシール層を、該ヒートシール層をなす熱融着性樹脂フィルムと同一の熱融着性樹脂フィルムよりなる厚さ0.3mmのシートに、160℃、0.2MPa及び1秒間の条件で熱融着させた後、該蓋用積層材と該シートを、JIS K6854-3に準拠するT字剥離試験において、引張速度300mm/分の条件で相互に剥離させたときの強度が5~15N/15mmであることを特徴とする、
    蓋用積層材。
  10. 請求項1~9のいずれかの蓋用積層材であって、
    保護樹脂層の最外表面に滑剤が付着しており、
    かつ、
    保護樹脂層とヒートシール層がいずれも滑剤を含まないことを特徴とする、
    蓋用積層材。
  11. 請求項1~9のいずれかの蓋用積層材であって、
    保護樹脂層が、その最外表面にブリードアウトして析出相を形成する性質を有する滑剤を含んでおり、
    かつ、
    ヒートシール層が滑剤を含まないことを特徴とする、
    蓋用積層材。
  12. 請求項1~9のいずれかの蓋用積層材であって、
    保護樹脂層が、その最外表面にブリードアウトして析出相を形成する性質を有する滑剤を含んでおり、
    かつ、
    ヒートシール層が、その最内表面にブリードアウトして析出相を形成する性質を有する滑剤を含むことを特徴とする、
    蓋用積層材。
  13. 請求項1~9のいずれかの蓋用積層材であって、
    保護樹脂層が滑剤を含まず、
    かつ、
    ヒートシール層が、その最内表面にブリードアウトして析出相を形成する性質を有する滑剤を含むことを特徴とする、
    蓋用積層材。
  14. 請求項1~13のいずれかの蓋用積層材よりなることを特徴とする、蓋。
  15. 請求項14の蓋を、内容物を充填した容器の開口を覆うようにしてその開口周縁部に被せ、高周波誘導加熱により熱融着させることにより得られることを特徴とする、包装体。
  16. 請求項15の包装体であって、
    その蓋を、その容器の開口周縁部より、JIS K6854-3に規定するT字剥離試験方法に準拠して、引張速度300mm/分の条件で剥離させたときの強度が、5~15N/15mmであることを特徴とする、包装体。

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