JP2022015981A - 甲殻類の殻の処理方法 - Google Patents

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宏 飯田
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Machika Ijima
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【課題】甲殻類を殻ごと食べ易くする甲殻類の殻の処理方法を提供する。【解決手段】本発明の甲殻類の殻の処理方法は、殻付きの甲殻類を酢酸溶液中に浸漬する工程と、前記浸漬する工程の後に、前記甲殻類を油で揚げる油調理工程と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、甲殻類の殻の処理方法に関するものである。
脱皮した直後の海老や蟹等の甲殻類は殻が柔らかく、この新しい殻は約3~6時間で硬くなることが知られている。脱皮直後の殻は柔らかく人の歯で噛み切れるほどに脆いため、脱皮直後の海老やカニを殻ごと食べる、いわゆるソフトシェルシュリンプやソフトシェルクラブと呼ばれる料理が世界各国で親しまれている。
このような料理を提供するには脱皮直後の甲殻類(以後、「ソフトシェル原料」と言う)だけを捕獲する必要がある。しかし、脱皮から時間が経過して殻の硬くなった通常の殻の状態の甲殻類(以後、「通常原料」と言う)を捕獲するのに比較して、ソフトシェル原料は捕獲するのが難しい。また、捕獲できるソフトシェル原料のサイズも異なるため、特定サイズのソフトシェル原料を安定的に供給する事は困難である。このためソフトシェル原料の価格は高くなる。
このため、通常原料である甲殻類の殻を軟化させて、殻ごと食べられるようにすることが提案されており、甲殻類の殻を軟化させる方法として、例えば特許文献1に記載のものがある。特許文献1に記載のエビの殻の軟化方法は、エビの殻を有機酸及びキチン分解酵素により処理するものである。
特許第4734576号公報
海老の殻を軟化させると、口の中で殻の硬さのために口内を傷つけることが防がれ、殻が硬い場合に比べて食感が改良される。しかし、単に殻が柔らかいだけでは殻を人の歯で噛み切ることができるとは限らず、飲み込めるほどに殻を小さく砕ききれずに口の中に残ってしまうことがある。殻を人の歯で噛み切り易くするには、殻が脆弱である必要がある。すなわち、海老を殻ごと食べ易くするには、殻が柔らかいことに加えて脆弱であることが必要である。
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、甲殻類を殻ごと食べ易くする甲殻類の殻の処理方法を提供することを目的としている。
本発明の上記目的は、殻付きの甲殻類を酢酸溶液中に浸漬する工程と、前記浸漬する工程の後に、前記甲殻類を油で揚げる油調理工程と、を含む甲殻類の殻の処理方法により達成される。
上記の方法によれば、殻付きの甲殻類を酢酸溶液中に浸漬する工程により、浸漬工程前に比べて甲殻類の殻を軟化させることができる。また、殻が軟化した甲殻類を油で揚げる油調理工程により、殻に短時間で熱が伝わり、殻に含まれる水分が瞬間的に膨張して蒸発し殻の内部に気泡が発生することで、殻が油調理工程前に比べて脆弱になる。このように、殻を軟化させるとともに脆弱にすることで、甲殻類を殻ごと食べ易くすることができる。
前記甲殻類は少なくとも殻付きの腹部を有する海老であり、前記腹部の殻の背側に切れ込みを設ける工程をさらに含んでいてもよい。
前記甲殻類は少なくとも頭部を有する海老であり、前記頭部の殻の背側に切り込みを設ける工程と、前記頭部の腹側に切り込みを設ける工程とをさらに含んでいてもよい。
前記油調理工程の後に、袋詰めされた前記甲殻類を真空包装する工程と、前記甲殻類を前記袋ごと加熱する工程とをさらに含むことが好ましい。
本発明によれば、殻が軟化するとともに脆弱になり、甲殻類を殻ごと食べ易くすることができる。
本発明の一実施形態に係る甲殻類の殻の処理方法の各種工程の流れを示す図である。 殻付き海老を背側から見た平面図である。 図2のX-X線に沿う断面図である。 殻付き海老を腹側から見た底面図である。 真空包装された海老の平面図である。 (A)は押し込み試験方法の説明図であり、(B)は試料の測定位置の説明図である。
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。本発明の方法の処理対象の甲殻類は、海老、蟹であってもよく、シャコ等の食用の他の甲殻類であってもよい。甲殻類の種類やサイズは特に限定されない。本実施形態においては、処理対象の甲殻類として海老を例として説明する。海老は、例えば、クルマエビ科、タラバエビ科、クダヒゲエビ科等に属する海老を用いることができるが、海老の種類、サイズは特に限定されない。以下、処理対象の甲殻類であって処理前または処理途中のものを「原材料」と言う。
図2、図4、図6(B)に示すように、原材料である殻付き海老10は頭部11と、頭部11に続く腹部12と、腹部12に続く尾扇13とからなる。頭部11と腹部12とは殻11a、12aを有している。なお、原材料の海老10は少なくとも殻付きの腹部12を備えていればよく、予め頭部11が除去された海老10を用いてもよく、頭部11と尾扇13が除去された海老10を用いてもよい。また、本実施形態では生の海老10を用いているが、冷凍された海老10を用いる場合には、予め流水等により解凍する。
図1は、本発明の甲殻類の殻の処理方法の各種工程の実施順序を示す。原材料の海老10は予め洗浄されている。最初の下処理工程ST1では、原材料の海老10の下処理を行う。下処理工程ST1には、海老10の頭部11にあるツノをハサミを用いて除去する工程を含む。ツノの除去により、図2に示すように頭部11の殻11aの背側に切り込みAが設けられる。図2はツノが除去された状態を示す。
また、下処理工程ST1には、図4に示すように、海老10の頭部11の腹側において、殻11aの腹部12側の端部から海老10の口まで切り込みBを設ける工程を含む。この切り込みBから海老10の頭部11の内部にあるミソ、胃、腸管、口等を除去する。除去は水道水を流しながら、あるいは水を張ったボウルの中で行われる。これにより、頭部11の内部に存在していた内容物がほぼ取り除かれる。
下処理工程では、ハサミを用いてひげを除去する工程、剣の殻を手で捻って外す工程等、一般に海老10の下処理で行われる処理が行われる。
次に、工程ST2では、図2に示すように、原材料の海老10の腹部12の背側の頂上部分に存在する背わたに沿って、ハサミで殻12aに切り込みCを設ける。本実施形態では、切り込みCは、腹部12の長さ方向全体にわたって腹部12の頭部11側の端部から尾扇13側の端部まで設けられている。図3に示すように、切り込みCの深さ、すなわち背側から腹側に向かう方向に沿う長さは、殻12aを切ることができる深さであればよく、身肉12bまで達していなくてもよい。従来、背わた等の腸管を除去し、加熱した時に背中部分が開いて丸くなるように殻と身肉に背側から腹側に向けて切り込みを入れるバックカット処理が一般的に行われるが、本発明による切り込みCの深さは、バックカット処理時の切り込みよりも浅くてもよい。腹部12の殻12aの背側は腹側に比べて厚みがあり硬いため、殻12aに切り込みCを設けることで殻12aを噛み切ることが容易になる。
なお、切り込みCは腹部12の全長ではなく一部にのみ設けられていてもよい。また、本実施形態では、切れ込みCは腹部12の背に沿って長さ方向に設けられているが、背から腹に向けて腹部12の側部の殻12aに切れ込みを設けてもよい。この場合、切れ込みを複数設けても良い。
なお、図1では記載を省略しているが、工程ST2が完了した後、次の工程ST3を開始する前に、異物を洗い流す処理や、異物が残っていないかどうかをチェックする処理などを実施してもよい。
工程ST3では、酢酸浸漬処理を行う。工程ST1、ST2の処理が行われた原材料の海老10を酢酸溶液中に浸漬する。本実施形態においては、1尾当たり約25gの原材料の海老10を、酸度1%に希釈した酢酸水溶液中に約16時間浸漬させており、酢酸水溶液は白ワインビネガーを含む。酢酸水溶液の温度は1度以上10度以下に設定している。なお、酢酸溶液は、白ワインビネガーを含む水溶液に限定されず、酢酸を含む溶液であればよく、例えば、一般的な食用酢である米酢、加工酢、黒酢等が用いられてもよい。また、酢酸水溶液の酸度、温度、浸漬時間は原材料の各海老10の大きさや同時に処理する海老10の量などにより適宜設定される。
海老10の殻11a、12aを構成する成分は、カルシウム、キチン、タンパク質等であることが知られている。カルシウムは炭酸カルシウム(石灰/CaCO3)として殻11a、12aに含まれ、海老10によるバイオミネラリゼーションによって殻11a、12aに閉じこめられたものであり、キチンは直鎖型の含窒素多糖高分子である。酢酸溶液中に殻11a、12aを長時間浸漬させることより甲殻類の殻の強度を構成する炭酸カルシウム及びキチンが部分的に溶解し、殻11a、12aが軟化すると考えられる。
頭部11は、工程ST1の下処理工程により殻11aの内部に存在していた内容物がほぼ取り除かれた状態になっており、頭部11には切り込みA、Bが設けられているため、酢酸溶液は切り込みA、Bから頭部11の内部に入り込み、頭部11の殻11aの外側だけでなく内側からも頭部11の殻11aと接触する。このため、頭部11の殻11aの軟化が促進される。
腹部12には、切り込み工程ST2により切り込みCが設けられている。海老10などの甲殻類は、脱皮が容易にできるように、殻12aと身肉12bが強く結合した状態ではなく、殻12aの身肉12b側の表面のうち10%~30%は身肉12bと結合せずに隙間12cが空いた状態になっているため、酢酸溶液は切り込みCから殻12aと身肉12bとの間の隙間12cに入り込み、腹部12の殻12aの外側だけでなく内側からも腹部12の殻12aと接触するので、腹部12の殻12aの軟化が促進される。
工程ST4では、海老10の洗浄を行う。工程ST3が終了した原材料の海老10を、塩分濃度が約1%の塩水に15秒~20秒程度浸漬させることにより洗浄する。このとき、塩水中で海老10を撹拌してもよい。塩水の温度は1度以上10度以下に設定されている。塩水の塩分濃度や浸漬時間、塩水の温度は各海老10のサイズや同時に処理する量により適宜設定される。工程ST3、ST4は、酢酸溶液や塩水の温度を所定の温度に保つためにチルドルームで行われてもよい。
次に、工程ST5では、原材料の海老10をザルに入れ、約3分放置して水切りを行う。工程ST6では、水切りの完了した原材料の海老10に粉打ちを行い、海老10の表面にデンプン類を含む粉をまんべんなくまぶす。粉に使用するデンプン類の種類は限定されず、本実施形態ではデンプン類を含む粉として馬鈴薯デンプン100%からなる片栗粉を用いている。粉打ち工程を行うことで、殻11a、12aに粉が付着するため、後述する工程ST7での油調理時に殻11a、12aがよりぱりっとした食感となり食べやすさが向上するとともに、後述する工程ST8で添加する調味液21が原材料の海老10に絡みやすくなる。
工程ST7では、粉がまぶされた原材料の海老10を180度~190度の油で2~3分程度揚げる油調理を行う。油の温度、調理時間は原材料の海老10の各海老10のサイズや同時に処理する量により適宜設定される。また、油の温度を変えて2回以上油調理を行ってもよい。なお、図1では記載を省略しているが、工程ST7が完了した後、次の工程ST8を開始する前に、5分ほど放置して粗熱を取る工程を行ってもよい。
油調理工程により、殻11a、12aに短時間で熱が伝わり、水分と油が短時間に置換し、殻11a、12aに含まれる水分が瞬間的に膨張して蒸発し殻11a、12aの内部に気泡が発生することで、殻11a、12aが破壊されやすくなり、また、殻11a、12aのタンパク質が油により熱変形する。このため、殻11a、12aが油調理工程前に比べて脆弱になる。
また、油は頭部11に設けられた切り込みA、Bから頭部11の内部に入り込み、頭部11の殻11aの外側だけでなく内側からも頭部11の殻11aと接触して油調理がなされるため、頭部11の殻11aの脆弱化が促進される。さらに、油は腹部12の背に設けられた切り込みCから殻12aと身肉12bとの間の隙間12cに入り込み、腹部12の殻12aの外側だけでなく内側からも腹部12の殻12aと接触するので、腹部12の殻12aの脆弱化が促進される。
次に、工程ST8では、調味を行う。工程ST7が完了した所定の個数の海老10を袋20に収容し、収容された海老10の重量に対して約30%の重量の調味液21を袋20に投入する。図5の例では4尾の海老10を袋20に収容している。袋20は、後述する工程ST9の真空包装で一般的に用いられるプラスチックフィルムが用いられる。調味液21は海老10に味を付けるものであり、任意のものが用いられる。
さらに、工程ST9では、真空包装を行う(図5)。工程ST8により袋詰めされた海老10を、真空装置を用いて袋内部の空気を引くことによって調味液21ごと真空包装する。真空包装を行うことで調味液21が海老10に均等に広がり、味が海老10に染みこみやすくなる。また、真空包装により殻12aと身肉12bが密着することで、歯切れが良くなり食べやすくなる。
次に、工程ST10では、真空包装された海老10を加熱する。具体的には、真空包装された海老10を袋20ごと95度以上の湯に15分程度付け、湯煎する。なお、湯煎の温度、時間は袋詰めされた海老10の数やサイズによって適宜設定される。湯煎により微生物の発生を抑えるとともに、殻11a、12aの軟化や脆弱化が促進される。
工程ST11では、湯煎が終了した海老10を袋20ごと冷却する。袋20を直ちに氷水に入れ、2分~5分間程度冷却し、粗熱をとる。そして、袋20の外側に付いた水分を除去した後、工程ST12では、海老10と調味液21が封入された袋20を凍結機を用いて約80分間マイナス35度の環境に置いて凍結させる。これにより、殻11a、12aが軟化、脆弱化した海老10が完成する。完成品の海老10は、自然解凍もしくはチルド解凍させた後、食することができる。
本発明の甲殻類の殻の処理方法は、少なくとも酢酸浸漬工程ST3と油調理工程ST7とを含んでいればよく、真空包装工程ST9、湯煎工程ST10、その他の工程は適宜実施される。
上記の甲殻類の殻の処理方法によれば、殻付きの海老10等の甲殻類を酢酸溶液中に浸漬する工程ST3により、浸漬工程前に比べて甲殻類の殻11a、12aを軟化させることができる。また、殻11a、12aが軟化した甲殻類を油で揚げる油調理工程ST7により、殻11a、12aに短時間で熱が伝わり、水分と油が短時間に置換し、殻11a、12aに含まれる水分が瞬間的に膨張して蒸発し殻11a、12aの内部に気泡が発生することで、殻11a、12aが油調理工程ST7前に比べて脆弱になる。このように、殻11a、12aを軟化させるとともに脆弱にすることで、甲殻類を殻11a、12aごと食べ易くすることができる。
また、油調理後の海老10を真空包装して加熱することで、より殻11a、12aが軟化、脆弱化し、殻11a、12aごと食べやすくなる。
さらに、殻11a、12aに切り込みA、B、Cを設けることで、切り込みA、B、Cを介して殻11a、12aの内側にも酢酸溶液や油が入り込んで殻11a、12aに内側から接触させることができるため、殻11a、12aの軟化や脆弱化が促進される。特に、腹部12の殻11a、12aの背に切り込みCを設けることで、厚みがある背の部分の殻11a、12aが噛みきり易くなる。
(官能試験)
本発明の殻の処理方法を用いて処理された海老10の食感を官能試験により評価した。試験に使用した海老は、頭部11、腹部12、尾扇13を備えた殻付きの1尾あたりの重量が平均約25gのバナメイ海老であり、下処理工程ST1(切り込みA、Bを設ける工程を含む)を行ったものである。この海老10を以下のように処理した。
比較例1:上記の海老10を沸騰中の湯(約100度の湯)で2分30秒ボイルした。
比較例2:上記の海老10に酢酸浸漬工程ST3を行った。酢酸浸漬工程においては、1度以上10度以下に設定した酸度1%の白ワインビネガー液に16時間浸漬させた。その後、洗浄工程ST4、水切り工程ST5を行い、沸騰中の湯(約100度の湯)で2分30秒ボイルした。
比較例3:比較例2と同様の処理に加え、酢酸浸漬工程ST3の前に腹部12の背に切り込みCを設ける工程ST2を行った。
実施例1:水切り工程ST5までは比較例2と同様の処理を行った。工程ST5の後、馬鈴薯デンプンを用いて粉打ち工程ST6を行い、さらに油調理工程ST7を行った。油調理工程においては、190度の油で2分間油調理した。
実施例2:実施例1と同様の処理に加え、酢酸浸漬工程ST3の前に腹部12の背に切り込みCを設ける工程ST2を行った。
実施例3:実施例1と同様の処理を行った。さらに、真空包装工程ST9、加熱工程ST10を行った。加熱工程ST10においては、沸騰中の湯(約100度の湯)で真空包装された海老10を袋ごと15分湯煎した。
実施例4:実施例3と同様の処理に加え、酢酸浸漬工程ST3の前に腹部12の背に切り込みCを設ける工程ST2を行った。
官能試験は、上記の比較例1~比較例3、実施例1~実施例4の処理を行った海老を試験者が食し、(1)歯切れが良いか、(2)口に残りにくいか、(3)口に入れた時に殻の厚みを感じにくいか、(4)全体的に食べやすいか、の各項目について評価した。(1)は歯切れが良いほど得点が高く、(2)は口に残りにくいほど得点が高く、(3)は口に入れた時に殻11a、12aの厚みを感じにくいほど得点が高く、(4)は食べやすいほど得点が高くなるように、試験者5名がそれぞれ5点満点、すなわち各項目25点満点で評価した。表1に結果を示す。
Figure 2022015981000002
実施例1~実施例4は酢酸浸漬工程に加え油調理工程を行ったものであり、酢酸浸漬工程、油調理工程がない比較例1、油調理工程がない比較例2、比較例3に比べて歯切れが向上し、殻11a、12aが口に残りにくく殻11a、12aの厚みも感じにくくなり、全体的に食べやすさが向上した。
実施例3を実施例1と比較し、実施例4を実施例2と比較すると、真空包装工程ST9、加熱工程ST10を行っている実施例3、4は、それぞれ、工程ST9、ST10を行っていない実施例1、2と比べてすべての項目で得点が高い。真空包装工程ST9、加熱工程ST10を行うことでて歯切れが向上し、口に残りにくく殻11a、12aの厚みも感じにくくなり、全体的に食べやすさがより向上した。
実施例2を実施例1と比較すると、実施例2は腹部12の背に切り込みCを設ける工程ST2を行っており、切り込みCを設けていない実施例1に比べて歯切れの良さや口への残りにくさ、全体的な食べやすさが向上した。また、実施例4を実施例3と比較すると、実施例4は腹部12の背に切り込みCを設ける工程ST2を行っており、切り込みCが設けていない実施例3に比べて歯切れの良さや口への残りにくさ、殻の厚みの感じにくさ、全体的な食べやすさが向上した。このように、腹部12の背に切り込みCを設けることで食べやすさが向上した。
(殻の破断強度測定試験)
海老10の殻の脆弱性を評価するために、押し込み試験を行った。試験に使用した海老は、頭部11、腹部12、尾扇13を備えた殻付きの1尾あたりの重量が平均約25gのバナメイ海老であり、下処理工程ST1(切り込みA、Bを設ける工程を含む)を行ったものである。この海老10を以下のように処理した。
比較例4:上記の海老10に洗浄工程ST4を行った後、ザルに上げ約3分放置して水切り工程ST5を行った。
比較例5:上記の海老10に酢酸浸漬工程ST3を行った。酢酸浸漬工程においては、1度以上10度以下に設定した酸度1%の白ワインビネガー液に16時間浸漬させた。その後、洗浄工程ST4、水切り工程ST5を行った。
実施例5:比較例5と同様の処理を行った後、馬鈴薯デンプンを用いて粉打ち工程ST6を行い、さらに油調理工程ST7を行った。油調理工程においては、190度の油で2分間油調理した。油調理工程ST7を行ったのち10分程度放置し、粗熱を取った。
実施例6:実施例5と同様の処理を行った後、さらに、真空包装工程ST9、加熱工程ST10を行った。加熱工程ST10においては、沸騰中の湯(約100度の湯)で真空包装された海老10を袋ごと15分湯煎した。その後、冷却工程ST11を行い、海老10の収容された袋20を直ちに氷水に入れ、2分~5分間程度放置し、粗熱を取った。
試験の手順は以下のとおりである。図6(A)に示すように、支持台に支持されたレオメーター30に下側が先細りの円錐形状のプランジャ31を取付け、試料S(上記の実施例5、6、比較例4、5の海老10)を試験台にセットし、プランジャ31を試料Sに接触させる。プランジャ31を試料Sに押し込んでいき、試料Sが押し返す力を測定する。殻12aに穴が開いた時点で押し込みを停止し、押し込み開始から停止までの間にプランジャ31と試料Sとの間に作用した最も大きい力を求め、殻12aの破断強度とした。
図6(B)に示すように、海老10の腹部12の殻12aの側面であって、第二節、第六節に相当する測定位置1、2にプランジャ31を押し込んだ。比較例4、5、実施例5、6のそれぞれにおいて、試料Sを3尾ずつ用意して測定を行い、その平均値を算出した。結果を表2に示す。
Figure 2022015981000003
実施例5は酢酸浸漬工程に加えて油調理工程を行っており、比較例5の油調理工程を行っていない場合や、比較例4の酢酸浸漬工程及び油調理工程を行っていない場合に比べて破断強度が小さくなっており、殻12aが脆弱になった。また、実施例6に示すように、真空包装工程ST9、加熱工程ST10を行うことで、実施例5と比べてさらに破断強度が小さくなり、殻12aがより脆弱になった。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
10 海老
11 頭部
12 腹部
11a、12a 殻
12b 身肉
A、B、C 切り込み

Claims (4)

  1. 殻付きの甲殻類を酢酸溶液中に浸漬する工程と、
    前記浸漬する工程の後に、前記甲殻類を油で揚げる油調理工程と、
    を含む甲殻類の殻の処理方法。
  2. 前記甲殻類は少なくとも殻付きの腹部を有する海老であり、前記腹部の殻の背側に切れ込みを設ける工程をさらに含む請求項1に記載の甲殻類の殻の処理方法。
  3. 前記甲殻類は少なくとも頭部を有する海老であり、前記頭部の殻の背側に切り込みを設ける工程と、前記頭部の殻の腹側に切り込みを設ける工程とをさらに含む請求項1または2に記載の甲殻類の殻の処理方法。
  4. 前記油調理工程の後に、袋詰めされた前記甲殻類を真空包装する工程と、前記甲殻類を前記袋ごと加熱する工程とをさらに含む請求項1から3のいずれかに記載の甲殻類の殻の処理方法。
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