JP2022012720A - 車両のサイドドアヒンジ構造 - Google Patents

車両のサイドドアヒンジ構造 Download PDF

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Abstract

【課題】サイドドア開閉時に該サイドドアから上下のヒンジに、サイドドアを正面視で捩る方向に作用する捩れ力に対して効率的にヒンジを補強すること。【解決手段】車体側1とサイドドア3の基端とに上下に離間して取り付けられる上下一対のヒンジ11U,11Lは何れも、車体側1に取り付けられる車体側取付け部12dを有する車体側ヒンジブラケット12と、サイドドア3の側に取り付けられるドア側取付け部15dを有するドア側ヒンジブラケット15と、これら12,15を回動可能に軸支するヒンジピン18と、を備え、ドア側取付け部15dと、ヒンジピン18が位置する軸支部19Aとの間の寸法L15に対し、車体側取付け部12dと軸支部19Aとの間の寸法L12が長くなるように形成され、上下のヒンジ11U,11L同士を、車体側ヒンジブラケット12における、車体側取付け部12dと軸支部19Aとの間の部位において夫々連結した。【選択図】図4

Description

この発明は、例えば、車体側と、サイドドアの基端側とに、上下に離間して取り付けられる一対のヒンジを備えた車両のサイドドアヒンジ構造に関する。
サイドドアは、基端側がヒンジを介して開閉可能に車体に枢支連結されている。ヒンジは、車体側と、サイドドアの基端側とに上下方向に離間するように一対が配設されている。
サイドドア開閉時に例えば、サイドドアの先端に下方向の荷重が加わる等した際には、サイドドアを、その基端側で支持する上下の上記ヒンジには、車室内側から視て時計回りの捩れ力(モーメント)が加わることになる。このとき、上側のヒンジにはサイドドアによってその先端側(後方)に引張られる方向の荷重が、下側のヒンジにはサイドドアによってヒンジピラー側(前方)へ押圧される方向の荷重が作用する。すなわち、サイドドア開閉時に上下のヒンジには、逆方向(相反する方向)の荷重が作用する。
上下のヒンジは、上下方向の間隔(ピッチ)が十分長ければ、この上下方向の間隔を利用して上記捩れ力に対してサイドドアの支持剛性を確保できるが、上下方向の間隔が短くなればなるほど、上下のヒンジに作用する上述した逆方向の荷重は大きくなる。そうすると、上下のヒンジによる、捩れ力に対するサイドドアの支持剛性を確保する点で不利になる。
ところで、特許文献1には、上下に離間して配置される上下各側のヒンジと、これら上下各側のヒンジ同士を連結するバー部材とを備えたヒンジ構造が開示されている。特許文献1のヒンジ構造に備えた上下のヒンジは共に、サイドドアの側に取り付けられるドア側ヒンジブラケットと、車体の側に取り付けられる車体側ヒンジブラケットと、一端がドア側ヒンジブラケットに、他端が車体側ヒンジブラケットに、夫々枢支連結される接続部材と、を備えた構成を採用している。
そして、特許文献1のヒンジ構造は、接続部材を備えた上下各側のヒンジ(以下、「間接接続タイプのヒンジ」とも称する)における各接続部材を、連結部材としてのバー部材によって連結する構成としている。
上述した間接接続タイプのヒンジは、ドア側と車体側との各ヒンジブラケットに接続部材を枢支連結している分、ドア側と車体側との各ヒンジブラケットを接続部材を介さずに直接的に連結した一般的なヒンジ(以下、「直接接続タイプのヒンジ」とも称する)と比して車体に対してサイドドアの基端を離間させ易くなり、結果としてサイドドアの開閉構造を成立させ易くなる利点がある。
しかしながら間接接続タイプのヒンジにおいては、直接接続タイプのヒンジと比して軸支部(ヒンジ軸)の数が多くなる。そうすると、間接接続タイプのヒンジにおいては、軸支部に有する、ヒンジピンと各ヒンジブラケットとのクリアランスに起因する弾性変形(たわみ代)がドア側において累積し易くなるおそれがある。結果として間接接続タイプのヒンジにおいては、サイドドアに上述した捩れ力が作用した際における、ヒンジ軸の剛性や精度を確保する点で不利になることが懸念される。
特許文献1のヒンジ構造は、間接接続タイプのヒンジの接続部材同士を上述したように、バー部材によって上下で連結することで、このような弊害を是正していると考えられる。
一方、直接接続タイプのヒンジにおいても例えば、上下のヒンジの間隔が小さい場合等においては、上述したように捩れ力に対して不利になるため、間接接続タイプのヒンジと同様に上下のヒンジを連結するニーズはある。
但し、直接接続タイプのヒンジを上下で連結する構造において、サイドドアの開閉構造を成立させながら捩れ力に対してヒンジをより効率的に補強するためには検討の余地がある。
特開2005-193894号公報
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、サイドドア開閉時に該サイドドアから上下のヒンジに、サイドドアを正面視で捩る方向に作用する捩れ力に対して効率的にヒンジを補強することができる車両のサイドドアヒンジ構造の提供を目的とする。
この発明は、車体側骨格部材として車体側に備えたヒンジピラーと、サイドドアの基端とに、上下に離間して取り付けられる上下一対のヒンジを備え、上記ヒンジは、上記ヒンジピラーの側に取り付けられる車体側取付け部を有する車体側ヒンジブラケットと、上記サイドドアの側に取り付けられるドア側取付け部を有するドア側ヒンジブラケットと、上記車体側および上記ドア側のヒンジブラケット同士を回動可能に軸支するヒンジピンと、を備え、上記ドア側取付け部と、上記ヒンジピンが位置する軸支部との間の寸法に対し、上記車体側取付け部と上記軸支部との間の寸法が大きく形成され、上記車体側ヒンジブラケットにおける、上記車体側取付け部と上記軸支部との間の部位で上下の上記ヒンジ同士を、夫々の上記ヒンジピンの軸方向が平行になるように連結させたものである。
上記構成によれば、サイドドア開閉時に該サイドドアから上下のヒンジに、サイドドアを正面視で捩る方向に作用する捩れ力(サイドドアの厚さ方向に延びる軸回りに作用する捩れ力)に対して効率的にヒンジを補強することができる。
この発明の態様として、上記上下のヒンジは、これらの間において軸方向に延びる連結パイプにより連結されたものである。
上記構成によれば、上下のヒンジを連結パイプで連結することで、高い質量効率で連結することができる。
この発明の態様として、上記連結パイプの軸方向における、少なくとも上記上下各側のヒンジに対する接続部は、該ヒンジの側へ当接する当接面と、該当接面に対して上記連結パイプの内部の閉断面空間を隔てて対向する対向面とが平坦状に形成され、上記上下各側の接続部は、上記閉断面空間に備えたスペーサと共に上下夫々に対応する上記ヒンジに対して締結部材で締結されたものである。
上記構成によれば、高い質量効率で連結できるという連結パイプの利点を享受しつつ、連結パイプの、上下各側のヒンジに対する接続部の強度および軸心の精度(品質)を確保することができる。
この発明の態様として、上記上下各側のヒンジの上記車体側ヒンジブラケット、およびこれら車体側ヒンジブラケットを連結する部材は、上記ヒンジピンの軸方向に沿って延びる閉断面空間を内部に有する押出し部材で一体に形成されたものである。
上記構成によれば、上記上下各側のヒンジの上記車体側ヒンジブラケットおよびこれら車体側ヒンジブラケットを連結する部材を、押出し部材による単一の部材により形成できるため、部品点数を削減することができる。
この発明の態様として、上記上下各側のヒンジの上記車体側ヒンジブラケット同士を連結する部材を、上記ヒンジピンの軸方向に沿って延びる閉断面空間を内部に有する押出し部材により構成したものである。
上記構成によれば、車体側ヒンジブラケット自体は押出し部材で形成していないため、車体側ヒンジブラケットに備えた例えば、上記車体取付け部や、軸支部の一部については、押出し部材を追加工することによって形成する必要がない。よって、製造効率(歩留まり)を向上できる。
上記構成によれば、サイドドア開閉時に該サイドドアから上下のヒンジに、サイドドアを正面視で捩る方向に作用する捩れ力に対して効率的にヒンジを補強することができる。
第1実施形態のヒンジ構造の車体への取付け部周辺を、サイドドアを取り除いて前方かつ車幅方向外側から視た斜視図 第1実施形態のヒンジ構造のサイドドアへの取付け部周辺を、前方かつ車幅方向外側から視た斜視図 第1実施形態のヒンジ構造の車体およびサイドドアへの取付け部分を図1中のA-A線矢視に対応して示した拡大図(a)、軸支部およびその周辺の拡大縦断面図(b) 第1実施形態のヒンジ構造を前方かつ車幅方向外側から視た斜視図 第2実施形態のヒンジ構造を前方かつ車幅方向外側から視た斜視図 図5中のB-B線矢視拡大図 図6中のC-C線に沿った要部の拡大断面図 第3実施形態のヒンジ構造を前方かつ車幅方向外側から視た斜視図 図8中のD-D線矢視拡大図 第4実施形態のヒンジ構造を前方かつ車幅方向外側から視た斜視図 第4実施形態のヒンジ構造を前方かつ車幅方向外側から視た分解斜視図 第1および第3実施形態のヒンジ構造の変形例に係るヒンジ構造の要部拡大図(a)、図12(a)中のE-E線矢視要部拡大図(b)
(第1実施形態)
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
第1実施形態の車両のサイドドアヒンジ構造10について図1~図4を用いて説明する。
また、図中において、矢印Fは車両前方向を、矢印Uは車両上方向を、矢印Oは車幅方向外側を、夫々示している。
図1に示すように、サイドシル100の前端部とフロントピラー101の下端部とを車両上下方向に連結するヒンジピラー1を設けている。このヒンジピラー1は、ヒンジピラーインナ1bとヒンジピラーレインフォースメント(図示省略)とヒンジピラーアウタ1aとを接合固定して、車両の上下方向に延びるヒンジピラー閉断面を備えた車体強度部材である。
上述のヒンジピラー1に、上側のヒンジ11Uおよび下側のヒンジ11Lを介して開閉可能に取り付けられるサイドドア3(図2、図3(a)参照)は、次のように構成している。
すなわち、図2に示すように、サイドドア3はボディサイドアアウタパネルを形成するドアアウタパネル4を設け、図3(a)に示すように、該ドアアウタパネル4にはそのヘミング加工部4aを介して中間パネル5を取り付けている。
この中間パネル5は、ドアアウタパネル4の車幅方向内側とドアフレーム6の車幅方向外側との間に位置しており、該中間パネル5はドアフレーム6の車幅方向外側面に沿う枠状に形成されている。
上述のドアフレーム6は、サイドドア3におけるドア本体8の前辺部を形成する前側の縦枠部7(図2、図3(a)参照)と、ドア本体8の後辺部を形成する後側の縦枠部(図示省略)と、ドア本体8の上辺部を形成するベルトラインレインフォースメントインナ(図示省略)と、ドア本体8の下辺部を形成する連結部材(図示省略)と、を備えている。
上述の前側の縦枠部7および後側の縦枠部は、軽金属または軽合金製の鋳物部材にて形成されている。この実施例では、これら両縦枠部はアルミダイカストにより形成されている。
そして、サイドドア3の前部を形成する前側の縦枠部7の上端部後側と、サイドドア3の後部を形成する後側の縦枠部の上端部前側とを、上述のベルトラインレインフォースメントインナで、車両前後方向に連結している。また、前側の縦枠部7の下端部後側と、後側の縦枠部(図示省略)の下部前側とを、上述の連結部材で車両前後方向に連結し、ドアフレーム6は車幅方向内側から視て枠状に形成されている。
図3(a)に示すように、上述のドアフレーム6における前側の縦枠部7は、車両前後方向に延びる前片部7aと、該前片部7aの後端から車幅方向内側へ縦壁状に延びる前壁部7bと、前壁部7bの車幅方向内端から車両後方へ延びる後片部7cとを備えている。上述した前壁部7bには、後述するドア側ヒンジブラケット15を取り付ける平坦状の取付け座7dを有している。
図3(a)に示すように、前側の縦枠部7における取付け座7dの背面部、すなわち取付け座7dのドア内部空間側には、ヒンジレインフォースメント9を取り付けている。
続いて、第1実施形態のサイドドアヒンジ構造10について説明する。
図1、図2に示すように、サイドドアヒンジ構造10は、互いに上下略対称形状で構成されており、上下一対のヒンジ(上側のヒンジ11Uおよび下側のヒンジ11L)と、上下のヒンジ11U,11Lを連結する連結部材としての連結パイプ17を備えている。連結パイプ17については後述する。
上下のヒンジ11U,11Lは、車体骨格部材としてのヒンジピラー1と、サイドドア3の前端とに、上下に離間して取り付けられており、何れも主に車体側ヒンジブラケット12とドア側ヒンジブラケット15とヒンジピン18とを備えている。
図4に示すように、車体側ヒンジブラケット12は、上下方向に間隔を隔てて対峙する上壁12aおよび下壁12bと、これらの前端を上下方向に連結する連結壁12cと、車体側、すなわちヒンジピラーアウタ1aに締結等により取り付けられる車体側取付けフランジ12dとで一体形成されている。車体側ヒンジブラケット12は、上壁12a、下壁12bおよび連結壁12cとで、車幅方向の直交断面が後方へ開口したU字状(コ字状)に形成されている。
上壁12aおよび下壁12bは、連結壁12cの車幅方向外端よりも車幅方向外側へ突出形成されている。図4に示すように、これら上壁12aおよび下壁12bの各先端部分(各車幅方向外側部分)には、ヒンジピン18の軸方向の両端部のうち、夫々に対応する側の端部を取り付け保持するピン取付け部13が形成されている。
図3(b)に示すように、上壁12aと下壁12bとの夫々のピン取付け部13は、ヒンジピン18の上下夫々に対応する端部を挿通可能に貫通する貫通穴13aが形成されており、この貫通穴13aは、平面視で上下互いに略一致する部位に形成されている。ヒンジピン18は、上下両端部が夫々に対応する側のピン取付け部13に嵌挿された状態で取り付けられている。
これにより図4に示すように、上下のヒンジ11U,11Lに備えた各ヒンジピン18は、軸方向が互いに平行になるように夫々に対応するピン取付け部13によって保持されている。
車体側ヒンジブラケット12の上壁12aおよび下壁12bの各車幅方向内端には、車体側取付けフランジ12dが形成されている。車体側取付けフランジ12dは、上壁12aの車幅方向内端から上方へ、下壁12bの車幅方向内端から下方へ、連結壁12cの車幅方向内端から前方へ、夫々突出形成されている。
図3(a)、図4に示すように、車体側ヒンジブラケット12の上壁12aおよび下壁12bにおける、平面視でピン取付け部13と車体側取付けフランジ12d(上壁12aおよび下壁12bの各車幅方向内端に形成された車体側取付けフランジ12d)との間の部位には、連結パイプ17を取り付ける連結部材取付け部14が形成されている。換言すると、連結部材取付け部14は平面視で車体側取付けフランジ12dに対してピン取付け部13の側へ離間した位置に形成されている。
上壁12aと下壁12bとの夫々の連結部材取付け部14は、連結パイプ17を挿通可能に貫通する貫通穴14aが形成されている。そして、連結パイプ17は、上壁12aと下壁12bとの夫々に対応する連結部材取付け部14において貫通穴14aに挿通された状態で該貫通穴14aの上下各側の開口の周縁14bに溶接(当例ではアーク溶接)されている。
図4に示すように、ドア側ヒンジブラケット15は、上下方向に間隔を隔てて対峙する上壁15aおよび下壁15bと、これら上壁15aおよび下壁15bの先端(サイドドア3閉時において前端(図2参照))を上下方向に連結する連結壁15cと、サイドドア3の側、すなわちドア本体8に備えた前側の縦枠部7の前壁部7bの取付け座7d(図2、図3参照)に締結等により取り付けられるドア側取付けフランジ15dとで一体形成されている。ドア側ヒンジブラケット15は、上壁15a、下壁15bおよび連結壁15cとで図2中において後方へ開口したU字状(コ字状)に形成されている。
図4に示すように、ドア側取付けフランジ15dは、上壁15aの基端側(図2中において後端)から上方向へ、下壁15bの基端側(図2中において後端)から下方向へ、夫々突出形成されている。
ドア側ヒンジブラケット15の上壁15aと下壁15bとにおける、平面視でドア側取付けフランジ15dと連結壁15cとの間に相当する部位には、ヒンジピン18によって軸支される軸受け部16が形成されている。
図3(b)に示すように、上壁15aと下壁15bとの夫々の軸受け部16は、ヒンジピン18の上下夫々に対応する端部側を挿通可能に貫通する貫通穴16aが形成されており、この貫通穴16aは、平面視で上下互いに略一致する部位に形成されている。上側の軸受け部16は上側のピン取付け部13の直下において、下側の軸受け部16は下側のピン取付け部13の直上において、上下各側の貫通穴16aにヒンジピン18が遊嵌(回動可能に挿通)され、該ヒンジピン18によって軸支されている。
また車体側ヒンジブラケット12の下側のピン取付け部13の周辺における、上壁12aと下壁12bとの夫々の間には、ヒンジピン18に対して遊嵌されたスペーサ90が介在されている。スペーサ90は、ヒンジピン18に軸支されるとともに、上下のピン取付け部13の間隔を保持するように、これら上下のピン取付け部13の間に隙間なく介在している。さらに、スペーサ90とヒンジピン18との間には、車体側ヒンジブラケット12が回転時にベアリング機能を有する筒状部材91を備えている。
上述したドア側ヒンジブラケット15は、車体側ヒンジブラケット12に対してヒンジ軸としてのヒンジピン18を介して回動可能に軸支されている。また、上述したヒンジピン18とピン取付け部13と軸受け部16とで軸支部19が形成される。
また、連結パイプ17は、上下のヒンジ11U,11Lに備えた各ヒンジピン18の軸方向が互いに平行になるように、すなわち平行度が維持されるように上下のヒンジ11U,11Lを連結している。
連結パイプ17は、上下のヒンジ11U,11Lを結ぶように直線状に連続して延び、上下のヒンジ11U,11L間において撓むことがなく、上下のヒンジ11U,11Lの相対的な位置および姿勢を維持可能とする剛性を有するように例えば、鋼材等により形成された円筒状のパイプである。
なお本実施形態においては、連結パイプ17は、該連結パイプ17の軸方向についても上下のヒンジ11U,11Lに備えた各ヒンジピン18の軸方向と平行になるように連結部材取付け部14において溶接されている。
図3(a)に示すように、上下のヒンジ11U,11Lは、平面視でドア側ヒンジブラケット15におけるドア側取付けフランジ15dと軸受け部16との間の直線距離の寸法L15に対し、車体側ヒンジブラケット12における車体側取付けフランジ12dとピン取付け部13との間の直線距離の寸法L12が長くなるように形成されている。
すなわち、車体側ヒンジブラケット12の車体から軸支部19までの突き出し距離(L12)が、ドア側ヒンジブラケット15のサイドドア3から軸支部19までの突き出し距離(L15)よりも長くなるように形成されている。
上述した第1実施形態の車両のサイドドアヒンジ構造10は、図1~図3(a)に示すように、車体骨格部材としてのヒンジピラー1(図1、図3(a)参照)とサイドドア3(図2、図3(a)参照)の基端(前端)とに、上下に離間して取り付けられる上下一対のヒンジ11U,11Lを備え、図1、図3(a)、図4に示すように、上下のヒンジ11U,11Lは何れも、ヒンジピラー1の側に取り付けられる車体側取付けフランジ12d(車体側取付け部)を有する車体側ヒンジブラケット12と、図1、図3(a)、図4に示すように、サイドドア3の側に取り付けられるドア側取付けフランジ15d(ドア側取付け部)を有するドア側ヒンジブラケット15と、車体側およびドア側のヒンジブラケット12,15同士を回動可能に軸支するヒンジピン18と、を備え、図3(a)に示すように、ドア側取付けフランジ15dと、ヒンジピン18が位置する軸支部19との間の寸法L15に対し、車体側取付けフランジ12dと軸支部19との間の寸法L12が長くなるように形成され、図4に示すように、車体側ヒンジブラケット12における、車体側取付けフランジ12dと軸支部19との間の部位(すなわち連結部材取付け部14)において上下のヒンジ11U,11L同士を、夫々のヒンジピン18の軸方向が平行になるように連結させたものである。
上記構成によれば、ドア側取付けフランジ15dと軸支部19との間の寸法L15に対し、車体側取付けフランジ12dと軸支部19との間の寸法L12が長くなるように形成することで(図3(a)参照)、サイドドア3の基端は勿論、サイドドア3の回動支点となる軸支部19を車体から離間させることができる。
これにより、第1実施形態の車両のサイドドアヒンジ構造10は、上下のヒンジ11U,11Lが共に直接接続タイプのヒンジでありながら、サイドドア3を、開閉時に車体と干渉することなく車体に取り付け易い構造とすることができる。
つまり、車体側ヒンジブラケット12とドア側ヒンジブラケット15との間に接続部材を介した間接接続タイプのヒンジと比して、軸支部19の数を減らしつつ(シンプルな構成としつつ)サイドドア3の開閉構造を成立させることができる。
ところで、サイドドア3開閉時に例えば、サイドドア3の先端に下方向の荷重が加わる等した際には、サイドドア3の基端側には、時計回りの捩れ力が加わることになる。このとき、サイドドア3の基端側に備えた上下のヒンジ11U,11Lのうち、上側のヒンジ11Uにはサイドドア3によってその先端側に引張られる方向の荷重が、下側のヒンジ11Lにはサイドドア3によってヒンジピラー1側へ押圧される方向の荷重が、夫々作用する。すなわち、上下のヒンジ11U,11Lには、逆方向の荷重が作用する。
これに対して本実施形態においては、上下のヒンジ11U,11Lを連結パイプ17で連結することで、上述した逆方向の荷重を連結パイプ17でキャンセル(相殺)させることができ、結果としてサイドドア3開閉時にサイドドア3から上下のヒンジ11U,11Lに作用する捩れ力に対してヒンジ11U,11Lを補強することができる。すなわち、上下のヒンジ11U,11Lによる、捩れ力に対するサイドドア3の支持剛性を高めることができる。
なお、上下のヒンジ11U,11Lは、上下方向の間隔(ピッチ)が十分長ければ、この上下方向の間隔を利用して上記捩れ力に対してサイドドア3の支持剛性を確保することができる。しかしながら上下のヒンジ11U,11Lの上下方向の間隔が短くなればなるほど、上下のヒンジ11U,11Lに作用する上述した逆方向の荷重は大きくなる。このため、上下方向の間隔が短くなればなるほど、上下のヒンジ11U,11Lによる、捩れ力に対するサイドドア3の支持剛性を確保する点で不利になる。
それにも関わらず、例えば、下部から上方程車幅方向外側へ膨出するような、サイドドア3のドアアウタパネル4のデザインの制約を受ける等の要因により、上下のヒンジ11U,11Lは、上下方向の間隔を十分に確保できない状態でサイドドア3および車体に取り付けざるを得ない場合がある。
これに対して上述したように、上下のヒンジ11U,11Lを連結パイプ17で連結することで、サイドドア3開閉時にサイドドア3から上下のヒンジ11U,11Lに相反する方向に作用する荷重を、連結パイプ17によって効率的にキャンセルすることができる。
このため、上下方向の間隔が短い場合であっても、上下のヒンジ11U,11Lによる、捩れ力に対するサイドドア3の支持剛性を高めることができる。
さらに、本実施形態においては、上下のヒンジ11U,11L同士を連結する連結パイプ17を、車体側ヒンジブラケット12における、車体側取付けフランジ12dと軸支部19との間の部位(すなわち連結部材取付け部14)において接合することで、サイドドア3開閉時にサイドドア3から上下のヒンジ11U,11Lに作用する捩れ力に対して上下のヒンジ11U,11Lを効率的に補強することができる。
詳しくは上述したように、ドア側取付けフランジ15dと軸支部19との間の寸法L15に対し、車体側取付けフランジ12dと軸支部19との間の寸法L12が長くなるように形成(すなわち、車体側ヒンジブラケット12をドア側ヒンジブラケット15よりも大きく形成)した構成においては、上述したように、軸支部19を車体から離間させることができる。従って、本実施形態の上下のヒンジ11U,11Lは、接続部材を備えない直接接続タイプのヒンジであっても、サイドドア3の開閉構造を成立させ易くすることができる。
しかしながらその一方で、軸支部19を車体から離間させればさせるほど、サイドドア3(ドア側ヒンジブラケット15)の側から軸支部19を介して車体側ヒンジブラケット12に加わる荷重は大きくなる。
これに対して本実施形態においては上述したように上下のヒンジ11U,11L同士を連結パイプ17によって連結するにあたり、上下のヒンジ11U,11Lの夫々に備えた車体側ヒンジブラケット12における、車体側取付けフランジ12dと軸支部19との間の部位において直接的に接合する構成としたものである。
これにより、サイドドア3開閉時にサイドドア3から上下各側のヒンジ11U,11Lに荷重が入力された際に、車体側取付けフランジ12dと軸支部19との間の部位は、特に大きな荷重が加わるが、この部位において、上下のヒンジ11U,11Lに作用する上述した逆方向の荷重を連結パイプ17によって効果的にキャンセルさせることができる。
従って、第1実施形態のサイドドアヒンジ構造10は、直接接続タイプのヒンジでありながらサイドドア3の開閉構造を成立させつつ、サイドドア3開閉時にサイドドア3から作用する捩れ力に対して効率的に上下のヒンジ11U,11Lを補強することができる。
また第1実施形態のサイドドアヒンジ構造10においては、連結部材として、連結パイプ17を採用したため、上下のヒンジ11U,11L同士を高い質量効率で連結することができる。
以下、他の実施形態のサイドドアヒンジ構造20,30,40について説明する。但し、第1実施形態のサイドドアヒンジ構造10と同一の形態については、同一の符号を付してその説明を省略する。
(第2実施形態)
第2実施形態のサイドドアヒンジ構造20は、上下の車体側ヒンジブラケットと、これらを連結する連結部材とを押出し部材21により一体に形成したものである。すなわち、押出し部材21は図5に示すように、上述した車体側ヒンジブラケットに相当する車体側ヒンジブラケット部21aを上下各側に備えるとともに、これら車体側ヒンジブラケット部21aを連結する上述した連結部材に相当する連結部21bとを備えて形成したものである。
押出し部材21は、上下の車体側ヒンジブラケット部21aを直線状に結ぶラインに沿って、すなわちヒンジピン18の軸方向に沿って直線状に延び、閉断面部22と、該閉断面部22の車幅方向内端から車両上下方向および前後方向に張り出す張出し部分23とで一体に形成されている。
図5、図6に示すように、閉断面部22は、長手方向に直交する断面が車幅方向外側程車両前後方向の長さが徐々に小さくなる先細り形状で形成されるとともに、図6、図7に示すように、該閉断面部22の内部には、長手方向に直交する断面が閉断面となる内部空間21S(以下、「閉断面空間21S」と称する)が該閉断面部22の長手方向の全長に亘って同じ断面形状および断面積となるように形成されている。すなわち、閉断面空間21Sは、上下の車体側ヒンジブラケット部21aと連結部21bとに亘って連続して形成されている。さらに図5~図7に示すように、閉断面部22は、閉断面空間21Sが長手方向に延びる隔壁24によって複数の閉断面空間21Sに仕切られている。隔壁24によって仕切られた複数の閉断面空間21Sは何れも、長手方向の直交断面が略三角形状に形成されている。
閉断面部22は、連結部21bの車幅方向外側部分が切削等の追加工により除去されている。これにより図5に示すように、上下の車体側ヒンジブラケット部21aの各車幅方向外側部分は、連結部21bに対して車幅方向内側へ突出する突出部分25が形成されている(図6、図7参照)。
上下各側の突出部分25は、押出し部材21の長手方向において分断されているが、これら突出部分25の内部にも、閉断面部22の一部として閉断面空間21Sが構成されている。
また、押出し部材21は、張出し部分23のうち、車体側取付けフランジ23aに相当する箇所が残留するように(図5参照)、それ以外の箇所を切削等の追加工により除去している。これにより、上下の車体側ヒンジブラケット部21aには、車体側取付けフランジ23aが形成される。車体側取付けフランジ23a(張出し部分23)は閉断面部22の車幅方向内壁22a(図6、図7参照)と面一をなす。
また図7に示すように、第2実施形態のサイドドアヒンジ構造20の軸支部19Aは、車体側ヒンジブラケット部21aに軸受け部26が、ドア側ヒンジブラケット15にピン取付け部27が、夫々設けられている。
具体的には図6、図7に示すように、軸受け部26は、上下の車体側ヒンジブラケット部21aの突出部分25に設けられ、突出部分25の軸受け部26に対応する部位には、ヒンジピン18を挿通可能に略上下方向に貫通する貫通穴26aが形成されている。貫通穴26aには、ヒンジピン18が遊嵌(回動可能に挿通)され、軸受け部26は筒状部材91を介してヒンジピン18によって軸支されている。
一方図7に示すように、ピン取付け部27は、ドア側ヒンジブラケット15の上壁15aおよび下壁15bに設けられている。上壁15aと下壁15bとは、これらの間に突出部分25が介在するように、これら上壁15aと下壁15bとの各ピン取付け部27は、ヒンジピン18の軸方向の両端部のうち、夫々に対応する側の端部を取り付け保持する。
上述した第2実施形態の車両のサイドドアヒンジ構造20は、図5~図7に示すように、上下各側のヒンジ11AU,11ALにおける、車体側ヒンジブラケット部21aおよびこれら車体側ヒンジブラケット部21aを連結する連結部21bを、ヒンジピン18の軸方向に沿って延びる閉断面空間21Sを内部に有する押出し部材21で一体に形成されたものである。
上記構成によれば、上下各側のヒンジ11AU,11ALの車体側ヒンジブラケットに相当する部位(21a)および、これらを連結する連結部材に相当する部位(21b)を、押出し部材21による単一の部材により形成できるため、部品点数を削減することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態のサイドドアヒンジ構造30は図8に示すように、連結部材34をヒンジピン18の軸方向に沿って延びる閉断面となる内部空間32Sを内部に有する押出し部材31により構成したものである。
押出し部材31は、上下の車体側ヒンジブラケット38を直線状に結ぶラインに沿って、すなわちヒンジピン18の軸方向に沿って直線状に延び、閉断面部32と、該閉断面部32の車幅方向内端から車両上下方向および前方向に張り出す張出し部分33とで一体に形成されている。
閉断面部32は、上下の車体側ヒンジブラケット38の間に相当する部分において連続して形成されている。さらに閉断面部32は、長手方向に直交する断面が車幅方向外側程車両前後方向の長さが徐々に小さくなる略三角形状で形成されるとともに、閉断面部32の内部には、長手方向に直交する断面が閉断面となる内部空間32S(以下、「閉断面空間32S」と称する)が該閉断面部32の長手方向の全長に亘って同じ断面形状および断面積となるように形成されている。
換言すると図8に示すように、連結部材34は、延在部35と、上下各側の車体側ヒンジブラケット38に締結により取り付けるヒンジ取付けフランジ36とで一体に形成されている。
延在部35は、閉断面部32と、閉断面部32の長手方向の全長に亘って該閉断面部32の前端から前方へフランジ状に張り出した平板部37とで一体形成されている。
すなわち、押出し部材31は、張出し部分33のうち、平板部37およびヒンジ取付けフランジ36に相当する箇所が残留するように、それ以外の箇所を切削等の追加工により除去している(図8参照)。これにより、連結部材34は、延在部35(閉断面部32および平板部37)とヒンジ取付けフランジ36とで形成される。
ヒンジ取付けフランジ36は、上下各側の車体側ヒンジブラケット38に対応して延在部35に対して上下各側に突出するヒンジ取付け前側フランジ36aとヒンジ取付け後側フランジ36bとを有している。
ヒンジ取付け前側フランジ36aは、平板部37から上下各側へ突出形成され、上下夫々に対応する車体側ヒンジブラケット38の後述する車体側取付け部38aの前部に締結により取り付けられている(図8、図9参照)。
ヒンジ取付け後側フランジ36bは、閉断面部32の後壁および車幅内壁の後部から上下各側へ突出形成され、上下夫々に対応する車体側ヒンジブラケット38の後述する車体側立設部38bの基部に前側から締結により取り付けられている(図8参照)。
図8、図9に示すように、第3実施形態の車体側ヒンジブラケット38は、前後方向に延びて車体に対して締結により取り付けられる車体側取付け部38aと、車体側取付け部38aの後端から車幅方向外側へと延び、先端にピン取付け部38b1が設けられた車体側立設部38bとで、略L字形状に一体形成されている。
また図8に示すように、第3実施形態のドア側ヒンジブラケット39は、上下方向に延びるドア側取付け部39aと、ドア側取付け部39aの上下方向中間部の車幅方向外側部分からサイドドア3閉時において前方へ突き出して、先端に軸受け部39b1が設けられたドア側立設部39bとで一体形成されている。
なお、軸支部19Bにおいて、ヒンジピン18は、該ヒンジピン18の軸方向に沿ってピン取付け部38b1に対して抜き差し可能に構成しており、ドア側ヒンジブラケット39は、ヒンジピン18ごとピン取付け部38b1に対して抜き差しすることで、車体側ヒンジブラケット38に対して着脱可能に構成している。
図9中の符号130はイモネジである。図9に示すように、イモネジ130を、ピン取付け部38b1に形成されたネジ穴131においてヒンジピン18に対して側方から押し付けるように螺進させることで、ヒンジピン18のピン取付け部38b1に対する抜き差しを規制する。
一方、イモネジ130をネジ穴131においてヒンジピン18に対して離間する方向(当例では後方向)へ螺進させることで、イモネジ130によるヒンジピン18の規制が解除され、ヒンジピン18をピン取付け部38b1に対して抜き差し可能となる。
上述した第3実施形態の車両のサイドドアヒンジ構造30は、図8、図9に示すように、上下各側のヒンジ11BU,11BLの車体側ヒンジブラケット38同士を連結する部材を、ヒンジピン18の軸方向に沿って延びる閉断面空間32Sを内部に有する押出し部材31により構成したものである。
上記構成によれば、押出し部材31は、上下のヒンジ11BU,11BLを連結するにあたり、車体側ヒンジブラケット38同士を連結する構成としたため、車体側ヒンジブラケット38は、ピン取付け部38b1に相当する部位も含めて押出し部材31とは別部材で形成することができる。
すなわち、押出し部材31に対して、ピン取付け部38b1を備えた形状となるような追加工を必要としないため、製造効率(歩留まり)を向上できる。
(第4実施形態)
図10、図11に示すように第4実施形態のサイドドアヒンジ構造40は、共に鋼板等から成る平板状パネル41と、断面ハット形状に成形したハット状パネル42とを内部に閉断面空間43Sが構成されるように互いの周縁を接合した閉断面パネル構造43により一体形成したものである。閉断面パネル構造43は、上下の車体側ヒンジブラケット46の基部46aと連結部47との夫々に相当する部位を備えている。
具体的には、ハット状パネル42には、前後および上下の各側の縁部にフランジ42aが形成されており、これらフランジ42aを平板状パネル41の対応する周縁41aにボルト等の締結により車幅方向外側から接合したものである。
但し、ハット状パネル42のフランジ42aは、平板状パネル41の周縁41aを介在した状態でヒンジピラーアウタ1aに対して締結される。換言すると、ハット状パネル42は、ヒンジピラーアウタ1aに対して平板状パネル41と共締めされている。
これにより、平板状パネル41は、ヒンジピラーアウタ1aの車幅方向外面に対して上下のヒンジ11CU,11CLおよび、これらの間に相当する部位に亘って当接した状態で接合される。このため、平板状パネル41は、ヒンジピラーアウタ1aにおける、上下のヒンジ11CU,11CLの取付け部分を、これらの間に亘って補強するヒンジレインフォースメントとしても機能する。
上下の車体側ヒンジブラケット46の先端側には、閉断面パネル構造43よりも車幅方向外側に突出する突出部材44を備えている。
突出部材44は、上下方向に間隔を隔てて対峙する上壁44aおよび下壁44bと、車幅方向内端を上下方向に連結する連結壁44cと、閉断面側取付けフランジ44dとで一体形成されている。
閉断面側取付けフランジ44dは、連結壁44cの前後両端から車幅方向内側へ向けて突出形成されており、これら前後の閉断面側取付けフランジ44dは、パネル構造43の前面と後面とにおける、夫々に対応する側の面に溶接等により接合される。さらに連結壁44cは、パネル構造43の車幅方向外面に溶接等により接合される。
なお、突出部材44の上壁44aおよび下壁44bには、ピン取付け部45が形成されており、ドア側ヒンジブラケット15の上壁15aおよび下壁15bには、軸受け部16が形成されている。これらピン取付け部13と軸受け部16と、上述したヒンジピン18とで軸支部19Cが形成されている。軸支部19Cとドア側ヒンジブラケット15は、第1実施形態のそれと同様の構造であるため、同一の符号を付してその説明は省略する。
上述した第4実施形態の車両のサイドドアヒンジ構造40は、図10、図11に示すように、上下の車体側ヒンジブラケット46の基部46aと連結部47とを、平板状パネル41とハット状パネル42とで内部に閉断面空間43Sを有するような閉断面パネル構造43により構成することで、軽量かつ高い剛性に形成することができる。
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく様々な実施形態で形成することができる。
例えば図12(a)(b)に示すように、変形例のヒンジ構造50は、第3実施形態のサイドドアヒンジ構造30(図8参照)のような上下のヒンジ11DU(図12(a)(b)においては上側のヒンジ11DUのみ図示)を備えている。このような構成において、変形例のヒンジ構造50は、上下の車体側ヒンジブラケット38を、第3実施形態のサイドドアヒンジ構造30のように押出し部材31(図8参照)で連結した構成ではなく、第1実施形態のサイドドアヒンジ構造10(図4参照)のように連結パイプ17’で連結した構成としている。
但し、変形例の連結パイプ17’は、該連結パイプ17’の軸方向における、上下夫々に対応する車体側立設部38bに接続される接続部171を、軸方向の直交断面が略四角形状(正円に対して偏平した形状)となるように、側方から圧縮する等の追加工を施したものである。
これにより、第1実施形態の連結パイプ17は軸方向の全長に亘って円筒状であるのに対して、変形例の連結パイプ17’は軸方向の両端部(171)が部分的に圧縮変形されている。
すなわち、変形例の連結パイプ17’の接続部171は、軸方向における、接続部171以外の部位と比して内部空間171A(閉断面空間)(図12(b)参照)が小さいものの内部空間171Aが完全に圧潰されないように形成し、接続部171の剛性を確保したものである。
連結パイプ17’の接続部171は、車体側立設部38bの側へ当接する当接壁171aと、連結パイプ17’の内部空間171Aを隔てて当接壁171aに対向する対向壁171bとが互いに平行に形成されている。
すなわち、連結パイプ17’の接続部171は、当接壁171aにおける車体側立設部38bと当接する側の当接面171a’と、対向壁171bにおけるボルトBの頭部を設置する座面171b’とが、平坦な面状に形成されている。
連結パイプ17’の接続部171の内部空間171Aには、スペーサ172を備えている(図12(b)参照)。
スペーサ172は、内部空間171Aにおける当接壁171aと対向壁171bとの間において隙間なく介在している。そして連結パイプ17’の接続部171は、車体側立設部38bにスペーサ172と共に締結部材としてのボルトBを用いて締結されている。
上記構成によれば、連結パイプ17’の接続部171を、軸方向の直交断面が略四角形状となる筒状に形成することにより、上下のヒンジ11DU(上側のヒンジ11DUのみ図示)の側(すなわち車体側立設部38b)に対して平坦な当接面171a’を当接させることができるとともに、平坦な座面171b’(対向面)を、ヒンジ11DU(同)の側へ締結用のボルトBの座面として利用することができる。
すなわち、連結パイプ17’の接続部171を、上下各側のヒンジ11DU(同)に対して、ボルトBを用いた締結により取り付けることが可能となるため、例えば、溶接により接合する場合のように熱歪の影響(例えば、連結パイプ17’の直線状の軸心がずれる等の影響)が生じることがない。
よって、上下各側のヒンジ11DU(同)に対して連結パイプ17’の品質(軸心の精度)を確保しながら取り付けることができる。
さらに、連結パイプ17’の上下各側の接続部171は、該接続部171の内部空間171Aにスペーサ172を備えることで、上下各側のヒンジ11DU(同)に夫々に対応する接続部171をボルトBにより締結時に、筒状の接続部171が圧潰されることがなく、閉断面空間としての内部空間171Aを確保することができる。
従って、連結パイプ17’を上下各側のヒンジ11DU(同)に対して取り付けるに際して、連結パイプ17’の軸心の精度およびの接続部171自体の強度を確保することができる。
1…ヒンジピラー
3…サイドドア
10,20,30,40,50…サイドドアヒンジ構造
11U,11AU,11BU,11CU,11DU…上側のヒンジ
11L,11AL,11BL,11CL…下側のヒンジ
12,38,46…車体側ヒンジブラケット
12d…車体側取付けフランジ(車体側取付け部)
15,39…ドア側ヒンジブラケット
15d…ドア側取付けフランジ(ドア側取付け部)
17,17’…連結パイプ
18…ヒンジピン
19A,19B,19C…軸支部
21,31…押出し部材
21a…車体側ヒンジブラケット部(車体側ヒンジブラケット)
21b…連結部(これら車体側ヒンジブラケットを連結する部材)
21S,32S…閉断面空間
34…連結部材(上下各側のヒンジの車体側ヒンジブラケット同士を連結する部材)
38a…車体側取付け部
39a…ドア側取付け部
171…接続部(連結パイプの軸方向における、少なくとも上下各側のヒンジに対する接続部)
171a’…当接面
171A…連結パイプの閉断面空間
171b’…座面(対向面)
172…スペーサ
B…ボルト(締結部材)
L12…車体側取付けフランジと軸支部との間の寸法
L15…ドア側取付けフランジと、ヒンジピンが位置する軸支部との間の寸法

Claims (5)

  1. 車体骨格部材として車体側に備えたヒンジピラーと、サイドドアの基端とに、上下に離間して取り付けられる上下一対のヒンジを備え、
    上記ヒンジは、上記ヒンジピラーの側に取り付けられる車体側取付け部を有する車体側ヒンジブラケットと、
    上記サイドドアの側に取り付けられるドア側取付け部を有するドア側ヒンジブラケットと、
    上記車体側および上記ドア側のヒンジブラケット同士を回動可能に軸支するヒンジピンと、を備え、
    上記ドア側取付け部と、上記ヒンジピンが位置する軸支部との間の寸法に対し、上記車体側取付け部と上記軸支部との間の寸法が大きく形成され、
    上記車体側ヒンジブラケットにおける、上記車体側取付け部と上記軸支部との間の部位で上下の上記ヒンジ同士を、夫々の上記ヒンジピンの軸方向が平行になるように連結させた
    車両のサイドドアヒンジ構造。
  2. 上記上下のヒンジは、これらの間において軸方向に延びる連結パイプにより連結された
    請求項1に記載の車両のサイドドアヒンジ構造。
  3. 上記連結パイプの軸方向における、少なくとも上記上下各側のヒンジに対する接続部は、該ヒンジの側へ当接する当接面と、該当接面に対して上記連結パイプの内部の閉断面空間を隔てて対向する対向面とが平坦状に形成され、
    上記上下各側の接続部は、上記閉断面空間に備えたスペーサと共に上下夫々に対応する上記ヒンジに対して締結部材で締結された
    請求項2に記載の車両のサイドドアヒンジ構造。
  4. 上記上下各側のヒンジの上記車体側ヒンジブラケット、およびこれら車体側ヒンジブラケットを連結する部材は、上記ヒンジピンの軸方向に沿って延びる閉断面空間を内部に有する押出し部材で一体に形成された
    請求項1に記載の車両のサイドドアヒンジ構造。
  5. 上記上下各側のヒンジの上記車体側ヒンジブラケット同士を連結する部材を、上記ヒンジピンの軸方向に沿って延びる閉断面空間を内部に有する押出し部材により構成した
    請求項1に記載の車両のサイドドアヒンジ構造。
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