JP6816689B2 - 車両のセンタピラー下部構造 - Google Patents

車両のセンタピラー下部構造 Download PDF

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Description

本発明は、車両のセンタピラー下部構造に関する。
特許文献1には、リヤドアを支持するヒンジのヒンジベースとドアビームの後端部とが重なるようにセンタピラーに設けられた構造が開示されている。
特許文献2には、センタピラにおいて、リヤヒンジ取付部から離れた下側にビード部が設けられた構造が開示されている。
特開2000−108662号公報 特開2016−88448号公報
センタピラーにおけるドア取付部よりも車両下側の部位において、ロッカに接合されたセンタピラーアウタロアパネルと、センタピラーアウタアッパパネルとが車幅方向に接合された車両のピラー下部構造がある。この構造では、側面衝突時にセンタピラーにおけるドア取付部よりも上側に衝突荷重が入力された場合に、ロッカ付近でセンタピラーアウタロアパネルが折れると、接合部に剥離方向の入力が作用して、接合部が破断する可能性がある。
つまり、センタピラーにおけるドア取付部よりも車両下側にセンタピラーアウタロアパネルとセンタピラーアウタアッパパネルとの接合部が設けられた構成において、側面衝突時の接合部の破断を抑制するには、改善の余地がある。
本発明は上記事実を考慮し、センタピラーにおけるドア取付部よりも車両下側にセンタピラーアウタロアパネルとセンタピラーアウタアッパパネルとの接合部が設けられた構成において、側面衝突時の接合部の破断を抑制することができる車両のピラー下部構造を得ることが目的である。
請求項1に記載の発明に係る車両のピラー下部構造は、車両上下方向に延在されたセンタピラーアウタアッパパネルと、上部が前記センタピラーアウタアッパパネルの下部と共にドア部材が取付けられるドア取付部を形成し、該ドア取付部よりも車両下側でロッカに接合されたセンタピラーアウタロアパネルと、前記センタピラーアウタロアパネルに形成され、前記ドア取付部から前記ロッカに向けて延在され且つ車幅方向に膨出され、車両上下方向に並ぶ複数箇所で前記センタピラーアウタアッパパネルが接合されたビード部と、を有する。
請求項1に記載の発明では、側面衝突時にセンタピラーにおけるドア取付部よりも上側に衝突荷重が入力された場合に、ロッカ付近のセンタピラーアウタロアパネルに車幅方向内側に向かう力が作用する。ここで、センタピラーアウタロアパネルには、ドア取付部からロッカに向けて延在され且つ車幅方向に膨出されたビード部が形成されている。このため、ビード部が、車幅方向内側に向かう力に抵抗するので、ロッカ付近のセンタピラーアウタロアパネルが車幅方向内側に折れ難くなり、センタピラーにおけるドア取付部の周辺部も車幅方向内側に折れ難くなる。これにより、ビード部におけるセンタピラーアウタアッパパネルとセンタピラーアウタロアパネルとの接合部に作用する荷重の方向が、接合部の剥離方向ではなく、せん断方向となるので、接合部の破断を抑制することができる。
本発明は、センタピラーにおけるドア取付部よりも車両下側にセンタピラーアウタロアパネルとセンタピラーアウタアッパパネルとの接合部が設けられた構成において、側面衝突時の接合部の破断を抑制することができるという効果を有する。
本実施形態に係るピラー下部構造が適用された車両の一部を示す構成図である。 (A)本実施形態に係るセンタピラーのドア取付部の横断面図(図1の2A−2A線断面図)であり、(B)本実施形態に係るセンタピラーのアウタアッパパネルとアウタロアパネルとの接合部の横断面図(図1の2B−2B線断面図)である。 本実施形態に係る車両の側面衝突状態を示す説明図である。 本実施形態に係る車両におけるセンタピラーの側面衝突時の変形モードを示す説明図である。 本実施形態及び比較例のピラー下部構造における側面衝突時の変形のストロークと荷重との関係を示すグラフである。 比較例に係る車両におけるセンタピラーの側面衝突時の変形モードを示す説明図である。
本実施形態に係る車両のセンタピラー下部構造の一例であるピラー下部構造20について説明する。
図1には、本実施形態に係る車両10の一部が示されている。なお、各図に適宜示す矢印FRは車両前方(進行方向)を示しており、矢印UPは車両上方を示しており、矢印OUTは車幅方向外側を示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下、進行方向を向いた場合の車幅方向の左右を示すものとする。
車両10は、車体12を有する。車体12は、ロッカ14と、センタピラー16と、リヤドア18と、ドアヒンジ部材19と、センタピラー16に適用されたピラー下部構造20とを含んで構成されている。
<ロッカ>
ロッカ14は、車両前後に延在されている。また、ロッカ14は、ロッカ14の車幅方向外側部分を構成するロッカアウタパネル15と、ロッカ14の車幅方向内側部分を構成する図示しないロッカインナパネルとを含んで構成されている。ロッカアウタパネル15及びロッカインナパネルは、互いに向き合う車幅方向に開放された断面略ハット状に形成されており、それぞれの開口端部同士が溶接等によって接合されている。これにより、ロッカ14は、車両前後方向から見た場合に閉断面構造を成している。ロッカ14には、後述するアウタロアパネル28の下端部が接合されている。
図3に示すロッカアウタパネル15は、車両上下方向に沿った縦壁15Aと、縦壁15Aの上端部から車幅方向内側に延びる上壁15Bと、縦壁15Aの下端部から車幅方向内側に延びる下壁15Cとを含んで構成されている。ロッカアウタパネル15を車両前後方向から見た場合に、縦壁15Aと上壁15Bとが繋がる部位を角部17と称する。
<センタピラー>
図1に示すセンタピラー16は、車両10の側部におけるフロントドア用開口部13Aとリヤドア用開口部13Bとの間に設けられており、車両上下方向に延びる骨格部材として構成されている。なお、左右のセンタピラー16は、車幅方向において左右対称に構成されている。このため、以下の説明では、車両左側の側部に配置されたセンタピラー16及びピラー下部構造20について説明し、車両右側の側部に配置されたセンタピラー16及びピラー下部構造20についての説明は省略する。
図3に示すセンタピラー16は、センタピラー16の車幅方向外側部分を構成するセンタピラーアウタパネル22と、センタピラー16の車幅方向内側部分を構成するセンタピラーインナパネル24とを含んで構成されている。ここでは、センタピラーアウタパネル22について、具体的に説明する。
センタピラーアウタパネル22は、車両上下方向の中央部及び上部を構成するアウタアッパパネル26と、車両上下方向の下部を構成するアウタロアパネル28とを有する。アウタアッパパネル26は、センタピラーアウタアッパパネルの一例である。アウタロアパネル28は、センタピラーアウタロアパネルの一例である。なお、アウタアッパパネル26及びアウタロアパネル28の詳細については後述する。
<リヤドア>
図1に示すリヤドア18は、リヤドア用開口部13Bを車幅方向外側から覆っている。また、リヤドア18の車両前後方向前端部には、後述するドアヒンジ部材19が取付けられている。これにより、リヤドア18は、リヤドア用開口部13Bを開閉可能とされている。
<ドアヒンジ部材>
ドアヒンジ部材19は、ドア部材の一例である。なお、リヤドア18を支持するドアヒンジ部材19は、センタピラー16において、車両上下方向に間隔をあけて2つ設けられているが、本実施形態におけるドアヒンジ部材19とは、2つのドアヒンジ部材のうち、下側のドアヒンジ部材19を意味する。このため、上側のドアヒンジ部材19については、図示及び説明を省略する。
ドアヒンジ部材19は、後述するドア取付部34に取付けられる取付部19Aと、取付部19Aにおいて車両上下方向に沿った軸を中心として回動自在に支持される腕部19Bとを有する。腕部19Bの取付部19A側とは反対側の部位はリヤドア18に固定されている。これにより、リヤドア18は、リヤドア用開口部13Bを開放する開放位置と、リヤドア用開口部13Bを閉止する閉止位置とに回動可能とされている。
〔ピラー下部構造〕
図1に示すピラー下部構造20は、一例として、アウタアッパパネル26と、アウタロアパネル28と、アウタロアパネル28に形成されたビード部32とを有する。アウタアッパパネル26の下部及びアウタロアパネル28の上部には、後述するドア取付部34が形成されている。ドア取付部34は、後述するビード部32よりも車両上側に配置されている。
<アウタアッパパネル>
アウタアッパパネル26は、一例として、高張力鋼板にプレス加工を施すことによって製作されている。また、アウタアッパパネル26は、車両上下方向に延在されている。アウタアッパパネル26の上端部は、ルーフサイドレール21(図3参照)に接合されている。さらに、アウタアッパパネル26は、車両上側から見て車幅方向内側へ開放された断面ハット形状に形成されている。具体的には、アウタアッパパネル26は、外壁部26Aと、一対の側壁部26Bと、一対のフランジ部26Cとを含んで構成されている。
外壁部26Aは、車幅方向を板厚方向として配置され車両上下方向に延在されている。一対の側壁部26Bは、外壁部26Aの前後端から車幅方向内側へそれぞれ延びている。一対のフランジ部26Cは、一対の側壁部26Bの車幅方向内側端から車両前後方向外側にそれぞれ延びている。外壁部26Aの下部には、車幅方向内側に向けて窪んだドア取付部34が形成されている。
(ドア取付部)
図1に示すドア取付部34は、アウタアッパパネル26の車両上下方向の下部に形成されている。ドア取付部34は、車幅方向外側から内側に向けて見た場合に、周壁部34Aと外壁部34Bとを有する。周壁部34Aは、外壁部26Aから車幅方向外側に突出されると共に車両後側に向けて開口するU字状に形成されている。外壁部34Bは、周壁部34Aの車幅方向外側で、車幅方向を厚さ方向として車両前後方向に延びる平板状の部位である。
図2(A)に示す外壁部34Bには、外壁部34Bを車幅方向に貫通する貫通孔35Aが形成されている。貫通孔35Aの周縁部で且つ車幅方向内側の部位には、ウェルドナット35Bが設けられている。そして、外壁部34Bには、図示しないボルトがウェルドナット35Bに締結されることで、ドアヒンジ部材19の取付部19A(図1参照)が取付けられている。
図2(B)に示すように、アウタアッパパネル26の車両上下方向の一部で且つ後述するビード部32と車幅方向に対向する部位には、一例として、凸部27Aと、一対の側壁部27Bと、一対のフランジ部27Cとが形成されている。具体的には、凸部27Aは、車両前後方向に延在する外壁部26Aの車両前後方向のほぼ中央において、外壁部26Aから車幅方向外側に膨出(突出形成)されている。
一対の側壁部27Bは、外壁部26Aの前後端から車幅方向外側へそれぞれ延びている。一対のフランジ部27Cは、一対の側壁部27Bの車幅方向外側端から車両前後方向外側にそれぞれ延びている。なお、詳細は後述するが、アウタアッパパネル26におけるビード部32と対向する外壁部26Aは、ビード部32にスポット溶接により接合されている。
<アウタロアパネル>
図1に示すアウタロアパネル28は、アウタアッパパネル26の車両下側に配置されて、アウタアッパパネル26と共にセンタピラー16の車幅方向外側部分を構成している。アウタロアパネル28の幅寸法(車両前後方向の寸法)は、車両下側に向かうに従い大きくなるように設定されている。なお、アウタロアパネル28の車両上下方向の上部には、アウタアッパパネル26の下部が車幅方向の外側から重ねられ、既述のドア取付部34を形成している。換言すると、アウタロアパネル28は、ドア取付部34を有する。また、アウタロアパネル28は、一例として、一般の鋼板(高張力鋼板よりも引張り強さの低い鋼板)にプレス加工を施すことによって製作されている。
図2(A)に示すように、アウタロアパネル28は、車両上下方向から見た場合に車幅方向内側へ開放された断面ハット形状に形成されている。具体的には、アウタロアパネル28は、外壁部28Aと、一対の側壁部28Bと、一対のフランジ部28Cとを含んで構成されている。
外壁部28Aは、車幅方向を板厚方向として配置され車両上下方向に延在されている。一対の側壁部28Bは、外壁部28Aの前後端から車幅方向内側へそれぞれ延びている。一対のフランジ部28Cは、一対の側壁部28Bの車幅方向内側端から車両前後方向外側にそれぞれ延びている。本実施形態では、一例として、外壁部28Aにおけるドア取付部34の一部を構成する部位には、車幅方向に貫通された開口部41が形成されている。開口部41は、車幅方向でウェルドナット35Bと対向している。これにより、ウェルドナット35Bに図示しないボルトが締結されたときに、該ボルトがアウタロアパネル28と接触しないようになっている。
図1に示す外壁部28Aにおけるドア取付部34よりも車両下側には、ビード部32が形成されている。さらに、外壁部28Aにおけるビード部32よりも車両下側の部位(アウタロアパネル28の下端部)は、ロッカアウタパネル15に車幅方向外側から重ねられて接合されている。換言すると、アウタロアパネル28は、ドア取付部34よりも車両下側でロッカ14に溶接等により接合されている。
<ビード部>
図2(B)に示すビード部32は、アウタロアパネル28の外壁部28Aから車幅方向外側に膨出(突出形成)されている。また、ビード部32は、一例として、車両前後方向に2つ並んで形成されている。なお、以後の説明では、車両前側と車両後側のビード部32を区別する場合には、車両前側のビード部32を第1ビード部32Aと称し、車両後側のビード部32を第2ビード部32Bと称する。ビード部32の車両前後方向前側及び後側には、ビード部32よりも低い高さで外壁部28Aから車幅方向外側に突出する凸部42Aが形成されている。
第1ビード部32Aは、車両上下方向から見た場合に、車幅方向を高さ方向とする略台形状に、車幅方向外側を上底側として突出されている。なお、第1ビード部32Aにおける台形の上底に相当する部位を板状部37Aと称する。板状部37Aは、車幅方向を厚さ方向として、車両上下方向に延びる部位である。また、第1ビード部32Aは、一例として、ドア取付部34(図1参照)からロッカ14(図1参照)に向けて車両上下方向に沿って車両下側に延在されると共に、ドア取付部34から車両上側にも延在されている。
図2(A)に示す第1ビード部32Aは、外壁部28Aにおける開口部41に対する車両前後方向の前側の部位を含んで車両上側に延在されている。
図2(B)に示す第2ビード部32Bは、車両上下方向から見た場合に、車幅方向を高さ方向とする略台形状に、車幅方向外側を上底側として突出されている。なお、第2ビード部32Bにおける台形の上底に相当する部位を板状部37Bと称する。板状部37Bは、車幅方向を厚さ方向として、車両上下方向に延びる部位である。また、第2ビード部32Bは、一例として、ドア取付部34(図1参照)から車両上下方向に沿って車両下側に延びているが、ドア取付部34から車両上側には延びていない。
第1ビード部32A及び第2ビード部32Bには、車幅方向外側からアウタアッパパネル26の外壁部26Aが重ねられて接合されている。具体的には、板状部37A及び板状部37Bと、外壁部26Aとが車幅方向に重ねられてスポット溶接により接合されている。このようにして、ビード部32には、アウタアッパパネル26とアウタロアパネル28とが接合された部位である接合部29が形成されている。なお、板状部37Aと外壁部26A、板状部37Bと外壁部26Aについて、スポット溶接の打点箇所は、一例として、それぞれ車両上下方向に並んで2箇所形成されている(図1参照)。
ここで、図3に示すビード部32は、車両前後方向から見た場合に、ロッカアウタパネル15の角部17(折れ部)に近接して配置されている。換言すると、アウタロアパネル28における角部17に近接する部位は、ビード部32が形成されていることによって、車幅方向に作用する力に対する剛性が高められている。
〔比較例〕
図6には、比較例の車両200のセンタピラー202の下部における側面衝突時の変形モードが示されている。センタピラー202は、センタピラーアッパパネル203とセンタピラーロアパネル204とを含んで構成されている。センタピラーアッパパネル203の下部と、センタピラーロアパネル204の上部とが、車幅方向にスポット溶接により接合されることで、接合部205が形成されている。また、センタピラーロアパネル204の下部は、平板状に形成されており、ロッカ14に溶接等により接合されている。センタピラーアッパパネル203の上部は、図示しないルーフサイドレールに接合されている。センタピラー202における接合部205よりも車両上側には、ドア取付部34が形成されている。
比較例の車両200において、側面衝突時には、センタピラー202の車両上下方向中間部に、車幅方向内側に向かう衝突荷重が入力される。センタピラー202は、上部が図示しないルーフサイドレールに接合され、下部がロッカ14に接合されているために、中間部が車幅方向内側に押込まれるように変形される。特に、ロッカ14の角部17の付近において、センタピラーロアパネル204が平板状であり、センタピラーロアパネル204が角部17と接触することで車幅方向内側に折れ曲がるために、ドア取付部34周辺での折れ曲がり量が多くなる。
このため、ドア取付部34よりも下側の接合部205の打点D2には、センタピラーアッパパネル203がセンタピラーロアパネル204に対して離れる方向である剥離方向の力F2が作用することになる。ここで、スポット溶接の打点D2は、せん断方向の力に比べて剥離方向の力に対して弱い。このため、比較例の車両200では、打点D2が破断する可能性がある。
このように、比較例の車両200では、センタピラー202の打点D2が破断することで、センタピラー202を伝わる荷重Fbが減少し(伝達荷重の落ち込みが増加し)、センタピラー202の車幅方向内側への侵入量(ストローク)が増加する。なお、図5には、比較例の車両200におけるストロークと荷重との関係が、破線のグラフG2で示されている。グラフG2の点P2が、伝達荷重の落ち込み部分を表している。
〔作用及び効果〕
次に、本実施形態のピラー下部構造20の作用及び効果について説明する。
図3に示す本実施形態の車両10において、側面衝突時には、センタピラー16の車両上下方向中間部に、衝突体Bから、車幅方向内側に向かう衝突荷重Fが入力される。センタピラー16は、上部がルーフサイドレール21に接合され、下部がロッカ14に接合されているために、車両上下方向の中間部よりも下側が車幅方向内側に押込まれるように変形される。
ここで、センタピラー16におけるロッカ14の角部17の付近には、ビード部32が形成されている。具体的には、センタピラー16では、アウタロアパネル28にビード部32が形成されていることによって、車幅方向に作用する力に対する剛性が高められている。このため、センタピラー16におけるドア取付部34周辺での折れ曲がり量は、既述の比較例に比べて少なくなる。
これにより、図4に示すように、ドア取付部34よりも下側のビード部32における打点D1には、アウタアッパパネル26がアウタロアパネル28に対して接触した状態でずれる方向である、せん断方向の力F1が作用することになる。ここで、スポット溶接の打点D1は、剥離方向の力に比べてせん断方向の力に対して強い。このため、本実施形態の車両10では、比較例の打点D2(図6参照)に比べて、打点D1の破断が抑制される。
本実施形態の車両10では、センタピラー16の打点D1の破断が抑制されることで、センタピラー16を伝わる荷重Faの落ち込みが抑制されるので、比較例に比べて、センタピラー16の車幅方向内側への侵入量(ストローク)が低減される。なお、図5には、本実施形態の車両10におけるストロークと荷重との関係が、実線のグラフG1で示されている。グラフG1の点P1は、伝達荷重の落ち込み部分を表しているが、グラフG2の点P2よりも荷重が大きい側に位置している。つまり、本実施形態の方が比較例に比べて、センタピラー16の伝達荷重が大きいことを意味している。
以上、説明したように、図3及び図4に示す本実施形態のピラー下部構造20では、側面衝突時にセンタピラー16におけるドア取付部34よりも上側に衝突荷重Fが入力された場合に、ロッカ14付近のアウタロアパネル28に車幅方向内側に向かう力が作用する。ここで、アウタロアパネル28には、ドア取付部34からロッカ14に向けて延在され且つ車幅方向に膨出されたビード部32が形成されている。このため、ビード部32が、車幅方向内側に向かう力に抵抗するので、ロッカ14付近のアウタロアパネル28が車幅方向内側に折れ難くなり、センタピラー16におけるドア取付部34の周辺部も車幅方向内側に折れ難くなる。これにより、ビード部32における接合部29に作用する荷重の方向が、接合部29の剥離方向ではなく、せん断方向となるので、接合部29の破断を抑制することができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
ビード部32の接合部29における接合は、スポット溶接に限らず、ビード部32に形成された貫通孔を通したボルト及びナットからなる締結手段の締結による接合であってもよい。接合部29は、例えば、SPR(セルフピアスリベット)やFDS(フロードリルスクリュー)を用いて接合されてもよい。また、ビード部32は、車幅方向外側に膨出されたものに限らず、車幅方向内側に膨出されたものでもよい。
さらに、ビード部32は、車両上下方向から見た場合の断面形状が台形状に限らず、例えば、半円筒状に形成されていてもよい。加えて、ビード部32の数は、車両前後方向において2つに限らず、車両前後方向に1つ又は3つ以上の複数であってもよい。また、ビード部32は、車両前後方向の前側及び後側の一方のみであってもよい。さらに、ビード部32は、ドア取付部34から車両上側及び車両下側に延在するものに限らず、ドア取付部34から車両下側のみに延在するものであってもよい。
さらに、アウタアッパパネル26において、車幅方向外側に膨出するビード部32を形成して、このビード部32をアウタロアパネル28のビード部32に車幅方向外側から重ねて接合させてもよい。換言すると、ビード部32は、少なくともアウタロアパネル28側に形成されていればよい。
接合部29における打点の数は、車両上下方向に2箇所に限らず、3箇所以上の複数箇所であってもよい。
以上、本発明の実施形態及び変形例に係る車両のピラー下部構造の一例について説明したが、これらの実施形態及び変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10 車両
14 ロッカ
19 ドアヒンジ部材(ドア部材の一例)
20 ピラー下部構造(車両のピラー下部構造の一例)
26 アウタアッパパネル(センタピラーアウタアッパパネルの一例)
28 アウタロアパネル(センタピラーアウタロアパネルの一例)
29 接合部
32 ビード部
34 ドア取付部

Claims (1)

  1. 車両上下方向に延在されたセンタピラーアウタアッパパネルと、
    上部が前記センタピラーアウタアッパパネルの下部と共にドア部材が取付けられるドア取付部を形成し、該ドア取付部よりも車両下側でロッカに接合されたセンタピラーアウタロアパネルと、
    前記センタピラーアウタロアパネルに形成され、前記ドア取付部から前記ロッカに向けて延在され且つ車幅方向に膨出され、車両上下方向に並ぶ複数箇所で前記センタピラーアウタアッパパネルが接合されたビード部と、
    を有する車両のセンタピラー下部構造。
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